(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050477
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】組換えヒト型化コラーゲンおよびその応用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/12 20060101AFI20240403BHJP
C07K 14/78 20060101ALI20240403BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240403BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240403BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240403BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240403BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240403BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240403BHJP
A61K 8/65 20060101ALI20240403BHJP
A61K 38/39 20060101ALI20240403BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20240403BHJP
C12P 21/02 20060101ALN20240403BHJP
【FI】
C12N15/12 ZNA
C07K14/78
C12N15/63 Z
C12N5/10
C12N1/21
C12N1/19
C12N1/15
A61Q19/00
A61K8/65
A61K38/39
A61P17/02
C12P21/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023158271
(22)【出願日】2023-09-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-04-01
(31)【優先権主張番号】202211197277.9
(32)【優先日】2022-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523362571
【氏名又は名称】広東省禾基生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】曾惠羚
(72)【発明者】
【氏名】胡麗雲
(72)【発明者】
【氏名】張智ティン
(72)【発明者】
【氏名】沈海洋
(72)【発明者】
【氏名】劉キ茵
(72)【発明者】
【氏名】任傑
(72)【発明者】
【氏名】何廷剛
(72)【発明者】
【氏名】艾勇
(72)【発明者】
【氏名】張熾堅
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C083
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG01
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B064DA20
4B065AA25X
4B065AA93Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4B065CA50
4C083AD431
4C083EE09
4C083EE12
4C083EE13
4C084AA02
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084DA40
4C084NA06
4C084ZA89
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045DA50
4H045EA15
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA01
4H045GA26
(57)【要約】
【課題】本発明は、組換えヒト型化コラーゲンおよびその応用を提供する。
【解決手段】前記組換えヒト型化コラーゲンは、リーダーペプチドおよび少なくとも1つの基本繰り返し単位を含み、前記基本繰り返し単位は、SEQ ID No.1で示されるアミノ酸配列を含む。本発明は、前記組換えヒト型化コラーゲンの調製方法を更に提供する。本発明に記載の組換えヒト型化コラーゲンは、良好な溶解性、安定性、生物活性および接着性を有し、免疫原性が低くてより安全であり、調製コストが低く、効率が高く、技術が成熟し、操作しやすく、重要な応用の見通しを有している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組換えヒト型化コラーゲンであって、
