(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050414
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ジャケット構造体、洋上風車、ジャケット構造体システム、及び洋上風車システム
(51)【国際特許分類】
E02D 27/52 20060101AFI20240403BHJP
F03D 13/25 20160101ALI20240403BHJP
【FI】
E02D27/52 A
F03D13/25
【審査請求】未請求
【請求項の数】30
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023117075
(22)【出願日】2023-07-18
(62)【分割の表示】P 2022155874の分割
【原出願日】2022-09-29
(71)【出願人】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217249
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221279
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100207686
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 恭宏
(74)【代理人】
【識別番号】100224812
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】深津 伸
(72)【発明者】
【氏名】加賀美 暢一
(72)【発明者】
【氏名】松尾 憲司
【テーマコード(参考)】
2D046
3H178
【Fターム(参考)】
2D046CA07
2D046DA62
3H178AA20
3H178AA25
3H178AA43
3H178AA51
3H178BB75
3H178CC22
3H178DD12Z
3H178DD67X
(57)【要約】
【課題】構造を共通化することができるトランジションピースを備えたジャケット構造体、洋上風車、ジャケット構造体システム、及び洋上風車システムを提供することを目的とする。
【解決手段】洋上風車300を支持するトランジションピース10と、トランジションピース10に設けられる複数のレグ20と、を含むジャケット構造体100であって、複数のレグ20の少なくとも1つは、第1非直線部20b1を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋上風車を支持するトランジションピースと、
前記トランジションピースに設けられる複数のレグと、
を含むジャケット構造体であって、
前記複数のレグの少なくとも1つは、第1非直線部を含む、
ことを特徴とするジャケット構造体。
【請求項2】
前記第1非直線部の角度は、前記洋上風車のタワー形状、前記トランジションピースの幅、海底の水深、又は前記海底の地盤条件に応じ、決定される、
ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット構造体。
【請求項3】
前記1つの一端であって前記トランジションピース側の一端から前記第1非直線部までの距離は、前記1つの他端であって前記トランジションピースとは反対側の他端から前記第1非直線部までの距離よりも短い、
ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット構造体。
【請求項4】
前記ジャケット構造体は、
前記トランジションピースと繋がり、且つ、前記トランジションピースよりも地盤に近い第1ブレース構造体と、
前記第1ブレース構造体と繋がり、且つ、前記第1ブレース構造体よりも前記地盤に近い第2ブレース構造体と、
を更に備え、
前記第1非直線部は、前記トランジションピースと前記第1ブレース構造体との間に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット構造体。
【請求項5】
前記第1非直線部は、前記トランジションピースの下端と、前記第1ブレース構造体に含まれるブレースの上端と前記1つとの交点の上端と、の中間に設けられる、
ことを特徴とする請求項4に記載のジャケット構造体。
【請求項6】
前記第1非直線部の位置又は角度は、前記第1ブレース構造体に含まれる複数のブレースそれぞれの長さ又は傾きに応じ、決定される、
ことを特徴とする請求項4に記載のジャケット構造体。
【請求項7】
前記第1非直線部の位置と、前記複数のレグのうち前記1つとは異なるレグの非直線部分であって前記第1非直線部に対応する非直線部分である第2非直線部の位置とは、水平方向に沿って、同じである、
ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット構造体。
【請求項8】
前記第1非直線部の角度と前記第2非直線部の角度とは、鉛直方向と平行な軸であって前記洋上風車の中心を通る軸に対して軸対称である、
ことを特徴とする請求項7に記載のジャケット構造体。
【請求項9】
前記第1非直線部の位置と前記複数のレグのうち前記1つとは異なるレグの非直線部分であって前記第1非直線部に対応する非直線部分である第2非直線部の位置とは、水平方向に沿って、異なる、
ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット構造体。
【請求項10】
前記1つの他端であって前記トランジションピースとは反対側の他端に第3非直線部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット構造体。
【請求項11】
前記第1非直線部に接し且つ前記トランジションピースの下面に接するように設けられたリブを更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット構造体。
【請求項12】
前記第1非直線部の角度は、前記洋上風車が所定方向を向いた場合の前記洋上風車の回転軸に沿う方向を第1方向とし、前記第1方向と直交し且つ水平方向に沿う方向を第2方向とし、前記第1方向に沿った前記第1非直線部の角度と前記第2方向に沿った前記第1非直線部の角度とは同じである、
ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット構造体。
【請求項13】
前記第1非直線部は、前記洋上風車のタワーの中心を通る軸の側に向かって曲がっている、
ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット構造体。
【請求項14】
前記第1非直線部は、前記洋上風車のタワーの中心を通る軸とは反対側に向かって曲がっている、
ことを特徴とする請求項1に記載のジャケット構造体。
【請求項15】
洋上風車を支持するトランジションピースと、前記トランジションピースに設けられる複数のレグと、を備えるジャケット構造体であって、
前記複数のレグの少なくとも1つは、第1直線部と、前記第1直線部と繋がる第2直線部と、を含み、
前記第1直線部と前記第2直線部とは、所定の角度を成す、
ことを特徴とするジャケット構造体。
【請求項16】
トランジションピースと前記トランジションピースに設けられる複数のレグとを含むジャケット構造体、を含み、前記ジャケット構造体に支持される洋上風車であって、
前記複数のレグの少なくとも1つは、第1非直線部を含む、
ことを特徴とする洋上風車。
【請求項17】
第1洋上風車を支持する第1トランジションピースと前記第1トランジションピースに設けられる複数のレグとを含む第1ジャケット構造体と、
第2洋上風車を支持する第2トランジションピースと前記第2トランジションピースに設けられる複数のレグとを含む第2ジャケット構造体と、
を備えるジャケット構造体システムであって、
前記第1洋上風車と前記第2洋上風車が設けられるウインドファーム又は海域は、同じであり、
前記第1洋上風車の骨組みと前記第2洋上風車の骨組みとは、同じであり、
前記第1トランジションピースの骨組みと前記第2トランジションピースの骨組みとは、同じであり、
