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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050373
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】トイレットロール
(51)【国際特許分類】
A47K 10/16 20060101AFI20240403BHJP
D21H 27/30 20060101ALI20240403BHJP
D21H 25/04 20060101ALI20240403BHJP
D21H 27/00 20060101ALI20240403BHJP
【ＦＩ】
A47K10/16 A
D21H27/30 B
D21H25/04
D21H27/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2022207219
(22)【出願日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】P 2022156291
(32)【優先日】2022-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 光
(72)【発明者】
【氏名】大岡 康伸
(72)【発明者】
【氏名】大篭 幸治
【テーマコード（参考）】
2D135
4L055
【Ｆターム（参考）】
2D135AA02
2D135AA04
2D135AA07
2D135AA17
2D135AB02
2D135AB13
2D135AC08
2D135AD15
2D135CA01
2D135CA03
2D135DA02
2D135DA03
2D135DA06
2D135DA08
2D135DA09
2D135DA11
2D135DA13
2D135DA15
2D135DA31
4L055AJ07
4L055EA07
4L055EA08
4L055EA10
4L055FA30
4L055GA29
(57)【要約】
【課題】坪量の高い２プライのトイレットペーパーを巻き取ったトイレットロールにおいて、吸水性に優れ、使用時に破れにくく、シート及びロールの手触り感が良好であり、プライ剥がれが起こりにくく、かつ、交換頻度も少ないトイレットロールを提供する。
【解決手段】エンボスが付与された原紙を２プライに積層したトイレットペーパーを巻き取ったトイレットロールであって、トイレットペーパーの１プライの坪量が１７ｇ／ｍ２以上２８ｇ／ｍ２以下、４プライ積層したときのＷＭＤＴが０．５Ｎ／２５ｍｍ以上１．８Ｎ／２５ｍｍ以下、第一エンボスのエンボス深さが１４０μｍ以上３３０μｍ以下、吸水量が２００ｇ／ｍ２以上４００ｇ／ｍ２以下、ＴＳ７５０が３０ｄＢＶ２ｒｍｓ以上６０ｄＢＶ２ｒｍｓ以下であり、ロールの巻長が１６ｍ以上３１ｍ以下、巻柔らかさが１．０ｍｍ以上５．０ｍｍ以下である、トイレットロールを提供する。
【選択図】図１
【解決手段】エンボスが付与された原紙を２プライに積層したトイレットペーパーを巻き取ったトイレットロールであって、トイレットペーパーの１プライの坪量が１７ｇ／ｍ２以上２８ｇ／ｍ２以下、４プライ積層したときのＷＭＤＴが０．５Ｎ／２５ｍｍ以上１．８Ｎ／２５ｍｍ以下、第一エンボスのエンボス深さが１４０μｍ以上３３０μｍ以下、吸水量が２００ｇ／ｍ２以上４００ｇ／ｍ２以下、ＴＳ７５０が３０ｄＢＶ２ｒｍｓ以上６０ｄＢＶ２ｒｍｓ以下であり、ロールの巻長が１６ｍ以上３１ｍ以下、巻柔らかさが１．０ｍｍ以上５．０ｍｍ以下である、トイレットロールを提供する。
【選択図】図１
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンボスが付与された原紙をグルーで接着処理し、２プライに積層したトイレットペーパーを、ロール状に巻き取ったトイレットロールであって、
前記トイレットペーパーの１プライの坪量が１７ｇ／ｍ２以上２８ｇ／ｍ２以下であり、
前記トイレットペーパーを４プライ積層したときにおける、湿潤時のＭＤ方向の引張強度（ＷＭＤＴ）が０．５Ｎ／２５ｍｍ以上１．８Ｎ／２５ｍｍ以下であり、
前記エンボスは第一エンボスと第二エンボスを含み、前期トイレットペーパーのロール外周面側における前記第一エンボスのエンボス深さが１４０μｍ以上３３０μｍ以下であり、
前記トイレットペーパーの単位面積当たりの吸水量が２００ｇ／ｍ２以上４００ｇ／ｍ２以下であり、
ティシューソフトネス測定装置ＴＳＡにより、試料台に設置した前記トイレットペーパーのサンプルに対し、ブレード付きロータを１００ｍＮの押し込み圧力として上から押し込んだ後に回転数２．０（／ｓｅｃ）で回転させ、前記試料台の振動を振動センサで測定したとき、前記ＴＳＡ上のソフトウェアにて自動的に取得した、低周波数側からの最初のスペクトルの極大ピークの強度（ＴＳ７５０）が３０ｄＢＶ２ｒｍｓ以上６０ｄＢＶ２ｒｍｓ以下であり、
ロールの巻長が１６ｍ以上３１ｍ以下、巻柔らかさが１．０ｍｍ以上５．０ｍｍ以下であることを特徴とする、トイレットロール。
前記トイレットペーパーの１プライの坪量が１７ｇ／ｍ２以上２８ｇ／ｍ２以下であり、
前記トイレットペーパーを４プライ積層したときにおける、湿潤時のＭＤ方向の引張強度（ＷＭＤＴ）が０．５Ｎ／２５ｍｍ以上１．８Ｎ／２５ｍｍ以下であり、
前記エンボスは第一エンボスと第二エンボスを含み、前期トイレットペーパーのロール外周面側における前記第一エンボスのエンボス深さが１４０μｍ以上３３０μｍ以下であり、
前記トイレットペーパーの単位面積当たりの吸水量が２００ｇ／ｍ２以上４００ｇ／ｍ２以下であり、
ティシューソフトネス測定装置ＴＳＡにより、試料台に設置した前記トイレットペーパーのサンプルに対し、ブレード付きロータを１００ｍＮの押し込み圧力として上から押し込んだ後に回転数２．０（／ｓｅｃ）で回転させ、前記試料台の振動を振動センサで測定したとき、前記ＴＳＡ上のソフトウェアにて自動的に取得した、低周波数側からの最初のスペクトルの極大ピークの強度（ＴＳ７５０）が３０ｄＢＶ２ｒｍｓ以上６０ｄＢＶ２ｒｍｓ以下であり、
ロールの巻長が１６ｍ以上３１ｍ以下、巻柔らかさが１．０ｍｍ以上５．０ｍｍ以下であることを特徴とする、トイレットロール。
【請求項2】
（前記エンボス深さ×前記ＴＳ７５０）／１００で表される値が４３以上２００以下であることを特徴とする、請求項１に記載のトイレットロール。
【請求項3】
前記トイレットペーパーの比容積が４．０ｃｍ３／ｇ以上１２．０ｃｍ３／ｇ以下であることを特徴とする、請求項１に記載のトイレットロール。
【請求項4】
前記トイレットペーパーの１プライの紙厚が９０μｍ以上１９０μｍ以下であることを特徴とする、請求項１に記載のトイレットロール。
【請求項5】
ロールのロール密度が０．０７ｇ／ｃｍ３以上０．１９ｇ／ｃｍ３以下であることを特徴とする、請求項１に記載のトイレットロール。
【請求項6】
ロールの巻直径が９５ｍｍ以上１４０ｍｍ以下であることを特徴とする、請求項１に記載のトイレットロール。
【請求項7】
前記トイレットペーパーにおける、乾燥時のＭＤ方向の引張強度と乾燥時のＣＤ方向の引張強度との積の平方根ＧＭＴが１．７Ｎ／２５ｍｍ以上３．３Ｎ／２５ｍｍ以下であることを特徴とする、請求項１に記載のトイレットロール。
【請求項8】
前記ＴＳＡにより取得したスペクトルのうち、６５００Ｈｚを含むスペクトルの極大ピークの強度（ＴＳ７）が５ｄＢＶ２ｒｍｓ以上３０ｄＢＶ２ｒｍｓ以下であることを特徴とする、請求項１に記載のトイレットロール。
【請求項9】
前記ＴＳＡにより、前記試料台に設置した前記トイレットペーパーのサンプルに対し、前記ブレード付きロータを回転させずに１００ｍＮと６００ｍＮの押し込み圧力でそれぞれ上から押し込んだとき、それぞれ押し込み圧力１００ｍＮと６００ｍＮの間での前記サンプルの上下方向の変形変位量で表される、剛性（Ｄ）の測定値が２．０ｍｍ／Ｎ以上５．０ｍｍ／Ｎ以下であることを特徴とする、請求項１に記載のトイレットロール。
【請求項10】
前記トイレットペーパーの単位重量当たりの吸水量が５．２ｇ／ｇ以上９．０ｇ／ｇ以下であることを特徴とする、請求項１に記載のトイレットロール。
【請求項11】
（前記ＧＭＴ／前記トイレットペーパーの見かけの製品坪量）×１００で表される値が３．０以上９．０以下であることを特徴とする、請求項７に記載のトイレットロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、２プライのトイレットペーパーを巻き取ったトイレットロールに関する。
【背景技術】
【0002】
トイレットペーパーの中でも、特に温水洗浄便座用のトイレットペーパーは、吸水性が高く、使用時に破れにくく、シートの手触り感及びロール製品の柔らかさが良好であることが重要である。
【0003】
吸水性や強度は、坪量を高くすることで向上させることができる。また、２プライのトイレットペーパーにおいてはエンボスを深く入れることで、プライ間の空隙が多くなり、より吸水性が高くなる。
【0004】
さらに、エンボスによって形成された凸部に接着剤（以下、グルーとも称する）を塗布してプライ間を接着することで、温水洗浄便座用トイレットペーパーとしての機能を良好とする技術も知られている。
【0005】
エンボス凸部に接着剤を塗布してプライ間を接着するトイレットペーパーの先行技術文献として、例えば、特許文献１には、少なくとも２枚の原紙が重ね合わされ、カルボキシメチルセルロースを含む接着剤にて接着されてなるトイレットペーパーであって、接着剤にはアニオン系サイズ剤が添加されていることを特徴とするトイレットペーパーが開示されている。また、原紙間における接着剤部分よりも空隙部分が占める面積の割合が大きいように、接着剤が付けられている旨も記載されている。