前記組換えヒト型化コラーゲンのアミノ酸配列は、SEQ ID No.3で示されるものである、
ことを特徴とする組換えヒト型化コラーゲン。
【請求項2】
核酸分子であって、
請求項1に記載の組換えヒト型化コラーゲンをコードし、
前記核酸分子のヌクレオチド配列は、SEQ ID No.4で示されるものである、
ことを特徴とする核酸分子。
【請求項3】
少なくとも1つのコピーされた請求項2に記載の核酸分子を含む、
ことを特徴とする発現ベクター。
【請求項4】
請求項1に記載の組換えヒト型化コラーゲンを発現する、
ことを特徴とする組換え細胞。
【請求項5】
前記組換え細胞のゲノムに請求項2に記載の核酸分子が組み込まれる、
ことを特徴とする請求項4に記載の組換え細胞。
【請求項6】
前記組換え細胞に請求項3に記載の発現ベクターが含まれる、
ことを特徴とする請求項4に記載の組換え細胞。
【請求項7】
請求項1に記載の組換えヒト型化コラーゲンの、化粧品または皮膚損傷治療薬の調製における応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組換えタンパク質の技術分野に属し、特に、組換えヒト型化コラーゲンの一種およびその応用に関し、前記組換えヒト型化コラーゲンはリーダーペプチドおよび少なくとも1つの基本繰り返し単位を含む。
【背景技術】
【0002】
コラーゲンは、動物体内に含有量が最も豊かなタンパク質であり、体内の全てのタンパク質の約30%を占める。表皮と真皮との間に「クッションネットワーク(Cushion Network)」と呼ばれる1層の組織が存在し、その中に大量のコラーゲンが含まれ、表皮を支持し、肌の陥没を防止し、肌を引き締めさせて滑らかにさせることができる。III型コラーゲンの補充がスキンケアの鍵であるため、コラーゲンは、医薬および化粧品等の業界に広く適用できる。
【0003】
しかし、天然コラーゲンは、一般的に水に溶けず、人体に利用されにくく、且つ、成分が複雑で、安全性が低い。現在市販されている動物由来のコラーゲンには伝染病のリスクがあり、人間が使用すると免疫拒絶反応を引き起こす可能性が高くなる。更に重要なのは、動物由来のコラーゲンは、通常、酸、アルカリ、酵素分解法の処理によって得られ、その生物学的活性が人体の天然コラーゲンよりも遥かに低い。ヒト由来のコラーゲンは、ヒト胎盤原料から抽出できるが、ソースが限られ、多方面の制限がある。
【0004】
組換えヒト型化コラーゲンの構造は、ヒト由来のコラーゲンに類似し、ヒト由来のコラーゲンに対する設計および最適化を経た後、コラーゲンの活性を高め、免疫原性を低減することができる。
【0005】
CN107714504Aは、同ヒト由来コラーゲン組成物を開示し、該組成物は、重量%で同ヒト由来コラーゲン0.001~0.5%、植物調整剤0.2~20.0%、機能性組み合わせ体0.05~10.0%、マトリックス副材料69.5~99.7%という成分を含み、前記同ヒト由来コラーゲン構造アミノ酸配列は、599個のアミノ酸を含み、分子量が55.0kDaである。前記組成物は、保湿、経皮吸収、スキンケア、抗炎症低刺激、滋養修復、抗菌に便利という相乗作用を有する。前記同ヒト由来コラーゲンは、スキンケア製品分野で広い応用の見通しを有するが、同ヒト由来コラーゲンは分子量が大きくて安定性が悪く、生物学的活性を長期間にわたって維持することが困難であるため、そのスキンケア効果が長続きしないのに繋がる。
【0006】
したがって、高溶解性、低免疫原性、高生物活性、容易に入手できるヒトIII型コラーゲンおよびその調製方法をいかに提供するかが喫緊の課題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】中国特許出願公開第107714504号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術の不足および実際のニーズに応じ、本発明は、組換えヒト型化コラーゲンおよびその応用を提供し、前記組換えヒト型化コラーゲンは、良好な溶解性、安定性および生物活性を有し、生物接着性が高く、細胞ヒーリング促進能力および増殖能力を備え、低免疫原性であり、実用的な価値がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明は、以下のような技術案を採用する。
【0010】
態様1において、本発明は、
リーダーペプチドおよび少なくとも1つの基本繰り返し単位を含み、
前記基本繰り返し単位は、SEQ ID No.1で示されるアミノ酸配列を含む、
組換えヒト型化コラーゲンを提供する。
【0011】
ここで、基本繰り返し単位の数は、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つまたは10個等であり、該数値範囲内の他の具体的な点値はいずれも選択でき、ここで説明を省略する。
【0012】
