(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050384
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】格子装置の形成方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/18 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
G02B5/18
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034030
(22)【出願日】2023-03-06
(31)【優先権主張番号】17/955,800
(32)【優先日】2022-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507296388
【氏名又は名称】采▲ぎょく▼科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】VisEra Technologies Company Limited
【住所又は居所原語表記】No.12,Dusing Rd.1, Hsinchu Science Park,Hsin-Chu City,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】黄 俊維
(72)【発明者】
【氏名】蔡 毓珊
(72)【発明者】
【氏名】傅 柏翰
【テーマコード(参考)】
2H249
【Fターム(参考)】
2H249AA13
2H249AA31
2H249AA33
2H249AA44
(57)【要約】
【課題】異なる屈折率を有する複数の格子構造を形成する方法を提供する。
【解決手段】格子装置を形成する方法は、基板を提供するステップと、前記基板をプロセスチャンバ内に入れるステップ、および前記基板上に格子材料を堆積させ、前記基板上に格子材料層を形成するステップを含み、前記格子材料の屈折率は、前記プロセスチャンバ内で前記格子材料を堆積する間に徐々に変化し、前記格子材料層は、異なる屈折率を有する方法。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子装置を形成する方法であって、
基板を提供するステップと、
前記基板をプロセスチャンバ内に入れるステップ、および
前記基板上に格子材料を堆積させ、前記基板上に格子材料層を形成するステップとを含み、
前記格子材料の屈折率は、前記プロセスチャンバ内で前記格子材料を堆積する間に徐々に変化し、前記格子材料層は、異なる屈折率を有する方法。
【請求項2】
前記格子材料を堆積するステップは、第1の段階、第2の段階、および第3の段階をさらに含み、前記格子材料層は、複数の格子構造にパターン化される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プロセスチャンバは、
前記基板を保持するキャリアと、
第1の材料を堆積させる第1のターゲットと、
第2の材料を堆積させるものであって、前記第1の材料の屈折率と前記第2の材料の屈折率が異なる第2のターゲット、および
前記プロセスチャンバ内にプロセスガスを注入する空気弁を含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の段階において、前記第1の材料は、十分な値の流量で前記第1のターゲットから堆積され、前記第2の材料は、0の流量で前記第2のターゲットから堆積され、
前記第2の段階において、前記第1の材料の前記流量は徐々に減少し、前記第2の材料の前記流量は徐々に増加し、且つ
前記第3の段階において、前記第1の材料の前記流量は0に達し、前記第2の材料の前記流量は前記十分な値に達する請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のターゲットおよび前記第2のターゲットは、第1の電圧コントローラおよび第2の電圧コントローラにそれぞれ接続され、
前記第1の段階において、前記第1の電圧コントローラは十分な値の電圧を前記第1のターゲットに供給し、前記第2の電圧コントローラは0の電圧を前記第2のターゲットに供給し、
前記第2の段階において、前記第1の電圧コントローラによって供給される前記電圧は徐々に減少し、前記第2の電圧コントローラによって供給される前記電圧は徐々に増加し、且つ
前記第3の段階において、前記第1の電圧コントローラによって供給される前記電圧は0に達し、前記第2の電圧コントローラによって供給される前記電圧は前記十分な値に達する請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記プロセスチャンバは、
前記基板を保持するキャリアと、
材料を堆積させるターゲットであって、前記材料の流量は、前記第1の段階、前記第2の段階、および前記第3の段階を通じて同じままであるターゲット、および
前記プロセスチャンバ内にプロセスガスを注入する空気弁を含む請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の段階において、前記プロセスガスは、0の流量でプロセスチャンバに注入され、
前記第2の段階において、前記プロセスガスの流量は徐々に増加し、且つ
前記第3の段階において、前記プロセスガスの流量は十分な値に達する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記プロセスチャンバは、
前記基板を保持するキャリアと、
材料を堆積させるターゲットであって、前記材料の流量は、前記第1の段階、前記第2の段階、および前記第3の段階を通じて同じままであるターゲット、および
前記プロセスチャンバ内に第1のプロセスガスおよび第2のプロセスガスを注入する空気弁を含み、
前記第1の段階において、前記第1のプロセスガスは、十分な値の流量で前記プロセスチャンバ内に注入され、前記第2のプロセスガスは、0の流量で前記プロセスチャンバ内に注入され、
前記第2の段階において、前記第1のプロセスガスの前記流量は徐々に減少し、前記第2のプロセスガスの前記流量は徐々に増加し、且つ
前記第3の段階において、前記第1のプロセスガスの前記流量は0に達し、前記第2のプロセスガスの前記流量は前記十分な値に達する請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記基板上に前記格子材料を堆積させる前に、前記基板上に複数のプロセス前格子構造を形成することをさらに含み、前記複数のプロセス前格子構造のそれぞれは、第1の側壁、および前記第1の側壁の反対側にある第2の側壁を含み、前記基板は前記プロセスチャンバ内のキャリア上に配置され、前記キャリアは、前記第1の側壁または第2の側壁が上方にあるターゲットに面するように一方側に傾斜される請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記格子材料は、前記基板の上面に沿って、前記第1の側壁または前記第2の側壁上に堆積され、格子材料層を形成し、前記格子材料層は、前記基板の前記上面に平行な水平方向に沿って異なる屈折率を有し、前記格子材料層は、複数の格子構造にパターン化され、前記複数の格子構造は、前記基板の前記上面に平行な水平方向に沿って異なる屈折率を有するアレイに配置される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記格子材料を堆積するステップは、