【0006】
また、特許文献２には、ダブルエンボスが施され、トイレットペーパー１０ｘの強度ＤＧＭＴが２．６～４．５Ｎ／２５ｍｍ、比容積が７．０～１０．５ｃｍ３／ｇ、ロール表面１０ａに面積２．５～７．０ｍｍ２の複数の第一エンボス２と、第一エンボスより小さい面積の複数の第二エンボス４が配置され、ロール裏面１０ｂに少なくとも複数の第二エンボスが配置され、ロール表面を１ｃｍ×１ｃｍの１００個の正方形の枡目に区切ったとき第一エンボスを７個以上含む枡目が３０～７０個であり、第一エンボスが存在せず第２エンボスが内部に存在する直径１４ｍｍの円ＣＲが６～３０個であり、かつロール表面の滑らかさ（ＴＳ７５０ｆ）が１１～３５で、ロール裏面の滑らかさ（ＴＳ７５０ｂ）が２０～４８であるトイレットロール１０が開示されている。
【0007】
さらに、坪量の高いトイレットペーパーの先行技術文献としては、特許文献３には、２プライに積層されてグルーで接着処理され、エンボスパターンが付与されたトイレットペーパーをロール状に巻取ったトイレットロールであって、エンボスパターンは、２プライの各々に設けられた、ダブルエンボスパターンであり、トイレットペーパーの１プライあたりの坪量が１６ｇ／ｍ２以上２６ｇ／ｍ２以下であり、トイレットロールのロール重量が１２０ｇ以上２８０ｇ以下、巻長が３２ｍ以上５６ｍ以下、巻直径が１１０ｍｍ以上１５０ｍｍ以下、ロール密度が０．０９ｇ／ｃｍ３以上０．２０ｇ／ｃｍ３以下であり、トイレットペーパーの２プライのＪＩＳ Ｐ ４５０１に基づくほぐれやすさが、２０秒以上６０秒以下であり、トイレットペーパーの２プライのＪＩＳ Ｐ ８１１３に基づく乾燥時の縦方向引張強さＤＭＤＴが２．８Ｎ／２５ｍｍ以上６．４Ｎ／２５ｍｍ以下、２プライのＪＩＳ Ｐ ８１１３に基づく乾燥時の横方向引張強さＤＣＤＴが０．８Ｎ／２５ｍｍ以上２．３Ｎ／２５ｍｍ以下であり、ＤＭＤＴ／トイレットペーパーの２プライの坪量が０．０６以上０．１７以下であり、ＤＣＤＴ／トイレットペーパーの２プライの坪量が０．０２０以上０．０６０以下であることを特徴とする、温水洗浄便座トイレ用トイレットロールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開２０１６－１７９１６２号公報
【特許文献2】特開２０１８－０００８３５号公報
【特許文献3】特開２０２０－１７９０１３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献１及び２のような温水洗浄便座用トイレットペーパーでは、高坪量の原紙を使用した際、エンボス加工時の圧力を一定とした場合に、低坪量のトイレットペーパーと比べてエンボスが入りにくく、また、エンボスが入りにくい（凹凸が形成されにくい）と、グルーでのプライ接着性に劣るという問題がある。
【0010】
一方で、高坪量のトイレットペーパーではエンボスの定着性に優れるため、エンボス加工時の圧力を強くするとエンボスが残りやすい。しかし、その場合エンボスが深くなりすぎてしまい、ロール内面側のシートにおける手触り感に劣る。
【0011】
また、特許文献３のような長尺のトイレットロールでは巻きが固くなるため、ロール製品としての柔らかさに劣る。加えて、エンボスが潰れやすくなり、結果として吸水性に劣るという問題もある。
【0012】
以上のことから、従来の高坪量なトイレットペーパーでは、吸水量と水濡れ時の強度、エンボス深さ、シートおよびロール製品の手触り感を全て満たすことが困難であった。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、坪量の高い２プライのトイレットペーパーを巻き取ったトイレットロールにおいて、吸水性に優れ、使用時に破れにくく、シート及びロールの手触り感が良好であり、プライ剥がれが起こりにくく、かつ、交換頻度も少ないトイレットロールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明者は鋭意検討を行い、エンボスが付与された原紙をグルーで接着処理し、２プライに積層したトイレットペーパーを、ロール状に巻き取ったトイレットロールにおいて、エンボスを二種類含むように付与し、かつ、トイレットペーパーの１プライの坪量、４プライ積層したときの湿潤時のＭＤ方向の引張強度、ロール外周面側におけるエンボス深さ、単位面積当たりの吸水量、ＴＳ７５０並びにロールの巻長及び巻柔らかさをそれぞれ所定の数値範囲内とすることで、吸水性に優れ、使用時に破れにくく、シート及びロールの手触り感が良好であり、プライ剥がれが起こりにくく、かつ、交換頻度も少ないトイレットロールとすることができ、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下のものを提供する。
【0015】
（１）本発明の第１の態様は、エンボスを付与した後グルーで接着処理し、２プライに積層したトイレットペーパーを、ロール状に巻き取ったトイレットロールであって、前記トイレットペーパーの１プライの坪量が１７ｇ／ｍ２以上２８ｇ／ｍ２以下であり、前記トイレットペーパーを４プライ積層したときにおける、湿潤時のＭＤ方向の引張強度（ＷＭＤＴ）が０．５Ｎ／２５ｍｍ以上１．８Ｎ／２５ｍｍ以下であり、前記エンボスは第一エンボスと第二エンボスを含み、前記トイレットペーパーのロール外周面側における前記第一エンボスのエンボス深さが１４０μｍ以上３３０μｍ以下であり、前記トイレットペーパーの単位面積当たりの吸水量が２００ｇ／ｍ２以上４００ｇ／ｍ２以下であり、ティシューソフトネス測定装置ＴＳＡにより、試料台に設置した前記トイレットペーパーのサンプルに対し、ブレード付きロータを１００ｍＮの押し込み圧力として上から押し込んだ後に回転数２．０（／ｓｅｃ）で回転させ、前記試料台の振動を振動センサで測定したとき、前記ＴＳＡ上のソフトウェアにて自動的に取得した、低周波数側からの最初のスペクトルの極大ピークの強度（ＴＳ７５０）が３０ｄＢＶ２ｒｍｓ以上６０ｄＢＶ２ｒｍｓ以下であり、ロールの巻長が１６ｍ以上３１ｍ以下、巻柔らかさが１．０ｍｍ以上５．０ｍｍ以下であることを特徴とする、トイレットロールである。
【0016】
（２）本発明の第２の態様は、（１）に記載のトイレットロールであって、（前記エンボス深さ×前記ＴＳ７５０）／１００で表される値が４３以上２００以下であることを特徴とするものである。
【0017】
（３）本発明の第３の態様は、（１）に記載のトイレットロールであって、前記トイレットペーパーの比容積が４．０ｃｍ３／ｇ以上１２．０ｃｍ３／ｇ以下であることを特徴とするものである。
【0018】
（４）本発明の第４の態様は、（１）に記載のトイレットロールであって、前記トイレットペーパーの１プライの紙厚が９０μｍ以上１９０μｍ以下であることを特徴とするものである。
【0019】
（５）本発明の第５の態様は、（１）に記載のトイレットロールであって、ロールのロール密度が０．０７ｇ／ｃｍ３以上０．１９ｇ／ｃｍ３以下であることを特徴とするものである。
【0020】
（６）本発明の第６の態様は、（１）に記載のトイレットロールであって、ロールの巻直径が９５ｍｍ以上１４０ｍｍ以下であることを特徴とするものである。
【0021】
（７）本発明の第７の態様は、（１）に記載のトイレットロールであって、前記トイレットペーパーにおける、乾燥時のＭＤ方向の引張強度と乾燥時のＣＤ方向の引張強度との積の平方根ＧＭＴが１．７Ｎ／２５ｍｍ以上３．３Ｎ／２５ｍｍ以下であることを特徴とするものである。
【0022】
（８）本発明の第８の態様は、（１）に記載のトイレットロールであって、前記ＴＳＡにより取得したスペクトルのうち、６５００Ｈｚを含むスペクトルの極大ピークの強度（ＴＳ７）が５ｄＢＶ２ｒｍｓ以上３０ｄＢＶ２ｒｍｓ以下であることを特徴とするものである。
【0023】
（９）本発明の第９の態様は、（１）に記載のトイレットロールであって、前記ＴＳＡにより、前記試料台に設置した前記トイレットペーパーのサンプルに対し、前記ブレード付きロータを回転させずに１００ｍＮと６００ｍＮの押し込み圧力でそれぞれ上から押し込んだとき、それぞれ押し込み圧力１００ｍＮと６００ｍＮの間での前記サンプルの上下方向の変形変位量で表される、剛性（Ｄ）の測定値が２．０ｍｍ／Ｎ以上５．０ｍｍ／Ｎ以下であることを特徴とするものである。
【0024】
（１０）本発明の第１０の態様は、（１）に記載のトイレットロールであって、前記トイレットペーパーの単位重量当たりの吸水量が５．２ｇ／ｇ以上９．０ｇ／ｇ以下であることを特徴とするものである。
【0025】
（１１）本発明の第１１の態様は、（７）に記載のトイレットロールであって、（前記ＧＭＴ／前記トイレットペーパーの見かけの製品坪量）×１００で表される値が３．０以上９．０以下であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、坪量の高い２プライのトイレットペーパーを巻き取ったトイレットロールにおいて、吸水性に優れ、使用時に破れにくく、シート及びロールの手触り感が良好であり、プライ剥がれが起こりにくく、かつ、交換頻度も少ないトイレットロールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態（以下、単に「本実施形態」という。）について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
