(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050296
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】大麦緑葉粉末の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20240403BHJP
【FI】
A23L7/10 H
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157095
(22)【出願日】2022-09-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-13
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小出 学
【テーマコード(参考)】
4B023
【Fターム(参考)】
4B023LE26
4B023LG05
4B023LP08
4B023LP14
4B023LP20
4B023LT53
4B023LT60
4B023LT64
(57)【要約】
【課題】得られる大麦緑葉粉末の品質を維持しながら流量を増大させることが可能な大麦緑葉粉末の製造方法の提供。
【解決手段】本発明は、大麦の緑葉を裁断する工程と、裁断後の大麦の緑葉をブランチングする工程と、ブランチング後の大麦の緑葉を乾燥及び粉砕する工程とを備えた大麦緑葉粉末の製造方法である。本発明の製造方法は、大麦の緑葉を裁断する工程を、特定の切断装置によって行うことが好ましい。特定の切断装置は、複数個のブレードを円周方向に沿って配列したディスクを当該ディスクの中心軸方向に所定間隔で並設した回転カッタが互いに平行な2本の回転軸のそれぞれに設けられ、一方の回転カッタにおけるディスクが他方の回転カッタにおける隣り合うディスクの間に位置するように両回転カッタが配置され、両回転カッタ間に大麦の緑葉を引き込んで、両回転カッタによる剪断によって大麦の緑葉の切断処理を行うことが好ましい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大麦の緑葉を裁断する工程と、裁断後の大麦の緑葉をブランチングする工程と、ブランチング後の大麦の緑葉を乾燥及び粉砕する工程とを備えた大麦緑葉粉末の製造方法であって、
大麦の緑葉を裁断する工程を、複数個のブレードを円周方向に沿って配列したディスクを当該ディスクの中心軸方向に所定間隔で並設した回転カッタが互いに平行な2本の回転軸のそれぞれに設けられ、一方の前記回転カッタにおける前記ディスクが他方の前記回転カッタにおける隣り合う前記ディスクの間に位置するように両回転カッタが配置された切断装置によって行い、前記両回転カッタ間に大麦の緑葉を引き込んで、前記両回転カッタによる剪断によって大麦の緑葉の切断処理を行う、大麦緑葉粉末の製造方法。
【請求項2】
前記ブレードの刃先縁は、前記回転軸の軸方向に対して斜めに形成されている、請求項1に記載の大麦緑葉粉末の製造方法。
【請求項3】
前記ブレードは、前記回転軸の回転方向に対して第1傾斜角度で傾斜する第1刃面と、前記回転方向に対して第1傾斜角度よりも小さい第2傾斜角度で傾斜する第2刃面とを有し、
前記ブレードの刃先縁は、前記第1刃面と前記第2刃面との間に形成されている、請求項2に記載の大麦緑葉粉末の製造方法。
【請求項4】
前記回転軸の軸方向における前記ディスクの厚さが、10~35mmである、請求項1~3の何れか1項に記載の大麦緑葉粉末の製造方法。
【請求項5】
前記回転軸の軸方向における前記ブレードの間隔が、10~35mmである、請求項1~3の何れか1項に記載の大麦緑葉粉末の製造方法。
【請求項6】
ブランチング後の大麦の緑葉を乾燥及び粉砕する工程における粉砕を、ジェットミルで行う、請求項1~3の何れか1項に記載の大麦緑葉粉末の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大麦緑葉粉末の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大麦などの緑色植物の緑色の葉は、ビタミン類、ミネラル類、食物繊維などに富み、更に種々の機能を期待して、健康食品の素材として注目を浴びている。緑葉は、粉末化を経由して、粉末状そのまま又は顆粒状や錠剤状などの固状形態に加えて、用時調製的に液状形態で提供される。
【0003】
これまでに、大麦緑葉の粉末の製造方法として複数の製造方法が知られている(特許文献1~5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-065204号公報
【特許文献2】特開2003-033151号公報
【特許文献3】特開2004-000210号公報
【特許文献4】特開2016-059380号公報
【特許文献5】特開2021-136989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の各製造方法では、大麦緑葉を収穫後、カッター等で切断する前処理後、ブランチングし、次いで乾燥及び粉砕する流れを行っている。このような大麦緑葉の製造方法では、前記の切断の前処理が律速となる。このため従来と同等の品質を得ながら大麦緑葉粉末の流量を増大させる前処理方法が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、流量を改善大麦の緑葉を裁断する工程と、裁断後の大麦の緑葉をブランチングする工程と、ブランチング後の大麦の緑葉を乾燥及び粉砕する工程とを備えた大麦緑葉粉末の製造方法であって、
