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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050456
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ビタミンB1含有経口組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/51 20060101AFI20240403BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20240403BHJP
   A61K 31/66 20060101ALI20240403BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20240403BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20240403BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240403BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
A61K31/51
A61K31/506
A61K31/66
A61P3/02 105
A61K47/46
A61K47/10
A61K47/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023149018
(22)【出願日】2023-09-14
(31)【優先権主張番号】P 2022155942
(32)【優先日】2022-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】儘田 大
(72)【発明者】
【氏名】白水 健太
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076CC24
4C076DD22Z
4C076DD37T
4C076DD43
4C076DD60T
4C076DD67
4C076EE31
4C076EE58T
4C076FF52
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC42
4C086BC83
4C086DA34
4C086GA02
4C086GA07
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA16
4C086MA34
4C086MA52
4C086NA09
4C086ZC25
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ビタミンB1若しくはその誘導体又はそれらの塩を含有した経口組成物において、ビタミンB1類由来の不快臭が軽減された組成物を提供すること。
【解決手段】ビタミンB1類、及びペポカボチャ種子抽出物を含有することを特徴とし、ビタミンB1類の濃度が、次のi)又はii)である経口組成物。
i)経口液体組成物の場合、0.0001w/v%~2.0w/v%
ii)経口固体組成物の場合、0.0001w/w%~2.0w/w%
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビタミンB1類、及びペポカボチャ種子抽出物を含有することを特徴とし、ビタミンB1類の濃度が、次のi)又はii)である経口組成物。
i)経口液体組成物の場合、0.0001w/v%~2.0w/v%
ii)経口固体組成物の場合、0.0001w/w%~2.0w/w%
【請求項2】
ビタミンB1類がチアミン、フルスルチアミン、チアミンジスルフィド、ベンフォチアミン及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の経口組成物。
【請求項3】
ペポカボチャ種子抽出物の濃度が、次のi)又はii)である請求項1又は2に記載の経口組成物。
i)経口液体組成物の場合、0.01w/v%~2.0w/v%
ii)経口固体組成物の場合、0.01w/w%~20.0w/w%
【請求項4】
エンテロジオールの濃度が、次のi)又はii)である請求項1又は2に記載の経口組成物。
i)経口液体組成物の場合、0.0002w/v%~0.08w/v%
ii)経口固体組成物の場合、0.0002w/w%~0.8w/w%
【請求項5】
アデノシンの濃度が、次のi)又はii)である請求項1又は2に記載の経口組成物。
i)経口液体組成物の場合、0.00001w/v%~0.004w/v%
