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特開2024-50453変形しにくいワークピース用のロック機構付加工ツール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050453
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】変形しにくいワークピース用のロック機構付加工ツール
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/10 20060101AFI20240403BHJP
   B29C 65/08 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B23K20/10
B29C65/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023147405
(22)【出願日】2023-09-12
(31)【優先権主張番号】17/956,113
(32)【優先日】2022-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501410126
【氏名又は名称】ブランソン・ウルトラソニックス・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ジェイ・ディッカー
【テーマコード(参考)】
4E167
4F211
【Fターム(参考)】
4E167BE04
4E167BE10
4F211TA01
4F211TC03
4F211TD11
4F211TJ21
4F211TN22
4F211TQ05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】自重補償弾性部材とロック機構と、を備えたワークピース加工装置を提供する。
【解決手段】ワークピース加工ツールは、ツール装置と、ワークピース保持具に保持できるワークピースと、を含む。サーボ弾性アクチュエータシステムは、サーボアクチュエータと、ツール装置及びワークピース保持具の一方をサーボアクチュエータに接続するコンプライアンス弾性部材と、を含む。サーボ弾性アクチュエータシステムは、ツール装置及びワークピース保持具の一方を、ツール装置及びワークピース保持具の他方に向かって移動させる。ロック機構は、ツール装置及びワークピース保持具の一方をサーボアクチュエータに係合させて、サーボアクチュエータに対するツール装置及びワークピース保持具の一方の移動を制限する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース加工ツールであって、
ツール装置及びワークピースと、
サーボアクチュエータ及びコンプライアンス弾性部材を含むサーボ弾性アクチュエータシステムであって、サーボ弾性アクチュエータシステムは、ツール装置及びワークピースの一方をツール装置及びワークピースの他方に向かって移動させる、サーボ弾性アクチュエータシステムと、
ロック機構であって、サーボアクチュエータに対するツール装置及びワークピース保持具の一方の移動を制限するために、コンプライアンス弾性部材をロックアウトするためのロック機構と、
を備える、ワークピース加工ツール。
【請求項2】
ロック機構は、アクチュエータと、ツール装置及びワークピース保持具の一方と動作可能に係合可能であるクランプ機構と、含む、請求項1に記載のワークピース加工ツール。
【請求項3】
クランプ機構は、ツール装置及びワークピース保持具の一方と磁気的に係合可能である電磁石を含む、請求項2に記載のワークピース加工ツール。
【請求項4】
クランプ機構は、アクチュエータによって旋回して作動される少なくとも1つの旋回アームを含む、請求項2に記載のワークピース加工ツール。
【請求項5】
クランプ機構は、アクチュエータによって摺動して作動される少なくとも1つのアームを含む、請求項2に記載のワークピース加工ツール。
【請求項6】
クランプ機構はは少なくとも1つのアームを含み、アームは、ツール装置及びワークピース保持具の一方と係合する制振材料を有する、請求項2に記載のワークピース加工ツール。
【請求項7】
ロック機構は少なくとも1つのアームを含み、アームは、ツール装置及びワークピース保持具の一方と磁気的に係合可能である電磁石を含む、請求項1に記載のワークピース加工ツール。
【請求項8】
ロック機構は、ツール装置及びワークピース保持具の一方に取り付けられたアームと、アームをサーボアクチュエータに固定して係合させるアクチュエータと、を含む、請求項1に記載のワークピース加工ツール。
【請求項9】
少なくとも1つのアームは、歯付ラックを含み、アクチュエータは、歯付ラックと係合する歯付ピニオンを含む、請求項8に記載のワークピース加工ツール。
【請求項10】
ロック機構はアームを含み、アームは、第1の端部に停止部材を有し、第2の端部にアクチュエータにより係合される、請求項1に記載のワークピース加工ツール。
【請求項11】
アームは、歯付ラックを含み、アクチュエータは、歯付ラックと係合する歯付ピニオンを含む、請求項10に記載のワークピース加工ツール。
【請求項12】
