(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050429
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】クランプ及びサドル継手構造
(51)【国際特許分類】
F16B 2/08 20060101AFI20240403BHJP
F16L 41/06 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
F16B2/08 F
F16L41/06
F16B2/08 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023135896
(22)【出願日】2023-08-23
(31)【優先権主張番号】P 2022156348
(32)【優先日】2022-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】福島 充貴
(72)【発明者】
【氏名】元持 和哉
(72)【発明者】
【氏名】栗尾 浩行
【テーマコード(参考)】
3H019
3J022
【Fターム(参考)】
3H019CA05
3J022DA15
3J022EA42
3J022EB14
3J022EC17
3J022EC22
3J022ED26
3J022FA05
3J022FB04
3J022FB07
3J022FB12
3J022GA00
3J022GA02
3J022GA16
3J022GB42
3J022GB56
(57)【要約】
【課題】本体部材から回転部材が外れるのを抑制したクランプを提供する。
【解決手段】クランプ20は、所定の方向に互いに間隔を空けて配置され、第1端部に所定の方向に貫通する孔22aA,22aBがそれぞれ形成された2つのバンド部22A,22B、2つのバンド部の第2端部同士を接続するクランプ片を有する本体部材21と、2つのバンド部それぞれの孔内に配置された2つのシャフト部33A,33Bを有する回転部材31と、2つのバンド部の孔間の距離が長くなるのを防止する規制部24,34A,34Bと、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に互いに間隔を空けて配置され、第1端部に前記所定の方向に貫通する孔がそれぞれ形成された2つのバンド部、前記2つのバンド部の第2端部同士を接続するクランプ片を有する本体部材と、
前記2つのバンド部それぞれの前記孔内に配置された2つのシャフト部を有する回転部材と、
前記2つのバンド部の前記孔間の距離が長くなるのを防止する規制部と、
を備える、クランプ。
【請求項2】
前記規制部は、前記2つのバンド部を連結する連結部材を有する、請求項1に記載のクランプ。
【請求項3】
前記2つのバンド部における前記連結部材で連結された部分は、前記2つのバンド部における他の部分よりも、前記2つのバンド部の内側寄りに配置されている、請求項2に記載のクランプ。
【請求項4】
前記規制部は、前記2つのバンド部の外側に配置され、前記孔の径よりも大きく、前記2つのシャフト部にそれぞれ連なる2つの第1拡径部を有し、
前記2つのバンド部の前記第1端部には、前記孔に連なる切欠きがそれぞれ形成されている、請求項1に記載のクランプ。
【請求項5】
前記回転部材は、前記2つのシャフト部の間に配置され、前記孔の径よりも大きい第2拡径部を有する、請求項4に記載のクランプ。
【請求項6】
前記回転部材は、前記2つのシャフト部に対して前記所定の方向の間に配置された本体を有し、
前記本体は、前記所定の方向に見たときに、前記2つのシャフト部に対して、前記2つのシャフト部を挟んだ両側である第1側及び第2側それぞれに突出している、請求項1に記載のクランプ。
【請求項7】
前記所定の方向に見たときに、前記回転部材は、前記本体のうち、前記2つのシャフト部に対する前記第1側に位置する第1部分から、前記第1部分に交差する方向に突出する凸部を有する、請求項6に記載のクランプ。
【請求項8】
前記回転部材は、前記凸部に対する前記第2側に、前記本体と前記凸部とを連結するリブを有する、請求項7に記載のクランプ。
【請求項9】
前記所定の方向に見たときに、前記本体のうち、前記2つのシャフト部に対する前記第2側に位置する部分を、第2部分と規定したときに、
