(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050454
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】医用機器の遠位光学系のポッティング
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240403BHJP
A61M 25/02 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
A61B1/00 732
A61M25/02 500
【審査請求】有
【請求項の数】26
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023148113
(22)【出願日】2023-09-13
(31)【優先権主張番号】17/936,791
(32)【優先日】2022-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596130705
【氏名又は名称】キヤノン ユーエスエイ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CANON U.S.A.,INC
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】ハム マーク アラン
【テーマコード(参考)】
4C161
4C267
【Fターム(参考)】
4C161FF35
4C161FF46
4C161JJ01
4C161JJ06
4C161JJ11
4C267AA01
4C267BB22
4C267BB23
4C267CC01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】光ファイバベースの医用機器の寿命を延ばし、故障を回避する。
【解決手段】医用機器は、近位端と遠位端の間に延在する空洞を有する軟性部材と、空洞を通って延びる光ファイバと、遠位端の損傷を防ぐために光ファイバを遠位端に固定/ポッティングするためのポッティング材とを含む。ポッティング材は、UV硬化性接着剤やデュアルキュア接着剤等の接着剤であり得る。本医用機器は、ストリップ光ファイバ又はバッファ光ファイバであってよく、スペーサを含んでよく、光ファイバをスペーサに融着させ、遠位端においてポッティングすることができる。本医用機器は、ガイドワイヤ上の光ファイバの部分を囲むリバッファ熱収縮チューブを有してよく、少なくともスペーサ、レンズ及び反射器を含む遠位光学系を遠位端に有してよい。本医用機器は、使い捨てカテーテルであってよく、MMOCTカテーテルであってよい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端と遠位端の間に延在する空洞を有する軟性部材と、
前記空洞を通って延びる光ファイバと、
前記遠位端の損傷を防止するために、前記光ファイバ及び遠位光学系を前記遠位端に固定/ポッティングするためのポッティング材と、
を備える医用機器。
【請求項2】
前記ポッティング材は接着剤である、請求項1に記載の医用機器。
【請求項3】
前記接着剤は紫外線(UV)硬化性接着剤である、請求項2に記載の医用機器。
【請求項4】
前記UV硬化性接着剤は、2次熱硬化を介するデュアルキュア接着剤である、
請求項3に記載の医用機器。
【請求項5】
前記光ファイバは、ストリップ光ファイバ又はバッファ光ファイバである、
請求項1に記載の医用機器。
【請求項6】
スペーサを更に備え、
前記光ファイバは、前記スペーサに融着され、前記遠位端においてポッティングされる、
請求項1に記載の医用機器。
【請求項7】
前記光ファイバの前記ストリップ部分を囲むリバッファ熱収縮チューブを更に備え、
前記光ファイバと前記熱収縮チューブの間の間隙にはポッティング材が充填される、
請求項1に記載の医用機器。
【請求項8】
前記ポッティング材は、前記リバッファ熱収縮チューブの内部のみに存在するデュアルキュア接着剤である、
請求項7に記載の医用機器。
【請求項9】
前記リバッファ熱収縮チューブを備えた前記光ファイバは、ガイドワイヤ上にある、
請求項7に記載の医用機器。
【請求項10】
前記遠位光学系は、少なくとも、スペーサ、レンズ及び反射器を有する、
請求項1に記載の医用機器。
【請求項11】
前記医用機器は使い捨てカテーテルである、請求項1に記載の医用機器。
【請求項12】
前記カテーテルは、マルチモーダル光干渉断層撮影カテーテルである、
請求項11に記載の医用機器。
【請求項13】
前記医用機器は、画像、データ又は他の情報を表示するためにディスプレイと機能的に相互作用する、
請求項1に記載の医用機器。
【請求項14】
プロセッサと、
医用機器と、
を備える医用装置であって、
前記医用機器は、
近位端と遠位端の間に延在する空洞を有する軟性部材と、
前記空洞を通って延びる光ファイバと、
前記遠位端の損傷を防止するために、前記光ファイバ及び遠位光学系を前記遠位端に固定/ポッティングするためのポッティング材と、
を有する、医用装置。
【請求項15】
前記ポッティング材は接着剤である、請求項14に記載の医用装置。
【請求項16】
前記接着剤は紫外線(UV)硬化性接着剤である、請求項14に記載の医用装置。
【請求項17】
前記UV硬化性接着剤は、2次熱硬化を介するデュアルキュア接着剤である、
請求項16に記載の医用装置。
【請求項18】
前記光ファイバは、ストリップ光ファイバ又はバッファ光ファイバである、
請求項14に記載の医用装置。
【請求項19】
スペーサを更に備え、
前記光ファイバは、前記スペーサに融着され、前記遠位端においてポッティングされる、
請求項14に記載の医用装置。
【請求項20】
前記光ファイバのストリップ部分を囲むリバッファ熱収縮チューブを更に備え、
前記光ファイバと前記熱収縮チューブの間の間隙にはポッティング材が充填される、
請求項13に記載の医用装置。
【請求項21】
前記ポッティング材は、前記リバッファ熱収縮チューブの内部のみに存在するデュアルキュア接着剤である、
請求項20に記載の医用装置。
【請求項22】
前記リバッファ熱収縮チューブを備えた前記光ファイバは、ガイドワイヤ上にある、
請求項20に記載の医用装置。
【請求項23】
前記遠位光学系は、少なくとも、スペーサ、レンズ及び反射器を有する、
請求項14に記載の医用装置。
【請求項24】
前記医用装置は使い捨てカテーテルである、請求項14に記載の医用装置。
【請求項25】
前記カテーテルは、マルチモーダル光干渉断層撮影カテーテルである、
請求項24に記載の医用装置。
【請求項26】
前記医用機器は、画像、データ又は他の情報を表示するためにディスプレイと機能的に相互作用する、
請求項14に記載の医用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して医用機器に関し、より詳細には、ポッティングを用いた、カテーテルベースの医用機器のコンポーネントの固定/ポッティングに関する。
【0002】
ポッティングには、一般に、部品を支持し、露出から遮断し、機器の部分を強化するために、アセンブリ内の空隙に材料を充填することが含まれる。
【背景技術】
【0003】
カテーテルや内視鏡、気管支鏡、腹腔鏡、アブレーション用機器、その他の機器を含む医用機器は、軟性の医用ツール又は中空チューブを患者の体内に挿入し、そのツールに器具を通して、体内の部位を検査したり治療したりするという医療手技を実行する。
【0004】
MMOCT光ファイバイメージングカテーテルの形態の使い捨て医用機器は、ひとりの患者に対して何回も(例えば6回以上)確実に機能することができる。
【0005】
光ファイバベースのカテーテルは、使用可能な遠位端に遠位光学系を採用することが多く、そこでは、融着や他の接続操作を可能にするために、ファイババッファ層が剥がされることが多い。MMOCTカテーテルは、遠位端近くのストリップ(stripped)ファイバ領域で破損することがあり、その結果、カテーテルの交換が必要となることがある。カテーテルが破損して正常に機能しなくなった場合、医療処置が遅れ、患者のリスクが増大するおそれがある。繊細で損傷を受けやすい動脈に挿入されたカテーテルを交換するプロセスは、患者に重大かつ不当なリスクを与えてしまう。これは、非常に曲がりくねった解剖学的構造では特に問題であり、遠位光学系付近のストリップ領域での光ファイバの曲げ応力が原因であると推定される。
【0006】
機器の寿命を延ばし、このような故障を回避することは有益であろう。
【発明の概要】
【0007】
有利な点として、本開示は、損傷や破損、交換等を防ぎ、医用機器、光ファイバ、カテーテルその他のコンポーネント又はそれらの組合わせの耐用期間及び/又は寿命を助長し延ばす。
【0008】
一部の実施形態によれば、医用機器は、近位端と遠位端の間に延在する空洞を有する軟性部材と、空洞を通って延びる光ファイバと、遠位端の損傷を防ぐために光ファイバ及び遠位光学系を遠位端に固定/ポッティングするためのポッティング材とを含む。ポッティング材は接着剤であってよく、接着剤は、UV硬化性接着剤、デュアルキュア接着剤、又は別の接着剤であってよい。
【0009】
一部の実施形態によれば、本医用機器は、ストリップ光ファイバ又はバッファ(buffered)光ファイバであってよく、スペーサを含んでよく、光ファイバをスペーサに融着させ、遠位端にポッティングすることができる。本医用機器は、光ファイバの一部を囲むリバッファ(rebuffer)熱収縮チューブを有してよく、光ファイバと熱収縮チューブの間の間隙にはポッティング材が充填される。ポッティング材は、リバッファ熱収縮チューブの内部のみに存在するデュアルキュア接着剤であってよい。リバッファ熱収縮チューブを備えた光ファイバは、ガイドワイヤ上にあってよい。本医用機器は、少なくともスペーサ、レンズ及び反射器を含む遠位光学系を遠位端に有してよい。本医用機器は、使い捨てカテーテルであってよく、MMOCTカテーテルであってよい。本医用機器は、画像、データ又は他の情報を表示するためにディスプレイと機能的に相互作用することができる。
【0010】
