IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大王製紙株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-物品検知装置及び物品の管理システム 図1
  • 特開-物品検知装置及び物品の管理システム 図2
  • 特開-物品検知装置及び物品の管理システム 図3
  • 特開-物品検知装置及び物品の管理システム 図4
  • 特開-物品検知装置及び物品の管理システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050283
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】物品検知装置及び物品の管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20240403BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20240403BHJP
   G01S 13/78 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
G06K7/10 276
B65G1/137 A
G01S13/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157060
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 映登
【テーマコード(参考)】
3F522
5J070
【Fターム(参考)】
3F522AA03
3F522BB01
3F522BB28
3F522BB32
3F522CC09
3F522DD03
3F522DD22
3F522DD32
3F522EE16
3F522FF02
3F522FF12
3F522FF15
3F522FF24
3F522GG03
3F522GG17
3F522GG22
3F522GG23
3F522GG46
3F522HH02
3F522HH12
3F522HH17
3F522HH22
3F522HH36
3F522JJ01
3F522LL41
3F522LL61
5J070AC15
5J070AD01
5J070AE20
5J070AF01
5J070AK13
5J070AK36
(57)【要約】
【課題】物品検知装置において、簡易な構成により、物品の搬送方向を検出する。
【解決手段】紙管ロール検知装置100は、搬送部材30に載って移動する紙管ロール400に設けられたRFIDタグ10から出力された電波を受信するRFIDリーダ40と、RFIDリーダ40によって受信した電波に基づいて、紙管ロール400の通過を記録する記録装置50と、を備え、搬送部材30は、電波を遮蔽する材料で形成され、搬送部材30の通過により、出力された電波が遮蔽される第1位置P1,第2位置P2に固定された第1の固定RFIDタグ21及び第2の固定RFIDタグ22と、搬送部材30が移動する間に、第1の固定RFIDタグ21及び第2の固定RFIDタグ22からの各電波の受信の途切れに基づいて、紙管ロール400の搬送方向を判定する判定部60と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を遮蔽する材料で形成された搬送部材に載せられて所定の範囲を移動する物品に設けられた、前記物品に対応した固有の識別情報を記憶したRFIDタグから出力された、前記固有の識別情報を有する電波を、前記物品が前記所定の範囲を通過したときに受信するRFIDリーダと、
前記RFIDリーダによって受信した電波に基づいて、前記固有の識別情報の物品の通過を記録する記録装置と、
前記所定の範囲における互いに異なる2つの位置であって、前記搬送部材の通過により、出力された電波が遮蔽される位置に固定された、互いに異なる固有の識別情報を記憶した第1の固定RFIDタグ及び第2の固定RFIDタグと、
前記搬送部材が前記所定の範囲を移動する間に、前記RFIDリーダによる前記第1の固定RFIDタグからの電波の受信の途切れと前記RFIDリーダによる前記第2の固定RFIDタグからの電波の受信の途切れとに基づいて、前記物品の搬送方向を判定する判定部と、を備え、
前記記録装置は、前記物品の前記識別情報に対応付けて、前記搬送方向を記録する、物品検知装置。
【請求項2】
前記判定部は、
前記第1の固定RFIDタグからの電波の受信の途切れと前記RFIDリーダによる前記第2の固定RFIDタグからの電波の受信の途切れとの時系列の順序に基づいて、前記物品の、前記第1の固定RFIDタグが固定された位置と前記第2の固定RFIDタグが固定された位置との間での移動の方向を求めることにより、前記物品の搬送方向を判定する、請求項1に記載の物品検知装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記物品の搬送方向の判定に加えて、前記搬送部材が前記所定の範囲を移動する間に、前記RFIDリーダによる前記第1の固定RFIDタグからの電波の受信の途切れ及び前記RFIDリーダによる前記第2の固定RFIDタグからの電波の受信の途切れと、前記RFIDリーダによる前記物品に設けられた前記RFIDタグから出力された電波の受信の有無との対応関係に基づいて、前記物品の通過の検知漏れを判定し、
前記判定部が前記物品の通過の検知漏れを判定したとき検知漏れを報知する報知部、をさらに備えた、請求項1に記載の物品検知装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記RFIDリーダによる前記第1の固定RFIDタグからの電波の受信の途切れと前記RFIDリーダによる前記第2の固定RFIDタグからの電波の受信の途切れとの間の期間及び前記期間の前後の予め設定された所定の期間に、前記RFIDリーダによる前記物品に設けられた前記RFIDタグから出力された電波の受信がなかったときは、前記物品の通過の検知漏れと判定する、請求項3に記載の物品検知装置。
