(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050339
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】容器ホルダー及び容器の収容構造
(51)【国際特許分類】
B65D 25/20 20060101AFI20240403BHJP
B60N 3/10 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B65D25/20 V
B60N3/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157159
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100203460
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 肇
(72)【発明者】
【氏名】川村 裕一
【テーマコード(参考)】
3B088
3E062
【Fターム(参考)】
3B088LA03
3B088LB02
3E062AA09
3E062AB02
3E062AC02
3E062AC05
3E062CA04
3E062CA05
3E062CA12
(57)【要約】
【課題】様々な形状の容器を好適に収容可能な容器ホルダーを提供する。
【解決手段】
上方が開放された内部空間に、第1容器と、平面視での面積が第1容器よりも大きい第2容器とを選択して収容可能な容器ホルダー10である。第1容器を収容可能な第1空間を構成している下側収容部20と、下側収容部20よりも上方側に設けられ、第1空間と連通し平面視での面積が第1空間よりも大きく第2容器を収容可能な第2空間を構成している上側収容部30と、第1空間よりも上方で第2容器の下端を支持可能な支持部と、を備える。上側収容部30は、第2空間の外形を構成している状態から第2空間へ入り込んだ状態へと変形可能な変形部60を備える。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方が開放された内部空間に、第1容器と、平面視での面積が前記第1容器よりも大きい第2容器とを選択して収容可能な容器ホルダーであって、
前記第1容器を収容可能な第1空間を構成している下側収容部と、
前記下側収容部よりも上方側に設けられ、前記第1空間と連通し平面視での面積が前記第1空間よりも大きく前記第2容器を収容可能な第2空間を構成している上側収容部と、
前記第1空間よりも上方で前記第2容器の下端を支持可能な支持部と、を備え、
前記上側収容部は、前記第2空間の外形を構成している状態から前記第2空間へ入り込んだ状態へと変形可能な変形部を備える、容器ホルダー。
【請求項2】
前記第1空間は円筒形の空間であり、
前記第2空間は角筒形の空間である、請求項1に記載の容器ホルダー。
【請求項3】
前記変形部は、前記第2空間を構成する角部を前記第2空間内に向けて反転することで前記第2空間へ入り込む、請求項2に記載の容器ホルダー。
【請求項4】
前記変形部は、隣接した2つの角部のそれぞれに設けられている、請求項3に記載の容器ホルダー。
【請求項5】
前記変形部の前記第2空間へ入り込む量を変更可能である、請求項1~4のいずれか1項に記載の容器ホルダー。
【請求項6】
前記変形部の入り込む方向に対向する側に、当該変形部よりも上方へ立設する延長壁部が設けられている、請求項5に記載の容器ホルダー。
【請求項7】
前記上側収容部と前記下側収容部の脇に、上下方向に連通し電子機器を収容可能な収容空間をさらに有する請求項1~4のいずれか1項に記載の容器ホルダー。
【請求項8】
前記変形部の入り込む方向に対向する側の外側面に、車椅子に取り付け可能な取付部が設けられている請求項1~4のいずれか1項に記載の容器ホルダー。
【請求項9】
