(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050347
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ツイストリングポリゴンミラー、送光器、および測量システム
(51)【国際特許分類】
G01C 15/06 20060101AFI20240403BHJP
G01C 15/00 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
G01C15/06 T
G01C15/00 103E
G01C15/00 103D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157177
(22)【出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110004060
【氏名又は名称】弁理士法人あお葉国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100139745
【弁理士】
【氏名又は名称】丹波 真也
(74)【代理人】
【識別番号】100168088
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100187182
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 由希
(74)【代理人】
【識別番号】100207642
【弁理士】
【氏名又は名称】簾内 里子
(72)【発明者】
【氏名】西田 信幸
(57)【要約】
【課題】 測量機による自動視準を容易にするポリゴンミラー、送光器、および測量システムに関する。
【解決手段】 光源と、前記光源から出射した光を入射し、リング光に変換して出射するアキシコンレンズと、n角形状を断面形状として、所定角度ひねられつつ360度に回転押し出しされてリング状に形成され、表面が反射面として構成されるツイストリングポリゴンミラーと、前記ツイストリングポリゴンミラーを回転駆動する回転駆動部と、を備え、前記ツイストリングポリゴンミラーの回転軸は、前記アキシコンレンズの光軸上に配置され、前記アキシコンレンズから出射した前記リング光が、回転駆動される前記ツイストリングポリゴンミラーに入射し、前記反射面で反射され、上面視360度に広がるファンビームとして上下方向に走査される、送光器を提供する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
n角形状を断面形状として、所定角度ひねられつつ360度に回転押し出しされてリング状に形成されて、表面が反射面として構成され、
中心軸を中心として回転駆動されて、前記中心軸を中心とするリング状の光に入射されると、前記反射面で反射して、前記中心軸の方向から見て円形状に広がる光として前記中心軸の方向に走査せる、
ことを特徴とするツイストリングポリゴンミラー。
【請求項2】
光源と、
前記光源から出射した光を入射し、リング光に変換して出射するアキシコンレンズと、
n角形状を断面形状として、所定角度ひねられつつ360度に回転押し出しされてリング状に形成され、表面が反射面として構成されるツイストリングポリゴンミラーと、
前記ツイストリングポリゴンミラーを回転駆動する回転駆動部と、
を備え、
前記ツイストリングポリゴンミラーの回転軸は、前記アキシコンレンズの光軸上に配置され、
前記アキシコンレンズから出射した前記リング光が、回転駆動される前記ツイストリングポリゴンミラーに入射し、前記反射面で反射され、上面視360度に広がるファンビームとして上下方向に走査される、
ことを特徴とする送光器。
【請求項3】
前記断面形状は、正n角形状であり、
前記ツイストリングポリゴンミラーは、360度/n×A(Aはnの約数および倍数)ひねられつつ360度に回転押し出しされて形成される、
ことを特徴とする請求項2に記載の送光器。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の送光器と、
前記送光器の前記回転軸上に配置されるプリズムと、
前記プリズムで反射される追尾光を受光して前記プリズムを自動追尾する追尾部と、前記追尾部を水平回転させる水平回転駆動部と、前記ファンビームを受光して前記送光器の中心の水平方向を検知する受光部と、前記ファンビームを前記受光部で受光し、前記送光器の中心の水平方向を検知して、前記追尾部の前記追尾光が前記送光器へ向かうように前記水平回転駆動部を回転駆動させる制御部と、を有する測量機と、
を備えることを特徴とする測量システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、測量機による追尾継続を容易にするツイストリングポリゴンミラー、送光器、および測量システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動追尾機能を備えている測量機がある(例えば特許文献1)。追尾が外れた場合、特許文献1では、ガイド光として水平方向に幅広で上下方向に狭いファンビームを鉛直方向に走査するガイド光送光器がターゲットに備えられており、測量機に備えられた方向検知部でファンビームを受光することにより、送光器の中心の水平方向を検知していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のファンビームは、水平方向には約5度程度しか走査されないため、測量機側がファンビームを検出するにも、それなりの時間がかかっていた。
