(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050503
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ウェーハコンポジット、半導体デバイスおよび半導体回路の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20240403BHJP
H01L 27/12 20060101ALI20240403BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L27/12 Z
H01L21/02 C
H01L21/78 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023167616
(22)【出願日】2023-09-28
(31)【優先権主張番号】22198708
(32)【優先日】2022-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516153409
【氏名又は名称】インフィニオン テクノロジーズ オーストリア アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Infineon Technologies Austria AG
【住所又は居所原語表記】Siemensstr. 2, A-9500 Villach, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イェアク ブッシュ
(72)【発明者】
【氏名】デレク デビー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】ヘアマン グルーバー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ポーヴォル
(72)【発明者】
【氏名】マティアス シュミット
【テーマコード(参考)】
5F063
【Fターム(参考)】
5F063AA11
5F063BA11
5F063CB00
5F063CB05
5F063CB06
5F063CB08
5F063CB25
5F063CB26
5F063CB27
5F063CC21
(57)【要約】
【課題】ウェーハコンポジット、半導体デバイスおよび半導体デバイスの製造方法。
【解決手段】デバイス層(110)および絶縁体層(120)を含む層スタック(130)が形成される。デバイス層(110)は、電子要素(315)を含む。絶縁体層(120)は、デバイス層(110)の背面(112)に隣接する。スペーサディスク(190)は、層スタック(130)のデバイス層(110)とは反対の側に接着ボンディングされる。スペーサディスク(190)および層スタック(130)は、ウェーハコンポジット(100)を形成する。ウェーハコンポジット(100)は、複数の個々の半導体チップ(900)に分割され、各半導体チップ(900)は、層スタック(130)の部分およびスペーサディスク(190)の部分を含む。
【選択図】
図5C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体回路を製造する方法であって、前記方法は、
デバイス層(110)および絶縁体層(120)を備える層スタック(130)を形成するステップであって、前記デバイス層(110)は、電子要素(315)を備え、前記絶縁体層(120)は、前記デバイス層(110)の背面(112)に隣接するステップと、
スペーサディスク(190)を前記層スタック(130)の前記デバイス層(110)とは反対の側に接着ボンディングするステップであって、前記スペーサディスク(190)および前記層スタック(130)は、ウェーハコンポジット(100)を形成するステップと、
前記ウェーハコンポジット(100)を複数の個々の半導体チップ(900)に分割するステップであって、各半導体チップ(900)は、前記層スタック(130)の部分および前記スペーサディスク(190)の部分を備えるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記デバイス層(110)の厚さth1は、多くとも100μmであり、