SEQ ID No.1:GPIGPPGPRGNRGERGSEGSPGHPGQPGPPGPPGAPGPC。
【0013】
本発明において、ヒト由来リーダーペプチドを加えることにより、組換えコラーゲンの免疫原性を低減し、基本繰り返し単位としてIII型コラーゲンにおける結晶解析構造を有する断片を選択し、組換えコラーゲンの安定性を増加した。前記組換えヒト型化コラーゲンは、タンパク質発現技術によりインビトロ発現を行うことができ、生産コストが低くて生成物の成分が単一であり、安全性がより高く、良好な可溶性および接着性を有し、生物活性が良く、薬品および化粧品等の関連分野で広い応用の見通しを有している。
【0014】
本発明において、前記組換えヒト型化コラーゲンは単鎖構造であり、可溶性発現を呈している。
【0015】
好ましくは、前記リーダーペプチドは、SEQ ID No.2で示されるアミノ酸配列を含む。
【0016】
SEQ ID No.2:MESCPTGPQNYSPQYDSYDVKSGVAVG。
【0017】
好ましくは、前記基本繰り返し単位の数は3~6個であり、例えば、3つ、4つ、5つまたは6つであってもよい。
【0018】
本発明において、基本繰り返し単位の数を3~6個の範囲内に制御することにより、組換えタンパク質に良好な安定性と可溶性とを併有させることができ、基本繰り返し単位の数が少ないと、組換えタンパク質の安定性が悪く、基本繰り返し単位の数が多すぎると、組換えタンパク質の可溶性が低減される。
【0019】
好ましくは、前記組換えヒト型化コラーゲンは、SEQ ID No.3で示されるアミノ酸配列を含む。
【0020】
SEQ ID No.3:
MESCPTGPQNYSPQYDSYDVKSGVAVGGPIGPPGPRGNRGERGSEGSPGHPGQPGPPGPPGAPGPCGPIGPPGPRGNRGERGSEGSPGHPGQPGPPGPPGAPGPCGPIGPPGPRGNRGERGSEGSPGHPGQPGPPGPPGAPGPCGPIGPPGPRGNRGERGSEGSPGHPGQPGPPGPPGAPGPCHHHHHH。
【0021】
態様2において、本発明は、態様1に記載の組換えヒト型化コラーゲンをコードする核酸分子を提供する。
【0022】
好ましくは、前記核酸分子は、SEQ ID No.4で示されるヌクレオチド配列を含む。
【0023】
SEQ ID No.4:
atggaatcttgcccgaccggtccgcagaactactctccgcagtacgactcttacgacgttaaatctggtgttgctgttggtggtccgatcggtccgccgggtccgcgtggtaaccgtggtgaacgtggttctgaaggttctccgggtcacccgggtcagccgggtccgccgggtccgccgggtgctccgggtccgtgcggtccgatcggtccgccgggtccgcgtggtaaccgtggtgaacgtggttctgaaggttctccgggtcacccgggtcagccgggtccgccgggtccgccgggtgctccgggtccgtgcggtccgatcggtccgccgggtccgcgtggtaaccgtggtgaacgtggttctgaaggttctccgggtcacccgggtcagccgggtccgccgggtccgccgggtgctccgggtccgtgcggtccgatcggtccgccgggtccgcgtggtaaccgtggtgaacgtggttctgaaggttctccgggtcacccgggtcagccgggtccgccgggtccgccgggtgctccgggtccgtgccaccatcatcaccaccattaa。
【0024】
本発明において、前記組換えヒト型化コラーゲンをコードする核酸分子配列は、宿主のコドンバイアスによってコドン最適化を行い、大腸菌での発現効率を著しく向上させる。
【0025】
本発明において、前記核酸分子配列にNde IおよびXho I酵素切断部位を導入して発現ベクターと連結するために用いる。
【0026】
態様3において、本発明は、少なくとも1つのコピーされた態様2に記載の核酸分子を含む発現ベクターを提供する。
【0027】
態様4において、本発明は、態様1に記載の組換えヒト型化コラーゲンを発現する組換え細胞を提供する。
【0028】
好ましくは、前記組換え細胞のゲノムに態様2に記載の核酸分子が組み込まれる。
【0029】
好ましくは、前記組換え細胞に態様3に記載の発現ベクターが含まれる。
【0030】
態様5において、本発明は、
発現ベクターを構築し、前記発現ベクターを受容体細胞に導入し、選別することと、
選別した工学菌株を培養し、発現を誘導して精製を行い、前記組換えヒト型化コラーゲンを取得することと、を含む、
態様1に記載の組換えヒト型化コラーゲンの調製方法を提供する。
【0031】
好ましくは、前記受容体細胞は大腸菌発現株を含む。
【0032】
好ましくは、前記発現を誘導する方法は、IPTG誘導を含む。
【0033】
