(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050406
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】クランプセンサおよび測定装置
(51)【国際特許分類】
G01R 1/22 20060101AFI20240403BHJP
G01R 15/20 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
G01R1/22 B
G01R15/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098906
(22)【出願日】2023-06-16
(31)【優先権主張番号】P 2022155686
(32)【優先日】2022-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 英雄
(72)【発明者】
【氏名】山岸 君彦
【テーマコード(参考)】
2G025
【Fターム(参考)】
2G025AA00
2G025AA05
2G025AB01
2G025AC01
(57)【要約】
【課題】小形化を図りつつ、両コア部材を十分な磁気的結合力で結合させた状態とする。
【解決手段】環状配置される磁気コア20の周方向の一部を構成する第1のコア部材21、および他の一部を構成する第2のコア部材22を備え、周方向に沿って突出する第1の凸部が部材21の周方向の先端P21a,P21bに設けられ、かつ周方向に沿って突出する第2の凸部が部材22の周方向の先端P22a,P22bに設けられると共に、閉状態において、先端P21a側の第1の凸部と先端P22a側の第2の凸部とが挿通方向で重なり、かつ先端P21b側の第1の凸部と先端P22b側の第2の凸部とが挿通方向で重なるように構成されている。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉状態において環状に配置される磁気コアの周方向における一部を構成する第1のコア部材、および当該第1のコア部材とは別体に形成されて当該磁気コアの当該周方向における他の一部を構成する第2のコア部材と、
前記第1のコア部材を収容する第1のケース、および当該第1のケースに対する相対的なスライドが可能に構成されると共に前記第2のコア部材を収容する第2のケースとを備えたクランプセンサであって、
前記閉状態に移行させられて環状に配置された状態の前記磁気コアを当該磁気コアに対する検出対象導体の挿通方向に沿って見たときに前記第1のコア部材における前記周方向の両端部のうちのいずれかにおいて当該磁気コアの内周側縁部に対して交差する仮想直線に沿って前記第2のケースが前記第1のケースに対して相対的にスライド可能に構成され、
前記周方向に沿って突出する第1の凸部が前記第1のコア部材における当該周方向の前記両端部のうちの少なくとも一方の端部に設けられ、かつ当該周方向に沿って突出する第2の凸部が前記第2のコア部材における当該周方向の両端部のうちの少なくとも一方の端部に設けられ、
前記閉状態に移行させられて前記磁気コアが環状に配置された状態において、前記第1の凸部と前記第2の凸部とが前記挿通方向で重なるように構成されているクランプセンサ。
【請求項2】
前記第1の凸部が前記第1のコア部材における前記周方向の前記両端部にそれぞれ設けられ、かつ前記第2の凸部が前記第2のコア部材における前記周方向の両端部にそれぞれ設けられると共に、前記閉状態に移行させられて前記磁気コアが環状に配置された状態において、前記第1のコア部材における一端側の前記第1の凸部と前記第2のコア部材における一端側の前記第2の凸部とが前記挿通方向で重なり、かつ当該第1のコア部材における他端側の前記第1の凸部と当該第2のコア部材における他端側の前記第2の凸部とが当該挿通方向で重なるように構成されている請求項1記載のクランプセンサ。
【請求項3】
前記第1の凸部および前記第2の凸部のうちの少なくとも一方の凸部が前記挿通方向において並ぶように複数設けられると共に、複数の当該少なくとも一方の凸部の間に当該第1の凸部および当該第2の凸部のうちの他方の凸部が挟み込まれた状態となるように構成されている請求項1記載のクランプセンサ。
【請求項4】
前記第1のケースに対する前記第2のケースの相対的なスライドによって前記閉状態から開状態に移行させられたときに、前記一端側の第2の凸部が前記他端側の第1の凸部に対して前記挿通方向で重なるように構成されている請求項2記載のクランプセンサ。
【請求項5】
前記第1のケースに対する前記第2のケースの相対的なスライドによって前記閉状態から開状態に移行させられるとき、および当該開状態から当該閉状態に移行させられるときに、前記一端側の第2の凸部が前記他端側の第1の凸部に対して前記挿通方向で重なる位置を通過可能に構成されている請求項2記載のクランプセンサ。
【請求項6】
前記第1のコア部材における外周部に配設されて当該第1のコア部材と共に前記第1のケースに収容された第1のシールド部材、および前記第2のコア部材における外周部に配設されて当該第2のコア部材と共に前記第2のケースに収容された第2のシールド部材を備え、
前記第1のシールド部材は、当該クランプセンサが前記閉状態から前記開状態に移行させられるとき、および当該開状態から当該閉状態に移行させられるときに前記第2のコア部材に当接しないように前記第1のケース内に収容され、
前記第2のシールド部材は、当該クランプセンサが前記閉状態から前記開状態に移行させられるとき、および当該開状態から当該閉状態に移行させられるときに前記第1のコア部材に当接しないように前記第2のケース内に収容されている請求項1記載のクランプセンサ。
【請求項7】
前記第1のコア部材における外周部に配設されて当該第1のコア部材と共に前記第1のケースに収容された第1のシールド部材、および前記第2のコア部材における外周部に配設されて当該第2のコア部材と共に前記第2のケースに収容された第2のシールド部材を備え、
前記第1のシールド部材は、当該クランプセンサが前記閉状態から前記開状態に移行させられるとき、および当該開状態から当該閉状態に移行させられるときに、前記周方向における当該第1のシールド部材の両端部のうちの前記他端側の第1の凸部の近傍に位置する第1の端部が前記他端側の第2の凸部に当接しないように前記第1のケース内に収容され、
前記第2のシールド部材は、当該クランプセンサが前記閉状態から前記開状態に移行させられるとき、および当該開状態から当該閉状態に移行させられるときに、前記周方向における当該第2のシールド部材の両端部のうちの前記一端側の第2の凸部の近傍に位置する第2の端部が前記一端側の第1の凸部に当接しないように前記第2のケース内に収容されている請求項2記載のクランプセンサ。
【請求項8】
前記第1のシールド部材は、当該クランプセンサが前記閉状態から前記開状態に移行させられるとき、および当該開状態から当該閉状態に移行させられるときに、前記第1の端部が前記一端側の第2の凸部に当接しないように前記第1のケース内に収容され、
前記第2のシールド部材は、当該クランプセンサが前記閉状態から前記開状態に移行させられるとき、および当該開状態から当該閉状態に移行させられるときに、前記第2の端部が前記他端側の第1の凸部に当接しないように前記第2のケース内に収容されている請求項7記載のクランプセンサ。
【請求項9】
前記磁気コアは、少なくとも一方の前記第1の凸部において当該クランプセンサを前記閉状態から前記開状態に移行させるときの前記第1のケースに対する前記第2のケースの前記仮想直線に沿った相対的なスライドの方向である第1の方向側に位置する端部Aと、少なくとも一方の前記第2の凸部において前記第1の方向側に位置する端部Bとの2箇所の端部のうちの少なくとも1箇所において、前記挿通方向に沿った厚みが当該第1の方向側ほど徐々に薄くなるように形成されている請求項1記載のクランプセンサ。
【請求項10】
前記磁気コアは、少なくとも一方の前記第1の凸部において当該クランプセンサを前記開状態から前記閉状態に移行させるときの前記第1のケースに対する前記第2のケースの前記仮想直線に沿った相対的なスライドの方向である第2の方向側に位置する端部Cと、少なくとも一方の前記第2の凸部において前記第2の方向側に位置する端部Dとの2箇所の端部のうちの少なくとも1箇所において、前記挿通方向に沿った厚みが当該第2の方向側ほど徐々に薄くなるように形成されている請求項1記載のクランプセンサ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載のクランプセンサと、
前記磁気コアに対して前記挿通方向に挿通させられた前記検出対象導体についての前記クランプセンサによる検出量に基づいて予め規定された被測定量を測定する測定部とを備えている測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのコア部材を備えて閉状態において環状に配置される磁気コアを有するクランプセンサ、およびそのようなクランプセンサを備えて構成された測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のクランプセンサとして、出願人は、本体ケースの一端側に設けられたクランプ部に第1コアユニットが配設された本体部と、本体部の長さ方向に沿ってスライド可能に配設されたスライドケースの一端側(先端部)に第2コアユニットが配設されたスライド部とを備えたクランプセンサを下記の特許文献に開示している。
【0003】
このクランプセンサでは、本体ケースに形成された長孔状の窓部からスライドケースのスライドノブが突出させられており、このスライドノブを本体部の長さ方向に沿って移動させることで、本体ケースに対してスライドケースを開位置または閉位置にスライドさせることができるように構成されている。この場合、第1コアユニットは、磁気回路の一部を形成するU字状の第1コアと、第1コアを囲むように配設されたシールド体とを有する第1センサ部を備えている。また、第2コアユニットは、磁気回路の他の一部を形成する直方体状の第2コアと、第2コアを囲むように配設されたシールド体とを有する第2センサ部を備えている。
【0004】
また、このクランプセンサでは、第1コアにおける両脚部の端面が、第2コアの側面を面的に接触させることができるように平面状に形成されている。さらに、このクランプセンサでは、スライドケースが閉位置にスライドさせられたときに、スライドケースに配設されている第2コアユニットが、本体ケースに配設されている第1コアユニットに向けて付勢される構成が採用されている。
【0005】
このクランプセンサによって検出対象(例えば電線)を流れる電流等の被検出量を検出するときには、スライドケースを開位置にスライドさせた状態で本体部のクランプ部(スリット)に検出対象の電線などを挿通させる。次いで、スライドケースを閉位置にスライドさせて検出対象をクランプする。この際には、第2コアユニットが第1コアユニットに向けて付勢されることにより、第1コアにおける両脚部の端面に第2コアの側面が面的に接して密着した状態となる。これにより、第1コアおよび第2コアによって検出対象の周囲に環状の閉磁路が形成され、検出対象を電流が流れることによって発生する磁界を検出することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-045187号公報(第8-20頁、第1-37図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、出願人が開示しているクランプセンサには、以下のような改善すべき課題が存在する。具体的には、出願人が開示しているクランプセンサでは、スライドケースを閉位置にスライドさせたときに第2コアユニットが第1コアユニットに向けて付勢され、これにより、第1コアにおける両脚部の端面に第2コアの側面が面的に密着して第1コアおよび第2コアによって環状の閉磁路が検出対象の周囲に形成される構成が採用されている。
