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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050335
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】建物の断熱改修構造及び断熱改修方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/80 20060101AFI20240403BHJP
   E04B 1/76 20060101ALI20240403BHJP
   E04G 23/02 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
E04B1/80 100A
E04B1/76 400F
E04B1/76 500B
E04G23/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157153
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】夜久 幸希
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏典
(72)【発明者】
【氏名】熊埜御堂 令
(72)【発明者】
【氏名】能登谷 美和子
【テーマコード(参考)】
2E001
2E176
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001FA04
2E001HA33
2E001HF11
2E001LA01
2E001LA12
2E176AA09
2E176AA21
2E176BB25
(57)【要約】
【課題】断熱改修部の既存外壁へ取り付け状態を好適なものとすることができる断熱改修構造及び断熱改修方法を提供する。
【解決手段】断熱改修部50は、既存外壁10の屋外側に配置される新規断熱材51と、新規断熱材51の屋外側に配置される新規胴縁52と、外壁パネル18と新規断熱材51との間に設けられ、外壁パネル18を介して屋外側下地材15と屋内外方向において対向して配置される新規下地材53と、断熱改修部50を既存外壁10に固定するための固定具と、を具備し、固定具は、新規下地材53の屋外側から屋外側下地材15に挿通される下地用固定具54と、新規胴縁52の屋外側から新規断熱材51を介して新規下地材53に挿通される断熱材用固定具55と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の既存外壁と前記既存外壁に取り付けられた断熱改修部とを具備する断熱改修構造であって、
前記既存外壁は、
前記建物の既存鉄骨柱を挟んだ両側に配置され、既存断熱材が配置される既存フレーム部と、
前記既存フレーム部の屋外側に配置される既存外壁面材と、
前記既存フレーム部と前記既存外壁面材との間に配置される既存下地材と、
を有し、
前記断熱改修部は、
前記既存外壁の屋外側に配置される新規断熱材と、
前記新規断熱材の屋外側に配置される新規胴縁と、
前記既存外壁面材と前記新規断熱材との間に設けられ、前記既存外壁面材を介して前記既存下地材と屋内外方向において対向して配置される新規下地材と、
前記断熱改修部を前記既存外壁に固定するための固定具と、
を具備し、
前記固定具は、
前記新規下地材の屋外側から前記既存下地材に挿通される第一固定具と、
前記新規胴縁の屋外側から前記新規断熱材を介して前記新規下地材に挿通される第二固定具と、
を含む、
断熱改修構造。
【請求項2】
前記新規下地材は、平板状に形成される、
請求項1に記載の断熱改修構造。
【請求項3】
前記既存外壁面材は、前記既存外壁の隅部を構成し、
前記新規下地材は、前記隅部を構成する前記既存外壁面材に沿うように折曲した形状に形成される、
請求項1に記載の断熱改修構造。
【請求項4】
前記新規断熱材及び前記新規胴縁は、
前記隅部において前記既存外壁面材のうち互いに異なる方向を向く2つの部分に対応するように、別体として構成された2つの部分を含み、
前記新規断熱材の前記2つの部分の納まりの勝ち負けと、前記新規胴縁の前記2つの部分の収まりの勝ち負けとは、互いに関係が反対となるように構成される、
請求項3に記載の断熱改修構造。
【請求項5】
前記隅部は、入隅部又は出隅部である、
請求項3に記載の断熱改修構造。
【請求項6】
建物の既存鉄骨柱を挟んだ両側に配置され、既存断熱材が配置される既存フレーム部と、
前記既存フレーム部の屋外側に配置される既存外壁面材と、
前記既存フレーム部と前記既存外壁面材との間に配置される既存下地材と、
を有する前記建物の既存外壁に断熱改修部を取り付ける断熱改修方法であって、
前記既存外壁面材の屋外側に、前記既存外壁面材を介して前記既存下地材と屋内外方向において対向して新規下地材を配置する新規下地材配置工程と、
前記新規下地材の屋外側から前記既存下地材に第一固定具を挿通する第一固定具挿通工程と、
前記既存外壁の屋外側に新規断熱材を配置する新規断熱材配置工程と、
前記新規断熱材の屋外側に新規胴縁を配置する新規胴縁配置工程と、
