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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050500
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】排水装置および排水構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/08 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
E04D13/08 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023167494
(22)【出願日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2023114373
(32)【優先日】2023-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023058661
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022157044
(32)【優先日】2022-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】元 隆明
(57)【要約】
【課題】本発明は、排水装置と配管構造の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の排水装置は、雨水が流入される排水部材と、前記排水部材に接続される竪管である第1の管と、前記第1の管に接続されるエルボ管を備える。排水装置においては、前記排水部材が、底板を有した雨水排水路に設けられ、前記底板の下面に配置され内周に受入口が形成された下側フランジ部と、前記下側フランジ部の下方に形成された外筒部と、前記外筒部の下端に形成された受口部または挿し口部を有する下部ドレン部材と、前記底板の上面に配置された内周側に落し口部が形成された上側フランジ部と、前記上側フランジ部の下方に形成された前記外筒部に内挿される内筒部を有する上側ドレン部材と、を有することが好ましい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雨水が流入される排水部材と、
前記排水部材に接続される竪管である第1の管と、
前記第1の管に接続されるエルボ管を備える、
排水装置。
【請求項2】
前記排水部材が、
底板を有した雨水排水路に設けられ、
前記底板の下面に配置され内周に受入口が形成された下側フランジ部と、前記下側フランジ部の下方に形成された外筒部と、前記外筒部の下端に形成された受口部または挿し口部を有する下側ドレン部材と、
前記底板の上面に配置された内周側に落し口部が形成された上側フランジ部と、前記上側フランジ部の下方に形成された前記外筒部に内挿される内筒部を有する上側ドレン部材と、を有する、請求項1に記載の排水装置。
【請求項3】
前記第1の管が、前記排水部材よりも長く構成される、請求項1または2に記載の排水装置。
【請求項4】
前記第1の管が、前記排水部材に接続される受口部と、
前記エルボ管の受口部に接続される差口部と、を有する、請求項1または2に記載の排水装置。
【請求項5】
前記雨水排水路が、前記底板と前記底板の幅方向の両側から上方に向かって伸びる側板とを有する樋である、請求項2に記載の排水装置。
【請求項6】
前記雨水排水路が、ルーフドレンに接続される横管と該横管に接続される継手本体を備え、前記継手本体内に底板を備える、請求項2に記載の排水装置。
【請求項7】
雨水が流入される雨水排水路であって、
前記雨水排水路が貫通孔を備える底板を有し、
前記貫通孔を介し前記底板に接続され、前記雨水排水路に連通される排水部材と、
前記排水部材に接続される竪管である第1の管と、
前記第1の管に接続される第1のエルボ管と、
前記第1のエルボ管に接続される横管である第2の管と、
前記第2の管に接続される第2のエルボ管と、
前記第2のエルボ管に接続される竪管である第3の管と、を有する、排水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水装置および排水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫、ショッピングセンター等の大型施設の建物に取り付けられた軒先に配置される大型の軒樋において、高排水機能を有するサイフォンドレン部材が広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このサイフォンドレン部材は、軒樋の底板を挟んで下面側に配置された下側ドレン部材と、上面側に配置されサイフォン部を備えた上側ドレン部材とを備えた構成が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6784708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
軒樋は屋根の軒先先端に吊り下げられ、建物の壁面から離れた位置に設置されるため、軒樋に取り付けたドレン部材などの排水部材と、壁面に沿って支持される竪樋を接続するには、曲率の大きなエルボ管あるいはエルボ管と合わせて呼び樋と称される横管を介し雨水排水配管構造の継手を構成する必要がある。
工場や倉庫など、大型の建物では軒先が短いケースが多いため、曲率半径が小さく収まりの良いエルボ管をS字型に接続し、呼び樋を短くする必要がある。また、サイフォン作用を確実に得るために、呼び樋を2m以下とするなどの工夫が必要となる。
しかし、前述の構造を採用すると、建物の屋根が金属製折板屋根などの場合、屋根材の熱伸縮により軒樋が竪樋に対し相対移動し、相対移動に伴う応力がエルボ管の接続部に集中する問題がある。軒樋と竪樋の相対移動は強風時の風圧により発生する場合もある。
前述の相対移動量が大きい場合、エルボ管の接続部に亀裂を生むおそれがある。また、収まりを良好とするために短い呼び樋を用いた場合、曲率半径の小さいエルボ管を用いた場合、前述の相対移動に伴う呼び樋の撓みにより、エルボ管の接続部に亀裂を生じるおそれがある。
なお、エルボ管の肉厚を増加するかエルボ管を補強すると、エルボ管の亀裂発生を防止できるが、この場合は逆にドレン部材に応力が集中することとなり、ドレン部材に亀裂を生むおそれがある。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑み、なされたものであって、熱収縮や強風時の風力などにより、ドレン部材と竪樋との接続部分に生じる応力集中を緩和する構造を採用した排水装置と排水構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は以下の形態を提案している。
「1」本形態に係る排水装置は、雨水が流入される排水部材と、前記排水部材に接続される竪管である第1の管と、前記第1の管に接続されるエルボ管を備えることを特徴とする。
【0008】
上述の排水装置であれば、熱膨張あるいは強風時の風圧などにより排水部材の移動が生じたとして、排水部材とエルボ管との間に第1の管が存在するので、第1の管が撓むことによりエルボ管との接続部に対する応力集中を緩和できる。このため、エルボ管に亀裂が発生するおそれをなくすることができる。また、第1の管が撓むことにより第1の管と排水部材との接続部に対する応力集中も緩和できる。このため、排水部材に亀裂が発生するおそれをなくすることができる。
【0009】
「2」本形態に係る排水装置において、前記排水部材が、底板を有した雨水排水路に設けられ、前記底板の下面に配置され内周に受入口が形成された下側フランジ部と、前記下側フランジ部の下方に形成された外筒部と、前記外筒部の下端に形成された受口部または挿し口部を有する下側ドレン部材と、前記底板の上面に配置された内周側に落し口部が形成された上側フランジ部と、前記上側フランジ部の下方に形成された前記外筒部に内挿される内筒部を有する上側ドレン部材と、を有することが好ましい。
【0010】
上述の排水装置であれば、熱膨張あるいは強風時の風圧などにより雨水排水路とエルボ管の相対移動が生じたとして、雨水排水路に備えた排水部材とエルボ管との間に第1の管が存在するので、第1の管が撓むことによりエルボ管との接続部に対する応力集中を緩和できる。このため、エルボ管に亀裂が発生するおそれをなくすることができる。また、第1の管が撓むことにより第1の管と下側ドレン部材との接続部に対する応力集中も緩和できる。このため、下側ドレン部材に亀裂が発生するおそれもなくすることができる。
【0011】
「3」本形態に係る排水装置において、前記第1の管が、前記排水部材よりも長く構成される構成を採用できる。
【0012】
上述の排水装置であれば、熱膨張あるいは強風時の風圧などにより排水部材とエルボ管の相対移動が生じたとして、排水部材よりも長い第1の管が撓むことにより、エルボ管との接続部に対する応力集中をより良好に緩和できる。
【0013】
「4」本形態に係る排水装置において、前記第1の管が、前記排水部材に接続される受口部と前記エルボ管の受口部に接続される差口部と、を有する構成を採用できる。
【0014】
第1の管の受口部に前記排水部材を挿入し、第1の管の差口部をエルボ管の受口部に挿入することで排水部材とエルボ管との間に第1の管を介在させることができる。これにより、排水部材との接続部とエルボ管との接続部の両方に対する応力集中を緩和することができ、排水部材とエルボ管の両方における亀裂発生のおそれをなくすることができる。
【0015】
「5」本形態に係る排水装置において、前記雨水排水路が、前記底板と前記底板の幅方向の両側から上方に向かって伸びる側板とを有する樋であることが好ましい。
【0016】
樋を流れる雨水について、排水部材を介しエルボ管側に流すことができる。樋の熱膨張あるいは強風時の風圧などにより、樋に設けた排水部材がエルボ管に対し相対移動を生じたとして、第1の管が撓むことにより、エルボ管との接続部に対する応力集中を緩和することができる。
【0017】
「6」本形態に係る排水装置において、前記雨水排水路が、ルーフドレンに接続される横管と該横管に接続される継手本体を備え、前記継手本体内に底板を備える構成を採用できる。
【0018】