ワークピースを加工するためのツール装置を有し、かつサーボアクチュエータ及びコンプライアンス弾性部材を含むサーボ弾性アクチュエータシステムを含む、ワークピース加工ツールを操作する方法であって、サーボ弾性アクチュエータシステムは、ツール装置及びワークピースの一方をツール装置及びワークピースの他方に向けて移動させ、
ツール装置及びワークピースの一方とサーボアクチュエータとの間にロック機構を係合させることと、
サーボアクチュエータを作動させて、ツール型装置及びワークピースの一方をツール装置及びワークピースの他方に向かって移動させることと、
ロック機構を係合解除することと、
ツール装置及びサーボアクチュエータを作動させて、ワークピースの所望の加工を実行することと、
を備える、方法。
【請求項13】
ロック機構を係合させることは、クランプアームを作動させて、ツール装置及びワークピースの一方をサーボアクチュエータへと接続することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
クランプアームは、ツール装置及びワークピースの一方と係合する電磁石を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
クランプアームは、ツール装置及びワークピースの一方と係合する制振材料を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
クランプアームを作動させることは、クランプアームを旋回させることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
クランプアームを作動させることは、クランプアームを摺動させることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
ロック機構を係合させることは、サーボアクチュエータに取り付けられたアーム上の電磁石を作動させることを含み、電磁石は、ツール装置に隣接して配置される、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
ロック機構は、歯付きラックと、歯付ラックに係合する歯付ピニオンと、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
ロック機構は、歯付ピニオンを固定位置に係合させるためのアクチュエータを更に含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、同時精密力及び位置制御を有するサーボ弾性アクチュエータシステムと、自重補償弾性部材と、ツール移動中に弾性部材をロックアウトするためのロック機構と、を備えたワークピース加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このセクションは、必ずしも従来技術ではない本開示に関連する背景情報を提供する。
【0003】
本明細書で使用されるワークピース加工装置とは、ワークピースを加工する間に1つのワークピース(又は複数のワークピース)に力を加える装置である。或る装置では、この力は、溶接などの1つのワークピース(又は複数のワークピース)に対する作業の実行の一部であり、かつその作業の実行に寄与し、他の場合では、力とは、ワークピースに対する作業の実行の一部ではなく、むしろワークピースに対して作業が実行される際に定位置にワークピースをクランプするために加えられる。そのようなワーク加工装置は、加工中にツールをワークピースに対して移動させることによって、又はクランプをワークピースに適用して定位置に保持することによってなどで、ワークピースに力を加えるアクチュエータを有する。そのようなワークピース加工装置は、プラスチック又は金属の超音波、振動、レーザ、熱、スピン、又は赤外線加工のための装置を含むことができ、ここでは、溶接、カシメ、スエージング、及び切断などの力がワークピースに加えられる。加工中にワークピースに力を加えるワークピース加工装置には、力と位置の両方を制御できるアクチュエータが必要である。
【0004】
空気圧式アクチュエータは、比較的剛性の表面と接触している場合にアクチュエータの位置に関係なく一定の力を与えるのに適しているが、位置を制御する際にはあまり正確ではない。一方で、サーボアクチュエータは、位置の制御においては正確であるが、比較的変形しにくい(non-compliant)又は剛性の表面と接触している場合、力を制御するにはあまり良好ではない。サーボアクチュエータは、位置制御のためにサーボアクチュエータの出力のフィードバックを用いて、電気入力信号に応答して機械システム内に位置制御された運動を提供する機構である。
【0005】
超音波溶接、振動溶接、レーザ溶接、熱溶接、スピン溶接、赤外線溶接、及び超音波切断のためにサーボアクチュエータを使用すると、約1000分の1インチの位置を非常に正確に制御することができたが、力を±40ポンド未満に制御することはできなかった。この問題は、溶接中に押し付けられるワークピースの材料の相対的な変形しにくさ(non-compliance)から生じる。サーボアクチュエータが位置の1000分の1インチ以内の分解能を有していても、この小さな相対運動は、押し付けられる材料の剛性を考慮すると、典型的なプラスチック片では約40ポンドの力、金属片では更に高い力という大きな変化をもたらす。位置感度に対する力のこの問題は、制御システムがサーボアクチュエータにとってどれだけ良好であるかにかかわらず、比較的変形しにくい表面を押し付ける場合はサーボアクチュエータに固有のものである。