請求項3に記載の容器ホルダーによる前記第1容器の収容構造であって、前記変形部の前記第2空間へ入り込んだ角部が、容器ホルダーの内部空間に収容された前記第1容器の外面に当接又は近接している、容器の収容構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットボトルや紙パック等の容器を収容可能な容器ホルダー、及び、その容器ホルダーによる容器の収容構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ペットボトルや紙パック等の容器を収容可能な容器ホルダーとして、様々な形状のものが開発されている。このような容器ホルダーとして特許文献1に記載の容器ホルダーがある。特許文献1の容器ホルダーでは、円筒状の下側収容部と角筒状の上側収容部を備えており、下側収容部には円筒状の容器を収容することができ、上側収容部には角筒状の容器を収容することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の容器ホルダーでは、形状の異なる容器を選択して収容することができるものの、下側収容部に収容した容器については下端近傍のみを保持しているため、安定性を欠くおそれがあった。また、下側収容部に収容された容器の上端側を保持しようとすれば、上側収容部への容器の収容を阻害することとなり、形状の異なる容器を選択して収容可能とするとするためには、下側収容部に収容された容器の安定性を向上することは困難であった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、様々な形状の容器を好適に収容可能な容器ホルダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の構成は、上方が開放された内部空間に、第1容器と、平面視での面積が前記第1容器よりも大きい第2容器とを選択して収容可能な容器ホルダーであって、前記第1容器を収容可能な第1空間を構成している下側収容部と、前記下側収容部よりも上方側に設けられ、前記第1空間と連通し平面視での面積が前記第1空間よりも大きく前記第2容器を収容可能な第2空間を構成している上側収容部と、前記第1空間よりも上方で前記第2容器の下端を支持可能な支持部と、を備え、前記上側収容部は、前記第2空間の外形を構成している状態から前記第2空間へ入り込んだ状態へと変形可能な変形部を備える。
【0007】
第1の構成では、第2容器を収容する場合には変形部を第2空間の外形を構成している状態としておくことで、第2空間で第2容器を保持することができるうえ、下側収容部に収容した第1容器が第2空間にまで至る場合には変形部を第2空間へ入り込んだ状態とすることにより第1容器に変形部を近接又は接触させることができ、第1容器を好適に保持することができる。また、第2容器と上側収容部との間に間隔がある場合においても変形部を第2空間へ入り込んだ状態とすれば、第2容器についても好適に保持することができる。
【0008】
第2の構成は、第1の構成に加えて、前記第1空間は円筒形の空間であり、前記第2空間は角筒形の空間である。
【0009】
有底円筒形の容器や、その有底円筒形の容器よりも平面視での面積が大きい有底角筒形の容器が広く一般的に普及しているため、第2の構成では、第1空間及び第2空間の形状をそれらの容器の形状に合致させることで、容器ホルダーの形状を広く一般的に普及しているものに合致させることができる。
【0010】
第3の構成は、第2の構成に加えて、前記変形部は、前記第2空間を構成する角部を前記第2空間内に向けて反転することで前記第2空間へ入り込む。
【0011】
第3の構成では、変形部として前記第2空間を構成する角部を用いているため、第2空間へ入り込むための部材を別途用意する必要が無く、容器ホルダー全体の構成を簡略化することができる。
【0012】
第4の構成は、第3の構成に加えて、前記変形部は、隣接した2つの角部のそれぞれに設けられている。
【0013】
第4の構成では、複数個所により第1容器を保持することにより、容器ホルダー10に収容した第1容器の安定性を向上させることができる。
【0014】
第5の構成は、第1~4のいずれかの構成に加えて、前記変形部の前記第2空間へ入り込む量を変更可能である。
【0015】
第5の構成では、収容する容器の形状に応じて変形部の入り込む量を変更することができるため、様々な形状の容器を好適に収容することができる。
【0016】
第6の構成は、第5の構成に加えて、前記変形部の入り込む方向に対向する側に、当該変形部よりも上方へ立設する延長壁部が設けられている。
【0017】
第6の構成では、変形部が第2空間へ入り込んだ状態でも、延長壁部に第1容器の下端を押し当てつつ第1容器を第2空間へ押し込むことができ、第1容器を容易に収容することができる。
【0018】
第7の構成は、第1~4のいずれかの構成に加えて、前記上側収容部と前記下側収容部の脇に、上下方向に連通し電子機器を収容可能な収容空間をさらに有する。
