(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050336
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】制御システム
(51)【国際特許分類】
H04M 3/42 20060101AFI20240403BHJP
H04L 12/28 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
H04M3/42 U
H04L12/28 500E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157154
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】荒井 良太
(72)【発明者】
【氏名】西田 竜太
(72)【発明者】
【氏名】吉田 博之
(72)【発明者】
【氏名】村井 孝司
(72)【発明者】
【氏名】小田原 健雄
【テーマコード(参考)】
5K201
【Fターム(参考)】
5K201CC04
5K201CC10
5K201EA08
5K201EC06
5K201ED08
5K201EF03
(57)【要約】
【課題】建物内の複数の部屋のうち人がいる部屋を好適に検出できる制御システムを提供する。
【解決手段】住宅H内の複数の部屋に設置され、設置された部屋の音声を取得可能な無指向性マイク120(第一のマイク)と、複数の部屋に設置され、設置された部屋において指向する特定範囲Rの音声を取得可能な指向性マイク110(第二のマイク)と、無指向性マイク120(第一のマイク)及び指向性マイク110(第二のマイク)が取得した音圧に基づいて、複数の部屋のうち音声を発したユーザがいる部屋を検出する制御装置150と、を具備する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内の複数の部屋に設置され、設置された部屋の音声を取得可能な第一のマイクと、
前記複数の部屋に設置され、設置された部屋において指向する特定範囲の音声を取得可能な第二のマイクと、
前記第一のマイク及び前記第二のマイクが取得した音圧に基づいて、前記複数の部屋のうち音声を発した人がいる部屋を検出する制御装置と、
を具備する、
制御システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
何れかの前記第一のマイクが音声を取得し、かつ、複数の前記第二のマイクの何れも音声を取得していない場合、
複数の前記第一のマイクのうち最も高い音圧を取得した第一のマイクを検出し、検出した第一のマイクが設置された部屋を、前記人がいる部屋として検出する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記制御装置は、
何れかの前記第一のマイクが音声を取得し、かつ、何れかの前記第二のマイクが音声を取得した場合、
複数の前記第一のマイクのうち最も高い音圧を取得した第一のマイクを検出すると共に、複数の前記第二のマイクのうち最も高い音圧を取得した第二のマイクを検出し、
検出した第一のマイクと、検出した第二のマイクとが、異なる部屋に設置されている場合に、前記検出した第二のマイクが設置された部屋を、前記人がいる部屋として検出する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
何れかの前記第一のマイクが音声を取得し、かつ、何れかの前記第二のマイクが音声を取得した場合、
複数の前記第一のマイクのうち最も高い音圧を取得した第一のマイクを検出すると共に、複数の前記第二のマイクのうち最も高い音圧を取得した第二のマイクを検出し、
検出した第一のマイクと、検出した第二のマイクとが、同一の部屋に設置されている場合に、前記同一の部屋を前記人がいる部屋として検出する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項5】
前記第二のマイクは、互いに隣接する部屋の境界に沿った領域に、前記特定範囲を設定するように設けられる、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項6】
前記複数の部屋に設置され、前記制御装置により制御可能な複数の機器をさらに具備し、
前記制御装置は、
何れかの前記第一のマイクで取得した音声に、複数の前記機器のうち制御の対象となる機器を特定不能な指示が含まれる場合に、検出した前記人がいる部屋に設置された機器の制御を実行する、
