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  • 特開-光学ガラスおよび光学素子 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050451
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】光学ガラスおよび光学素子
(51)【国際特許分類】
   C03C 3/21 20060101AFI20240403BHJP
   C03C 3/16 20060101ALI20240403BHJP
   G02B 1/00 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
C03C3/21
C03C3/16
G02B1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023146692
(22)【出願日】2023-09-11
(31)【優先権主張番号】P 2022156470
(32)【優先日】2022-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522503632
【氏名又は名称】豪雅光電科技(威海)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】井平 敦士
(72)【発明者】
【氏名】根岸 智明
【テーマコード(参考)】
4G062
【Fターム(参考)】
4G062AA04
4G062BB09
4G062CC10
4G062DA01
4G062DB01
4G062DC01
4G062DD04
4G062DD05
4G062DD06
4G062DD07
4G062DE01
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4G062DE03
4G062DF01
4G062EA03
4G062EB01
4G062EB02
4G062EB03
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4G062ED01
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4G062HH17
4G062HH20
4G062JJ01
4G062JJ03
4G062JJ05
4G062JJ07
4G062JJ10
4G062KK01
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4G062KK05
4G062KK07
4G062KK10
4G062MM02
4G062NN02
4G062NN29
4G062NN33
(57)【要約】
【課題】ガラス転移温度が低い光学ガラスを提供すること。
【解決手段】モル%表示のガラス組成において、P含有量が10.00%以上80.00%以下、TiO含有量が5.00%以下、Nb含有量が0%超80.00%以下、Bi含有量が6.00%以上80.00%以下、BaO含有量が14.00%以下、NaO含有量が4.00%以下、LiO含有量が0%超、LiO、NaO、KOおよびCsO合計含有量(LiO+NaO+KO+CsO)が6.50%以上、LiO、NaO、KO、CsO、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量(LiO+NaO+KO+CsO+MgO+CaO+SrO+BaO)が15.00%以上、モル比(B/P)が0.60以下、モル比(Bi/Nb)が1.97以下であり、かつガラス転移温度Tgが510℃以下である光学ガラス。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モル%表示のガラス組成において、
含有量が10.00%以上80.00%以下、
TiO含有量が5.00%以下、
Nb含有量が0%超80.00%以下、
Bi含有量が6.00%以上80.00%以下、
BaO含有量が14.00%以下、
NaO含有量が4.00%以下、
LiO含有量が0%超、
LiO、NaO、KOおよびCsO合計含有量(LiO+NaO+KO+CsO)が6.50%以上、
LiO、NaO、KO、CsO、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量(LiO+NaO+KO+CsO+MgO+CaO+SrO+BaO)が15.00%以上、
含有量に対するB含有量のモル比(B/P)が0.60以下、
Nb含有量に対するBi含有量のモル比(Bi/Nb)が1.97以下、
であり、かつ
ガラス転移温度Tgが510℃以下である光学ガラス。
【請求項2】
LiO、NaO、KOおよびCsO合計含有量(LiO+NaO+KO+CsO)が14.00%以上31.00%以下である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項3】
LiO、NaO、KOおよびCsO合計含有量(LiO+NaO+KO+CsO)が18.97%以上31.00%以下である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項4】
LiO、NaO、KO、CsO、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量(LiO+NaO+KO+CsO+MgO+CaO+SrO+BaO)が20.98%以上である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項5】
含有量に対するB含有量のモル比(B/P)が0.15以上0.60以下である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項6】
とPとの合計含有量(B+P)が20.78%以上である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項7】
とPとの合計含有量(B+P)が28.00%以上である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項8】
Nb含有量に対するBi含有量のモル比(Bi/Nb)が0.80以上1.97以下である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項9】
Bi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量(Bi+Nb+WO+TiO)が39.00%以上50.38%以下である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項10】
Bi含有量に対するLiO含有量のモル比(LiO/Bi)が0超2.25以下である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項11】
Bi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量に対するLiO、NaOおよびKOの合計含有量のモル比(LiO+NaO+KO)/(Bi+Nb+WO+TiO)が0.26以上0.66以下である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項12】
Bi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量に対するLiO、NaOおよびKOの合計含有量のモル比(LiO+NaO+KO)/(Bi+Nb+WO+TiO)が0.38以上0.66以下である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項13】
とPとの合計含有量に対するLiO、NaOおよびKOの合計含有量のモル比(LiO+NaO+KO)/(B+P)が0.60以上0.90以下である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項14】
とPとの合計含有量に対するBi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量のモル比((Bi+Nb+WO+TiO)/(B+P))が1.81以下である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項15】
