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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005043
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】鋼管と継手の接続機構
(51)【国際特許分類】
   F16L 19/028 20060101AFI20240110BHJP
   F16B 39/282 20060101ALI20240110BHJP
   F16B 37/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
F16L19/028
F16B39/282 C
F16B37/00 K
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105024
(22)【出願日】2022-06-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】391057627
【氏名又は名称】オーエヌ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142572
【弁理士】
【氏名又は名称】水内 龍介
(72)【発明者】
【氏名】山島 護
【テーマコード(参考)】
3H014
【Fターム(参考)】
3H014CA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】鋼管を継手に締め付けて接続するナットの緩みが生じ難い鋼管と継手の接続機構を提供する。
【解決手段】継手2に引掛部22aを設けると共に、ナット3の環状外筒部31の継手側を向く円環状側面33にラチェット歯34を形成し、ラチェット歯は、円環状側面にナットの相対締め付け回転方向に緩やかな下り傾斜角度を有する緩斜面と、ナットの相対緩め回転方向に急角度の上り急斜面と、を形成した円環状側面から所定高さの稜部を有する歯であり、継手の接続用筒部21に外嵌した輪の一部に切欠部を有する弾性リング5の一端側が引掛部に係止され、かつ、他端側が円環状側面のラチェット歯の急斜面に当接することによって、ナットと継手の相対的緩め防止を図る。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体通路を内部に有する連結筒部の端部に雄ねじを外周に形成した接続用筒部を有する継手と、
該継手の前記雄ねじと螺合する雌ねじを内周に形成した環状外筒部、及び前記流体通路と連通する鋼管を支持する鋼管支持部を有するナットと、
前記雄ねじと前記雌ねじとを螺合して、前記鋼管を継手と機密に接続する、鋼管と接手の接続機構において、
前記継手に引掛部を設けると共に、前記ナットの前記環状外筒部の継手側を向く円環状側面にラチェット歯を形成し、
前記ラチェット歯は、前記円環状側面にナットの相対締め付け回転方向に緩やかな下り傾斜角度を有する緩斜面と、ナットの相対緩め回転方向に急角度の上り急斜面と、を形成した前記円環状側面から所定高さの稜部を有する歯であり、
前記継手の接続用筒部に外嵌した輪の一部に切欠部を有する弾性リングの一端側が前記引掛部に係止され、かつ、他端側が前記円環状側面のラチェット歯の急斜面に当接することによって、ナットと継手の相対的緩め防止を図ることを特徴とする鋼管と継手の接続機構。
【請求項2】
前記弾性リングは、輪の内径が前記接続用筒部の外径と略等しく、輪の外径が前記環状外筒部の外径と略等しく、所定の幅と厚さを有する弾力性のある円形金属材料からなり、前記切欠部に面する一方の端部は前記引掛部に係止する係止部を有し、他方の端部は締め付け回転時に歯の急斜面に当接する当接部を有することを特徴とする請求項1に記載の鋼管と継手の接続機構。
【請求項3】
前記弾性リングは他方の端部側から所定の長さだけ一方側へ傾斜した傾斜先端部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼管と継手の接続機構。
【請求項4】
前記傾斜先端部の内周側が凹んで形成されることにより他の弾性リングの輪の厚さより厚さが薄いことを特徴とする請求項2に記載の鋼管と継手の接続機構。
【請求項5】
前記継手の連結筒部と接続用筒部の境界近辺の外周に外周方向へ突出した鍔部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の鋼管と継手の接続機構。
【請求項6】
前記鍔部に前記引掛部を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼管と継手の接続機構。