請求項1から5までの何れか一項に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内の複数の部屋のうち人がいる部屋を検出する制御システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内の複数の部屋のうち人がいる部屋を検出する制御システムの技術は公知となっている。例えば特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載の技術においては、住宅内の各所に赤外線ビーコンを設置し、赤外線ビーコンから発信される位置情報によって居住者が携帯する発信機器の位置認識が行われて、これにより当該居住者の位置情報が取得される。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、赤外線ビーコンと発信機器との間に赤外線を遮断する障害物がある場合に、居住者の位置情報を正確に取得するのが困難となる。また居住者がそもそも発信機器を携帯していない場合、当該居住者の位置情報を取得することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、建物内の複数の部屋のうち人がいる部屋を好適に検出できる制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、建物内の複数の部屋に設置され、設置された部屋の音声を取得可能な第一のマイクと、前記複数の部屋に設置され、設置された部屋において指向する特定範囲の音声を取得可能な第二のマイクと、前記第一のマイク及び前記第二のマイクが取得した音圧に基づいて、前記複数の部屋のうち音声を発した人がいる部屋を検出する制御装置と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記制御装置は、何れかの前記第一のマイクが音声を取得し、かつ、複数の前記第二のマイクの何れも音声を取得していない場合、複数の前記第一のマイクのうち最も高い音圧を取得した第一のマイクを検出し、検出した第一のマイクが設置された部屋を、前記人がいる部屋として検出するものである。
【0010】
請求項3においては、前記制御装置は、何れかの前記第一のマイクが音声を取得し、かつ、何れかの前記第二のマイクが音声を取得した場合、複数の前記第一のマイクのうち最も高い音圧を取得した第一のマイクを検出すると共に、複数の前記第二のマイクのうち最も高い音圧を取得した第二のマイクを検出し、検出した第一のマイクと、検出した第二のマイクとが、異なる部屋に設置されている場合に、前記検出した第二のマイクが設置された部屋を、前記人がいる部屋として検出するものである。
【0011】
請求項4においては、前記制御装置は、何れかの前記第一のマイクが音声を取得し、かつ、何れかの前記第二のマイクが音声を取得した場合、複数の前記第一のマイクのうち最も高い音圧を取得した第一のマイクを検出すると共に、複数の前記第二のマイクのうち最も高い音圧を取得した第二のマイクを検出し、検出した第一のマイクと、検出した第二のマイクとが、同一の部屋に設置されている場合に、前記同一の部屋を前記人がいる部屋として検出するものである。
【0012】
請求項5においては、前記第二のマイクは、互いに隣接する部屋の境界に沿った領域に、前記特定範囲を設定するように設けられるものである。
【0013】
請求項6においては、前記複数の部屋に設置され、前記制御装置により制御可能な複数の機器をさらに具備し、前記制御装置は、何れかの前記第一のマイクで取得した音声に、複数の前記機器のうち制御の対象となる機器を特定不能な指示が含まれる場合に、検出した前記人がいる部屋に設置された機器の制御を実行するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
本願発明においては、建物内の複数の部屋のうち人がいる部屋を好適に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る制御システムが設けられた住宅を示した間取り図。
【
図2】同じく、制御システムを示したのブロック図。
【
図3】同じく、検出操作処理を示したフローチャート。
【
図4】検出操作処理が実行される場合の、具体的な場面の第一の例を示した図。
【
図5】検出操作処理が実行される場合の、具体的な場面の第二の例を示した図。
【
図6】検出操作処理が実行される場合の、具体的な場面の第三の例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の一実施形態に係る制御システム100について説明する。なお以下の説明においては、図中に記した矢印に従って、東西南北方向をそれぞれ定義する。
【0018】
制御システム100は、所定の建物内の複数の部屋のうち人がいる部屋を検出すると共に、検出した部屋の所定の機器の制御を実行するものである。本実施形態に係る制御システム100は、前記建物として、例えばマンション等の共同住宅(以下では「住宅H」と称する)を想定している。以下では、まず