【請求項5】
前記通過の検知漏れと判定された物品に設けられたRFIDタグに記憶された固有の識別情報の、前記記録装置への手動による入力を受け付ける入力部をさらに備えた、請求項3又は4に記載の物品検知装置。
【請求項6】
物品に設けられる、固有の識別情報を記憶したRFIDタグを発行するRFIDラベル発行機と、
倉庫に在庫している前記物品に設けられた前記RFIDタグに記憶された前記識別情報を読み取り、前記物品の保管位置を対応付けて出力する在庫管理用のRFIDリーダと、
使用後の前記物品の残量を検出するとともに、前記物品に設けられた前記RFIDタグに記憶された前記識別情報を読み取り、前記検出した残量を対応付けて出力する残量検出装置と、
請求項1から4のうちいずれか1項に記載の物品検知装置と、
前記RFIDラベル発行機、前記在庫管理用のRFIDリーダ、前記残量検出装置及び前記物品検知装置に接続され、前記RFIDラベル発行機、前記在庫管理用のRFIDリーダ、前記残量検出装置及び前記物品検知装置から出力された情報を前記識別情報に対応付けたデータベースを有する管理サーバと、を備えた物品の管理システム。
【請求項7】
物品に設けられる、固有の識別情報を記憶したRFIDタグを発行するRFIDラベル発行機と、
倉庫に在庫している前記物品に設けられた前記RFIDタグに記憶された前記識別情報を読み取り、前記物品の保管位置を対応付けて出力する在庫管理用のRFIDリーダと、
使用後の前記物品の残量を検出するとともに、前記物品に設けられた前記RFIDタグに記憶された前記識別情報を読み取り、前記検出した残量を対応付けて出力する残量検出装置と、
請求項5に記載の物品検知装置と、
前記RFIDラベル発行機、前記在庫管理用のRFIDリーダ、前記残量検出装置及び前記物品検知装置に接続され、前記RFIDラベル発行機、前記在庫管理用のRFIDリーダ、前記残量検出装置及び前記物品検知装置から出力された情報を前記識別情報に対応付けたデータベースを有する管理サーバと、を備えた物品の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品検知装置及び物品の管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
所定の範囲を搬送される物品の通過を検知する物品検知装置が知られている。この物品検知装置は、RFID(Radio Frequency IDentification)タグの情報を無線通信によって読み取るRFIDリーダを、物品の搬送される範囲の近くに配置し、物品に設けられたRFIDタグの情報を、物品が所定の範囲を搬送されている間にRFIDリーダによって読み取ることで、所定の範囲を搬送された物品の通過を検知するものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された物品検知装置は、RFIDリーダを複数設けて、これら複数のRFIDリーダのそれぞれが読み取ったRFIDタグの情報の読取回数と、読み取ったときの受信信号の強度とに基づいて、物品の搬送方向を特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-038246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された物品検知装置は、複数のRFIDリーダを必要とするため、コストが高いという問題がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、簡易な構成によりコストを低く抑えて、物品の搬送方向を検出することができる物品検知装置及び物品の管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1は、電波を遮蔽する材料で形成された搬送部材に載せられて所定の範囲を移動する物品に設けられた、前記物品に対応した固有の識別情報を記憶したRFIDタグから出力された、前記固有の識別情報を有する電波を、前記物品が前記所定の範囲を通過したときに受信するRFIDリーダと、前記RFIDリーダによって受信した電波に基づいて、前記固有の識別情報の物品の通過を記録する記録装置と、前記所定の範囲における互いに異なる2つの位置であって、前記搬送部材の通過により、出力された電波が遮蔽される位置に固定された、互いに異なる固有の識別情報を記憶した第1の固定RFIDタグ及び第2の固定RFIDタグと、前記搬送部材が前記所定の範囲を移動する間に、前記RFIDリーダによる前記第1の固定RFIDタグからの電波の受信の途切れと前記RFIDリーダによる前記第2の固定RFIDタグからの電波の受信の途切れとに基づいて、前記物品の搬送方向を判定する判定部と、を備え、前記記録装置は、前記物品の前記識別情報に対応付けて、前記搬送方向を記録する、物品検知装置である。
【0008】
本発明の第2は、物品に設けられる、固有の識別情報を記憶したRFIDタグを発行するRFIDラベル発行機と、倉庫に在庫している前記物品に設けられた前記RFIDタグに記憶された前記識別情報を読み取り、前記物品の保管位置を対応付けて出力する在庫管理用のRFIDリーダと、使用後の前記物品の残量を検出するとともに、前記物品に設けられた前記RFIDタグに記憶された前記識別情報を読み取り、前記検出した残量を対応付けて出力する残量検出装置と、本発明の物品検知装置と、前記RFIDラベル発行機、前記在庫管理用のRFIDリーダ、前記残量検出装置及び前記物品検知装置に接続され、前記RFIDラベル発行機、前記在庫管理用のRFIDリーダ、前記残量検出装置及び前記物品検知装置から出力された情報を前記識別情報に対応付けたデータベースを有する管理サーバと、を備えた物品の管理システムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る物品検知装置及び物品の管理システムは、簡易な構成によりコストを低く抑えて、物品の搬送方向を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】紙管ロール検知装置の構成を示すブロック図である。