【0005】
本件は、このような問題に鑑みてなされたものであり、追尾継続を容易にするツイストリングポリゴンミラー、送光器、および測量システムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するため、本開示のある態様においては、n角形状を断面形状として、所定角度ひねられつつ360度に回転押し出しされてリング状に形成されて、表面が反射面として構成され、中心軸を中心として回転駆動されて、前記中心軸を中心とするリング状の光に入射されると、前記反射面で反射して、前記中心軸方向から見て円形状に広がる光として前記中心軸方向に走査せるように、ツイストリングポリゴンミラーを構成した。
【0007】
この態様によれば、円形状に光を360度に出射して走査させることができる。この光をガイド光とし、測量機が受光すれば、測量機はガイド光の到来方向を検知できる。
【0008】
また、ある態様においては、光源と、前記光源から出射した光を入射し、リング光に変換して出射するアキシコンレンズと、n角形状を断面形状として、所定角度ひねられつつ360度に回転押し出しされてリング状に形成され、表面が反射面として構成されるツイストリングポリゴンミラーと、前記ツイストリングポリゴンミラーを回転駆動する回転駆動部とを備え、前記ツイストリングポリゴンミラーの回転軸は、前記アキシコンレンズの光軸上に配置され、前記アキシコンレンズから出射した前記リング光が、回転駆動される前記ツイストリングポリゴンミラーに入射し、前記反射面で反射され、上面視360度に広がるファンビームとして上下方向に走査されるように送光器を構成した。
【0009】
また、ある態様においては、前記断面形状は、正n角形状であり、前記ツイストリングポリゴンミラーは、360度/n×A(Aはnの約数および倍数)ひねられつつ360度に回転押し出しされて形成されるように送光器を構成した。
【0010】
また、ある態様においては、前記送光器と、前記送光器の前記回転軸上に配置されるプリズムと、前記プリズムで反射される追尾光を受光して前記プリズムを自動追尾する追尾部と、前記追尾部を水平回転させる水平回転駆動部と、前記ファンビームを受光して前記送光器の中心の水平方向を検知する受光部と、前記ファンビームを前記受光部で受光し、前記送光器の中心の水平方向を検知して、前記追尾部の前記追尾光が前記送光器へ向かうように前記水平回転駆動部を回転駆動させる制御部と、を有する測量機とを備えるように測量システムを構成した。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、追尾継続を容易にするツイストリングポリゴンミラー、送光器、および測量システムに関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の好適な実施形態に係る送光器を有するターゲットユニット、および測量機を含む測量システムの概略構成を示す図である。
【
図3】測量機の内部構造を模式的に示す概略図である。
【
図9】ツイストリングポリゴンミラーを示す。
図9(A)はツイストリングポリゴンミラーの底面図である。
図9(B)はツイストリングポリゴンミラーの斜視図である。
図9(C)は、
図9(A)の一点鎖線を切断線として切断した断面の斜視図であり、ツイストリングポリゴンミラーの構造を示すための説明図である。
【
図11】プリズムロックの前工程のイメージ図である。
【
図12】プリズムロックの本工程のイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の具体的な実施形態を、図面を参照しながら説明する。実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組合せは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。また、以下の実施形態および変形例の説明において、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0014】
(測量システム)
図1は、本発明の好適な実施形態にかかる送光器90を含むターゲットユニット70、および測量機10を備える測量システム1の概要構成を示す図である。
【0015】
測量システム1は、測量機10、送光器90を含むターゲットユニット70、およびコントローラ80を含んで構成される。
【0016】
測量機10は、測距・測角機能および追尾機能を備えたトータルステーションである。さらに、測量機10は測量機10の前方の画像を取得する撮像機能、および受光部60も備える。
【0017】
ターゲットユニット70は、ポール71の上端に測量機10のターゲットである全周反射のプリズム72を有し、ポール71の下端を測定点Pnに概ね鉛直に設置して使用される。
【0018】
送光器90は、測量機10によるプリズム72のロック(追尾)が外れた場合に、追尾ガイド光Lcとして、鉛直方向に狭く、水平方向に広がりを有したファンビームBを上下方向に走査する。ファンビームBは一対に構成され、上面視円形状で、水平方向に360度に広がる一対のファンビームBが、上下方向に走査される。一対のファンビームBは周方向に180度点対称となり、水平方向には重ならず、それぞれ水平方向に180度に広がっている。
