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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005046
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】加熱炉
(51)【国際特許分類】
   F27B 9/12 20060101AFI20240110BHJP
   F27B 9/02 20060101ALI20240110BHJP
   F27D 9/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
F27B9/12
F27B9/02
F27D9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105027
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】北口 ダニエル勇吉
(72)【発明者】
【氏名】木下 達也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 昌巳
【テーマコード(参考)】
4K050
4K063
【Fターム(参考)】
4K050AA04
4K050BA07
4K050CA13
4K050CD02
4K050CD30
4K050CG02
4K050CG04
4K063AA06
4K063AA13
4K063BA04
4K063CA03
4K063EA05
(57)【要約】
【課題】ワークにクラックが生じるリスクを低減することができ炉内ガス温度分布の均一性向上に寄与することができる加熱炉を提供する。
【解決手段】炉内に冷却ガスを導入可能であると共に、炉内ガスを吸引可能な複数の蓄熱冷却器を備えており、前記複数の蓄熱冷却器はそれぞれ、炉内と連通するガスノズルと、炉外と連通し、蓄熱冷却器への給気及び蓄熱冷却器からの排気を切り替え可能なガス配管システムに連結されているガスポートと、前記ガスノズルを前記ガスポートに連通し、蓄熱体を充填するための空間を有するガス通路と、前記蓄熱体を充填するための空間に充填されている蓄熱体とを有する、加熱炉。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉内に冷却ガスを導入可能であると共に、炉内ガスを吸引可能な複数の蓄熱冷却器を備えており、
前記複数の蓄熱冷却器はそれぞれ、炉内と連通するガスノズルと、炉外と連通し、蓄熱冷却器への給気及び蓄熱冷却器からの排気を切り替え可能なガス配管システムに連結されているガスポートと、前記ガスノズルを前記ガスポートに連通し、蓄熱体を充填するための空間を有するガス通路と、前記蓄熱体を充填するための空間に充填されている蓄熱体とを有する、
加熱炉。
【請求項2】
前記加熱炉は、入口、加熱帯、冷却帯及び出口を順に備え、少なくとも一つのワークを入口から出口に向かって炉内で搬送しながら加熱処理するための連続式加熱炉であって、
冷却帯に前記複数の蓄熱冷却器を備えている
請求項1に記載の加熱炉。
【請求項3】
前記複数の蓄熱冷却器のうち少なくとも一つの蓄熱冷却器は、蓄熱体交換用の少なくとも一つの出入口を有する請求項1又は2に記載の加熱炉。
【請求項4】
前記複数の蓄熱冷却器のうち少なくとも一つの蓄熱冷却器は、
前記ガスノズルから水平方向に延びる第一ガス通路と、第一ガス通路よりも下方に位置する前記蓄熱体を充填するための空間を第一ガス通路に連通する第二ガス通路とを有する前記ガス通路と、
第二ガス通路の上方に設けられた蓄熱体交換用の第一出入口と、
前記第一出入口を第二ガス通路に連通する連通路と、
を有する請求項3に記載の加熱炉。
【請求項5】
前記複数の蓄熱冷却器のうち少なくとも一つの蓄熱冷却器は、前記蓄熱体を充填するための空間の下部に連通する蓄熱体交換用の第二出入口を有する請求項3に記載の加熱炉。
【請求項6】
前記蓄熱体がボール、ハニカム又はメッシュの形態にある請求項1又は2に記載の加熱炉。
【請求項7】
前記複数の蓄熱冷却器の少なくとも一つは、第一内壁に前記ガスノズルを有し、前記複数の蓄熱冷却器の少なくとも一つは、第一内壁に対向する第二内壁に前記ガスノズルを有する、請求項1又は2に記載の加熱炉。
【請求項8】
以下の(1)及び(2)の一方又は両方の条件を満たす請求項7に記載の加熱炉。
(1)前記複数の蓄熱冷却器の少なくとも一つは、前記第一内壁の高さの半分よりも上方に前記ガスノズルを有し、前記複数の蓄熱冷却器の少なくとも一つは、前記第二内壁の高さの半分よりも下方に前記ガスノズルを有する。
(2)前記複数の蓄熱冷却器の少なくとも一つは、前記第二内壁の高さの半分よりも上方に前記ガスノズルを有し、前記複数の蓄熱冷却器の少なくとも一つは、前記第一内壁の高さの半分よりも下方に前記ガスノズルを有する。
【請求項9】