【0029】
なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0030】
＜トイレットロール＞
図１は、本発明の一実施形態に係るトイレットロール１の外観を示す斜視図である。本発明の一実施形態に係るトイレットロール１は、エンボスが付与された原紙をグルー（以下、プライボンドグルーとも称する）で接着処理し、２プライに積層したトイレットペーパー１ｘを、ロール状に巻き取ったトイレットロール１である。なお、トイレットペーパー１ｘ（以下、単にシートとも称する）は、流れ方向における略等間隔において、幅方向にミシン目を施されていることが好ましい（図示しない）。
なお、図１に示すように、トイレットペーパー１ｘの表面のうち、ロール外側に指向した表面をロール外周面１ａ（トイレットペーパー１ｘの表面）と称し、ロール中心部に指向した表面をロール内周面１ｂ（トイレットペーパー１ｘの裏面）、巻き取られたトイレットペーパー１ｘの最外端部をトイレットペーパー１ｘの最外巻の端縁１ｅと称する。
図１は、本発明の一実施形態に係るトイレットロール１の外観を示す斜視図である。本発明の一実施形態に係るトイレットロール１は、エンボスが付与された原紙をグルー（以下、プライボンドグルーとも称する）で接着処理し、２プライに積層したトイレットペーパー１ｘを、ロール状に巻き取ったトイレットロール１である。なお、トイレットペーパー１ｘ（以下、単にシートとも称する）は、流れ方向における略等間隔において、幅方向にミシン目を施されていることが好ましい（図示しない）。
なお、図１に示すように、トイレットペーパー１ｘの表面のうち、ロール外側に指向した表面をロール外周面１ａ（トイレットペーパー１ｘの表面）と称し、ロール中心部に指向した表面をロール内周面１ｂ（トイレットペーパー１ｘの裏面）、巻き取られたトイレットペーパー１ｘの最外端部をトイレットペーパー１ｘの最外巻の端縁１ｅと称する。
【0031】
（巻長及び巻直径）
トイレットロール１の巻長は１６ｍ以上３１ｍ以下である。巻長が１６ｍ未満であると、交換頻度が高くなる。巻長が３１ｍを超えると、後述する巻直径ＤＲをそのままとすると、代わりに巻固くなるため、ロール製品の柔らかさに劣る。なお、トイレットロール１の巻長は２０ｍ以上３１ｍ以下であることが好ましく、２４ｍ以上３１ｍ以下であることがより好ましい。
また、トイレットロール１の巻直径ＤＲは９５ｍｍ以上１４０ｍｍ以下であることが好ましい。巻直径ＤＲが９５ｍｍ未満であると、巻長をそのままとすると、代わりに後述するロール密度が高くなるため、エンボスが潰れて吸水性に劣る。巻直径ＤＲが１４０ｍｍを超えると、巻長をそのままとすると、代わりにロール密度が低くなり、エンボスを強く入れた際にエンボスが適度に慣らされず、シートの手触り感に劣る。なお、トイレットロール１の巻直径ＤＲは１００ｍｍ以上１３４ｍｍ以下であることがより好ましく、１０７ｍｍ以上１２８ｍｍ以下であることが更に好ましい。
トイレットロール１の巻長は１６ｍ以上３１ｍ以下である。巻長が１６ｍ未満であると、交換頻度が高くなる。巻長が３１ｍを超えると、後述する巻直径ＤＲをそのままとすると、代わりに巻固くなるため、ロール製品の柔らかさに劣る。なお、トイレットロール１の巻長は２０ｍ以上３１ｍ以下であることが好ましく、２４ｍ以上３１ｍ以下であることがより好ましい。
また、トイレットロール１の巻直径ＤＲは９５ｍｍ以上１４０ｍｍ以下であることが好ましい。巻直径ＤＲが９５ｍｍ未満であると、巻長をそのままとすると、代わりに後述するロール密度が高くなるため、エンボスが潰れて吸水性に劣る。巻直径ＤＲが１４０ｍｍを超えると、巻長をそのままとすると、代わりにロール密度が低くなり、エンボスを強く入れた際にエンボスが適度に慣らされず、シートの手触り感に劣る。なお、トイレットロール１の巻直径ＤＲは１００ｍｍ以上１３４ｍｍ以下であることがより好ましく、１０７ｍｍ以上１２８ｍｍ以下であることが更に好ましい。
【0032】
巻長は、トイレットロール１のミシン目とミシン目の間のトイレットペーパー１ｘについて、１０枚分の長さを実測する。その後、トイレットロール１におけるトイレットペーパー１ｘの枚数を実測し、巻長は１０枚分の長さとトイレットペーパー１ｘの枚数から比例計算で求める。例えば、１０枚分の長さが１．８０ｍ、トイレットペーパー１ｘの枚数が１５０枚の場合、１．８０ｍ×（１５０／１０）＝２７ｍとなる。なお、トイレットロール１にミシン目がない場合は、実測して巻長を測定することができる。
また、ロールの巻直径ＤＲは、ムラテックＫＤＳ株式会社製ダイヤメータールールを用いて測定する。測定は、１０個のトイレットロール１を測定し、測定結果を平均する。
また、ロールの巻直径ＤＲは、ムラテックＫＤＳ株式会社製ダイヤメータールールを用いて測定する。測定は、１０個のトイレットロール１を測定し、測定結果を平均する。
【0033】
（巻柔らかさ）
また、トイレットロール１の巻柔らかさは１．０ｍｍ以上５．０ｍｍ以下である。巻柔らかさが１．０ｍｍ未満であると、巻固くなり、ロール製品の柔らかさに劣る。巻柔らかさが５．０ｍｍを超えると、巻直径ＤＲをそのままとすると代わりに巻長が短くなるため、交換頻度が多くなる。なお、トイレットロール１の巻柔らかさは１．４ｍｍ以上４．６ｍｍ以下であることが好ましく、１．８ｍｍ以上４．２ｍｍ以下であることがより好ましい。
また、トイレットロール１の巻柔らかさは１．０ｍｍ以上５．０ｍｍ以下である。巻柔らかさが１．０ｍｍ未満であると、巻固くなり、ロール製品の柔らかさに劣る。巻柔らかさが５．０ｍｍを超えると、巻直径ＤＲをそのままとすると代わりに巻長が短くなるため、交換頻度が多くなる。なお、トイレットロール１の巻柔らかさは１．４ｍｍ以上４．６ｍｍ以下であることが好ましく、１．８ｍｍ以上４．２ｍｍ以下であることがより好ましい。
【0034】
トイレットロール１の巻柔らかさは、圧縮試験機（カトーテック株式会社製のハンディー圧縮試験機ＫＥＳ－Ｇ５）を用いて、次のように測定する。なお、トイレットロール１の軸心と平行な方向を高さ方向、トイレットロール１の円周の接線と垂直な方向を半径方向とする。
まず、トイレットロール１のコアに、アクリルパイプを挿入する。アクリルパイプの肉厚は２ｍｍとする。アクリルパイプの長さは、トイレットロール１のロール幅より１０ｍｍ長くする（トイレットロール１のロール幅が１１４ｍｍの場合、アクリルパイプの長さは１２４ｍｍとする。）。アクリルパイプの外径は、トイレットロール１のコアの内径よりわずかに小さく、かつ、アクリルパイプを挿入した後にトイレットロール１の軸心が垂直になるように置いたとき、トイレットロール１が自重で動かないサイズとする。コアにアクリルパイプを挿入しにくく、アクリルパイプの外径をわずかに小さくする場合は、耐水ペーパー等で肉厚をわずかに削ってもよい。アクリルパイプの質量は、長さが１２５ｍｍ、外径が３８ｍｍの場合、３１ｇ程度である。
まず、トイレットロール１のコアに、アクリルパイプを挿入する。アクリルパイプの肉厚は２ｍｍとする。アクリルパイプの長さは、トイレットロール１のロール幅より１０ｍｍ長くする（トイレットロール１のロール幅が１１４ｍｍの場合、アクリルパイプの長さは１２４ｍｍとする。）。アクリルパイプの外径は、トイレットロール１のコアの内径よりわずかに小さく、かつ、アクリルパイプを挿入した後にトイレットロール１の軸心が垂直になるように置いたとき、トイレットロール１が自重で動かないサイズとする。コアにアクリルパイプを挿入しにくく、アクリルパイプの外径をわずかに小さくする場合は、耐水ペーパー等で肉厚をわずかに削ってもよい。アクリルパイプの質量は、長さが１２５ｍｍ、外径が３８ｍｍの場合、３１ｇ程度である。
【0035】
次に、トイレットロール１を軸心が水平になるよう硬い台上に横に置く。そして、トイレットロール１の高さ方向の中心部に上記ＫＥＳ－Ｇ５の圧縮子（面積２．０ｃｍ２）を、速度１０ｍｍ／分の条件で半径方向に上から押し込む。圧縮子がロールを押す圧力が５ｇｆ／ｃｍ２のときの押し込み深さをＴ０、圧力が１５０ｇｆ／ｃｍ２のときの押し込み深さをＴｍとして、（Ｔｍ－Ｔ０）を巻柔らかさとする。測定は５回行い、測定結果を平均する。なお、上記圧縮子をトイレットロール１に押し込む際の高さ方向は、高さ方向の両端部を除けば、高さ方向の中心部でなくてもよい。本発明の一実施形態に係るトイレットロール１の巻柔らかさの測定においては、トイレットロール１の高さ方向の中心部と端部との中間付近に上記圧縮子を押し込んで測定する。
【0036】
（シート長及びシート幅）
さらに、ミシン目とミシン目の間の長さ（トイレットペーパー１ｘのシート長）は、９６ｍｍ以上１３０ｍｍ以下が好ましく、１０２ｍｍ以上１２６ｍｍ以下がより好ましく、１０８ｍｍ以上１２０ｍｍ以下が更に好ましい。さらに、トイレットペーパー１ｘのシート幅は、９６ｍｍ以上１３０ｍｍ以下が好ましく、１０２ｍｍ以上１２６ｍｍ以下がより好ましく、１０８ｍｍ以上１２０ｍｍ以下が更に好ましい。シート長及びシート幅がそれぞれ上記の数値範囲内であることにより、本願のようなトイレットロール１を使用する際、使用する面積が適正になり、交換頻度も適正となる。
さらに、ミシン目とミシン目の間の長さ（トイレットペーパー１ｘのシート長）は、９６ｍｍ以上１３０ｍｍ以下が好ましく、１０２ｍｍ以上１２６ｍｍ以下がより好ましく、１０８ｍｍ以上１２０ｍｍ以下が更に好ましい。さらに、トイレットペーパー１ｘのシート幅は、９６ｍｍ以上１３０ｍｍ以下が好ましく、１０２ｍｍ以上１２６ｍｍ以下がより好ましく、１０８ｍｍ以上１２０ｍｍ以下が更に好ましい。シート長及びシート幅がそれぞれ上記の数値範囲内であることにより、本願のようなトイレットロール１を使用する際、使用する面積が適正になり、交換頻度も適正となる。
