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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050501
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】排水部材及び配管構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/068 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
E04D13/068 503C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023167495
(22)【出願日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2023058399
(32)【優先日】2023-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022156968
(32)【優先日】2022-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】元 隆明
(57)【要約】
【課題】本発明は、排水部材及び配管構造の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、貫通孔を有する底板と、底板の幅方向の両端から上方に向かって伸びる側板とを有する軒樋に装着され、エルボ管を介し竪樋に接続されるドレン部材であって、底板の下面に配置され内周に受入口が形成された下側フランジ部と、下側フランジ部の下方に形成された外筒部と、を有する下側ドレン部材と、底板の上面に配置され内周側に落し口部が形成された上側フランジ部と、上側フランジ部の下方に形成され外筒部に内挿される内筒部と、を有する上側ドレン部材と、を備え、上側フランジ部と内筒部の接続部分に、上側フランジ部から内筒部に向かうにつれて内径を縮径する内筒縮径部を設け、上側ドレン部材に、上側フランジ部から縮径部の下端に至る縦リブを内筒部の内周方向に離間させて複数設けたことを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を有する底板と、前記底板の幅方向の両端から上方に向かって伸びる側板とを有する軒樋に装着され、エルボ管を介し竪樋に接続されるドレン部材であって、
前記底板の下面に配置され内周に受入口が形成された下側フランジ部と、前記下側フランジ部の下方に形成された外筒部と、を有する下側ドレン部材と、
前記底板の上面に配置され内周側に落し口部が形成された上側フランジ部と、前記上側フランジ部の下方に形成され前記外筒部に内挿される内筒部と、を有する上側ドレン部材と、を備え、
前記上側フランジ部と前記内筒部の接続部分に、前記上側フランジ部から前記内筒部に向かうにつれて内径を縮径する内筒縮径部を設け、
前記上側ドレン部材に、前記上側フランジ部から前記内筒縮径部の下端に至る縦リブを前記内筒部の内周方向に離間させて複数設け、
前記縦リブの下端を前記内筒縮径部の下端より下方に位置させたことを特徴とする排水部材。
【請求項2】
前記下側フランジ部と前記外筒部の接続部分に、前記下側フランジ部から前記外筒部に向かうにつれて内径を縮径する外筒縮径部を有し、
前記縦リブの下端を前記外筒縮径部の下端より下方に位置させた、
請求項1に記載の排水部材。
【請求項3】
前記下側フランジ部と前記外筒部の接続部分に、前記下側フランジ部から前記外筒部に向かうにつれて内径を縮径する外筒縮径部を有し、
前記外筒部の内面に内周ネジ部を有し、前記内筒部の外面に外周ネジ部を有するとともに、
前記縦リブの下端を前記内筒縮径部の下端より下に、かつ前記外筒部の内周ネジ部の上端より上に位置させた、
請求項1に記載の排水部材。
【請求項4】
前記縦リブの上端から下端に向けて前記縦リブの厚さが順次薄くなる、
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の排水部材。
【請求項5】
前記縦リブにおける前記内筒部の内周側に前記内筒部の中心側まで延在する内周縁部を有する、
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の排水部材。
【請求項6】
前記縦リブに前記内筒部の中心側まで延在する直線状傾斜部または湾曲状傾斜部を有する、
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の排水部材。
【請求項7】
貫通孔を有する底板と、前記底板の幅方向の両端から上方に向かって伸びる側板とを有する軒樋に対しドレン部材が装着され、前記ドレン部材がエルボ管を介し竪樋に接続された配管構造であって、
前記ドレン部材が、
前記底板の下面に配置され内周に受入口が形成された下側フランジ部と、前記下側フランジ部の下方に形成された外筒部と、を有する下側ドレン部材と、
前記底板の上面に配置され内周側に落し口部が形成された上側フランジ部と、前記上側フランジ部の下方に形成され前記外筒部に内挿される内筒部と、を有する上側ドレン部材を有し、
前記上側フランジ部と前記内筒部の接続部分に、前記上側フランジ部から前記内筒部に向かうにつれて内径を縮径する内筒縮径部を設け、
前記上側ドレン部材に、前記上側フランジ部から前記内筒縮径部の下端に至る縦リブを前記内筒部の内周方向に離間させて複数設け、
前記縦リブの下端を前記内筒縮径部の下端より下方に位置させたことを特徴とする配管構造。
【請求項8】
前記下側フランジ部と前記外筒部の接続部分に、前記下側フランジ部から前記外筒部に向かうにつれて内径を縮径する外筒縮径部を有し、
前記縦リブの下端を前記外筒縮径部の下端より下方に位置させた、
請求項7に記載の配管構造。
【請求項9】
前記下側フランジ部と前記外筒部の接続部分に、前記下側フランジ部から前記外筒部に向かうにつれて内径を縮径する外筒縮径部を有し、
前記外筒部の内面に内周ネジ部を有し、前記内筒部の外面に外周ネジ部を有するとともに、
前記縦リブの下端を前記内筒縮径部の下端より下に、かつ前記外筒部の内周ネジ部の上端より上に位置させた、
請求項7に記載の配管構造。
【請求項10】
前記縦リブの上端から下端に向けて前記縦リブの厚さが順次薄くなる、
請求項7に記載の配管構造。
【請求項11】
前記縦リブにおける前記内筒部の内周側に前記内筒部の中心側まで延在する内周縁部を有する、
請求項7に記載の配管構造。
【請求項12】
前記縦リブに前記内筒部の中心側まで延在する直線状傾斜部または湾曲状傾斜部を有する、
請求項7に記載の配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水部材及び配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫、ショッピングセンター等の大型施設の建物に取り付けられた軒先に配置される大型の軒樋において、高排水機能を有するサイフォンドレン部材が広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このサイフォンドレン部材は、軒樋の底板を挟んで下面側に配置された下側ドレン部材と、上面側に配置されサイフォン部を備えた上側ドレン部材とを備えた構成が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6784708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
軒樋は屋根の軒先先端に吊り下げられ、建物の壁面から離れた位置に設置されるため、軒樋に取り付けたドレン部材と、壁面に沿って支持される竪樋を接続するには、曲率の大きなエルボ管あるいはエルボ管と呼び樋と称される横管を介し接続する必要がある。
工場や倉庫など、大型の建物では軒先が短いケースが多いため、曲率半径が小さく収まりの良いエルボ管をS字型に接続したり、呼び樋を短くする必要がある。また、サイフォン作用を確実に得るために、呼び樋を2m以下とするなどの工夫が必要となる。