【0019】
第7の構成では、容器ホルダーに第1容器と第2容器とを選択して収容できることに加えて電子機器も収容可能であるため容器ホルダーの用途をより広げることができる。
【0020】
第8の構成は、第1~4のいずれかの構成に加えて、前記変形部の入り込む方向に対向する側の外側面に、車椅子に取り付け可能な取付部が設けられている。
【0021】
第8の構成では、変形部の変形させることができる側が正面を向くように車椅子に取り付けることができるため、変形部の第2空間への入り込みを好適に調節することができる。
【0022】
第9の構成は、第3の構成の容器ホルダーによる第1容器の収容構造であって、前記変形部の前記第2空間へ入り込んだ角部が、容器ホルダーの内部空間に収容された前記第1容器の外面に当接又は近接している。
【0023】
第9の構成では、第3の構成の容器ホルダーを利用して第1容器を安定的に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図10】容器ホルダーに有底角筒形の容器を収容した状態の斜視図である。
【
図11】容器ホルダーに有底角筒形の容器を収容した状態の平面図である。
【
図14】容器ホルダーに有底円筒形の容器を収容した状態の平面図である。
【
図16】変形部の第2空間内へ入り込んだ量が低減した状態を示す図である。
【
図17】車椅子に容器ホルダーを取り付けた状態を示す図である。
【
図18】車椅子に容器ホルダーを取り付ける際に用いられるアタッチメントの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<実施形態>
本実施形態に係る容器ホルダー10は、車椅子のアームサポートの前側に取り付けられて用いられ、内部空間に飲料等の容器を収容可能なものである。以下の説明では、容器ホルダーの車椅子に対して取り付けられる側を背面側と定義し、車椅子に取り付けられた際の天地の方向を上下方向と定義する。
【0026】
まず、
図1~8を参照して、容器ホルダー10の構造について説明する。容器ホルダー10は、上方が開放された有底円筒形であり、内部に第1空間を構成している下側収容部20と、その下側収容部20と内部空間が連通する四角筒形であり、内部に第2空間を構成している上側収容部30と、を備えている。下側収容部20は下端を閉塞する円板状の底板21と、その底板21から上方へ立設する円筒形の側壁22とにより構成されている。底板21の厚みは略均一であり、側壁22の厚みも略均一である。
【0027】
上側収容部30は、背面側を後側としその反対側を前側とした前後方向を厚み方向として、上方へ立設する四角板状の前側壁31を備えている。この前側壁31の厚みは略均一であり、左右の幅は、下側収容部20の外径よりも大きい。前側壁31の上端の略中央には、上方へ立設する四角板状の前側上端壁31aが設けられている。この前側上端壁31aの前後面は前側壁31の前後面と連続する平面を形成しており、前側上端壁31aの左右幅は前側壁31の1/3程度であり、左右方向の中心は前側壁31と一致している。
【0028】
前側上端壁31aの前方には、一定の間隔を空けて、前側上端壁31aと略同一形状である板状の前側保持部31bが設けられている。前側上端壁31aと前側保持部31bとは、互いの正面視での形状を一致させるように下端側で接続されており、上端及び左右端は開放されている。また、前側上端壁31aと前側保持部31bとは、左右方向の略中央において一定の幅で、且つ、前側上端壁31a及び前側保持部31bの高さの略中間近傍までにおいても接続されており、この部分については上方へ向けて延びる前側凸部31cと称する。なお、前側上端壁31aと前側保持部31bとの間隔は、前側上端壁31a、前側保持部31b等の厚みと略等しい。
【0029】
前側壁31の左端には、左右方向を厚み方向として上方へ立設する板状の左側壁前部32の前端が連接している。この左側壁前部32の厚みは略均一であり、高さは前側壁31と等しい。左側壁前部32の後端には、左右方向を厚み方向として上方へ立設する左側壁後部33が連接している。この左側壁後部33は、左側壁前部32よりも左側へ張り出しており、厚みは左側壁前部32と略等しい。左側壁前部32の前後方向の幅は、左側壁後部33の前後方向の幅の約3倍であり、左側壁後部33の高さは左側壁前部32の高さよりも高く、その高さは前側壁31の下端から前側上端壁31aの上端までの高さと略等しい。また、左側壁前部32の前端から左側壁後部33の後端までの幅は、下側収容部21の外径よりも大きい。