とPとの合計含有量に対するBi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量のモル比(Bi+Nb+WO+TiO)/(B+P)が1.70以下である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項16】
Bi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量に対するBiとWOとの合計含有量のモル比((Bi+WO)/(Bi+Nb+WO+TiO))が0.42以上である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項17】
Bi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量に対するBi含有量のモル比と、LiO、NaO、KOおよびCsOの合計含有量に対するLiO含有量のモル比と、の合計(Bi/(Bi+Nb+WO+TiO))+(LiO/(LiO+NaO+KO+CsO))が0.36以上である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項18】
含有量に対するBi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量のモル比((Bi+Nb+WO+TiO)/B)が10.00以下である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項19】
Nb含有量に対するWO含有量のモル比(WO/Nb)が0.17以上である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項20】
Bi含有量に対するWO含有量のモル比(WO/Bi)が0.19以上である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項21】
屈折率ndが1.95000以上である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項22】
アッベ数νdが10.00以上30.00以下である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項23】
LiO、NaO、KOおよびCsO合計含有量(LiO+NaO+KO+CsO)が18.97%以上31.00%以下であり、
LiO、NaO、KO、CsO、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量(LiO+NaO+KO+CsO+MgO+CaO+SrO+BaO)が20.98%以上であり、
含有量に対するB含有量のモル比(B/P)が0.15以上0.60以下であり、
とPとの合計含有量(B+P)が28.00%以上であり、
Nb含有量に対するBi含有量のモル比(Bi/Nb)が0.80以上1.97以下であり、
Bi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量(Bi+Nb+WO+TiO)が39.00%以上50.38%以下であり、
Bi含有量に対するLiO含有量のモル比(LiO/Bi)が0超2.25以下であり、
Bi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量に対するLiO、NaOおよびKOの合計含有量のモル比(LiO+NaO+KO)/(Bi+Nb+WO+TiO)が0.38以上0.66以下であり、
とPとの合計含有量に対するLiO、NaOおよびKOの合計含有量のモル比(LiO+NaO+KO)/(B+P)が0.60以上0.90以下であり、
とPとの合計含有量に対するBi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量のモル比(Bi+Nb+WO+TiO)/(B+P)が1.70以下であり、
Bi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量に対するBiとWOとの合計含有量のモル比((Bi+WO)/(Bi+Nb+WO+TiO))が0.42以上であり、
Bi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量に対するBi含有量のモル比と、LiO、NaO、KOおよびCsOの合計含有量に対するLiO含有量のモル比と、の合計(Bi/(Bi+Nb+WO+TiO))+(LiO/(LiO+NaO+KO+CsO))が0.36以上であり、
含有量に対するBi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量のモル比((Bi+Nb+WO+TiO)/B)が10.00以下であり、
Nb含有量に対するWO含有量のモル比(WO/Nb)が0.17以上であり、
Bi含有量に対するWO含有量のモル比(WO/Bi)が0.19以上であり、
屈折率ndが1.95000以上であり、かつ
アッベ数νdが10.00以上30.00以下である、請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか1項に記載の光学ガラスからなる光学素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ガラスおよび光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光学素子用材料として、各種光学ガラスが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-239476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光学ガラスに望まれる性質の1つとして、ガラス転移温度Tgが低いことが挙げられる。低Tgガラスは、例えば精密プレス適性に優れるため好ましい。
【0005】
本発明の一態様は、ガラス転移温度が低い光学ガラスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
モル%表示のガラス組成において、
含有量が10.00%以上80.00%以下、
TiO含有量が5.00%以下、
Nb含有量が0%超80.00%以下、
Bi含有量が6.00%以上80.00%以下、
BaO含有量が14.00%以下、
NaO含有量が4.00%以下、
LiO含有量が0%超、
LiO、NaO、KOおよびCsO合計含有量(LiO+NaO+KO+CsO)が6.50%以上、
LiO、NaO、KO、CsO、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量(LiO+NaO+KO+CsO+MgO+CaO+SrO+BaO)が15.00%以上、
含有量に対するB含有量のモル比(B/P)が0.60以下、
Nb含有量に対するBi含有量のモル比(Bi/Nb)が1.97以下、
であり、かつ
ガラス転移温度Tgが510℃以下である光学ガラス、
に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、ガラス転移温度が低く、光学素子用材料として有用な光学恒数を有する光学ガラスを提供することができる。また、本発明の一態様によれば、かかる光学ガラスからなる光学素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】精密プレス成形装置の概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[光学ガラス]
本発明および本明細書において、光学ガラスのガラス組成は、モル%表示で表記される。モル%表示のガラス組成では、ガラス組成を、酸化物基準のガラス組成で表示する。ここで「酸化物基準のガラス組成」とは、ガラス原料が熔融時にすべて分解されてガラス中で酸化物として存在するものとして換算することにより得られるガラス組成をいうものとする。モル%表示のガラス組成では、ガラス組成はモル基準(モル%、モル比)で表示される。以下、モル%表示のガラス組成について、「モル%」を単に「%」とも記載する。
【0010】
本発明および本明細書において、構成成分の含有量が0%、0.0%もしくは0.00%または含まないもしくは導入しないとは、この構成成分を実質的に含まないことを意味し、この構成成分の含有量が不純物レベル程度以下であることを指す。不純物レベル程度以下とは、例えば、0.01%未満であることを意味する。「0%」は、例えば、「0.0%」または「0.00%」を意味することができる。
