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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050297
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20240403BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
G01R31/28 Y
H01L25/08 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157097
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 拓也
【テーマコード(参考)】
2G132
【Fターム(参考)】
2G132AA14
2G132AB05
2G132AC02
2G132AD07
(57)【要約】
【課題】信号出力回路を駆動する際の駆動力の違いによるチップ間の遅延時間の差を測定可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】駆動力が異なる2種類の信号出力回路を第1のチップ及び第2のチップの双方に配置し、駆動力毎に、第1のチップに配置された信号出力回路から出力された後、第1のチップ内で直接入力される信号と、第1のチップに配置された信号出力回路から出力された後、チップに配置された同一駆動力の信号出力回路を介して入力される信号と、の位相を比較する位相比較回路と、第1のチップに配置された信号出力回路から出力され、第2のチップに送信された後、第2のチップ内で直接入力される信号と、第1のチップに配置された信号出力回路から出力され、第2のチップに送信された後、第2のチップに配置された同一の信号出力回路を介して入力される信号と、の位相を比較する位相比較回路と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のチップと第2のチップとが接合されてなる半導体装置であって、
前記第1のチップ及び前記第2のチップの双方に配置され、第1の駆動力により駆動される第1の信号出力回路と、
前記第1のチップ及び前記第2のチップの双方に配置され、第1の駆動力とは異なる第2の駆動力により駆動される第2の信号出力回路と、
前記第1のチップに配置され、前記第1のチップに配置された前記第1の信号出力回路から出力された後、前記第1のチップ内で直接入力される信号と、前記第1のチップに配置された前記第1の信号出力回路から出力された後、前記第2のチップに配置された前記第1の信号出力回路を介して入力される信号と、の位相を比較する第1の位相比較回路と、
前記第2のチップに配置され、前記第1のチップに配置された前記第1の信号出力回路から出力され、前記第2のチップに送信された後、前記第2のチップ内で直接入力される信号と、前記第1のチップに配置された前記第1の信号出力回路から出力され、前記第2のチップに送信された後、前記第2のチップに配置された前記第1の信号出力回路を介して入力される信号と、の位相を比較する第2の位相比較回路と、
前記第1のチップに配置され、前記第1のチップに配置された前記第2の信号出力回路から出力された後、前記第1のチップ内で直接入力される信号と、前記第1のチップに配置された前記第2の信号出力回路から出力された後、前記第2のチップに配置された前記第2の信号出力回路を介して入力される信号と、の位相を比較する第3の位相比較回路と、
前記第2のチップに配置され、前記第1のチップに配置された前記第2の信号出力回路から出力され、前記第2のチップに送信された後、前記第2のチップ内で直接入力される信号と、前記第1のチップに配置された前記第2の信号出力回路から出力され、前記第2のチップに送信された後、前記第2のチップに配置された前記第2の信号出力回路を介して入力される信号と、の位相を比較する第4の位相比較回路と、を備える
半導体装置。
【請求項2】
前記第1の位相比較回路の比較結果及び前記第2の位相比較回路の比較結果を用いて、前記第1の信号出力回路の出力信号が前記第1のチップと前記第2のチップとの間を移動する際の遅延時間を算出する第1の遅延時間算出部と、
前記第3の位相比較回路の比較結果及び前記第4の位相比較回路の比較結果を用いて、前記第2の信号出力回路の出力信号が前記第1のチップと前記第2のチップとの間を移動する際の遅延時間を算出する第2の遅延時間算出部と、を備える