前記所定の方向に見たときに、前記第1部分及び前記第2部分はいずれも、直線状に延びるとともに、前記第2部分は、前記第1部分に対して傾斜しており、
前記凸部が前記第1部分に対して突出する方向に向けて、前記第2部分が前記第1部分に対して傾斜している、請求項7に記載のクランプ。
【請求項10】
前記回転部材は、前記本体から前記第1側に突出するレバーを有する、請求項6に記載のクランプ。
【請求項11】
サドル継手と、
前記サドル継手に取付けられた、請求項1に記載のクランプと、
を備える、サドル継手構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランプ及びサドル継手構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、本体部材と回転部材とを備えるクランプが知られている(例えば、特許文献1参照)。本体部材は、間隔を空けて配置された2つのバンド部と、2つのバンド部の第1端部同士を接続する第1クランプ片(クランプ片)と、を有する。回転部材は、2つのバンド部のそれぞれの第1端に形成された孔に配置されるシャフト部を有する。2つの孔の少なくとも片方には、切欠きが形成されている。
【0003】
クランプは、サドル継手とともに本管を挟むように配置され、サドル継手に取付けられる。回転部材のシャフト部は、切欠きを通して孔に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、本管内を流れる水道水等の圧力等により本管の外径が大きくなるように変形すると、本体部材及び回転部材が変形(クリープ膨張)する場合がある。この際に、本体部材の2つのバンド部の孔から、回転部材のシャフト部が外れやすくなる。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、本体部材から回転部材が外れるのを抑制したクランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明の態様1は、所定の方向に互いに間隔を空けて配置され、第1端部に前記所定の方向に貫通する孔がそれぞれ形成された2つのバンド部、前記2つのバンド部の第2端部同士を接続するクランプ片を有する本体部材と、前記2つのバンド部それぞれの前記孔内に配置された2つのシャフト部を有する回転部材と、前記2つのバンド部の前記孔間の距離が長くるのを防止する規制部と、を備える、クランプである。
【0008】
この発明では、例えば、2つのバンド部の孔内に2つのシャフト部を配置する。サドル継手とともに配管を挟むようにクランプを配置し、サドル継手にクランプを取付ける。このとき、所定の方向が配管の軸線方向に沿うように、配管に対してクランプを配置する。例えば、サドル継手の2つの鍔に、クランプ片及び回転部材をそれぞれ係止させる。こうして、配管にサドル継手とともにクランプを固定する。
このとき、クランプは、2つのバンド部の孔間の距離が長くなるのを防止する規制部を備える。このため、2つのバンド部それぞれの孔内から2つのシャフト部が外れるのが抑えられ、本体部材から回転部材が外れるのを抑制することができる。
【0009】
(2)本発明の態様2は、前記規制部は、前記2つのバンド部を連結する連結部材を有する、(1)に記載のクランプであってもよい。
この発明では、連結部材により2つのバンド部が変形し難くなる。このため、2つのバンド部それぞれの孔内から、2つのシャフト部が外れるのがさらに抑えられ、本体部材から回転部材が外れるのをさらに抑制することができる。
【0010】
(3)本発明の態様3は、前記2つのバンド部における前記連結部材で連結された部分は、前記2つのバンド部における他の部分よりも、前記2つのバンド部の内側寄りに配置されている、(2)に記載のクランプであってもよい。
この発明では、連結部材における所定の方向の長さを短くできるため、2つのバンド部がそれぞれ所定の方向回りに延びている場合に比べて、連結部材の質量を低減させて連結部材の材料コストを抑えることができる。
【0011】