前記第1ジャケット構造体に含まれる複数のレグの1つの非直線部の角度と前記第2ジャケット構造体に含まれる複数のレグの1つの非直線部の角度とは、異なる、
ことを特徴とするジャケット構造体システム。
【請求項18】
第1トランジションピースと前記第1トランジションピースに設けられる複数のレグとを含む第1ジャケット構造体、を含み、前記第1トランジションピースに支持される第1洋上風車と、
第2トランジションピースと前記第2トランジションピースに設けられる複数のレグとを含む第2ジャケット構造体、を含み、前記第2トランジションピースに支持される第2洋上風車と、
を備える洋上風車システムであって、
前記第1洋上風車と前記第2洋上風車が設けられるウインドファーム又は海域は、同じであり、
前記第1洋上風車の骨組みと前記第2洋上風車の骨組みとは、同じであり、
前記第1トランジションピースの骨組みと前記第2トランジションピースの骨組みとは、同じであり、
前記第1ジャケット構造体に含まれる複数のレグの1つの非直線部の角度と前記第2ジャケット構造体に含まれる複数のレグの1つの非直線部の角度とは、異なる、
ことを特徴とする洋上風車システム。
【請求項19】
前記第1非直線部は、湾曲している、
ことを特徴とする請求項1から6、及び11から14のいずれか一項に記載のジャケット構造体。
【請求項20】
前記第1非直線部及び前記第2非直線部は、湾曲している、
ことを特徴とする請求項7から9のいずれか一項に記載のジャケット構造体。
【請求項21】
前記第1非直線部及び前記第3非直線部は、湾曲している、
ことを特徴とする請求項10に記載のジャケット構造体。
【請求項22】
前記第1非直線部は、湾曲している、
ことを特徴とする請求項16に記載の洋上風車。
【請求項23】
前記非直線部は、湾曲している、
ことを特徴とする請求項17に記載のジャケット構造体システム。
【請求項24】
前記非直線部は、湾曲している、
ことを特徴とする請求項18に記載の洋上風車システム。
【請求項25】
前記第1非直線部は、曲げ部である、
ことを特徴とする請求項1から6、及び11から14のいずれか一項に記載のジャケット構造体。
【請求項26】
前記第1非直線部は第1曲げ部であり、前記第2非直線部は第2曲げ部である、
ことを特徴とする請求項7から9のいずれか一項に記載のジャケット構造体。
【請求項27】
前記第1非直線部は第1曲げ部であり、前記第3非直線部は第3曲げ部である、
ことを特徴とする請求項10に記載のジャケット構造体。
【請求項28】
前記第1非直線部は、第1曲げ部である、
ことを特徴とする請求項16に記載の洋上風車。
【請求項29】
前記非直線部は、曲げ部である、
ことを特徴とする請求項17に記載のジャケット構造体システム。
【請求項30】
前記非直線部は、曲げ部である、
ことを特徴とする請求項18に記載の洋上風車システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャケット構造体、洋上風車、ジャケット構造体システム、及び洋上風車システムに関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電に用いられる洋上風車は、1箇所のウインドファームに複数(通常10基以上)建設される。風車の建設については、工程短縮やコスト低減のため、ジャケット構造体も含めて可能な限り共通化が図られる。
特許文献1には、水中構造体における共振の発生を回避する技術が開示されている。具体的には、固有周期を自由に決定するために、支持部材に充填材を充填した水中構造体が開示されている。
特許文献2には、杭式構造物の撤去作業を容易化するために、鋼管杭と外挿鋼管との間におけるグラウトの充填位置を限定した接合構造物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2011/068152号
【特許文献2】特開2020-7728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洋上風車とジャケット構造体とを接続するトランジションピースは、構造が複雑であり、設計及び製作の負荷が高い。このため、トランジションピースの構造を共通化することが望ましい。しかしながら、同一のウインドファームでも、風車の建設場所によって地盤条件や水深にはバラツキがある。このため、基礎杭を介して地盤に固定され、洋上風車を支持するジャケット構造体の幅や、ジャケット構造体におけるレグのバター角には、バラツキがあるのが通常である。このため、様々な形状のジャケット構造体に対して、トランジションピースの構造を共通化することが課題である。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、構造を共通化することができるトランジションピースを備えたジャケット構造体、洋上風車、ジャケット構造体システム、及び洋上風車システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本発明の態様1に係るジャケット構造体は、洋上風車を支持するトランジションピースと、前記トランジションピースに設けられる複数のレグと、を含むジャケット構造体であって、前記複数のレグの少なくとも1つは、第1非直線部を含むことを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、複数のレグの少なくとも1つは第1非直線部を含む。これにより、複数のジャケット構造体の下端においてレグ同士の間隔が異なる場合であっても、第1非直線部の曲げ角度及び第1非直線部以下のレグの長さを適宜調整することによって、ジャケット構造体に設けられるトランジションピースの構造を共通化することができる。
【0008】
<2>本発明の態様2に係るジャケット構造体は、態様1に係るジャケット構造体において、前記第1非直線部の角度は、前記洋上風車のタワー形状、前記トランジションピースの幅、海底の水深、又は前記海底の地盤条件に応じ、決定されることを特徴とする。
【0009】
態様2に係る発明によれば、第1非直線部の角度は、洋上風車のタワー形状、トランジションピースの幅、海底の水深、又は海底の地盤条件に応じ、決定される。これにより、ジャケット構造体を設置場所に合わせ最適な構造とすることができる。
【0010】
<3>本発明の態様3に係るジャケット構造体は、態様1又は態様2に係るジャケット構造体において、前記1つの一端であって前記トランジションピース側の一端から前記第1非直線部までの距離は、前記1つの他端であって前記トランジションピースとは反対側の他端から前記第1非直線部までの距離よりも短いことを特徴とする。
【0011】
態様3に係る発明によれば、複数のレグの1つにおけるトランジションピース側の一端から第1非直線部までの距離は、レグにおけるトランジションピースとは反対側の他端から第1非直線部までの距離よりも短い。つまり、第1非直線部を、レグの長手方向においてトランジションピースの側に設ける。複数のジャケット構造体においてトランジションピースを共通化する際は、第1非直線部よりも上側の構造を共通とする。これにより、第1非直線部がトランジションピースの近くに設けられることで、共通化する部分を少なくすることができる。
【0012】
<4>本発明の態様4に係るジャケット構造体は、態様1から態様3のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記ジャケット構造体は、前記トランジションピースと繋がり、且つ、前記トランジションピースよりも地盤に近い第1ブレース構造体と、前記第1ブレース構造体と繋がり、且つ、前記第1ブレース構造体よりも前記地盤に近い第2ブレース構造体と、を更に備え、前記第1非直線部は、前記トランジションピースと前記第1ブレース構造体との間に設けられることを特徴とする。
【0013】
態様4に係る発明によれば、第1非直線部は、トランジションピースと第1ブレース構造体との間に設けられる。これにより、第1ブレース構造体以下の部位をジャケット構造体ごとに個別の設計として、トランジションピースを共通化することができる。よって、ジャケット構造体の設計検討を容易かつ効率的に行うことができる。
【0014】