本開示の更なる特徴は、添付の図面を参照する例示の実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。同様の構造は、同様の参照符号で示される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一部の実施形態に係る、カテーテルのストリップ光ファイバ領域を図示する。
【
図2】
図2は、一部の実施形態に係る、カテーテルのストリップ光ファイバ領域を図示する。
【
図3】
図3は、一部の実施形態に係るカテーテルを図示する。
【
図4】
図4は、一部の実施形態に係る医用構成を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照して、本開示の様々な例示の実施形態、特徴及び態様を説明する。
【0013】
以下の実施形態では、カテーテル、内視鏡、気管支鏡、アブレーション用機器、その他の機器、及びそれらの組合わせを含む医用機器及び装置の構成を説明するが、それらは、異なる性能や動作特性、パラメータ、利点、欠点等を有し得る。本開示は、いかなる特定の構成にも限定されない。
【0014】
一部の実施形態に係る医用機器は、軟性の医用ツール又は中空チューブを患者の体内に挿入し、そのツールに器具を通して、体内の部位を検査したり治療したりするという医療手技を実行する。本医用機器及び手技により、中空の粘性腔又は体腔を低侵襲で調べることができ、また、光干渉断層撮影法(OCT)やマルチモーダル又はマルチモダリティOCT(MMOCT)、生体内(in vivo)イメージング、血管内イメージング、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)、冠動脈造影、血管内超音波検査(IVUS)、放射線学、超音波検査、その他のイメージングモダリティ及びそれらの組合わせによる情報を提供することができる。本医用機器は、機器の他の部分を動かさずに視野を変更するように遠隔制御できる調節可能な先端を有する場合がある。
【0015】
マルチモーダル光学イメージングは、様々な物理的コントラスト機構にわたる異なるイメージングモダリティの強みを兼ね備えており、生体組織の包括的な構造的情報、機能的情報及び分子的情報を提供する。一部の実施形態に係る医用機器は、心臓病学、眼科、冠動脈拡張、尿道挿入、腹腔鏡手術、血管注射、血管形成術、血管造影、アテローム性動脈硬化症、静脈血栓、動脈血栓、血管疾患、血管損傷、その他の医療手技及びそれらの組合わせに使用することができる。
【0016】
本医用機器は、使い捨てであり、コストと環境廃棄物を削減するために単回使用機器とすることができる。また、ある種の機器は、十分に洗浄、消毒、滅菌等を行えば、複数回使用機器、再利用機器、又は再利用可能な機器として安全に再利用することができる。
【0017】
一部の実施形態は、回転駆動アセンブリ又は他のアクチュエータを有する連続体ロボット、ロボット型又はヘビ型カテーテルアセンブリと機能的に相互作用して、医用機器又は器具(光学カテーテル、操縦可能カテーテル、内視鏡、その他の軟性の医用機器又は手術器具を含む)のイメージングコアに回転運動を与える。
【0018】
光ファイバカテーテルは、光学カテーテルの一例であり、軟性シースと、該シース内に収容されたコイル、光学プローブ及び/又はイメージングコアとを含み、また、他のコンポーネントを含む場合もある。カテーテル検査手技では、ガイドワイヤや他のカテーテルベース機器を房室口(冠動脈への開口)へと誘導するのを支援するように機能する‘ガイドカテーテル’が取り入れられる場合がある。駆動アセンブリは、患者インタフェースユニット(PIU)と呼ばれ、カテーテルに着脱可能に接続することができる。離脱力に応じて駆動アセンブリをカテーテルから切り離すように、離脱機構を使用することができる。
【0019】
使い捨てのMMOCT光ファイバイメージングカテーテルは、ひとりの患者に対して何回も(例えば6回以上)確実に機能することができる。
【0020】
カテーテルが破損して正常に機能しなくなった場合、医療処置が遅れ、患者のリスクが増大するおそれがある。繊細で損傷を受けやすい動脈に挿入されたカテーテルを交換するプロセスは、患者に重大なリスクを与えてしまう。
【0021】
一部の実施形態に係る有利な特徴や特性その他の特質は、損傷や破損、交換等を防ぎ、医用機器、光ファイバ、カテーテル、その他のコンポーネント又はそれらの組合わせの耐用期間及び/又は寿命を助長し延ばす。
【0022】
一部の実施形態に係る医用機器は、内腔に血管内配置されるように構成された、近位端と遠位端の間に延在する細長い軟性の管状部材を有するカテーテルの様々な構成を含む。
【0023】
図1及び
図2は、一部の実施形態に係るカテーテル100を示し、カテーテル100は、光ファイバと、光ファイババッファと、デュアルキュア接着剤と、リバッファと、遠位光学系とを遠位端に含む。カテーテル100のストリップ光ファイバ領域が図示されており、バッファ光ファイバ領域110と、ストリップ光ファイバ領域111と、スペーサ112と、接着剤113と、リバッファ熱収縮チューブ114と、駆動ケーブル115とを含み、他のコンポーネントが含まれてもよい。
【0024】
バッファ光ファイバ領域110は、光ファイバのうちバッファ層が剥がされている部分である光ファイバ領域111を保護する。接着剤113は、光ファイバ領域111に対する損傷を防ぐために、ストリップ光ファイバ領域111とスペーサ112を固定/ポッティングすることができる。リバッファ熱収縮チューブ114は、ストリップ光ファイバ領域111を覆う。リバッファ熱収縮チューブ114は、光ファイバ領域111とリバッファ熱収縮チューブ114の間に間隙が生じるような形で光ファイバ領域111のストリップ部分を囲むことができ、また、ポッティング材で満たすことができる。リバッファチューブを、融着後にストリップ領域又はその周辺に使用して、デュアルキュア接着剤をリバッファチューブ内に浸透させてシールを形成し、ストリップ領域のファイバの露出したガラスを取り囲むことができる。好ましくは、タイトなバッファ層を形成又は再形成し、融着又は接着された接合部付近の光ファイバガラスの完全性を保つために、デュアルキュア接着剤はリバッファチューブの内部のみに存在する。
【0025】
駆動ケーブル115は、光ファイバ領域111の周りに巻き付けられており、イメージング手技中にカテーテル100を駆動して光ファイバ111を回転させる。
【0026】
一部の実施形態によれば、部品を支持し、露出から遮断し、医用機器の部分を強化するために、ポッティングを用いて、カテーテルの光ファイバ領域や他の部分の空隙に材料を充填する。
【0027】
光ファイバ領域110を覆って緩衝するためのコーティング材料は、弾性率又はヤング率、屈折率、温度範囲、粘度及び硬化速度、接着性及び耐剥離性、可剥性(stripability)、マイクロベンド性能(microbending performance)、耐摩耗性、他のパラメータ、又はそれらの組合わせを含むパラメータに基づいて選択される。コーティング材料は、一般に、使用中に剥がれることはないが、使用中でないときに短い長さのコーティングを除去できることは、ガラスを溶かしたり融着したりする非常に高い温度が使用されるスプライシングやコネクタの取付け、融着接続部の作成等に有用である。
【0028】
適切なコーティング材料としては、各種ガラス、アクリル、アクリレート、ポリマー、ポリマーコーティング組成物、ポリイミド、カーボン、金属、窒化物、サファイア、シリコーン、染料、蛍光材料、検出用試薬、ナノマテリアル、他の材料、又はそれらの組合わせが挙げられる。コーティング材料は、光ファイバのシリカ製又はガラス製のコアとクラッディングの表面を、ガラス表面のひびの原因となり得る空気や水分、化学汚染物質、傷、衝突、摩耗、きつい曲げ、微小クラック、その他の危険から保護する。
【0029】
紫外線(UV)硬化性アクリルポリマーコーティング材料は、放射線の悪影響から光ファイバを保護するとともに、光ファイバ領域111の外径を増大させる。UV硬化性コーティングは、1次コーティングと2次コーティングを含む2層のコーティングであってよい。1次コーティングは柔らかい内層であってよく、2次コーティングは硬い外層であってよい。それらのコーティングは、異なる光学特性と機械特性を有してよい。
【0030】
光ファイバ領域111は、コア、少なくとも1つのクラッディング層、少なくとも1つのコーティング層、バッファ層、アウタージャケット、他の層、コンポーネント、性能特性属性、それらのハイブリッド又は組合わせを含む複数の層を有してよい。コアは、クオーツ、シリカ、ガラス、プラスチックその他の材料から成る円筒であり、光を誘導する光伝送媒体を提供する。クラッディングは、コアに光を閉じ込めるためにコアを囲んでおり、光ファイバは、クラッディングを囲むバッファ層、コーティング層、アウタージャケット、その他の層、又はそれらの組合わせによって保護される。レーザー光線や光エネルギーは、コアとクラッディングのガラス層間の内部屈折の結果として、近位端と遠位端の間のコアを通って標的まで進む。コアから漏れた光エネルギーは、クラッディング層の低い屈折率により、曲がってコアに戻る。バッファ層は、光ファイバガラスをタイトに囲んでいるポリマー層であってよい。バッファは、光ファイバを強化し、丈夫にする。
【0031】
光ファイバの遠位端からバッファ層が除去され、ストリップ光ファイバ111が形成され、スペーサ112として機能するコアレスファイバに融着される。コアレスファイバにはコアがないので、光ビームは、コアを通って誘導されるのではなく消散する。
【0032】
ストリップ光ファイバ領域111は、光ファイバのうちバッファ層が剥がされている部分である。ストリップ光ファイバ領域111の外径は、バッファ領域110の外径よりも小さく、或いは、バッファ領域110の外径から縮小される。外側のバッファ層を除去すると、曲げや湾曲の際にジャケットによってガラスファイバが支持されるので、ファイバに弱く支持されていない部分が生じ、更に、ガラスファイバが周囲湿度に曝されるので、露出した部分のファイバ外表面に微小クラックが生じるおそれがある。
【0033】