【0019】
受光部60はファンビームBを受光し、ファンビームBを送光する送光器90の中心の水平方向を検知する。測量機10が検知された水平方向に視軸を向け、プリズム72をロック(視準)する。
【0020】
コントローラ80は、測量機10の遠隔操作を行うコントローラである。ターゲットユニット70の送光器90もコントローラ80で操作される。作業者はコントローラ80を腕に装着する、またはターゲットユニット70に取付けるなどして、ターゲットユニット70とともに、測量作業中は自身とともに持ち運ぶ。
【0021】
コントローラ80にはタッチパネル式の表示部82が設けられており、自身の位置情報や計測点などがリアルタイムに表示される。作業者は、表示部82で情報を確認しながら、適宜命令を入力して、測量機10を操作できる。測量機10で撮像された画像も表示部82に表示させることができる。
【0022】
コントローラ80にはGPS装置85が搭載されており、GPS装置85によりコントローラ80およびプリズム72を持つ作業者と、測量機10との位置関係が概略把握される。測量機10にプリズム72を視準させたい場合、GPS装置85により測量機10はプリズム72のおおまかな方向を把握しているため、迅速にプリズム72をロックすることができる。
【0023】
(測量機)
測量機10について、
図2~
図4を用いて説明する。
図2は、測量機10の正面図である。
図3は測量機10の内部構造を模式的に示す概略図である。
【0024】
図2および
図3に示すように、測量機10は、基盤部13と、この基盤部13に対して水平方向に回転される回転台座14とからなる測量機本体15と、カバー部材16とを含んで構成されている。
【0025】
基盤部13は、三脚台2に固定される固定座13aと、整準ネジ(図示せず)を有する整準台13bと、回転台座14を鉛直軸V回りに水平方向に回転駆動する水平回転駆動部M1などの駆動機構を内蔵するケース13cとから概略構成されている。
【0026】
回転台座14には、一対の支持部材で構成される托架部17が立設している。支持部材の間に測距光学系と追尾光学系の鏡筒部18が配置されている。鏡筒部18は、托架部17に設けられた水平軸18Aにより、垂直方向に回転可能に支持されている。
【0027】
水平軸18Aの一方の端部には、鏡筒部18を垂直方向に回転駆動する鉛直回転駆動部M2が固定され、他方の端部には、鏡筒部18の回転角度を検出するための鉛直角検出器22が設けられている。
【0028】
托架部17の上端部には、一対の支持部材にまたがって水平に配置される水平板19が固定されている。水平板19の上面には、測量機制御部29、受光部60、および撮像部40が取付けられている。
【0029】
受光部60は、追尾ガイド光Lcを受光して送光器90の中心の水平方向を検出する。受光部60は、図示しないシリンドリカルレンズと1つの長方形の受光センサと水平受光範囲を制限するスリットを鉛直方向に設けて、測量機10と送光器90との間に高低差があっても、追尾ガイド光Lcの方向を検出できるようにしている。水平回転駆動部M1により回転台座14が水平回転したとき、追尾ガイド光Lcを受光することにより追尾ガイド光Lcの中心の水平方向を検知する。
【0030】
カバー部材16は、上面に突出する突出部16aを有し、突出部の前面は、カバー部の前面と面一となっている。撮像部40は、水平板19の中央で、突出部16aの内側となるように配置されている。
【0031】
測量機制御部29は、制御回路基板をベースとして、水平板19の中央で、撮像部40の背面に配置されている。
【0032】
カバー部材16の前面には、突出部16aの前面の設けられた撮像用窓16d、前面の中央に上下方向に伸びる鏡筒用窓16b、前面の右側に設けられた受光部用窓16eの、合計4つの窓が設けられている。
【0033】
鏡筒用窓16bは鏡筒部18の光軸上に形成され、測距部23および追尾部24の光学系の赤外レーザ光を透過する。撮像用窓16dは、撮像部40の前方に形成されており、撮像部40は、撮像用窓16d越しに、測量機10前方の画像を取得する。受光部用窓16eは、受光部60の前方に形成されており、受光部60は、受光部用窓16eに入射した光を受光する。
【0034】
回転台座14のカバー部材16との接点には、雨水などが侵入するのを防止するシール部材(図示を略す)が設けられている。
【0035】
カバー部材16と撮像部40、鏡筒部18、受光部60との間には隙間が設けられている。これにより、カバー部材16の取付け、取外しの際に、カバー部材16が撮像部40、鏡筒部18に接触するのを防止できる。カバー部材16は撮像部40、受光部60、および鏡筒部18から離間してこれを被覆しており、カバー部材16を外してもそれぞれの光軸を調整する必要がない。
【0036】
(ブロック図)
図4は、測量機10の制御ブロック図である。測量機10は、水平角検出器21、鉛直角検出器22、水平回転駆動部M1、鉛直回転駆動部M2、測距部23、追尾部24、測量機通信部25、記憶部26、撮像部40、受光部60およびこれら全てが接続される測量機制御部29を有する。
【0037】
水平角検出器21と鉛直角検出器22は、回転円盤、スリット、発光ダイオード、イメージセンサを有するアブソリュートエンコーダまたはインクリメンタルエンコーダである。水平角検出器21は回転台座14の回転軸に設けられ、回転台座14の水平角を検出する。鉛直角検出器22は、鏡筒部18の水平軸18Aに設けられ、鏡筒部18の鉛直角を検出する。