【0008】
この場合、出願人が開示しているクランプセンサは、スライド構造を採用している。これにより、回動軸を中心としてクランプアームを回動させて開閉する構造のクランプセンサよりも、開状態とするのに必要なスペースが狭いため、狭所において検出対象を容易にクランプすることが可能となっている。しかしながら、狭所における検出対象のクランプを確実かつ一層容易に行うには、クランプセンサを一層小形化する必要がある。このため、この種のクランプセンサでは、検出対象の周囲に環状の閉磁路を形成するための磁気コアの断面積(環状の閉磁路と交差する向きの断面積)も小さくする必要が生じている。この結果、磁気コアを構成する第1コアおよび第2コア(一対のコア部材)を十分な磁気的結合力で結合させるのが困難となる傾向がある。したがって、この点を改良するのが好ましい。
【0009】
また、このクランプセンサでは、検出対象をクランプした状態において本体ケースやスライドケースに意図しない外力が加わったときに、両ケースに小さな歪みが生じた状態となることがある。かかる場合には、ケース内に収容されている第1コアや第2コアに傾きが生じて、第1コアと第2コアとが面的に接触した状態を維持するのが困難となるおそれがある。また、出願人が開示しているクランプセンサを使用して被検出量を検出するときには、第1コアにおける両脚部の端面と、第2コアの側面との間に小さな異物が挟み込まれた状態となることがある。かかる場合には、第1コアと第2コアとの間に異物の大きさに応じた小さな隙間が生じることとなる。
【0010】
このように、出願人が開示しているクランプセンサには、両コアを収容するケースに歪みが生じたり、両コアの端面間に異物が挟み込まれたりしたときに、第1コアと第2コアとの接触面積が小さくなったり、被検出量を検出するための環状の閉磁路に想定外の小さな隙間が生じた状態となったりして、第1コアと第2コアとの磁気的結合力が低下するおそれがある。また、閉磁路に生じる隙間の大きさが、ケースに生じる歪みの程度や、挟み込まれる異物の大きさによって変化するおそれもある。このため、この点を改善するのが好ましい。
【0011】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、小形化を図りつつ、両コア部材を十分な磁気的結合力で結合させた状態とし得るクランプセンサ、およびそのようなクランプセンサを備えた測定装置を提供することを主目的とする。検出対象導体の周囲に形成される閉磁路に想定外の隙間を生じさせることなくこれをクランプし得るクランプセンサ、およびそのようなクランプセンサを備えた測定装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るクランプセンサは、閉状態において環状に配置される磁気コアの周方向における一部を構成する第1のコア部材、および当該第1のコア部材とは別体に形成されて当該磁気コアの当該周方向における他の一部を構成する第2のコア部材と、前記第1のコア部材を収容する第1のケース、および当該第1のケースに対する相対的なスライドが可能に構成されると共に前記第2のコア部材を収容する第2のケースとを備えたクランプセンサであって、前記閉状態に移行させられて環状に配置された状態の前記磁気コアを当該磁気コアに対する検出対象導体の挿通方向に沿って見たときに前記第1のコア部材における前記周方向の両端部のうちのいずれかにおいて当該磁気コアの内周側縁部に対して交差する仮想直線に沿って前記第2のケースが前記第1のケースに対して相対的にスライド可能に構成され、前記周方向に沿って突出する第1の凸部が前記第1のコア部材における当該周方向の前記両端部のうちの少なくとも一方の端部に設けられ、かつ当該周方向に沿って突出する第2の凸部が前記第2のコア部材における当該周方向の両端部のうちの少なくとも一方の端部に設けられ、前記閉状態に移行させられて前記磁気コアが環状に配置された状態において、前記第1の凸部と前記第2の凸部とが前記挿通方向で重なるように構成されている。
【0013】
また、本発明に係る測定装置は、上記のクランプセンサと、前記磁気コアに対して前記挿通方向に挿通させられた前記検出対象導体についての前記クランプセンサによる検出量に基づいて予め規定された被測定量を測定する測定部とを備えている。
【0014】
したがって、本発明に係るクランプセンサおよび測定装置によれば、第1のコア部材における周方向の両端部、および第2のコア部材における周方向の両端部をそれぞれ周方向に直行する平面状に形成し、閉状態において第1のコア部材の端面と第2のコア部材の端面とを面的に接触させる構造のクランプセンサと比較して、閉状態において、挿通方向に沿って見たときに、第1のコア部材における周方向の両端部のうちの少なくとも一方の端部に設けられた第1の凸部と第2のコア部材における周方向の両端部のうちの少なくとも一方の端部に設けられた第2の凸部とが重なる部位(第1の凸部側面および第2の凸部の側面)が互いに接触した状態となるようにすることで、閉状態における第1のコア部材と第2のコア部材との接触面積を大きくすることができる。これにより、磁気コアを小形化したとしても、閉状態において第1のコア部材および第2のコア部材を十分な磁気的結合力で結合させた状態とすることができる。これにより、クランプセンサを一層小形化して狭所においても検出対象導体を確実かつ容易にクランプすることが可能となり、また、クランプセンサの感度を一層向上させることができる。
【0015】
また、本発明に係るクランプセンサは、前記第1の凸部が前記第1のコア部材における前記周方向の前記両端部にそれぞれ設けられ、かつ前記第2の凸部が前記第2のコア部材における前記周方向の両端部にそれぞれ設けられると共に、前記閉状態に移行させられて前記磁気コアが環状に配置された状態において、前記第1のコア部材における一端側の前記第1の凸部と前記第2のコア部材における一端側の前記第2の凸部とが前記挿通方向で重なり、かつ当該第1のコア部材における他端側の前記第1の凸部と当該第2のコア部材における他端側の前記第2の凸部とが当該挿通方向で重なるように構成されている。
【0016】
したがって、本発明に係るクランプセンサおよび測定装置によれば、第1のコア部材および第2のコア部材の一端側だけに第1の凸部や第2の凸部を設けた構成と比較して、両コア部材の両端において接触面積を大きくすることができる。これにより、環状の磁気コアの全周において、閉状態における第1のコア部材および第2のコア部材の磁気的結合力を十分に向上させることができる。これにより、磁気コアの周方向のいずれかに、他の部位よりも検出感度が低い部位が生じる事態を好適に回避することができる。
【0017】
また、本発明に係るクランプセンサは、前記第1の凸部および前記第2の凸部のうちの少なくとも一方の凸部が前記挿通方向において並ぶように複数設けられると共に、複数の当該少なくとも一方の凸部の間に当該第1の凸部および当該第2の凸部のうちの他方の凸部が挟み込まれた状態となるように構成されている。
【0018】
したがって、本発明に係るクランプセンサおよび測定装置によれば、「少なくとも一方の凸部」としての複数の第1の凸部が磁気コアに対する検出対象導体の挿通方向で並んでいるクランプセンサを第1のケースに対する第2のケースの仮想直線に沿った相対的なスライドによって開状態から閉状態に移行させるときに、第1のコア部材の一端および他端において隣接する第1の凸部の間に挟み込まれるようにして異物が付着していたとしても、この異物を第2のコア部材の一端および他端(第2の凸部:「他方の凸部」)によって押し避けることができる。また、「少なくとも一方の凸部」としての複数の第2の凸部が磁気コアに対する検出対象導体の挿通方向で並んでいるクランプセンサを開状態から閉状態に移行させるときに、第2のコア部材の一端および他端において隣接する第2の凸部の間に挟み込まれるようにして異物が付着していたとしても、この異物を第1のコア部材の一端および他端(第1の凸部:「他方の凸部」)によって押し避けることができる。これにより、閉状態において第1のコア部材および第2のコア部材の間に異物が挟み込まれた状態となるのを好適に回避することができる。さらに、検出対象をクランプした状態において第1のケースや第2のケースに意図しない外力が加わって両ケースに小さな歪みが生じた状態となっても、第1の凸部における突端部が第2の凸部の側面に当接した状態、および/または、第2の凸部における突端部が第1の凸部の側面に当接した状態となって第1のコア部材と第2のコア部材とが互いに接した状態を維持することができ、環状の閉磁路に隙間が生じた状態となるのを好適に回避することができる。これにより、このクランプセンサおよび測定装置によれば、検出対象導体についての被検出量を高精度に検出することができ、被測定量を高精度に測定することができる。
【0019】
また、本発明に係るクランプセンサは、前記第1のケースに対する前記第2のケースの相対的なスライドによって前記閉状態から開状態に移行させられたときに、前記一端側の第2の凸部が前記他端側の第1の凸部に対して前記挿通方向で重なるように構成されている。また、本発明に係るクランプセンサは、前記第1のケースに対する前記第2のケースの相対的なスライドによって前記閉状態から開状態に移行させられるとき、および当該開状態から当該閉状態に移行させられるときに、前記一端側の第2の凸部が前記他端側の第1の凸部に対して前記挿通方向で重なる位置を通過可能に構成されている。
【0020】
したがって、本発明に係るクランプセンサおよび測定装置によれば、一端側の第2の凸部と他端側の第1の凸部とが当接して第1のケースに対する第2のケースの相対的なスライドが妨げられる事態を招くことなくクランプセンサを開状態に移行させ、これを閉状態に復帰させることができる。これにより、第1のコア部材の内側(第1のコア部材によって囲まれた場所)に検出対象導体を挿通させた状態とするときには、第1のコア部材の両端部間を完全に開状態とすることができるため、第1のコア部材の内側への検出対象導体の相対的な移動が第2のコア部材によって妨げられる事態が回避される。また、第2のコア部材の内側(第2のコア部材によって囲まれた場所)に検出対象導体を挿通させた状態とするときには、第2のコア部材の両端部間を完全に開状態とすることができるため、第2のコア部材の内側への検出対象導体の相対的な移動が第1のコア部材によって妨げられる事態が回避される。このため、検出対象導体をスムースにクランプすることができる。
【0021】
また、本発明に係るクランプセンサは、前記第1のコア部材における外周部に配設されて当該第1のコア部材と共に前記第1のケースに収容された第1のシールド部材、および前記第2のコア部材における外周部に配設されて当該第2のコア部材と共に前記第2のケースに収容された第2のシールド部材を備え、前記第1のシールド部材は、当該クランプセンサが前記閉状態から前記開状態に移行させられるとき、および当該開状態から当該閉状態に移行させられるときに前記第2のコア部材に当接しないように前記第1のケース内に収容され、前記第2のシールド部材は、当該クランプセンサが前記閉状態から前記開状態に移行させられるとき、および当該開状態から当該閉状態に移行させられるときに前記第1のコア部材に当接しないように前記第2のケース内に収容されている。また、本発明に係るクランプセンサは、前記第1のコア部材における外周部に配設されて当該第1のコア部材と共に前記第1のケースに収容された第1のシールド部材、および前記第2のコア部材における外周部に配設されて当該第2のコア部材と共に前記第2のケースに収容された第2のシールド部材を備え、前記第1のシールド部材は、当該クランプセンサが前記閉状態から前記開状態に移行させられるとき、および当該開状態から当該閉状態に移行させられるときに、前記周方向における当該第1のシールド部材の両端部のうちの前記他端側の第1の凸部の近傍に位置する第1の端部が前記他端側の第2の凸部に当接しないように前記第1のケース内に収容され、前記第2のシールド部材は、当該クランプセンサが前記閉状態から前記開状態に移行させられるとき、および当該開状態から当該閉状態に移行させられるときに、前記周方向における当該第2のシールド部材の両端部のうちの前記一端側の第2の凸部の近傍に位置する第2の端部が前記一端側の第1の凸部に当接しないように前記第2のケース内に収容されている。