【0006】
サーボアクチュエータは、「Ultrasonic Press Using Servo Motor with Delayed Motion」の名称の米国特許第8,720,516号明細書に記載されているような、力のある程度の制御が得られるトルク制御モードを有することが多い。しかし、やはり、押し付けられる表面の変形しにくさのために、この力は総荷重の高い割合で変動する。
【0007】
サーボアクチュエータにより正確に力を制御するための、従来技術における1つのよく理解されている方法は、サーボアクチュエータを長い移動ばねに押し付けることである。これにより非常に良好な力制御が得られるが、位置制御は一切ない。「Compliant Motion Servo」の名称の米国特許第4,817,848号明細書は、力を制御するためにサーボアクチュエータと共に長い移動ばねを使用することについて開示しているが、運動の終わりに閉ループ位置制御に切り替わり、したがってプロセスの終わりに力の制御を失う。
【0008】
「Ultrasonic Welding Device,Ultrasonic Welding Method」の名称の特開2013-063521号公報は超音波溶接機を開示しており、この超音波溶接は、ツールホーンの移動量を測定するための第1のリニアスケールと、超音波摺動ユニットを押し付ける圧縮ばねと、圧縮ばねを圧縮する駆動手段と、圧縮ばねの圧縮量を測定する第2のリニアスケールと、圧縮ばねによる押付力を測定するロードセルと、を含み、本体フレームに対して摺動可能な超音波摺動ユニットに取り付けられたツールホーンをワークピースに押し付けることによって超音波溶接を行う。駆動手段を駆動して圧縮ばねを圧縮する場合、ロードセルで測定された圧縮ばねによる押付力、第1のリニアスケールで測定されたツールホーンの移動量、及び第2のリニアスケールで測定された圧縮ばねの圧縮量が駆動手段にフィードバックされ、ワークピースに任意の押付力を付与しながら超音波溶接を行うように制御される。しかしながら、圧縮ばねが圧縮状態にされるのみの場合、ツールホーン及びキャリッジの重量は底値に達し、システムは、ツールホーン及びキャリッジの重量負荷を下回る力で溶接されているワークピースに及ぼされる力を区別することができない。
【0009】
同一出願人による米国特許第10,864,608号明細書は、サーボ作動式ワークピース加工装置の改善された力制御を提供するサーボ弾性アクチュエータシステムを持つ、ワークピース加工装置について開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第8,720,516号明細書
【特許文献2】米国特許第4,817,848号明細書
【特許文献3】特開2013-063521号公報
【特許文献4】米国特許第10,864,608号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このセクションは、本開示の一般的な概要を提供し、その全範囲又はその特徴の全ての包括的な開示ではない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
アクチュエータと直列のコンプライアントアセンブリ、例えば米国特許第10,864,608号明細書では、速度の変化はばねの反作用を引き起こし得る。この反作用は、質量と速度の変化とに依存する時間にわたって続く移行において、高調波「リンギング」移動を引き起こす。これは、ワークピースに所望の衝撃又は力の増大が存在する場合に、可能な設定値を制限する。本開示は、望まれる場合にはコンプライアントアセンブリの移動を制限し、かつ望まれる場合にはコンプライアントアセンブリが自由に動くことを可能にする機構を提供する。この機構は、コンプライアントアセンブリがシステム全体の質量の任意の変化に調整することを可能にする、調整可能な範囲を有する。この機構は、アセンブリの長さを制御して、所与の質量に対して所望の長さに戻されることができることとしてもよい。この機構は、コンプライアントアセンブリが更に延びることを防止するが圧縮を可能にするために調整可能なストッパを有してもよい。この機構は、移動を制限するためにダンパーと係合し、かつ自由な移動を可能にするために係合解除してもよい。
【0013】
移行中にばねアセンブリをロックすると、高調波応答が排除され、次いで、設定された一定の速度又は設定された加速度でロック解除することにより、衝撃及び力の増大をより制御して、望まれる場合にばねシステムを利用することが可能になる。これは、より速い速度、より重いホーン、又はそれらの組合せを可能にする一方で、制御状態を維持し、衝撃及び力の増大のために可能なより広い範囲を有する。これはまた、例えば、より小さく繊細な部品のためのより低い力プロファイル、及び低力でのより反復可能な力プロファイルを可能にする。
【0014】
