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▶ 株式会社日立プラントメカニクスの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050324
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】天井クレーンシステム
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/48 20060101AFI20240403BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20240403BHJP
   B66C 13/46 20060101ALI20240403BHJP
   B66C 15/00 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B66C13/48 A
B65G1/137 A
B66C13/46 G
B66C13/46 H
B66C15/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157136
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】504005781
【氏名又は名称】株式会社日立プラントメカニクス
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 光二
(72)【発明者】
【氏名】野口 峻介
(72)【発明者】
【氏名】古賀 久之
【テーマコード(参考)】
3F204
3F522
【Fターム(参考)】
3F204AA02
3F204CA01
3F204DA03
3F204DA08
3F204DB04
3F204DB06
3F204DD09
3F204DD11
3F522AA02
3F522AA03
3F522BB03
3F522BB08
3F522BB36
3F522CC05
3F522CC06
3F522GG03
3F522GG24
3F522GG34
3F522LL10
3F522LL11
3F522LL51
(57)【要約】
【課題】搬送物の入出庫に対して柔軟な対応を可能とすることを課題とする。
【解決手段】管理装置1は、コイルの載置場所を特定するための情報と、コイルのサイズに関する情報とを格納している置場在庫情報121と、マップ要素の場所を特定する座標と、コイルの載置場所を特定するための情報とが対応付けられて格納されている3次元マップ情報122と、マップ要素を特定するための座標を格納している3次元経路地図124と、を記憶装置12に格納しており、置場在庫情報における情報と、3次元マップ情報122における座標とを基に、3次元経路地図124におけるマップ要素を特定し、特定したマップ要素にコイルサイズに基づく高さ情報を格納することを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を搬送する搬送領域において、前記搬送物を上方に持ち上げて所定の方向及び当該方向と直角方向に搬送する天井クレーン装置と、
前記搬送領域に載置されている前記搬送物と干渉しないような前記天井クレーン装置の搬送経路を生成する天井クレーン制御装置と、
を有し、
前記天井クレーン制御装置は、
少なくとも前記搬送物の載置場所を特定するための載置場所情報と、前記搬送物のサイズに関する情報である搬送物サイズ情報とを格納している置場管理情報と、
前記搬送領域を所定のメッシュに区切った個々のメッシュ領域であるマップ要素の前記搬送領域での場所を特定するマップ要素特定情報と、前記載置場所情報とが対応付けられて格納されている3次元マップ情報と、
前記搬送領域と、前記マップ要素とが対応付けられ、前記マップ要素を特定するためのマップ要素特定情報を格納している3次元経路情報と、
を記憶部に格納しており、
前記置場管理情報における前記載置場所情報と、前記3次元マップ情報におけるマップ要素特定情報とを基に、前記3次元経路情報における前記マップ要素を特定し、
特定した前記3次元経路情報における前記マップ要素に前記搬送物サイズ情報に基づく高さ情報を格納する
ことを特徴とする天井クレーンシステム。
【請求項2】
前記搬送物サイズ情報は、前記搬送物の高さである搬送物高であり、
前記天井クレーン装置によって搬送されている前記搬送物と、前記搬送領域に載置されている前記搬送物とが干渉しないよう、予め設定されている高さである安全高が設定されており、
前記天井クレーン制御装置は、
前記安全高が前記搬送物高に加算された高さを前記搬送物サイズ情報に基づく高さ情報として、前記3次元経路情報における前記マップ要素に格納する
ことを特徴とする請求項1に記載の天井クレーンシステム。
【請求項3】
前記搬送物サイズ情報は、前記搬送物の高さである搬送物高であり、
前記搬送物は、複数段で積載されており、
前記置場管理情報には、前記搬送物が積載されている段に関する情報が格納されており、
前記天井クレーン装置によって搬送されている前記搬送物と、前記搬送領域に載置されている前記搬送物とが干渉しないよう、予め設定されている高さである安全高が設定されており、
前記天井クレーン制御装置は、
前記搬送物が積載されている段に関する情報と、前記搬送物高を基に、前記搬送物が積載されている高さである積載高を算出し、
前記安全高が前記積載高に加算された高さを、前記搬送物サイズ情報に基づく高さ情報として、特定した前記マップ要素に格納する
ことを特徴とする請求項1に記載の天井クレーンシステム。
【請求項4】
前記天井クレーン制御装置は、
前記搬送物の入庫情報が入力されると、
前記入庫情報に基づいて、前記置場管理情報、前記3次元経路情報を更新する
ことを特徴とする請求項1に記載の天井クレーンシステム。
【請求項5】
前記天井クレーン制御装置は、
前記搬送物の出庫情報が入力されると、
前記出庫情報に基づいて、前記置場管理情報、前記3次元経路情報を更新する
ことを特徴とする請求項1に記載の天井クレーンシステム。
【請求項6】
前記搬送物は、鋼板を巻いたコイルである
ことを特徴とする請求項1に記載の天井クレーンシステム。
【請求項7】
前記置場管理情報及び3次元マップ情報では、前記コイルの載置場所が、前記コイル同士の相関位置、及び、積載情報で管理されている
ことを特徴とする請求項6に記載の天井クレーンシステム。
【請求項8】
搬送物を搬送する搬送領域において、前記搬送物を上方に持ち上げて所定の方向及び当該方向と直角方向に搬送する天井クレーン装置と、
前記搬送領域に載置されている前記搬送物と干渉しないような前記天井クレーン装置の搬送経路を生成する天井クレーン制御装置と、
を有し、
前記天井クレーン制御装置は、
少なくとも前記搬送物の載置場所を特定するための載置場所情報と、前記搬送物のサイズに関する情報である搬送物サイズ情報とを格納している置場管理情報と、
前記搬送領域を所定のメッシュに区切った個々のメッシュ領域であるマップ要素の前記搬送領域での場所を特定するマップ要素特定情報と、前記載置場所情報とが対応付けられて格納されている3次元マップ情報と、
前記搬送領域と、前記マップ要素とが対応付けられ、前記マップ要素を特定するためのマップ要素特定情報を格納している3次元経路情報と、
を記憶部に格納しており、
前記置場管理情報における前記載置場所情報と、前記3次元マップ情報におけるマップ要素特定情報とを基に、前記3次元経路情報における前記マップ要素を特定し、
特定した前記3次元経路情報における前記マップ要素に前記搬送物サイズ情報に基づく高さ情報を格納し、
前記3次元経路情報に基づいて、前記天井クレーン装置の搬送経路を作成し、
前記天井クレーン装置が、
前記搬送経路に基づいて前記搬送物を搬送する
ことを特徴とする天井クレーンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井クレーンシステムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