【0022】
したがって、本発明に係るクランプセンサおよび測定装置によれば、第1のコア部材に対する第2のコア部材の相対的なスライドが第1のシールド部材や第2のシールド部材によって妨げられる事態を招くことなく、閉状態において、磁気コアにノイズ成分が混入する事態を第1のシールド部材および第2のシールド部材の存在によって好適に回避することができる。
【0023】
また、本発明に係るクランプセンサは、前記第1のシールド部材は、当該クランプセンサが前記閉状態から前記開状態に移行させられるとき、および当該開状態から当該閉状態に移行させられるときに、前記第1の端部が前記一端側の第2の凸部に当接しないように前記第1のケース内に収容され、前記第2のシールド部材は、当該クランプセンサが前記閉状態から前記開状態に移行させられるとき、および当該開状態から当該閉状態に移行させられるときに、前記第2の端部が前記他端側の第1の凸部に当接しないように前記第2のケース内に収容されている。
【0024】
したがって、本発明に係るクランプセンサおよび測定装置によれば、第1のシールド部材における第1の端部と第2のコア部材における一端側の第2の凸部とが当接したり、第2のシールド部材における第2の端部と第1のコア部材における他端側の第1の凸部とが当接したりして第1のケースに対する第2のケースの相対的なスライドが妨げられる事態を招くことなくクランプセンサを開状態に移行させ、これを閉状態に復帰させることができる。これにより、第1のコア部材の内側に検出対象導体を挿通させた状態とするときには、第1のコア部材の内側への検出対象導体の相対的な移動が第2のコア部材や第2のシールド部材によって妨げられる事態が回避される。また、第2のコア部材の内側に検出対象導体を挿通させた状態とするときには、第2のコア部材の内側への検出対象導体の相対的な移動が第1のコア部材や第1のシールド部材によって妨げられる事態が回避される。このため、検出対象導体をスムースにクランプすることができる。
【0025】
また、本発明に係るクランプセンサは、前記第1の凸部において当該クランプセンサを前記閉状態から前記開状態に移行させるときの前記第1のケースに対する前記第2のケースの仮想直線に沿った相対的なスライドの方向である第1の方向側に位置する端部Aと、少なくとも一方の前記第2の凸部において前記第1の方向側に位置する端部Bとの2箇所の端部のうちの少なくとも1箇所において、前記挿通方向に沿った厚みが当該第1の方向側ほど徐々に薄くなるように形成されている。また、本発明に係るクランプセンサは、前記磁気コアは、少なくとも一方の前記第1の凸部において当該クランプセンサを前記開状態から前記閉状態に移行させるときの前記第1のケースに対する前記第2のケースの仮想直線に沿った相対的なスライドの方向である第2の方向側に位置する端部Cと、少なくとも一方の前記第2の凸部において前記第2の方向側に位置する端部Dとの2箇所の端部のうちの少なくとも1箇所において、前記挿通方向に沿った厚みが当該第2の方向側ほど徐々に薄くなるように形成されている。
【0026】
したがって、本発明に係るクランプセンサおよび測定装置によれば、クランプセンサを閉状態から開状態に移行させるときや開状態から閉状態に移行させるときに、第1の凸部と第2の凸部とが挿通方向において僅かに位置ずれした状態になったとしても第1の凸部と第2の凸部とがスライド方向において当接し難いため、第1のケースに対して第2のケースを好適にスライドさせることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係るクランプセンサおよび測定装置によれば、閉状態における第1のコア部材と第2のコア部材との接触面積を大きくすることができ、磁気コアを小形化したとしても、閉状態において第1のコア部材および第2のコア部材を十分な磁気的結合力で結合させた状態とすることができる。これにより、クランプセンサを一層小形化して狭所においても検出対象導体を確実かつ容易にクランプすることが可能となり、また、クランプセンサの感度を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】閉状態におけるクランプセンサ3の外観斜視図である。
【
図3】開状態におけるクランプセンサ3の外観斜視図である。
【
図4】閉状態のクランプセンサ3における先端部側の側面図である。
【
図5】第1のケース11、第1のコア部材21および第1のシールド部材41について説明するための説明図である。
【
図6】第2のケース12、第2のコア部材22および第2のシールド部材42について説明するための説明図である。
【
図10】第1のコア部材21a,21bにおけるプレート25aの先端P21a,P21bの形状について説明するための説明図である。
【
図11】第2のコア部材22におけるプレート26aの先端P22a,P22bの形状について説明するための説明図である。
【
図12】閉状態におけるシールド40および磁気コア20の外観斜視図である。
【
図13】開状態におけるシールド40および磁気コア20の外観斜視図である。
【
図14】閉状態における磁気コア20単体の外観斜視図である。
【
図15】閉状態から開状態への移行、および開状態から閉状態への移行時における磁気コア20単体の外観斜視図である。
【
図16】開状態におけるクランプセンサ3の第1のコア部材21a,21bおよび第2のコア部材22と、第1のシールド部材41および第2のシールド部材42との位置関係について説明するための説明図である。
【
図17】閉状態におけるクランプセンサ3の第1のコア部材21a,21bおよび第2のコア部材22と、第1のシールド部材41および第2のシールド部材42との位置関係について説明するための説明図である。
【
図18】クランプセンサ3を開閉する際の第1のコア部材21(プレート25a)と第2のコア部材22(プレート26a)との位置関係について説明するための説明図である。
【
図19】クランプセンサ3を閉状態に移行させたときの第1のコア部材21(プレート25a)と第2のコア部材22(プレート26a)との位置関係について説明するための説明図である。
【
図20】他の実施の形態に係るクランプセンサ3を開閉する際の第1のコア部材21(プレート25a)と第2のコア部材22(プレート26a)との位置関係について説明するための説明図である。
【
図21】他の実施の形態に係るクランプセンサ3を閉状態に移行させたときの第1のコア部材21(プレート25a)と第2のコア部材22(プレート26a)との位置関係について説明するための説明図である。
【
図22】他の実施の形態に係るクランプセンサ3Aを開状態に移行させたときの第1のシールド部材41aにおける先端P41a,P41bと2のシールド部材42aにおける先端P42a,P42bとの位置関係について説明するための説明図である。
【
図23】他の実施の形態に係るクランプセンサ3Aを閉状態に移行させたときの第1のシールド部材41aにおける先端P41a,P41bと2のシールド部材42aにおける先端P42a,P42bとの位置関係について説明するための説明図である。
【
図24】第1のケース11に対する第2のケース12の相対的なスライド方向について説明するための説明図である。
【
図25】第1のケース11に対する第2のケース12の相対的なスライド方向について説明するための他の説明図である。
【
図26】閉状態から開状態への移行時、および開状態から閉状態への移行時におけるクランプセンサ3の第1のコア部材21および第2のコア部材22と、第1のシールド部材41および第2のシールド部材42との位置関係について説明するための説明図である。
【
図27】他の実施の形態に係る構成の閉状態における磁気コア20単体の外観斜視図である。
【
図28】他の実施の形態に係るクランプセンサ3Bの閉状態における側面図である。
【
図29】左図は、他の実施の形態に係るクランプセンサ3Cにおける磁気コア20C単体の正面図であり、右図は、クランプセンサ3Dにおける磁気コア20D単体の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、クランプセンサおよび測定装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0030】
図1に示す測定装置1は、「測定装置」の一例であって、本体部2およびクランプセンサ3を備えて構成されている。本体部2は、クランプセンサ3による検出量に基づいて「検出対象導体」の一例である測定対象導線Xについての被測定量を測定する「測定部(測定回路)」などが筐体内に収容されると共に、各種の操作スイッチが設けられた操作部や、測定値などを表示する表示部など(いずれも図示せず)が配設されている。この本体部2には、ケーブル4を介してクランプセンサ3が接続されている。
【0031】
一方、クランプセンサ3は、「クランプセンサ」の一例であって、
図2~6に示すように、ケーシング10、磁気コア20、磁気検出素子30、シールド40および巻線50などを備えている。
【0032】
ケーシング10は、第1のケース11および第2のケース12を備え、磁気コア20、磁気検出素子30、シールド40および巻線50などを収容可能に構成されている。第1のケース11は、「第1のケース」の一例であって、
図2,3に示すように、収容部11aおよび把持部11bが矢印A,Bの方向に沿って並んで配設されている。収容部11aは、
図4,5に示すように、測定対象導線Xを挿通可能な切欠き11sが設けられると共に、磁気コア20における後述の第1のコア部材21、磁気検出素子30、シールド40における後述の第1のシールド部材41、および巻線50などを収容可能に構成されている。
【0033】
第2のケース12は、「第2のケース」の一例であって、
図2,3に示すように、収容部12aを備えている。この第2のケース12は、第1のケース11に対して矢印A,Bの方向にスライドさせるための操作用ノブ13が配設されて、第1のケース11に対する矢印A,Bの方向への相対的なスライド(後述する「仮想直線」に沿ったスライド)が可能に構成されている。収容部12aは、
図4,6に示すように、磁気コア20における後述の第2のコア部材22、およびシールド40における後述の第2のシールド部材42などを収容可能に構成されている。
【0034】
磁気コア20は、「閉状態において環状に配置される磁気コア」の一例である櫛歯接合構造の閉磁路構成部材であって、
図4,7~9,12~15に示すように、第1のコア部材21および第2のコア部材22を備え、閉状態において側面視矩形状の環状閉磁路を形成可能に構成されている。第1のコア部材21は、「磁気コアの周方向における一部を構成する第1のコア部材」の一例であって、
図4に示すように、その長手方向の中央部にギャップGが生じるように第1のケース11の収容部11aに収容されている。以下、第1のコア部材21を構成する2つの部材のうちの先端側に配置される部材を第1のコア部材21aともいう。また、把持部11b側に配置される部材を第1のコア部材21bともいう(「第1のコア部材」が2つの部材で構成されている例)。
【0035】
この第1のコア部材21a,21bは、
図9に示すように、プレート25a,25bを交互に積層することで、
図7に示すように、側面視略L字状にそれぞれ形成されている。この場合、