前記新規胴縁の屋外側から前記新規断熱材を介して前記新規下地材に第二固定具を挿通する第二固定具挿通工程と、
を具備する、
断熱改修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の既存外壁と断熱改修部とを具備する断熱改修構造及び断熱改修方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の既存外壁と断熱改修部とを具備する断熱改修構造及び断熱改修方法の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1においては、下地板(既存下地材)と、当該下地板の屋外側に配置されたモルタル層と、を有する既存外壁に、新規断熱材(断熱改修部)を取り付けた断熱改修構造が開示されている。この断熱改修構造においては、アンカーピン(固定具)を、新規断熱材の屋外側からモルタル層を介して下地板まで挿通させることにより、当該新規の断熱材を既存外壁に固定している。
【0004】
しかしながら、既存外壁の既存下地材は屋外側から視認できないため、作業者が固定具を挿通させる場合、既存下地材等の目標となる挿通場所から外れた場所に固定具が挿通される場合がある。特に既存外壁が鉄骨柱等から構成される外壁である場合、目標となる挿通場所(既存下地等)は限定的な範囲にあるため、作業者の意図せぬ場所に固定具が挿通され易い。このように、固定具が意図せぬ場所に挿通された場合、新規断熱材(断熱改修部)の既存外壁への取り付け状態が不安定となるため望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平6-33670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、断熱改修部の既存外壁へ取り付け状態を好適なものとすることができる断熱改修構造及び断熱改修方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、建物の既存外壁と前記既存外壁に取り付けられた断熱改修部とを具備する断熱改修構造であって、前記既存外壁は、前記建物の既存鉄骨柱を挟んだ両側に配置され、既存断熱材が配置される既存フレーム部と、前記既存フレーム部の屋外側に配置される既存外壁面材と、前記既存フレーム部と前記既存外壁面材との間に配置される既存下地材と、を有し、前記断熱改修部は、前記既存外壁の屋外側に配置される新規断熱材と、前記新規断熱材の屋外側に配置される新規胴縁と、前記既存外壁面材と前記新規断熱材との間に設けられ、前記既存外壁面材を介して前記既存下地材と屋内外方向において対向して配置される新規下地材と、前記断熱改修部を前記既存外壁に固定するための固定具と、を具備し、前記固定具は、前記新規下地材の屋外側から前記既存下地材に挿通される第一固定具と、前記新規胴縁の屋外側から前記新規断熱材を介して前記新規下地材に挿通される第二固定具と、を含むものである。
【0009】
請求項2においては、前記新規下地材は、平板状に形成されるものである。
【0010】
請求項3においては、前記既存外壁面材は、前記既存外壁の隅部を構成し、前記新規下地材は、前記隅部を構成する前記既存外壁面材に沿うように折曲した形状に形成されるものである。
【0011】
請求項4においては、前記新規断熱材及び前記新規胴縁は、前記隅部において前記既存外壁面材のうち互いに異なる方向を向く2つの部分に対応するように、別体として構成された2つの部分を含み、前記新規断熱材の前記2つの部分の納まりの勝ち負けと、前記新規胴縁の前記2つの部分の収まりの勝ち負けとは、互いに関係が反対となるように構成されるものである。
【0012】
請求項5においては、前記隅部は、入隅部又は出隅部であるものである。
【0013】
請求項6においては、建物の既存鉄骨柱を挟んだ両側に配置され、既存断熱材が配置される既存フレーム部と、前記既存フレーム部の屋外側に配置される既存外壁面材と、前記既存フレーム部と前記既存外壁面材との間に配置される既存下地材と、を有する前記建物の既存外壁に断熱改修部を取り付ける断熱改修方法であって、前記既存外壁面材の屋外側に、前記既存外壁面材を介して前記既存下地材と屋内外方向において対向して新規下地材を配置する新規下地材配置工程と、前記新規下地材の屋外側から前記既存下地材に第一固定具を挿通する第一固定具挿通工程と、前記既存外壁の屋外側に新規断熱材を配置する新規断熱材配置工程と、前記新規断熱材の屋外側に新規胴縁を配置する新規胴縁配置工程と、前記新規胴縁の屋外側から前記新規断熱材を介して前記新規下地材に第二固定具を挿通する第二固定具挿通工程と、を具備するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
本願発明においては、断熱階周部の既存外壁へ取り付け状態を好適なものとすることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る入隅部の断熱改修構造を示した平面断面模式図。
図2】同じく、平面断面分解模式図。
図3】既存外壁の入隅部の構造を示した平面断面模式図。
