(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050322
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/58 20060101AFI20240403BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240403BHJP
A61P 15/10 20060101ALI20240403BHJP
A61P 15/12 20060101ALI20240403BHJP
A61K 31/352 20060101ALI20240403BHJP
A61K 36/15 20060101ALI20240403BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20240403BHJP
A61K 36/894 20060101ALN20240403BHJP
A23L 29/238 20160101ALN20240403BHJP
【FI】
A61K31/58
A61P43/00 121
A61P15/10
A61P15/12
A61K31/352
A61K36/15
A23L33/105
A61K36/894
A23L29/238
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157131
(22)【出願日】2022-09-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(72)【発明者】
【氏名】海田 真帆
(72)【発明者】
【氏名】尾上 貴俊
(72)【発明者】
【氏名】本岡 香奈
(72)【発明者】
【氏名】田中 夏子
【テーマコード(参考)】
4B018
4B041
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB08
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4C086AA01
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4C088ZC75
(57)【要約】
【課題】男性機能改善や男性更年期症状改善に有効な組成物を提供すること。
【解決手段】プロシアニジン及びジオスゲニンを含有する組成物であり、好ましくはプロシアニジンが松樹皮抽出物由来であり、ジオスゲニンがワイルドヤム由来の組成物である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロシアニジン及びジオスゲニンを含有することを特徴とする組成物。
【請求項2】
プロシアニジンが松樹皮抽出物由来であり、ジオスゲニンがワイルドヤム由来であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
乾燥質量換算で0.005~1質量%のプロシアニジンを含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
乾燥質量換算で0.1~20質量%のジオスゲニンを含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
プロシアニジン及びジオスゲニンの含有量が、質量比でプロシアニジン1に対してジオスゲニンが1~200であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
男性機能改善用であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項7】
男性更年期症状改善用であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロシアニジン及びジオスゲニンを含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康志向の高まりを背景に種々の健康食品の開発が行われており、健康食品に用いられる様々な素材の研究が行われている。さらに、健康志向と同様に安全志向の高い昨今、安全な素材を用いることが好まれており、日常的に食されていたり、食すことが可能な植物素材が有する有用な機能を活用することが望まれている。
【0003】
例えば、松樹皮等に含まれるプロシアニジンは、腸内フローラ改善(特許文献1)や、炎症性腸疾患予防(特許文献2)等の機能性について広く研究されており、更なる有用な機能の研究が望まれている。また、ジオスゲニンは、骨粗しょう症の予防・治療効果(特許文献3)や皮膚加齢の兆候の防止・低減効果(特許文献4)等の機能性について広く研究されており、更なる有用な機能の研究が望まれている。また、ワイルドヤムやその抽出物は、皮膚の老化予防効果(特許文献5)や白髪の予防効果(特許文献6)等の機能性について広く研究されており、更なる有用な機能の研究が望まれている。