しかし、前述の構造を採用すると、建物の屋根が金属製折板屋根などの場合、屋根材の熱伸縮により軒樋が竪樋に対し相対移動し、相対移動に伴う応力がドレン部材の接合部に集中する問題がある。軒樋と竪樋の相対移動は強風時の風圧により発生する場合もある。 前述の相対移動量が大きい場合、ドレン部材の接合部に亀裂を生むおそれがある。
また、収まりを良好とするために短い呼び樋を用いたり、曲率半径の小さいエルボ管を用いた場合も、前述の相対移動に伴う呼び樋の撓みにより、ドレン部材の一部に亀裂を生じるおそれがある。
なお、前述の応力集中は、エルボ管の接合部に生じるおそれもあるので、エルボ管の肉厚を増加するかエルボ管を補強すると、エルボ管の亀裂発生を防止できるが、この場合は逆にドレン部材に応力が集中することとなり、ドレン部材に亀裂を生むおそれがある。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑み、なされたものであって、ドレン部材に応力が集中し難い構成を採用した排水部材及び配管構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は以下の形態を提案している。
「1」本形態に係る排水部材は、貫通孔を有する底板と、前記底板の幅方向の両端から上方に向かって伸びる側板とを有する軒樋に装着され、エルボ管を介し竪樋に接続されるドレン部材であって、前記底板の下面に配置され内周に受入口が形成された下側フランジ部と、前記下側フランジ部の下方に形成された外筒部と、を有する下側ドレン部材と、 前記底板の上面に配置され内周側に落し口部が形成された上側フランジ部と、前記上側フランジ部の下方に形成され前記外筒部に内挿される内筒部と、を有する上側ドレン部材と、を備え、前記上側フランジ部と前記内筒部の接続部分に、前記上側フランジ部から前記内筒部に向かうにつれて内径を縮径する内筒縮径部を設け、前記上側ドレン部材に、前記上側フランジ部から前記内筒縮径部の下端に至る縦リブを前記内筒部の内周方向に離間させて複数設け、前記縦リブの下端を前記内筒縮径部の下端より下方に位置させたことを特徴とする。
【0008】
上述の排水部材であれば、内筒縮径部の下端より下まで縦リブを形成して縦リブの長さを充分確保し、上側ドレン部材を強化したので、屋根の熱膨張あるいは強風時の風圧などにより軒樋と竪樋の相対移動が生じ、上側ドレン部材に応力が集中したとして、上側ドレン部材に亀裂が発生するおそれをなくすることができる。
【0009】
「2」本形態に係る排水部材において、前記下側フランジ部と前記外筒部の接続部分に、前記下側フランジ部から前記外筒部に向かうにつれて内径を縮径する外筒縮径部を有し、前記縦リブの下端を前記外筒縮径部の下端より下方に位置させた、構成を採用できる。
【0010】
上述の排水部材であれば、縦リブの下端を外筒縮径部の下端より下に設けたので、縦リブの長さを確保し、縦リブを設けた上側ドレン部材の強度を確実に向上させることができる。このため、屋根の熱膨張あるいは強風時の風圧などにより軒樋と竪樋の相対移動が生じ、上側ドレン部材に応力が集中したとして、上側ドレン部材に亀裂を生じることのない配管部材を提供できる。
【0011】
「3」本形態に係る排水部材において、前記下側フランジ部と前記外筒部の接続部分に、前記下側フランジ部から前記外筒部に向かうにつれて内径を縮径する外筒縮径部を有し、前記外筒部の内面に内周ネジ部を有し、前記内筒部の外面に外周ネジ部を有するとともに、前記縦リブの下端を前記内筒縮径部の下端より下に、かつ前記内筒部の外周ネジ部の上端より上に位置させた構成を採用できる。
【0012】
上述の排水部材であれば、縦リブの下端を内筒縮径部の下端より下、かつ外筒部の内周ネジ部の上端より上に設け、縦リブの長さを充分確保して上側ドレン部材を強化できるとともに、外周ネジ部を形成した領域の内側に縦リブが存在しない構成にできる。
外周ネジ部を形成した領域の内側に縦リブが存在すると、上側ドレン部材を成型する場合、成型後の熱収縮により外周ネジ部が変形するおそれがある。外周ネジ部が変形すると、内周ネジ部との嵌合が円滑になされなくなるおそれがあり、上側ドレン部材と下側ドレン部材のネジ結合ができなくなるおそれがある。上述の構成であれば、上側ドレン部材の外周ネジ部に変形を生じ難いため、上側ドレン部材と下側ドレン部材のネジ結合を確実に実施できる。
また、上側ドレン部材を縦リブにより強化したため、屋根の熱膨張あるいは強風時の風圧などにより軒樋と竪樋の相対移動が生じ、上側ドレン部材に応力が集中したとして、上側ドレン部材に亀裂を生じることのない排水部材を提供できる。
【0013】
「4」本形態に係る排水部材において、前記縦リブの上端から下端に向けて前記縦リブの厚さが順次薄くなる構成を採用できる。
【0014】
縦リブが下方に向かうにつれて薄くなる構成では、縦リブを通過する排水の流れが円滑となり、排水性が向上する。
【0015】
「5」本形態の排水部材において、前記縦リブにおける前記内筒部の内周側に、前記内筒部の中心側まで延在する内周縁部を有する構成を採用できる。
【0016】
内筒部の中心側まで延在する内周縁部を有する縦リブを設けることにより、内筒部を通過する排水の流れを円滑としつつ、上側ドレン部材を効率的に補強することができる。
【0017】
「6」本形態の排水部材において、前記縦リブに前記内筒部の中心側まで延在する直線状傾斜部または湾曲状傾斜部を有する構成を採用できる。
【0018】
上述の排水部材であれば、直線状傾斜部または湾曲状傾斜部を設けることで縦リブの面積を抑え、内筒部を通過する排水の流れに対する影響を極力抑制した上で下側ドレン部材を補強した排水部材を提供できる。
【0019】
「7」本形態の配管構造は、貫通孔を有する底板と、前記底板の幅方向の両端から上方に向かって伸びる側板とを有する軒樋に対しドレン部材が装着され、前記ドレン部材がエルボ管を介し竪樋に接続された配管構造であって、前記ドレン部材が、前記底板の下面に配置され内周に受入口が形成された下側フランジ部と、前記下側フランジ部の下方に形成された外筒部と、を有する下側ドレン部材と、前記底板の上面に配置され内周側に落し口部が形成された上側フランジ部と、前記上側フランジ部の下方に形成され前記外筒部に内挿される内筒部と、を有する上側ドレン部材を有し、
前記上側フランジ部と前記内筒部の接続部分に、前記上側フランジ部から前記内筒部に向かうにつれて内径を縮径する内筒縮径部を設け、
前記上側ドレン部材に、前記上側フランジ部から前記縮径部の下端に至る縦リブを前記内筒部の内周方向に離間させて複数設け、
前記縦リブの下端を前記内筒縮径部の下端より下方に位置させたことを特徴とする。
【0020】
上述の排水部材を備えた配管構造であれば、屋根の熱膨張あるいは強風時の風圧などにより軒樋と竪樋の相対移動が生じ、上側ドレン部材に応力が集中したとして、上側ドレン部材の内筒部を充分な長さの縦リブで補強しているので、上側ドレン部材に亀裂が発生するおそれをなくすることができる。
よって、上側ドレン部材の亀裂発生を抑制した配管構造であり、軒樋からの良好な排水性を有する配管構造を提供できる。
【0021】
「8」本形態の配管構造において、前記下側フランジ部と前記外筒部の接続部分に、前記下側フランジ部から前記外筒部に向かうにつれて内径を縮径する外筒縮径部を有し、前記縦リブの下端を前記外筒縮径部の下端より下方に位置させた構成を採用できる。
【0022】
上述の排水部材を備えた配管構造であれば、縦リブの下端を外筒縮径部の下端より下に設けたので、上側ドレン部材の強度を確実に向上させることができる。このため、屋根の熱膨張あるいは強風時の風圧などにより軒樋と竪樋の相対移動が生じ、上側ドレン部材に応力が集中したとして、上側ドレン部材に亀裂を生じることのない配管構造を提供できる。
【0023】
「9」本形態の配管構造において、前記下側フランジ部と前記外筒部の接続部分に、前記下側フランジ部から前記外筒部に向かうにつれて内径を縮径する外筒縮径部を有し、前記外筒部の内面に内周ネジ部を有し、前記内筒部の外面に外周ネジ部を有するとともに、 前記縦リブの下端を前記内筒縮径部の下端より下に、かつ前記外筒部の内周ネジ部の上端より上に位置させた構成を採用できる。
【0024】
