(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050413
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】評価部位の精度管理方法及び製造方法
(51)【国際特許分類】
B62D 65/00 20060101AFI20240403BHJP
G06F 30/23 20200101ALI20240403BHJP
【FI】
B62D65/00 Z
B62D65/00 C
G06F30/23
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116680
(22)【出願日】2023-07-18
(31)【優先権主張番号】202211213208.2
(32)【優先日】2022-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】塩飽 淳
(72)【発明者】
【氏名】井上 祐太朗
(72)【発明者】
【氏名】小林 康太
【テーマコード(参考)】
3D114
5B146
【Fターム(参考)】
3D114AA01
3D114BA13
3D114CA05
3D114CA11
3D114EA01
3D114HA02
3D114HA03
5B146AA05
5B146AA07
5B146BA04
5B146DC01
5B146DC06
5B146DJ02
5B146DJ07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】少ないデータで、部品の精度に関して相関のある回帰式を求める評価部位の精度管理方法及び方法を提供する。
【解決手段】方法は、完成部品の3Dモデル上の単品部品同士の接合部に変位を加えた際の完成部品の評価部位の変化量を有限要素解析によって求め、重要評価部位と、その時の3Dモデル上の接合部である重要接合部との組み合わせを抽出し、重要接合部に相当する実物の組み合わせ前の単品部品の接合部の実測値データを説明変数とし、重要評価部位に相当する実物の完成部品の評価部位の実測値データを目的変数とし、Lasso回帰により回帰モデルを生成し、実測値データによって得られた説明変数と目的変数の関係性と回帰モデルを用いてベイズ推定を行うことにより、偏回帰係数確率分布を得、完成部品の評価部位の計測データの値が許容値を超えた場合に、単品部品の修正部位を選定し、修正した単品部品を用いて完成部品を製造する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単品部品を組み合わせて構成される完成部品の製造方法であって、
前記完成部品の3Dモデルに対して、前記3Dモデル上の単品部品同士の接合部に変位を加えた際の前記3Dモデル上の前記完成部品の評価部位の変化量を有限要素解析によって求める第1ステップと、
前記3Dモデル上における前記評価部位の変化量が相対的に大きい重要評価部位と、その時の前記3Dモデル上の接合部である重要接合部との組み合わせを抽出する第2ステップと、
前記重要接合部に相当する実物の組み合わせ前の単品部品の接合部の実測値データを説明変数とし、
前記重要評価部位に相当する実物の完成部品の評価部位の実測値データを目的変数とし、
Lasso回帰により回帰モデルを生成する第3ステップと、
前記実測値データによって得られた説明変数と目的変数の関係性と前記回帰モデルを用いてベイズ推定を行うことにより、偏回帰係数確率分布を得る第4ステップと、
前記完成部品の評価部位の計測データの値が許容値を超えた場合に、偏回帰係数確率分布の平均値と分布の広がりから単品部品の修正部位を選定する第5ステップと、
前記修正した単品部品を用いて前記完成部品を製造する第6ステップと、
を備えることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
複数の単品部品を組み合わせて構成される完成部品の評価部位の精度管理方法であって、
前記完成部品の3Dモデルに対して、前記3Dモデル上の単品部品同士の接合部に変位を加えた際の前記3Dモデル上の評価部位の変化量を有限要素解析によって求める第1ステップと、
前記3Dモデル上における前記評価部位の変化量が相対的に大きい重要評価部位と、その時の前記3Dモデル上の接合部である重要接合部との組み合わせを抽出する第2ステップと、
前記重要接合部に相当する実物の組み合わせ前の単品部品の接合部の実測値データを説明変数とし、
前記重要評価部位に相当する実物の完成部品の評価部位の実測値データを目的変数とし、
Lasso回帰により回帰モデルを生成する第3ステップと、
前記実測値データによって得られた説明変数と目的変数の関係性と前記回帰モデルを用いてベイズ推定を行うことにより、偏回帰係数確率分布を得る第4ステップと、
前記完成部品の評価部位の計測データの値が許容値を超えた場合に偏回帰係数確率分布の平均値と分布の広がりから単品部品の修正部位を選定する第5ステップと、
を備えることを特徴とする評価部位の精度管理方法。