【0037】
（ロール重量）
そして、トイレットロール１のロール重量は特に限定されないが、９０ｇ以上２０５ｇ以下であることが好ましく、１００ｇ以上１９５ｇ以下であることがより好ましく、１１０ｇ以上１８０ｇ以下であることが更に好ましい。ロール重量が上記の数値範囲内であることにより、使用時に破れにくく、ロール製品としての手触りが良好で、かつ、交換頻度が少ないトイレットロール１とすることができる。
なお、上記数値範囲のロール重量は、トイレットロール１におけるコア（紙管）を含まないロール幅１１４ｍｍ当たりの１ロールの重量とする。ロール幅が１１４ｍｍでない場合は、比例計算により１１４ｍｍ当たりの重量に換算する。
そして、トイレットロール１のロール重量は特に限定されないが、９０ｇ以上２０５ｇ以下であることが好ましく、１００ｇ以上１９５ｇ以下であることがより好ましく、１１０ｇ以上１８０ｇ以下であることが更に好ましい。ロール重量が上記の数値範囲内であることにより、使用時に破れにくく、ロール製品としての手触りが良好で、かつ、交換頻度が少ないトイレットロール１とすることができる。
なお、上記数値範囲のロール重量は、トイレットロール１におけるコア（紙管）を含まないロール幅１１４ｍｍ当たりの１ロールの重量とする。ロール幅が１１４ｍｍでない場合は、比例計算により１１４ｍｍ当たりの重量に換算する。
【0038】
（コア外径）
本発明のトイレットロール１の芯の外径である、コア外径ＤＩは、２５ｍｍ以上４８ｍｍ以下であることが好ましく、３５ｍｍ以上４６ｍｍ以下であることがより好ましく、３７ｍｍ以上４３ｍｍ以下であることが更に好ましい。コア外径ＤＩが上記の数値範囲内であることにより、吸水性に優れ、使用時に破れにくく、シート及びロールの手触り感が良好であり、かつ、交換頻度も少ないトイレットロール１とすることができる。
コア外径ＤＩは、ムラテックＫＤＳ株式会社製ダイヤメータールールを用いて測定する。測定は、１０個のトイレットロール１のコアを測定し、測定結果を平均する。
本発明のトイレットロール１の芯の外径である、コア外径ＤＩは、２５ｍｍ以上４８ｍｍ以下であることが好ましく、３５ｍｍ以上４６ｍｍ以下であることがより好ましく、３７ｍｍ以上４３ｍｍ以下であることが更に好ましい。コア外径ＤＩが上記の数値範囲内であることにより、吸水性に優れ、使用時に破れにくく、シート及びロールの手触り感が良好であり、かつ、交換頻度も少ないトイレットロール１とすることができる。
コア外径ＤＩは、ムラテックＫＤＳ株式会社製ダイヤメータールールを用いて測定する。測定は、１０個のトイレットロール１のコアを測定し、測定結果を平均する。
【0039】
（ロール密度）
トイレットロール１のロール密度は０．０７ｇ／ｃｍ３以上０．１９ｇ／ｃｍ３以下であることが好ましい。ロール密度が０．０７ｇ／ｃｍ３未満であると、エンボスを強く入れた際にエンボスが適度に慣らされず、シートの手触り感に劣る。ロール密度が０．１９ｇ／ｃｍ３を超えると、巻固くなり、エンボスが潰れて吸水性に劣る。
なお、トイレットロール１のロール密度は０．０９ｇ／ｃｍ３以上０．１７ｇ／ｃｍ３以下であることがより好ましく、０．１１ｇ／ｃｍ３以上０．１５ｇ／ｃｍ３以下であることが更に好ましい。
トイレットロール１のロール密度は０．０７ｇ／ｃｍ３以上０．１９ｇ／ｃｍ３以下であることが好ましい。ロール密度が０．０７ｇ／ｃｍ３未満であると、エンボスを強く入れた際にエンボスが適度に慣らされず、シートの手触り感に劣る。ロール密度が０．１９ｇ／ｃｍ３を超えると、巻固くなり、エンボスが潰れて吸水性に劣る。
なお、トイレットロール１のロール密度は０．０９ｇ／ｃｍ３以上０．１７ｇ／ｃｍ３以下であることがより好ましく、０．１１ｇ／ｃｍ３以上０．１５ｇ／ｃｍ３以下であることが更に好ましい。
【0040】
ロール密度は、（ロール重量）÷（ロールの体積）で表される。ロール重量は、ロール幅１１４ｍｍ当たりのトイレットロール１の重量である。ロール体積は［｛ロールの外径（巻直径ＤＲ）部分の断面積｝－（コア外径ＤＩ部分の断面積）］×ロール幅（１１４ｍｍ当たりに換算する）で表される。例えば、ロール幅１１４ｍｍ当たりのロール重量（コアを除く）が１２３ｇ、巻直径ＤＲが１２５ｍｍ、コア外径ＤＩが３９ｍｍの場合、ロール密度＝０．１０ｇ／ｃｍ３となる。なお、トイレットロール１にコアが無い場合は、中心孔の直径をコア外径ＤＩとする。
【0041】
＜トイレットペーパー＞
本発明の一実施形態に係るトイレットペーパー１ｘに用いる原紙は、木材パルプ１００質量％からなるものであってもよく、古紙パルプ、非木材パルプ、脱墨パルプ、液体飲料用紙パック古紙等を含んでよい。しかし、品質の観点から木材パルプ以外のパルプや古紙等の含有率は５０質量％以下とすることが好ましく、より好ましくは３０質量％以下、更に好ましくは１０質量％以下、最も好ましくは０質量％である。目標とする品質を得るためには、ＮＢＫＰ（針葉樹晒クラフトパルプ）の含有率が５質量％以上５５質量％以下であることが好ましく、１５質量％以上４５質量％以下であることがより好ましく、２０質量％以上３５質量％以下であることが更に好ましい。また、ＬＢＫＰ（広葉樹晒クラフトパルプ）の含有率が４５質量％以上９５質量％以下であることが好ましく、５５質量％以上８５質量％以下であることがより好ましく、６５質量％以上８０質量％以下であることが更に好ましい。
また、上述した紙料への添加剤としては、最終製品の要求品質に応じ、柔軟剤、嵩高剤、染料、分散剤、乾燥紙力増強剤、濾水向上剤、ピッチコントロール剤、吸水性向上剤等を用いることができる。なお、湿潤紙力増強剤は使用しないことが好ましいが、一時性湿潤紙力増強剤は使用してもよい。
本発明の一実施形態に係るトイレットペーパー１ｘに用いる原紙は、木材パルプ１００質量％からなるものであってもよく、古紙パルプ、非木材パルプ、脱墨パルプ、液体飲料用紙パック古紙等を含んでよい。しかし、品質の観点から木材パルプ以外のパルプや古紙等の含有率は５０質量％以下とすることが好ましく、より好ましくは３０質量％以下、更に好ましくは１０質量％以下、最も好ましくは０質量％である。目標とする品質を得るためには、ＮＢＫＰ（針葉樹晒クラフトパルプ）の含有率が５質量％以上５５質量％以下であることが好ましく、１５質量％以上４５質量％以下であることがより好ましく、２０質量％以上３５質量％以下であることが更に好ましい。また、ＬＢＫＰ（広葉樹晒クラフトパルプ）の含有率が４５質量％以上９５質量％以下であることが好ましく、５５質量％以上８５質量％以下であることがより好ましく、６５質量％以上８０質量％以下であることが更に好ましい。
また、上述した紙料への添加剤としては、最終製品の要求品質に応じ、柔軟剤、嵩高剤、染料、分散剤、乾燥紙力増強剤、濾水向上剤、ピッチコントロール剤、吸水性向上剤等を用いることができる。なお、湿潤紙力増強剤は使用しないことが好ましいが、一時性湿潤紙力増強剤は使用してもよい。
【0042】
（坪量）
本発明の一実施形態に係るトイレットペーパー１ｘの１プライの坪量は、１７ｇ／ｍ２以上２８ｇ／ｍ２以下である。トイレットペーパー１ｘの坪量が１７ｇ／ｍ２未満であると、トイレットペーパー１ｘが吸水性に劣り、使用時に破れやすくなる。トイレットペーパー１ｘの坪量が２８ｇ／ｍ２を超えると、トイレットペーパー１ｘの手触り感に劣る。また、トイレットペーパー１ｘがプライボンドグルーを吸収してしまい、プライ剥がれが起こりやすくなる。
なお、トイレットペーパー１ｘの１プライの坪量は、１８ｇ／ｍ２以上２６ｇ／ｍ２以下であることが好ましく、１９ｇ／ｍ２以上２４ｇ／ｍ２以下であることがより好ましい。
本発明の一実施形態に係るトイレットペーパー１ｘの１プライの坪量は、１７ｇ／ｍ２以上２８ｇ／ｍ２以下である。トイレットペーパー１ｘの坪量が１７ｇ／ｍ２未満であると、トイレットペーパー１ｘが吸水性に劣り、使用時に破れやすくなる。トイレットペーパー１ｘの坪量が２８ｇ／ｍ２を超えると、トイレットペーパー１ｘの手触り感に劣る。また、トイレットペーパー１ｘがプライボンドグルーを吸収してしまい、プライ剥がれが起こりやすくなる。
なお、トイレットペーパー１ｘの１プライの坪量は、１８ｇ／ｍ２以上２６ｇ／ｍ２以下であることが好ましく、１９ｇ／ｍ２以上２４ｇ／ｍ２以下であることがより好ましい。
【0043】
また、トイレットペーパー１ｘの見かけの製品坪量（すなわち、見かけの２プライの坪量）は３４ｇ／ｍ２以上５６ｇ／ｍ２以下であることが好ましい。見かけの製品坪量が上記の数値範囲内であることにより、吸水性に優れ、使用時に破れにくく、かつ、シート及びロールの手触り感が良好であるトイレットロール１とすることができる。なお、見かけの製品坪量は３６ｇ／ｍ２以上５２ｇ／ｍ２以下であることがより好ましく、３８ｇ／ｍ２以上４８ｇ／ｍ２以下であることが更に好ましい。
トイレットペーパー１ｘの１プライの坪量は、ＪＩＳ Ｐ ８１２４に基づいて測定する。また、見かけの製品坪量は１プライの坪量を２倍に換算したものである。
トイレットペーパー１ｘの１プライの坪量は、ＪＩＳ Ｐ ８１２４に基づいて測定する。また、見かけの製品坪量は１プライの坪量を２倍に換算したものである。
【0044】
（紙厚）