(4)本発明の態様4は、前記規制部は、前記2つのバンド部の外側に配置され、前記孔の径よりも大きく、前記2つのシャフト部にそれぞれ連なる2つの第1拡径部を有し、前記2つのバンド部の前記第1端部には、前記孔に連なる切欠きがそれぞれ形成されている、(1)から(3)のいずれか一に記載のクランプであってもよい。
この発明では、切欠きを通して孔内にシャフト部を配置したり、切欠きを通して孔内からシャフト部を取出したりすることができる。
規制部が2つの第1拡径部を有するため、バンド部が第1拡径部に係止して、2つのバンド部の外側にバンド部が移動し難くなる。このため、2つのバンド部それぞれの孔内から、2つのシャフト部が外れるのがさらに抑えられ、本体部材から回転部材が外れるのをさらに抑制することができる。
【0012】
(5)本発明の態様5は、前記回転部材は、前記2つのシャフト部の間に配置され、前記孔の径よりも大きい第2拡径部を有する、(4)に記載のクランプであってもよい。
この発明では、バンド部が第2拡径部に係止して、シャフト部よりも2つのバンド部の内側にバンド部が移動するのを抑制することができる。
【0013】
(6)本発明の態様6は、前記回転部材は、前記2つのシャフト部に対して前記所定の方向の間に配置された本体を有し、前記本体は、前記所定の方向に見たときに、前記2つのシャフト部に対して、前記2つのシャフト部を挟んだ両側である第1側及び第2側それぞれに突出している、(1から(5)のいずれか一に記載のクランプであってもよい。
この発明では、2つのシャフト部に対して所定の方向の間に配置された本体を、所定の方向に見たときに、2つのシャフト部に対して、2つのシャフト部を挟んだ両側である第1側及び第2側それぞれに突出させることができる。
【0014】
(7)本発明の態様7は、前記所定の方向に見たときに、前記回転部材は、前記本体のうち、前記2つのシャフト部に対する前記第1側に位置する第1部分から、前記第1部分に交差する方向に突出する凸部を有する、(6)に記載のクランプであってもよい。
この発明では、例えば、サドル継手のサドル本体に本体の第1部分を近づけるように回転部材を回転させたときに、サドル本体に凸部を突き当てる。これにより、回転部材が回転し過ぎるのを規制することができる。
【0015】
(8)本発明の態様8は、前記回転部材は、前記凸部に対する前記第2側に、前記本体と前記凸部とを連結するリブを有する、(7)に記載のクランプであってもよい。
この発明では、サドル継手の一方の鍔に凸部を係止させようとすると、このリブが鍔に接触し、サドル継手の一方の鍔に凸部を係止し難くなる。このため、誤って、鍔に凸部を係止させるのを抑制することができる。
【0016】
(9)本発明の態様9は、前記所定の方向に見たときに、前記本体のうち、前記2つのシャフト部に対する前記第2側に位置する部分を、第2部分と規定したときに、前記所定の方向に見たときに、前記第1部分及び前記第2部分はいずれも、直線状に延びるとともに、前記第2部分は、前記第1部分に対して傾斜しており、前記凸部が前記第1部分に対して突出する方向に向けて、前記第2部分が前記第1部分に対して傾斜している、(7)又は(8)に記載のクランプであってもよい。
【0017】
(10)本発明の態様10は、前記回転部材は、前記本体から前記第1側に突出するレバーを有する、(6)から(9)のいずれか一に記載のクランプであってもよい。
この発明では、例えば、クランプの操作者がレバーを指で摘まんで操作することで、回転部材を容易に回転させることができる。
【0018】
(11)本発明の態様11は、サドル継手と、前記サドル継手に取付けられた、(1)から(10)のいずれか一に記載のクランプと、を備える、サドル継手構造である。
この発明では、本体部材から回転部材が外れるのを抑制したクランプを備えるサドル継手構造を構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のクランプ及びサドル継手構造では、本体部材から回転部材が外れるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態のサドル継手構造を本管に取付けた状態の正面図である。
【
図4】
図3における切断線A5-A5の断面図である。
【
図5】同サドル継手構造の回転部材の側面図である。
【
図6】本管にサドル継手構造を取付ける手順を示す図である。