前記層スタック(130)の厚さth3および前記スペーサディスク(190)の厚さth4の合計は、少なくとも100μmである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スペーサディスク(190)を前記層スタック(130)に接着ボンディングするステップは、接着テープ(155)を、前記層スタック(130)の前記デバイス層(110)とは反対の側に適用するステップを含み、
前記接着テープ(155)は、部分的に架橋された樹脂を備える、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記スペーサディスク(190)を前記層スタック(130)に接着ボンディングするステップは、前記スペーサディスク(190)を前記接着テープ(155)の前記層スタック(130)とは反対の側で前記接着テープ(155)に取り付けるステップをさらに含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記スペーサディスク(190)を前記絶縁体層(120)に接着ボンディングするステップは、前記接着テープを前記絶縁体層(120)上に適用した後、かつ、前記スペーサディスク(190)を前記接着テープ(155)に取り付けた後、前記部分的に架橋された樹脂を硬化させるステップをさらに含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記部分的に架橋された樹脂を硬化させるステップは、前記部分的に架橋された樹脂に圧縮応力を与えるステップをさらに含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記層スタック(130)を形成するステップは、前記電子要素(315)を前記デバイス層(110)内に形成するステップの後、前記絶縁体層(120)を前記デバイス層(110)の背面に堆積させるステップおよび/または熱成長させるステップを含む、
請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、
前記デバイス層(110)を薄膜化する前に、または、前記絶縁体層(120)を形成する前に、基板キャリア(200)を前記デバイス層(110)に取り付けるステップと、
前記スペーサディスク(190)を前記絶縁体層(120)に接着ボンディングした後、早い時期に、前記基板キャリア(200)を除去するステップと、
をさらに含む、
請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
半導体回路を製造する方法であって、前記方法は、
ウェーハコンポジット(100)を提供するステップであって、前記ウェーハコンポジット(100)は、層スタック(130)、接着テープ(155)および前記接着テープ(155)の前記層スタック(130)とは反対の側のスペーサディスク(190)を備え、前記層スタック(130)は、少なくとも、デバイス層(110)および前記デバイス層(110)に接触する絶縁体層(120)を備え、電子要素(114)は、前記デバイス層(110)内に形成され、前記接着テープ(155)は、前記層スタック(130)の前記デバイス層(110)とは反対の側にあるステップと、
前記ウェーハコンポジット(100)を複数の個々の半導体チップ(900)にダイシングするステップであって、各半導体チップ(900)は、前記層スタック(130)の部分および前記スペーサディスク(190)の部分を備えるステップと、
を含む方法。
【請求項10】
半導体デバイスを製造する方法であって、
前記方法は、半導体チップ(900)を提供するステップを含み、
前記半導体チップ(900)は、デバイス層部(910)、前記デバイス層部(910)の背面(912)に接触する絶縁体層部(920)、前記絶縁体層部(920)の前記デバイス層部(910)とは反対の側に形成される接着材層(950)および前記接着材層(950)の前記絶縁体層部(920)とは反対の側に形成されるスペーサ層(990)を備え、電子要素(315)は、前記デバイス層部(910)内に形成され、コンタクトパッド(916)は、前記デバイス層部(910)のコンタクト側の面に形成され、
前記方法は、前記コンタクトパッド(916)とデバイス端子(972)との間の電気接続を形成するステップを含む、
方法。
【請求項11】
デバイス層(110)および絶縁体層(120)を備える層スタック(130)と、
前記層スタック(130)の前記デバイス層(110)とは反対の側の接着テープ(155)と、
前記接着テープ(155)の前記絶縁体層(120)とは反対の側のスペーサディスク(190)と、