【0004】
一方、近年、高齢者人口の増加に伴い、男性の陰茎勃起機能不全症(ED)患者は急増しているといわれている。この勃起機能不全症患者の回復薬として、バイアグラ(VIAGRA(登録商標))が知られているが、バイアグラは性行為の約30分前に服用しなければならないといった制約がある上、服用を続けることで、血圧の急激かつ大幅な低下、心臓への酸素供給に支障をきたす狭心などの問題点も指摘されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-008911号公報
【特許文献2】特開2007―077122号公報
【特許文献3】特表2000-503020号公報
【特許文献4】特開2005-132823号公報
【特許文献5】特表2004-515523号公報
【特許文献6】特開2010-195730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、男性機能の改善及び/又は更年期症状の改善が可能な組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、プロシアニジンと共にジオスゲニンを用いることにより、優れた男性機能改善効果及び/又は優れた男性更年期症状改善効果が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1] プロシアニジン及びジオスゲニンを含有することを特徴とする組成物。
[2] プロシアニジンが松樹皮抽出物由来であり、ジオスゲニンがワイルドヤム由来であることを特徴とする、[1]に記載の組成物。
[3] 乾燥質量換算で0.005~1質量%のプロシアニジンを含有することを特徴とする、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4] 乾燥質量換算で0.1~20質量%のジオスゲニンを含有することを特徴とする、[1]又は[2]に記載の組成物。
[5] 乾燥質量換算で0.05~1質量%のプロシアニジン、及び乾燥質量換算で0.1~20質量%のジオスゲニンを含有することを特徴とする、[1]又は[2]に記載の組成物。
[6] プロシアニジン及びジオスゲニンの含有量が、質量比でプロシアニジン1に対してジオスゲニンが1~200であることを特徴とする、[1]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[7] ワイルドヤム及び松樹皮抽出物を含有することを特徴とする組成物。
[8] ワイルドヤムがワイルドヤム抽出物であることを特徴とする、[7]に記載の組成物。
[9] 男性機能改善用であることを特徴とする、[1]~[8]のいずれかに記載の組成物。
[10] 男性更年期症状改善用であることを特徴とする、[1]~[8]のいずれかに記載の組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の組成物は、優れた男性機能改善効果及び/又は優れた男性更年期症状改善効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の組成物のNO合成酵素遺伝子発現量(相対値)を示す図である。
【
図2】本発明の組成物のテストステロン産生量(相対値)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の組成物は、プロシアニジン及びジオスゲニンを含有することを特徴とする。
本発明の組成物は、優れた男性機能改善効果及び/又は優れた男性更年期症状改善効果を奏する。したがって、本発明の組成物は、男性機能改善用組成物及び/又は男性更年期症状改善用組成物として用いることができる。
【0012】
ここで、本発明における男性機能改善とは、陰茎勃起機能等の男性機能の低下抑制、維持及び向上を含む概念である。また、男性更年期症状改善とは、男性更年期症状の発生抑制(予防)、緩和及び治癒を含む概念である。ここで、男性更年期症状とは、男性ホルモンの減少に伴う各種症状をいい、例えば、陰茎勃起機能不全等の性機能症状、関節痛、疲れやすい等の身体症状、不安、うつ等の精神症状を含む。
【0013】
以下、本発明の組成物に含まれる各成分について説明する。
[プロシアニジン]