ii)経口固体組成物の場合、0.00001w/w%~0.04w/w%
【請求項6】
経口液体組成物又は経口固体組成物である請求項1又は2に記載の経口組成物。
【請求項7】
pHが2.0~7.0である請求項1又は2に記載の経口液体組成物。
【請求項8】
ビタミンB1類含有経口組成物におけるビタミンB1類の不快臭を、ペポカボチャ種子抽出物を含有させて抑制する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビタミンB1若しくはその誘導体又はそれらの塩を含有する経口組成物に関する。より詳細には、ビタミンB1若しくはその誘導体又はそれらの塩に由来する不快臭が低減された経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ビタミンB1若しくはその誘導体又はそれらの塩(以下、「ビタミンB1類」とも言う)は、身体の機能維持に必要な栄養素として知られ、不足すると脚気の症状や中枢神経障害が生じるため、医薬品、医薬部外品及び食品から摂取する必要がある。ビタミンB1は肉体疲労時等の栄養補給を目的に服用されるビタミン含有保健剤や、1日分の栄養素を補給できるような清涼飲料等、多くの製品に配合されており、一般生活者の栄養補給に寄与している。一方で、ビタミンB1類は、卵が腐敗したような特有の不快臭を発生させることが知られており、風味の観点から服用性に優れた製品の開発が困難であった。
【0003】
このような課題を解決するために、柑橘系の果物によく含まれるリモネンおよびヌートカトンを含有させ、ビタミンB1に特有の不快臭を抑制する方法(特許文献1)が知られている。また、ビタミンB1含有酸性飲用組成物に紅茶抽出物を含有させることでビタミンB1の分解による異臭成分の発生を防止する方法(特許文献2)も知られているが、いずれの場合も、製品の風味が限定されてしまうため汎用性が低く、更なる技術の向上が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5371827号
【特許文献2】特許第4418702号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ビタミンB1若しくはその誘導体又はそれらの塩を含有した経口組成物において、ビタミンB1類由来の不快臭が軽減された組成物を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ビタミンB1類を含有した組成物において、ウリ科カボチャ属の植物であるペポカボチャ(Cucurbita pepo L.var.Steirica)の種子抽出物を配合することでビタミンB1類に由来する不快臭を軽減できることを見出した。
すなわち、本発明は、次のとおりである。
(1)ビタミンB1類、及びペポカボチャ種子抽出物を含有することを特徴とし、ビタミンB1類の濃度が、次のi)又はii)である経口組成物、
i)経口液体組成物の場合、0.0001w/v%~2.0w/v%
ii)経口固体組成物の場合、0.0001w/w%~2.0w/w%
(2)ビタミンB1類がチアミン、フルスルチアミン、チアミンジスルフィド、ベンフォチアミン及びそれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種である(1)に記載の経口組成物、
(3)ペポカボチャ種子抽出物の濃度が、次のi)又はii)である(1)又は(2)に記載の経口組成物、
i)経口液体組成物の場合、0.01w/v%~2.0w/v%
ii)経口固体組成物の場合、0.01w/w%~20.0w/w%
(4)エンテロジオールの濃度が、次のi)又はii)である(1)~(3)のいずれかに記載の経口組成物、
i)経口液体組成物の場合、0.0002w/v%~0.08w/v%
ii)経口固体組成物の場合、0.0002w/w%~0.8w/w%
(5)アデノシンの濃度が、次のi)又はii)である(1)~(4)のいずれかに記載の経口組成物、
i)経口液体組成物の場合、0.00001w/v%~0.004w/v%
ii)経口固体組成物の場合、0.00001w/w%~0.04w/w%
(6)経口液体組成物又は経口固体組成物である(1)~(5)のいずれかに記載の経口組成物、
(7)pHが2.0~7.0である(1)~(6)のいずれかに記載の経口液体組成物、
(8)ビタミンB1類含有経口組成物におけるビタミンB1類の不快臭を、ペポカボチャ種子抽出物を含有させて抑制する方法、