図1を用いて、制御システム100が設けられた住宅Hについて簡単に説明する。
【0019】
住宅Hは、LDK11、第一洋室12、第二洋室13、玄関14、トイレ15、洗面室16、浴室17及び廊下18を有する。
【0020】
LDK11は、住宅Hの南西部分に設けられる。LDK11の南側の屋外には、バルコニー19が設けられる。第一洋室12は、住宅Hの南東部分に設けられる。LDK11及び第一洋室12は、内壁等を介して隔たれることなく、東西方向に連続した一つの空間として形成される。なお
図1においては、便宜上、LDK11及び第一洋室12の概念上の境界Lを破線で示している。
【0021】
第二洋室13は、住宅Hの北西部分に設けられる。玄関14は、第二洋室13の東側に設けられる。トイレ15は、LDK11と第二洋室13との間の部分に設けられる。洗面室16及び浴室17は、第一洋室12の北側に設けられる。廊下18は、L字状に形成され、住宅Hの真ん中辺りに設けられる。住宅Hの各部屋は、廊下18を介して住宅Hの居住者が行き来可能に設けられる。
【0022】
このように、住宅Hにおいては、3つの居室(LDK11、第一洋室12及び第二洋室13)が設けられる。本実施形態に係る制御システム100は、後述するように制御装置150の所定の処理により、これら3つの居室(部屋)のうち人がいる部屋を検出すると共に、検出した部屋の空調装置140の制御を実行することができる。
【0023】
以下では、
図1及び
図2を用いて、制御システム100の構成について説明する。
【0024】
制御システム100は、指向性マイク110、無指向性マイク120、スピーカ130、空調装置140及び制御装置150を具備する。
【0025】
指向性マイク110は、指向性を有し、指向する特定範囲の音声を取得し易く構成されたマイクである。指向性マイク110は、特定範囲からの音声と当該特定範囲以外からの音声に対する感度が互いに異なるように構成される。なお以下では、前記特定範囲を「特定範囲R」と称する(
図1等参照)。また特定範囲Rは、一般的には指向性マイク110から遠ざかるにつれて広がるものであるが、
図1においては便宜上、広がらないものとして示される。
【0026】
指向性マイク110は、取得した音声を電気信号に変換し、後述する制御装置150に送信することができる。指向性マイク110は、各部屋(LDK11、第一洋室12及び第二洋室13)に設けられる。以下では、各部屋の指向性マイク110の配置構成について説明する。なお便宜上、配置構成の説明においては、指向性マイク110のうち、LDK11のものを「指向性マイク111」と、第一洋室12のものを「指向性マイク112」と、第二洋室13のものを「指向性マイク113」と称する。
【0027】
指向性マイク111は、LDK11の南東部分の隅部に設けられる。すなわち、指向性マイク111は、LDK11と第一洋室12との境界Lの近傍に設けられる。指向性マイク111は、特定範囲Rを概ね北方向へ向けて配置される。指向性マイク111の特定範囲Rは、境界Lに隣接し、かつ、境界Lに沿った領域が含まれるように設定される。また指向性マイク111の特定範囲Rは、境界Lから第一洋室12側にはみ出ないように設定される。こうして、指向性マイク111の特定範囲Rは、LDK11の東側部分において南北方向に亘るように設定される。
【0028】
指向性マイク112は、第一洋室12の南西部分の隅部に設けられる。すなわち、指向性マイク112は、LDK11と第一洋室12との境界Lの近傍に設けられる。指向性マイク112は、特定範囲Rを概ね北方向へ向けて配置される。指向性マイク112の特定範囲Rは、境界Lに隣接し、かつ、境界Lに沿った領域が含まれるように設定される。また指向性マイク112の特定範囲Rは、境界LからLDK11側にはみ出ないように設定される。こうして、指向性マイク112の特定範囲Rは、第一洋室12の西側部分において南北方向に亘るように設定される。
【0029】
指向性マイク113は、第二洋室13の南西部分の隅部に設けられる。指向性マイク113は、特定範囲Rを概ね東方向へ向けて配置される。指向性マイク113の特定範囲Rは、第二洋室13の南側部分において東西方向に亘るように設定される。また指向性マイク113の特定範囲Rは、第二洋室13のドア付近の領域を含むように設定される。
【0030】
無指向性マイク120は、指向性を有さず、周囲(全方位)からの音声を取得可能に構成されたマイクである。無指向性マイク120は、取得した音声を電気信号に変換し、後述する制御装置150に送信することができる。無指向性マイク120は、各部屋に設けられる。具体的には、LDK11の無指向性マイク120は、LDK11の南西部分の隅部に設けられる。第一洋室12の無指向性マイク120は、第一洋室12の北西部分の隅部に設けられる。第二洋室13の無指向性マイク120は、第二洋室13の北西部分の隅部に設けられる。