【0011】
本発明および本明細書におけるガラス組成は、例えばICP-AES(Inductively Coupled Plasma-Atomic Emission Spectrometry)等の方法により求めることができる。例えば、定量分析は、ICP-AESを用いて各元素別に行われる。その後、分析値は酸化物表記に換算される。ICP-AESによる分析値は、例えば、分析値の±5%程度の測定誤差を含んでいることがある。したがって、分析値から換算された酸化物表記の値についても、同様に±5%程度の誤差を含んでいることがある。
【0012】
本発明および本明細書において、屈折率は、ヘリウムのd線(波長587.56nm)における屈折率ndをいう。
【0013】
本発明および本明細書において アッベ数νdは、分散に関する性質を表す値として用いられるものであり、以下の式で表される。
νd=(nd-1)/(nF-nC)
上記式中、nFは青色水素のF線(波長486.13nm)における屈折率であり、nCは赤色水素のC線(656.27nm)における屈折率である。
【0014】
以下、上記光学ガラス(単に「ガラス」と記載する場合がある。)について、更に詳細に説明する。
【0015】
<ガラス組成>
は、ネットワーク形成成分である。耐失透性の向上および液相温度の上昇を抑制する観点から、P含有量は、10.00%以上であり、15.00%以上であることが好ましく、20.00%であることがより好ましい。一方、ガラス転移温度Tgの上昇を抑制する観点から、P含有量は、80.00%以下であり、75.00%以下であることが好ましく、70.00%以下、65.00%以下、60.00%以下、55.00%以下、50.00%以下、45.00%以下、40.00%以下、35.00%以下、30.00%以下、25.00%以下の順により好ましい。
【0016】
もネットワーク形成成分である。B含有量は、0%、0%以上または0%超であることができる。耐失透性向上の観点からは、B含有量は、1.00%以上であることが好ましく、2.00%以上、3.00%以上、4.00%以上、5.00%以上の順により好ましい。一方、ガラス転移温度Tgの上昇をより一層抑制する観点からは、B含有量は、20.00%以下であることが好ましく、15.00%以下、10.00%以下の順により好ましい。
【0017】
とPとの合計含有量(B+P)は、耐失透性向上の観点から、20.78%以上であることが好ましく、20.80%以上、21.00%以上、22.00%以上、23.00%以上、24.00%以上、25.00%以上、26.00%以上、28.00%以上の順により好ましい。ガラス転移温度Tgの上昇をより一層抑制する観点からは、合計含有量(B+P)は、80.00%以下であることが好ましく、70.00%以下、60.00%以下、50.00%以下、45.00%以下、40.00%以下、39.00%以下、38.00%以下、37.00%以下、36.00%以下、35.00%以下、34.00%以下、33.00%以下、32.00%以下、31.50%以下の順により好ましい。
【0018】
含有量に対するB含有量のモル比(B/P)は、耐失透性向上および液相温度の上昇を抑制する観点から、0.60以下であり、0.58以下であることが好ましく、0.56以下、0.54以下、0.52以下、0.50以下の順により好ましい。一方、屈折率を高める観点からは、モル比(B/P)は、0.15以上であることが好ましく、0.16以上、0.17以上、0.18以上、0.19以上、0.20以上の順により好ましい。
【0019】
SiOもネットワーク形成成分である。SiO含有量は、0%、0%以上または0%超であることができ、また、例えば5.00%以下、4.00%以下、3.00%以下、2.00%以下もしくは1.00%以下であることができる。
【0020】
TiOは、ガラスの高屈折率化および高分散化に寄与する成分である。耐失透性の向上および着色低減の観点から、TiO含有量は、5.00%以下であり、4.50%以下であることが好ましく、4.00%以下、3.50%以下、3.00%以下、2.50%以下、2.00%以下、1.88%以下、1.56%以下、1.30%以下、1.00%以下、0.50%以下、0.10%以下の順により好ましく、0%であることが更に好ましい。
【0021】
Nbは、ガラスの高屈折率化、高分散化および熱膨張特性の制御に寄与する成分である。屈折率を高める観点および後述の平均線膨張係数αの値の増大を抑制する観点から、Nb含有量は、0%超であり、1.00%以上であることが好ましく、3.00%以上、5.00%以上、7.00%以上、10.00%以上、12.00%以上、15.00%以上、17.00%以上の順により好ましい。一方、ガラス転移温度Tgの上昇を抑制する観点からは、Nb含有量は、80.00%以下であり、70.00%以下であることが好ましく、60.00%以下、50.00%以下、40.00%以下、30.00%以下、20.00%以下の順により好ましい。
【0022】
Biは、ガラスの高屈折率化および高分散化に寄与し、かつ熱的安定性を高める成分である。屈折率を高める観点から、Bi含有量は、6.00%以上であり、8.00%以上であることが好ましく、10.00%以上、12.00%以上、14.00%以上、16.00%以上、18.00%以上の順により好ましい。一方、耐失透性の向上および着色低減の観点からは、Bi含有量は、80.00%以下であり、60.00%以下であることが好ましく、40.00%以下、30.00%以下。25.00%以下、20.00%以下の順により好ましい。
【0023】
Nb含有量に対するBi含有量のモル比(Bi/Nb)は、耐失透性向上の観点から、1.97以下であり、1.95以下であることが好ましく、1.90以下、1.85以下、1.80以下、1.75以下、1.71以下、1.65以下、1.60以下、1.55以下、1.50以下、1.45以下、1.40以下、1.35以下、1.30以下、1.25以下、1.20以下、1.15以下の順により好ましい。一方、耐失透性の向上およびガラス転移温度Tgの上昇をより一層抑制する観点からは、モル比(Bi/Nb)は、0.08以上であることが好ましく、0.10以上、0.30以上、0.50以上、0.64以上、0.72以上、0.80以上の順により好ましい。
【0024】
WOは、ガラスの高屈折率化および高分散化に寄与する成分である。WO含有量は、0%。0%以上または0%超であることができる。液相温度の上昇を抑制する観点から、WO含有量は、0%超であることが好ましく、1.00%以上、2.00%以上、3.00%以上、4.00%以上、5.00%以上、6.00%以上の順により好ましい。一方、耐失透性の向上および着色低減の観点からは、WO含有量は、20.00%以下であることが好ましく、18.00%以下、17.00%以下、16.00%以下、15.00%以下、14.00%以下の順により好ましい。
【0025】
Nb含有量に対するWO含有量のモル比(WO/Nb)は、耐失透性の向上、ガラス転移温度Tgの上昇のより一層の抑制および液相温度の上昇を抑制する観点から、0.17以上であることが好ましく、0.19以上、0.21以上、0.22以上、0.23以上、0.25以上、0.27以上、0.29以上、0.31以上、0.33以上、0.35以上、0、37以上、0.39以上、0.41以上の順により好ましい。一方、耐失透性の向上およびガラス転移温度Tgの上昇をより一層抑制する観点からは、モル比(WO/Nb)は、1.50以下であることが好ましく、1.40以下、1.30以下、1.20以下、1.10以下、1.06以下、1.00以下、0.90以下、0.80以下、0.70以下、0.60以下の順により好ましい。
【0026】
Bi含有量に対するWO含有量のモル比(WO/Bi)は、耐失透性の向上ならびにガラス転移温度Tgおよび液相温度の上昇をより一層抑制する観点から、0.19以上であることが好ましく、0.21以上、0.22以上、0.23以上、0.25以上、0.27以上、0.29以上、0.31以上、0.33以上、0.35以上、0.37以上、0.39以上の順により好ましい。一方、耐失透性の向上およびガラス転移温度Tgの上昇をより一層抑制する観点からは、モル比(WO/Bi)は、0.80以下であることが好ましく、0.78以下、0.76以下、0.75以下、0.73以下、0.70以下、0.68以下、0.66以下、0.64以下、0.62以下、0.60以下、0.58以下、0.55以下、0.53以下、0.50以下の順により好ましい。
