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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050313
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 4/02 20060101AFI20240403BHJP
   A47C 9/02 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
A47C4/02 E
A47C9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157115
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000108627
【氏名又は名称】タカノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】上田 伸行
(72)【発明者】
【氏名】北條 英
(72)【発明者】
【氏名】塚平 一輝
【テーマコード(参考)】
3B095
【Fターム(参考)】
3B095AA03
(57)【要約】
【課題】座本体を座受体に対して簡単に着脱し得る好適な構成を備えた椅子を提供する。
【解決手段】脚Aと、脚Aの上に配設された座Cとを備えた椅子であって、座Cが、座受体1と、座受体1に対して着脱可能な座本体Dとを備えたものである。座本体Dが、座受体1に対して離脱可能な退避姿勢(E)と座受体1に対して取り付けられた取付姿勢(F)との間で、座受体1に対して共通軸cj回りに水平旋回可能に構成されたものとした。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚と、この脚の上に配設された座とを備えた椅子であって、
前記座が、座受体と、この座受体に対して着脱可能な座本体とを備えたものであり、
前記座本体が、前記座受体に対して離脱可能な退避姿勢と前記座受体に対して取り付けられた取付姿勢との間で、前記座受体に対して共通軸回りに水平旋回可能に構成されている椅子。
【請求項2】
前記座本体が、座クッションと、この座クッションの下面に添設されたシェル体とを備えたものであり、
前記座受体に設けられた第一係合部に対して、前記シェル体に設けられた第二係合部が係合することにより、前記座本体が前記取付姿勢を採り得るものである請求項1記載の椅子。
【請求項3】
前記第一、第二係合部が、前記共通軸を中心とした仮想円周線に沿うように一定の間隔を空けて複数配設されている請求項2記載の椅子。
【請求項4】
前記第一係合部及び前記第二係合部の何れか一方が前記共通軸に対して交差する方向に突設された突出構造物であり、他方が前記突出構造物に対して係合し得る案内傾斜面を有したものであり、
前記突出構造物及び前記案内傾斜面は、前記座本体が前記退避姿勢から前記取付姿勢に移動するに連れて漸次密接度合が大きくなるように構成されている請求項3記載の椅子。
【請求項5】
前記突出構造物が、前記案内傾斜面に対して上下方向に係合し得るものである請求項4記載の椅子。
【請求項6】
前記第一係合部が、前記突出構造物を構成するものであり、水平方向に突設された係止突片であり、
前記第二係合部が、前記係止突片が係合し得る上向きの前記案内傾斜面を有する係止突片係合部である請求項5記載の椅子。
【請求項7】
前記突出構造物が、前記案内傾斜面に対して水平方向に係合し得るものである請求項4記載の椅子。
【請求項8】
前記第一係合部が、外側方を向く前記案内傾斜面を有し前記座受体の周縁部に立設された起立壁であり、
前記第二係合部が、前記突出構造物を構成するものであり、前記案内傾斜面に係合し得るように前記シェル体の垂下壁に突設された突出部である請求項7記載の椅子。
【請求項9】
前記座本体と前記座受体との間に、前記取付姿勢の前記座本体が前記退避姿勢方向に逆戻りするのを規制する逆戻り規制機構が設けられている請求項1記載の椅子。
【請求項10】
前記座本体が、座クッションと、この座クッションの下面に添設されたシェル体とを備えたものであり、
前記逆戻り規制機構が、前記座受体及び前記シェル体の何れか一方に設けられた凹部と、他方に設けられ前記取付姿勢においてのみ前記凹部に係合し得る凸部とを備えたものである請求項7記載の椅子。
【請求項11】
前記凸部が、前記シェル体に設けられた片持ち状をなす操作レバーに設けられている請求項10記載の椅子。
【請求項12】
前記座受体及び前記座本体を前記共通軸に位置決めし得る中央位置決め部が設けられたものであり、
前記中央位置決め部が、前記座受体及び前記座本体の何れか一方に設けられた凸部と、他方に設けられ前記凸部が係わり合う凸部係合部とを備えている請求項1記載の椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、座が、座受体と、この座受体に対して着脱可能な座本体とを備えてなるものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
しかしながら、従来の構成のものは、専ら座本体の着脱は、専用の工具等を用いて製造者によって行われる構成のものであり、エンドユーザーである使用者によって簡単に着脱可能な構成のものにはなっていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-128022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたものであり、少なくとも、座本体を座受体に対して簡単に着脱し得る好適な構成を備えた椅子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は次の構成をなしている。
【0007】
請求項1に記載の発明は、脚と、この脚の上に配設された座とを備えた椅子であって、前記座が、座受体と、この座受体に対して着脱可能な座本体とを備えたものであり、前記座本体が、前記座受体に対して離脱可能な退避姿勢と前記座受体に対して取り付けられた取付姿勢との間で、前記座受体に対して共通軸回りに水平旋回可能に構成されている椅子である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記座本体が、座クッションと、この座クッションの下面に添設されたシェル体とを備えたものであり、前記座受体に設けられた第一係合部に対して、前記シェル体に設けられた第二係合部が係合することにより、前記座本体が前記取付姿勢を採り得るものである請求項1記載の椅子である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記第一、第二係合部が、前記共通軸を中心とした仮想円周線に沿うように一定の間隔を空けて複数配設されている請求項2記載の椅子である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記第一係合部及び前記第二係合部の何れか一方が前記共通軸に対して交差する方向に突設された突出構造物であり、他方が前記突出構造物に対して係合し得る案内傾斜面を有したものであり、前記突出構造物及び前記案内傾斜面は、前記座本体が前記退避姿勢から前記取付姿勢に移動するに連れて漸次密接度合が大きくなるように構成されている請求項3記載の椅子である。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記突出構造物が、前記案内傾斜面に対して上下方向に係合し得るものである請求項4記載の椅子である。
【0012】
請求項6に記載の発明は、前記第一係合部が、前記突出構造物を構成するものであり、水平方向に突設された係止突片であり、前記第二係合部が、前記係止突片が係合し得る上向きの前記案内傾斜面を有する係止突片係合部である請求項5記載の椅子である。
【0013】
請求項7に記載の発明は、前記突出構造物が、前記案内傾斜面に対して水平方向に係合し得るものである請求項4記載の椅子である。
【0014】
請求項8に記載の発明は、前記第一係合部が、外側方を向く前記案内傾斜面を有し前記座受体の周縁部に立設された起立壁であり、前記第二係合部が、前記突出構造物を構成するものであり、前記案内傾斜面に係合し得るように前記シェル体の垂下壁に突設された突出部である請求項7記載の椅子である。
【0015】
請求項9に記載の発明は、前記座本体と前記座受体との間に、前記取付姿勢の前記座本体が前記退避姿勢方向に逆戻りするのを規制する逆戻り規制機構が設けられている請求項1記載の椅子である。