図4】ネジの挿通が成功した場合の、入隅部の従来の断熱改修構造を示した平面断面模式図。
図5】ネジの挿通が失敗した場合の、入隅部の従来の断熱改修構造を示した平面断面模式図。
図6】本発明の一実施形態に係る断熱改修方法を示したフローチャート。
図7】本発明の別実施形態に係る出隅部の断熱改修構造を示した平面断面模式図。
図8】同じく、平面断面分解模式図。
図9】既存外壁の出隅部の構造を示した平面断面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の一実施形態に係る断熱改修構造について説明する。また以下では、図中の矢印に基づいて、前後方向及び左右方向を定義して説明を行う。
【0018】
断熱改修構造とは、断熱改修が行われた部分の構造である。ここで、断熱改修とは、既存の建物の断熱性能を向上させるために行われる改修(リフォーム)である。本実施形態においては、既存の建物として、例えば軽量鉄骨造の戸建住宅(以下では単に「住宅」と称する)に断熱改修が行われたものとする。
【0019】
住宅において断熱改修が行われる場所としては、互いに隣接する空間(部屋)を間仕切る内壁や、屋外空間と間仕切る外壁、床部、天井部等の種々の場所が含まれる。本実施形態に係る断熱改修構造とは、前記種々の場所のうち、外壁の隅部に行われた断熱改修構造を指すものとする。まず以下では、図3を用いて、断熱改修の対象となった住宅の外壁(以下では「既存外壁10」と称する)の入隅部10aの構造について説明する。
【0020】
図3は、既存外壁10の入隅部10aの構造を示した平面断面模式図ある。入隅部10aは、平面視で屋内方向(本実施形態では右後方)へ凸となるように形成される。入隅部10aは、鉄骨柱11、パネルフレーム12、縦桟13、屋内側下地材14、屋外側下地材15、壁板材16、断熱材17及び外壁パネル18を具備する。
【0021】
鉄骨柱11は、金属製の柱である。鉄骨柱11は、上下に延びる2つの枠状の部材を接合して形成される。鉄骨柱11は、平面断面視において右側面及び後側面が開放された略矩形状の外形を有し、中空状に形成される。
【0022】
パネルフレーム12は、四角枠状の金属製のフレームである。パネルフレーム12は、例えば薄型鋼により構成される。パネルフレーム12は、第一パネルフレーム121及び第二パネルフレーム122を含む。第一パネルフレーム121は、鉄骨柱11の前側に配置される。第一パネルフレーム121の後側面は、ボルトを用いて鉄骨柱11の前側面と固定される。第二パネルフレーム122は、鉄骨柱11の左側に配置される。第二パネルフレーム122の右側面は、ボルトを用いて鉄骨柱11の左側面と固定される。
【0023】
こうして、第一パネルフレーム121及び第二パネルフレーム122は、平面視において、鉄骨柱11を中心として前方及び左方へ延びるように形成される。第一パネルフレーム121と第二パネルフレーム122との間の屋外側の角度(すなわち、入隅部10aの角度)は、平面視において90度となるように形成される。
【0024】
縦桟13は、上下に延びるように形成される木製の部材である。縦桟13は、鉄骨柱11の近傍に2つ設けられる。縦桟13は、第一パネルフレーム121の右側面の後端部及び第二パネルフレーム122の後側面の右端部に、それぞれ固定される。
【0025】
屋内側下地材14は、後述する壁板材16の近傍に配置される木製の合板である。屋内側下地材14は、平面視で板面を屋内外方向へ向けた板状に形成される。屋外側下地材15は、鉄骨柱11の右側及び後側に対応するように、当該鉄骨柱11の近傍に2つ設けられる。
【0026】
屋外側下地材15は、後述する外壁パネル18の近傍に配置される木製の合板である。屋外側下地材15は、平面視で板面を屋内外方向へ向けた板状に形成される。屋外側下地材15は、第一パネルフレーム121及び第二パネルフレーム122に対応するように、鉄骨柱11の近傍に2つ設けられる。なお以下では、第一パネルフレーム121に対応する屋外側下地材15を「第一屋外側下地材151」と称し、第二パネルフレーム122に対応する屋外側下地材15を「第二屋外側下地材152」と称する。
【0027】
第一屋外側下地材151は、第一パネルフレーム121の左側面の後端部と互いに当接するように配置され、ビス等を用いて固定される。第二屋外側下地材152は、第二パネルフレーム122の前側面の右端部と互いに当接するように配置され、ビス等を用いて固定される。
【0028】
壁板材16は、屋内(室内)に露出する平板状の部材である。壁板材16の屋内側の面には壁紙が貼付される。壁板材16は、その板面を屋内外方向へ向けて設けられ、縦桟13及び屋内側下地材14にビス等を用いて固定される。
【0029】
断熱材17は、断熱性を有する部材である。断熱材17は、例えばグラスウールにより構成される。断熱材17は、パネルフレーム12や鉄骨柱11の内側に設けられる。
【0030】
外壁パネル18は、屋外に露出する平板状の部材である。外壁パネル18は、平面視で板面を屋内外方向へ向けて形成される。外壁パネル18は、第一パネルフレーム121及び第二パネルフレーム122に対応するように、2つの面(向き)を有するように設けられる。なお以下では、第一パネルフレーム121に対応する外壁パネル18を「第一外壁パネル181」と称し、第二パネルフレーム122に対応する外壁パネル18を「第二外壁パネル182」と称する。