【
図7】本管にサドル継手構造を取付ける手順を示す図である。
【
図8】本発明の第1実施形態の変形例におけるサドル継手構造を本管に取付けた状態の側面図である。
【
図9】本発明の第1実施形態の変形例におけるサドル継手構造を本管に取付けた状態の他の側面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態のサドル継手構造を本管に取付けた状態の正面図である。
【
図12】同サドル継手構造の回転部材の側面図である。
【
図14】リブの作用を説明するための要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、本発明に係るクランプ及びサドル継手構造の第1施形態を、
図1から
図9を参照しながら説明する。
図1から
図3に示すように、本実施形態のサドル継手構造1は、水道水やガス等を流通させる本管(配管)100に、枝管(分岐管)102を接続するために用いられる。本実施形態のサドル継手構造1は、サドル継手10と、本実施形態のクランプ20と、を備える。
本実施形態では、サドル継手10は、EF継手(エレクロトフュージョン継手、電気融着継手)である。なお、サドル継手は、EF継手でなくてもよい。
本管100及び枝管102は、ポリエチレン樹脂で形成されている。本管100の側面には、貫通孔100aが形成されている。
【0022】
サドル継手10は、サドル本体11と、第1鍔12と、第2鍔13と、分岐管部14と、電熱線(不図示)と、2つの端子15と、を有する。
ここで、サドル本体11は、半円筒状に形成され、本管100は管状に形成されている。サドル本体11及び本管100それぞれの中心軸は、共通軸と同軸に配置されている。以下では、共通軸を軸線O1と言い、軸線O1に沿う方向を軸線O1方向(所定の方向)と言う。サドル継手構造1を軸線O1方向から見て(側面視で見たときに)、軸線O1に直交する方向を径方向と言い、軸線O1回りに周回する方向を周方向と言う。
ここで言う半円筒状とは、円筒を、円筒の軸を含む平面で分割した一方側の形状を意味する。
軸線O1に対する貫通孔100a側を、第1側D1と言い、第1側D1とは反対側を第2側D2と言う。
【0023】
サドル本体11における軸線O1方向の中央部には、貫通孔11aが形成されている。サドル本体11は、本管100における第1側D1の外周面に融着されている。貫通孔11aは、本管100の貫通孔100aに連通している。
第1鍔12及び第2鍔13は、それぞれ鍔である。第1鍔12は、サドル本体11における周方向の第1側の端部から、径方向外側に向かって突出している。
図2に示すように、この例では、第1鍔12の軸線O1方向の長さ、及びサドル本体11の軸線O1方向の長さは、互いに等しい。言い換えれば、サドル本体11は、第1鍔12よりも軸線O1方向のいずれの側にも突出していない。
図1に示すように、第2鍔13は、サドル本体11における周方向の第1側とは反対側の第2側の端部から、径方向外側に向かって突出している。
図3に示すように、この例では、第2鍔13の軸線O1方向の長さ、及びサドル本体11の軸線O1方向の長さは、互いに等しい。言い換えれば、サドル本体11は、第2鍔13よりも軸線O1方向のいずれの側にも突出していない。
【0024】
図1から
図3に示すように、分岐管部14は、サドル本体11の貫通孔11aの開口周縁部から径方向外側に向かって延びている。分岐管部14は、受口である接続部14aを有する。接続部14aには、枝管102の端部が接続されている。
サドル本体11、第1鍔12、第2鍔13、及び分岐管部14は、本管100と同一の樹脂で形成されている。
電熱線は、サドル本体11内に埋設されている。
2つの端子15は、サドル本体11の外周面に、分岐管部14を軸線O1方向に挟むように配置されている。2つの端子15は、電熱線の端部にそれぞれ接続されている。
【0025】
クランプ20は、本体部材21と、回転部材31と、を備える。本体部材21は、2つのバンド部22A,22Bと、クランプ片(連結部)23と、連結部材(規制部)24と、を有する。
