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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050494
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】超臨界冷却システム及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20240403BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20240403BHJP
   F25B 43/00 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
F25B1/00 385Z
F25B1/00 304Z
F25B49/02 510K
F25B43/00 F
F25B1/00 371A
F25B1/00 304F
F25B43/00 L
F25B1/00 101Z
F25B1/00 304G
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023166095
(22)【出願日】2023-09-27
(31)【優先権主張番号】10-2022-0124440
(32)【優先日】2022-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523369983
【氏名又は名称】マイコム コリア カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MYCOM KOREA CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100149892
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 弥生
(74)【代理人】
【識別番号】100185672
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】パク スソク
(72)【発明者】
【氏名】キム ソンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム チュンス
(72)【発明者】
【氏名】キム ジヒョン
(72)【発明者】
【氏名】片岡 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】吉田 剛
(57)【要約】      (修正有)
【課題】圧縮機への液戻りを効果的に防止する冷却システムとその制御方法を提供する。
【解決手段】冷媒の流動方向を基準として、圧縮機20、ガスクーラ30、フラッシュタンク40、膨張弁60、蒸発器70及び気液分離器80を順に備える冷却システムを制御する制御方法であって、フラッシュタンク40に貯蔵された液相の冷媒の水位を獲得するステップと、獲得されたフラッシュタンク40の水位が所定の基準タンク水位以下である場合、圧縮機20で圧縮された冷媒を気液分離器80に伝達するステップと、を含む
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮するように設けられる圧縮機と、
前記圧縮機で圧縮された冷媒を液体化するために冷却するように設けられるガスクーラと、
前記ガスクーラで冷却された冷媒を貯蔵するように設けられるフラッシュタンクと、
前記フラッシュタンクから伝達された液相の冷媒を膨張させるように設けられる膨張弁と、
前記膨張弁で膨張された冷媒を蒸発させるように設けられる蒸発器と、
前記蒸発器を通過した冷媒の液相の一部と気相の一部を分離し、前記気相の一部を前記圧縮機に伝達するように設けられる気液分離器と、
前記圧縮機で圧縮された冷媒を前記気液分離器に伝達するように設けられる循環ラインと、
前記循環ラインの開閉を調節するように前記循環ラインに配置される循環弁と、
前記フラッシュタンクに貯蔵された液相の冷媒の水位を獲得するために前記フラッシュタンクの内部に設置されるタンク水位獲得部と、
前記タンク水位獲得部と前記循環弁と電気的に連結されるプロセッサと、を含んでなり、
前記プロセッサは、
前記タンク水位獲得部が獲得した水位が所定の基準タンク水位以下である場合、前記循環弁が所定の開度である基準開度で開放されるように制御する、冷却システム。
【請求項2】
前記圧縮機は、前記プロセッサと電気的に連結され、
前記プロセッサは、
前記タンク水位獲得部が獲得した水位が所定の基準タンク水位以下である場合、前記圧縮機の運転速度が所定の正常速度より小さくなるように制御する、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記気液分離器に貯蔵された液相の冷媒の水位を獲得するために前記気液分離器の内部に設置される気液分離水位獲得部をさらに含み、