を備えるウェーハコンポジットであって、
前記デバイス層(110)は、電子要素(315)を備え、前記絶縁体層(120)は、前記デバイス層(110)の背面(112)に接触し、
前記スペーサディスク(190)および前記層スタック(130)の横方向の形状および寸法は、同一である、
ウェーハコンポジット。
【請求項12】
前記デバイス層(110)の厚さth1は、多くとも100nmであり、
前記層スタック(130)の厚さth3および前記スペーサディスク(190)の厚さth4の合計は、少なくとも100μmである、
請求項11に記載のウェーハコンポジット。
【請求項13】
半導体デバイスであって、前記半導体デバイスは、
デバイス層部(910)と、
前記デバイス層部(910)の背面(912)に接触する絶縁体層部(920)と、
前記絶縁体層部(920)の前記デバイス層部(910)とは反対の側の接着材層(950)と、
前記接着材層(950)の前記絶縁体層部(920)とは反対の側のスペーサ層(990)と、
を備え、
前記デバイス層部(910)は、電子要素(315)と、前記デバイス層部(910)のコンタクト側の面(911)に形成されるコンタクトパッド(916)と、を備える、
半導体デバイス。
【請求項14】
前記デバイス層部(910)の厚さは、多くとも100nmであり、
前記デバイス層部(910)の厚さ、前記絶縁体層部(920)の厚さおよび前記スペーサ層(990)の厚さの合計は、少なくとも100μmである、
請求項13に記載の半導体デバイス。
【請求項15】
前記半導体デバイスは、
デバイス端子(972)と、
前記コンタクトパッド(916)と前記デバイス端子(972)との間のワイヤリング接続(971)と、
をさらに備える、
請求項13または14に記載の半導体デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例は、半導体回路、特にSOIデバイスの製造方法に関するものである。本開示はまた、半導体ウェーハおよび半導体デバイスを含むウェーハコンポジットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
より薄いシリコンデバイスに向かう進行中の傾向は、部分的には、半導体バルクにおける寄生効果を減少し、高価な半導体材料を削減する要求によって推進される。関係する技術の1つは、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)技術であり、これは、層状のシリコン・絶縁体・シリコン基板内、または、層状のシリコン・絶縁体基板内のシリコン半導体デバイスの製造に関する。SOIベースのデバイスは、アクティブな半導体層が通常二酸化ケイ素の電気絶縁体上にあるという点で、絶縁体ベースのないシリコン層から作られる従来のデバイスと異なる。より薄い半導体層は、寄生容量および成長する結晶性半導体材料の量を減少させる。
【0003】
半導体デバイス、特に薄い半導体デバイスの製造において、より高い生産性および収益率の一定の要求が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
要求は、独立請求項に記載の主題により満たされる。
【0005】
本開示の実施形態は、半導体デバイスの製造方法に関する。デバイス層および絶縁体層を含む層スタックが形成される。デバイス層は、電子要素を含む。絶縁体層は、デバイス層の背面に隣接する。スペーサディスクは、層スタックのデバイス層とは反対の側に接着ボンディングされる。スペーサディスクおよび層スタックは、ウェーハコンポジットを形成する。ウェーハコンポジットは、複数の個々の半導体チップに分割され、各半導体チップは、層スタックの部分およびスペーサディスクの部分を含む。
【0006】
本開示の他の実施形態は、半導体デバイスを製造する他の方法に関する。ウェーハコンポジットが提供され、ウェーハコンポジットは、層スタック、接着テープおよび接着テープの層スタックとは反対の側のスペーサディスクを含む。層スタックは、少なくとも、デバイス層およびデバイス層に接触する絶縁体層を含む。電子要素は、デバイス層内に形成される。接着テープは、層スタックのデバイス層とは反対の側にある。ウェーハコンポジットは、複数の個々の半導体チップにダイシングされ、各半導体チップは、層スタックの部分およびスペーサディスクの部分を含む。
【0007】