【請求項7】
前記ラチェット歯を前記円環状側面に複数個形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼管と継手の接続機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建造物の屋内配管などに主として使用される鋼管と継手の接続機構に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の鋼管と継手の接続機構の従来技術としては、出願人らが先に提案した特許文献1に示される接続機構がある。この接続機構は、被係合部を端部に設けた継手本体と、該被係合部を内側に挿入して係合する係合環部を端部に有するロックリングホルダーとを、前記被係合部の外周に設けた係合突起を前記ロックリングホルダーの内周に設けた開口切欠部を通じて内周の奥へと押し込み挿入してから該開口切欠部と連通している内周に設けてある係合穴へ回転させて挿入して、ロックリングホルダーと継手とに引き抜き方向の力が作用した場合であっても抜け出ないように確固に接続できる構造の接続機構である。そして、常時はロックリングホルダーは鋼管を抜け方向への移動を阻止すると共に自身はロックリングによって引き抜き方向へ付勢されているので前記被係合部と係合穴内面との摩擦が大となり円周方向への回転が阻止され緩むことはないようになされている。
【0003】
また、特許文献2の鋼管と継手の接続機構は、端部外周に接合用の雄ねじを形成した継手と、該継手を内側に挿入して係合するための雌ねじを形成したナットとを、前記継手の端部を前記ナットの内側に挿入しつつ前記雄ねじに雌ねじを螺合させるためにナットを回転させて接続するものである。この際に、山型突起の端部側の傾斜面は継手の角部によって押圧され反対側の傾斜面はナットの傾斜角部によって押圧されることで、山型突起を有する鋼管が軸心方向への移動が阻止されて接続が完了する。このナットの傾斜角部は、鋼管の端部を山型に拡管する際に使用した拡管機の部材をそのまま使用することから、山型突起の傾斜面と傾斜角部は傾斜角度や表面形状が完全一致しているので密着が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4352434号公報
【特許文献2】WO2009/050823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の従来技術によれば、継手本体とロックリングホルダーとの接続時において、雄ねじを形成した被係合部を端部に設けた継手本体と、該被係合部を内側に挿入して係合する雌ねじを形成した係合環部を端部に有するロックリングホルダーとを、ねじ結合して接続しているので、長年の使用による建造物の振動や老化によってねじ結合が緩んで、鋼管内部を通過する流体漏れが発生する虞があるという問題点がある。
【0006】
また、特許文献2の従来技術においても、継手の端部外周に形成した雄ねじとナットの内周に形成した雌ねじを螺合して接続しているので、前記と同様に、長年の使用による建造物の振動や老化によってねじ結合が緩んで、鋼管内部を通過する流体漏れが発生する虞があるという問題点がある。
【0007】
この発明は上記の問題点を解決すべくなされたものであって、その手段とするところは以下の通りである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
流体通路を内部に有する連結筒部の端部に雄ねじを外周に形成した接続用筒部を有する継手と、該継手の前記雄ねじと螺合する雌ねじを内周に形成した環状外筒部、及び前記流体通路と連通する鋼管を支持する鋼管支持部を有するナットと、前記雄ねじと前記雌ねじとを螺合して、前記鋼管を継手と機密に接続する、鋼管と接手の接続機構において、
前記継手に引掛部を設けると共に、前記ナットの前記環状外筒部の継手側を向く円環状側面にラチェット歯を形成し、前記ラチェット歯は、前記円環状側面にナットの相対締め付け回転方向に緩やかな下り傾斜角度を有する緩斜面と、ナットの相対緩め回転方向に急角度の上り急斜面と、を形成した前記円環状側面から所定高さの稜部を有する歯であり、
前記継手の接続用筒部に外嵌した輪の一部に切欠部を有する弾性リングの一端側が前記引掛部に係止され、かつ、他端側が前記円環状側面のラチェット歯の急斜面に当接することによって、ナットと継手の相対的緩め防止を図ることを特徴とする鋼管と接手の接続機構としたところにある。
【0009】
又、前記弾性リングは、輪の内径が前記接続用筒部の外径と略等しく、輪の外径が前記環状外筒部の外径と略等しく、所定の幅と厚さを有する弾力性のある円形金属材料からなり、前記切欠部に面する一方の端部は前記引掛部に係止する係止部を有し、他方の端部は締め付け回転時に歯の急斜面に当接する当接部を有することを特徴とすることにある。
