(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050472
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】手術室内関連機器用電子識別バンド
(51)【国際特許分類】
A61B 90/90 20160101AFI20240403BHJP
【FI】
A61B90/90
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023156601
(22)【出願日】2023-09-22
(31)【優先権主張番号】111210605
(32)【優先日】2022-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】523362009
【氏名又は名称】永豐泰科技企業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】白 東昇
(57)【要約】
【課題】手術室内関連機器用電子識別バンドを提供する。
【解決手段】手術室内関連機器用電子識別バンドは手術室内関連機器に装着され、帯状軟質基板、RFIDユニット、保護カバーおよび粘着層を備える。使用の時に手術室内関連機器用電子識別バンドの長さを使用対象に応じて適切に裁断し、剥離紙を剥がせば、様々なタイプおよび規格の手術室内関連機器に手術室内関連機器用電子識別バンドを無線識別としてしっかり巻いて貼り付けることができる。保護カバーは帯状軟質基板の片状搭載部に成型されたうえでRFIDユニットと外部を隔離し、保護効果を生じる。上述した構造特徴により、電子識別バンドの生産に伴って生じる経済効果を向上させることができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状軟質基板、RFIDユニット、保護カバーおよび粘着層を備え、
前記帯状軟質基板は可とう・絶縁性軟質プラスチックシートから構成され、片状搭載部を有し、
前記RFIDユニットは前記帯状軟質基板に配置され、
前記保護カバーは前記帯状軟質基板の前記片状搭載部の表面の前記RFIDユニットの周りに被さって成型されたうえで前記RFIDユニットと外部を隔離し、
前記粘着層は前記帯状軟質基板の底面に塗布されることを特徴とする手術室内関連機器用電子識別バンド。
【請求項2】
前記帯状軟質基板はポリイミド(Polyimide,PI)で製作した軟質プラスチックシートであることを特徴とする請求項1に記載の手術室内関連機器用電子識別バンド。
【請求項3】
前記帯状軟質基板は前記片状搭載部の前記表面に固定用トレーと、前記固定用トレーの周辺に形成された目印とを有することを特徴とする請求項1に記載の手術室内関連機器用電子識別バンド。
【請求項4】
前記片状搭載部は前記表面の前記RFIDユニットの周りに塗布された接着層を有し、前記接着層は接着剤および架橋剤から構成され、前記架橋剤は前記接着剤および前記保護カバーの材料と同様な官能基を有することを特徴とする請求項1に記載の手術室内関連機器用電子識別バンド。
【請求項5】
前記保護カバーの材料はシリコーン、シリコーンゴムおよびそれらの組成物のいずれか一つであり、
前記接着層は熱可塑性材料を含有することを特徴とする請求項4に記載の手術室内関連機器用電子識別バンド。
【請求項6】
成型用金型に前記帯状軟質基板を入れて前記保護カバーの材料を前記帯状軟質基板の表面に配置し、熱プレス処理を行うことによって前記片状搭載部の前記表面の前記RFIDユニットの周りに前記保護カバーを成型する方法を採用することを特徴とする請求項5に記載の手術室内関連機器用電子識別バンド。
【請求項7】
成型用金型に前記帯状軟質基板を配置し、続いて前記保護カバーの材料を前記成型用金型に注入することによって前記片状搭載部の前記表面の前記RFIDユニットの周りに前記保護カバーを成型する方法を採用することを特徴とする請求項5に記載の手術室内関連機器用電子識別バンド。
【請求項8】
前記RFIDユニットはセラミックアンテナによって金属干渉を防止するUHF帯RFIDユニットであることを特徴とする請求項1に記載の手術室内関連機器用電子識別バンド。
【請求項9】
前記片状搭載部は前記表面に金属箔から製作された固定用トレーを有し、
前記RFIDユニットは前記固定用トレーに装着されることを特徴とする請求項1に記載の手術室内関連機器用電子識別バンド。
【請求項10】
さらに剥離紙を備え、
前記剥離紙は前記粘着層の表面に貼り付けられることを特徴とする請求項1に記載の手術室内関連機器用電子識別バンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術室用機器の電子識別バンドに関し、詳しく言えば様々なタイプおよび規格の手術室内関連機器に適用でき、かつ構造が簡単で製造が容易であるだけでなく装着した後、外れにくい手術室内関連機器用電子識別バンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現今の医療機関は医療事故を防止するために医療の質の向上に継続的に努めるが、思いがけない医療事故を完全に避けることはできない。患者の安全(patient safety)に関連するテーマは世界保健機構(WHO)および欧米、日本などの国では最も重視される課題の一つでもあり、世界中の医療提供システムにおける重要な題材でもある。