【0031】
なお本実施形態において、無指向性マイク120(第二のマイク)は、指向性を有さないものとしたが、これに限定されない。すなわち、無指向性マイク120(第二のマイク)は、指向性を有するものであってもよい。ただし、その場合には、無指向性マイク120(第二のマイク)は、設置された部屋全体を網羅するような指向性を有することが望ましい。
【0032】
スピーカ130は、所定の音声を出力可能なものである。スピーカ130は、後述するように、制御装置150に制御される。スピーカ130は、各部屋に設けられる。各部屋のスピーカ130は、それぞれ無指向性マイク120に並設される。
【0033】
空調装置140は、室内の空気の温度や湿度等を調整可能な機器である。空調装置140は、後述するように、制御装置150に制御される。空調装置140は、各部屋に設けられる。各部屋の空調装置140は、それぞれ各部屋の適当な場所に設けられる。
【0034】
なお本実施形態においては、制御装置150に制御される機器として、スピーカ130及び空調装置140が設けられる構成としたが、これに限定されない。すなわち、各部屋には、制御装置150に制御される機器として、例えば照明器具やテレビ等の種々の機器を設けることができる。また制御装置150に制御される機器は、必ずしも各部屋に設置されるものに限定されず、外部の機器(例えばサーバ等)を含ませることができる。また制御装置150に制御される機器は、3つの部屋(LDK11、第一洋室12及び第二洋室13)の全てに設ける必要はなく、任意の部屋にのみ設けることができる。
【0035】
制御装置150は、制御システム100の各種の処理を実行するものである。制御装置150は、主としてCPU等の演算処理装置、RAMやROM等の記憶装置等により構成される。制御装置150の記憶装置には、各種の処理を実行するために必要な情報や各種プログラムが記憶されている。
【0036】
制御装置150の記憶装置には、指向性マイク110、無指向性マイク120、スピーカ130及び空調装置140の位置情報が記憶される。具体的には、制御装置150の記憶装置には、各指向性マイク110を識別する識別情報に紐付くように、当該指向性マイク110が設置された部屋に関する情報が記憶される。また無指向性マイク120、スピーカ130及び空調装置140についても同様に、設置された部屋に関する情報が記憶される。
【0037】
また
図2に示すように、制御装置150は、指向性マイク110、無指向性マイク120、スピーカ130及び空調装置140に接続される。こうして、制御装置150は、指向性マイク110及び無指向性マイク120から送信された電気信号を取得する。これにより、制御装置150は、指向性マイク110及び無指向性マイク120が取得した音声に関する情報(以下では「音声情報」と称する)を取得できる。音声情報には、取得した音声の圧力(音圧)が含まれる。また音声情報には、音声の内容が含まれる。すなわち、制御装置150は、取得した音声情報を解析することにより、音圧や音声の内容を取得できる。
【0038】
また制御装置150は、スピーカ130及び空調装置140に所定の電気信号を送信できる。これにより、制御装置150は、スピーカ130及び空調装置140の動作を制御できる。具体的には、制御装置150は、スピーカ130から任意の音声(例えば、予め記憶装置に記憶された音楽や、外部のサーバから取得した天気予報等)を出力できる。また制御装置150は、空調装置140の暖房運転や冷房運転等の、任意の運転を行うことができる。
【0039】
また制御装置150は、指向性マイク110及び無指向性マイク120から取得した人(以下では「ユーザ」と称する場合がある)の音声に基づいて、スピーカ130及び空調装置140の動作を制御できる。例えば制御装置150の記憶装置には、特定の音声の内容に紐付くように、各機器(スピーカ130及び空調装置140)の制御の内容が予め記憶される。
【0040】
こうして、制御装置150は、ユーザの音声の内容に、前記特定の内容、及び、特定の機器名・部屋名(制御の対象となるのが、どの部屋のスピーカ130又は空調装置140であるかを示す情報)が含まれる場合、前記位置情報を参照し、当該制御の対象となる機器に対してユーザの所望する制御を行う。なお以下では、ユーザの音声の内容のうち、各機器(スピーカ130及び空調装置140)の制御を実行させるような音声の内容を「動作指示」と称する場合がある。
【0041】