【0016】
請求項10に記載の発明は、前記座本体が、座クッションと、この座クッションの下面に添設されたシェル体とを備えたものであり、前記逆戻り規制機構が、前記座受体及び前記シェル体の何れか一方に設けられた凹部と、他方に設けられ前記取付姿勢においてのみ前記凹部に係合し得る凸部とを備えたものである請求項7記載の椅子である。
【0017】
請求項11に記載の発明は、前記凸部が、前記シェル体に設けられた片持ち状をなす操作レバーに設けられている請求項10記載の椅子である。
【0018】
請求項12に記載の発明は、前記座受体及び前記座本体を前記共通軸に位置決めし得る中央位置決め部が設けられたものであり、前記中央位置決め部が、前記座受体及び前記座本体の何れか一方に設けられた凸部と、他方に設けられ前記凸部が係わり合う凸部係合部とを備えている請求項1記載の椅子である。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、少なくとも、座本体を座受体に対して簡単に着脱し得る好適な構成を備えた椅子を提供することができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態を示す斜視図。
図2】同実施形態における正面図。
図3】同実施形態における背面図。
図4】同実施形態における左側面図。
図5】同実施形態における右側面図。
図6】同実施形態における平面図。
図7】同実施形態における底面図。
図8】同実施形態における分解斜視図。
図9】同実施形態における分解斜視図。
図10】同実施形態における後方からの斜視図。
図11】同実施形態における背凭れの背面図。
図12】同実施形態における背凭れの左側面図。
図13】同実施形態における背凭れの底面図。
図14】同実施形態における背凭れの中央縦断面図。
図15図14における下部拡大図。
図16】同実施形態における背凭れの分解斜視図。
図17】同実施形態における背張地の一部破断した背面図。
図18】同実施形態における背張地の一部破断した正面図。
図19】同実施形態における第一、第二の帯状部材の斜視図。
図20】同実施形態における背凭れ本体の底面図。
図21】同実施形態における背支持体の斜視図。
図22】同実施形態における背支持体の分解斜視図。
図23】同実施形態における操作部材の作動説明用の平面図。
図24】同実施形態における操作部材の作動説明用の平面図。
図25】同実施形態における操作部材の作動説明用の平断面図。
図26】同実施形態における操作部材の作動説明用の平断面図。
図27図4におけるX方向矢視図。
図28】同実施形態における座受体の斜視図。
図29】同実施形態における座受体の平面図。
図30】同実施形態における座受体の後部の斜視図。
図31】同実施形態における座受体の正面図。
図32】同実施形態における座受体の背面図。
図33】同実施形態における座受体の左側面図。
図34】同実施形態における座受体の右側面図。
図35】同実施形態における座本体の下方からの斜視図。
図36】同実施形態における座本体の中央横断面図。
図37】同実施形態における座本体の中央縦断面図。
図38】同実施形態におけるシェル体の平面図。
図39】同実施形態におけるシェル体の底面図。
図40】同実施形態におけるシェル体の正面図。
図41】同実施形態におけるシェル体の背面図。
図42】同実施形態におけるシェル体の右側面図。
図43】同実施形態における座本体の座受体に対する取り付けの作動説明図。
図44】同実施形態における座本体の座受体に対する取り付けの作動説明図。
図45】同実施形態における座本体の座受体に対する取り付けの作動説明図。
図46】同実施形態における座本体の座受体に対する取り付けの作動説明図。
図47】同実施形態における座本体の座受体に対する取り付けの作動説明図。
図48】同実施形態における開口部の形成方法の説明図。
図49】同実施形態における開口部の形成方法の説明図。
図50】同実施形態における開口部の形成方法の説明図。
図51】同実施形態における開口部の形成方法の説明図。
図52】同実施形態における開口部の形成方法の説明図。
図53】同実施形態における開口部の形成後の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を、図1~53を参照して説明する。
【0022】
椅子は、脚Aと、脚Aに支持された支持基部Bと、支持基部Bに支持された座Cと、支持基部Bに支持された背支持体Lと、背支持体Lに支持された背凭れMと備えたものである。
【0023】
脚Aは、下端にキャスタを備えた複数本の脚羽根a1と、脚羽根a1の上端部が集合する部位から起立する脚支柱a2とを備えている。脚支柱a2は上下方向に伸縮可能に構成されている。
【0024】
支持基部Bは、脚Aの上端部に取り付けられている。支持基部Bの内部には、座C及び背支持体Lを支持するための図示しない支持機構が設けられている。
【0025】
以下、この実施形態の座Cについて詳述する。
【0026】
<<座C>>
座Cは、脚Aの上に配設された支持基部Bに支持されている。支持基部Bの下面及び座Cの外周面は、正面視において滑らかに連続するように構成されている。
【0027】
座Cは、座受体1と、上方を向く座面を有し座受体1に対して着脱可能な座本体Dとを備えたものである。
【0028】
座Cの外周面、すなわち、座受体1と座本体Dの各外周面は、部分球体状をなすように滑らかに連続したものとなっている。
【0029】
<座受体1>
座受体1は、座本体Dを支持するものである。座受体1の上面部は、座本体Dを構成するシェル体3に対して係わり合うようになっている。すなわち、座受体1の上面部にシェル体3が載設されるようになっている。
【0030】
座受体1は、合成樹脂によりシェル状に形成されている。座受体1は、部分球体状の形態をなしている。使用者等により視認される座受体1の外周面は、球体面状をなすように形成されている。
【0031】
座受体1における前部の外周面は、支持基部Bにおける前部の下面に滑らかに連続するように構成されている。また、座受体1の外周面は、座本体Dの外周面に滑らかに連続するように構成されている。
【0032】
座受体1における左右方向中央部の下部には、支持基部Bを配設し得る下方に開放された凹所11が設けられている。
【0033】
座受体1の上部分すなわち座受体1における上方を向く部分には、座本体Dのシェル体3との連結部を有するシェル体配設部12が設けられている。シェル体配設部12の後端部には、シェル体3に設けられた操作レバーk2との干渉を回避するための切欠部122が設けられている。
【0034】
シェル体配設部12には、詳しくは後述するように、座本体Dを着脱可能な着脱係合構造(中央位置決め部G、上下方向係合機構H、水平方向係合機構I、逆戻り規制機構K)を構成する形状部分が設けられている。
【0035】
座受体1の外周端縁1eは、正面視及び背面視において、左右の両端部から左右方向中央部に向かって漸次下方に位置するように(下方に向かって凹をなすように)形成されている。また、座受体1の外周端縁1eは、側面視において、前後の両端部から前後方向中央部に向かって漸次上方に位置するように(上方に向かって凸をなすように)形成されている。
【0036】
座受体1の外周端縁1eよりも内側に立設された座受体周壁部121の上端は、正面視、背面視、及び、側面視において、略水平方向に延びるように設けられている。
【0037】
<座本体D>
座本体Dは、座クッションDqと、座クッションDqの下面に添設された支持部材であるクッション支持用のシェル体3と、座クッションDqの上部及び周縁部を被覆するとともにシェル体3の周縁部を被覆する座張地Dhを備えたものである。座本体Dには、上面部に平面視において略円形をなした座面が設けられている。
【0038】
[座クッションDq]
座クッションDqは、発泡材であるウレタンフォーム材を主体に形成されたものである。座クッションDqは、上方に向かって漸次幅寸法が大きくなるように形成されている。座クッションDqの下面は、シェル体3に取り付けられている。
【0039】
座クッションDqは、シェル体3に対して上側から外嵌する形状をなしている。座クッションDqは、底面視において、シェル体3よりも大きな形状をなしている。座クッションDqにおける前後方向及び左右方向の寸法は、シェル体3の前後方向及び左右方向の寸法よりも長く設定されている。
【0040】
[シェル体3]
シェル体3は、座クッションDqの下面に取り付けられた概略円盤状をなすものである。シェル体3は、合成樹脂により一体に形成されている。
【0041】