図8,9に示すように、本例のクランプセンサ3では、プレート25aがプレート25bよりも長尺に形成されており、プレート25aの先端がプレート25bの先端から突出するように両プレート25a,25bが積層されることにより、プレート25aの先端(プレート25aにおける先端P21a,P21b側の部位:以下、プレート25aの先端P21aやプレート25aの先端P21bともいう)によって「環状の磁気コアにおける周方向に沿って突出する第1の凸部」が構成されている。
【0036】
なお、本例のクランプセンサ3では、第1のコア部材21aのプレート25aと第1のコア部材21bのプレート25aとが同一製品(同じ部材)で構成されている。また、本例のクランプセンサ3では、第1のコア部材21aのプレート25bと第1のコア部材21bのプレート25bとが同一製品(同じ部材)で構成されている。これにより、1種類のプレート25a、および1種類のプレート25bを製作することで、第1のコア部材21a,21bの双方を製造することが可能となっている。
【0037】
この場合、本例のクランプセンサ3では、第1のコア部材21の先端P21a(
図4,5,7~9,12~15参照)が「第1のコア部材における一端」に相当する。また、本例のクランプセンサ3では、第1のコア部材21の先端P21b(
図4,5,7~9,12~15参照)が「第1のコア部材における他端」に相当する。また、本例のクランプセンサ3では、一例として4枚のプレート25aおよび4枚のプレート25bによって第1のコア部材21a,21bがそれぞれ形成されている。つまり、本例のクランプセンサ3では、第1のコア部材21の先端P21aに4つの「第1の凸部」が設けられると共に、第1のコア部材21の先端P21bに4つの「第1の凸部」が設けられている(「少なくとも一方の凸部」としての「第1の凸部」が「磁気コアに対する検出対象導体の挿通方向」において並ぶように複数設けられた構成の一例)。この場合、本例の磁気コア20では、第1のケース11に対する第2のケース12の相対的なスライド方向(各図における矢印A,Bの向き)で先端P21a,P21bが重なるように第1のコア部材21が構成されている。
【0038】
第2のコア部材22は、「第1のコア部材とは別体に形成されて当該磁気コアの当該周方向における他の一部を構成する第2のコア部材」の一例であって、
図9に示すように、プレート26a,26bを交互に積層することで側面視略コ字状にそれぞれ形成されている。この場合、本例のクランプセンサ3では、プレート26aがプレート26bよりも長尺に形成されており、プレート26aの先端がプレート26bの先端から突出するように両プレート26a,26bが積層されることにより、プレート26aの先端(プレート26aにおける先端P22a,P22b側の部位:以下、プレート26aの先端P22aやプレート26aの先端P22bともいう)によって「環状の磁気コアにおける周方向に沿って突出する第2の凸部」が構成されている。
【0039】
なお、本例のクランプセンサ3では、第2のコア部材22の先端P22a(
図4,6~9,12~15参照)が「第2のコア部材における一端」に相当する。また、本例のクランプセンサ3では、第2のコア部材22の先端P22b(
図4,6~9,12~15参照)が「第2のコア部材における他端」に相当する。この場合、本例のクランプセンサ3では、一例として4枚のプレート26aおよび4枚のプレート26bによって第2のコア部材22が形成されている。つまり、本例のクランプセンサ3では、第2のコア部材22の先端P22aに4つの「第2の凸部」が設けられると共に、第2のコア部材22の先端P22bに4つの「第2の凸部」が設けられている(「少なくとも一方の凸部」としての「第2の凸部」が「磁気コアに対する検出対象導体の挿通方向」において並ぶように複数設けられた構成の一例)。この場合、本例の磁気コア20では、第1のケース11に対する第2のケース12の相対的なスライド方向(各図における矢印A,Bの向き)で先端P22a,P22bが重なるように第2のコア部材22が構成されている。
【0040】
この場合、
図24,25に示すように、本例のクランプセンサ3では、閉状態に移行させられて環状に配置された状態の磁気コア20を、磁気コア20に対する測定対象導線Xの挿通方向に沿って見たときに第1のコア部材21における周方向の両端部のうちのいずれか(この例では、先端P21a,P21bの双方)において磁気コア20の内周側縁部(両図における破線L1の部位)に対して交差する「仮想直線(両図における荒破線L2)」に沿って矢印A,Bで示すように第2のケース12が第1のコア部材21に対して相対的にスライド可能に構成されている。
【0041】
なお、「第1のコア部材における周方向の両端部のうちのいずれかにおいて磁気コアの内周側縁部に対して交差する[仮想直線]の[内周側縁部に対する交差角度]」は、本例のクランプセンサ3の例における90°(直交)に限定されない。しかしながら、この「交差角度」が過剰に小さい「仮想直線」に沿ってスライドさせる構成を採用したときには、後述する「本願発明の効果によって奏される効果」が十分に奏されない可能性がある。したがって、
図25に示す荒破線L2a,L2bで示す「仮想直線」のように、「磁気コアの内周側縁部(破線L1)」に対する交差角度θ1が最小でも45°となる角度範囲θ2内の角度となるような「仮想直線」に沿ってスライド可能に構成するのが好ましい。
【0042】
また、本例のクランプセンサ3における磁気コア20では、「磁気コア20の内周側縁部」である破線L1が、第1のコア部材21における先端P21a,P21bにおいて平行となっている。このため、「仮想直線」の一例である荒破線L2が、第1のコア部材21における先端P21a,P21bの双方において破線L1に対して同じ交差角度で交差(この例では、直交)している。しかしながら、本例の磁気コア20とは異なり、「磁気コアの内周側縁部」が、「第1のコア部材における一端部および他端部」において非平行となっている「磁気コア」を備えたとき(図示せず)には、「第1のコア部材における一端部」および「第1のコア部材における他端部」のいずれかにおいて「磁気コアの内周側縁部」に対して交差する「仮想直線」に沿って「第1のケース」に対して「第2のケース」を相対的にスライド可能に構成することができる。
【0043】
また、
図10,11に示すように、本例のクランプセンサ3では、第1のコア部材21における各「第1の凸部(プレート25aにおける両先端P21a,P21b)」においてクランプセンサ3を閉状態から開状態に移行させるときの第1のケース11に対する第2のケース12の相対的なスライドの方向である「第1の方向(矢印Bの方向)」側に位置する端部Pb(「端部A」の一例)と、第2のコア部材22における各「第2の凸部(プレート26aにおける両先端P22a,P22b)」において「第1の方向(矢印Bの方向)」側に位置する端部Pb(「端部B」の一例)との2箇所の双方において、クランプセンサ3に対する測定対象導線Xの「挿通方向(矢印Cの方向)」に沿った厚みが「第1の方向」側ほど徐々に薄くなるように形成されている。具体的には、第1のコア部材21における各「第1の凸部」では、スライド方向(矢印A,Bの方向)における中央部の厚みが厚みTaであるのに対し、端部Pbの厚みが厚みTaよりも薄厚の厚みTbとなっている。また、第2のコア部材22における各「第2の凸部」では、スライド方向(矢印A,Bの方向)における中央部の厚みが厚みTaであるのに対し、端部Pbの厚みが厚みTaよりも薄厚の厚みTbとなっている。
【0044】
また、本例のクランプセンサ3では、第1のコア部材21における各「第1の凸部」においてクランプセンサ3を開状態から閉状態に移行させるときの第1のケース11に対する第2のケース12の相対的なスライドの方向である「第2の方向(矢印Aの方向)」側に位置する端部Pa(「端部C」の一例)と、第2のコア部材22における各「第2の凸部」において「第2の方向(矢印Aの方向)」側に位置する端部Pa(「端部D」の一例)との2箇所の双方において、クランプセンサ3に対する測定対象導線Xの「挿通方向(矢印Cの方向)」に沿った厚みが「第2の方向」側ほど徐々に薄くなるように形成されている。具体的には、第1のコア部材21における各「第1の凸部」では、スライド方向(矢印A,Bの方向)における中央部の厚みが厚みTaであるのに対し、端部Paの厚みが厚みTaよりも薄厚の厚みTbとなっている。また、第2のコア部材22における各「第2の凸部」では、スライド方向(矢印A,Bの方向)における中央部の厚みが厚みTaであるのに対し、端部Paの厚みが厚みTaよりも薄厚の厚みTbとなっている。
【0045】
また、
図4,7に示すように、本例のクランプセンサ3では、磁気検出素子30が、第1のコア部材21a,21b間に設けられるギャップGの近傍に配置されるようにして第1のケース11の収容部11aに収容されている。
【0046】
一方、
図5,6,12,13に示すように、シールド40は、第1のシールド部材41および第2のシールド部材42を備えている。第1のシールド部材41は、「第1のシールド部材」の一例であって、
図5,12,13に示すように、第1のコア部材21における外周部に配設された状態で第1のコア部材21と共に第1のケース11の収容部11aに収容されている。第2のシールド部材42は、「第2のシールド部材」の一例であって、
図6,12,13に示すように、第2のコア部材22における外周部に配設された状態で第2のコア部材22と共に第2のケース12の収容部12aに収容されている。
【0047】
なお、本例のクランプセンサ3では、第1のシールド部材41の先端P41a(
図5,12,13参照)が「第1のシールド部材における一端」に相当する。また、第1のシールド部材41の先端P41b(
図5,12,13参照)が「第1のシールド部材における他端」に相当する。また、本例のクランプセンサ3では、第2のシールド部材42の先端P42a(
図6,12,13参照)が「第2のシールド部材における一端」に相当する。また、第2のシールド部材42の先端P42b(
図6,12,13参照)が「第2のシールド部材における他端」に相当する。
【0048】
図4,14に示すように、このクランプセンサ3では、閉状態に移行させられて磁気コア20が環状に配置された状態において、第1のコア部材21における先端P21a側の「第1の凸部(プレート25a)」と、第2のコア部材22における先端P22a側の「第2の凸部(プレート26a)」とが、磁気コア20に対する測定対象導線Xの挿通方向(
図2,3等に示す矢印Cの方向)で重なるように構成されている(「少なくとも一方の凸部」としての「第1の凸部」の間に「他方の凸部」としての「第2の凸部」が挟み込まれる構成の一例)。また、第1のコア部材21における先端P21b側の「第1の凸部(プレート25a)」と、第2のコア部材22における先端P22b側の「第2の凸部(プレート26a)」とが、磁気コア20に対する測定対象導線Xの挿通方向で重なるように構成されている(「少なくとも一方の凸部」としての「第2の凸部」の間に「他方の凸部」としての「第1の凸部」が挟み込まれる構成の例)。
【0049】
また、
図15に示すように、このクランプセンサ3では、第1のケース11に対する第2のケース12の相対的なスライドによって閉状態から開状態に移行させられるとき、および開状態から閉状態に移行させられるときに、第2のコア部材22における先端P22a側の「第2の凸部(プレート26a)」が、第1のコア部材21における先端P21b側の「第1の凸部(プレート25a)」に対して、磁気コア20に対する測定対象導線Xの挿通方向で重なる位置を通過可能に構成されている。
【0050】
具体的には、
図8に示すように、本例のクランプセンサ3では、