鋼板を巻いたコイルを天井クレーンシステムによって搬送することが行われている。このような天井クレーンシステムについて、特許文献1に記載されている技術が開示されている。
【0003】
特許文献1には、「複数のグリッドで表されたXZ平面内の出発位置(From)から目標位置(To)まで移動体1が移動する経路を探索する経路探索方法において、移動体1のX方向の速度Vx及びZ方向の速度Vzに基づいて、各グリッドに目標位置(To)から各グリッドまでの移動体1の移動時間に関連する評価値を設定する。設定した評価値に基づいて、出発位置(From)から目標位置(To)までの最短時間経路10を探索する」経路探索方法及びクレーンの動作パターンの作成方法が開示されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-21312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術では、コイル置場をメッシュに区切り、そのメッシュに対して定義されている絶対的な位置を基に搬送管理が行われている。しかし、そのような搬送管理では、搬送物の入出庫に対する柔軟な対応が困難であった。
【0006】
このような背景に鑑みて本発明がなされたのであり、本発明は、搬送物の入出庫に対して柔軟な対応を可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決するため、本発明は、搬送物を搬送する搬送領域において、前記搬送物を上方に持ち上げて所定の方向及び当該方向と直角方向に搬送する天井クレーン装置と、前記搬送領域に載置されている前記搬送物と干渉しないような前記天井クレーン装置の搬送経路を生成する天井クレーン制御装置と、を有し、前記天井クレーン制御装置は、少なくとも前記搬送物の載置場所を特定するための載置場所情報と、前記搬送物のサイズに関する情報である搬送物サイズ情報とを格納している置場管理情報と、前記搬送領域を所定のメッシュに区切った個々のメッシュ領域であるマップ要素の前記搬送領域での場所を特定するマップ要素特定情報と、前記載置場所情報とが対応付けられて格納されている3次元マップ情報と、前記搬送領域と、前記マップ要素とが対応付けられ、前記マップ要素を特定するためのマップ要素特定情報を格納している3次元経路情報と、を記憶部に格納しており、前記置場管理情報における前記載置場所情報と、前記3次元マップ情報におけるマップ要素特定情報とを基に、前記3次元経路情報における前記マップ要素を特定し、特定した前記3次元経路情報における前記マップ要素に前記搬送物サイズ情報に基づく高さ情報を格納することを特徴とする。
その他の解決手段は実施形態中において適宜記載する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、搬送物の入出庫に対して柔軟な対応を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る天井クレーンシステムの構成例を示す図である。
図2】本実施形態に係る管理装置の詳細な構成を示す図である。
図3】第1実施形態に係る天井クレーン装置の概略図である。
図4A】本実施形態で吊荷として用いられるコイルの例を示す図(その1)である。
図4B】本実施形態で吊荷として用いられるコイルの例を示す図(その2)である。
図5A】本実施形態で吊荷として用いられるコイルの例を示す図(その3)である。
図5B】本実施形態で吊荷として用いられるコイルの例を示す図(その4)である。
図6A】コイルの積載高の計算を示す図(その1)である。
図6B】コイルの積載高の計算を示す図(その2)である。
図7】3次元経路地図を示す図(その1)である。
図8A】コイルの載置状態を示す図(その1)である。
図8B】コイルの載置状態を示す図(その2)である。
図9】3次元経路地図を示す図(その2)である。
図10A】コイルの載置状態及び積載状態を示す図(その1)である。
図10B】コイルの載置状態及び積載状態を示す図(その2)である。
図11】置場在庫情報の例を示す図である。
図12】「列」、「行」、「段」の例を示す図である。
図13】3次元マップ情報の例を示す図である。
図14】システム情報の例を示す図である。
図15】本実施形態に係る在庫管理方法の全体処理手順を示すフローチャートである。
図16】置場在庫情報の作成の処理手順を示すフローチャートである。
図17】3次元経路地図の作成の処理手順を示すフローチャート(その1)である。
図18】3次元経路地図の作成の処理手順を示すフローチャート(その2)である。
図19】3次元経路地図の作成の具体例を示す図である。
図20】置場在庫情報及び3次元経路地図の更新処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
(システム構成)
図1は、本実施形態に係る天井クレーンシステムZの構成例を示す図である。
天井クレーンシステムZは、管理装置1、上位システム2、制御装置3、天井クレーン装置6を有する。天井クレーン制御装置である管理装置1は上位システム2と通信を行い、上位システム2からの入庫/出庫指示により、搬送物であるコイルCの搬送を行うための指令を制御装置3へ送信する。なお、本実施形態において、コイルCとは鉄を薄く伸ばしたものである鋼板を巻いたものである。この際、管理装置1はコイルCの搬送時、置場在庫情報121(図2参照)から作成した3次元経路地図124図2参照)を用い、搬送領域であるコイル置場において障害物に当たらない経路を決定し、コイルCの搬送を行うための指令を制御装置3へ送信する。すなわち、管理装置1は、コイル置場に載置されているコイルCと干渉しないような天井クレーン装置6の搬送経路を生成する。ちなみに、図1において、破線矢印A1は上位システム2から管理装置1へ送信される情報を示し、破線矢印A2は、管理装置1から上位システム2へ送信される情報を示す。上位システム2から管理装置1へ送信される情報(破線矢印A1)には、上位在庫情報21(詳細は後記)や、入庫指示や、出庫指示等が含まれる。入庫指示、及び、出庫指示は、上位システム2にオペレータが情報を入力することで作成される指示である。そして、管理装置1から上位システム2へ送信される情報(破線矢印A2)には、在庫要求の問い合わせや、入庫実績や、出庫実績が含まれる。入庫実績は、どのコイルCが、コイル置場のどこに入庫されたかに関する情報、出庫実績は、コイル置場のどこに載置されているコイルCが出庫されたかに関する情報である。
【0012】
制御装置3は、管理装置1から送信された指令に基づいて天井クレーン装置6を制御し、吊荷であるコイルCの搬送を行う。
【0013】
なお、コイルCの在庫情報は上位システム2で上位在庫情報21(図2参照)として一元管理されている。管理装置1の業務開始時において、天井クレーンシステムZが自動運転モードに切り替えたられた後、管理装置1は上位システム2から上位在庫情報21を取得し、取得した上位在庫情報21を基に置場在庫情報121を作成する。また、管理装置1は、置場在庫情報121等を基に3次元経路地図124を作成する。3次元経路地図124については後記するが、天井クレーン装置6の搬送領域であるコイル置場に載置されているコイルCの高さ情報と場所情報とを対応付けているものである。そして、管理装置1はコイルCを搬送した都度、置場在庫情報121を更新するとともに、3次元経路地図124を更新する。なお、管理装置1の詳細及び動作については後記する。
【0014】
(管理装置1)
図2は、本実施形態に係る管理装置1の詳細な構成を示す図である。適宜、図1を参照する。
管理装置1は、PC(Personal Computer )等であり、揮発性メモリで構成されるメモリ11、CPU(Central Processing Unit)13、HD(Hard Disk)や、SSD(Solid State Drive)等で構成される記憶装置12を有する。また、管理装置1は、上位システム2や、制御装置3との通信を行う通信装置14を備えている。
【0015】
記憶部である記憶装置12には、置場在庫情報121、3次元マップ情報122、システム情報123、3次元経路地図124が格納されている。