<5>本発明の態様5に係るジャケット構造体は、態様4に係るジャケット構造体において、前記第1非直線部は、前記トランジションピースの下端と、前記第1ブレース構造体に含まれるブレースの上端と前記1つとの交点の上端と、の中間に設けられることを特徴とする。
【0015】
態様5に係る発明によれば、第1非直線部は、トランジションピースの下端と、第1ブレース構造体に含まれるブレースの上端とレグの1つとの交点の上端と、の中間に設けられる。このように、第1非直線部をトランジションピースから離れた位置に設定することで、トランジションピースの荷重が第1非直線部に直接かかることを防ぐことができる。よって、第1非直線部に大きな応力が集中することを抑えることができる。
【0016】
このように、第1非直線部がトランジションピースの下端に設けられている場合等に比べて、第1非直線部をトランジションピースから離れた位置に設定することができる。ここでレグは、例えば、第1非直線部を分割点として上下に分割される2つの鋼管を接合することで製造される。第1非直線部がトランジションピースの下端に設けられている場合、前記2つの鋼管は、トランジションピースの下端(例えば、下側板)を分割点として上下に分割される。そのため、前記2つの鋼管が円管である場合、前記2つの鋼管のうち、上側の鋼管の分割点における断面は、真円形になるところ、下側の鋼管の分割点における断面は、楕円形状になることがある。この場合、前記2つの鋼管の分割点における断面が一致せず、レグの強度に影響が生じる恐れがある。一方、第1非直線部がトランジションピースから離れた位置に設定される場合、前記2つの鋼管の分割点がトランジションピースの下端よりも下方に位置し、前記上側の鋼管がトランジションピースの下端を上下方向に貫通する。よって、前記上側の鋼管の分割点における断面を前記下側の鋼管の断面と同様に楕円形状とし、前記2つの鋼管の断面を一致させることが可能になり、レグの強度を確保し易くすることができる。その結果、例えば、トランジションピースへ外力が入力されたとき等においても、第1非直線部に大きな応力が集中することを抑えることができる。
【0017】
<6>本発明の態様6に係るジャケット構造体は、態様4に係るジャケット構造体において、前記第1非直線部の位置又は角度は、前記第1ブレース構造体に含まれる複数のブレースそれぞれの長さ又は傾きに応じ、決定されることを特徴とする。
【0018】
態様6に係る発明によれば、第1非直線部の位置又は角度は、第1ブレース構造体に含まれる複数のブレースそれぞれの長さ又は傾きに応じ、決定される。つまり、ジャケット構造体の強度を担保する役割を有するブレースの構造を予め決定した上で第1非直線部の仕様を決定する。これにより、第1非直線部よりも上側の構造を共通化するとともに、ジャケット構造体の強度を確保することができる。
【0019】
<7>本発明の態様7に係るジャケット構造体は、態様1から態様6のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記第1非直線部の位置と、前記複数のレグのうち前記1つとは異なるレグの非直線部分であって前記第1非直線部に対応する非直線部分である第2非直線部の位置とは、水平方向に沿って、同じであることを特徴とする。
【0020】
態様7に係る発明によれば、複数のレグの1つにおける第1非直線部と、前記1つと異なるレグにおける第2非直線部の位置とが、水平方向に沿って同じである。つまり、複数のレグにおいて同じ高さに非直線部分が設けられる。これにより、1のジャケット構造体が含む複数のレグの設置場所における地盤条件を共通として検討する際、寸法の管理を容易かつ効率的に行うことができる。また、複数のジャケット構造体でトランジションピースを共通化する際の設計条件を統一して、検討を効率的に行うことができる。
【0021】
<8>本発明の態様8に係るジャケット構造体は、態様7に係るジャケット構造体において、前記第1非直線部の角度と前記第2非直線部の角度とは、鉛直方向と平行な軸であって前記洋上風車の中心を通る軸に対して軸対称であることを特徴とする。
【0022】
態様8に係る発明によれば、第1非直線部の角度と第2非直線部の角度とは、鉛直方向と平行な軸であって洋上風車の中心を通る軸に対して軸対称である。このように、ジャケット構造体の構造を対称とすることで、ジャケット構造体に付加された荷重やモーメントを各部位に均等に分散することができる。よって、ジャケット構造体をより安定させることができる。なお、上述のように、ジャケット構造体の骨組みは、洋上風車の中心を通る軸に対して軸対称である。しかしながら、前記骨組みにアクセス通路等の付属物や、これに伴う骨組み側の補強まで含めると、軸対称とはならない。
【0023】
<9>本発明の態様9に係るジャケット構造体は、態様1から態様6のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記第1非直線部の位置と前記複数のレグのうち前記1つとは異なるレグの非直線部分であって前記第1非直線部に対応する非直線部分である第2非直線部の位置とは、水平方向に沿って、異なることを特徴とする。
【0024】
態様9に係る発明によれば、複数のレグの1つにおける第1非直線部の位置と、前記1つと異なるレグにおける第2非直線部の位置とが、水平方向に沿って異なる。これにより、1のジャケット構造体が含む複数のレグの設置場所における地盤条件が異なる場合に、柔軟に対応することができる。
【0025】
<10>本発明の態様10に係るジャケット構造体は、態様1から態様9のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記1つの他端であって前記トランジションピースとは反対側の他端に第3非直線部が設けられていることを特徴とする。
【0026】
態様10に係る発明によれば、複数のレグの1つの他端に第3非直線部が設けられている。これにより、ジャケット構造体の下端を地盤に打設された杭と接合する際、杭とレグとの角度調整を的確に行うことができる。この発明は、杭とレグとを接続部材によって接合する際に特に顕著な効果を発揮する。
【0027】
<11>本発明の態様11に係るジャケット構造体は、態様1から態様10のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記第1非直線部に接し且つ前記トランジションピースの下面に接するように設けられたリブを更に備えることを特徴とする。
【0028】
態様11に係る発明によれば、第1非直線部とトランジションピースの下面との両方に接するリブを更に備える。これにより、第1非直線部に応力が集中した際の疲労強度を向上し、ジャケット構造体の強度をより確保することができる。
【0029】
<12>本発明の態様12に係るジャケット構造体は、態様1から態様11のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記第1非直線部の角度は、前記洋上風車が所定方向を向いた場合の前記洋上風車の回転軸に沿う方向を第1方向とし、前記第1方向と直交し且つ水平方向に沿う方向を第2方向とし、前記第1方向に沿った前記第1非直線部の角度と前記第2方向に沿った前記第1非直線部の角度とは同じであることを特徴とする。
【0030】
態様12に係る発明によれば、第1方向に沿った第1非直線部の角度と、第1方向に直交する第2方向に沿った第1非直線部の角度とは同じである。つまり、ジャケット構造体のレグは、第1非直線部によって、いずれかの方向に偏ることなく、洋上風車のタワーの中心を通る軸に向かって傾斜している。これにより、ジャケット構造体に付加された荷重やモーメントが、いずれかの方向に偏って分散されることを防ぐことができる。よって、より安定したジャケット構造体とすることができる。
【0031】
<13>本発明の態様13に係るジャケット構造体は、態様1から態様12のいずれか1つに係るジャケット構造体において、例えば
図2に示すように、前記第1非直線部は、前記洋上風車のタワーの中心を通る軸の側に向かって曲がっていることを特徴とする。
【0032】
態様13に係る発明によれば、第1非直線部は、洋上風車のタワーの中心を通る軸の側に向かって曲がっている。これにより、レグの上端を、洋上風車のタワーの中心を通る軸のより近くに位置させることができる。よって、トランジションピースの上端を小さくするために好適なレグの形状とすることができる。