前記第一内壁に前記ガスノズルを有する蓄熱冷却器の数と、前記第二内壁に前記ガスノズルを有する蓄熱冷却器の数が一致する請求項7に記載の加熱炉。
【請求項10】
前記第一内壁に前記ガスノズルを有する少なくとも一つの蓄熱冷却器と、前記第二内壁に前記ガスノズルを有する少なくとも一つの蓄熱冷却器は、炉内に冷却ガスを導入するタイミングと、炉内ガスを吸引するタイミングが逆となるように構成されている請求項7に記載の加熱炉。
【請求項11】
冷却帯は、前記複数の蓄熱冷却器のうち最も出口に近い蓄熱冷却器よりも、更に出口に近い側に、炉内に冷却ガスを導入可能な一つ又は複数の冷却ガス供給口を備えており、当該一つ又は複数の冷却ガス供給口はそれぞれ、前記複数の蓄熱冷却器のうち少なくとも一つの蓄熱冷却器の前記ガスポートと連通しており、当該少なくとも一つの蓄熱冷却器からの排気を冷却ガスとして当該冷却ガス供給口から炉内に導入可能に構成されている、請求項2に記載の加熱炉。
【請求項12】
冷却帯は、前記一つ又は複数の冷却ガス供給口のうち最も出口に近い冷却ガス供給口よりも、更に出口に近い側に、炉外と連通する一つ又は複数の炉外空気導入口を備える請求項11に記載の加熱炉。
【請求項13】
焼成炉である請求項1又は2に記載の加熱炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加熱炉に関し、特に焼成炉に関する。
【背景技術】
【0002】
屋根瓦、衛生陶器、食器、及びハニカム構造体(例:フィルタ及び熱交換器)等のセラミックス製品を焼成する焼成炉には、バッチ式及び連続式の焼成炉があるが、何れもワークを加熱処理した後は、ワークを冷却する必要がある。
【0003】
ワークの冷却方法としては、炉外の空気を冷却ガスとして直接炉内に打込み、ワークと熱交換させて冷却する直接冷却する方法が一般的である(例:特許第2859987号公報、特開平4-124586号公報)。また、熱回収効率を高めたり、ヒートカーブの制御性を高めたりする目的で、直接冷却に加えて間接冷却器を用いて冷却を行う方法も知られている(例:特公平3-40317号公報、特開2020-29988号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2859987号公報
【特許文献2】特開平4-124586号公報
【特許文献3】特公平3-40317号公報
【特許文献4】特開2020-29988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ワークの仕様に応じて、所望の加熱処理をワークに対して行うための最適なヒートカーブが存在する。そのため、加熱炉は、そのような最適なヒートカーブが得られるように運転条件が設定されるのが通常である。ワークを冷却するために、上述したような直接冷却及び間接冷却が知られているが、以下のような課題が残っている。
【0006】
直接冷却の場合、所望のヒートカーブを得るのに必要な量の冷却ガスが炉内に供給されるが、炉内に供給する冷却ガスの温度を細かく制御することは難しい。このため、炉内に供給する冷却ガスの温度と炉内ガス温度に大きな乖離が生じることが多い。特に、直接冷却では、冷却ガスの供給口に近い位置を通過するワークの表面が急激に冷却されてクラックが発生する事象が生じやすい。また、直接冷却の場合、特に連続式の加熱炉においては、冷却ガス量を変動させると冷却帯の炉圧にも変動が生じやすく、炉内のガス流れに狂いが生じるおそれがある。
【0007】
また、間接冷却は直接冷却に比べて冷却能力が乏しいため、単独では炉内のヒートカーブを制御することが難しいという問題がある。また、間接冷却は炉内ガスに対する撹拌能力がないことから炉内ガス温度に分布が生じやすい。特に、連続式の加熱炉の場合においては、ワークの進行方向に垂直な断面において炉内ガス温度に分布が生じやすい。このため、間接冷却器に近いワークと間接冷却器から遠いワークの間で冷却速度に差が生じやすい。間接冷却器から遠いワークの冷却速度を適正化しようとすると間接冷却器に近いワークが過度に冷却され、更にはクラックも発生するおそれが生じる。一方で、間接冷却器に近いワークの冷却速度を適正化しようとすると間接冷却器から遠いワークの抜熱不足が生じやすくなる。
【0008】
このように、従来の直接冷却及び間接冷却の何れの方法においても、冷却時のワークのクラック抑制、及び、炉内ガス温度分布の均一性(連続式の加熱炉においてはワークの進行方向に垂直な断面の炉内ガス温度分布の均一性を意味する。)という観点では課題がある。本発明は上記事情に鑑みて創作されたものであり、一実施形態において、冷却時にワークにクラックが生じるリスクを低減することができ、且つ、冷却時の炉内ガス温度分布の均一性向上に寄与することができる加熱炉を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討したところ、所定の構造を有する蓄熱冷却器を使用することで、冷却時に炉内ガス温度と乖離が少ない冷却ガスを炉内に供給可能であることを見出した。本発明は当該知見を基礎として完成したものであり、以下に例示される。