好ましくは、前記精製前に、菌体を破砕するステップを更に含む。
【0034】
好ましくは、前記精製の方法は、ニッケルイオンカラムアフィニティークロマトグラフィーを含む。
【0035】
好ましい技術案として、本発明に係る組換えヒト型化コラーゲンの調製方法は、
(1)前記組換えヒト型化コラーゲンをコードする核酸分子をプラスミドベクターに連結し、発現ベクターを構築し、前記発現ベクターを大腸菌発現株に導入し、選別して遺伝子組換え大腸菌を取得することと、
(2)前記遺伝子組換え大腸菌を発酵培養し、IPTGでタンパク質の発現を誘導した後、遠心分離で菌体を収集することと、
(3)収集した菌体を超音波破砕し、遠心分離で上清を収集することと、
(4)上清に対してニッケルイオンカラムアフィニティークロマトグラフィー精製を行い、前記組換えヒト型化コラーゲンを取得することと、を含む。
【0036】
態様6において、本発明は、態様1に記載の組換えヒト型化コラーゲンの、化粧品または皮膚損傷治療薬の調製における応用を提供する。
【発明の効果】
【0037】
従来技術と比べ、本発明は、以下のような有益な効果を有する。
【0038】
本発明は、組換えヒト型化コラーゲンに基本繰り返し単位を導入し、コラーゲンの可溶性を向上させ、組換えタンパク質の安定性を増加し、ヒト由来リーダーペプチドの添加により、タンパク質の免疫原性を低減し、関連製品の安全性を高め、前記組換えヒト型化コラーゲンは、タンパク質発現系によってインビトロで合成され、生産量が高く、コストが低く、反応条件が温和で、組換えタンパク質活性に対する化学物質の影響を減少する。コラーゲンは、細胞外マトリックスの主要成分である。組換えヒト型化コラーゲンの主な生物学的機能は、細胞に足場および良好な微小環境を提供することであり、例えば、細胞の接着、増殖成長、遊走等を促進する。従って、細胞‐コラーゲンの相互作用を評価することにより組換えコラーゲンの生物学的機能を評価することができる。本発明の組換えヒト型化コラーゲンの細胞接着活性は天然ヒトコラーゲンよりも優れ、良好な細胞遊走活性と細胞の増殖成長を促進する能力とを有するとともに、熱安定性の特質を備える。生物活性がより良く、接着性がより強く、良好な接着性が肌との密着を向上させることができ、創傷面修復の分野で重要な応用の見通しを有している。組換えヒト型化コラーゲンの調製方法は、技術が成熟し、操作しやすく、関連製品の普及および使用を促進する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】実施例1における発現ベクターのプラスミドマップである。
【
図2】実施例1における組換えヒト型化コラーゲンのSDS-PAGEの検出結果図であり、図において、レーンMは標準タンパク質分子量Markerで、レーン1は組換えヒト型化コラーゲンである。
【
図3】本発明の試験例1における相対細胞接着活性の検出結果図である。
【
図4】本発明の試験例2における細胞毒性の検出結果である。
【
図5】本発明の試験例2における細胞スクラッチの検出結果である。
【
図6】本発明の試験例3における細胞増殖の検出結果である。
【
図7】本発明の試験例4における組換えヒト型化コラーゲンのSDS-PAGE電気泳動の検出結果であり、図において、レーンMは標準タンパク質分子量Markerであり、レーン1は加熱前の組換えヒト型化コラーゲンであり、レーン2は加熱後の組換えヒト型化コラーゲンである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明に使用される技術手段およびその効果を更に説明するために、以下、実施例および図面を参照しながら本発明について更に説明する。ここで説明する具体的な実施形態は、本開示を解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではないことが理解できる。
【0041】
実施例で具体的な技術または条件が明記されていない場合、本分野内の文献で説明された技術または条件に従い、あるいは製品の説明書に従って行う。使用される試薬または機器のメーカーが明記されていないものは、いずれも正規のルートから購入された通常の製品である。
【実施例0042】
本実施例では、組換えヒト型化コラーゲンを調製し、前記組換えヒト型化コラーゲンは、リーダーペプチドおよび4つの基本繰り返し単位を含み、前記組換えヒト型化コラーゲンの配列は、SEQ ID No.3で示されるとおりである。
【0043】
SEQ ID No.3:
MESCPTGPQNYSPQYDSYDVKSGVAVGGPIGPPGPRGNRGERGSEGSPGHPGQPGPPGPPGAPGPCGPIGPPGPRGNRGERGSEGSPGHPGQPGPPGPPGAPGPCGPIGPPGPRGNRGERGSEGSPGHPGQPGPPGPPGAPGPCGPIGPPGPRGNRGERGSEGSPGHPGQPGPPGPPGAPGPCHHHHHH。
【0044】
前記組換えヒト型化コラーゲンは、以下のような方法により調製された。
【0045】