本発明の一実施形態に係るトイレットペーパー１ｘの１プライの紙厚は９０μｍ以上１９０μｍ以下であることが好ましい。紙厚が９０μｍ未満であると、トイレットペーパー１ｘが吸水性に劣り、使用時に破れやすくなる。紙厚が１９０μｍを超えると、トイレットペーパー１ｘの手触り感に劣る。また、トイレットペーパー１ｘがプライボンドグルーを吸収してしまい、プライ剥がれが起こりやすくなる。なお、トイレットペーパー１ｘの１プライの紙厚は１２０μｍ以上１８０μｍ以下であることがより好ましく、１４０μｍ以上１７０μｍ以下であることが更に好ましい。
紙厚はシックネスゲージ（株式会社尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「ＰＥＡＣＯＣＫ」）を用いて測定する。測定条件は、測定荷重３．７ｋＰａ、測定子直径３０ｍｍで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を１秒間に１ｍｍ以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取る。そして、２プライのトイレットペーパー１ｘを５組重ねて、１０枚分として測定を行った後、１０で割ったものを１プライの紙厚として算出する。また、測定を１０回繰り返して測定結果を平均したものを最終的な紙厚とする。
本発明の一実施形態に係るトイレットペーパー１ｘの１プライの紙厚は９０μｍ以上１９０μｍ以下であることが好ましい。紙厚が９０μｍ未満であると、トイレットペーパー１ｘが吸水性に劣り、使用時に破れやすくなる。紙厚が１９０μｍを超えると、トイレットペーパー１ｘの手触り感に劣る。また、トイレットペーパー１ｘがプライボンドグルーを吸収してしまい、プライ剥がれが起こりやすくなる。なお、トイレットペーパー１ｘの１プライの紙厚は１２０μｍ以上１８０μｍ以下であることがより好ましく、１４０μｍ以上１７０μｍ以下であることが更に好ましい。
紙厚はシックネスゲージ（株式会社尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「ＰＥＡＣＯＣＫ」）を用いて測定する。測定条件は、測定荷重３．７ｋＰａ、測定子直径３０ｍｍで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を１秒間に１ｍｍ以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取る。そして、２プライのトイレットペーパー１ｘを５組重ねて、１０枚分として測定を行った後、１０で割ったものを１プライの紙厚として算出する。また、測定を１０回繰り返して測定結果を平均したものを最終的な紙厚とする。
【0045】
（比容積）
また、本発明の一実施形態に係るトイレットペーパー１ｘの比容積は４．０ｃｍ３／ｇ以上１２．０ｃｍ３／ｇ以下であることが好ましい。比容積が４．０ｃｍ３／ｇ未満であると、トイレットペーパー１ｘが吸水性に劣り、使用時に破れやすくなる。比容積が１２．０ｃｍ３／ｇを超えると、トイレットペーパー１ｘの手触り感に劣る。また、トイレットペーパー１ｘがプライボンドグルーを吸収してしまい、プライ剥がれが起こりやすくなる。
なお、トイレットペーパー１ｘの比容積は５．２ｃｍ３／ｇ以上１１．０ｃｍ３／ｇ以下であることがより好ましく、５．８ｃｍ３／ｇ以上１０．０ｃｍ３／ｇ以下であることが更に好ましい。比容積は、トイレットペーパー１ｘの紙厚を坪量で割り、単位ｇあたりの容積ｃｍ３で表す。
また、本発明の一実施形態に係るトイレットペーパー１ｘの比容積は４．０ｃｍ３／ｇ以上１２．０ｃｍ３／ｇ以下であることが好ましい。比容積が４．０ｃｍ３／ｇ未満であると、トイレットペーパー１ｘが吸水性に劣り、使用時に破れやすくなる。比容積が１２．０ｃｍ３／ｇを超えると、トイレットペーパー１ｘの手触り感に劣る。また、トイレットペーパー１ｘがプライボンドグルーを吸収してしまい、プライ剥がれが起こりやすくなる。
なお、トイレットペーパー１ｘの比容積は５．２ｃｍ３／ｇ以上１１．０ｃｍ３／ｇ以下であることがより好ましく、５．８ｃｍ３／ｇ以上１０．０ｃｍ３／ｇ以下であることが更に好ましい。比容積は、トイレットペーパー１ｘの紙厚を坪量で割り、単位ｇあたりの容積ｃｍ３で表す。
【0046】
（ＤＭＤＴ、ＤＣＤＴ及びＧＭＴ）
トイレットペーパー１ｘの、ＪＩＳ Ｐ ８１１３に基づく乾燥時におけるＭＤ方向の引張強度ＤＭＤＴ（Ｄｒｙ Ｍａｃｈｉｎｅ Ｄｉｒｅｃｔｉｏｎ Ｔｅｎｓｉｌｅ Ｓｔｒｅｎｇｔｈ）は３．２Ｎ／２５ｍｍ以上６．０Ｎ／２５ｍｍ以下であることが好ましい。また、乾燥時におけるＣＤ方向の引張強度ＤＣＤＴ（Ｄｒｙ Ｃｒｏｓｓ Ｄｉｒｅｃｔｉｏｎ Ｔｅｎｓｉｌｅ Ｓｔｒｅｎｇｔｈ）は０．９Ｎ／２５ｍｍ以上１．７５Ｎ／２５ｍｍ以下であることが好ましい。ＤＭＤＴ及びＤＣＤＴがいずれも上記の数値範囲内であることにより、吸水性に優れ、使用時に破れにくく、かつ、シート及びロールの手触り感が良好であり、プライ剥がれも起こりにくいトイレットロール１とすることができる。
トイレットペーパー１ｘの、ＪＩＳ Ｐ ８１１３に基づく乾燥時におけるＭＤ方向の引張強度ＤＭＤＴ（Ｄｒｙ Ｍａｃｈｉｎｅ Ｄｉｒｅｃｔｉｏｎ Ｔｅｎｓｉｌｅ Ｓｔｒｅｎｇｔｈ）は３．２Ｎ／２５ｍｍ以上６．０Ｎ／２５ｍｍ以下であることが好ましい。また、乾燥時におけるＣＤ方向の引張強度ＤＣＤＴ（Ｄｒｙ Ｃｒｏｓｓ Ｄｉｒｅｃｔｉｏｎ Ｔｅｎｓｉｌｅ Ｓｔｒｅｎｇｔｈ）は０．９Ｎ／２５ｍｍ以上１．７５Ｎ／２５ｍｍ以下であることが好ましい。ＤＭＤＴ及びＤＣＤＴがいずれも上記の数値範囲内であることにより、吸水性に優れ、使用時に破れにくく、かつ、シート及びロールの手触り感が良好であり、プライ剥がれも起こりにくいトイレットロール１とすることができる。
【0047】
なお、ＤＭＤＴは３．６Ｎ／２５ｍｍ以上５．３Ｎ／２５ｍｍ以下であることがより好ましく、４．０Ｎ／２５ｍｍ以上５．０Ｎ／２５ｍｍ以下であることが更に好ましい。また、ＤＣＤＴは１．０Ｎ／２５ｍｍ以上１．６Ｎ／２５ｍｍ以下であることがより好ましく、１．１Ｎ／２５ｍｍ以上１．５Ｎ／２５ｍｍ以下であることが更に好ましい。
この場合のＭＤ方向とは、トイレットペーパー１ｘの製造時における製造方向（Ｍａｃｈｉｎｅ Ｄｉｒｅｃｔｉｏｎ、流れ方向とも称する）である。また、ＣＤ方向はＭＤ方向に直交する方向（Ｃｒｏｓｓ Ｄｉｒｅｃｔｉｏｎ、幅方向とも称する）である。
この場合のＭＤ方向とは、トイレットペーパー１ｘの製造時における製造方向（Ｍａｃｈｉｎｅ Ｄｉｒｅｃｔｉｏｎ、流れ方向とも称する）である。また、ＣＤ方向はＭＤ方向に直交する方向（Ｃｒｏｓｓ Ｄｉｒｅｃｔｉｏｎ、幅方向とも称する）である。
【0048】
また、トイレットペーパー１ｘの乾燥時のＭＤ方向の引張強度（ＤＭＤＴ）と乾燥時のＣＤ方向の引張強度（ＤＣＤＴ）との積の平方根ＧＭＴは、１．７Ｎ／２５ｍｍ以上３．３Ｎ／２５ｍｍ以下であることが好ましい。ＧＭＴが１．７Ｎ／２５ｍｍ未満であると、トイレットペーパー１ｘが吸水性に劣り、使用時に破れやすくなる。ＧＭＴが３．３Ｎ／２５ｍｍを超えると、トイレットペーパー１ｘの手触り感に劣る。また、トイレットペーパー１ｘがプライボンドグルーを吸収してしまい、プライ剥がれが起こりやすくなる。なお、ＧＭＴは１．９Ｎ／２５ｍｍ以上２．９Ｎ／２５ｍｍ以下であることがより好ましく、２．１Ｎ／２５ｍｍ以上２．７Ｎ／２５ｍｍ以下であることが更に好ましい。
乾燥時の各々の方向の引張強度は、いずれもＪＩＳ Ｐ ８１１３に準拠して測定され、ＧＭＴはそれらの引張強度の積の平方根として求める。試験片幅は２５ｍｍ、引張速度は３００ｍｍ／ｍｉｎの条件で、製品プライ数（２プライ）のまま測定する。
乾燥時の各々の方向の引張強度は、いずれもＪＩＳ Ｐ ８１１３に準拠して測定され、ＧＭＴはそれらの引張強度の積の平方根として求める。試験片幅は２５ｍｍ、引張速度は３００ｍｍ／ｍｉｎの条件で、製品プライ数（２プライ）のまま測定する。
【0049】
さらに、ＧＭＴに関連して、（ＧＭＴ／トイレットペーパー１ｘの見かけの製品坪量）×１００で表される値が、３．０以上９．０以下であることが好ましい。値が３．０未満であると、トイレットペーパー１ｘが使用時に破れやすくなる。値が９．０を超えると、トイレットペーパー１ｘの手触り感に劣る。なお、（ＧＭＴ／トイレットペーパー１ｘの見かけの製品坪量）×１００で表される値は、４．０以上８．５以下であることがより好ましく、５．５以上７．５以下であることが更に好ましい。
【0050】
（ＷＭＤＴ）
そして、トイレットペーパー１ｘを４プライ積層したときにおける、湿潤時のＭＤ方向の引張強度（ＷＭＤＴ：Ｗｅｔ Ｍａｃｈｉｎｅ Ｄｉｒｅｃｔｉｏｎ Ｔｅｎｓｉｌｅ Ｓｔｒｅｎｇｔｈ）は０．５Ｎ／２５ｍｍ以上１．８Ｎ／２５ｍｍ以下である。ＷＭＤＴが０．５Ｎ／２５ｍｍ未満であると、トイレットペーパー１ｘが使用時に破れやすくなる。ＷＭＤＴが１．８Ｎ／２５ｍｍを超えると、トイレットペーパー１ｘの手触り感に劣る、なお、ＷＭＤＴは０．７Ｎ／２５ｍｍ以上１．６Ｎ／２５ｍｍ以下であることがより好ましく、０．８Ｎ／２５ｍｍ以上１．３Ｎ／２５ｍｍ以下であることが更に好ましい。
湿潤時のＭＤ方向の引張強度は、ＪＩＳ Ｐ ８１３５に準拠して測定される。試験片幅は２５ｍｍ、引張速度は３００ｍｍ／ｍｉｎの条件で、２プライのトイレットペーパー１ｘを２枚重ねて４プライとして測定する。
そして、トイレットペーパー１ｘを４プライ積層したときにおける、湿潤時のＭＤ方向の引張強度（ＷＭＤＴ：Ｗｅｔ Ｍａｃｈｉｎｅ Ｄｉｒｅｃｔｉｏｎ Ｔｅｎｓｉｌｅ Ｓｔｒｅｎｇｔｈ）は０．５Ｎ／２５ｍｍ以上１．８Ｎ／２５ｍｍ以下である。ＷＭＤＴが０．５Ｎ／２５ｍｍ未満であると、トイレットペーパー１ｘが使用時に破れやすくなる。ＷＭＤＴが１．８Ｎ／２５ｍｍを超えると、トイレットペーパー１ｘの手触り感に劣る、なお、ＷＭＤＴは０．７Ｎ／２５ｍｍ以上１．６Ｎ／２５ｍｍ以下であることがより好ましく、０．８Ｎ／２５ｍｍ以上１．３Ｎ／２５ｍｍ以下であることが更に好ましい。