上述の配管構造であれば、縦リブの下端を内筒縮径部の下端より下、かつ外筒部の内周ネジ部の上端より上に設け、縦リブの長さを充分確保して上側ドレン部材を強化できるとともに、外周ネジ部を形成した領域の内側に縦リブが存在しない構成にできる。
外周ネジ部を形成した領域の内側に縦リブが存在すると、上側ドレン部材を成型する場合、成型後の熱収縮により外周ネジ部が変形するおそれがある。外周ネジ部が変形すると、内周ネジ部との嵌合が円滑になされなくなるおそれがあり、上側ドレン部材と下側ドレン部材のネジ結合ができなくなるおそれがある。上述の構成であれば、上側ドレン部材と下側ドレン部材のネジ結合を確実に実施できる。
また、上側ドレン部材を強化したため、屋根の熱膨張あるいは強風時の風圧などにより軒樋と竪樋の相対移動が生じ、上側ドレン部材に応力が集中したとして、上側ドレン部材に亀裂を生じることのない配管構造を提供できる。
【0025】
「10」本形態の配管構造において、前記縦リブの上端から下端に向けて前記縦リブの厚さが順次薄くなる構成を採用できる。
【0026】
縦リブが下方に向かうにつれて薄くなる構成では、縦リブを通過する排水の流れが円滑となり、排水性が向上する。よって、軒樋からドレン部材を介し排水する場合の排水性に優れた配管構造を提供できる。
【0027】
「11」本形態の配管構造において、前記縦リブにおける前記内筒部の内周側に前記内筒部の中心側まで延在する内周縁部を有する構成を採用できる。
【0028】
内筒部の中心側まで延在する内周縁部を有する縦リブを設けることにより、内筒部を通過する排水の流れを円滑としつつ、上側ドレン部材を効率的に補強することができる。 このため、上側ドレン部材における亀裂発生を抑制した上で排水性の優れた配管構造を提供できる。
【0029】
「12」本形態の配管構造において、前記縦リブに前記内筒部の中心側まで延在する直線状傾斜部または湾曲状傾斜部を有する構成を採用できる。
【0030】
上述の排水部材を備えた配管構造であれば、直線状傾斜部または湾曲状傾斜部を設けることで縦リブの面積を抑え、内筒部を通過する排水の流れに対する影響を極力抑制した上で下側ドレン部材を補強した配管構造を提供できる。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る排水部材あるいは該排水部材を備えた配管構造であれば、屋根の熱膨張あるいは強風時の風圧などにより軒樋と竪樋の相対移動が生じ、上側ドレン部材に応力が集中したとして、上側ドレン部材を縦リブで補強しているので、上側ドレン部材に亀裂が発生するおそれをなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明に係る第1実施形態の排水部材を備えた軒樋の排水配管構造を示す部分断面図。
図2】同第1実施形態に係る排水部材の分解図。
図3】同第1実施形態に係る排水部材の一部を示す横断面図。
図4】従来の排水部材と軒樋排水配管構造を示す部分断面図。
図5】第1実施形態の構成を適用可能な軒樋排水配管構造に係る第2の例を示す部分断面図。
図6】第1実施形態の構成を適用可能な軒樋排水配管構造に係る第3の例を示す部分断面図。
図7】本発明に係る第2実施形態の排水部材を示す部分断面図。
図8】本発明に係る第3実施形態の排水部材を示す部分断面図。
図9】本発明に係る第4実施形態の排水部材を示す部分断面図。
図10】本発明に係る第5実施形態の排水部材を示す部分断面図。
図11】本発明に係る第6実施形態の排水部材を示す部分断面図。
図12】本発明に係る排水部材に適用可能なドレン部材を示す第7実施形態の横断面図。
図13】本発明に係る排水部材に適用可能なドレン部材の第1変形例を示す横断面図。
図14】本発明に係る排水部材に適用可能なドレン部材の第2変形例を示す斜視図。
図15】本発明に係る第1実施形態の排水部材を備え、ドレン部材とエルボ管の間に伸縮継手を備えた軒樋の排水配管構造を示す部分断面図。
図16】本発明に係る第1実施形態の排水部材を備え、エルボ管の下部に伸縮継手を備えた軒樋の排水配管構造を示す部分断面図。
図17】本発明に係る排水部材に適用可能なドレン部材の第3変形例を示すもので、(A)は横断面図、(B)は平面図。
図18】本発明に係る排水部材に適用可能なドレン部材の第4変形例を示すもので、(A)は横断面図、(B)は平面図。
図19】本発明に係る排水部材に適用可能なドレン部材のその他の変形例を示すもので、(A)は第5変形例の平面図、(B)は第6変形例の平面図、(C)は第7変形例の平面図、(D)は第8変形例の平面図、(E)は第9変形例の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
「第1実施形態」
以下、図1図3を参照し、本発明の第1実施形態に係る排水部材を軒樋排水配管構造に適用した一例について説明する。
本実施形態に係る排水部材は、折板屋根の軒先に取り付けられた軒樋の排水配管構造に適用される。
図1に示すように折板屋根1は、建物の壁部2の上端に形成されて金属板からなる山部3と谷部4を交互に波形に連続形成した構成を有する。図1は折板屋根1の軒先部分と壁部2を部分断面視した図であり、軒先の山部3を構成する金属板を上下方向に貫通する複数の取付ボルト5により矩形枠状の軒樋支持具6が固定されている。
軒樋支持具6により軒樋7が吊り持ち支持され、軒樋7の底部にドレン部材8が取り付けられ、このドレン部材8の下部に2つのエルボ管10、11を介し竪樋12が接続されている。軒樋7は折板屋根1の軒先下方に支持されているため、軒先から流下した雨水を受けることができる。竪樋12は壁部2に沿って上下数カ所に取り付けられた図示略の複数の取付金具により鉛直に支持され、建物近傍の地盤に埋設されている図示略の排水路に接続されて雨水を排水できるようになっている。
【0034】
図1に示す折板屋根1おいて右側から左側に向いて若干下向きの屋根勾配が付与されており、折板屋根1の左端部が軒先となる。図1の紙面表裏方向に軒先が延在されるが、延在された軒先に沿って所定の間隔で複数の軒樋支持具6が固定され、これら複数の軒樋支持具6により軒樋7が支持されている。図1は軒先の一部のみを示す部分断面図であるため1つの軒樋支持具6と1つの軒樋7のみ描かれている。
軒樋支持具6に支持されて軒樋7がほぼ水平に吊下されている。軒樋7は、底板7Aと図1に示す底板7Aの左右端から上方に立ち上がるように形成された側板7B、7Bからなる。図1の紙面表裏方向が軒樋7の長さ方向となり、図1の紙面左右方向が軒樋7の幅方向となる。底板7Aの幅方向中央部にはドレン部材8を取り付けるための貫通孔7Hが形成されている。
【0035】
本実施形態において、軒樋7は、例えば、硬質塩化ビニル樹脂やABS、AES等の合成樹脂で形成された押出成形品とされている。なお、軒樋7を形成する材料は任意に設定することが可能であり、合成樹脂に限定されることなく、例えば、金属の押出成形品で形成されていてもよい。
【0036】
また、軒樋7を合成樹脂で形成する場合には、熱による伸縮防止などのため線膨張係数が2.0×10-5/℃以下であることが好ましい。また、軒樋7の厚さ方向の中心に延伸したPET樹脂製シートや鉄製のシートなど低伸縮性シートを内挿したり、軒樋7を構成する合成樹脂自体にワラストナイトや炭素繊維などの低伸縮性の添加物を配合することで線膨張係数を小さくすることが好適である。
軒樋7は、底面幅が100mm以上200mm以下、高さが90mm以上150mm以下とされ、例えば流量4リットル/sec以上20リットル/sec以下の雨水を流すことができる大口径の軒樋に適用してもよい。
【0037】
サイフォンドレン部材(ドレン部材)8は、図1図2に示すように、例えば、下側ドレン部材15と、上側ドレン部材16と、上側ドレン部材16の上部に配置されるサイフォン部17と、を備え、軒樋7に取付けられている。具体的には、図2に示すように下側ドレン部材15が軒樋7の底板7Aの下面7D側に配置され、上側ドレン部材16が底板7Aの上面7E側に配置されている。
【0038】
サイフォンドレン部材8を形成する材料は任意に設定することが可能である。