前記基板の上面に沿って延在する前記第1の側壁上に第1の格子材料層を形成し、前記第1の格子材料層は、前記第1の側壁から離れる水平方向に沿って異なる屈折率を有し、前記基板を保持するキャリアは、前記第1の側壁がプロセスチャンバ内で上方にあるターゲットに面するように一方側に傾斜される、第1のプロセスサイクルを行うステップ、および
前記基板の上面に沿って延在する前記第2の側壁上に第2の格子材料層を形成し、前記第2の格子材料層は、前記第2の側壁から離れる水平方向に沿って異なる屈折率を有し、前記基板を保持するキャリアは、前記第2の側壁がプロセスチャンバ内で上方にあるターゲットに面するように他方側に傾斜される、第2のプロセスサイクルを行うステップをさらに含み、
前記複数のプロセス前格子構造のそれぞれ、前記対応する第1の側壁上の前記第1の格子材料層、および前記対応する第2の側壁上の前記第2の格子材料層は、複数の格子構造のそれぞれを構成する請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、格子装置の形成方法に関するものであり、特に、異なる屈折率を有する複数の格子構造を形成する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光が均質な物質(例えば空気)を伝搬するとき、光は伝搬方向に伝搬する一連の平面波として振る舞う。平面波が遮るものに遭遇すると、その遮るものとの相互作用により平面波が変化する。波の波面の遮るもののない全ての点は、入射波と同じ波長と位相を持つ2次球面ウェーブレット(wavelet)の波源と見なすことができる。出射波面は、これら全てのウェーブレットの組み合わせである。例えば、水中を伝搬する平面波が、単一の小さい開口を有する障害物(例えば、波長より広くない)にぶつかった場合、入射平面波は、円形パターンで開口から外側に回折することができる。障害物が波長より大きい開口を含む場合、波面は開口から出射する。
【0003】
回折格子は、開口または不透明な構造のいずれかのオブジェクトの繰り返し配列であり、格子から出射する光波の位相および/または振幅に周期的な変化を起こす。そのタイプの1つは、1次元(線形)のブラッグ(Bragg)回折格子である。この回折格子は櫛に似ており、歯の間に一定の均一な間隔がある。この歯の均一な間隔と、幅と深さが格子の出力特性を決定する。線形ブラッグ格子は、特定の波長を有する光を複数の離散角度に沿って出射するモードに回折するように設計されている。
【0004】
しかしながら、従来の回折格子は波長に敏感である。言い換えれば、回折格子は特定の波長範囲においてのみ効率的に動作することができる。高まる市場の需要に応えるには、この問題と関連する問題に対処する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
異なる屈折率を有する複数の格子構造を形成する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、格子装置を形成する方法は、基板を提供するステップ、基板をプロセスチャンバ内に送入させるステップ、および基板上に格子材料を堆積させ、基板上に格子材料層を形成するステップを含む。格子材料の屈折率は、プロセスチャンバ内で格子材料を堆積する間に徐々に変化する。格子材料層は、異なる屈折率を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明は、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明から、より完全に理解することができる。業界の標準的な慣行に従って、さまざまな特徴が縮尺どおりに描かれていない。実際、さまざまな特徴の寸法は、説明を明確にするために、任意に拡大または縮小されている。
【
図1】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、格子装置を製造する中間段階のさまざまな断面図である。
【
図2A】
図2Aは、本開示のいくつかの実施形態による、格子装置を製造する中間段階のさまざまな断面図である。
【
図2B】
図2Bは、本開示のいくつかの実施形態による、格子装置を製造する中間段階のさまざまな断面図である。
【
図2C】
図2Cは、本開示のいくつかの実施形態による、格子装置を製造する中間段階のさまざまな断面図である。
【
図3】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、格子装置を製造する中間段階のさまざまな断面図である。
【
図4】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による、格子装置を製造する中間段階のさまざまな断面図である。
【
図5A】
図5Aは、本開示のいくつかの実施形態による、格子装置の回折効率を示している。
【
図5B】
図5Bは、本開示のいくつかの実施形態による、格子装置の回折効率を示している。
【
図6】
図6は、本開示のもう1つの実施形態による、格子装置を製造する中間段階のさまざまな断面図である。
【
図7A】
図7Aは、本開示のもう1つの実施形態による、格子装置を製造する中間段階のさまざまな断面図である。
【
図7B】
図7Bは、本開示のもう1つの実施形態による、格子装置を製造する中間段階のさまざまな断面図である。
【
図8】
図8は、本開示のもう1つの実施形態による、格子装置を製造する中間段階のさまざまな断面図である。
【
図9】
図9は、本開示のもう1つの実施形態による、格子装置を製造する中間段階のさまざまな断面図である。
【
図10】
図10は、本開示の更にもう1つの実施形態による、格子装置を製造する中間段階のさまざまな断面図である。
【
図11A】
図11Aは、本開示の更にもう1つの実施形態による、格子装置を製造する中間段階のさまざまな断面図である。
【
図11B】
図11Bは、本開示の更にもう1つの実施形態による、格子装置を製造する中間段階のさまざまな断面図である。
【
図12】
図12は、本開示の更にもう1つの実施形態による、格子装置を製造する中間段階のさまざまな断面図である。
【
図13A】
図13Aは、本開示の更にもう1つの実施形態による、格子装置を製造する中間段階のさまざまな断面図である。
【
図13B】
図13Bは、本開示の更にもう1つの実施形態による、格子装置を製造する中間段階のさまざまな断面図である。
【
図14】
図14は、本開示の更にもう1つの実施形態による、格子装置を製造する中間段階のさまざまな断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の開示は、提供される主題の異なる特徴を実施するための多くの異なる実施形態または例を提供する。本開示を簡潔に説明するために、複数の要素および複数の配列の特定の実施形態が以下に述べられる。これらはもちろん単に例示するためであり、それに限定するという意図はない。例えば、下記の開示において、第1の特徴が第2の特徴の上に形成されるということは、第1と第2の特徴が直接接触して形成される複数の実施形態を含むことができ、且つ第1と第2の特徴が直接接触しないように、付加的な特徴が第1と第2の特徴の間に形成される複数の実施形態を含むこともできる。
【0009】