【0033】
<14>本発明の態様14に係るジャケット構造体は、態様1から態様12のいずれか1つに係るジャケット構造体において、例えば
図4に示すように、前記第1非直線部は、前記洋上風車のタワーの中心を通る軸とは反対側に向かって曲がっていることを特徴とする。
【0034】
態様14に係る発明によれば、第1非直線部は、洋上風車のタワーの中心を通る軸とは反対側に向かって曲がっている。これにより、レグの上端を、洋上風車のタワーの中心を通る軸から遠くに離れるように位置させることができる。よって、トランジションピースの上端を大きくするために好適なレグの形状とすることができる。
複数のジャケット構造体の下端においてレグ同士の間隔が異なる場合であっても、第1非直線部の曲げの向きを適宜調整することによって、ジャケット構造体に設けられるトランジションピースの構造を共通化することができる。
【0035】
<15>本発明の態様15に係るジャケット構造体は、洋上風車を支持するトランジションピースと、前記トランジションピースに設けられる複数のレグと、を備えるジャケット構造体であって、前記複数のレグの少なくとも1つは、第1直線部と、前記第1直線部と繋がる第2直線部と、を含み、前記第1直線部と前記第2直線部とは、所定の角度を成すことを特徴とする。
【0036】
態様15に係る発明によれば、複数のレグの少なくとも1つは第1直線部と第2直線部とを含み、第1直線部と第2直線部とは、所定の角度を成す。つまり、レグは第1直線部と第2直線部との間で曲がっている。このように曲がった部分の角度と、レグの長さを適宜調整することによって、ジャケット構造体に設けられるトランジションピースの構造を共通化することができる。
【0037】
<16>本発明の態様16に係る洋上風車は、トランジションピースと前記トランジションピースに設けられる複数のレグとを含むジャケット構造体、を含み、前記ジャケット構造体に支持される洋上風車であって、前記複数のレグの少なくとも1つは、第1非直線部を含むことを特徴とする。
【0038】
態様16に係る発明によれば、洋上風車が含むジャケット構造体において、複数のレグの少なくとも1つが、第1非直線部を含む。これにより、洋上風車を複数設ける場合に、トランジションピースを共通化することができる。
【0039】
<17>本発明の態様17に係るジャケット構造体システムは、第1洋上風車を支持する第1トランジションピースと前記第1トランジションピースに設けられる複数のレグとを含む第1ジャケット構造体と、第2洋上風車を支持する第2トランジションピースと前記第2トランジションピースに設けられる複数のレグとを含む第2ジャケット構造体と、を備えるジャケット構造体システムであって、前記第1洋上風車と前記第2洋上風車が設けられるウインドファーム又は海域は、同じであり、前記第1洋上風車の骨組みと前記第2洋上風車の骨組みとは、同じであり、前記第1トランジションピースの骨組みと前記第2トランジションピースの骨組みとは、同じであり、前記第1ジャケット構造体に含まれる複数のレグの1つの非直線部の角度と前記第2ジャケット構造体に含まれる複数のレグの1つの非直線部の角度とは、異なることを特徴とする。
【0040】
態様17に係る発明によれば、第1ジャケット構造体に含まれる複数のレグの1つの非直線部の角度と第2ジャケット構造体に含まれる複数のレグの1つの非直線部の角度とは、異なる。これにより、第1風車と第2風車とが設置される場所の地盤条件及び水深等が異なる場合であっても、非直線部の角度及びレグの長さを適宜調整することで、非直線部より上に位置するトランジションピース及び洋上風車を共通化することができる。よって、ジャケット構造体システムの設計検討を効率的に行うことができる。
【0041】
<18>本発明の態様18に係る洋上風車システムは、第1トランジションピースと前記第1トランジションピースに設けられる複数のレグとを含む第1ジャケット構造体、を含み、前記第1トランジションピースに支持される第1洋上風車と、第2トランジションピースと前記第2トランジションピースに設けられる複数のレグとを含む第2ジャケット構造体、を含み、前記第2トランジションピースに支持される第2洋上風車と、を備える洋上風車システムであって、前記第1洋上風車と前記第2洋上風車が設けられるウインドファーム又は海域は、同じであり、前記第1洋上風車の骨組みと前記第2洋上風車の骨組みとは、同じであり、前記第1トランジションピースの骨組みと前記第2トランジションピースの骨組みとは、同じであり、前記第1ジャケット構造体に含まれる複数のレグの1つの非直線部の角度と前記第2ジャケット構造体に含まれる複数のレグの1つの非直線部の角度とは、異なることを特徴とする。
【0042】
態様18に係る発明によれば、第1ジャケット構造体に含まれる複数のレグの1つの非直線部の角度と第2ジャケット構造体に含まれる複数のレグの1つの非直線部の角度とは、異なる。これにより、第1風車と第2風車とが設置される場所の地盤条件及び水深等が異なる場合であっても、非直線部の角度及びレグの長さを適宜調整することで、非直線部より上に位置するトランジションピース及び洋上風車を共通化することができる。よって、洋上風車システムの設計検討を効率的に行うことができる。
【0043】
<19>本発明の態様19に係るジャケット構造体は、態様1から態様6、及び態様11から態様14のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記第1非直線部は、湾曲していることを特徴とする。
【0044】
態様19に係る発明によれば、第1非直線部は、湾曲している。これにより、例えば、第1非直線部が屈曲している場合と比較して、応力集中を緩和することができる。
【0045】
<20>本発明の態様20に係るジャケット構造体は、態様7から態様9のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記第1非直線部及び前記第2非直線部は、湾曲していることを特徴とする。
【0046】
態様20に係る発明によれば、第1非直線部及び第2非直線部は、湾曲している。これにより、例えば、第1非直線部及び第2非直線部が屈曲している場合と比較して、応力集中を緩和することができる。
【0047】
<21>本発明の態様21に係るジャケット構造体は、態様10に係るジャケット構造体において、前記第1非直線部及び前記第3非直線部は、湾曲していることを特徴とする。
【0048】
態様21に係る発明によれば、第1非直線部及び第3非直線部は、湾曲している。これにより、例えば、第1非直線部及び第3非直線部が屈曲している場合と比較して、応力集中を緩和することができる。
【0049】
<22>本発明の態様22に係る洋上風車は、態様16に係る洋上風車において、前記第1非直線部は、湾曲していることを特徴とする。
【0050】
態様22に係る発明によれば、第1非直線部は、湾曲している。これにより、例えば、第1非直線部が屈曲している場合と比較して、応力集中を緩和することができる。
【0051】
<23>本発明の態様23に係るジャケット構造体システムは、態様17に係るジャケット構造体システムにおいて、前記非直線部は、湾曲していることを特徴とする。
【0052】
態様23に係る発明によれば、非直線部は、湾曲している。これにより、例えば、非直線部が屈曲している場合と比較して、応力集中を緩和することができる。
【0053】
<24>本発明の態様24に係る洋上風車システムは、態様18に係る洋上風車システムにおいて、前記非直線部は、湾曲していることを特徴とする。
【0054】
態様24に係る発明によれば、非直線部は、湾曲している。これにより、例えば、非直線部が屈曲している場合と比較して、応力集中を緩和することができる。
【0055】
<25>本発明の態様25に係るジャケット構造体は、態様1から態様6、及び態様11から態様14のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記第1非直線部は、曲げ部であることを特徴とする。
【0056】
<26>本発明の態様26に係るジャケット構造体は、態様7から態様9のいずれか1つに係るジャケット構造体において、前記第1非直線部は第1曲げ部であり、前記第2非直線部は第2曲げ部であることを特徴とする。
【0057】