シェル体3は、上面が座クッションDqの下面に接着される円板状部分を有するシェル体本体31と、シェル体本体31の周端縁から下方に延びるように連設され外面が座クッションDqにおける周縁部の内面に添接するサポート壁部33と、サポート壁部33の下端部から斜め上外側方に延びてなり座クッションDqにおける周縁部の下端部を下支えする端壁部34と、サポート壁部33よりも内側におけるシェル体本体31の周縁部下面から下方に垂設された周壁部32とを備えたものである。
【0042】
周壁部32の下端は、正面視、背面視、及び、側面視において、略水平方向に延びるように設けられている。
【0043】
シェル体3には、片持ち状をなし座受体1に対して取付姿勢(F)からの相対回転を阻止し得るように係り合う部位である凸部ktを有した操作レバーk2が一体に設けられている。
【0044】
シェル体本体31には、前後方向及び左右方向中心部に下方に向かって突出した中央凸部g1が設けられている。シェル体本体31には、周壁部32よりも内側において円周方向に一定の間隔を空けて係止突片係合部hkが複数設けられている。
【0045】
中央凸部g1は中央位置決め部Gを構成するものであり、係止突片係合部hkは上下方向係合機構Hを構成するものであり、後で詳述するものとする。
【0046】
周壁部32は、シェル体3の周縁部に配設されている。より具体的に言えば、周壁部32は、シェル体3のサポート壁部33よりも中心部側に配設されている。周壁部32は、座クッションDqを包む座張地Dhの端縁部deが当接し得る外向面32mを有している。
【0047】
周壁部32は、底面視において略円環状に配設されている。すなわち、周壁部32は、底面視において中心凸部g1を中心とした正円をなす仮想円周線上に位置するように、操作レバーk2を配した後部の一箇所のみを除いて正円の軌道上に連続的に配設されている。
【0048】
周壁部32には、外側方に延びてなり座張地Dhの端縁部deの下方への移動を規制し得る外方延出部321が突設されている。外方延出部321は、周壁部32における周方向に一定の間隔を空けて複数配設された突片状のものである。
【0049】
なお、周壁部32における前端部と左右両側端部の三箇所の内面側、すなわち、周壁部32における前部の左右方向中央部分の内面側、及び、周壁部32における左右両側部の前後方向中央部分の内面側には、内方に膨出した内方突出部itが設けられている。内方突出部itは、後で詳述する水平方向係合機構Iを構成するものである。
【0050】
周壁部32の内側面には、シェル体本体31に垂設されるとともに当該シェル体本体31の中央部方向から外方に向かって延びたリブrvが連結されている。リブrvは、シェル体本体31の下面に放射状に配設されている。
【0051】
操作レバーk2は、シェル体本体31に対して片持ち支持されたものである。すなわち、シェル体3には、片持ち状をなし座受体1に対して係り合うレバー部材である操作レバーk2が設けられている。操作レバーk2には、操作端部k22の基端部分から周壁部32の一部を構成する壁状部分k21が立設されている。
【0052】
操作レバーk2は、シェル体本体31の後部に配設されている。操作レバーk2は、基端部keがシェル体本体31に一体に接続されており、外方端部に使用者の手指による操作力を受ける操作端部k22が設けられている。
【0053】
操作レバーk2には、基端部keと操作端部k22との間に、座受体1に設けられた上向きの凹部k1に対して係合し得る凸部ktが下方に向かって突設されている。座受体1の凹部k1と操作レバーk2の凸部ktは、後で詳述する逆戻り規制機構Kを構成するものである。
【0054】
シェル体3におけるサポート壁部33の下端縁3eは、正面視及び背面視において、左右の両端部から左右方向中央部に向かって漸次下方に位置するように(下方に向かって凸をなすように)形成されている。また、シェル体3におけるサポート壁部33の下端縁3eは、側面視において、前後の両端部から前後方向中央部に向かって漸次上方に位置するよう(上方に向かって凸をなすように)に形成されている。
【0055】
シェル体3におけるサポート壁部33の下端縁3eは、座本体Dが取付姿勢(F)をなす場合に、座受体1の外周端縁1eに沿うように設定されている。
【0056】
[座張地Dh]
座張地Dhは、座クッションDqを被覆する伸縮性のある生地を主体に構成されたものである。
【0057】
座張地Dhは、環状をなす端縁部deを有したものである。座張地Dhは、下方に開放された袋状に構成されたものである。座張地Dhには、端縁部deを縮径させて当該端縁部deをシェル体3の周壁部32の外向面32mに対して当接させるための図示しない紐状部材が設けられている。
【0058】
<<座受体1に対する座本体Dの着脱構造>>
座本体Dは、座受体1に対して離脱可能な退避姿勢(E)と座受体1に対して取り付けられた取付姿勢(F)との間で、座受体1に対して共通軸cj回りに水平旋回可能に構成されている。
【0059】
この実施形態の椅子は、清掃・交換等のメンテナンスや保管・搬送の便宜に資するよう、製造者だけでなくエンドユーザー(使用者)によっても、工具を用いることなく、座本体Dを座受体1に対して簡単に着脱操作できるように構成されている。
【0060】
座受体1と座本体Dとの間には、座受体1の軸心に対して座本体Dの軸心が合致するように位置決めする中央位置決め部G、座本体Dが取付姿勢(F)を採る場合に座受体1とシェル体3が上下方向に密に係合する上下方向係合機構H、座本体Dが取付姿勢(F)を採る場合に座受体1とシェル体3が水平方向に密に係合する水平方向係合機構I、及び、取付姿勢(F)の座本体Dが退避姿勢(E)方向に逆戻りするのを規制する逆戻り規制機構Kが設けられている。
【0061】
<中央位置決め部G>
中央位置決め部Gは、座受体1及び座本体Dのシェル体3を共通軸cjに略合致し得るよう位置決めし得るものである。
【0062】
中央位置決め部Gは、円筒状をなし座本体Dにおけるシェル体3の中央部に設けられた下方に突出した中央凸部g1と、座受体1の中央部に設けられ中央凸部g1が相対回転可能に係わり合う孔状をなす中央凸部係合部g2とを備えている。
【0063】
<上下方向係合機構H>
上下方向係合機構Hは、座受体1及び座本体Dのシェル体3を互いに引き合わせるように上下方向に係合させるものである。
【0064】
上下方向係合機構Hは、座受体1に設けられた第一係合部である係止突片hpと、シェル体3に設けられ座受体1の係止突片hpに対して係合し得る第二係合部である係止突片係合部hkとを備えている。
【0065】
座本体Dは、係止突片hpと係止突片係合部hkとが密に係合することにより、取付姿勢(F)を採り得るようになっている。
【0066】
座受体1の係止突片hp、及び、シェル体3の係止突片係合部hkは、共通軸cjを中心とした仮想円周線に沿うように一定の間隔を空けて複数配設されている。
【0067】
[係止突片hp(第一係合部)]
係止突片hpは、共通軸cjに対して交差する方向に突設された突出構造物を構成するものである。係止突片hpは、座受体1の周縁部に平面視において略円環状をなすように立設された起立壁状の座受体周壁部121から内方すなわち共通軸cjのある中心方向に向かって略水平に突設されたものである。
【0068】
係止突片hpは、係止突片係合部hkに設けられた案内傾斜面hmに対して上下方向に係合し得るものである。より具体的に言えば、係止突片hpは、係止突片係合部hkの案内傾斜面hmを下方に向かって押圧し得るものである。つまり、係止突片hpは、座本体Dが退避姿勢(E)から取付姿勢(F)に旋回される過程において座本体Dを下方に移動させるものとなっている。
【0069】
[係止突片係合部hk(第二係合部)]
係止突片係合部hkは、係止突片hpが係合し得る部分である上向きの案内傾斜面hmを有するものである。係止突片係合部hkは、円形板状をなすシェル体本体31から下方に突設されたものである。
【0070】
係止突片係合部hkは、シェル体本体31から下方に垂設された支持壁hsと、支持壁hsに支持され上面に上向きの案内傾斜面hmが設けられた係合部本体hgとを備えている。
【0071】
支持壁hsは、円周方向に延びた第一の支持壁部haと、第一の支持壁部haに連設された当該第一の支持壁部haに対して略直交する方向に延びた第二の支持壁部hbとを備えたものである。
【0072】
第一の支持壁部haは、円周方向に延びた係合部本体hgの内側縁に繋がっている。第二の支持壁部hbは、第一の支持壁部haよりも短い横幅寸法のものであり係合部本体hgにおける円周方向一端縁である基端縁に繋がっている。