【0027】
Bi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量(Bi+Nb+WO+TiO)は、屈折率を高める観点から、39.00%以上であることが好ましく、40.00%以上、41.00%以上、42.00%以上、43.00%以上、44.00%以上、45.00%以上、46.00%以上の順により好ましい。一方、耐失透性向上の観点からは、合計含有量(Bi+Nb+WO+TiO)は、50.38%以下であることが好ましく、50.35%以下、50.10%以下、50.00%以下、49.50%以下、49.00%以下の順により好ましい。
【0028】
Bi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量に対するBiとWOとの合計含有量のモル比((Bi+WO)/(Bi+Nb+WO+TiO))は、屈折率を高める観点から、0.42以上であることが好ましく、0.44以上、0.46以上、0.48以上、0.50以上、0.52以上、0.54以上、0.56以上、0.58以上の順により好ましい。モル比((Bi+WO)/(Bi+Nb+WO+TiO))は、例えば、1.00以下、0.90以下、0.80以下または0.70以下であることができる。
【0029】
とPとの合計含有量に対するBi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量のモル比((Bi+Nb+WO+TiO)/(B+P))は、耐失透性向上の観点から、1.81以下であることが好ましく、1.79以下、1.77以下、1.75以下、1.73以下、1.71以下、1.70以下、1.69以下、1.67以下、1.65以下、1.63以下の順により好ましい。一方、屈折率を高める観点からは、モル比((Bi+Nb+WO+TiO)/(B+P))は、0.10以上であることが好ましく、0.30以上、0.50以上、0.70以上、1.00以上、1.20以上の順により好ましい。
【0030】
BaOは、ガラス転移温度Tgの低下に寄与する成分である。BaO含有量は、0%、0%以上または0%超であることができる。耐失透性の向上およびアッベ数の上昇を抑制する観点から、BaO含有量は、14.00%以下であり、12.00%以下であることが好ましく、10.00%以下、8.00%以下、6.00%以下、4.00%以下の順により好ましい。
【0031】
上記ガラスは、MgO、CaOおよびSrOからなる群から選ばれる1種以上のアルカリ土類金属酸化物を含んでもよく、含まなくてもよい。
MgO含有量は、0%、0%以上または0%超であることができ、また、例えば、15.00%以下、13.00%以下、12.00%以下、8.00%以下、7.00%以下、6.00%以下、4.00%以下、2.00%以下、1.00%以下、0.50%以下であることができる。
CaO含有量は、0%、0%以上または0%超であることができ、また、例えば、20.00%以下、19.00%以下、18.00%以下、17.00%以下、15.00%以下、10.00%以下、8.00%以下、6.00%以下、4.00%以下、3.00%以下、2.50%以下、2.20%以下、2.10%以下、2.00%以下、1.00%以下、0.50%以下、0.20%以下であることができる。
SrO含有量は、0%、0%以上または0%超であることができ、また、例えば、10.00%以下、8.00%以下、7.00%以下、6.00%以下、4.00%以下、2.00%以下、1.00%以下、0.50%以下、0.30%以下であることができる。
【0032】
ZnOは、ガラス転移温度Tgの低下に寄与する成分である。
上記ガラスは、ZnOを含んでもよく、含まなくてもよい。ZnO含有量は、0%、0%以上または0%超であることができる。
熱的安定性の低下を抑制する観点からは、ZnO含有量は、20.00%以下であることが好ましく、18.00%以下、16.00%以下、14.00%以下、12.00%以下、10.00%以下、9.00%以下、8.00%以下、7.00%以下、6.00%以下、5.00%以下、4.50%以下、4.00%以下、3.50%以下、3.00%以下、2.50%以下、2.00%以下、1.95%以下、1.90%以下、1.85%以下の順により好ましい。
【0033】
NaOは、ガラス転移温度Tgおよび後述する屈伏点Tsの低下に寄与する成分である。NaO含有量は、0%、0%以上、0%超、0.10%以上、0.50%以上または1.00%以上であることができる。耐失透性の向上およびアッベ数の上昇を抑制する観点から、NaO含有量は、4.00%以下であり、3.80%以下であることが好ましく、3.50%以下、3.30%以下、3.00%以下、2.81%以下、2.54%以下、2.50%以下、2.20%以下、2.00%以下、1.80%以下、1.67%以下、1.60%以下、1.58%の順により好ましい。
【0034】
Oも、ガラス転移温度Tgおよび屈伏点Tsの低下に寄与する成分である。KO含有量は、0%、0%以上、0%超、0.10%以上または0.15%以上であることができる。耐失透性の向上およびアッベ数の上昇を抑制する観点から、KO含有量は、6.00%以下であることが好ましく、5.50%以下、5.00%以下、4.50%以下、4.00%以下、3.50%以下、3.00%以下、2.50%以下、2.20%以下、2.00%以下、1.80%以下、1.50%以下、1.30%以下、1.00%以下、0.80%以下、0.50%以下の順により好ましい。
【0035】
LiO含有量も、ガラス転移温度Tgおよび屈伏点Tsの低下に寄与する成分である。LiO含有量は、熱的安定性の低下を抑制する観点および屈折率を高める観点から、0%超であり、0.10%以上であることが好ましく、1.00%以上、3.00%以上、5.00%以上、8.00%以上、10.00%以上、12.00%以上、14.00%以上、16.00%以上、18.00%以上の順により好ましい。一方、屈折率を高める観点およびガラス転移温度Tgの上昇をより一層抑制する観点からは、LiO含有量は、30.00%以下であることが好ましく、28.00%以下、25.00%以下、23.00%以下、21.00%以下、20.00%以下の順により好ましい。
【0036】
CsO含有量は、0%、0%以上もしくは0%超であることができ、また、例えば5.00%以下、4.00%以下、3.00%以下、2.00%以下、1.00%以下、0.50%以下もしくは0.10%以下であることができる。
【0037】
LiO、NaO、KOおよびCsO合計含有量(LiO+NaO+KO+CsO)は、ガラス転移温度Tgおよび屈伏点Tsの上昇を抑制する観点から、6.50%以上であり、7.00%以上であることが好ましく、7.50%以上、8.00%以上、8.50%以上、9.00%以上、9.50%以上、10.00%以上、10.50%以上、11.00%以上、11.50%以上、12.00%以上、12.50%以上、13.00%以上、13.50%以上、14.00%以上、14.50%以上、15.00%以上、15.50%以上、16.00%以上、16.50%以上、17.00%以上、17.50%以上、18.00%以上、18.50%以上、18.97%以上、19.00%以上、19.50%以上、20.00%以上の順により好ましい。一方、耐失透性向上の観点からは、合計含有量(LiO+NaO+KO+CsO)は、31.00%以下であることが好ましく、30.50%以下、30.00%以下、29.50%以下、29.00%以下、28.50%以下、28.00%以下、27.50%以下、27.00%以下、26.50%以下、26.00%以下、25.50%以下、25.00%以下、24.50%以下、24.26%以下、24.00%以下の順により好ましい。
【0038】
LiO、NaO、KO、CsO、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量(LiO+NaO+KO+CsO+MgO+CaO+SrO+BaO)は、ガラス転移温度Tgおよび屈伏点Tsの上昇を抑制する観点から、15.00%以上であり、15.50%以上であることが好ましく、16.00%以上、16.50%以上、17.00%以上、17.50%以上、18.00%以上、18.50%以上、19.00%以上、19.50%以上、20.00%以上、20.98%以上、21.00%以上、21.50%以上、22.00%以上の順により好ましい。合計含有量(LiO+NaO+KO+CsO+MgO+CaO+SrO+BaO)は、例えば、30.00%以下、29.50%以下、29.00%以下、28.50%以下、28.00%以下、27.50%以下、27.00%以下、26.50%以下、26.33%以下、26.00%以下または25.50%以下であることができる。