本実施形態においてサイフォンドレン部材8は、例えば、硬質塩化ビニル樹脂やポリカーボネート、ABS、AES等の合成樹脂により形成された射出成形品とされている。なお、合成樹脂に限定されるのではなく、鋳鉄、ステンレス鋼やアルミニウムを鋳造することによってサイフォンドレン部材8を形成してもよい。
以下、下側ドレン部材15と上側ドレン部材16の詳細構造について、後に説明することとし、先にサイフォン部17について説明する。
サイフォン部17は、図2に示すように、例えば、蓋部材18と、上側ドレン部材16と蓋部材18とを連結する縦リブ19と、把持リブ20と、誘導ガイド21と、を備えている。また、サイフォン部17は、上側ドレン部材16の上部に一体化されている。
【0039】
蓋部材18は、例えば、上側ドレン部材16の上方に配置された平面視円形の円盤状に形成されている。また、蓋部材18は、上側ドレン部材16の管軸O1と同軸位置に形成されている。
図2に示すように、蓋部材18の外周縁18Aと、上側ドレン部材16に設けられている上側フランジ部31の外周縁31Cとの間に形成される部分が、流入開口23を構成する。流入開口23は、軒樋7に溜まった雨水が後述する上側ドレン部材16の落し口部22に流入するための開口を構成する。
【0040】
流入開口23の面積は、図3を基に後述する落し口部22の開口面積よりも大きい面積となるように、蓋部材18の大きさや高さ、形状が調整される。本実施形態では、流入開口23の面積は、円形の蓋部材18の円周、即ち外周縁18Aの長さと、蓋部材18の高さHとの積により求めることができる。
蓋部材18は、複数の縦リブ19に下方から支持された状態で上側ドレン部材16に支持されている。これにより、互いに離間している縦リブ19が蓋部材18により連結されるため、上側ドレン部材16に対して不均一にかかる応力が蓋部材18に連結された縦リブ19に分散され、内筒部32や内筒縮径部33にかかる応力を分散させることができる。
蓋部材18は、軒樋7の内側に配置され、落し口部22から上方に離間した位置に配置されるとともに、軒樋7の上面7Eから落し口部22へ雨水を流入させる流入開口23を形成している。
蓋部材18は、軒樋7の上面7Eから上方に向けた高さHで、例えば10~60mmの位置に設定されていることが好ましい。
【0041】
蓋部材18を平面視したときの大きさは任意に設定することが可能であるが、落し口部22の開口を平面視塞ぐように配置されるとともに、落し口部22の開口面積より大きく設定されていることが好ましい。なお、蓋部材18の大きさは、落し口部22の開口面積と等しく設定されるか、または開口面積より小さく設定されていてもよい。
また、蓋部材18に対し上面から落し口部22に貫通する貫通穴が上下方向に形成されていてもよい。なお、蓋部材18はドレン部材において必須ではないので、後のドレン部材の変形例において蓋部材を有しない構造について説明する。
【0042】
蓋部材18の高さHは軒樋7の底板7Aから上方に、例えば30~40mmの位置に設定され、かつ蓋部材18の直径は落し口部22の開口外径R1の150~200%に設定されていることが好ましい。
安定的なサイフォン作用発生のため、蓋部材18の高さは、例えば軒樋7内の最大水位の0.1~0.5倍の高さであることが好適であり、0.2~0.45倍の高さであることがより好ましい。
なお、軒樋7内の最大水位は、軒樋7の側板7Bにおいて底板7Aからの高さのうち最も低いものをいう。
【0043】
蓋部材18を設けるための好適な落し口部22の内径は、例えば50mm以上170mm以下が好適であり、70mm以上170mm以下がより好適である。すなわち、落し口部22の内径を下限の50mm以上とすることで、サイフォン部17で発生する大流量の排水をスムーズに排水することができる。
落し口部22の内径を170mm以下とすることで収まりが小さくなり、継手や支持具の大型化を防ぐことができる。
【0044】
蓋部材18には、図2に示すように、上面18Bから上方に突出し、周方向に間隔をあけて配置される把持リブ20が設けられている。この把持リブ20を掴むことで、サイフォンドレン部材8を締め込む際の回転操作を容易に行うことができる。
【0045】
蓋部材18の下面中央に、誘導ガイド21が設けられている。誘導ガイド21は、図2に示すように、蓋部材18の下面中央部においてドレン軸O(蓋中心)に向かうに従い漸次下方に延びる曲線を有する複数の誘導ガイド21がドレン軸Oから径方向に向けて放射状に延びるように設けられている。
誘導ガイド21は、軒樋7内の雨水を流入開口23から落し口部(落し口部22の開口)へ誘導するためのものである。
なお、誘導ガイド21は、上端と下端に穴が形成された漏斗状や筒状の壁部により形成されていてもよい。
【0046】
サイフォン部17は、平面視した場合の落し口部22の開口を塞ぐとともに、大雨時に多量の雨水が流入開口23から流入した時、空気を吸い込むことがなく、竪樋12を満水状態として水封する。その結果、下流側にサイフォン現象を発生させて高排水機能を奏する。
このようなサイフォンドレン部材8は、例えば、工場やショッピングセンター等の大型施設の建物に取り付けられている雨樋排水配管構造のうち軒樋7の内側に設けられ、高排水機能を発揮する。
【0047】
上側ドレン部材16は、図2図3に示すように、軒樋7における底板7Aの上面に配置され内周側に落し口部22が形成された上側フランジ部31と、上側フランジ部31の下方に形成された内筒部32と、上側フランジ部31と内筒部32を接続し下方に向かうにしたがって縮径される内筒縮径部33と、内筒部32の外面に形成された外周ネジ部35と、を備えている。
内筒部32は、後述する下側ドレン部材15の外筒部42に内挿され、外周ネジ部35と後述する内周ネジ部44が螺合される。この螺合により上側ドレン部材16と下側ドレン部材15は一体化され、サイフォンドレン部材8が構成される。
上側ドレン部材16において、内筒部32の内面と、上側フランジ部31が連設される部分の上面は、テーパー面、あるいは曲面に形成されたベルマウス形状をなしている。 外周ネジ部35は、内筒部32の下端位置から内筒縮径部33の下端より若干下方位置まで形成されている。
【0048】
上側フランジ部31は、平面視リング状に形成されている。
上側フランジ部31の下面31Bは、軒樋7の底板7Aの上面に配置される。
上側フランジ部31の下面31Bには、外周側に平坦面が形成され、平坦面の内周側に下方に突出する円筒形状部からなる位置決め段差部36が形成されている。
位置決め段差部36が軒樋7の貫通孔7Hの内周部と接触することにより、上側ドレン部材16が貫通孔7Hに対し位置決めされている。
【0049】
上側ドレン部材16の内部側には、上側フランジ部31から内筒部32に至るように複数の縦リブ37が形成されている。図3に示す例では内筒部32の内周方向に一定の間隔をあけて5枚の縦リブ37が形成されている。縦リブ37は、上側ドレン部材16において上側フランジ部31の内周面および内筒部32の内周面から上側ドレン部材16の管軸O1に向かって突出するように形成されている。従って、図3に示すように上側ドレン部材16の管軸O1を含む縦断面を表示した場合、中央と左右に縦リブ37が描かれるが、中央の縦リブ37が管軸O1に沿って上下方向向きに平板状に描かれている。
縦リブ37は、上側フランジ部31の上面から外周ネジ部35の形成領域上端より若干下方位置まで至るように形成されている。
【0050】
縦リブ37は、その上端面37Aを上側フランジ部31の上面と面一に、その下端面37Bを外周ネジ部35の形成領域上端より若干下方に位置させている。
縦リブ37において内筒部32の内側に形成されている底部側の突出幅は図3に示すようにほぼ一定である。これに対し、上側フランジ部31の上面は曲面とされているので、上側フランジ部31の上面側に位置する縦リブ37の上部側には、上側フランジ部31の上面に沿って上側フランジ部31の径方向外側に延出するように幅広の延出部37Dが形成されている。延出部37Dの上面に該当する縦リブ37の上端面37Aが、上側フランジ部31の上面と面一に形成されている。
例えば、縦リブ37の下端面37Bから上側フランジ部31の上面までの距離(a=縦リブ37の高さ)は20mm程度以上に形成される。
【0051】