【0010】
前記弾性リングは他方の端部側から所定の長さだけ一方側へ傾斜した傾斜先端部を有することにある。
【0011】
前記傾斜先端部の内周側が凹んで形成されることにより他の弾性リングの輪の厚さより厚さが薄いことにある。
【0012】
前記継手の連結筒部と接続用筒部の境界近辺の外周に外周方向へ突出した鍔部を設けたことを特徴とすることにある。
【0013】
前記鍔部に前記引掛部を設けたことを特徴とすることにある。
【0014】
前記ラチェット歯を前記円環状側面に複数個形成したことにある。
【発明の効果】
【0015】
この発明によると、継手の接続用筒部の外周に形成した雄ねじと、ナットの環状外筒部の内周に形成した雌ねじとを、締め付け方向に双方又はいずれか一方を相対回転させて、継手と鋼管を流体の漏れなく機密に接続する接続機構において、前記雄ねじと雌ねじの螺合による接続を歳月の経過や振動の繰り返しによっても緩まない構成としたので、継手と鋼管の接続部位に隙間が生じなく、流体漏れの発生を生じさせない。これは、継手とナットの間に介在させた弾性リングの一端側が継手の引掛部に係止され、他端側がナットの環状外筒部の円環状側面に形成してあるラチェット歯に当接されて、継手とナットとが相対的に緩み方向へ回転しないからである。ここで相対的に回転とは、継手又はナットのいずれか一方又は双方が同時に締め付け方向又は緩み方向へ回転することである。
【0016】
継手とナットを締め付けてゆくと、弾性リングの他端側が円環状側面に摺接して移動してゆくが、継手とナットとが相対的に接近する方向に回転する際には、ラチェット歯の緩斜面を摺動しつつ上りきった稜部の先の急斜面は急落下し、更に回転を続けても相対的回転はそのまま可能である。しかし、相対的に継手とナットとが離反する方向に回転させた際には、緩斜面を摺動しつつ下ることは出来るが急斜面を超えて稜部に至ることは出来ないので、突き当たって当接し停止する。これによって相対的回転は阻止され、結局緩み方向への回転は阻止され、流体漏れを防止できる。また、締め終わった際には、ラチェット歯は継手側を向いた環状外筒部の環状側面に形成していることから、弾性リングを形成する輪のほぼ全周を継手の対向面と環状側面の間で挟圧出来ることになり、弾性リングに撓みを生じさせたり、弾性リングの両端部が継手の引掛部やラチェット歯から外れることがないので、永続的に緩み防止効果が得られる。
【0017】
弾性リングの内径が接続用筒部の外径と略等しく、男性リングの外径と環状外筒部の外径と略等しいので、接続用筒部に外嵌して環状外筒部によって締め付けると、弾性リングの外周は環状外筒部の外側へはみ出すことはない。また、幅を円環状側面と同じ長さとした場合には、接続時において弾性リングが継手のナットの間に上手く納めることができる。切欠部の一方の端部に、前記継手の引掛部の構造に見合った係止部を具備し、他方の端部に急斜面に当接する当接部を設ければ、弾性リングによる継手とナットの締め付け後の相対的緩めを永続的に維持できる。
【0018】
弾性リングの他方の端部から所定の長さ位置から一方向側へ傾斜した傾斜先端部を設けると、使用時にこの傾斜先端部を円環状側面の方向に向けて使用することにより、当接部は常時円環状側面に当接するので、ラチェット歯の表面を摺動し易くなり、かつ、急斜面に当接して外れ難くなる。
【0019】
傾斜先端部の内周側が凹んで厚さが薄くなると、弾性リングを接続用筒部に外嵌した時に、傾斜先端部が接続用筒部から浮いた状態になるので、接続用筒部の外周に形成している雄ねじと接触し難くなり、接続作業能率が向上する。
【0020】
継手の連結筒部と接続用筒部の境界近辺の外周に外周方向へ突出した鍔部を設けた場合には、環状外筒部の円環状側面をこの鍔部に当接することが出来るようになるので、継手とナットの連結状態が安定する。
【0021】
継手に設ける引掛部をこの鍔部に設けた場合には、継手の他の部位に設けるより加工が簡単にできる。
【0022】
円環状側面にラッチェット歯が複数個形成されている場合には、継手とナットを相対的に締め付けた後の緩め方向への戻り回転が少なくなるので、きめ細かい強度選択が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】この発明の実施形態の鋼管と継手の接続機構で使用する継手の斜視図。
図2】同じくナットの斜視図
図3】弾性リングの側面斜視図
図4】弾性リングの正面図
図5】弾性リングの右側面図
図6】継手に弾性リングを嵌めて鋼管をナットで手締めで接続した状態の正面図
図7図6状態から本締めした状態の正面座