置場管理情報である置場在庫情報121には、コイルCが載置されている場所や、コイルCによる積載高が格納されている。積載高とは、コイルCが複数積載されている場合における積載されているコイルCの高さである。置場在庫情報121の詳細については後記する。
3次元マップ情報122には、コイル置場を複数のメッシュで表現している場合、メッシュの1つ1つと、コイルCの情報とが対応付けられている。3次元マップ情報122の詳細については後記する。
【0016】
システム情報123には、天井クレーン装置6によって搬送されているコイルCと、コイル置場に載置されているコイルCとが干渉しないよう、予め設定されている高さである安全高が格納されている。
【0017】
3次元経路地図124には、天井クレーン装置6の搬送領域(コイル置場)に載置されているコイルCの高さ情報と場所情報とが対応付けられている。3次元経路地図124はcsvファイル等で作成され、搬送領域上の障害物の高さ(数値)が、コイル置場に設定されているメッシュ毎に格納されている。なお、3次元経路地図124の詳細については後記する。
【0018】
また、記憶装置12にはプログラムが格納されている。そして、記憶装置12に格納されているプログラムがメモリ11にロードされ、CPU13によって実行されることで、通信処理部111、モード制御部112、置場在庫情報処理部113、3次元経路地図処理部114、クレーン制御指令部115が具現化する。
【0019】
通信処理部111は、上位システム2から、上位システム2に格納されている上位在庫情報21や、入庫指示、出庫指示を受信する。また、通信処理部111は、上位在庫情報21の問い合わせや、入庫実績や、出庫実績を上位システム2に送信する。
モード制御部112は、上位システム2から受信した指示に基づいて、天井クレーンシステムZの自動運転モードの切り替え等を行う。自動運転モードとは、天井クレーンシステムZが、コイルCの搬送を3次元経路地図124に基づいて行うモードである。
【0020】
置場在庫情報処理部113は、上位システム2から取得した上位在庫情報21を基に置場在庫情報121を作成する。
3次元経路情報である3次元経路地図処理部114は、置場在庫情報121や、3次元マップ情報122、システム情報123を基に3次元経路地図124を作成する。
クレーン制御指令部115は、3次元経路地図124を基に、天井クレーン装置6の制御指令を作成し、制御装置3へ作成した制御指令を送信する。
【0021】
(天井クレーン装置6)
図3は、第1実施形態に係る天井クレーン装置6の概略図である。
天井クレーン装置6は、クラブトロリ601、ガーダ602、走行レール604を有している。
クラブトロリ601は、ガーダ602上を横行するための横行車輪612、ワイヤ605を巻き上げる又は巻き下げるための巻取装置611を有している。ワイヤ605の先端には吊荷Sを懸吊するための吊具606が備えられている。なお、吊荷Sは鉄板をロール状に巻いたコイルCである。
【0022】
ガーダ602には、クラブトロリ601が横行する横行レール603が備えられるとともに、走行レール604上をガーダ602が走行するための走行車輪613が備えられている。
クラブトロリ601の横行車輪612によって、クラブトロリ601がガーダ602の長手方向に横行する。また、ガーダ602の走行車輪613によって、ガーダ602が走行レール604の長手方向に走行する。
【0023】
ここで、ガーダ602の長手方向の移動を「横行」と称し、走行レール604の長手方向の移動を「走行」と称する。なお、「横行」、「走行」をあわせて「移動」と適宜称する。このように、本実施形態の天井クレーン装置6は、吊荷S(コイルC)を所定の方向である走行方向、及び、当該方向と直角方向である横行方向の同時制御によって搬送する。
ガーダ602が走行レール604上を走行し、かつ、クラブトロリ601がガーダ602上を横行することにより、吊荷Sが目的の位置まで運ばれる。そして、クラブトロリ601に備えられている巻取装置611がワイヤ605を巻き上げたり、巻き下げたりすることで、吊荷Sの上げ下げが行われる。
【0024】
クラブトロリ601の走行制御や、巻取装置611によるワイヤ605の巻取制御は、制御システムZ1によって行われる。
【0025】
(コイルC)
図4A図4B図5A図5Bは、本実施形態で吊荷として用いられるコイルCの例を示す図である。
図4A及び図4Bでは大きいコイルC11(C)の例を示し、図5A及び図5Bでは小さいコイルC21(C)の例を示している。
図4A及び図4Bに示されているコイルC11において、コイルC11の半径はR11であり、コイルC11の幅はW11である。従って、コイルC11の高さH11(H)はコイルC11の直径となり、2×R11で示される。
【0026】
また、図5A及び図5Bに示されているコイルC21において、コイルC21の半径はR21であり、コイルC21の幅はW21である。従って、コイルC21の高さH21(H)はコイルC21の直径となり、2×R21で示される。
【0027】
なお、コイルCには、図4A及び図5Aに示すように吊具606(図3参照)でコイルCを懸吊するための貫通孔Eが設けられている。
【0028】
(積載高LHの計算)
図6A及び図6Bは、コイルCの積載高LHの計算を示す図である。適宜、図1を参照する。
図6Aに示す図では、コイルC11(C)が2つ、コイルC11より直径が小さいコイルC12(C)が積載されている。コイルC11の半径をR11とし、コイルC12の半径をR12とする。例えば、R11=500mm、R12=450mmである。そして、コイルC11,C12は2段で積載されており、下段にコイルC11及びコイルC12、上段にコイルC11が積載されているものとする。なお、以降では、下段を1段目、上段を2段目と適宜称する場合がある。
【0029】
ここで、(Y1)コイルC11とコイルC12の積載高LH10(LH)は、下段に積載されているコイルC11,C12のうち、大きい方を基準として計算される。これは、天井クレーン装置6によってコイルCが搬送される際、コイル置場に載置されているコイルCと、搬送されているコイルCとの干渉を避けるためである。また、(Y2)実際には下段のコイルC11及びコイルC12との間にすき間が生じるが、コイルCの積載高LH10を算出する際には密着した状態とする。下段のコイルC11及びコイルC12との間にすき間が生じていると、積載高LH10が低くなる。しかし、積載高LH10を算出する際には、コイル置場に載置されているコイルCと、搬送されているコイルCとの干渉を避けるため、下段のコイルC11及びコイルC12との間が密着したものとして計算が行われる。これらの算出条件(Y1,Y2)により、できるだけ高い積載高LH10が算出される。これにより、天井クレーン装置6によるコイルCの搬送において、コイル置場に載置されているコイルCと、搬送されているコイルCとの干渉を避けることができる。このため、天井クレーン装置6によるコイルCの搬送の安全性を確保することができる。
【0030】
図6Aに示す例では、コイルC12よりコイルC11の方が大きいため、管理装置1は、コイルC12の場所にコイルC11がコイル置場に載置されているものとして積載高LH10を計算する。図6Aにおいて、コイルC12の周辺に示される破線丸はコイルC11の外形を示している。
【0031】
上段のコイルC(C11)は、下段のコイルC11,C12の隙間に入りこむ。そのため、管理装置1は、下段のコイルCの中心と、上段のコイルC11の中心とで形成される三角形(図6Aの例では正三角形)を計算する。この際、下段のコイルC12はコイルC11より小さい。前記したように、大きさの異なるコイルCが積載されている場合、最も大きいコイルCでコイルCの大きさを揃える。このため、下段のコイルC12の箇所にはコイルC11が載置されているものとして(コイルC12の周囲の破線丸)、積載高LHが算出される。従って、下段のコイルCの中心は、下段にコイルC11が載置されているものと仮定した場合の中心が設定される。
【0032】