本実施形態では、バンド部22Aの構成とバンド部22Bの構成とは、互いに同一である。このため、バンド部22Aの構成を、符号の数字、又は数字及び英小文字に英大文字「A」を付加することで示す。バンド部22Bのうちバンド部22Aに対応する構成を、バンド部22Aの符号と同一の数字、又は数字及び英小文字に英大文字「B」を付加することで示す。これにより、重複する説明を省略する。例えば、バンド部22Aの後述する孔22aAとバンド部22Bの孔22aBとは、互いに同一の構成である。後述するシャフト部33A,33B等も、同様である。
【0026】
バンド部22A,22Bは、それぞれ帯状に形成されている。バンド部22A,22Bは、軸線O1回りに延びている。バンド部22A,22Bの中心角は、それぞれ180°程度である。バンド部22A,22Bは、軸線O1方向に互いに間隔を空けて配置されている。
図4に示すように、バンド部22Aの第1端部には、軸線O1方向に貫通する孔22aAが形成されている。なお、
図4では、バンド部22Aの後述する切欠き22bAが、回転部材31の後述するシャフト部33Aにより広げられた状態を示している。
【0027】
孔22aAは、軸線O1方向に見たときに、円形状を呈する。
バンド部22Aの第1端部には、切欠き22bAが形成されている。切欠き22bAは、バンド部22Aの第1端部における径方向内側を向く外面に形成され、孔22aAに連なっている。切欠き22bAは、バンド部22Aの第1端部を、軸線O1方向に貫通している。
【0028】
バンド部22Bの第1端部には、バンド部22Aの孔22aA、切欠き22bAと同様の孔22aB、切欠き22bBが形成されている。
図1に示すように、バンド部22A,22Bは、本管100における第2側D2の外周面を覆っている。
図2及び
図3に示すように、バンド部22A,22Bの間には、サドル継手10の鍔12,13が配置されている。
図1及び
図2に示すように、クランプ片23は、軸線O1方向に延びている。軸線O1方向に見たときに、クランプ片23は、矩形状を呈する。クランプ片23は、バンド部22A,22Bの第2端部同士を接続している。クランプ片23は、サドル継手10の第1鍔12に、第1鍔12の第1側D1から係止している。
【0029】
連結部材24は、半円筒状に形成され、バンド部22A,22Bの間に配置されている。連結部材24は、バンド部22A,22Bにおける、バンド部22A,22Bの長手方向(バンド部22A,22Bの周方向)の中間部同士を連結している。すなわち、バンド部22A,22Bは、連結部材24よりも周方向の第1側及び第2側にそれぞれ延びている。
連結部材24は、バンド部22A,22Bを変形し難くすることで、バンド部22A,22Bの孔22aA,22aB間の距離が長くなるのを防止する。
【0030】
本体部材21を構成するバンド部22A,22B、クランプ片23、及び連結部材24は、熱可塑性樹脂材により射出成形で一体に成形されている。熱可塑性樹脂材として、硬質塩化ビニル、ABS樹脂、POM(ポリアセタール)樹脂、ナイロン、ガラス入りPP(ポリプロピレン)樹脂等が挙げられる。
【0031】
図3及び
図5に示すように、回転部材31は、第2拡径部32と、2つのシャフト部33A,33Bと、2つの第1拡径部(規制部)34A,34Bと、操作片(レバー)35と、を有する。
第2拡径部32、シャフト部33A,33B、及び第1拡径部34A,34Bは、それぞれ円柱状に形成され、同軸上に配置されている。
第2拡径部32の長さは、サドル本体11の軸線O1方向の長さ程度である。第2拡径部32の径は、バンド部22A,22Bの孔22aA,22aBの径よりも大きい。
図1に示すように、第2拡径部32は、サドル継手10の第2鍔13に、第2鍔13の第1側D1から係止している。
【0032】
図3に示すように、シャフト部33Aの長さは、バンド部22Aの幅(軸線O1方向の長さ)よりも長い。シャフト部33Aは、バンド部22Aの孔22aA内に配置されている。バンド部22Aの第1端部に外力が作用しない自然状態での切欠き22bAの開口長さは、シャフト部33Aの径よりも小さい。
図1に示すように、第1側D1及び第2側D2は、軸線O1方向に見たときに、シャフト部33A,33Bに対して、シャフト部33A,33Bを挟んだ両側である。
図3及び
図5に示すように、前記第2拡径部32は、シャフト部33A,33Bの間に配置され、シャフト部33A,33Bにそれぞれ連なっている。