ストリップ光ファイバ領域111は遠位端にあり、スペーサ112を含む場合がある。接着剤113はポッティングとして機能し、ストリップ光ファイバ領域と融着されたスペーサ112とを固定又はポッティングするのに使用される。高い感度が必要でない場合は、接着剤を用いてスペーサ112を光ファイバ111に接着することができるが、この場合、屈折率の不一致に起因して望ましくない後方反射が生じるおそれがある。追加の光学部品としては、レンズと反射器を挙げることができ、これらはカテーテル100内にポッティングすることができる。ポッティングされる全ての部品は、ポッティングしない場合よりも長い疲れ寿命を有する必要がある。光ファイバはコアの引張強度の大部分に寄与するので、ポッティングは、遠位端の損傷を防ぐとともに、最終的な引張強度を高めるように遠位端に対する強力な取付けとしても機能する。
【0034】
一部の実施形態によれば、部品を支持し、露出から遮断し、損傷を防ぎ、医用機器の部分を強化するために、ポッティングを用いて、カテーテルの光ファイバ領域や他の部分の空隙に材料を充填する。
【0035】
光ファイバ領域111のストリップ部分は、光ファイバ領域111がスペーサ112に融着された後にファイバをアニーリングすることによって、強化することができる。光ファイバ領域111とスペーサ112は、互いに融着するために局所的に溶融する必要がある。ファイバのアニーリングにより、低応力領域が強化され、より高い曲げ強さと耐疲労性が得られる。
【0036】
光ファイバ111のアニーリングには、ファイバを融点近くまで熱してからゆっくりと冷却するというプロセスが含まれ、これは、ファイバ融着機によって制御することができる。
【0037】
熱収縮チューブ114は、リバッファであり、ストリップ光ファイバ領域111を覆うように配置される。接着剤113は、熱収縮チューブ114に浸透し、ストリップ光ファイバ部分111の上部と周囲に浸透することができる。リバッファ熱収縮チューブ114は、光ファイバ領域111のストリップ部分を囲んでよく、光ファイバ領域111とリバッファ熱収縮チューブ114の間の間隙にポッティング材が充填される。
【0038】
熱収縮チューブ114は、FEP Teflon(商標)やPETバルーンチュービング、軟性Pebax(登録商標)その他の材料のような適切な材料から形成される。熱収縮チューブは、基板上で加熱されたり収縮したりしないが、該チューブとファイバやスペーサ等との間に接着剤が浸透してガラス部品を囲んで密封するための空間ができるように、膨張したままにされる。接着剤113は、UV接着剤であってよく、完全に硬化すると、光ファイバ領域111を支持する外側バッファ層を効果的に再形成し、それにより、光ファイバのこの部分の曲げ疲労に対する耐性と可使時間を効果的に増大させる。好ましくは、タイトなバッファ層を形成又は再形成し、融着又は接着された接合部付近の光ファイバガラスの完全性を保つために、デュアルキュア接着剤はリバッファチューブの内部のみに存在する。
【0039】
熱収縮チューブ114は、ガラスを溶かすのに必要な高温によって光ファイバ領域111とスペーサ112の融着の前に除去されるバッファ層又はファイババッファコーティングを模倣するリコート材料として使用される。
【0040】
光ファイバ領域111のガラスの微小クラックを防止するには、光ファイバが空気(特に湿った空気)にさらされて弱化するのを避けるために、周囲湿度を低めに維持する必要がある。湿気は、光ファイバの表面の微小クラックの形成に寄与することから、ファイバの寿命に悪影響を与えることが知られている。微小クラックは、曲げが繰り返されることで広がるおそれがあるので、コアと光ファイバが高速で回転するイメージングカテーテルでは特に、早期のファイバ疲労による故障が問題になるおそれがある。カテーテルコアは非常に高速で回転する場合があるので、光ファイバ疲労による故障は、カテーテルが曲げられる曲がりくねった解剖学的構造では特に問題である。光ファイバのストリップ部分が湾曲部にあるときに光ファイバが高速で回転すると、該光ファイバは、各回転中に事実上前後に曲げられる。これにより、すぐにファイバ疲労の問題が生じ、微小クラックが急速に広がり、大きな応力集中クラックが形成され、時期尚早なファイバの故障が発生するおそれがある。
【0041】
カテーテルが故障するとPCI手技が遅れる可能性があるので、疲れ寿命を延ばし、患者に害を及ぼしかねない時期尚早なカテーテルの故障を防止するために、多くのリソースを費やすことは容認される。
【0042】
駆動ケーブル115は、光ファイバ111の周りに巻き付けられるとともに、近位コネクタを介してPIUに接続されており、イメージング手技中にカテーテル100を駆動して光ファイバを回転させる。
【0043】
カテーテル100は、複数の光ファイバ又はファイバ光学系を含んでよい。各光ファイバ111は、シングルモード又はマルチモードの光ファイバであってよく、カテーテル100は、使い捨て又は複数回使用のMMOCT光ファイバイメージングカテーテルであってよい。カテーテル100は、使い捨てカテーテルとして確実に機能することもできるし、複数回使用のカテーテルとして、患者に対して何回も(例えば6回以上)確実に機能することもできる。特定の種類の使い捨て医用機器や複数回使用の医用機器は、Cydex等の化学薬剤組成物を用いて消毒した後、複数回再利用することができる。
【0044】
光ファイバ領域111は、血管と血液の特性を感知する能力をカテーテル100に提供するために光学プローブとして構成され得る。カテーテル100は、周方向走査のために光学プローブを回転させることができ、遠位端には、スペーサや集束用レンズ、反射器等の遠位光学系又は撮像用部品を有する。カテーテル100は、プリズム、ミラー、光源、発光ダイオード(LED)、光学検出器、屈折率勾配(GRIN)レンズ、ガイドワイヤ、ガイドワイヤの入口、他の部品、又はそれらの組合わせを有してもよい。ガイドワイヤは、カテーテル100を通して挿入され、カテーテル100を誘導することができる。集束用レンズをスペーサに取り付けて、光エネルギーをデファクトビームへと集束させることができ、その直径が方位分解能に関係する。
【0045】
レンズは、GRINレンズ、ファイバブラッグレンズ、ボールレンズ、他のタイプのレンズ、又はそれらの組合わせであってよい。シースは光ファイバ111を支え、プリズム又はミラーは光を方向付けることができる。近位端には、近位端を固定したままカテーテル100が回転できるようにする自由空間がある。1つ以上のモータは、カテーテル100を回転させることができ、また、光ファイバ回転継手(FORJ)等の回転接合部として形成される場合がある。カテーテル100の遠位先端その他の部分に、レンズやミラー、その他の光学集束部品や照準部品が設けられる場合がある。
【0046】
カテーテル100、光ファイバコア、クラッディング、バッファ層、コーティング層、アウタージャケット、その他の特徴的な特質は、劣化、デグラデーション、曲げ応力、その他の理由、又はそれらの組合わせが原因で、経時的に損傷を受けたり弱化したりしやすく、結果として、時期尚早な破損や交換等に至るおそれがある。
【0047】
使い捨て又は複数回使用のMMOCT光ファイバイメージングカテーテルでは、例えば、光ファイバが遠位端付近のストリップ領域で折れることがあり、カテーテルの交換を余儀なくされる。カテーテルが破損して正常に機能しなくなった場合、医療処置が遅れ、患者のリスクが増大するおそれがある。繊細で損傷を受けやすい動脈に挿入されたカテーテルを交換するプロセスは、患者に重大かつ不当なリスクを与えてしまう。これは、非常に曲がりくねった解剖学的構造では特に問題であり、おそらく、遠位光学系付近のストリップ領域や光路の接着剤結合部での光ファイバの曲げ応力が原因であると思われる。
【0048】
露出したガラス光ファイバが高めの湿度等の周囲条件にさらされると(例えば融着されるストリップ領域において)、ファイバの表面又はその付近に微小クラックが形成されるおそれがある。使用中、曲がりくねった解剖学的構造によってファイバが曲げられることにより、微小クラックが広がって大きくなり、最終的にファイバの破損につながるおそれがある。カテーテルの寿命にとって、微小クラックの防止は重要である。なぜなら、医用機器の遠位先端は、およそ200Hzの速度又は周波数で回転しながら曲がりくねった解剖学的構造の中で動作するからである。これにより、実質的には、機器(光ファイバを含む)の遠位端は、イメージング中に毎秒200回曲がり、微小クラックの成長速度が加速されるので、時期尚早な光ファイバの破損につながる重大な応力の上昇につながり、機器が動作不能に陥るおそれがある。
【0049】
リバッファチューブを、融着後にストリップ領域又はその周辺に使用して、デュアルキュア接着剤をリバッファチューブ内に浸透させてシールを形成し、ストリップ領域のファイバの露出したガラスを取り囲むことができる。リバッファ熱収縮チューブ114は、光ファイバ領域111のストリップ部分を囲んでよく、光ファイバ領域111とリバッファ熱収縮チューブ114の間の間隙にポッティング材が充填される。好ましくは、タイトなバッファ層を形成又は再形成し、融着又は接着された接合部付近の光ファイバガラスの完全性を保つために、デュアルキュア接着剤はリバッファチューブの内部のみに存在する。
【0050】
これにより、以下のような利点が提供される。(1)ファイバのストリップ領域をポッティングすることにより、露出したファイバガラスが要素にさらされないように保護される。(2)ストリップ領域上にバッファ層を再形成することにより、曲げ時の露出したファイバガラスの支持を助け、より長い範囲にわたって応力を分散させることにより、時期尚早なファイバ疲労による故障の原因になり得る曲げ応力の集中の回避を助ける。(3)接着剤が駆動ケーブルのコイルに接触すること(駆動ケーブルの性能を変化させデグラデーションを生じ得る)を防止する。また、他の利点が含まれる場合もある。
【0051】
製造エリアの周囲条件を効果的に制御して、湿度を低く維持し、ストリップファイバが周囲条件にさらされる経過時間を最小限に抑え、ストリップファイバに対する応力を最小化するストレインリリーフとして機能するリバッファ材としての接着剤113を用いてストリップファイバをリコート又はリバッファすることによって、カテーテル100の疲労強度と破損耐性を向上させることができる。
【0052】