湿潤時のＭＤ方向の引張強度は、ＪＩＳ Ｐ ８１３５に準拠して測定される。試験片幅は２５ｍｍ、引張速度は３００ｍｍ／ｍｉｎの条件で、２プライのトイレットペーパー１ｘを２枚重ねて４プライとして測定する。
【0051】
（吸水量）
本発明において、トイレットペーパー１ｘの単位面積当たりの吸水量は、２００ｇ／ｍ２以上４００ｇ／ｍ２以下である。単位面積当たりの吸水量が２００ｇ／ｍ２未満であると、トイレットペーパー１ｘが吸水性に劣り、使用時に破れやすくなる。また、単位面積当たりの吸水量が４００ｇ／ｍ２を超えると、トイレットペーパー１ｘの手触り感に劣る。また、トイレットペーパー１ｘがプライボンドグルーを吸収してしまい、プライ剥がれが起こりやすくなる。
なお、トイレットペーパー１ｘの単位面積当たりの吸水量は、２６０ｇ／ｍ２以上３５０ｇ／ｍ２以下であることが好ましく、２８０ｇ／ｍ２以上３３０ｇ／ｍ２以下であることがより好ましい。
本発明において、トイレットペーパー１ｘの単位面積当たりの吸水量は、２００ｇ／ｍ２以上４００ｇ／ｍ２以下である。単位面積当たりの吸水量が２００ｇ／ｍ２未満であると、トイレットペーパー１ｘが吸水性に劣り、使用時に破れやすくなる。また、単位面積当たりの吸水量が４００ｇ／ｍ２を超えると、トイレットペーパー１ｘの手触り感に劣る。また、トイレットペーパー１ｘがプライボンドグルーを吸収してしまい、プライ剥がれが起こりやすくなる。
なお、トイレットペーパー１ｘの単位面積当たりの吸水量は、２６０ｇ／ｍ２以上３５０ｇ／ｍ２以下であることが好ましく、２８０ｇ／ｍ２以上３３０ｇ／ｍ２以下であることがより好ましい。
【0052】
また、トイレットペーパー１ｘの単位重量当たりの吸水量は、５．２ｇ／ｇ以上９．０ｇ／ｇ以下であることが好ましい。単位重量当たりの吸水量が５．２ｇ／ｇ未満であると、トイレットペーパー１ｘが吸水性に劣り、使用時に破れやすくなる。単位重量当たりの吸水量が９．０ｇ／ｇを超えると、トイレットペーパー１ｘの手触り感に劣る。また、トイレットペーパー１ｘがプライボンドグルーを吸収してしまい、プライ剥がれが起こりやすくなる。
なお、単位重量当たりの吸水量は、５．６ｇ／ｇ以上８．６ｇ／ｇ以下であることがより好ましく、６．０ｇ／ｇ以上８．２ｇ／ｇ以下であることが更に好ましい。
なお、単位重量当たりの吸水量は、５．６ｇ／ｇ以上８．６ｇ／ｇ以下であることがより好ましく、６．０ｇ／ｇ以上８．２ｇ／ｇ以下であることが更に好ましい。
【0053】
なお、トイレットペーパー１ｘの各吸水量は以下のように測定する。
まず、トイレットロール１を、温度２３℃、湿度５０％の環境下で２４時間以上保管する。次に、トイレットロール１から、１組（２プライ）のサンプルサイズが幅方向８０ｍｍ×流れ方向１００ｍｍの試験片を採取し、重量を測定する。その後、この試験片をステンレス製の網（東急ハンズネットストア Ｅｇｇｓ ステン金網１０メッシュ １００ｍｍ×２００ｍｍ、線径０．５ｍｍ、以降は網とする）に載せる。この時、サンプルの幅方向（８０ｍｍ）が網のサイズ１００ｍｍに平行になるようにし、また、サンプルの流れ方向（１００ｍｍ）が網のサイズ２００ｍｍに平行になるようにし、サンプルが網からはみ出ないように置く。次に、蒸留水の深さが１ｃｍ以上になるように、バットに蒸留水を溜める。
まず、トイレットロール１を、温度２３℃、湿度５０％の環境下で２４時間以上保管する。次に、トイレットロール１から、１組（２プライ）のサンプルサイズが幅方向８０ｍｍ×流れ方向１００ｍｍの試験片を採取し、重量を測定する。その後、この試験片をステンレス製の網（東急ハンズネットストア Ｅｇｇｓ ステン金網１０メッシュ １００ｍｍ×２００ｍｍ、線径０．５ｍｍ、以降は網とする）に載せる。この時、サンプルの幅方向（８０ｍｍ）が網のサイズ１００ｍｍに平行になるようにし、また、サンプルの流れ方向（１００ｍｍ）が網のサイズ２００ｍｍに平行になるようにし、サンプルが網からはみ出ないように置く。次に、蒸留水の深さが１ｃｍ以上になるように、バットに蒸留水を溜める。
【0054】
その後、試験片と網を静かにバットに沈め含浸させる。この時、試験片は水面に浮いても問題ない。含浸させてから１０秒後、サンプルが網からはみ出ないように網を試験片と共に空気中に静かに引き上げ、１０秒間静置させる。その後、網を９０度傾け、余剰の水分を落とす（除去する）。この時、サンプルは金網に貼りついた状態となるので、９０度傾けても、サンプルが落ちることはない。なお、９０度傾ける際に、サンプルの上下方向がサンプルの流れ方向になるようにする。
【0055】
そして、９０度傾けた状態で１２０秒間静置させる。１２０秒後、サンプルを網から剥がし、重量を測定する。２プライのサンプルについて、含浸前のサンプル重量、含浸後のサンプル重量から吸水量を算出する（下記例）。測定を５回繰り返し、値を平均する。なお、以上の作業はすべて、温度２３℃、湿度５０％の環境下で行うものとする。また、サンプルを採取する際は、ミシン目を含まない部分から採取するが、ミシン目の間隔が１００ｍｍ以下の場合は、ミシン目を含んでも良い。
（計算例）
含浸前のサンプル重量（サンプルサイズ ８０ｍｍ×１００ｍｍ）：０．３２ｇ
含浸後のサンプル重量：２．０８ｇ
吸水量＝（含浸後のサンプル重量）－（含浸前のサンプル重量）＝１．７６（水ｇ／紙０．００８ｍ２）＝２２０ｇ／ｍ２（単位面積当たりの吸水量）
吸水量＝（含浸後のサンプル重量）－（含浸前のサンプル重量）＝１．７６（水ｇ／紙０．３２ｇ）＝５．５ｇ／ｇ（単位重量当たりの吸水量＝（単位面積当たりの吸水量／２プライの坪量））
（計算例）
含浸前のサンプル重量（サンプルサイズ ８０ｍｍ×１００ｍｍ）：０．３２ｇ
含浸後のサンプル重量：２．０８ｇ
吸水量＝（含浸後のサンプル重量）－（含浸前のサンプル重量）＝１．７６（水ｇ／紙０．００８ｍ２）＝２２０ｇ／ｍ２（単位面積当たりの吸水量）
吸水量＝（含浸後のサンプル重量）－（含浸前のサンプル重量）＝１．７６（水ｇ／紙０．３２ｇ）＝５．５ｇ／ｇ（単位重量当たりの吸水量＝（単位面積当たりの吸水量／２プライの坪量））
【0056】
（エンボス）
本発明の一実施形態に係るトイレットペーパー１ｘにはエンボスが付与されるが、エンボスについては、ロール外周面（１ａ）マイクロエンボス＋ロール内周面（１ｂ）マイクロエンボスのダブルエンボス、ロール外周面（１ａ）デコ（図柄＝デコレーション）エンボス＋ロール内周面（１ｂ）エンボスなし、ロール外周面（１ａ）デコエンボス＋ロール内周面（１ｂ）マイクロエンボスのダブルエンボスといった組み合わせや、デコエンボスのシングルエンボス、あるいはエンボスなしの中から適宜選択できるが、中でもロール外周面（１ａ）デコエンボス＋ロール内周面（１ｂ）マイクロエンボスのダブルエンボスが好ましい。
本発明の一実施形態に係るトイレットペーパー１ｘにはエンボスが付与されるが、エンボスについては、ロール外周面（１ａ）マイクロエンボス＋ロール内周面（１ｂ）マイクロエンボスのダブルエンボス、ロール外周面（１ａ）デコ（図柄＝デコレーション）エンボス＋ロール内周面（１ｂ）エンボスなし、ロール外周面（１ａ）デコエンボス＋ロール内周面（１ｂ）マイクロエンボスのダブルエンボスといった組み合わせや、デコエンボスのシングルエンボス、あるいはエンボスなしの中から適宜選択できるが、中でもロール外周面（１ａ）デコエンボス＋ロール内周面（１ｂ）マイクロエンボスのダブルエンボスが好ましい。
【0057】
本発明の一実施形態に係るトイレットペーパー１ｘは、トイレットペーパー１ｘの各プライをそれぞれエンボス処理した後、積層して２プライにする。２プライ積層する際には、プライボンドグルー（糊）を用い、好ましくはプライの凸部にグルーを塗布して接着処理する。このように接着して２プライにすることにより、プライの接着が強くなり、使用時に破れにくく、プライ剥がれが起きにくい吸水性が良好なトイレットペーパー１ｘとすることができる。また、美粧性の観点から、顔料インキでプライボンドグルーを着色することができる。なお、グルーは、公知のものを使用することができ、セルロース系を含有していることが好ましい。
グルー中に含まれるセルロール系の含有率は、１％以上１０％以下であることが好ましく、１％以上５％以下であることがより好ましく、１％以上３％以下であることがさらに好ましい。また、グルー中には、ポリビニルアルコール、カルボキシポリメチルアルコールが含有されていないことが好ましい。このようなグルーを用いることで、本願のような坪量、強度を有するトイレットペーパー１ｘにおいて、プライの剥離強度を適正にすることができ、使用時の破れにくさと吸水性、手触り感が良好なトイレットペーパー１ｘとすることができる。
グルー中に含まれるセルロール系の含有率は、１％以上１０％以下であることが好ましく、１％以上５％以下であることがより好ましく、１％以上３％以下であることがさらに好ましい。また、グルー中には、ポリビニルアルコール、カルボキシポリメチルアルコールが含有されていないことが好ましい。このようなグルーを用いることで、本願のような坪量、強度を有するトイレットペーパー１ｘにおいて、プライの剥離強度を適正にすることができ、使用時の破れにくさと吸水性、手触り感が良好なトイレットペーパー１ｘとすることができる。
【0058】