ここで、本実施形態に係る動作指示には、前記特定の内容、及び、特定の機器名・部屋名の両方が含まれるものだけでなく、特定の機器名・部屋名が不明なものも含まれる。制御装置150は、所定の処理(以下では「検出操作処理」と称する)を実行することにより、特定の機器名・部屋名が不明な場合(すなわち制御の対象となるのが、どの部屋のスピーカ130又は空調装置140であるか不明な場合)であっても、動作指示を発声したユーザがいる部屋を検出し、検出した部屋に設置された機器の動作を制御できる。
【0042】
以下では、
図3のフローチャートを用いて、制御装置150により実行される検出操作処理について説明する。検出操作処理は、制御装置150により常時繰り返し実行される。
【0043】
ステップS101において、制御装置150は、音声入力を検知する。すなわち、制御装置150は、何れかの無指向性マイク120から音声情報を取得すると、当該音声情報を解析して音声の内容を取得する。制御装置150は、音声の内容に空調装置140の動作指示が含まれていると、ステップS102へ移行する。なお以下では便宜上、音声の内容に、空調装置140の制御の内容が含まれるものとする。
【0044】
ステップS102において、制御装置150は、ユーザが特定の機器名・部屋名(制御の対象となるのが、どの部屋の空調装置140であるかを示す情報)を発声していないか否かを判定する。すなわち、制御装置150は、ステップS101において取得した動作指示から、3つの空調装置140のうち制御の対象となる空調装置140を特定可能か否かを判定する。
【0045】
こうして、制御装置150は、ユーザが特定の機器名・部屋名を発声していない場合(制御の対象となる空調装置140を特定不能な場合)、ステップS103へ移行する。一方、制御装置150は、ユーザが特定の機器名・部屋名を発声している場合(制御の対象となる空調装置140を特定可能な場合)、ステップS109へ移行する。
【0046】
ステップS103において、制御装置150は、ステップS101における音声情報の解析結果に基づいて、3つの無指向性マイク120のうち、最も音圧が大きいマイクを検出する。以下では、最も音圧が大きいと検出された無指向性マイク120を「無指向性MAX」と称する場合がある。制御装置150は、ステップS103の処理の後、ステップS104へ移行する。
【0047】
ステップS104において、制御装置150は、ステップS101における音声入力と同じタイミングで、3つの指向性マイク110のうち何れかのマイクで音声を認識したか否かを判定する。制御装置150は、何れかの指向性マイク110で音声を認識した場合、ステップS105へ移行する。一方、制御装置150は、何れの指向性マイク110でも音声を認識していない場合、ステップS108へ移行する。
【0048】
なお制御装置150は、ステップS104の処理を行う場合、ステップS101における音声入力と同じタイミングで指向性マイク110で取得した音声の内容と、無指向性マイク120で取得した音声の内容とが一致する場合に、3つの指向性マイク110のうち何れかのマイクで音声を認識したと判定することもできる。
【0049】
ステップS105において、制御装置150は、指向性マイク110から取得した音声情報を解析し、3つの指向性マイク110のうち、最も音圧が大きいマイクを検出する。以下では、最も音圧が大きいと検出された指向性マイク110を「指向性MAX」と称する場合がある。制御装置150は、ステップS105の処理の後、ステップS106へ移行する。
【0050】
ステップS106において、制御装置150は、無指向性MAXと指向性MAXが、異なる部屋に設置されているか否かを判定する。制御装置150は、無指向性MAXと指向性MAXが、異なる部屋に設置されていると判定した場合、ステップS107へ移行する。一方、制御装置150は、無指向性MAXと指向性MAXが、異なる部屋に設置されていない(同じ部屋に設置されている)と判定した場合、ステップS108へ移行する。
【0051】
ステップS107において、制御装置150は、指向性MAXが設置された部屋が、ユーザがいる部屋であると判定する。制御装置150は、ステップS107の処理の後、ステップS109へ移行する。
【0052】
ステップS108において、制御装置150は、無指向性MAXが設置された部屋が、ユーザがいる部屋であると判定する。制御装置150は、ステップS108の処理の後、ステップS109へ移行する。
【0053】
ステップS109において、制御装置150は、該当する部屋の空調装置140(対象機器)の制御を行う。すなわち、ステップS102から移行した場合(動作指示に基づいて、3つの空調装置140のうち制御の対象となる空調装置140を特定可能な場合)、制御装置150は、特定された空調装置140の制御を行う。また、ステップS107から移行した場合、制御装置150は、指向性MAXが設置された部屋の空調装置140の制御を行う。また、ステップS108から移行した場合、制御装置150は、無指向性MAXが設置された部屋の空調装置140の制御を行う。制御装置150は、ステップS109の処理の後、一旦、検出操作処理の実行を終了してステップS101へ移行する。