【0038】
水平回転駆動部M1と鉛直回転駆動部M2はモータである。測量機制御部29に制御され、水平回転駆動部M1は回転台座14の回転軸を動かし、鉛直回転駆動部M2は、鏡筒部18の水平軸18Aを動かす。両駆動部の協働により、鏡筒部18の向きが変更される。水平角検出器21と鉛直角検出器22とで、測角部を構成する。水平回転駆動部M1および鉛直回転駆動部M2とで、駆動部を構成する。
【0039】
測距部23は、送光部と受光部を備え、ターゲットである全周反射のプリズム72を視準して、例えば赤外レーザ光などの測距光をプリズム72に射出してその反射光を受光部で受光し、測距光と内部参照光の位相から測距する。
【0040】
追尾部24は、測距光とは異なる波長の赤外レーザ光などを追尾光として出射する追尾送光系と、CCDセンサまたはCMOSセンサなどのイメージセンサを有する追尾受光系を有する。追尾部24は、追尾光を含む風景画像と追尾光を除いた風景画像を取得し、両画像を測量機制御部29に送る。測量機制御部29は、両画像の差分からターゲット像の中心を求め、ターゲット位置として検出し、ターゲット像の中心と鏡筒部18の視軸中心からの隔たりが一定値以内に収まるように、常に鏡筒部18がターゲットの方向を向くように、自動追尾する。
【0041】
測量機通信部25は、外部ネットワークとの通信を可能にするものであり、例えば、インターネットプロトコル(TCP/IP)を用いてインターネットに接続し、ターゲットユニット70およびコントローラ80と情報の送受信を行う。無線通信はこれに制限されず、既知の無線通信を使用することができる。測量機10が測定(測距・測角)した測定結果は、測量機通信部25を介してコントローラ80へ送られる。測量機10の入力部はコントローラ80の入力部であるため、コントローラ80から入力された命令も測量機通信部25を介して測量機制御部29に入力される。撮像部40で取得された画像も測量機通信部25を介してコントローラ80へ送られる。
【0042】
受光部60は、前述の通り、シリンドリカルレンズと、長方形の受光センサと、水平受光範囲を制限するスリットとを備え、測量機10の正面に配置され、追尾ガイド光Lcを受光して送光器90の中心の水平方向を検出する。
【0043】
測量機制御部29は、例えばCPU,ROM、RAMなどを集積回路に実装したマイクロコントローラであり、測量機10の機器がすべて接続され、これらを制御する。例えば、水平回転駆動部M1,鉛直回転駆動部M2の制御、測距部23および追尾部24の発光制御、プリズム72の自動追尾、自動視準、測距および測角、受光部60の受光および取得したデータの処理、撮像部40の撮像、測量機通信部25を介した測定データや命令の送受信などである。
【0044】
記憶部26は、例えばハードディスクドライブなどの記憶媒体であり、上記演算制御のためのプログラムが格納されている。取得した測定データも記憶される。
【0045】
撮像部40は、例えばCCD、CMOSなどの撮像素子を有し、動画像がリアルタイムで取得可能である。本実施形態の撮像部40は、画角の広い、いわゆるワイドカメラである。撮像部40で撮像された風景は、測量機通信部25を介してコントローラ80へ送られ、表示部82に表示される。測量システム1では、作業者一人(ワンマン)で測量作業を行うことを想定しており、測量機10から離れた場所にいる作業者は、測量機10前方の様子を、撮像部40で撮像された画像で、リアルタイムに確認することができる。
【0046】
(コントローラ)
図5は、コントローラ80のブロック図である。コントローラ80は、測量機10を遠隔操作する操作端末である。さらに、コントローラ80は、送光器90へ追尾ガイド光Lcの送光の命令も可能に構成されている。
【0047】
図5に示すように、コントローラ80は、入力部81、表示部82、記憶部83、コントローラ通信部84、GPS装置85、方位センサ86、コントローラ制御部89を備える。
【0048】
入力部81、表示部82は、コントローラ80のインターフェースである。作業者は、入力部81から、測量機10の操作や情報を入力できる。本実施形態においては、表示部82は、タッチパネル式の液晶画面であり、入力部81と一体となっている。
【0049】
記憶部83は、例えばハードディスクドライブなどの記憶媒体であり、コントローラ制御部89の演算制御のためのプログラムが格納されている。取得した測定データも記憶される。
【0050】
コントローラ通信部84は、測量機通信部25と同等の構成を備え、測量機10と情報の送受信が可能となっている。コントローラ通信部84から、送光器90へも命令が送信される。
【0051】
GPS装置85は、GPS衛星から発信されるGPS信号を受信する装置であり、受信したGPS信号から、現在位置が把握される。本実施形態においては、GPS装置85は、単独測位のみ可能な装置でも問題ない。
【0052】
方位センサ86は、半導体を用いた電子コンパスである。南北の地磁気を検出して方角を算出する。MR素子を使用したものやGMR素子を使用したものなど、公知のものを使用し、種類は問わない。
【0053】
本実施形態においては、コントローラ80は、スマートフォンやタブレットなどを想定しており、これらに最初から搭載されているGPS装置や電子コンパス、もしくは3軸ジャイロを用いてよい。