プロシアニジンは、フラバン-3-オールを基本骨格の構成単位とする重合度が2以上の縮重合体からなる化合物群である。プロアントシアニジンとして重合度が2以上の縮重合体が含有されていることが好ましい。特に、重合度が低い縮重合体が多く含まれるプロアントシアニジンが好ましい。重合度の低い縮重合体としては、例えば、重合度が2~30の縮重合体(2~30量体)であり、より高い効果を得ることができる点から、重合度が2~10の縮重合体(2~10量体)が好ましく、重合度が2~4の縮重合体(2~4量体)が特に好ましい。重合度が2~4の縮重合体(2~4量体)の中でも、プロシアニジンB1及びプロシアニジンB3を含有することが好ましい。プロシアニジンB1は、(-)エピカテキンと(+)カテキンとがC4-C8結合した二量体であり、プロシアニジンB3は、(+)カテキンと(+)カテキンとがC4-C8結合した二量体である。
【0014】
プロシアニジンは、マツ科マツ属(Pinus)の樹皮である松樹皮や、リンゴ、ブドウ等に含まれる成分である。本発明の組成物に含有されるプロシアニジンとしては、植物から精製したものや化学合成して得たものや市販されている試薬を用いてもよく、プロシアニジンを含有する植物を用いてもよい。本発明の組成物に含有されるプロシアニジンとしてプロシアニジンを含有する植物を用いる場合には、より高い効果を得ることができる点から、松樹皮を用いることが好ましい。
【0015】
松樹皮の原料松としては、フランス海岸松(Pinus pinaster)、カラマツ、クロマツ、アカマツ、ヒメコマツ、ゴヨウマツ、チョウセンマツ、ハイマツ、リュウキュウマツ、ウツクシマツ、ダイオウマツ、シロマツ等を挙げられ、これらに限定されない。これらの中でも、より高い効果を得ることができる点から、フランス海岸松が好ましい。
【0016】
本発明においては、松樹皮を加工して用いることができ、松樹皮加工物としては、例えば、チップ状物、粉砕物(顆粒、粉末)、搾汁物、抽出物を挙げることができる。搾汁物や抽出物は、液状やスラリー状であってもよいが、乾燥粉末(搾汁末、エキス末)が好ましい。本発明において用いられる松樹皮は、製剤性を考慮すると、適用が容易であることから、粉砕物、搾汁物又は抽出物であることが好ましく、より高い効果を得ることができる点から、抽出物がより好ましく、その乾燥粉末(エキス末)が特に好ましい。松樹皮加工物は、当業者により通常知られている方法によって製造したものでもよいし、市場に流通しているものであってもよい。例えば、株式会社東洋新薬製の松樹皮抽出物を用いることができる。
【0017】
本発明において松樹皮抽出物を使用する場合、松樹皮抽出物としては、抽出液や、その希釈液もしくは濃縮液、又はそれらの乾燥粉末などを挙げることができる。抽出溶媒としては、例えば、水、有機溶媒、含水有機溶媒(含水エタノールといった含水アルコール)が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、ブタン、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び1,1,2-トリクロロエテンが挙げられる。これらの水及び有機溶媒は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。抽出溶媒としては、水を用いることが好ましい。なお、抽出する際の溶媒の温度は、用いる溶媒の沸点以下であれば限定されない。
【0018】
松樹皮抽出物を得る方法については、特に限定はないが、例えば、加温抽出法、超臨界流体抽出法、液体二酸化炭素回分法、液体二酸化炭素還流法、超臨界二酸化炭素還流法等が挙げられる。また、複数の抽出方法を組み合わせてもよい。複数の抽出方法を組み合わせることにより、種々の組成の松樹皮抽出物を得ることが可能となる。
【0019】
超臨界流体抽出法とは、物質の気液の臨界点(臨界温度、臨界圧力)を超えた状態の流体である超臨界流体を用いて抽出を行う方法である。超臨界流体としては、二酸化炭素、エチレン、プロパン、亜酸化窒素(笑気ガス)等が用いられるが、二酸化炭素が好ましく用いられる。
【0020】
超臨界流体抽出法では、目的成分を超臨界流体によって抽出する抽出工程と、目的成分と超臨界流体を分離する分離工程とを行う。分離工程では、圧力変化による抽出分離、温度変化による抽出分離、吸着剤、吸収剤を用いた抽出分離のいずれを行ってもよい。
【0021】
また、エントレーナー添加法による超臨界流体抽出を行ってもよい。この方法は、抽出流体に、例えば、エタノール、プロパノール、n-ヘキサン、アセトン、トルエン、その他の脂肪族低級アルコール類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類を2~20w/v%程度添加し、この流体を用いて超臨界流体抽出を行うことによって、プロシアニジンB1やプロシアニジンB3、カテキン類等の目的とする抽出物の抽出溶媒に対する溶解度を飛躍的に上昇させる、あるいは分離の選択性を増強させる方法であり、効率的な松樹皮抽出物を得る方法である。
【0022】