【0010】
[1]
炉内に冷却ガスを導入可能であると共に、炉内ガスを吸引可能な複数の蓄熱冷却器を備えており、
前記複数の蓄熱冷却器はそれぞれ、炉内と連通するガスノズルと、炉外と連通し、蓄熱冷却器への給気及び蓄熱冷却器からの排気を切り替え可能なガス配管システムに連結されているガスポートと、前記ガスノズルを前記ガスポートに連通し、蓄熱体を充填するための空間を有するガス通路と、前記蓄熱体を充填するための空間に充填されている蓄熱体とを有する、
加熱炉。
[2]
前記加熱炉は、入口、加熱帯、冷却帯及び出口を順に備え、少なくとも一つのワークを入口から出口に向かって炉内で搬送しながら加熱処理するための連続式加熱炉であって、
冷却帯に前記複数の蓄熱冷却器を備えている
[1]に記載の加熱炉。
[3]
前記複数の蓄熱冷却器のうち少なくとも一つの蓄熱冷却器は、蓄熱体交換用の少なくとも一つの出入口を有する[1]又は[2]に記載の加熱炉。
[4]
前記複数の蓄熱冷却器のうち少なくとも一つの蓄熱冷却器は、
前記ガスノズルから水平方向に延びる第一ガス通路と、第一ガス通路よりも下方に位置する前記蓄熱体を充填するための空間を第一ガス通路に連通する第二ガス通路とを有する前記ガス通路と、
第二ガス通路の上方に設けられた蓄熱体交換用の第一出入口と、
前記第一出入口を第二ガス通路に連通する連通路と、
を有する[3]に記載の加熱炉。
[5]
前記複数の蓄熱冷却器のうち少なくとも一つの蓄熱冷却器は、前記蓄熱体を充填するための空間の下部に連通する蓄熱体交換用の第二出入口を有する[3]又は[4]に記載の加熱炉。
[6]
前記蓄熱体がボール、ハニカム又はメッシュの形態にある[1]~[5]の何れか一項に記載の加熱炉。
[7]
前記複数の蓄熱冷却器の少なくとも一つは、第一内壁に前記ガスノズルを有し、前記複数の蓄熱冷却器の少なくとも一つは、第一内壁に対向する第二内壁に前記ガスノズルを有する、[1]~[6]の何れか一項に記載の加熱炉。
[8]
以下の(1)及び(2)の一方又は両方の条件を満たす[7]に記載の加熱炉。
(1)前記複数の蓄熱冷却器の少なくとも一つは、前記第一内壁の高さの半分よりも上方に前記ガスノズルを有し、前記複数の蓄熱冷却器の少なくとも一つは、前記第二内壁の高さの半分よりも下方に前記ガスノズルを有する。
(2)前記複数の蓄熱冷却器の少なくとも一つは、前記第二内壁の高さの半分よりも上方に前記ガスノズルを有し、前記複数の蓄熱冷却器の少なくとも一つは、前記第一内壁の高さの半分よりも下方に前記ガスノズルを有する。
[9]
前記第一内壁に前記ガスノズルを有する蓄熱冷却器の数と、前記第二内壁に前記ガスノズルを有する蓄熱冷却器の数が一致する[7]又は[8]に記載の加熱炉。
[10]
前記第一内壁に前記ガスノズルを有する少なくとも一つの蓄熱冷却器と、前記第二内壁に前記ガスノズルを有する少なくとも一つの蓄熱冷却器は、炉内に冷却ガスを導入するタイミングと、炉内ガスを吸引するタイミングが逆となるように構成されている[7]~[9]の何れか一項に記載の加熱炉。
[11]
冷却帯は、前記複数の蓄熱冷却器のうち最も出口に近い蓄熱冷却器よりも、更に出口に近い側に、炉内に冷却ガスを導入可能な一つ又は複数の冷却ガス供給口を備えており、当該一つ又は複数の冷却ガス供給口はそれぞれ、前記複数の蓄熱冷却器のうち少なくとも一つの蓄熱冷却器の前記ガスポートと連通しており、当該少なくとも一つの蓄熱冷却器からの排気を冷却ガスとして当該冷却ガス供給口から炉内に導入可能に構成されている、[2]又は[2]に従属する[3]~[10]の何れか一項に記載の加熱炉。
[12]
冷却帯は、前記一つ又は複数の冷却ガス供給口のうち最も出口に近い冷却ガス供給口よりも、更に出口に近い側に、炉外と連通する一つ又は複数の炉外空気導入口を備える[11]に記載の加熱炉。
[13]
焼成炉である[1]~[12]の何れか一項に記載の加熱炉。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る連続式加熱炉によれば、蓄熱冷却器が有する蓄熱作用により予め加熱された冷却ガスを炉内に供給可能である。このため、炉内ガス温度との乖離が少ない冷却ガスを炉内に供給可能であり、ワークが急冷されることによってワークにクラックが発生するリスクを低減できる。蓄熱冷却器を使用することにより、冷却ガスを加熱するのに特別なエネルギーを必要としないので省エネにも貢献する。また、蓄熱冷却器のガスノズルから炉内に供給された冷却ガスは速度をもつため炉内ガスを撹拌する作用をもつ。このため、冷却時の炉内ガス温度分布の均一性向上にも寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る蓄熱冷却器の構造例を示す側面模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係る連続式加熱炉の全体構成例を示す側面模式図である。