<27>本発明の態様27に係るジャケット構造体は、態様10に係るジャケット構造体において、前記第1非直線部は第1曲げ部であり、前記第3非直線部は第3曲げ部であることを特徴とする。
【0058】
<28>本発明の態様28に係る洋上風車は、態様16に係る洋上風車において、前記第1非直線部は、第1曲げ部であることを特徴とする。
【0059】
<29>本発明の態様29に係るジャケット構造体システムは、態様17に係るジャケット構造体システムにおいて、前記非直線部は、曲げ部であることを特徴とする。
【0060】
<30>本発明の態様30に係る洋上風車システムは、態様18に係る洋上風車システムにおいて、前記非直線部は、曲げ部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0061】
本発明によれば、構造を共通化することができるトランジションピースを備えたジャケット構造体、洋上風車、ジャケット構造体システム、及び洋上風車システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】第1実施形態に係るジャケット構造体の斜視図である。
【
図2】
図1に示すジャケット構造体の正面図である。
【
図3】
図1に示すジャケット構造体の平面図である。
【
図4】トランジションピースの第1変形例を示す図である。
【
図5】トランジションピースの第2変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
(第1実施形態)
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るジャケット構造体100を説明する。
図1は、本実施形態に係るジャケット構造体100の斜視図である。
図2は、
図1に示すジャケット構造体100の正面図である。
図3は、
図1に示すジャケット構造体100の平面図である。
図1及び
図2に示すように、ジャケット構造体100は、海底の地盤に打設された杭200を介して海上に設置され、洋上風車300を支持する。具体的には、ジャケット構造体100と杭200とは、ジャケット構造体100の備える接合部材50によって接続される。ジャケット構造体100と洋上風車300とは、ジャケット構造体100の備えるトランジションピース10によって接続される。
【0064】
ジャケット構造体100は、トランジションピース10と、レグ20と、リブ30と、ブレース40と、接合部材50と、を含む。
トランジションピース10は、洋上風車300を支持する。トランジションピース10は、ジャケット構造体100の上端に配置され、洋上風車300の下端が接続される部位である。
【0065】
図1に示すように、トランジションピース10は、上側板11と、下側板12と、ウェブ13と、受口部14と、を備える。
上側板11は、トランジションピース10の上側において水平方向に配置される。以下において、上側板11を示す際に、単にトランジションピース10の上端と呼称することがある。本実施形態において、水平方向とは、洋上風車300が配置される海面と平行な方向をいう。
図3に示すように、上側板11は十字状であり、中央に受口部14が配置される。
【0066】
下側板12は、トランジションピース10の下端において水平方向に配置される。以下において、下側板12を示す際に、単にトランジションピース10の下端と呼称することがある。
図3に示すように、下側板12は上側板11と同様に十字状であり、中央に受口部14を備える。これにより、トランジションピース10において受口部14は上下2箇所で支持される。
ウェブ13は、上側板11と、下側板12と、受口部14と、後述するレグ20と、の間を補強する部材である。
図1に示すように、ウェブ13は略四角形状の板である。ウェブ13は、前記略四角形状の4辺を、上述の上側板11と、下側板12と、受口部14と、レグ20と、にそれぞれ接続する。これによりトランジションピース10が補強される。
受口部14は筒状の部材であり、トランジションピース10の中央に配置される。受口部14は、上側板11、下側板12、及びウェブ13によって支持される。本実施形態において、受口部14には洋上風車300が接続される。これにより、トランジションピース10は洋上風車300を支持する。
【0067】
レグ20は、トランジションピース10に設けられる。レグ20は、ジャケット構造体100において複数設けられる。本実施形態において、レグ20は4箇所設けられる。レグ20には、例えば鋼管が用いられる。レグ20の上端にはトランジションピース10が接続される。レグ20の下端には接合部材50が接続される。また、レグ20の部分であって、トランジションピース10の上側板11と、後述の第1非直線部20b1と、の間の部分は直線状である。また、ウェブ13の部分であって、受口部14及びレグ20の一方と接続する部分は、螺旋形状であってもよい。
【0068】
トランジションピース10に設けられた複数のレグ20の少なくとも1つは、第1非直線部20b1を備える。第1非直線部20b1は、レグ20のうち、直線状でない部分である。つまり、第1非直線部20b1は、レグ20の曲げ部(第1曲げ部)である。第1非直線部20b1は、例えば、湾曲している。
図8は、非直線部の第1例を示す図である。
図9は、非直線部の第2例を示す図である。本実施形態において、湾曲しているとは、例えば、
図8に示すように、レグ20の中心線が滑らかな曲線となっているものをいう。加えて、湾曲しているとは、
図9に示すように、レグ20の中心線が多段階で屈曲しているものも含む。複数のレグ20の1つにおいて、レグ20の一端であってトランジションピース10の側の一端から第1非直線部20b1までの距離は、レグ20の他端であってトランジションピース10とは反対側の他端から第1非直線部20b1までの距離よりも短い。つまり、レグ20の上下方向において、第1非直線部20b1は、トランジションピース10の側に位置する。具体的には、第1非直線部20b1は、少なくともレグ20の上下方向の中央部よりもトランジションピース10に近い側に位置する。
【0069】
本実施形態において、第1非直線部20b1は、例えば、
図2に示すように、下側板12、すなわちトランジションピース10の下端と、後述の第1ブレース構造体41に含まれるブレース40の上端とレグ20の1つとの交点の上端と、の中間に設けられている。ここで、前記交点とは、ブレース40の外周と、レグ20と、が交わる点をいう。そして、前記交点の上端とは、これら交わる点のうち、ブレース40の上の端に位置する点をいう。本実施形態において、鉛直方向とは、洋上風車300が設置される海面に直交する方向をいう。
図5は、トランジションピースの第2変形例を示す図である。
【0070】
トランジションピース10の鉛直方向の内部に位置するレグ20は、第1非直線部20b1によって、受口部14の側に向かって傾くように配置される。
図4は、トランジションピースの第1変形例を示す図である。
図4に示すように、第1非直線部20b1によって、トランジションピース10の鉛直方向の内部に位置するレグ20を、鉛直方向に略平行になるようにしてもよい。つまり、
図4に示すように、第1非直線部20b1は、トランジションピース10に設置された洋上風車300のタワーの中心、すなわち受口部14の中心軸を通る軸とは反対側に向かって曲げられてもよい。この場合、トランジションピース10の鉛直方向の内部に位置するレグ20と、第1非直線部20b1から下方に位置するレグ20との角度であって、ジャケット構造体100の外側(受口部14の中心軸を通る軸から遠い方)に面する側の角度が180°未満となる。
【0071】
あるいは、
図2に示すように、トランジションピース10の鉛直方向の内部に位置するレグ20を、トランジションピース10の外部に位置するレグ20よりも、更に受口部14の側に向かって傾斜させてもよい。つまり、
図2に示すように、第1非直線部20b1は、トランジションピース10に設置された洋上風車300のタワーの中心、すなわち受口部14の中心軸を通る軸の側に向かって曲げられてもよい。この場合、トランジションピース10の鉛直方向の内部に位置するレグ20と、第1非直線部20b1から下方に位置するレグ20との角度であって、ジャケット構造体100の内側(受口部14の中心軸を通る軸に近い方)に面する側の角度が180°未満となる。