本開示のさらなる実施形態は、半導体デバイスを製造するさらなる方法に関する。半導体チップが提供される。半導体チップは、デバイス層部、デバイス層部の背面に接触する絶縁体層部、絶縁体層部のデバイス層部とは反対の側に形成される接着材層および接着材層の絶縁体層部とは反対の側に形成されるスペーサ層を含む。電子要素は、デバイス層部内に形成される。コンタクトパッドは、デバイス層部のコンタクト側の面に形成される。電気接続は、コンタクトパッドとデバイス端子との間に形成される。
【0008】
本開示の他の実施形態は、ウェーハコンポジットに関する。層スタックは、デバイス層および絶縁体層を含み、デバイス層は、電子要素を含み、絶縁体層は、デバイス層の背面に接触する。接着テープは、層スタックのデバイス層とは反対の側にある。スペーサディスクは、接着テープの絶縁体層とは反対の側にあり、スペーサディスクおよび層スタックの横方向の形状および寸法は、同一である。
【0009】
本開示の他の実施形態は、電子要素を含むデバイス層部を有する半導体デバイスに関する。コンタクトパッドは、デバイス層部のコンタクト側の面に形成される。絶縁体層部は、デバイス層部の背面に接触する。接着材層は、絶縁体層部のデバイス層部とは反対の側にある。スペーサ層は、接着材層の絶縁体層部とは反対の側にある。
【0010】
当業者は、以下の詳細な説明を読み、添付の図面を見ると、追加の特徴および効果を認識するであろう。
【0011】
添付の図面は、実施形態をさらに理解するために本願明細書内に含まれ、本願明細書内に組み込まれ、本願明細書の一部を構成する。図面は、ウェーハコンポジット、半導体デバイスおよび半導体回路の製造方法の実施形態を示し、説明とともに実施形態の原則を説明するように機能する。図面は、縮尺どおりではなく、図示の目的のみのためである。対応する要素は、特に述べられない場合、複数の図面において同じ参照符号によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1Aから
図1Cは、層スタックおよび層スタックを含むウェーハコンポジットの概略垂直断面図(ウェーハコンポジットを複数の半導体チップに分割する前後)を示し、一実施形態に従って、スペーサ層を有する半導体回路を製造する方法を示す。
【
図2A】層スタックおよび層スタックを含むウェーハコンポジットの概略垂直断面図(基板キャリアの除去前)を示し、基板キャリアを用いて、一実施形態に従って、スペーサ層を有する半導体回路を製造する方法を示す。
【
図2B】層スタックおよび層スタックを含むウェーハコンポジットの概略垂直断面図(基板キャリアの除去前)を示し、基板キャリアを用いて、一実施形態に従って、スペーサ層を有する半導体回路を製造する方法を示す。
【
図2C】層スタックおよび層スタックを含むウェーハコンポジットの概略垂直断面図(基板キャリアの除去前)を示し、基板キャリアを用いて、一実施形態に従って、スペーサ層を有する半導体回路を製造する方法を示す。
【
図2D】層スタックおよび層スタックを含むウェーハコンポジットの概略垂直断面図(基板キャリアの除去後)を示し、基板キャリアを用いて、一実施形態に従って、スペーサ層を有する半導体回路を製造する方法を示す。
【
図3A】さらなる半導体層を含む層スタックおよび層スタックを含むウェーハコンポジットの概略垂直断面図(基板キャリアの除去前)を示し、他の実施形態に従って、スペーサ層を有する半導体回路を製造する方法を示す。
【
図3B】さらなる半導体層を含む層スタックおよび層スタックを含むウェーハコンポジットの概略垂直断面図(基板キャリアの除去前)を示し、他の実施形態に従って、スペーサ層を有する半導体回路を製造する方法を示す。
【
図3C】さらなる半導体層を含む層スタックおよび層スタックを含むウェーハコンポジットの概略垂直断面図(基板キャリアの除去前)を示し、他の実施形態に従って、スペーサ層を有する半導体回路を製造する方法を示す。
【
図3D】さらなる半導体層を含む層スタックおよび層スタックを含むウェーハコンポジットの概略垂直断面図(基板キャリアの除去後)を示し、他の実施形態に従って、スペーサ層を有する半導体回路を製造する方法を示す。
【
図4A】層スタックおよびスペーサディスクの概略垂直断面図(スペーサディスクを層スタックに取り付ける前)を示し、一実施形態に従って、スペーサ層を層スタックに取り付けるための圧縮力を用いて、スペーサ層を有する半導体回路を製造する方法を示す。
【
図4B】層スタックおよびスペーサディスクの概略垂直断面図(スペーサディスクを層スタックに取り付けた後)を示し、一実施形態に従って、スペーサ層を層スタックに取り付けるための圧縮力を用いて、スペーサ層を有する半導体回路を製造する方法を示す。