図2】紙管ロール検知装置の構成要素の配置の一例を示す模式図である。
図3】紙管ロール検知装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図4】紙管ロールの管理システムを示す模式図である。
図5】紙管ロールの管理システムで使用されるデータベースに記録された情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る物品検知装置及び物品の管理システムの実施形態は、以下の通り、図面を参照して説明される。
【0012】
<構成>
図1は紙管ロール検知装置100の構成を示すブロック図、図2は紙管ロール検知装置100の構成要素の配置の一例を示す模式図、図3は紙管ロール検知装置100の動作を示すフローチャートである。図示の紙管ロール検知装置100は、本発明に係る物品検知装置の一実施形態である。
【0013】
図示の紙管ロール検知装置100は、図1に示すように、RFIDタグ10と、第1の固定RFIDタグ21及び第2の固定RFIDタグ22と、搬送部材30と、RFIDリーダ40と、判定部60と、報知部70と、記録装置50と、入力部80と、を備えている。
【0014】
RFIDタグ10は、本発明の物品検知装置における物品の一例としての紙管ロール400に設けられている。紙管ロール400は、中心部の芯材に、長尺帯状の紙が巻き付けられてロール状に形成された物品である。紙管ロール400は、ロール状に巻き付けられた紙を巻き解いて、段ボールシートを製造するコルゲートマシンにセットして使用される。
【0015】
RFIDタグ10は、図2に示すように、紙管ロール400の中心に備えられた芯材に、外部に一部が臨むように貼り付けられている。RFIDタグ10には、貼り付けられた個別の紙管ロール400を識別する固有の情報(識別情報)が記憶されている。
【0016】
RFIDタグ10は、後述するRFIDリーダ40のアンテナ41から発せられた電波を受けることで起電し、記憶された識別情報を電波として出射する。この識別情報を担った電波は、RFIDリーダ40のアンテナ41によって受信され、電波に含まれた識別情報により、個別の紙管ロール400を識別することができる。なお、RFIDタグ10の表面には、その識別情報を肉眼でも読み取ることができるように、文字も記載されている。
【0017】
紙管ロール400は、例えば、段ボールシートの製造工場において、板状の搬送部材30上に載せられた状態で、図2に示すように、床面に形成された溝500に沿って、矢印の順方向X又は反対方向-Xに搬送される。溝500は、コルゲートマシンに通じる所定の範囲に形成されている。なお、溝500の内部には、搬送用のチェーンが配置されている。そして、チェーンが順方向X又は反対方向-Xに動き、搬送部材30の底部に形成された突起がチェーンに引っ掛けられることにより、搬送部材30が、所定範囲を溝500に沿って順方向X又は反対方向-Xに移動する。
【0018】
搬送部材30は、電波を遮蔽する材料で形成されている。なお、搬送部材30の本体は電波を透過する材料で形成され、搬送部材30の、紙管ロール400を載せる面に、電波を遮蔽するシートを貼り付けたり、又は電波を遮蔽する塗料を塗布したりすることで、シートや塗料を備えた状態の本体である搬送部材30の全体として、電波を遮蔽するものであってもよい。
【0019】
第1の固定RFIDタグ21と第2の固定RFIDタグ22は、図2に示すように、紙管ロール400が搬送される溝500の近傍部分に固定されている。本実施形態においては、第1の固定RFIDタグ21は、溝500に近接した床面の第1位置P1に固定され、第2の固定RFIDタグ22は、溝500に近接した床面の第2位置P2に固定されている。
【0020】
第1位置P1は、搬送部材30が、溝500に沿って順方向X又は反対方向-Xに搬送されたとき、搬送部材30が第1の固定RFIDタグ21を覆う位置である。第2位置P2は、搬送部材30が、溝500に沿って順方向X又は反対方向-Xに搬送されたとき、搬送部材30が第2の固定RFIDタグ22を覆う位置である。第1位置P1と第2位置P2は、紙管ロール400が搬送される所定の範囲における異なる位置である。
【0021】
したがって、搬送部材30が順方向X又は反対方向-Xに搬送されたとき、第1の固定RFIDタグ21と第2の固定RFIDタグ22とは、時間差を以て順次覆われる。具体的には、搬送部材30が順方向Xに搬送されたとき、搬送部材30は、第1の固定RFIDタグ21を先に覆い、第1の固定RFIDタグ21を覆わなくなった後に、第2の固定RFIDタグ22を覆う。反対に、搬送部材30が反対方向-Xに搬送されたとき、搬送部材30は、第2の固定RFIDタグ22を先に覆い、第2の固定RFIDタグ22を覆わなくなった後に、第1の固定RFIDタグ21を覆う。
【0022】
第1の固定RFIDタグ21及び第2の固定RFIDタグ22は、紙管ロール400に貼り付けられたRFIDタグ10と同様に、それぞれ固有の識別情報が記憶されている。第1の固定RFIDタグ21に記憶されている識別情報と第2の固定RFIDタグ22に記憶された識別情報は、互いに異なる。
【0023】