前記プロセッサは、前記気液分離水位獲得部と前記膨張弁に電気的にさらに連結され、
前記プロセッサは、
前記気液分離水位獲得部が獲得した水位が所定の基準気液分離水位以上である場合、前記膨張弁が閉鎖されるように制御する、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記膨張弁が閉鎖されるとき、前記プロセッサは、
前記循環弁が前記基準開度より大きい開度で開放され、前記圧縮機の運転速度が減少するように制御する、請求項3に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記気液分離器から排出される冷媒の温度を獲得するように設けられる流入温度獲得部と、
前記気液分離器から排出される冷媒の圧力を獲得するように設けられる流入圧力獲得部と、をさらに含み、
前記膨張弁が閉鎖された状態において、前記流入温度獲得部と前記流入圧力獲得部に電気的に連結される前記プロセッサは、
前記気液分離水位獲得部が獲得した水位が所定の基準気液分離水位未満であり、前記流入温度獲得部が獲得した温度及び前記流入圧力獲得部が獲得した圧力から算出される過熱度が所定の基準過熱度以上である場合、前記循環弁を閉鎖し、前記圧縮機の運転速度を所定の正常速度となるようにして、前記膨張弁が開放されるように制御する、請求項3に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記プロセッサに電気的に連結され、前記圧縮機に流入される冷媒の圧力を獲得するように設けられる流入圧力獲得部をさらに含み、
前記プロセッサは、
前記流入圧力獲得部が獲得した圧力が所定の停止圧力以下である場合、前記循環弁が開放されるように制御する、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項7】
冷媒の流動方向を基準として、圧縮機、ガスクーラ、フラッシュタンク、膨張弁、蒸発器及び気液分離器を順に備える冷却システムを制御する制御方法であって、
前記フラッシュタンクに貯蔵された液相の冷媒の水位を獲得するステップと、
獲得された前記フラッシュタンクの水位が所定の基準タンク水位以下である場合、前記圧縮機で圧縮された冷媒を前記気液分離器に伝達するステップと、を含む、冷却システム制御方法。
【請求項8】
前記獲得されたフラッシュタンクの水位が所定の基準タンク水位以下である場合、前記圧縮機を所定の正常速度より遅い速度で運転させるステップをさらに含む、請求項7に記載の冷却システム制御方法。
【請求項9】
前記気液分離器に貯蔵された液相の冷媒の水位を獲得するステップと、
獲得した前記気液分離器の水位が所定の基準気液分離水位以上である場合、前記膨張弁を閉鎖するステップと、をさらに含む、請求項7に記載の冷却システム制御方法。
【請求項10】
前記膨張弁が閉鎖された状態において、前記気液分離器に貯蔵された液相の冷媒の水位をさらに獲得するステップと、
前記膨張弁が閉鎖された状態において、前記気液分離器から排出される冷媒の温度を獲得するステップと、
前記膨張弁が閉鎖された状態において、前記気液分離器から排出される冷媒の圧力を獲得するステップと、
獲得された前記冷媒の温度と圧力から過熱度を算出するステップと、
さらに獲得された前記冷媒の水位が前記基準気液分離水位未満であり、算出された前記過熱度が所定の基準過熱度以上である場合、前記膨張弁を開放して、前記圧縮機で圧縮された冷媒が前記気液分離器に伝達されることを遮断するステップと、をさらに含む、請求項9に記載の冷却システム制御方法。
【請求項11】
さらに獲得された前記冷媒の水位が前記基準気液分離水位未満であり、算出された前記過熱度が所定の基準過熱度以上であり、前記圧縮機の運転速度が所定の正常速度より遅い速度で運転する場合、前記圧縮機の運転速度を前記正常速度に戻すステップをさらに含む、請求項10に記載の冷却システム制御方法。
【請求項12】
前記圧縮機に流入される冷媒の圧力を獲得するステップと、
獲得された前記圧縮機に流入される冷媒の圧力が所定の停止圧力以下である場合、前記圧縮機で圧縮された冷媒を前記気液分離器に伝達するステップと、をさらに含む、請求項7に記載の冷却システム制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超臨界冷却システム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冷却システムは、冷却サイクルを用いて冷却を実施するシステムを意味する。超臨界冷却システムは、二酸化炭素などの超臨界流体を冷媒として用いる冷却システムである。冷却システムにおいては、ガスクーラと蒸発器の間の冷媒流路にフラッシュタンクを設置し、ガスクーラから出た冷媒を膨張弁で減圧し、気液混合された冷媒をフラッシュタンクに送って気相部と液相部に分離する。分離された気相部のガス冷媒を、蒸発器をバイパスして圧縮機、特に、パラレル圧縮機に供給することが行われている。これによって、高圧冷媒用の耐圧配管を配置する領域を減らし、低コスト化を図ることができる。