そして、管理装置1は形成される正三角形の高さである下段コイル差分DH12(DH)を計算する。そして、管理装置1は、計算された下段コイル差分DH12と、下段のコイルC11の直径であるH11とを加算することで、積載されたコイルCの高さ(積載高LH10)を算出する。すなわち、積載高LH10=H11(2×R11)+下段コイル差分DH12である。前記したように、R11=500mmとした場合、コイルC11の高さH11=1000mm、下段コイル差分DH12=867mmとなるため、積載高LH10=1867mmとなる。
【0033】
このように、コイルCが2段で積載されており、下段に載置されている、複数のコイルCの半径が異なる場合、管理装置1は、半径が大きいコイルCに基づいて積載高を計算する。つまり、管理装置1は、積載されているコイルCの大きさが異なる場合、最も大きいコイルCで大きさを揃えた上で積載高LHを算出する。このようにすることによって、天井クレーン装置6がコイルCを搬送する場合、積載されて置場に載置されているコイルCと、搬送しているコイルCとの干渉を防止することができる。
【0034】
図6Bに示す図では、コイルC21(C)が2つ、コイルC21より直径が小さいコイルC22(C)が積載されている。コイルC21の半径をR21とし、コイルC22の半径をR22とする。例えば、R21=300mm、R22=250mmである。そして、コイルC21,C22は2段で積載されており、下段にコイルC21及びコイルC22、上段にコイルC21が積載されているものとする。ここで、図6Aと同様、算出条件(Y1,Y2)が適用されて積載高LH20(LH)が算出される。
【0035】
図6Bに示す例では、コイルC22よりコイルC21の方が大きいため、管理装置1は、コイルC22の場所にコイルC21がコイル置場に載置されているものとして積載高LH20(LH)を計算する。図6Bにおいて、コイルC22の周辺に示される破線丸はコイルC21の外形を示している。
【0036】
上段のコイルC(C21)は、下段のコイルC21,C22の隙間に入りこむ。そのため、管理装置1は、下段のコイルCの中心と、上段のコイルC21の中心とで形成される三角形(図6Bの例では正三角形)を計算する。この際、下段のコイルC22はコイルC21より小さい。前記したように、大きさの異なるコイルCが積載されている場合、最も大きいコイルCでコイルCの大きさを揃える。このため、下段のコイルC22の箇所にはコイルC21が載置されているものとして(コイルC22の周囲の破線丸)、積載高LHが算出される。従って、下段のコイルCの中心は、下段にコイルC21が載置されているものと仮定した場合の中心が設定される。
【0037】
そして、管理装置1は、形成される正三角形の下段コイル差分DH22(DH)を計算する。そして、管理装置1は、計算された下段コイル差分DH22と、下段のコイルC21の直径であるH21とを加算することで、積載されたコイルCの高さ(積載高LH20)を算出する。すなわち、積載高LH20=H21(2×R21)+下段コイル差分DH22である。前記したように、R21=300mmとした場合、コイルC21の高さH21=600mm、下段コイル差分DH22=520mmとなるため、積載高LH20=1120mmとなる。
【0038】
[3次元経路地図124の概念図]
次に、図7図10Bを参照して、3次元経路地図124によるコイルCの管理状態を示す概念図である。
(1段積み)
まず、図7図8Bを参照して、コイルCがコイル置場に一段ずつ載置されている例を示す。
図7は、3次元経路地図124を示す図である。
図7において、走行方向をx軸方向、横行方向をy軸方向とする。また、図7に示す例では、コイル置場が、走行方向に8.5m(8500mm)、横行方向に6.5m(6500mm)の広さを有するものとする。また、走行方向、横行方向ともに50cm(500mm)毎にメッシュが設定されている。メッシュで区切られたマスの1つ1つをマップ要素と称する。マップ要素は、コイル置場を所定のメッシュに区切った個々のメッシュ領域である。マップ要素にはx軸方向及びy方向のそれぞれについて座標が対応付けされている。図7において、x軸方向に「0」~「8500」、y軸方向に「0」~「6500」で示されている数値は、原点からの距離を示している。そして、図7において、x軸方向に「0」~「16」、y軸方向に「0」~「12」の数値で示されているものがマップ要素の座標である。例えば、符号701に示されるマップ要素は、x軸「1」-y軸「2」の座標に対応付けられる。
【0039】
また、図8A図7をx軸方向(走行方向の軸)からみたコイルCの載置状態を示す図である。また、図8B図7をy軸方向(横行方向の軸)からみたコイルCの載置状態を示す図である。
【0040】
なお、コイル置場は図7の例に示す大きさに限らない。例えば、走行方向が30m、横行方向が15mの大きさを有するものとしてもよい。また、図7に示す例では、50cm(500mm)毎にマップ要素が定義されているが、10cm毎や、70cm毎等、50cm毎に限らない。
【0041】
そして、図7図8Bにおいて、載置されているコイルCが破線で示されている。図8A及び図8Bに示すように、大きいコイルC11と、小さいコイルC21が載置されている。大きいコイルC11の半径R11は、例えば500mm(50cm)であり、小さいコイルC21の半径R21は、例えば300mm(30cm)である。
【0042】
また、図7において、コイルCが載置されているマップ要素はドットで示されており、各マップ要素にはマップコイル高MH(図8A及び図8B参照)が数値として示されている。マップコイル高MHとは、コイルCの積載高LHに安全高HS(図8A及び図8B参照)を加算したものである。例えば、コイルC11が載置されているマップ要素には、マップコイル高MHとして「1500」の数値が示されている。また、コイルC21が載置されているマップ要素には、マップコイル高MHとして「1100」の数値が示されている。なお、図7に示す例において、マップコイル高MHの単位は「mm」である。
【0043】
図8A及び図8Bに示すように、コイルC11が載置されているマップ要素のマップコイル高MH11(MH)は、コイルC11の高さH11(外径:=R11×2=1000mm)+安全高(HS=500mm)=1500mmとなる。なお、図7図8Bに示す例のようにコイルC11が積載されていない場合、コイルC11の高さH11が、そのままコイルC11の積載高LHとなる。
【0044】
同様に、コイルC21が載置されているマップ要素のマップコイル高MH21は、コイルC21の高さH21(外径:=R21×2=600mm)+安全高HS(500mm)=1100mmとなる。
【0045】
なお、図7において、ドットが付されていないマップ要素の周囲が太線で示されている箇所はコイルCの載置予定箇所であることを示している。ただし、コイルCの載置予定箇所は設定されなくてもよい。
【0046】
このように3次元経路地図124では、コイル置場と、マップ要素とが対応付けられ、x軸、y軸で表されている座標が、マップ要素を特定するためのマップ要素特定情報として格納されている。
【0047】
図7に示す例では、マップ要素に対して、安全高HSがコイルCの高さHに加算された高さであるマップコイル高MHが搬送物サイズ情報に基づく高さ情報として格納されている。
【0048】
(2段積み:複数段)
次に、図9図10Bを参照して、コイルCがコイル置場に、2段積みされているコイルCが存在する例を示す。
図9は、3次元経路地図124を示す図である。図9において、走行方向をx軸方向、横行方向をy軸方向とする。なお、図9に示すマップ要素は、図7と同様の条件で作成されているため、図9における説明を省略する。
【0049】
また、図10A図9をx軸方向(走行方向の軸)からみたコイルCの載置状態及び積載状態を示す図である。また、図10B図9をy軸方向(横行方向の軸)からみたコイルCの載置状態及び積載状態を示す図である。
【0050】
そして、図9図10Bにおいて、1段目(下段)に載置されているコイルCが破線四角で示されている。また、2段目(上段)に載置されているコイルCが点線で示されている。このように、図9図10Bに示す例では、コイルCが複数段(図9図10Bに示す例では2段)で積載されている。