【0054】
コントローラ80に搭載されるGPS装置85により、コントローラ80と測量機10との位置関係が概略把握される(後述)。作業者はコントローラ80とターゲットユニット70を保持して移動しているため、測量機10とプリズム72との位置関係も概略把握される。GPS装置85により測量機10の追尾が外れた際も、測量機10はGPS装置85により、プリズム72のおおまかな方向を把握することができ、鏡筒部18の視軸を水平方向にはGPS装置85へ向け、ファンビームBを受光して追尾ガイド光Lcの水平方向の中心を検知し、ついで鏡筒部18を鉛直方向に走査することで、迅速に再びプリズム72をロックすることができる。
【0055】
図6に測量作業の説明図、およびコントローラ80の表示画面を示す。記憶部83には、例えば入力された測量データ(設計データ)が収納される。表示部82は計測データに対応する測設地図を表示する機能を有する。コントローラ制御部89は、GPS装置85の位置情報、方位センサ86の方位信号と設計データとに基づいて、表示部82の画面に表示すべき地図を構築する機能を有する。
【0056】
コントローラ制御部89は、測量機10の現在位置と、測定点P1,P2,P3・・・Pnの設計データとを有しているので、各測定点に対する水平方向回動角度を演算できる。コントローラ制御部89は、コントローラ通信部84を介して命令を測量機に10送付し、水平回転駆動部M1を駆動させて鏡筒部18を、測定点Pnの水平方向に回動させる機能を有する。
【0057】
撮像部40が撮像した画像も、表示部82に表示される。表示部82に表示される撮像部40の映像と測設地図とは、自動または手動で切り替え可能に構成される。例えば、作業者の現在位置と測定点Pnとが、一定距離、例えば5m以下になると、表示画像は、測設地図の表示から、撮像部40の撮像する画像に自動で切替えられる。
【0058】
また、撮像部40が撮像する画像の視点を、現在の視点よりも左右のいずれかの方向に移動するように入力部81で命令することもできる。例えば、作業者が現在の画像より右側に視点を移して見たい場合、表示部82を右にフリックすることで、測量機10の水平回転駆動部M1を右に回動させて、回転台座14を右側に向けることで、撮像部40を現在よりも右方向に向けさせ、撮像部40が現在よりも右側を撮像するように構成される。
【0059】
コントローラ制御部89は、方位センサ86の取得する方位データに基づいて、方位をコンパスとして表示部82に表示させる。さらに、測量機10の測距・測角により求められた作業者の現在位置(測定点Pn)から、次の測定点Pn+1までの距離と角度を演算することで、作業者の現在地点から次の測定点までの距離と方向を表示させる機能、および進行方向表示を表示部82に表示させる機能を有する。コントローラ制御部89は、追尾が外れた旨を測量機10から受けると、自動で送光器90に追尾ガイド光Lcを送光するように命令を送る。測量機10が直接に送光器90へ命令を送る構成としてもよい。
【0060】
作業者は、測設データに基づいて、表示される表示に従い、測定点P1,P2,P3・・・と、順に測定を行う。
【0061】
(ターゲットユニット)
次にターゲットユニット70について図面と共に説明する。
図1に示すように、ターゲットユニット70は、ポール上端にプリズム72が取付けられている。ターゲットユニット70は、ポール71の上端にプリズム72が取付けられている。プリズム72の光学中心は、ポール71の中心軸Xを通過し、プリズム72の光学中心とポール71下端までの距離(取付高)は既知となっている。
【0062】
さらに、プリズム72の上部には、円柱状の筐体を有する送光器90が、筐体の中心軸をポール71の中心軸Xに一致させて、取付けられている。筐体の上部周側面および上面は、光を透過する透明部材で構成されており、送光器90が追尾ガイド光Lcを送光すると、透明部材を通過して、外部に照射される。
【0063】
送光器90から送光される追尾ガイド光Lcは、測距光や追尾光とも異なる波長の赤外光となっている。測量機10の受光部60で受光して、送光器90の中心が水平方向に検知され、測量機10は、鏡筒部18の光軸方向(追尾部24の光軸および測距部23の光軸方向)を送光器90の中心に水平方向に向けるように、水平回転駆動部M1が駆動される。受光方法や水平方向の検知方法などは従来の方法で構わず、説明は省略する。
【0064】
図7は、送光器90の制御系のブロック図である。
図8は、送光器90の光学図である。
図8は走査されるファンビームBの一部のみを表示する。実際には
図8下部に示すように、上面視円形状(一対で水平方向に360度広がるファンビーム)となる。
【0065】
図7に示すように、送光器90は、送光器通信部91、送光器回転駆動部92、光源93、およびこれらが接続される送光器制御部99を備える。
【0066】
送光器通信部91は、コントローラ通信部84および測量機通信部25と同等の構成を備え、コントローラ通信部84および測量機10と情報の送受信が可能となっている。コントローラ通信部84からの命令を受信すると送光器制御部99へ出力する。測量機10から送光器回転駆動部92は、ツイストリングポリゴンミラー97(
図8参照)に連結され、ツイストリングポリゴンミラー97を回転駆動させる。
【0067】
光源93は、送光器90の光源であり、送光器制御部99に点灯制御される。
【0068】