【0003】
圧縮機の液戻り(liquid back)による液圧縮及び非正常的な過熱を避けつつ、冷却システムの作動適用の範囲を拡大することができる。図1は、既存の冷却システムの構成を概念的に示した図である。図1に示された先行文献である日本国公開特許公報特開2021-105474により公開された既存の冷却システムは、気相部及び液相部を有するフラッシュタンク101、フラッシュタンク101の液相部からの冷媒が誘導される蒸発器102、装置を通過した後の冷媒ガスを圧縮するための圧縮機108、蒸発器102と圧縮機108を連結する第1冷媒流路103、フラッシュタンク101の気相部及び第1冷媒流路103を連結するための第2冷媒流路104、フラッシュタンク101の液相部及び蒸発器を通過した冷媒を熱交換するための熱交換器105、及び第2冷媒流路104に設置された第1膨張弁106と、前記蒸発器102における前記冷媒の蒸発温度と関わりがある圧力又は温度を検出するためのセンサ109と、前記センサ109の検出結果に基づいて設定されるフラッシュタンク101の目標圧力に基づき、第1膨張弁106の開度制御を行うための制御ユニット107を含む。
【0004】
このような方法によると、フラッシュタンク101の圧力を圧縮機108の液戻りや異常過熱が起こらない目標圧力に制御することができるので、圧縮機108の液戻りや異常過熱を回避しつつ、冷凍システムの運転適用の範囲を拡大することができる。
【0005】
しかし、このような方法に従うとしても、フラッシュタンク101で分離された冷媒のうち液相の冷媒が多量存在する場合、気相の冷媒の流れによってフラッシュタンク101から液相の冷媒がともに出されて圧縮機108に伝達されることがあり、前記構成にもかかわらず、フラッシュタンク101以後の液相の冷媒が経る過程で十分な液相の冷媒の蒸発がなされず、最終的に圧縮機108に液戻りが起こることがある。
【0006】
図2は、複数の蒸発器Eを有する冷却システムSの構成を概念的に示した図である。図2に示されている通り、複数の蒸発器Eが1つの冷却システムSに連結される場合、小さい負荷がよく発生する環境が提供され得る。この場合、既存の冷却システムのように、蒸発器Eに関わる冷媒の温度及び圧力から過熱度を測定してバイパスされる冷媒の量を調節する場合、測定された数値から冷媒量を調節する制御が頻繁に起こらなければならないので、膨張弁の制御範囲から外れる場合がよく発生し、安定的な過熱度の制御が難しくなり、頻繁な制御変更によって冷却サイクルを構成する各構成要素の故障が起こりやすい。
【0007】
日本公開特許公報特開2021-188881により公開された既存の冷却システムによると、冷却システムの有する圧縮機がメイン圧縮機とパラレル圧縮機を含めて複数で構成され得る。圧縮機を複数で構成して多様な負荷に冷却システムが容易に対応できるようにすることができるが、図2で説明した例示のように複数の蒸発器が連結される場合、個別の圧縮機が稼動可能な最低負荷より小さい負荷が繰り返されるか持続し、頻繁な発停(急速なon/offの繰り返し)が起こることがあり、これにより全体の冷却システムの寿命が短縮され得る。
【0008】
前記のような問題により、冷却サイクルを用いる冷蔵庫に新鮮食品を保管する場合、品質の低下が起こり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】日本公開特許公報 特開2021-105474(2021.7.26.公開)
【特許文献2】日本公開特許公報 特開2021-188881(2021.12.13.公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような問題を解決するために案出されたものであって、次の課題のうち少なくとも何れか1つを解決することを目的とする。
本発明は、圧縮機への液戻りを効果的に防止する冷却システムとその制御方法を提供することを目的とする。
本発明は、気液分離器の液を迅速に処理して正常状態で運転がなされるようにする冷却システムとその制御方法を提供することを目的とする。