上述の排水装置であれば、熱膨張あるいは強風時の風圧などにより雨水排水路の継手本体とルーフドレンとの相対移動が生じたとして、ドレン部材とエルボ管との間に第1の管が存在するので、第1の管が撓むことによりエルボ管との接続部に対する応力集中を緩和できる。このため、エルボ管に亀裂が発生するおそれをなくすることができる。また、第1の管が撓むことにより第1の管と排水部材との接続部に対する応力集中も緩和できる。このため、排水部材に亀裂が発生するおそれもなくすることができる。
【0019】
「7」本形態に係る排水構造は、雨水が流入される雨水排水路であって、前記雨水排水路が貫通孔を備える底板を有し、前記貫通孔を介し前記底板に接続され、前記雨水排水路に連通される排水部材と、前記排水部材に接続される竪管である第1の管と、前記第1の管に接続される第1のエルボ管と、前記第1のエルボ管に接続される横管である第2の管と、前記第2の管に接続される第2のエルボ管と、前記第2のエルボ管に接続される竪管である第3の管と、を有する。
【0020】
上述の排水構造であれば、熱膨張あるいは強風時の風圧などにより雨水排水路と第3の管の相対移動が生じたとして、排水部材と第1のエルボ管との間に第1の管が存在するので、第1の管が撓むことにより第1のエルボ管との接続部に対する応力集中を緩和できる。このため、第1のエルボ管に亀裂が発生するおそれをなくすることができる。
また、第1の管が撓むことにより、第1の管と排水部材との接続部に生じる応力集中と、第2のエルボ管と第3の管との接続部に生じる応力集中も緩和できる。このため、排水部材との接続部及び第3の管との接続部の両方に亀裂が発生するおそれをなくすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る排水装置あるいは排水構造であれば、熱膨張あるいは強風時の風圧などにより排水部材とエルボ管の相対移動が生じたとして、排水部材とエルボ管との間に第1の管が存在するので、第1の管が撓むことによりエルボ管との接続部に対する応力集中を緩和できる。このため、エルボ管との接続部に亀裂が発生するおそれをなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る第1実施形態の排水装置を備えた雨水排水構造を示す部分断面図。
図2】同第1実施形態に係る排水装置の分解図。
図3】同第1実施形態に係る排水装置の一部を示す横断面図。
図4】同第1実施形態に係る雨水排水構造に適用可能なフィン付き継手を示す部分断面斜視図。
図5】従来の排水部材と雨水排水構造に係る第1の例を示す部分断面図。
図6】従来の排水部材と雨水排水構造に係る第2の例を示す部分断面図。
図7】従来の排水部材と雨水排水構造に係る第3の例を示す部分断面図。
図8】従来の排水部材と雨水排水構造に係る第4の例を示す部分断面図。
図9】本発明に係る第2実施形態の排水装置を備えた雨水排水構造を示す部分断面図。
図10】同第2実施形態の雨水排水構造の要部を示す横断面図。
図11】本発明に係る第3実施形態の排水装置を備えた雨水排水構造を示す部分断面図。
図12】同第3実施形態の雨水排水構造の要部を示す横断面図。
図13】本発明に係る第4実施形態の排水装置を備えた雨水排水構造を示す部分断面図。
図14】本発明に係る排水装置に適用可能なエルボ管の第1変形例を示す横断面図。
図15】本発明に係る排水装置に適用可能なエルボ管の第2変形例を示す横断面図。
図16】本発明に係る排水装置に適用可能なエルボ管の第3変形例を示す横断面図。
図17】本発明に係る排水装置に適用可能なエルボ管の第4変形例を示す横断面図。
図18】本発明に係る排水装置に適用可能な排水部材の第1変形例を示す横断面図。
図19】本発明に係る排水装置に適用可能な排水部材の第2変形例を示す横断面図。
図20】本発明に係る排水装置に適用可能な排水部材の第3変形例を示す横断面図。
図21】本発明に係る排水装置に適用可能な排水部材の第4変形例を示す斜視図。
図22】本発明に係る第1実施形態の排水装置を備え、排水部材とエルボ管の間に伸縮継手を備えた雨水排水構造を示す部分断面図。
図23】本発明に係る第1実施形態の排水装置を備え、エルボ管の下部に伸縮継手を備えた雨水排水構造を示す部分断面図。
図24】本発明に係る第5実施形態の排水装置を備えた雨水排水構造を示す部分断面図。
図25】本発明に係る排水装置に適用可能な排水部材の第5変形例を示すもので、(A)は横断面図、(B)は平面図。
図26】本発明に係る排水装置に適用可能な排水部材の第6変形例を示すもので、(A)は横断面図、(B)は平面図。
図27】本発明に係る排水装置に適用可能な排水部材の他の変形例を示すもので、(A)は第7変形例の平面図、(B)は第8変形例の平面図、(C)は第9変形例の平面図、(D)は第10変形例の平面図、(E)は第11変形例の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
「第1実施形態」
以下、図1図3を参照し、本発明の第1実施形態に係る排水装置を軒樋の雨水排水構造に適用した一例について説明する。
本実施形態に係る排水装置は、折板屋根の軒先に取り付けられた軒樋の雨水排水構造に適用される。
図1に示すように折板屋根1は、建物の壁部2の上端に形成されて金属板からなる山部3と谷部4を交互に波形に連続形成した構成を有する。図1は折板屋根1の軒先部分と壁部2を部分断面視した図であり、軒先の山部3を構成する金属板を上下方向に貫通する複数の取付ボルト5により矩形枠状の軒樋支持具6が固定されている。
軒樋支持具6により軒樋7が吊り持ち支持され、軒樋7の底部に雨水を導入するための排水部材(ドレン部材)8が装着され、この排水部材8の下部に接続管(第1の管)9と上下対となるエルボ管10、11を介し竪樋(第3の管)12が接続されている。
エルボ管10、11はパイプ(第2の管)14を介し接続されている。エルボ管10、11はJIS K6739などに規定されている一般的な継手を好適に用いることができる。第2の管14を介し上下のエルボ管10、11を接続した部分は呼び樋と称することができる。本実施形態において、エルボ管10を第1のエルボ管10と称することができ、エルボ管11を第2のエルボ管11と称することができる。
軒樋7は折板屋根1の軒先下方に支持されているため、軒先から流下した雨水を受けることができる。竪樋12は壁部2に沿って上下数カ所に取り付けられた図示略の複数の取付金具により鉛直に支持され、建物近傍の地盤に埋設されている図示略の地盤側排水路に接続されて雨水を排水できるようになっている。
本実施形態において用いるエルボ管10、11は、それらの管軸を含む平面における断面で見た時に、内周側の内壁面および外壁面の曲率半径が64mm以下であってもよい。エルボ管10、11の前記曲率半径が小さいものほど応力が集中し易いため、本実施形態で後に説明する効果を得られやすい。
【0024】
なお、軒樋支持具6により軒樋7が吊り持ち支持されているが、軒樋7の長さ方向端部は止まりで覆い、軒樋7同士を接続する継手、支持具などの、各部材を用いて軒樋システムが構成される。図1に示す軒樋支持具6は、軒樋7の底面を支える構造を採用したが、軒樋7の側板7Bを吊る構造を採用してもよい。軒樋7は、谷樋も含まれる。竪樋12を備えた排水システムは、竪樋12同士を接続する、継手や支持具などの部材を用いて構成される。
【0025】
図1に示す折板屋根1おいて右側から左側に向いて若干下向きの屋根勾配が付与されており、折板屋根1の左端部が軒先となる。図1の紙面表裏方向に軒先が延在されるが、延在された軒先に沿って所定の間隔で複数の軒樋支持具6が固定され、これら複数の軒樋支持具6により軒樋7が支持されている。図1は軒先の一部のみを示す部分断面図であるため1つの軒樋支持具6と1つの軒樋7のみ描かれている。
軒樋支持具6に支持されて軒樋7がほぼ水平に吊下されている。軒樋7は、底板7Aと図1に示す底板7Aの左右両側から上方に立ち上がるように形成された側板7B、7Bからなる。図1の紙面表裏方向が軒樋7の長さ方向となり、図1の紙面左右方向が軒樋7の幅方向となる。底板7Aの幅方向中央部には排水部材8を取り付けるための貫通孔7Hが形成されている。本実施形態において軒樋7の内部には、底板7Aと側板7B、7Bにより区画される雨水排水路Rが構成されている。軒樋7は建物の軒先に沿うように形成されるので、軒樋7に沿って建物の軒先に沿う雨水排水路Rが構成される。
【0026】
本実施形態において、軒樋7は、例えば、硬質塩化ビニル樹脂やABS、AES等の合成樹脂で形成された押出成形品とされている。なお、軒樋7を形成する材料は任意に設定することが可能であり、合成樹脂に限定されることなく、例えば、金属の押出成形品で形成されていてもよい。
より具体的に言うと、軒樋7は、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のオレフィン系樹脂、熱耐久性等に優れた熱可塑性ポリエステル系樹脂等で形成されていても良い。また、軒樋7は、金属板からなる構成を採用しても良く、例えば、溶融亜鉛めっき鋼板、塗装溶融亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛、アルミニウム合金めっき鋼板、塗装溶融亜鉛、アルミニウム合金めっき鋼板、溶融アルミニウムめっき鋼板、ポリ塩化ビニル被覆金属板、冷間圧延ステンレス鋼板、塗装ステンレス鋼板、チタン板又はチタン合金板、高耐候性圧延鋼板、アスファルト又は樹脂被覆鋼板、アルミニウム合金板等で形成されていてもよい。
軒樋支持具6は、例えば、軒樋7の底板7Aを支持する底部片6Aと、底部片6Aの両端から上方に延出された側部片6B、6Cと、側部片6B、6Cの上端部どうしを接続する上部片6Dを有する。軒樋支持具6は、枠状に構成され、上部片6Dの一部を屋根板の一部に取付ボルト5により固定することで折板屋根1に吊り下げられ、軒樋7を吊り下げ支持する。
【0027】
また、軒樋7を合成樹脂で形成する場合には、熱による伸縮防止などのため線膨張係数が2.0×10-5/℃以下であることが好ましい。また、軒樋7の厚さ方向の中心に延伸したPET樹脂製シートや鉄製のシートなど低伸縮性シートを内挿するか、軒樋7を構成する合成樹脂自体にワラストナイトや炭素繊維などの低伸縮性の添加物を配合することで線膨張係数を小さくすることが好適である。
軒樋7は、底面幅が100mm以上300mm以下、高さが90mm以上400mm以下とされ、例えば流量4リットル/sec以上20リットル/sec以下の雨水を流すことができる大口径の軒樋に適用してもよい。
【0028】
排水部材(ドレン部材)8は、図1図2に示すように、例えば、下側ドレン部材15と、上側ドレン部材16と、上側ドレン部材16の上部に配置されるサイフォン部17と、を備え、軒樋7に取付けられている。具体的には、図2に示すように下側ドレン部材15が軒樋7の底板7Aの下面7D側に配置され、上側ドレン部材16が底板7Aの上面7E側に配置されている。