【0003】
手術室は高リスク、高コスト、複雑、専門的かつハイテクな部門である。手術を進める際、執刀医師、麻酔科医、麻酔看護師、流動的に対応する看護師、その他の手術室スタッフがチームを組んで手術を行う。医療事故の統計により、手術結果が良くなかった件数の中の医療事故は16.9%であることが判明した。医療事故を減らし、患者の手術前後の安全を確保するために、滅菌供給部門が手術前に器具の配置および包装を確認することと、手術過程において機器の使用状況を監督することと、手術後に機器の回収、分類、チェックリスト作成および滅菌などを行うことが非常に重要である。上述した作業の流れおよび安全性を向上させるために、病院側では手術機器に使用前の識別および使用後の追跡を行うことを通し、滅菌を徹底的に執行し、院内感染または人体内に手術器具が残留した医療事故を防ぐ。
【0004】
それに対し、市販の識別用RFID電子ラベルは粘着剤で機器に付着して使用されるが、洗浄および滅菌過程において剥がれる、金属材機器に貼り付けられると金属が通信を妨害するという問題が発生する。
【0005】
特許文献1により掲示された手術室内関連機器用電子識別バンドは上述した問題点を改善できるが、機器に巻いてバックルで固定されるベースの伸縮性バンドの口径(サイズ)が調整できないことが原因で適用できる対象物が限定される。またベースを製作する際、あらかじめオス型バックルとメス型バックルを成型用型に埋めなければならないため、手間がかかるだけでなく、識別装置の製作コストおよび製作効率に影響を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はRFIDユニットを器機にしっかり固定し、洗浄および滅菌過程においてRFIDユニットの紛失を防ぐことができる手術室内関連機器用電子識別バンドを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、手術室内関連機器用電子識別バンドは帯状軟質基板、RFIDユニット、保護カバーおよび粘着層を備える。帯状軟質基板は可とう・絶縁性軟質プラスチックシートから構成され、片状搭載部を有する。RFIDユニットは帯状軟質基板に装着される。保護カバーは帯状軟質基板の片状搭載部の表面かつRFIDユニットの周りに被さって成型されたうえでRFIDユニットと外部を隔離する。粘着層は帯状軟質基板の底面に塗布される。
【0009】
手術室内関連機器に電子識別バンドを使用する際、使用対象に応じて帯状軟質基板の長さを適切に裁断し、剥離紙を剥がせば、様々なタイプおよび規格の手術室内関連機器に帯状軟質基板を無線識別としてしっかり巻いて固定することができる。つまり、洗浄および滅菌過程においてRFIDユニットの紛失を防ぐことができる。また、保護カバーは帯状軟質基板の片状搭載部に成型されたうえで簡単な構造のRFIDユニットと外部とを隔離し、保護効果を生じるため、電子識別バンドの生産に伴って生じる経済効果を著しく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態による手術室内関連機器用電子識別バンドを示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による手術室内関連機器用電子識別バンドの帯状軟質基板を示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態による手術室内関連機器用電子識別バンドを示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態による手術室内関連機器用電子識別バンドを手術室内関連機器に使用した状態を斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態による手術室内関連機器用電子識別バンドを手術室内関連機器に使用した状態を断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明による手術室内関連機器用電子識別バンドを図面に基づいて説明する。
【0012】
(一実施形態)
図1から
図4に示すように、本発明の一実施形態による手術室内関連機器用電子識別バンド10は帯状軟質基板20、RFIDユニット30、保護カバー40、粘着層50および剥離紙60を備える。
【0013】
帯状軟質基板20は可とう・絶縁性軟質プラスチックシートから構成され、片状搭載部21および固定用トレー22を有する。固定用トレー22は銅箔などの金属箔のエッチング加工によって片状搭載部21の表面に形成される。
【0014】
RFIDユニット30は帯状軟質基板20の固定用トレー22に貼り付けられる。
【0015】
保護カバー40は帯状軟質基板20の片状搭載部21の表面のRFIDユニット30の周りに被さって成型されたうえでRFIDユニット30と外部とを隔離する。
【0016】
粘着層50は帯状軟質基板20の底面に塗布される。
【0017】
剥離紙60は外部の異物を粘着層50に付着させないように粘着層50の表面に貼り付けられる。