超臨界流体抽出法は、比較的低い温度で操作できるため、高温で変質・分解する物質にも適用できるという利点、抽出流体が残留しないという利点、溶媒の循環利用が可能であるため、脱溶媒工程等が省略でき、工程がシンプルになるという利点がある。
【0023】
上記の抽出により得られた松樹皮抽出物を、カラム法又はバッチ法により精製することが安全性の面から好ましい。カラム法としては、例えば、ダイヤイオンHP-20、Sephadex-LH20、キチン等の吸着性担体を用いた精製方法が挙げられる。
【0024】
本発明の組成物におけるプロシアニジンの量は、HPLCにて分析することができる。例えば、紫外部吸収検出器付きHPLC分析装置により測定することができ、分析カラムは一般財団法人化学物質評価研究機構製のL-Column ODS 3μm(4.6×250mm)を用い、移動相の液媒として、0.1M酢酸水溶液(移動相A)、0.1M酢酸アセトニトリル溶液(移動相B)を用い、カラム温度は40℃、流量1.0mL/分とすることができる。グラジエント条件は以下の通りとすることができる。
【0025】
【0026】
松樹皮抽出物に含まれるプロシアニジンの含有量としては、0.1~30質量%が好ましく、0.5~20質量%がより好ましく、1~10質量%が特に好ましい。
【0027】
[ジオスゲニン]
ジオスゲニンは、例えばワイルドヤムと称されるヤマノイモ科(Dioscoreaceae)に属するDioscorea oppositifolia又はDioscorea opposita、Dioscorea composita、ナガイモ(Dioscorea batatas)、タチドコロ(Dioscorea gracillima)、ヤマノイモ(山芋)(Dioscorea japonica)、オニドコロ(Dioscorea tokoro)、ヒメドコロ(Dioscorea tenuipes)、カエデドコロ(Dioscorea quinqueloba)、モミジドコロ(Dioscorea septemloba)、シオデ属植物等に含有されるステロイドサポゲニンであり、肌の美白効果(特表2010-535758)、シワとり等皮膚改善効果(特表2009-501209、特開2007-016013)、発毛効果(特開2006-273754)等の効果が知られている。本発明の組成物に含有されるジオスゲニンは、精製されたものを用いてもよく、ジオスゲニンを含有する植物を用いてもよいが、経口摂取における安全性の観点から、ジオスゲニンを含有する植物を用いることが好ましい。ジオスゲニンを含有する植物としては、ヤマノイモ科(Dioscoreaceae)に属する植物を用いることが好ましく、Dioscorea oppositifolia、Dioscorea opposita、Dioscorea composita、Dioscorea batatas、Dioscorea gracillima、Dioscorea japonica、Dioscorea tokoro、Dioscorea tenuipes、Dioscorea quinqueloba、Dioscorea septemlobaがより好ましく、より高い効果を得ることができる点から、Dioscorea oppositifolia又はDioscorea oppositaと称されるワイルドヤムを用いることが特に好ましい。
【0028】
ワイルドヤムは、葉、茎、花、根などを使用することができるが、本発明の組成物に含有されるワイルドヤムの使用部位は、前述のジオスゲニンをより多く含有する点、また、本発明の効果をより有効に発揮できる点から、茎、根であることが好ましく、根が特に好ましい。なお、ワイルドヤムの根を使用する場合、根とともに葉、茎、花の部位を含んでもよい。
【0029】
本発明においては、ワイルドヤムを加工して用いることができ、ワイルドヤム加工物としては、例えば、チップ状物、粉砕物(顆粒、粉末)、搾汁物、抽出物を挙げることができる。搾汁物や抽出物は、液状やスラリー状であってもよいが、乾燥粉末(搾汁末、エキス末)が好ましい。これらの中でも、より高い効果を得ることができる点から、粉砕物、抽出物が好ましく、ジオスゲニンを多く含む加工物を得られることから、抽出物がより好ましく、その乾燥粉末(エキス末)が特に好ましい。ワイルドヤムの加工物は、当業者により通常知られている方法によって製造されたものでもよいし、市場に流通しているものでもよい。
【0030】
本発明においてワイルドヤム抽出物を使用する場合、ワイルドヤム抽出物としては、抽出液や、その希釈液もしくは濃縮液、又はそれらの乾燥粉末などを挙げることができる。抽出溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどの低級アルコール;酢酸エチル、酢酸メチルなどの低級エステル;アセトン;又はこれらの混合溶媒などが挙げられる。これらの中でも、より高い効果を得ることができる点から、水、エタノール又は含水エタノールが好ましく、含水エタノールが特に好ましい。また、得られた抽出物を必要に応じてスプレードライ、フリーズドライなどによって粉末化してもよく、粉末化を行う際に賦形剤を添加してもよい。