【0039】
Bi含有量に対するLiO含有量のモル比(LiO/Bi)は、ガラス転移温度Tgおよび屈伏点Tsの上昇をより一層抑制する観点から、0超であることが好ましく、0.10以上、0.30以上、0.50以上、0.70以上、0.72以上、0.80以上、0.90以上の順により好ましい。一方、屈折率を高める観点からは、モル比(LiO/Bi)は、2.25以下であることが好ましく、2.20以下、2.10以下、2.00以下、1.90以下、1.80以下、1.70以下、1.60以下、1.50以下、1.40以下の順により好ましい。
【0040】
Bi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量に対するLiO、NaOおよびKOの合計含有量のモル比(LiO+NaO+KO)/(Bi+Nb+WO+TiO)は、ガラス転移温度Tgおよび屈伏点Tsの上昇をより一層抑制する観点から、0.26以上であることが好ましく、0.28以上、0.30以上、0.33以上、0.35以上、0.38以上、0.40以上の順により好ましい。一方、屈折率を高める観点からは、モル比(LiO+NaO+KO)/(Bi+Nb+WO+TiO)は、0.66以下であることが好ましく、0.63以下、0.60以下、0.57以下、0.55以下の順により好ましい。
【0041】
とPとの合計含有量に対するLiO、NaOおよびKOの合計含有量のモル比(LiO+NaO+KO)/(B+P)は、ガラス転移温度Tgおよび屈伏点Tsの上昇をより一層抑制する観点から、0.60以上であることが好ましく、0.62以上、0.64以上、0.66以上、0.68以上、0.70以上の順により好ましい。一方、耐失透性向上の観点からは、モル比(LiO+NaO+KO)/(B+P)は、0.90以下であることが好ましく、0.88以下、0.86以下、0.84以下、0.82以下、0.80以下の順により好ましい。
【0042】
Bi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量に対するBi含有量のモル比と、LiO、NaO、KOおよびCsOの合計含有量に対するLiO含有量のモル比と、の合計(Bi/(Bi+Nb+WO+TiO))+(LiO/(LiO+NaO+KO+CsO))は、ガラス転移温度Tgおよび屈伏点Tsの上昇をより一層抑制する観点から、0.36以上であることが好ましく、0.40以上、0.50以上、0.60以上、0.70以上、0.80以上、0.90以上、1.00以上、1.04以上、1.10以上の順により好ましい。上記合計(Bi/(Bi+Nb+WO+TiO))+(LiO/(LiO+NaO+KO+CsO))は、例えば、2.40以下、2.30以下、2.20以下、2.10以下、2.00以下、1.90以下、1.80以下、1.70以下、1.60以下1.45以下または1,40以下であることができる。
【0043】
含有量に対するBi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量のモル比((Bi+Nb+WO+TiO)/B)は、耐失透性の向上およびガラス転移温度Tgおよび屈伏点Tsの上昇をより一層抑制する観点から、10.00以下であることが好ましく、9.50以下、9.30以下、9.22以下、9.10以下、8.90以下、8.70以下、8.50以下、8.30以下、8.10以下、7.90以下の順により好ましい。一方、耐失透性の向上、ガラス転移温度Tgの上昇のより一層の抑制および液相温度の上昇を抑制する観点から、モル比((Bi+Nb+WO+TiO)/B)は、3.00以上であることが好ましく、3.50以上、4.00以上、4.50以上、4.58以上、5.00以上、5.50以上、6.00以上の順により好ましい。
【0044】
Sbは、清澄剤として添加可能な成分である。少量の添加でFe等の不純物混入による光線透過率の低下を抑える働きをすることもできるが、Sbの添加量を多くすると、ガラスの着色が増加傾向を示す。したがって、Sbの添加量は、外割で0.00%以上0.10%以下であることが好ましく、より好ましくは0.00%以上0.08%以下、更に好ましくは0.00%以上0.05%以下である。外割によるSb含有量とは、Sb以外のガラス成分の含有量の合計を100質量%としたときの質量%表示によるSbの含有量を意味する。
【0045】
SnOも清澄剤として添加可能であるが、外割で1.00%を超えて添加するとガラスが着色したり、ガラスを加熱、軟化してプレス成形等の再成形をする際に、Snが結晶核生成の起点となって失透傾向が生じる。したがって、SnOの添加量を外割で0.00%以上1.00%以下とすることが好ましく、0.00%以上0.50%以下とすることがより好ましく、添加しないことが特に好ましい。外割によるSnO含有量とは、SnO以外のガラス成分の含有量の合計を100質量%としたときの質量%表示によるSnOの含有量を意味する。
【0046】
上記光学ガラスは、Lu、Hfといった成分を含有させることなく作製することができる。Lu、Hfは高価な成分であるため、Lu、HfOの含有量をそれぞれ0.00%以上2.00%以下に抑えることが好ましく、それぞれ0.00%以上1.00%以下に抑えることがより好ましく、それぞれ0.00%以上0.80%以下に抑えることが更に好ましく、それぞれ0.00%以上0.10%以下に抑えることが一層好ましく、Luを導入しないこと、HfOを導入しないことがそれぞれ特に好ましい。
また、環境影響に配慮し、Pbを導入しないことが好ましく、As、U、Th、Te、Cdも導入しないことが好ましい。
更に、ガラスの優れた光線透過性を活かす観点から、Cu、Cr、V、Fe、Ni、Co等の着色の要因となる物質を導入しないことが好ましい。
【0047】
Fは、熔融時のガラスの揮発性を著しく高め、ガラスの光学特性の安定性および均質性を低下させる原因になる成分である。F含有量は、先に記載したように求められる酸化物基準のガラス組成の合計含有量100質量%に対するF元素の外割での含有量(単位:質量%)で規定することができる。上記光学ガラスにおいて、こうして規定されるF含有量は0.10%未満であることが好ましく、0.08%未満であることがより好ましく、0.05%未満であることが更に好ましい。F含有量は0.00%以上であることができ、0.00%であってもよい。
【0048】
<ガラス物性>
(ガラス転移温度Tg)
上記光学ガラスは、上記ガラス組成を有することにより、510℃以下のガラス転移温度Tgを有することができる。低Tgガラスは、例えば、精密プレス成形において、離型膜の劣化を抑制する観点、プレス成形型の消耗を抑制する観点等から好ましい。上記光学ガラスのTgは、510℃以下であり、500℃以下であることが好ましく、490℃いか、480℃以下、470℃以下、460℃以下の順により好ましい。Tgの下限は、特に限定されるものではなく、例えば、400℃以上または410℃以上であることができる。本発明および本明細書における「ガラス転移温度Tg」は、熱機械分析装置(TMA:Thermomechanical Analysis)を用いて昇温速度4℃/分にて測定される値とする。
【0049】
(屈折率nd)
上記光学ガラスは、光学素子用材料としての有用性の観点からは、高屈折率ガラスであることが好ましい。上記観点から、上記光学ガラスの屈折率ndは、1.95000以上であることが好ましく、1.96000以上、1.97000以上、1.98000以上、1.99000以上、2.00000以上の順により好ましい。上記光学ガラスの屈折率ndは、例えば、2.30000以下または2.20000以下であることができるが、ここに例示した値を超えてもよい。
【0050】
(アッベ数νd)
上記光学ガラスは、光学素子用材料としての有用性の観点からは、高分散ガラスであることが好ましい。上記観点から、上記光学ガラスのアッベ数νdは、30.00以下であることが好ましく、29.00以下、28.00以下、27.00以下、26.00以下、25.00以下、24.00以下、23.00以下、22.00以下、21.00以下の順により好ましい。また、光学素子用材料としての有用性の観点からは、上記光学ガラスのアッベ数νdは、10.00以上であることが好ましく、11.00以上、12.00以上、13.00以上、14.00以上、15.00以上、16.00以上、17.00以上、18.00以上、19.00以上の順により好ましい。