ワークピース加工ツールは、ツール装置と、ワークピース保持具と、を含む。サーボ弾性アクチュエータシステムは、サーボアクチュエータと、ツール装置をサーボアクチュエータに接続するコンプライアンス弾性部材と、を含む。サーボ弾性アクチュエータシステムは、ツール装置をワークピース保持具に向かって移動させる。ロック機構は、ツール装置をサーボアクチュエータに係合させて、サーボアクチュエータに対するツール装置の移動を制限する。
【0015】
ワークピース保持具上のワークピースを加工するためのツール装置を有し、かつサーボアクチュエータ及びコンプライアンス弾性部材を含むサーボ弾性アクチュエータシステムを含む、ワークピース加工ツールを操作する方法であって、ここで、サーボ弾性アクチュエータシステムは、ツール装置をワークピース保持具に向かって移動させ、ツール装置とサーボアクチュエータとの間にロック機構を係合させることと、サーボアクチュエータを作動させて、ツール装置をワークピースに向かって下降させることと、ロック機構を係合解除することと、ツール装置及びサーボアクチュエータを作動させて、ワークピースの所望の加工を実行することと、を含む、方法。
【0016】
更なる適用領域は、本明細書で提供される説明から明らかになるであろう。この概要における説明及び特定の例は、例示のみを目的とすることを意図しており、本開示の範囲を限定することは意図していない。
【0017】
本明細書で説明される図面は、選択された実施形態の例示のみを目的としており、全ての可能な実装形態ではなく、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の例示的な実施形態によるロッキングアセンブリを有する、コンプライアント超音波ツールの概略図である。
図2】第2の例示的な実施形態によるロッキングアセンブリを有する、コンプライアント超音波ツールの概略図である。
図3】第3の例示的な実施形態によるロッキングアセンブリを有する、コンプライアント超音波ツールの概略図である。
図4】第4の例示的な実施形態によるロッキングアセンブリを有する、コンプライアント超音波ツールの概略図である。
図5】第5の例示的な実施形態によるロッキングアセンブリを有する、コンプライアント超音波ツールの概略図である。
図6】第6の例示的な実施形態によるロック機構を有する、コンプライアント超音波ツールの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
対応する参照番号は、図面の複数の図を通して対応する部分を示す。
【0020】
ここで、添付の図面を参照して、例示的な実施形態をより完全に説明する。
【0021】
図1図5は、サーボ弾性アクチュエータシステム及び代替的なロック機構を有するワークピース加工装置10、110、210、310、410の異なる例示的な実施形態を示す。ワークピース加工装置10、110、210、310、410は、処理中にワークピースに力を加える任意の装置とすることができる。ワークピース加工装置は、例えば、プラスチック又は金属の超音波、振動、レーザ、熱、スピン、又は赤外線加工のための装置とすることができ、ここでは、溶接、カシメ、スエージング、及び切断などの力がワークピースに加えられる。ワークピース加工システムはまた、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,864,608号明細書に開示されているように、加工中に定位置にワークピースを保持するためにワークピースに力が加えられる装置とすることができる。
【0022】
図1図5を参照すると、ワークピース加工装置10、110、210、310、410は、サーボ弾性アクチュエータシステム12を含む。サーボ弾性アクチュエータシステム12は、サーボアクチュエータ14及び弾性部材16を含む。弾性部材16は、1つ以上のばね若しくは弾性部材、又はそれらの組合せを含む、任意の形態をとることができる。サーボアクチュエータ14は、サーボモータ18と、サーボモータ18によって上下(図面に示されている方向)に動かされるサーボモータ18に結合されたアクチュエータ部材20と、を含む。サーボモータ18は、サーボモータ18を制御するコントローラ22に結合されている。サーボモータ18は、装置10、110、210、310、410のフレーム24に固定されている。弾性部材16の端部16aは、アクチュエータ部材20の端部26に固定され、弾性部材16の反対側の端部16bは、ツール装置/ホーン30に固定される。装置10、110、210、310、410はまた、例えば超音波溶接機又は超音波チューブシーラのアンビルされることができる、ワークピース保持具32を含む。ワークピース保持具32は、装置10、110、210、310、410のフレーム24に固定されることができる。比較的変形しにくい又は剛性の表面36を有するワークピース34が、ワークピース保持具32上に配置される。ワークピース34は、装置10、110、210、310、410によって加工されるワークピースである。ワークピース34は、例えば、装置10、110、210、310、410が超音波溶接機である場合、互いに超音波溶接されるべき2つのプラスチック片又は金属片とすることができる。ワークピース34は、例えば、装置10、110、210、310、410が超音波チューブシーラである場合、超音波封止された端部を有するべきチューブとすることができる。