【0031】
第一外壁パネル181の後端部は、第一屋外側下地材151の概ね全体と互いに対向して当接するように配置される。第一外壁パネル181は、第一屋外側下地材151にビス等を用いて固定される。第二外壁パネル182の右端部は、第二屋外側下地材152の概ね全体と互いに対向して当接するように配置される。第二外壁パネル182は、第二屋外側下地材152にビス等を用いて固定される。
【0032】
上述の如く構成された既存外壁10(入隅部10a)に断熱改修が行われると、当該既存外壁10に、後述する新規断熱材51を含む断熱改修部50が取り付けられる(増し張りされる)。これにより、住宅の外壁部分において、断熱性能を向上させることができる。
【0033】
ここで、既存外壁10の入隅部10aは、作業者が断熱改修を行うことが比較的困難な場所である。すなわち、既存外壁10に断熱改修が行われる場合、作業者がネジを用いて断熱改修部50を屋外側から既存外壁10に固定する必要がある。しかし、作業者がネジを挿通させる場合、誤って屋外側下地材15から外れた場所にネジが挿通される場合がある。
【0034】
より詳細に説明すると、例えば図4は、(ネジの挿通が成功した場合の)入隅部10aの従来の断熱改修構造を示している。このように、入隅部10aの従来の断熱改修構造においては、屋外に露出した新規胴縁から、新規断熱材を介して入隅部10aの内部にある屋外側下地材15に亘るようにネジが挿通され、これにより断熱改修部が既存外壁10に取り付けられる。
【0035】
しかし、上述の如く既存外壁10の屋外側下地材15は屋外側から視認できず、かつネジを外壁パネル18に対して傾斜した方向へ挿通させる必要があるため、作業者がネジを挿通させる場合、図5に示すように、誤って屋外側下地材15から外れた場所にネジが挿通される場合がある。特に軽量鉄骨造の住宅においては、既存外壁10が鉄骨柱11等から構成される(すなわち、金属の部材が多い)ため、目標となる挿通場所(屋外側下地材15)が限定的な範囲にあり、作業者の意図せぬ場所にビスが挿通され易い。こうして、図5に示すように、ネジが屋外側下地材15に挿通されなかった場合、断熱改修部50の既存外壁10への取り付け状態が不安定となるため望ましくない。
【0036】
これに対して、本発明の一実施形態に係る入隅部10aの断熱改修構造においては、後述する新規下地材53を用いることにより、既存外壁10に、後述する新規断熱材51を含む断熱改修部50が取り付けられる場合に、ネジが屋外側下地材15に挿通されないことを抑制している。
【0037】
以下では図1及び図2を用いて、入隅部10aの断熱改修構造(すなわち、入隅部10aに取り付けられた断熱改修部50の構造)について説明する。断熱改修部50は、新規断熱材51、新規胴縁52、新規下地材53、下地用固定具54及び断熱材用固定具55を具備する。
【0038】
新規断熱材51は、断熱性を有する部材である。新規断熱材51は、外壁パネル18の屋外側に配置される。新規断熱材51は、例えばグラスウールボードにより板状に構成される。新規断熱材51は、平面視で板面を屋内外方向へ向けて形成される。新規断熱材51は、第一外壁パネル181及び第二外壁パネル182に対応するように、2つの部分に区分することができる。なお以下では、第一外壁パネル181に対応する新規断熱材51の部分を「第一新規断熱材511」と称し、第二外壁パネル182に対応する新規断熱材51の部分を「第二新規断熱材512」と称する。
【0039】
第一新規断熱材511は、第一外壁パネル181と板面方向において対向し、後述する新規下地材53を介して略隙間なく当接するように形成される。第二新規断熱材512は、第二外壁パネル182と板面方向において対向し、後述する新規下地材53を介して略隙間なく当接するように形成される。
【0040】
第一新規断熱材511の後側面は、第二新規断熱材512の前側面の右端部と当接するように形成される。また第二新規断熱材512の右側面は、第一外壁パネル181と当接するように形成される。このように、第一新規断熱材511及び第二新規断熱材512の納まりは、第二新規断熱材512が第一新規断熱材511に勝つように形成される。
【0041】
新規胴縁52は、上下に延びるように形成される木製の部材である。新規胴縁52は、新規断熱材51の屋外側に配置される。新規胴縁52は、平面視で板面を屋内外方向へ向けた平板状に形成される。新規胴縁52は、第一新規断熱材511及び第二新規断熱材512に対応するように、2つ設けられる。なお以下では、第一新規断熱材511に対応する新規胴縁52を「第一新規胴縁521」と称し、第二新規断熱材512に対応する新規胴縁52を「第二新規胴縁522」と称する。
【0042】