【請求項3】
前記第2ステップにおいて、前記変化量と前記接合部における単品部品の同士の剛性関係を用いて、前記重要評価部位と、前記重要接合部とを決める、請求項2に記載の評価部位の精度管理方法。
【請求項4】
前記第3ステップにおいて、前記重要接合部における二つの打点面同士の距離と一方の面の基準位置からのずれ量を用いてLasso回帰を行う、請求項2又は3に記載の評価部位の精度管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価部位の精度管理方法及び製造方法に関する。特には、車両の組付けについての、シミュレーションを活用した多項式モデル寄与度確率分布の推定に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の部品や車両構成部材の各組付け工程ごとに、予め設定されたそれぞれの組付け位置を測定して組付け位置データとし、それらの組付け位置データを記憶、すなわち集積しておく。また、完成車両の複数の組付け位置の組付け精度を測定して基準組付け位置データとする。この基準組付け位置データを目的変数とし、複数の部品や車両構成部材の組付け位置データを説明変数とし、基準組付け位置データに相対的に大きな影響を与え得る一つまたは複数の組付け位置データ、例えば、部品やサブアセンブリ工程における位置データを、回帰分析に基づいて特定する技術が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
設定された回帰式が実測値を精度よく反映するものか否かを判断する指標となる相間係数、すなわち重相間係数は、適宜の値、例えば、0.8などに設定する必要がある。ただし、目的変数が多くなればなるほど、精度の良い相関係数を求めるためには多量のデータが必要になる。そのためには多くのワークの台数が必要になる。しかし、量産前の試作段階の状態では、ワーク台数を確保することが困難であり、少ないデータで相関のある回帰式を求めることが求められる。そこで本発明は、少ないデータで、部品の精度に関して、相関のある回帰式を求める、評価部位の精度管理方法及び製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の製造方法は、複数の単品部品を組み合わせて構成される完成部品の製造方法であって、完成部品の3Dモデルに対して、3Dモデル上の単品部品同士の接合部に変位を加えた際の3Dモデル上の完成部品の評価部位の変化量を有限要素解析によって求める第1ステップと、3Dモデル上における評価部位の変化量が相対的に大きい重要評価部位と、その時の3Dモデル上の接合部である重要接合部との組み合わせを抽出する第2ステップと、重要接合部に相当する実物の組み合わせ前の単品部品の接合部の実測値データを説明変数とし、重要評価部位に相当する実物の完成部品の評価部位の実測値データを目的変数とし、Lasso回帰により回帰モデルを生成する第3ステップと、実測値データによって得られた説明変数と目的変数の関係性と回帰モデルを用いてベイズ推定を行うことにより、偏回帰係数確率分布を得る第4ステップと、完成部品の評価部位の計測データの値が許容値を超えた場合に、偏回帰係数確率分布の平均値と分布の広がりから単品部品の修正部位を選定する第5ステップと、修正した単品部品を用いて完成部品を製造する第6ステップと、を備える。
【0006】
このような方法によれば、3Dモデルを用いて重要評価部位と重要接合部を特定することで目的変数を減らすことができ、実測データと組み合わせて回帰モデルを作成することで、現物での評価に即した回帰モデルを作成することができる。また、偏回帰係数確率分布をベイズ推定により予測することより、現物の偏りを考慮した目的変数、つまり評価部位への寄与度が高い単品部品の接合部を選ぶことができ、効果的に評価部位の補正を行うことが可能となる。また適正に補正された単品部品を用いることで、精度の高い完成部品を製造することができる。
【0007】
本発明の評価部位の精度管理方法は、複数の単品部品を組み合わせて構成される完成部品の評価部位の精度管理方法であって、完成部品の3Dモデルに対して、3Dモデル上の単品部品同士の接合部に変位を加えた際の3Dモデル上の評価部位の変化量を有限要素解析によって求める第1ステップと、3Dモデル上における評価部位の変化量が相対的に大きい重要評価部位と、その時の3Dモデル上の接合部である重要接合部との組み合わせを抽出する第2ステップと、重要接合部に相当する実物の組み合わせ前の単品部品の接合部の実測値データを説明変数とし、重要評価部位に相当する実物の完成部品の評価部位の実測値データを目的変数とし、Lasso回帰により回帰モデルを生成する第3ステップと、実測値データによって得られた説明変数と目的変数の関係性と回帰モデルを用いてベイズ推定を行うことにより、偏回帰係数確率分布を得る第4ステップと、完成部品の評価部位の計測データの値が許容値を超えた場合に偏回帰係数確率分布の平均値と分布の広がりから単品部品の修正部位を選定する第5ステップと、を備える。