大麦の緑葉を裁断する工程を、特定の切断装置を用いて行う、大麦緑葉粉末の製造方法を提供する。
【0007】
具体的には、本発明の概要は以下の通りである。
<1>大麦の緑葉を裁断する工程と、裁断後の大麦の緑葉をブランチングする工程と、ブランチング後の大麦の緑葉を乾燥及び粉砕する工程とを備えた大麦緑葉粉末の製造方法であって、
大麦の緑葉を裁断する工程を、複数個のブレードを円周方向に沿って配列したディスクを当該ディスクの中心軸方向に所定間隔で並設した回転カッタが互いに平行な2本の回転軸のそれぞれに設けられ、一方の前記回転カッタにおける前記ディスクが他方の前記回転カッタにおける隣り合う前記ディスクの間に位置するように両回転カッタが配置された切断装置によって行い、前記両回転カッタ間に大麦の緑葉を引き込んで、前記両回転カッタによる剪断によって大麦の緑葉の切断処理を行う、大麦緑葉粉末の製造方法。
<2>前記ブレードの刃先縁は、前記回転軸の軸方向に対して斜めに形成されている、<1>に記載の大麦緑葉粉末の製造方法。
<3>前記ブレードは、前記回転軸の回転方向に対して第1傾斜角度で傾斜する第1刃面と、前記回転方向に対して第1傾斜角度よりも小さい第2傾斜角度で傾斜する第2刃面とを有し、
前記ブレードの刃先縁は、前記第1刃面と前記第2刃面との間に形成されている、<2>に記載の大麦緑葉粉末の製造方法。
<4>前記回転軸の軸方向における前記ディスクの厚さが、10~35mmである、<1>~<3>の何れか1に記載の大麦緑葉粉末の製造方法。
<5>前記回転軸の軸方向における前記ブレードの間隔が、10~35mmである、<1>~<3>の何れか1に記載の大麦緑葉粉末の製造方法。
<6>ブランチング後の大麦の緑葉を乾燥及び粉砕する工程における粉砕を、ジェットミルで行う、<1>~<3>の何れか1に記載の大麦緑葉粉末の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、得られる大麦緑葉粉末の品質を維持しながら流量を増大させることができる大麦緑葉粉末の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明に係る大麦緑葉粉末の製造方法を説明するための概要図である。
【
図2】
図2は、
図1の製造方法において用いられる切断装置の一実施形態を示す平面模式図である。
【
図5】
図5は、回転カッタの側面形状を模式的に表す側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、
図1に示すように、大麦の緑葉(以下、「大麦緑葉」という)を裁断する裁断工程と、裁断後の大麦緑葉をブランチング及び脱水するブランチング・脱水工程と、ブランチング及び脱水後の大麦緑葉を乾燥及び粉砕する乾燥・粉砕工程とを備えた大麦緑葉粉末の製造方法であって、
大麦の緑葉を裁断する裁断工程を、特定の切断装置を用いるものである。この特定の切断装置(切断装置1)については後述する。
【0012】
本発明で得られる大麦緑葉粉末の原料となる大麦は、二条大麦、六条大麦、裸大麦などを特に限定なく使用でき、これらを1種のみ使用してもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。大麦緑葉は、植物体の葉の部分だけではなく、葉とともに茎その他の部分を含んでもよい。
【0013】
大麦緑葉は何れの収穫時期に収穫されたものであってもよく、特に限定されないが、例えば、成熟期前、すなわち、分けつ開始期から出穂開始前期に収穫されたものであることが好ましい。具体的には、品種の違いによっても異なるが、一般に、背丈が10cm以上、好ましくは10~90cm程度、特に好ましくは20~80cm程度、とりわけ30~70cm程度である大麦から、緑葉を収穫することが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0014】
大麦は、収穫後、直ちに粉末化することが好ましい。粉末化までに時間を要する場合、緑葉の変質を防ぐために低温貯蔵などの当業者が通常用いる貯蔵手段により貯蔵することが好ましい。
【0015】
大麦緑葉の切断装置について以下説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る切断装置1は、上記した裁断工程で用いられる装置であり、搬送装置B1によって大麦緑葉が連続的に供給されるように構成されている。なお、搬送装置B1としては、例えば、ベルトコンベア、トップチェーンコンベア、ローラコンベア、直動式の搬送システムを用いることが可能である。
【0016】
(切断装置1の構成)
切断装置1は、
図2~
図4に示すように、機枠部10と、一対の回転カッタ20a,20bと、駆動部30とを含んで構成されている。
【0017】
(機枠部10)
機枠部10は、アルミやステンレス等の金属製部材からなり、ホッパ部11と、ホッパ部11の底部に接続される本体部12と、本体部12の底部に接続されるシュート部15(
図3参照)とを備えている。