図8】ラッチェット歯の側面からの拡大説明図
図9】円環状側面の全周にラッチェット歯を設けた説明図
図10図7の断面図
図11図8の要部拡大図
図12】他の実施形態の弾性リングの取付拡大断面説明図
【発明を実施するための形態】
【0024】
この発明の鋼管と継手の接続機構の最良の実施形態について、以下図を参考にしつつ説明する。
この鋼管と継手の接続機構1の実施形態は、図1に示される継手2と、図2に示されるナット3と、図3~5に示される弾性リング4と、を主として用いて、鋼管5を図6~9に示される機構により、鋼管と継手の接続機構1を構築するものである。
【0025】
前記継手2は、流体通路2aを内部に有する連結筒部2bの端部に雄ねじ2cを外周に形成した接続用筒部21を有している。この実施形態では、継手2の連結筒部2bとしてL字形状の両端部に接続用筒部21を具備したエルボを示したが、テイー、クロス、レジューサなどの構造形状から施工現場に応じて選択される。また、連結筒部2bと接続用筒部21の境界付近の外周囲から外側方向にはみ出た鍔部22を有している。この鍔部22には、一部を切欠いた引掛部22aを設けているが、他の部位に設けてもよい。さらに、連結筒部2bと接続用筒部21の境界付近の外周囲には雄ねじ2cを形成していない表面が平坦な平坦外周面21aが設けられると共に、先端にも雄ねじ2cを形成していない平坦挿入面21bが設けられている。
【0026】
前記接続用筒部21の連絡筒部2bと境界付近の内周には前記流体通路2aの径より大きく鋼管4の先端が挿入される中大径部21cが設けられ、さらにこの中大径部21cより先端側にはパッキン6が収納される大径部21dが設けられている。パッキン6はこの大径部21dの内周面と、中大径部21cと大径部21dの径差によって生じる段差面21eによって囲まれた領域に収納されている。又、段差面21eと中大径部21cが交差する角部21fが設けられている。
【0027】
前記ナット3は、袋ナットとも称せられているもので、前記継手2の接続用筒部21の外周囲に形成している雄ねじ2cと螺合する雌ねじ3aを内周に形成した環状外筒部31と、該環状外筒部31の一端側に設けられて前記流体通路2aと連通する鋼管4を支持する鋼管支持部32とを有している。環状外筒部31の鋼管支持部32と反対側面、即ち接続時に継手2側を向く面である幅の狭い円環状側面33には、円周方向に円弧状のラチェット歯34が形成されている。このラチェット歯34は、図6~8に示されているように、ナット3の継手2への相対的締め付け回転方向に緩やかな下り傾斜角度を有する緩斜面34aと、ナット3の継手2への相対的緩め回転方向に急角度の上り傾斜面を有する急斜面34bと、これら緩斜面34aと急斜面34bの共通する円環状側面33からの高さである稜部34cを形成している。一周する円環状側面33に設ける円弧状のラッチェット歯34の数は、1個以上あれば可能であるが、図9に示すように、一周全部に等間隔に設けてもよく、この場合には締付後の緩む角度を小さくできる。しかし、締付完了後において、傾斜先端部51dの端部51bがラッチェット歯34上面に接していない時には、ラッチェット歯34が設けられていない円環状側面33に端部51bが当接するようにしなければならないので、傾斜先端部51dの長さ、傾斜角度、ラッチェット歯34の1ピッチの長さ、ラッチェット歯34の間隔距離などを総合的に考慮して決められる。稜部34cの円環状側面33からの長さと弾性リング5の輪の厚さの合計が締付後の継手2とナット3の間隔距離となる。
【0028】
前記環状外筒部31の外周面にはナット3の中心軸方向に複数の滑り止め台31aが等間隔に設けられて、ナット3の指先での回転を容易にし、環状外筒部31の補強強度を得ている。また、環状外筒部31の一端側に設けた鋼管支持部32の中心部には鋼管4を挿通させる挿通穴32aが設けられると共に、この挿通穴32aの内側には挿入された鋼管5を継手2方向へ押圧するために鋼管の山型突部41の傾斜面41bを継手2方向へ押す押圧傾斜面32b、この押圧傾斜面32bから雌ねじ3a方向へ垂直に立ち上がった垂直内面32cが形成されている。
【0029】