本発明は、圧縮機の発停頻度が低減される冷却システムとその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施形態による冷却システムは、冷媒を圧縮するように設けられる圧縮機と、前記圧縮機で圧縮された冷媒を液体化するために冷却するように設けられるガスクーラと、前記ガスクーラで冷却された冷媒を貯蔵するように設けられるフラッシュタンクと、前記フラッシュタンクから伝達された液相の冷媒を膨張させるように設けられる膨張弁と、前記膨張弁で膨張された冷媒を蒸発させるように設けられる蒸発器と、前記蒸発器を通過した冷媒の液相の一部と気相の一部を分離し、前記気相の一部を前記圧縮機に伝達するように設けられる気液分離器と、前記圧縮機で圧縮された冷媒を前記気液分離器に伝達するように設けられる循環ラインと、前記循環ラインの開閉を調節するように前記循環ラインに配置される循環弁と、前記フラッシュタンクに貯蔵された液相の冷媒の水位を獲得するために前記フラッシュタンクの内部に設置されるタンク水位獲得部と、前記タンク水位獲得部と前記循環弁と電気的に連結されるプロセッサと、を含んでなり、前記プロセッサは、前記タンク水位獲得部が獲得した水位が所定の基準タンク水位以下である場合、前記循環弁が所定の開度である基準開度で開放されるように制御する。
【0012】
本発明の実施形態による、冷媒の流動方向を基準として、圧縮機、ガスクーラ、フラッシュタンク、膨張弁、蒸発器及び気液分離器を順に備える冷却システムを制御する制御方法は、前記フラッシュタンクに貯蔵された液相の冷媒の水位を獲得するステップと、獲得された前記フラッシュタンクの水位が所定の基準タンク水位以下である場合、前記圧縮機で圧縮された冷媒を前記気液分離器に伝達するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0013】
これにより、次の効果のうち少なくとも1つが達成され得る。
圧縮機への液戻りが効果的に防止され得る。
気液分離器の液を迅速に処理して正常状態の運転が維持され得る。
圧縮機の発停頻度が低減され、安定的な冷凍運転の運転適用の範囲を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】既存の冷却システムの構成を概念的に示した図である。
図2】複数の蒸発器を有する冷却システムの構成を概念的に示した図である。
図3】本発明の一実施形態による冷却システムの構成を概念的に示した図である。
図4】本発明の一実施形態による冷却システムの制御方法を示したフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態による冷却システムにおいて圧縮機が持続的に運転するように制御する制御方法を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一部の実施形態を例示的な図を介して詳細に説明する。各図の構成要素に参照符号を付加するに当たって、同一の構成要素に対しては、たとえ他の図上に表示されるとしても、できる限り同一の符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明の実施形態を説明するにおいて、関連した公知の構成又は機能に対する具体的な説明が本発明の実施形態に対する理解を妨害すると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0016】
また、本発明の実施形態の構成要素を説明するにおいて、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語により当該構成要素の本質や順番又は順序などが限定されない。ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」又は「接続」されると記載されている場合、その構成要素は、その他の構成要素に直接的に連結されるか接続され得るが、各構成要素の間にまた他の構成要素が「連結」、「結合」又は「接続」されてもよいと理解されなければならない。
【0017】
図3は、本発明の一実施形態による冷却システムの構成を概念的に示した図である。
図を参照すると、本発明の一実施形態による冷却システムは、圧縮機20、ガスクーラ30、フラッシュタンク40、膨張弁60、蒸発器70、気液分離器80、循環ライン12、循環弁13、タンク水位獲得部41及びプロセッサPを含む。圧縮機20、ガスクーラ30、フラッシュタンク40、膨張弁60、蒸発器70及び気液分離器80は、メインライン11上に前述した順序で配置されてよく、冷媒が前述した順序でメインライン11に沿って流動し、各構成要素によって処理されてよい。本発明の一実施形態による冷却システムは、超臨界流体を冷媒として用いて冷却を行う超臨界サイクルを行うことができるが、冷却システムが行うことができる冷却サイクルはこれに制限されない。本発明の一実施形態におけるラインとは、冷媒が流れ得る流路を形成する構成要素を意味する。ラインは、パイプ、可撓性のホースなどで構成されてよいが、流路を形成する構成がこれに制限されることはない。