【0033】
第1拡径部34Aは、シャフト部33Aに連なるとともに、バンド部22A,22Bの外側に配置されている。第1拡径部34Aの径は、孔22aAの径よりも大きい。第1拡径部34Bは、シャフト部33Bに連なるとともに、バンド部22A,22Bの外側に配置されている。第1拡径部34Bの径は、孔22aBの径よりも大きい。
第1拡径部34A,34Bは、バンド部22A,22Bが第1拡径部34A,34Bに係止して、バンド部22A,22Bの外側にバンド部22A,22Bが移動し難くなることで、バンド部22A,22Bの孔22aA,22aB間の距離が長くなるのを防止する。
【0034】
操作片35は、平板状に形成されている。操作片35は、第2拡径部32における軸線O1方向の中間部から、第2拡径部32に直交する方向に延びている。操作片35は、第2拡径部32から第1側D1に突出している。
回転部材31を構成する第2拡径部32、シャフト部33A,33B、第1拡径部34A,34B、及び操作片35は、本体部材21と同一の材料で一体に成形されている。
【0035】
以上のように、クランプ20は、本体部材21のバンド部22A,22B及びクランプ片23、回転部材31の第2拡径部32により、サドル継手10との間に本管100を挟んだ状態で、サドル継手10に取付けられている。
クランプ20は、本管100上に配置されたサドル継手10を本管100に固定している。
【0036】
次に、以上のように構成されたサドル継手構造1を本管100に取付ける手順について説明する。なお、以下の手順を行う当初には、本管100に貫通孔100aが形成されていない。
まず、本体部材21のバンド部22A,22Bの孔22aA,22aB内に、回転部材31のシャフト部33A,33Bを配置する。具体的には、
図4に示すように、シャフト部33A,33Bの切欠き22bA,22bBを変形させ、これらの切欠き22bA,22bBを通して、孔22aA,22aB内にシャフト部33A,33Bを配置する。
【0037】
次に、
図6に示すように、本管100における第1側D1の外周面に、サドル継手10のサドル本体11を配置する。サドル継手10の第1鍔12に、本体部材21のクランプ片23を、第1鍔12の第1側D1から係止させる。回転部材31の操作片35を適宜操作して、本体部材21のバンド部22A,22Bを、本管100における第2側D2の外周面に巻き付け、
図7に示すように、バンド部22A,22B間にサドル継手10の第1鍔12及び第2鍔13を配置する。回転部材31の拡径部32を、第2鍔13に、第2鍔13の第1側D1から係止させる。
【0038】
サドル継手10の2つの端子15に図示しない電気融着装置を接続し、2つの端子15間に所定の電力を印加する。本管100にサドル継手10のサドル本体11が融着する。 分岐管部14内を通して、図示しない公知の工具により、本管100に貫通孔100aを形成する。サドル継手10の接続部14aに枝管102を接続する。
以上の工程で、本管100にサドル継手構造1が取付けられる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態のクランプ20では、バンド部22A,22Bの孔22aA,22aB内にシャフト部33A,33Bを配置する。サドル継手10とともに本管100を挟むようにクランプ20を配置し、サドル継手10にクランプ20を取付ける。このとき、バンド部22A,22Bが並ぶ方向が軸線O1方向に沿うように、本管100に対してクランプ20を配置する。サドル継手10の鍔12,13に、クランプ片23及び回転部材31をそれぞれ係止させる。こうして、本管100にサドル継手10とともにクランプ20を固定する。
このとき、クランプ20は、バンド部22A,22Bの孔22aA,22aB間の距離が長くなるのを防止する連結部材24を備える。このため、バンド部22A,22Bそれぞれの孔22aA,22aB内からシャフト部33A,33Bが外れるのが抑えられ、本体部材21から回転部材31が外れるのを抑制することができる。
【0040】
規制部は、連結部材24を有する。連結部材24によりバンド部22A,22Bが変形し難くなる。このため、バンド部22A,22Bそれぞれの孔22aA,22aB内から、シャフト部33A,33Bが外れるのがさらに抑えられ、本体部材21から回転部材31が外れるのをさらに抑制することができる。