第一新規胴縁521は、第一新規断熱材511と板面方向において対向し、当接するように形成される。第二新規胴縁522は、第二新規断熱材512と板面方向において対向し、当接するように形成される。そして、第一新規胴縁521の後側面は、第二新規断熱材512と当接するように形成される。また第二新規胴縁522の右側面は、第一新規胴縁521の左側面の後端部と当接するように形成される。このように、第一新規胴縁521及び第二新規胴縁522の納まりは、第一新規胴縁521が第二新規胴縁522に勝つように形成される。
【0043】
このように、第一新規胴縁521及び第二新規胴縁522の納まりの勝ち負けは、第一新規断熱材511及び第二新規断熱材512の納まりの勝ち負けの互いの関係が反対となるように構成される。これによれば、新規下地材53(特に後述する新規下地材第一部分531及び新規下地材第二部分532の先端部)に過度な荷重がかかった場合でも、当該新規下地材53が変形するのを抑制できる。
【0044】
新規下地材53は、外壁パネル18と新規断熱材51との間に配置される金属製の平板状の部材である。新規下地材53は、板厚が約2mm程度に形成される。新規下地材53は、平面視で屈曲した形状(具体的には、L字状)に形成される。新規下地材53は、平面視で屈曲した部分(中心)から前方へ延びる部分と、左方へ延びる部分とを有する。なお以下では、前記前方へ延びる部分を「新規下地材第一部分531」と称し、前記左方へ延びる部分を「新規下地材第二部分532」と称する。
【0045】
新規下地材第一部分531は、第一新規断熱材511及び第二新規断熱材512と、第一外壁パネル181と、の間に配置され、これらと当接される。また新規下地材第一部分531のうち、平面視で中心に近い部分(新規下地材第一部分531の基端部)は、第一外壁パネル181を介して、既存外壁10の第一屋外側下地材151と対向するように設けられる。すなわち、新規下地材第一部分531の基端部は、屋内外方向(左右方向)において、第一屋外側下地材151と重複するように設けられる。
【0046】
これに対して、新規下地材第一部分531のうち、平面視で中心から遠い部分(新規下地材第一部分531の先端部)は、屋内外方向(左右方向)において、第一屋外側下地材151と重複しないように設けられる。
【0047】
新規下地材第二部分532は、第二新規断熱材512と第二外壁パネル182との間に配置され、これらと当接される。また新規下地材第二部分532のうち、平面視で中心に近い部分(新規下地材第二部分532の基端部)は、第二外壁パネル182を介して、既存外壁10の第二屋外側下地材152と対向するように設けられる。すなわち、新規下地材第二部分532の基端部は、屋内外方向(前後方向)において、第二屋外側下地材152と重複するように設けられる。
【0048】
これに対して、新規下地材第二部分532のうち、平面視で中心から遠い部分(新規下地材第二部分532の先端部)は、屋内外方向(前後方向)において、第二屋外側下地材152と重複しないように設けられる。
【0049】
下地用固定具54は、主として新規下地材53を既存外壁10に固定するためのネジや釘等の部材である。下地用固定具54は、新規下地材53の屋外側から屋内方向へ向けて、外壁パネル18を介して既存外壁10の内部に挿通される。下地用固定具54は、新規下地材53の新規下地材第一部分531及び新規下地材第二部分532それぞれから挿通される。なお以下では、新規下地材第一部分531から挿通される下地用固定具54を「第一下地用固定具541」と称し、新規下地材第二部分532から挿通される下地用固定具54を「第二下地用固定具542」と称する。
【0050】
第一下地用固定具541は、新規下地材第一部分531の基端部から、屋内方向(右方)へ向けて挿通される。こうして、第一下地用固定具541は、既存外壁10の第一屋外側下地材151を貫通するように挿通される。また、第二下地用固定具542は、新規下地材第二部分532の基端部から、屋内方向(後方)へ向けて挿通される。こうして、第二下地用固定具542は、既存外壁10の第二屋外側下地材152を貫通するように挿通される。
【0051】
断熱材用固定具55は、主として新規断熱材51を新規下地材53に固定するためのネジや釘等の部材である。断熱材用固定具55は、新規胴縁52の屋外側から屋内方向へ向けて、新規断熱材51を介して新規下地材53に挿通される。断熱材用固定具55は、新規胴縁52の第一新規胴縁521及び第二新規胴縁522それぞれから挿通される。なお以下では、第一新規胴縁521から挿通される断熱材用固定具55を「第一断熱材用固定具551」と称し、第二新規胴縁522から挿通される断熱材用固定具55を「第二断熱材用固定具552」と称する。
【0052】
第一断熱材用固定具551は、第一新規胴縁521から屋内方向(右方)へ向けて挿通される。第一断熱材用固定具551は、第一新規断熱材511を介して、新規下地材第一部分531の先端部を貫通するように挿通される。また第一断熱材用固定具551は、第一外壁パネル181も貫通し、さらに第一パネルフレーム121の内側に到達するように挿通される。また第二断熱材用固定具552は、第二新規胴縁522から屋内方向(後方)へ向けて挿通される。第二断熱材用固定具552は、第二新規断熱材512を介して、新規下地材第二部分532の先端部を貫通するように挿通される。また第二断熱材用固定具552は、第二外壁パネル182も貫通し、さらに第二パネルフレーム122の内側に到達するように挿通される。