第1の固定RFIDタグ21及び第2の固定RFIDタグ22は、後述するRFIDリーダ40のアンテナ41から発せられた電波を受けることで起電し、記憶された識別情報を担った電波を出射する。この識別情報を担った電波は、RFIDリーダ40のアンテナ41によって受信され、電波に含まれた識別情報により、第1の固定RFIDタグ21から出射された電波であるか又は第2の固定RFIDタグ22から出射した電波であるかを識別することができる。
【0024】
RFIDリーダ40は、アンテナ41を有している。RFIDリーダ40は、所定の範囲に電波を出射する。RFIDリーダ40は、図2に示すように、少なくともアンテナ41が、溝500に沿って搬送される紙管ロール400の近傍部分であって、RFIDタグ10から出射した電波を受信し得る位置に配置されている。また、RFIDリーダ40は、上述した紙管ロール400に設けられたRFIDタグ10から出射された電波を受信することに加えて、第1の固定RFIDタグ21及び第2の固定RFIDタグ22からそれぞれ出射した電波をも受信し得る位置に配置されている。
【0025】
なお、図2においては、RFIDリーダ40の全体が、アンテナ41と同じ入りに配置されているが、アンテナ41を除いたRFIDリーダ40は、アンテナ41から離れた位置であって、RFIDタグ10、第1の固定RFIDタグ21及び第2の固定RFIDタグ22からそれぞれ出射した電波を受信し得ない位置に配置されていてもよい。
【0026】
RFIDリーダ40は、少なくとも第1位置P1と第2位置P2との間の範囲(所定の範囲)で、RFIDタグ10、第1の固定RFIDタグ21及び第2の固定RFIDタグ22を起電させる電波をアンテナ41から発信する。また、RFIDリーダ40は、少なくとも第1位置P1と第2位置P2との間の範囲のRFIDタグ10、第1の固定RFIDタグ21及び第2の固定RFIDタグ22からそれぞれ出射した電波を受信する。
【0027】
ここで、第1の固定RFIDタグ21及び第2の固定RFIDタグ22は、一定の位置に固定されていて移動しないため、RFIDリーダ40との位置関係を調整して、第1の固定RFIDタグ21及び第2の固定RFIDタグ22との電波の送受信を安定することができる。
【0028】
一方、RFIDタグ10は、紙管ロール400に貼付されていて、その貼付位置に個体差が有り、また、紙管ロール400は移動するため、RFIDリーダ40とRFIDタグ10との位置関係が変化するため、電波環境の変化の影響を受け易い。このため、RFIDリーダ40は、所定の範囲でRFIDタグ10から出射した電波の受信できないことが起こり得る。そして、RFIDリーダ40が、RFIDタグ10から出射した電波を受信できなかった場合、紙管ロール400が通過したことを検知できない検知漏れが生じることがある。
【0029】
RFIDリーダ40は、RFIDタグ10から出射した電波を受信したとき、その電波に含まれた識別情報を認識し、第1の固定RFIDタグ21から出射した電波を受信したとき、その電波に含まれた識別情報を認識し、第2の固定RFIDタグ22から出射した電波を受信したとき、その電波に含まれた識別情報を認識する。
【0030】
ここで、搬送部材30が第1位置P1を通過するとき、第1の固定RFIDタグ21は搬送部材30によって覆われるが、搬送部材30が第1位置P1を通過する前後の区間では、第1の固定RFIDタグ21は搬送部材30によって覆われない。
【0031】
したがって、搬送部材30が第1位置P1を通過する前後の区間では、RFIDリーダ40のアンテナ41は、第1の固定RFIDタグ21を起電したことにより第1の固定RFIDタグ21から出射された電波を受信する。
【0032】
一方、搬送部材30が第1位置P1を通過するとき、RFIDリーダ40のアンテナ41から出射された電波が、搬送部材30に遮蔽されて、第1の固定RFIDタグ21に到達しないか、又は電波が第1の固定RFIDタグ21に到達しても、第1の固定RFIDタグ21から出射した電波が搬送部材30に遮蔽されてRFIDリーダ40のアンテナ41に到達しない。このため、RFIDリーダ40は、搬送部材30が第1位置P1を通過する前後の区間では、第1の固定RFIDタグ21からの電波を受信しているが、搬送部材30が第1位置P1を通過しているときは、第1の固定RFIDタグ21からの電波の受信が途切れる。
【0033】
搬送部材30が第2位置P2を通過するときも、搬送部材30が第1位置P1を通過するとき同様であり、RFIDリーダ40は、搬送部材30が第2位置P2を通過する前後の区間では、第2の固定RFIDタグ22からの電波を受信しているが、搬送部材30が第2位置P2を通過しているときは、第2の固定RFIDタグ22からの電波の受信が途切れる。
【0034】
判定部60は、RFIDリーダ40による第1の固定RFIDタグ21からの電波の受信の途切れとRFIDリーダ40による第2の固定RFIDタグ22からの電波の受信の途切れとの間の期間及びその期間の前後の予め設定した所定の期間において、RFIDリーダ40による紙管ロール400に設けられたRFIDタグ10から出力された識別情報を含む電波を受信したときは、その識別情報が記憶されたRFIDタグ10が設けられた紙管ロール400が、溝500の第1位置P1と第2位置P2との間の区間を通過したと判定し、この判定結果(通過検知)を、識別情報に対応付ける。なお、前後の予め設定した所定の期間は、RFIDリーダ40が送信する電波の到達範囲や、RFIDタグ10から出射する電波の到達範囲に応じて設定される。
【0035】
一方、判定部60は、RFIDリーダ40による第1の固定RFIDタグ21からの電波の受信の途切れとRFIDリーダ40による第2の固定RFIDタグ22からの電波の受信の途切れとの間の期間及びその期間の前後の予め設定した所定の期間において、RFIDリーダ40による紙管ロール400に設けられたRFIDタグ10から出力された識別情報を含む電波を受信しなかったときは、その識別情報を読み取れていないため、紙管ロール400の通過の検知漏れが発生したと判定し、判定結果(通過検知漏れ)を、空白の仮の識別情報に対応付ける。