ホッパ部11は、大麦緑葉を本体部12に導入するための部材であり、当該大麦緑葉を切断装置1に投入する投入口として機能する。ホッパ部11は、
図2に示すように、平面視矩形に形成され、上端開口11aと下端開口11bとを有している。
図3に示すように、ホッパ部11は側面視において、下方に向かうにつれて漸次的に幅が小さくなる形状をしている。ホッパ部11の形状は逆四角錐状ともいえる。このようなホッバ部の下方に回転カッタを配する構造を有することにより、切断装置1は吸い込むように大麦緑葉を受け入れ、切断処理することができる。
【0018】
本体部12は、
図2~
図4に示すように、回転カッタ20a,20bの各々に取り付けられる回転軸40a,40bを回転自在に支持し、当該回転カッタ20a,20bにより細断された大麦緑葉を、シュート部15に導出するための部材である。
回転カッタ20a,20bや回転軸40a,40bについての説明は後述する。
なお、回転カッタ20a,20bは、同一の構成を有しているため、以下において、説明の便宜上、必要がない場合を除き、これらを総称して「回転カッタ20」ともいう。また、回転軸40a,40bにおいても、略同一の構成を有しているため、必要がない場合を除き、これらを総称して「回転軸40」ともいうこととする。
【0019】
本体部12は、中空略長方体形状を有し、本体部12の短辺側の両側壁部12A,12Bのうち、一方の側壁部12Aに、駆動部30が取り付けられている。以下においては、説明の便宜上、
図2及び
図3における、右側の側壁部を右側側壁部12A、左側の側壁部を左側側壁部12Bという。
【0020】
一方の回転軸40aは、一端側が駆動部30に直結される一方、他端側がベアリング等の支持部材(図示省略)を介して左側側壁部12Bに回転自在に支持されている。
回転軸40aの他端部は、左側側壁部12Bから突出して配置され、この部分に、後述する平歯車41bと噛合する平歯車41aが外挿固定されている(
図2参照)。
【0021】
他方の回転軸40bは、回転軸40aと水平方向に所定の間隔を空けた状態で平行に配置され、一端と他端とが、それぞれ、ベアリング等の支持部材を介して、右側側壁部12Aと左側側壁部12Bとに回転自在に支持されている。
回転軸40bは、回転軸40aと同様に、一端側に、回転カッタ20bが取り付けられ、他端側に、平歯車41bが外挿固定されている。
【0022】
本実施形態では、駆動部30の駆動によって回転軸40aが回転され、その駆動力が平歯車41aに噛合する平歯車41bに伝達されるように構成されている。これにより、回転軸40a,40bを、同時且つ反対方向に回転させることが可能になっている。
具体的に、本実施形態では、回転軸40a,40bが、断面視において、互いに、
図5(a)に示す方向(以下、「回転方向R」と称す)に対向回転するように構成される。回転方向Rに回転させることで、ホッバ部における大麦緑葉を引き込みながら切断する処理が可能となる。なお、平歯車41a,41bの外径は、同一であってもよく、また、異なっていても構わない。例えば、平歯車41bの外径を、平歯車41aの外径よりも小さくすることで、回転軸40bの回転速度を回転軸40aのそれよりも高速化することが可能になる。
【0023】
本体部12は、右側側壁部12Aと左側側壁部12Bとの間に、中間壁部13が設けられ、左側側壁部12Bの外方側の面に、平歯車41a,41bを覆うカバー部材16が取り付けられている。
中間壁部13は、長辺側の側壁部12C,12Dの間に跨るように固着され、右側側壁部12A及び左側側壁部12Bと対向するように配置される。本実施形態では、左側側壁部12B、両側壁部12C,12D及び中間壁部13によって区画される空間Sに、一対の回転カッタ20,20が配置される構成となっている(
図2及び
図3参照)。
【0024】
本体部12の上壁部12E及び下壁部12Fには、空間Sと対応する位置に、それぞれ、上端開口12a及び下端開口12bが形成されている(
図3参照)。
上端開口12a及び下端開口12bは、矩形状に形成され、ホッパ部11の下端開口11b、後述するシュート部15の上端開口15a及び下端開口15bと略同一の開口形状を有している。ホッパ部11及び本体部12は、下端開口11bと上端開口12aとを整合させた状態で、ボルト締めや溶接等をすることにより接合されている。これにより、ホッパ部11から投入された大麦緑葉を、一対の回転カッタ20,20が配置される空間Sに導入することが可能になっている。
【0025】
長辺側の側壁部12C,12Dにおける内面側の上端部には、それぞれ、下方に向けて傾斜するガイド板14,14が取り付けられている(
図2及び
図4参照)。
ガイド板14は、上端部側が直線状に形成される一方、下端部側が櫛歯状(連続する凹凸状)に形成されている。詳しくは後述するが、回転カッタ20は、回転軸40の軸方向Xに沿って、ブレード22が設けられた円板状のディスク21と、ディスク21よりも小径のカラー26とが交互に並んで設けられており、平面視における径方向端部の形状が、櫛歯状(凹凸状)となっている(
図2及び
図4参照)。
【0026】
ガイド板14の下端部は、その櫛歯形状が、凸部の幅がカラー26の幅よりも小さく形成される一方、凹部の幅がディスク21の幅よりも大きく形成される。このような形状を有するガイド板14,14は、本体部12に取り付けた状態で、回転カッタ20の径方向外側の端部と僅かな隙間を空けつつ嵌り合うようにして配置される(