追加のステップが、例示された方法の前、間、または後に実施されてもよく、例示された方法のその他の実施形態では、いくつかのステップが置き換えられるか、または省略されてもよい。
【0010】
さらに、「下の方」、「下方」、「下部」、「上」、「上方」、「上部」およびこれらに類する語のような、空間的に相対的な用語は、図において1つの要素または特徴と、別の(複数の)要素と(複数の)特徴との関係を記述するための説明を簡潔にするために用いられる。空間的に相対的な用語は、図に記載された方向に加えて、使用または操作する装置の異なる方向を包含することを意図している。装置は、他に方向づけされてもよく(90度回転、または他の方向に)、ここで用いられる空間的に相対的な記述は、同様にそれに応じて解釈され得る。
【0011】
本開示では、「約」、「およそ」、および「実質的に」という用語は、一般的に、記載されている値の+/-20%を意味し、より一般的に、記載されている値の+/-10%を意味し、より一般的に、記載されている値の+/-5%を意味し、より一般的に、記載されている値の+/-3%を意味し、より一般的に、記載されている値の+/-2%を意味し、より一般的に、記載されている値の+/-1%を意味し、さらにより一般的に、記載されている値の+/-0.5%を意味する。本開示に記載されている値は、概算値である。
【0012】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術的及び科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、一般的に使用される辞書に定義されている用語は、関連技術の文脈における意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想化された又は過度に形式的な意味で解釈されない。
【0013】
また、本開示は、以下の実施形態において同じ構成要素の符号または文字を繰り返し用いる可能性がある。繰り返し用いる目的は、簡易化した、明確な説明を提供するためのもので、説明される様々な実施形態および/または構成の関係を限定するものではない。
【0014】
拡張現実(AR)および光ファイバーの分野では、光信号の伝播方向を変化させる(例えば、導波路に向け直す)ための光学部品が必要である。プリズムが用いられることができるが、プリズムは携帯型デバイスには大きすぎて重くなりすぎる。プリズムを格子構造に置き換えることにより、光信号をより容易に導波路に導くことができる。ARシステムでは、光信号は導波路を介して、光伝送を所望の角度に調整する格子構造に向けて伝送され、最終的に人間の目に到達する。
【0015】
同じ媒質では、入射光線はその進路を変えずに単一方向に伝播することができる。このような入射光線がもう1つの媒質に入ったとき、新しい媒質の材料特性のみに基づいて屈折する。この屈折は制御することができない。格子装置は、入射光線を所望の方向に回折させることができる。それ自身の結晶運動量(crystal momentum)を処理するだけでなく、格子装置は、入射光線が所望の回折を達成するように、必要な構造特性(周期、ピッチ、またはデューティサイクルなど)を有するように設計されることができる。従来の格子装置は、単一の材料で作られた格子構造を含む。従来の単一材料の格子装置の回折効率は、消費者のニーズを満たすことができなくなっている。さらに、格子装置が効率的に動作できる波長範囲である波長帯は非常に限定的である。換言すれば、従来の格子装置の回折効率は、特定の波長においてのみ許容可能である。従って、回折効率は波長帯の選択に対して非常に敏感である。
【0016】
屈折率(または屈折率勾配)が異なる(変化する)格子構造を設計することは、回折効率を向上させるだけでなく、回折効率が動作上満足できる波長帯域も拡大できることが発見されている。換言すれば、格子構造は、波長帯の選択に対して比較的敏感でないということである。本開示のいくつかの実施形態によれば、格子材料層を形成するためのプロセスチャンバは、得られる格子材料層が異なる屈折率を有するように構成されることができる。このように、格子装置の製造が実現されることができる。
【0017】
図1、
図2A~
図2C、
図3、および
図4は、本開示のいくつかの実施形態による、格子装置10を製造する中間段階のさまざまな断面図である。
図2A~
図2Cは、プロセスチャンバ200の3つの異なる設計をそれぞれ示していることを理解されたい。
図2A~
図2Cの設計のいずれも、
図3に示されるように、基板100上に形成された格子材料層104となることができる。
図2A~
図2Cより示されたプロセスチャンバ200の構成および動作方法は、後で詳細に説明される。
【0018】
図1に示すように、基板100が提供される。いくつかの実施形態では、基板100は、例えば、ウェハまたはチップであり得るが、本開示は、それに限定されない。いくつかの実施形態では、基板100は、半導体基板、例えばシリコン基板であってもよい。さらに、いくつかの実施形態では、半導体基板は、ゲルマニウムを含む元素半導体、窒化ガリウム(GaN)、炭化ケイ素(SiC)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化ガリウム(GaP)、リン化インジウム(InP)、ヒ素化インジウム(InAs)、および/またはアンチモン化インジウム(InSb)を含む化合物半導体、シリコンゲルマニウム(SiGe)合金、リン化ガリウム砒素(GaAsP)合金、リン化アルミニウムインジウム(AlInAs)合金、リン化アルミニウムガリウム(AlGaAs)合金、リン化ガリウムインジウム(GaInAs)合金、リン化ガリウムインジウム(GaInP)合金、および/またはリン化ガリウムインジウム砒素(GaInAsP)合金、或いはそれらの組み合わせを含む合金半導体であってもよい。いくつかの実施形態では、基板100は、シリコン基板または有機光電変換層などの光電変換基板であってもよい。
【0019】
もう1つの実施形態では、基板100は、半導体オンインシュレータ(SOI)基板であってもよい。半導体オンインシュレータ基板は、ベースプレート、ベースプレート上に配置された埋め込み酸化物層、および埋め込み酸化物層上に配置された半導体層を含み得る。さらに、基板100は、N型またはP型の導電型であってもよい。
【0020】
上述のように、基板100は、分離構造(図示せず)を含んで活性領域を規定し、基板100内または基板100上の活性領域要素を電気的に分離することができるが、本開示はこれに限定されない。分離構造は、ディープトレンチアイソレーション(DTI)構造、シャロートレンチアイソレーション(STI)構造、またはシリコン局所酸化(LOCOS)構造を含むことができる。いくつかの実施形態では、アイソレーション構造の形成は、例えば、基板100上に絶縁層を形成し、絶縁層および基板100を選択的にエッチングして、基板100の上面から基板内の位置まで延びるトレンチを形成し、このトレンチが、隣接する活性領域の間に配置されるようにする。次に、アイソレーション構造の形成は、トレンチに沿って豊富な窒素含有(例えば、酸窒化ケイ素)ライナーを成長させ、次いで絶縁材料(例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、または酸窒化ケイ素)を堆積プロセスでトレンチ内に充填することを含んでもよい。その後、アニーリングプロセスがトレンチ内の絶縁材料に実行され、次いで基板100上に平坦化プロセスが実行されて過剰な絶縁材料を除去し、トレンチ内の絶縁材料が基板100の上面と同一平面になるようにする。