【0051】
図9の符号711で示す箇所では、2つのコイルC11の上に、下段のコイルCと同じ大きさを有するコイルC11が積載されている。なお、図9において、1段目のコイルCが載置されている箇所に相当するマップ要素はドットで示され、2段目のコイルCが載置されている箇所に対応するマップ要素は斜線で示されている。なお、図9の符号721では、点線で示すコイルC111がマップ要素を示す線と重複している。このような場合、図9の斜線部に示すように、当該線を含むマップ要素のすべてがコイルC111の載置場所に該当するマップ用となる。
【0052】
また、図9の符号712で示す箇所では、2つのコイルC21の上に、下段のコイルC21と同じ大きさのコイルC21が積載されている。
【0053】
そして、図7図8Bと同様、図9図10Bでも、大きいコイルC11の半径(R1)は、例えば500mm(50cm)である。また、小さいコイルC21の半径(R2)は、例えば300mm(30cm)である。
【0054】
図7と同様、図9においても、各マップ要素にはマップコイル高MH(図10A及び図10B参照)が数値として示されている。例えば、コイルC11の上にコイルC11が積載されているマップ要素には、マップコイル高MHとして「2367」の数値が示されている。また、コイルC21の上にコイルC21が積載されているマップ要素には、マップコイル高MHとして「1620」の数値が示されている。なお、図9に示す例において、マップコイル高MHの単位は「mm」である。マップコイル高MHは、載置されているコイルCの積載高LHに安全高HSを加算したものである。図9図10Bに示す例では、図7と同様、安全高HSは500mmとして設定されているものとする。
【0055】
なお、符号712では、上段のコイルC21が下段のコイルC21に対して、若干ずれた状態で載置されている。
【0056】
従って、図10A及び図10Bに示すように、コイルC11の上にコイルC11が積載されているマップ要素のマップコイル高MH12(MH)は、積載高LH10(1867mm)+安全高HS(=500mm)=2367mmとなる。同様に、コイルC21の上にコイルC21が積載されているマップ要素のマップコイル高MH22は、コイルC21の積載高LH20(図6B参照)1120(mm)+安全高HS(500mm)=1620mmとなる。コイルC11の積載高LH10(1867mm)の算出方法は図6Aで示した通りであり、コイルC21の積載高LH20(1120mm)の算出方法は、図6Bで示した通りである。
【0057】
そして、図2に示すクレーン制御指令部115は、天井クレーン装置6(図3参照)によって吊り下げられたコイルCの下端が、図7や、図9に示すコイル置場の床からマップコイル高MHより大きくなるよう経路作成を行う。
【0058】
また、図7図9において、ドットで示されているマップ以外は、コイル置場の床高さとして「0(mm)」が格納されているものとするが、コイルC以外の作業機械等といった据え付けの機械の高さ等が格納されてもよい。このような据え付けの機械の高さは、図示しない設備情報を基に3次元経路地図124に格納される。
【0059】
[置場在庫情報121]
図11は、置場在庫情報121の具体例を示す図である。
図11に示すように、置場在庫情報121は「対象コイル」、「中心距離x軸」、「中心距離y軸」、「第1下段隣接」、「第2下段隣接」のフィールドを有する。また、置場在庫情報121は、「下段隣接2列」、「下段隣接2行」、「下段隣接2段」、「積載高」、「下段コイル差分」のフィールドを有する。さらに、置場在庫情報121は、「コイル番号」、「ロットNo」、「外径」、「内径」、「重量」のフィールドを有する。なお、図11に示す置場在庫情報121において、レコードは1つのコイルCに関する情報を示している。
【0060】
置場在庫情報121は、例えば、最初は上位システム2から取得された上位在庫情報21(図2参照)を基に作成される。そして、それ以降は、置場在庫情報処理部113(図2参照)が天井クレーンシステムZによるコイルCの移動を管理することで、置場在庫情報121の更新が行われる。なお、置場在庫情報121の更新については後記する。
【0061】
「対象コイル」の欄には、レコードに格納される情報元となるコイルCの位置情報が格納される。
図11に示すように。「対象コイル」は、「列」、「行」、「段」のフィールドを有している。
「列」、「行」、「段」は、コイル置場に載置されているコイルCの整列状態に基づいてコイルCの載置場所が表現されているものである。これらのうち、「列」、「行」について、例えば、図12に示すように、コイル置場にコイルCが載置されている場合を想定する。図12の例において、細実線矢印A111は1段目の「1列」、細実線矢印A112は1段目の「2列」となる。同様に、細実線矢印A113は1段目の「3列」、細実線矢印A114は1段目の「4列」、細実線矢印A115は1段目の「5列」となる。また、太破線矢印A121は2段目の「1列」、太破線矢印A124は2段目の「4列」を示す。太破線矢印A124が「2列」とならない理由は、太破線矢印A121と、太破線矢印A124との間に、現在は載置されていないものの、2段目の2列目、3列目が載置可能であるためである。また、細実線矢印A211は「1行」、矢印A212は「2行」となる。同様に、細実線矢印A213は「3行」、細実線矢印A214は「4行」、細実線矢印A215は「5行」となる。このように「行」は1段目と2段目とにおいて共通となる。
【0062】
図12に示すように、「列」、「行」は、マップ要素とは別に定義されるものである。なお、「列」、「行」はコイル置場に載置又は積載可能なコイルCの数に基づいて、予め決められ、固定されるものである。
【0063】
「段」は、コイルCが積載されている段に関する情報である。具体的には、「段」は、載置されているコイルCの上下関係を示すものであり、下段に載置されているコイルCには「1」が格納され、上段に配置されているコイルCには「2」が格納される。
【0064】
なお、コイルCが2段積みされている場合、「列」、「行」は、段毎に定義される。例えば、図12のようにコイルCが2段積みされている場合、前記したように、細実線矢印A111は下段の1列目であり、細実線矢印A112は下段の2列目である。また、太破線矢印A121は上段の1列目であり、太破線矢印A124は上段の4列目である。
【0065】
つまり、図12に示す例では、コイルC11aは「1列」-「1行」-「2段」であり、コイルC11bは「1列」-「1行」-「1段」であり、コイルC11cは「2列」-「1行」-「1段」である。同様に、コイルC21aは「4列」-「1行」-「2段」であり、コイルC21bは「4列」-「1行」-「1段」であり、コイルC21cは「5列」-「1行」-「1段」である。
【0066】
このように、対象コイルの「列」、「行」、「段」は少なくとも前記搬送物の載置場所を特定するための載置場所情報である。特に、「列」、「行」はコイルC同士の相関位置であり、「段」は積載情報である。
【0067】
「中心距離x軸」及び「中心距離y軸」は、対象となるコイルCの中心が存在するx軸の距離、y軸の距離である。距離は、図7及び図9で定義される距離である。
【0068】
「第1下段隣接」、「第2下段隣接」のそれぞれは「列」、「行」、「段」のフィールドを有している。
例えば、図12に示すような状態でコイルC11a,C11b,C11cが2段積みされている場合、コイルC11b,C11cがコイルC11aの下段隣接のコイルCとなる。コイルC11bが第1下段隣接のコイルC、コイルC11cが第2下段隣接のコイルCとする。コイルC11aは、前記したように、「1列」-「1行」-「2段」のコイルCである。また、前記したように、コイルC11bは、「1列」-「1行」-「1段」であり、コイルC11cは、「2列」-「1行」-「1段」となる。従って、対象コイルの「列」-「行」-「段」の欄にコイルC11aの「1」-「1」-「2」が格納され、このレコードの第1下段隣接の「列」-「行」-「段」の欄に「1」-「1」-「1」が格納される。そして、当該レコードの第2下段隣接の「列」-「行」-「段」の欄に「2」-「1」-「1」が格納される。