図3】本発明の一実施形態に係る連続式加熱炉の冷却帯の構成例を示す平面模式図である。
図4】本発明の一実施形態に係る連続式加熱炉の冷却帯をワークの進行方向に対して垂直な断面を後方から見たときの例示的な断面模式図を、ガス配管システム400の例示的な模式図と共に示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0014】
<1.蓄熱冷却器>
図1には、本発明の一実施形態に係る蓄熱冷却器100の構成例を示す模式図が示されている。蓄熱冷却器100は、炉内と連通するガスノズル110と、炉外と連通し、蓄熱冷却器100への給気及び蓄熱冷却器100からの排気を切り替え可能なガス配管システムに連結されているガスポート120と、ガスノズル110をガスポート120に連通し、蓄熱体130を充填するための空間143を有するガス通路140と、蓄熱体130を充填するための空間143に充填されている蓄熱体130を有する。
【0015】
ガス通路140は、ガスポート120から供給される冷却ガスが、蓄熱体130が充填された状態の前記空間143を通過した後に、ガスノズル110から炉内へ導入されるように構成されている。また、ガス通路140は、ガスノズル110から吸引される炉内ガスが、蓄熱体130が充填された状態の前記空間143を通過した後に、ガスポート120から炉外へと排出されるように構成されている。
【0016】
従って、ガスノズル110から炉内ガスがガス通路140に供給されると、炉内ガスは蓄熱体130と熱交換を行うことにより冷却される。そして、冷却後の炉内ガスがガスポート120から炉外へと排出される。一方、炉内ガスと熱交換を行った蓄熱体130は、加熱される。その後、給排気が切り替わり、ガスポート120から冷却ガスがガス通路140内に供給されると、冷却ガスは蓄熱体130と熱交換を行うことにより加熱される。そして、加熱後の冷却ガスがガスノズル110から炉内へと供給される。これにより、蓄熱冷却器100から炉内に供給される冷却ガスの温度を、炉内ガスの温度に近づけることが可能になる。
【0017】
蓄熱冷却器100から炉内に供給される冷却ガスの温度を高め、炉内ガスの温度と差を縮める方法としては、例えば、排気時間を長くして蓄熱体の温度を高くしたり、蓄熱体の充填量を多くしたりする方法が考えられる。逆に、蓄熱冷却器100から炉内に供給される冷却ガスの温度を低くして冷却能力を高める方法としては、例えば、排気時間を短くして蓄熱体の温度上昇を抑制したり、蓄熱体の充填量を少なくしたりする方法が考えられる。このように、蓄熱冷却器100によれば、炉内ガスの温度を、冷却ガスの流量を変化させる方法以外の方法によっても調整することができる。そのため、特に連続式の加熱炉においては、冷却帯におけるヒートカーブを調整しても冷却帯の炉圧への影響が小さく、炉内のガス流れを安定させやすいという利点も得られる。
【0018】
限定的ではないが、例えば、蓄熱冷却器100のガスノズル110から炉内に供給される冷却ガスの、ガスノズル110から吐出される直前の温度は、バッチ式の加熱炉の場合においては炉内ガスの平均温度(連続式の加熱炉の場合においては当該蓄熱冷却器100が設置されている冷却帯の箇所における炉内ガスの平均温度)に対して50~400℃程度低いことが好ましい。また、蓄熱冷却器100のガスポート120から排出される排気の、ガスポート120から排出される直前の温度は、結露防止のためには110℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましい。当該温度は、設備保護のためには350℃以下であることが好ましく、300℃以下であることがより好ましい。従って、当該温度は例えば110~350℃とすることが好ましく、150℃~300℃とすることがより好ましい。
【0019】
蓄熱体130としては、特に制限はないが、ボール、ハニカム又はメッシュの形態で提供することができる。蓄熱体130の材質は耐食性や耐熱性を考慮して適宜選択すればよく、例えばセラミックス又は金属製とすることができ、好ましくはSiC系材料、アルミナ、コージェライト、ムライト、アルミニウムチタネート等のセラミックスから最適なものを選択することができる。
【0020】
冷却ガスとしては空気を使用することが一般的であるが、冷却ガスとしては空気に限られることはなく、例えば、N2及びAr等の不活性気体を一種単独で又は二種以上を組み合わせて使用することも可能である。
【0021】
ガスポート120に蓄熱体130が入り込まないようにするために、ガスポート120と蓄熱体130を通気性のあるセパレータ125で分離することが好ましい。この場合、セパレータ125は、蓄熱体130を充填するための空間143の底を構成する。セパレータ125としては、例えば、金属(例:SUS)製の格子状構造体やパンチングプレートを使用することができる。