図2及び
図4参照)。これにより、本実施形態では、ホッパ部11から投入された大麦を、一対の回転カッタ20,20の周囲から零れ落ちることなく、当該回転カッタ20,20上に集積させることが可能になっている。
【0027】
シュート部15は、本体部12で裁断された大麦の緑葉を、切断装置1の外部に排出するための部材である(
図3参照)。
シュート部15は、長方体状に形成され、本体部12の下端開口12bと略同一形状の上端開口15aと、上端開口に連通する下端開口15bとを有している。
シュート部15は、上端開口15aを本体部12の下端開口12bに整合させた状態で、当該本体部12の下部にボルト締めや溶接等することにより接続される。これにより、本体部12で裁断された大麦の緑葉を、下端開口15bを介して良好に排出させることが可能になっている。
【0028】
(回転カッタ20)
次に、回転カッタ20について
図2~
図5を参照しつつ説明する。
回転カッタ20は、
図2~
図5に示すように、アルミやステンレス等の金属製部材からなり、略円板状の複数のディスク21と、当該ディスク21よりも小径の複数のカラー26とを有している。
ディスク21及びカラー26は、同心上で交互に密着した状態で回転軸40に固着されている。ディスク21及びカラー26の底面22cは回転軸40に対して垂直な面となるように形成されているとともに、回転カッタ20a、20bにおけるそれぞれのディスク21やカラー26は、ディスク21同士、またはディスク21とカラー同士26のスライドにより大麦緑葉を切断できるように、底面と側面との角部が鋭利に形成されている。
【0029】
ディスク21の外周面には、
図5(a)に示すように、同一の刃丈L1を有する複数のブレード(切断刃)22が、周方向に沿って等間隔に形成されている。なお、
図5(a)及び(b)では、回転カッタ20の側面形状の理解を容易にするため、ブレードの数を「6」にしたが、「5」以下にしてもよく、また、「7」以上にすることも可能である。
【0030】
ブレード22は、回転軸40の回転方向Rに対して第1傾斜角度θ1で傾斜する第1刃面22Aと、当該回転方向Rに対して第1傾斜角度θ1よりも小さい第2傾斜角度θ2で傾斜する第2刃面22Bとを有し、第1刃面22Aと第2刃面22Bとの間に刃先縁22aが形成される構成となっている(
図5(b)参照)。
すなわち、本実施形態では、ブレード22がこのような形状を有しているため、一対の回転カッタ20,20上に載積される大麦緑葉を、刃先縁20aでひっかけて第1刃面22Aで効率良く捕集した後、刃先縁20aで切断したり、回転カッタ20a、20bにおけるそれぞれのディスク21間のスライドにより大麦緑葉を切断することが可能である。その結果、大麦緑葉の裁断効率を向上させることできる。なお、第1刃面22A及び第2刃面22Bは、
図5(a)及び(b)に示すような連続面(滑らかに繋がった湾曲面)が形成されるように接続する場合に限られず、例えば、角部が形成されるように接続しても構わない。
【0031】
ディスク21及びカラー26は、何れも、軸方向Xにおける幅寸法が略同一の大きさに形成されている(
図2~
図4参照)。
回転カッタ20a,20bは、一方の回転カッタ20(例えば、回転カッタ20a)におけるディスク21と、他方の回転カッタ20(例えば、回転カッタ20b)におけるカラー26とが対向配置され、互いに篏合した状態で、それぞれ、回転軸40a,40bに固着されている。
【0032】
回転軸40a及び回転軸40bの軸心間の距離は、ブレード22の刃先円の半径L3(刃丈L1及びディスク21の半径L2の合計値)と、カラー26の半径L4とを総和した値と同一又は当該値よりも若干小さい値に設定されている(
図5(a)参照)。すなわち、本実施形態では、回転軸40の回転に伴って、一方の回転カッタ20(例えば、回転カッタ20a)の刃先縁22aが、他方の回転カッタ20(例えば、回転カッタ20b)のカラー26の外周面に外接するか又は僅かな隙間を空けた状態で位置するように構成されている。
【0033】
本実施形態では、
図2~
図4に示すように、軸方向Xに間隔を空けて配置される複数の刃先縁22aが、平面視において、それぞれ、互いの延長線上に位置するように並設されていることが好ましい。換言すれば、本実施形態では、(1)刃先縁22aが、回転軸40の軸方向Xに対して傾斜して形成されると共に、(2)軸方向Xに隣接するブレード22の位相が、回転方向Rに沿って、少しずつずれる配置構造となっていることが好ましい。
【0034】
すなわち、本実施形態では、刃先縁22aが、上記(1)のような構成を有することにより、切断対象である緑葉と刃先の間に隙間を作り、刃の上に溜まる水分を、その隙間から下に逃がすことで、水分が多い場合でも緑葉を良好に噛み込むことが容易となる。
図4に示すように、軸方向に対して垂直な方向から回転カッタ20を見たときに、刃先縁22aとディスクの底面22cがなす角度θxは50°~70°であることが大麦緑葉の取り込み効率、切断効率を高めることができる点で好ましく、55°~65°であることが特に好ましい。
【0035】
さらに、本実施形態では、上記(2)のような構成を有しているため、一方の回転カッタ20(例えば、回転カッタ20a)の刃先縁22aが、他方の回転カッタ20(例えば、回転カッタ20b)のカラー26に、同じタイミングで接近することを防止することが可能である。その結果、回転軸40に作用する負荷(応力)を分散させることができるので、回転カッタ20や回転軸40の破損・損傷等を確実に抑制することが可能になる。