前記弾性リング5は、ステンレス鋼などの弾性を有する金属材料からなる厚さが薄く前記円環状側面33と同じ又は略同じ幅となるように板状部材を円形の輪に切り抜きなどによって形成し当該輪の一部を切欠いた切欠部51を有するものである。切欠部51の切り欠き幅の長さは特に限定されるものではなく、単に切目を入れて切欠部51の一方の端部51aと他方の端部51bとの輪の部分の距離が殆ど間隔なくして相向かい合う面同士が接近していても、逆に、図12に示すように、切欠部51の一方の端部51aと他方の端部51bとの距離が殆どない程度まで接近させて弾性リング5の輪の長さ部分が極端に短かくなるまで切欠部51が大きくてもよい。輪の内径は、継手2の接続用筒部21の外周に形成している雄ねじ2cの直径或いは平坦外周面21aの直径と略同じである。多少の誤差があっても弾性があるので弾性リング5を接続用筒部21に嵌め込むことができる。切欠部51が大きく弾性リング3の輪の長さが接続用筒部21に外嵌できない程度に短くても使用可能で、この場合にはその短い一部の輪の内周の曲率半径が接続用筒部21の外周の曲がりの曲率半径と同じ程度であればよい。また、輪の外径は環状外筒部31の外径と略同じにすることにより、弾性リング5の外周が環状外筒部31からはみ出すことがなく外観の見栄えが良くなる。
【0030】
弾性リング5の一方の端部51aには、図3~5に示すように、継手2の鍔部22に設けている引掛部22aに係止する係止部51cが継手2方向に曲げて設けられている。引掛部22aが継手2の他の部位、例えば平坦外周面21aに設けられている場合には下向きの突起からなる係止部51cとするなど、その部位に見合うような係止部51cを一方の端部51aに具備する。この係止部5cや一方の端部51aを継手2に溶接などによって固定しておいてもよい。また、弾性リング5の他方の端部51bには、円環状側面33上やラッチェット歯34の緩斜面34a上を摺動し、稜部34cを超えて急斜面24bに当接するものであるから、特に加工の必要はなく輪を切断した断面が現れていてもよい。更に、図4に示すように、他方の端部51bから輪の中心角θの部位までを他の輪の部分に対して、図5に示すように、一方向側に傾斜角αで傾けた傾斜先端部51dとしておくと、設置時にこの傾斜先端部51dの端部でもある51bが円環状側面33及び該円環状側面33に設けているラッチェット歯34の上面方向へ不勢されて摺動し易くなり、かつ、急斜面34bにも係止し易くなる。
【0031】
また内周側に円周突部51eが複数個設けられているのは、弾性リング5の輪の部分を接続用筒部21に外嵌する際に、この円周突部51eが接続用筒部21の平坦外周面21aに当接して、弾性リング5の輪の側面と円環状側面33の高さ位置を合わせて密着しやすいようにするためである。
【0032】
上記構成からなるこの発明の鋼管と継手の接続機構1を構築する手順及び使用について説明する。この実施形態で使用する鋼管4は、図10、11によく示されているように、鋼管4の端部4a側の傾斜面41aと他方の傾斜面41bの2つの傾斜面を有する厚さが薄肉の長尺なステンレス鋼管を使用した。鋼管4に山型突部41を形成する方法、装置は公知のものを使用でき限定されることはないが、例を挙げれば、特許第346754号に示される拡管装置が有効に活用できる。しかし、この山型突部41を有する鋼管4に限定されるものではなく、相向かい合った継手2とナット3が螺合接合することにより、鋼管4が継手2に接続される形式のものであればよい。
【0033】
まず、図6に示されるように、弾性リング5を接続用筒部21に外嵌させる。この時、最も奥の平坦外周面21aに外嵌しておく。この実施形態では、切欠部51の一方の端部51aに設けた係止部51cを継手2に設けてある引掛部22aに係止させている例を示しているが、継手4に設ける引掛部22aの位置や形状は継手2の他の位置であっても異なる引掛け方法であってもよい。
【0034】
次に、ナット3の挿通穴32aに挿通した鋼管4の端部4aを継手2の中大径部21c内に挿入する。そして環状外筒部31の滑り止め台31aを指で回転させつつ継手2にナット3を接近させてゆくと、あらかじめセットしてあるパッキン6が山形突部41の一方の傾斜面41aに当接する。環状外筒部31の雌ねじ3aを接続用筒部21の雄ねじ2cに螺合しているので更に締め付けて行と、図6に示すように、弾性リング5の傾斜先端部51dの端部51bがナット3側へ傾斜していることから、傾斜先端部51dの端部51bが円環状側面33方向へ付勢された状態でまず当接する。
【0035】
ナット3の締め付け方向への回転が進むと、図8に示すように、端部51bは円環状側面33及び円弧状のラッチェット面34を摺動しながら締め付け方向へ回転してゆく。ラッチェット面34の緩斜面34aを上って稜部34c超えると急斜面34bを急落下する。このような回転を行い、手締めで回せるところまで締め付けると、図6に示すように、端部51bは緩斜面34a又は円環状側面33上のどこかの位置で停止する。この段階で、前記接続用筒部21の先端の平坦挿入面21bは環状外筒部31の奥まで進み先端面が鋼管支持部32の垂直内面32cに当接している。そして、鋼管2の山型突部41の他方の傾斜面41bは押圧傾斜面32bによって継手2方向へ押されて、一方の傾斜面41aはパッキン6及び角部21fによってナット3方向へ押されているので、鋼管4と継手2の内周側面の間の隙間から流体が漏れないように機密状態が保たれつつ、鋼管4が継手2とが仮接続される。