【0021】
いくつかの実施形態では、基板100は、例えば、イオン注入および/または拡散プロセスによって形成された様々なP型ドープ領域および/またはN型ドープ領域(図示せず)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、トランジスタ、フォトダイオードなどが、複数のディープトレンチアイソレーション構造によって規定された活性領域に形成されてもよい。
【0022】
図2A~
図2Cは、異なる屈折率を有する格子材料層104を形成することができるプロセスチャンバ200の3つの異なる設計を示している。
図2A~
図2Cの設計は互いに独立していることに留意されたい。基板100上に格子材料層104を形成するために、3つの設計のいずれかを選択し、単独で用いることができる。いくつかの実施形態では、プロセスチャンバ200は、物理蒸着(PVD)プロセスで用いられるシステムであってもよい。物理蒸着(PVD)プロセスは、蒸発、スパッタリング、めっきなど、またはそれらの組み合わせを含むことができる。本開示の特定の実施形態によれば、プロセスチャンバ200は、スパッタリング技術を適用する。
【0023】
図2Aに示すように、基板100は、プロセスチャンバ200に送入される。
図2Aでは、プロセスチャンバ200は、キャリア202、第1のターゲット204A、第2のターゲット204B、第1の電圧コントローラ206A、第2の電圧コントローラ206B、空気弁208、およびプロセスガス210を含むことができる。いくつかの実施形態では、基板100は、固定位置でキャリア202によって保持され、固定される。第1のターゲット204Aおよび第2のターゲット204Bは、基板100の上方に配置され、基板100の上面は第1のターゲット204Aおよび第2のターゲット204Bに面する。本実施形態では、第1のターゲット204Aおよび第2のターゲット204Bは、第1の電圧コントローラ206Aおよび第2の電圧コントローラ206Bにそれぞれ接続される。プロセスガス210は、空気弁208によってチャンバ200内に注入される。本開示の特定の実施形態では、
図2Aのプロセスチャンバ200は同時スパッタリング(co-sputtering)構成である。他の実施形態では、1つ以上の追加のターゲットが第1のターゲット204Aおよび第2のターゲット204Bとともに、プロセスチャンバ200内に構成(配置)されることができる。
【0024】
引き続き
図2Aに示すように、第1のターゲット204Aおよび第2のターゲット204Bは、第1の材料および第2の材料をそれぞれ堆積させることができる。いくつかの実施形態では、第1の材料の屈折率と第2の材料の屈折率は異なる。本開示の特定の実施形態によれば、第1の材料の屈折率は基板100の屈折率に近いかまたは等しくてもよく、第2の材料は第1の材料よりも高い屈折率を有する。第1の電圧コントローラ206Aおよび第2の電圧コントローラ206Bはそれぞれ、第1のターゲット204Aおよび第2のターゲット204Bにそれぞれ電圧を供給することができる。供給されたる電圧は、堆積される第1の材料または第2の材料の流量を決めることができる。第1の電圧コントローラ206Aまたは第2の電圧コントローラ206Bを調整することによって、ユーザは、第1の材料の流量または第2の材料の流量をそれぞれ制御することができる。
【0025】
図2Aに示すように、格子材料はプロセスチャンバ200内で堆積され、格子材料層104が基板100上に形成される。格子材料層104は異なる屈折率を有するため、プロセスチャンバ200内での格子材料の堆積の期間(時間)は、説明を簡単にするために、第1の段階(または初期段階)、第2の段階(または中間段階)、および第3の段階(または最終段階)に分けられることができる。第1の段階において、第1の電圧コントローラ206Aは十分な値(所定値)の電圧を供給し、第2の電圧コントローラ206Bは0の電圧(無電圧)を供給する。いくつかの実施形態では、十分な値での電圧は、約400V~800Vの間であることができる。第2の段階において、第1の電圧コントローラ206Aによって供給される電圧は徐々に減少し、第2の電圧コントローラ206Bによって供給される電圧は徐々に増加する。第3の段階において、第1の電圧コントローラ206Aによって供給される電圧は0に達し、第2の電圧コントローラ206Bによって供給される電圧は十分な値(所定値)に達する。
【0026】
上述の変化する供給電圧に基づいて、第1の材料および第2の材料の流量もそれに応じて変化されることができる。第1の段階において、第1の材料は、十分な値(所定値)の流量で第1のターゲット204Aから堆積され、第2の材料は、0の流量で第2のターゲット204Bから堆積される。いくつかの実施形態では、十分な値での流量は、約0.2nm/秒~1nm/秒の間であることができる。第2の段階において、第1の材料の流量は徐々に減少し、第2の材料の流量は徐々に増加する。第3の段階において、第1の材料の流量は0に達し、第2の材料の流量は十分な値(所定値)に達する。本実施形態では、プロセスチャンバ200内に注入されるプロセスガス210の流量は、第1の段階、第2の段階、および第3の段階を通じて同じままである。プロセスガス210は、プロセスチャンバ200内で第1の材料および/または第2の材料と反応する1つ以上の元素を含み得る。プロセスガス210の流量は格子材料の堆積中、安定しているため、格子材料層104の異なる屈折率はプロセスガス210の影響を受けない。
【0027】
図2Bに示すように、基板100は、プロセスチャンバ200内に入れられる。
図2Bでは、プロセスチャンバ200は、キャリア202、ターゲット204、電圧コントローラ206、空気弁208、およびプロセスガス212を含むことができる。いくつかの実施形態では、基板100は、固定位置でキャリア202によって保持され、固定される。ターゲット204は、基板100の上方に配置され、基板100の上面はターゲット204に面する。本実施形態では、ターゲット204は、電圧コントローラ206に接続されている。プロセスガス212は、空気弁208によってチャンバ200内に注入される。
図2Aの安定した流量のプロセスガス210と比較して、プロセスガス212は変化する流量を有する。
【0028】
引き続き
図2Bに示すように、ターゲット204は材料を堆積させることができる。本開示の特定の実施形態によれば、材料の屈折率は、基板100の屈折率に近いかまたは等しくてもよい。電圧コントローラ206は、ターゲット204に電圧を供給することができる。供給された電圧は、堆積される材料の流量を決めることができる。電圧コントローラ206を調整することによって、ユーザは、材料の流量を制御することができる。本実施形態では、電圧コントローラ206は、十分な値の定電圧を供給することができる。いくつかの実施形態では、定電圧の十分な値は、約400V~800Vの間であることができる。上述の定電圧に基づいて、材料は、十分な値を有する定流量で堆積されることもできる。いくつかの実施形態では、十分な値での材料の定流量は、約0.2nm/秒~1nm/秒の間であることができる。
【0029】