【0073】
係合部本体hgは、倒伏姿勢をなし円周方向に延びた板状のものである。係合部本体hgの内側縁及び基端縁は、支持壁hsに繋がっている。係合部本体hgに設けられた上向きの案内傾斜面hmは、先端側から基端側に向かって漸次上方に位置するように傾斜している。ここで、係合部本体hgの先端側とは、退避姿勢(E)から取付姿勢(F)に旋回動作する際に進行する方向の先端をなす縁部側を指している。
【0074】
以上の構成をなす上下方向係合機構Hの係止突片hp及び案内傾斜面hmは、座本体Dが退避姿勢(E)から取付姿勢(F)に旋回移動するに連れて漸次密接度合が大きくなるように構成されている。
【0075】
座本体Dを座受体1に対して取り付ける手順は次の通りである。
【0076】
まず、座本体Dを、図43に示すように、座受体1の上方に離間した状態から、中央位置決め部Gにより水平方向の位置を共通軸cj上に位置決めしつつ、下方に移動させる。
【0077】
次いで、図44に示すように、下方に移動された座本体43を共通軸cj回りに旋回動作させる。
【0078】
その後、図45に示すように、座本体Dが取付姿勢(F)に至ると、係止突片hpと係止突片係合部hkが上下方向に密接するように係合するようになっている。
【0079】
<水平方向係合機構I>
水平方向係合機構Iは、座受体1及び座本体Dのシェル体3を水平方向に係合させるものである。
【0080】
水平方向係合機構Iは、シェル体3に設けられた第二係合部である内方突出部itと、座受体1に設けられシェル体3の水平方向突出部である内方突出部itに対して係合し得る第一係合部である外向き案内傾斜面imとを備えたものである。
【0081】
シェル体3の内方突出部it、及び、座受体1の外向き案内傾斜面imは、共通軸cjを中心とした仮想円周線に沿うように一定の間隔を空けて複数配設されている。
【0082】
[内方突出部it(第二係合部)]
内方突出部itは、共通軸cjに対して交差する方向に突設された突出構造物を構成するものである。内方突出部itは、平面視においてシェル体3に略円環状をなすように立設された垂下壁状の周壁部32から内方すなわち共通軸cj方向に向かって突設されたものである。
【0083】
なお、内方突出部itが設けられた周壁部32の部分からは反対方向すなわち外方に向かって座張地Dhの端縁部deが係止される外方延出部321が延設されている。
【0084】
内方突出部itは、座受体1に設けられた外向き案内傾斜面imに対して水平方向に係合し得るものである。より具体的に言えば、内方突出部itは、座受体1における座受体周壁部121に設けられた外向き案内傾斜面imを内方に向かって押圧し得るものである。
【0085】
[外向き案内傾斜面im(第一係合部)]
外向き案内傾斜面imは、座受体1の周縁部に立設された起立壁である座受体周壁部121の外周面に設けられたものである。外向き案内傾斜面imは、内方突出部itに対して係合し得る水平方向である外側方を向くものである。外向き傾斜面は、時計回りに移動するに連れて漸次外側に位置するように傾斜したものとなっている。
【0086】
以上の構成をなす水平方向係合機構Iの内方突出部it及び外向き案内傾斜面imは、座本体Dが退避姿勢(E)から取付姿勢(F)に時計回りに旋回移動するに連れて漸次密接度合が大きくなるように構成されている。
【0087】
<逆戻り規制機構K>
逆戻り規制機構Kは、座本体Dと座受体1のシェル体3との間に設けられ、取付姿勢(F)の座本体Dが退避姿勢(E)方向に逆戻りするのを規制するものである。
【0088】
一方で、逆戻り規制機構Kは、操作レバーk2をシェル体3の弾性復帰力に抗して上方に変形させるように操作することにより、座本体Dの座受体1に対する相対回転不能な状態を解除することができ、取付姿勢(F)の座本体Dを退避姿勢(E)に旋回させて座受体1から離脱させることができるようになっている。
【0089】
逆戻り規制機構Kは、座受体1の後端部上面に設けられた凹部k1と、シェル体3に設けられ取付姿勢(F)においてのみ凹部k1に係合し得る凸部ktを有した操作レバーk2とを備えたものである。
【0090】
逆戻り規制機構Kの凸部ktは、シェル体3に設けられた片持ち状をなす操作レバーk2に設けられている。操作レバーk2の凸部ktは、使用者の手指による操作力を受ける操作端部k22を部材の弾性変形を利用して上動させることにより、座受体1に設けられた凹部k1との係合状態が解除され、座本体Dを取付姿勢(F)から退避姿勢(E)方向に回転させることができるようになっている。
【0091】
なお、座受体1の後端部上面には凹部k1に隣り合うように操作レバーk2の凸部ktに係合し得る案内傾斜面kmが設けられている。案内傾斜面kmは凹部k1に近づくに連れて漸次上方に位置するように傾斜したものとなっている。傾斜面の最上部は凹部k1の底部よりも上に位置するように設定されている。
【0092】
座本体Dが退避姿勢(E)にある場合、操作レバーk2の凸部ktは、傾斜面における最も低い位置に配設されている。そして、座本体Dが退避姿勢(E)から取付姿勢(F)方向に旋回移動すると、凸部ktは案内傾斜面kmにより漸次操作レバーk2の弾性復帰力に抗して上方向に押し出される。
【0093】
そして、凸部ktは、座本体Dが退避姿勢(E)から取付姿勢(F)に至ると、案内傾斜面kmを乗り越えて、操作レバーk2の弾性復帰力により凹部k1に対して係合するものとなっている。
【0094】
この実施形態では、逆戻り規制機構Kが退避姿勢(E)から取付姿勢(F)に向かうときには、シェル体3の旋回動作によって凸部ktが座受体1の傾斜案内面kmを駆け上がるようにして持ち上がるので、操作レバーk2に対して操作力を加える必要がないものとなっている。このとき、傾斜案内面kmを乗り上げたところで、操作レバーk2の凸部ktは、操作レバーk2の弾性復帰力により自動的に凹部k1に対して嵌り込むものとなっている。すなわち、逆戻り規制機構Kは、退避姿勢(E)から取付姿勢(F)に至る過程においては、操作レバーk2に対する格別な操作は不要なものとなっている。
【0095】
なお、シェル体3の周壁部32における操作レバーk2に隣り合う両側部分には、操作レバーk2の下端位置と同じ位置に至るまで下方に向かって延出した下方突出部32tが設けられている。
【0096】
これら下方突出部32tは、座本体Dやシェル体3を交換用の部材等の目的で、独立して床面等の載置面に置いた場合に、操作レバーk2が載置面によって上方に押し上げられてしまうことを抑制し得るものとなっている。
【0097】
すなわち、操作レバーk2の左右に設けられた下方突出部32tが、載置面による操作レバーk2の押し上げを抑制し得るものとなるため、操作レバーk2に対して所期の弾性変形が損なわれるような曲がり癖が付いてしまうことを好適に回避し得るものとなっている。
【0098】
以下、この実施形態の背支持体Lについて詳述する。
【0099】
<<背支持体L>>
背支持体Lは、背支持体本体5と、背支持体本体5に対して取り付けられるカバー部材6とを備えたものである。
【0100】
背支持体Lには、背凭れMに対して係合する係合姿勢(U)と背凭れMに対して退避した退避姿勢(N)との間で姿勢変更可能な左右の操作部材p1が支持されている。左右の操作部材p1は、後で詳述する離脱禁止機構Pを構成するものである。
【0101】
[背支持体本体5]
背支持体本体5は、支持基部Bに対して回転可能に連結される基端部51と、基端部51に連設され左右に対をなして上下方向に延びてなる左右の起立フレーム部52と、略水平方向に延びてなり左右の起立フレーム部52の上端部に連結された上フレーム部53とを備えたものである。
【0102】
左右の起立フレーム部52の上端部前面側、すなわち、左右の起立フレーム部52と上フレーム部53との連結部分の前面側には、位置決め機構Qを構成する凹部q2が設けられている。凹部q2については後で詳述する。
【0103】
上フレーム部53は、平面視において後方に凸をなすように湾曲した部分円環状をなしている。上フレーム部53は、上フレーム部53に対応する半割形状の上部をなすカバー部材6と協働して、左右両端面が前方を向く円形状をなすとともに全体として部分環状に湾曲した円柱状の外形をなしている。
【0104】
つまり、上フレーム部53は、部分環状に湾曲した円柱状の外形における下半分を構成したものとなっている。換言すれば、上フレーム部53及びカバー部材6は、左右両端部に円形をなす前向端面を有するとともに平面視において後方に凸をなすように湾曲した形状をなし、且つ、全体として部分円環状に曲がった略円柱形状をなしている上フレーム体5aを構成するものである。