【0072】
レグ20と下側板12とは、例えば、下側板12に設けられた貫通穴にレグ20が挿通されることによって接続される。あるいは、下側板12をいわゆる通し部材としてもよい。具体的には、レグ20が下側板12を境として分割され、下側板12の上側に位置するレグ20と、下側板12の下側に位置するレグ20とが、それぞれ下側板12に溶接されるようにして接続されてもよい。
【0073】
本実施形態において、複数のレグ20のいずれか1つが備える第1非直線部20b1に対して、前記1つとは異なる他のレグ20の非直線部分であって第1非直線部20b1に対応する非直線部分を、第2非直線部20b2と呼称する。第2非直線部20b2は、レグ20のうち、直線状でない部分である。つまり、第2非直線部20b2は、レグ20の曲げ部(第2曲げ部)である。第2非直線部20b2は、例えば、湾曲している。本実施形態において、湾曲しているとは、例えば、
図8に示すように、レグ20の中心線が滑らかな曲線となっているものをいう。加えて、湾曲しているとは、
図9に示すように、レグ20の中心線が多段階で屈曲しているものも含む。第1非直線部20b1と第2非直線部20b2の位置とは、水平方向に沿って、同じである。つまり、第1非直線部20b1と第2非直線部20b2とは同じ高さに位置する。従って、ジャケット構造体100の備える複数のレグ20について、いずれのレグ20も同じ高さに曲がった部位を有する。
【0074】
これにより、ジャケット構造体100が含む複数のレグ20の設置場所における地盤条件を共通として検討する際、寸法の管理を容易かつ効率的に行うことに寄与する。また、複数のジャケット構造体100でトランジションピース10を共通化する際の設計条件を統一して、検討を効率的に行うことに寄与する。
あるいは、ジャケット構造体100が含む複数のレグ20の設置場所における地盤条件が異なる場合に、柔軟に対応することが必要であれば、第1非直線部20b1の位置と、第2非直線部20b2の位置とは、水平方向に沿って、異なっていてもよい。
【0075】
リブ30は、トランジションピース10とレグ20との接続を補強する。具体的には、
図1及び
図2に示すように、リブ30は、第1非直線部20b1に接し、且つ、トランジションピース10の下面に接するように配置される。リブ30は、略三角形状の板であり、前記略三角形状の一辺が第1非直線部20b1に接し、他の一辺がトランジションピース10の下面に接する。これにより、第1非直線部20b1に応力が集中した際の疲労強度を向上し、ジャケット構造体100の強度をより確保する。
【0076】
また、リブ30は、受口部14と上側板11との接合強度を確保するために用いられてもよい。具体的には、リブ30は、前記略三角形状の一辺が受口部14の側面に接し、他の一辺が上側板11の上面に接するように配置されてもよい。リブ30を受口部14と上側板11との間に取り付ける時は、例えば、
図1に示すように、リブ30は、受口部14からレグ20が設けられた方向に向かって1枚ずつ配置される。又は、リブ30は、
図6に示すように、受口部14からレグ20が設けられた方向に向かって2枚ずつ配置されてもよい。この場合、リブ30は、上側板11の下面に配置されたウェブ13の真上に、ウェブ13が設けられた方向に沿って配置されることがより好ましい。あるいは、リブ30は、
図7に示すように、受口部14からレグ20が設けられた方向に向かって3枚ずつ配置されてもよい。具体的には、
図1に示す1枚のリブ30と、
図6に示す2枚のリブ30とが、併せて配置されてもよい。更には、これに限らず、リブ30は、受口部14の円周方向に間隔を空けて任意の枚数で配置されてもよい。
【0077】
ブレース40は、トランジションピース10において複数設けられた、隣接する2つのレグ20の間を接続し、ジャケット構造体100を補強する部材である。ブレース40には、例えば鋼管が用いられる。本実施形態において、ブレース40は、2つのレグ20の間においてX字状に構成される。
図1及び
図2に示すように、前記X字状はジャケット構造体100の上下方向において2段設けられる。このような場合、トランジションピース10と繋がり、且つ、トランジションピース10よりも海底に近いX字状のブレース40を第1ブレース構造体41と呼称する。また、第1ブレース構造体41と繋がり、且つ、第1ブレース構造体41よりも海底の地盤に近いX字状のブレース40を第2ブレース構造体42と呼称する。
第1非直線部20b1は、トランジションピース10と前記第1ブレース構造体41との間に設けられる。
【0078】
接合部材50は、ジャケット構造体100を複数の杭200に接合する。
図4に示すように、接合部材50は、レグ20の下端に設けられる。接合部材50は、スリーブ51と、接続部材52と、を含む。
スリーブ51は、ジャケット構造体100の備える複数のレグ20のうちの1つに対して複数設けられる。複数のスリーブ51は、鉛直方向に沿って伸びる直線部を含む。複数のスリーブ51のそれぞれには、杭200が挿入される。これにより、ジャケット構造体100と杭200とが接続される。
【0079】
接続部材52は、レグ20の1つと、レグ20の1つに対して複数設けられたスリーブ51と、を接続する。すなわち、レグ20の1つ及び複数のスリーブ51には、接続部材52で接続される。杭200とレグ20とを接合部材50によって接合する際、杭200とレグ20との角度調整を行う必要がある場合、トランジションピース10に複数設けられたレグ20の1つの他端であって、トランジションピース10とは反対側の他端には、第3非直線部20b3が設けられてもよい。第3非直線部20b3は、レグ20のうち、直線状でない部分である。つまり、第3非直線部20b3は、レグ20の曲げ部(第3曲げ部)である。第3非直線部20b3は、例えば、湾曲している。本実施形態において、湾曲しているとは、例えば、
図8に示すように、レグ20の中心線が滑らかな曲線となっているものをいう。加えて、湾曲しているとは、
図9に示すように、レグ20の中心線が多段階で屈曲しているものも含む。このとき、レグ20における、トランジションピース10の下端に位置する部位から第1非直線部20b1までの間の直線部を第1直線部20s1と呼称する。第1非直線部20b1から第3非直線部20b3までの間の直線部を第2直線部20s2と呼称する。第1非直線部20b1によって、第1直線部20s1と第2直線部20s2とは、所定の角度を成す。これにより、レグ20の他端、すなわち下端をスリーブ51と平行にし、あるいは検討の上その他の最適な角度としてもよい。
【0080】
上述の各構成を備えるジャケット構造体100は、同じウインドファーム又は海域に複数配置される。このとき、ジャケット構造体100の設計を同一にすることが好ましいが、ジャケット構造体100を設置する箇所の地盤条件がそれぞれ異なるから困難である。このため、少なくとも洋上風車300の構造及び洋上風車300と接続され、洋上風車300を支持するトランジションピース10の構造を共通化することで、設計工数の短縮を図ることが好ましい。具体的には、下記によって上記構成の共通化を行う。
【0081】
すなわち、複数配置されるジャケット構造体100において、それぞれが複数備えるレグ20における第1非直線部20b1の角度は、洋上風車300のタワー形状、トランジションピース10の幅、海底の水深、又は海底の地盤条件等に応じ、決定される。つまり、ジャケット構造体100の備えるレグ20の傾斜角を適宜調整することで、ジャケット構造体100の下端の幅や、ジャケット構造体100の高さ、すなわち海底からトランジションピース10までの距離が適宜調整される。また、第1非直線部20b1の位置又は角度は、第1ブレース構造体41に含まれる複数のブレース40それぞれの長さ又は傾きに応じ、決定されてもよい。あるいは、第1ブレース構造体41に含まれる複数のブレース40それぞれの長さ又は傾きは、第1非直線部20b1の位置又は角度に応じ、決定されてもよい。なお、本実施形態において、第1非直線部20b1の角度とは、第1非直線部20b1の軸方向の両側に位置する第1直線部20s1と第2直線部20s2とのなす角度をいう。
【0082】