【0036】
そして、工具を使用して更にナット3を強く締め付けると、図7図10に示すように、弾性リング5は継手2又は鍔部22と環状外筒部31の円環側面33の間に挟まれた状態で本締め付けが完了する。この状態では弾性リング5はナット3側の側面がラッチェット歯34の稜部34cに継手2方向へ押されているので、弾性リング3と継手2又は鍔部22との間には隙間が全くなく密着する。又、ナット3との間にはラッチェット歯34の緩斜面34a及び急斜面34bの上面の部分に若干の空間部が生じているものの全周に亘って密着している。
【0037】
従って、この締め付けた状態だけでも各部材間の摩擦抵抗によって継手2とナット3との相対的緩みは生じにくいが、歳月の経過の間に生じる振動、建造物の劣化などの要因によって、摩擦抵抗が解けて相対的な緩みが生じる。それによりナット3又は継手2或いは双方に緩み方向へ相対的回転した場合には、弾性リング5の一方の端部51aは継手2に固定されているので、傾斜先端部51dの先端の端部51bが急斜面34bに当接して継手2又はナット3の緩み方向への回転が阻止され、緩みが発生しなくなる。これによって、継手2から鋼管4は外れることがないのは勿論のこと、緩みに伴うパッキン6と鋼管4の隙間も生じないことから、流体漏れをも防止できる。
【0038】
緩みが生じて継手3又はナット3の相対的回転が始まった時に、傾斜先端部51dの先端の端部51bが円環状側面33或いは緩斜面34aと接している位置にある時には、端部51bが急斜面34b当接するまで相対的緩み回転が止まることがない。この緩みは、円環状側面33に設けるラッチェット歯34の個数が少ないほど多くなる。即ち、円環状側面33におけるラッチェット歯34の間隔距離が長いほど、或いはラッチェット歯34の長さが長いほど緩みの度合いは大きくなる。従って、ラッチェット歯34の数を多く設け、且つ、各ラッチェット歯34の間隔距離を狭くすれば、加工の手間は増えるが、緩みの度合いを軽く出来る利点が生じる。
【0039】
弾性リング5の輪の切欠部51の切欠き部分が切断した切溝だけの幅であれば、輪の輪郭角度はほぼ360°に近くになり、使用時には接続用筒部21の平坦外周面21aをほぼ一周する大きさになる。この場合には、ほぼ全周囲に亘って弾性リング5の輪の部分が継手2や鍔部22と円環状側面33の間に挟圧されるので、緩み方向へ大きな力が作用した場合であっても、摩擦抵抗力が大きくなるのに加えて急斜面34bに端部51aが当接もするので、弾性リング5が壊れることはなく硬固に緩み止めを行える。逆に、切欠部51を大きくすると、輪の輪郭が小さく短くなるものの弾性リング5の長さが短い場合には、材料費の節約を図ることができることに加えて、1組の継手2とナット3の接続において複数の弾性リング5を使用でき利点がある。
【0040】
尚、この実施形態においては、継手2とナット3を雄ネジと雌ネジを螺合してその間に山型突部41を有する鋼管4を挟んで接合する例を説明したが、ネジ結合以外の手段によっても、或いは山型突部41を有さない鋼管4を用いて、継手2とナット3のいずれか一方又は双方を緩め又は締付方向に相対的に回転させる工程を含む接続機構にも適用できる。
【0041】
鋼管4と継手2との接続状態を解除する場合には、工具を用いて、継手2とナット3を緩み方向に工具などを用いて、夫々別々に或いは双方同時に緩み方向へ回転させれば弾性リング5が剪断されるか、弾性リング5の端部の継手2又はラッチェト歯34との係止、当接箇所が剪断されるので、容易に解体できる。
【0042】
以上説明したように、この発明の鋼管と継手の接続機構1によると、接続時に接続用筒部21に弾性リング5を外嵌しておくだけの手間で緩みを防止できるので、鋼管2の接続作業能率が向上する。
【産業上の利用分野】
【0043】
この発明の鋼管と継手の接続機構によると、継手とナットで鋼管を弾性リング5を挟んで締付接続して緩み止めをした構成を採用しているので、流体を通過させる各種の鋼管網の構築に使用でき応用範囲が広く、多くの需要が期待出来き、産業の発展に大きく寄与できるものである。
【符号の説明】
【0044】
1 鋼管と継手の接続機構
2 継手
2a 流体通路
2b 連結筒部
2c 雄ねじ
21接続用筒部
21a 平坦外周面
21b 平坦挿入面
21c 中大径部
21d 大径部
21e 段差面
21f 角部
22 鍔部
22a 引掛部
3 ナット
3a 雌ねじ
31 環状外筒部
31a 滑り止め台
32 鋼管支持部
32a 挿通穴
32b 押圧面
32c 垂直内面
33 円環状側面