本実施形態では、プロセスチャンバ200内に注入されるプロセスガス212の流量は、格子材料の堆積中に変化することができる。第1の段階において、プロセスガス212は、0の流量でプロセスチャンバ200に注入される。第2の段階において、プロセスガス212の流量は徐々に増加する。第2の材料の流量は徐々に増加する。第3の段階では、プロセスガス212の流量は十分な値に達する。いくつかの実施形態では、十分な値でのプロセスガス212の流量は、約50sccm~250sccmの間であることができる。プロセスガス212は、基板100上に材料が堆積する前に、プロセスチャンバ200内の材料と反応することができる。プロセスガス212の流量は格子材料の堆積中に変化するため、プロセスガス212と反応する堆積の材料の量も、第1の段階、第2の段階、および第3の段階を通じて変化し得る。その結果、異なる屈折率を含む(有する)格子材料層104が実現されることができる
【0030】
図2Cに示すように、基板100は、プロセスチャンバ200内に入れられる。
図2Cでは、プロセスチャンバ200は、キャリア202、ターゲット204、電圧コントローラ206、空気弁208、第1のプロセスガス212A、および第2のプロセスガス212Bを含むことができる。いくつかの実施形態では、基板100は、固定位置でキャリア202によって保持され、固定される。ターゲット204は、基板100の上方に配置され、基板100の上面はターゲット204に面する。本実施形態では、ターゲット204は、電圧コントローラ206に接続される。第1のプロセスガス212Aおよび第2のプロセスガス212Bは、空気弁208によってチャンバ200内に注入される。
図2Bの変化する流量のプロセスガス212と同様に、第1のプロセスガス212Aおよび第2のプロセスガス212Bも流量が変化する。しかしながら、第1のプロセスガス212Aの流量と第2のプロセスガス212Bの流量の変化は異なっていてもよい。もう1つの実施形態では、1つ以上の追加のプロセスガスが第1のプロセスガス212Aおよび第2のプロセスガス212Bとともに、プロセスチャンバ200に注入されることができる。
【0031】
ターゲット204および電圧コントローラ206の動作特徴は、
図2Bに示されたものと同様であることができ、その詳細は、繰り返しを避けるために、ここでは再度説明されない。第1の段階において、第1のプロセスガス212Aは、十分な値の流量でプロセスチャンバ200に注入され、第2のプロセスガス212Bは、0の流量でプロセスチャンバ200に注入される。いくつかの実施形態では、十分な値での流量は、約0.2nm/秒~1nm/秒の間であることができる。第2の段階において、第1のプロセスガス212Aの流量は徐々に減少し、第2のプロセスガス212Bの流量は徐々に増加する。第3の段階において、第1のプロセスガス212Aの流量は0に達し、第2のプロセスガス212Bの流量は十分な値に達する。第1のプロセスガス212Aおよび第2のプロセスガス212Bは、プロセスチャンバ200内で堆積された材料と反応することができる。本開示の特定の実施形態によれば、第1のプロセスガス212Aと反応した材料の屈折率は、基板100の屈折率に近いかまたは等しくてもよく、第2のプロセスガス212Bと反応した材料は、第1のプロセスガス212Aと反応した材料より高い屈折率を有する。
【0032】
図3に示すように、異なる屈折率を有する格子材料層104が基板100上に形成されてもよい。
図2A~
図2Cのいずれかに示されたプロセスチャンバ200を通じて、格子材料層104の異なる屈折率が達成されることができる。格子材料層104の厚さは、約10nm~1μmの間であり得る。基板100に近い格子材料層104の部分は、基板100の屈折率に近いかまたは等しい屈折率を有することができる。本開示のいくつかの実施形態によれば、格子材料層104の屈折率は、基板100から離れる垂直方向に沿って徐々に増加する。格子材料層104の屈折率は、約1.4~4.0の間で変化し得る。
【0033】
図4に示すように、格子材料層104はパターン化されて、複数の格子構造106を形成することができる。より具体的には、まず、ハードマスク層(図示せず)が格子材料層104上に形成されることができる。次に、フォトリソグラフィパターニングおよびエッチングがハードマスク層に対して行なわれ、ハードマスクパターンを形成することができる。その後、ハードマスクパターンの形状が、ドライエッチングプロセスによって格子材料層104に転写され、異なる屈折率を有する複数の格子構造106を得ることができる。
【0034】
複数の格子構造106を形成することで、格子装置10の製造が完了する。複数の格子構造106のそれぞれの高さは、格子材料層104の厚さに等しいことができる。複数の格子構造106のそれぞれの幅は、約50nm~1000nmの間であり得る。幅およびピッチはともに、複数の格子構造106の周期を構成し得る。複数の格子構造106のデューティサイクルは、約10%~90%の間であり得る。デューティサイクルは、複数の格子構造106の充填率(または「密度」)として見なされることができ、上から見たとき、複数の格子構造106の総面積を、所与の領域の面積で割ることによって計算される。本開示のいくつかの実施形態によれば、複数の格子構造106の屈折率は、基板100の上面100Aに垂直な垂直方向に沿って徐々に増加する。
【0035】
図5Aおよび
図5Bは、本開示のいくつかの実施形態による、格子装置10の回折効率を示している。
図5Aに示すように、格子装置10の断面が、光線がどのように回折することができるかを示す概略図とともに示されている。いくつかの実施形態では、入射光線L0が格子装置10に垂直な方向に伝送されたとき、光線L0は、正の回折光線L1および負の回折光線L2に回折されることができる。入射光線L0は、複数の格子構造106に垂直な方向に伝送されるため、正の回折光線L1と負の回折光線L2は互いに対称である。本実施形態では、正の回折光線L1および負の回折光線L2は、1次回折(1
st order diffraction)であることができる。
【0036】
図5Bに示すように、従来の格子装置(異なる屈折率を有さない)と格子装置10(異なる屈折率を有する)との間の回折効率の比較がプロットで示されている。正の回折光線L1と負の回折光線L2は対称であるため、両者は同じ回折効率を有する。
図5Bに示されたプロットは、波長に対する正の回折光線L1または負の回折光線L2の回折効率を示している。理想的な状況では、入射光線L0は完全に回折され、正の回折光線L1と負の回折光線L2に等分される。従って、正の回折光線L1または負の回折光線L2は、50%の回折効率を有することが理想的である。回折効率は、得られる画像が人間の目にどの程度明るく見えるかを決定する。
【0037】
図5Bのプロットに示されるように、従来の格子装置はピーク回折効率が40%をわずかに下回り、回折効率は、約505nm~525nmの間の波長でのみ35%以上である。異なる屈折率では、格子装置10は、50%に近いピーク回折効率を有し、回折効率は、500nmから600nmまでの波長を通じて40%以上であり、平均値は約45%である。変化する屈折率を用いることで回折効率が向上されるだけでなく、格子装置10は、従来の格子装置と比較して、より広い波長範囲に対してより高いレベルの回折効率を維持することができる。格子装置10は、より広い波長帯域で効率的に動作することができる。プロットに示されるように、従来の格子装置の回折効率は、540nm以上の波長から大幅に低下し始める。換言すれば、格子装置10は、波長帯の選択に対して比較的敏感でないように見えるということである。要約すると、異なる屈折率を有する格子装置10は、回折効率を向上させ、光線が回折されるように波長帯域を拡大することができる。