【0105】
上フレーム部53には、上下方向に貫通しカバー部材6を上フレーム部53に対して取り付けるためのねじv1が挿通される複数のねじ挿通孔h1が設けられている。
【0106】
上フレーム部53の後部側には、操作部材p1を前方すなわち係合姿勢(U)方向に付勢する付勢部材であるコイルスプリングp3の後部が支持される凹陥形状をなす後の付勢部材係合部532が設けられている。
【0107】
上フレーム部53には、操作部材p1の上下動を規制し得るねじ部材v2が螺着されるボス部533が立設されている。ボス部533及びねじ部材v2は、上下動規制部53kを構成するものである。
【0108】
ボス部533は、操作部材p1における係合部p11の後部に設けられた長孔部p14内に配設されるものである。ねじ部材v2は、その頭部が操作部材p1の上方向への移動を阻止するべく当該操作部材p1における長孔部p14の上部開口縁の近傍に係合し得るものとなっている。
【0109】
[カバー部材6]
カバー部材6は、湾曲円柱状をなす上フレーム体5aの略上半部分を構成するものである。カバー部材6は、左右の操作部材p1を覆うようにして上フレーム部53の上にねじv1により取り付けられるようになっている。
【0110】
カバー部材6は、操作部材p1に設けられた係合部p11及び被操作部p13のみが外部に露出し得るように当該操作部材p1を被覆するものである。
【0111】
カバー部材6には、上フレーム部53から突没進退し得る操作部材p1の係合部p11を囲う窓枠部6wが設けられている。窓枠部6wは、操作部材p1における係合部p11の上側を部分的に被覆する上壁部分61と、左右両側を部分的に被覆する側壁部分62を有している。
【0112】
なお、窓枠部6wは、位置決め機構Qの凹部q2を構成する外周壁q21と協働して正面視において矩形状の窓枠形状部分を形成し得るものとなっている。
【0113】
また、カバー部材6の前面側には、操作部材p1における被操作部p13を露出させるための切欠部6kが設けられている。切欠部6kは、窓枠部6wの内側に隣設されている。
【0114】
以下、この実施形態の背凭れMについて詳述する。
【0115】
<<背凭れM>>
背凭れMは、左右両端部が丸く形成された全体として略横長矩形状をなしたものである。背凭れMは、前面に着座者の背中が当接し得る背凭れ面が設けられている。この実施形態の背凭れMは、使用者による簡単な操作によって、背支持体Lに対して着脱可能に構成されている。背凭れMは、構造物本体である背凭れ本体7と、背凭れ本体7を被覆し得る被覆体である背張地8とを有するものである。
【0116】
<背凭れ本体7>
背凭れ本体7は、合成樹脂により形成された略横長矩形状のなす背凭れ基部71と、背凭れ基部71の前面に添設された背クッション72とを備えたものである。背凭れ本体7における背凭れ基部71の下端部には、下方に開口され左右方向に延びた単一の収容溝7mが設けられている。
【0117】
収容溝7mは、内面が前後方向に対面するように配設された前後一対の溝形成壁7f、7rにより構成されたものである。単一の収容溝7mには、背凭れ本体7を被覆する背張地8における下端縁部に設けられた第一、第二の帯状部材81、82が挿入されるようになっている。
【0118】
収容溝7mの内部すなわち一対の溝形成壁7f、7rの各内面には、複数の係合突起t(f)、t(r)が設けられている。一対の溝形成壁7f、7rの双方に、前又は後に突出した係合突起t(f)、t(r)が設けられている。
【0119】
この実施形態では、係合突起t(f)、t(r)は、収容溝7mの延び方向に沿って前後に対面するように配設された双方の溝形成壁7f、7rに対して交互に設けられている。つまり、収容溝7mには、長手方向一端部から他端部に向かって、一方の溝形成壁7fの係合突起t(f)と他方の溝形成壁7rの係合突起t(r)とが衝突しないように、互い違いに突設されている。
【0120】
背凭れ本体7を構成する背凭れ基部71の背面側には、背支持体Lに連結するための連結構造部である被係合部p2及び突出部q1が設けられている。被係合部p2は、離脱禁止機構Pを構成するものである。突出部q1は、位置決め機構Qを構成するものである。
【0121】
<背張地8(被覆体)>
背張地8は、背凭れ本体7の正面側を覆う表側被覆部8f及び背凭れ本体7の背面側を覆う裏側被覆部8rを含んで構成され下方に開放された袋状をなす背張地本体80と、背張地本体80における下部の開口端部に配設された第一、第二の帯状部材81、82とを備えている。
【0122】
背張地8は、背凭れ本体7の表側である前面側を被覆する表側被覆部8fと、背凭れ本体7の裏側である後面側を被覆する裏側被覆部8rと、表側被覆部8fの一端部である下端部に縫着により取り付けられ背凭れ本体7の収容溝7m内に挿入される第一の帯状部材81と、裏側被覆部8rの一端部である下端部に縫着により取り付けられ背凭れ本体7の収容溝7m内に挿入される第二の帯状部材82とを備えたものである。
【0123】
背張地8は、背面側に左右に対をなして設けられた開口部8sを通じて背凭れ本体7に設けられた連結構造部である被係合部p2及び突出部q1を外部に露出させている。
【0124】
[背張地本体80]
背張地本体80は、伸縮性のある生地により作られた表側被覆部8f及び裏側被覆部8rの下端部を除く周縁部同士を縫着することにより下方に開放された袋状に形成されたものである。
【0125】
背張地本体80の内部には、背凭れ本体7を収容可能な空間が形成されている。背張地本体80の下端部すなわち表側被覆部8fの下端部と裏側被覆部8rの下端部との間には、下方に開放され背凭れ本体7を内部空間に挿入するための下開口部8kが形成されている。
【0126】
なお、この実施形態では、背張地本体80の背面側すなわち裏側被覆部8rには、背凭れ本体7における被係合部p2及び突出部q1を外部に露出させる開口部8sが左右に対をなして設けられている。
【0127】
開口部8sは、生地材である裏側被覆部8rに設けられた貫通孔8tと、裏側被覆部8rにおける貫通孔8tの周縁領域部分である貫通孔周縁部8eと、連続環状をなし貫通孔周縁部8eに縫着により取り付けられる合成樹脂製の環状部材Tとを主体に構成されている。
【0128】
裏側被覆部8rの左右二箇所には、背凭れ本体7の背面側に突設された突出部q1に対応する位置に貫通孔8tが形成されている。
【0129】
環状部材Tは、可撓性を有する素材である合成樹脂製のシート材により四角枠状に形成され中央部に孔部thを有したものである。環状部材Tは、撓み変形可能に構成されている。環状部材Tは、裏側被覆部8rにおける貫通孔周縁部8eに縫着されている。環状部材Tは、取付完了姿勢(Ta)において、裏側被覆部8rによって、外部から孔部th以外が視認不能に覆われている。
【0130】
この実施形態では、取付完了姿勢(Ta)の環状部材Tにおける外面部t1の全域、内側端部t2の全域、及び、内面部t3の少なくとも一部が裏側被覆部8rにおける貫通孔8tの隣設されている貫通孔周縁部8eにより覆われたものであり、且つ、取付完了姿勢(Ta)の環状部材Tの内面部t3に対してのみ貫通孔周縁部8eが固定されたものとなっている。
【0131】
[第一、第二の帯状部材81、82]
第一、第二の帯状部材81、82は、帯状をなし左右方向に延びてなる合成樹脂製のものである。この実施形態では、第一、第二の帯状部材81、82は、それぞれ略同一の構造をなしている。第一、第二の帯状部材81、82のそれぞれには、係合突起t(f)、t(r)が係合し得る複数の貫通孔81a、82aが並び設けられている。
【0132】
[第一、第二の帯状部材81、82と背凭れ本体7の収容溝7mとの係わり合いについて]
表側被覆部8fの下端部に縫着された第一の帯状部材81と、裏側被覆部8rの下端部に縫着された第二の帯状部材82は、背凭れ本体7の下端部に設けられた単一の収容溝7m内に挿入されるようになっている。
【0133】
第一、第二の帯状部材81、82は、互いに重ね合わされた状態で、収容溝7m内にまとめて挿入されるものとなっている。
【0134】
第一、第二の帯状部材81、82が収容溝7m内の所定の位置にまで挿入されると、当該各帯状部材81、82に設けられた貫通孔81a、82aに対して、収容溝7mの溝形成壁7f、7rに突設された係合突起t(f)、t(r)が係合し得るものとなっている。より正確に言えば、挿入された第一、第二の帯状部材81、82は、係合突起t(f)、t(r)に対応する位置にある貫通孔81a、82aだけが、係合突起t(f)、t(r)に対して係止し得るものとなっている。