下側ドレン部材15は、図3に示すように、軒樋7の下面7D側に配置される下側フランジ部41と、下側フランジ部41の下方に一体形成されて下方に延在する外筒部42を備える。さらに下側ドレン部材15は、下側フランジ部41と外筒部42を接続する外筒縮径部43と、外筒部42の内面に形成された内周ネジ部44を備えている。
【0052】
下側フランジ部41は、平面視リング状に形成され、内部側に平面視円形の受入口41Hが形成されている。
下側フランジ部41において、外周側の上面41Aに平坦面が形成され、内周側が平坦面に対して下方にくぼんだ凹部形状とされている。
下側フランジ部41の上面41Aは、軒樋7における底板7Aの下面7D側に配置されている。
【0053】
外筒部42は、例えば、管軸O2を中心とする円筒形に形成され、軒樋7に取付けられた状態で上下方向に延在する。
外筒部42の内方には、上下方向に延在する外筒内周穴42Hが形成されている。
外筒部42の内面において、外筒縮径部43の下端に形成されている周段部43Aの下側に内周ネジ部44が形成されている。内周ネジ部44は周段部43Aの内側から外筒部42の底部側にかけて形成されている。
図3に示す例では、外周ネジ部35と内周ネジ部44を嵌合してネジ結合し、軒樋7の底板7Aを上側フランジ部31と下側フランジ部41で挟んだ状態において、外周ネジ部35の上端が周段部43Aの内側に配置されている。
【0054】
また、外筒部42の下端外周部に、上方に向かってくぼむ形状の凹部45が、例えば、周方向に90°の間隔をあけて4つ設けられている。凹部45は、工具を下方から装着するための工具装着用凹部である。内筒部32の外周ネジ部35に対し内周ネジ部44を螺合し、上側ドレン部材16に下側ドレン部材15を一体化する場合、凹部45と工具を利用することにより容易に螺合作業を実施できる。
【0055】
図1に示すように下側ドレン部材15の下方に設けられているエルボ管10、11は、それぞれ湾曲管と該湾曲管の両端側に一体形成された筒状の受口部を有する。例えば、エルボ管10は、湾曲管10Aと受口部10B、10Bを有する。エルボ管11は、湾曲管11Aと受口部11B、11Bを有する。
本実施形態において用いるエルボ管10、11は、それらの管軸を含む平面における断面で見た時に、内周側の内壁面および外壁面の曲率半径が64mm以下であってもよい。エルボ管10、11の前記曲率半径が小さいものほど応力が集中し易いため、本実施形態で後に説明する効果を得られやすい。
【0056】
図1に示す例では、湾曲管10A、11Aの曲り角度が45゜に形成されたものを例示している。曲り角度が45゜ということは、筒状の受口部10B、10Bの中心軸線同士のなす角度が45゜であることを意味し、筒状の受口部11B、11Bの中心軸線同士のなす角度が45゜であることを意味する。
また、エルボ管10は、湾曲管の長さをできるだけ小さくしてコンパクト化する。このため、湾曲管10Aの曲り部の内側よりに位置する一方の受口部10Bの端部10B’と、他方の受口部10Bの端部10B’が近接配置されている。同様にエルボ管11において、湾曲管11Aの曲り部の内側よりに位置する一方の受口部11Bの端部11B’と、他方の受口部11Bの端部11B’が近接配置されている。
【0057】
エルボ管10、11は、図1に示すように側面視S字型に接合され、上方に位置するエルボ管10の受口部10Bに外筒部42の下端が差し込まれている。下方に位置するエルボ管11の受口部11Bには竪樋12の上端が差し込まれている。本実施形態の構造において各管同士の接続部分は接着剤の塗布などを行い、隙間埋めがなされている。
エルボ管10、11がS字型に接合されているので、軒樋7の直下に位置する下側ドレン部材15に対し、壁部2側のより近い位置に支持されている竪樋12の上端を接続することができ、収まりの良い配管構造を構成できる。
【0058】
図1に示す配管構造であると、折板屋根1の熱収縮あるいは強風時の風圧などにより軒樋7が図1の左右方向に多少移動し、下側ドレン部材15に応力が集中する。しかし、縦リブ37を複数設けて下側ドレン部材15を補強しているので、下側ドレン部材15に亀裂などの損傷を生じない。
【0059】
「従来の配管構造」
図4は、軒樋7に取り付けたドレン部材8の下端部に差口部8Aを構成し、この差口部8Aをエルボ管50に直接接続し、エルボ管50の他端に横管からなる呼び樋34を接続し、呼び樋34の他端にエルボ管51を介し竪樋12に接続した従来の配管構造を示す。
【0060】
エルボ管50は湾曲管50Aとその両端側に設けた受口部50B、50Bを有し、エルボ管51は湾曲管51Aとその両端側に設けた受口部51B、51Bを有する。エルボ管50において、一方の受口部50Bの中心軸線と他方の受口部50Bの中心軸線の傾斜角度は90゜に設定されている。エルボ管51において、一方の受口部51Bの中心軸線と他方の受口部51Bの中心軸線の傾斜角度は90゜に設定されている。エルボ管50、51は、先のエルボ管10、11に対し湾曲管50A、51Aの部分が若干長いロングエルボタイプのエルボ管である。図4に示す配管構造では、呼び樋34が存在し、ロングエルボ対応のエルボ管10、11を用いているため、エルボ管10、11やドレン部材8に対する応力集中の程度を軽減することはできる。
【0061】
しかし、図4に示す配管構造である場合、呼び樋34の長さ分、壁部から軒樋7が離間した位置でなければ、接続できないこととなり、配管の収まりも悪い問題がある。
これに対し、図1に示す配管構造であると、ドレン部材8とエルボ管10、11の接続部分回りの収まりが良好な特徴を有する。その上、縦リブ37を設けたことによりドレン部材8を補強しているので、収まりが良好な上にドレン部材8に亀裂を生じがたい構造とすることができる。
【0062】
折板屋根1に軒樋7が設けられている構造において、ドレン部材8を軒樋7に取り付け、ドレン部材8と竪樋12を接続するには、他の例として図5に示す配管構造を採用することが考えられる。
図5に示す配管構造では、差口部8Aに対しS字型に接続したロングエルボタイプのエルボ管50、51を接続し、エルボ管51の受口部51Bに竪樋12の上端を接続した構造である。
【0063】
図5に示す配管構造において、エルボ管50、51の長さに関し、先に説明したエルボ管10、11に比べ、大きく設定していることとなるので、折板屋根1の熱膨張や風圧に伴う軒樋7の多少の移動を生じても、応力の分散を図ることができる。この構造においても、上側ドレン部材16に縦リブ37を設けることで上側ドレン部材16に亀裂などを生じ難い構造にできる。また、図5の構造では、応力の分散化を図り、エルボ管50、51に亀裂を生じ難い構造とすることができる。
しかし、図5の構成では、エルボ管50、51を長く形成した分、ドレン部材8から竪樋12に至る配管構造の水平方向の長さaが長くなり、収まりが悪くなる問題は有している。
【0064】
折板屋根1に軒樋7が設けられている構造において、ドレン部材8を軒樋7に取り付け、ドレン部材8と竪樋12を接続するには、更に別の例として、図6に示す配管構造を採用することが考えられる。
【0065】
図6は、軒樋7に取り付けたドレン部材8の下端部をエルボ管10に直接接続し、エルボ管10の他端に斜め方向に配置される単管からなる呼び樋52を接続し、呼び樋52の他端にエルボ管11を介し竪樋12に接続した配管構造を示す。
図6に示す配管構造では、呼び樋52を設けているため、折板屋根1の熱膨張や強風時の風圧に伴う軒樋7の多少の移動を生じても、応力の分散を図ることを期待でき、エルボ管10、11に亀裂を難い構造とすることができる。また、上側ドレン部材16に縦リブ37を設けることで上側ドレン部材16に亀裂などを生じ難い構造にできる。
しかし、図6の構成では、呼び樋52を設けた分、ドレン部材8から竪樋12に至る配管構造の水平方向の長さbが長くなり、収まりが悪くなる問題は有している。
【0066】
「第2実施形態」
図7は本発明に係る第2実施形態の排水部材を示す要部断面図である。
第2実施形態において、折板屋根1に対し軒樋支持具6により軒樋7が支持されている構成は先の第1実施形態の構成と同等であり、軒樋7に対し上側ドレン部材16と下側ドレン部材15が取り付けられている構成も第1実施形態の構成と同等である。また、下側ドレン部材15に対しエルボ管10、11を介し竪樋12が接続されている構成も同等である。