【0008】
このような方法によれば、3Dモデルを用いて重要評価部位と重要接合部を特定することで目的変数を減らすことができ、実測データと組み合わせて回帰モデルを作成することで、現物での評価にあった回帰モデルを作成することができる。また、偏回帰係数確率分布をベイズ推定により予測することで、現物の偏りを考慮した目的変数、つまり評価部位への寄与度が高い単品部品の接合部を選ぶことができ、効果的に評価部位の補正を行うことが可能となる。
【0009】
本発明の評価部位の精度管理方法は、第2ステップにおいて、変化量と接合部における単品部品の同士の剛性関係を用いて、重要評価部位と、重要接合部とを決めることができる。
【0010】
このような方法によれば、単品同士の剛性関係を考慮することによって、完成部品の解析では判別が困難な、部品同士の変位のしやすさを考慮することができるため、より正確な重要部位を特定することができ、結果として現物との相関がある回帰式を導くことができる。
【0011】
本発明の評価部位の精度管理方法は、第3ステップにおいて、重要接合部における二つの打点面同士の距離と一方の面の基準位置からのずれ量を用いてLasso回帰を行うことができる。
【0012】
このような方法によれば、単品部品ごとに回帰を行うよりも因子数を減らすことが可能となるため、正確な回帰式を導くことが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、少ないデータで、部品の精度に関して、相関のある回帰式を求める、評価部位の精度管理方法及び製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態の精度管理方法の各ステップを示すフロー図である。
【
図5】本実施形態の精度管理方法の各ステップを示す別のフロー図である。
【
図8】(a)は打点面精度を示し、(b)はトータルギャップを示す図である。
【
図10】ベイズ推定による事後分布を示す図である。
【
図11】本実施形態の精度管理方法の各ステップを示す別のフロー図である。
【
図12】(a)は完成部品を示し、(b)はその完成部品を構成する単品部品を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態の評価部位の精度管理方法及び製造方法について説明する。以下の説明では、複数の単品部品から構成される完成部品の精度管理及び製造を例にして説明する。また、以下の説明では、完成部品として車両のドア部品を例にする。
図3に完成部品1としてのドア部品を示している。また、
図6にドア部品を構成する単品部品10を示している。これらについては後に説明する。
【0016】
本発明の精度管理方法は、以下の(1)から(5)を含む。(1)変形シミュレーションに基づいて2つの指標を算出及び積算し、重要部位を抽出すること。ここで、2つの指標とは、合わせ部品剛性比、及び増幅率である。合わせ部品剛性比は、部品に特定変位量を掛けた際にかかる力を、合わせ部品間の比で算出したものである。増幅率は、打点面へ特定量変位を掛けた際の観測部位の移動量の比として算出されるものである。
【0017】
(2)三次元計測器を用いて、単品部品とコンプ部品とを紐づけてドア部品の計測を行う。そして、目的変数Yk及び説明変数Xijを取得すること。
【0018】
(3)(1)のシミュレーションによる解析結果、及び(2)の計測データを用いて回帰による目的変数Yk及び説明変数Xijの多項式化を行うこと。
【0019】
(4)(3)で推定した多項式について、ベイズ推定により寄与度事後確率分布の推定を行うこと。
【0020】
(5)事後確率分布の95%信用区間を活用して重要管理部位の特定を行うこと。
【0021】
前述の(1)及び(2)は、以下に説明する第1ステップ及び第2ステップを含み、(3)は、第3ステップを含み、(4)及び(5)は、第4ステップを含む。第1ステップは、完成部品の3Dモデルにおいて、接合部に変位を加え、評価部位の変化量を求めるステップである。第2ステップは、重要接合部と重要評価部位との組み合わせを抽出するステップである。第3ステップは、説明変数を部品の重要接合部の実測値データとし、目的変数を完成部品の重要評価部位の実測値データとしてLasso回帰モデルを生成するステップである。第4ステップは、ベイズ推定により偏回帰係数確率分布を得るステップである。第5ステップは、偏回帰係数確率分布の平均値と分布の広がりから単品部品の修正部位を選定するステップである。本実施形態の製造方法は、精度管理方法の第1ステップから第5ステップに加え、第5ステップのあとに、修正された単品部品を用いて完成部品を製造する第6ステップを含む。
【0022】
本実施形態の精度管理方法では、実測データを加えて回帰モデルを作成することで、現物に即した回帰モデルを作成することができる。また、偏回帰係数確率分布をベイズ推定で予測することで、効果的に評価部位の補正を行うことができる。以下、ステップごとに順に説明する。
【0023】
図1は、本実施形態の精度管理方法の各ステップを示すフロー図である。詳しくは、