【0018】
圧縮機20は、気相の冷媒を圧縮する装置である。圧縮機20は、電動機又はタービンのように回転力を発生させる装置に連結され、その回転力を用いて冷媒を圧縮するスクリュー式、スクロール式又は往復式の圧縮機20であってよいが、その種類がこれらに制限されることはない。本発明の一実施形態においては、電動機22が圧縮機20を作動させるために圧縮機20と連結され、電動機22の制御のためにインバーター23が配置されるものとして説明するが、圧縮機20の駆動のための構成がこれに制限されることはない。
【0019】
圧縮機20は、気液分離器80及びガスクーラ30と連結されて、気液分離器80から排出された気相の冷媒を圧縮させてガスクーラ30に排出することができる。
【0020】
ガスクーラ30は、圧縮機20で圧縮された冷媒を液体化しやすい状態となるようにするために、冷媒を冷却する装置である。ガスクーラ30は、外気と冷媒を熱交換して冷媒が冷却されるようにすることができる。したがって、ガスクーラ30は、互いに異なる媒体間の熱交換を可能とする熱交換器である板状熱交換器及びピンチューブ熱交換器のうち少なくとも1つを含むことができるが、ガスクーラ30として用いられる熱交換器の種類がこれに制限されることはない。
【0021】
本発明の一実施形態による冷却システムは、高圧膨張弁14を含むことができる。高圧膨張弁14は、ガスクーラ30から排出されてフラッシュタンク40に伝達される冷媒を膨張させるため、ガスクーラ30とフラッシュタンク40の間に配置される。
【0022】
本発明の一実施形態による冷却システムは、パラレル圧縮機21を含むことができる。パラレル圧縮機21は、圧縮機20と並列に配置され、冷媒を圧縮して排出することができる。パラレル圧縮機21は、フラッシュタンク40の気相の冷媒の伝達を受けて圧縮し、圧縮機20から排出される圧縮された冷媒に合流させることができる。パラレル圧縮機21としては、圧縮機20と同様に多様な方式が用いられてよい。
【0023】
フラッシュタンク40は、ガスクーラ30で冷却された冷媒を内部に貯蔵する。フラッシュタンク40内において冷媒は、液相と気相に分離され得る。したがって、フラッシュタンク40は、フラッシュタンクであってよいが、その種類がこれに制限されることはない。
【0024】
本発明の一実施形態による冷却システムは、過冷却熱交換部50を含むことができる。フラッシュタンク40から排出された液相の冷媒中の一部と、過冷却膨張弁51を通過した他の一部とが過冷却熱交換部50で熱交換することができる。このうち、過冷却膨張弁51を通過していない一部が膨張弁60と蒸発器70に伝達され、蒸発器70を通過した後で他の一部と会うことができる。過冷却熱交換部50は、互いに異なる媒体間の熱交換を可能とする熱交換器である板状熱交換器及びピンチューブ熱交換器のうち少なくとも1つを含むことができるが、過冷却熱交換部50として用いられる熱交換器の種類がこれに制限されることはない。
【0025】
膨張弁60は、フラッシュタンク40から分離して伝達された液相の冷媒を膨張させることができる。膨張弁60は、電気的信号により開閉が調節される電子式膨張弁60であってよいが、その種類がこれに制限されない。
【0026】
蒸発器70は、膨張弁60で膨張された冷媒を蒸発させる。蒸発器70は、外気又は冷蔵室内部の空気などの非冷却体と冷媒を熱交換して冷媒が加熱されるようにできる。したがって、蒸発器70は、互いに異なる媒体間の熱交換を可能とする熱交換器である空気冷却器、板状熱交換器及びピンチューブ熱交換器のうち少なくとも1つを含むことができるが、蒸発器70として用いられる熱交換器の種類がこれに制限されることはない。
【0027】
気液分離器80は、蒸発器70を通過した冷媒に液相の一部が残っている場合、冷媒の液相の一部と気相の一部を分離する。気液分離器80から分離された冷媒の気相の一部が圧縮機20に伝達されてよい。気液分離器80は、気液分離が可能なアキュムレータであってよいが、その種類がこれに制限されることはない。
【0028】
本発明の一実施形態による冷却システムは、気液分離水位獲得部81を含むことができる。気液分離水位獲得部81は、気液分離器80に貯蔵された液相の冷媒の水位を獲得するために気液分離器80の内部に設置されてよい。気液分離水位獲得部81はレベルスイッチであってよいが、気液分離器80内の冷媒水位を測定するための手段がこれに制限されることはない。
【0029】
本発明の一実施形態による冷却システムは、流入温度獲得部24を含むことができる。流入温度獲得部24は、気液分離器80から圧縮機20に伝達される気相の冷媒の温度を獲得することができる。流入温度獲得部24は、サーミスタ、熱電対などを含むことができるが、温度を測定するための手段がこれに制限されることはない。
【0030】