【0036】
また、判定部60は、上述したRFIDリーダ40によって受信した電波に基づいて、第1の固定RFIDタグ21から出射した電波の途切れと第2の固定RFIDタグ22から出射した電波の途切れとの時系列の順序に基づいて、紙管ロール400が、第1位置P1と第2位置P2との間で、順方向Xに移動したか又は反対方向-Xに移動したかを求め、その移動方向を、通過した紙管ロール400の搬送方向と判定して、通過した紙管ロール400の識別情報に搬送方向をさらに対応付ける。
【0037】
具体的には、判定部60は、上述したRFIDリーダ40による、第1の固定RFIDタグ21から出射した電波の受信の途切れがあった後に、第2の固定RFIDタグ22から出射した電波の受信の途切れがあったときは、搬送部材30が、第1位置P1を通過した後に第2位置P2を通過したことになるため、判定部60は、紙管ロール400の移動方向を順方向Xと求め、順方向Xを紙管ロール400の搬送方向と判定する。
【0038】
そして、第1の固定RFIDタグ21から出射した電波の受信の途切れがあったときから、第2の固定RFIDタグ22から出射した電波の受信の途切れがあったときまでの期間及びその期間の前後の予め設定した所定の期間において、RFIDリーダ40による紙管ロール400に設けられたRFIDタグ10から出力された識別情報を含む電波を受信したときは、判定部60は、その紙管ロール400の識別情報に、搬送方向である順方向Xを対応付ける。
【0039】
上記とは反対に、判定部60は、上述したRFIDリーダ40による、第2の固定RFIDタグ22から出射した電波の受信の途切れがあった後に、第1の固定RFIDタグ21から出射した電波の受信の途切れがあったときは、搬送部材30が、第2位置P2を通過した後に第1位置P1を通過したことになるため、判定部60は、紙管ロール400の移動方向を反対方向-Xと求め、反対方向-Xを紙管ロール400の搬送方向と判定する。
【0040】
そして、第2の固定RFIDタグ22から出射した電波の受信の途切れがあったときから、第1の固定RFIDタグ21から出射した電波の受信の途切れがあったときまでの期間及びその期間の前後の予め設定した所定の期間において、RFIDリーダ40による紙管ロール400に設けられたRFIDタグ10から出力された識別情報を含む電波を受信したときは、判定部60は、その紙管ロール400の識別情報に、搬送方向である反対方向-Xを対応付ける。
【0041】
なお、第1の固定RFIDタグ21から出射した電波の受信の途切れがあったときから、第2の固定RFIDタグ22から出射した電波の受信の途切れがあったときまでの期間及びその期間の前後の予め設定した所定の期間において、又は第2の固定RFIDタグ22から出射した電波の受信の途切れがあったときから、第1の固定RFIDタグ21から出射した電波の受信の途切れがあったときまでの期間及びその期間の前後の予め設定した所定の期間において、RFIDリーダ40が、紙管ロール400に設けられたRFIDタグ10から出力された識別情報を含む電波を受信しなかったときは、通過検知漏れのため、判定部60が搬送方向に対応付ける紙管ロール400の識別情報が存在しない。
【0042】
この場合、判定部60は、上述した空白の仮の識別情報に搬送方向を対応付ける。
【0043】
記録装置50は、上述した判定部60で対応付けられた、紙管ロール400のRFIDタグ10から読み取られた識別情報と紙管ロール400の搬送方向とを記録する。なお、判定部60により、紙管ロール400の通過の検知漏れが判定されて、空白の仮の識別情報と搬送方向とが対応付けられたものも記録する。
【0044】
報知部70は、判定部60が、紙管ロール400の通過の検知漏れと判定したときは、検知漏れを、溝500に沿って搬送される紙管ロール400の周囲の作業スタッフに報知する。報知部70による報知方法は、通過の検知漏れが発生したことを音で知らせる方法でもよいし、光で知らせる方法でもよいし、その他の方法で知らせる方法であってもよい。また、報知部70による報知方法は、これら音と光の両方で、通過の検知漏れが発生したことを知らせる方法でもよい。
【0045】
入力部80は、報知部70によって通過の検知漏れが報知された場合に、作業スタッフが、検知漏れと判定された紙管ロール400に設けられたRFIDタグ10に記憶された固有の識別情報を、手動で記録装置50に入力するインターフェイスである。入力部80は、例えばタッチパネル式のタブレット端末機が適用されるが、タッチパネル式のタブレット端末機に限定されるものではない。この場合、作業スタッフは、RFIDタグ10に、肉眼で読み取り可能に記載された文字による識別情報を読み取って、入力部80に入力する。
【0046】
報知部70の報知によって、通過の検知漏れを認識した作業スタッフは、溝500上の第1位置P1と第2位置P2との間の区間、及びその区間に前後する所定の区間において、通過の検知漏れとなった紙管ロール400を探す。そして、作業スタッフは、探し当てた紙管ロール400に設けられたRFIDタグ10の表面に文字で記載された識別情報を目視で読み取り、その読み取った識別情報を、入力部80に手動で入力する。
【0047】
通過の検知漏れが発生した場合、記録装置50は、空白の識別情報に搬送方向を対応付けて記録しているが、記録装置50は、搬送方向を対応付けられた空白の識別情報を、入力部80に手動で入力された識別情報に書き換えて、その書き換えられた識別情報に搬送方向を対応付けて記録する。
【0048】