図1は、重要接合部と重要評価部位との組み合わせを抽出する手順を示す図である。本実施形態の精度管理方法について、複数の単品部品10を組み合わせて構成される完成部品1において、その評価部位30の精度を管理する場合を例にして説明する。
【0024】
(第1ステップ)
第1ステップでは、完成部品1の3Dモデルに対して、3Dモデル上の単品部品10同士の接合部、すなわち溶接打点20に変位を加えた際の、3Dモデル上の評価部位30の変化量を有限要素解析によって求める。第1ステップには、以下の手順、F1からF4が含まれる。
【0025】
(F1)まず、
図1のF1で、単体部品10の拘束条件の設定を行う。
図2は、完成部品1の例としてドアのインナーパネル部品を示す。詳しくは、
図2(a)は完成部品1、及び完成部品1を構成する単品部品10を示す。また、
図2(b)は、解析に用いられる打点、すなわち溶接打点20の例を示す。以下、溶接打点20を単に打点ということがある。
図2(b)の200は完成部品1の内側正面を示し、
図2(b)の201及び202は、それぞれ、完成部品1の側面を示す。内側とは、完成部品1としてのドア部品が車両に取り付けられた際の車内側をいう。
【0026】
図2(a)に示すように、完成部品1は、10aから10dに示されるような複数個の単品部品10で構成されている。
図2(b)の各丸囲み数値で示される各点は、溶接打点20を示す。完成部品1は、単品部品10が複数の溶接打点20で溶接されることで構成されている。
【0027】
図2(a)に示すPは基準ピンを示し、Tは受け面の位置を示している。基準ピンPと受け面Tは、完成部品1などの対象物を測定する際に、その対象物を固定するためのものである。
図2(a)には、基準ピンPとして、主基準ピンP1及び副基準ピンP2を例示している。F1で設定する拘束条件としては、主基準ピンP1及び副基準ピンP2の穴、さらに4か所の受け面T1からT4を完全拘束し、解析する。
【0028】
(F2)次にF2で加圧条件の設定を行う。具体的には、加圧する位置X’i及び入力量aを設定する。加圧する位置X’iは、溶接打点20、すなわち接合部に対応する。また、入力量aは、加圧により溶接打点20が変位する量を意味する。
【0029】
(F3)次にF3で、加圧をし、解析を実行する。ここでは、強制変位による解析を行う。ここでいう強制変位とは、力ではなく、形状を強制的に特定の方向(打点面の法線方向)に入力量aだけ引っ張ることで内部に引張荷重をかけた状態にする解析の事を指す。
強制変位による解析を行うことにより、打点面の変位量を入力値aに統一することができるため、増幅率を計算する際の手間を削減することができる。例えば、
図2(b)に示したような各位置X’i(i=打点数)の溶接打点20に対して強制的に変位を行う。そして、打点に変位を加えた際の、評価部位Y’k(k=評価部位の数)の変化量を解析する。
【0030】
(F4)次にF4で、増幅率が1.0以上のポイントを抽出する。増幅率とは、評価部位Y’kにおける変化量/入力量(a)である。なお、強制変位による解析ではなく、加圧力を入力値として解析を行う場合(集中荷重による解析)には、増幅率は、評価部位Y’kにおける変化量/加圧する位置X’iにおける変位量、となる。
【0031】
図3に、完成部品1の評価部位30の配置の例を示す。
図3に示すように、評価部位30は、完成部品1がドアのインナーパネル部品である場合、その縁に配置することができる。評価部位30は、例えば、10mmピッチで配置することができる。
【0032】
図4に、溶接打点20に変位を加えた際の評価部位30の変化量の例を示す。
図4に示す表の横の列は、溶接打点20の位置を示す。
図4に示す表の縦の列は、評価部位30を示す。また、表の中の数値は、増幅率を示す。表の中の空欄は増幅率が1.0以下であることを示す。
図4に示すように、溶接打点20に変位を加えた場合、溶接打点20の近傍の評価部位30に1.0を超える増幅率が生じることが分かる。
図4の中の濃淡は増幅率の大小を示し、濃いい部分は増幅率が大きいことを示し、淡い部分は増幅率が小さいことを示す。評価部位30の増幅率は、ある範囲で徐々に小さくなっていき、1.0以下になることが分かる。
【0033】
(第2ステップ)
第2ステップでは、完成部品1の3Dモデル上における評価部位30の変化量が相対的に大きい重要評価部位と、その時の3Dモデルの接合部20である重要接合部との組み合わせを抽出する。組み合わせを抽出する際、変化量と接合部20における単品部品10同士の剛性関係とを用いて、重要評価部位及び重要接合部を決めることが好ましい。強制変位による解析では、加圧点(X’i)が入力量aだけ動くことを前提としている。しかし実際には、単品部品の板材の剛性の関係で加圧点には動きづらさがある。具体的には、接合前の部品同士の精度が隙間のある状態の場合には部品同士の引き合いが生じ、部品同士が干渉している場合には押し合いが発生し、剛性が高い部材側に接合面が移動する可能性がある。そこで、それを剛性比として算出し、解析に加味する。第2ステップには、以下の手順F5からF12が含まれる。