【0036】
(駆動部30)
本実施形態に係る駆動部30は、
図2及び
図3に示すように、例えば、電気的に回転駆動する電動モータからなり、回転軸40aが直結されている。
本実施形態では、上記したように、駆動部30を駆動することによって、平歯車41aが固定される回転軸40aが回転され、その回転力が、当該平歯車41aに噛合する平歯車41bを介して回転軸40bに伝達されるように構成される。これにより、回転カッタ20a,20bを、
図5(a)に示すように、互いに反対の方向で、且つ、投下された大麦緑葉を引き込む方向(内向き)に回転させることが可能になっている(
図5(a)の「回転方向R」参照)。
【0037】
(切断装置1の動作)
次に、切断装置1の動作について
図1~
図4を参照しつつ説明する。
本実施形態では、大麦緑葉を切断装置1のホッパ部11に投入することによって、裁断工程(
図1参照)が行われるように構成される。
大麦緑葉をホッパ部11に投入すると、当該大麦緑葉は、当該ホッパ部11の内面により案内され、本体部12の上端開口12aを介して、回転する回転カッタ20上に載積されるようになっている。
【0038】
ホッパ部11を介して回転カッタ20上に載積された大麦緑葉は、一対の回転カッタ20の周面に案内され、両者の間に引きずり込まれていく。例えば一方の回転カッタ20(例えば20a)における一方のブレード22の刃先縁22aと、他方の回転カッタ20(例えば20b)における軸尾方向Xにて隣接するブレード22の刃先縁22aが大麦緑葉をひっかける形で両ロールの間に案内する。
このようにして一対の回転カッタ20間に案内された大麦緑葉は、例えば、一方の回転カッタ20におけるディスク21と、他方の回転カッタ20におけるディスク21の軸方向Xに垂直な端面22c同士が互いにスライドすることでハサミの機能を果たし、両者間に位置する大麦緑葉をせんだん力や摺り切りによって切断される。
また、例えば、大麦緑葉が一対のブレード22,22間に亘って存在する状態下で、一対のブレード22,22間に他方の回転カッタ20における第1刃面22A(刃先縁22a)が入り込むことで、引き切られて切断される場合もある。また、一方の回転カッタ20におけるディスク21のブレード22と他方の回転カッタ20のカラー26との引き切り作用によっても切断される。
【0039】
その後、このようにして段階的に細断された大麦緑葉は、一対の回転カッタ20,20の回転に伴って、本体部12の下端開口12b及びシュート部15を介して切断装置1の外部に導出(排出)されるようになっている。
【0040】
このように、本実施形態では、一対の回転カッタ20,20の各々に設けられた複数のブレード22によって、大麦緑葉を効率良く細断することができるので、当該細断された大麦緑葉の生産性(流量)を格段に向上させることが可能である。
【0041】
また後述する比較例に示すように、例えば垂直切断式のように包丁の刃の動きのような、垂直に刃を下すことで切断する場合に比して、本実施形態において、大麦の緑葉は、上記したように、主として、剪断力による押し切り作用や擦り切り作用、引き切り等によって細断化される構成となっている。
また、このような押し切り作用や擦り切り作用、引き切り作用にも関わらず、本実施形態では、垂直切断式と同等の品質が得られる。
【0042】
本実施形態は、大麦緑葉に対して切断機構が多いため、個体によっては繊維が強くて切断しにくい等の影響を低減し、安定して処理量の高い切断を行うことが可能である点でも優れている。また本実施形態では収穫後、ブランチング処理にて十分に大麦緑葉を均一に所定温度に加熱できるサイズに切断するまでの時間を短縮できるので、収穫からブランチング処理までの前処理時間を短縮でき、これにより得られる粉末品質の安定化の効果も得られる。
【0043】
切断装置1に供する大麦緑葉の長さは、品質を維持しながら流量を向上させる点から、20~80cmの範囲内であることが好ましく、30~60cmであることが好ましい。
【0044】
切断装置1により切断された大麦緑葉の長さは、品質を維持しながら流量を向上させる点から、2~10cmの範囲内であることが好ましく、3~8cmの範囲内であることがより好ましく、3~7cmが特に好ましい。
【0045】
本明細書でいう大麦緑葉の長さは任意に20点選択した平均の長さであればよい。
【0046】
このような長さの大麦緑葉を生産する観点から、回転軸40の軸方向Xにおけるディスク21の厚さを、10~35mmの範囲内に設定することが好ましく、15~30mmの範囲内に設定することがより好ましい。
【0047】
なお、ブレード22の外周端の断面形状は、径方向外側に向けて漸次縮小するように形成することも可能である。この場合、上記した長さの大麦緑葉を生産する観点から、回転軸40の軸方向Xにおけるブレード22の間隔を、10~35mmの範囲内に設定することが好ましく、15~30mmの範囲内に設定することがより好ましい。
【0048】
ディスクの直径は例えば、品質を維持しながら流量を向上させる点から、20~30cmの範囲内であることが好ましく、22~27cmの範囲内であることがより好ましい。
【0049】