【0030】
左側壁前部32の上端の中央よりもやや前方から後端にかけて、上方へ立設する四角板状の左側上端壁32aが設けられている。この左側上端壁32aの前後面は左側壁32の左右面と連続する平面を形成しており、左側上端壁32aの上端の位置は左側壁後部33の上端と略等しくなっている。左側上端壁32aの左方には、一定の間隔を空けて、左側上端壁32aと高さが等しく、前後方向の長さが左側上端壁32aの半分程度である板状の左側保持部32bが設けられている。左側上端壁32aと左側保持部32bとは、後端側及び下端側で接続されており、上端及び前端は開放されている。また、左側上端壁32aと左側保持部32bとの間隔は、前側上端壁31aと前側保持部31bとの間隔と略等しい。
【0031】
左側上端壁32aの左側面には、上下方向へ延び且つ左側へ向けて突出した凸部32cが設けられている。この凸部32cは、所定の間隔を空けて2つ設けられており、一方の凸部32cは左側保持部32bに遮蔽されている位置にてその左側保持部32bと対向するように設けられており、他方の凸部32cは左側保持部32bの前端よりも前方に設けられている。また、この凸部32cの左方への突出量は、左側上端壁32aと左側保持部32bとの間隔の約半分程度である。一方、左側保持部32bの右側面には、凸部32cと形状が等しい凸部32dが設けられている。左側保持部32bにおいてこの凸部32dが設けられる位置は、左側保持部32bの前端近傍である。
【0032】
前側壁31の右端には、右側壁前部34の前端が連接しており、右側壁前部34の後端には右側壁後部35が連接している。これら右側壁前部34及び右側壁後部35の形状は、左側壁前部32及び左側壁後部34の形状と左右対称な形状である。また、右側壁前部34には、右側上端壁34a、右側保持部34b、及び凸部34c,34dが設けられており、これら右側上端壁34a、右側保持部34b及び凸部34c,34dの形状も、左側上端壁32a、左側保持部32b及び凸部32c,32dの形状と左右対称な形状である。
【0033】
左側壁後部33の後端及び右側壁後部35の後端には、上方へ向けて立設する板状の後側壁36の左右端が連接している。この後側壁36の高さは、左側壁後部33及び右側壁後部35の高さと等しくなっている。左側壁後部33は左側へと張り出した形状であり、右側壁後部34は右側へと張り出した形状であるため、後側壁36の左右幅は、前側壁31の左右幅よりも大きくなっている。また、後側壁36の上端の略中央には、上方へ立設する台形板状の延長壁部36aが設けられている。
【0034】
以上のように構成される下側収容部20と上側収容部30とは、板状の支持部40を介して接続されている。支持部40は下側収容部20の側壁22の上端から外側へ向けて張り出すように設けられており、且つ、支持部40の外端は、上側収容部30を構成する前側壁31、左側壁前部32、左側壁後部33、右側壁前部34、及び右側壁後部35の下端に連設している。このとき、平面視にて、下側収容部22の側壁22の内周面により構成される円が、後側壁36に内接している。また、前側壁31の左右幅は側壁22の外径よりも大きいため、平面視にて、下側収容部22の側壁22の内周面により構成される円と、前側壁31、左側壁前部32、左側壁後部33、右側壁前部34、及び右側壁後部35とには間隔が設けられている。すなわち、平面視において、下側収容部20は、上側収容部30の内接円よりも小さい円となっている。換言すれば、容器ホルダー10を平面視すれば、下側収容部30の内周面により構成される円は、上側収容部30を構成する各部により遮蔽されていない。
【0035】
後側壁36の背面には、容器ホルダー10を車椅子に取り付ける際に用いられる取付部50が設けられている。この取付部50は、板状の表面と後側壁36との間に内部空間50aが設けられており、その内部空間50aを利用して車椅子に取り付けられる。
【0036】
続いて、変形部60について
図1~8に加えて
図9を参照して説明する。変形部60は、長尺板状の部材であり、左側上端壁32aと左側保持部32bとの間から、前側上端壁31aと前側保持部31bとの間を通過し、右側上端壁34aと右側保持部34bとの間に至るように取り付けられている。この変形部60は、容器ホルダー10の本体とは別部材として取り外し可能に取り付けられている。