【0135】
この結果、背張地8の端縁部を構成する第一、第二の帯状部材81、82は、単一の収容溝7mにおける所定の奥方まで進入した後は、係合突起t(f)、t(r)によって下方への移動(逆戻り・抜け出し)が規制されるものとなり、背張地本体80からの引っ張り力を受けた場合であっても外部に簡単に抜け出し難いものとなっている。
【0136】
また、一方の溝形成壁7fに突設された係合突起t(f)と他方の溝形成壁7rに突設された係合突起t(r)は、収容溝7mの伸び方向に沿って交互に配設されているため、第一、第二の帯状部材81、82を係合突起t(f)、t(r)に過度に邪魔されることなく収容溝7m内に無理なく円滑に挿入することができるものとなっている。
【0137】
<<背張地8(被覆体)における開口部8sの形成方法>>
背張地8には開口部8sが設けられている。開口部8sは、貫通孔8tが設けられた生地材である裏側被覆部8rと、連続環状をなし貫通孔周縁部8eに取り付けられるとともに孔部thの前後連通機能は損なわれることなく外部から視認不能に配設された環状部材Tとを備えたものである。
【0138】
この実施形態における背張地8の開口部8sは、以下に示すように、準備工程S1、環状部材外面側取付工程S2、第一の環状部材反転工程S3、及び、第二の環状部材反転工程S4を経ることにより、形成されている。
【0139】
<準備工程S1>
準備工程S1は、図48に示すように、開口部8sを形成すべき背張地8を構成する生地材である背張地本体80、及び、初期姿勢(Tb)の環状部材Tを準備するものである。
【0140】
背張地本体80における裏側被覆部8rには、適宜の方法により貫通孔8tが設けられている。環状部材Tは、背張地本体80に対して縫着可能な可撓性のある薄板枠状のものである。この実施形態では、環状部材Tは、略矩形環状に形成された合成樹脂製のものである。
【0141】
<環状部材外面側取付工程S2>
準備工程の次は、図49及び図50に示すように、生地材である裏側被覆部8rにおける貫通孔周縁部8eの外面側に初期姿勢(Tb)の環状部材Tを取り付ける工程(環状部材外面側取付工程S2)が行われる。
【0142】
この実施形態では、初期姿勢(Tb)の環状部材Tは、貫通孔周縁部8eの外面側に添接した状態で、当該貫通孔周縁部8eに対して縫着されるようになっている。換言すれば、初期姿勢(Tb)の環状部材Tは、貫通孔周縁部8eの外面側に縫着部txを介して固定されるものとなる。
【0143】
つまり、環状部材外面側取付工程S2は、貫通孔8tの縁部分である貫通孔周縁部8eの外面側に対して環状部材Tを縫着させるものである。
【0144】
<第一の環状部材反転工程S3>
環状部材取付工程の次は、図51に示すように、貫通孔周縁部8eの外面側に取り付けられた状態である初期姿勢(Tb)の環状部材Tを、その内周縁側を裏側被覆部8rの内面側に向かって回転させるように撓み変形させつつ前後反転させて当該環状部材Tを裏側被覆部8rの内面側に配設する工程(第一の環状部材反転工程S3)が行われる。
【0145】
<第二の環状部材反転工程S4>
第一の環状部材反転工程S3の次は、図52に示すように、中間姿勢(Tc)の環状部材Tを、内側端縁側を裏側被覆部8rの内面側に向かって更に撓み変形させつつ前後反転させて当該環状部材Tの全体を裏側被覆部8rにより外面側から被覆させる工程(第二の環状部材反転工程S4)が行われる。
【0146】
この実施形態では、上述した各工程を含んでなる背張地8(被覆体)における開口部8sの形成方法を経ることにより、背張地8の裏側被覆部8rに、初期姿勢(Tb)から360°反転された取付完了姿勢(Ta)の環状部材Tにより補強された開口部8sが形成されている。
【0147】
なお、第一、第二の環状部材反転工程S3、S4は、環状部材Tの撓み変形により滑らかに連続して行われるものとなっている。
【0148】
<<背支持体Lに対する背凭れMの着脱構造>>
この実施形態の椅子は、清掃・交換等のメンテナンスや保管・搬送の便宜に資するよう、製造者だけでなくエンドユーザー(使用者)によっても、工具を用いることなく、背凭れMを背支持体Lに対して簡単に着脱操作できるように構成されている。
【0149】
背凭れMの着脱構造は、背凭れMを背支持体Lに対して位置決めする位置決め機構Qと、位置決め機構Qにより正規の取付位置に位置決めされた背凭れMの背支持体Lからの離脱を禁止する離脱禁止機構Pとを備えている。
【0150】
<位置決め機構Q>
位置決め機構Qは、背支持体Lに対して背凭れMを所定の取付位置に位置決めするものである。
【0151】
位置決め機構Qは、背凭れMに設けられた突出部q1と、背支持体Lに設けられ突出部q1が係合し得る凹部q2とを備えたものである。背凭れ本体7に設けられた突出部q1と背支持体Lに設けられた凹部q2とが上下方向に係合し得るものとなっている。
【0152】
[突出部q1]
突出部q1は、背凭れMの左右に対をなして設けられている。突出部q1は、背凭れ本体7の背面側に突設されており、背張地8の開口部8sを通じて外部に露出したものとなっている。
【0153】
突出部q1は、背面視において上下方向に延びてなり下方に向かって漸次幅寸法が短く形成されるとともに側面視において下方に向かって漸次後方に位置するように配設された壁状係止部分q11と、背凭れ本体7と壁状係止部分q11の左右方向中間部分との間を繋ぎ下方に向かって漸次前後方向寸法が長くなるように設けられた連結部分q12とを備えたものである。壁状係止部分q11の上端部は背凭れ本体7に連結されている。
【0154】
突出部q1は、背凭れ本体7に凹設された離脱禁止機構Pを構成する被係合部p2の下に設けられている。
【0155】
[凹部q2]
凹部q2は、背支持体Lを構成する左右の起立フレーム部52における上端部の前側に設けられている。凹部q2は、上方に開放されたものである。凹部q2は、上側から挿入された背凭れMの突出部q1を外嵌めすることができるようになっている。
【0156】
凹部q2は、左右の起立フレーム部52における上端部から前方に突設された外周壁q21の内部に設けられたものである。凹部q2は、底壁部分qt及び当該底壁部分qtの左右両側縁から上方に立設された左右の側壁部分qsを有した外周壁q21と、底壁部分qtの前部に立設された左右一対の前壁部q22とによって構成されている。
【0157】
凹部q2は、左右に離間するように底壁部分qtに立設された左右一対の前壁部q22を有し、当該一対の前壁部q22間に突出部q1の連結部分q12が配設される第一空間qaが設けられた前凹部分qmを備えている。
【0158】
また、凹部q2は、前凹部分qmの後部すなわち一対の前壁部q22の後に形成され底壁部分qtに立設された左右の側壁部分qs間に突出部q1の壁状係止部分q11が配設される第二空間qbが設けられた後凹部分qrを備えている。
【0159】
この実施形態では、位置決め機構Qを構成する背凭れMの突出部q1は、上下方向、より正確に言えば、斜め前上方向から斜め後下方向に向かって移動しつつ、背支持体Lの凹部q2に係合するものとなっている。着座者の背凭れ荷重は上方向、後方向、及び、下方向には作用する一方で、前方には殆ど作用しないものであるため、突出部q1を凹部q2に対して斜め前上方向から斜め後下方向に差し入れるように構成することにより、背凭れMが背支持体Lから抜け難いものとなり、背凭れMを背支持体Lに対して確実に固定することができるものとなっている。
【0160】
<離脱禁止機構P>
離脱禁止機構Pは、背支持体Lと背凭れMとの間に設けられ背支持体Lに対する背凭れMの離脱を禁止するものである。
【0161】
離脱禁止機構Pは、背支持体Lに設けられ背凭れMの離脱を禁止する係合姿勢(U)と背凭れMの離脱を許容する退避姿勢(N)との間で人の操作力により可逆的に動作可能すなわち前後方向に回転可能な操作部材p1と、背凭れMに設けられ係合姿勢(U)において操作部材p1に設けた係合部p11が係合し得る被係合部p2とを備えたものである。
【0162】
[操作部材p1]
操作部材p1は、係合姿勢(U)において、背支持体Lに対する背凭れMの上下方向の移動を禁止するものである。操作部材p1は、背支持体本体5の上フレーム部53に対して回転可能に支持されている。操作部材p1は、背支持体Lの左右に対をなして配設されている。
【0163】