図2~7に示す矢印A,Bの方向に沿って磁気コア20を見たときに、第1のコア部材21においてプレート25aが積層される積層位置(挿通方向におけるプレート25aの位置:矢印Cの方向における位置)、すなわち、挿通方向における「第1の凸部」の位置に、第2のコア部材22においてプレート26bが積層されている。また、本例のクランプセンサ3では、第1のコア部材21においてプレート25bが積層される積層位置(挿通方向におけるプレート25bの位置:矢印Cの方向における位置)、すなわち、「挿通方向」で隣合う2つの「第1の凸部」の間の位置に、第2のコア部材22においてプレート26aが積層されている。
【0051】
また、本例のクランプセンサ3では、第2のコア部材22においてプレート26aが積層される積層位置(挿通方向におけるプレート26aの位置:矢印Cの方向における位置)、すなわち、挿通方向における「第2の凸部」の位置に、第1のコア部材21においてプレート25bが積層されている。また、本例のクランプセンサ3では、第2のコア部材22においてプレート26bが積層される積層位置(挿通方向におけるプレート26bの位置:矢印Cの方向における位置)、すなわち、「挿通方向」で隣合う2つの「第2の凸部」の間の位置に、第1のコア部材21においてプレート25aが積層されている。
【0052】
また、
図12,13,16,17,26に示すように、本例のクランプセンサ3では、第1のケース11に対する第2のケース12の相対的なスライドによって閉状態から開状態に移行させられるとき、および開状態から閉状態に移行させられるときに、第1のシールド部材41における「第1の端部(先端P41b)」が「他端側の第2の凸部(プレート26aにおける先端P22b)」、および「一端側の第2の凸部(プレート26aにおける先端P22a)」に当接しないように第1のシールド部材41が構成されて第1のケース11の収容部11aに収容されている。
【0053】
また、本例のクランプセンサ3では、第1のケース11に対する第2のケース12の相対的なスライドによって閉状態から開状態に移行させられるとき、および開状態から閉状態に移行させられるときに、第2のシールド部材42における「第2の端部(先端P42a)」が「一端側の第1の凸部(プレート25aにおける先端P21a)」および「他端側の第1の凸部(プレート25aにおける先端P21b)」に当接しないように第2のシールド部材42が構成されて第2のケース12の収容部12aに収容されている。
【0054】
さらに、
図12,17に示すように、本例のクランプセンサ3では、閉状態に移行させられて第1のコア部材21および第2のコア部材22が環状に配置された状態において、第1のシールド部材41における先端P41aと、第2のシールド部材42における先端P42aとが極く近距離に配置された状態となり、かつ第1のシールド部材41における先端P41bと、第2のシールド部材42における先端P42bとが極く近距離に配置された状態となるように第1のシールド部材41および第2のシールド部材42が構成されている。
【0055】
次に、測定装置1の使用方法の一例について、添付図面を参照して説明する。
【0056】
この測定装置1によって測定対象導線Xについての被測定量を測定する際には、最初に、クランプセンサ3によって測定対象導線Xをクランプする。この際には、一例として、把持部11bを握った手の親指を操作用ノブ13に添えて矢印Bの向きに操作用ノブ13を引き寄せることにより、
図3に示すように、第1のケース11に対して第2のケース12を矢印Bの向き(前述の「仮想直線」の一例である荒破線L2に沿った方向の一例)にスライドさせて収容部11aの上方から第2のケース12を待避させ、切欠き11sが開口される開状態に移行させる。
【0057】
この際に、
図16,26に示すように、本例のクランプセンサ3では、閉状態から開状態に移行させられるときに、第2のシールド部材42における先端P42aが第1のコア部材21における先端P21a側の「第1の凸部(プレート25a)」および先端P21b側の「第1の凸部(プレート25a)」に当接しないように第2のシールド部材42が構成されている。また、
図15に示すように、本例のクランプセンサ3では、閉状態から開状態に移行させられるときに、第2のコア部材22における先端P22a側の「第2の凸部(プレート26a)」が、第1のコア部材21における先端P21b側の「第1の凸部(プレート25a)」に対して、磁気コア20に対する測定対象導線Xの挿通方向(矢印Cの方向)で重なる位置を通過可能に構成されている。
【0058】
したがって、本例のクランプセンサ3では、第1のコア部材21の先端P21a,P21bに対する第2のシールド部材42の先端P42aや第2のコア部材22の先端P22aの引っ掛かりを生じさせることなく、第1のケース11に対して第2のケース12を矢印Bの向きへスムースにスライドさせることが可能となっている。また、第2のシールド部材42の先端P42aや第2のコア部材22の先端P22aを第1のコア部材21の先端P21bよりも把持部11b側にスライドさせることができるため、切欠き11sの全体を十分に開口することが可能となっている。
【0059】
この場合、前述したように、本例のクランプセンサ3では、第2のコア部材22における各「第2の凸部」において「第1の方向(矢印Bの方向)」側に位置する端部Pb)の測定対象導線Xの「挿通方向(矢印Cの方向)」に沿った厚みが「第1の方向」側ほど徐々に薄くなるように形成されている。したがって、閉状態から開状態に移行させるときに、第1のコア部材21と第2のコア部材22とが「挿通方向」において僅かに位置ずれした状態になったとしても、各「第1の凸部」の間に各「第2の凸部」の端部Pbをスムースに差し込んで各「第2の凸部」を「第1の凸部」に対してスムースに擦れ違わせることができる。
【0060】
具体的には、
図18の右図に示すように、閉状態から開状態への移行に際して第1のケース11に対して第2のケース12を矢印Bの向きにスライドさせているときに、一例として、「第1の凸部(プレート25aにおける先端P21b)に対して破線で示す位置に存在すべき「第2の凸部(プレート26aにおける先端P22a)」が「挿通方向(矢印Cの方向:本例では、同図における下向き)」に位置ずれして実線で示す位置に存在する状態となることがある。この際に、本例のクランプセンサ3では、プレート26aにおける先端P22aの端部Pbが矢印Bの向きほど徐々に薄くなるように第2のコア部材22が形成されると共に、プレート25aにおける先端P21bの端部Paが矢印Bとは逆向きの矢印Aの向きほど徐々に薄くなるように第1のコア部材21が形成されている。
【0061】
したがって、「第1の凸部」に対して「第2の凸部」が上記のように位置ずれした状態において第2のケース12をさらに矢印Bの向きに移動させたときに、「第1の凸部」における端部Paの最先端(同図における左端)に「第2の凸部」における端部Pbの最先端(同図における右端)が当接し難く、各「第1の凸部」の間に各「第2の凸部」をスムースに差し込むことができる。したがって、第2のケース12がさらに矢印Bの向きに移動させることで、
図19の右図に示すように、各「第1の凸部」と各「第2の凸部」とが矢印Cの向きで重なった状態を経て、各「第2の凸部」が各「第1の凸部」に対して矢印Bの向きにスムースに移動させられる。これにより、
図3に一点鎖線で示すように、開状態に移行したクランプセンサ3における第1のケース11の切欠き11sに測定対象導線Xを確実かつ容易に挿通させることが可能となる。
【0062】
なお、本例のクランプセンサ3の構成とは相違するが、閉状態から開状態に移行させるときに「第2のケース」に対して「第1のケース」をスライドさせる構成を採用したときには、「第1のコア部材」における各「第1の凸部」において「第1の方向」側に位置する「端部A」の「挿通方向」に沿った厚みを「第1の方向」側ほど徐々に薄くなるように形成することで、本例のクランプセンサ3と同様の効果を奏することができる。
【0063】
続いて、
図2に示すように、第1のケース11に対して第2のケース12を矢印Aの向き(前述の「仮想直線」の一例である荒破線L2に沿った方向の他の一例)にスライドさせて閉状態に移行させる。この際に、
図15に示すように、本例のクランプセンサ3では、開状態から閉状態に移行させられるときにも、第2のコア部材22における先端P22a側の「第2の凸部(プレート26a)」が、第1のコア部材21における先端P21b側の「第1の凸部(プレート25a)」に対して、磁気コア20に対する測定対象導線Xの挿通方向で重なる位置を通過可能に構成されている。また、
図16,26に示すように、本例のクランプセンサ3では、開状態から閉状態に移行させられるときにも、第2のシールド部材42における先端P42aが第1のコア部材21における先端P21b側の「第1の凸部(プレート25a)」および先端P21a側の「第1の凸部(プレート25a)」に当接しないように第2のシールド部材42が構成されている。
【0064】
したがって、本例のクランプセンサ3では、第1のコア部材21の先端P21b,P21aに対する第2のシールド部材42の先端P42aや第2のコア部材22の先端P22aの引っ掛かりを生じさせることなく、第1のケース11に対して第2のケース12を矢印Aの向きへスムースにスライドさせることが可能となっている。
【0065】
この場合、本例のクランプセンサ3では、上記のように開状態から閉状態に移行するときに、第2のコア部材22における先端P22a側の「第2の凸部(プレート26a)」が第1のコア部材21における先端P21b側の隣合う「第1の凸部(プレート25a)」の間を通過させられた後に先端P21a側の隣合う「第1の凸部(プレート25a)」の間に挿入される。また、第2のコア部材22における先端P22b側の「第2の凸部(プレート26a)」が第1のコア部材21における先端P21b側の隣合う「第1の凸部(プレート25a)」の間に挿入される。言い換えれば、開状態から閉状態に移行するときには、第1のコア部材21における先端P21b側の「第1の凸部(プレート25a)」が第2のコア部材22における先端P22a側の隣合う「第2の凸部(プレート26a)」の間を相対的に通過させられ、その後に、先端P21a側の「第1の凸部(プレート25a)」が先端P22a側の隣合う「第2の凸部(プレート26a)」の間に相対的に挿入されると共に、第1のコア部材21における先端P21b側の「第1の凸部(プレート25a)」が第2のコア部材22における先端P22b側の隣合う「第2の凸部(プレート26a)」の間に相対的に挿入される。
【0066】
したがって、第1のコア部材21の先端P21a,P21bに異物が付着していたとしても、この異物が第2のコア部材22のプレート26aによって先端P21a,P21bから押し避けられると共に、第2のコア部材22の先端P22a,P22bに異物が付着していたとしても、この異物が第1のコア部材21のプレート25aによって先端P22a,P22bから押し避けられる。これにより、閉状態において第1のコア部材21と第2のコア部材22との間に異物が挟み込まれた状態となるのが好適に回避される。
【0067】
この場合、前述したように、本例のクランプセンサ3では、第1のコア部材21における各「第1の凸部」において「第1の方向(矢印Bの方向)」側に位置する端部Pb)の「挿通方向(矢印Cの方向)」に沿った厚みが「第1の方向」側ほど徐々に薄くなるように形成されている。また、本例のクランプセンサ3では、第2のコア部材22における各「第2の凸部」において「第2の方向(矢印Aの方向)」側に位置する端部Pa)の「挿通方向(矢印Cの方向)」に沿った厚みが「第2の方向」側ほど徐々に薄くなるように形成されている。したがって、閉状態に移行させるときに第1のコア部材21と第2のコア部材22とが「挿通方向」において僅かに位置ずれした状態になったとしても、各「第1の凸部」の間に各「第2の凸部」の端部Paをスムースに差し込んで(各「第2の凸部」の間に各「第2の凸部」の端部Pbをスムースに差し込んで)各「第1の凸部」および各「第2の凸部」を「挿入方向」において確実に重なった状態とすることができる。