本発明の一実施形態による冷却システムは、流入圧力獲得部25を含むことができる。流入圧力獲得部25は、気液分離器80から圧縮機20に伝達される気相の冷媒の圧力を獲得することができる。流入圧力獲得部25は、静電容量式圧力センサ、ストレインゲージなどを含むことができるが、圧力を測定するための手段がこれに制限されることはない。
【0031】
循環ライン12は、メインライン11の一箇所と他の一箇所を連結するラインである。循環ライン12は、圧縮機20で圧縮された冷媒を気液分離器80に伝達するようにメインライン11の2つの箇所を連結する。したがって、循環ライン12は、冷媒の流動方向を基準として、メインライン11上の圧縮機20の下流側の一箇所と、気液分離器80の上流側の一箇所とを連結することができる。循環ライン12は、気液分離器80に直接連結されてもよい。
【0032】
循環弁13は、循環ライン12の開閉を調節するように循環ライン12に配置される。循環弁13は、開度が調節され得る電動弁又はソレノイド弁であってよいが、その種類がこれに制限されることはない。
【0033】
タンク水位獲得部41は、フラッシュタンク40に貯蔵された液相の冷媒の水位を獲得するためにフラッシュタンク40の内部に設置される。タンク水位獲得部41は、レベルトランスミッターを含むことができるが、水位の獲得のために用いられる手段がこれに制限されることはない。
【0034】
プロセッサPは、制御命令を行う論理演算が可能な素子を含む構成要素であって、CPU(Central Processing Unit)などを含むことができる。プロセッサPは、本発明の一実施形態による冷却システムの各種構成要素に連結され、制御命令による信号を各構成要素に伝達することができ、各種センサ又は獲得部に連結されて獲得された情報を信号の形態で伝達を受けることができる。プロセッサPは、それぞれの構成要素と電気的に連結され得るので、導線で連結されるか、無線で通信可能な通信モジュールを有して互いに通信することもできる。
【0035】
冷却システムは、メモリをさらに含み、プロセッサPが行う制御命令がメモリに格納され活用されてよい。メモリは、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、サーバ、揮発性媒体、非揮発性媒体などのような装置であってよいが、その種類がこれに制限されることはない。メモリには、その他にもプロセッサPが作業を行うために必要とするデータなどがさらに格納されてよい。
【0036】
図4は、本発明の一実施形態による冷却システムの制御方法を示したフローチャートである。
以下、プロセッサPの動作を中心に冷却システムの制御方法を説明する。タンク水位獲得部41がフラッシュタンク40に貯蔵された液相の冷媒の水位を獲得することができる(S11)。プロセッサPは、タンク水位獲得部41から獲得されたフラッシュタンク40の冷媒水位の伝達を受けて、これを所定の基準タンク水位と比較する(S12)。獲得された水位が基準タンク水位より大きい場合、フラッシュタンク40から過度な量の液相の冷媒が蒸発器70に伝達される状況ではないので、既存の作動状態を維持すればよい。基準タンク水位は0mであってよい。
【0037】
もし獲得された水位が基準タンク水位以下である場合、フラッシュタンク40から過度な量の液相の冷媒が蒸発器70に伝達されているものなので、蒸発器70で十分に冷媒の蒸発が起こらないか、膨張弁60の異常開度により気液分離器80に多量の液相の冷媒が伝達されるものであることが分かる。したがって、獲得された水位が基準タンク水位以下であるとき、プロセッサPは、圧縮機20で圧縮された高温の気相冷媒が気液分離器80に伝達されるように循環弁13を開放させる(S13)。プロセッサPは、所定の開度である基準開度で循環弁13を開放させることができる。したがって、循環ライン12に沿って圧縮機20で圧縮され排出された高温高圧の冷媒が気液分離器80に伝達され、気液分離器80内の液相の冷媒を蒸発させることができる。液相の冷媒が蒸発され、気液分離器80の液を迅速に処理して液戻り現象が防止でき、正常状態の運転に迅速に復帰することができる。基準開度は、最大開度を100%とするとき、30%であってよい。
【0038】
プロセッサPは、タンク水位獲得部41が獲得した水位が前記基準タンク水位以下である場合、圧縮機20の運転速度が所定の速度である正常速度より小さくなるように制御することができる(S14)。圧縮機20の負荷を減らし、圧縮機20が吸い込む冷媒の量を減少させることにより、液戻り現象が起こることを防止することができる。運転速度は、圧縮機20が回転する回転速度を意味してよく、これは、rpm(revolutions per minute)又はヘルツ(Hz)単位で示すことができる。正常速度は、65Hzであってよく、前記制御により減少して到達した運転速度は、30Hzであってよい。