【0051】
(液相温度)
精密プレス成形性の点から光学ガラスが有することが望ましいガラス物性としては、液相温度が低いことを挙げることもできる。液相温度の低いガラスによれば、軟化点付近での失透安定性が高いため、プリフォームを昇温して軟化し精密プレス成形することで、失透のない高い透明性を有する光学素子を得ることができるからである。そのため、上記光学ガラスの液相温度LTは1020℃以下であることが好ましく、1000℃以下、980℃以下、960℃以下、940℃以下、920℃以下、900℃以下の順により好ましい。液相温度LTは、例えば、700℃以上または800℃以上であることができるが、液相温度LTが低いことは好ましいため、ここに例示した値を下回ることもできる。
【0052】
本発明および本明細書における「液相温度」は、以下の方法によって求められる。
3ccのガラスを入れた白金製坩堝を蓋を付けて所定の温度に加熱された炉内で2時間保持し、冷却後、ガラス内部を光学顕微鏡(倍率:100倍)で観察し、結晶の有無から、液相温度を決定する。温度は10℃刻みで変化させる。
【0053】
(比重)
光学ガラスの比重が低いことは、光学素子の軽量化の観点から好ましい。上記光学ガラスの比重は、例えば、5.75以下であることが好ましく、5.70以下、5.65以下、5.58以下の順により好ましい。また、上記光学ガラスの比重は、例えば4.80以上であることができるが、比重が低いほど好ましいため、下限は特に限定されない。本発明および本明細書において、「比重」はアルキメデス法によって測定される値とする。
【0054】
(着色度λ、λ70
ガラスの光線透過性、詳しくは、短波長側の光吸収端の長波長化が抑制されていることは、着色度λ、λ70およびλ80の1つ以上によって評価することができる。着色度λとは、紫外域から可視域にかけて、厚さ10mmのガラスの分光透過率(表面反射損失を含む)が5%となる波長を表す。λ70は、λについて記載した方法で測定される分光透過率が70%となる波長を表す。後掲の表に示すλおよびλ70は、250~700nmの波長域において測定された値である。本発明および本明細書におけるガラスの分光透過率T(%)は、光学研磨された2つの互いに平行な平面を有するガラス試料に対し、かかる平面のうちの一面に垂直に入射する光の強度をIinとし、ガラス試料を透過してもう一方の面から射出した光の強度をIoutとしたとき、
T(%)=Iout/Iin×100
で表される。
高屈折率高分散ガラスの場合、中屈折率や中低分散のガラスと比較し、光線透過域の短波長吸収端が長波長化する傾向があるため、λ70に加えてλも可視領域に存在し得る。そのため、可視光線の透過率を高めるためには、分光透過率の短波長側の吸収端が短い波長域にあることが好ましい。この短波長側の吸収端を定量的に評価する指標として、着色度λおよびλ70の1つ以上を用いることができる。
上記光学ガラスは、好ましくは420nm以下のλを示すことができる。λは、415nm以下、410nm以下、405nm以下の順により好ましい。λは、短い波長ほどより好ましく、下限は特に限定されるものではない。
上記光学ガラスは、好ましくは520nm以下のλ70を示すことができる。λ70は、510nm以下、505nm以下、500nm以下、495nm以下の順により好ましい。λ70は、短い波長ほどより好ましく、下限は特に限定されるものではない。
【0055】
(屈伏点Ts)
屈伏点Tsが低いガラスは、精密プレス成形においてプレス温度の高温化を抑制する観点から好ましい。上記光学ガラスの屈伏点Tsは、550℃以下であることが好ましく、540℃以下、530℃以下、520℃以下、510℃以下の順により好ましい。また、上記光学ガラスの屈伏点Tsは、例えば450℃以上または460℃以上であることができるが、ここに例示した値を下回ってもよい。本発明および本明細書において、「屈伏点Ts」は、熱機械分析装置(TMA)を用いて昇温速度4℃/分にて測定される値とする。
【0056】
(熱膨張特性)
ガラスの熱膨張特性の指標としては、100~300℃における平均線膨張係数α(「α(100-300)」とも記載する。)を挙げることができる。上記光学ガラスのα(100-300)は、例えば90.00×10-7/℃以上、91.00×10-7/℃以上、92.00×10-7/℃以上、93.00×10-7/℃以上、94.00×10-7/℃以上、95.00×10-7/℃以上、96.00×10-7/℃以上、97.00×10-7/℃以上、98.00×10-7/℃以上もしくは99.00×10-7/℃以上であることができ、また、例えば140.00×10-7/℃以下、130.00×10-7/℃以下、120.00×10-7/℃以下もしくは110.00×10-7/℃以下であることができる。α(100-300)が上記範囲であるガラスは、光学素子用材料としての有用性の観点から好ましい。本発明および本明細書において、「α(100-300)」は、熱機械分析装置(TMA)を用いて測定される値とする。
【0057】
<ガラスの製造方法>
上記光学ガラスは、目的のガラス組成が得られるように、原料である酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、水酸化物等を秤量、調合し、十分に混合して混合バッチとし、熔融容器内で加熱、熔融し、脱泡および撹拌を行い、均質かつ泡を含まない熔融ガラスを作り、これを成形することによって得ることができる。具体的には公知の熔融法を用いて作ることができる。
【0058】
[プレス成形用ガラス素材とその製造方法、およびガラス成形体の製造方法]
本発明の一態様によれば、上記光学ガラスからなるプレス成形用ガラス素材、上記光学ガラスからなるガラス成形体、およびそれらの製造方法を提供することができる。
プレス成形用ガラス素材とは、加熱して、プレス成形に供されるガラス塊を意味する。
プレス成形用ガラス素材の例としては、精密プレス成形用プリフォーム、光学素子ブランクをプレス成形するためのガラス素材(プレス成形用ガラスゴブ)等のプレス成形品の質量に相当する質量を有するガラス塊を挙げることができる。
プレス成形用ガラス素材は、ガラス成形体を加工する工程を経て作製することができる。ガラス成形体は、上記のようにガラス原料を加熱、熔融し、得られた熔融ガラスを成形して作製することができる。ガラス成形体の加工法としては、切断、研削、研磨等を例示することができる。
【0059】
[光学素子ブランクとその製造方法]
本発明の一態様によれば、上記光学ガラスからなる光学素子ブランクを提供することができる。光学素子ブランクは、製造しようとする光学素子の形状に近似する形状を有するガラス成形体である。光学素子ブランクは、製造しようとする光学素子の形状に加工によって除去する加工代を加えた形状にガラスを成形する方法等により作製することができる。例えば、プレス成形用ガラス素材を加熱、軟化してプレス成形する方法(リヒートプレス法)、公知の方法で熔融ガラス塊をプレス成形型に供給しプレス成形する方法(ダイレクトプレス法)等により光学素子ブランクを作製することができる。
【0060】
[光学素子とその製造方法]
本発明の一態様によれば、上記光学ガラスからなる光学素子を提供することができる。光学素子の種類としては、球面レンズ、非球面レンズ等のレンズ、プリズム、回折格子等を例示することができる。レンズの形状としては、両凸レンズ、平凸レンズ、両凹レンズ、平凹レンズ、凸メニスカスレンズ、凹メニスカスレンズ等の諸形状を例示することができる。
【0061】
光学素子の製造方法の一形態としては、精密プレス成形用プリフォームを加熱し、精密プレス成形する光学素子の製造方法を挙げることができる。精密プレス成形には公知のプレス成形型を使用し、公知の成形方法を適用することができる。精密プレス成形による光学素子の製造方法は、非球面レンズ、マイクロレンズ、回折格子等の製造に好適である。
【0062】