【0031】
ワイルドヤム抽出物を得る際の抽出方法は特に限定されず、通常用いられる方法(例えば、浸漬抽出、還流抽出、超臨界流体抽出など)によって抽出することができる。また、ワイルドヤム抽出物を得る際の抽出温度は、室温~溶媒の沸点の間で任意に設定でき、例えば室温~抽出溶媒の沸点の温度で、振盪下、非振盪下又は還流下にて抽出することができる。抽出温度が沸点付近の場合には必要に応じて還流してもよい。
【0032】
ワイルドヤム抽出物に含まれるジオスゲニンの含有量としては、5~70質量%が好ましく、7.5~60質量%がより好ましく、10~50質量%が特に好ましい。
【0033】
本発明の組成物は、例えば、医薬品(医薬部外品を含む)や、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品などのいわゆる健康食品等の経口組成物として用いることができる。
【0034】
本発明の組成物は、男性機能改善用組成物として用いることができ、かかる男性機能改善用組成物としては、プロシアニジン及びジオスゲニンを含有し、男性機能改善の機能が発揮される点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物(広告媒体)のいずれかに、男性機能の改善の機能を表示したものが本発明の範囲に含まれる。
【0035】
具体的には、「男性機能のサポートに」、「男性の活力に」、「活力ある毎日へ」等を表示した健康食品や列記した機能が報告されている旨を表示した健康食品を例示することができる。また、機能性表示食品においては、男性機能改善を機能性の科学的根拠とするものが含まれる。
【0036】
本発明の男性機能改善用組成物は、プロシアニジン及び/又はジオスゲニンを有効成分として表示するものであってもよいが、製品の包装等に、プロシアニジン及び/又はジオスゲニンが有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分を特定していないものであってもよい。また、一般的な食品であっても、用途を示唆して製造販売されるものは本発明の範囲に含まれる。例えば、摂取した人の個人的感想として、男性機能改善に言及する体験談をホームページ等に記載して販売される食品等についても、本発明の範囲に含まれる。
【0037】
本発明の組成物は、男性更年期症状改善用組成物として用いることができ、かかる男性更年期症状改善用組成物としては、プロシアニジン及びジオスゲニンを含有し、男性更年期症状改善の機能が発揮される点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物(広告媒体)のいずれかに、男性更年期症状改善の機能を表示したものが本発明の範囲に含まれる。
【0038】
具体的には、「更年期の悩みに」、「更年期対策」、「更年期症状が気になる男性に」、「中高年の方をサポート」等を表示した健康食品や列記した機能が報告されている旨を表示した健康食品を例示することができる。また、機能性表示食品においては、男性更年期症状改善を機能性の科学的根拠とするものが含まれる。
【0039】
本発明の男性更年期症状改善用組成物は、プロシアニジン及び/又はジオスゲニンを有効成分として表示するものであってもよいが、製品の包装等に、プロシアニジン及び/又はジオスゲニンが有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分を特定していないものであってもよい。また、一般的な食品であっても、用途を示唆して製造販売されるものは本発明の範囲に含まれる。例えば、摂取した人の個人的感想として、男性更年期症状改善又は抑制に言及する体験談をホームページ等に記載して販売される食品等についても、本発明の範囲に含まれる。
【0040】
本発明の組成物の形態としては、例えば、錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、液状、粒状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、ペースト状、クリーム状、カプレット状、ゲル状、チュアブル錠状、スティック状、ゼリー状等を挙げることができる。アイス、ゼリー、クッキー、ケーキ、チョコレート、ペットボトル飲料等の形態であってもよい。これらの中でも、錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、液状、丸状、チュアブル錠状、ゼリー状の形態が好ましく、錠状、粉末状、顆粒状、液状、ゼリー状が特に好ましい。
【0041】