【0022】
給排気を繰り返すと、蓄熱体130の周りにゴミ/不純物が堆積していく。この堆積したゴミ/不純物が何等かの拍子で炉内に放出され、搬送中のワークに付着すると変色不良の原因となってしまう。このため、蓄熱体130の交換を容易に行えるように、蓄熱冷却器100に蓄熱体交換用の少なくとも一つの出入口150、160を設けることが好ましい。
【0023】
一実施形態において、ガス通路140は、ガスノズル110から水平方向に延びる第一ガス通路141と、第一ガス通路141よりも下方に位置する蓄熱体130を充填するための空間143を第一ガス通路141に連通する第二ガス通路142とを有する。第二ガス通路142は鉛直方向に延びていることが好ましい。また、蓄熱体130を充填するための空間143は、断熱性を確保しつつ蓄熱冷却器をコンパクト化することを目的として、第二ガス通路142に近づくにつれて通路が狭くなるテーパー部144を有することが好ましい。ここで、本明細書における「水平方向」とは、重力方向に厳密に垂直な方向のみならず、略水平方向を含む概念である。略水平方向には、厳密な水平方向に対して20°以内の方向が含まれる。また、本明細書における「鉛直方向」とは、重力方向に対して厳密に平行な方向のみならず、略鉛直方向を含む概念である。略鉛直方向は、厳密な鉛直方向に対して20°以内の方向が含まれる。
【0024】
第一ガス通路141及び第二ガス通路142を有する蓄熱冷却器100は、第二ガス通路142の上方に設けられた蓄熱体交換用の第一出入口150と、第一出入口150を第二ガス通路142に連通する連通路151とを有することができる。第一出入口150から投入された蓄熱体130は、重力によって連通路151内を落下し、第二ガス通路142を経由して前記空間143に収容されることができる。第一出入口150は、第二ガス通路142の上方であって、且つ、第一ガス通路141の上方に設けてもよい。この場合、連通路151は、第一出入口150を第一ガス通路141に設けた開口152に連通させることができ、第一出入口150は、第一ガス通路141を介して、第二ガス通路142に連通する。第一出入口150は蓄熱体130の補充に好適に使用することができるが、蓄熱体130の取り出しに使用してもよい。
【0025】
また、一実施形態に係る蓄熱冷却器100は、蓄熱体130を充填するための空間143の下部に連通する蓄熱体交換用の第二出入口160を有することができる。当該実施形態に係る蓄熱冷却器100は、前記空間143の下部と第二出入口160を連通する連通路161を有することができる。前記空間143の“下部”とは、(取り出し作業前において)前記空間143に充填されている蓄熱体130の最も低い位置から最も高い位置までの高さHの半分よりも低い位置にある部分を指す。第二出入口160は前記空間143の底に充填されている蓄熱体130にアクセスできる位置に設置されることが好ましい。このとき、セパレータ125を連通路161に向かって下方に傾斜させておくと、前記空間143に充填されている蓄熱体130が、重力によって連通路161を経由して第二出入口160に自然と移動するため、蓄熱体130を取り出しやすくなる。第二出入口160は蓄熱体130の取り出しに好適に使用することができるが、蓄熱体130の補充に使用してもよい。
【0026】
ガス通路140を区画する壁145は、例えばアルミナ、ムライト、マグネシア等のセラミックス材料で構成することが耐熱性、耐熱衝撃性、耐摩耗性等の観点で好ましい。特に、高温のガスと接触する第一ガス通路141及び第二ガス通路142の表面は少なくとも上記セラミックス材料を含有する煉瓦で構成することが好ましい。図1に示す実施形態に係る蓄熱冷却器100において、煉瓦で構成されている箇所を点線で囲んだ。図1に示す実施形態に係る蓄熱冷却器100において、その他の耐熱性が要求される箇所は上記セラミックス材料を含有するキャスタブル(不定形耐火物)又はファイバーボードで構成されている。
【0027】
一実施形態において、ガスポート120は給気ファンに配管を介して連通しており、給気ファンから冷却空気等の冷却ガスを蓄熱冷却器100に供給することができる。また、ガスポート120は配管を介して排気ファンに連通しており、蓄熱冷却器100からの排気を排気ファンに送ることができる。蓄熱冷却器100への冷却ガスの供給及び蓄熱冷却器100からの排気は、例えば配管の途中に設置するバルブの操作によって切り替えることができる。
【0028】
<2.連続式加熱炉>
図2には、上述した実施形態に係る蓄熱冷却器を備える連続式加熱炉10の全体構成例を示す側面模式図である。連続式加熱炉10は、入口11、加熱帯12、冷却帯13及び出口14を順に備え、台車15に積載したワーク(図示せず)を入口11から出口14に向かって炉内で搬送しながら加熱処理することができる。