【0037】
変形部60は、上下方向の高さが均一であり、且つ、厚みが均一な長尺板状の部材である。変形部60の高さは、前側上端壁31aと前側保持部31bとの間の底から前側上端壁31a及び前側保持部31bの上端までの高さ等と等しくなっている。また、変形部60の厚みは、左側上端壁32aの右側面と、左側保持部32bの右側面に設けられている32dとの間隔等よりもやや薄い。
【0038】
変形部60の長手方向の中央には、下方から上方へ向けて凹んだ凹部67が設けられている。この凹部67の形状は、前側上端壁31aと前側保持部31bとの間に設けられている前側凸部31cの外形と略等しい。変形部60において、一方の端部と凹部67との間には、前後方向に貫通する孔が長手方向に間隔を空けて3つ設けられており、他方の端部と凹部67との間にも、前後方向に貫通し上下方向に延びる長円形の孔が長手方向に間隔を空けて3つ設けられている。この孔について、一方の端部の側から第1孔61、第2孔62、第3孔63、第4孔64、第5孔65、第6孔66と称する。これらの孔61~66が設けられることにより、変形部60の孔61~66が設けられている位置の強度が低下し、孔61~66が設けられている位置で変形部60を屈曲しやすくなっている。
【0039】
変形部60の一方の端部から第1孔61の中心までの長さは、左側上端壁32aと左側保持部32bとの間の空隙の後端から、左側上端壁32aの前端までの長さと略等しい。第1孔61の中心から第2孔62の中心までの長さは、左側上端壁32aの前端から左側壁前部32の前端までの長さと略等しい。第2孔62の中心から第3孔63の中心までの長さは、前側壁31の左端から前側上端壁31aの左端までの長さと略等しい。第3孔63の中心から凹部67の中心までの長さは、前側上端壁31aの左端から前側凸部31cの中心までの長さと略等しい。同様に、変形部60の他方の端部から第6孔66の中心までの長さは、右側上端壁34aと右側保持部34bとの間の空隙の後端から、右側上端壁34aの前端までの長さと略等しい。第6孔66の中心から第5孔65の中心までの長さは、右側上端壁34aの前端から右側壁前部34の前端までの長さと略等しい。第5孔65の中心から第4孔64の中心までの長さは、前側壁31の右端から前側上端壁31aの右端までの長さと略等しい。第4孔64の中心から凹部67の中心までの長さは、前側上端壁31aの右端から前側凸部31cの中心までの長さと略等しい。
【0040】
変形部60は、上側収容部30に対して上側から嵌め込まれることで取り付けられる。変形部60を嵌め込むうえで、変形部60を第2孔62及び第5孔65の位置で屈曲させておき、変形部60の凹部67が前側凸部31に上側から係合するように嵌め込み、一方の端部が左側上端壁32aと左側保持部32bとの間の空隙に入り込むようにし、他方の端部が右側上端壁34aと右側保持部34bとの間の空隙に入り込むようにする。左側上端壁32aと左側保持部32bとの間の空隙では、変形部60の両面に凸部32c,32dが当接することで保持され、右側上端壁34aと右側保持部34bとの間の空隙では、変形部60の両面に凸部34c,34dが当接することで保持される。また、変形部60の屈曲した部分、すなわち第2孔62、第5孔65が設けられている部分は、それぞれ、前側壁31と左側壁前部32との連接箇所上方のやや外方、及び、前側壁31と右側壁前部34との連接箇所上方のやや外方に位置することになる。
【0041】
このようにして保持部60が取り付けられているため、変形部60が上側収容部30の一部を構成しており、上側収容部30が変形部60を備えているということができる。また、変形部60は、上側収容部30の上端に形成されており、前側上端壁31a、左側上端壁32a、左側壁後部33の上端近傍、右側上端壁34a、右側壁後部35の上端近傍、後側壁36の上端近傍と共に、第2空間の上端近傍を囲っており、それらとともに第2空間を構成しているということができ、変形部60は、上側収容部30の内面の一部を構成しており、第2空間を囲う一対の隣接した角部を構成していると言える。変形部60が上側収容部30の上端に取り付けられており、その上側収容部30の下端には支持部40が設けられているため、変形部60と支持部40とは上下方向に離間して設けられているということもできる。
【0042】