記録装置50は、管理サーバ200に接続されているが、管理サーバ200に接続されていなくてもよい。管理サーバ200については、後述する。
【0049】
<動作>
図3は、本実施形態の紙管ロール検知装置100の処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態の紙管ロール検知装置100の動作は、図3のフローチャートに示される。
【0050】
紙管ロール400は、図2に示すように搬送部材30に載せられた状態で、溝500に沿って、順方向X又は反対方向-Xに搬送される。紙管ロール検知装置100のRFIDリーダ40のアンテナ41は、第1位置P1と第2位置P2との間の区間及びその区間の前後の所定の区間にだけ到達するように、RFIDタグ10,21,22を起電させる電波を常時出射している。
【0051】
したがって、第1位置P1の第1の固定RFIDタグ21と第2位置P2の第2の固定RFIDタグ22は、それぞれ電波を受けて起電し続け、第1の固定RFIDタグ21は第1の固定RFIDタグ21に記憶された第1の固定RFIDタグ21を特定する識別情報を含む電波を出射し続け、第2の固定RFIDタグ22は第2の固定RFIDタグ22に記憶された第2の固定RFIDタグ22を特定する識別情報を含む電波を出射し続ける。
【0052】
RFIDリーダ40のアンテナ41は、これら第1の固定RFIDタグ21を特定する識別情報を含む電波及び第2の固定RFIDタグ22を特定する識別情報を含む電波を受信し続ける。
【0053】
搬送部材30が第1位置P1に到達すると、搬送部材30が第1の固定RFIDタグ21への電波の送受信を遮蔽するため、RFIDリーダ40のアンテナ41は、第1の固定RFIDタグ21からの電波の受信が途切れた状態となる。これと同様、搬送部材30が第2位置P2に到達すると、搬送部材30が第2の固定RFIDタグ22への電波の送受信を遮蔽するため、RFIDリーダ40のアンテナ41は、第2の固定RFIDタグ22からの電波の受信が途切れた状態となる。
【0054】
紙管ロール400を載せた搬送部材30が、溝500に沿って、RFIDリーダ40のアンテナ41からの電波が到達する範囲に入ると、RFIDタグ10は、電波を受けて起電し続け、RFIDタグ10はRFIDタグ10に記憶された紙管ロール400を特定する識別情報を含む電波を出射し続ける。これにより、RFIDリーダ40のアンテナ41は、紙管ロール400を特定する識別情報を含む電波を受信し続ける。
【0055】
上述した状況において、紙管ロール検知装置100は、図3に示すように動作する。すなわち、RFIDリーダ40が、第1の固定RFIDタグ21を特定する識別情報を含む電波の受信が途切れたこと又は第2の固定RFIDタグ22を特定する識別情報を含む電波の受信が途切れたことを、判定部60が検出する(ステップ1(S1))。
【0056】
続いて、RFIDリーダ40が、第2の固定RFIDタグ22を特定する識別情報を含む電波の受信が途切れたこと又は第1の固定RFIDタグ21を特定する識別情報を含む電波の受信が途切れたことを、判定部60が検出する(S2)。なお、ステップ1(S1)の処理とステップ2(S2)の処理は、分けないで、第1の固定RFIDタグ21からの受信の途切れの検出と第2の固定RFIDタグ22からの受信の途切れの検出とを、1つの処理のステップとして行ってもよい。
【0057】
判定部60は、第1の固定RFIDタグ21を特定する識別情報を含む電波の受信が途切れたタイミングと、第2の固定RFIDタグ22を特定する識別情報を含む電波の受信が途切れたタイミングとの、時系列における前後関係に基づいて、搬送部材30が移動した方向が順方向Xであるか、又は反対方向-Xであるかを求め、紙管ロール400の搬送方向を特定する(S3)。
【0058】
判定部60は、RFIDリーダ40による第1の固定RFIDタグ21からの電波の受信の途切れとRFIDリーダ40による第2の固定RFIDタグ22からの電波の受信の途切れとの間の期間及びその期間の前後の予め設定した所定の期間において、RFIDリーダ40による紙管ロール400に設けられたRFIDタグ10から出力された識別情報を含む電波を受信したとき(S4においてYES)は、その識別情報を有する紙管ロール400が、溝500の第1位置P1と第2位置P2との間の区間を通過したことを、紙管ロール400の識別情報を、ステップ3(S3)で特定した搬送方向と対応付けて、記録装置50は、この対応付けられた情報を記録し(S5)、処理を終了する。
【0059】
一方、RFIDリーダ40による第1の固定RFIDタグ21からの電波の受信の途切れとRFIDリーダ40による第2の固定RFIDタグ22からの電波の受信の途切れとの間の期間及びその期間の前後の予め設定した所定の期間において、RFIDリーダ40による紙管ロール400に設けられたRFIDタグ10から出力された識別情報を含む電波を受信しなかったと、判定部60が判定したとき(S4においてNO)は、判定部60は、紙管ロール400が第1位置P1と第2位置P2との間の区間を通過したことの検知が漏れた(検知漏れ)と判定する(S6)。
【0060】
そして、判定部60が紙管ロール400の通過の検知漏れを判定したとき(S6)は、報知部70は、検知漏れが生じたことを、音や光等で紙管ロール400の周囲の作業スタッフに報知する(S7)。
【0061】
また、RFIDリーダ40による第1の固定RFIDタグ21からの電波の受信の途切れとRFIDリーダ40による第2の固定RFIDタグ22からの電波の受信の途切れとの間の期間及びその期間の前後の予め設定した所定の期間において、RFIDリーダ40による紙管ロール400に設けられたRFIDタグ10から出力された識別情報を含む電波を受信しなかったと、判定部60が判定したとき(S4においてNO)は、判定部60は、紙管ロール400の識別情報を空白としたうえで、その空白の識別情報に搬送方向と対応付け、記録装置50はこの対応付けられた情報を仮に記録する(S8)。