【0069】
例えば、図12に示すような状態でコイルC21a,C21b,C21cが2段積みされている場合、コイルC21b,C21cがコイルC21aの下段隣接のコイルCとなる。コイルC21bが第1下段隣接のコイルC、コイルC21cが第2下段隣接のコイルCとする。コイルC21aは、前記したように、「4列」-「1行」-「2段」のコイルCである。また、コイルC21bは、前記したように、「4列」-「1行」-「1段」であり、コイルC21cは、「5列」-「1行」-「1段」となる。従って、対象コイルの「列」-「行」-「段」の欄にコイルC21aの「4」-「1」-「2」が格納され、このレコードの第1下段隣接の「列」-「行」-「段」の欄に「4」-「1」-「1」が格納される。そして、当該レコードの第2下段隣接の「列」-「行」-「段」の欄に「5」-「1」-「1」が格納される。
【0070】
「積載高」は、マップ要素に対応付けられるコイルCの積載高LH(図6A図6B参照)が格納される。
「下段コイル差分」は、図6Aに示す下段コイル差分DH12、図6Bに示す下段コイル差分DH22である。1段積み(コイルCが積載されていない)場合、下段コイル差分DHは0となる。
【0071】
「コイル番号」には、コイルCに対して一意に付与されているコイルC番号が格納される。
「ロットNo」には、対象となるコイルCが含まれるロットの番号が格納される。
「外径」は、対象となるコイルCの外径が格納され、「内径」は対象となるコイルCの孔部の直径である。
「幅」は、コイルCの長さに相当するものである。
「重量」には、コイルCの重量が格納される。
【0072】
なお、外径は、搬送物であるコイルCのサイズに関する情報である搬送物サイズ情報、搬送物高である。
【0073】
[3次元マップ情報122]
図13は、本実施形態で用いられる3次元マップ情報122の例を示す図である。
図13で示すように、3次元マップ情報122は、「マップ要素ID」、「列」、「行」、「段」、「マップ座標x軸」、「マップ座標y軸」の各フィールドを有する。
「マップ要素ID」には、マップ要素毎に一意に付与されるIDが格納される。図7及び図9では図示していないが、それぞれのマップ要素にはマップ要素IDが一意に付与されている。このように、3次元マップ情報122のレコードは、マップ要素に関する情報が格納されている。
【0074】
「列」、「行」、「段」には、設定されている「列」、「行」、「段」のうち、どれが対象となるマップ要素に対応付けられているかを示している。例えば、マップ要素ID「157」のマップ要素には「1列」-「1行」-「1段」のコイルCが対応付けられている。また、ドットで示すマップ要素ID「158」は、「1列」-「1行」-「1段」と、「1列」-「1行」-「2段」とが格納されている。これは、1段目のコイルCが載置されているとともに、その上の2段目のコイルCも、このマップ要素上に載置されていることを示す。
【0075】
また、3次元マップ情報122において、「列」、「段」、「行」で同じ数値を有しているレコードが示すマップ要素には、同じコイルCが載置されていることを示す。例えば、マップ要素ID「251」、「252」、「282」、「283」のそれぞれには「1列」-「2行」-「1段」が格納されている。従って、これらのマップ要素には、「1列」-「2行」-「1段」に該当するコイルCが載置されていることを示している。
【0076】
「マップ座標x軸」はマップ要素に対応するx軸の座標であり、「マップ座標y軸」はマップ要素に対応するy軸の座標である。ここで、座標とは図7図9でx軸、y軸で示されている座標である。
【0077】
マップ座標x軸、マップ座標y軸は、マップ要素の前記搬送領域での場所を特定するマップ要素特定情報である。また、「列」、「段」、「行」は、載置場所情報である。このように、3次元マップ情報122には、マップ要素特定情報と、載置場所情報とが対応付けられて格納されており、固定ロケーションのため載置場所情報が変化しても3次元マップ情報122は変化しない。
【0078】
なお、置場在庫情報121において、下段→上段の順にデータが格納されている。
【0079】
[システム情報123]
図14は、本実施形態で用いられるシステム情報123の例を示す図である。
システム情報123には、システムパラメータとしての安全高HS(図8A図8B図10A図10B参照)がパラメータ値として格納されている。図14では、安全高LSのパラメータ値として「500(mm)」が格納されている。
【0080】
[フローチャート]
(全体処理)
図15は、本実施形態に係る在庫管理方法の全体処理手順を示すフローチャートである。適宜、図1図2を参照する。
まず、天井クレーンシステムZの電源が入れられると、モード制御部112が、コイルC搬送モードを自動運転モードに切り替える(S1)。ステップS1では、オペレータが上位システム2でコイルC搬送モードを自動運転モードに切り替えたことをうけて、モード制御部112が、コイル搬送モードを自動運転モードに切り替える。
【0081】
続いて、通信処理部111が上位システム2へ上位在庫情報21を問い合わせる(S2)。
そして、上位システム2は、管理装置1へ上位在庫情報21を送信し、管理装置1は送信された上位在庫情報21を受信する(S3)。
続いて、置場在庫情報処理部113は、受信した上位在庫情報21を基に置場在庫情報121を作成する(S4)。ステップS4の詳細は後記する。
そして、3次元経路地図処理部114が、ステップS4で作成した置場在庫情報121、3次元マップ情報122、システム情報123を基に3次元経路地図124を作成する(S5)。図2に示すように、3次元マップ情報122、システム情報123は、管理装置1の記憶装置12に格納されている情報である。また、ステップS5の詳細は後記する。
【0082】
続いて、オペレータによって、上位システム2に搬送指示や、入庫指示や、出庫指示(入出庫指示)が入力される。すると、上位システム2は搬送指示や、入出庫指示を管理装置1へ送信する。そして、通信処理部111が搬送指示や、入庫出庫指示を受信する(S6)。
そして、クレーン制御指令部115は、受信した搬送指示や、入庫出庫指示に従い、3次元経路地図124にも基づいて搬送経路の作成を行う。搬送経路は、機械学習等を用いて行われる。そして、クレーン制御指令部115は、作成した搬送経路を基に天井クレーン装置6に対する制御指令を作成する。その後、クレーン制御指令部115が制御装置3に制御指令を送信することで、制御装置3による天井クレーン装置6の制御が行われる。これにより、天井クレーン装置6が搬送経路に基づいてコイルCの搬送を行う(S7)。ちなみに、コイルCの巻上位置はエンコーダによって行われ、ガーダ602や、クラブトロリ601の現在位置はレーザ測距によって行われる。
【0083】
続いて、3次元経路地図処理部114は、置場在庫情報121及び3次元経路地図124の更新を行う(S8)。ステップS8の詳細については後記する。
そして、通信処理部111は、実績情報を上位システム2へ送信し、上位システム2は送信された実績情報を受信する(S9)。実績情報には、入庫/出庫実績情報が含まれている。
その後、上位システム2は、実績情報で上位在庫情報21を更新する(S10)。
そして、天井クレーンシステムZは、ステップS6に処理を戻す。
【0084】
(置場在庫情報121の作成)
次に、図16は、置場在庫情報121の作成の処理手順を示すフローチャートである。図16図15のステップS4の詳細な処理手順を示すものである。