【0029】
排水部材8を形成する材料は任意に設定することが可能である。
本実施形態において排水部材8は、例えば、硬質塩化ビニル樹脂やポリカーボネート、ABS、AES等の合成樹脂により形成された射出成形品とされている。なお、合成樹脂に限定されるのではなく、鋳鉄、ステンレス鋼やアルミニウムを鋳造することによって排水部材8を形成してもよい。また、排水部材8について、硬質塩化ビニル管の内管に繊維モルタルの外管を被覆している耐火二層管であっても良い。ない、この耐火二層管については、竪樋12、呼び樋YTに適用しても良い。
【0030】
なお、本実施形態では排水部材8を備える構成を例示するが、排水部材8を備えず、その一方で排水部材8と同様に排水性能を向上させる接続継手、例えば後述する構成のフィン付き継手を備えた構成を採用してもよい。具体的には、雨水排水配管構造が、軒樋と、呼び樋と、フィン付き継手と、配管と、を備える構成としてもよい。また、フィン付き継手に替えて、レデューサーのような径を縮径し、圧損を起こして満管流を生成しやすくする継手を用いてもよい。
フィン付き継手は、エルボ管11の下流側に接続されることが望ましい。望ましくは、エルボ管11から1000mm以内に取付けられる方が良い。フィン付き継手により排水性能を向上できる。フィン付き継手の接続位置は、エルボ管11から800mm以内、600mm以内、400mm以内、200mm以内などでもよく、エルボ管11と直接接続されていてもよい。
【0031】
なおまた、本実施形態では軒樋7を備える構成を例示するが、軒樋7を備えず、その一方で排水桝を必須とする構成を採用してもよい。
具体的には、雨水排水構造が、排水桝と、ドレン部材及び/又はフィン付き継手と、配管と、を備える構成としてもよい。ここで排水桝は、樹脂製のみに限らず、鋳型を用いた鋳鉄製、あるいはSUS製(ステンレス鋼板製)であってもよい。
【0032】
以下、下側ドレン部材15と上側ドレン部材16の詳細構造について、後に説明することとし、先にサイフォン部17について説明する。
サイフォン部17は、図2に示すように、例えば、蓋部材18と、上側ドレン部材16と蓋部材18とを連結する縦リブ19と、把持リブ20と、誘導ガイド21と、を備えている。また、サイフォン部17は、上側ドレン部材16の上部に一体化されている。
【0033】
蓋部材18は、例えば、上側ドレン部材16の上方に配置された平面視円形の円板状に形成されている。また、蓋部材18は、上側ドレン部材16の管軸O1と同軸位置に形成されている。
【0034】
なお、ここでは、蓋部材18の形状として円板を例示したが、これのみに限らず、後述する図19の流入部60のような漏斗状の形状を代わりに採用してもよい。いずれの場合においても、排水口である落し口部22の一部または全部を上から覆う形態であれば適宜採用可能である。
蓋部材18は、省略することも可能ではあるが、装備している方が排水時に封水しやすくなり、サイフォン現象をより誘発しやすくなり、よって排水性能を向上させることができる。
【0035】
図2に示すように、蓋部材18の外周縁18Aと、上側ドレン部材16に設けられている上側フランジ部31の外周縁31Cとの間に形成される部分が、流入開口23を構成する。流入開口23は、軒樋7に溜まった雨水が後述する上側ドレン部材16の落し口部22に流入するための開口を構成する。
【0036】
流入開口23の面積は、後述する落し口部22の開口面積よりも大きい面積となるように、蓋部材18の大きさや高さ、形状が調整される。本実施形態では、流入開口23の面積は、円形の蓋部材18の円周、即ち外周縁18Aの長さと、蓋部材18の高さHとの積により求めることができる。
蓋部材18は、複数の縦リブ19に下方から支持された状態で上側ドレン部材16に支持されている。これにより、互いに離間している縦リブ19が蓋部材18により連結されるため、上側ドレン部材16に対して不均一にかかる応力が蓋部材18に連結された縦リブ19に分散され、内筒部32や内筒縮径部33にかかる応力を分散させることができる。
【0037】
複数枚の縦リブ19は、蓋部材18の下面に、管軸O1の周囲に等角度間隔を置いて固定された板材である。なお、ここでは縦リブ19として板材を例示したが、これのみに限らず、長手方向に直交する断面形状が矩形あるいは円形である棒材(支持脚)を採用してもよい。
いずれにせよ、複数枚の縦リブ19を備えることで、互いに隣り合う縦リブ19間の間隔よりも大きい異物を雨水から取り除くことができる。また、排水時に渦を巻こうとする雨水の流れを整流させることもできる。
図2に示す例では、縦リブ19は、6枚設けられており、これら6枚の縦リブ19が、管軸O1を中心として約60度間隔で設けられている。ただし、縦リブ19の枚数及び配置間隔は、この例のみに限られるものではない。
【0038】
蓋部材18は、軒樋7の内側に配置され、落し口部22から上方に離間した位置に配置されるとともに、軒樋7の上面7Eから落し口部22へ雨水を流入させる流入開口23を形成している。
蓋部材18は、軒樋7の上面7Eから上方に向けた高さHで、例えば10~60mmの位置に設定されていることが好ましい。
【0039】
蓋部材18を平面視したときの大きさは任意に設定することが可能であるが、落し口部22の開口を平面視塞ぐように配置されるとともに、落し口部22の開口面積より大きく設定されていることが好ましい。なお、蓋部材18の大きさは、落し口部22の開口面積と等しく設定されるか、または開口面積より小さく設定されていてもよい。
また、蓋部材18に対し上面から落し口部22に貫通する貫通穴が上下方向に形成されていてもよい。
図示した蓋部材18は、落し口部22の開口を全て塞ぐ、または、一部を塞ぐように配置されるが、落し口部22の開口面積より大きく設定されている方が、水封しやすいため、サイフォン現象を誘発しやすくなり、排水性能の向上を期待できる。
【0040】
蓋部材18の高さHは軒樋7の底板7Aから上方に、例えば30~40mmの位置に設定され、かつ蓋部材18の直径は落し口部22の開口外径R1の150~200%に設定されていることが好ましい。
安定的なサイフォン作用発生のため、蓋部材18の高さは、例えば軒樋7内の最大水位の0.1~0.5倍の高さであることが好適であり、0.2~0.45倍の高さであることがより好ましい。
なお、軒樋7内の最大水位は、軒樋7の側板7Bにおいて底板7Aからの高さのうち最も低いものをいう。
【0041】
蓋部材18を設けるための好適な落し口部22の内径は、例えば50mm以上170mm以下が好適であり、70mm以上170mm以下がより好適である。すなわち、落し口部22の内径を下限の50mm以上とすることで、サイフォン部17で発生する大流量の排水をスムーズに排水することができる。
落し口部22の内径を170mm以下とすることで収まりが小さくなり、継手や支持具の大型化を防ぐことができる。
【0042】
蓋部材18には、図2に示すように、上面18Bから上方に突出し、周方向に間隔をあけて配置される把持リブ20が設けられている。この把持リブ20を掴むことで、排水部材8を締め込む際の回転操作を容易に行うことができる。
【0043】
蓋部材18の下面中央に、誘導ガイド21が設けられている。誘導ガイド21は、図2に示すように、蓋部材18の下面中央部においてドレン軸O(蓋中心)に向かうに従い漸次下方に延びる曲線を有する複数の誘導ガイド21がドレン軸Oから径方向に向けて放射状に延びるように設けられている。
誘導ガイド21は、軒樋7内の雨水を流入開口23から落し口部(落し口部22の開口)へ誘導するためのものである。図示した例において誘導ガイド21は、蓋部材18と一体化され、蓋部材18の一部を構成する。
なお、誘導ガイド21は、上端と下端に穴が形成された漏斗状や筒状の壁部により形成され、落し口部22の開口を覆う蓋部材18の一部を構成する部材として設けてもよい。
【0044】
サイフォン部17は、平面視した場合の落し口部22の開口を塞ぐとともに、大雨時に多量の雨水が流入開口23から流入した時、空気を吸い込むことがなく、竪樋12を満水状態として水封する。その結果、下流側にサイフォン現象を発生させて高排水機能を奏する。
このような排水部材8は、例えば、工場やショッピングセンター等の大型施設の建物に取り付けられている雨水排水配管構造のうち軒樋7の内側に設けられ、高排水機能を発揮する。
【0045】
上側ドレン部材16は、図2図3に示すように、軒樋7における底板7Aの上面に配置され内周側に落し口部22が形成された上側フランジ部31と、上側フランジ部31の下方に形成された内筒部32を有する。さらに、上側ドレン部材16は、上側フランジ部31と内筒部32を接続し下方に向かうにしたがって縮径される内筒縮径部33と、内筒部32の外周面に形成された外周ネジ部35と、を備えている。
内筒部32は、後述する下側ドレン部材15の外筒部42に内挿され、外周ネジ部35と後述する内周ネジ部44が螺合される。この螺合により上側ドレン部材16と下側ドレン部材15は一体化され、排水部材8が構成される。
上側ドレン部材16において、内筒部32の内面と、上側フランジ部31が連設される部分の上面は、テーパー面、あるいは曲面に形成されたベルマウス形状をなしている。
【0046】
上側フランジ部31は、平面視リング状に形成されている。
上側フランジ部31の下面31Bは、軒樋7の底板7Aの上面に配置される。
上側フランジ部31の下面31Bには、外周側に平坦面が形成され、平坦面の内周側に下方に突出する円筒形状部からなる位置決め段差部36が形成されている。
位置決め段差部36が軒樋7の貫通孔7Hの内周部と接触することにより、上側ドレン部材16が貫通孔7Hに対し位置決めされている。
【0047】
下側ドレン部材15は、図3に示すように、軒樋7の下面7D側に配置される下側フランジ部41と、下側フランジ部41の下方に一体形成されて下方に延在する外筒部42を備える。さらに下側ドレン部材15は、下側フランジ部41と外筒部42を接続する外筒縮径部43と、外筒部42の内面に形成された内周ネジ部44を備えている。
【0048】
外筒部42の長さは、例えば40~65mm程度に形成される。
下側フランジ部41は、平面視リング状に形成され、内部側に平面視円形の受入口41Hが形成されている。
下側フランジ部41において、外周側の上面41Aに平坦面が形成され、内周側が平坦面に対して下方にくぼんだ凹部形状とされている。
下側フランジ部41の上面41Aは、軒樋7における底板7Aの下面7D側に配置されている。