【0039】
前述した制御で、一時的な問題が発生したとしても、正常に近い運転状態を維持しつつ冷却サイクルが運転され得る。しかし、もし前記のような制御にもかかわらず気液分離器80に液相の冷媒が蓄積されると、液圧縮現象などの問題が発生したものと予測して次のステップの措置を取ることがある。
【0040】
気液分離水位獲得部81が気液分離器80内に貯蔵された液相の冷媒の水位を獲得することができる(S21)。プロセッサPは、気液分離水位獲得部81から獲得された水位の伝達を受けることができ、これを基準気液分離水位と比較することができる(S22)。もし獲得された水位が所定の水位である基準気液分離水位未満である場合、正常に作動状態が戻ってくる状況なので、別途の措置を取らないこともある。プロセッサPは、気液分離水位獲得部81が獲得した水位が基準気液分離水位以上である場合、膨張弁60を閉鎖する(S23)。膨張弁60が閉鎖されるとき、プロセッサPは、最小の負荷以上に圧縮機20の持続的な運転が起こるように循環弁13を基準開度より大きい開度で開放することができる(S24)。膨張弁60が閉鎖されるとき、プロセッサPは、圧縮機20の運転速度をさらに減少させることができる(S25)。膨張弁60を遮断することにより、フラッシュタンク40から蒸発器70に冷媒が伝達されることを遮断し、気液分離器80に残っている液相の冷媒は、圧縮機20で圧縮された高温高圧の冷媒で蒸発させ、圧縮機20を低負荷運転させて液戻りが起こることを最大限防ぐものである。前述した条件を満たすとき、S23ステップにおいて膨張弁60は閉鎖されることがあり、単にその開度が減少することもある。
【0041】
膨張弁60が閉鎖された状態において、気液分離器80内の冷媒水位が正常に戻り、過熱度が基準を満たす場合、正常状態と判断して冷却サイクルの作動を元の状態に戻すことができる。
【0042】
膨張弁60が閉鎖された状態において、気液分離水位獲得部81は、気液分離器80に貯蔵された液相の冷媒の水位を獲得することができる(S31)。膨張弁60が閉鎖された状態において、流入温度獲得部24は、気液分離器80から排出される冷媒の温度を獲得することができる(S32)。膨張弁60が閉鎖された状態において、流入圧力獲得部25は、気液分離器80から排出される冷媒の圧力を獲得することができる(S33)。プロセッサPは、獲得された冷媒の温度と圧力から過熱度を算出することができる(S34)。
【0043】
プロセッサは、獲得された気液分離器80の水位及び算出された過熱度を基準気液分離水位及び基準過熱度と比較することができる(S35)。プロセッサPは、気液分離水位獲得部81が獲得した水位が所定の基準気液分離水位未満であり、流入温度獲得部24が獲得した温度及び流入圧力獲得部25が獲得した圧力から算出される過熱度が所定の基準過熱度以上である場合、膨張弁60を開放することができる(S36)。プロセッサPは、膨張弁60を開放するとき、循環弁13を閉鎖して圧縮機20で圧縮された高温の気相の冷媒が気液分離器80に伝達されることを遮断することができる(S37)。プロセッサPは、膨張弁60を開放するとき、圧縮機20の運転速度が正常の速度になるようにすることができる(S38)。したがって、正常状態に冷却システムが復帰して運転を持続することができ、サイクルの最初ステップに戻ることができる。
【0044】
図5は、本発明の一実施形態による冷却システムにおいて圧縮機20が持続的に運転するように制御する制御方法を示したフローチャートである。プロセッサPは、正常状態で運転が行われているとしても、流入圧力獲得部25が獲得した圧力が所定の停止圧力以下である場合、循環弁13が開放されるように制御することができる。冷却負荷が僅かである場合、圧縮機20に伝わる負荷が最低負荷より小さくなり、他の条件とは関わりなく運転が停止されることがある。圧縮機20は、最低負荷以下では作動しないが、微細な負荷が頻繁に発生する場合、圧縮機20をつけたり消したりする動作が頻繁に繰り返され得るので、圧縮機20から排出された冷媒を再び圧縮機20に流入させて最低負荷である停止圧力より大きい流入圧力を合わせ、圧縮機20が停止することなく作動し続けるようにするものである。したがって、圧縮機20の頻繁な発停が低減され得る。
【0045】
具体的に、プロセッサPは、圧縮機が運転される状況(S41)において、流入圧力獲得部25が獲得した圧力である流入圧力を停止圧力と比較することができる(S42)。流入圧力獲得部25が獲得した圧力が停止圧力より大きい場合、圧縮機20の運転に問題がないので、そのまま運転が継続される(S41)。
【0046】