規制部は第1拡径部34A,34Bを有し、バンド部22A,22Bには切欠き22bA,22bBが形成されている。従って、切欠き22bA,22bBを通して孔22aA,22aB内にシャフト部33A,33Bを配置したり、切欠き22bA,22bBを通して孔22aA,22aB内からシャフト部33A,33Bを取出したりすることができる。
規制部が第1拡径部34A,34Bを有するため、バンド部22A,22Bが第1拡径部34A,34Bに係止して、バンド部22A,22Bの外側にバンド部22A,22Bが移動し難くなる。このため、バンド部22A,22Bそれぞれの孔22aA,22aB内から、シャフト部33A,33Bが外れるのがさらに抑えられ、本体部材21から回転部材31が外れるのをさらに抑制することができる。
【0041】
回転部材31は、第2拡径部32を有する。このため、バンド部22A,22Bが第2拡径部32に係止して、シャフト部33A,33Bよりもバンド部22A,22Bの内側にバンド部22A,22Bが移動するのを抑制することができる。
また、本実施形態のサドル継手構造1では、本体部材21から回転部材31が外れるのを抑制したクランプ20を備えるサドル継手構造1を構成することができる。
【0042】
なお、前記実施形態では、
図8及び
図9に示すサドル継手構造1Aのクランプ40のように、バンド部22A,22Bにおける連結部材24で連結された部分は、バンド部22A,22Bにおける他の部分よりも、バンド部22A,22Bの内側寄りに配置されていてもよい。
このように構成されたクランプ40では、連結部材24における軸線O1方向の長さを短くできるため、2つのバンド部22A,22Bがそれぞれ軸線O1回りに延びている場合に比べて、連結部材24の質量を低減させて連結部材24の材料コストを抑えることができる。
【0043】
クランプ20,40は、連結部材24及び第1拡径部34A,34Bの一方を有さなくてもよい。クランプ20,40が第1拡径部34A,34Bを有さない場合には、バンド部22A,22Bに切欠き22bA,22bBは形成されなくてもよい。
回転部材31は、第2拡径部32及び操作片35を有さなくてもよい。
【0044】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について
図10から
図14を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図10及び
図11に示すように、本実施形態のサドル継手構造2は、第1実施形態のサドル継手構造1の各構成において、クランプ20の回転部材31に代えて、クランプ50の回転部材51を備える。
なお、本実施形態の本体部材21のバンド部22A,22Bには、切欠き22bA,22bBは形成されていない。
【0045】
図10から
図13に示すように、回転部材51は、回転部材31の各構成において、第2拡径部32及び第1拡径部34A,34Bに代えて、本体52、凸部57、及びリブ62を有する。なお、回転部材51のシャフト部33A,33Bは、バンド部22A,22Bの孔22aA,22aBに、軸線O1方向から通されている(
図11参照)。
【0046】
図11に示すように、本体52は、軸線O1方向に延びている。本体52は、2つのシャフト部33A,33Bに対して軸線O1方向の間に配置されている。
図10及び
図13に示すように本体52は、軸線O1方向に見たときに、シャフト部33A,33Bに対して第1側D1に突出した(第1側D1に位置する)第1部分52aと、シャフト部33A,33Bに対して第2側D2に突出した(第2側D2に位置する)第2部分52bと、を有する。軸線O1方向に見たときに、第1部分52a及び第2部分52bはいずれも、直線状に延びている。
【0047】
軸線O1方向に見たときに、凸部57は、第1部分52aから、第1部分52aに交差する方向に突出している。凸部57は、回転止めになる。
第2部分52bは、第1部分52aに対して傾斜している。第2部分52bは、凸部57が第1部分52aに対して突出する方向に向けて、第1部分52aに対して傾斜している。言い換えれば、第2部分52bは、第2側D2に向かうに従い漸次、凸部57が第1部分52aに対して突出する方向に傾斜して突出している。