切断装置1による処理を経た大麦緑葉は、ブランチング処理に供する前に必要に応じて追加の裁断処理が施してもよい。
例えば、
図1では、切断装置1により裁断処理(排出)された大麦緑葉を、ベルトコンベア等の搬送装置B2,B3を用いて、ブランチング処理に供しているが、搬送装置B3とブランチング工程の間に、別の切断装置を設置し、当該切断装置により2段目の切断を行うことも可能である。このような別の切断装置としては、例えば、上記切断装置1と同様な装置を用いてもよく、公知の切断装置を用いることが可能である。
【0050】
ブランチング処理は大麦緑葉の緑色を鮮やかに保つための処理であり、ブランチング処理の方法としては、熱水処理や蒸煮処理などが挙げられる。
熱水処理としては、例えば、70~100℃、好ましくは80~100℃の熱水又は水蒸気中で、大麦緑葉を30~240秒間、好ましくは60~180秒間処理する方法などが挙げられる。また、熱水処理に際して、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩や炭酸水素ナトリウムなどの炭酸水素塩を用いることが好ましく、炭酸水素の塩を熱水に溶解することにより、大麦緑葉の緑色をより鮮やかにすることができる。
【0051】
蒸煮処理は、常圧又は加圧下において、大麦緑葉を水蒸気により蒸煮する処理である。蒸煮処理は、蒸煮処理と冷却する処理とを繰り返す間歇的蒸煮処理であってもよい。蒸煮処理において、水蒸気により蒸煮する処理は、例えば、30~240秒間、好ましくは60~180秒間行われる。蒸煮処理後の冷却処理は、直ちに行われることが好ましく、その方法は特に限定されないが、冷水への浸漬、冷蔵、冷風による冷却、温風による気化冷却、温風と冷風とを組み合わせた気化冷却などが用いられる。このような冷却処理は、大麦緑葉の品温が、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下、さらに好ましくは40℃以下となるように行われる。
【0052】
得られたブランチング物は、次いで必要に応じて更に裁断した後、乾燥及び粉砕工程に供する。
乾燥処理としては、茎葉の水分含量が10質量%以下、特に5質量%以下となるように乾燥する処理であることが好ましい。水分量の測定は、常圧加熱乾燥法及び赤外線水分計法の何れかの方法を用いることが好ましい。いずれか一方の方法で測定した場合に本明細書記載の上限以下となる場合であって他方の測定方法では該当しない場合も当該上限以下の水分量とみなすこととする。この乾燥処理は、例えば、熱風乾燥、高圧蒸気乾燥、電磁波乾燥、凍結乾燥などの当業者に公知の任意の方法により行われ得る。加熱による乾燥は、好ましくは40℃~140℃、より好ましくは80~130℃にて加温により茎葉が変色しない温度及び時間で行われうる。
【0053】
また、粉砕処理としては、クラッシャー、ミル、ブレンダー、石臼などを用いて当業者が通常使用する任意の方法により粉砕する処理が挙げられる。粉砕された茎葉は必要に応じて篩にかけられ、例えば、30~250メッシュを通過するものを茎葉の粉末として用いることが好ましい。粒径が250メッシュ通過のもの以下とすることで、茎葉の粉末のさらなる加工時に取り扱いやすく、粒径が30メッシュ通過以上のものとすることで、茎葉の粉末と他の素材との均一な混合が容易である。中でも本発明では、ジェットミルを用いて粉砕することが、本発明の切断手段と組み合わせることで風味及び色味の点で嗜好性が高い大麦緑葉を、収量よく首尾よく得られる点で好ましい。例えば、ジェットミルによる粉砕には高品質の緑葉粉末が得られる利点がある。ジェットミルによる粉砕時の効率化、得られる粉砕物の品質維持のため、ジェットミル粉砕に供する裁断物の粒径が比較的小さい(例えば目開き1mmの篩を通過する乾燥物等)ことが求められる。このような事情から、繊維が多くて切断しづらい大麦緑葉の前処理裁断は製造効率のネックとなっていた。本発明の切断装置は、製造時間を長くすることなく、品質を維持しながら従来よりも短い切断長を得やすく、これにより、切断装置1とジェットミルとの間に別の切断装置を用いる場合もジェットミルに供する粗粉砕物の粒径を所望のものとしやすい。この点から切断装置1と、ジェットミルと組み合わせることで品質と収率の両立の効果に優れる。
【0054】
本発明で得られる大麦緑葉粉末は、保存性や風味の良さ、色の鮮やかさ等の点から、カサ比重が1以下であることが好ましく、0.7以下であることがより好ましく、0.5以下であることが特に好ましく、0.3以下であることがとりわけ好ましい。大麦緑葉粉末のカサ比重の測定は、例えば、JISK6721に準拠し、カサ比重測定器を用いて行うことができる。
【0055】
本発明で得られる大麦緑葉粉末は、上記の通りブランチング処理前の裁断処理により得られる形状・大きさが適度であるため、ブランチング処理にて品質劣化が起こらないため、その色味や風味が良好なものである。
【0056】
飲食品に適用される場合、大麦緑葉粉末のみを含有するものであってもよく、また、その他の成分を含有しても良い。その他の成分を含有する場合、大麦緑葉粉末の含有量は、飲食品中、乾燥質量で、下限値としては、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、上限値としては、99質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましい。
