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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050302
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】コネクタ及びソケット
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/22 20060101AFI20240403BHJP
   F16L 37/34 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
F16L37/22
F16L37/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157102
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】390039929
【氏名又は名称】三桜工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新保 貴也
【テーマコード(参考)】
3J106
【Fターム(参考)】
3J106BA01
3J106BB01
3J106BC04
3J106BC12
3J106BE29
3J106CA19
3J106EA03
3J106EB02
3J106EC07
3J106ED11
3J106ED24
3J106EE03
3J106EF04
3J106EF05
3J106EF15
3J106GA03
3J106GA04
3J106GA11
3J106GB01
3J106GB02
(57)【要約】
【課題】プラグの被係合部にソケットの係合部が係合することでプラグとソケットが連結されるコネクタにおいて、簡単な構成によってプラグとソケットの連結及び連結解除が可能な技術を提供する。
【解決手段】コネクタは、外周面に被係合部を有するプラグと、筒体と、前記筒体の径方向外側に該筒体の軸方向に移動可能に配置され、かつ、前記筒体に挿入される前記プラグの前記被係合部に弾性的に係合する係合部を有する保持部材と、前記保持部材よりも前記筒体の径方向外側に配置され、かつ、前記被係合部に係合した前記係合部の係合解除動作を阻止する阻止部と、前記阻止部よりも前記プラグの挿入方向側に位置し、前記被係合部に係合した前記係合部の係合解除動作を許容する許容部と、を有するカバー部材と、を有するソケットと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に被係合部を有するプラグと、
筒体と、前記筒体の径方向外側に該筒体の軸方向に移動可能に配置され、かつ、前記筒体に挿入される前記プラグの前記被係合部に弾性的に係合する係合部を有する保持部材と、前記保持部材よりも前記筒体の径方向外側に配置され、かつ、前記被係合部に係合した前記係合部の係合解除動作を阻止する阻止部と、前記阻止部よりも前記プラグの挿入方向側に位置し、前記被係合部に係合した前記係合部の係合解除動作を許容する許容部と、を有するカバー部材と、を有するソケットと、
を備えるコネクタ。
【請求項2】
前記被係合部は、前記プラグの外周面に形成された凹状部であり、
前記保持部材は、前記筒体の軸方向に延び、前記プラグの挿入方向側の端部が自由端とされた弾性板部を有しており、
前記係合部は、前記プラグの挿入方向側の端部から前記筒体の径方向内側に突出し、前記凹状部に挿入される突部であり、
前記許容部は、前記カバー部材の内面に形成された凹部であり、前記弾性板部の弾性変形による前記挿入方向側と反対側の端部の前記径方向外側への移動を許容する、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記凹部は、前記カバー部材を厚み方向に貫通する貫通孔である、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記弾性板部の板幅は、根元側の部分が自由端側の部分よりも狭い、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記保持部材は、係合爪を有し、
前記筒体は、周壁に設けられ、前記係合爪が引っ掛かることによって前記保持部材が前記筒体から抜け出すのを阻止する抜け止め部を有する、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記保持部材の前記係合部が前記筒体の前記阻止部の位置にあるときに、前記係合爪が前記抜け止め部に引っ掛かる、請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記筒体内には、前記保持部材を通して挿入された前記プラグを挿入方向と反対側に付勢する付勢部材が配置されており、
前記付勢部材の付勢力により前記係合爪が前記抜け止め部に引っ掛かっている、請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記カバー部材は、前記筒体の軸方向に移動可能であり、前記プラグの挿入方向と反対側へ付勢されている、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記保持部材が前記筒体の周方向に間隔をあけて複数配置されている、請求項1~7のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項10】
筒体と、
前記筒体の径方向外側に該筒体の軸方向に移動可能に配置され、かつ、前記筒体に挿入されるプラグの外周面に設けられた被係合部に弾性的に係合する係合部を有する保持部材と、
前記保持部材よりも前記筒体の径方向外側に配置され、かつ、前記被係合部に係合した前記係合部の係合解除動作を阻止する阻止部と、
前記阻止部よりも前記プラグの挿入方向側に位置し、前記被係合部に係合した前記係合部の係合解除動作を許容する許容部と、を有するカバー部材と、