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1のチップと前記第2のチップとは、ダイ・トゥ・ウエハ接合により接合されている
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1のチップと前記第2のチップとは、ダイ・トゥ・ウエハ接合により接合されている
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
各々駆動力が異なる3種類以上の信号出力回路が前記第1のチップ及び前記第2のチップの双方に配置されている場合、
最も小さい駆動力で駆動される信号出力回路を、前記第1の信号出力回路及び前記第2の信号出力回路のうちの一方とし、
最も大きい駆動力で駆動される信号出力回路を、前記第1の信号出力回路及び前記第2の信号出力回路のうちの他方とする
請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、制御チップ上に複数の被制御チップが積層されている半導体装置において、チップ間の位相差を位相比較回路にて比較することにより遅延時間を検出しているものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-089001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の半導体装置では、信号出力回路を駆動する際の駆動力の違いによるチップ間の遅延時間の差が考慮されていない。
【0005】
本発明は、上記の事情を踏まえ、信号出力回路を駆動する際の駆動力の違いによるチップ間の遅延時間の差を測定可能な半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様の半導体装置は、第1のチップと第2のチップとが接合されてなる半導体装置であって、前記第1のチップ及び前記第2のチップの双方に配置され、第1の駆動力により駆動される第1の信号出力回路と、前記第1のチップ及び前記第2のチップの双方に配置され、第1の駆動力とは異なる第2の駆動力により駆動される第2の信号出力回路と、前記第1のチップに配置され、前記第1のチップに配置された前記第1の信号出力回路から出力された後、前記第1のチップ内で直接入力される信号と、前記第1のチップに配置された前記第1の信号出力回路から出力された後、前記第2のチップに配置された前記第1の信号出力回路を介して入力される信号と、の位相を比較する第1の位相比較回路と、前記第2のチップに配置され、前記第1のチップに配置された前記第1の信号出力回路から出力され、前記第2のチップに送信された後、前記第2のチップ内で直接入力される信号と、前記第1のチップに配置された前記第1の信号出力回路から出力され、前記第2のチップに送信された後、前記第2のチップに配置された前記第1の信号出力回路を介して入力される信号と、の位相を比較する第2の位相比較回路と、前記第1のチップに配置され、前記第1のチップに配置された前記第2の信号出力回路から出力された後、前記第1のチップ内で直接入力される信号と、前記第1のチップに配置された前記第2の信号出力回路から出力された後、前記第2のチップに配置された前記第2の信号出力回路を介して入力される信号と、の位相を比較する第3の位相比較回路と、前記第2のチップに配置され、前記第1のチップに配置された前記第2の信号出力回路から出力され、前記第2のチップに送信された後、前記第2のチップ内で直接入力される信号と、前記第1のチップに配置された前記第2の信号出力回路から出力され、前記第2のチップに送信された後、前記第2のチップに配置された前記第2の信号出力回路を介して入力される信号と、の位相を比較する第4の位相比較回路と、を備える。
【0007】
第2態様の半導体装置は、第1態様の半導体装置において、前記第1の位相比較回路の比較結果及び前記第2の位相比較回路の比較結果を用いて、前記第1の信号出力回路の出力信号が前記第1のチップと前記第2のチップとの間を移動する際の遅延時間を算出する第1の遅延時間算出部と、前記第3の位相比較回路の比較結果及び前記第4の位相比較回路の比較結果を用いて、前記第2の信号出力回路の出力信号が前記第1のチップと前記第2のチップとの間を移動する際の遅延時間を算出する第2の遅延時間算出部と、を備える。
【0008】
第3態様の半導体装置は、第1態様の半導体装置において、前記第1のチップと前記第2のチップとは、ダイ・トゥ・ウエハ接合により接合されている。
【0009】
第4態様の半導体装置は、第2態様の半導体装置において、前記第1のチップと前記第2のチップとは、ダイ・トゥ・ウエハ接合により接合されている。