34 ラチェット歯
34a 緩斜面
34b 急斜面
34c 稜部
4 鋼管
4a 一方の端部
41 山型突部
41a 一方の傾斜面
41b 他方の傾斜面
5 弾性リング
51 切欠部
51a 一方の端部
51b 他方の端部
51c 係止部
51d 傾斜先端部
6 パッキン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2022-12-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体通路を内部に有する連結筒部の端部に雄ねじを外周に形成した接続用筒部を有する継手と、
該継手の前記雄ねじと螺合する雌ねじを内周に形成した環状外筒部、及び前記流体通路と連通する鋼管を支持する鋼管支持部を有するナットと、
前記雄ねじと前記雌ねじとを螺合して、前記鋼管を継手と機密に接続する、鋼管と継手の接続機構において、
前記継手に引掛部を設けると共に、前記ナットの前記環状外筒部の継手側を向く円環状側面にラチェット歯を形成し、
前記ラチェット歯は、前記円環状側面から所定高さの稜部を有し、この稜部からナットの相対締め付け回転方向に緩やかな傾斜角度を有する緩斜面と、ナットの相対緩め回転方向に急角度の急斜面と、を形成した歯であり、
前記継手の接続用筒部に外嵌した輪の一部に切欠部を有する弾性リングの一端側が前記引掛部に係止され、かつ、他端側が前記円環状側面側に付勢されて前記のラチェット歯の急斜面に当接することによって、ナットと継手の相対的緩め防止を図ることを特徴とする鋼管と継手の接続機構。
【請求項2】
前記弾性リングは、輪の内径が前記接続用筒部の外径と略等しく、輪の外径が前記環状外筒部の外径と略等しく、所定の幅と厚さを有する弾力性のある円形金属材料からなり、前記切欠部に面する一方の端部は前記引掛部に係止する係止部を有し、他方の端部は相対的緩め回転時に前記ラチェット歯の急斜面に当接する当接部であることを特徴とする請求項1に記載の鋼管と継手の接続機構。
【請求項3】
前記弾性リングは、他方の端部側から所定の長さだけ前記円環状側面側に付勢された傾斜先端部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼管と継手の接続機構。
【請求項4】
前記傾斜先端部の内周側が凹んで形成されて厚さが薄いことを特徴とする請求項に記載の鋼管と継手の接続機構。
【請求項5】
前記継手の連結筒部と接続用筒部の境界近辺の外周に外周方向へ突出した鍔部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の鋼管と継手の接続機構。
【請求項6】
前記鍔部に前記引掛部を設けたことを特徴とする請求項に記載の鋼管と継手の接続機構。
【請求項7】
前記ラチェット歯を前記円環状側面に複数個形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼管と継手の接続機構。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
流体通路を内部に有する連結筒部の端部に雄ねじを外周に形成した接続用筒部を有する継手と、該継手の前記雄ねじと螺合する雌ねじを内周に形成した環状外筒部、及び前記流体通路と連通する鋼管を支持する鋼管支持部を有するナットと、前記雄ねじと前記雌ねじとを螺合して、前記鋼管を継手と機密に接続する、鋼管と継手の接続機構において、前記継手に引掛部を設けると共に、前記ナットの前記環状外筒部の継手側を向く円環状側面にラチェット歯を形成し、前記ラチェット歯は、前記円環状側面から所定高さの稜部を有し、この稜部からナットの相対締め付け回転方向に緩やかな傾斜角度を有する緩斜面と、ナットの相対緩め回転方向に急角度の急斜面と、を形成した歯であり、前記継手の接続用筒部に外嵌した輪の一部に切欠部を有する弾性リングの一端側が前記引掛部に係止され、かつ、他端側が前記円環状側面側に付勢されて前記のラチェット歯の急斜面に当接することによって、ナットと継手の相対的緩め防止を図ることを特徴とする鋼管と継手の接続機構としたところにある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
又、前記弾性リングは、輪の内径が前記接続用筒部の外径と略等しく、輪の外径が前記環状外筒部の外径と略等しく、所定の幅と厚さを有する弾力性のある円形金属材料からなり、前記切欠部に面する一方の端部は前記引掛部に係止する係止部を有し、他方の端部は相対的緩め回転時に前記ラチェット歯の急斜面に当接する当接部であることにある
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