【0034】
(F5)まず、
図1のF5で剛性比を算出する。剛性比とは、相手方部品の剛性/剛性和を意味する。ここで、相手方部品とは、基準部品に対して取付けられる小物部品を意味する。小物部品とは、サッシュやビームなど、単品部品10の中でも小型の部品を意味する。剛性とは、単品部品ごとの打点のポイントで0.5mm変位するために必要な荷重(N)を意味する。なお、拘束条件の一例を、
図9のビームを用いて示す。1打点目は、主基準ピンP1及び副基準ピンP2の穴を完全拘束し、解析する。2打点目は、主基準ピンP1及び副基準ピンP2を完全拘束し、さらに1打点目を拘束して、解析する。3打点目以降は、さらに2点目の打点を拘束し、それ以降は追加打点ごとに拘束を増やす。
また、剛性和とは、小物部品と基準部品の剛性(N)と、小物部品の剛性(N)との和を示す。ここで、基準部品とは、ドアパネルなど、単品部品10の中でも大型の部品を意味する。
図6に、単品部品10の例を示す。
図6に示す単品部品10aはサッシュを示し、単品部品10bはスティフナを示し、単品部品10cはビームを示し、単品部品10dはドアパネルを示す。ここでは、単品部品10aのサッシュ、単品部品10bのスティフナ及び単品部品10cのビームが小物部品に分類される。一方、単品部品10dのドアパネルが、基準部品に分類される。また、剛性の解析は、小物部品と、小物部品と組み合わされる部品とで別個に行われる。
剛性比が高い部位は、接合前の部品同士の精度が隙間のある状態の場合には、基準部品側に引き寄せられにくい部位となる。つまり、接合された際に相手の精度の影響を受けにくい部位となるため、単品の部品精度がそのまま評価部位の精度に影響する部位となるため、そのような部位を重要部位として抽出することにより、結果として現物の単品精度との相関がある回帰式を導くことができる。
【0035】
(F6)次にF6で、増幅率×剛性比の値が(1.0以上)になるY’kとX’iとを抽出する。すなわち、単なる増幅率のみで重要評価部位を決定するのではなく、剛性比が考慮された増幅率によって重要評価部位が決定される。なお、この時
図4のような表を用いて行ってもよい。そして、評価部位毎に影響度が高いものだけを抽出する。全体では、一つの評価部位Y’に対して影響度が高い順に20個のX’iを選択する。
【0036】
以上により、単品部品10同士の剛性関係を考慮することができる。よって、完成部品1の解析では判別が困難な、部品同士の変位のしやすさを考慮することができる。そのため、より正確に重要部位を特定することができ、結果としてより現物との相関に近似する回帰式を導くことができる。
【0037】
なお、第2ステップにおいて、剛性比を用いず、増幅率のみを用いて重要評価部位と重要接合部との組み合わせを抽出することもできる。
【0038】
(実測値データ計測フロー)
図5に基づいて、実測値データの計測フローについて説明する。
図5は、本実施形態の精度管理方法の各ステップを示す別のフロー図である。詳しくは、
図5は、実測値データ計測フローを示す図である。実測値データの計測フローでは、三次元計測器を用いて、単品部品10と、完成部品1としてのコンプ部品とを紐づけてドア部品の計測を行い、説明変数Xi及び目的変数Yiを取得する。なお、ここでいう計測とは、設計時の基準位置からズレ量である精度を示す。
【0039】
(F7)まず、
図5のF7で、単品部品10について、接合部、すなわち溶接打点20でXijの計測を行う。計測は、1つの溶接打点20について2つ行われる。1つはドアパネルの打点面の精度Xi1であり、もう1つは小物部品の打点面の精度Xi2である。そのため、計測は、i=溶接打点の数に対して基準部品の計測(j=1)、小物部品の計測(j=2)の2回行われる。
図6は、単品部品10とその計測点であるX計測点12の例を示す図である。実測値データの計測フローにおけるXi1及びXi2は、第1ステップの3DモデルにおけるX’iに対応する。
図6には、入力:Xijの例として、単品部品10d(基準部品)のドアパネルの計測点(打点面)についてX計測点12として、入力X11からX71を付記し、各単品部品10c(小物部品)のビームの計測点(打点面)について、各X計測点12として、入力:X12から入力:X72と、を付記している。また、前述のように、
図6の単品部品10aはサッシュを示し、単品部品10bはスティフナを示し、単品部品10cはビームを示し、単品部品10dはドアパネルを示す。ここでは、単品部品10aのサッシュ、単品部品10bのスティフナ、及び単品部品10cのビームが、基準部品となる単品部品10dのドアパネルに対する小物部品になる。
【0040】
(F8)次にF8で、完成部品1について、その計測点であるY計測点3でYkの計測を行う。なお、kは評価部位の数である。ここで、
図7は、完成部品1と計測点3の例を示す図である。実測値データの計測フローにおけるYkは、第1ステップの3DモデルにおけるY’kに対応する。