接着剤113のリバッファ材は、UV硬化性接着剤やデュアルキュア接着剤であってよい。アクリル又はポリイミドコーティングの外層をバッファ層と呼ぶので、該材料をリバッファ材と呼ぶ。一部の実施形態によれば、部品を支持し、露出から遮断し、損傷を防ぎ、医用機器の部分を強化するために、ポッティングを用いて、カテーテルの光ファイバ領域や他の部分の空隙に材料を充填する。一部の実施形態によれば、UV硬化光にさらされない部分でも接着剤の全てが確実に完全に硬化するようにするために、デュアルキュアポッティング材の使用が提案される。好ましくは、タイトなバッファ層を形成又は再形成し、融着又は接着された接合部付近の光ファイバガラスの完全性を保つために、デュアルキュア接着剤はリバッファチューブの内部のみに存在する場合がある。
【0053】
UV接着剤又はデュアルキュア接着剤は、塗布後に光源にさらされたときに強固で信頼性の高い結合を形成するように、エポキシ、アクリレート、他の製剤、又はそれらの組合わせから製造される。デュアルキュアUV・2次熱硬化性接着剤は、アクリレート組成物の高速UV硬化性と、熱硬化型エポキシ組成物の高い接着性能を兼ね備えており、UV光や可視光、近赤外光その他のタイプの光を遮断することができる。デュアルキュアUV又は熱接着剤の遮光特性は、時間や熱とともに弱まるものではなく、オンデマンドの硬化と設定によってコンポーネントの精密な組立てを容易にする。デュアルキュア接着剤は、可視光やUV光、その他のタイプの光を透過する材料に使用され、その場合、塗布のタイプに応じて硬化時間を調節することができる。UV接着剤又はデュアルキュア接着剤により、高い強度、優れた安定性、高速の硬化、オンデマンドの硬化、高い粘度、高い透明性、高い精度、UV硬化光が当たらない部分の2次熱硬化、その他の特徴的な特性が提供される。
【0054】
図3は、一部の実施形態に係る、カテーテル100に類似するカテーテル200を示す。カテーテル200は、シース210と、コイル212と、プロテクタ213と、光ファイバ214とを有する。カテーテル200は、カテーテル100のコンポーネントであるバッファ光ファイバ領域、ストリップ光ファイバ領域、スペーサ、接着剤、リバッファ熱収縮チューブ、駆動ケーブルを有し、他のコンポーネントが含まれる場合もある。カテーテル200は、光ファイババッファと、デュアルキュア接着剤と、リバッファと、遠位光学系とを、遠位端に含み得る。光ファイバ214は、血管と血液の特性を感知する能力をカテーテル200に提供するために光学プローブとして構成され得る。カテーテル200は、周方向走査のために回転することができ、遠位端には、スペーサや集束用レンズ、反射器等の遠位光学系を有する場合がある。カテーテル100は、プリズム、ミラー、光源、LED、光学検出器、GRINレンズ、ガイドワイヤ、ガイドワイヤの入口、他の部品、又はそれらの組合わせを有してもよい。ガイドワイヤは、カテーテル100を通して挿入され、カテーテル100を誘導することができる。集束用レンズをスペーサに取り付けて、光エネルギーをデファクトビームへと集束させることができ、その直径が方位分解能に関係する。
【0055】
レンズは、GRINレンズ、ファイバブラッグレンズ、ボールレンズ、他のタイプのレンズ、又はそれらの組合わせであってよい。シースは光ファイバ111を支え、プリズム又はミラーは光を方向付けることができる。近位端には、近位端を固定したままカテーテル100が回転できるようにする自由空間がある。1つ以上のモータは、カテーテル100を回転させることができ、また、FORJ等の回転接合部として形成される場合がある。カテーテル200の遠位先端その他の部分に、レンズやミラー、その他の光学集束部品や照準部品が設けられる場合がある。
【0056】
一部の実施形態に係る有利な特徴や特性その他の特質は、損傷や破損、交換等を防ぎ、光ファイバ、カテーテル、医用機器及び/又は他のコンポーネントの耐用期間及び/又は寿命を助長し延ばす。
【0057】
一部の実施形態によれば、MMOCTカテーテルを含む光ファイバベースの医用機器は、PCI手技等の医療手技を導く重要な情報を得る際に心臓専門医等の医療従事者が頼りにできるような、効果的かつ高精度の測定器具となる。一部の実施形態に係る医用機器は、最終製品がカテーテルごとに精確であり再現可能なままであることを保証する方法で精確に組み立てることができるので、提供される情報は信頼性が高い。更に、各カテーテルは、動作前に、それを動作させるために使用されるシステム上でキャリブレーションすることができる。
【0058】
また、遠位光学系の組立てにより、このような望ましい特質が保証される。2次的な熱への曝露によっても硬化するUV硬化性接着剤を利用することにより、部品を適所に迅速かつ効率的に固定することができ、UV硬化エネルギーにさらされない接着剤部分であっても、十分な熱にさらされれば確実に硬化する。
【0059】
デュアルキュア接着剤と、UV+利用可能な熱ベース硬化スケジュールの利用は、カテーテル100において、UVを介したコンポーネントの最初の望ましいタッキング、アセンブリとしての硬化に続いて熱にさらされたときに硬化した接着剤部分の影になった部分に効果的である。
【0060】
MMOCT遠位光学系付近の光ファイバのストリップ部分は、UV硬化光への曝露から保護されるような部分である。一部の実施形態によれば、高めのデュロメータ又はショア硬さを備える接着剤が適切であろう。デュロメータ又はショアデュロメータとは、材料の硬さを測定するための標準化された方法である。一部の実施形態によれば、ショアD80以上の高いデュロメータを備える高デュロメータ接着剤が適切である。なぜなら、そのような接着剤が実際に完全に硬化するならば、ストリップファイバ領域を覆う未収縮の熱収縮リバッファチューブ内の直径は小さいので、該接着剤により、露出したファイバのポッティング、支持及び強化が提供され得るからである。
【0061】
デュアルキュアUV・2次熱硬化性接着剤は、アクリレート組成物の高速UV硬化性と、熱硬化型エポキシ組成物の高い接着性能を兼ね備えており、UV光や可視光、近赤外光その他のタイプの光を遮断することができる。デュアルキュアUV又は熱接着剤の遮光特性は、時間や熱とともに弱まるものではなく、オンデマンドの硬化と設定によってコンポーネントの精密な組立てを容易にする。デュアルキュア接着剤は、可視光やUV光、その他のタイプの光を透過する材料に使用することができ、その場合、塗布のタイプに応じて硬化時間を調節することができる。UV接着剤又はデュアルキュア接着剤により、高い強度、優れた安定性、高速の硬化、オンデマンドの硬化、高い粘度、高い透明性、高い精度、UV硬化光が当たらない部分の2次熱硬化、その他の特徴的な特性が提供される。
【0062】
一部の実施形態によれば、部品を支持し、露出から遮断し、医用機器の部分を強化するために、ポッティングを用いて、カテーテルの光ファイバ領域や他の部分の空隙に材料を充填する。一部の実施形態によれば、UV硬化光にさらされない部分でも接着剤の全てが確実に完全に硬化するようにするために、ポッティング材としてデュアルキュア接着剤を使用することが提案される。好ましくは、タイトなバッファ層を形成又は再形成し、融着又は接着された接合部付近の光ファイバガラスの完全性を保つために、デュアルキュア接着剤はリバッファチューブの内部のみに存在する。
【0063】
UV接着剤は、アクリル製光ファイバジャケットと、スペーサ(光ファイバのストリップ遠位端のための機能的な‘ストレインリリーフ’を形成するガラス棒)の近位端の両方に、良好に接着する。
【0064】
また、光ファイバは医用機器の主要な引張部材として機能するので、コアの動きに対して過剰な摩擦抵抗があると、ファイバに対する応力が著しく増大する可能性がある。PIUがコアを引き戻すとき、光ファイバを介して、コアの遠位先端まで引張力が伝わる。
【0065】
図4は、一部の実施形態に係る医用機器又はカテーテルの構成と機能的に相互作用できる医用構成300を示す。
【0066】
医用構成300は、イメージングコンソール310と、イメージングカテーテル320と、モータ駆動部330と、イメージングカテーテル330と、ガイドワイヤ340とを有し、また、他のコンポーネントを含んでもよい。イメージングカテーテル330は、モータ駆動部320と相互接続ケーブル及びコネクタ315を介して、イメージングコンソール310に着脱可能に接続される。イメージングカテーテル330は、ガイドワイヤ340上にあり、ガイドワイヤ340とともに血管又は管腔350を通る遠位光学系を有する。ガイドワイヤ340は、カテーテル330を通して挿入され、カテーテル330を誘導する。カテーテル330は、イメージングコンソール310に接続されたモータ駆動部320によって駆動される。イメージングカテーテル330は、プルバック中に撮像面360を中心に回転し、血管350内で撮像面360を前後に伸展しながら、画像又は映像を取得する。
【0067】
イメージングコンソール310は、プロセッサと、コントローラと、制御回路と、メモリと、入出力(I/O)インタフェースと、通信インタフェースとのうちの1つ以上又はそれらの組合わせを含み、また、他の要素やコンポーネントを含む場合があり、また、医用構成300の全体的な制御を行うように構成される。イメージングコンソール310は、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を介したコンソールとのユーザインタラクションを容易にするために、ディスプレイ312とキーボード314を含んでよく、医用器具その他の機器と相互接続されてよく、また、コントローラによって独立して、外部から、又は遠隔で制御されてよい。ディスプレイ312は、画像やデータその他の情報を表示するための表示をユーザに提示することができ、また、液晶ディスプレイ(LCD)やLEDその他のタイプのディスプレイとして構成されてよい。
【0068】
先に述べたように、一部の実施形態に係る有利な特徴や特性その他の特質は、損傷や破損、交換等を防ぎ、医用機器、光ファイバ、カテーテル、その他のコンポーネント又はそれらの組合わせの耐用期間及び/又は寿命を助長し延ばす。
【0069】
一部の実施形態に係る医用機器は、近位端と遠位端の間に延在する空洞を有する軟性部材と、空洞を通って延びる光ファイバと、遠位端に対する損傷を防ぐために光ファイバを遠位端に固定/ポッティングするためのポッティング材とを含む。
【0070】
ポッティング材は、UV硬化性接着剤や、2次熱硬化を介するデュアルキュア接着剤等の接着剤であってよい。