【0068】
具体的には、
図18の左図に示すように、開状態から閉状態への移行に際して第1のケース11に対して第2のケース12を矢印Aの向きにスライドさせているときに、一例として、「第1の凸部(プレート25aにおける先端P21a,P21b)に対して破線で示す位置に存在すべき「第2の凸部(プレート26aにおける先端P22a)」が「挿通方向(矢印Cの方向:本例では、同図における下向き)」に位置ずれして実線で示す位置に存在する状態となることがある。この際に、本例のクランプセンサ3では、プレート26aにおける先端P22aの端部Paが矢印Aの向きほど徐々に薄くなるように第2のコア部材22が形成されると共に、プレート25aにおける先端P21a,P21bの端部Pbが矢印Aとは逆向きの矢印Bの向きほど徐々に薄くなるように第1のコア部材21が形成されている。
【0069】
したがって、「第1の凸部」に対して「第2の凸部」が上記のように位置ずれした状態において第2のケース12をさらに矢印Aの向きに移動させたときに、「第1の凸部」における端部Pbの最先端(同図における右端)に「第2の凸部」における端部Paの最先端(同図における左端)が当接し難く、各「第1の凸部」の間に各「第2の凸部」をスムースに差し込むことができる。したがって、第2のケース12をさらに矢印Aの向きに移動させることで、
図19の左図に示すように、各「第1の凸部」と各「第2の凸部」とが
矢印Cの向きで重なった状態となり、磁気コア20が環状に配置された状態となる。
【0070】
この状態においては、
図8に示すように、第1のコア部材21における各「第1の凸部」の側面と、第2のコア部材22における各「第2の凸部」の側面とが十分広い面積で互いに面的に接触した状態となる。これにより、第1のコア部材21と第2のコア部材22とが十分な磁気的結合力で結合された状態となる。これにより、クランプセンサ3の閉状態への移行が完了し、測定対象導線Xを囲むようにして好適な環状閉磁路が形成される。
【0071】
また、このクランプセンサ3では、前述したように、閉状態に移行させられて磁気コア20が環状に配置された状態において、第1のコア部材21における先端P21a側の「第1の凸部(プレート25a)」と、第2のコア部材22における先端P22a側の「第2の凸部(プレート26a)」とが、磁気コア20に対する測定対象導線Xの挿通方向で重なるように構成されている。また、このクランプセンサ3では、第1のコア部材21における先端P21b側の「第1の凸部(プレート25a)」と、第2のコア部材22における先端P22b側の「第2の凸部(プレート26a)」とが、磁気コア20に対する測定対象導線Xの挿通方向で重なるように構成されている。
【0072】
したがって、ケーブル4や測定対象導線Xが引っ張られるなどしてケーシング10に外力が加わって僅かな歪みが生じたとしても、閉状態において、第1のコア部材21の先端P21a,P21bが第2のコア部材22における「第2の凸部(プレート26a)」に接触し、第2のコア部材22の先端P22a,P22bが第1のコア部材21における「第1の凸部(プレート25a)」に接触した状態が好適に維持される。このため、環状の閉磁路(磁気コア20)に、想定外の隙間が生じた状態となる事態が好適に回避される。
【0073】
さらに、本例のクランプセンサ3では、前述したように、閉状態に移行させられて第1のコア部材21および第2のコア部材22が環状に配置された状態において、第2のシールド部材42における先端P42sが第1のシールド部材41における先端P41aに近接配置されるように第1のシールド部材41および第2のシールド部材42が構成されている。したがって、周囲のノイズ成分が環状閉磁路に混入する事態を好適に回避することが可能となっている。この後、本体部2の操作部を操作して被測定量の測定を開始することにより、クランプセンサ3による検出結果に基づき、測定対象導線Xについての被測定量が測定される。
【0074】
このように、このクランプセンサ3では、閉状態において環状に配置される磁気コア20の周方向における一部を構成する第1のコア部材21、および第1のコア部材21とは別体に形成されて磁気コア20の周方向における他の一部を構成する第2のコア部材22と、第1のコア部材21を収容する第1のケース11、および第1のケース11に対する相対的なスライドが可能に構成されると共に第2のコア部材22を収容する第2のケース12とを備え、周方向に沿って突出する「第1の凸部(プレート25aの先端)」が第1のコア部材21における周方向の両端のうちの少なくとも一方の端部に設けられ、かつ周方向に沿って突出する「第2の凸部(プレート26aの先端)」が第2のコア部材22における周方向の両端部のうちの少なくとも一方の端部に設けられ、閉状態に移行させられて磁気コア20が環状に配置された状態において、「第1の凸部」と「第2の凸部」とが挿通方向で重なるように構成されている。
【0075】
また、この測定装置1では、上記のクランプセンサ3と、磁気コア20に対して挿通方向に挿通させられた測定対象導線Xについてのクランプセンサ3による検出量に基づいて予め規定された被測定量を測定する「測定部」を有する本体部2とを備えている。
【0076】
したがって、このクランプセンサ3および測定装置1によれば、第1のコア部材における周方向の両端部、および第2のコア部材における周方向の両端部をそれぞれ周方向に直行する平面状に形成し、閉状態において第1のコア部材の端面と第2のコア部材の端面とを面的に接触させる構造のクランプセンサと比較して、閉状態において、挿通方向に沿って見たときに、第1のコア部材21における周方向の両端部のうちの少なくとも一方の端部(本例では、両端部)に設けられた「第1の凸部」と第2のコア部材22における周方向の両端部のうちの少なくとも一方の端部(本例では、両端部)に設けられた「第2の凸部」とが重なる部位(「第1の凸部」側面および「第2の凸部の側面」)が互いに接触した状態となるようにすることで、閉状態における第1のコア部材21と第2のコア部材22との接触面積を大きくすることができる。これにより、磁気コア20を小形化したとしても、閉状態において第1のコア部材21および第2のコア部材22を十分な磁気的結合力で結合させた状態とすることができる。これにより、クランプセンサ3を一層小形化して狭所においても測定対象導線Xを確実かつ容易にクランプすることが可能となり、また、クランプセンサ3の感度を一層向上させることができる。
【0077】
また、このクランプセンサ3では、「第1の凸部」が第1のコア部材21における周方向の両端部にそれぞれ設けられ、かつ「第2の凸部」が第2のコア部材22における周方向の両端部にそれぞれ設けられると共に、閉状態に移行させられて磁気コア20が環状に配置された状態において、第1のコア部材21における一端側の「第1の凸部」と第2のコア部材22における一端側の「第2の凸部」とが「挿通方向」で重なり、かつ第1のコア部材21における他端側の「第1の凸部」と第2のコア部材22における他端側の「第2の凸部」とが「挿通方向で重なるように構成されている。
【0078】
したがって、このクランプセンサ3および測定装置1によれば、第1のコア部材21および第2のコア部材22の一端側だけに「第1の凸部」や「第2の凸部」を設けた構成と比較して、両コア部材21,22の両端において接触面積を大きくすることができる。これにより、環状の磁気コア20の全周において、閉状態における第1のコア部材21および第2のコア部材22の磁気的結合力を十分に向上させることができる。これにより、磁気コア20の周方向のいずれかに、他の部位よりも検出感度が低い部位が生じる事態を好適に回避することができる。
【0079】
また、このクランプセンサ3では、「第1の凸部」および「第2の凸部」のうちの少なくとも一方の凸部が「挿通方向」において並ぶように複数設けられると共に、複数の「少なくとも一方の凸部」の間に「他方の凸部」が挟み込まれた状態となるように構成されている。
【0080】
したがって、このクランプセンサ3および測定装置1によれば、複数の「第1の凸部」が磁気コア20に対する測定対象導線Xの挿通方向で並んでいるクランプセンサを第1のケース11に対する第2のケース12の「仮想直線(
図24,25に示す荒破線L2)」に沿った相対的なスライドによって開状態から閉状態に移行させるときに、第1のコア部材21における先端P21a,P21aの間や先端P21b,P21bの間に挟み込まれるようにして異物が付着していたとしても、この異物を第2のコア部材22における「第2の凸部(先端P22a,P22b)」によって押し避けることができる。また、複数の「第2の凸部」が磁気コア20に対する測定対象導線Xの挿通方向で並んでいるクランプセンサを開状態から閉状態に移行させるときに、第2のコア部材22における先端P22a,P22aの間や先端P22b,P22bの間に挟み込まれるようにして異物が付着していたとしても、この異物を第1のコア部材21における「第1の凸部(先端P21a,P21b)」によって押し避けることができる。これにより、閉状態において第1のコア部材21および第2のコア部材22の間に異物が挟み込まれた状態となるのを好適に回避することができる。さらに、測定対象導線Xをクランプした状態において第1のケース11や第2のケース12に意図しない外力が加わって両ケース11,12に小さな歪みが生じた状態となっても、「第1の凸部」における突端部が「第2の凸部」の側面に当接した状態、および/または、「第2の凸部」における突端部が「第1の凸部」の側面に当接した状態となって第1のコア部材21と第2のコア部材22とが互いに接した状態を維持することができ、環状の閉磁路に隙間が生じた状態となるのを好適に回避することができる。これにより、このクランプセンサ3および測定装置1によれば、測定対象導線Xについての被検出量を高精度に検出することができ、この結果、被測定量を高精度に測定することができる。
【0081】
この場合、本例の測定装置1におけるクランプセンサ3のように、閉状態に移行させられて環状に配置された状態の磁気コア20を磁気コア20に対する測定対象導線Xの挿通方向に沿って見たときに第1のコア部材21における周方向の両先端P21a,P21bにおいて磁気コア20の内周側縁部(
図24,25に示す破線L1の部位)に対して交差する(本例では、直交する)仮想直線(
図24,25における荒破線L2)に沿って第2のケース12が第1のケース11に対して相対的にスライド可能に構成したことで、開状態から閉状態に移行させるときに、第1のコア部材21における先端P21a,P21aの間に第2のコア部材22における先端P22a,P22aを側方から進入させることができる。これにより、先端P21b,P21bの間に存在する異物を好適に押し避けることができると共に、第1のコア部材21における先端P21b,P21bの間に第2のコア部材22における先端P22b,P22bを側方から進入させることができるため、端P21b,P21bの間に存在する異物を好適に押し避けることができる。したがって、磁気コア20の内周側縁部に対する仮想直線の交差角度が十分に大きい(前述の角度範囲θ2の角度である90°)本例のクランプセンサ3によれば、環状の閉磁路に隙間が生じた状態となるのを確実に回避することができ、測定対象導線Xについての被検出量を高精度に検出することができる結果、被測定量を高精度に測定することができる。
【0082】
また、このクランプセンサ3では、第1のケース11に対する第2のケース12の相対的なスライドによって閉状態から開状態に移行させられるとき、および開状態から閉状態に移行させられるときに、先端P22a側の「第2の凸部」が先端P21b側の「第1の凸部」に対して挿通方向で重なる位置を通過可能に構成されている。
【0083】