を備えるソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ及びソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、雌型管継手のボール形施錠子が雄型管継手の外周面に設けられた環状施錠凹部に嵌合し、その状態でコイルバネによって付勢された施錠スリーブがボール形施錠子を半径方向外側から押さえることによって、雌型管継手及び雄型管継手の連結施錠が行われる管継手が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6328691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された管継手は、施錠スリーブにボール形施錠子と、そのボール形施錠子を付勢するコイルバネとを有するため、連結施錠に要する構成が複雑である。
【0005】
本発明は、プラグの被係合部にソケットの係合部が係合することでプラグとソケットが連結されるコネクタにおいて、簡単な構成によってプラグとソケットの連結及び連結解除が可能な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様のコネクタは、外周面に被係合部を有するプラグと、筒体と、前記筒体の径方向外側に該筒体の軸方向に移動可能に配置され、かつ、前記筒体に挿入される前記プラグの前記被係合部に弾性的に係合する係合部を有する保持部材と、前記保持部材よりも前記筒体の径方向外側に配置され、かつ、前記被係合部に係合した前記係合部の係合解除動作を阻止する阻止部と、前記阻止部よりも前記プラグの挿入方向側に位置し、前記被係合部に係合した前記係合部の係合解除動作を許容する許容部と、を有するカバー部材と、を有するソケットと、を備える。
【0007】
第1態様のコネクタでは、プラグを筒体内に挿入することで、保持部材の係合部がプラグの被係合部に弾性的に係合する。これにより、プラグが保持部材を介して筒体、すなわち、ソケットに連結される。また、コネクタでは、保持部材の係合部がカバー部材の阻止部の位置にある場合、係合部の係合解除動作が阻止されるため、プラグとソケットの連結が維持される。また、コネクタでは、保持部材の係合部がカバー部材の許容部の位置にある場合(例えば、保持部材の係合部をカバー部材の阻止部の位置から許容部の位置に移動させた場合)、係合部の係合解除動作が許容される。そして、係合解除動作によって係合部と被係合部との係合状態が解除され、ソケットからプラグが外れて連結が解除される。
上記コネクタでは、ソケットにおいて、カバー部材に阻止部及び許容部を設けると共に保持部材に係合部を設けるという簡単な構成によってプラグとソケットの連結及び連結解除を行うことができる。
【0008】
本発明の第2態様のコネクタは、第1態様のコネクタにおいて、前記被係合部は、前記プラグの外周面に形成された凹状部であり、前記保持部材は、前記筒体の軸方向に延び、前記プラグの挿入方向側の端部が自由端とされた弾性板部を有しており、前記係合部は、前記プラグの挿入方向側の端部から前記筒体の径方向内側に突出し、前記凹状部に挿入される突部であり、前記許容部は、前記カバー部材の内面に形成された凹部であり、前記弾性板部の弾性変形による前記挿入方向側と反対側の端部の前記径方向外側への移動を許容する。
【0009】
第2態様のコネクタでは、被係合部としての凹状部に係合部としての突部が挿入されることによって凹状部と突部が係合し、プラグとソケットが連結される。また、コネクタでは、保持部材の突部がカバー部材の許容部としての凹部の位置にある場合、突部の係合解除動作が許容される。具体的には、弾性板部の弾性変形によるプラグ挿入方向と反対側の端部の径方向外側への移動が凹部によって許容される。ここで、弾性板部を弾性変形させて挿入方向と反対側の端部を径方向外側へ移動させると、突部が凹状部から抜け出て、ソケットからプラグが外れて連結が解除される。
上記コネクタでは、プラグの被係合部を凹状部とし、ソケットの係合部及び許容部をそれぞれ突部及び凹部としていることから、簡単な構造でプラグとソケットを連結及び連結解除することができる。
【0010】
本発明の第3態様のコネクタは、第2態様のコネクタにおいて、前記凹部は、前記カバー部材を厚み方向に貫通する貫通孔である。
【0011】
第3態様のコネクタでは、ソケットの凹部を、カバー部材を厚み方向に貫通する貫通孔としていることから、ソケットの外側から貫通孔を通して筒体内に配置された保持部材の位置を目視で確認することができる。
【0012】
本発明の第4態様のコネクタは、第2態様又は第3態様のコネクタにおいて、前記弾性板部の板幅は、根元側の部分が自由端側の部分よりも狭い。
【0013】
第4態様のコネクタでは、弾性板部の板幅を自由端側の部分よりも根元側の部分で狭くしていることから、例えば、弾性板部の板幅を自由端側の部分以上とする構成と比べて、弾性板部の弾性変形量をコントロールしやすい。
【0014】
本発明の第5態様のコネクタは、第1態様~第4態様のいずれか一態様のコネクタにおいて、前記保持部材は、係合爪を有し、前記筒体は、周壁に設けられ、前記係合爪が引っ掛かることによって前記保持部材が前記筒体から抜け出すのを阻止する抜け止め部を有する。
【0015】
第5態様のコネクタでは、保持部材に係合爪が筒体の抜け止め部に引っ掛かることで保持部材が筒体から抜け出るのが阻止される。これにより、プラグを連結する前のソケットから保持部材が脱落するのを防止することができる。
【0016】
本発明の第6態様のコネクタは、第5態様のコネクタにおいて、前記保持部材の前記係合部が前記筒体の前記阻止部の位置にあるときに、前記係合爪が前記抜け止め部に引っ掛かる。
【0017】
第6態様のコネクタでは、保持部材の係合部が筒体の阻止部の位置にあるときに、係合爪が抜け止め部に引っ掛かるため、例えば、係合部が阻止部を通り過ぎた位置で係合爪が抜け止め部に引っ掛かる構成と比べて、プラグとソケットの連結を維持することができる。