図3に示すように、第1非直線部20b1の角度は、洋上風車300が所定方向を向いた場合の洋上風車300の回転軸に沿う方向を第1方向D1とし、第1方向D1と直交し且つ水平方向に沿う方向を第2方向D2としたとき、第1方向D1に沿った第1非直線部20b1の角度と第2方向D2に沿った第1非直線部20b1の角度とは等しくなるようにする。
また、第1非直線部20b1の角度と第2非直線部20b2の角度とは、鉛直方向と平行な軸であって洋上風車300の中心を通る軸に対して軸対称となるようにする。
上記よりジャケット構造体100を構成することで、トランジションピース10と、洋上風車300との構造を複数のジャケット構造体100において共通化する。
【0083】
以上説明したように、本実施形態に係るジャケット構造体100によれば、複数のレグ20の少なくとも1つは第1非直線部20b1を含む。これにより、複数のジャケット構造体100の下端においてレグ20同士の間隔が異なる場合であっても、第1非直線部20b1の曲げ角度及び第1非直線部20b1以下のレグ20の長さを適宜調整することによって、ジャケット構造体100に設けられるトランジションピース10の構造を共通化することができる。
【0084】
また、第1非直線部20b1の角度は、洋上風車300のタワー形状、トランジションピース10の幅、海底の水深、又は海底の地盤条件に応じ、決定される。これにより、ジャケット構造体100を設置場所に合わせ最適な構造とすることができる。
【0085】
また、複数のレグ20の1つにおけるトランジションピース側の一端から第1非直線部20b1までの距離は、レグ20におけるトランジションピース10とは反対側の他端から第1非直線部20b1までの距離よりも短い。つまり、第1非直線部20b1は、レグ20の長手方向においてトランジションピース10の側に設けられる。複数のジャケット構造体100においてトランジションピース10を共通化する際は、第1非直線部20b1よりも上側の構造を共通とする。これにより、第1非直線部20b1をトランジションピース10の近くに設けることで、共通化する部分を少なくすることができる。
【0086】
また、第1非直線部20b1は、トランジションピース10と第1ブレース構造体41との間に設けられる。これにより、第1ブレース構造体41以下の部位をジャケット構造体100ごとに個別の設計として、トランジションピース10を共通化することができる。よって、ジャケット構造体100の設計検討を容易かつ効率的に行うことができる。
【0087】
また、第1非直線部20b1は、トランジションピース10の下端と、第1ブレース構造体41に含まれるブレース40の上端とレグ20の1つとの交点の上端と、の中間に設けられる。このように、第1非直線部20b1をトランジションピース10から離れた位置に設定することで、トランジションピース10の荷重が第1非直線部20b1に直接かかることを防ぐことができる。よって、第1非直線部20b1に大きな応力が集中することを抑えることができる。
【0088】
本実施形態によれば、第1非直線部20b1がトランジションピース10の下端に設けられている場合等に比べて、第1非直線部20b1をトランジションピース10から離れた位置に設定することができる。ここでレグ20は、例えば、第1非直線部20b1を分割点として上下に分割される2つの鋼管を接合することで製造される。第1非直線部20b1がトランジションピース10の下端に設けられている場合、前記2つの鋼管は、トランジションピース10の下端(例えば、下側板12)を分割点として上下に分割される。そのため、前記2つの鋼管が円管である場合、前記2つの鋼管のうち、上側の鋼管の分割点における断面は、真円形になるところ、下側の鋼管の分割点における断面は、楕円形状になることがある。この場合、前記2つの鋼管の分割点における断面が一致せず、レグ20の強度に影響が生じる恐れがある。一方、第1非直線部20b1がトランジションピース10から離れた位置に設定される場合、前記2つの鋼管の分割点がトランジションピース10の下端よりも下方に位置し、前記上側の鋼管がトランジションピース10の下端を上下方向に貫通する。よって、前記上側の鋼管の分割点における断面を前記下側の鋼管の断面と同様に楕円形状とし、前記2つの鋼管の断面を一致させることが可能になり、レグ20の強度を確保し易くすることができる。その結果、例えば、トランジションピース10へ外力が入力されたとき等においても、第1非直線部20b1に大きな応力が集中することを抑えることができる。
【0089】
また、第1非直線部20b1の位置又は角度は、第1ブレース構造体41に含まれる複数のブレース40それぞれの長さ又は傾きに応じ、決定される。つまり、ジャケット構造体100の強度を担保する役割を有するブレース40の構造を予め決定した上で第1非直線部20b1の仕様を決定する。これにより、第1非直線部20b1よりも上側の構造を共通化するとともに、ジャケット構造体100の強度を確保することができる。
【0090】
また、複数のレグ20の1つにおける第1非直線部20b1と、前記1つと異なるレグ20における第2非直線部20b2の位置とが、水平方向に沿って同じである。つまり、複数のレグ20において同じ高さに非直線部分が設けられる。これにより、1のジャケット構造体100が含む複数のレグ20の設置場所における地盤条件を共通として検討する際、寸法の管理を容易かつ効率的に行うことができる。また、複数のジャケット構造体100でトランジションピース10を共通化する際の設計条件を統一して、検討を効率的に行うことができる。
【0091】
また、第1非直線部20b1の角度と第2非直線部20b2の角度とは、鉛直方向と平行な軸であって洋上風車300の中心を通る軸に対して軸対称である。このように、ジャケット構造体100の構造を対称とすることで、ジャケット構造体100に付加された荷重やモーメントを各部位に均等に分散することができる。よって、ジャケット構造体100をより安定させることができる。なお、上述のように、ジャケット構造体100の骨組みは、洋上風車300の中心を通る軸に対して軸対称である。しかしながら、前記骨組みにアクセス通路等の付属物や、これに伴う骨組み側の補強まで含めると、軸対称とはならない。
【0092】
また、複数のレグ20の1つにおける第1非直線部20b1の位置と、前記1つと異なるレグ20における第2非直線部20b2の位置とが、水平方向に沿って異なる。これにより、1のジャケット構造体100が含む複数のレグ20の設置場所における地盤条件が異なる場合に、柔軟に対応することができる。
【0093】
また、複数のレグ20の1つの他端に第3非直線部20b3が設けられている。これにより、ジャケット構造体100の下端を地盤に打設された杭200と接合する際、杭200とレグ20との角度調整を的確に行うことができる。この発明は、杭200とレグ20とを接続部材52によって接合する際に特に顕著な効果を発揮する。
【0094】
また、ジャケット構造体100は、第1非直線部20b1とトランジションピース10の下面との両方に接するリブ30を更に備える。これにより、第1非直線部20b1に応力が集中した際の疲労強度を向上し、ジャケット構造体100の強度をより確保することができる。
【0095】
また、第1方向D1に沿った第1非直線部20b1の角度と、第1方向D1に直交する第2方向D2に沿った第1非直線部20b1の角度とは等しい。つまり、ジャケット構造体100のレグ20は、第1非直線部20b1によって、いずれかの方向に偏ることなく、洋上風車300のタワーの中心を通る軸に向かって傾斜している。これにより、ジャケット構造体100に付加された荷重やモーメントが、いずれかの方向に偏って分散されることを防ぐことができる。よって、より安定したジャケット構造体100とすることができる。
【0096】
また、
図2に示すように、第1非直線部20b1は、洋上風車300のタワーの中心を通る軸の側に向かって曲がっている。これにより、レグ20の上端を、洋上風車300のタワーの中心を通る軸により近い側に位置させることができる。よって、トランジションピース10の上端を小さくするために好適なレグ20の形状とすることができる。
【0097】
また、
図4に示すように、第1非直線部20b1は、洋上風車300のタワーの中心を通る軸とは反対側に向かって曲がっている。これにより、レグ20の上端を、洋上風車300のタワーの中心を通る軸からより遠くに離れるように位置させることができる。よって、トランジションピース10の上端を大きくするために好適なレグ20の形状とすることができる。