ツール装置30は、サーボアクチュエータ14の移動によってワークピース34に押し付けられることで、ワークピース34を加工する、ワークピース加工装置の一部である。ツール装置30は、例えば、超音波溶接機又は超音波シーラの超音波スタックであってもよく、超音波スタックの超音波ホーンの先端部は、ワークピース34に物理的に接触するものである。そのような場合、ツール装置30は、必要に応じて、超音波溶接又は超音波封止などにより、ワークピース34を加工するために超音波的にエネルギーを与えられる。ツール装置30は、コントローラ22によって制御されることができる、。ワークピース加工装置のサーボ弾性アクチュエータシステムは、米国特許第10,864,608号明細書に開示されているような様々な代替構成をとることができ、サーボ弾性アクチュエータシステムは、ツール装置30に対してワークピースを支持し移動させるために使用されることができる。
【0023】
コントローラ22を含む上記に開示された要素のうちの1つ以上は、論理回路を含むハードウェア;ソフトウェアを実行するプロセッサなどのハードウェア/ソフトウェアの組合せ、又はそれらの組合せなどの1つ以上の処理回路を含むか、又はそれらに実装されてもよい。例えば、処理回路は、より具体的には、中央処理装置(CPU)、演算論理回路(ALU)、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、システムオンチップ(SoC)、プログラマブルロジックユニット、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)などを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0024】
図1を参照して、ワークピース加工装置10は、例示的な実施形態1によるロック機構40を含む。ロック機構40は、一対のロッキングブラケット42を含み、ロッキングブラケット42は、クランプ部材44によって係合される上端部42aを有することができ、かつ弾性部材又はばね16の拡張を防止するためにツール装置30の一部と係合する電磁石46を任意選択的に含むことができる下端部42bを有することができる。電磁石46は、ツール装置30と磁気的に係合するように作動されることができ、かつツール装置30との係合を解除するように作動停止されることができる。上端部42aのクランプ部材44の作動は、ロッキングブラケット42がツール装置30に係合し、かつツール装置30の下降中に弾性部材16の伸長を防止することを可能にする。ロッキングブラケット42の下端部42bは、弾性部材又はばね16を異なる程度に伸張させる、より重い又はより軽いツール装置30を収容するように垂直に調整されることができる。位置が定まると、ブラケット42の下端部42bは、定位置にロックされることができ、アセンブリの任意の更なる伸長は防止されることができる。クランプ部材44は、電磁石アクチュエータ48を含むことができ、電磁石アクチュエータ48は、クランプアーム50を内側に引っ張って、ロッキングブラケットがツール装置30の運動を阻害しないように、ツール装置30との係合から外れたピボット42cの周りにロッキングブラケット42を旋回させる。電磁石アクチュエータ48はコントローラ22によって制御されることができる。ロッキングブラケット42及びアクチュエータ44は代替の形態を取り得るということを理解されたい。
【0025】
図2を参照すると、ワークピース加工装置110は、ロック機構140を含み、ロック機構140は、ロッキングアクチュエータ142を含み、ロッキングアクチュエータ142は、アクチュエータ部材20の端部26に備え付けられており、かつロッキングアクチュエータ142は、ツール装置30と係合するアクチュエータアーム144を有する。ロッキングアクチュエータ142は、ツール装置30とアクチュエータ部材20との間の相対移動を防止するためにアクチュエータアーム144と係合するように、ロック状態で作動されることができる。ロッキングアクチュエータ142は、アクチュエータアーム144の相対移動を可能にし、それによって、ばね16がシステムにコンプライアンスを提供することができるように、ツール装置30がアクチュエータ部材20に対して自由に動くことを可能にするために作動停止されることができる。非限定的な例として、ロッキングアクチュエータ142はピニオン142aを含むことができ、アクチュエータアーム144はラック部分144aを含むことができる。ロッキングアクチュエータ142は、ピニオン142aの回転を防止するために係合され得るか、又はピニオン142aの回転を可能にするように係合解除されることができる。ロッキングアクチュエータ142は、ピニオン142aに係合してその回転を防止するようにコントローラ22によって制御される、サーボ装置を含むことができる。ロッキングアクチュエータ142の他の代替形態もまた提供されることができる。単一のロック機構140が示されているが、複数のロック機構もまた提供されることができる。
【0026】