【0053】
このような入隅部10aの断熱改修構造によれば、例えば図4に示すような入隅部10aの従来の断熱改修構造の場合とは異なり、屋外側下地材15だけでなく、外壁パネル18の屋外側にある比較的大きな下地材(新規下地材53)も用いるため、下地用固定具54及び断熱材用固定具55を下地材(新規下地材53及び屋外側下地材15)に到達させ易くすることができる。これにより、断熱改修部50の既存外壁10への取り付け状態を好適なものとすることができる。
【0054】
また、新規下地材53は、互いに直交する2方向へ挿通された下地用固定具54(第一下地用固定具541及び第二下地用固定具542)により、屋外側下地材15に取り付けられる。さらに新規胴縁52及び新規断熱材51は、互いに直交する2方向へ挿通された断熱材用固定具55(第一断熱材用固定具551及び第二断熱材用固定具552)によって、新規下地材53に取り付けられる。これによれば、新規断熱材51を新規下地材53(ひいては既存外壁10)に対して強固に固定することができる。
【0055】
以下では、図1及び図2図6のフローチャートを用いて、入隅部10aに断熱改修部50を取り付ける方法(以下では「断熱改修方法」と称する)について説明する。
【0056】
まずステップS11に示す新規下地材配置工程において、新規下地材53が既存外壁10の外壁パネル18に屋外側から当接するように配置される。この場合、新規下地材53の一部は、外壁パネル18を介して、既存外壁10の内部の屋外側下地材15と屋内外方向において対向するように配置される。
【0057】
次にステップS12に示す第一固定具挿通工程において、新規下地材53の屋外側から屋外側下地材15に下地用固定具54が挿通される。この場合、下地用固定具54の第一下地用固定具541及び第二下地用固定具542が、互いに直交する2方向へ挿通される。
【0058】
次にステップS13に示す新規断熱材配置工程において、新規断熱材51が、新規下地材53を介して、既存外壁10の外壁パネル18に屋外側から当接するように配置される。この場合、新規断熱材51(第一新規断熱材511及び第二新規断熱材512)の納まりは、第二新規断熱材512が第一新規断熱材511に勝つように配置される。
【0059】
次にステップS14に示す新規胴縁配置工程において、新規胴縁52が、新規断熱材51に屋外側から当接するように配置される。この場合、新規胴縁52(第一新規胴縁521及び第二新規胴縁522)の納まりは、第一新規胴縁521が第二新規胴縁522に勝つように配置される。
【0060】
次にステップS15に示す第二固定具挿通工程において、断熱材用固定具55が、新規胴縁52の屋外側から屋内方向へ向けて、新規断熱材51を介して新規下地材53に挿通される。この場合、断熱材用固定具55の第一断熱材用固定具551及び第二断熱材用固定具552は、互いに直交する2方向へ挿通される。
【0061】
このような断熱改修方法により、断熱改修部50が入隅部10aに取り付けられる。こうして、作業者が下地用固定具54及び断熱材用固定具55を挿通する場合、例えば図4に示す入隅部10aの従来の断熱改修構造の場合とは異なり、当該下地用固定具54及び断熱材用固定具55を、外壁パネル18に対して直角方向に挿通させることとなる。こうして、作業者の作業を容易なものとでき、下地用固定具54及び断熱材用固定具55を下地材(新規下地材53及び屋外側下地材15)に到達させ易くすることができる。
【0062】
また屋外側下地材15だけでなく、比較的大きな下地材(新規下地材53)も用いるため、下地用固定具54及び断熱材用固定具55を、下地材(新規下地材53及び屋外側下地材15)に到達させ易くすることができる。このように、上述の如き断熱改修方法によれば、断熱改修部50の既存外壁10への取り付け状態を好適なものとすることができる。
【0063】
以下では、本発明の別実施形態として、既存外壁20の出隅部20aの断熱改修構造について説明する。
【0064】
まず図9を用いて、断熱改修の対象となった既存外壁20の出隅部20aの構造について説明する。なお出隅部20aは、平面視で屋外方向へ凸となるように形成される点で入隅部10aと異なる。すなわち、出隅部20aの構造は、凸となる点や方向が相違すること以外、入隅部10aの構造と概ね近いため、以下では当該入隅部10aで説明した部材との関係を示すことで、詳細な説明を省略する。
【0065】
すなわち、図9に示すように、出隅部20aは、鉄骨柱21、パネルフレーム22(第一パネルフレーム221及び第二パネルフレーム222)、縦桟23、屋外側下地材25(第一屋外側下地材251及び第二屋外側下地材252)、壁板材26、断熱材27及び外壁パネル28(第一外壁パネル181及び第二外壁パネル182)を具備する。
【0066】
鉄骨柱21、パネルフレーム22(第一パネルフレーム221及び第二パネルフレーム222)、縦桟23、屋外側下地材25(第一屋外側下地材251及び第二屋外側下地材252)、壁板材26、断熱材27及び外壁パネル28(第一外壁パネル281及び第二外壁パネル282)は、それぞれ入隅部10aの鉄骨柱11、パネルフレーム12(第一パネルフレーム121及び第二パネルフレーム122)、縦桟13、屋外側下地材15(第一屋外側下地材151及び第二屋外側下地材152)、壁板材16、断熱材17及び外壁パネル18(第一外壁パネル181及び第二外壁パネル182)に対応する。