(9)ペポカボチャ種子抽出物を有効成分として含有するビタミンB1類の不快臭抑制剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、ビタミンB1類を含有させた経口組成物においてビタミンB1類由来の不快臭が軽減された経口組成物を提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明において、ビタミンB1類とは、ビタミンB1若しくはその誘導体又はそれら塩であり、通常可食性のものを指し、例えば、チアミン、ジセチアミン、フルスルチアミン、チアミンジスルフィド、ビスベンチアミン、ビスイブチアミン、ベンフォチアミン、シコチアミン、オクトチアミン、プロスルチアミン及びそれら塩を挙げられる。ビタミンB1類のうち、好ましいものとしては、チアミン、ジセチアミン、フルスルチアミン、チアミンジスルフィド、ベンフォチアミンおよびそれらの塩であり、さらに好ましくは、チアミン、フルスルチアミン、ベンフォチアミンである。また、本発明に使用する塩とは硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩などが挙げられ、好ましくは、硝酸塩もしくは塩酸塩である。
【0009】
本発明におけるビタミンB1類の含有量は、本発明の経口液体組成物中、通常、0.0001w/v%~2.0w/v%であり、0.0001w/v%~0.1w/v%が好ましく、0.0005w/v%~0.02w/v%がより好ましく、本発明の経口固体組成物中、通常、0.0001w/w%~2.0w/w%であり、0.01w/w%~1.5w/w%が好ましく、0.01w/w%~1.0w/w%がより好ましい。
【0010】
本発明におけるペポカボチャ種子抽出物は、ウリ科カボチャ属の植物であるペポカボチャ(Cucurbita pepo L.var.Steirica)の種子をそのまま、あるいは必要に応じて、乾燥、破砕、粉砕処理等を行った後に抽出することにより得られる。
【0011】
抽出処理方法は、特に限定されず、例えば、エタノール等の有機溶媒や水またはそれらの混合物を用いた撹拌・振盪・浸漬抽出法や、減圧水蒸気蒸留抽出法等公知の抽出方法にて行えばよく、必要に応じて遠心処理、酵素処理(麹菌や黒麹菌などを基原とした酵素剤による処理)、カラム又はろ過(ストレーナーメッシュやメンブレンフィルターなどによるろ過)等により不溶物を除去してもよい。本発明におけるペポカボチャ種子抽出物は、抽出溶媒として水及び/又はアルコールが用いられることが好ましく、アルコールとしてはエタノールがより好ましく、水単独で用いられることが特に好ましい。
【0012】
上記のように抽出されて得られた抽出液は、液体の状態で用いても良く、乾燥させて粉末の状態としたものを用いてもよく、粉末の状態で販売されている市販品(アスク薬品株式会社製の西洋カボチャ種子乾燥エキスGMP365等)を用いてもよい。
【0013】
本発明におけるペポカボチャ種子抽出物の含有量は、本発明の経口液体組成物中、0.01w/v%~2.0w/v%が好ましく、0.1w/v%~1.0w/v%がより好ましく、本発明の経口固体組成物中、通常、0.01w/w%~20.0w/w%であり、0.01w/w%~10.0w/w%が好ましく、0.1w/w%~5.0w/w%がより好ましい。
【0014】
ペポカボチャ種子抽出物には、エンテロジオールやアデノシンが含まれており、エンテロジオールやアデノシン量は分光光度計(UV)や高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等を用いた公知の方法によって測定することができる。
【0015】
また、本発明におけるペポカボチャ種子抽出物の含有量は、本発明が経口液体組成物の場合、ビタミンB1類1質量部に対して、好ましくは、2~10000質量部、より好ましくは10~5000質量部であり、本発明が経口固体組成物の場合、ビタミンB1類1質量部に対して、好ましくは、0.5~50質量部、より好ましくは2.5~25質量部である。
【0016】
エンテロジオール量は、本発明の経口液体組成物中、好ましくは、0.0002w/v%~0.08w/v%であり、0.001w/v%~0.06w/v%がより好ましく、0.002w/v%~0.04w/v%がさらに好ましく、本発明の経口固体組成物中、好ましくは、0.0002w/w%~0.8w/w%であり、0.0002w/w%~0.4w/w%がより好ましく、0.002w/w%~0.2w/w%がさらに好ましい。
【0017】
また、アデノシン量は、本発明の経口液体組成物中、好ましくは、0.00001w/v%以上であり、0.00001w/v%~0.004w/v%がより好ましく、0.0001w/v%~0.002w/v%がさらに好ましく、本発明の経口固体組成物中、好ましくは、0.00001w/v%以上であり、0.00001w/w%~0.04w/w%であり、0.00001w/w%~0.02w/w%がより好ましい。