(1)前記組換えヒト型化コラーゲンをコードする核酸分子に対してコドン最適化を行い、Nde IおよびXho I酵素切断部位を導入し、SEQ ID No.4で示されるヌクレオチド配列を取得した。
【0046】
SEQ ID No.4:
atggaatcttgcccgaccggtccgcagaactactctccgcagtacgactcttacgacgttaaatctggtgttgctgttggtggtccgatcggtccgccgggtccgcgtggtaaccgtggtgaacgtggttctgaaggttctccgggtcacccgggtcagccgggtccgccgggtccgccgggtgctccgggtccgtgcggtccgatcggtccgccgggtccgcgtggtaaccgtggtgaacgtggttctgaaggttctccgggtcacccgggtcagccgggtccgccgggtccgccgggtgctccgggtccgtgcggtccgatcggtccgccgggtccgcgtggtaaccgtggtgaacgtggttctgaaggttctccgggtcacccgggtcagccgggtccgccgggtccgccgggtgctccgggtccgtgcggtccgatcggtccgccgggtccgcgtggtaaccgtggtgaacgtggttctgaaggttctccgggtcacccgggtcagccgggtccgccgggtccgccgggtgctccgggtccgtgccaccatcatcaccaccattaa
【0047】
(2)SEQ ID No.4で示されるヌクレオチド配列およびプラスミドベクターpET-32a(+)に対してNde IおよびXho Iの二重酵素切断を行ってから連結し、大腸菌DH5αを形質転換し、モノクローナルコロニーをピックアップした後、アルカリ溶解法でプラスミドを抽出し、シーケンシングで陽性クローンの正確を同定し、構築に成功して発現ベクターを取得し、そのプラスミドマップは、
図1に示すとおりである。
【0048】
(3)前記発現ベクターを大腸菌発現株OverExpress C43(DE3)に導入し、選別して遺伝子組換え大腸菌を取得した。
【0049】
(4)選別した後のモノクローナルコロニーをピックアップして4mLのLB培地で一晩培養し、OD600が0.4~0.6となるまで、2%の接種量でシェイクフラスコに37℃で培養し、1:5000の割合でIPTGを加え、30℃で15~20h培養してタンパク質の発現を誘導し、遠心分離で菌体を収集した。
【0050】
(5)50mmoLのTri-HCl溶液(pH7.4)を用いて菌体を遠心管に再懸濁し、氷水混合物の環境で菌体を超音波破砕し(2s運転して4s停止し)、6000rpmで30min遠心分離し、上清を収集した。
【0051】
(6)タンパク質精製装置でニッケルイオンアフィニティーカラムを用いて上清を精製し、前記組換えヒト型化コラーゲンを取得し、そのSDS-PAGEの検出結果は
図2に示すとおりである。
【0052】
本実施例において、前記組換えヒト型化コラーゲンをCOL-HJ-01と命名した。
【0053】
[比較例1]
本比較例は、ヒト胎盤由来のI型コラーゲンを提供し、sigma社から購入し、商品番号がC7774であった。
【0054】
[比較例2]
本比較例は、ヒト胎盤由来のIII型コラーゲンを提供し、sigma社から購入し、商品番号がC4407であった。
【0055】
[試験例1]
本試験例は、実施例1で調製された組換えヒト型化コラーゲンおよび比較例1、比較例2の天然ヒト胎盤由来のコラーゲンの細胞接着性をテストし、ステップは以下のとおりである。
【0056】
(1)タンパク質サンプルのプレーティング:タンパク質サンプルを各ウェル100μLで96ウェルプレートに添加し、空白のウェルにタンパク質サンプルを添加しなかった。
【0057】
(2)タンパク質サンプルの被覆:上記96ウェルプレートを、37℃、5%のCO2インキュベータに置いて被覆した。
【0058】
(3)タンパク質サンプルのブロッキング:100μLの1%のBSA-PBS溶液を加え、37℃、5%のCO2インキュベータでブロッキングし、余分なブロッキング液を取り除いた後、D-PBSで3回洗浄した。
【0059】
(4)細胞の用意:5×104cell/mLのBal b/c3T3細胞懸濁液を用意し、各ウェル100μLで96ウェルプレートに添加して1~4h培養し、各ウェルに6つの繰り返しを設けた。
【0060】
(5)検出:培養後に、MTT法で検出し、波長570nm、630nmで吸光値を検出した。
【0061】
(6)計算:タンパク質サンプルの相対細胞接着活性を計算し、サンプル細胞接着率=サンプル群のOD値/ブランク群のOD値である。
【0062】
結果は、
図3に示すように、