【0054】
こうして、制御装置150は、検出操作処理を実行することにより、動作指示の対象となる空調装置140が特定可能及び特定不能な両方の場合において、適切に空調装置140の制御を行うことができる。具体的には、動作指示の対象となる空調装置140が特定可能な場合は、特定された空調装置140の制御が行われる。また動作指示の対象となる空調装置140が特定不能な場合は、動作指示を発声したユーザがいる部屋を検出し、検出した部屋の空調装置140の制御が行われる。
【0055】
以下では、
図4から
図6を用いて、検出操作処理が実行される場合の具体的な場面の一例について説明する。
【0056】
まず
図4に示す第一の例では、ユーザがLDK11の略中央部分(特定範囲Rの範囲外)にいるものとする。またユーザは、対象となる空調装置140が特定不能である動作指示(例えば「空調装置の温度を下げて」との発声)を行ったものとする。
【0057】
このような場合、LDK11及び第一洋室12は連続した一つの空間であるため、ユーザの音声はLDK11及び第一洋室12の両方の無指向性マイク120に入力される。そして、動作指示の対象となる空調装置140が特定不能であるため、無指向性MAXが検出されることとなる。ここで上述の如くユーザがLDK11の略中央部分にいるため、当該ユーザに最も近いLDK11の無指向性マイク120が取得した音圧が、他の無指向性マイク120が取得した音圧よりも高い(すなわち、最も高い)と想定される。つまり、LDK11の無指向性マイク120が、無指向性MAXとして検出される(ステップS101、ステップS102:YES、ステップS103)。
【0058】
またこの場合、ユーザは特定範囲Rの範囲外にいるため、何れの指向性マイク110によっても当該ユーザの音声は認識されないと想定される。したがって、ユーザは、無指向性MAXが設置された部屋、すなわちLDK11にいると判定される(ステップS104:NO、ステップS108)。
【0059】
こうして、制御装置150は、ユーザがいる部屋を判定すると、該当する部屋(LDK11)に設置された空調装置140の制御を行う(ステップS109)。
【0060】
次に
図5に示す第二の例では、ユーザがLDK11の東側部分(特定範囲Rの範囲内)にいるものとする。またユーザは、第一の例と同様に、対象となる空調装置140が特定不能である動作指示を行ったものとする。
【0061】
このような場合、LDK11及び第一洋室12は連続した一つの空間であるため、ユーザの音声はLDK11及び第一洋室12の両方の無指向性マイク120に入力される。そして、動作指示の対象となる空調装置140が特定不能であるため、無指向性MAXが検出されることとなる。ここで上述の如くユーザがLDK11の東側部分にいるため、当該ユーザに最も近い第一洋室12の無指向性マイク120が取得した音圧が、他の無指向性マイク120が取得した音圧よりも高い(すなわち、最も高い)と想定される。つまり、第一洋室12の無指向性マイク120が、無指向性MAXとして検出される(ステップS101、ステップS102:YES、ステップS103)。
【0062】
またこの場合、ユーザはLDK11の特定範囲Rの範囲内にいるため、当該指向性マイク110によって当該ユーザの音声が認識され、指向性MAXが検出されることとなる。この例では、LDK11の指向性マイク110だけがユーザの音声を取得するため、LDK11の指向性マイク110が、指向性MAXとして検出される(ステップS104:YES、ステップS105)。
【0063】
そして、無指向性MAX(すなわち、第一洋室12の無指向性マイク120)と指向性MAX(すなわち、LDK11の指向性マイク110)は異なる部屋に設置されているため、ユーザは指向性MAXが設置された部屋、すなわちLDK11にいると判定される(ステップS106:YES、ステップS107)。
【0064】
こうして、制御装置150は、ユーザがいる部屋を判定すると、該当する部屋(LDK11)に設置された空調装置140の制御を行う(ステップS109)。
【0065】
次に
図6に示す第三の例では、ユーザが第一洋室12の西側部分(特定範囲Rの範囲内)にいるものとする。またユーザは、第一及び第二の例と同様に、対象となる空調装置140が特定不能である動作指示を行ったものとする。
【0066】