前記弾性リングは、他方の端部側から所定の長さだけ前記円環状側面側に付勢された傾斜先端部を有することにある。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
前記傾斜先端部の内周側が凹んで形成されて厚さが薄いことにある。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
この発明によると、継手の接続用筒部の外周に形成した雄ねじと、ナットの環状外筒部の内周に形成した雌ねじとを、締め付け方向に双方又はいずれか一方を相対回転させて、継手と鋼管を流体の漏れがないように機密に接続する接続機構において、前記雄ねじと雌ねじの螺合による接続を歳月の経過や振動の繰り返しによっても緩まない構成としたので、継手と鋼管の接続部位に隙間が生じなく、流体漏れの発生を生じさせない。これは、継手とナットの間に介在させた弾性リングの一端側が継手の引掛部に係止され、弾性リングの他端側が傾斜先端部の付勢によってナットの環状外筒部の円環状側面に形成してあるラチェット歯の急斜面に当接されて、継手とナットとが相対的に緩み方向へ回転しないからである。ここで相対的に回転とは、継手又はナットのいずれか一方又は双方が同時に締め付け方向又は緩み方向へ回転することである。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
弾性リングの内径が接続用筒部の外径と略等しく、弾性リングの外径と環状外筒部の外径と略等しいので、接続用筒部に外嵌して環状外筒部によって締め付けると、弾性リングの外周は環状外筒部の外側へはみ出すことはない。また、厚さを円環状側面と同じ長さとした場合には、接続時において弾性リングが継手ナットの間に上手く納めることができる。切欠部の一方の端部に、前記継手の引掛部の構造に見合った係止部を具備し、他方の端部に急斜面に当接する当接部があるので、弾性リングによる継手とナットの締め付け後の相対的緩めを永続的に維持できる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
前記弾性リング5は、図3~5に示されるように、ステンレス鋼などの弾性を有する金属材料からなる厚さが薄く前記円環状側面33と同じ又は略同じ幅となるように板状部材を円形の輪に切り抜きなどによって形成し当該輪の一部を切欠いた切欠部51を有するものである。切欠部51の切り欠き幅の長さは特に限定されるものではなく、単に切目を入れて切欠部51の一方の端部51aと他方の端部51bとの輪の部分の距離が殆ど間隔なくして相向かい合う面同士が接近していても、逆に、図12に示すように、切欠部51の一方の端部51aと他方の端部51bとの距離が殆どない程度まで接近させて弾性リング5の輪の長さ部分が極端に短かくなるまで切欠部51が大きくてもよい。輪の内径は、継手2の接続用筒部21の外周に形成している雄ねじ2cの直径或いは平坦外周面21aの直径と略同じである。多少の誤差があっても弾性があるので弾性リング5を接続用筒部21に嵌め込むことができる。切欠部51が大きく弾性リング3の輪の長さが接続用筒部21に外嵌できない程度に短くても使用可能で、この場合にはその短い一部の輪の内周の曲率半径が接続用筒部21の外周の曲がりの曲率半径と同じ程度であればよい。また、輪の外径は環状外筒部31の外径と略同じにすることにより、弾性リング5の外周が環状外筒部31からはみ出すことがなく外観の見栄えが良くなる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
弾性リング5の一方の端部51aには、図3~5に示すように、継手2の鍔部22に設けている引掛部22aに係止する係止部51cが継手2方向に曲げて設けられている。引掛部22aが継手2の他の部位、例えば平坦外周面21aに設けられている場合には下向きの突起からなる係止部51cとするなど、その部位に見合うような係止部51cを一方の端部51aに具備する。この係止部5cや一方の端部51aを継手2に溶接などによって固定しておいてもよい。また、弾性リング5の他方の端部51bには、円環状側面33上やラッチェット歯34の緩斜面34a上を摺動し、稜部34cを超えて急斜面24bに当接するものであるから、特に加工の必要はなく輪を切断した断面が現れていてもよい。更に、図4に示すように、他方の端部51bから輪の中心角θの部位までを他の輪の部分に対して、図5に示すように、一方向側に傾斜角αで傾けた傾斜先端部51dとしておくと、設置時にこの傾斜先端部51dの端部でもある51bが円環状側面33及び該円環状側面33に設けているラッチェット歯34の上面方向へ勢されて摺動し易くなり、かつ、急斜面34bにも係止し易くなる。