図3において、ポジティブコントロールは、比較例1、比較例2におけるヒト由来コラーゲンであり、COL-HJ-01は、実施例1で調製された組換えヒト型化コラーゲンCOL-HJ-01であった。図から見られるように、本願の実施例1で調製された組換えヒト型化コラーゲンCOL-HJ-01は、ヒト胎盤から抽出されたI型コラーゲン、III型コラーゲンと比べ、後者よりも優れた接着能力を有し、それは良好な生物活性を有し、関連する薬および化粧品の調製に適用できることを表した。
【0063】
[試験例2]
本試験例は、実施例1で調製された組換えヒト型化コラーゲンに対して細胞毒性および細胞スクラッチ実験を行った。
【0064】
(1)予備実験(細胞毒性実験)
細胞毒性を検出した。適当な溶媒を見つけてサンプルを溶解し、一般的に、選用溶媒の順は、超純水、95%のエタノール、DMSOである。最大溶解度を最高濃度として初回実験を行い、初回実験の状況に応じて正式な実験のサンプル濃度範囲を縮小し、正式な実験に使用される安全濃度を選択した。細胞毒性実験の結果は、
図4に示すように、COL-HJ-01が細胞毒性を備えなかった。
【0065】
(2)正式な実験(細胞スクラッチ実験)
(a)6ウェルプレートに2mLの希釈した細胞懸濁液を添加し、その濃度を1×106cells/wellとした。
【0066】
(b)細胞が壁に付着して6ウェルプレートの約80~90%に増殖した状態になった後、マイトマイシンCを含むDMEM培地で2h前処理した。
【0067】
(c)10μLのピペットマンで傷をつけ、PBSで3回洗浄した後、マイトマイシンCを含むDMEM培地を加えてサンプルを加えた。
【0068】
(d)サンプルを加えた後、倒立顕微鏡下に置いて0hのスクラッチ幅を撮影して記録し、インキュベータに入れて24h培養した。
【0069】
(e)24h後に、CO2インキュベータから6ウェルプレートを取り出し、倒立顕微鏡下に置いて24hのスクラッチ幅を撮影してデータを記録した。
【0070】
(f)計算:スクラッチヒーリング率(%)=(S0-S24スクラッチ面積)/S0スクラッチ面積×100%。
【0071】
結果は、
図5に示すように、今回の実験において、検出濃度範囲内のサンプル群はControl群(ブランク)と比べて、有意差があり、細胞遊走を促進する作用を有する。
【0072】
[試験例3]
本試験例は、実施例1で調製された組換えヒト型化コラーゲンの細胞増殖を試験する実験であり、実験ステップは、以下に示すとおりである。
【0073】
(1)100μLの希釈した細胞懸濁液を96ウェルプレートに添加し、その濃度を1.0×104cells/wellとした。
【0074】
(2)CO2インキュベータに入れて24h培養した。
【0075】
(3)サンプルを加えた後、インキュベータに入れて24h培養した。
【0076】
(4)培地でCCK-8試薬の10倍希釈液を調製した。
【0077】
(5)96ウェルプレート中のサンプル含有培地をキレイに捨てた後、各ウェルに100μLの上記CCK-8の希釈液を入れ、CO2インキュベータで1~2h培養した。
【0078】
(6)96ウェルプレートを取り出し、マイクロプレートリーダーを用いて450nmで吸光度を測定した。
【0079】
HaCaT細胞生存率(%)=100%×ブランク群の吸光度値/サンプル群の吸光度値。
【0080】
結果は、
図6に示すように、今回の実験において、検出濃度範囲内のサンプル群はControl群(ブランク)と比べて、有意差があり、細胞増殖を促進する作用を有する。
【0081】
[試験例4]
本試験例は、実施例1で調製された組換えヒト型化コラーゲンの熱安定性を試験する実験であり、実験ステップは、以下のとおりである。
【0082】
今回の熱安定性実験は、水浴の熱刺激方式を用い、60℃の水浴で15min処理し、加熱後に遠心分離処理を行い、上清にSDS-PAGEを行った。結果は、
図7に示すように、レーンMが標準タンパク質分子量Markerで、レーン1が加熱前の組換えヒト型化コラーゲンで、レーン2が加熱後の組換えヒト型化コラーゲンであった。水浴加熱は、大量の共雑タンパク質を沈殿させたが、COL-HJ-01に依然として明らかなバンドがあり、該タンパク質が熱安定性能を有することが分かった。その後の適用、運送で対応する安定的な優位性を有する。
【0083】
以上をまとめ、本願で調製された組換えヒト型化コラーゲンは、良好な可溶性と熱安定性とを併有し、低免疫原性で、安全性が良く、高生物活性で、接着性が強く、細胞ヒーリング促進能力および増殖能力が強く、調製方法の技術が成熟し、効率が高く、コストが低く、穏やかな条件で生産可能であり、化学試薬の使用が低減し、実際の生産に適用される価値がある。
【0084】
本発明は、上記実施例により本発明の詳細な方法について説明したが、本発明は上記詳細な方法に限定するものではなく、すなわち、本発明は上記詳細な方法に依存して実施しなければならないことを意味するものではないことを、出願人より声明する。当業者であれば、本発明に対するいかなる改良、本発明製品の原料に対する等価的な置換および補助成分の追加、具体的な形態の選択等は、全て本発明の保護範囲および開示範囲内に含まれることを理解すべきである。