【0029】
加熱帯とは、連続式加熱炉の入口から、炉内を加熱するための最も出口側に近い箇所に設置された加熱機器までのワーク進行方向の範囲を指す。冷却帯とは、最も出口側に近い箇所に設置された加熱機器の直後から、連続炉の出口までのワークの進行方向の範囲を指す。「加熱」の概念には「焼成」が含まれる。セラミックス製品を製造する場合、加熱帯12は脱バインダーが行われる予熱帯12aと、焼成が行われる焼成帯12bとに区分することが可能である。
【0030】
ワークは加熱処理を受ける物品であり、特に限定されるべきものではないが、フェライト及びセラミックコンデンサー等の電子部品、半導体製品、セラミックス製品、陶磁器、酸化物系耐火物、ガラス製品、金属製品、アルミナ・グラファイト質及びマグネシア・グラファイト質等のカーボン系耐火物が例示される。1000℃以上、典型的には1200℃以上、より典型的には1400℃以上、例えば1000~2000℃にワークを加熱する場合に本実施形態に係る連続式加熱炉を好適に使用することができる。
【0031】
連続式加熱炉の種類に特に制約はない。例えば、トンネルキルン、ローラーハースキルン及びプッシャーキルン等とすることができる。また、連続式加熱炉は、典型的には大気焼成炉であり、バーナー燃焼による炉内酸素濃度の低下を除いては意図的に酸素濃度を低下させることなく運転されるのが通常である。
【0032】
図3には、冷却帯13の構成例を示す平面模式図が示されている。冷却帯13は、給気ファンから供給される冷却ガスを炉内に導入可能であると共に、炉内ガスを排気して排気ファンへ送ることが可能である上述した実施形態に係る複数の蓄熱冷却器100を備える。限定的ではないが、複数の蓄熱冷却器100は、炉内ガスの平均温度が例えば1400℃~400℃の範囲にある冷却帯13の箇所の炉壁に設置することができる。
【0033】
複数の蓄熱冷却器100の少なくとも一つは、ワークの進行方向に対して左側の炉壁18(第一内壁)にガスノズル110を有し、複数の蓄熱冷却器100の少なくとも一つは、ワークの進行方向に対して右側の炉壁19(第二内壁)にガスノズル110を有する。好ましい実施形態においては、複数の蓄熱冷却器100が、ワークの進行方向に対して左側の炉壁18(第一内壁)にガスノズル110を有し、複数の蓄熱冷却器100が、ワークの進行方向に対して右側の炉壁19(第二内壁)にガスノズル110を有する。ワークの進行方向に対して左側の炉壁18(第一内壁)にガスノズル110を有する蓄熱冷却器100の数、及び、ワークの進行方向に対して右側の炉壁19(第二内壁)にガスノズル110を有する蓄熱冷却器100の数は、冷却速度、炉長/幅、除却熱量等を考慮して適宜設定すればよいが、例えば、それぞれワークの進行方向に対して3~10m毎に設置とすることができる。
【0034】
ワークの進行方向に垂直な断面における炉内ガス温度分布の均一性を高める上では、ワークの進行方向に対して左側の炉壁18(第一内壁)にガスノズル110を有する蓄熱冷却器100の数と、ワークの進行方向に対して右側の炉壁19(第二内壁)にガスノズル110を有する蓄熱冷却器100の数を一致させることが好ましい。また、ワークの進行方向に垂直な断面における炉内ガス温度分布の均一性を高める上では、ワークの進行方向に対して左側の炉壁18(第一内壁)にガスノズル110を有する複数の蓄熱冷却器100の、ワークの進行方向における設置個所と、ワークの進行方向に対して右側の炉壁19(第二内壁)にガスノズル110を有する蓄熱冷却器100の、ワークの進行方向における設置個所を一致させることも好ましい。
【0035】
一実施形態においては、左側の炉壁18(第一内壁)にガスノズル110を有する少なくとも一つ、好ましくは50%以上の数、より好ましくは80%以上の数、更により好ましくはすべての蓄熱冷却器100と、右側の炉壁19(第二内壁)にガスノズル110を有する少なくとも一つ、好ましくは50%以上の数、より好ましくは80%以上の数、更により好ましくはすべての蓄熱冷却器100は、炉内に冷却ガスを導入するタイミングと、炉内ガスを吸引するタイミングが逆となるように構成されている。当該構成により、例えば、左側の炉壁18(第一内壁)にガスノズル110を有する少なくとも一つの蓄熱冷却器100から冷却ガスが炉内に導入されると、冷却ガスは炉内を左右方向に横断した後に、右側の炉壁19(第二内壁)にガスノズル110を有する少なくとも一つの蓄熱冷却器100によって吸引される。このため、冷却ガスが炉内でワークの進行方向に垂直な断面における左右方向及び上下方向に拡散しやすくなり、ワークの進行方向に垂直な断面における炉内ガス温度分布の均一性の向上に寄与する。
【0036】