【
図5A】スペーサ層を有する半導体チップの概略垂直断面図(パッケージングの前)を示し、他の実施形態に従って、スペーサ層を有する半導体回路を製造する方法を示す。
【
図5B】スペーサ層を有する半導体チップの概略垂直断面図(パッケージングの間)を示し、他の実施形態に従って、スペーサ層を有する半導体回路を製造する方法を示す。
【
図5C】スペーサ層を有する半導体デバイスの概略垂直断面図(パッケージングの後)を示し、他の実施形態に従って、スペーサ層を有する半導体回路を製造する方法を示す。
【
図6】さらなる実施形態に従って、スペーサ層を有する半導体デバイスの概略垂直断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の詳細な説明において、添付の図面が参照され、図面は、詳細な説明の一部を形成し、図面には、ウェーハコンポジット、半導体デバイスおよび半導体デバイスの製造方法が実践されてもよい特定の実施形態が図示例として示される。他の実施形態が利用されてもよく、本開示の範囲を逸脱することなく、構造的または論理的な変更が行われてもよいことを理解されたい。例えば、一実施形態のために図示または記載されている特徴は、他の実施形態においてまたは他の実施形態と連動して用いられ、さらなる実施形態を生じてもよい。本開示がこの種の修正および変更を含むということが意図されている。例は、特定の言語を用いて記載されているが、特定の言語は、添付の特許請求の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0014】
「有する」、「含む」、「備える」などの用語は、限定されるものではなく、記載された構造、要素または特徴の存在を示すが、追加の要素または特徴の存在を排除するものではない。文脈が別途明らかに指示しない限り、「a」、「an」および「the」という冠詞は、複数および単数を含むことを意図する。
【0015】
「電気的に接続される」という用語は、電気的に接続される要素間の永続的な低抵抗のオーム接続、例えば、関連する要素間の直接接触、または、金属および/または高ドーピング半導体材料を介した低抵抗の接続を記載する。
【0016】
物理的な寸法のために与えられる範囲は、境界値を含む。例えば、パラメータyのためのaからbの範囲は、a≦y≦bとして読める。同じことは、「多くとも」および「少なくとも」のような1つの境界を有する範囲にも当てはまる。
【0017】
「上に」という用語は、「直接上に」のみを意味するものとして解釈されてはならない。むしろ、1つの要素が他の要素の「上に」位置決めされる場合(例えば、1つの層が他の層の「上に」または基板の「上に」ある場合)、さらなる構成要素(例えば、さらなる層)は、2つの要素の間に位置決めされてもよい(例えば、層が基板の「上に」ある場合、さらなる層は、前記層と基板との間に位置決めされてもよい)。
【0018】
層および層構造の文脈において、「反対の」という前置詞は、層の反対の主要な面上の配置を意味するために用いられる。例えば、水平層Xの水平層Bとは反対の側に形成される水平層Aは、垂直方向に層Xによって層Bから分離される。
【0019】
本開示に従って半導体デバイスを製造する方法は、デバイス層および絶縁体層を含む層スタックを形成するステップを含んでもよい。デバイス層は、電子要素を含む。絶縁体層は、デバイス層の背面に隣接する。スペーサディスクは、層スタックのデバイス層とは反対の側に接着(接着ボンディング)され、スペーサディスクおよび層スタックは、ウェーハコンポジットを形成する。ウェーハコンポジットは、複数の個々の半導体チップ(ダイ)に分割され、各半導体チップは、層スタックの部分およびスペーサディスクの部分を含む。
【0020】
デバイス層は、単結晶の半導体材料に基づき、電子要素の半導体の部分を形成するドーピング領域を含む。半導体材料は、元素半導体、例えば、シリコンもしくはゲルマニウム、または、化合物半導体、例えば、IV/IV化合物半導体、例えば、シリコンゲルマニウムSiGeもしくは炭化ケイ素SiC、または、III/V化合物半導体、例えば、ヒ化ガリウムGaAsもしくは窒化ガリウムGaNでもよい。デバイス層は、他の材料、例えば、絶縁体材料、例えば、シリコン酸化物、窒化ケイ素および/またはドープガラスまたはアンドープガラス、および/または、高導電性材料、例えば、ドープ多結晶シリコン、元素金属、金属化合物および/または金属合金を含んでもよい。電子要素は、ダイオード、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、絶縁ゲート型電界効果トランジスタ(IGFET)、接合電界効果トランジスタ(JFET)および/または絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)のような半導体要素を含んでもよい。例えば、電子要素は、ゲート駆動回路、力率補正回路、モータ制御回路、無線充電回路、高周波スイッチおよび/または論理回路の要素でもよい。