【0071】
本医用機器は、ストリップ光ファイバ又はバッファ光ファイバであってよく、スペーサを含んでよく、光ファイバをスペーサに融着させ、遠位端にポッティングすることができる。本医用機器は、光ファイバの一部を囲むリバッファ熱収縮チューブを有してよく、光ファイバと熱収縮チューブの間の間隙にはポッティング材が充填される。ポッティング材は、リバッファ熱収縮チューブの内部のみに存在するデュアルキュア接着剤であってよい。リバッファ熱収縮チューブを備えた光ファイバは、ガイドワイヤ上にあってよい。本医用機器は、少なくともスペーサ、レンズ及び反射器を含む遠位光学系を遠位端に有してよい。本医用機器は、使い捨てカテーテルであってよく、MMOCTカテーテルであってよい。本医用機器は、画像、データ又は他の情報を表示するためにディスプレイと機能的に相互作用することができる。
【0072】
本開示は、例示の実施形態を参照して説明されたが、当然のことながら、本開示は、開示された例示の実施形態に限定されない。以下の特許請求の範囲は、そのような変更並びに均等の構造及び機能を全て包含するように、最も広い解釈が与えられるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端と遠位端の間に延在する空洞を有する軟性部材と、
前記空洞を通って延びる光ファイバと、
前記遠位端の損傷を防止するために、前記光ファイバ及び遠位光学系を前記遠位端に固定/ポッティングするためのポッティング材と、
を備える医用機器。
【請求項2】
前記ポッティング材は接着剤である、請求項1に記載の医用機器。
【請求項3】
前記接着剤は紫外線(UV)硬化性接着剤である、請求項2に記載の医用機器。
【請求項4】
前記UV硬化性接着剤は、2次熱硬化を介するデュアルキュア接着剤である、
請求項3に記載の医用機器。
【請求項5】
前記光ファイバは、ストリップ光ファイバ又はバッファ光ファイバである、
請求項1に記載の医用機器。
【請求項6】
スペーサを更に備え、
前記光ファイバは、前記スペーサに融着され、前記遠位端においてポッティングされる、
請求項1に記載の医用機器。
【請求項7】
前記光ファイバのストリップ部分を囲むリバッファ熱収縮チューブを更に備え、
前記光ファイバと前記熱収縮チューブの間の間隙にはポッティング材が充填される、
請求項1に記載の医用機器。
【請求項8】
前記ポッティング材は、前記リバッファ熱収縮チューブの内部のみに存在するデュアルキュア接着剤である、
請求項7に記載の医用機器。
【請求項9】
前記リバッファ熱収縮チューブを備えた前記光ファイバは、ガイドワイヤ上にある、
請求項7に記載の医用機器。
【請求項10】
前記遠位光学系は、少なくとも、スペーサ、レンズ及び反射器を有する、
請求項1に記載の医用機器。
【請求項11】
前記医用機器は使い捨てカテーテルである、請求項1に記載の医用機器。
【請求項12】
前記カテーテルは、マルチモーダル光干渉断層撮影カテーテルである、
請求項11に記載の医用機器。
【請求項13】
前記医用機器は、画像、データ又は他の情報を表示するためにディスプレイと機能的に相互作用する、
請求項1に記載の医用機器。
【請求項14】
プロセッサと、
医用機器と、
を備える医用装置であって、
前記医用機器は、
近位端と遠位端の間に延在する空洞を有する軟性部材と、
前記空洞を通って延びる光ファイバと、
前記遠位端の損傷を防止するために、前記光ファイバ及び遠位光学系を前記遠位端に固定/ポッティングするためのポッティング材と、
を有する、医用装置。
【請求項15】
前記ポッティング材は接着剤である、請求項14に記載の医用装置。
【請求項16】
前記接着剤は紫外線(UV)硬化性接着剤である、請求項15に記載の医用装置。
【請求項17】
前記UV硬化性接着剤は、2次熱硬化を介するデュアルキュア接着剤である、
請求項16に記載の医用装置。
【請求項18】
前記光ファイバは、ストリップ光ファイバ又はバッファ光ファイバである、
請求項14に記載の医用装置。
【請求項19】
スペーサを更に備え、
前記光ファイバは、前記スペーサに融着され、前記遠位端においてポッティングされる、
請求項14に記載の医用装置。
【請求項20】
前記光ファイバのストリップ部分を囲むリバッファ熱収縮チューブを更に備え、
前記光ファイバと前記熱収縮チューブの間の間隙にはポッティング材が充填される、
請求項14に記載の医用装置。
【請求項21】
前記ポッティング材は、前記リバッファ熱収縮チューブの内部のみに存在するデュアルキュア接着剤である、
請求項20に記載の医用装置。
【請求項22】
前記リバッファ熱収縮チューブを備えた前記光ファイバは、ガイドワイヤ上にある、
請求項20に記載の医用装置。
【請求項23】
前記遠位光学系は、少なくとも、スペーサ、レンズ及び反射器を有する、
請求項14に記載の医用装置。
【請求項24】
前記医用装置は使い捨てカテーテルである、請求項14に記載の医用装置。
【請求項25】
前記カテーテルは、マルチモーダル光干渉断層撮影カテーテルである、
請求項24に記載の医用装置。
【請求項26】
前記医用機器は、画像、データ又は他の情報を表示するためにディスプレイと機能的に相互作用する、
請求項14に記載の医用装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して医用機器に関し、より詳細には、ポッティングを用いた、カテーテルベースの医用機器のコンポーネントの固定/ポッティングに関する。
【0002】
ポッティングには、一般に、部品を支持し、露出から遮断し、機器の部分を強化するために、アセンブリ内の空隙に材料を充填することが含まれる。
【背景技術】
【0003】
カテーテルや内視鏡、気管支鏡、腹腔鏡、アブレーション用機器、その他の機器を含む医用機器は、軟性の医用ツール又は中空チューブを患者の体内に挿入し、そのツールに器具を通して、体内の部位を検査したり治療したりするという医療手技を実行する。
【0004】
MMOCT光ファイバイメージングカテーテルの形態の使い捨て医用機器は、ひとりの患者に対して何回も(例えば6回以上)確実に機能することができる。
【0005】
光ファイバベースのカテーテルは、使用可能な遠位端に遠位光学系を採用することが多く、そこでは、融着や他の接続操作を可能にするために、ファイババッファ層が剥がされることが多い。MMOCTカテーテルは、遠位端近くのストリップ(stripped)ファイバ領域で破損することがあり、その結果、カテーテルの交換が必要となることがある。カテーテルが破損して正常に機能しなくなった場合、医療処置が遅れ、患者のリスクが増大するおそれがある。繊細で損傷を受けやすい動脈に挿入されたカテーテルを交換するプロセスは、患者に重大かつ不当なリスクを与えてしまう。これは、非常に曲がりくねった解剖学的構造では特に問題であり、遠位光学系付近のストリップ領域での光ファイバの曲げ応力が原因であると推定される。
【0006】
機器の寿命を延ばし、このような故障を回避することは有益であろう。
【発明の概要】
【0007】
有利な点として、本開示は、損傷や破損、交換等を防ぎ、医用機器、光ファイバ、カテーテルその他のコンポーネント又はそれらの組合わせの耐用期間及び/又は寿命を助長し延ばす。
【0008】
一部の実施形態によれば、医用機器は、近位端と遠位端の間に延在する空洞を有する軟性部材と、空洞を通って延びる光ファイバと、遠位端の損傷を防ぐために光ファイバ及び遠位光学系を遠位端に固定/ポッティングするためのポッティング材とを含む。ポッティング材は接着剤であってよく、接着剤は、UV硬化性接着剤、デュアルキュア接着剤、又は別の接着剤であってよい。
【0009】
一部の実施形態によれば、本医用機器は、ストリップ光ファイバ又はバッファ(buffered)光ファイバであってよく、スペーサを含んでよく、光ファイバをスペーサに融着させ、遠位端にポッティングすることができる。本医用機器は、光ファイバの一部を囲むリバッファ(rebuffer)熱収縮チューブを有してよく、光ファイバと熱収縮チューブの間の間隙にはポッティング材が充填される。ポッティング材は、リバッファ熱収縮チューブの内部のみに存在するデュアルキュア接着剤であってよい。リバッファ熱収縮チューブを備えた光ファイバは、ガイドワイヤ上にあってよい。本医用機器は、少なくともスペーサ、レンズ及び反射器を含む遠位光学系を遠位端に有してよい。本医用機器は、使い捨てカテーテルであってよく、MMOCTカテーテルであってよい。本医用機器は、画像、データ又は他の情報を表示するためにディスプレイと機能的に相互作用することができる。
【0010】
本開示の更なる特徴は、添付の図面を参照する例示の実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。同様の構造は、同様の参照符号で示される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一部の実施形態に係る、カテーテルのストリップ光ファイバ領域を図示する。
【
図2】
図2は、一部の実施形態に係る、カテーテルのストリップ光ファイバ領域を図示する。
【
図3】
図3は、一部の実施形態に係るカテーテルを図示する。
【
図4】
図4は、一部の実施形態に係る医用構成を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照して、本開示の様々な例示の実施形態、特徴及び態様を説明する。
【0013】
以下の実施形態では、カテーテル、内視鏡、気管支鏡、アブレーション用機器、その他の機器、及びそれらの組合わせを含む医用機器及び装置の構成を説明するが、それらは、異なる性能や動作特性、パラメータ、利点、欠点等を有し得る。本開示は、いかなる特定の構成にも限定されない。
【0014】
一部の実施形態に係る医用機器は、軟性の医用ツール又は中空チューブを患者の体内に挿入し、そのツールに器具を通して、体内の部位を検査したり治療したりするという医療手技を実行する。本医用機器及び手技により、中空の粘性腔又は体腔を低侵襲で調べることができ、また、光干渉断層撮影法(OCT)やマルチモーダル又はマルチモダリティOCT(MMOCT)、生体内(in vivo)イメージング、血管内イメージング、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)、冠動脈造影、血管内超音波検査(IVUS)、放射線学、超音波検査、その他のイメージングモダリティ及びそれらの組合わせによる情報を提供することができる。本医用機器は、機器の他の部分を動かさずに視野を変更するように遠隔制御できる調節可能な先端を有する場合がある。