【0049】
外筒部42は、例えば、管軸O2を中心とする円筒形に形成され、軒樋7に取付けられた状態で上下方向に延在する。
外筒部42の内方には、上下方向に延在する外筒内周穴42Hが形成されている。
外筒部42の内面において、外筒縮径部43の若干下側に内周ネジ部44が形成されている。
外筒部42の内面において、内周ネジ部44の形成位置より若干下方には、内周凸部型のストッパー42Eが形成され、外筒部42の下端側に受口部42Fが形成されている。 この受口部42Fは、外筒部42の下方に設けられている短管状の第1の管9を挿入できる大きさに形成されている。受口部42Fの管軸方向長さは、例えば40~65mm程度に形成される。
【0050】
第1の管9は、例えば、硬質塩化ビニル樹脂やポリカーボネート、ABS、AES等の合成樹脂により形成された短管状の射出成形品または押出成形品とされている。また、第1の管9と呼び樋YTを構成する管は、例えば、JIS K 6741の呼び径75A~150Aの中から適宜選択可能である。外径は89.0mm~165.0mm、内径は78.0mm~154.8mm、開口面積は47.78cm~188.21cmである。
第1の管9の長さは、例えば、2000mm以下にすることができ、1000mm以下あるいは600mm未満であることが好ましい。また、70mm以上とされ、外筒部42の下端とエルボ管10の受口部10Bの上端とが接触しない程度の長さ以上とすることが好ましく、100mm以上がより好ましく、500mm以上であってもよい。ただし、下流側にサイフォン現象を発生させやすくするために竪樋12は2000mm以上の長さ、より好ましくは3000mm以上の長さとする必要があり、竪樋12を2000mm以上とできるよう、第1の管9の長さを適宜切断して調整することが好ましい。
【0051】
図1に示すように第1の管9の下方に設けられているエルボ管10、11は、それぞれ湾曲管と該湾曲管の両端側に一体形成された筒状の受口部を有する。例えば、エルボ管10は、湾曲管10Aと受口部10B、10Bを有する。エルボ管11は、湾曲管11Aと受口部11B、11Bを有する。
エルボ管10、11を第2の管(パイプ)14で接続した呼び樋YTは、その長さを1000mm以下、更に望ましくは500mm以下とすることが好ましい。本明細書ではこの呼び樋YTの長さに関し、第1の管9の中心軸線と、竪樋12の中心軸線の間の水平距離Lと定義する。この定義は後に説明する各実施形態でも同様である。呼び樋YTの長さが500mm以下の場合、エルボ管10、11に対する応力集中が顕著となる可能性が高いので、500mm以下の呼び樋YTに対し特に有効となる。その場合、応力集中を緩和し、ドレン部材15、16やエルボ管10、11に対する亀裂発生をよりよく防止できる。
第1の管9は、短管状であるが、その上端は外筒部42の受口部42Fに接続される差口部9Aを構成し、その下端はエルボ管10の受口部10Bに接続される差口部9Bを構成する。
【0052】
受口部10B、11Bの深さ(奥行き)は、例えば40~65mm程度に形成される。図1に示す例では、湾曲管10A、11Aの曲り角度が45゜に形成されたものを例示している。曲り角度が45゜ということは、筒状の受口部10B、10Bの中心軸線同士のなす角度が45゜であることを意味し、筒状の受口部11B、11Bの中心軸線同士のなす角度が45゜であることを意味する。
また、エルボ管10は、湾曲管の長さをできるだけ小さくしてコンパクト化する。このため、湾曲管10Aの曲り部の内側よりに位置する一方の受口部10Bの端部10B’と、他方の受口部10Bの端部10B’が近接配置されている。同様にエルボ管11において、湾曲管11Aの曲り部の内側よりに位置する一方の受口部11Bの端部11B’と、他方の受口部11Bの端部11B’が近接配置されている。
【0053】
エルボ管10、11は、図1に示すように側面視S字型に接合され、上方に位置するエルボ管10の受口部10Bに第1の管9の下端が差し込まれている。下方に位置するエルボ管11の受口部11Bには竪樋12の上端が差し込まれている。本実施形態の構造において各管同士の接続部分は接着剤の塗布などを行い、隙間埋めがなされている。
エルボ管10、11がS字型に接合されているので、軒樋7の直下に位置する第1の管9に対し、壁部2側のより近い位置に支持されている竪樋12の上端を接続することができ、収まりの良い雨水排水構造を構成できる。
本実施形態の雨水排水構造では、配水部材8と第1の管9とエルボ管10、11と第2の管14と第3の管12を備えて排水装置が構成される。
【0054】
図1に示す雨水排水構造であると、折板屋根1の熱収縮あるいは強風時の風圧などにより軒樋7が図1の左右方向に多少移動したとして、下側ドレン部材15と竪樋12に対し別部材としての第1の管9を備えているので、エルボ管10、11の接合部に作用する負荷を軽減することができる。第1の管9を別部材として設けることで応力が集中する箇所を多くして応力を分散することができる。また、第1の管9自体が変形することでも応力集中を緩和する。従って、第1の管9を備えた構成は、エルボ管10、11の接続部分に作用する負荷を軽減することができ、エルボ管10、11の受口部10B、11Bにおける亀裂発生の防止効果を奏する。
なお、下側ドレン部材15の受口部42Fとエルボ管10、11の受口部10B、11Bは受口として特別な構造ではなく、一般的な受口としての構造を適宜採用でき、専用部品として設計し、製造する必要がないので、図1に示す雨水排水構造は安価に提供することができる。
【0055】
なお、図1に示す雨水排水構造において、エルボ管10、11と第2の管14を含めた呼び樋の管内径と竪樋12の管内径との関係について、呼び樋の管内径が竪樋12の管内径より大きいことが好ましい。
一例として、呼び樋の横断面積(開口面積)は、竪樋12の横断面積(開口面積)の2.0倍以上7.0倍以下であることが好ましい。このように、呼び樋の管内径よりも竪樋12の管内径を小さくすることで、呼び樋から竪樋12に排水が流下した時、竪樋12の内部を排水で満たし易くすることができる。これにより、竪樋12の内部においてサイフォン現象を発生させ易くすることができる。よって、排水処理量を増加させることができる。その結果、竪樋12を細くしても十分な排水能力を確保することが可能になり、竪樋12を設けた建物において見栄えが低下することを防ぐことができる。
【0056】
ここまで、図1図3を用いて排水装置が排水部材8である場合の雨水排水構造について説明した。しかし、排水部材8においてサイフォン現象の発生を促進するのではなく、排水部材8は単純に異物などの混入を防止する目的のみの構造とし、竪樋12側にサイフォン現象の発生を促進する排水部材を配置した構造を採用することもできる。
【0057】
図4は竪管側に設けて好適な排水部材としてのフィン付き継手を示している。このフィン付き継手を設けた場合、軒樋側に設ける排水部材8は略しても良く、フィン付き継手を設けた上に排水部材8を設けても良い。
フィン付き継手(第1の継手)70Eは、継手本体80Eと複数のフィン90Eとを有する。
継手本体80Eは、鉛直上下方向に沿った管軸を有する円筒管である直管部83と、直管部83の上端に対して一体に形成された入口側篏合部81と、直管部83の下端に対して同軸に接続された出口側篏合部82Eとを有する。
一例として、フィン付き継手70Eは、竪樋12が複数の管体を継ぎ合わせて構成される場合、竪樋12の途中の管体に入口側篏合部81と出口側篏合部82Eを利用して組み込まれる。あるいは、エルボ管11の直下であって、エルボ管11と竪樋12の間に組み込まれる。
【0058】
出口側篏合部82Eには、複数のフィン90Eを内周面に形成したフィン付きリング90E1が、接続部90E2を介して一体に接続されている。
フィン付きリング90E1は、相対的に上流側に位置する上流端縁90E1aと、相対的に下流側に位置する下流端縁90E1bと、これら上流端縁90E1a及び下流端縁90E1b間を接続する縮流部90E1cと、縮流部90E1cの内周面に管軸を中心とした周方向に等角度間隔で配置された複数のフィン90Eとを有する。
【0059】
上流端縁90E1a及び下流端縁90E1bは、ともに環状をなすフランジ部分であり、直管部83の内周面の内径に近い外径寸法を有する。よって、上流端縁90E1a及び下流端縁90E1bは、直管部83の内壁面83aに対して隙間を開けずに接することができる。上流端縁90E1aの内周面は、管軸を含む断面で見た場合、その上流れ側から下流側に向かって徐々に厚みが増すようになっている。よって、上流端縁90E1aは、内壁面83a内に挿入配置されるものの、直管部83の内周面に対して過度に大きな段差を生じることなく、ここを通過していく雨水の流れを乱さずスムーズに通過させる。
【0060】
下流端縁90E1bは、接続部90E2の上端に対し、過度に大きな段差を生じないように滑らかに接続されている。よって、下流端縁90E1bは、ここを通過していく雨水の流れを乱さずスムーズに通過させて雨水の流れを整流化する。また、下流端縁90E1bは、出口側篏合部82Eの内周面との間に環状の隙間を形成しており、この環状の隙間内に直管部83の下端が水密に嵌め込まれるようになっている。
【0061】
縮流部90E1cは、管軸を含む断面で見た形状がアーチ状をなしており、管軸方向の上流側から途中位置までの上半分が縮流路を形成し、続いて前記途中位置から管軸方向の下流側に向かう下半分が拡大流路を形成している。すなわち、前記上半分では、管軸に沿った方向から見た円形開口の内径が、上流側から下流側に向かうにつれて徐々に縮径し、そして下半分との境位置で最小内径となっている。そして、続く前記下半分では、管軸に沿った方向から見た円形開口の内径が、上流側から下流側に向かうにつれて徐々に前記最小内径より拡径していき、そして接続部90E2との境界位置で接続部90E2の内径と等しくなっている。
【0062】
各フィン90Eは、管軸方向の最も上流側にある上端90Eaと、管軸方向の最も下流側にある下端90Ebとを有する略線状の突起である。そして、本例では、管軸方向に沿って見た場合、上端90Eaの直下よりも若干横方向にずれた位置に下端90Ebが位置している。よって、これら上端90Ea及び下端90Eb間を結ぶ直線を管軸と重ねたときに交差するように、各フィン90Eは傾斜配置されている。そして、互いに隣り合うフィン90E間に、管軸と重ねたときに交差する方向に沿った傾斜流路が形成されている。
【0063】