図3を参照すると、ワークピース加工装置210はロック機構240を含み、ロック機構240はクランプ244を含むことができ、クランプ244は、アクチュエータ部材20に備え付けられることができ、かつ、ばね16がシステムにコンプライアンスを提供することができるように、ツール装置30と摩擦的に係合及び係合解除されてツール装置30がアクチュエータ部材20に対して自由に動くことを防止又は可能にすることができる。ロック機構240は1つ以上のロッキングブラケット242を含み、ロッキングブラケット242は、クランプ部材244によって係合される上端部242aを有することができ、かつ、弾性部材又はばね16の拡張を防止するためにツール装置30の一部と係合する下端部242bを有することができる。一対のロッキングブラケット242の下端部242bは、一対のロッキングブラケットとツール装置30との間の摩擦又は制振運動を増加させるための発泡体、ゴム、又は他のエラストマー材料などの、摩擦強化又は制振材料243を含むことができる。
【0027】
図4を参照して、ワークピース加工装置310は、例示的な実施形態4によるロック機構340を含む。ロック機構340は1つ以上のブラケット342を含み、ブラケット342は、アクチュエータ部材20の端部26に固定された上端部342aを有し、かつ、必要な場合、アクチュエータ部材20に対するツール装置30の移動を制限し、ばね16の伸長を防止するように作動され得る1つ以上の電磁石344を含む下端部342bを有し得る。
【0028】
図5を参照すると、ワークピース加工装置410はロック機構440を含み、ロック機構440はロッキングアクチュエータ442を含み、ロッキングアクチュエータ442は、アクチュエータ部材20の端部26に備え付けられ、かつツール装置30と係合するハードストップ446を持つアクチュエータアーム444を有する。ロッキングアクチュエータ442は、アクチュエータアーム444と係合するため、及びツール装置30とアクチュエータ部材20との間のハードストップ446の位置を固定するために、ロック状態で作動されることができる。ロッキングアクチュエータ442は、アクチュエータアーム444を垂直方向に移動させ、かつより重い又はより軽いツール装置30のためのハードストップ446の位置を調整するように、調整されることができる。非限定的な例として、ロッキングアクチュエータ442は、モータ駆動ピニオン442aを含むことができ、アクチュエータアーム444は、ラック部分444aを含むことができる。ロッキングアクチュエータ442は、ピニオン442aの回転を防止するために係合されることができるか、又はピニオン442aの回転を可能にするように係合解除されることができる。ロッキングアクチュエータ442は、ピニオン442aを回転させるか、又はその回転を防止するようにコントローラ22によって制御される、サーボモータを含むことができる。
【0029】
図6を参照すると、ワークピース加工装置510がサーボ弾性アクチュエータを含むことが示されており、サーボ弾性アクチュエータは、静止状態で保持され得るツール装置30に向かってワークピース保持具32及びワークピース34を移動させるためのアクチュエータ20及びばね16を含む。ロック機構540はアーム42を含んでもよく、アーム42は、ばね機構16をロックアウトするためにワークピース保持具32と係合するように移動されることができる。アーム42は、アーム42をワークピース保持具32との係合の内外にピボッティングさせるアクチュエータ48及びクランプアーム50によって、係合解除位置まで動かされることができる。ロック機構540は、代替の形態をとることができ、機構40、140、240、340、及び440の一方を含むことができることを理解されたい。
【0030】
動作時には、ツール装置30及びワークピース保持具34の一方がアクチュエータ部材20によってツール装置30及びワークピース保持具32の他方に向かって動かされる際に、アクチュエータ部材20に対するツール装置30又はワークピース保持具の相対移動を防止又は阻害するために、ワークピース34がワークピース保持具32上に配置され、ロック機構40、140、240、340、440、540が係合される。したがって、ツール装置30又はワークピース保持具32が、ツール装置30又はワークピース保持具32の他方に向かって動かされる際に、ロック機構40、140、240、340、440、540は、ツール装置30又はワークピース保持具32の高調波移動を防止する。したがって、ツール装置30又はワークピース保持具32は、より高速で移動されることができるか、及び/又はより重いツール装置は、その移動の制御を維持しながら使用されることができる。次いで、ロック機構40、140、240、340、440、540は係合解除されることができ、その後、ツール装置30はコントローラ22によって作動されて、ワークピース34に所望の加工が実行することができる。ばね16は、より低い力プロファイル及びより反復可能な力プロファイルを可能にするコンプライアンスを提供する。
【0031】
例示的な実施形態は、本開示が徹底的であり、当業者にその範囲を充分に伝えるように提供される。本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、特定の構成要素、装置、及び方法の例などの、多数の特定の詳細が記載されている。特定の詳細を採用する必要がないこと、例示的な実施形態が多くの異なる形態で具体化され得ること、及びいずれも本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことは、当業者には明らかであろう。いくつかの例示的な実施形態では、周知のプロセス、周知の装置構造、及び周知の技術は、詳細には説明されない。