【0067】
次に図7及び図8を用いて、既存外壁20の出隅部20aの断熱改修構造(すなわち、出隅部20aに取り付けられた断熱改修部60の構造)について説明する。なお出隅部20aの断熱改修部60の構造は、入隅部10aの断熱改修部50の構造と概ね近いため、以下では断熱改修部50で説明した部材との関係を示すことで、詳細な説明を省略する。
【0068】
すなわち、図7及び図8に示すように、断熱改修部60は、新規断熱材61(第一新規断熱材611及び第二新規断熱材612)、新規胴縁62(第一新規胴縁621及び第二新規胴縁622)、新規下地材63(新規下地材第一部分631及び新規下地材第二部分632)、下地用固定具64(第一下地用固定具641及び第二下地用固定具642)及び断熱材用固定具65(第一断熱材用固定具651及び第二断熱材用固定具652)を具備する。
【0069】
新規断熱材61(第一新規断熱材611及び第二新規断熱材612)、新規胴縁62(第一新規胴縁621及び第二新規胴縁622)、新規下地材63(新規下地材第一部分631及び新規下地材第二部分632)、下地用固定具64(第一下地用固定具641及び第二下地用固定具642)及び断熱材用固定具65(第一断熱材用固定具651及び第二断熱材用固定具652)は、それぞれ断熱改修部50の新規断熱材61(第一新規断熱材511及び第二新規断熱材512)、新規胴縁52(第一新規胴縁521及び第二新規胴縁522)、新規下地材53(新規下地材第一部分531及び新規下地材第二部分532)、下地用固定具54(第一下地用固定具541及び第二下地用固定具542)及び断熱材用固定具55(第一断熱材用固定具551及び第二断熱材用固定具552)に対応する。
【0070】
なお図7に示す断熱改修部60の新規断熱材61(第一新規断熱材611及び第二新規断熱材612)及び新規胴縁62(第一新規胴縁621及び第二新規胴縁622)は、断熱改修部50とは異なり、納まりの勝ち負けの互いの関係が反対となっていないが、反対となるように構成することもできる。また詳細な説明は省略するが、出隅部20aに断熱改修部60を取り付ける方法(断熱改修方法)は、入隅部10aに断熱改修部50を取り付ける方法(断熱改修方法)と同様の手順が行われる(図6参照)。
【0071】
以上の如く、本発明の一実施形態に係る断熱改修構造においては、
建物の既存外壁10・20と前記既存外壁10・20に取り付けられた断熱改修部50・60とを具備する断熱改修構造であって、
前記既存外壁10・20は、
前記建物の鉄骨柱11・21(既存鉄骨柱)を挟んだ両側に配置され、断熱材17(既存断熱材)が配置されるパネルフレーム12・22(既存フレーム部)と、
前記パネルフレーム12・22(既存フレーム部)の屋外側に配置される外壁パネル18・28(既存外壁面材)と、
前記パネルフレーム12・22(既存フレーム部)と前記外壁パネル18・28(既存外壁面材)との間に配置される屋外側下地材15・25(既存下地材)と、
を有し、
前記断熱改修部50・60は、
前記既存外壁10・20の屋外側に配置される新規断熱材51・61(新規断熱材)と、
前記新規断熱材51・61(新規断熱材)の屋外側に配置される新規胴縁52・62(新規胴縁)と、
前記外壁パネル18・28(既存外壁面材)と前記新規断熱材51・61(新規断熱材)との間に設けられ、前記外壁パネル18・28(既存外壁面材)を介して前記屋外側下地材15・25(既存下地材)と屋内外方向において対向して配置される新規下地材53・63(新規下地材)と、
前記断熱改修部50・60を前記既存外壁10・20に固定するための固定具と、
を具備し、
前記固定具は、
前記新規下地材53・63(新規下地材)の屋外側から前記屋外側下地材15・25(既存下地材)に挿通される下地用固定具54・64(第一固定具)と、
前記新規胴縁52・62(新規胴縁)の屋外側から前記新規断熱材51・61(新規断熱材)を介して前記新規下地材53・63(新規下地材)に挿通される断熱材用固定具55・65(第二固定具)と、
を含むものである。
【0072】
このような構成により、断熱改修部50・60の既存外壁10・20への取り付け状態を好適なものとすることができる。
【0073】
また、断熱改修構造において、
前記新規下地材53・63(新規下地材)は、平板状に形成されるものである。
【0074】
このような構成により、既存外壁10・20と新規断熱材51・61(新規断熱材)との間において、新規下地材53・63(新規下地材)を介在させていない部分の隙間を比較的小さくすることができる。これにより、断熱改修部50・60の既存外壁10・20への取り付け状態を好適なものとすることができる。
【0075】
また、断熱改修構造において、
前記外壁パネル18・28(既存外壁面材)は、前記既存外壁10・20の隅部を構成し、