送光器制御部99は、例えばCPU,ROM、RAMなどを集積回路に実装したマイクロコントローラであり、送光器回転駆動部92の回転制御、光源93の点灯制御、測量機通信部25を介した測定データや命令の送受信などを実行する。
【0069】
図8に示すように、送光器90は、光学系として、光源93、集光レンズ94、アキシコンレンズ95、およびツイストリングポリゴンミラー97を有する。アキシコンレンズ95の光軸L3と、ツイストリングポリゴンミラー97の鉛直軸(リング中心軸)、およびツイストリングポリゴンミラー97の回転軸は、全て同軸であり、かつ、ポール71の中心軸Xと一致するように配置されている。
【0070】
光源93は、レーザーダイオードであり、半導体に電流を流してレーザ発振させる。集光レンズ94はコリメートレンズである。アキシコンレンズ95は、コリメート光をリング光に変換して出射する特性を有する。生成されるリング状のビームの直径は、照射距離が長くなる程、大きくなる。
【0071】
ツイストリングポリゴンミラー97は、中央に孔が形成されたリング形状であり、所定角度だけひねられており、表面が反射面で構成され、送光器回転駆動部92により回転駆動される。
【0072】
光源93から出射したレーザ光は集光レンズ94でコリメートされ、アキシコンレンズ95で光軸横断面リング状の光として出射され、ツイストリングポリゴンミラー97に入射する。ツイストリングポリゴンミラー97の表面でリング光は反射して、一対で上面視円形状となる水平方向に360度広がるファンビームBとして上下方向に走査される。
【0073】
(ツイストリングポリゴンミラー)
ツイストリングポリゴンミラー97について、図と共に詳しく説明する。
【0074】
図9は、ツイストリングポリゴンミラー97を示す。
図9(A)がツイストリングポリゴンミラーの底面図である。
図9(B)がツイストリングポリゴンミラーの斜視図である。
図9(C)は、
図9(A)の一点鎖線を切断線として切断した断面の斜視図であり、ツイストリングポリゴンミラーの構造を示すための説明図である。
図9(C)には、断面である六角形状の中心を結んだ線CLおよび、断面である六角形のある一つの角部を結んだ線EL(即ち、ツイストリングポリゴンミラー97の一辺)も共に示す。また、
図9(A)の二点鎖線は、アキシコンレンズ95から出射して、ツイストリングポリゴンミラー97に入射するリング光を示す。
【0075】
図9に示すように、ツイストリングポリゴンミラー97は、ツイストリングポリゴンミラー97の中心軸X3を中心とした円周方向のどの位置で切断しても、その切断面は同一の正六角形となる。ツイストリングポリゴンミラー97は、断面となる正六角形を、リング状となるように中心軸X3を中心として360度に回転しつつ、1/3周(六角形の中心を中心として120度)ひねりながら、押し出した形状となっている。
【0076】
ツイストリングポリゴンミラー97に下方から入射したリング光は、ツイストリングポリゴンミラー97の反射面で、略水平方向に反射され、上面視円形となる複数の水平方向に長く鉛直方向に短いファンビームBとして上下方向に走査される。
【0077】
本実施形態においては、ツイストリングポリゴンミラー97は、360度回転しつつ120度(1/3回転)だけひねられる形態となっている。これにより上面視円形の反射光は2等分割されて、それぞれが180度に水平方向にひろがり、鉛直方向に短く伸びる一対のファンビームBとして上下方向に走査される。
【0078】
ツイストリングポリゴンミラー97の形態は、これに限られない。ツイストリングポリゴンミラー97は、n角形の断面形状で、わずかでもひねられて360度回転押し出しにより形成されていればよく、回転押し出しの回転軸を中心に回転駆動されて、この回転軸を中心としたリング状の光が入射すると、回転軸からみて円形状に広がる光を回転軸方向に走査せる。本実施形態においては、回転軸は鉛直軸であり、上面視すると水平方向に円形状に広がるファンビームが鉛直方向に走査される。
【0079】
好ましくは、断面形状は、正n角形がよい。さらに、好ましくは、ひねり角度twは、
ひねり角度tw=360度/n×A(Aはnの約数および倍数)
とすると、上面視リング状のファンビームが等分割されるため、好ましい。例えば、断面形状が正六角形ならば、ひねり角度twは、60度(A=1,1/6回転)、120度(A=2,1/3回転)、180度(A=3,1/2回転)、360度(A=6,1/1回転)、720度(A=12,2回転)・・・だけ、中心線CLを中心としてひねられつつ、中心軸X3で360度に回転しながら押し出しされた形状が好ましい。
【0080】
断面形状の正n角形が、周方向に360度回転しながらひねり角度twでひねられて形成されたツイストリングポリゴンミラーは、入射したリング光を、上面視円形状の光で、水平方向にA個に等分割された、水平方向に360/A度広がるファンビームとして上下方向に送光する。
【0081】
走査される一対のファンビームBは追尾ガイド光Lcであり、測量機10にターゲットユニット70の位置を知らせるものである。測量機10の受光部60が追尾ガイド光Lcを受光して、測量機制御部29は送光器90の中心の水平方向に、鏡筒部18の光軸(測距部23の光軸、および追尾部24の光軸)が向くように水平回転駆動部M1を制御する。
【0082】