本発明の一実施形態に係るトイレットペーパー１ｘにおいて、トイレットペーパー１ｘに付与されるエンボスは第一エンボスと第二エンボスを含む。具体的には、エンボス１個あたりの面積が１．０ｍｍ２以上の複数の第一エンボスと、第一エンボスより小さいエンボス面積の複数の第二エンボスの二種類のエンボスが配置されている。ここで、第一エンボスは大きくて深いマクロエンボスであり、比容積及び美粧性を確保する機能を有する他、プライボンドグルーによるプライ間接着に寄与する。一方、第一エンボスは小さくて浅いマイクロエンボスであり、適度な滑らかさを確保する機能を有する。
【0059】
第一エンボスの面積は、１．０ｍｍ２以上４．０ｍｍ２以下であることが好ましく、１．１ｍｍ２以上３．７ｍｍ２以下であることがより好ましく、１．２ｍｍ２以上３．４ｍｍ２以下であることが更に好ましい。面積が１．０ｍｍ２未満であるとプライ接着時にプライボンドグルーの塗布面積が十分に確保されずプライ剥がれが起こりやすくなる。面積が４．０ｍｍ２を超えるとプライ接着時にプライボンドグルーの塗布量が多くなりすぎてしまい、シートの手触り感に劣る。
第二エンボスの面積は、０．０５ｍｍ２以上０．９ｍｍ２以下であることが好ましく、０．１ｍｍ２以上０．８ｍｍ２以下であることがより好ましく、０．２ｍｍ２以上０．７ｍｍ２以下であることが更に好ましい。第二エンボスを上記の数値範囲内とすることにより、使用時に破れにくく、ロール製品としての手触りが良好なトイレットロール１とすることができる。
第二エンボスの面積は、０．０５ｍｍ２以上０．９ｍｍ２以下であることが好ましく、０．１ｍｍ２以上０．８ｍｍ２以下であることがより好ましく、０．２ｍｍ２以上０．７ｍｍ２以下であることが更に好ましい。第二エンボスを上記の数値範囲内とすることにより、使用時に破れにくく、ロール製品としての手触りが良好なトイレットロール１とすることができる。
【0060】
トイレットペーパー１ｘの、ロール外周面１ａ側における第一エンボス及び第二エンボスの面積は、３Ｄマイクロスコープを用いて計測する。マイクロスコープとしては、ＫＥＹＥＮＣＥ社製の製品名「ワンショット３Ｄ測定マイクロスコープ ＶＲ－３１００」を使用することができる。マイクロスコープの画像の観察・測定・画像解析ソフトウェアとしては、製品名「ＶＲ－Ｈ１Ａ」を使用することができる。また、測定条件は、倍率１２倍、視野面積２４ｍｍ×１８ｍｍの条件で測定する。倍率および視野面積は、対象となるエンボスの大きさによって適宜変更できる。
【0061】
まず、マイクロスコープを用いてトイレットペーパー１ｘを画像データとして取得し、その画像データについて図２のように計測対象領域Ａを設定する。計測対象領域Ａは、計測対象となるエンボスが１個以上入るように設定すれば特に制限はない。
次に、エンボスの面積を算出するための高さ閾値を設定する。これは計測対象となるエンボスそれぞれについて、後述するエンボスのエンボス深さを算出し、その深さの中央（高さ方向の中心点）を横切るように水平に引く。高さ閾値を設定することで、設定値における単位エンボスの断面積が自動的に得られる。
このようにして得られた計測対象のエンボス断面積を、暫定的な面積とする。
次に、エンボスの面積を算出するための高さ閾値を設定する。これは計測対象となるエンボスそれぞれについて、後述するエンボスのエンボス深さを算出し、その深さの中央（高さ方向の中心点）を横切るように水平に引く。高さ閾値を設定することで、設定値における単位エンボスの断面積が自動的に得られる。
このようにして得られた計測対象のエンボス断面積を、暫定的な面積とする。
【0062】
同様の方法でエンボス１０個について計測を行い、得られた単位エンボスの断面積の平均値をエンボスの面積として最終的に採用する。
なお、面積測定時に計測対象となるエンボスが他の隣接するエンボスと繋がり、１つの領域として計測される場合は、その値は採用せず、別の領域について同様の測定を行う。
なお、面積測定時に計測対象となるエンボスが他の隣接するエンボスと繋がり、１つの領域として計測される場合は、その値は採用せず、別の領域について同様の測定を行う。
【0063】
また、本発明の一実施形態に係るトイレットペーパー１ｘの、ロール外周面１ａ側における第一エンボスのエンボス深さは１４０μｍ以上３３０μｍ以下である。エンボス深さが１４０μｍ未満であると、プライボンドグルーの接着面積が少なくなり、プライ剥がれが起こりやすくなる。エンボス深さが３３０μｍを超えると、エンボスが強く入るため、トイレットペーパー１ｘは吸水性には優れるが、シートの手触り感に劣る。
なお、ロール外周面１ａ側における第一エンボスのエンボス深さは１８０μｍ以上３００μｍ以下であることが好ましく、２２０μｍ以上２８０μｍ以下であることがより好ましい。
なお、ロール外周面１ａ側における第一エンボスのエンボス深さは１８０μｍ以上３００μｍ以下であることが好ましく、２２０μｍ以上２８０μｍ以下であることがより好ましい。
【0064】
エンボス深さは、マイクロスコープを用いてエンボスの高低差を測定して求める。マイクロスコープとしては、株式会社ＫＥＹＥＮＣＥ社製の製品名「ワンショット３Ｄ測定マイクロスコープ ＶＲ－３１００」を使用することができる。マイクロスコープの画像の観察・測定・画像解析ソフトウェアとしては、製品名「ＶＲ－Ｈ１Ａ」を使用することができる。また、測定条件は、倍率１２倍、視野面積２４ｍｍ×１８ｍｍの条件で測定する。なお、測定倍率と視野面積は、エンボスの大きさによって、適宜変更してもよい。エンボス深さは、特開２０１８－０４７１３３号公報に記されているエンボスパターンの深さの測定方法と同様に行う。
【0065】
（ＴＳＡによる測定値）
本発明の一実施形態に係るトイレットロール１において、ティシューソフトネス測定装置ＴＳＡにより、試料台に設置したトイレットペーパー１ｘのサンプルに対し、ブレード付きロータを１００ｍＮの押し込み圧力として上から押し込んだ後に回転数２．０（／ｓｅｃ）で回転させ、試料台の振動を振動センサで測定したとき、ＴＳＡ上のソフトウェアにて自動的に取得した、低周波数側からの最初のスペクトルの極大ピークの強度（ＴＳ７５０）が３０ｄＢＶ２ｒｍｓ以上６０ｄＢＶ２ｒｍｓ以下である。ＴＳ７５０が３０ｄＢＶ２ｒｍｓ未満であると、トイレットペーパー１ｘの手触り感は優れるが、エンボスによる凹凸が少なくなるため、プライボンドグルーの接着面積が少なくなり、プライ剥がれが起こりやすくなる。ＴＳ７５０が６０ｄＢＶ２ｒｍｓを超えると、トイレットペーパー１ｘの手触り感に劣る。
なお、ＴＳ７５０は３６ｄＢＶ２ｒｍｓ以上５７ｄＢＶ２ｒｍｓ以下であることが好ましく、４２ｄＢＶ２ｒｍｓ以上５５ｄＢＶ２ｒｍｓ以下であることがより好ましい。
本発明の一実施形態に係るトイレットロール１において、ティシューソフトネス測定装置ＴＳＡにより、試料台に設置したトイレットペーパー１ｘのサンプルに対し、ブレード付きロータを１００ｍＮの押し込み圧力として上から押し込んだ後に回転数２．０（／ｓｅｃ）で回転させ、試料台の振動を振動センサで測定したとき、ＴＳＡ上のソフトウェアにて自動的に取得した、低周波数側からの最初のスペクトルの極大ピークの強度（ＴＳ７５０）が３０ｄＢＶ２ｒｍｓ以上６０ｄＢＶ２ｒｍｓ以下である。ＴＳ７５０が３０ｄＢＶ２ｒｍｓ未満であると、トイレットペーパー１ｘの手触り感は優れるが、エンボスによる凹凸が少なくなるため、プライボンドグルーの接着面積が少なくなり、プライ剥がれが起こりやすくなる。ＴＳ７５０が６０ｄＢＶ２ｒｍｓを超えると、トイレットペーパー１ｘの手触り感に劣る。
なお、ＴＳ７５０は３６ｄＢＶ２ｒｍｓ以上５７ｄＢＶ２ｒｍｓ以下であることが好ましく、４２ｄＢＶ２ｒｍｓ以上５５ｄＢＶ２ｒｍｓ以下であることがより好ましい。
【0066】
また、ＴＳＡにより取得したスペクトルのうち、６５００Ｈｚを含むスペクトルの極大ピークの強度（ＴＳ７）が５ｄＢＶ２ｒｍｓ以上３０ｄＢＶ２ｒｍｓ以下であることが好ましい。ＴＳ７が５ｄＢＶ２ｒｍｓ未満であると、トイレットペーパー１ｘの手触り感は優れるが、坪量が高くなりプライボンドグルーを吸収してしまい、プライ剥がれが起こりやすくなる。ＴＳ７が３０ｄＢＶ２ｒｍｓを超えると、トイレットペーパー１ｘの手触り感に劣る。
なお、ＴＳ７は７ｄＢＶ２ｒｍｓ以上２５ｄＢＶ２ｒｍｓ以下であることがより好ましく、９ｄＢＶ２ｒｍｓ以上２０ｄＢＶ２ｒｍｓ以下であることが更に好ましい。
なお、ＴＳ７は７ｄＢＶ２ｒｍｓ以上２５ｄＢＶ２ｒｍｓ以下であることがより好ましく、９ｄＢＶ２ｒｍｓ以上２０ｄＢＶ２ｒｍｓ以下であることが更に好ましい。
【0067】
さらに、本発明の一実施形態に係るトイレットロール１において、ＴＳＡにより、試料台に設置したトイレットペーパー１ｘのサンプルに対し、ブレード付きロータを回転させずに１００ｍＮと６００ｍＮの押し込み圧力でそれぞれ上から押し込んだとき、それぞれ押し込み圧力１００ｍＮと６００ｍＮの間でのサンプルの上下方向の変形変位量で表される、剛性（Ｄ）の測定値が、２．０ｍｍ／Ｎ以上５．０ｍｍ／Ｎ以下であることが好ましい。Ｄの測定値が２．０ｍｍ／Ｎ未満であると、トイレットペーパー１ｘの手触り感に劣る。Ｄの測定値が５．０ｍｍ／Ｎを超えると、トイレットペーパー１ｘの手触り感は優れるが、坪量が高くなりプライボンドグルーを吸収してしまい、プライ剥がれが起こりやすくなる。
なお、Ｄの測定値は２．４ｍｍ／Ｎ以上４．７ｍｍ／Ｎ以下であることがより好ましく、２．６ｍｍ／Ｎ以上４．４ｍｍ／Ｎ以下であることが更に好ましい。
なお、Ｄの測定値は２．４ｍｍ／Ｎ以上４．７ｍｍ／Ｎ以下であることがより好ましく、２．６ｍｍ／Ｎ以上４．４ｍｍ／Ｎ以下であることが更に好ましい。
【0068】