各フィン90Eは、上端90Ea及び下端90Eb間を結ぶ直線に対して垂直をなす断面で見た場合、前記直線上の各位置で略三角形の断面形状を有する。そして、この三角形断面の高さが、上端90Eaの位置から前記直線の中央位置までは徐々に高さが増していき、続いて前記直線の中央位置から下端90Ebにかけては徐々に高さが低くなっていく。また、これらフィン90Eを対向視した場合の幅寸法は、上端90Eaの位置から前記直線の中央位置までは徐々に増していき、続いて前記直線の中央位置から下端90Ebにかけては徐々に狭くなっていく。つまり、各フィン90Eは、管軸方向の中央位置で最も厚く、この中央位置から上端90Eaに向かうにつれて徐々に薄くなる。同様に、各フィン90Eは、前記中央位置から下端90Ebに向かうにつれて徐々に薄くなる。また、各フィン90Eを、上端90Ea及び下端90Eb間を結ぶ直線を含んでかつ縮流部90E1cの壁部の板厚方向に沿った断面で見た場合は、縮流部90E1cの内周面に沿った凸型のアーチ状をなしている。
各フィン90Eは、上記形状を有するので、雨水に加える流路抵抗を、管軸方向に沿って徐々に増していくように加えていくことが可能である。
【0064】
以上説明の構成によれば、各フィン90E及びフィン付きリング90E1を通過する際の雨水は、縮流と整流の両方が同時に行われ、スムーズに排水されていく。
加えて、各フィン90Eの上端90Eaがエルボ管11の受口部11Bの下端から鉛直下方に沿って1000mm以内に位置するように、各フィン90Eが配置されていることが好ましい。これにより、フィン付き継手70E内に流れ込んだ雨水は、各フィン90Eに当たることによる流路抵抗と、縮流部90E1cの内周面によって形成された縮流による抵抗とを受け始めることになる。この流路抵抗によれば、上記第1実施形態と同様に、流れ込んだ雨水の流速を下げるブレーキ効果が生じる。また、各フィン90Eによって整流効果が得られる点も同様である。
【0065】
したがって、本例の構成によれば、各フィン90Eの上辺とエルボ管11との間の流路内に、流速を下げられた雨水が一時的に溜まるようになるので、排水部材8からエルボ管11内に流れ込む雨水に空気が入り込みにくくなり、サイフォン現象を確実に誘発させることが可能である。しかも、各フィン90Eを通過した後の雨水は、整流済みであるため、渦を巻くことなくスムーズに排水されていく。
【0066】
加えて、各フィン90Eが形成されたフィン付きリング90E1を出口側篏合部82Eと一体化し、そして直管部83の下端に同軸に嵌め込むソケット式の構造を採用しているので、各フィン90Eの取り付けや交換、さらには掃除等のメンテナンスを容易に行うことが可能となっている。
なお、本変形例に係るフィン90E及びフィン付きリング90E1を含むソケット式の構成を、後述する各実施形態に適用してもよい。
図1図3を元に説明した第1実施形態では、軒樋7を備えた雨水排水構造として説明したが、軒樋7を備えず、その一方で排水枡を必須とする雨水排水構造としても良い。具体的には、排水枡とフィン付き継手70Eと、呼び樋と、竪樋12を備えた構成としてもよい。
【0067】
図4に示すフィン付き継手70Eを備えた雨水排水構造であれば、フィン付き継手70Eの上流側で一時的に雨水溜まりを生成し易くすることができる。この一時的な雨水溜まりにより、フィン付き継手70Eの上流側における空気の取り込みを抑えて渦流の発生を抑制することができる。このため、管内におけるサイフォン効果を効果的に発生させて排水性能を向上できる。
フィン付き継手70Eの流路内を通過する雨水は、渦を巻きながら通過しようとするが、管軸に沿って延在する複数のフィン90Eによって整流されるため、フィン90Eの位置を通過後、スムーズに排水される。
【0068】
図4に示すフィン付き継手70Eを設けた場合、フィン付き継手70Eを設けた位置より下方の竪樋12が3000mm以上の長さを有することが好ましい。
フィン付き継手70Eの下流側の竪樋12が3000mm以上の長さを有すると、フィン付き継手70Eの下流側の竪樋12に多量の雨水排水を流した場合、竪樋12内を流れる雨水の重量によりフィン付き継手70Eの上流側の雨水を竪樋側に吸引する力がより大きく作用する。これによりサイフォン現象を誘発し易くなる。従って、雨水排水量を向上できる雨水排水構造を提供できる。
前述の如く第1の管9の長さを、例えば、2000mm以下、1000mm以下あるいは600mm未満にすると、フィン付き継手70Eの設置位置を高くすることができ、これによりフィン付き継手70Eの下流側の竪樋12に関し、3000mm以上の長さを確保し易くなる。
エルボ管11とフィン付き継手70Eの距離は、望ましくは、エルボ管11の下端から1000mm以内であることが好ましい。フィン付き継手により排水性能を向上できる。フィン付き継手の位置は、エルボ管11の下端から800mm以内、600mm以内、400mm以内、200mm以内などでもよい。エルボ管11とフィン付き継手70Eの距離は、望ましくは70mm以上とされ、外筒部42の下端とエルボ管10の受口部10Bの上端とが接触しない程度の距離以上とすることが好ましく、100mm以上がより好ましく、500mm以上であってもよい。
以上の構成とすることにより、配管内で過度な圧力損失を生じることなくスムーズな排水ができる。
【0069】
「従来の雨水排水構造」
図5は、軒樋7に取り付けた排水部材8の下端部に差口部8Aを構成し、この差口部8Aをエルボ管50に直接接続し、エルボ管50の他端に横管からなる呼び樋34を接続し、呼び樋34の他端にエルボ管51を介し竪樋12に接続した従来の雨水排水構造を示す。
エルボ管50は湾曲管50Aとその両端側に設けた受口部50B、50Bを有し、エルボ管51は湾曲管51Aとその両端側に設けた受口部51B、51Bを有する。エルボ管50において、一方の受口部50Bの中心軸線と他方の受口部50Bの中心軸線の傾斜角度は90゜に設定されている。エルボ管51において、一方の受口部51Bの中心軸線と他方の受口部51Bの中心軸線の傾斜角度は90゜に設定されている。エルボ管50、51は、先のエルボ管10、11に対し湾曲管50A、51Aの部分が若干長いロングエルボタイプのエルボ管である。
図5に示す雨水排水構造である場合、呼び樋34の長さ分、壁部から軒樋7が離間した位置でなければ、接続できないこととなり、配管の収まりも悪い問題がある。
【0070】
折板屋根1に軒樋7が設けられている構造において、差口部8Aを設けた排水部材8を軒樋7に取り付け、部材8と竪樋12を接続するには、他の例として図6に示す雨水排水構造を採用することが考えられる。
図6に示す雨水排水構造では、差口部8Aに対しS字型に接続したロングエルボタイプのエルボ管50、51を接続し、エルボ管51の受口部51Bに竪樋12の上端を接続した構造である。
【0071】
図6に示す雨水排水構造において、エルボ管50、51の中心軸の円弧の長さに関し、先に説明したエルボ管10、11に比べ、大きく設定していることとなるので、折板屋根1の熱膨張や風圧に伴う軒樋7の多少の移動を生じても、応力の分散を図ることができ、エルボ管50、51に亀裂を生じ難い構造とすることができる。
しかし、図6の構成では、エルボ管50、51を長く形成した分、排水部材8から竪樋12に至る雨水排水構造の水平方向寸法aが大きくなるので雨水排水構造として収まりが悪くなる問題がある。
【0072】
折板屋根1に軒樋7が設けられている構造において、差口部8Aを設けた排水部材8を軒樋7に取り付け、排水部材8と竪樋12を接続するには、更に別の例として、図7に示す雨水排水構造を採用することが考えられる。
【0073】
図7は、軒樋7に取り付けた排水部材8の下端部に差口部8Aを構成し、この差口部8Aをエルボ管10に直接接続し、エルボ管10の他端に斜め方向に配置される短管からなる呼び樋52を接続し、呼び樋52の他端にエルボ管11を介し竪樋12に接続した雨水排水構造を示す。
図7に示す雨水排水構造では、呼び樋52を設けているため、折板屋根1の熱膨張や強風時の風圧に伴う軒樋7の多少の移動を生じても、応力の分散を図ることを期待でき、エルボ管10、11に亀裂を難い構造とすることができる。
しかし、図7の構成では、呼び樋52を設けた分、排水部材8から竪樋12に至る雨水排水配管構造の水平方向の寸法bが大きくなるので、雨水排水構造として収まりが悪くなる問題がある。
【0074】
図8は、軒樋7に取り付けた排水部材8の下端部に差口部8Aを構成し、この差口部8Aをエルボ管10に直接接続し、エルボ管10の他端にエルボ管11を介し竪樋12に接続した雨水排水構造を示す。
図8に示す雨水排水構造では、曲率半径の小さなエルボ管10、11を直接接続しているため、雨水排水構造として水平方向の寸法cを小さくできるものの、折板屋根1の熱膨張や強風時の風圧に伴う軒樋7の移動を生じると、応力の分散を図ることができず、エルボ管10、11の接続部に亀裂を生じるおそれを有する。
これに対し、前述した図1図3に示す雨水排水構造であるならば、配管接続部分が収まりの良いコンパクトな構成であるとともに、熱膨張や強風時の風圧によって軒樋7が多少移動してもエルボ管10、11に亀裂を生じない雨水排水構造を提供できる。
【0075】
「第2実施形態」
図9は本発明に係る第2実施形態の排水装置を備えた雨水排水構造を示す全体構成図、図10は要部の断面図である。
第2実施形態において、折板屋根1に対し軒樋支持具6により軒樋7が支持されている構成は先の第1実施形態の構成と同等であり、軒樋7に対し上側ドレン部材16と下側ドレン部材15が取り付けられている構成も第1実施形態の構成と同等である。また、下側ドレン部材15に対し第1の管とエルボ管10、11と第2の管14を介し竪樋12が接続されている構成も同等である。本実施形態において軒樋7の内部には、底板7Aと側板7B、7Bにより区画される雨水排水路Rが構成されている。軒樋7は建物の軒先に沿うように形成されるので、軒樋7に沿って建物の軒先に沿う雨水排水路Rが構成される。
第2実施形態の構成が、主として第1実施形態の構成と異なっているのは、下側ドレン部材15に設けられている外筒部42の下端に差口部が形成されている点と、下側ドレン部材15とエルボ管10の間に介挿されている第1の管45の構成が異なる点である。
【0076】
本実施形態の上側ドレン部材16は、落し口部22の上部内面側に内周回りに複数の縦リブ48が形成されている。
本実施形態の下側ドレン部材15において、外筒部42が上側ドレン部材16の内筒部32より若干下方まで延出する長さに形成され、外筒縮径部43の若干下方に周段部46を介し外筒縮径部43の下端より外径を若干絞った形状の外筒部42が形成されている。本実施形態の外筒部42は差口部47を兼ねている。
【0077】