蓄熱冷却器100から吸引された炉内ガスは、排気ファンによる吸引力によって排気ファンへと送られる。排気ファンからの排気は大気へ放出してもよいが、下流側のより低温のワークを冷却するために再利用することが省エネの観点で有利である。従って、一実施形態においては、冷却帯13は、複数の蓄熱冷却器100のうち最も出口14に近い蓄熱冷却器100よりも、更に出口14に近い側に、好ましくは更に出口14に近い側のみに、少なくとも一つの蓄熱冷却器100からの排気を冷却ガスとして炉内に導入可能な一つ又は複数の冷却ガス供給口180を備える。一つ又は複数の冷却ガス供給口180はそれぞれ、複数の蓄熱冷却器100のうち少なくとも一つの蓄熱冷却器100のガスポート120と排気ファンを介して連通しており、少なくとも一つの蓄熱冷却器100からの排気を冷却ガスとして冷却ガス供給口180から炉内に導入可能である。限定的ではないが、一つ又は複数の冷却ガス供給口180は、炉内ガスの平均温度が例えば150℃~600℃の範囲にある冷却帯13の箇所の炉壁に設置することができる。冷却ガス供給口180から炉内に供給される冷却ガスの、冷却ガス供給口180から吐出される直前の温度は、当該冷却ガス供給口180が設置されている冷却帯13の箇所における炉内ガスの平均温度に対して50~250℃程度低いことが好ましい。
【0037】
冷却帯13は、一つ又は複数の冷却ガス供給口180のうち最も出口14に近い冷却ガス供給口180よりも、更に出口14に近い側に、好ましくは更に出口14に近い側のみに、炉外と連通する一つ又は複数の炉外空気導入口190を備えてもよい。炉外空気(典型的には外気)は、一つ又は複数のファン192によって吸引することができ、ダクト等の配管194を通して炉内に供給することができる。炉外空気導入口190から炉内に入った空気はワークの直接冷却に利用することができる。限定的ではないが、一つ又は複数の炉外空気導入口190は、炉内ガスの平均温度が例えば50℃~300℃の範囲にある冷却帯の箇所に設置することができる。炉内ガス温度がこのような温度範囲にある場合、ワークの温度は十分に低下しており、炉外空気を用いてワークを直接冷却してもクラックが生じるおそれはほとんどない。炉外空気導入口190から炉内に供給される空気の、炉外空気導入口190から吐出される直前の温度は、当該炉外空気導入口190が設置されている冷却帯13の箇所における炉内ガスの平均温度に対して50~200℃程度低いことが好ましい。
【0038】
ワークの進行方向に垂直な断面における炉内ガス温度分布の均一性を高める上では、炉内ガスに対する撹拌能力を高めることも有利である。そこで、好ましい実施形態においては、以下の(1)及び(2)の一方又は両方の条件が満たされるように複数の蓄熱冷却器100が配列される。
(1)複数の蓄熱冷却器100の少なくとも一つは、ワークの進行方向に対して左側の炉壁18(第一内壁)の高さの半分よりも上方にガスノズル110を有し、複数の蓄熱冷却器100の少なくとも一つは、ワークの進行方向に対して右側の炉壁19(第二内壁)の高さの半分よりも下方にガスノズル110を有する。
(2)複数の蓄熱冷却器100の少なくとも一つは、ワークの進行方向に対して右側の炉壁19(第二内壁)の高さの半分よりも上方にガスノズル110を有し、複数の蓄熱冷却器100の少なくとも一つは、ワークの進行方向に対して左側の炉壁18(第一内壁)の高さの半分よりも下方にガスノズル110を有する。
【0039】
好ましい実施形態においては、(1)及び(2)の一方又は両方の条件に加えて更に以下の(3)及び(4)の一方又は両方の条件が満たされるように、冷却ガスを炉内に導入する。
(3)左側の炉壁18(第一内壁)の高さの半分よりも上方にガスノズル110を有する少なくとも一つ、好ましくは50%以上の数、より好ましくは80%以上の数、更により好ましくはすべての蓄熱冷却器100と、右側の炉壁19(第二内壁)の高さの半分よりも下方にガスノズル110を有する少なくとも一つ、好ましくは50%以上の数、より好ましくは80%以上の数、更により好ましくはすべての蓄熱冷却器100は、炉内に冷却ガスを導入するタイミングと、炉内ガスを吸引するタイミングが逆となるように構成される。
(4)右側の炉壁18(第一内壁)の高さの半分よりも上方にガスノズル110を有する少なくとも一つ、好ましくは50%以上の数、より好ましくは80%以上の数、更により好ましくはすべての蓄熱冷却器100と、左側の炉壁19(第二内壁)の高さの半分よりも下方にガスノズル110を有する少なくとも一つ、好ましくは50%以上の数、より好ましくは80%以上の数、更により好ましくはすべての蓄熱冷却器100は、炉内に冷却ガスを導入するタイミングと、炉内ガスを吸引するタイミングが逆となるように構成される。
当該構成によれば、冷却ガスは左右方向に加えて上下方向に炉内で流動しやすくなるので、ワークの進行方向に垂直な断面における炉内ガス温度分布の均一性の向上に更に寄与する。
【0040】