【0018】
本発明の第7態様のコネクタは、第6態様のコネクタにおいて、前記筒体内には、前記保持部材を通して挿入された前記プラグを挿入方向と反対側に付勢する付勢部材が配置されており、前記付勢部材の付勢力により前記係合爪が前記抜け止め部に引っ掛かっている。
【0019】
第7態様のコネクタでは、筒体内に挿入されたプラグが付勢部材の付勢力によって挿入方向と反対側に付勢されることで、係合爪が抜け止め部に引っ掛かっている。ここで、係合爪が抜け止め部に引っ掛かっている状態では、保持部材の係合部がカバー部材の阻止部の位置にあるため、係合部の係合解除動作が阻止され、プラグとソケットの連結が維持される。すなわち、コネクタでは、付勢部材の付勢力によってプラグとソケットの連結を維持することができる。
【0020】
第8態様のコネクタでは、第1態様~第7態様のいずれか一態様のコネクタにおいて、前記カバー部材は、前記軸方向に移動可能であり、前記プラグの挿入方向と反対側へ付勢されている。
【0021】
第8態様のコネクタでは、カバー部材がプラグの挿入方向と反対側へ付勢されていることから、プラグとソケットの連結状態において、カバー部材を所定の位置に拘束することができる。すなわち、プラグとソケットの連結状態において阻止部と許容部の筒体軸方向の位置を一定の位置とすることができる。これにより、ソケットからプラグが抜け落ちるのを抑制することができる。
【0022】
第9態様のコネクタでは、第1態様~第8態様のいずれか一態様のコネクタにおいて、
前記保持部材が前記筒体の周方向に間隔をあけて複数配置されている。
【0023】
第9態様のコネクタでは、係合部を有する保持部材を筒体の周方向に間隔をあけて複数配置していることから、例えば、筒状の保持部材に複数の係合部を設ける構成と比べて、保持部材の構造が簡単になり、保持部材の成形性が向上する。
【0024】
本発明の第10態様のソケットは、筒体と、前記筒体の径方向外側に該筒体の軸方向に移動可能に配置され、かつ、前記筒体に挿入されるプラグの外周面に設けられた被係合部に弾性的に係合する係合部を有する保持部材と、前記保持部材よりも前記筒体の径方向外側に配置され、かつ、前記被係合部に係合した前記係合部の係合解除動作を阻止する阻止部と、前記阻止部よりも前記プラグの挿入方向側に位置し、前記被係合部に係合した前記係合部の係合解除動作を許容する許容部と、を有するカバー部材と、を有する。
【0025】
第10態様のソケットでは、プラグを筒体内に挿入することで、保持部材の係合部がプラグの被係合部に弾性的に係合する。これにより、プラグが保持部材を介して筒体、すなわち、ソケットに連結される。また、ソケットでは、保持部材の係合部がカバー部材の阻止部の位置にある場合、係合部の係合解除動作が阻止されるため、プラグとの連結が維持される。また、ソケットでは、保持部材の係合部がカバー部材の許容部の位置にある場合(例えば、保持部材の係合部をカバー部材の阻止部の位置から許容部の位置に移動させた場合)、係合部の係合解除動作が許容される。そして、係合解除動作によって係合部と被係合部との係合状態が解除され、ソケットからプラグが外れて連結が解除される。
上記ソケットでは、カバー部材に阻止部及び許容部を設けると共に保持部材に係合部を設けるという簡単な構成によってプラグとの連結及び連結解除を行うことができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明によれば、プラグの被係合部にソケットの係合部が係合することでプラグとソケットが連結されるコネクタにおいて、簡単な構成によってプラグとソケットの連結及び連結解除が可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係るコネクタの側面図である。
図2図1のコネクタの側断面図である。
図3図2のコネクタをプラグとソケットに分解した断面図である。
図4図3のソケットを構成部材毎に分解した断面図である。
図5図3のプラグを構成部材毎に分解した断面図である。
図6A図2のソケットのリテーナの拡大斜視図である。
図6B図2のプラグの先端部の拡大斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係るコネクタを構成するプラグとソケットの連結手順を説明するための側断面図であり、プラグをソケットに挿入開始直後の状態を示している。
図8図7の矢印8Xで指し示す部分の拡大図である。
図9図8の側断面図において、リテーナの内側突部がプラグの凹状部に挿入された状態を示している。
図10図9の矢印10Xで指し示す部分の拡大図であり、スライドカバーが押し戻された状態を示している。
図11図9の側断面図において、スライドカバーをプラグ挿入方向へスライドさせた状態を示している。
図12図11の矢印12Xで指し示す部分の拡大図である。
図13図11の側断面図において、スライドカバーをプラグ挿入方向へスライドさせた状態を維持しながら、ソケットからプラグが押し出された状態を示している。
図14図13の矢印14Xで指し示す部分の拡大図であり、スライドカバーが押し戻された状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら本発明に係る一実施形態のコネクタ及びソケットについて説明する。
【0029】
<コネクタ20>
図1図14には、本実施形態のコネクタ20が示されている。本実施形態のコネクタ20は、図1及び図2に示されるように、流路の一部を構成する部材である。具体的には、図1に示されるように、配管100と配管102とを接続する部材である。このコネクタ20は、プラグ22とソケット40とを有しており、プラグ22とソケット40とを連結することで、プラグ22に接続された配管100とソケット40に接続された配管102とを接続することができる。なお、本実施形態のコネクタ20は、冷却流路の一部を構成しているが、本発明はこの構成に限定されるものではない。