図7には、出力:Ykの例として、各計測点3に、出力:Y1及び出力:Y2を付記している。なお、F7及びF8で計測するサンプル数は、例えば15とすることができる。
【0041】
(F9)次にF9で、F7で計測したXijから、外れ値を除去する。具体的には、計測した値を平均化した値と置換する。
(F10)次にF10で、F9と同様に、F8で計測したYkから、外れ値を除去する。
(F11)次にF11で、相関関係のグルーピングを行い、代表点を求める。具体的には1対1での相関係数が近いものを、1つの相関関係のグループにまとめる。例えば、
図6のX11とX51など、同一の単品部品10cにおける隣接する2つのXijの計測値の相関関係が近い場合には1つの相関関係のグループにまとめることができる。また、F11では、まとめられた相関関係のグループについて、その代表点を設定する。なお、グルーピングを行うことは必須ではない。ただし、グルーピングなどにより変数の数が少なくなると、より精度の高い計算を行うことができる。
【0042】
(F12)次にF12で、VIF(Variance inflation factor:分散拡大要因)によって多重共線性の有無を確認する。多重共線性が認められた場合には、必要に応じて、一方の変数を削除してもよい。F12では、1対多数の変数で相関関係を比較する。なお、F11及びF12において、CAE(Computer Aided Engineering)解析の結果から算出される寄与度が高い溶接打点20と、グルーピングやVIFから算出される代表点とが、一致しない場合も考えられる。その場合には、寄与度が高い溶接され打点20がグルーピングされたグループのうち、より相関があると判断された代表点の数値を採用する。
【0043】
(第3ステップ)
第3ステップでは、重要接合部に相当する実物の組み合わせ前の単品部品10の接合部20の実測値データを説明変数とし、重要評価部位に相当する実物の完成部品1の評価部位30の実測値データを目的変数とし、Lasso回帰により回帰モデルを生成する。第3ステップには、以下の手順F13からF17が含まれる。
【0044】
なお、第3ステップでは、重要接合部における二つの打点面同士の距離と一方の面の基準位置からのずれ量を用いてLasso回帰を行うことが好ましい。単品ごとに回帰を行うよりも因子数を減らすことが可能となるため、より正確な回帰式を導くことが可能となるためである。
図8(a)は、打点面精度を示す図である。
図8(b)は、打点面間距離を示す図である。
図8(a)及び
図8(b)において、PNLはドアパネルを示す。また、SASHは相手部品としてのサッシュを示す。さらに、線L1は基準位置(設計基準)を示す。
図8(a)に示すように、PNLは、基準位置L1から距離d1だけ離れている。一方、SASHは、基準位置L1から距離d2だけ離れている。PNLとSASHとのずれ量は、d1+d2である。このように、基準位置L1からの距離を用いると、PNLとSASHとの距離は、d1及びd2の2つの変数で表される。
【0045】
ここで、
図8(b)に示すように、PNLとSASHとの距離を、基準位置L1を介さずに直接示すと、d3となる。d3は、
図8(a)のd1+d2に対応する。このPNLとSASHとの直接の距離を打点面間距離とする。PNLとSASHとの距離をT打点面間距離で示すことで、変数、すなわち因子を半減させることができる。部品ごとの打点面精度は、多いもので60から70因子になる。ここで、打点面間距離を用いることで、因子を半減させて30程度にすることが可能である。
【0046】
(F13)そこで、F9で外れ値を除去した後のデータを、
図5のF13で、打点面間距離×相手部品精度に変換する。ここで、打点面間距離は、前述のように2つの面の合計のずれ量である。相手部品精度は、PNLに対する相手部品の位置である。これにより、図面値に対する精度を、因子を減らしながら求めることができる。
【0047】
(F14)次にF14で、F13で処理した値を用いて1回目のLasso回帰を行う。具体的には、増幅率×剛性比の値が高いY’kとX’inに関連する単品部品のXijの計測データ(サンプル15毎)を抽出する。そして、打点面間距離の相手部品の精度の値を算出し、回帰を行う。
(F15)次にF15で、打点面間距離を単品精度に戻す。具体的には、F13で打点面間距離×相手部品精度とすることで1つの変数にまとめたものを、PNLとSASHと別々の因子として扱うようにする。
(F16)次にF16で、2回目のLasso回帰を行う。因数を減らして、減らした因子を用いて相関が得られるβの値を算出する。なお、F13からF15を経ずに、すなわちF9のデータを加工することなく、F16でLasso回帰をすることもできる。
【0048】