前記新規下地材53・63(新規下地材)は、前記隅部を構成する前記外壁パネル18・28(既存外壁面材)に沿うように折曲した形状に形成される、
【0076】
このような構成により、断熱改修部50・60を既存外壁10・20に取り付ける場合に、下地用固定具54の第一下地用固定具541及び第二下地用固定具542のそれぞれと、断熱材用固定具55の第一断熱材用固定具551及び第二断熱材用固定具552のそれぞれとを、平面視で互いに交わる2方向へ挿通させることができる。これにより、断熱改修部50・60の既存外壁10・20への取り付け状態を好適なものとすることができる。
【0077】
また、断熱改修構造において、
前記新規断熱材51(新規断熱材)及び前記新規胴縁52(新規胴縁)は、
前記隅部において前記外壁パネル18(既存外壁面材)のうち互いに異なる方向を向く2つの部分に対応するように、別体として構成された2つの部分を含み、
前記新規断熱材51(新規断熱材)の前記2つの部分(第一新規断熱材511及び第二新規断熱材512)の納まりの勝ち負けと、前記新規胴縁52(新規胴縁)の前記2つの部分(第一新規胴縁521及び第二新規胴縁522)の収まりの勝ち負けとは、互いに関係が反対となるように構成されるものである。
【0078】
このような構成により、新規下地材53(特に新規下地材第一部分531及び新規下地材第二部分532の先端部)に過度な荷重がかかった場合でも、当該新規下地材53が変形するのを抑制できる。これにより、断熱改修部50・60の既存外壁10・20への取り付け状態を好適なものとすることができる。
【0079】
また、断熱改修構造において、
前記隅部は、入隅部10a又は出隅部20aである。
【0080】
このような構成により、断熱改修部50の既存外壁10の入隅部10a、又は、断熱改修部60の既存外壁20の出隅部20aへの取り付け状態を好適なものとすることができる。
【0081】
このような構成により、断熱改修部60の既存外壁20の出隅部20aへの取り付け状態を好適なものとすることができる。
【0082】
また、断熱改修構造において、
建物の鉄骨柱11・21(既存鉄骨柱)を挟んだ両側に配置され、断熱材17(既存断熱材)が配置されるパネルフレーム12・22(既存フレーム部)と、
前記パネルフレーム12・22(既存フレーム部)の屋外側に配置される外壁パネル18・28(既存外壁面材)と、
前記パネルフレーム12・22(既存フレーム部)と前記外壁パネル18・28(既存外壁面材)との間に配置される屋外側下地材15・25(既存下地材)と、
を有する建物の既存外壁10・20に断熱改修部50・60を取り付ける断熱改修方法であって、
前記外壁パネル18・28(既存外壁面材)の屋外側に、前記外壁パネル18・28(既存外壁面材)を介して前記屋外側下地材15・25(既存下地材)と屋内外方向において対向して新規下地材53・63(新規下地材)を配置する新規下地材配置工程(ステップS11)と、
前記新規下地材53・63(新規下地材)の屋外側から前記屋外側下地材15・25(既存下地材)に下地用固定具54・64(第一固定具)を挿通する第一固定具挿通工程(ステップS12)と、
前記既存外壁10・20の屋外側に新規断熱材51・61(新規断熱材)を配置する新規断熱材配置工程(ステップS13)と、
前記新規断熱材51・61(新規断熱材)の屋外側に新規胴縁52・62(新規胴縁)を配置する新規胴縁配置工程(ステップS14)と、
前記新規胴縁52・62(新規胴縁)の屋外側から前記新規断熱材51・61(新規断熱材)を介して前記新規下地材53・63(新規下地材)に断熱材用固定具55・65(第二固定具)を挿通する第二固定具挿通工程(ステップS15)と、
を具備するものである。
【0083】
このような構成により、断熱改修部50・60の既存外壁10・20への取り付け状態を好適なものとすることができる。
【0084】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0085】
例えば、本発明の一実施形態に係る断熱改修構造及び断熱改修方法が採用される建物は軽量鉄骨造の戸建住宅に限定されない。また、既存外壁は、隅部に限定されない。
【0086】
また上述の如き既存外壁10・20及び断熱改修部50・60の構造はこれに限定するものではない。例えば、新規下地材53・63(新規下地材)は、平面視でL字状のものに限定されず、例えば直線状のもの等、種々の形状を採用することができる。新規下地材53・63(新規下地材)は、外壁パネルの2面に沿うように配置されるものに限定されず、1面や3面以上の複数の面に沿うように配置されてもよい。
【0087】
また本実施形態においては、2種類の固定具を用いて断熱改修部50・60を既存外壁10・20へ取り付けるものとしたが、これに限定されず、3種類以上の固定具を用いてもよい。
【符号の説明】
【0088】
10 既存外壁
11 鉄骨柱
12 パネルフレーム
15 屋外側下地材
17 断熱材
18 外壁パネル
50 断熱改修部
51 新規断熱材
52 新規胴縁
53 新規下地材
54 下地用固定具
55 断熱材用固定具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9