精密プレス成形用プリフォームの表面には、精密プレス成形時にガラスとプレス成形型成形面との融着を防止しつつ、成形面に沿ってガラスの延びが良好になるようにするために、離型膜を被覆することが好ましい。そのような離型膜は公知である。上記光学ガラスは、先に記載した範囲のガラス転移温度を有する低Tgガラスである。低Tgガラスからなる精密プレス成形用プリフォームは、離型膜の劣化を抑制する観点から好ましい。離型膜の一例としては、炭素含有膜が挙げられる。炭素含有膜は、例えば、炭素を主成分とする膜(膜中の元素含有量を原子%で表したとき、炭素の含有量が他の元素の含有量よりも多いもの)であることができる。炭素含有膜の成膜法としては、炭素原料を使用した真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の公知の方法、炭化水素等の材料ガスを使用した熱分解等の公知の方法を用いればよい。
【0063】
図1に、精密プレス成形装置の概略断面図を示す。精密プレス成形は、例えば以下のように行うことができる。
精密プレス成形用プリフォーム(以下、単に「プリフォーム」と記載する。)4を、プレス成形型を構成する下型2および上型1の間に設置した後、石英管11内を窒素雰囲気としてヒーター(図示せず)に通電して石英管11内を加熱する。プレス成形型内部の温度を成形されるガラスが例えば10~1010dPa・sの粘度を示す温度に設定し、同温度を維持しつつ、押し棒13を降下させて上型1を押して成形型内にセットされたプリフォームをプレスする。プレスの後、プレスの圧力を解除し、プレス成形されたガラス成形品を下型2および上型1と接触させたままの状態で、上記ガラスの粘度が例えば1012dPa・s以上になる温度まで徐冷し、次いで室温まで急冷してガラス成形品を成形型から取り出す。こうして、光学素子を得ることができる。なお、図1において、保持部材10が下型2と胴型3を保持し、支持棒9が上型1、下型2、胴型3、保持部材10を支持するとともに、押し棒13によるプレスの圧力を受け止める。下型2の内部には熱電対14が挿入されプレス成形型内部の温度をモニターしている。
【0064】
光学素子の製造方法の他の一形態としては、光学素子ブランクを機械加工して光学素子を作製する、光学素子の製造方法を挙げることができる。機械加工としては、切断、切削、粗研削、精研削、研磨等を例示できる。かかる製造方法は、球面レンズ、プリズム等の製造に好適である。
【実施例0065】
以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明する。ただし、本発明は実施例に示す実施形態に限定されるものではない。
【0066】
<実施例No.1~151>
以下の表に示すガラス組成になるように、各成分を導入するための原料としてそれぞれ相当する硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、水酸化物、酸化物、ホウ酸等を用い、原料を秤量し、十分に混合して調合原料とした。
この調合原料を白金製坩堝に入れ、1050℃に設定された炉内で加熱し2時間熔融した。熔融ガラスを撹拌して均質化した後、熔融ガラスを予熱した鋳型に流し込み、ガラス転移温度付近まで放冷してから直ちにアニール炉に入れ、ガラス転移温度程度の温度で約30分間保持した後、徐冷速度-30℃/時間で4時間徐冷し、その後炉内で室温まで放冷することにより、以下の表に示すNo.1~151の各光学ガラスを得た。以下の表に示す各光学ガラスには、いずれもSbが外割で0.05~0.10質量%添加されている。
このようにして得られた光学ガラスの諸物性を以下の表に示す。
光学ガラスの諸物性は、以下に示す方法により測定した。
【0067】
<光学ガラスの物性評価>
(1)屈折率ndアッベ数νd
得られたガラスについて、日本光学硝子工業会規格の屈折率測定法により、屈折率ndおよびアッベ数νdを測定した。
【0068】
(2)ガラス転移温度Tg
熱機械分析装置(TMA)(マック・サイエンス製、TMA-4000S)を使用し、昇温速度4℃/分にて測定した。
【0069】
(3)比重
アルキメデス法により比重を測定した。
【0070】
(4)着色度λ、λ70
互いに対向する2つの光学研磨された平面を有する厚さ10±0.1mmのガラス試料を用い、分光光度計により、分光透過率T(%)を測定した。Tが5%になる波長(nm)をλとし、Tが70%になる波長(nm)をλ70とした。
【0071】
(5)液相温度
先に記載した方法によって液相温度LTを求めた。
【0072】
(6)屈伏点Ts
熱機械分析装置(TMA)(マック・サイエンス製、TMA-4000S)を使用し、昇温速度4℃/分にて測定した熱膨張曲線において、見掛け上、膨張が停止する温度を屈伏点とした。
【0073】
(7)α(100-300)
熱機械分析装置(TMA)(マック・サイエンス製、TMA-4000S)を用いて、100~300℃における平均線膨張係数αを測定した。
【0074】
【表1-1】
【0075】
【表1-2】
【0076】
【表1-3】
【0077】
【表1-4】
【0078】
【表1-5】
【0079】
【表1-6】
【0080】
【表1-7】
【0081】
【表1-8】
【0082】
【表2-1】
【0083】
【表2-2】
【0084】
【表2-3】
【0085】
【表2-4】
【0086】
【表2-5】
【0087】
【表2-6】
【0088】
【表2-7】
【0089】
【表2-8】
【0090】
【表3-1】
【0091】
【表3-2】
【0092】
【表3-3】
【0093】
【表3-4】
【0094】
【表3-5】
【0095】
【表3-6】
【0096】
【表3-7】
【0097】
【表3-8】
【0098】
【表4-1】
【0099】
【表4-2】
【0100】
【表4-3】
【0101】
【表4-4】
【0102】
【表4-5】
【0103】
【表4-6】
【0104】
【表4-7】
【0105】
【表4-8】
【0106】
上記実施例の質量%表示のガラス組成を以下の表に示す。
【0107】
【表5-1】
【0108】
【表5-2】
【0109】
【表5-3】
【0110】
【表5-4】
【0111】
【表5-5】
【0112】
【表5-6】
【0113】
【表5-7】
【0114】
【表5-8】
【0115】
<精密プレス成形による光学素子の作製>
上記実施例のそれぞれについて、上記の表に示すガラス組成になるように、各成分を導入するための原料としてそれぞれ相当する硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、水酸化物、酸化物、ホウ酸等を用い、原料を秤量し、十分に混合して調合原料とした。
プリフォームの作製例(作製例1)を一つ説明する。調合原料を白金製坩堝に入れ、加熱、熔融した。清澄、均質化した熔融ガラスを、ガラスが失透することなく、安定した流出が可能な温度域に温度調整された白金合金製のパイプから一定流量で流出し、滴下または降下切断法にて目的とするプリフォームの質量の熔融ガラス塊に分離する。分離した熔融ガラス塊を、ガス噴出口を底部に有する型で受け、ガス噴出口からガスを噴出してガラス塊を浮上させながら精密プレス成形用プリフォームを成形する。熔融ガラス塊の分離間隔を調整、設定することによって、扁平球状プリフォームを得る。
プリフォーム作製例(作製例2)のもう一つとしては、調合原料を熔融して得た均質な熔融ガラスを鋳型に鋳込んで成形した後、得られた成形体の歪をアニールによって除去し、切断または割断して、所定の寸法、形状に分割し、複数個のガラス片を作製し、ガラス片を研磨して表面を滑らかにするとともに、所定の質量のガラスからなるプリフォームとする方法がある。
上記実施例のそれぞれについて、作製例2によって精密プレス成形用プリフォームを作製した。
【0116】
上記実施例のそれぞれについて、作製したプリフォーム表面に炭素含有膜をコートし、成形面に炭素含有離型膜を設けたSiC製の上下型および胴型を含むプレス成形型内に導入し、窒素雰囲気中で成形型とプリフォームを一緒に加熱してプリフォームを軟化し、精密プレス成形して、上記各種ガラスからなる各種レンズ(非球面凸メニスカスレンズ、非球面凹メニスカスレンズ、非球面両凸レンズ、非球面両凹レンズ)を作製した。このようにして作製した各種レンズを観察したところ、レンズ表面に傷、クモリ、破損は全く認められなかった。
【0117】
最後に、前述の各態様を総括する。
【0118】
[1]モル%表示のガラス組成において、
含有量が10.00%以上80.00%以下、
TiO含有量が5.00%以下、
Nb含有量が0%超80.00%以下、
Bi含有量が6.00%以上80.00%以下、
BaO含有量が14.00%以下、
NaO含有量が4.00%以下、
LiO含有量が0%超、
LiO、NaO、KOおよびCsO合計含有量(LiO+NaO+KO+CsO)が6.50%以上、