(F17)そしてF17で、実測値データ、すなわち前述の計測データを用いて、目的変数Yk及び説明変数Xijの多項式を得る。その際、Ykに対する寄与度が高い6因子の実測値データを抽出する。得られる多項式は、例えば次のようになる。Y=β1X1+β2X2+β3X3+β4X4+β5X5+β6X6。βは偏回帰係数であり、Xは寄与因子である。具体的には、例えば、Y2=β1X11+β2X21+β3X22+β4X32+β5X41+β6X52や、例えば、Y4=β1X42+β2X51+β3X52+β4X62+β5X71+β6X72などのように、目的変数Ykごとに説明変数Xijの多項式が得られる。β1からβ6の値は、目的変数Ykごとに異なる。また、説明変数Xijには、変数Xi1及び変数Xi2が含まれうる。
【0049】
(第4ステップ)
第4ステップでは、実測値データによって得られた説明変数と目的変数との関係性、及び回帰モデルを用いてベイズ推定を行うことにより、偏回帰係数確率分布を得る。第4ステップには、以下の手順F18が含まれる。
【0050】
(F18)F18で、ベイズ推定を行う。ベイズ推定を行う際には、例えば、サンプルを乱数的に増やす処理を含むマルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)MCMC(Markov Chain Monte Carlo)法を用いることができる。また、ベイズ推定における事前分布は、Lasso回帰で算出した偏回帰係数の値が正規分布のピークとなるような確率分布を設定する。
【0051】
(第5ステップ)
第5ステップでは、完成部品1の評価部位30の計測データの値が許容値を超えた場合に、偏回帰係数確率分布の平均値と分布の広がりから単品部品10の修正部位を選定する。第5ステップには、以下の手順F19からF31が含まれる。第5ステップは、モデルの確率分布の推定、修正部位の選定、及び修正量の決定を含む。
【0052】
(モデル確率分布の推定)
モデル確率分布の推定について説明する。
(F19)まず、
図10のF19で、ベイズ推定による事後分布を得る。
図10は、ベイズ推定による事後分布を示す図である。
図10には、F17において説明した多項式(
図10の上部にも記載)のβ
1からβ
6のそれぞれについて、ベイズ推定による事後分布が示されている。各グラフの横軸は確率変数であり、縦軸は確率密度である。また
図10に示す線L2は、確率変数が0となる線である。このβ
1からβ
6は、偏回帰係数確率分布における上位6つの因子に対応する。
【0053】
(修正部位の選定)
修正部位の選定について説明する。
図11は、本実施形態の精度管理方法の各ステップを示す別のフロー図である。詳しくは、
図11は、修正部位の選定から修正量の決定までを示す図である。
【0054】
(F20)F20で、修正方向の確認を行う。具体的には、事後分布における確率密度の分布の95%の区間が、確率変数=0を跨いでいるか否かを確認する。
図10のβ
1に、事後分布における確率密度の分布の95%の区間が、確率変数=0を跨がない偏回帰係数の確率分布の例を示す。
図10のβ
1に示す確率分布では、確率分布は全て確率変数=0を境とした場合に、その片側に寄っている。具体的には、確率分布は、確率変数=0よりもマイナス側に位置している。このように確率分布の大部分が確率変数=0を跨がない場合、修正の制御が行いやすい。
【0055】
(F21)F21で、F20に関する判断を行う。具体的には、事後分布における確率密度の分布の95%の区間が確率変数=0を跨いでいない場合を一致、すなわちF21の判断をYesとする。逆に、確率密度の分布の95%の区間が確率変数=0を跨いでいる場合を不一致、すなわちF21の判断をNoとする。
(F30)F21の判断が不一致、すなわちNoの場合には、F30に進み、修正候補から除外する。
【0056】
(F22)F21の判断が一致、すなわちYesの場合には、F22に進む。F22では、修正量の判断が行われる。
図10のβ
1に、事後分布における確率密度の分布の68%の区間の幅が、確率変数の幅において0.3以下である偏回帰係数の確率分布の例を示す。
図10に示すグラフの横軸は確率変数であり、縦軸は確率密度である。また線L2は、確率変数が0となる線である。
図10のβ
1に示す両矢印A1は、確率密度の分布が68%である区間を示す。
図10のβ
1に示すように、確率密度の分布がブロードではなくシャープな場合には、修正について正確な判断を行うことができる。
【0057】
(F23)F23で、F22に関する判断を行う。具体的には、事後分布における確率密度の分布の68%の区間の幅が確率変数の幅において0.3以下である場合を判断できる、すなわちF23の判断をYesとする。逆に、確率密度の分布の68%の区間の幅が確率変数の幅において0.3を超える場合を判断できない、すなわちF23の判断をNoとする。
(F30)F23の判断結果が、判断できない、すなわちNoの場合には、F30に進み、修正候補から除外する。
【0058】
(F24)F23の判断結果が、判断できる、すなわちYesの場合には、F24に進む。F24では、修正候補として当該偏回帰係数の寄与因子Xをリストに保存する作業が行われる。例えばβ1がF21及びF23などに記載した条件を満足している場合、β1に対応するX1が修正リストに保存される。また、β1以外の偏回帰係数βが前述の条件を満足している場合には、その偏回帰係数βに対応するX1をあわせて保存する。