本実施形態の第1の管45は、上部側に前記外筒部42の差口部47を接続可能な筒状の受口部45Aを有し、下部側に前記エルボ管10の受口部10Bに接続可能な筒状の差口部45Bを有する。差口部45Bの管軸方向長さは、受口部45Aの管軸方向長さより若干長く形成されている。受口部45Aと差口部45Bの境界部分には周段部45Cが形成されている。
外筒部42(差口部47)の長さ(管軸方向の奥行き)は、例えば40~65mm程度である。
差口部45Bの長さは、エルボ管10の受口部10Bの管軸方向長さ(40~65mm)よりも、若干長く形成されている。なお、差口部45Bの長さは100mm以上であってもよい。その他の構成は、第1実施形態と同等である。
【0078】
第2実施形態の構造においては、第1の管45の受口部45Aに下側ドレン部材15の外筒部42(差口部47)が接続され、第1の管45の差口部47がエルボ管10の受口部10Bに接続されている。
エルボ管10に対しエルボ管11と竪樋12が接続されている構成は、第1実施形態の構成と同等である。
【0079】
第1の管45の長さ(図10に示す構造では実質的に差口部45Bの長さ)は、例えば、2000mm以下にすることができ、1000mm以下あるいは600mm未満であることが好ましい。また、70mm以上とされ、外筒部42の下端とエルボ管10の受口部10Bの上端とが接触しない程度の長さ以上とすることが好ましく、100mm以上がより好ましく、500mm以上であってもよい。ただし、下流側にサイフォン現象を発生させやすくするために竪樋12は2000mm以上の長さ、より好ましくは3000mm以上の長さとする必要があり、竪樋12を2000mm以上とできるよう、第1の管45の長さを適宜切断して調整することが好ましい。
【0080】
図9図10に示す第2実施形態の雨水排水構造は、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
例えば、湾曲管10A、11Aを短くしたエルボ管10、11がS字型に接合されているので、軒樋7の直下に位置する第1の管45に対し、壁部2側の近い位置に支持されている竪樋12の上端部を接続することができ、収まりの良い雨水排水構造を構成できる。
【0081】
図9図10に示す雨水排水構造であると、折板屋根1の熱収縮あるいは強風時の風圧などにより軒樋7が図8の左右方向に多少移動したとして、下側ドレン部材15と竪樋12に対し別部材としての第1の管45を備えているので、エルボ管10、11の接合部に作用する負荷を軽減することができる。従って、第1の管45を備えた構成は、エルボ管10、11の接続部分に作用する負荷を軽減することができ、エルボ管10、11の受口部10B、11Bにおける亀裂発生を防止できる効果がある。
なお、第1の管45は上部側が受口部45Aであり、下部側が差口部45Bであるため、専用の部品となるが、構造的に単純な構成であるため、部品コストの上昇も極力抑制することができる。
【0082】
図9図10を元に説明した第2実施形態では、排水部材8を備えた構成を例示したが、排水部材8を備えず、その一方で図4に示したフィン付き継手70Eを必須とした構成を採用してもよい。具体的には、雨水排水構造が、軒樋7と、フィン付き継手70Eと、呼び樋と、竪樋12を備えた構成としてもよい。軒樋7において排水部材8を設けた位置には、異物の混入を避ける目的のみの排水部材を設けることが好ましい。
なお、図9図10を元に説明した第2実施形態では、軒樋7を備えた雨水排水構造として説明したが、軒樋7を備えず、その一方で排水枡を必須とする雨水排水構造としても良い。具体的には、排水枡とフィン付き継手70Eと、呼び樋と、竪樋12を備えた構成としてもよい。ここで排水桝は、樹脂製のみに限らず、鋳型を用いた鋳鉄製、あるいはSUS製であってもよい。
【0083】
「第3実施形態」
図11は本発明に係る第3実施形態の排水装置を備えた雨水排水構造を示す全体構成図、図12は部分断面図である。
第3実施形態において、折板屋根1に対し軒樋支持具6により軒樋7が支持されている構成は先の第1実施形態の構成と同等であり、軒樋7に対し上側ドレン部材16と下側ドレン部材15が取り付けられている構成も第1実施形態の構成と同等である。また、下側ドレン部材15に対し第1の管とエルボ管10、11を介し竪樋12が接続されている構成も同等である。本実施形態において軒樋7の内部には、底板7Aと側板7B、7Bにより区画される雨水排水路Rが構成されている。軒樋7は建物の軒先に沿うように形成されるので、軒樋7に沿って建物の軒先に沿う雨水排水路Rが構成される。
第3実施形態の構成において、主に第1実施形態の構成と異なっているのは、下側ドレン部材15に設けられている外筒部42の下端に差口部が形成されている点と、下側ドレン部材15とエルボ管10の間に介挿されている継手管53と第1の管54を備えた点である。
【0084】
図12に示すように本実施形態の上側ドレン部材16は、落し口部22の上部内面側に内周回りに複数の縦リブ48が形成されている。
本実施形態の下側ドレン部材15においては、外筒部42が上側ドレン部材16の内筒部32より若干下方まで延出する長さに形成され、外筒縮径部43の若干下方に周段部46を介し外筒縮径部43の下端より外径を若干絞った形状の外筒部42が形成されている。本実施形態の外筒部42は差口部47を兼ねている。
【0085】
本実施形態に係る継手管53は、上部側に前記外筒部42の差口部47を外挿可能な受口部(外筒部用受口部)53Aを有し、下部側に短管状の第1の管54の一端に外挿可能な受口部(第1の管用受口部)53Bを有する。受口部53A、53Bの管軸方向長さは、例えば45~60mm程度である。
継手管53の受口部53Bには、短管状の第1の管54の上端が接続され、第1の管54の下端はその下方のエルボ管10の受口部10Bに接続されている。
第1の管54の管軸方向長さは、例えば80~105mm程度であるが、105mm以上であってもよい。
第1の管54の管軸方向長さは、例えば、2000mm以下にすることができ、1000mm以下あるいは600mm未満であることが好ましい。また、70mm以上とされ、外筒部42の下端とエルボ管10の受口部10Bの上端とが接触しない程度の長さ以上とすることが好ましく、100mm以上がより好ましく、500mm以上であってもよい。ただし、下流側にサイフォン現象を発生させやすくするために、竪樋12は2000mm以上の長さ、より好ましくは3000mm以上の長さとする必要があり、竪樋12を2000mm以上とできるよう、第1の管54の長さを適宜切断して調整することが好ましい。
【0086】
エルボ管10における受口部10Bの管軸方向長さは、例えば40~65mm程度である。エルボ管10の受口部10Bから上方に突出している第1の管54の上部側の長さは40mm以上であることが好ましい。
エルボ管10に対しエルボ管11と竪樋12が接続されている構成は、第1実施形態の構成と同等である。
【0087】
図11図12に示す雨水排水構造は、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
例えば、短いエルボ管10、11がS字型に接合されているので、軒樋7の直下に位置する継手管53と第1の管54に対し、壁部2側の近い位置に支持されている竪樋12の上端部を接続することができ、収まりの良い雨水排水構造を構成できる。
【0088】
図11図12に示す雨水排水構造であると、折板屋根1の熱収縮あるいは強風時の風圧などにより軒樋7が図11の左右方向に多少移動したとして、下側ドレン部材15と竪樋12に対し別部材としての継手管53と第1の管54を備えているので、エルボ管10、11の接合部に作用する負荷を軽減することができる。従って、継手管53、第1の管54を備えた構成は、エルボ管10、11の接続部分に作用する負荷を軽減することができ、エルボ管10、11の受口部10B、11Bにおける亀裂発生を防止できる効果がある。
なお、継手管53と第1の管54は構造的に単純な構成であるため、部品コストの上昇を極力抑制できる。
【0089】
図11図12を元に説明した第3実施形態では、排水部材8を備えた構成を例示したが、排水部材8を備えず、その一方で図4に示したフィン付き継手70Eを必須とした構成を採用してもよい。具体的には、雨水排水構造が、軒樋7と、フィン付き継手70Eと、呼び樋と、竪樋12を備えた構成としてもよい。軒樋7において排水部材8を設けた位置には、異物の混入を避ける目的のみの排水部材を設けることが好ましい。
なお、図11図12を元に説明した第3実施形態では、軒樋7を備えた雨水排水構造として説明したが、軒樋7を備えず、その一方で排水枡を必須とする雨水排水構造としても良い。具体的には、排水枡とフィン付き継手70Eと、呼び樋と、竪樋12を備えた構成としてもよい。ここで排水桝は、樹脂製のみに限らず、鋳型を用いた鋳鉄製、あるいはSUS製であってもよい。
【0090】
「第4実施形態」
図13は本発明に係る第4実施形態の排水装置を備えた雨水排水構造を示す全体構成図である。
第4実施形態において、折板屋根1に対し軒樋支持具6により軒樋7が支持されている構成は先の第1実施形態の構成と同等であり、軒樋7に対し上側ドレン部材16と下側ドレン部材15が取り付けられている構成も第1実施形態の構成と同等である。また、下側ドレン部材15に対し第1の管とエルボ管10、11を介し竪樋12が接続されている構成も同等である。本実施形態において軒樋7の内部には、底板7Aと側板7B、7Bにより区画される雨水排水路Rが構成されている。軒樋7は建物の軒先に沿うように形成されるので、軒樋7に沿って建物の軒先に沿う雨水排水路Rが構成される。
【0091】
第4実施形態の構成において、主に第1実施形態の構成と異なっているのは、下側ドレン部材15に設けられている外筒部42の下端に差口部を構成する延長筒部55が一体形成されている点である。
延長筒部55の長さは、例えば80~120mm程度に形成される。延長筒部55はその先端が差口部であり、エルボ管10の受口部10Bに直接接続されている。
延長筒部55の管軸方向長さは、例えば、2000mm以下にすることができ、1000mm以下あるいは600mm未満であることが好ましい。また、70mm以上とされ、外筒部42の下端とエルボ管10の受口部10Bの上端とが接触しない程度の長さ以上とすることが好ましく、100mm以上がより好ましく、500mm以上であってもよい。ただし、下流側にサイフォン現象を発生させやすくするために竪樋12は2000mm以上の長さ、より好ましくは3000mm以上の長さとする必要があり、竪樋12を2000mm以上とできるよう、延長筒部55の長さを適宜切断して調整することが好ましい。