本発明の組成物を錠状、丸状、チュアブル錠状、ゼリー状とする場合、賦形剤、滑沢剤、流動化剤のいずれか1種以上を添加することが好ましい。これにより、成型性が高められ、製造された剤の保存安定性が向上する。特に、賦形剤及び滑沢剤を使用することで保存安定性をより高めることができる。
【0042】
本発明の組成物に含有されるプロシアニジンの含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有されればよい。例えば本発明の組成物中に、乾燥質量換算で0.0001~30質量%含有させることができ、0.0005~10質量%含有させることが好ましく、0.001~5質量%含有させることがより好ましく、より高い効果を得ることができる点から、0.001~2.5質量%含有させることが特に好ましい。
【0043】
本発明の組成物が錠状である場合、本発明の組成物に含有されるプロシアニジンの含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有されればよい。例えば錠状である本発明の組成物中に、乾燥質量換算で0.001~30質量%含有させることができ、0.005~10質量%含有させることが好ましく、0.01~5質量%含有させることがより好ましく、より高い効果を得ることができる点から、0.05~2.5質量%含有させることが特に好ましい。
【0044】
本発明の組成物が粉末状又は顆粒状である場合、本発明の組成物に含有されるプロシアニジンの含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有されればよい。例えば粉末状又は顆粒状である本発明の組成物中に、乾燥質量換算で0.0005~30質量%含有させることができ、0.001~10質量%含有させることが好ましく、0.005~5質量%含有させることがより好ましく、より高い効果を得ることができる点から、0.001~0.5質量%含有させることが特に好ましい。
【0045】
本発明の組成物がゼリー状である場合、本発明の組成物に含有されるプロシアニジンの含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有されればよい。例えばゼリー状である本発明の組成物中に、乾燥質量換算で0.0001~10質量%含有させることができ、0.0005~5質量%含有させることが好ましく、0.001~0.05質量%含有させることがより好ましく、より高い効果を得ることができる点から、0.003~0.02質量%含有させることが特に好ましい。
【0046】
本発明の組成物が液状の飲料である場合、本発明の組成物に含有されるプロシアニジンの含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有されればよい。例えば液状の飲料である本発明の組成物中に、乾燥質量換算で0.005~10質量%含有させることができ、0.01~5質量%含有させることが好ましく、0.05~3質量%含有させることがより好ましく、より高い効果を得ることができる点から、0.1~1.0質量%含有させることが特に好ましい。
【0047】
本発明の組成物に含有されるジオスゲニンの含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有されればよい。例えば本発明の組成物中に、乾燥質量換算で0.005~50質量%含有させることができ、0.01~40質量%含有させることが好ましく、0.05~30質量%含有させることがより好ましく、より高い効果を得ることができる点から、0.10~20質量%含有させることが特に好ましい。
【0048】
本発明の組成物が錠状である場合、本発明の組成物に含有されるジオスゲニンの含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有されればよい。例えば錠状である本発明の組成物中に、乾燥質量換算で0.005~60質量%含有させることができ、0.05~40質量%含有させることが好ましく、0.5~30質量%含有させることがより好ましく、より高い効果を得ることができる点から、1~20質量%含有させることが特に好ましい。
【0049】
本発明の組成物が粉末状又は顆粒状である場合、本発明の組成物に含有されるジオスゲニンの含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有されればよい。例えば粉末状又は顆粒状である本発明の組成物中に、乾燥質量換算で0.001~25質量%含有させることができ、0.005~10質量%含有させることが好ましく、0.01~5質量%含有させることがより好ましく、より高い効果を得ることができる点から、0.5~3質量%含有させることが特に好ましい。
【0050】