流入圧力獲得部25が獲得した圧力が停止圧力以下である場合、プロセッサPは、圧縮機20が運転された時間を所定の最小負荷の運転時間と比較することができる(S43)。もし圧縮機20の運転時間が最小負荷の運転時間より小さい場合、圧縮機20に明確に問題が発生したものなのか、それとも一時的な誤謬なのかがまだ分からないので、圧縮機20の運転が継続される(S41)。圧縮機20の運転時間が最小負荷の運転時間以上である場合、プロセッサPは、圧縮機20に異常が発生するか圧縮機20が停止しないように循環弁13を開放することができる(S44)。
【0047】
循環弁13が開放された後、プロセッサPは、循環弁13がどのくらい長く開放されていたのかを確認し、循環弁13の開放時間を所定の基準開放時間と比較することができる(S45)。もし循環弁13の開放時間が基準開放時間より短い場合、循環弁13は、開放された状態を維持することができる(S44)。しかし、循環弁13の開放時間が基準開放時間以上である場合、循環弁13が十分に長く開放されたものなので、システムが正常の状態に戻ってきたか確認するために、プロセッサPは、循環弁13を閉鎖することができる(S46)。
【0048】
循環弁13が閉鎖された後、プロセッサPは、圧縮機20の流入圧力を停止圧力と比較することができる(S47)。もし圧縮機20の流入圧力が停止圧力より大きい場合、圧縮機20が正常に作動することができる状態となったので、プロセッサPは、圧縮機20が作動する状態を維持することができる。もし圧縮機20の流入圧力が停止圧力以下である場合、圧縮機20が正常に作動することができないので、プロセッサPは、圧縮機20を停止させることができる(S48)。
【0049】
圧縮機20が停止された後、プロセッサPは、圧縮機20の流入圧力を所定の運転圧力と比較することができる(S49)。運転圧力は、停止圧力より大きい圧力値であってよい。もし流入圧力が運転圧力より小さい場合、圧縮機20の停止された状態が維持され得る(S48)。もし流入圧力が運転圧力以上である場合、圧縮機20が正常に運転することができる状態となったので、プロセッサPは、圧縮機20が再び運転を開始するようにすることができる(S41)。
【0050】
以上で、本発明の実施形態を構成する全ての構成要素が1つに結合するか、結合して動作するものと説明されたとして、本発明が必ずしもこのような実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の目的の範囲内であれば、その全ての構成要素が1つ以上に選択的に結合して動作することもできる。また、以上で記載された「含む」、「構成する」又は「有する」などの用語は、特に反対の記載がない限り、当該構成要素が内在し得ることを意味するものなので、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでよいと解釈されなければならない。技術的や科学的な用語を含む全ての用語には、別に定義されない限り、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者により一般的に理解されるものと同一の意味がある。辞書に定義された用語のように一般的に用いられる用語は、関連技術の文脈上の意味と一致すると解釈されなければならず、本発明で明らかに定義しない限り、理想的や過度に形式的な意味として解釈されない。
【0051】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎないものであって、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から外れない範囲で多様な修正及び変形が可能なはずである。したがって、本発明に開示された実施形態は、本発明の技術思想を限定するためではなく、説明するためのものであり、このような実施形態により本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、以下の特許請求の範囲により解釈されなければならず、それと同等の範囲内の全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0052】
11 メインライン
12 循環ライン
13 循環弁
14 高圧膨張弁
20 圧縮機
21 パラレル圧縮機
22 電動機
23 インバーター
24 流入温度獲得部
25 流入圧力獲得部
30 ガスクーラ
40 フラッシュタンク
41 タンク水位獲得部
50 過冷却熱交換部
51 過冷却膨張弁
60 膨張弁
70 蒸発器
80 気液分離器
81 気液分離水位獲得部
P プロセッサ
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】





























1.Abstract

2.Representative Drawing
Fig3
Fig1
Fig2




Fig3


















Fig4
Fig5