【0057】
本発明により得られる大麦緑葉粉末の成人1日の摂取量は特に限定されず、大麦緑葉の種類、摂取態様や摂取者の食事内容などに応じて適宜設定され得るが、例えば、大麦緑葉粉末の質量換算で、0.1~100gであり、好ましくは1~50gである。
【0058】
本発明により得られる大麦緑葉粉末をその他の成分とともに飲食品に適用する場合、その他の成分としては、例えば、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンC、ビタミンEなどのビタミン類;ゼラチン、コラーゲンペプチド、植物由来タンパク質などのタンパク質;難消化性デキストリン、ポリデキストロースなどの水溶性食物繊維;ビートオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キシロオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖などのオリゴ糖;カルシウム、マグネシウム、鉄などのミネラル類;N-アセチルグルコサミン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸などのムコ多糖類;乳、発酵乳、脱脂粉乳などの乳製品;豆乳、豆乳粉末などの豆乳製品;レモン、リンゴ、じゃがいも、ニンジン、カボチャ、ニガウリ、トマト、グリーンピースなどの植物又は植物加工品;乳酸菌、納豆菌、酪酸菌、麹菌、酵母などの微生物などが挙げられる。さらに必要に応じて通常食品分野で用いられる、デキストリン、ブドウ糖、乳糖、ショ糖、麦芽糖(マルトース)、果糖、エリスリトール、トレハロース、マルチトール、キシリトール、でんぷんなどの糖類;ステビア、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスパルテーム、ソーマチン、還元麦芽糖などの甘味料;クエン酸、乳酸、グルコン酸、リンゴ酸などの酸味料;酸化チタンなどの着色料;アラビアガム、キサンタンガムなどの増粘剤;シェラックなどの光沢剤;タルク、二酸化ケイ素、セルロース、ステアリン酸カルシウムなどの製造用剤などを、その他の成分としてもよい。これら以外にも、種々の賦形剤、結合剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、調味料などをその他の成分として挙げることができ、これらは単独又は2種以上の組み合わせであってもよい。その他の成分の含有量は、飲食品の利用形態や本発明により得られる大麦緑葉粉末の含有量などに応じて適宜選択することができる。また、その他成分は製品中で混合しても良いし、使用時に併用しても良い。
【0059】
飲食品の形態は特に限定されず、任意の形態とすることができる。例えば、粉末状、粒状、細粒状、顆粒状、錠状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、液状、飴状、ペースト状、クリーム状、ハードカプセルやソフトカプセルのようなカプセル状、カプレット状、タブレット状、ゲル状、ゼリー状、グミ状、ウエハース状、ビスケット状、クッキー状、ケーキ状、チュアブル状、シロップ状、スティック状などの各形態が挙げられる。本発明により得られる大麦緑葉粉末を含む飲食品を水などと混合し、溶解したり懸濁させたりするなどして使用する場合は、水などへの溶解性の観点から、飲食品の形態は粉末状、粒状、細粒状、顆粒状であることが好ましく、さらに、飛び散りにくく、ダマになりにくいことから、粒状、細粒状、顆粒状であることがより好ましい。
【0060】
飲食品の摂取方法は特に限定されないが、例えば、飲食品が固形状の形態である場合、摂取する者の好みなどに応じて、固形状のまま経口摂取してもよいし、これを水などの液体と混合した液状物とし、該液状物を飲用するなどして経口摂取してもよい。
【0061】
飲食品の具体例としては、清涼飲料などの各種飲料、パン・菓子類、麺類などの各種食品、調理品などを挙げることができる。ここでいう飲料には、青汁や、青汁に果汁や野菜、乳製品等を添加してジュース、シェイク、スムージーにしたものや、清涼飲料、炭酸飲料やそれらのもとなどの形態としたものを挙げることができる。ここでいう飲料には、液体状の組成物だけでなく、固形状の組成物であって、飲用時に水などの溶媒と混合して液体状の飲料とするものが含まれる。また、パン・菓子類としては、食パン、菓子パン、フランスパン、イギリスパン、マフィン、蒸しパン、ドーナツ、ワッフルなどのパン類;バターケーキ、スポンジケーキ、シフォンケーキ、ホットケーキなどのケーキ類;シャーベット、アイスなどの冷菓;ゼリー;クッキーなどを挙げることができる。麺類としては、うどんや素麺などが挙げられる。調理品としては、カレー、シチュー、味噌汁、野菜スープなどのスープやそれらのもと、粉末調味料などを挙げることができる。
【0062】
本発明で得られる大麦緑葉粉末は色味や風味に優れる。このことから本発明で得られる大麦緑葉粉末は、飲食品の中でも、青汁用の飲食用組成物に用いることが特に好ましい。
【0063】
青汁用の飲食用組成物としては、青汁や、青汁に果汁や野菜、乳製品等を添加してジュース、シェイク、スムージーにしたり、清涼飲料、炭酸飲料やそれらのもと等の形態としたものを挙げることができる。
【0064】