【0018】
図1、
図5および
図6に示すように、手術室内関連機器70に電子識別バンド10を使用する際、剥離紙60を含む帯状軟質基板20の長さを使用対象に応じて適切に裁断し、剥離紙60を剥がせば、様々なタイプおよび規格の手術室内関連機器70に帯状軟質基板20を無線識別としてしっかり巻いて貼り付け、固定することができる。つまり、洗浄および滅菌過程においてRFIDユニットの紛失を防ぐことができる。
図1および
図4に示すように、保護カバー40は帯状軟質基板20の片状搭載部21の表面に被さって成型されるため、簡単な構造のRFIDユニット30は外部に接触せず、保護される。上述した構造特徴により、手術室内関連機器用電子識別バンド10の生産に伴って生じる経済効果を著しく向上させることができる。
【0019】
図1および
図2に示すように、本実施形態において、帯状軟質基板20は耐高温のポリイミド(Polyimide,PI)で製作した軟質プラスチックシートであるため、
図5および
図6に示すように、手術室内関連機器70に電子識別バンド10を使用すれば、電子識別バンド10と手術室内関連機器70とを一緒に高温滅菌することができる。
【0020】
図1および
図2に示すように、本実施形態において、帯状軟質基板20の片状搭載部21の固定用トレー22は周りに二重括弧などの目印220を有する。目印220で固定用トレー22の位置を表示すれば、SMT技術などの実装技術によって固定用トレー22に接着剤またははんだペーストを塗布し、RFIDユニットを実装する際の利便性をはかることができる。
【0021】
図2、
図3および
図4に示すように、本実施形態において、片状搭載部21は表面のRFIDユニットの周りに塗布された接着層210を有する。接着層210は接着剤および架橋剤から構成される。架橋剤は接着剤および保護カバーの材料と同様な官能基を有する。片状搭載部21の表面のRFIDユニット30の周りに保護カバー40を成型する際、架橋剤の官能基によって接着層210と保護カバー40との間に架橋反応を生じさせ、保護カバー40を片状搭載部21の表面に密着させることができる。保護カバー40の材料はシリコーン、シリコーンゴム、またはそれらの組成物である。接着層は熱可塑性材料を含有する。
図1、
図5および
図6に示すように、手術室内関連機器70に電子識別バンド10が使用される際、耐熱・耐薬品性の保護カバー40はRFIDユニット30に被さって帯状軟質基板20の片状搭載部21に密着して連結されるため、手術室内関連機器70の滅菌過程においてRFIDユニット30と外部とを隔離して良好な保護効果を生じる。保護カバー40を成型する際、下記の方法を採用することができる。
図4に示すように、一つは熱プレス機用金型(図中未表示)に帯状軟質基板20を入れてシリコーンまたはシリコーンゴムを帯状軟質基板20の表面に配置し、熱プレス処理を行う方法である。別の一つは射出成型機用金型(図中未表示)に帯状軟質基板20を配置し、続いてシリコーンまたはシリコーンゴムを射出機で注入する方法である。上述した方法により、片状搭載部21の表面のRFIDユニットの周りに保護カバー40を成型することができる。
【0022】
図2、
図3および
図4に示すように、本実施形態において、RFIDユニット30がセラミックアンテナによって金属干渉を防止するUHF帯RFIDユニットであれば、
図5および
図6に示すように、金属材質の手術室内関連機器70に装着した電子識別バンド10に対し、電子読み取り装置(図中未表示)はRFIDユニット30の識別IDの長距離読み取りができる。例として病院のUHF帯RFIDシステムが922~928MHzの周波数帯域に対応していて
図5に示すように手術室内関連機器70に装着した電子識別バンド10に読み取り距離を測定した場合、論理的な読み取り距離は0.76から0.81mである。つまり、金属材料の手術室内関連機器70に装着した電子識別バンド10に金属は干渉するか、影響を与えることがない。実際の読み取り距離は設備のパワーによって増大し、平均値が論理的な読み取り距離の1.5倍である。言い換えれば、手術室内関連機器70に装着した電子識別バンド10は922~928MHzの周波数帯域において読み取り距離が1.14から1.21mに達するため、病院内関連機器を無線識別によって管理する需要性を満足させることができる。
【0023】
本実施形態において、RFIDユニット30は上述に限定されず、HF帯RFIDユニットであってもよい。固定用トレー22は上述に限定されず、省略されてもよい。RFIDユニット30は上述に限定されず、UV硬化樹脂などの接着剤によって帯状軟質基板20の片状搭載部21に貼り付けられてもよい。剥離紙60は上述に限定されず、省略されてもよい。それに対し、帯状軟質基板20に粘着層50を塗布すれば、手術室内関連機器70に帯状軟質基板20を貼り付けることができる。
【0024】
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0025】
10:電子識別バンド
20:帯状軟質基板
21:片状搭載部
210:接着層
22:固定用トレー
220:目印
30:RFIDユニット
40:保護カバー
50:粘着層
60:剥離紙
70:手術室内関連機器