【0018】
本発明における1回当たりの経口摂取量におけるペポカボチャ種子抽出物の含有量は、本発明の経口組成物中にペポカボチャ種子抽出物として、100mg~2000mgが好ましく、500mg~1000mgがより好ましい。「1回当たりの経口摂取量」とは、本発明の経口組成物が一度に摂取される量、より詳細には、例えば30分以内程度の時間において断続的にまたは連続的に摂取される量を示し、例えば、経口液体組成物ならば50mL~500mLであり、経口固体組成物ならば1g~30gである。
【0019】
本発明の経口組成物のpHは、特に限定されないが、例えば、経口液体組成物の場合、ビタミンB1類不快臭抑制の観点から2.0~7.0が好ましく、2.0~5.0がより好ましく、2.0~4.0がさらに好ましく、2.0~3.5が特に好ましい。
【0020】
本発明の経口組成物のpH調整は、通常使用されるpH調整剤を使用することができる。具体的なpH調整剤としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、乳酸、酢酸、マレイン酸、グルコン酸、アスパラギン酸、アジピン酸、グルタミン酸、フマル酸等の有機酸およびそれらの塩類、リン酸、塩酸等の無機酸、水酸化ナトリウム等の無機塩基等が挙げられ、好ましいpH調整剤は、クエン酸、クエン酸の塩、リンゴ酸、リンゴ酸の塩、塩酸、水酸化ナトリウムである。
【0021】
また、本発明の経口組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分として、ビタミン類(ビタミンB1類を除く)、ミネラル類、アミノ酸類またはその塩類、生薬類、生薬抽出物類、ローヤルゼリー、カフェイン等を適宜に配合することができる。
【0022】
さらに、本発明の経口組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、抗酸化剤、着色料、香料、矯味剤、界面活性剤、増粘剤、安定剤、保存料、甘味料、酸味料等の添加物を適宜配合することができる。
【0023】
本発明における経口組成物とは、経口摂取できる組成物であれば特に制限はなく、医薬品、医薬部外品、又は食品(機能性表示食品や栄養機能食品、特定保健用食品も含む)が挙げられる。
【0024】
本発明の経口組成物の形態は、特に限定されず、液体であっても固体であっても良く、好ましくは、液体である。例えば、経口液体組成物ならば、内服液剤、ドリンク剤、清涼飲料水、炭酸飲料、スポーツ・機能性飲料、ノンアルコール飲料、乳飲料、茶飲料、コーヒー飲料、果実・野菜系飲料、ゼリー飲料等があげられ、好ましくは、清涼飲料水、炭酸飲料、ゼリー飲料である。
例えば、経口固体組成物ならば、チュアブル錠等の錠剤、カプセル剤、顆粒剤、微粒剤、粉末等を挙げることができ、不快臭という課題に対して効果を十分に発揮し得るという点から、好ましくは、錠剤、顆粒剤、微粒剤、粉末である。
【0025】
本発明の経口組成物は、従来公知の方法により製造することができる。例えば、経口液体組成物ならば、通常、各成分を量りとり、水に溶解または分散させ、更に水を加え容量調整する。さらに必要に応じてpHの調整や加熱殺菌を施し、容器に充填することで持ち運びのしやすい経口液体組成物、すなわち容器詰め経口液体組成物として提供することができる。
例えば、経口固体組成物ならば、通常、各成分を量りとり、混合、造粒、打錠等の工程により得られる。混合方法は、通常行われている方法を特に制限なく使用することができ、単に混合するだけでも良く、混合後に造粒しても良い。造粒方法は、通常行われている方法を特に制限なく使用することができ、例えば湿式造粒法及び乾式造粒法にて造粒しても良い。打錠方法は、通常行われている方法を特に制限なく使用することができ、各成分を混合後に打錠、又は造粒後に打錠しても良い。また、経口固体組成物は、ガラス瓶やプラスチック容器等の容器詰、SP包装、スティック包装、PTP包装、アルミ袋や紙袋等の袋詰め等、適切な形態で包装、梱包し提供することができる。
【0026】
本発明の不快臭抑制剤は、有効成分として、ペポカボチャ種子抽出物を含有するものであり、その成分の内容は、経口組成物において記載したものと同様である。また不快臭抑制剤中のビタミンB1類、ペポカボチャ種子抽出物等の成分の含有量も経口組成物と同様とすれば良い。
【実施例0027】