【0030】
また、本実施形態のコネクタ20は、ソケット40にプラグ22を挿入することでプラグ22とソケット40とが連結される。以下では、ソケット40に対してプラグを挿入する方向を適宜「プラグ挿入方向」と記載する。また、図1図14ではプラグ挿入方向を矢印S方向で示している。
【0031】
(プラグ22)
図2図3及び図5に示されるように、プラグ22は、外周面に凹状部32を有している。この凹状部32は、後述するリテーナ44の内側突部62が係合する部分である。
【0032】
また、プラグ22は、筒体24と、弁体26と、配管接続部28と、コイルスプリング30とを有している。
【0033】
筒体24は、プラグ22の本体部を構成する部材である。図2に示されるように、筒体24の一部は、プラグ22とソケット40を連結した状態では、筒体42内に挿入される。
【0034】
また、筒体24は、略円筒状である。図2及び図5に示されるように、筒体24のプラグ挿入方向側の端部は、外径及び内径が先細る縮径部24Aとされている。この縮径部24Aの内面は、弁体26のストッパーとして機能する。また、縮径部24Aの内側は、プラグ22の連通口25を形成している。プラグ22の連通口25は、プラグ22とソケット40を連結した状態で、ソケット40内とプラグ22内とを連通するための部分である。
【0035】
また、図2及び図5に示されるように、筒体24の外周面24Bには、前述の凹状部32が形成されている。この凹状部32は、筒体24の周方向に連続して形成されている。なお、本実施形態の凹状部は、本発明における被係合部の一例である。
【0036】
弁体26は、プラグ22の連通口25を開閉する部材である。この弁体26は、図3に示されるように、筒体24内に配置されている。また、弁体26は、筒体24内を筒体24の軸方向に移動可能とされている。
【0037】
弁体26は、プラグ挿入方向側の端部が閉塞された筒状(一例として略円筒状)とされている。図2及び図5に示されるように、弁体26の閉塞部26Aには、プラグ挿入方向へ突出する円柱状の凸部26Bが形成されている。この凸部26Bは、コイルスプリング30の弾性力によって縮径部24Aの内側に配置される。また、凸部26Bの外周面には凸部26Bの周方向に沿って連続する環状溝26Cが形成されている。この環状溝26Cには、環状のシール部材27が挿入されている。コイルスプリング30の弾性力で弁体26と共にシール部材27が縮径部24Aの内周面に押し付けられることで、連通口25が閉塞される。また、弁体26の内側には、コイルスプリング30のプラグ挿入方向側の端部が挿入されている。
【0038】
配管接続部28は、筒体24と配管100とを接続する部材である。この配管接続部28は、図2及び図3に示されるように、筒体24の連通口25と反対側の口部に取り付けられている。本実施形態では、配管接続部28は、筒状(一例として略円筒状)とされており、筒体24の連通口25と反対側の口部に溶着により取り付けられている。具体的には、配管接続部28のプラグ挿入方向側の端部が筒体24の連通口25と反対側の口部に溶着されている。なお、本発明はこの構成に限定されず、配管接続部28が筒体24の連通口25と反対側の口部に着脱可能に装着される構成、例えば、シールリングを介在させて配管接続部28が口部に対してボルト等の締結手段にて装着される構成としてもよい。
【0039】
配管接続部28の筒体24側と反対側の端部には、配管接続部28の径方向内側へ張り出す張出部28Eが形成されている。
【0040】
また、配管接続部28の筒体24側と反対側の口部には、配管100が接続されている(図1参照)。
【0041】
コイルスプリング30は、弾性力で筒体24の連通口25を閉じる部材である。具体的には、コイルスプリング30は、弾性力で弁体26を筒体24の縮径部24Aへ押し付けるようになっている。このコイルスプリング30は、筒体24内に配置されている。また、コイルスプリング30のプラグ挿入方向側の端部(図2及び図3では左側の端部)は、弁体26の内側に挿入されて、閉塞部26Aに接している。一方、コイルスプリング30のプラグ挿入方向と反対側の端部(図2及び図3では右側の端部)は、配管接続部28の内側に挿入されて、張出部28Eに接している。なお、本実施形態では、コイルスプリング30の弾性力で弁体26を縮径部24Aに押し付けているが、弁体26を付勢して縮径部24Aに押し付けられる付勢部材であれば、コイルスプリング30に限定されない。
【0042】
(ソケット40)
図2図4及び図6Aに示されるように、ソケット40は、筒体42と、保持部材の一例としてのリテーナ44と、カバー部材の一例としてのスライドカバー80と、を有している。
【0043】
また、ソケット40は、コイルスプリング82と、弁体50と、配管接続部52と、コイルスプリング54とを有している。
【0044】
筒体42は、ソケット40の本体部を構成する部材である。図2に示されるように、筒体42には、プラグ22が挿入される。筒体42のプラグ22が挿入される口部を以下では、挿入口部43と称する。
【0045】
また、筒体42は、略円筒状である。図2及び図3に示されるように、筒体42の径方向外側には、リテーナ44が配置されている。具体的には、リテーナ44は、筒体42の挿入口部43の径方向外側に周方向に間隔(本実施形態では等間隔)をあけて複数配置されている。筒体42は、プラグ挿入方向と反対側の部分がプラグ挿入方向側の部分よりも内径が小さい。言い換えると、筒体42において、挿入口部43を含むプラグ挿入方向と反対側の部分が、プラグ挿入方向側の部分よりも径が大きくなっている。このため、筒体42の内周面42Aには、プラグ挿入方向と反対側の部分とプラグ挿入方向側の部分との間に段差42Bが形成されている。この段差42Bは筒体42の径方向に延びている。この段差42Bは、弁体50のストッパーとして機能する。
【0046】