以上のように構成されている容器ホルダー10には、有底円筒状の容器である第1容器71及び有底四角筒状の容器である第2容器72のいずれかが選択されて収容される。第1容器71の平面視での外径は、第1収容部20の内径よりも小さい。すなわち、第1容器71を容器ホルダー10に収容する場合には、第1容器71は第1収容部20の内部空間に収容され、第1容器71の底面は第1収容部20の底面21に当接して支持される。また、第2容器72は、平面視にて略正方形であり、その正方形の外接円の直径が第1収容部20の内径よりも大きい。すなわち、第2容器72を容器ホルダー10に収容する場合には、第2容器72は第1収容部20の内部空間に入り込まず、第2容器72の底面の一部が支持部40の上面に当接して支持され、第2収容部30に収容される。
【0043】
第2容器72を収容する場合には、
図1-9で示したように、変形部60の第2孔62及び第5孔65の位置で後方に向けて90度屈曲させた状態で使用する。この状態では、第2容器72は、
図10及び11に示すように、各側面が第2収容部30及び変形部60の内側面に対向するようにして収容される。
【0044】
続いて、容器ホルダー10に対して有底円筒状の容器である第1容器71を収容する状態について
図12~
図14を参照して説明する。変形部60は、左側上端壁32aと左側保持部32cとにより挟持されている部分から見て、第1孔61の位置で右方へ屈曲させ、第2孔62の位置で前方へ屈曲させ、第3孔63の位置で右方へ屈曲させる。同様に、右側上端壁34aと右側保持部34cとにより挟持されている部分から見て、第6孔66の位置で左方へ屈曲させ、第5孔65の位置で前方へ屈曲させ、第4孔64の位置で左方へ屈曲させる。
図12~
図14で示している例では、各屈曲箇所において90度の角度で屈曲させている。すなわち、変形部60を変形させることで、第2空間を囲う一対の隣接した角部が第2空間内へ向けて反転して入り込むこととなる。
【0045】
以上のように変形部60を変形させた状態で、容器ホルダー10の上側から第1容器71を収容する。このとき、第1容器71には、後側壁36の前面、変形部60の第2孔62が設けられている屈曲箇所、及び、第5孔65が設けられている屈曲箇所が当接又は近接する。このようにして第1容器71が容器ホルダー10に収容されるため、第1容器71の上方側が後側壁36及び変形部60により保持されることとなる。
【0046】
一方、第1容器71の直径によっては、変形部60の各箇所を90度の角度で屈曲させた状態では、容器ホルダー10に第1容器71を収容できない場合がある。この場合には、変形部60の第2空間内へ入り込んだ量を減少させることで、第1容器71を収容可能とする。このとき、人が手で変形部60の屈曲箇所を押し広げることで変形部60の入り込んだ量を減少させてもよいが、
図15のように第1容器71を利用して変形部60の入り込んだ量を減少させることができる。具体的には、第1容器71の底部を延長壁部36aに当接させつつ、その当接箇所とは反対の箇所を変形部60の屈曲箇所に当接させる。こうすることで、第1容器71と延長壁部36aとの当接箇所が支点となり、第1容器71の上部が力点となり、第1容器71と変形部60との当接箇所が作用点となり、テコの原理により、より小さな力で変形部60の第2空間内へ入り込んだ量を減少させることができる。なお、容器ホルダー10から第1容器71を取り出した後に第2容器72を収容する必要が生ずれば、変形部60が第2空間内に入り込んでいない状態へと復帰させて変形部60が第2空間の外形を構成している状態とし、第2容器72を収容すればよい。
【0047】
以上のように変形部60の第2空間内へ入り込んだ量を減少させた後、容器ホルダー10の上側から第1容器71を収容する。このとき、
図16に示すように、第1容器71には、後側壁36の前面、変形部60の第2孔62が設けられている屈曲箇所、及び、第5孔65が設けられている屈曲箇所が当接又は近接する。
【0048】
なお、以上の説明では第1容器71を有底円筒形の容器としているが、下側収容部20の内部空間である第1空間内に入れることができる容器であれば、有底角筒状の容器であってもよい。この場合においても、変形部60の第2空間内へ入り込む量を調節することで、有底角筒状の容器の上方を好適に保持することができる。また、第2容器72を有底四角筒状の容器としているが、下側収容部20の第1空間内に入らず、且つ、上側収容部30の第2空間内に入ることが可能な容器であれば、他の有底角筒状の容器であってもよいし、有底円筒状の容器であってもよい。なお、第2容器72を上側収容部30の第2空間内に収容した際に上側収容部30の内面との間の隙間が大きければ、第2容器72を収容した状況でも変形部60を変形させて第2空間内へ入り込ませてもよい。