このような場合、LDK11及び第一洋室12は連続した一つの空間であるため、ユーザの音声はLDK11及び第一洋室12の両方の無指向性マイク120に入力される。そして、動作指示の対象となる空調装置140が特定不能であるため、無指向性MAXが検出されることとなる。ここで上述の如くユーザが第一洋室12の西側部分にいるため、当該ユーザに最も近い第一洋室12の無指向性マイク120が取得した音圧が、他の無指向性マイク120が取得した音圧よりも高い(すなわち、最も高い)と想定される。つまり、第一洋室12の無指向性マイク120が、無指向性MAXとして検出される(ステップS101、ステップS102:YES、ステップS103)。
【0067】
またこの場合、ユーザは第一洋室12の特定範囲Rの範囲内にいるため、当該指向性マイク110によって当該ユーザの音声が認識され、指向性MAXが検出されることとなる。この例では、第一洋室12の指向性マイク110だけがユーザの音声を取得するため、第一洋室12の指向性マイク110が、指向性MAXとして検出される(ステップS104:YES、ステップS105)。
【0068】
そして、無指向性MAX(すなわち、第一洋室12の無指向性マイク120)と指向性MAX(すなわち、第一洋室12の指向性マイク110)は同じ部屋に設置されているため、ユーザは無指向性MAXが設置された部屋、すなわち第一洋室12にいると判定される(ステップS106:NO、ステップS108)。
【0069】
こうして、制御装置150は、ユーザがいる部屋を判定すると、該当する部屋(第一洋室12)に設置された空調装置140の制御を行う(ステップS109)。
【0070】
このように、本実施形態に係る検出操作処理においては、無指向性マイク120及び指向性マイク110により取得された音圧に基づいて、ユーザがいる部屋を判定し、当該部屋に設置された空調装置140の制御を行うことができる。これによれば、例えば赤外線ビーコンに対する発信機器のような機器を携帯する煩わしさがなく、また人感センサ等を設置した場合の検知範囲の重複等による誤認識を防ぐことができる。すなわち、ユーザがいる部屋を容易かつ正確に特定でき、ひいては当該ユーザがいる部屋の空調装置140を好適に制御できる。
【0071】
また本実施形態に係る検出操作処理においては、住宅H内に複数のユーザがいる場合であっても、動作指示を行ったユーザがいる部屋を容易かつ正確に特定でき、ひいては当該ユーザがいる部屋の空調装置140を好適に制御できる。
【0072】
また、本実施形態に係る3つの空調装置140のように、住宅H内に同一の機器が複数ある場合であっても、例えば機器ごとに固有の名称を設定し、この名称を発声して制御を行う必要がない。すなわち、ユーザは、制御を行いたい機器の場所や名称を覚える必要がないため、誰でも直感的に操作を行うことができる。
【0073】
また第二洋室13においては、境界Lが設けられない(DK11及び第一洋室12のように、複数の部屋が連続した一つの空間ではない)ため、他の空間(本実施形態においては、トイレ15及び廊下18)を区画する壁部に沿った領域を含むように、指向性マイク111の特定範囲Rが設定される。こうして、例えば他の空間に無指向性マイク120があって、かつ、第二洋室13にいるユーザが、当該第二洋室13よりも他の空間の無指向性マイク120の方に近い場合であっても、ユーザが第二洋室13にいることを正確に判定できる。
【0074】
以上の如く、本実施形態に係る制御システム100は、
建物(住宅H)内の複数の部屋に設置され、設置された部屋の音声を取得可能な無指向性マイク120(第一のマイク)と、
前記複数の部屋に設置され、設置された部屋において指向する特定範囲Rの音声を取得可能な指向性マイク110(第二のマイク)と、
前記無指向性マイク120(第一のマイク)及び前記指向性マイク110(第二のマイク)が取得した音圧に基づいて、前記複数の部屋のうち音声を発したユーザがいる部屋を検出する制御装置150と、
を具備するものである。
【0075】
このような構成により、建物内の複数の部屋のうち人がいる部屋を好適に検出できる。
すなわち、無指向性マイク120及び指向性マイク110により取得された音圧に基づいて、ユーザがいる部屋を正確に判定することができる。
【0076】
また、本実施形態に係る制御システム100において、
前記制御装置150は、
何れかの前記無指向性マイク120(第一のマイク)が音声を取得し、かつ、複数の前記指向性マイク110(第二のマイク)の何れも音声を取得していない場合、
複数の前記無指向性マイク120(第一のマイク)のうち最も高い音圧を取得した無指向性マイク120(第一のマイク)を検出し、検出した無指向性マイク120(第一のマイク)が設置された部屋を、前記ユーザがいる部屋として検出するものである(ステップS101、ステップS102:YES、ステップS103、ステップS104:NO、ステップS108)。
【0077】
このような構成により、建物内の複数の部屋のうち人がいる部屋をより好適に検出できる。
【0078】