【0021】
デバイス層は、水平面の実質的に平らな前面(デバイス層前面)およびデバイス層前面とは反対の実質的に平らな背面(デバイス層背面)を有し、電子要素の少なくともいくつかのドーピング領域は、前面からデバイス層内に延在する。デバイス層前面に対する垂線は、垂直方向を定義する。
【0022】
デバイス層前面およびデバイス層背面は、互いに対して少なくともほぼ平行であるので、デバイス層前面とデバイス層背面との間のデバイス層の厚さは、均一である。
【0023】
絶縁体層は、同種の層でもよいし、または、異なる組成物および/または内部構造の2つ以上の副層を含む層スタックでもよい。例えば、絶縁体層は、熱成長したシリコン酸化物層、堆積したシリコン酸化物層および/または堆積したシリコン窒化物層を含んでもよい。絶縁体層は、デバイス層とは反対側の実質的に平らな前面(絶縁体層前面)と、デバイス層に配向される実質的に平らな背面(絶縁体層背面)と、を有する。絶縁体層前面および絶縁体層背面は、互いに対して少なくともほぼ平行であるので、絶縁体層前面と絶縁体層背面との間の絶縁体層の厚さは、少なくともほぼ均一である。絶縁体層背面は、デバイス層背面に直接接触してもよい。
【0024】
スペーサディスクは、固体またはパターン付きディスクでもよい。スペーサディスクの材料は、同種でもよい。代替的には、スペーサディスクは、異なる組成物および/または内部構造の2つ以上の垂直にスタックされた層を含んでもよい。例えば、スペーサディスクは、金属含有層から成ってもよいし、もしくは、これを含んでもよく、単結晶シリコンのような半導体材料の層から成ってもよいし、もしくは、これを含んでもよく、または、絶縁体層、例えば、ガラス、セラミックまたは樹脂、例えば、高耐熱性プラスチックから成ってもよいし、もしくは、これを含んでもよい。
【0025】
スペーサディスクは、デバイス層とは反対の絶縁体層前面に直接接着ボンディングされてもよい。代替的には、層スタックは、絶縁体層前面に形成されるさらなる半導体層を含んでもよく、スペーサディスクは、さらなる半導体層の絶縁体層とは反対の側に接着ボンディングされてもよい。
【0026】
スペーサディスクを絶縁体層に接着ボンディングするステップは、接着剤またはグルーを、絶縁体層前面および/またはスペーサディスクの実装面(スペーサディスク実装面)に適用するステップと、絶縁体層前面およびスペーサディスク実装面をこれらの間の接着剤に接触させるステップと、を含んでもよい。接着剤は、例えば、液体状態で、または、接着テープの構成要素として適用されてもよい。接着剤は、導電性または非導電性でもよい。
【0027】
スペーサディスクは、導電性または絶縁性でもよく、絶縁性または導電性であることから離れて、スペーサディスクは、任意の他の電気的機能を欠いてもよい。特に、スペーサディスクは、能動電子要素を欠いている。スペーサディスクは、層スタックと同じ横方向の形状および寸法を有してもよい。スペーサディスクを層スタックに接着ボンディングするステップは、周囲温度でまたは摂氏200度未満のわずかに高い温度のみで、および/または、適度な機械力のみによって完了されてもよいので、スペーサディスクは、層スタックを危機的な状態におくことなく適用されうる。
【0028】
ウェーハコンポジットを分割することは、第1および第2の切り溝(kerf street)に沿った機械的切り出し、レーザーによる切り出し、化学エッチングおよび/または化学物理エッチングを含んでもよく、第2の切り溝は、第1の切り溝に垂直に伸びる。分割プロセスは、ウェーハコンポジットを、矩形の水平断面を有する複数の実質的に同一の半導体チップにダイシングする。
【0029】
スペーサディスクの適切な厚さを選択することによって、ウェーハコンポジットの垂直延在長さ(厚さ)およびウェーハコンポジットから製造される半導体チップの厚さを調節することができる。特に、比較的薄いデバイス層および薄い絶縁体層を有する層スタックに基づくウェーハコンポジットおよび半導体チップは、半導体チップのさらなる処理のために、従来のテストおよびパッケージング装置に対するウェーハコンポジットおよび半導体チップの互換性を確実にするのに十分な厚さを有するように作成することができる。