【0049】
以上説明した本実施形態に係る容器ホルダー10は、
図17に示すように、車椅子100のアームサポート101にアタッチメント80を介して取り付けられる。アタッチメント80は、円形の本体81にアームサポート101の正面部分を挿入可能な円筒形の貫通孔82が形成されており、その貫通孔82と直交する方向に円柱状の軸部83が設けられており、軸部83の先端には拡幅された円盤状のフランジ部84が設けられている。アタッチメント80に容器ホルダー10を取り付ける場合には、フランジ部84が取付部50の内部空間50aに入り込むように、容器ホルダー10を上側からアタッチメント80に取り付ける。なお、通常は車椅子100のアームサポート101にアタッチメント80が予め取り付けられており、そのアタッチメント80にさらに容器ホルダー10を取り付けることとなるが、容器ホルダー10が取り付けられたアタッチメント80を車椅子100に対して取り付けるものとしてもよい。
【0050】
上記構成により、本実施形態に係る容器ホルダー10は以下の効果を奏する。
【0051】
・第2容器72を収容する場合には変形部60を第2空間の外形を構成している状態としておくことで、第2空間で第2容器72を保持することができるうえ、下側収容部20に収容した第1容器71が第2空間にまで至る場合には変形部60を第2空間へ入り込んだ状態とすることにより第1容器71に変形部を近接又は接触させることができ、第1容器71を好適に保持することができる。
【0052】
・有底円筒形の容器や、その有底円筒形の容器よりも平面視での面積が大きい有底角筒形の容器が広く一般的に普及しているため、本実施形態では、第1空間及び第2空間の形状をそれらの容器の形状に合致させることで、容器ホルダー10の形状を広く一般的に普及しているものに合致させることができている。
【0053】
・変形部60として第2空間を構成する角部を用いているため、第2空間へ入り込ませるための部材を別途用意する必要が無く、容器ホルダー10全体の構成を簡略化することができる。
【0054】
・変形部60を2箇所で変形させて第1容器71を保持することができるため、容器ホルダー10に収容した第1容器71の安定性を向上させることができる。
【0055】
・変形部60の第2空間へ入り込む量を変更することができるため、様々な形状の容器を好適に収容することができる。
【0056】
・変形部60が第2空間へ入り込んだ状態でも、延長壁部36aに第1容器71の下端を押し当てつつ第1容器を第2空間へ押し込むことができ、第1容器を容易に収容することができる。
【0057】
・変形部60の変形させることができる側が正面を向くように車椅子100に取り付けることができるため、変形部60の第2空間への入り込みを容易に調節することができる。
【0058】
<変形例>
・実施形態では、上側収容部30と下側収容部20との2段構成をしているが、上側収容部30よりも上側にさらに大きい収容部を設けるものとしてもよい。この場合には、上側収容部30よりも上側の収容部の形状は収容を想定している容器に合わせて円筒形又は角筒形とすればよく、上側収容部30よりも上側の収容部にも変形部を設け、上側収容部30に収容された容器を保持可能としてもよい。また、下側収容部20よりも下側にさらにさらに小さい収容部を設けるものとしてもよい。この場合には、下側収容部20よりも下側の収容部の形状は収容を想定している容器に合わせて円筒形又は角筒形とすればよく、下側収容部20にも変形部を設け、下側収容部よりも下側の収容部に収容された容器を保持可能としてもよい。
【0059】
・実施形態では、上側収容部30を四角筒形としているが、四角筒形に限らず他の多角筒形状としてもよい。
【0060】
・実施形態では、上側収容部30を四角筒形とし、下側収容部20を円筒形としているが、上側収容部30を円筒形とし、下側収容部20を四角筒形としてもよい。飲料容器としては、一般的なペットボトルよりも細い四角筒形の飲料容器も広く一般的に用いられているため、そのような四角筒形の飲料容器を下側収容部20に収容し、上側収容部30に設けられた変形部60により四角筒形の飲料容器の上側を支持するものとしてもよい。
【0061】