また、図1及び図4に示されるように、筒体42には、抜け止め部の一例としての抜け止め孔56が形成されている。抜け止め孔56は、後述するリテーナ44の係合爪58が引っ掛かる部分である。具体的には、抜け止め孔56は、筒体42の周壁における挿入口部43を形成する部分に形成された貫通孔である。この抜け止め孔56の縁部に係合爪58が引っ掛かることにより、リテーナ44が筒体42から抜け出るのが阻止される。
【0047】
また、抜け止め孔56には、リテーナ44の内側突部62が入るようになっている。この内側突部62が抜け止め孔56に入り込んだ状態で、凹状部32に内側突部62が係合する。なお、抜け止め孔56の大きさは、少なくとも後述する係合爪58の爪部58B及びリテーナ44の内側突部62が入る大きさである。
【0048】
抜け止め孔56は、筒体42の周壁に周方向に間隔(本実施形態では等間隔)をあけて形成されている。本実施形態では、一例として、抜け止め孔56は、筒体42の周壁に一対形成されている。したがって、一対の抜け止め孔56は、筒体42の周壁に径方向に対向して形成されている。
【0049】
また、図3及び図4に示されるように、筒体42の挿入口部43と反対側の口部には、配管接続部52が溶着により取り付けられている。なお、本発明はこの構成に限定されず、配管接続部52が筒体42の挿入口部43と反対側の口部に着脱可能に装着される構成、例えば、シールリングを介在させて配管接続部52が口部に対してボルト等の締結手段にて装着される構成としてもよい。
【0050】
リテーナ44は、挿入されたプラグ22を筒体42内に保持するための部材である。具体的には、リテーナ44は、凹状部32と内側突部62とが係合することによりプラグ22を筒体42内に保持する。
【0051】
図6Aに示されるように、リテーナ44は、円弧板状であり、筒体42の径方向外側に筒体42の軸方向に移動可能に配置されている。具体的には、リテーナ44は、筒体42における挿入口部43の径方向外側に配置されている。
【0052】
また、リテーナ44は、図3及び図4に示されるように、挿入口部43に挿入されるプラグ22の凹状部32に係合する内側突部62を有している。具体的には、リテーナ44は、軸方向に延び、プラグ挿入方向と反対側の端部60Aが自由端とされた弾性板部60を有しており、内側突部62は、弾性板部60の端部60Aからリテーナ44の径方向内側に突出している部分である。この内側突部62は、凹状部32に挿入されることによって凹状部32と係合する。なお、本実施形態の内側突部62は、本発明における突部の一例である。
【0053】
また、本実施形態の弾性板部60は、図3及び図6Aに示されるように、リテーナ44の周壁を切り欠いて形成された部分である。この弾性板部60の板幅は、根元側の部分が自由端側の部分よりも狭い。具体的には、図6Aに示されるように、弾性板部60の根元側の部分の板幅W1は、弾性板部60の自由端側の部分の板幅W2よりも狭い。一例として、本実施形態の弾性板部60は、リテーナ44の径方向外側から見て略T字状とされている。なお、弾性板部60の形状は略T字状に限定されない。
【0054】
また、弾性板部60の端部60Aには、図4及び図6Aに示されるように、内側突部62と反対側に突出する、すなわち、筒体42の径方向外側に突出する外側突部63が形成されている。
【0055】
また、リテーナ44は、図1図6A及び図18に示されるように、筒体42の抜け止め孔56に引っ掛かる係合爪58を有している。この係合爪58は、板部58Aと、爪部58Bとを有している。板部58Aは、軸方向に延び、プラグ挿入方向側の端部が自由端とされている。また、爪部58Bは、板部58Aのプラグ挿入方向側の端部からリテーナ44の径方向内側に突出している部分である。この爪部58Bは、抜け止め孔56に挿入され、プラグ22がソケット40に対してプラグ挿入方向と反対側に移動することで、抜け止め孔56の縁部に引っ掛かる。具体的には、リテーナ44の内側突部62が後述するスライドカバー80の阻止部46の位置にあるときに、係合爪58の爪部58Bが抜け止め孔56の縁部に引っ掛かる。なお、本実施形態では、係合爪58が板部58Aを挟んで両側にそれぞれ設けられている。これにより、係合爪58の爪部58Bが抜け止め孔56の縁部に引っ掛かったときのリテーナ44の姿勢が安定する。
【0056】
スライドカバー80は、内側突部62と凹状部32との係合の解除動作を阻止するための部材である。このスライドカバー80は、筒状(本実施形態では円筒状)であり、図3に示されるように、筒体42の径方向外側に配置されている。また、筒体42は、筒体42の軸方向に移動可能とされている。具体的には、スライドカバー80は、コイルスプリング82の付勢力により、プラグ挿入方向と反対側へ付勢されている。付勢されたスライドカバー80は、筒体42に設けられたストッパー90(一例として、Cリング)に当接して図2に示される初期位置に拘束されている。なお、以下の説明では、特に明示しない限り、スライドカバー80は初期位置で拘束されている。
【0057】
このスライドカバー80には、許容部48が形成されている。具体的には、スライドカバー80の内周面80Aには、許容部48としての凹部が形成されている。この凹部は、一例として、スライドカバー80の周壁を厚み方向に貫通する貫通孔である。貫通孔である許容部48の大きさは、後述するリテーナ44の外側突部63が入る大きさである。なお、本実施形態の許容部48は、一例として、スライドカバー80の外側から見た形状が略矩形状である。
【0058】
図3及び図4に示されるように、許容部48は、スライドカバー80の周壁に周方向に等間隔で形成されている。本実施形態では、一例として、許容部48は、スライドカバー80の周壁に一対形成されている。言い換えると、一対の許容部48は、スライドカバー80の周壁に径方向に対向して形成されている。
【0059】
また、図3及び図4に示されるように、スライドカバー80には、阻止部46が形成されている。具体的には、スライドカバー80の内周面80Aに阻止部46が形成されている。より具体的には、阻止部46は、筒体42の内周面42Aにおける許容部48のプラグ挿入方向と反対側の部分である。