【0092】
第4実施形態の構造においては、下側ドレン部材15の下端に延長筒部55を設けているため、延長筒部55の存在により第1実施形態の構造と同様の作用効果が得られる。
例えば、短いエルボ管10、11がS字型に接合されているので、軒樋7の直下に位置する延長筒部55に対し、壁部2側の近い位置に支持されている竪樋12の上端部を接続することができ、収まりの良い雨水排水構造を構成できる。
【0093】
図13に示す雨水排水構造であると、折板屋根1の熱収縮あるいは強風時の風圧などにより軒樋7が図13の左右方向に多少移動したとして、下側ドレン部材15と竪樋12に対し長い延長筒部55を備えているので、エルボ管10、11の接合部に作用する負荷を軽減することができる。従って、延長筒部55を備えた構成は、エルボ管10、11の接続部分に作用する負荷を軽減することができ、エルボ管10、11の受口部10B、11Bにおける亀裂発生を防止できる効果がある。
なお、延長筒部55を設けた下側ドレン部材15は専用の部品となるが、構造的に単純な構成であるため、部品コストの上昇を抑制できる。
【0094】
なお、図13を元に説明した第4実施形態では、排水部材8を備えた構成を例示したが、排水部材8を備えず、その一方で図4に示したフィン付き継手70Eを必須とした構成を採用してもよい。具体的には、雨水排水構造が、軒樋7と、フィン付き継手70Eと、呼び樋と、竪樋12を備えた構成としてもよい。軒樋7において排水部材8を設けた位置には、異物の混入を避ける目的のみの排水部材を設けることが好ましい。
なお、図9図10を元に説明した第2実施形態では、軒樋7を備えた雨水排水構造として説明したが、軒樋7を備えず、その一方で排水枡を必須とする雨水排水構造としても良い。具体的には、排水枡とフィン付き継手70Eと、呼び樋と、竪樋12を備えた構成としてもよい。ここで排水桝は、樹脂製のみに限らず、鋳型を用いた鋳鉄製、あるいはSUS製であってもよい。
【0095】
図1図12を基に説明した第1~第3実施形態の雨水排水構造においては、いずれも曲り角度を45゜とした湾曲管10Aを備えたエルボ管10、11を用いた。
本発明の雨水排水構造に適用するエルボ管は、曲り角度45゜のエルボ管に限るものではなく、図14に示す曲り角度11゜の湾曲管56Aとその両端に受口部56B、56Bを備えたエルボ管56を用いても良く、図15に示す曲り角度22゜の湾曲管57Aとその両端に受口部57B、57Bを備えたエルボ管57を用いても良い。
本発明の雨水排水構造に適用するエルボ管として、図16に示す曲り角度30゜の湾曲管58Aとその両端に受口部58B、58Bを備えたエルボ管58を用いても良く、図17に示す曲り角度60゜の湾曲管59Aとその両端に受口部59B、59Bを備えたエルボ管59を用いても良い。
本発明にエルボ管を適用する場合、湾曲管の曲り角度の小さいエルボ管であれば、雨水排水構造の収まりは良好となる。
【0096】
図1図11を基に説明した第1~第3実施形態の雨水排水構造においては、いずれも同じ形状のサイフォン部17を適用した下側ドレン部材15を設けたが、サイフォン部の構成は特に限定されない。
図18は、縦リブ48を設けた下側ドレン部材15の内上部側に漏斗状に上方に広がる流入部60を設け、この流入部60を複数の支持リブ61で上側フランジ部31の上方に吊り下げ支持した構成のサイフォン部62を示す。
このような漏斗状の流入部60は、空気を吸い込みにくくし、かつ、応力を各縦リブ19(支持リブ61)に分散させるという、上述した実施形態の蓋部材18と同様の効果を備える。
図19は、図18に示すサイフォン部62に設けた縦リブ48を略したサイフォン部63の構成を示す。
サイフォン部は図18図19に示す構成を採用することもでき、これらの構成によりサイフォン作用を発揮させて雨水排水構造に高排水機能を付加するようにしてもよい。
【0097】
「その他の実施形態」
例えば、図20および図21に示す上側ドレン部材16のように、蓋部材18が無くてもよい。
この場合、上側ドレン部材16の中心付近に筒状または中実の縦リブ連結部材64を備えていてもよい(図示の例では、縦リブ連結部材64は筒状である)。また、複数の縦リブ19が、上側ドレン部材16の中心軸付近で互いに直接(縦リブ連結部材64を介さずに)、連結していてもよく、例えば、ある縦リブの中心軸側の側面の一部または全面が、他の縦リブの中心軸側の側面の一部または全面と一体とされることで連結される。さらに、複数の縦リブ19が、の上端が環状のリングで連結されていてもよく、例えば、複数の縦リブの上端面と、中心に開口部を有する環状のリングの下面とが一体化することで連結される。
これにより、応力を各縦リブ19に分散させるという、上述した実施形態の蓋部材18と同様の効果を備える。
【0098】
また、図22および図23に示すように、内部にゴム輪を備え、挿入された管又は継手の差口が摺動可能な受口を備える伸縮継手70を、排水部材8とエルボ管10の間(図22)、または、エルボ管11の下部(図23)に設けてもよい。
これにより、折板屋根1の伸縮に伴い排水部材8とエルボ管10、11が相対的に離間や近接しても、伸縮継手70に挿入された排水部材8下部の管や差口、またはエルボ管11下部の管や差口が伸縮継手70の受口内で摺動することで、エルボ管10、11や排水部材8にかかる応力を緩和することができる。
【0099】
「第5実施形態」
図24は本発明に係る第5実施形態の排水装置を備えた雨水排水構造を示す全体構成図である。
第5実施形態の排水構造は、先に図1を基に説明した下側ドレン部材15、上側ドレン部材16、第1の管9、エルボ管10、11を備えた呼び樋YT、竪樋12などの構造をビルやマンションなどの屋上排水部に適用した実施形態である。
第5実施形態の構造は、建物100の屋上床(屋上を構成する床)101と、この屋上床101のコーナー部分に立設された腰壁102と、の接続部分の外側に設けられている。腰壁102は、建物100の屋上階の腰壁である。
【0100】
屋上床101と腰壁102との接合部分の内側に、枠型のルーフドレン105が設けられている。このルーフドレン105に、腰壁102を水平に貫通した横管106が接続されている。横管106の外端側に、継手本体103が接続されている。継手本体103の下部に、竪樋12が接続されている。
第5実施形態では、ルーフドレン105と、横管106と、継手本体103と、竪樋12と、後述する管本体部122と、蓋部材128を備えて、雨水排水構造S100が構成されている。
竪樋12は、建物の外壁(壁部)108に沿って下方に延在されている。竪樋12は、建物100の近傍の地面に設けられている図示略の集水枡あるいは他の排水管等の排水設備に接続されている。
【0101】
ルーフドレン105は、底板110と側板111とからなるL字型の枠体112を有する。枠体112には、配管接続用の筒部材113が一体化されている。側板111の底部側に、透孔111aが形成されている。この透孔111aから外側に延出するように、筒部材113が側板11の外側に延出されている。
底板110は、屋上床101のコーナー部分に設置され、側板111は、腰壁102の底部に密着されている。そして、ルーフドレン105は、屋上床101のコーナー部分に設置されている。筒部材113は、腰壁102の底部に形成した透孔102aに挿入されている。
枠体112の内側には、複数の通水孔を備えたL字枠状のストレーナ117が、ボルト118とナット119により枠体112に着脱自在に装着されている。枠体112とストレーナ117により、ルーフドレン105が構成されている。
【0102】
ルーフドレン105の底板110とストレーナ117の底部により、屋上床101側の防水シート115の端部が挟まれ、押さえられている。同様に、側板111とストレーナ117の上部により、腰壁102側の防水シート116の端部が挟まれ、押さえられていてもよい。
なお、本実施形態において適用したルーフドレン105は、1つの例である。本発明に適用するルーフドレンの構造には、一般的な枠型や箱型等、一般的な構造のルーフドレンを適宜用いてもよい。
【0103】
横管106は、排水用である。横管106は、適宜の水勾配を有しながら水平面に沿って延びている。横管106における長手方向の一部は、腰壁102の透孔102a内に配置されている。横管106の第1端部は、ルーフドレン105の筒部材113に接続されている。横管106における第1端部とは反対側の第2端部は、透孔102aの外側に突出している。横管106は、腰壁102を貫通している。横管106は、塩化ビニル樹脂等で形成されている。
【0104】
継手本体103は、管本体部122と、横管接続部123と、竪管接続部124と、排水部材(ドレン部材)8を備えている。なお、管本体部122、横管接続部123、竪管接続部124は、継手本体103を構成する。継手本体103は、配管用枡部材であってもよい。
管本体部122は、T字形をなす、いわゆるチーズ管であってもよい。管本体部122は、円管状の直管部の側面に、直管部内に連通する開口部である接続部が設けられて構成されている。管本体部122は、直管部の中心軸線が鉛直方向に沿うように、腰壁102の外側に設置されている。なお、管本体部122を設置する場合、直管部の中心軸線を鉛直方向から多少傾斜して設置しても差し支えない。
管本体部122の内底部に底板122aが形成され、この底板122aの中央部に貫通孔122bが形成されている。管本体部122の上端開口部に取り外し可能な蓋部材125を設けてもよい。蓋部材125は、ねじや係合などの嵌合方法により管本体部122に取り付けられていてもよい。蓋部材125を設けることで管本体部122の中に異物などが堆積した場合に、適宜異物を取り除くことができる。蓋部材125を取り外すことで管本体部122の上端開口は掃除口として使用することができる。
【0105】
横管接続部123、竪管接続部124は、それぞれ円筒状である。
横管接続部123は、管本体部122の接続部に、接続部と同軸に形成されている。横管接続部123内に、横管106の第2端部が配置されている。
竪管接続部124は、管本体部122の直管部の下部に、直管部と同軸に形成されている。竪管接続部124の内径は、直管部の内径と同一径である。
【0106】
継手本体103を構成する管本体部122、横管接続部123、竪管接続部124は、例えば、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)あるいはPB(ポリブテン)等のオレフィン系樹脂、硬質塩化ビニル樹脂やABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂)、AES(アクリロニトリル・エチレン・スチレン共重合体樹脂)等の樹脂を射出成型することで、一体に形成される。