したがって、このクランプセンサ3および測定装置1によれば、先端P22a側の「第2の凸部」と先端P21b側の「第1の凸部」とが当接して第1のケース11に対する第2のケース12の相対的なスライドが妨げられる事態を招くことなくクランプセンサ3を開状態に移行させ、これを閉状態に復帰させることができる。これにより、第1のコア部材21の内側に測定対象導線Xを挿通させた状態とするときには、第1のコア部材21の内側への測定対象導線Xの相対的な移動が第2のコア部材22によって妨げられる事態が回避される。また、第2のコア部材22の内側に測定対象導線Xを挿通させた状態とするときには、第2のコア部材22の内側への測定対象導線Xの相対的な移動が第1のコア部材21によって妨げられる事態が回避される。このため、測定対象導線Xをスムースにクランプすることができる。
【0084】
また、このクランプセンサ3では、第1のコア部材21における外周部に配設されて第1のコア部材21と共に第1のケース11に収容された第1のシールド部材41、および第2のコア部材22における外周部に配設されて第2のコア部材22と共に第2のケース12に収容された第2のシールド部材42を備え、第1のシールド部材41は、クランプセンサ3が閉状態から開状態に移行させられるとき、および開状態から閉状態に移行させられるときに、周方向における第1のシールド部材41の両先端P41a,P41bのうちのプレート25aの先端P21bの近傍に位置する先端P41bがプレート26aの先端P22bに当接しないように(第1のシールド部材41が第2のコア部材22に当接しないように)第1のケース11内に収容され、第2のシールド部材42は、クランプセンサ3が閉状態から開状態に移行させられるとき、および開状態から閉状態に移行させられるときに、周方向における第2のシールド部材42の両先端P42a,P42bのうちのプレート26aの先端P22aの近傍に位置する先端P42aがプレート25aの先端P21aに当接しないように(第2のシールド部材42が第1のコア部材21に当接しないように)第2のケース12内に収容されている。
【0085】
したがって、このクランプセンサ3および測定装置1によれば、第1のコア部材21に対する第2のコア部材22の相対的なスライドが妨げられる事態を招くことなく、閉状態において、磁気コア20にノイズ成分が混入する事態を第1のシールド部材41および第2のシールド部材42の存在によって好適に回避することができる。
【0086】
また、このクランプセンサ3では、第1のシールド部材41が、クランプセンサ3が閉状態から開状態に移行させられるとき、および開状態から閉状態に移行させられるときに、先端P41bが第2のコア部材22の先端P22aに当接しないように第1のケース11に収容され、第2のシールド部材42が、クランプセンサ3が閉状態から開状態に移行させられるとき、および開状態から閉状態に移行させられるときに、先端P42aが第1のコア部材21の先端P21aに当接しないように第2のコア部材22に収容されている。
【0087】
したがって、このクランプセンサ3および測定装置1によれば、第1のシールド部材41における先端P41bと第2のコア部材22における先端P22aとが当接したり、第2のシールド部材42における先端P42aと第1のコア部材21における先端P21bとが当接したりして第1のケース11に対する第2のケース12の相対的なスライドが妨げられる事態を招くことなくクランプセンサ3を開状態に移行させ、これを閉状態に復帰させることができる。これにより、第1のコア部材21の内側に測定対象導線Xを挿通させた状態とするときには、第1のコア部材21の内側への測定対象導線Xの相対的な移動が第2のコア部材22や第2のシールド部材42によって妨げられる事態が回避される。また、第2のコア部材22の内側に測定対象導線Xを挿通させた状態とするときには、第2のコア部材22の内側への測定対象導線Xの相対的な移動が第1のコア部材21や第1のシールド部材41によって妨げられる事態が回避される。このため、測定対象導線Xをスムースにクランプすることができる。
【0088】
また、このクランプセンサ3では、「第1の凸部」においてクランプセンサ3を閉状態から開状態に移行させるときの第1のケース11に対する第2のケース12の仮想直線に沿った相対的なスライドの方向である「第1の方向(各図における矢印Bの方向)」側に位置する端部Pb、「第2の凸部」において「第1の方向」側に位置する端部Pb、「第1の凸部」においてクランプセンサ3を開状態から閉状態に移行させるときの第1のケース11に対する第2のケース12の仮想直線に沿った相対的なスライドの方向である「第2の方向(各部における矢印Aの方向)」側に位置する端部Pa、および「第2の凸部」において「第2の方向」側に位置する端部Paにおいて、「挿通方向」に沿った厚みが徐々に薄くなるように形成されている。
【0089】
したがって、このクランプセンサ3および測定装置1によれば、クランプセンサ3を閉状態から開状態に移行させるときや開状態から閉状態に移行させるときに、「第1の凸部」と「第2の凸部」とが挿通方向において僅かに位置ずれした状態になったとしても「第1の凸部」と「第2の凸部」とがスライド方向において当接し難いため、第1のケース11に対して第2のケース12を好適にスライドさせることができる。
【0090】
また、このクランプセンサ3では、第1のコア部材21を収容する収容部11aと把持部11bとが
図2,3に示す矢印A,Bの方向に沿って並んで配設されて第1のケース11が構成され、第2のコア部材22を収容する収容部12aが配設されると共に、第1のケース11に対して矢印A,Bの方向に沿って相対的にスライド可能に第2のケース12が構成されている。したがって、このクランプセンサ3および測定装置1によれば、例えば収容部11aと把持部11bとを側面視L字状に配置した構成と比較して、狭所に存在する測定対象導線Xについても棒状(直線状)に形成されているクランプセンサ3を容易に差し込んで確実かつ容易に測定対象導線Xをクランプすることができる。
【0091】
なお、「クランプセンサ」および「測定装置」の構成は、上記のクランプセンサ3や測定装置1の構成の例に限定されない。
【0092】
例えば、開状態において収容部11aの上方から第2のケース12を待避させて切欠き11sを完全に開口することができるように、第1のケース11に対する第2のケース12の相対的なスライドによって閉状態から開状態に移行させられるとき、および開状態から閉状態に移行させられるときに、第2のコア部材22の先端P22a(一端側の第2の凸部)が第1のコア部材21の先端P21b(他端側の第1の凸部)に対して挿通方向で重なる位置を通過可能に構成した例について説明した。このような構成に代えて、開状態においてケース12の先端部側の一部が収容部11aの上方に位置した状態、すなわち、切欠き11sが部分的に開口された状態となるように構成するころができる。
【0093】
具体的には、
図27に示すように、一例として、閉状態から開状態に移行させたときに、第2のコア部材22の先端P22a(一端側の第2の凸部)が第1のコア部材21の先端P21b(他端側の第1の凸部)に対して挿通方向で重なる位置で第1のケース11に対する第2のケース12の相対的なスライドが停止させられる構成、すなわち、閉状態において第2のコア部材22の先端P22a(一端側の第2の凸部)が第1のコア部材21の先端P21b(他端側の第1の凸部)に対して挿通方向で重なった状態となる構成を採用することができる。このような構成を採用したときにおいても、切欠き11sが十分に広く開口された状態となるため、検出対象導体をスムースにクランプすることができる。
【0094】
また、閉状態から開状態に移行させられるときに、第2のコア部材22の先端P22a(一端側の第2の凸部)が第1のコア部材21の先端P21b(他端側の第1の凸部)に対して挿通方向で重なる位置まで第1のケース11に対して第2のケース12が相対的にスライドしないように構成することもできる。
【0095】
また、開状態においてケース12の先端部側の一部が収容部11aの上方に位置した状態、すなわち、切欠き11sが部分的に開口された状態となる構成を採用したときには、開状態から閉状態に移行させられるときに、第1のシールド部材41の先端P41bが第2のコア部材22の先端P22a(一端側の第2の凸部)に当接し、第2のシールド部材42が、閉状態から開状態に移行させられるとき、および開状態から閉状態に移行させられるときに、その先端P42aが第1のコア部材21における先端P21b(他端側の第1の凸部)に当接するように構成することができる。
【0096】
また、「第1の凸部」における「端部A」および「端部C」、並びに「第2の凸部」における「端部B」および「端部D」のすべてにおいて「挿通方向」に沿った厚みを端部に向かって徐々に薄くなるように構成した例について説明したが「端部A」~「端部D」のうちの少なくとも1箇所において「挿通方向」に沿った厚みを端部に向かって徐々に薄くすることで、その「端部」が他の「凸部」に当接し難い構成とすることができる。
【0097】
この場合、一例として、
図20の右図に示すように、プレート25aにおける先端P21bの端部Paが矢印Bとは逆向きの矢印Aの向きほど徐々に薄くなるように第1のコア部材21を形成すれば、プレート26aにおける先端P22aの端部Pbについては、その厚みを徐々に薄くしなくても、「第1の凸部」における端部Paの最先端(同図における左端)に「第2の凸部」における端部Pbの最先端(同図における右端)が当接し難くなる。このため、各「第1の凸部」の間に各「第2の凸部」をスムースに差し込むことができ、
図21の右図に示すように、各「第1の凸部」と各「第2の凸部」とが矢印Cの向きで重なった状態を経て、各「第2の凸部」を各「第1の凸部」に対して矢印Bの向きにスムースに移動させることができる。なお、図示を省略するが、プレート26aにおける先端P22bの端部Pbが矢印Bの向きほど徐々に薄くなるように第2のコア部材22を形成すれば、プレート25aにおける先端P21aの端部Paについては、その厚みを徐々に薄くしなくても、「第1の凸部」における端部Paの最先端に「第2の凸部」における端部Pbの最先端が当接し難くなる。
【0098】
また、一例として、
図20の左図に示すように、プレート25aにおける先端P21a、および/または先端P21bの端部Pbが矢印Aとは逆向きの矢印Bの向きほど徐々に薄くなるように第1のコア部材21を形成すれば、プレート26aにおける先端P22a、および/または先端P22bの端部Pbについては、その厚みを徐々に薄くしなくても、「第1の凸部」における端部Pbの最先端(同図における右端)に「第2の凸部」における端部Paの最先端(同図における左端)が当接し難くなる。このため、各「第1の凸部」の間に各「第2の凸部」をスムースに差し込むことができ、
図21の左図に示すように、各「第1の凸部」と各「第2の凸部」とが矢印Cの向きで重なった状態まで矢印Aの向きにスムースに移動させることができる。なお、図示を省略するが、プレート26aにおける先端P22a、および/または先端P22bの端部Paが矢印Aの向きほど徐々に薄くなるように第2のコア部材22を形成すれば、プレート25aにおける先端P21a、および/または先端P21bの端部Pbについては、その厚みを徐々に薄くしなくても、「第1の凸部」における端部Paの最先端に「第2の凸部」における端部Pbの最先端が当接し難くなる。
【0099】
また、第1のケース11に対する第2のケース12の相対的なスライド方向で先端P21a,P21bが重なるように第1のコア部材21が構成されると共に、スライド方向で先端P22a,P22bが重なるように第2のコア部材22が構成された磁気コア20を備えたクランプセンサ3を例に挙げて説明した。このような構成に代えて、