【0060】
また、スライドカバー80には、許容部49が形成されている。具体的には、スライドカバー80の内周面80Aには、軸方向において、阻止部46を挟んで許容部48の反対側に許容部49が形成されている。この許容部49は、一例として、スライドカバー80の周壁をプラグ挿入方向と反対側の端部からプラグ挿入方向側へ切欠いた切り欠きである。なお、本実施形態の許容部49は、一例として、スライドカバー80の外側から見た形状が略矩形状である。
【0061】
図2に示されるように、阻止部46は、スライドカバー80において、プラグ22の凹状部32に係合したリテーナ44の内側突部62の係合解除動作を阻止する部分である。この阻止部46は、リテーナ44の内側突部62が初期位置で拘束されているスライドカバー80の阻止部46の位置にあるときに、内側突部62と反対側にある外側突部63と接することで、弾性板部60の弾性変形を阻止する。これにより、内側突部62が凹状部32から抜け出ることが阻止され、内側突部62と凹状部32との係合状態が維持される。
【0062】
図7及び図8に示されるように、許容部48は、スライドカバー80において、プラグ22の凹状部32に係合したリテーナ44の内側突部62の係合解除動作を許容する部分である。具体的には、許容部48は、リテーナ44の内側突部62がスライドカバー80の許容部48の位置にあるときに、弾性板部60の弾性変形による端部60A及び外側突部63の径方向外側への移動を許容する。すなわち、図8に示されるように、弾性板部60が弾性変形することで、外側突部63が許容部48である貫通孔に挿入されて端部60A及び外側突部63の径方向外側への移動が許容される。これにより、内側突部62が凹状部32から抜け出ることが可能となり、内側突部62と凹状部32との係合状態を解除することが可能となる。
【0063】
図11及び図12に示されるように、許容部49は、スライドカバー80において、プラグ22の凹状部32に係合したリテーナ44の内側突部62の係合解除動作を許容する部分である。具体的には、許容部49は、リテーナ44の内側突部62がスライドカバー80の許容部49の位置にあるときに、弾性板部60の弾性変形による端部60A及び外側突部63の径方向外側への移動を許容する。すなわち、図12に示されるように、弾性板部60が弾性変形することで、外側突部63が許容部49である切り欠きに入り込んで端部60A及び外側突部63の径方向外側への移動が許容される。これにより、内側突部62が凹状部32から抜け出ることが可能となり、内側突部62と凹状部32との係合状態を解除することが可能となる。
【0064】
図3に示されるように、コイルスプリング82は、筒体42の径方向外側に配置されている。具体的には、コイルスプリング82は、スライドカバー80と筒体42との間に配置されている。このコイルスプリング82は、プラグ挿入方向側の端部が筒体42の外周面に形成された段差42Cに接し、プラグ挿入方向と反対側の端部がスライドカバー80の径方向内側に張り出す張出部80B(図1及び図3参照)に接している。このコイルスプリング82の付勢力により、スライドカバー80がプラグ挿入方向と反対側へ付勢されている。
【0065】
弁体50は、ソケット40の内部流路を開閉する部材である。この弁体50は、図2及び図3に示されるように、筒体42内に配置されている。また、弁体50は、筒体42内を筒体42の軸方向に移動可能とされている。
【0066】
弁体50は、筒状(一例として略円筒状)とされている。図2及び図3に示されるように、弁体50の内側には、後述する配管接続部52の軸部53が挿入されている。弁体50は、軸部53に沿って筒体42内を軸方向に移動する。
【0067】
弁体50のプラグ挿入方向と反対側の端部50Aは、コイルスプリング54の弾性力で筒体42の段差42Bに押し付けられている。また弁体50の端部50Aの内側には、プラグ22のプラグ挿入方向の端部(筒体24のプラグ挿入方向の端部)が挿入される挿入口部50Bが形成されている。また、挿入口部50Bのプラグ挿入方向側の壁面には、環状のシール部材66が配置されている。このシール部材66には、プラグ22のプラグ挿入方向の端部が接するようになっている。具体的には、プラグ22とソケット40を連結した状態では、図2に示されるように、シール部材66にプラグ22のプラグ挿入方向の端部が接して弁体50と筒体24との間がシールされる。
【0068】
また、弁体50の外周面には、弁体50の周方向に連続する環状溝50Cが形成されている。この環状溝50Cには、環状のシール部材68が挿入されている。このシール部材68によって弁体50と配管接続部52の内周面52Aとの間がシールされている。
【0069】
配管接続部52は、筒体42と配管102とを接続する部材である。この配管接続部52は、図2及び図3に示されるように、筒体42の挿入口部43と反対側の口部に溶着により取り付けられている。
【0070】
また、配管接続部52は、筒状(一例として略円筒状)とされている。この配管接続部52のプラグ挿入方向側の部分は、配管接続部52のプラグ挿入方向側と反対側の部分よりも大径とされている。
【0071】
配管接続部52の軸方向の中間部には、径方向外側の張り出す外側張出部52Cが形成されている。この外側張出部52Cは、張出方向の端部が筒体42の挿入口部43と反対側の口部に溶着されている。
【0072】
配管接続部52の筒体42側と反対側の口部には、配管102が接続されている。なお、配管102は、一例として樹脂チューブを用いてもよい。
【0073】