【0038】
図6、
図7A、
図7B、
図8、および
図9は、本開示のもう1つの実施形態による、格子装置20を製造する中間段階のさまざまな断面図である。
図7Aおよび
図7Bは、プロセスチャンバ200の2つの異なる設計をそれぞれ示していることを理解されたい。
図7Aおよび
図7Bの設計のいずれも、
図8に示されるように、基板100上に形成された格子材料層108となることができる。
図7Aおよび
図7Bから図示されたプロセスチャンバ200の構成および動作方法は、
図2Aおよび
図2Bからのプロセスチャンバ200とそれぞれ同様であり得る。
【0039】
図6に示すように、基板100が提供される。
図6の基板100は、
図1に示されたものと同様であり、その詳細は、繰り返しを避けるために、ここでは再度説明されない。基板100が
図7Aまたは
図7Bのプロセスチャンバ200内に入れられる前に、複数のプロセス前格子構造102が基板100上に形成されることができる。いくつかの実施形態では、複数のプロセス前格子構造102は、第1の側壁102A、および第1の側壁102Aの反対側にある第2の側壁102Bを含む。複数のプロセス前格子構造102のピッチ(または隣接するプロセス前格子構造102間の間隔)は、装置が動作される波長の約0.2倍~1.5倍の間であることができる。複数のプロセス前格子構造102のそれぞれのデューティサイクルは、約20%~80%の間であり得る。複数のプロセス前格子構造102のそれぞれの高さは、その幅の約1倍~30倍の間であり得る。複数のプロセス前格子構造102の屈折率は、基板100の屈折率に近いかまたは等しくてもよい。
【0040】
図7Aに示すように、基板上に配置された複数のプロセス前格子構造102を有する基板100が、プロセスチャンバ200内に入れられる。
図2Aに示されたプロセスチャンバ200と比較して、キャリア202は一方側に傾斜しているため、第1の側壁102Aまたは第2の側壁102B(本実施形態では第1の側壁102A)は、上方にある第1のターゲット204Aおよび第2のターゲット204Bに面するように配置される。キャリア202、第1のターゲット204A、第2のターゲット204B、第1の電圧コントローラ206A、第2の電圧コントローラ206B、空気弁208、およびプロセスガス210の動作特徴は、
図2Aに示された動作特徴と同様であることができ、その詳細は、繰り返しを避けるために、ここでは再度説明されない。
【0041】
引き続き
図7Aに示すように、基板100の傾斜配置および複数のプロセス前格子構造102の構造的特徴により、格子材料の堆積は、基板100の上面に沿って第1の側壁102A上で成長することができる。第1の段階において、第1の材料は、十分な値の流量で第1のターゲット204Aから堆積され、第2の材料は、0の流量0で第2のターゲット204Bから堆積される。第2の段階において、第1の材料の流量は徐々に減少し、第2の材料の流量は徐々に増加する。第3の段階において、第1の材料の流量は0に達し、第2の材料の流量は十分な値に達する。本開示のいくつかの実施形態によれば、格子材料は、隣接するプロセス前格子構造102間の間隔を充填することができる。
【0042】
図7Bに示すように、基板上に配置された複数のプロセス前格子構造102を有する基板100が、プロセスチャンバ200内に入れられる。
図2Bに示されたプロセスチャンバ200と比較して、キャリア202は一方側に傾斜しているため、第1の側壁102Aまたは第2の側壁102B(本実施形態では第1の側壁102A)は、上方にあるターゲット204に面するように配置される。キャリア202、ターゲット204、電圧コントローラ、空気弁208、およびプロセスガス212の動作特徴は、
図2Bに示された動作特徴と同様であることができ、その詳細は、繰り返しを避けるために、ここでは再度説明されない。
【0043】
引き続き
図7Bに示すように、基板100の傾斜配置および複数のプロセス前格子構造102の構造的特徴により、格子材料の堆積は、基板100の上面に沿って第1の側壁102A上で成長することができる。第1の段階において、プロセスガス212は、0の流量でプロセスチャンバ200に注入される。第2の段階において、プロセスガス212の流量は徐々に増加する。第3の段階において、プロセスガス212の流量は十分な値に達する。本開示のいくつかの実施形態によれば、格子材料堆積は、隣接するプロセス前格子構造102間の間隔を充填することができる。もう1つの実施形態では、1つ以上の追加のプロセスガスがプロセスガス212(例えば、
図2Cに示すように)とともに、プロセスチャンバ200に注入されることができ、簡単にするために、ここでは詳細を省略する。
【0044】
図8に示すように、異なる屈折率を有する格子材料層108が基板100上に形成されてもよい。
図7Aおよび
図7Bのいずれかに示されたプロセスチャンバ200を通じて、格子材料層108の異なる屈折率が達成されることができる。格子材料層108の寸法は、
図3の格子材料層104の寸法と同様であることができ、その詳細は、繰り返しを避けるために、ここでは再度説明されない。第1の側壁102Aに近い格子材料層108の部分は、複数のプロセス前格子構造102(または基板100)の屈折率に近いかまたは等しい屈折率を有することができる。
図3の格子材料層104と比較して、格子材料層108の屈折率は、第1の側壁102Aから離れる水平方向に沿って徐々に増加する。格子材料層108の屈折率は、約1.4~4.0の間で変化し得る。
【0045】
図9に示すように、格子材料層108はパターン化されて、複数の格子構造110を形成することができる。複数の格子構造110の形成は、
図4の複数の格子構造106の形成と同様であることができ、その詳細は、繰り返しを避けるために、ここでは再度説明されない。複数の格子構造110を形成することで、格子装置20の製造が完了する。複数の格子構造110のそれぞれの高さおよび幅は、複数のプロセス前格子構造102のそれぞれの高さおよび幅に等しいことができる。
【0046】
複数の格子構造110および複数のプロセス前格子構造102のピッチは合わせて、装置が動作される波長の約0.2倍~1.5倍の間であることができる。複数の格子構造110および複数のプロセス前格子構造102のデューティサイクルは合わせて、約20%~80%の間であり得る。本開示のいくつかの実施形態によれば、複数の格子構造110のそれぞれの屈折率は、基板100の上面100Aに平行な水平方向に沿って徐々に増加する。さらに、隣接するプロセス前格子構造102間の各間隔内で、複数の格子構造110はアレイ状に配置され、そのアレイ全体も、基板100の上面100Aに平行な水平方向に沿って徐々に増加する屈折率を有する。同じアレイが隣接するプロセス前格子構造102間の間隔毎に繰り返し配置されるため、格子装置20の周期は、複数のプロセス前格子構造102のうちの1つと、複数の格子構造110のアレイを含む隣接する間隔とによって構成される。
【0047】
図10、
図11A、
図11B、
図12、
図13A、
図13B、および
図14は、本開示のさらにもう1つの実施形態による、格子装置30を製造する中間段階のさまざまな断面図である。
図11Aおよび
図11Bは、プロセスチャンバ200の2つの異なる設計をそれぞれ示していることを理解されたい。
図11Aおよび