操作部材p1は、基端部である内側端部に設けられ上フレーム部53に立設された軸部531に挿入される上下方向に貫通した軸孔paと、先端部である外側端部に前方に向かって突設された係合部p11と、軸孔paと係合部p11との間の後部側に設けられ付勢部材であるコイルスプリングp3の前部が係合する前の付勢部材係合部p12と、軸孔paと係合部p11との間の前部側に設けられ係合姿勢(U)から退避姿勢(N)への移動時に人の操作力すなわち手指による後方への押圧操作力を直接的に受け付ける被操作部p13と、係合部p11の後部に設けられ上フレーム部53に設けられた上下動規制部53kと係わり合う長孔部p14とを備えたものである。
【0164】
操作部材p1は、コイルスプリングp3により常時係合姿勢(U)の方向に付勢されている。使用者は、係合姿勢(U)にある操作部材p1の被操作部p13をコイルスプリングp3の付勢力に抗して退避姿勢(N)方向(回動端である係合部p11が後方に移動する方向)に押圧することにより当該操作部材p1を退避姿勢(N)に姿勢変更させることができるようになっている。
【0165】
なお、操作部材p1の係合姿勢(U)から退避姿勢(N)への姿勢変更は、使用者の手指により被操作部p13を後方に押圧することにより行われる。つまり、使用者は、被操作部p13を押しボタンのように後方に押圧することにより、操作部材p1を退避姿勢(N)に移動させることができるようになっている。
【0166】
図27に示すように、背支持体Lと背凭れMとの間には、手指を挿入し得る空間spが設けられている。被操作部p13は、背支持体Lと背凭れMとの間の空間を臨む位置に配設されている。このため、使用者は、無理なく被操作部p13を、押しボタンのように押圧操作することができるものとなっている。
【0167】
しかも、背支持体Lと背凭れMとの間に、係合姿勢(U)における操作部材p1の被操作部p13の外表面だけを露出させるようにしている。換言すれば、被操作部p13の外表面とカバー部材6の外面とは略面一をなすように構成されている。そのため、被操作部p13は、外部から操作可能に配設されたものであるにもかかわらず、目立ち難い箇所に配設され、且つ、カバー部材6との関係で目立ち難いように略面一の形態を採ったものとなっている。
【0168】
[被係合部p2]
被係合部p2は、背支持体Lに支持された操作部材p1の係合部p11が係合し得る部位をなしている。被係合部p2には、係合姿勢(U)をなす操作部材p1の係合部p11が係合するようになっている。
【0169】
被係合部p2は、背凭れMの左右に対をなして設けられている。被係合部p2は、背凭れ本体7の背面側に後方に開放するように設けられた凹陥形状をなしている。背凭れ本体7に凹設された被係合部p2は、背張地8の開口部8sを通じて外部に露出したものとなっている。
【0170】
被係合部p2は、背凭れ本体7から突設された位置決め機構Qを構成する突出部q1の上に設けられている。
【0171】
背凭れMが位置決め機構Qにより正規の取付位置に位置決めされた後に、操作部材p1の係合部p11が被係合部p2に係合されると、背凭れMは、背支持体Lに対して上動することができないものとなり、結果として、背支持体Lからの離脱が禁止されるものとなる。
【0172】
上述した実施形態であれば、人の操作力により可逆的に動作可能な操作部材p1を用いて、背支持体Lに対して背凭れMを簡単に着脱し得る好適な構成を有した椅子を提供することできるものとなる。
【0173】
また、上述した実施形態であれば、座本体Dが、座受体1に対して離脱可能な退避姿勢(E)と座受体1に対して取り付けられた取付姿勢(F)との間で、座受体1に対して共通軸cj回りに水平旋回可能に構成されている。このため、座本体Dを座受体1に対して格別な工具を用いることなく簡単に着脱し得る好適な構成を備えた椅子を提供することができるものとなる。
【0174】
また、上述した実施形態であれば、シェル体3の周縁部に、座張地Dhの端縁部deが当接し得る外向面32mを有し底面視において略円環状に配設された周壁部32が設けられている。このため、座クッションDqを被覆する座張地Dhの端縁部deをシェル体3の周壁部32に対して略均一な押圧力により好適に当接させることができる椅子を提供することができるものとなる。
【0175】
また、上述した実施形態であれば、構造物本体である背凭れ本体7には、係合突起t(f)、t(r)を設けた収容溝7mが設けられており、背張地8には、収容溝7mの係合突起t(f)、t(r)に係わり合う貫通孔81a、82aが設けられた第一、第二の帯状部材81、82を備えている。このため、構造物本体である背凭れ本体7の収容溝7mに対して、背張地8の端縁を簡単且つ抜け難く取り付けることができる構成を備えた椅子を提供することができるものとなる。
【0176】
また、上述した実施形態であれば、部材を被覆し得る被覆体である背張地8に、好適な外観をなす補強された開口部8sを好適に形成し得る方法を提供することができるものとなる。また、上述した実施形態であれば、背張地8等に適用されるものであり、好適な外観をなす補強された開口部8sを有する被覆体を有した椅子を提供することができるものとなる。
【0177】
以上説明したように、本実施形態に係る椅子は、脚Aと、脚Aの上に配設された座Cとを備えたものである。そして、座Cが、座受体1と、座受体1に対して着脱可能な座本体Dとを備えたものである。
【0178】
座本体Dは、座受体1に対して離脱可能な退避姿勢(E)と座受体1に対して取り付けられた取付姿勢(F)との間で、座受体1に対して共通軸cj回りに水平旋回可能に構成されている。
【0179】
このため、座本体Dを座受体1に対して簡単に着脱し得る好適な構成を備えた椅子を提供することができるものとなる。
【0180】
座本体Dが、座クッションDqと、座クッションDqの下面に添設されたシェル体3とを備えたものである。そして、座受体1に設けられた第一係合部である係止突片hpに対して、シェル体3に設けられた第二係合部である係止突片係合部hkが係合することにより、座本体Dが取付姿勢(F)を採り得るものである。
【0181】
このため、座受体1の係止突片hpに対してシェル体3の係止突片係合部hkを座本体Dの水平旋回に伴わせて好適に係わり合わせることができるものとなっている。
【0182】
座本体Dが、座クッションDqと、座クッションDqの下面に添設されたシェル体3とを備えたものである。そして、座受体1に設けられた第一係合部である外向き案内傾斜面imに対して、シェル体3に設けられた第二係合部である内方突出部itが係合することにより、座本体Dが取付姿勢(F)を採り得るものである。
【0183】
このため、座受体1の外向き案内面imに対してシェル体3の内方突出部itを座本体Dの水平旋回に伴わせて好適に係わり合わせることができるものとなっている。
【0184】
第一、第二係合部である係止突片hp、係止突片係合部hkが、共通軸cjを中心とした仮想円周線に沿うように一定の間隔を空けて複数配設されているものである。
【0185】
このため、係止突片hpと、係止突片係合部hkは、座本体Dの水平旋回に伴って好適に係り合うものとなっている。
【0186】
第一、第二係合部である外向き案内傾斜面im、内方突出部itが、共通軸cjを中心とした仮想円周線に沿うように一定の間隔を空けて複数配設されているものである。
【0187】
このため、外向き案内傾斜面imと、内方突出部itは、座本体Dの水平旋回に伴って好適に係り合うものとなっている。
【0188】
第一係合部である係止突片hpが共通軸cjに対して交差する方向に突設された突出構造物であり、第二係合部である係止突片係合部hkが係止突片hpに対して係合し得る案内傾斜面hmを有したものである。そして、係止突片hp及び案内傾斜面hmは、座本体Dが退避姿勢(E)から取付姿勢(F)に移動するに連れて漸次密接度合が大きくなるように構成されている。
【0189】
このため、係止突片hpと、案内傾斜面hmは、座本体Dの水平旋回に伴って好適に係り合うものとなっている。
【0190】
第二係合部である内方突出部itが共通軸cjに対して交差する方向に突設された突出構造物であり、第一係合部である外向き案内傾斜面imが内方突出部itに対して係合し得るものである。そして、内方突出部it及び外向き案内傾斜面imは、座本体Dが退避姿勢(E)から取付姿勢(F)に移動するに連れて漸次密接度合が大きくなるように構成されている。
【0191】
このため、内方突出部itと、外向き案内傾斜面imは、座本体Dの水平旋回に伴って好適に係り合うものとなっている。
【0192】
突出構造物である係止突片hpが、案内傾斜面hmに対して上下方向に係合し得るものである。
【0193】
このため、座本体Dは、座受体1に対する上下方向の位置決めが好適に行われるものとなる。
【0194】