また、配管接続部52は、プラグ挿入方向側の部分の内側に軸部53を有している。この軸部53は、円柱状部であり、配管接続部52の内周面52Aの軸方向中間部から径方向内側へ張り出した内側張出部52Bの内側に設けられた雌ねじ部材74(例えば、ブッシュナット等)にねじ込まれている。具体的には、軸部53のプラグ挿入方向と反対側の端部には、雄ねじが形成されており、この雄ねじが雌ねじ部材74にねじ込まれることによって、軸部53の上記端部が内側張出部52Bの内側に配置されている。また、内側張出部52Bには、周方向に間隔をあけて厚み方向に貫通する貫通孔(図示省略)が形成されている。具体的には、内側張出部52Bには、筒体42の軸方向に延びる貫通孔が形成されている。この貫通孔は、ソケット40の内部流路を構成している。
【0074】
軸部53の外周面53Cにおけるプラグ挿入方向と反対側の端部側には、軸部53の周方向に連続する環状溝53Dが形成されている。この環状溝53Dには、環状のシール部材72が挿入されている。このシール部材72によって、弁体50の内周面と軸部53との間がシールされる。
【0075】
プラグ22とソケット40を連結した状態では、図2に示されるように、弁体50の内周面と軸部53との間のシールが解除され、プラグ22の内部流路とソケット40の内部流路がつながる。
【0076】
コイルスプリング54は、弾性力で筒体42の内部流路を閉じる部材である。具体的には、コイルスプリング54は、弾性力で弁体50を筒体42の段差42Bへ押し付けるようになっている。このコイルスプリング54は、筒体42内に配置されている。また、コイルスプリング54のプラグ挿入方向側の端部(図2及び図3では左側の端部)は、配管接続部52の外周面と筒体42の内周面との間に挿入されて外側張出部52Cによって支持されている。一方、コイルスプリング54のプラグ挿入方向と反対側の端部(図2及び図3では右側の端部)は、弁体50に接している。なお、本実施形態では、コイルスプリング54の弾性力で弁体50を段差42Bに押し付けているが、弁体50を付勢して段差42Bに押し付けられる付勢部材であれば、コイルスプリング54に限定されない。
【0077】
次に、本実施形態のプラグ22とソケット40を連結する動作及び連結を解除する動作について説明する。
【0078】
まず、プラグ22とソケット40を連結する動作について説明する。
図7に示されるように、プラグ22を筒体42内に挿入する。プラグ22の筒体24をプラグ22の挿入口部23に挿入すると、プラグ22の筒体24の端部にソケット40の弁体50が当接する。
【0079】
図9に示されるように、プラグ22を筒体42内に更に挿入すると、プラグ22の筒体24の端部によって弁体50がプラグ挿入方向に押し込まれる。このとき、ソケット40の軸部53によって弁体26が筒体24内に押し込まれる。これにより、プラグ22の内部流路が開放されると共にソケット40の内部流路が開放されて、プラグ22の内部流路とソケット40の内部流路が連通する。
【0080】
ここで、図7に示されるように、プラグ22を筒体42内に挿入すると、リテーナ44の内側突部62が筒体24の縮径部24Aの外周面に接し、プラグ22と共にリテーナ44が筒体42の軸方向に移動する。リテーナ44の係合爪58の爪部58Bが抜け止め孔56のプラグ挿入方向側の縁部に接すると、リテーナ44のプラグ挿入方向の移動が阻止される。このとき、リテーナ44の内側突部62がスライドカバー80の軸方向において許容部48の位置にある、すなわち、リテーナ44の外側突部63がスライドカバー80の軸方向において許容部48の位置にある。ここで、内側突部62が縮径部24Aに乗り上げる場合、弾性板部60が径方向外側へ弾性変形し(撓み)、外側突部63が許容部48である貫通孔に挿入されて端部60A及び外側突部63の径方向外側への移動が許容される。そして、内側突部62が凹状部32に到達すると(図9及び図10参照)、弾性板部60が復元し、内側突部62が凹状部32に挿入されて内側突部62が凹状部32に係合する(図9参照)。
【0081】
図9に示されるように、内側突部62が凹状部32に係合した状態でプラグ22をソケット40へ押し込むのをやめると、コイルスプリング30とコイルスプリング54の弾性力(復元力)によってプラグ22がプラグ挿入方向と反対側へ押し戻される(図3参照)。内側突部62が凹状部32に係合しているため、プラグ22とともにリテーナ44がプラグ挿入方向と反対側に移動する。プラグ22及びリテーナ44の移動は、係合爪58が抜け止め孔56のプラグ挿入方向と反対側の縁部に引っ掛かることで阻止される。このとき、リテーナ44の内側突部62がスライドカバー80の軸方向において阻止部46の位置にあるため、外側突部63が阻止部46に接することで、弾性板部60が径方向外側へ弾性変形するのが(撓むのが)阻止される。これにより、プラグ22がリテーナ44を介して筒体42、すなわち、ソケット40に連結される。また、リテーナ44の内側突部62が筒体42の阻止部46の位置にある場合、内側突部62の係合解除動作が阻止されるため、プラグ22とソケット40の連結が維持される。
【0082】
次に、プラグ22とソケット40の連結を解除する動作について説明する。
まず、図11に示されるように、スライドカバー80をプラグ挿入方向へ移動させる(スライドさせる)。この状態では、リテーナ44の内側突部62がスライドカバー80の許容部49に位置にするため、弾性板部60が弾性変形可能な状態となる。このとき、プラグ22が受けるコイルスプリング54の付勢力によって、リテーナ44の弾性板部60が径方向外側に弾性変形して内側突部62が凹状部32から抜け出る。内側突部62が凹状部32から抜け出る(言い換えると、係合状態が解除される)と、プラグ22は、コイルスプリング54の付勢力によってソケット40から押し出され、ソケット40からプラグ22が外れて連結が解除される。
【0083】
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
本実施形態のコネクタ20では、プラグ22をソケット40の筒体42内に挿入することで、凹状部32に内側突部62が挿入されることによってプラグ22とソケット40が連結される。これにより、プラグ22がリテーナ44を介して筒体42、すなわち、ソケット40に連結される。また、コネクタ20では、リテーナ44の内側突部62がスライドカバー80の阻止部46の位置にある場合、内側突部62の係合解除動作が阻止されるため、プラグ22とソケット40の連結が維持される。