【0048】
リブ62は、凸部57に対する第2側D2に配置されている。リブ62は、本体52と凸部57とを連結している。この例では、軸線O1方向に見たときに、リブ62は、本体52と凸部57との隙間を埋めるように配置されている。
図12に示すように、リブ62の軸線O1方向の長さは、本体52の軸線O1方向の長さ、及び凸部57の軸線O1方向の長さよりもそれぞれ短い。なお、リブ62の軸線O1方向の長さは、これに限定されない。
リブ62は、回転部材51の誤取り付け防止用である。
操作片35は、本体52から第1側D1に突出している。
【0049】
以上のように構成されたサドル継手構造2では、クランプ50の使用時には、本管100上にサドル継手10が配置された状態で、クランプ片23が第1鍔12上に配置され、2つのバンド部22A,22Bが本管100を間に挟んでサドル本体11の反対側に配置され、本体52が第2鍔13上に配置される。
回転部材51は、シャフト部33A,33B回りに回転可能である。使用時において回転部材51が第2鍔13上で2つのシャフト部33A,33B回りに回転し、回転部材51の姿勢が正規の姿勢になったときに、2つのバンド部22A,22Bに作用する張力に基づいてクランプ50がサドル継手10を本管100に固定する。
【0050】
前記正規の姿勢は、第2部分52bが第2鍔13上に位置する状態で、第1部分52aが、2つのシャフト部33A,33B回りに引き起こされた後の姿勢である。
凸部57は、正規の姿勢における回転部材51の更なる回転を規制する。使用時に、凸部57がサドル本体11に接触し、
図14に示すようにリブ62が第2鍔13に接触したときには、回転部材51が、サドル継手10からの反力に基づいて第2鍔13から離脱する。
【0051】
以上説明したように、本実施形態のクランプ50では、本体部材21から回転部材51が外れるのを抑制することができる。
さらに、回転部材51は本体52を有し、本体52は、軸線O1方向に見たときに、シャフト部33A,33Bに対して第1側D1及び第2側D2に突出している。このため、シャフト部33A,33Bに対して軸線O1方向の間に配置された本体52を、軸線O1方向に見たときに、シャフト部33A,33Bに対して、シャフト部33A,33Bを挟んだ両側である第1側D1及び第2側D2それぞれに突出させることができる。
【0052】
回転部材51は、凸部57を有する。サドル継手10のサドル本体11に本体52の第1部分52aを近づけるように回転部材51を回転させたときに、サドル本体11に凸部57を突き当てる。これにより、回転部材51が回転し過ぎるのを規制することができる。
転部材51は、リブ62を有する。このため、
図14に示すように、サドル継手10の第2鍔13に凸部57を、第2鍔13の第1側D1から係止させようとすると、リブ62が第2鍔13に接触し、サドル継手10の第2鍔13に凸部57を係止し難くなる。このため、誤って、第2鍔13に凸部57を係止させるのを抑制することができる。
【0053】
回転部材51は、操作片35を有する。従って、クランプ50の操作者が操作片35を指で摘まんで操作することで、回転部材51を容易に回転させることができる。
【0054】
なお、クランプ50の回転部材51は、凸部57及びリブ62を有さなくてもよい。
第2部分52bは、第2側D2に向かうに従い漸次、凸部57が第1部分52aに対して突出する方向に傾斜していなくてもよい。
【0055】
以上、本発明の第1実施形態及び第2実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0056】
1,1A,2 サドル継手構造
10 サドル継手
20,40,50 クランプ
21 本体部材
22A,22B バンド部
22aA,22aB 孔
22bA,22bB 切欠き
23 クランプ片
24 連結部材(規制部)
31,51 回転部材
32 第2拡径部
33A,33B シャフト部
34A,34B 第1拡径部(規制部)
35 操作片(レバー)
52 本体
52a 第1部分
52b 第2部分
57 凸部
62 リブ
D1 第1側
D2 第2側