【0107】
本実施形態においては、横管106と継手本体103により雨水排水路R’が構成されている。そして、雨水排水路R’の底部を兼ねる管本体部122の底板122aに第1実施形態で用いた下側ドレン部材15と上側ドレン部材16が取り付けられている。
図24に示すように下側ドレン部材15を底板122aの下方に配置し、上側ドレン部材16を底板122aの上方に配置する。この後、図3に示した第1実施形態の場合と同様に上側ドレン部材16の外周ネジ部35を下側ドレン部材15の内周ネジ部44に螺合することでドレン部材15、16が一体化される。
【0108】
図24に示す雨水排水構造であると、第1実施形態の構造と同様の作用効果を得ることができる。
例えば、熱収縮あるいは強風時の風圧などにより継手本体103が図24の左右方向に多少移動したとして、下側ドレン部材15と竪樋12に対し別部材としての第1の管9を備えているので、エルボ管10、11の接合部に作用する負荷を軽減することができる。第1の管9を別部材として設けることで応力が集中する箇所を多くして応力を分散することができる。また、第1の管9自体が変形することでも応力集中を緩和する。従って、第1の管9を備えた構成は、エルボ管10、11の接続部分に作用する負荷を軽減することができ、エルボ管10、11の受口部10B、11Bにおける亀裂発生の防止効果を奏する。
また、図24に示す継手本体103に対し、第2実施形態~第4実施形態に示すそれぞれの構造を適用してもよい。
【0109】
先の実施形態においてドレン部材に設けた縦リブは、以下の例に示すように他の位置に設けてもよい。
図25は、本発明に係る排水部材に適用可能な排水部材の第5変形例を示すもので、第1実施形態において図3を基に示した上側ドレン部材16の替わりに適用できる上側ドレン部材126を示している。
この上側ドレン部材126は、第1実施形態の上側ドレン部材16に設けた上側フランジ部31と同等の上側フランジ部31、内筒部32、内筒縮径部33、外周ネジ部35を有する。内筒部32は、第1実施形態と同様に下側ドレン部材15の外筒部42に内挿され、一体化される。
【0110】
上側フランジ部31の上面側には、2つの縦リブ127が一体化されている。これら2つの縦リブ127は、内筒部32と上側フランジ部31を平面視した場合、内筒部32の中心を挟んで互いに離間する位置に平行に位置するように形成されている。2つの縦リブ127は、内筒部32の中心から外れた位置に形成されていてもよい。
上側ドレン部材126を設ける場合、軒樋7の内部側に特にサイフォン部を設けることなく、竪樋12の方に図4に示すフィン付き継手70Eを設けることもできる。フィン付き継手70Eによりサイフォン現象を誘発する構成とし、上側ドレン部材126では異物等の流れ込みを防止できる構成にすることができる。
【0111】
図26は、本発明に係る排水部材に適用可能な排水部材の第6変形例を示すもので、第1実施形態において図3を基に示した上側ドレン部材16の替わりに適用できる上側ドレン部材136を示している。
この上側ドレン部材136は、第1実施形態の上側ドレン部材16に設けた上側フランジ部31と同等の上側フランジ部31、内筒部32、内筒縮径部33、外周ネジ部35を有する。内筒部32は、第1実施形態と同様に下側ドレン部材15の外筒部42に内挿され、一体化される。
【0112】
上側フランジ部31の上面側には、4つの縦リブ137を平面視、井桁状に一体化した縦リブ構成体138が一体化されている。これら4つの縦リブ137は、内筒部32と上側フランジ部31を平面視した場合、内筒部32の中心を囲む位置に形成されている。4つの縦リブ137は、内筒部32の中心から外れた位置に形成されていてもよい。
上側ドレン部材136を設ける場合、軒樋7の内部側に特にサイフォン部を設けることなく、竪樋12の方に図4に示すフィン付き継手70Eを設けること構成とすることもできる。フィン付き継手70Eによりサイフォン現象を誘発する構成とし、上側ドレン部材136では異物等の流れ込みを防止できる構成にすることができる。
図25図26に示すように上側フランジ部31に設ける縦リブ127、137は種々形状を採用できるが、図27に例示する平面視形状を採用することもできる。
【0113】
図27(A)は、本発明に係る排水装置に適用可能な排水部材の第7変形例を示す。
この変形例では、平面視双曲線状をなす2枚の湾曲板147を平面視X状になるように、かつ、2枚の湾曲板147の交点eを内筒部32の中心に位置させるように上側フランジ部31の上に配置した例である。湾曲板147を平面視X状に配置して縦リブ148が構成されている。2つの湾曲板147のそれぞれは、上側フランジ部31の上面と内筒縮径部33の上面から立設するようにこれらに一体化されている。
図27(A)に示す構成の縦リブ148を備えた上側フランジ部31を先のいずれかの実施形態に適用することができる。
【0114】
図27(B)は、本発明に係る排水装置に適用可能な排水部材の第8変形例を示す。
この変形例は、平面視双曲線状に湾曲させた2枚の湾曲板149を上側フランジ部31の上に配置した例である。2枚の湾曲板149は平面視幅方向中央部(湾曲板の湾曲率の最大の位置)fを内筒部32の中心側に向け、湾曲板149の凹面側を内筒部32の径方向外側に向けて配置されている。湾曲板149、149は平面視内筒部32の中心を挟む対称位置に形成され、上側フランジ部31の上面と内筒縮径部33の上面から立設するようにこれらに一体化されている。この例では、2つの湾曲板149から縦リブ150が形成されている。
図27(B)に示す構成の縦リブ150を備えた上側フランジ部31を先のいずれかの実施形態に適用することができる。
図27(A)、(B)に示すように、縦リブ148、150は平面視した場合、内筒部32の中心部を通過するように形成されていてもよく、通過しないように形成されていてもよい。
【0115】
図27(C)は、本発明に係る排水装置に適用可能な排水部材の第9変形例を示す。
この変形例は、3枚の平板状の縦リブ151が上側フランジ部31の上面と内筒縮径部33の上面から立設するようにこれらに一体化されている。
各縦リブ151を平面視した場合、それらの一側端部151aが上側フランジ部31の円周位置に配置されている。図27(C)に示す上側フランジ部31が描く円の周回り方向に120゜間隔で離間した位置に、各縦リブ151の一側端部151aが配置されている。各縦リブ151は各一側端部151aを配置した位置から、内筒部32の内側向きに延在されている。縦リブ151の他側の端部151bは内筒部32の中心から若干ずれた位置に配置されている。3つの縦リブ151において、3つの端部151bが配置された位置は、内筒部32の中心位置O32を中心位置として図27(C)に鎖線で描かれる正三角形の頂点位置とされている。図27(C)に示すように平面視した場合、内筒部32の半径位置からずれた位置に縦リブ151を設けてもよい。
図27(C)に示す構成の縦リブ151を備えた上側フランジ部31を先のいずれかの実施形態に適用することができる。
【0116】
図27(D)は、本発明に係る排水装置に適用可能な排水部材の第10変形例を示す。
この変形例は、4枚の平板状の縦リブ152が上側フランジ部31の上面と内筒縮径部33の上面から立設するようにこれらに一体化されている。
各縦リブ152を平面視した場合、それらの一側端部152aが上側フランジ部31の円周位置に配置されている。図27(D)に示す上側フランジ部31が描く円の周回り方向に90゜間隔で離間した位置に、各縦リブ152の一側端部152aが配置されている。各縦リブ152は各一側端部152aを配置した位置から、内筒部32の内側向きに延在されている。縦リブ152の他側の端部152bは内筒部32の中心から若干ずれた位置に配置されている。4つの縦リブ152において、4つの端部152bが配置された位置は、内筒部32の中心位置O32を中心位置として図27(D)に鎖線で描かれる正方形の頂点位置とされている。図27(D)に示すように平面視した場合、内筒部32の半径位置からずれた位置に縦リブ152を設けてもよい。
図27(D)に示す構成の縦リブ152を備えた上側フランジ部31を先のいずれかの実施形態に適用することができる。
【0117】
図27(E)は、本発明に係る排水装置に適用可能な排水部材の第11変形例を示す。
この変形例は、5枚の平板状の縦リブ153が上側フランジ部31の上面と内筒縮径部33の上面から立設するようにこれらに一体化されている。
各縦リブ153を平面視した場合、それらの一側端部153aが上側フランジ部31の円周位置に配置されている。図27(E)に示す上側フランジ部31が描く円の周回り方向に72゜間隔で離間した位置に、各縦リブ153の一側端部153aが配置されている。各縦リブ153は各一側端部153aを配置した位置から、内筒部32の内側向きに延在されている。縦リブ153の他側の端部153bは内筒部32の中心から若干ずれた位置に配置されている。5つの縦リブ153において、5つの端部153bが配置された位置は、内筒部32の中心位置O32を中心位置として図27(E)に鎖線で描かれる正五角形の頂点位置とされている。
図27(E)に示す構成の縦リブ153を備えた上側フランジ部31を先のいずれかの実施形態に適用することができる。
以上説明したように縦リブの形状は種々の形状を採用することができる。
【符号の説明】
【0118】
R、R’…雨水排水路、1…折板屋根、2…壁部、7…軒樋、7A…底板、
7B…側板、7H…貫通孔、8…排水部材(ドレン部材)、9…第1の管、
9A、9B…差口部、10…エルボ管(第1のエルボ管)、
11…エルボ管(第2のエルボ管)、12…第3の管(竪樋)、
14…第2の管(パイプ)、15…下側ドレン部材、
16…上側ドレン部材、17…サイフォン部、18…蓋部材、18A…外周縁、
22…落し口部、31…上側フランジ部、32…内筒部、41…下側フランジ部、
41H…受入口、42…外筒部、42F…受口部、45…第1の管、45A…受口部、
45B…差口部、53…継手管、53A…受口部(外筒部用受口部)、
53B…受口部(第1の管用受口部)、54…第1の管、55…延長筒部、
70E…フィン付き継手、103…継手本体、122a…底板、122b…貫通孔、
105…ルーフドレン、106…横管、108…外壁(壁部)。
図1
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