本実施形態のファンビームは、光の強さが略均一となっている。従来のポリゴンミラーを使用してガイド光を走査させる場合、出射光をシリンドリカルレンズなどで水平方向に広げているため、水平方向の端部側は中央に比べて光が弱い(光度が低い)という問題があった。本実施形態においては、アキシコンレンズ95を用いてコリメート光をリング光としているため、リング光の、光の強さはのどの位置においても均一であり、反射光である追尾ガイド光Lcでも光の強さは略均一である。このため、ファンビームの一部の光が弱く見つけにくいという問題の発生が抑制される。
【0083】
(プリズムロック機能)
測量機10は、追尾部24によるプリズム72の追尾を開始する場合、もしくは追尾が外れた場合、自動でプリズムを見つけ出してロックし、追尾する機能(プリズムロック機能)を有する。従来のプリズムロック機能においては、鏡筒から視準光を出射し、鏡筒が水平方向に回転しながら上下に回動を繰り返すことで、全方向を視準光で走査し、反射光を受光することでプリズムを見つけ出して視準していた。しかし、まったくプリズムの場所がわからずに走査するため、全方向を走査することもあることから、プリズムを見つけるのに時間がかかった。本実施形態においては、測量機10にまずは粗方向を向け、ついで精方向で走査を行うことで、プリズム72を迅速にロックすることができる。
【0084】
測量システム1におけるプリズムロックのフローを
図10~
図12を用いて説明する。
図10はプリズムロックのフローチャートである。
図11は、ステップS101~ステップS102のイメージ図である。
図12は、ステップS103~S107のイメージ図である。
【0085】
最初に、ステップS101で、前工程として、まず測量機10を任意の点P0(好ましくは既知点)に設置し、ついでコントローラ80と測量機10の位置合わせを行う。測量機10に位置合わせ用のコントローラ80の設置位置を設けてもよい。GPS装置85により、コントローラ80の緯度経度が取得され、測量機10の設置位置の緯度経度も取得される。
【0086】
次に、ステップS102に移行して、測量機10とコントローラ80との相対方向を取得可能にする。作業者はコントローラ80とターゲットユニット70を持ち、ある程度離れた任意の場所NP1に移動し、その場でGPS装置85にて緯度経度を取得するとともに、測量機10にプリズム72の測距・測角をさせる。さらに異なる任意の場所NP2に移動して、再びGPS装置85にて緯度経度を取得するとともに、測量機10にプリズム72の測距・測角をさせる。このとき、ターゲットユニット70の上面にコントローラ80を取付けて、測距・測角を行ってもよい。二つの場所NP1,NP2の方位角から、測量機10からみたコントローラ80の方向(相対方向)が把握される。この方法に限られず、作業者の持ったターゲットユニット70のプリズム72を追尾させ、作業者が移動しながら、随時測距・測距を実施することで、測量機10がコントローラ80の相対方向を検知できるよう校正を行うように構成してもよい。また、測量機10を既知点に設置し、基準点と基準方向を設定する、後方交会法を用いて、絶対三次元座標を取得してもよい。
【0087】
前工程のステップS101~ステップS102は、測量機10に、ターゲットユニット70とコントローラ80を持つ作業者の粗方向を把握させるためである。このため、GPS装置85の位置情報の取得は単体測位で構わず、高精度な三次元情報の取得による厳密な相対方向の検出でなくても構わない。
【0088】
作業者は、作業中はターゲットユニット70およびコントローラ80を持って移動する。GPS装置85のGPS信号の取得は、移動中も随時行われているため、作業者が移動しても、また移動中であっても、GPS信号が取得可能である限り、測量機10に対するコントローラ80の方位角は、おおむね把握される。
【0089】
次に、本工程として、ステップS103~S108で、追尾部24による追尾開始、または追尾が外れた場合の追尾再開のためのプリズムロックについて説明する。
【0090】
ステップS103で、まず、GPS装置85の位置情報を基に、測量機10の鏡筒部18をGPS装置85の方向、即ち、ターゲットユニット70およびコントローラ80を持つ作業者の方向へ鏡筒部18を向かせる。現在の水平方向角と算出されたGPS装置85の方位角との差分を角度として算出し、水平回転駆動部M1を駆動させて、回転台座14を水平方向に回動させる。
【0091】
次に、ステップS104に移行して、送光器90に追尾ガイド光Lcを送光させる。送光器90を中心として、上面視して円形となる一対のファンビームBが、追尾ガイド光Lcとして上下方向に走査される。
【0092】
次に、ステップS105に移行して、受光部60が追尾ガイド光Lcを受光し、送光器90の中心の水平方向が検出される。
【0093】
次に、ステップS106に移行して、測量機制御部29は、検出された送光器90の中心の水平方向に、鏡筒部18の光軸を合わせるために、水平回転駆動部M1を駆動させる。
【0094】
次に、ステップS107に移行して、鉛直回転駆動部M2により鏡筒部18を上下方向に駆動させて、追尾部24の追尾光を上下に走査させ、プリズム72を見つけ出す。
【0095】
次に、ステップS108に移行して、プリズム72をロックし、フローは終了する。
【0096】
追尾開始時には、ステップS101~ステップS108が実施される。追尾が外れた際には、表示部82にその旨が表示され、自動で上記のステップS103~ステップS108が行われる。