【0015】
マルチモーダル光学イメージングは、様々な物理的コントラスト機構にわたる異なるイメージングモダリティの強みを兼ね備えており、生体組織の包括的な構造的情報、機能的情報及び分子的情報を提供する。一部の実施形態に係る医用機器は、心臓病学、眼科、冠動脈拡張、尿道挿入、腹腔鏡手術、血管注射、血管形成術、血管造影、アテローム性動脈硬化症、静脈血栓、動脈血栓、血管疾患、血管損傷、その他の医療手技及びそれらの組合わせに使用することができる。
【0016】
本医用機器は、使い捨てであり、コストと環境廃棄物を削減するために単回使用機器とすることができる。また、ある種の機器は、十分に洗浄、消毒、滅菌等を行えば、複数回使用機器、再利用機器、又は再利用可能な機器として安全に再利用することができる。
【0017】
一部の実施形態は、回転駆動アセンブリ又は他のアクチュエータを有する連続体ロボット、ロボット型又はヘビ型カテーテルアセンブリと機能的に相互作用して、医用機器又は器具(光学カテーテル、操縦可能カテーテル、内視鏡、その他の軟性の医用機器又は手術器具を含む)のイメージングコアに回転運動を与える。
【0018】
光ファイバカテーテルは、光学カテーテルの一例であり、軟性シースと、該シース内に収容されたコイル、光学プローブ及び/又はイメージングコアとを含み、また、他のコンポーネントを含む場合もある。カテーテル検査手技では、ガイドワイヤや他のカテーテルベース機器を房室口(冠動脈への開口)へと誘導するのを支援するように機能する‘ガイドカテーテル’が取り入れられる場合がある。駆動アセンブリは、患者インタフェースユニット(PIU)と呼ばれ、カテーテルに着脱可能に接続することができる。離脱力に応じて駆動アセンブリをカテーテルから切り離すように、離脱機構を使用することができる。
【0019】
使い捨てのMMOCT光ファイバイメージングカテーテルは、ひとりの患者に対して何回も(例えば6回以上)確実に機能することができる。
【0020】
カテーテルが破損して正常に機能しなくなった場合、医療処置が遅れ、患者のリスクが増大するおそれがある。繊細で損傷を受けやすい動脈に挿入されたカテーテルを交換するプロセスは、患者に重大なリスクを与えてしまう。
【0021】
一部の実施形態に係る有利な特徴や特性その他の特質は、損傷や破損、交換等を防ぎ、医用機器、光ファイバ、カテーテル、その他のコンポーネント又はそれらの組合わせの耐用期間及び/又は寿命を助長し延ばす。
【0022】
一部の実施形態に係る医用機器は、内腔に血管内配置されるように構成された、近位端と遠位端の間に延在する細長い軟性の管状部材を有するカテーテルの様々な構成を含む。
【0023】
図1及び
図2は、一部の実施形態に係るカテーテル100を示し、カテーテル100は、光ファイバと、光ファイババッファと、デュアルキュア接着剤と、リバッファと、遠位光学系とを遠位端に含む。カテーテル100のストリップ光ファイバ領域
111が図示されており、
カテーテル100は、バッファ光ファイバ領域110と、ストリップ光ファイバ領域111と、スペーサ112と、接着剤113と、リバッファ熱収縮チューブ114と、駆動ケーブル115とを含み、他のコンポーネントが含まれてもよい。
【0024】
バッファ光ファイバ領域110は、光ファイバのうちバッファ層が剥がされている部分であるストリップ光ファイバ領域111を保護する。接着剤113は、ストリップ光ファイバ領域111に対する損傷を防ぐために、ストリップ光ファイバ領域111とスペーサ112を固定/ポッティングすることができる。リバッファ熱収縮チューブ114は、ストリップ光ファイバ領域111を覆う。リバッファ熱収縮チューブ114は、ストリップ光ファイバ領域111とリバッファ熱収縮チューブ114の間に間隙が生じるような形でストリップ光ファイバ領域111のストリップ部分を囲むことができ、また、ポッティング材で間隙を満たすことができる。リバッファチューブを、融着後にストリップ領域又はその周辺に使用して、デュアルキュア接着剤をリバッファチューブ内に浸透させてシールを形成し、ストリップ領域のファイバの露出したガラスを取り囲むことができる。好ましくは、タイトなバッファ層を形成又は再形成し、融着又は接着された接合部付近の光ファイバガラスの完全性を保つために、デュアルキュア接着剤はリバッファチューブの内部のみに存在する。
【0025】
駆動ケーブル115は、ストリップ光ファイバ領域111の周りに巻き付けられており、イメージング手技中にカテーテル100を駆動して光ファイバを回転させる。
【0026】
一部の実施形態によれば、部品を支持し、露出から遮断し、医用機器の部分を強化するために、ポッティングを用いて、カテーテルの光ファイバ領域や他の部分の空隙に材料を充填する。
【0027】
光ファイバ領域110を覆って緩衝するためのコーティング材料は、弾性率又はヤング率、屈折率、温度範囲、粘度及び硬化速度、接着性及び耐剥離性、可剥性(stripability)、マイクロベンド性能(microbending performance)、耐摩耗性、他のパラメータ、又はそれらの組合わせを含むパラメータに基づいて選択される。コーティング材料は、一般に、使用中に剥がれることはないが、使用中でないときに短い長さのコーティングを除去できることは、ガラスを溶かしたり融着したりする非常に高い温度が使用されるスプライシングやコネクタの取付け、融着接続部の作成等に有用である。
【0028】
適切なコーティング材料としては、各種ガラス、アクリル、アクリレート、ポリマー、ポリマーコーティング組成物、ポリイミド、カーボン、金属、窒化物、サファイア、シリコーン、染料、蛍光材料、検出用試薬、ナノマテリアル、他の材料、又はそれらの組合わせが挙げられる。コーティング材料は、光ファイバのシリカ製又はガラス製のコアとクラッディングの表面を、ガラス表面のひびの原因となり得る空気や水分、化学汚染物質、傷、衝突、摩耗、きつい曲げ、微小クラック、その他の危険から保護する。
【0029】
紫外線(UV)硬化性アクリルポリマーコーティング材料は、放射線の悪影響から光ファイバを保護するとともに、ストリップ光ファイバ領域111の外径を増大させる。UV硬化性コーティングは、1次コーティングと2次コーティングを含む2層のコーティングであってよい。1次コーティングは柔らかい内層であってよく、2次コーティングは硬い外層であってよい。それらのコーティングは、異なる光学特性と機械特性を有してよい。
【0030】
ストリップ光ファイバ領域111は、コア、少なくとも1つのクラッディング層、少なくとも1つのコーティング層、バッファ層、アウタージャケット、他の層、コンポーネント、性能特性属性、それらのハイブリッド又は組合わせを含む複数の層を有してよい。コアは、クオーツ、シリカ、ガラス、プラスチックその他の材料から成る円筒であり、光を誘導する光伝送媒体を提供する。クラッディングは、コアに光を閉じ込めるためにコアを囲んでおり、光ファイバは、クラッディングを囲むバッファ層、コーティング層、アウタージャケット、その他の層、又はそれらの組合わせによって保護される。レーザー光線や光エネルギーは、コアとクラッディングのガラス層間の内部屈折の結果として、近位端と遠位端の間のコアを通って標的まで進む。コアから漏れた光エネルギーは、クラッディング層の低い屈折率により、曲がってコアに戻る。バッファ層は、光ファイバガラスをタイトに囲んでいるポリマー層であってよい。バッファは、光ファイバを強化し、丈夫にする。
【0031】
光ファイバの遠位端からバッファ層が除去され、ストリップ光ファイバ111が形成され、スペーサ112として機能するコアレスファイバに融着される。コアレスファイバにはコアがないので、光ビームは、コアを通って誘導されるのではなく消散する。
【0032】
ストリップ光ファイバ領域111は、光ファイバのうちバッファ層が剥がされている部分である。ストリップ光ファイバ領域111の外径は、バッファ領域110の外径よりも小さく、或いは、バッファ領域110の外径から縮小される。外側のバッファ層を除去すると、曲げや湾曲の際にジャケットによってガラスファイバが支持されるので、ファイバに弱く支持されていない部分が生じ、更に、ガラスファイバが周囲湿度に曝されるので、露出した部分のファイバ外表面に微小クラックが生じるおそれがある。
【0033】
ストリップ光ファイバ領域111は遠位端にあり、スペーサ112を含む場合がある。接着剤113はポッティングとして機能し、ストリップ光ファイバ領域と融着されたスペーサ112とを固定又はポッティングするのに使用される。高い感度が必要でない場合は、接着剤を用いてスペーサ112をストリップ光ファイバ領域111に接着することができるが、この場合、屈折率の不一致に起因して望ましくない後方反射が生じるおそれがある。追加の光学部品としては、レンズと反射器を挙げることができ、これらはカテーテル100内にポッティングすることができる。ポッティングされる全ての部品は、ポッティングしない場合よりも長い疲れ寿命を有する必要がある。光ファイバはコアの引張強度の大部分に寄与するので、ポッティングは、遠位端の損傷を防ぐとともに、最終的な引張強度を高めるように遠位端に対する強力な取付けとしても機能する。
【0034】
一部の実施形態によれば、部品を支持し、露出から遮断し、損傷を防ぎ、医用機器の部分を強化するために、ポッティングを用いて、カテーテルの光ファイバ領域や他の部分の空隙に材料を充填する。
【0035】
ストリップ光ファイバ領域111のストリップ部分は、ストリップ光ファイバ領域111がスペーサ112に融着された後にファイバをアニーリングすることによって、強化することができる。ストリップ光ファイバ領域111とスペーサ112は、互いに融着するために局所的に溶融する必要がある。ファイバのアニーリングにより、低応力領域が強化され、より高い曲げ強さと耐疲労性が得られる。
【0036】
ストリップ光ファイバ領域111のアニーリングには、ファイバを融点近くまで熱してからゆっくりと冷却するというプロセスが含まれ、これは、ファイバ融着機によって制御することができる。