【0032】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施形態のみを説明することを目的とし、限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」とは、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことが意図され得る。用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含んでいる(including)」、及び「有している(having)」とは、包括的であり、したがって、記載された特徴、整数、工程、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。本明細書に記載された方法工程、プロセス、及び動作は、実行の順序として具体的に特定されない限り、必ずしも説明又は図示された特定の順序でそれらの実行を必要とするものと解釈されるべきではない。また、追加の工程又は代替的な工程が採用されてもよいことも理解されたい。
【0033】
ある要素又は層が、別の要素又は層「の上にある(on)」、「に係合される(engaged to)」、「に接続される(connected to)」、又は「結合される(connected to)」ものとして言及される場合、これは、他の要素若しくは層の上に直接あってもよく、他の要素若しくは層に直接係合されてもよく、他の要素若しくは層に直接接続されてもよく、若しくは他の要素若しくは層に直接結合されてもよく、又は介在する要素若しくは層が存在してもよい。対照的に、ある要素が、別の要素又は層「の上に直接ある(directly on)」、「に直接係合される(directly engaged to)」「に直接接続される(directly connected to)」、又は「直接結合される(directly coupled to)」ものとして言及される場合、介在する要素又は層は存在しなくてもよい。要素間の関係を説明するために使用される他の単語は同様に解釈されるべきである(例えば、「間に(between)」対「直接間に(directly between)」、「隣接する(adjacent)」対「直接隣接する(directly adjacent)」など)。本明細書で使用される場合、用語「及び/又は」とは、関連する列挙された項目のうち1つ以上のありとあらゆる組合せを含む。
【0034】
第1、第2、第3などの用語は、様々な要素、構成要素、領域、層、及び/又はセクションを説明するために本明細書で使用されることができるが、これらの要素、構成要素、領域、層、及び/又はセクションは、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層、又はセクションを、別の領域、層、又はセクションと区別するためにのみ使用されることができる。「第1」、「第2」などの用語、及び他の数値用語は、本明細書で使用される場合、文脈によって明確に示されない限り、配列又は順序を意味しない。したがって、以下で説明する第1の要素、構成要素、領域、層、又はセクションは、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層、又はセクションと称するができる。
【0035】
「内側」、「外側」、「真下」、「下方」、「下部」、「上方」、「上部」などの空間的に相対的な用語は、本明細書では、図に示すように、1つの要素又は特徴と別の要素又は特徴との関係を説明するための説明を容易にするために使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示されている方向に加えて、使用中又は動作中の装置の異なる方向を包含することが意図され得る。例えば、図中の装置がひっくり返された場合、他の要素又は特徴が「下方」又は「真下」と記載された要素は、他の要素又は特徴を「上部」に配向される。したがって、例示的な用語「以下」とは、上方及び下方の両方の方向を包含し得る。装置は、他の方向へ配向され(90度又は他の方向で回転され)てもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈される。
【0036】
実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的で提供されている。これは、網羅的であること、又は本開示を限定することを意図するものではない。特定の実施形態の個々の要素又は特徴は、一般に、その特定の実施形態に限定されず、適用可能な場合には交換可能であり、かつ具体的に図示又は説明されていなくても、選択された実施形態で使用され得る。これはまた、多くの方法で変更されてもよい。そのような変更は、本開示からの逸脱と見なされるべきではなく、全てのそのような修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】