複数のジャケット構造体100の下端においてレグ20同士の間隔が異なる場合であっても、第1非直線部20b1の曲げの向きを適宜調整することによって、ジャケット構造体100に設けられるトランジションピース10の構造を共通化することができる。
【0098】
また、複数のレグ20の少なくとも1つは、第1直線部20s1と第2直線部20s2とを含み、第1直線部20s1と第2直線部20s2とは、所定の角度を成す。つまり、レグ20は第1直線部20s1と第2直線部20s2との間で曲がっている。このように曲がった部分の角度と、レグ20の長さを適宜調整することによって、ジャケット構造体100に設けられるトランジションピース10の構造を共通化することができる。
【0099】
また、洋上風車300が含むジャケット構造体100において、複数のレグ20の少なくとも1つが、第1非直線部20b1を含む。これにより、洋上風車300を複数設ける場合に、トランジションピース10を共通化することができる。
【0100】
また、第1非直線部は、湾曲している。これにより、例えば、第1非直線部が屈曲している場合と比較して、応力集中を緩和することができる。
【0101】
また、第1非直線部及び第2非直線部は、湾曲している。これにより、例えば、第1非直線部及び第2非直線部が屈曲している場合と比較して、応力集中を緩和することができる。
【0102】
また、第1非直線部及び第3非直線部は、湾曲している。これにより、例えば、第1非直線部及び第3非直線部が屈曲している場合と比較して、応力集中を緩和することができる。
【0103】
また、第1非直線部は、湾曲している。これにより、例えば、第1非直線部が屈曲している場合と比較して、応力集中を緩和することができる。
【0104】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態のジャケット構造体システムを説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態に係るジャケット構造体システムは、第1ジャケット構造体と、第2ジャケット構造体と、を備える。ジャケット構造体システムにおいて、第1洋上風車と第2洋上風車が設けられるウインドファーム又は海域(例えば、10km四方の海域)は、同じである。
【0105】
第1ジャケット構造体は、第1洋上風車を支持する第1トランジションピースと、第1トランジションピースに設けられる複数のレグ20と、を含む。
第2ジャケット構造体は、第2洋上風車を支持する第2トランジションピースと、第2トランジションピースに設けられる複数のレグ20と、を含む。
【0106】
第1ジャケット構造体及び第2ジャケット構造体は、第1実施形態におけるジャケット構造体100である。つまり、第1トランジションピースの骨組みと第2トランジションピースの骨組みとは、同じであり、いずれも第1実施形態におけるトランジションピース10である。
第1洋上風車及び第2洋上風車は、第1実施形態における洋上風車300である。つまり、第1洋上風車の骨組みと第2洋上風車の骨組みとは、同じである。
【0107】
第1ジャケット構造体に含まれる複数のレグ20の1つの非直線部(例えば、第1非直線部20b1)の角度と、第2ジャケット構造体に含まれる複数のレグ20の1つの非直線部の角度とは、異なる。つまり、ジャケット構造体100が複数設けられるジャケット構造体システムにおいて、第1ジャケット構造体と第2ジャケット構造体の構造を適宜変更することで、第1トランジションピースと第2トランジションピースとを共通のトランジションピース10として、第1洋上風車と第2洋上風車とを共通の洋上風車300とする。
【0108】
以上説明したように、第2実施形態に係るジャケット構造体システムによれば、第1ジャケット構造体に含まれる複数のレグ20の1つの非直線部の角度と第2ジャケット構造体に含まれる複数のレグ20の1つの非直線部の角度とは、異なる。これにより、第1風車と第2風車とが設置される場所の地盤条件及び水深等が異なる場合であっても、非直線部の角度及びレグ20の長さを適宜調整することで、非直線部より上に位置するトランジションピース10及び洋上風車300を共通化することができる。よって、ジャケット構造体システムの設計検討を効率的に行うことができる。
【0109】
また、非直線部は、湾曲している。これにより、例えば、非直線部が屈曲している場合と比較して、応力集中を緩和することができる。
【0110】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態の洋上風車システムを説明する。
なお、この第3実施形態においては、第1実施形態及び第2実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0111】
本実施形態に係る洋上風車システムは、第1洋上風車と、第2洋上風車と、を備える。第1洋上風車と第2洋上風車が設けられるウインドファーム又は海域は、同じである。
第1洋上風車は、第1トランジションピースと、第1トランジションピースに含まれる複数のレグ20と、を含む第1ジャケット構造体、を含み、第1トランジションピースに支持される。
第2洋上風車は、第2トランジションピースと、第2トランジションピースに含まれる複数のレグ20と、を含む第2ジャケット構造体、を含み、第2トランジションピースに支持される。
【0112】
第1ジャケット構造体及び第2ジャケット構造体は、第1実施形態におけるジャケット構造体100である。つまり、第1トランジションピースの骨組みと第2トランジションピースの骨組みとは、同じであり、いずれも第1実施形態におけるトランジションピース10である。
第1洋上風車及び第2洋上風車は、第1実施形態における洋上風車300である。つまり、第1洋上風車の骨組みと第2洋上風車の骨組みとは、同じである。
第1ジャケット構造体に含まれる複数のレグ20の1つの非直線部(例えば、第1非直線部20b1)の角度と第2ジャケット構造体に含まれる複数のレグ20の1つの非直線部の角度とは、異なる。つまり、洋上風車300が複数設けられる洋上風車システムにおいて、第1ジャケット構造体と第2ジャケット構造体の構造を適宜変更することで、第1トランジションピースと第2トランジションピースとを共通のトランジションピース10として、第1洋上風車と第2洋上風車とを共通の洋上風車300とする。
【0113】
以上説明したように、第3実施形態に係る洋上風車システムによれば、第1ジャケット構造体に含まれる複数のレグ20の1つの非直線部の角度と第2ジャケット構造体に含まれる複数のレグ20の1つの非直線部の角度とは、異なる。これにより、第1風車と第2風車とが設置される場所の地盤条件及び水深等が異なる場合であっても、非直線部の角度及びレグ20の長さを適宜調整することで、非直線部より上に位置するトランジションピース10及び洋上風車300を共通化することができる。よって、洋上風車システムの設計検討を効率的に行うことができる。
【0114】
また、非直線部は、湾曲している。これにより、例えば、非直線部が屈曲している場合と比較して、応力集中を緩和することができる。
【0115】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、ジャケット構造体システムには、第1ジャケット構造体及び第2ジャケット構造体のみに限らず、任意の個数のジャケット構造体100が設けられてもよい。
洋上風車システムには、第1洋上風車及び第2洋上風車のみに限らず、任意の個数の洋上風車300が設けられてもよい。
また、トランジションピース10の受口部14には、洋上風車300以外の物が接続されてもよい。
【0116】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0117】
10 トランジションピース
20 レグ
20b1 第1非直線部
20b2 第2非直線部
20b3 第3非直線部
20s1 第1直線部
20s2 第2直線部
30 リブ
40 ブレース
41 第1ブレース構造体
42 第2ブレース構造体
100 ジャケット構造体
300 洋上風車
D1 第1方向
D2 第2方向