図11Bの設計のいずれも、
図12に示されるように、基板100上に形成された第1の格子材料層108Aとなることができる。
図11Aおよび
図11Bから図示されたプロセスチャンバ200の構成および動作方法は、
図7Aおよび
図7Bからのプロセスチャンバ200と同様であることができる。同様に、
図13Aおよび
図13Bは、プロセスチャンバ200の2つの異なる設計をそれぞれ示している。
図13Aおよび
図13Bの設計のいずれも、
図14に示すように、基板100上に形成された第2の格子材料層108Bとなることができる。
図13Aおよび
図13Bから図示されたプロセスチャンバ200の構成および動作方法は、
図11Aおよび
図11Bからのプロセスチャンバ200と同様であることができる。同様に、
図13Aおよび
図13Bは、プロセスチャンバ200の2つの異なる設計をそれぞれ示している。先の実施形態と比較して、格子材料堆積の1つのプロセスサイクルだけではなく、2つのプロセスサイクル(第1および第2のプロセスサイクル)が行なわれ、
図14に示された構造を得る。
【0048】
図10に示すように、基板100が提供される。
図10の基板100およびその上に配置された複数のプロセス前格子構造102は、
図6に示された基板100およびその上に配置された複数のプロセス前格子構造102と同様であり、その詳細は、繰り返しを避けるために、ここでは再度説明されない。
【0049】
図11Aに示すように、基板上に配置された複数のプロセス前格子構造102を有する基板100が、プロセスチャンバ200内に入れられる。
図11Aの動作方法は、
図7Aで説明された動作方法と実質的に同じであり、その詳細は、繰り返しを避けるために、ここでは再度説明されない。キャリア202、第1のターゲット204A、第2のターゲット204B、第1の電圧コントローラ206A、第2の電圧コントローラ206B、空気弁208、およびプロセスガス210の動作特徴は、
図7Aに示された動作特徴と同様であることができ、その詳細は、繰り返しを避けるために、ここでは再度説明されない。
【0050】
引き続き
図11Aに示すように、基板100の傾斜配置および複数のプロセス前格子構造102の構造的特徴により、格子材料の堆積は、基板100の上面に沿って第1の側壁102A上で成長することができる。第1の段階において、第1の材料は、十分な値の流量で第1のターゲット204Aから堆積され、第2の材料は、0の流量0で第2のターゲット204Bから堆積される。第2の段階において、第1の材料の流量は徐々に減少し、第2の材料の流量は徐々に増加する。第3の段階において、第1の材料の流量は0に達し、第2の材料の流量は十分な値に達する。
図7Aの手順と比較して、格子材料は、隣接するプロセス前格子構造102間の間隔を部分的にのみ充填することができる。
【0051】
図11Bに示すように、基板上に配置された複数のプロセス前格子構造102を有する基板100が、プロセスチャンバ200内に入れられる。
図11Bの動作方法は、
図7Bで説明された動作方法と実質的に同じであり、その詳細は、繰り返しを避けるために、ここでは再度説明されない。キャリア202、ターゲット204、電圧コントローラ206、空気弁208、およびプロセスガス212の動作特徴は、
図7Bに示された動作特徴と同様であることができ、その詳細は、繰り返しを避けるために、ここでは再度説明されない。
【0052】
引き続き
図11Bに示すように、基板100の傾斜配置および複数のプロセス前格子構造102の構造的特徴により、格子材料の堆積は、基板100の上面に沿って第1の側壁102A上で成長することができる。第1の段階において、プロセスガス212は、0の流量でプロセスチャンバ200に注入される。第2の段階において、プロセスガス212の流量は徐々に増加する。第3の段階において、プロセスガス212の流量は十分な値に達する。
図7Bの手順と比較して、格子材料は、隣接するプロセス前格子構造102間の間隔を部分的にのみ充填することができる。もう1つの実施形態では、1つ以上の追加のプロセスガスがプロセスガス212(例えば、
図2Cに示すように)とともに、プロセスチャンバ200に注入されることができ、簡単にするために、ここでは詳細を省略する。
【0053】
図12に示すように、異なる屈折率を有する第1の格子材料層108Aが基板100上に形成されてもよい。
図11Aおよび
図11Bのいずれかに示されたプロセスチャンバ200を通じて、第1の格子材料層108Aの異なる屈折率が達成されることができる。第1の格子材料層108Aの寸法は、複数のプロセス前格子構造102の寸法と同様であることができ、その詳細は、繰り返しを避けるために、ここでは再度説明されない。第1の側壁102Aに近い第1の格子材料層108Aの部分は、複数のプロセス前格子構造102(または基板100)の屈折率に近いかまたは等しい屈折率を有することができる。本開示のいくつかの実施形態によれば、第1の格子材料層108Aの屈折率は、第1の側壁102Aから離れる水平方向に沿って徐々に増加する。第1の格子材料層108Aの屈折率は、約1.4~4.0の間で変化し得る。
【0054】
図13Aに示すように、基板上に配置された複数のプロセス前格子構造102および第1の格子材料層108Aを有する基板100が、プロセスチャンバ200内に入れられる。
図11Aに示されたプロセスチャンバ200と比較して、キャリア202は他方側に傾斜しているため、第2の側壁102Bは、上方にある第1のターゲット204Aおよび第2のターゲット204Bに面するように配置される。キャリア202、第1のターゲット204A、第2のターゲット204B、第1の電圧コントローラ206A、第2の電圧コントローラ206B、空気弁208、およびプロセスガス210の動作特徴は、
図11Aに示された動作特徴と同様であることができ、その詳細は、繰り返しを避けるために、ここでは再度説明されない。
【0055】
引き続き
図13Aに示すように、基板100の傾斜配置および複数のプロセス前格子構造102の構造的特徴により、格子材料の堆積は、基板100の上面に沿って第2の側壁102B上で成長することができる。第1の段階において、第1の材料は、十分な値の流量で第1のターゲット204Aから堆積され、第2の材料は、0の流量0で第2のターゲット204Bから堆積される。第2の段階において、第1の材料の流量は徐々に減少し、第2の材料の流量は徐々に増加する。第3の段階において、第1の材料の流量は0に達し、第2の材料の流量は十分な値に達する。
図11Aの手順と同様に、格子材料の堆積は、隣接するプロセス前格子構造102間の間隔を部分的にのみ充填することができる。
【0056】
図13Bに示すように、基板上に配置された複数のプロセス前格子構造102および第1の格子材料層108Aを有する基板100が、プロセスチャンバ200内に入れられる。
図11Bに示されたプロセスチャンバ200と比較して、キャリア202は他方側に傾斜しているため、第2の側壁102Bは、上方にある第1のターゲット204に面するように配置される。キャリア202、ターゲット204、電圧コントローラ、空気弁208、およびプロセスガス212の動作特徴は、
図11Bに示された動作特徴と同様であることができ、その詳細は、繰り返しを避けるために、ここでは再度説明されない。
【0057】
引き続き