【0010】
第5態様の半導体装置は、第1態様から第4態様のいずれかの半導体装置において、各々駆動力が異なる3種類以上の信号出力回路が前記第1のチップ及び前記第2のチップの双方に配置されている場合、最も小さい駆動力で駆動される信号出力回路を、前記第1の信号出力回路及び前記第2の信号出力回路のうちの一方とし、最も大きい駆動力で駆動される信号出力回路を、前記第1の信号出力回路及び前記第2の信号出力回路のうちの他方とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の半導体装置によれば、信号出力回路を駆動する際の駆動力の違いによるチップ間の遅延時間の差を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態の半導体装置の概略構成を示す図である。
図2】上記半導体装置の回路構成を示す図である。
図3】信号出力回路を駆動するのに要する駆動力と、信号出力回路から出力された信号がチップ間の移動に伴う遅延時間との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態の半導体装置1の概略構成を示す図である。図2は、上記半導体装置1の回路構成を示す図である。
【0014】
図1及び図2に示すように、半導体装置1は、第1のチップ10と第2のチップ20とがダイ・トゥ・ウエハ接合により接合されてなる。ここで、ダイ・トゥ・ウエハ接合とは、第1のチップ10と第2のチップ20とが積層されるとともに、第1のチップ10に形成された複数の金属パッド10aと第2のチップ20に形成された複数の金属パッド20aとが各々直接接触した状態で接合されたものを意味する。
【0015】
半導体装置1は、第1のチップ10に配置された第1の信号出力回路11、第2の信号出力回路12、第1の位相比較回路13、第3の位相比較回路14、及び、遅延時間算出部15と、第2のチップ20に配置された第1の信号出力回路21、第2の信号出力回路22、第2の位相比較回路23、及び、第4の位相比較回路24と、を備える。
【0016】
第1の信号出力回路11、21は、第1の駆動力により駆動される。第2の信号出力回路12、22は、第1の駆動力とは異なる第2の駆動力により駆動される。第1の信号出力回路11、21及び第2の信号出力回路12、22は、入力された信号に対して何らかの処理を施して出力する回路であって、例えば、バッファ回路、インバータ回路、フリップフロップ回路等とすることができる。
【0017】
本実施形態では、一例として、第1の信号出力回路11、21はバッファ回路とし、第2の信号出力回路12、22は8段バッファ回路とする。この場合、第1の信号出力回路11、21を駆動するのに要する第1の駆動力よりも、第2の信号出力回路12、22を駆動するのに要する第2の駆動力の方が高くなる。
【0018】
第1の位相比較回路13は、第1のチップ10に配置され、第1のチップ10に配置された第1の信号出力回路11から出力された後、第1のチップ10内で直接入力される信号と、第1のチップ10に配置された第1の信号出力回路11から出力された後、第2のチップ20に配置された第1の信号出力回路21を介して入力される信号と、の位相を比較することにより、2つの信号間の遅延時間を検出する。
【0019】
第2の位相比較回路23は、第2のチップ20に配置され、第1のチップ10に配置された第1の信号出力回路11から出力され、第2のチップ20に送信された後、第2のチップ20内で直接入力される信号と、第1のチップ10に配置された第1の信号出力回路11から出力され、第2のチップ20に送信された後、第2のチップ20に配置された第1の信号出力回路21を介して入力される信号と、の位相を比較することにより、2つの信号間の遅延時間を検出する。
【0020】
第3の位相比較回路14は、第1のチップ10に配置され、第1のチップ10に配置された第2の信号出力回路12から出力された後、第1のチップ10内で直接入力される信号と、第1のチップ10に配置された第2の信号出力回路12から出力された後、第2のチップ20に配置された第2の信号出力回路22を介して入力される信号と、の位相を比較することにより、2つの信号間の遅延時間を検出する。
【0021】
第4の位相比較回路24は、第2のチップ20に配置され、第1のチップ10に配置された第2の信号出力回路12から出力され、第2のチップ20に送信された後、第2のチップ20内で直接入力される信号と、第1のチップ10に配置された第2の信号出力回路12から出力され、第2のチップ20に送信された後、第2のチップ20に配置された第2の信号出力回路22を介して入力される信号と、の位相を比較することにより、2つの信号間の遅延時間を検出する。