【0062】
その後、ステップ7(S7)の報知処理により、紙管ロール400の通過の検知漏れを認識した作業スタッフが、検知漏れとなった紙管ロール400を探して、その紙管ロール400に貼付されたRFIDタグ10に記載された識別情報が、入力部80に入力されるのを待つ(S9においてNO)。
【0063】
入力部80に、検知漏れとなった紙管ロール400の識別情報が入力されると(S9においてYES)、記録装置50は、空白の識別情報を、入力部80に入力された識別情報に書き換え、入力された識別情報に搬送方向を対応付けして記録し(S10)、処理を終了する。
【0064】
以上、詳細に説明したように、本実施形態の紙管ロール検知装置100は、紙管ロール400のRFIDタグ10に記憶された識別情報を読み取るために設けられたRFIDリーダ40を用いて、第1の固定RFIDタグ21に記憶された識別情報及び第2の固定RFIDタグ22に記憶された識別情報を読み取る。つまり、紙管ロール検知装置100は、RFIDリーダ40が、紙管ロール400のRFIDタグ10に記憶された識別情報を読み取ることに加えて、第1の固定RFIDタグ21に記憶された識別情報及び第2の固定RFIDタグ22に記憶された識別情報をも読み取る。
【0065】
したがって、本実施形態の紙管ロール検知装置100は、第1の固定RFIDタグ21に記憶された識別情報及び第2の固定RFIDタグ22に記憶された識別情報を読み取るための専用のRFIDリーダを新たに設ける必要が無い。これにより、本実施形態の紙管ロール検知装置100は、簡易な構成によりコストを低く抑えて、紙管ロール400の搬送方向を検出することができる。
【0066】
また、本発明が適用されない紙管ロール検知装置は、RFIDリーダによる、紙管ロールに設けられたRFIDタグに記憶された識別情報の読み取りの漏れ(通過の検知漏れ)が生じることがある。そして、このような紙管ロールの通過の検知漏れが生じると、紙管ロールの通過の検知漏れとなるため、紙管ロールを用いて段ボールを生産する生産工程においては、紙管ロールの使用状況と段ボールシートの生産実績等に齟齬が生じるおそれがある。
【0067】
しかし、本実施形態の紙管ロール検知装置100は、紙管ロール400が第1位置P1と第2位置P2との間の区間を通過する際に、その通過の検知漏れが生じた場合に、検知漏れが生じたことを素早く検出することができる。したがって、紙管ロール検知装置100は、記録装置50に、空白の識別情報が一時的に記録されても、検知漏れが報知されることで、作業スタッフが、検知漏れとなった紙管ロール400に貼付されたRFIDタグ10に記載された識別情報を、入力部80に入力することで、紙管ロール400の通過の検知漏れが解消され、その後の紙管ロール400の管理に支障を生じたり、また、紙管ロール400の使用に基づく製品(例えば、段ボールシート)の生産実績との齟齬が生じたりするのを防止することができる。
【0068】
上述した本発明に係る物品検知装置の実施形態は、搬送方向を特定する対象の物品として、また、検知漏れを防ぐ対象の物品として、紙管ロール400を適用したが、本発明に係る物品検知装置は、物品として紙管ロール400を検知対象としたものに限定されず、RFIDタグが設けられるあらゆる物品を対象とすることができる。
【0069】
<管理システム>
本実施形態の紙管ロール検知装置100は、紙管ロール400が段ボールシートを製造するコルゲートマシンに搬送される生産ラインに設置されたスタンドアローンの装置として説明した。しかし、本発明に係る物品検知装置は、物品の入庫から、使用、保管といった、物品の管理システムに、ネットワークで接続されたものであってもよい。
【0070】
図4は紙管ロール400の管理システム600を示す模式図、図5は管理システム600で使用されるデータベース202に記録された情報の一例を示す図である。図示の紙管ロール400の管理システム600は、本発明に係る物品の管理システムの一実施形態である。
【0071】
管理システム600は、図4に示すように、バーコードリーダ610と、RFIDラベル発行機620と、管理サーバ200と、在庫管理用のRFIDリーダ630と、残量検出装置640と、紙管ロール検知装置100と、を備えている。
【0072】
紙管ロール400には、この管理システム600で管理される以前において、紙管ロール400を特定する固有のバーコードが記載されたバーコードラベル410が貼付されている。
【0073】
バーコードリーダ610は、紙管ロール400がこの管理システム600に入庫した際に、バーコードラベル410に記載されたバーコードを光学的に読み取る。バーコードリーダ610には、バーコードに対応する、紙管ロール400として巻かれた紙の種別や寸法などの仕様に関する情報(仕様情報)が、参照テーブルとして記憶されていて、バーコードを読み取ることで、そのバーコードに対応した仕様情報を取得する。
【0074】
なお、この参照テーブルは、バーコードリーダ610自体が記憶していなくてもよく、バーコードリーダ610が、参照テーブルが記憶されたサーバにセットワークを介して接続することで、仕様情報を取得してもよい。
【0075】
また、バーコードリーダ610は、読み取ったバーコードと取得した仕様情報をRFIDラベル発行機620に入力する。RFIDラベル発行機620は、入力されたバーコードに対応する固有の識別情報が記録されたRFIDタグ10を発行する。また、RFIDラベル発行機620は、入力された仕様情報及び紙管ロール400が入庫した日付の情報(初回入庫日)を、発行したRFIDタグ10に記録された固有の識別情報に対応付けて、管理サーバ200に出力する。RFIDラベル発行機620によって発行されたRFIDタグ10は、作業スタッフにより、紙管ロール400の芯材に貼付される。