まず、置場在庫情報処理部113は、置場在庫情報121を初期化する(S41)。ステップS41で置場在庫情報処理部113は、置場在庫情報121の全レコードについて以下の項目をクリアする。具体的には、置場在庫情報処理部113は、置場在庫情報121の全レコードについて、「積載高」の欄に「0」を格納し、「下段コイル差分」の欄に「0」を格納する。また、置場在庫情報処理部113は、置場在庫情報121の全レコードについて、「コイル番号」、「ロットNo」の欄を空欄とする。さらに、置場在庫情報処理部113は、置場在庫情報121の全レコードについて、「外径」、「内径」、「幅」、「重量」、「積載高」、「下段コイル差分」の欄に「0」を格納する。また、置場在庫情報処理部113は、置場在庫情報121の全レコードについて、「コイル番号」、「ロットNo」を空欄とする。なお、置場在庫情報121の対象コイルの「列」、「行」、「段」、「中心距離x軸」、「中心距離y軸」、第1下段隣接の「列」、「行」、「段」、第2下段隣接の「列」、「行」、「段」はクリアされない。
【0085】
次に、置場在庫情報処理部113は、上位在庫情報21の情報を置場在庫情報121に反映する(S42)。具体的には、置場在庫情報処理部113は、置場在庫情報121の「コイル番号」、「ロットNo」、「外径」、「内径」、「幅」、「重量」の各欄を上位在庫情報21に格納されている値で更新する。
【0086】
続いて、置場在庫情報処理部113は、置場在庫情報121からレコードを1つ取得する(S43)。レコードは置場在庫情報121の上から順に取得される。
そして、置場在庫情報処理部113は、取得したレコードについてコイルCの在庫ありか否かを判定する(S44)。置場在庫情報処理部113は、置場在庫情報121の「コイル番号」が空欄でなければ在庫ありと判定する。また、置場在庫情報処理部113は、置場在庫情報121の「コイル番号」が空欄であれば在庫なしと判定する。
【0087】
在庫なしと判定された場合(S44→No)、置場在庫情報処理部113はステップS47に処理を進める。
在庫ありと判定された場合(S44→Yes)、置場在庫情報処理部113は、処理対象となっているレコードについて、積載高LH(図6A図6B参照)及び下段コイル差分DH(図6A図6B参照)を算出する(S45)。積載高LH及び下段コイル差分DHの算出方法は、図6A図6Bで説明した手法で行われる。置場在庫情報121の在庫有りとなっているレコードとは、「コイル番号」の欄が空欄ではないレコードである。
【0088】
そして、置場在庫情報処理部113は、算出した積載高LH及び下段コイル差分DHを、処理対象となっているレコードの「積載高」及び「下段コイル差分」の欄に格納する(S46)。
そして、置場在庫情報処理部113は、置場在庫情報121のすべてのレコードについてステップS44~S46の処理が完了したか否かを判定する(S47)。
すべてのレコードについて処理が完了していない場合(S47→No)、置場在庫情報処理部113は、ステップS43へ処理を戻す。
また、すべてのレコードについて処理が完了している場合(S47→Yes)、天井クレーンシステムZは、図15のステップS5へ処理をリターンする。
【0089】
前記したように、置場在庫情報121では下段→上段の順にデータが格納されているため、ステップS44~S46の処理は下段→上段の順で行われる。
【0090】
その後、置場在庫情報処理部113はステップS5へ処理をリターンする。
【0091】
(3次元経路地図124の作成)
図17は、3次元経路地図124の作成の処理手順を示すフローチャートである。図17図15のステップS5の詳細な処理手順を示すものである。
まず、3次元経路地図処理部114は3次元経路地図124の高さ情報をすべて「0」に初期化する(S51)。
続いて、3次元経路地図処理部114は、置場在庫情報121を3次元経路地図124に反映する(S52)。
【0092】
ステップS52の詳細な処理について、図18及び図19を参照して説明する。
図18は、3次元経路地図124の作成の処理手順を示すフローチャートであり、図17のステップS52の詳細な処理を示している。
図19は、3次元経路地図124の作成の具体例を示す図である。図19では、置場在庫情報121、3次元マップ情報122、システム情報123、3次元経路地図124の一部が示されている。なお、図19に示される3次元経路地図124は、図7図9とは異なるものが示されている。
【0093】
3次元経路地図処理部114は、まず、置場在庫情報121から、レコードを1つ取得する(S521)。
続いて、3次元経路地図処理部114は、ステップS521で取得したレコードにおいて、「コイル番号」の欄が空欄となっているか否かを判定する(S522)。ステップS522において、「コイル番号」の欄が空欄であれば(S522→Yes)、3次元経路地図処理部114は、ステップS527へ処理を進める。
【0094】
ステップS522において、「コイル番号」の欄が空欄でない場合(S522→No)、3次元経路地図処理部114は、取得したレコードの「列」、「行」、「段」に格納されている数値を取得する(S523)。取得したレコードの「列」、「行」、「段」に格納されている数値は、図19の符号801に該当する情報である。
【0095】
続いて、3次元経路地図処理部114は、3次元マップ情報122を参照し、ステップS522で取得した「列」、「行」、「段」に格納されている数値と一致する、3次元マップ情報122のレコードを検索する(図19の太破線矢印811)。そして、3次元経路地図処理部114は、3次元マップ情報122から、ステップS523で取得した「列」、「行」、「段」に格納されている数値と一致するレコード(図19の符号802)を取得する。
そして、3次元経路地図処理部114は、図19の符号802で取得したレコードにおける「マップ座標x軸」、「マップ座標y軸」の座標に該当する3次元経路地図124のマップ要素を検索する(S524、図19の太実線矢印812)。検索されたマップ要素は、図19においてドットで示されている。
【0096】
ステップ523~S524の処理では、置場在庫情報121における「列」、「行」、「段」の情報と、3次元マップ情報122における「マップ座標x軸」、「マップ座標y軸」の座標とを基に、3次元経路地図124におけるマップ要素が特定される。また、コイルCが積載されている段に関する情報(後記する置場在庫情報121の「段」の情報)を基に、特定した3次元経路地図124におけるマップ要素には、コイルCが積載されている高さである積載高LHに関する情報(マップコイル高MH)が格納される。
【0097】
3次元経路地図処理部114は、マップコイル高MH(図8A図8B図10A図10B参照)を算出する(S525)。ステップS525では、3次元経路地図処理部114が、ステップS522で取得したレコードの「積載高」に格納されている値(図19の符号821)に、システム情報123に格納されている安全高HSを加算(図19の符号822)することで、マップコイル高MHを算出する。
3次元経路地図処理部114は、ステップS525で算出したマップコイル高MHをステップS524で検索したマップ要素に格納する(S526、図19の細実線矢印823)。なお、ステップS526において、既にマップ要素にマップコイル高MHが格納されている場合、ステップS525で新たに算出された値でマップコイル高MHを更新する。例えば、現在、上段(「段」が「2」)のコイルCに関する処理を行っており、既に下段(「段」が「1」)のマップコイル高MHがマップ要素に格納されている場合、上段で新たに算出されたマップコイル高MHでマップ要素が更新される。
【0098】
ステップS526では、特定した3次元経路地図124におけるマップ要素に積載高LHに基づくマップコイル高MHが搬送物サイズ情報に基づく高さ情報に更新して格納される。
【0099】
そして、3次元経路地図処理部114は、置場在庫情報121のすべてのレコードについて、ステップS522~S526の処理を行ったか否かを判定する(S527)。
置場在庫情報121のすべてのレコードについて、ステップS522~S526の処理を行っていない場合(S527→No)、3次元経路地図処理部114はステップS521へ処理を戻す。
置場在庫情報121のすべてのレコードについて、ステップS522~S526の処理が完了している場合(S527→Yes)、天井クレーンシステムZは図15のステップS6へ処理をリターンする。
なお、置場在庫情報121にはデータが下段→上段の順に格納されているため、ステップS521~S526の処理は、下段→上段の順に行われる。