第一係合部が、突出構造物を構成するものであり、水平方向に突設された係止突片hpであり、第二係合部が、係止突片hpが係合し得る上向きの案内傾斜面hmを有する係止突片係合部hkである。
【0195】
このため、座本体Dは、水平方向に突設された係止突片hpに対して、上向きの案内傾斜面hmを有する係止突片係合部hkを係わり合わせることにより、上下方向の位置決めが好適に行われるものとなる。
【0196】
すなわち、この実施形態の座Cは、係止突片hpと上向きの案内傾斜面hmとの協働によって、座受体1に対するシェル体3の上下方向の位置決めが好適に行われるものとなる。
【0197】
しかも、上向きの案内傾斜面hmは、座受体1に対するシェル体3の嵌め込み易さ、及び、座受体1に対するシェル体3のがたつきの抑制に資するものとなっている。
【0198】
つまり、座本体Dが退避姿勢(E)を採る場合には、上向きの傾斜案内面hmに基づいて係止突片hpを受け入れるクリアランスが比較的大きく確保されているため、この状態から座本体Dを取付姿勢(F)方向に回転させる際に係止突片hpをクリアランスを有する上向きの案内傾斜面hmに対して導入し易いものとなっている。
【0199】
一方で、座本体Dが取付姿勢(F)を採る場合には、上向きの傾斜案内面hmは座受体1の係止突片hpによってクリアランスが無くなるように下方に強圧されるものとなっている。そのため、座本体Dが、着座者の着座荷重を受けた場合であっても、座本体Dと座受体1との間で上下方向に遊び空間が発生し難いものとなっており、座本体Dが座受体1に対してがたつくという不具合が好適に抑制されるものとなっている。
【0200】
突出構造物である内方突出部itが、外向き案内傾斜面imに対して水平方向に係合し得るものである。
【0201】
このため、座本体Dは、座受体1に対する水平方向の位置決めが好適に行われるものとなる。
【0202】
第一係合部が、外側方を向く外向き案内傾斜面imを有し座受体1の周縁部に立設された起立壁たる座受体周壁部121であり、第二係合部が突出構造物を構成するものであり外向き案内傾斜面imに係合し得るようにシェル体3の垂下壁である周壁部32に突設された内方突出部itである。
【0203】
このため、座本体Dは、座受体1に対する水平方向の位置決めが好適に行われるものとなる。
【0204】
すなわち、この実施形態の座Cは、内方突出部itと外向き案内傾斜面imとの協働によって、座受体1に対するシェル体3の水平方向の位置決めが好適に行われるものとなる。
【0205】
しかも、外向きの案内傾斜面imは、座受体1に対するシェル体3の嵌め込み易さ、及び、座受体1に対するシェル体3のがたつきの抑制に資するものとなっている。
【0206】
つまり、座本体Dが退避姿勢(E)を採る場合には、外向きの傾斜案内面imに基づいて内方突出部itを受け入れるクリアランスが比較的大きく確保されているため、座本体Dを所定の高さ位置まで降下させて座受体1に対して嵌め込みやすいものとなっている。しかも、この状態から座本体Dを取付姿勢(F)方向に回転させる際に内方突出部itをクリアランスを有する外向きの案内傾斜面imに対して導入し易いものとなっている。
【0207】
一方で、座本体Dが取付姿勢(F)を採る場合には、座本体Dの内方突出部itは、座受体1における外向きの傾斜案内面imに対してクリアランスが無くなるように内方に向かって強圧することになる。そのため、座本体Dが、着座者による左右方向の着座荷重を受けた場合であっても、座本体Dと座受体1との間で左右方向の遊び空間が発生し難いものとなっており、座本体Dが座受体1に対してがたつくという不具合が好適に抑制されるものとなっている。
【0208】
座本体Dと座受体1との間に、取付姿勢(F)の座本体Dが退避姿勢(E)方向に逆戻りするのを規制する逆戻り規制機構Kが設けられている。
【0209】
このため、座本体Dは、座受体1に対して好適に取り付けられるとともに逆戻り規制機構Kにより取り付けられた状態が好適に維持されるものとなっている。
【0210】
座本体Dが、座クッションDqと、座クッションDqの下面に添設されたシェル体3とを備えたものである。そして、逆戻り規制機構Kが、座受体1に設けられた凹部k1と、座本体Dに設けられ取付姿勢(F)においてのみ凹部k1に係合し得る凸部ktとを備えたものである。
【0211】
このため、逆戻り規制機構Kは、座受体1に設けられた凹部k1と座本体Dに設けられた凸部ktとを係合させることにより、好適に機能し得るものとなっている。
【0212】
逆戻り規制機構Kの凸部ktが、シェル体3に設けられた片持ち状をなす操作レバーk2に設けられている。
【0213】
このため、操作レバーk2の動きを利用して、逆戻り規制機構Kを構成する凹部k1と凸部ktとの係合及び係合解除を円滑に行わせる設計を好適に行うことができるものとなっている。
【0214】
この実施形態では、逆戻り規制機構Kが退避姿勢(E)から取付姿勢(F)に向かうときには、シェル体3の旋回動作によって凸部ktが座受体1の傾斜案内面kmを駆け上がるようにして持ち上がるので、操作レバーk2に対して操作力を加える必要がないものとなっている。このとき、傾斜案内面kmを乗り上げたところで、操作レバーk2の凸部ktは、操作レバーk2の弾性復帰力により自動的に凹部k1に対して嵌り込むものとなっている。すなわち、逆戻り規制機構Kは、退避姿勢(E)から取付姿勢(F)に至る過程においては、操作レバーk2に対する格別な操作は不要なものとなっている。
【0215】
なお、シェル体3の周壁部32における操作レバーk2に隣り合う両側部分には、操作レバーk2の下端位置と同じ位置に至るまで下方に向かって延出した下方突出部32tが設けられている。
【0216】
これら下方突出部32tは、座本体Dやシェル体3を交換用の部材等の目的で、独立して床面等の載置面に置いた場合に、操作レバーk2が載置面によって上方に押し上げられてしまうことを抑制し得るものとなっている。
【0217】
すなわち、操作レバーk2の左右に設けられた下方突出部32tが、載置面による操作レバーk2の押し上げを抑制し得るものとなるため、操作レバーk2に対して所期の弾性変形が損なわれるような曲がり癖が付いてしまうことを好適に回避し得るものとなっている。
【0218】
座受体1及び座本体Dを共通軸cjに位置決めし得る中央位置決め部Gが設けられたものである。そして、中央位置決め部Gが、座本体Dに設けられた凸部である中央凸部g1と、座受体1に設けられ中央凸部g1が係わり合う凸部係合部である中央凸部係合部g2とを備えている。
【0219】
このため、比較的大きな構造物である座本体Dを、座受体1に対して、共通軸cjに合致する中心部を位置合わせの目安とすることにより、簡単に位置決めすることができるものとなっている。
【0220】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0221】
座受体に対する座本体の取付姿勢は、座受体に設けられた第一係合部に対して、シェル体に設けられた第二係合部が係合することにより採り得るものであればよい。
【0222】
すなわち、第一係合部と第二係合部の具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能なものである。
【0223】
第一係合部及び第二係合部の何れか一方が共通軸に対して交差する方向に突設された突出構造物であり、他方が突出構造物に対して係合し得る案内傾斜面を有したものであればよい。
【0224】
突出構造物と案内傾斜面の係合する方向は、適宜設定可能であることは言うまでもない。
【0225】
逆戻り規制機構は、座本体と座受体との間に、取付姿勢の座本体が退避姿勢方向に逆戻りするのを規制するものであればよく、その具体的な構成については、適宜のものを適用し得るものである。
【0226】
逆戻り規制機構は、上述した実施形態のものとは異なる構成のものであってもよく、例えば、座受体に凸部を設けるとともに座本体に凹部を設けたものであってもよい。
【0227】
中央位置決め部は、上述した実施形態のものとは異なる構成のものであってもよく、例えば、座受体の中心部に凸部を設けるとともに座本体に凹部を設けたものであってもよい。
【0228】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0229】
A…脚
C…座
1…座受体
D…座本体
3…シェル体
(E)…退避姿勢
(F)…取付姿勢
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
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