LiO、NaO、KO、CsO、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量(LiO+NaO+KO+CsO+MgO+CaO+SrO+BaO)が15.00%以上、
含有量に対するB含有量のモル比(B/P)が0.60以下、
Nb含有量に対するBi含有量のモル比(Bi/Nb)が1.97以下、
であり、かつ
ガラス転移温度Tgが510℃以下である光学ガラス。
[2]LiO、NaO、KOおよびCsO合計含有量(LiO+NaO+KO+CsO)が14.00%以上31.00%以下である、[1]に記載の光学ガラス。
[3]LiO、NaO、KOおよびCsO合計含有量(LiO+NaO+KO+CsO)が18.97%以上31.00%以下である、[1]または[2]に記載の光学ガラス。
[4]LiO、NaO、KO、CsO、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量(LiO+NaO+KO+CsO+MgO+CaO+SrO+BaO)が20.98%以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の光学ガラス。
[5]P含有量に対するB含有量のモル比(B/P)が0.15以上0.60以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の光学ガラス。
[6]BとPとの合計含有量(B+P)が20.78%以上である、[1]~[5]のいずれかに記載の光学ガラス。
[7]BとPとの合計含有量(B+P)が28.00%以上である、[1]~[6]のいずれかに記載の光学ガラス。
[8]Nb含有量に対するBi含有量のモル比(Bi/Nb)が0.80以上1.97以下である、[1]~[7]のいずれかに記載の光学ガラス。
[9]Bi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量(Bi+Nb+WO+TiO)が39.00%以上50.38%以下である、[1]~[8]のいずれかに記載の光学ガラス。
[10]Bi含有量に対するLiO含有量のモル比(LiO/Bi)が0超2.25以下である、[1]~[9]のいずれかに記載の光学ガラス。
[11]Bi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量に対するLiO、NaOおよびKOの合計含有量のモル比(LiO+NaO+KO)/(Bi+Nb+WO+TiO)が0.26以上0.66以下である、[1]~[10]のいずれかに記載の光学ガラス。
[12]Bi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量に対するLiO、NaOおよびKOの合計含有量のモル比(LiO+NaO+KO)/(Bi+Nb+WO+TiO)が0.38以上0.66以下である、[1]~[11]のいずれかに記載の光学ガラス。
[13]BとPとの合計含有量に対するLiO、NaOおよびKOの合計含有量のモル比(LiO+NaO+KO)/(B+P)が0.60以上0.90以下である、[1]~[12]のいずれかに記載の光学ガラス。
[14]BとPとの合計含有量に対するBi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量のモル比((Bi+Nb+WO+TiO)/(B+P))が1.81以下である、[1]~[12]のいずれかに記載の光学ガラス。
[15]BとPとの合計含有量に対するBi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量のモル比(Bi+Nb+WO+TiO)/(B+P)が1.70以下である、[1]~[14]のいずれかに記載の光学ガラス。
[16]Bi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量に対するBiとWOとの合計含有量のモル比((Bi+WO)/(Bi+Nb+WO+TiO))が0.42以上である、[1]~[15]のいずれかに記載の光学ガラス。
[17]Bi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量に対するBi含有量のモル比と、LiO、NaO、KOおよびCsOの合計含有量に対するLiO含有量のモル比と、の合計(Bi/(Bi+Nb+WO+TiO))+(LiO/(LiO+NaO+KO+CsO))が0.36以上である、[1]~[16]のいずれかに記載の光学ガラス。
[18]B含有量に対するBi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量のモル比((Bi+Nb+WO+TiO)/B)が10.00以下である、[1]~[17]のいずれかに記載の光学ガラス。
[19]Nb含有量に対するWO含有量のモル比(WO/Nb)が0.17以上である、[1]~[18]のいずれかに記載の光学ガラス。
[20]Bi含有量に対するWO含有量のモル比(WO/Bi)が0.19以上である、[1]~[19]のいずれかに記載の光学ガラス。
[21]屈折率ndが1.95000以上である、[1]~[20]のいずれかに記載の光学ガラス。
[22]アッベ数νdが10.00以上30.00以下である、[1]~[21]のいずれかに記載の光学ガラス。
[23]LiO、NaO、KOおよびCsO合計含有量(LiO+NaO+KO+CsO)が18.97%以上31.00%以下であり、
LiO、NaO、KO、CsO、MgO、CaO、SrOおよびBaOの合計含有量(LiO+NaO+KO+CsO+MgO+CaO+SrO+BaO)が20.98%以上であり、
含有量に対するB含有量のモル比(B/P)が0.15以上0.60以下であり、
とPとの合計含有量(B+P)が28.00%以上であり、
Nb含有量に対するBi含有量のモル比(Bi/Nb)が0.80以上1.97以下であり、
Bi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量(Bi+Nb+WO+TiO)が39.00%以上50.38%以下であり、
Bi含有量に対するLiO含有量のモル比(LiO/Bi)が0超2.25以下であり、
Bi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量に対するLiO、NaOおよびKOの合計含有量のモル比(LiO+NaO+KO)/(Bi+Nb+WO+TiO)が0.38以上0.66以下であり、
とPとの合計含有量に対するLiO、NaOおよびKOの合計含有量のモル比(LiO+NaO+KO)/(B+P)が0.60以上0.90以下であり、
とPとの合計含有量に対するBi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量のモル比(Bi+Nb+WO+TiO)/(B+P)が1.70以下であり、
Bi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量に対するBiとWOとの合計含有量のモル比((Bi+WO)/(Bi+Nb+WO+TiO))が0.42以上であり、
Bi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量に対するBi含有量のモル比と、LiO、NaO、KOおよびCsOの合計含有量に対するLiO含有量のモル比と、の合計(Bi/(Bi+Nb+WO+TiO))+(LiO/(LiO+NaO+KO+CsO))が0.36以上であり、
含有量に対するBi、Nb、WOおよびTiOの合計含有量のモル比((Bi+Nb+WO+TiO)/B)が10.00以下であり、
Nb含有量に対するWO含有量のモル比(WO/Nb)が0.17以上であり、
Bi含有量に対するWO含有量のモル比(WO/Bi)が0.19以上であり、
屈折率ndが1.95000以上であり、かつ
アッベ数νdが10.00以上30.00以下である、[1]~[22]のいずれかに記載の光学ガラス。
[24][1]~[23]のいずれかに記載の光学ガラスからなる光学素子。
【0119】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、上述の例示されたガラス組成に対し、明細書に記載の組成調整を行うことにより、本発明の一態様にかかる光学ガラスを得ることができる。
また、明細書に例示または好ましい範囲として記載した事項の2つ以上を任意に組み合わせることは、もちろん可能である。
図1