図13Bに示すように、基板100の傾斜配置および複数のプロセス前格子構造102の構造的特徴により、格子材料の堆積は、基板100の上面に沿って第2の側壁102B上で成長することができる。第1の段階において、プロセスガス212は、0の流量でプロセスチャンバ200に注入される。第2の段階において、プロセスガス212の流量は徐々に増加する。第3の段階において、プロセスガス212の流量は十分な値に達する。
図11Bの手順と同様に、格子材料の堆積は、隣接するプロセス前格子構造102間の間隔を部分的にのみ充填することができる。もう1つの実施形態では、1つ以上の追加のプロセスガスがプロセスガス212(例えば、
図2Cに示すように)とともに、プロセスチャンバ200に注入されることができ、簡単にするために、ここでは詳細を省略する。
【0058】
図14に示すように、異なる屈折率を有する第2の格子材料層108Bが基板100上に形成されてもよい。
図13Aおよび
図13Bのいずれかに示されたプロセスチャンバ200を通じて、第2の格子材料層108Bの異なる屈折率が達成されることができる。第2の格子材料層108Bの寸法は、第1の格子材料層108Aの寸法と同様であることができ、その詳細は、繰り返しを避けるために、ここでは再度説明されない。第2の側壁102Bに近い第2の格子材料層108Bの部分は、複数のプロセス前格子構造102(または基板100)の屈折率に近いかまたは等しい屈折率を有することができる。本開示のいくつかの実施形態によれば、第2の格子材料層108Bの屈折率は、第2の側壁102Bから離れる水平方向に沿って徐々に増加する。第2の格子材料層108Bの屈折率は、約1.4~4.0の間で変化し得る。
【0059】
本実施形態では、第1の格子材料層108Aおよび第2の格子材料層108Bは、パターニングプロセスを経る必要がない。第2の格子材料層108Bを形成するとき、格子装置30の製造が完了する。本開示のいくつかの実施形態によれば、複数のプロセス前格子構造102のそれぞれ、対応する第1の側壁102A上の第1の格子材料層108A、および対応する第2の側壁102B上の第2の格子材料層108Bが、
図14に示さられるように複数の格子構造のそれぞれを構成する。
図14の複数の格子構造のそれぞれは、固有の異なる屈折率を含み、屈折率は内部中心から外部端に向かって全方位に徐々に増加する。
【0060】
格子構造が異なる屈折率特性を有するように設計されるとき、格子装置の回折効率が改善され得る。さらに、異なる屈折率特性を有する格子装置は、比較的広い波長範囲にわたって優れたレベルの回折効率を維持することができる。換言すれば、動作中、光線が格子装置で効率的に回折されるための波長帯域は拡大されることができる。
【0061】
前述の内容は、当業者が本開示の態様をよりよく理解できるように、いくつかの実施形態の特徴を概説している。当業者は、同じ目的を実行するため、および/または本明細書に導入される実施形態の同じ利点を達成するための他のプロセスおよび構造を設計または修正するための基礎として本開示を容易に使用できることを理解できる。当業者はまた、そのような同等の構造が本開示の精神および範囲から逸脱せず、且つそれらは、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書で様々な変更、置換、および代替を行うことができることを理解するべきである。従って、保護の範囲は特許請求の範囲を通じて決定される必要がある。さらに、本開示のいくつかの実施形態が上記に開示されているが、それらは、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0062】
本明細書全体にわたる特徴、利点、または同様の用語への言及は、本開示で実現され得る全ての特徴および利点が、本開示の任意の単一の実施形態で実現されるべきまたは実現され得ることを意味するのではない。むしろ、特徴および利点に言及する用語は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、利点、または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味すると理解される。従って、本明細書全体にわたる特徴および利点、ならびに類似の用語の議論は、必ずしもそうではないが、同じ実施形態を指すことがある。
【0063】
さらに、1つまたは複数の実施形態では、本開示の説明された特徴、利点、および特性は、任意の適切な方法で組み合わせてもよい。当業者は、本明細書の説明に基づいて、特定の実施形態の1つまたは複数の特定の特徴または利点なしに本開示を実施できることを認識するであろう。他の例では、本開示の全ての実施形態に存在しない可能性がある、追加の特徴および利点が特定の実施形態において認識され得る。
【符号の説明】
【0064】
10、20、30 格子装置
100 基板
100A 基板の上面
102 プロセス前格子構造
102A 第1の側壁
102B 第2の側壁
104 格子材料層
106 格子構造
108 格子材料層
108A 第1の格子材料層
108B 第2の格子材料層
110 格子構造
200 プロセスチャンバ
202 キャリア
204 ターゲット
204A 第1のターゲット
204B 第2のターゲット
206 電圧コントローラ
206A 第1の電圧コントローラ
206B 第2の電圧コントローラ
208 空気弁
210 プロセスガス
212 プロセスガス
212A 第1のプロセスガス
212B 第2のプロセスガス
L0 入射光線
L1 正の回折光線
L2 負の回折光線
【手続補正書】
【提出日】2023-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項9
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項9】
前記基板上に前記格子材料を堆積させる前に、前記基板上に複数のプロセス前格子構造を形成することをさらに含み、前記複数のプロセス前格子構造のそれぞれは、第1の側壁、および前記第1の側壁の反対側にある第2の側壁を含み、前記基板は前記プロセスチャンバ内のキャリア上に配置され、前記キャリアは、前記第1の側壁または第2の側壁が上方にある格子材料を堆積させるターゲットに面するように一方側に傾斜される請求項1に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項11
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項11】
前記格子材料を堆積するステップは、
前記基板の上面に沿って延在する前記第1の側壁上に第1の格子材料層を形成し、前記第1の格子材料層は、前記第1の側壁から離れる水平方向に沿って異なる屈折率を有し、前記基板を保持するキャリアは、前記第1の側壁がプロセスチャンバ内で上方にある前記ターゲットに面するように一方側に傾斜される、第1のプロセスサイクルを行うステップ、および
前記基板の上面に沿って延在する前記第2の側壁上に第2の格子材料層を形成し、前記第2の格子材料層は、前記第2の側壁から離れる水平方向に沿って異なる屈折率を有し、前記基板を保持するキャリアは、前記第2の側壁がプロセスチャンバ内で上方にある前記ターゲットに面するように他方側に傾斜される、第2のプロセスサイクルを行うステップをさらに含み、
前記複数のプロセス前格子構造のそれぞれ、前記対応する第1の側壁上の前記第1の格子材料層、および前記対応する第2の側壁上の前記第2の格子材料層は、複数の格子構造のそれぞれを構成する請求項9に記載の方法。