本発明の組成物がゼリー状である場合、本発明の組成物に含有されるジオスゲニンの含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有されればよい。例えばゼリー状である本発明の組成物中に、乾燥質量換算で0.0005~30質量%含有させることができ、0.005~10質量%含有させることが好ましく、0.01~5質量%含有させることがより好ましく、より高い効果を得ることができる点から、0.05~2.5質量%含有させることが特に好ましい。
【0051】
本発明の組成物が液状の飲料である場合、本発明の組成物に含有されるジオスゲニンの含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有されればよい。例えば液状の飲料である本発明の組成物中に、乾燥質量換算で0.01~60質量%含有させることができ、0.1~50質量%含有させることが好ましく、0.5~45質量%含有させることがより好ましく、より高い効果を得ることができる点から、1~40質量%含有させることが特に好ましい。
【0052】
プロシアニジン及びジオスゲニンの配合質量比としては、例えば、1:0.01~1000であり、1:0.1~500であることが好ましく、1:0.5~300であることがより好ましく、1:1~200であることがさらに好ましい。
【0053】
本発明における組成物の摂取量としては特に制限はないが、より高い効果を得ることができる点から、プロシアニジン及びジオスゲニンの合計摂取量が、成人の1日当たり1mg以上となるように摂取することが好ましく、5mg以上となるように摂取することがより好ましく、10mg以上となるように摂取することがさらに好ましい。その上限は、例えば、20mgであり、好ましくは40mgであり、より好ましくは50mgである。
【実施例0054】
[実施例1]
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0055】
<試験1 NO合成酵素遺伝子発現量の評価>
一酸化窒素(NO)合成酵素遺伝子発現量について評価した。
血管内皮でNO合成酵素(eNOS)により産生されたNOが拡散されて血管平滑筋に届くと、筋肉が弛緩されて血管が拡張する。NO合成酵素遺伝子発現量が増加すると、NO合成酵素量が増加し、NO産生量が増加するため、血流改善が期待できる。NO合成酵素遺伝子発現量を評価することで、血流改善による男性機能改善効果を評価することができる。
【0056】
[被験物質]
プロシアニジンとして、フランス海岸松樹皮の熱水抽出物、ジオスゲニンとして、ワイルドヤム(Dioscorea oppositifolia)の根の含水エタノール抽出物を使用した。
また、アルギニンは、松樹皮抽出物と組み合わせることにより男性機能改善効果を発揮することが知られていることから(特表2003-534286)、比較例の成分として使用した。アルギニンは、市販のものを使用した。
【0057】
上記被験物質を用いて、下記表2の割合となるように、実施例1~5及び比較例1~4の被験サンプルを調製した。
【0058】
【0059】
[細胞培養]
ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC:Lonza製)をEndothelial Cell Growth Medium 2(EGM-2)培地で培養した。コラーゲンコートされた96ウェルプレートに前記の細胞を1×104cells/wellとなるように播種し、37℃、5容量%CO2インキュベーター内で、24時間前培養した。各wellより培地を除去後、培地に溶解した被験サンプルを100 μL/well添加し、24時間培養した。各試験群の成分の総量は0.235 μg/mlになるように調製した。なお、被験サンプルを含まない培地を添加したものをコントロールとした。
【0060】
[NO合成酵素(eNOS)遺伝子発現量の測定]
各wellより培地を除去後、PBSで1回洗浄し、RNeasy Mini Kit(QIAGEN製)を用いてRNAを回収した。得られたRNAより、One Step TBGreen(登録商標) PrimeScript RT-PCR KitII(Takara製)を用いてリアルタイムPCRを実施した。NOS3(eNOS)のプライマー(Takara製)を用いて、NOS3(eNOS)の遺伝子発現量を測定した。内在性コントロールとして、GAPDHのプライマー(QIAGEN製)を用いて、GAPDHの遺伝子発現量を測定した。
【0061】
[NO合成酵素遺伝子発現量の評価]
コントロールの遺伝子発現量を1とした場合の、NO合成酵素遺伝子発現量の相対値を算出した。結果を
図1に示す。
【0062】