【0022】
遅延時間算出部15は、第1の位相比較回路13の比較結果及び第2の位相比較回路23の比較結果を用いて、第1の信号出力回路11、21の出力信号が第1のチップ10と第2のチップ20との間を移動する際の遅延時間を算出する第1の遅延時間算出部、及び、第3の位相比較回路14の比較結果及び第4の位相比較回路24の比較結果を用いて、第2の信号出力回路12、22の出力信号が第1のチップ10と第2のチップ20との間を移動する際の遅延時間を算出する第2の遅延時間算出部として機能する。
【0023】
次に、本実施形態の半導体装置1における遅延時間の算出について、詳細に説明する。
【0024】
図2に示すように、第1の信号出力回路11、21であるバッファ回路の遅延時間をBUFF1、第1の信号出力回路11、21から出力された信号が第1のチップ10及び第2のチップ20のチップ間の移動に伴う遅延時間をD1とする。
【0025】
また、第2の信号出力回路12、22である8段バッファ回路の遅延時間をBUFF8、第2の信号出力回路12、22から出力された信号が第1のチップ10及び第2のチップ20のチップ間の移動に伴う遅延時間をD2とする。
【0026】
この場合、第1の位相比較回路13では、(D1+BUFF1+D1)分の遅延時間が検出され、第2の位相比較回路23では、BUFF1分の遅延時間が検出される。
【0027】
遅延時間算出部15は、第1の位相比較回路13により検出された遅延時間をS1、第2の位相比較回路23により検出された遅延時間をS2としたとき、下記の式(1)に基づいて、第1の信号出力回路11、21から出力された信号がチップ間の移動に伴う遅延時間D1を算出することができる。
D1=(S1-S2)/2 …(1)
【0028】
また、第3の位相比較回路14では、(D2+BUFF8+D2)分の遅延時間が検出され、第4の位相比較回路24では、BUFF8分の遅延時間が検出される。
【0029】
遅延時間算出部15は、第3の位相比較回路14により検出された遅延時間をS3、第4の位相比較回路24により検出された遅延時間をS4としたとき、下記の式(2)に基づいて、第2の信号出力回路12、22から出力された信号がチップ間の移動に伴う遅延時間D2を算出することができる。
D2=(S3-S4)/2 …(2)
【0030】
[変形例]
各々駆動力が異なる3種類以上の信号出力回路が第1のチップ10及び第2のチップ20の双方に配置されている場合、最も小さい駆動力で駆動される信号出力回路を、第1の信号出力回路及び第2の信号出力回路のうちの一方とし、最も大きい駆動力で駆動される信号出力回路を、第1の信号出力回路及び第2の信号出力回路のうちの他方としてもよい。
【0031】
図3は、信号出力回路を駆動するのに要する駆動力と、信号出力回路から出力された信号がチップ間の移動に伴う遅延時間との関係を示すグラフである。
【0032】
図3に示すように、最も小さい駆動力Pminで駆動される信号出力回路から出力された信号がチップ間の移動に伴う遅延時間D1、及び、最も大きい駆動力Pmaxで駆動される信号出力回路から出力された信号がチップ間の移動に伴う遅延時間D2を取得し、両者の間を線形補完することにより、両者の中間の駆動力で駆動される信号出力回路から出力された信号がチップ間の移動に伴う遅延時間を推定することができる。
【0033】
また、第1のチップ10と第2のチップ20とは、ダイ・トゥ・ウエハ接合に限らず、他の方式により接合されていてもよい。
【0034】
また、上記実施形態では、遅延時間算出部15を第1のチップ10に配置したが、遅延時間算出部15を第2のチップ20に配置してもよいし、半導体装置1の外部に配置してもよい。
【0035】
また、上記実施形態では、1つの遅延時間算出部15を第1の遅延時間算出部と第2の遅延時間算出部の両方として機能するように構成したが、第1の遅延時間算出部と第2の遅延時間算出部とを個別に構成してもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 半導体装置
10 第1のチップ
10a 金属パッド
11、21 第1の信号出力回路
12、22 第2の信号出力回路
13 第1の位相比較回路
14 第3の位相比較回路
15 遅延時間算出部
20 第2のチップ
20a 金属パッド
23 第2の位相比較回路
24 第4の位相比較回路
図1
図2
図3