青汁用の飲食用組成物は、水等の液体と混合した混合物を経口摂取する形態であると、分散性が良好であり、青臭さや青のり臭がなく、香りが良好であり、えぐみが弱く、後味が良好であり、舌触り、粉っぽさのなさ、口当たりの良さ、のど越しのよさ、ざらつきのなさに優れる効果が効果的に発揮されるために特に好ましい。また青汁用の飲食用組成物が固体の形態である場合、上述したように、これを水と混合した液状体となし、該液状体を飲用する等経口摂取することができるが、摂取する者の好み等に応じて、固体のまま経口摂取してもよい。また水だけでなく、牛乳、豆乳、果汁飲料、乳清飲料、清涼飲料、ヨーグルト、ホットケーキミックス等に添加して使用してもよい。また、栄養機能表示食品、特定保健用食品、機能性表示食品として用いても良いことは言うまでもない。
【0065】
青汁用の飲食用組成物の具体的な形態としては、例えば、飲食などの経口摂取に適した形態、具体的には、粉末状、粒状、顆粒状、錠状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、液状、飴状、ペースト状、クリーム状、ハードカプセルやソフトカプセルのようなカプセル状、カプレット状、タブレット状、ゲル状、ゼリー状、グミ状、ウエハース状、ビスケット状、クッキー状、ケーキ状、チュアブル状、シロップ状、スティック状等の各形態が挙げられる。
【0066】
青汁用の飲食用組成物は、大麦緑葉粉末以外に、その他の成分を含んでいてもよい。前記のその他の成分としては、例えば、ビタミン類、タンパク質、オリゴ糖、ミネラル類、多糖類、乳製品、植物加工品、乳酸菌、などの微生物、糖類、甘味料、クエン酸、酸味料、着色料、増粘剤、光沢剤のほか、タルク、二酸化ケイ素、セルロース、ステアリン酸カルシウム等の製造用剤等を配合することができる。その他の成分としては、これら以外にも、種々の賦形剤、結合剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、調味料などを挙げることができる。その他の成分の含有量は、飲食品の形態等に応じて適宜選択することができる。
本発明で得られる大麦緑葉粉末を青汁用の飲食用組成物に用いる場合、当該大麦緑葉粉末は、青汁用の飲食用組成物の固形分中、3質量%以上であることが本発明の製造方法を適用する効果を一層高める点で好ましく、5質量%以上であることが更に好ましく、10質量%以上であることが特に好ましい。好ましい上限は飲食品に対する大麦緑葉粉末の割合と同様である。
【実施例0067】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。しかし本発明の範囲はかかる実施例に限定されない。以下、特に断らない場合「%」は質量%、「部」は質量部を表す。
【0068】
(実施例1)
背丈が30~60cmで刈り取った、大麦の茎を含む緑葉を用いた。これを水洗いし、付着した泥などを除去し、次いで上記
図1~
図5に記載の切断装置1を用いて切断する前処理を行った(切断後の長さ3~7cm)。切断装置1の処理能力は3.7t/hであった。切断済みの大麦緑葉を、85~95℃の熱湯に90秒間浸漬してブランチング処理し、その後、室温の水で冷却した。その後、最終水分量が5質量%以下となるまで、90~130℃にて温風乾燥した。得られた粗粉砕物を、ジェットミルを用いて粉砕した。
比較例1に比して実施例1は前処理の処理能力が2倍となったため、当該工程が律速にならずに、全体の処理能力が向上した。
【0069】
(比較例1)
切断装置1を、次いで垂直裁断方式による高速裁断機に変更する以外は同様とした。高速裁断機の切断後の長さ15~30cm。この前処理の処理能力は1.9t/hであった。
【0070】
(品質評価)
以下の方法にて、実施例1及び比較例1で得られた大麦緑葉粉末について、色味及び風味を評価したところ、色味、風味の点で同等に優れていた。
大麦の緑葉を裁断する工程と、裁断後の大麦の緑葉をブランチングする工程と、ブランチング後の大麦の緑葉を乾燥及び粉砕する工程とを備えた大麦緑葉粉末の製造方法であって、
大麦の緑葉を裁断する工程を、複数個のブレードを円周方向に沿って配列したディスクを当該ディスクの中心軸方向に所定間隔で並設した回転カッタが互いに平行な2本の回転軸のそれぞれに設けられ、一方の前記回転カッタにおける前記ディスクが他方の前記回転カッタにおける隣り合う前記ディスクの間に位置するように両回転カッタが配置された切断装置によって行い、前記両回転カッタ間に大麦の緑葉を引き込んで、前記両回転カッタによる剪断によって大麦の緑葉の切断処理を行い、
2つの回転カッタは、いずれも、回転軸の軸方向に沿って、ブレードが設けられた円板状の前記ディスクと、該ディスクよりも小径のカラーとが交互に並んで設けられており、
前記ブレードの刃先縁は、前記回転軸の軸方向に対して斜めに形成されており、
回転軸の軸方向におけるディスクの厚さが15~30mmであり、回転軸の軸方向におけるブレードの間隔が10~35mmであり、ディスクの直径が22~27cmである、大麦緑葉粉末の製造方法。
前記ブレードは、前記回転軸の回転方向に対して第1傾斜角度で傾斜する第1刃面と、前記回転方向に対して第1傾斜角度よりも小さい第2傾斜角度で傾斜する第2刃面とを有し、
前記ブレードの刃先縁は、前記第1刃面と前記第2刃面との間に形成されている、請求項2に記載の大麦緑葉粉末の製造方法。