図28に示すクランプセンサ3Bにおける磁気コア20Bのように、スライド方向で先端P21a,P21bが重ならない第1のコア部材21B(「第1のコア部材」の他の一例)が構成されると共に、スライド方向で先端P22a,P22bが重ならないように第2のコア部材22B(「第2のコア部材」の他の一例)が構成された磁気コア20Bを備えて構成することもできる。なお、磁気コア20Bにおける両コア部材21B,22Bにおける先端P21a,P21b,P22a,P22bの形状等は、前述した磁気コア20における両コア部材21,22と同様のため、詳細な説明を省略する。
【0100】
また、閉状態において側面視矩形状の環状閉磁路を形成可能な磁気コア20を備えた例について説明したが、閉状態の「磁気コア」によって形成される環状閉磁路の側面視形状は、円形、楕円形および不定形などの各種の形状とすることができる。
【0101】
また、第1のコア部材21の先端P21a,P21bにそれぞれ4つの「第1の凸部」が設けられると共に、第2のコア部材22の先端P22a,P22bにそれぞれ4つの「第2の凸部」が設けられた磁気コア20を備えた構成を例に挙げて説明した。しかしながら、「第1のコア部材」の一端側および他端側に設ける「第1の凸部」の数や、「第2のコア部材」の一端側および他端側に設ける「第2の凸部」の数はこれに限定されない。例えば、「第1の凸部」の数と、「第2の凸部」の数とが異なる構成、具体的には、一例として、「第1の凸部」の数を3つとし、「第2の凸部」の数を2つとしたり、「第1の凸部」の数を2つとし、「第2の凸部」の数を3つとしたりすることができる。また、「第1の凸部」および「第2の凸部」のいずれか一方の凸部を複数とし、他方の凸部については1つとすることもできる。
【0102】
また、「第1の凸部」および「第2の凸部」の数をそれぞれ1つとすることもできる。具体的には、一例として、
図29の左図に示すクランプセンサ3Cにおける磁気コア20Cのように、第1のコア部材21C(「第1のコア部材」の他の一例)の先端P21Cに1つの「第1の凸部」を形成すると共に、第2のコア部材22C(「第2のコア部材」の他の一例)の先端P22Cに1つの「第2の凸部」を形成することができる。
【0103】
この場合、「第1の凸部」や「第2の凸部」は、上記の第1のコア部材21Cの「第1の凸部」(先端P21C)や第2のコア部材22Cの「第2の凸部」(先端P22C)のような「正面視矩形状」の形状(環状磁路に対して正面視において直交する突端面が存在する形状)に限定されない。具体的には、
図29の右図に示すクランプセンサ3Dにおける磁気コア20Dのように、第1のコア部材21D(「第1のコア部材」の他の一例)の先端P21D(「第1の凸部」の他の一例)を、環状磁路に対して正面視において斜めに交差する斜面で構成すると共に、第2のコア部材22D(「第2のコア部材」の他の一例)の先端P22D(「第2の凸部」の他の一例)を、環状磁路に対して正面視において斜めに交差する斜面で構成することができる。
【0104】
また、プレート25a,25bを積層して形成した第1のコア部材21や、プレート26a,26bを積層して形成した第2のコア部材22を備えた構成を例に挙げて説明した。このような構成に代えて、型枠形成や切削加工などによって第1のコア部材21と同形状の「第1のコア部材」や第2のコア部材22と同形状の「第2のコア部材」を形成して「磁気コア」を構成することもできる。さらに、第1のコア部材21にギャップGが設けられた磁気コア20を備えた構成を例に挙げて説明したが、「第1のコア部材」にギャップを設けずに「第2のコア部材」にギャップを設けて「磁気コア」を構成したり、「第1のコア部材」および「第2のコア部材」の双方にギャップを設けずに「磁気コア」を構成したりすることもできる。
【0105】
また、前述のクランプセンサ3におけるシールド40の構成を改変して閉状態におけるシールド効果を向上させることができる。具体的には、
図22,23に示すクランプセンサ3Aでは、「第1のシールド部材」の他の一例である第1のシールド部材41aが、磁気コア20の周方向における第1のシールド部材41aの両先端P41a,P41bのうちの「他端側の第1の凸部(プレート25aにおける先端P21a)」の近傍に位置する先端P41aが周方向において「他端側の第1の凸部」から突出するように形成されて、クランプセンサ3が開状態(
図22に示す状態)から閉状態(
図23に示す状態)に移行させられたときに、先端P41aに「第2のシールド部材」の他の一例である第2のシールド部材42aの先端P42a(「他端側の第2の凸部」の近傍に位置する端部)が当接するように「第1のケース」内に収容されている。また、このクランプセンサ3Aでは、第2のシールド部材42aが、磁気コア20の周方向における第2のシールド部材42aの両先端P42a,P42bのうちの「一端側の第2の凸部(プレート26aにおける先端P22b)」の近傍に位置する先端P42bが周方向において「一端側の第2の凸部」から突出するように形成されて、クランプセンサ3Aが開状態から閉状態に移行させられたときに、先端P42bに第1のシールド部材41aの先端P42bが当接するように「第2のケース」内に収容されている。
【0106】
このような構成を採用することにより、クランプセンサ3Aを開状態または閉状態に移行させるときに第1のシールド部材41aや第2のシールド部材42aが磁気コア20(第1のコア部材および第2のコア部材)に当接して第1のケース11に対する第2のケースのスライドが妨げられる事態を招くことなく、閉状態において両シールド部材41a,41bの隙間からノイズが混入する事態を好適に回避することができる。
【0107】
この場合、「第1のコア部材」における周方向の両端部、および「第2のコア部材」における周方向の両端部がそれぞれ周方向に直行する平面状に形成されて、閉状態において「第1のコア部材」の端面と「第2のコア部材」の端面とが面的に接触させられる構造のクランプセンサよりも磁気的結合力を強化するには、閉状態において「第1のコア部材」における周方向の両端部のうち少なくとも一方の端部と「第2のコア部材」における周方向の両端部のうち少なくとも一方の端部とが互いに接触する面積を、「第1のコア部材」における周方向に直交する向きの断面積や「第2のコア部材」における周方向に直交する向きの断面積よりも大きくすればよい。
【0108】
具体的には、前述のクランプセンサ3などでは、閉状態において「第1の凸部」の側面と「第2の凸部」の側面とが十分広い面積で互いに面的に接触した状態となるように、「第1の凸部」における周方向の長さ(突出長)や径方向(スライド方向)の長さを十分な長さとして、「第1の凸部」の側面、および「第2の凸部」の側面の面積を大きくし、これにより、「第1のコア部材」と「第2のコア部材」とが互いに接触する面積を大きくしている。このように、「第1の凸部」の側面と「第2の凸部」の側面とが互いに接した状態となる構成を採用したときには、「第1の凸部」や「第2の凸部」における周方向の長さ(突出長)および径方向(スライド方向)の長さの少なくとも一方を一層長くすることで、「第1のコア部材」と「第2のコア部材」とが互いに接触する面積を一層大きくして「第1のコア部材」と「第2のコア部材」との磁気的結合力を一層強化することができる。
【0109】
また、閉状態において「第1の凸部」および「第2の凸部」の側面同士が接触する構成に加えて、「第1の凸部」の突端面が「第2のコア部材」に接触するように構成したり、「第2の凸部」の突端面が「第1のコア部材」に接触するように構成したりすることで、それらの面積の分だけ、「第1のコア部材」と「第2のコア部材」とが互いに接触する面積を大きくして「第1のコア部材」と「第2のコア部材」との磁気的結合力を一層強化することができる。
【0110】
また、前述のクランプセンサ3などのように、「第1の凸部」および「第2の凸部」のうちの「少なくとも一方の凸部」を「挿通方向」において並ぶように複数設けられると共に、複数の「少なくとも一方の凸部」の間に「第1の凸部」および「第2の凸部」のうちの「他方の凸部」が挟み込まれた状態となるよう構成することにより、「第1の凸部」および「第2の凸部」をそれぞれ1つずつ設けた構成と比較して、「他方の凸部」の両側面が、並んでもうけられた2つの「少なくとも一方の凸部」の側面にそれぞれ接触した状態となる。これにより、「第1のコア部材」と「第2のコア部材」とが互いに接触する面積を一層大きくして「第1のコア部材」と「第2のコア部材」との磁気的結合力を一層強化することができる。
【0111】
さらに、前述のクランプセンサ3などのように、「第1のコア部材」における周方向の両端部に「第1の凸部」をそれぞれ設けると共に「第2のコア部材」における周方向の両端部に「第2の凸部」をそれぞれ設けることにより、「第1のコア部材」における周方向の両端部のうちの一方だけに「第1の凸部」を設けると共に「第2のコア部材」における周方向の両端部のうちの一方だけに「第2の凸部」を設けた構成と比較して、閉状態において、「第1のコア部材」における周方向の一方の端部の「第1の凸部」と「第2のコア部材」における周方向の一方の端部の「第2の凸部」とが互いに接すると共に、「第1のコア部材」における周方向の他方の端部の「第1の凸部」と「第2のコア部材」における周方向の他方の端部の「第2の凸部」とが互いに接することで、「第1のコア部材」と「第2のコア部材」とが互いに接触する面積を十分に大きくすることができる。これにより、「第1のコア部材」と「第2のコア部材」との磁気的結合力を十分に強化することができる。
【0112】
なお、「第1のコア部材」における周方向の両端部に「第1の凸部」を設けると共に「第2のコア部材」における周方向の両端部に「第2の凸部」を設けた例について説明した。このような構成に代えて、「第1のコア部材」における周方向の両端部のいずれか一方のみに「第1の凸部」を設けると共に「第2のコア部材」における周方向の両端部のいずれか一方のみに「第2の凸部」を設けることができる。このように両端部のいずれか一方のみに「第1の凸部」および「第2の凸部」を設けた構成においても、それらを設けた端部における「第1のコア部材」と「第2のコア部材」との磁気的結合力を十分に高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明によれば、閉状態において、挿通方向に沿って見たときに第1の凸部と第2の凸部とが重なる部位(第1の凸部側面および第2の凸部の側面)が互いに接触した状態となるようにすることで、閉状態における第1のコア部材と第2のコア部材との接触面積を大きくすることができるこれにより、磁気コアを小形化したとしても、閉状態において第1のコア部材および第2のコア部材を十分な磁気的結合力で結合させた状態とすることができるため、クランプセンサを一層小形化して狭所においても検出対象導体を確実かつ容易にクランプすることが可能となり、また、クランプセンサの感度を一層向上させることができる。これにより、本発明は、クランプセンサおよび測定装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0114】
1 測定装置
2 本体部
3,3A~3C クランプセンサ
4 ケーブル
10 ケーシング
11 第1のケース
11a,12a 収容部
11b 把持部
11s 切欠き
12 第2のケース
13 操作用ノブ
20,20B~20D 磁気コア
21,21a,21b,21B 第1のコア部材
22,22B 第2のコア部材
25a,25b,26a,26b プレート
30 磁気検出素子
40 シールド
41,41a 第1のシールド部材
42,42a 第2のシールド部材
50 巻線
G ギャップ
L1 破線
L2,L2a,L2b 荒破線
P21a,P21b,P22a,P22b,P41a,P41b,P42a,P42b 先端
Pa,Pb 端部
Ta,Tb 厚み
X 測定対象導線
θ1 交差角度
θ2 角度範囲