(F25)次にF25において偏回帰係数β1からβ6のうちF22及びF24までの処理を行っていない偏回帰係数が残っているか確認を行う。偏回帰係数が残っている場合には、F25の判断はNoとなり、F20に戻る。F25の判断がYesの場合にはF26に進む。
(F26)次にF26で、修正リストに該当因子があるかないかの判別が行われる。F26の判断結果がNoの場合には、因子数を増やしてF22及びF24までの処理を繰り返すか、またはF31に進み、回帰式を用いずに、F1~F6で算出した剛性比x増幅率の値が高く、かつ実測データの平均値が公差外にある接合部を選定する。
【0059】
(F27)F26の判断結果がYesの場合には、F27に進む。F27では、条件に合った寄与度の実測データの平均値の算出が行われる。これは、例えば、N=15のXnのデータを用いて行われる。そして、F27では、例えばβ1がF22及びF24などに記載した条件を満足している場合、β1に対応するX1の実測データの平均値が公差外にあるかどうかを確認する。
【0060】
(F28)F28で、F27に関する判断を行う。F27で対象とした実測データの平均値が公差外であると判断された場合、すなわちNoの場合には、F32に進み、公差外にないと判断された因子のうち一番寄与度が高いものを修正部位として決定する。
【0061】
(F29)F28の判断結果が、公差外ではない、すなわちYesの場合には、F29に進む。F29では、修正部位として決定される。なお、修正は、X1に限らず、複数のXnについても行うことができる。また、それに伴い、前述のフローは、β1以外の他のβnに対しても行うことができる。また、例えば、β1からβ6に対応するX1からX6の全てについて、実測データ平均値が、公差内である場合などには、回帰式を用いた修正を行わないこともある。
【0062】
(修正量の決定)
修正量の決定について説明する。修正量の決定は、例えば次のようにして行うことができる。具体的には、F17で求められた多項式Y=β1X1+β2X2+β3X3+β4X4+β5X5+β6X6を用いて修正量を決定する。例えば、修正したい箇所Yに対してF29またはF32で決定された修正部位のうち、寄与度が高い偏回帰係数確率がβ1であり、それに対応するX1を修正することで、Yを修正する場合を考える。修正対象箇所Yの現状の段差、すなわち修正前の段差が0.59mmであるとする。そして、この段差を0mmにする場合を考える。
【0063】
図12(a)は完成部品1の例を示し、
図12(b)はその完成部品1を構成する単品部品10を示す図である。前述の例を図面で示すと、
図12(a)に示す四角囲みS3で示す点7HがYであり、その段差が0.59mmである場合を考える。
【0064】
ここで、偏回帰係数確率β
1は、-1.1であるとする。前述の多項式のうち、Y=β
1X
1に着目する。
図10のF19における四角囲みS1がYを示し、四角囲みS2がβ
1X
1を示す。修正前の段差が0.59mmであり、目標とする段差が0mmであるので、動かしたい距離は、0.59mm-0mm=0.59mmである。この動かしたい距離0.59mmをYに入力し、β
1に-1.1を入力する。これにより、0.59=-1.1×X
1となり、X
1=-0.53mmとなる。以上より、Yを-0.59mm動かすためには部位X
1を-0.53mm修正すればよいことがわかる。この部位X
1に対応する部分が、仮に
図12(b)に示す単品部品10dの四角囲みS4に囲われる接合部(〇の中のX印)で示す点であるとする。この場合、この点を-0.53mm修正することで、Yである点7Hを-0.59mm修正することができる。すなわち、
図10の四角囲みS1が
図12(a)の四角囲みS3に対応し、
図10の四角囲みS2が
図12(b)の四角囲みS4に対応する。以上のようにして、例えば、事後確率分布の95%信用区間を活用して重要管理部位の特定、及びそれに基づく修正量の決定を行うことができる。
【0065】
なお、Y=β1X1+β2X2+β3X3+β4X4+β5X5+β6X6において、修正したい箇所Yに対して寄与度が高い偏回帰係数βが2つ以上ある場合には、以下のように対応することができる。例えば、寄与度の高い偏回帰係数βがβ1とβ3であるとする。この場合、Yを修正するために、β1に対応するX1を修正してもよく、又は、β3に対応するX3を修正してもよい。或いは、β1に対応するX1及びβ3に対応するX3の両方を修正してもよい。
【0066】
また、修正の対象となるXnは、Xijの各点、すなわち、Xi1であってもよく、又はXi2であってもよい。
【0067】
(第6ステップ)
第6ステップでは、修正した単品部品10を用いて完成部品1を製造する。これにより、公差内に含まれる完成部品1を製造することが容易になる。
【符号の説明】
【0068】
1 完成部品
3 Y計測点
10 単品部品
12 X計測点
20 溶接打点(接合部、打点)
30 評価部位
P 基準ピン
P1 主基準ピン
P2 副基準ピン
T 受け面