【0037】
熱収縮チューブ114は、リバッファであり、ストリップ光ファイバ領域111を覆うように配置される。接着剤113は、熱収縮チューブ114に浸透し、ストリップ光ファイバ部分111の上部と周囲に浸透することができる。リバッファ熱収縮チューブ114は、ストリップ光ファイバ領域111のストリップ部分を囲んでよく、ストリップ光ファイバ領域111とリバッファ熱収縮チューブ114の間の間隙にポッティング材が充填される。
【0038】
熱収縮チューブ114は、FEP Teflon(商標)やPETバルーンチュービング、軟性Pebax(登録商標)その他の材料のような適切な材料から形成される。熱収縮チューブは、基板上で加熱されたり収縮したりしないが、該チューブとファイバやスペーサ等との間に接着剤が浸透してガラス部品を囲んで密封するための空間ができるように、膨張したままにされる。接着剤113は、UV接着剤であってよく、完全に硬化すると、ストリップ光ファイバ領域111を支持する外側バッファ層を効果的に再形成し、それにより、光ファイバのこの部分の曲げ疲労に対する耐性と可使時間を効果的に増大させる。好ましくは、タイトなバッファ層を形成又は再形成し、融着又は接着された接合部付近の光ファイバガラスの完全性を保つために、デュアルキュア接着剤はリバッファチューブの内部のみに存在する。
【0039】
熱収縮チューブ114は、ガラスを溶かすのに必要な高温によってストリップ光ファイバ領域111とスペーサ112の融着の前に除去されるバッファ層又はファイババッファコーティングを模倣するリコート材料として使用される。
【0040】
ストリップ光ファイバ領域111のガラスの微小クラックを防止するには、光ファイバが空気(特に湿った空気)にさらされて弱化するのを避けるために、周囲湿度を低めに維持する必要がある。湿気は、光ファイバの表面の微小クラックの形成に寄与することから、ファイバの寿命に悪影響を与えることが知られている。微小クラックは、曲げが繰り返されることで広がるおそれがあるので、コアと光ファイバが高速で回転するイメージングカテーテルでは特に、早期のファイバ疲労による故障が問題になるおそれがある。カテーテルコアは非常に高速で回転する場合があるので、光ファイバ疲労による故障は、カテーテルが曲げられる曲がりくねった解剖学的構造では特に問題である。光ファイバのストリップ部分が湾曲部にあるときに光ファイバが高速で回転すると、該光ファイバは、各回転中に事実上前後に曲げられる。これにより、すぐにファイバ疲労の問題が生じ、微小クラックが急速に広がり、大きな応力集中クラックが形成され、時期尚早なファイバの故障が発生するおそれがある。
【0041】
カテーテルが故障するとPCI手技が遅れる可能性があるので、疲れ寿命を延ばし、患者に害を及ぼしかねない時期尚早なカテーテルの故障を防止するために、多くのリソースを費やすことは容認される。
【0042】
駆動ケーブル115は、ストリップ光ファイバ領域111の周りに巻き付けられるとともに、近位コネクタを介してPIUに接続されており、イメージング手技中にカテーテル100を駆動して光ファイバを回転させる。
【0043】
カテーテル100は、複数の光ファイバ又はファイバ光学系を含んでよい。各光ファイバは、シングルモード又はマルチモードの光ファイバであってよく、カテーテル100は、使い捨て又は複数回使用のMMOCT光ファイバイメージングカテーテルであってよい。カテーテル100は、使い捨てカテーテルとして確実に機能することもできるし、複数回使用のカテーテルとして、患者に対して何回も(例えば6回以上)確実に機能することもできる。特定の種類の使い捨て医用機器や複数回使用の医用機器は、Cydex等の化学薬剤組成物を用いて消毒した後、複数回再利用することができる。
【0044】
ストリップ光ファイバ領域111は、血管と血液の特性を感知する能力をカテーテル100に提供するために光学プローブとして構成され得る。カテーテル100は、周方向走査のために光学プローブを回転させることができ、遠位端には、スペーサや集束用レンズ、反射器等の遠位光学系又は撮像用部品を有する。カテーテル100は、プリズム、ミラー、光源、発光ダイオード(LED)、光学検出器、屈折率勾配(GRIN)レンズ、ガイドワイヤ、ガイドワイヤの入口、他の部品、又はそれらの組合わせを有してもよい。ガイドワイヤは、カテーテル100を通して挿入され、カテーテル100を誘導することができる。集束用レンズをスペーサに取り付けて、光エネルギーをデファクトビームへと集束させることができ、その直径が方位分解能に関係する。
【0045】
レンズは、GRINレンズ、ファイバブラッグレンズ、ボールレンズ、他のタイプのレンズ、又はそれらの組合わせであってよい。シースはストリップ光ファイバ領域111を支え、プリズム又はミラーは光を方向付けることができる。近位端には、近位端を固定したままカテーテル100が回転できるようにする自由空間がある。1つ以上のモータは、カテーテル100を回転させることができ、また、光ファイバ回転継手(FORJ)等の回転接合部として形成される場合がある。カテーテル100の遠位先端その他の部分に、レンズやミラー、その他の光学集束部品や照準部品が設けられる場合がある。
【0046】
カテーテル100、光ファイバコア、クラッディング、バッファ層、コーティング層、アウタージャケット、その他の特徴的な特質は、劣化、デグラデーション、曲げ応力、その他の理由、又はそれらの組合わせが原因で、経時的に損傷を受けたり弱化したりしやすく、結果として、時期尚早な破損や交換等に至るおそれがある。
【0047】
使い捨て又は複数回使用のMMOCT光ファイバイメージングカテーテルでは、例えば、光ファイバが遠位端付近のストリップ領域で折れることがあり、カテーテルの交換を余儀なくされる。カテーテルが破損して正常に機能しなくなった場合、医療処置が遅れ、患者のリスクが増大するおそれがある。繊細で損傷を受けやすい動脈に挿入されたカテーテルを交換するプロセスは、患者に重大かつ不当なリスクを与えてしまう。これは、非常に曲がりくねった解剖学的構造では特に問題であり、おそらく、遠位光学系付近のストリップ領域や光路の接着剤結合部での光ファイバの曲げ応力が原因であると思われる。
【0048】
露出したガラス光ファイバが高めの湿度等の周囲条件にさらされると(例えば融着されるストリップ領域において)、ファイバの表面又はその付近に微小クラックが形成されるおそれがある。使用中、曲がりくねった解剖学的構造によってファイバが曲げられることにより、微小クラックが広がって大きくなり、最終的にファイバの破損につながるおそれがある。カテーテルの寿命にとって、微小クラックの防止は重要である。なぜなら、医用機器の遠位先端は、およそ200Hzの速度又は周波数で回転しながら曲がりくねった解剖学的構造の中で動作するからである。これにより、実質的には、機器(光ファイバを含む)の遠位端は、イメージング中に毎秒200回曲がり、微小クラックの成長速度が加速されるので、時期尚早な光ファイバの破損につながる重大な応力の上昇につながり、機器が動作不能に陥るおそれがある。
【0049】
リバッファチューブを、融着後にストリップ領域又はその周辺に使用して、デュアルキュア接着剤をリバッファチューブ内に浸透させてシールを形成し、ストリップ領域のファイバの露出したガラスを取り囲むことができる。リバッファ熱収縮チューブ114は、ストリップ光ファイバ領域111のストリップ部分を囲んでよく、ストリップ光ファイバ領域111とリバッファ熱収縮チューブ114の間の間隙にポッティング材が充填される。好ましくは、タイトなバッファ層を形成又は再形成し、融着又は接着された接合部付近の光ファイバガラスの完全性を保つために、デュアルキュア接着剤はリバッファチューブの内部のみに存在する。
【0050】
これにより、以下のような利点が提供される。(1)ファイバのストリップ領域をポッティングすることにより、露出したファイバガラスが要素にさらされないように保護される。(2)ストリップ領域上にバッファ層を再形成することにより、曲げ時の露出したファイバガラスの支持を助け、より長い範囲にわたって応力を分散させることにより、時期尚早なファイバ疲労による故障の原因になり得る曲げ応力の集中の回避を助ける。(3)接着剤が駆動ケーブルのコイルに接触すること(駆動ケーブルの性能を変化させデグラデーションを生じ得る)を防止する。また、他の利点が含まれる場合もある。
【0051】
製造エリアの周囲条件を効果的に制御して、湿度を低く維持し、ストリップファイバが周囲条件にさらされる経過時間を最小限に抑え、ストリップファイバに対する応力を最小化するストレインリリーフとして機能するリバッファ材としての接着剤113を用いてストリップファイバをリコート又はリバッファすることによって、カテーテル100の疲労強度と破損耐性を向上させることができる。
【0052】
接着剤113のリバッファ材は、UV硬化性接着剤やデュアルキュア接着剤であってよい。アクリル又はポリイミドコーティングの外層をバッファ層と呼ぶので、該材料をリバッファ材と呼ぶ。一部の実施形態によれば、部品を支持し、露出から遮断し、損傷を防ぎ、医用機器の部分を強化するために、ポッティングを用いて、カテーテルの光ファイバ領域や他の部分の空隙に材料を充填する。一部の実施形態によれば、UV硬化光にさらされない部分でも接着剤の全てが確実に完全に硬化するようにするために、デュアルキュアポッティング材の使用が提案される。好ましくは、タイトなバッファ層を形成又は再形成し、融着又は接着された接合部付近の光ファイバガラスの完全性を保つために、デュアルキュア接着剤はリバッファチューブの内部のみに存在する場合がある。
【0053】
UV接着剤又はデュアルキュア接着剤は、塗布後に光源にさらされたときに強固で信頼性の高い結合を形成するように、エポキシ、アクリレート、他の製剤、又はそれらの組合わせから製造される。デュアルキュアUV・2次熱硬化性接着剤は、アクリレート組成物の高速UV硬化性と、熱硬化型エポキシ組成物の高い接着性能を兼ね備えており、UV光や可視光、近赤外光その他のタイプの光を遮断することができる。デュアルキュアUV又は熱接着剤の遮光特性は、時間や熱とともに弱まるものではなく、オンデマンドの硬化と設定によってコンポーネントの精密な組立てを容易にする。デュアルキュア接着剤は、可視光やUV光、その他のタイプの光を透過する材料に使用され、その場合、塗布のタイプに応じて硬化時間を調節することができる。UV接着剤又はデュアルキュア接着剤により、高い強度、優れた安定性、高速の硬化、オンデマンドの硬化、高い粘度、高い透明性、高い精度、UV硬化光が当たらない部分の2次熱硬化、その他の特徴的な特性が提供される。