第2実施形態の構成が第1実施形態の構成と異なっているのは、縦リブの構成である。 図7に示すように縦リブ46は、上側ドレン部材16の内部側に先の縦リブ37と同様に複数設けられている。
縦リブ46は、上側フランジ部31の上面から外周ネジ部35の形成領域上端より若干上方位置まで至るように形成されている。
【0067】
縦リブ46は、その上端面46Aを上側フランジ部31の上面と面一に、その下端面46Bを外周ネジ部35の形成領域上端より若干上方に位置させている。換言すると、縦リブ46はその下端面46Bを外筒縮径部43の下端の周段部43Aの正面より若干上方に位置させている。
縦リブ46において内筒部32の内側に形成されている底部側の突出幅はほぼ一定である。これに対し、上側フランジ部31の上面は曲面とされているので、上側フランジ部31の上面側に位置する縦リブ46の上部側には、上側フランジ部31の上面に沿って上側フランジ部31の径方向外側に延出するように幅広の延出部46Dが形成されている。延出部46Dの上面に該当する縦リブ46の上端面46Aが、上側フランジ部31の上面と面一に形成されている。
【0068】
例えば、縦リブ46の下端面46Bから周段部43Aの上面までの距離(a=縦リブ46の高さ)は5mm程度以下に形成される。この距離は、3mm以下がより好ましく、0mmでも良い。なお、この距離が-(マイナス)の値であることは、先の第1実施形態の構造であることを意味する。
【0069】
図7に示す第2実施形態の排水部材は、第1実施形態の排水部材と同様の作用効果を得ることができる。縦リブ46で上側ドレン部材16を補強している。従って、折板屋根1の熱膨張や強風時の風圧に伴う軒樋7の多少の移動を生じ、上側ドレン部材16に応力が集中したとして上側ドレン部材16に亀裂などを生じ難い特徴を有する。
また、図1に示す軒樋の配管構造に適用すると、収まりの良好な軒樋の配管構造を提供できる。
【0070】
さらに、第2実施形態の排水部材においては、縦リブ46の下端面46Bを外周ネジ部35の形成領域上端より若干上方に位置させている。
縦リブ46の下端を外周ネジ部35の形成領域よりも上に設けた場合、上側ドレン部材16を成型により製造する場合、成型後の熱収縮により外周ネジ部35が変形し難いという特徴を有する。縦リブ46の下端を外周ネジ部35の形成領域と広い面積に渡りオーバーラップさせると、成型後の熱収縮により外周ネジ部35に変形を生じるおそれがある。外周ネジ部35に変形を生じると、下側ドレン部材15の内周ネジ部44との嵌合が困難となるおそれがある。従って、第2実施形態では、確実に嵌合できる構成の下側ドレン部材15と上側ドレン部材16を提供できる。
【0071】
「第3実施形態」
図8は本発明に係る第3実施形態の排水部材を示す要部断面図である。
第3実施形態において、折板屋根1に対し軒樋支持具6により軒樋7が支持されている構成は先の第1実施形態の構成と同等であり、軒樋7に対し上側ドレン部材16と下側ドレン部材15が取り付けられている構成も第1実施形態の構成と同等である。また、下側ドレン部材15に対しエルボ管10、11を介し竪樋12が接続されている構成も同等である。
第3実施形態の構成が第1実施形態の構成と異なっているのは、縦リブの構成である。 図8に示すように縦リブ47は、上側ドレン部材16の内部側に先の縦リブ37と同様に複数設けられている。
縦リブ47は、上側フランジ部31の上面から外周ネジ部35の形成領域上端より若干上方位置まで至るように形成されている。
【0072】
縦リブ47は、その上端面47Aを上側フランジ部31の上面と面一に、その下端面47Bを外周ネジ部35の形成領域上端より若干上方に位置させている。
縦リブ47において内筒部32の内側に形成されている底部側の突出幅は内筒部32の上端に向かうにつれて徐々に大きくなるように縦リブ47の下端部に傾斜面47Eが形成されている。また、上側フランジ部31の上面は曲面とされているので、上側フランジ部31の上面側に位置する縦リブ47の上部側には、上側フランジ部31の上面に沿って上側フランジ部31の径方向外側に延出するように幅広の延出部47Dが形成されている。延出部47Dの上面に該当する縦リブ47の上端面47Aが、上側フランジ部31の上面と面一に形成されている。また、縦リブ47はその上端から下端にかけて順次薄くなるように厚さに勾配を付与している。
【0073】
図8に示す第3実施形態の排水部材は、第2実施形態の排水部材と同様の作用効果を得ることができる。縦リブ47で上側ドレン部材16を補強している。従って、折板屋根1の熱膨張や強風時の風圧に伴う軒樋7の多少の移動を生じ、上側ドレン部材16に応力が集中したとして上側ドレン部材16に亀裂などを生じ難い特徴を有する。
図1に示す軒樋の配管構造に適用すると、収まりの良好な軒樋の配管構造を提供できる。
更に、縦リブ47の下端を外周ネジ部35の形成領域よりも上に設けているので、成型後の熱収縮により外周ネジ部35に変形を生じていない上側ドレン部材16を得ることができる。従って、第3実施形態では、確実に嵌合できる構成の下側ドレン部材15と上側ドレン部材16を提供できる。
【0074】
また、縦リブ47に上端から下端にかけて徐々に薄くなるように厚さを調整したので、排水性能を向上できる効果がある。
縦リブの厚さを上端から下端にかけて徐々に薄くすることで排水性が向上する効果については、第1、第2実施形態の縦リブ37、46でも同様に得ることができるので、縦リブ37、46においてそれらの厚さに勾配を付与し、排水性を更に向上させても良い。
【0075】
「第4実施形態」
図9は本発明に係る第4実施形態の排水部材を示す要部断面図である。
第4実施形態の構成が図7に示す第2実施形態の構成と異なっているのは、縦リブの構成である。
図9に示すように縦リブ49は、上側ドレン部材16の内部側に先の縦リブ46と同様に複数設けられている。
縦リブ49は、上側フランジ部31の上面から外周ネジ部35の形成領域上端より若干上方位置まで至るように形成されている。
【0076】
縦リブ49は、その上端面49Aを上側フランジ部31の上面と面一に、その下端面49Bを外周ネジ部35の形成領域上端より若干上方に位置させている。
縦リブ49において内筒部32の内側に形成されている底部側の突出幅は内筒部32の上端に向かうにつれて徐々に大きくなるように縦リブ49の下端部に直線状傾斜部49Eが形成されている。縦リブ49において内筒部32の上端から上側フランジ部31の内周にかけて直線状傾斜部49Eを延長するように管軸O1近く(中心側)まで延出する内周縁部49Fが形成されている。
また、上側フランジ部31の上面は曲面とされているので、上側フランジ部31の上面側に位置する縦リブ47の上部側には、上側フランジ部31の上面に沿って上側フランジ部31の径方向外側に延出するように幅広の延出部49Dが形成されている。延出部49Dの上面に該当する縦リブ49の上端面49Aが、上側フランジ部31の上面と面一に形成されている。
【0077】
図9に示す第4実施形態の排水部材は、第2実施形態の排水部材と同様の作用効果を得ることができる。縦リブ49で上側ドレン部材16を補強している。また、縦リブ49は内周縁部49Fを設けて縦リブの面積を第1実施形態よりも大きくしているので、より大きな補強効果を得ることができる。
従って、折板屋根1の熱膨張や強風時の風圧に伴う軒樋7の多少の移動を生じ、上側ドレン部材16に応力が集中したとして上側ドレン部材16に亀裂などを生じ難い特徴を有する。図1に示す軒樋の配管構造に適用すると、収まりの良好な軒樋の配管構造を提供できる。
【0078】
縦リブ49の下端を外周ネジ部35の形成領域よりも上に設けているので、成型後の熱収縮により外周ネジ部35に変形を生じていない上側ドレン部材16を得ることができる。従って、第4実施形態では、確実に嵌合できる構成の下側ドレン部材15と上側ドレン部材16を提供できる。
さらに、内周縁部49Fを設けて縦リブ49を大きくしているものの、直線状傾斜部49Eを設けることで落し口部22の開口が小さくなることを抑制することができ、排水性の低下を抑制している。
【0079】
「第5実施形態」