【0084】
そして、コネクタ20では、リテーナ44の内側突部62がスライドカバー80の許容部48の位置にある場合(例えば、リテーナ44の内側突部62を筒体42の阻止部46の位置から許容部48の位置に移動させた場合)、内側突部62の係合解除動作が許容される。具体的には、弾性板部60の弾性変形によるプラグ挿入方向側の端部の径方向外側への移動が許容部48によって許容される。そして、係合解除動作によってリテーナ44の内側突部62と凹状部32との係合状態が解除され、ソケット40からプラグ22が外れて連結が解除される。
【0085】
コネクタ20では、ソケット40において、スライドカバー80に阻止部46及び許容部48を設けると共にリテーナ44に内側突部62を設けるという簡単な構成によってプラグ22とソケット40の連結及び連結解除を行うことができる。
【0086】
また、コネクタ20では、ソケット40の許容部48を、スライドカバー80を厚み方向に貫通する貫通孔としていることから、ソケット40の外側から貫通孔を通してスライドカバー80の内側に配置されたリテーナ44の位置を目視で確認することができる。
【0087】
また、コネクタ20では、弾性板部60の板幅を自由端側の部分よりも根元側の部分で狭くしていることから、例えば、弾性板部の板幅を自由端側の部分以上とする構成と比べて、弾性板部60の弾性変形量をコントロールしやすい。
【0088】
また、コネクタ20では、リテーナ44の係合爪58が筒体42の抜け止め孔56に引っ掛かることでリテーナ44が筒体42から抜け出るのが阻止される。これにより、プラグ22を連結する前のソケット40からリテーナ44が脱落するのを防止することができる。
【0089】
また、コネクタ20では、リテーナ44を通して挿入されたプラグ22がコイルスプリング54の弾性力(復元力)によってプラグ挿入方向と反対側に付勢されることで、係合爪58が抜け止め孔56に引っ掛かっている。ここで、係合爪58が抜け止め孔56に引っ掛かっている状態では、リテーナ44の内側突部62が筒体42の阻止部46の位置にあるため、内側突部62の係合解除動作が阻止され、プラグ22とソケット40の連結が維持される。すなわち、コネクタ20では、コイルスプリング54の弾性力(復元力)によってプラグ22とソケット40の連結を維持することができる。
【0090】
また、コネクタ20では、スライドカバー80がプラグ挿入方向と反対側へ付勢されている。ここで、スライドカバー80をプラグの挿入方向側へ移動させると、リテーナ44の内側突部62がスライドカバー80に対して阻止部46の位置から許容部49の位置に相対移動する。このようにスライドカバー80を筒体42の軸方向に移動させることで、リテーナ44を移動させなくても、係合解除動作が可能な状態と、係合解除動作が阻止される状態とをソケット40の外側から簡単に切り替えることができる。さらにコネクタ20では、スライドカバー80がプラグ挿入方向と反対側へ付勢されていることから、プラグ22とソケット40の連結状態において、スライドカバー80を所定の位置に拘束することができる。すなわち、プラグとソケットの連結状態において阻止部46と許容部48、49の筒体軸方向の位置を一定の位置とすることができる。これにより、ソケット40からプラグ22が抜け落ちるのを抑制することができる。
【0091】
また、コネクタ20では、内側突部62を有するリテーナ44を筒体42の周方向に間隔をあけて複数配置していることから、リテーナ44の構造が簡単になり、リテーナ44の成形性が向上する。
【0092】
前述の実施形態では、許容部48をスライドカバー80の周壁を厚み方向で貫通する貫通孔としているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、許容部48をスライドカバー80の内周面80Aに形成された周壁を貫通しない凹部としてもよい。
【0093】
前述の実施形態では、弾性板部60の板幅を根元側の部分が自由端側の部分よりも狭くなるようにしているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、弾性板部60の板幅を変えずに、弾性板部60の板厚みを根元側の部分が自由端側の部分よりも薄くなるようにしてもよいし、弾性板部60の板幅と板厚みの双方を根元側の部分が自由端側の部分よりも狭くかつ薄くなるようにしてもよい。
【0094】
前述の実施形態では、筒体24の外周に2つのリテーナ44を配置しているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、リテーナ44を3つ以上配置してもよいし、一つのリテーナ44を設けてもよい。なお、一つのリテーナ44には、複数の内側突部62が設けられる。
【0095】
前述の実施形態では、許容部49を切り欠きとしているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、許容部49は、スライドカバー80に阻止部46を挟んで許容部48と反対側に設けられた貫通孔としてもよい。
【0096】
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0097】
20 コネクタ
22 プラグ
32 凹状部(被係合部)
40 ソケット
42 筒体
42A 内周面
43 挿入口部
44 リテーナ(保持部材の一例)
46 阻止部
48 許容部
52 配管接続部
54 コイルスプリング(付勢部材の一例)
56 抜け止め孔(抜け止め部の一例)
58 係合爪
60 弾性板部
62 内側突部(突部の一例)
80 スライドカバー(カバー部材の一例)
102 配管
S プラグ挿入方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14