このときのＴＳ７、ＴＳ７５０及びＤの値は、ティシューソフトネス測定装置ＴＳＡ（ｅｍｔｅｃ社製；Ｔｉｓｓｕｅ Ｓｏｆｔｎｅｓｓ Ａｎａｌｙｚｅｒ）により２プライのトイレットペーパー１ｘの、トイレットロール１の外側面１ａを測定した各数値である。ＴＳ７の値が低いほど、柔らか感やふんわり感（表面ソフトネス及びバルクソフトネス）に優れ、ＴＳ７５０の値が低いほど、滑らかさに優れ、また、Ｄの値が大きいほど、しなやかさに優れる。
【0069】
なお、ティシューソフトネス測定装置ＴＳＡを使用したＴＳ７５０、ＴＳ７及びＤのそれぞれの値の測定方法や、用いられる測定装置については、例えば、特開２０１３－２３６９０４号公報により詳細に記載されている。ティシューソフトネス測定装置ＴＳＡを使用した各種測定方法については、上記の特許文献を参照されたい。また、上記のＴＳ７５０、ＴＳ７及びＤは基本的にトイレットペーパー１ｘのロール外周面１ａ側を測定する。
【0070】
また、ＴＳ７５０に関連して、（エンボス深さ×ＴＳ７５０）／１００で表される値が４３以上２００以下であることが好ましい。値が４３未満であると、トイレットペーパー１ｘの手触り感は優れるが、プライボンドグルーの接着面積が少なくなり、プライ剥がれが起こりやすくなる。値が２００を超えると、トイレットペーパー１ｘの手触り感に劣る。なお、値は６２以上１７０以下であることがより好ましく、８０以上１５０以下であることが更に好ましい。
【0071】
＜トイレットロールの製造方法＞
トイレットペーパー１ｘ及びトイレットロール１の製造工程に関しては、例えば以下のように、（１）抄紙及びクレーピング、（２）エンボス処理及びプライボンドグルーによるプライ接着、（３）ロール巻取り加工、の順で製造することができる。
トイレットペーパー１ｘ及びトイレットロール１の製造工程に関しては、例えば以下のように、（１）抄紙及びクレーピング、（２）エンボス処理及びプライボンドグルーによるプライ接着、（３）ロール巻取り加工、の順で製造することができる。
【0072】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、坪量の高い２プライのトイレットペーパーを巻き取ったトイレットロールにおいて、吸水性に優れ、使用時に破れにくく、シート及びロールの手触り感が良好であり、プライ剥がれが起こりにくく、かつ、交換頻度も少ないトイレットロールを提供することができる。
【実施例0073】
以下の実施例及び比較例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
【0074】
表１～３に示す各条件において、実施例１～２１及び比較例１～８の２プライのトイレットペーパー及びトイレットロールを作製し、以下の評価を行った。
各評価はＪＩＳ Ｐ８１１１に規定する温湿度条件下（２３±１℃、５０±２％ＲＨ）で平衡状態に保持後に行った。また、下記の評価以外の各パラメーターは、上述した基準又は測定方法に従って行った。
各評価はＪＩＳ Ｐ８１１１に規定する温湿度条件下（２３±１℃、５０±２％ＲＨ）で平衡状態に保持後に行った。また、下記の評価以外の各パラメーターは、上述した基準又は測定方法に従って行った。
【0075】
（シートの手触り感）
モニター３０人がトイレットペーパー（シート）を直接手で触ったときの手触り感を評価した。手触り感が良いと評価したモニターの人数によって、４段階で評価した。
◎：手触り感が良いと評価したモニターが、２８名以上
〇：手触り感が良いと評価したモニターが、２５以上２７名以下
△：手触り感が良いと評価したモニターが、２１以上２４名以下
×：手触り感が良いと評価したモニターが、２０名以下
モニター３０人がトイレットペーパー（シート）を直接手で触ったときの手触り感を評価した。手触り感が良いと評価したモニターの人数によって、４段階で評価した。
◎：手触り感が良いと評価したモニターが、２８名以上
〇：手触り感が良いと評価したモニターが、２５以上２７名以下
△：手触り感が良いと評価したモニターが、２１以上２４名以下
×：手触り感が良いと評価したモニターが、２０名以下
【0076】
（ロール製品の柔らかさ）
モニター３０人がトイレットロール（ロール製品）を直接手で触ったときの柔らかさを評価した。柔らかいと評価したモニターの人数によって、４段階で評価した。
◎：柔らかいと評価したモニターが、２８名以上
〇：柔らかいと評価したモニターが、２５以上２７名以下
△：柔らかいと評価したモニターが、２１以上２４名以下
×：柔らかいと評価したモニターが、２０名以下
モニター３０人がトイレットロール（ロール製品）を直接手で触ったときの柔らかさを評価した。柔らかいと評価したモニターの人数によって、４段階で評価した。
◎：柔らかいと評価したモニターが、２８名以上
〇：柔らかいと評価したモニターが、２５以上２７名以下
△：柔らかいと評価したモニターが、２１以上２４名以下
×：柔らかいと評価したモニターが、２０名以下
【0077】
（交換頻度）
モニター３０人がトイレットロールを１ロール使用して評価を行った。交換頻度が低いと評価したモニターの人数によって、４段階で評価した。
◎：交換頻度が低いと評価したモニターが、２８名以上
〇：交換頻度が低いと評価したモニターが、２５以上２７名以下
△：交換頻度が低いと評価したモニターが、２１以上２４名以下
×：交換頻度が低いと評価したモニターが、２０名以下
モニター３０人がトイレットロールを１ロール使用して評価を行った。交換頻度が低いと評価したモニターの人数によって、４段階で評価した。
◎：交換頻度が低いと評価したモニターが、２８名以上
〇：交換頻度が低いと評価したモニターが、２５以上２７名以下
△：交換頻度が低いと評価したモニターが、２１以上２４名以下
×：交換頻度が低いと評価したモニターが、２０名以下
【0078】
（吸水性）
製造後のトイレットペーパーの単位面積当たりの吸水量を実測して、４段階にて評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎ ：単位面積当たりの吸水量が２８０ｇ／ｍ２以上のとき
○ ：単位面積当たりの吸水量が２６０ｇ／ｍ２以上２８０ｇ／ｍ２未満のとき
△ ：単位面積当たりの吸水量が２００ｇ／ｍ２以上２６０ｇ／ｍ２未満のとき
× ：単位面積当たりの吸水量が２００ｇ／ｍ２未満のとき
製造後のトイレットペーパーの単位面積当たりの吸水量を実測して、４段階にて評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎ ：単位面積当たりの吸水量が２８０ｇ／ｍ２以上のとき
○ ：単位面積当たりの吸水量が２６０ｇ／ｍ２以上２８０ｇ／ｍ２未満のとき
△ ：単位面積当たりの吸水量が２００ｇ／ｍ２以上２６０ｇ／ｍ２未満のとき
× ：単位面積当たりの吸水量が２００ｇ／ｍ２未満のとき
【0079】
（使用時の破れにくさ）
モニター３０人が温水洗浄便座を使用後、トイレットペーパー（シート）で水を拭き取った。拭き取り時にトイレットペーパーが破れにくいと評価したモニターの人数によって、４段階で評価した。
◎：破れにくいと評価したモニターが、２８名以上
〇：破れにくいと評価したモニターが、２５以上２７名以下
△：破れにくいと評価したモニターが、２１以上２４名以下
×：破れにくいと評価したモニターが、２０名以下
モニター３０人が温水洗浄便座を使用後、トイレットペーパー（シート）で水を拭き取った。拭き取り時にトイレットペーパーが破れにくいと評価したモニターの人数によって、４段階で評価した。
◎：破れにくいと評価したモニターが、２８名以上
〇：破れにくいと評価したモニターが、２５以上２７名以下
△：破れにくいと評価したモニターが、２１以上２４名以下
×：破れにくいと評価したモニターが、２０名以下
【0080】
（プライ剥がれの起こりにくさ）
モニター３０人が温水洗浄便座の使用時にプライ剥がれが起こりにくさについて評価した。プライ剥がれが起こりにくいと評価したモニターの人数によって、４段階で評価した。
◎：プライ剥がれが起こりにくいと評価したモニターが、２８名以上
〇：プライ剥がれが起こりにくいと評価したモニターが、２５以上２７名以下
△：プライ剥がれが起こりにくいと評価したモニターが、２１以上２４名以下
×：プライ剥がれが起こりにくいと評価したモニターが、２０名以下
モニター３０人が温水洗浄便座の使用時にプライ剥がれが起こりにくさについて評価した。プライ剥がれが起こりにくいと評価したモニターの人数によって、４段階で評価した。
◎：プライ剥がれが起こりにくいと評価したモニターが、２８名以上
〇：プライ剥がれが起こりにくいと評価したモニターが、２５以上２７名以下
△：プライ剥がれが起こりにくいと評価したモニターが、２１以上２４名以下
×：プライ剥がれが起こりにくいと評価したモニターが、２０名以下
【0081】
表１～３に、各実施例及び各比較例の条件及び評価結果を示す。
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
以上より、本実施例によれば坪量の高い２プライのトイレットペーパーを巻き取ったトイレットロールにおいて、吸水性に優れ、使用時に破れにくく、シート及びロールの手触り感が良好であり、プライ剥がれが起こりにくく、かつ、交換頻度も少ないトイレットロールが得られることが少なくとも確認された。
【符号の説明】
【0085】
１ トイレットロール
１ａ ロール外周面
１ｂ ロール内周面
１ｅ トイレットペーパーの最外巻の端縁
１ｘ トイレットペーパー
１ａ ロール外周面
１ｂ ロール内周面
１ｅ トイレットペーパーの最外巻の端縁
１ｘ トイレットペーパー
【図1】
【図2】