図10は本発明に係る第5実施形態の排水部材を示す要部断面図である。
第5実施形態の構成が図9に示す第4実施形態の構成と異なっているのは、縦リブの構成である。
図10に示すように縦リブ55は、上側ドレン部材16の内部側に先の縦リブ49と同様に複数設けられている。
縦リブ55は、上側フランジ部31の上面から外周ネジ部35の形成領域上端より若干上方位置まで至るように形成されている。
【0080】
縦リブ55は、その上端面55Aを上側フランジ部31の上面と面一に、その下端面55Bを外周ネジ部35の形成領域上端より若干上方に位置させている。
縦リブ55において内筒部32の内側に形成されている底部側の突出幅は内筒部32の上端に向かうにつれて徐々に大きくなるように縦リブ49の下端部に凹曲面状の湾曲状傾斜部55Eが形成されている。縦リブ55において内筒部32の上端から上側フランジ部31の内周にかけて湾曲状傾斜部55Eを延長するように管軸O1近く(中心側)まで延出する内周縁部55Fが形成されている。
また、上側フランジ部31の上面は曲面とされているので、上側フランジ部31の上面側に位置する縦リブ55の上部側には、上側フランジ部31の上面に沿って上側フランジ部31の径方向外側に延出するように幅広の延出部55Dが形成されている。延出部55Dの上面に該当する縦リブ55の上端面55Aが、上側フランジ部31の上面と面一に形成されている。
【0081】
図10に示す第5実施形態の排水部材は、第4実施形態の排水部材と同様の作用効果を得ることができる。縦リブ55で上側ドレン部材16を補強している。また、縦リブ55は湾曲状傾斜部55Eを設けて縦リブの面積を第1実施形態よりも大きくしているので、より大きな補強効果を得ることができる。
従って、折板屋根1の熱膨張や強風時の風圧に伴う軒樋7の多少の移動を生じ、上側ドレン部材16に応力が集中したとして上側ドレン部材16に亀裂などを生じ難い特徴を有する。図1に示す軒樋の配管構造に適用すると、収まりの良好な軒樋の配管構造を提供できる。
【0082】
縦リブ55の下端を外周ネジ部35の形成領域よりも上に設けているので、成型後の熱収縮により外周ネジ部35に変形を生じていない上側ドレン部材16を得ることができる。従って、第5実施形態では、確実に嵌合できる構成の下側ドレン部材15と上側ドレン部材16を提供できる。
さらに、延出部55Dを設けて縦リブ55を大きくしているものの、湾曲状傾斜部55Eを設けることで落し口部22の開口が小さくなることを抑制することができ、排水性の低下を抑制できる。
【0083】
「第6実施形態」
図11は本発明に係る第6実施形態の排水部材を示す要部断面図である。
第6実施形態の構成が図9に示す第4実施形態の構成と異なっているのは、縦リブの構成である。
図11に示すように縦リブ56は、上側ドレン部材16の内部側に複数(内周回りに4つ)設けられている。
縦リブ56は、上側フランジ部31の上面から外周ネジ部35の形成領域上端より若干上方位置まで至るように形成されている。
【0084】
縦リブ56は、その上端面56Aを上側フランジ部31の上面と面一に、その下端面56Bを外周ネジ部35の形成領域上端より若干上方に位置させている。
縦リブ56において内筒部32の内側に形成されている底部側の突出幅は内筒部32の上端に向かって一定であり、縦リブ56の内端部は管軸O1近く(中心軸側)まで突出されている。
上側フランジ部31の上面は曲面とされているので、上側フランジ部31の上面側に位置する縦リブ56の上部側には、上側フランジ部31の上面に沿って上側フランジ部31の径方向外側に延出するように幅広の延出部56Dが形成されている。延出部56Dの上面に該当する縦リブ55の上端面56Aが、上側フランジ部31の上面と面一に形成されている。上側ドレン部材16の管軸に近い縦リブ56の内端部には、管軸O1と平行な内端面56Eが形成されている。
【0085】
図11に示す第6実施形態の排水部材は、第4実施形態の排水部材と同様の作用効果を得ることができる。縦リブ56で上側ドレン部材16を補強している。また、縦リブ56は管軸O1近くまで延出させて縦リブの面積を第1実施形態よりも大きくしているので、より大きな補強効果を得ることができる。
従って、折板屋根1の熱膨張や強風時の風圧に伴う軒樋7の多少の移動を生じ、上側ドレン部材16に応力が集中したとして上側ドレン部材16に亀裂などを生じ難い特徴を有する。図1に示す軒樋の配管構造に適用すると、収まりの良好な軒樋の配管構造を提供できる。
【0086】
縦リブ56の下端を外周ネジ部35の形成領域よりも上に設けているので、成型後の熱収縮により外周ネジ部35に変形を生じていない上側ドレン部材16を得ることができる。従って、第6実施形態では、確実に嵌合できる構成の下側ドレン部材15と上側ドレン部材16を提供できる。
【0087】
「第7実施形態」
ところで、本発明においては、サイフォン部の構成は特に限定されない。
図12は、縦リブ48を設けた下側ドレン部材15の内上部側に漏斗状に上部側に広がる流入部60を設け、この流入部60を複数の支持リブ61で上側フランジ部31の上方に吊り下げ支持した構成のサイフォン部62を示す。
このような漏斗状の流入部60は、空気を吸い込みにくくし、かつ、応力を各縦リブ19(支持リブ61)に分散させるという、上述した実施形態の蓋部材18と同様の効果を備える。
サイフォン部は図12に示す構成を採用することもでき、これらの構成によりサイフォン作用を発揮させて配管構造に高排水機能を付加するようにしてもよい。
【0088】
図12に示す構成において、縦リブ48は、その上端面48Aを上側フランジ部31の上面と面一に、その下端面48Bを外周ネジ部35の形成領域上端より若干上方に位置させている。縦リブ48において内筒部32の内側に形成されている底部側の突出幅は内筒部32の上端に向かうにつれて徐々に大きくなるように縦リブ48の下端部に傾斜面48Eが形成されている。
【0089】
図12に示す第7実施形態の排水部材は、第3実施形態の排水部材と同様の作用効果を得ることができる。縦リブ48で上側ドレン部材16を補強している。従って、折板屋根1の熱膨張や強風時の風圧に伴う軒樋7の多少の移動を生じ、上側ドレン部材16に応力が集中したとして上側ドレン部材16に亀裂などを生じ難い特徴を有する。
また、図1に示す軒樋の配管構造に適用すると、収まりの良好な軒樋の配管構造を提供できる。
更に、縦リブ48の下端を外周ネジ部35の形成領域よりも上に設けているので、成型後の熱収縮により外周ネジ部35に変形を生じていない上側ドレン部材16を得ることができる。従って、第6実施形態では、確実に嵌合できる構成の下側ドレン部材15と上側ドレン部材16を提供できる。
【0090】
「その他の実施形態」
例えば、図13に示す第1変形例および図14に示す第2変形例の上側ドレン部材16のように、蓋部材18が無くてもよい。
この場合、上側ドレン部材16の中心付近に筒状または中実の縦リブ連結部材64を備えていてもよい(図示の例では、縦リブ連結部材64は筒状である)。また、複数の縦リブ19が、上側ドレン部材16の中心軸付近で互いに直接(縦リブ連結部材64を介さずに)、連結していてもよく、例えば、ある縦リブの中心軸側の側面の一部または全面が、他の縦リブの中心軸側の側面の一部または全面と一体とされることで連結される。さらに、複数の縦リブ19が、の上端が環状のリングで連結されていてもよく、例えば、複数の縦リブの上端面と、中心に開口部を有する環状のリングの下面とが一体化することで連結される。
これにより、応力を各縦リブ19に分散させるという、上述した実施形態の蓋部材18と同様の効果を備える。
【0091】
また、図15および図16に示すように、内部にゴム輪を備え、挿入された管又は継手の差口が摺動可能な受口を備える伸縮継手70を、ドレン部材8とエルボ管10の間(図15)、または、エルボ管11の下部(図16)に設けてもよい。
これにより、折板屋根1の伸縮に伴いドレン部材8とエルボ管10、11が相対的に離間や近接しても、伸縮継手70に挿入されたドレン部材8下部の管や差口、またはエルボ管11下部の管や差口が伸縮継手70の受口内で摺動することで、エルボ管10,11やドレン部材8にかかる応力を緩和することができる。
【0092】