図1に示すように、プロシアニジン及びジオスゲニンを含有する群(実施例1~5)においては、プロシアニジンのみを投与した群(比較例1)やジオスゲニンのみを投与した群(比較例2)に比して、NO合成酵素遺伝子発現量の顕著な増加が認められた。また、プロシアニジン又はジオスゲニンにアルギニンを配合した群(比較例3及び4)と比べても、本発明の組成物は、NO合成酵素遺伝子発現量の顕著な増加を示した。
以上より、プロシアニジン及びジオスゲニンを組み合わせることにより、NO合成酵素遺伝子発現量の顕著な増加が見られることから、優れた男性機能改善効果を得ることができる。
【0063】
<試験2 テストステロン産生量の評価>
テストステロン産生量について評価した。
テストステロン(男性ホルモン)の増加により、性的欲求が高まることが期待できる。したがって、テストステロン産生量を評価することで、性的欲求向上による男性機能改善効果を評価することができる。また、テストステロン(男性ホルモン)の増加により、男性更年期症状改善効果を評価することができる。
【0064】
[被験物質]
被験物質は、試験1と同様とした。
【0065】
[細胞培養]
マウス精巣腫瘍ライディッヒ細胞(I-10:JCRB細胞バンク)を15%ウマ血清(HS)および2.5%ウシ胎児血清(FBS)含有Ham’s F12培地で培養した。U底の96ウェルプレートに前記の細胞を5×103cells/wellとなるように播種し、37℃、5容量%CO2インキュベーター内で、24時間前培養した。各wellより半量の培地を除去後、終濃度の2倍濃度になるように培地に溶解した被験サンプルを50 μL/well添加し、24時間培養した。各試験群の成分の総量は1.41 μg/mlになるように調製した。なお、被験サンプルを含まない培地を添加したものをコントロールとした。
【0066】
[テストステロン産生量の測定]
細胞上清中のテストステロン濃度をTestosterone, EIA Kit(Cayman製)を用いて評価した。
【0067】
[テストステロン産生量の評価]
コントロールのテストステロン濃度を100とした場合の、テストステロン濃度の相対値を算出した。結果を
図2に示す。
【0068】
図2に示すように、プロシアニジン及びジオスゲニンを含有する群(実施例1~5)は、プロシアニジンのみを投与した群(比較例1)、ジオスゲニンのみを投与した群(比較例2)、プロシアニジン又はジオスゲニンにアルギニンを配合した群(比較例3及び4)に比して、テストステロン産生量の顕著な増加を示した。
したがって、プロシアニジン及びジオスゲニンを組み合わせることにより、テストステロン産生量の増加が見られることから、優れた男性機能改善効果及び優れた男性更年期症状改善効果を得ることができる。
【0069】
[配合実施例1]
(錠剤の製造)
下記成分からなる錠剤(750mg)を製造した。本錠剤は、本発明の効果を奏するものであった。
プロシアニジン(松樹皮由来) 0.17質量%
ジオスゲニン(ワイルドヤム由来) 6.00質量%
結晶セルロール 10.00質量%
二酸化ケイ素 5.00質量%
還元麦芽糖 78.83質量%
【0070】
[配合実施例2]
(飲料用粉末の製造)
下記成分からなる飲料用粉末(3g)を製造した。本飲料用粉末は、本発明の効果を奏するものであった。
プロシアニジン(松樹皮由来) 0.04質量%
ジオスゲニン(ワイルドヤム由来) 1.50質量%
デキストリン 20.00質量%
ポリデキストロース 20.00質量%
還元麦芽糖水飴 50.00質量%
香料 残量
【0071】
[配合実施例3]
(顆粒の製造)
下記成分からなる顆粒(3g)を製造した。本顆粒は、本発明の効果を奏するものであった。
プロシアニジン(松樹皮由来) 0.1質量%
ジオスゲニン(ワイルドヤム由来) 3.0質量%
還元麦芽糖 30.0質量%
ショ糖脂肪酸エステル 10.0質量%
澱粉 25.0質量%
デキストリン 25.0質量%
二酸化ケイ素 2.0質量%
香料 残量
【0072】
[配合実施例4]
(液体(飲料)の製造)
下記成分を混合し、その後、200mLの水に溶かして液体(飲料)を製造した。本液体(飲料)は、本発明の効果を奏するものであった。
プロシアニジン(松樹皮由来) 0.43質量%
ジオスゲニン(ワイルドヤム由来) 15質量%
還元麦芽糖 41.97質量%
ポリデキストロース 2.5質量%
スクラロース 40質量%
香料 0.1質量%
【0073】
[配合実施例5]
(ゼリーの製造)
下記成分からなるゼリー(15g)を製造した。本ゼリーは、本発明の効果を奏するものであった。
プロシアニジン(松樹皮由来) 0.0087質量%
ジオスゲニン(ワイルドヤム由来) 0.3000質量%
ぶどう糖 30.0000質量%
デキストリン 0.5000質量%
カラギーナン 0.5000質量%
タマリンドガム 0.5000質量%
香料 0.1000質量%
リン酸二水素カリウム 0.0200質量%
精製水 残量