以下に、実施例、比較例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に何ら限定されるものではない。なお、ビタミンB1類は市販品であるDSM株式会社製のチアミン硝酸塩、DSM株式会社製のチアミン塩酸塩、渡辺ケミカル株式会社のフルスルチアミン塩酸塩、東京化成工業株式会社製のチアミンジスルフィド、ペポカボチャ種子抽出物はアスク薬品株式会社製の西洋カボチャ種子乾燥エキスGMP365、グラニュ糖はDM三井製糖製のもの、クエン酸(無水)は磐田化学工業株式会社製のもの、クエン酸三ナトリウム(結晶)は昭和化工株式会社製のもの、結晶セルロースは旭化成株式会社製のセオラスPH-101、1mol/L塩酸は富士フイルム和光純薬株式会社製のものを用いた。ペポカボチャ種子抽出物として用いた西洋カボチャ種子乾燥エキスGMP365には、エンテロジオールが3%、アデノシンが0.192%含まれるものを使用した。
【0028】
経口液体組成物の調製:
下記表1~表3に記載の処方の経口液体組成物を、次の方法に従い調製した。まず、チアミン硝酸塩0.1w/v%溶液を調製した。次に、全量の40%の精製水に、種々の濃度となるように、西洋カボチャ種子乾燥エキスGMP365、およびチアミン硝酸塩0.1w/v%溶液を添加し、十分に攪拌した。その後、全量の96%の量まで精製水を加え、必要に応じて1mol/L塩酸を用いて、pH調整を行ったのち、全量まで容量調整を行った。その後、(株)マルエム製のスクリュー管No.7に40ml充填し、80℃25分の殺菌を行い、経口液体組成物を得た(実施例1~11)。西洋カボチャ種子乾燥エキスGMP365を配合しない経口液体組成物を比較例とした(比較例1~8)。その後、調製した経口液体組成物を恒湿恒温槽にて65℃(湿度成り行き)で7日間保存した。
【0029】
下記表4に記載の処方の経口液体組成物を、次の方法に従い調製した。全量の40%の精製水に、種々の濃度となるように、西洋カボチャ種子乾燥エキスGMP365、およびチアミン塩酸塩、フルスルチアミン塩酸塩、チアミンジスルフィドを添加し、十分に攪拌した。その後、全量の96%の量まで精製水を加え、必要に応じて1mol/L塩酸を用いて、pH調整を行ったのち、全量まで容量調整を行った。その後、(株)マルエム製のスクリュー管No.7に40ml充填し、80℃25分の殺菌を行い、経口液体組成物を得た(実施例12~14)。西洋カボチャ種子乾燥エキスGMP365を配合しない経口液体組成物を比較例とした(比較例9~11)。その後、調製した経口液体組成物を恒湿恒温槽にて65℃(湿度成り行き)で7日間保存した。
【0030】
下記表5に記載の処方の経口液体組成物を、次の方法に従い調製した。まず、全量の40%の精製水に、種々の濃度となるように、西洋カボチャ種子乾燥エキスGMP365、グラニュ糖、クエン酸(無水)、チアミン硝酸塩を添加し、十分に攪拌した。その後、全量の96%の量まで精製水を加え、必要に応じてクエン酸三ナトリウム(結晶)を用いて、pH調整を行ったのち、全量まで容量調整を行った。その後、(株)マルエム製のスクリュー管No.7に40ml充填し、80℃25分の殺菌を行い、経口液体組成物を得た(実施例15)。西洋カボチャ種子乾燥エキスGMP365を配合しない経口液体組成物を比較例とした(比較例12)。その後、調製した経口液体組成物を恒湿恒温槽にて65℃(湿度成り行き)で7日間保存した。
【0031】
経口固体組成物の調製:
下記表6に記載の処方の経口固体組成物を、次の方法に従い調製した。西洋カボチャ種子乾燥エキスGMP365、チアミン硝酸塩、結晶セルロースを量りとり、混合し、これに適量の水を加え混合し、(株)マルエム製のスクリュー管No.7に10g充填し、経口固体組成物を得た(実施例16)。西洋カボチャ種子乾燥エキスGMP365を配合しない経口固体組成物を比較例とした(比較例13)。その後、調製した経口固体組成物を恒湿恒温槽にて65℃(湿度成り行き)で7日間保存した。
【0032】
不快臭の評価:
上記の通り、65℃(湿度成り行き)で7日間保存した経口組成物のにおいを、よく訓練された試験者2名で、スクリュー管から直接嗅ぎ、表7の基準でビタミンB1類に由来する不快臭を評価した。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【表5】
【0038】
【表6】
【0039】
表1~表6に示したように、ビタミンB1類及びペポカボチャ種子抽出物を含有した組成物は、ビタミンB1類に由来する不快臭の低減効果を示した。
【0040】
【表7】
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明により、経口組成物中にビタミンB1類を含有した際の不快臭を簡便に抑制することが可能となったので、医薬品、医薬部外品及び食品の分野において、風味の優れた、商品性の高い経口組成物を提供することが期待される。