先の実施形態においてドレン部材に設けた縦リブは、以下の変形例に示すように他の位置に設けてもよい。
図17は、本発明に係る排水部材に適用可能なドレン部材の第3変形例を示すもので、第1実施形態において図3を基に示した上側ドレン部材16の替わりに適用できる上側ドレン部材126を示している。
この上側ドレン部材126は、第1実施形態の上側ドレン部材16に設けた上側フランジ部31と同等の上側フランジ部31、内筒部32、内筒縮径部33、外周ネジ部35を有する。内筒部32は、第1実施形態と同様に下側ドレン部材15の外筒部42に内挿され、一体化される。
【0093】
上側フランジ部31の上面側には、2つの縦リブ127が一体化されている。これら2つの縦リブ127は、内筒部32と上側フランジ部31を平面視した場合、内筒部32の中心を挟んで互いに離間する位置に平行に位置するように形成されている。2つの縦リブ127は、内筒部32の中心から外れた位置に形成されていてもよい。
【0094】
図18は、本発明に係る排水部材に適用可能なドレン部材の第4変形例を示すもので、第1実施形態において図3を基に示した上側ドレン部材16の替わりに適用できる上側ドレン部材136を示している。
この上側ドレン部材136は、第1実施形態の上側ドレン部材16に設けた上側フランジ部31と同等の上側フランジ部31、内筒部32、内筒縮径部33、外周ネジ部35を有する。内筒部32は、第1実施形態と同様に下側ドレン部材15の外筒部42に内挿され、一体化される。
【0095】
上側フランジ部31の上面側には、4つの縦リブ137を平面視、井桁状に一体化した縦リブ構成体138が一体化されている。これら4つの縦リブ137は、内筒部32と上側フランジ部31を平面視した場合、内筒部32の中心を囲む位置に形成されている。4つの縦リブ137は、内筒部32の中心から外れた位置に形成されていてもよい。
図17図18に示すように上側フランジ部31に設ける縦リブ127、137は種々形状を採用できるが、図19に例示する平面視形状を採用することもできる。
【0096】
図19(A)は、本発明に係る排水部材に適用可能なドレン部材の第5変形例を示す。この変形例では、平面視双曲線状をなす2枚の湾曲板147を平面視X状になるように、かつ、2枚の湾曲板147の交点eを内筒部32の中心に位置させるように上側フランジ部31の上に配置した例である。湾曲板147を平面視X状に配置して縦リブ148が構成されている。2つの湾曲板147のそれぞれは、上側フランジ部31の上面と内筒縮径部33の上面から立設するようにこれらに一体化されている。
図19(A)に示す構成の縦リブ148を備えた上側フランジ部31を先のいずれかの実施形態に適用することができる。
【0097】
図19(B)は、本発明に係る排水部材に適用可能なドレン部材の第6変形例を示す。この変形例は、平面視双曲線状に湾曲させた2枚の湾曲板149を上側フランジ部31の上に配置した例である。2枚の湾曲板149は平面視幅方向中央部(湾曲板の湾曲率の最大の位置)fを内筒部32の中心側に向け、湾曲板149の凹面側を内筒部32の径方向外側に向けて配置されている。湾曲板149、149は平面視内筒部32の中心を挟む対称位置に形成され、上側フランジ部31の上面と内筒縮径部33の上面から立設するようにこれらに一体化されている。この例では、2つの湾曲板149から縦リブ150が形成されている。
図19(B)に示す構成の縦リブ150を備えた上側フランジ部31を先のいずれかの実施形態に適用することができる。
図19(A)、(B)に示すように、縦リブ148、150は平面視した場合、内筒部32の中心部を通過するように形成されていてもよく、通過しないように形成されていてもよい。
【0098】
図19(C)は、本発明に係る排水部材に適用可能なドレン部材の第7変形例を示す。この変形例は、3枚の平板状の縦リブ151が上側フランジ部31の上面と内筒縮径部33の上面から立設するようにこれらに一体化されている。
各縦リブ151を平面視した場合、それらの一側端部151aが上側フランジ部31の円周位置に配置されている。図19(C)に示す上側フランジ部31が描く円の周回り方向に120゜間隔で離間した位置に、各縦リブ151の一側端部151aが配置されている。各縦リブ151は各一側端部151aを配置した位置から、内筒部32の内側向きに延在されている。縦リブ151の他側の端部151bは内筒部32の中心から若干ずれた位置に配置されている。3つの縦リブ151において、3つの端部151bが配置された位置は、内筒部32の中心位置O32を中心位置として図19(C)に鎖線で描かれる正三角形の頂点位置とされている。図19(C)に示すように平面視した場合、内筒部32の半径位置からずれた位置に縦リブ151を設けてもよい。
図19(C)に示す構成の縦リブ151を備えた上側フランジ部31を先のいずれかの実施形態に適用することができる。
【0099】
図19(D)は、本発明に係る排水部材に適用可能なドレン部材の第8変形例を示す。この変形例は、4枚の平板状の縦リブ152が上側フランジ部31の上面と内筒縮径部33の上面から立設するようにこれらに一体化されている。
各縦リブ152を平面視した場合、それらの一側端部152aが上側フランジ部31の円周位置に配置されている。図19(D)に示す上側フランジ部31が描く円の周回り方向に90゜間隔で離間した位置に、各縦リブ152の一側端部152aが配置されている。各縦リブ152は各一側端部152aを配置した位置から、内筒部32の内側向きに延在されている。縦リブ152の他側の端部152bは内筒部32の中心から若干ずれた位置に配置されている。4つの縦リブ152において、4つの端部152bが配置された位置は、内筒部32の中心位置O32を中心位置として図19(D)に鎖線で描かれる正方形の頂点位置とされている。図19(D)に示すように平面視した場合、内筒部32の半径位置からずれた位置に縦リブ152を設けてもよい。
図19(D)に示す構成の縦リブ152を備えた上側フランジ部31を先のいずれかの実施形態に適用することができる。
【0100】
図19(E)は、本発明に係る排水部材に適用可能なドレン部材の第9変形例を示す。この変形例は、5枚の平板状の縦リブ153が上側フランジ部31の上面と内筒縮径部33の上面から立設するようにこれらに一体化されている。
各縦リブ153を平面視した場合、それらの一側端部153aが上側フランジ部31の円周位置に配置されている。図19(E)に示す上側フランジ部31が描く円の周回り方向に72゜間隔で離間した位置に、各縦リブ153の一側端部153aが配置されている。各縦リブ153は各一側端部153aを配置した位置から、内筒部32の内側向きに延在されている。縦リブ153の他側の端部153bは内筒部32の中心から若干ずれた位置に配置されている。5つの縦リブ153において、5つの端部153bが配置された位置は、内筒部32の中心位置O32を中心位置として図19(E)に鎖線で描かれる正五角形の頂点位置とされている。
図19(E)に示す構成の縦リブ153を備えた上側フランジ部31を先のいずれかの実施形態に適用することができる。
以上説明したように縦リブの形状は種々の形状を採用することができる。
【符号の説明】
【0101】
1…折板屋根、7…軒樋、7A…底板、7B…側板、7H…貫通孔、
8…ドレン部材(サイフォンドレン部材)、10、11…エルボ管、12…竪樋、
15…下側ドレン部材、16…上側ドレン部材、17…サイフォン部、22…落し口部、31…上側フランジ部、32…内筒部、33…内筒縮径部、35…外周ネジ部、
37…縦リブ、41…下側フランジ部、41H…受入口、42…外筒部、
43…外筒縮径部、43A…周段部、44…内周ネジ部、46、…縦リブ、
47…縦リブ、48…縦リブ、49…縦リブ、49E…直線状傾斜部、
49F…内周縁部、55…縦リブ、55E…湾曲状傾斜部、55F…内周縁部、
56…縦リブ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
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図14
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図19