・実施形態では、上側収容部30を四角筒形とし、下側収容部20を円筒形としているが、上側収容部30を四角筒形とし、下側収容部20を上側収容部30よりも小さい四角筒形としてもよい。四角筒形の飲料容器としては、様々な大きさのものが広く一般的に用いられているため、より小さい四角筒形の飲料容器を下側収容部20に収容し、上側収容部30に設けられた変形部60により四角筒形の飲料容器の上側を支持するものとしてもよい。
【0062】
・実施形態では、上側収容部30を四角筒形とし、下側収容部20を円筒形としているが、上側収容部30を一般的なペットボトルを収容可能な円筒形とし、下側収容部20を一般的なペットボトルよりも小径の円筒形としてもよい。飲料容器としては、一般的なペットボトルよりも細い円筒形の飲料容器も広く一般的に用いられているため、より細い円筒形筒形の飲料容器を下側収容部20に収容し、上側収容部30に設けられた変形部60により四角筒形の飲料容器の上側を支持するものとしてもよい。また、一般的なペットボトルについては上側収容部30に収容するものとすればよい。
【0063】
・実施形態では、変形部60を隣接する一対の角部の両方で変形可能としているが、ひとつの角部のみで変形可能なものとしてもよい。また、実施形態では変形部60が第2空間を囲う2つの角部を構成するものとしているが、3つ以上の角部を構成するものとしてもよいし、その場合において、全ての角部を変形可能としてもよいし、一部の角部に限り変形可能としてもよい。
【0064】
・実施形態では、変形部60について、ひとつの角部に対して3箇所で屈曲可能としているがそれ以上の箇所で屈曲可能としてもよい。例えば、5箇所で屈曲可能とすれば、各屈曲箇所を直角に屈曲させるか否かを選択することで、変形部の第2空間へ入り込む量を変更することができ、様々な大きさ及び形状の容器を好適に収容することができる。
【0065】
・変形部は、弧状に形成されていてもよい。すなわち、その弧状の変形部が第2空間の外径を構成する上側収容部の一部を構成するものとし、弧状の変形部が第2空間の内部へ向けて反転して入り込むことで、収容された容器に当接又は近接するものとしてもよい。
【0066】
・実施形態では、変形部60を第2空間を囲う2つの角部を構成する長尺帯状の部材としているが、変形部60の形状はこれに限られず、上側収容部30の内部の第2空間に入り込むことが可能な形状であればよい。例えば、上側収容部30の側面に押圧可能な部分を設け、その押圧可能な部分を押圧することでその側面が変形して第2空間の内部に入り込むものであってもよい。
【0067】
・実施形態では、第1空間を下側収容部20の側面の全部及び底面の全部を囲う形状としているが、下側収容部20の底板21や側壁22に空隙を設けるものしてもよい。この場合においても、下側収容部20全体の円筒形の形状により、内部に第1空間が形成されているということができる。第2空間を囲う上側収容部についても同様である。
【0068】
・実施形態では、変形部60について、第2空間内へ入り込んだ状態から第2空間を囲う角部を構成している状態へと変形状態を戻すことが可能となっているが、第2空間内へ入り込んだ状態から元の状態へ復帰できないものとしてもよい。
【0069】
・容器ホルダー10に第1容器71と第2容器72とを選択して収容する空間以外の空間を設けるものとしてもよい。具体的には、上側収容部30及び下側収容部20の脇に、上下方向へ延びる空間を設け、その空間にスマートフォンや携帯電話等の電子機器を収納可能としてもよい。電子機器を収容する空間については、第1空間及び第2空間の少なくとも一方と共用するものとしてもよく、その場合には、第1空間や第2空間の形状により電子機器を保持可能であってもよいし、第1空間及び第2空間の少なくとも一方に、その電子機器を保持可能な部材を設けるものとしてもよい。また、上側収容部30及び下側収容部20の外側に、電子機器を収容可能な空間を内部に備える部材を設けるものとしてもよい。
【0070】
・実施形態では容器ホルダー10を車椅子100に取り付けるものとしているが、取付対象は車椅子100に限られず、自動車や自転車等、様々なものに取り付けるものとしてもよい。また、車両等に取り付けず、容器ホルダー10を載置して使用するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
容器ホルダー…10、下側収容部…20、上側収容部…30、延長壁部…36a、取付部…50、変形部…60、第1容器…71、第2容器…72、車椅子…100