【0076】
管理サーバ200は、データベース202と、更新部201と、を備えている。データベース202は、RFIDラベル発行機620により発行されたRFIDタグ10に記録された固有の識別情報(ID)に、紙管ロール400の仕様情報、入庫日、使用日、使用後の残量(長さ)、保管区域及び生産ラインにおける通過情報等を対応付けて記憶している。更新部201は、データベース202への登録、更新を行う。更新部201は、最初に、紙管ロール400の識別情報に、仕様情報及び初回入庫日を対応付けて、データベース202に登録する。
【0077】
紙管ロール400は、コルゲートマシンにセットされて使用されるまでは、倉庫(図4において破線で示した領域)の所定の区域の所定の位置に、在庫として保管される。倉庫に設けられた在庫管理用のRFIDリーダ630は、倉庫保管された紙管ロール400のRFIDタグ10の識別情報を読み取る。これにより、紙管ロール400は、倉庫における保管区域と、保管区域内でのより詳細な保管位置が特定される。そして、RFIDリーダ630は、紙管ロール400の識別情報に、紙管ロール400の保管区域及び保管位置を対応付けて、管理サーバ200に送信する。
【0078】
RFIDリーダ630から管理サーバ200に上述した情報が送信されると、更新部201が、送信された紙管ロール400の識別情報に一致するデータベース202の識別情報に、送信された識別情報に対応づけられた保管区域及び保管位置を、対応付けて記録する。
【0079】
紙管ロール400は、倉庫から搬出されて、生産ラインにおいて、コルゲートマシンにセットして使用されるが、コルゲートマシンにセットされる所定のセット位置までは、前述した搬送部材30に載せられた状態で、溝500に沿って順方向Xに搬送される。一方、コルゲートマシンから取り外されて、倉庫に在庫として保管される際は、コルゲートマシンにセットされた所定のセット位置から、搬送部材30に載せられた状態で、溝500に沿って反対方向-Xに搬送される。
【0080】
この溝500に沿った紙管ロール400の搬送方向及び通過の検知は、上述した紙管ロール検知装置100によって行われる。そして、紙管ロール検知装置100は、記録装置50に記録された、紙管ロール400の識別情報に対応付けられた搬送方向を、管理サーバ200に送信する。
【0081】
管理サーバ200は、紙管ロール検知装置100から上述した情報が送信されると、更新部201が、送信された紙管ロール400の識別情報に一致するデータベース202の識別情報に、送信された識別情報に対応付けられた搬送方向に基づく使用履歴を、対応付けて記録する。
【0082】
ここで、搬送方向に基づく使用履歴は、例えば搬送方向が、コルゲートマシンに向かう順方向Xである場合は、紙管ロール400はコルゲートマシンにセットされている状態であるため、「使用中」となる。一方、例えば搬送方向が、コルゲートマシンから倉庫に戻される反対方向-Xである場合は、紙管ロール400はコルゲートマシンから外されている状態であるため、「使用終了」という使用履歴となる。
【0083】
このように、データベース202に記録された使用履歴は、コルゲートマシンによって生産された段ボールシートの生産実績と照合されて、紙管ロール400の在庫管理に役立てられる。
【0084】
紙管ロール400は、コルゲートマシンにセットして使用された後に、在庫として再度、倉庫に保管されるが、紙管ロール400ごとに、紙の残量長さが管理されている。残量検出装置640は、この紙管ロール400における紙の残量長さを検出するものである。残量検出装置640は、RFIDリーダとセンサと出力部とを備えている。
【0085】
残量検出装置640は、例えば、コルゲートマシンにおける、紙管ロール400のセット位置の近傍に配置されている。RFIDリーダは、コルゲートマシンのセット位置に配置された紙管ロール400のRFIDタグ10に記録された識別情報を読み取る。センサは、コルゲートマシンで使用された後の紙管ロール400に、例えばレーザ光を照射して紙管ロール400の直径又は半径を検出し、この直径又は半径に基づいて、紙管ロール400の紙の残量長さを算出する。出力部は、RFIDリーダで読み取られた紙管ロール400の識別情報に、センサで算出された紙管ロール400の紙の残量長さを対応付けて、管理サーバ200に送信する。
【0086】
管理サーバ200は、残量検出装置640から情報が送信されると、更新部201が、送信された紙管ロール400の識別情報に一致するデータベース202の識別情報に、送信された識別情報に対応付けられた残量長さを、対応付けて記録する。
【0087】
以上のように構成された紙管ロール400の管理システム600は、紙管ロール400が第1位置P1と第2位置P2との間の区間を通過する際に、その通過の検知漏れが生じた場合に、紙管ロール検知装置100により、検知漏れが生じたことを素早く検出することができる。したがって、紙管ロール400の管理システム600は、管理システム600のデータベース202に、紙管ロール400の正確な使用履歴を記録することができる。これにより、紙管ロール400の管理システム600は、コルゲートマシンによる生産実績と照合した際にも、齟齬が生じるのを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0088】
10 RFIDタグ
21 第1の固定RFIDタグ
22 第2の固定RFIDタグ
30 搬送部材
40 RFIDリーダ
41 アンテナ
50 記録装置
60 判定部
70 報知部
80 入力部
100 紙管ロール検知装置
400 紙管ロール
500 溝
P1 第1位置
P2 第2位置
X 順方向
-X 反対方向
図1
図2
図3
図4
図5