【0054】
図3は、一部の実施形態に係る、カテーテル100に類似するカテーテル200を示す。カテーテル200は、シース210と、コイル212と、プロテクタ213と、光ファイバ214とを有する。カテーテル200は、カテーテル100のコンポーネントであるバッファ光ファイバ領域、ストリップ光ファイバ領域、スペーサ、接着剤、リバッファ熱収縮チューブ、駆動ケーブルを有し、他のコンポーネントが含まれる場合もある。カテーテル200は、光ファイババッファと、デュアルキュア接着剤と、リバッファと、遠位光学系とを、遠位端に含み得る。光ファイバ214は、血管と血液の特性を感知する能力をカテーテル200に提供するために光学プローブとして構成され得る。カテーテル200は、周方向走査のために回転することができ、遠位端には、スペーサや集束用レンズ、反射器等の遠位光学系を有する場合がある。カテーテル100は、プリズム、ミラー、光源、LED、光学検出器、GRINレンズ、ガイドワイヤ、ガイドワイヤの入口、他の部品、又はそれらの組合わせを有してもよい。ガイドワイヤは、カテーテル100を通して挿入され、カテーテル100を誘導することができる。集束用レンズをスペーサに取り付けて、光エネルギーをデファクトビームへと集束させることができ、その直径が方位分解能に関係する。
【0055】
レンズは、GRINレンズ、ファイバブラッグレンズ、ボールレンズ、他のタイプのレンズ、又はそれらの組合わせであってよい。シースはストリップ光ファイバ領域111を支え、プリズム又はミラーは光を方向付けることができる。近位端には、近位端を固定したままカテーテル100が回転できるようにする自由空間がある。1つ以上のモータは、カテーテル100を回転させることができ、また、FORJ等の回転接合部として形成される場合がある。カテーテル200の遠位先端その他の部分に、レンズやミラー、その他の光学集束部品や照準部品が設けられる場合がある。
【0056】
一部の実施形態に係る有利な特徴や特性その他の特質は、損傷や破損、交換等を防ぎ、光ファイバ、カテーテル、医用機器及び/又は他のコンポーネントの耐用期間及び/又は寿命を助長し延ばす。
【0057】
一部の実施形態によれば、MMOCTカテーテルを含む光ファイバベースの医用機器は、PCI手技等の医療手技を導く重要な情報を得る際に心臓専門医等の医療従事者が頼りにできるような、効果的かつ高精度の測定器具となる。一部の実施形態に係る医用機器は、最終製品がカテーテルごとに精確であり再現可能なままであることを保証する方法で精確に組み立てることができるので、提供される情報は信頼性が高い。更に、各カテーテルは、動作前に、それを動作させるために使用されるシステム上でキャリブレーションすることができる。
【0058】
また、遠位光学系の組立てにより、このような望ましい特質が保証される。2次的な熱への曝露によっても硬化するUV硬化性接着剤を利用することにより、部品を適所に迅速かつ効率的に固定することができ、UV硬化エネルギーにさらされない接着剤部分であっても、十分な熱にさらされれば確実に硬化する。
【0059】
デュアルキュア接着剤と、UV+利用可能な熱ベース硬化スケジュールの利用は、カテーテル100において、UVを介したコンポーネントの最初の望ましいタッキング、アセンブリとしての硬化に続いて熱にさらされたときに硬化した接着剤部分の影になった部分に効果的である。
【0060】
MMOCT遠位光学系付近の光ファイバのストリップ部分は、UV硬化光への曝露から保護されるような部分である。一部の実施形態によれば、高めのデュロメータ又はショア硬さを備える接着剤が適切であろう。デュロメータ又はショアデュロメータとは、材料の硬さを測定するための標準化された方法である。一部の実施形態によれば、ショアD80以上の高いデュロメータを備える高デュロメータ接着剤が適切である。なぜなら、そのような接着剤が実際に完全に硬化するならば、ストリップファイバ領域を覆う未収縮の熱収縮リバッファチューブ内の直径は小さいので、該接着剤により、露出したファイバのポッティング、支持及び強化が提供され得るからである。
【0061】
デュアルキュアUV・2次熱硬化性接着剤は、アクリレート組成物の高速UV硬化性と、熱硬化型エポキシ組成物の高い接着性能を兼ね備えており、UV光や可視光、近赤外光その他のタイプの光を遮断することができる。デュアルキュアUV又は熱接着剤の遮光特性は、時間や熱とともに弱まるものではなく、オンデマンドの硬化と設定によってコンポーネントの精密な組立てを容易にする。デュアルキュア接着剤は、可視光やUV光、その他のタイプの光を透過する材料に使用することができ、その場合、塗布のタイプに応じて硬化時間を調節することができる。UV接着剤又はデュアルキュア接着剤により、高い強度、優れた安定性、高速の硬化、オンデマンドの硬化、高い粘度、高い透明性、高い精度、UV硬化光が当たらない部分の2次熱硬化、その他の特徴的な特性が提供される。
【0062】
一部の実施形態によれば、部品を支持し、露出から遮断し、医用機器の部分を強化するために、ポッティングを用いて、カテーテルの光ファイバ領域や他の部分の空隙に材料を充填する。一部の実施形態によれば、UV硬化光にさらされない部分でも接着剤の全てが確実に完全に硬化するようにするために、ポッティング材としてデュアルキュア接着剤を使用することが提案される。好ましくは、タイトなバッファ層を形成又は再形成し、融着又は接着された接合部付近の光ファイバガラスの完全性を保つために、デュアルキュア接着剤はリバッファチューブの内部のみに存在する。
【0063】
UV接着剤は、アクリル製光ファイバジャケットと、スペーサ(光ファイバのストリップ遠位端のための機能的な‘ストレインリリーフ’を形成するガラス棒)の近位端の両方に、良好に接着する。
【0064】
また、光ファイバは医用機器の主要な引張部材として機能するので、コアの動きに対して過剰な摩擦抵抗があると、ファイバに対する応力が著しく増大する可能性がある。PIUがコアを引き戻すとき、光ファイバを介して、コアの遠位先端まで引張力が伝わる。
【0065】
図4は、一部の実施形態に係る医用機器又はカテーテルの構成と機能的に相互作用できる医用構成300を示す。
【0066】
医用構成300は、イメージングコンソール310と、イメージングカテーテル320と、モータ駆動部330と、ガイドワイヤ340とを有し、また、他のコンポーネントを含んでもよい。イメージングカテーテル320は、モータ駆動部330と相互接続ケーブル及びコネクタ315を介して、イメージングコンソール310に着脱可能に接続される。イメージングカテーテル320は、ガイドワイヤ340上にあり、ガイドワイヤ340とともに血管又は管腔350を通る遠位光学系を有する。ガイドワイヤ340は、イメージングカテーテル320を通して挿入され、イメージングカテーテル320を誘導する。イメージングカテーテル320は、イメージングコンソール310に接続されたモータ駆動部330によって駆動される。イメージングカテーテル320は、プルバック中に撮像面360を中心に回転し、血管350内で撮像面360を前後に伸展しながら、画像又は映像を取得する。
【0067】
イメージングコンソール310は、プロセッサと、コントローラと、制御回路と、メモリと、入出力(I/O)インタフェースと、通信インタフェースとのうちの1つ以上又はそれらの組合わせを含み、また、他の要素やコンポーネントを含む場合があり、また、医用構成300の全体的な制御を行うように構成される。イメージングコンソール310は、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を介したコンソールとのユーザインタラクションを容易にするために、ディスプレイ312とキーボード314を含んでよく、医用器具その他の機器と相互接続されてよく、また、コントローラによって独立して、外部から、又は遠隔で制御されてよい。ディスプレイ312は、画像やデータその他の情報を表示するための表示をユーザに提示することができ、また、液晶ディスプレイ(LCD)やLEDその他のタイプのディスプレイとして構成されてよい。
【0068】
先に述べたように、一部の実施形態に係る有利な特徴や特性その他の特質は、損傷や破損、交換等を防ぎ、医用機器、光ファイバ、カテーテル、その他のコンポーネント又はそれらの組合わせの耐用期間及び/又は寿命を助長し延ばす。
【0069】
一部の実施形態に係る医用機器は、近位端と遠位端の間に延在する空洞を有する軟性部材と、空洞を通って延びる光ファイバと、遠位端に対する損傷を防ぐために光ファイバを遠位端に固定/ポッティングするためのポッティング材とを含む。
【0070】
ポッティング材は、UV硬化性接着剤や、2次熱硬化を介するデュアルキュア接着剤等の接着剤であってよい。
【0071】
本医用機器は、ストリップ光ファイバ又はバッファ光ファイバであってよく、スペーサを含んでよく、光ファイバをスペーサに融着させ、遠位端にポッティングすることができる。本医用機器は、光ファイバの一部を囲むリバッファ熱収縮チューブを有してよく、光ファイバと熱収縮チューブの間の間隙にはポッティング材が充填される。ポッティング材は、リバッファ熱収縮チューブの内部のみに存在するデュアルキュア接着剤であってよい。リバッファ熱収縮チューブを備えた光ファイバは、ガイドワイヤ上にあってよい。本医用機器は、少なくともスペーサ、レンズ及び反射器を含む遠位光学系を遠位端に有してよい。本医用機器は、使い捨てカテーテルであってよく、MMOCTカテーテルであってよい。本医用機器は、画像、データ又は他の情報を表示するためにディスプレイと機能的に相互作用することができる。
【0072】
本開示は、例示の実施形態を参照して説明されたが、当然のことながら、本開示は、開示された例示の実施形態に限定されない。以下の特許請求の範囲は、そのような変更並びに均等の構造及び機能を全て包含するように、最も広い解釈が与えられるべきである。
【外国語明細書】