また、本実施形態に係る制御システム100において、
前記制御装置150は、
何れかの前記無指向性マイク120(第一のマイク)が音声を取得し、かつ、何れかの前記指向性マイク110(第二のマイク)が音声を取得した場合、
複数の前記無指向性マイク120(第一のマイク)のうち最も高い音圧を取得した無指向性マイク120(第一のマイク)を検出すると共に、複数の前記指向性マイク110(第二のマイク)のうち最も高い音圧を取得した指向性マイク110(第二のマイク)を検出し、
検出した無指向性マイク120(第一のマイク)と、検出した指向性マイク110(第二のマイク)とが、異なる部屋に設置されている場合に、前記検出した指向性マイク110(第二のマイク)が設置された部屋を、前記ユーザがいる部屋として検出するものである(ステップS101、ステップS102:YES、ステップS103、ステップS104:YES、ステップS105、ステップS106:YES、ステップS107)。
【0079】
このような構成により、建物内の複数の部屋のうち人がいる部屋をより好適に検出できる。
【0080】
また、本実施形態に係る制御システム100において、
前記制御装置150は、
何れかの前記無指向性マイク120(第一のマイク)が音声を取得し、かつ、何れかの前記指向性マイク110(第二のマイク)が音声を取得した場合、
複数の前記無指向性マイク120(第一のマイク)のうち最も高い音圧を取得した無指向性マイク120(第一のマイク)を検出すると共に、複数の前記指向性マイク110(第二のマイク)のうち最も高い音圧を取得した指向性マイク110(第二のマイク)を検出し、
検出した無指向性マイク120(第一のマイク)と、検出した指向性マイク110(第二のマイク)とが、同一の部屋に設置されている場合に、前記同一の部屋を前記ユーザがいる部屋として検出するものである(ステップS101、ステップS102:YES、ステップS103、ステップS104:YES、ステップS105、ステップS106:NO、ステップS108)。
【0081】
このような構成により、建物内の複数の部屋のうち人がいる部屋をより好適に検出できる。
【0082】
また、本実施形態に係る制御システム100において、
前記指向性マイク110(第二のマイク)は、互いに隣接する部屋の境界Lに沿った領域に、前記特定範囲Rを設定するように設けられるものである。
【0083】
このような構成により、建物内の複数の部屋のうち人がいる部屋をより好適に検出できる。
すなわち、互いに隣接する部屋において、例えば一方の部屋にいるユーザが他方の部屋の無指向性マイク120(第一のマイク)との距離が近い場合であっても、指向性マイク110(第二のマイク)を用いて、ユーザがいる部屋をより好適に検出できる。
【0084】
また、本実施形態に係る制御システム100において、
前記複数の部屋に設置され、前記制御装置150により制御可能な複数の空調装置140(機器)をさらに具備し、
前記制御装置150は、
何れかの前記無指向性マイク120(第一のマイク)で取得した音声に、複数の前記空調装置140(機器)のうち制御の対象となる空調装置140(機器)を特定不能な指示が含まれる場合に、検出した前記ユーザがいる部屋に設置された空調装置140(機器)の制御を実行するものである。
【0085】
このような構成により、ユーザがいる部屋の空調装置140を容易に制御できる。
【0086】
なお、本実施形態に係る住宅Hは、本発明に係る建物の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る無指向性マイク120は、本発明に係る第一のマイクの一形態である。
また、本実施形態に係る指向性マイク110は、本発明に係る第二のマイクの一形態である。
また、本実施形態に係る空調装置140は、本発明に係る機器の一形態である。
【0087】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0088】
例えば、建物は共同住宅(マンション等)に限定するものではなく、戸建住宅、オフィスビル、商業施設、学校、病院等であってもよい。
【0089】
また指向性マイク110及び無指向性マイク120は、それぞれ各部屋に1つ設けれることに限定されず、複数設けることができる。これによれば、動作指示を行ったユーザがいる部屋をより容易かつ正確に特定でき、ひいては当該ユーザがいる部屋の機器をより好適に制御できる。
【0090】
また
図3に示すフローチャートは、検出操作処理の一例であり、処理の順番等、適宜変更することができる。また検出操作処理を実行する制御装置150としては、住宅Hに設けられるのではなく、例えば外部のサーバ等を利用することができる。
【符号の説明】
【0091】
110 指向性マイク
120 無指向性マイク
150 制御装置