【0097】
ステップS103により測量機10に水平方向に粗精度で向かせ、ついでステップS104で水平方向に大きく広がる一対のファンビームB(追尾ガイド光Lc)を受光部60で受光して、送光器90の中心の水平方向を検出して、鏡筒部18を水平方向に精精度で向かせている。本実施形態においては、GPS装置85により、粗精度でも方向が把握されているうえ、追尾ガイド光Lcは上面視して円形となる一対のファンビームBが上下方向に走査されるため、受光部60は追尾ガイド光Lcを非常に受光しやすい形態となっている。
【0098】
従来は、全く手掛かりのない状態でも、全方向を追尾光で走査することで、プリズムをロックすることができるが、時間がかかるという問題があった。さらにファンビームを送光する送光器であっても、ファンビームの水平方向の広がりは5度程度しかなかった。上記方法により、粗方向、精方向と順に鏡筒部18をプリズム72の方向に向けることができ、プリズム72をロックするまでの時間を短縮させることができる。
【0099】
従来の測量機では、追尾部の送光部が追尾光を照射して、反射光を受光部で受光して、走査を行っていた。この場合、受光部が受光するのは反射光であるため、受光量は少ない。測量機10は、送光器90から送光される追尾ガイド光Lcを、受光部60で受光するため、受光量も多く検出しやすい。このため、より迅速にプリズム72をロックすることができる。
【0100】
追尾開始しやすく、追尾が外れても素早くサーチしてプリズムロックし、追尾を再開する。送光器90および測量システム1は測量機10による追尾継続を容易にしている。
【0101】
(作業フロー)
測量システム1の作業工程フローの一例を説明する。
図13は、測量システム1を用いた測量作業の工程フローである。
図6も参照のこと。
【0102】
まず、ステップS201で、前処理として、CADデータや測定点データなどを含む測量現場の情報をコントローラ80に入力する。入力された情報は、コントローラ80の記憶部83に収納される。
【0103】
次に、ステップS202に移行して、測量機10を既知点に設置し、後方交会法などにより三次元座標を取得する。
【0104】
次に、ステップS203で、コントローラ80と測量機10の位置合わせを行う。ステップS203は、前述のステップS101に相当する。
【0105】
次に、ステップS204に移行して、コントローラ80に対する測量機10が、コントローラ80の相対方向を取得可能にする。ステップS203は、前述のステップS102に相当する。
【0106】
次に、ステップS205に移行して、測定点P1,P2,P3・・・Pnの位置情報が演算され、表示部82には、入力データに対応する測設地図が表示されるとともに、測定するべき測定点Pnの位置情報が表示部82に表示される。
【0107】
次に、ステップS206に移行して、測量機10は水平回転駆動部M1を駆動させて測定点Pnに鏡筒部18を向ける。作業者は、表示部82の測設地図を確認しながら、測定点Pnの方向へ向かって移動する。測量機10は、その間、鏡筒部18を上下方向に駆動させて追尾光を走査させる。
【0108】
次に、ステップS207に移行して、作業者が測定点Pnと測量機10とを結ぶ直線上に到達すると、追尾部24がプリズム72をロックし、追尾を開始する。
【0109】
次に、ステップS208に移行して、作業者は、追尾による測定点Pnまでの具体的な距離を表示部82で確認しながら、測定点Pnまで移動する。
【0110】
次に、ステップS209に移行して、ステップS107の移動中に追尾が外れてしまった場合、ステップS210として追尾再開フローに移行する。具体的には、追尾が外れると、測量機10から送光器90へその旨が送信される。プリズムロックの本工程であるステップS103~ステップS108が自動で実施され、プリズム72がロックされて、追尾が再開される。追尾が再開すると、ステップS208に戻る。追尾されたまま作業者が測定点Pnに到達すると、ステップS210に移行する。
【0111】
次に、ステップS211に移行して、作業者が測定点Pnにまで到達すると、ターゲットユニット70が測定点Pnに略鉛直に立てられ、測量機10は測定点Pnに立てられたプリズム72の測距・測角を行う。
【0112】
次に、ステップS212に移行して、次の測定点Pn+1がある場合、ステップS205に移行し、次の測定点Pn+1に対して、ステップS205~ステップS211を繰り返す。次の測定点がなくなると、測量は終了する。
【0113】
送光器90のより、追尾開始のプリズムロックも容易で、追尾が外れてしまっても、自動で直ちに送光器90により追尾ガイド光Lcの走査が行われるため、追尾再開も容易で、追尾継続が容易な構成となっている。
【0114】
以上、本発明の好ましい実施の形態について述べたが、上記の実施の形態は本発明の一例であり、これらを当業者の知識に基づいて組み合わせることが可能であり、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0115】
1 :測量システム
10 :測量機
24 :追尾部
29 :測量機制御部
60 :受光部
72 :プリズム
90 :送光器
92 :送光器回転駆動部(回転駆動部)
93 :光源
95 :アキシコンレンズ
97 :ツイストリングポリゴンミラー
B :ファンビーム
L3 :光軸
M1 :水平回転駆動部
tw :ひねり角度
X3 :中心軸