図4には、ワーク600の進行方向に対して左側の炉壁18(第一内壁)の高さの半分よりも上方にガスノズル110を有する少なくとも一つの第一蓄熱冷却器100aと、ワーク600の進行方向に対して右側の炉壁19(第二内壁)の高さの半分よりも下方にガスノズル110を有する少なくとも一つの第二蓄熱冷却器100bとを備える連続式加熱炉の冷却帯を、ワーク600の進行方向に対して後方から見たときの例示的な断面模式図が、ガス配管システム400の例示的な模式図と共に示されている。なお、炉壁(第一内壁又は第二内壁)の高さの半分とは、第一蓄熱冷却器100a又は第二蓄熱冷却器100bが設置されている箇所における炉壁(第一内壁又は第二内壁)に沿った炉床21から天井22までの高さの半分の位置を意味する。
【0041】
ワーク600は、台車15に載せた窯道具500に設置された複数段の棚板520の上に多数積載することができる。
【0042】
炉外空気等の冷却ガスが流れる配管452の途中には給気ファン410が設置されている。配管452は、給気ファン410の下流で、第一蓄熱冷却器100aのガスポート120に接続される配管452a、及び第二蓄熱冷却器100bのガスポート120に接続される配管452bに分岐している。配管452a及び配管452bの途中にはそれぞれ給気用バルブ428a、428bが設けられている。また、配管452aは途中で配管453aへと分岐しており、配管452bは途中で配管453bへと分岐している。配管453a及び配管453bの途中にはそれぞれ排気用バルブ428c、428dが設けられている。配管453a及び配管453bは、排気用バルブ428c、428dの下流側で配管453に合流する。配管453の途中には排気ファン420が設置されている。
【0043】
図4においては、第一蓄熱冷却器100aから冷却ガスが炉内に供給される供給モードにある一方で、第二蓄熱冷却器100bから炉内ガスが排気される排気モードにある様子が示されている。一定時間の経過毎に、第一蓄熱冷却器100aと第二蓄熱冷却器100bの間で給気と排気の切り替えが行われる。切り替えによって、先ほど供給モードであった第一蓄熱冷却器100aが排気モードになり、先ほど排気モードであった第二蓄熱冷却器100bは供給モードになる。この切り替えは給気用バルブ428a、428b及び排気用バルブ428c、428dの開閉状態を逆転させることで行うことができる。給気と排気の切替は予め定めた時間毎に繰り返すことができるが、予め定めた時間は例えば10秒~300秒とすることができる。
【0044】
図4においては、給気用バルブ428a、428b及び排気用バルブ428c、428dとして二方弁が示されているが、三方弁を使用してもよい。バルブとしては電磁弁等の電気的駆動弁を用いることができる。また、図4においては、第一蓄熱冷却器100a及び第二蓄熱冷却器100bがそれぞれ一台設置されている様子が示されているが、第一蓄熱冷却器100a及び第二蓄熱冷却器100bをそれぞれ、ワークの進行方向に並列に複数台配列することが好ましい。例えば、配管452aを分岐して複数の第一蓄熱冷却器100aを並列に配列することで複数の第一蓄熱冷却器100aに対する給排気をまとめて切替可能である。同様に、配管452bを分岐して複数の第二蓄熱冷却器100bを並列に配列することで複数の第二蓄熱冷却器100bに対する給排気をまとめて切替可能である。また、排気用の配管と、給気用の配管を独立に用意し、それぞれをガスポート120に接続してもよい。
【0045】
上記の実施形態では連続式加熱炉について述べたが、バッチ式加熱炉においてもメカニズムは同じであり、蓄熱冷却器を設置することにより、ワークにクラックが生じるリスクを低減する効果、及び、炉内ガス温度分布の均一性が向上する効果が得られることが理解できるであろう。
【符号の説明】
【0046】
10 :連続式加熱炉
11 :入口
12 :加熱帯
12a :予熱帯
12b :焼成帯
13 :冷却帯
14 :出口
15 :台車
18 :炉壁(第一内壁)
19 :炉壁(第二内壁)
21 :炉床
22 :天井
100 :蓄熱冷却器
100a :第一蓄熱冷却器
100b :第二蓄熱冷却器
110 :ガスノズル
120 :ガスポート
125 :セパレータ
130 :蓄熱体
140 :ガス通路
141 :第一ガス通路
142 :第二ガス通路
143 :空間
144 :テーパー部
145 :壁
150 :第一出入口
151 :連通路
152 :開口
160 :第二出入口
161 :連通路
180 :冷却ガス供給口
190 :炉外空気導入口
192 :ファン
194 :配管
400 :ガス配管システム
410 :給気ファン
420 :排気ファン
428a :給気用バルブ
428b :給気用バルブ
428c :排気用バルブ
428d :排気用バルブ
452 :配管
452a :配管
452b :配管
453 :配管
453a :配管
453b :配管
500 :窯道具
520 :棚板
600 :ワーク
図1
図2
図3
図4