【0100】
(置場在庫情報121及び3次元経路地図124の更新)
図20は、置場在庫情報121及び3次元経路地図124の更新処理の手順を示すフローチャートである。図20では、図15のステップS8に示す処理の詳細な手順を示している。
まず、3次元経路地図処理部114は、3次元経路地図124のバックアップを行う(S801)。
続いて、置場在庫情報処理部113は、行われた動作が入庫であるか否かを判定する(S802)。
行われた動作が入庫である場合(S802→Yes)、置場在庫情報処理部113は、置場在庫情報121を更新する(S811)。具体的には、置場在庫情報処理部113は、入庫指示情報の「コイル番号」、「ロットNo」、「外径」、「内径」「幅」、「重量」の各値を置場在庫情報121において該当する欄に格納する。この時、置場在庫情報処理部113は、置場在庫情報121における対象コイルの「列」、「行」、「段」の位置情報を天井クレーン装置6(図3参照)に備えられている横行位置検出器(不図示)及び走行位置検出器(不図示)によってレーザ測距等で測定されたコイルCの載置位置を基に算出し更新する。
【0101】
続いて、置場在庫情報処理部113は、外径を基に積載高LH及び下段コイル差分DH(図6A図6B参照)を算出する(S812)。積載高LH及び下段コイル差分DHの算出は図6A及び図6Bで示された手法で行なわれる。
【0102】
続いて、3次元経路地図処理部114は、置場在庫情報121を3次元経路地図124に反映する(S813)。ステップS813の具体的な手法は、図17のステップS521~S526に示す手法と同様であるため、ステップS813での詳細な説明を省略する。
【0103】
ステップS811~S813によって、管理装置1は、コイルCの入庫情報が入力されると、入庫情報に基づいて、置場在庫情報121、3次元経路地図124を更新する。
【0104】
一方、ステップS802で入庫ではない(出庫である)場合(S802→No)、置場在庫情報処理部113は、置場在庫情報121を更新する(S821)。ステップS821において、まず、置場在庫情報処理部113は、出庫指示情報に格納されているコイル番号を取得する。続いて、置場在庫情報処理部113は、置場在庫情報121において、出庫指示情報から取得したコイル番号を有するレコードの各欄を更新する。具体的には、置場在庫情報処理部113は、置場在庫情報121において、出庫指示情報から取得したコイル番号を有するレコードの「積載高」、「下段コイル差分」の欄を「0」に更新する。また、置場在庫情報処理部113は、当該レコードの「コイル番号」、「ロットNo」の欄を空欄とする。さらに、置場在庫情報処理部113は、当該レコードの「外径」、「内径」、「幅」、「重量」、「積載高」、「下段コイル差分」の各欄を「0」に更新する。
【0105】
その後、3次元経路地図処理部114は、更新した置場在庫情報121を基に3次元経路地図124の更新を行う(S822)。ステップS522の処理は、図17の処理と同様であるため、図20での説明を省略する。
【0106】
ステップS821~S822によって、管理装置1は、コイルCの出庫情報が入力されると、出庫情報に基づいて、置場在庫情報121、3次元経路地図124を更新する。
【0107】
ステップS813又はステップS822の後、天井クレーンシステムZは図15のステップS9へ処理をリターンする。
【0108】
本実施形態では、最高でも2段までの積載となっているが、これに限らず、3段以上、コイルCが積載されてもよい。
【0109】
本実施形態では、管理装置1は、少なくともコイルCの載置場所を特定するための載置場所情報(「列」、「行」、「段」)と、コイルCのサイズに関する情報である搬送物サイズ情報(「外径」等)とを格納している置場在庫情報121を有している。また、管理装置1は、コイル置場を所定のメッシュに区切った個々のメッシュ領域であるマップ要素のコイル置場での場所を特定するマップ要素特定情報(座標)と、載置場所情報とが対応付けられて格納されている3次元マップ情報122とを有している。そして、置場在庫情報121と、3次元マップ情報122とを基に3次元経路地図124が作成される。置場在庫情報121と、3次元経路地図124とを結ぶ情報として3次元マップ情報122を有することによって、置場在庫情報121が変更されても3次元マップ情報122によって3次元経路地図124との対応付けが容易となる。従って、コイルCの入出庫に対して柔軟な対応が可能となる。
【0110】
また、3次元経路地図124に格納される高さとして安全高さHSが積載高さLHに加算されたマップコイル高さMHが格納されることによって、搬送の安全性を高めることができる。
【0111】
そして、本実施形態では、コイルCが、複数段で積載されており、置場在庫情報121には、コイルCが積載されている段に関する情報が格納されている。そして、コイルCが積載されている段に関する情報を基に、特定したマップ要素には、コイルCが積載されている高さである積載高LHに関する情報(具体的にはマップコイル高)が格納される。このようにすることで、コイルCが段積みされている場合でも対応できる。
【0112】
また、本実施形態では、入庫情報、出庫情報によって、置場在庫情報121、3次元経路地図124の更新を行う。これによって、コイルCの入出庫に対応することができる。
【0113】
さらに、本実施形態において、置場在庫情報121及び3次元マップ情報122では、コイルCの載置場所が、コイル同士の相関位置(「列」、「行」)、及び、積載情報(「段」)で管理されている。このような管理が行われることで、コイルCの入出庫に対する柔軟な管理が可能となる。
【0114】
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を有するものに限定されるものではない。
【0115】
また、前記した各構成、機能、各部111~115、記憶装置12等は、それらの一部又はすべてを、例えば集積回路で設計すること等によりハードウェアで実現してもよい。また、図2に示すように、前記した各構成、機能等は、CPU13等のプロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、HD(Hard Disk)に格納すること以外に、メモリ11や、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、IC(Integrated Circuit)カードや、SD(Secure Digital)カード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に格納することができる。
また、各実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんどすべての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0116】
1 管理装置(天井クレーン制御装置)
2 上位システム
3 制御装置
6 天井クレーン装置
111 通信処理部
112 モード制御部
113 置場在庫情報処理部
114 3次元経路地図処理部
115 クレーン制御指令部
121 置場在庫情報(置場管理情報:載置場所情報、搬送物サイズ情報、段に関する情報、コイル同士の相対位置、積載情報を含む)
122 3次元マップ情報(マップ要素特定情報、載置場所情報を含む)
123 システム情報
124 3次元経路地図(3次元経路情報;マップ要素、搬送物サイズ情報を含む)
C,C11,C12,C11a~C11c,C21,C21a~C21c,C22,C111 コイル(搬送物)
LH,LH10,LH20 積載高
H,H11,H21 高さ(搬送物高)
DH,DH12,DH22 下段コイル差分
HS 安全高
MH,MH11,MH12,MH21,MH22 マップコイル高(搬送物サイズ情報に基づく高さ情報)
Z 天井クレーンシステム
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20