【0030】
デバイス層の厚さは、多くとも100μmでもよく、層スタックの厚さおよびスペーサディスクの厚さの合計は、少なくとも100μmである。
【0031】
特に、堆積および/または熱酸化によって形成された絶縁体層に基づくSOIデバイスのために、デバイス層は、1μm未満、例えば、100nm未満または50nm未満の厚さを有してもよく、絶縁体層は、50μm未満、例えば、10μm未満の厚さを有してもよく、その結果、層スタックの総厚さは、数マイクロメートル未満でもよい。一方、アセンブリ、テストおよびパッケージングのための多くのツールは、少なくとも100μm、200μmまたは500μmのウェーハ厚さまたはチップ厚さのために設計される。スペーサディスクは、修理(変換)することなく、アセンブリ、テストおよびパッケージングのための従来のツールの使用を容易にする。
【0032】
スペーサディスクを層スタックに接着ボンディングするステップは、接着テープを、デバイス層の反対側で層スタックに適用することを含んでもよく、接着テープは、部分的に架橋された樹脂を含んでもよい。
【0033】
樹脂は、完全には架橋されず、樹脂が室温で流れない程度に部分的に架橋される。特に、樹脂は、樹脂が室温でまったく流れない程度に架橋してもよい。
【0034】
液体接着剤とは異なり、接着テープ上の部分的に架橋された樹脂は、高い整合性をもって本質的に適用されるので、ほとんど労力を要せず、スペーサディスクおよび層スタックの実装面が、接着テープの両側で、互いに非常に平行になり、アセンブリ、テストおよびパッケージングのための既存のツールとの互換性を改善する。
【0035】
スペーサディスクを層スタックに接着ボンディングするステップは、スペーサ層を接着テープの層スタックとは反対の側で接着テープに取り付けるステップをさらに含んでもよい。
【0036】
接着テープは、最初に層スタックに適用されてもよく、次に、スペーサディスクは、層スタックの反対側の接着テープに取り付けられてもよい。代替的には、スペーサディスクは、最初に接着テープに取り付けられてもよく、次に、層スタックは、スペーサディスクの反対側の接着テープに適用されてもよい。代替的には、スペーサディスクおよび層スタックは、同時に接着テープの反対側に取り付けられてもよい。
【0037】
接着テープを層スタック上および/またはスペーサディスク上に適用することは、ウェーハのための証明およびテストされた積層プロセスを用いてもよく、例えば、ダイアッタッチフォイルに関して、ウェーハコンポジットの横方向寸法を有してもよいフォイルの事前に製造された部分が準備されて、層スタックにボンディングされる。
【0038】
スペーサディスクを絶縁体層に接着ボンディングするステップは、接着テープを絶縁体層上に適用した後、かつ、スペーサディスクを接着テープに取り付けた後、部分的に架橋された樹脂を硬化させるステップをさらに含んでもよい。
【0039】
硬化の後、元々部分的にのみ架橋された樹脂は、以前より高い程度に架橋される。例えば、硬化の後、樹脂は、完全に架橋されてもよいか、または、少なくとも80%架橋されてもよい。硬化は、接着テープに圧縮応力を与えるか、与えないかにかかわらず、単一の加熱ステップを含んでもよい。加熱は、接着剤を硬化させるという理由のためだけに提供されてもよい。代替的には、硬化は、他の製造ステップ、または、ウェーハコンポジットおよび/またはウェーハコンポジットから得られた半導体チップをモールド内にカプセル化するパッケージングプロセスの終了前にウェーハコンポジットから得られた半導体チップに適用される他の製造ステップの副作用である。
【0040】
部分的に架橋された樹脂を硬化させるステップは、部分的に架橋された樹脂に圧縮応力を与えるステップを含んでもよい。
【0041】
例えば、第1のボンディング装置は、最初に、接着テープを層スタック実装面に積層してもよく、次に、第1のボンディング装置または第2のボンディング装置は、スペーサディスクを、接着テープの層スタックとは反対の側に押圧し、十分なボンディング力を生成してもよい。代替的には、第1のボンディング装置は、最初に、接着テープをスペーサディスク実装面に積層してもよく、次に、第1または第2のボンディング装置は、層スタックを、接着テープのスペーサディスクとは反対の側に押圧し、十分なボンディング力を生成してもよい。
【0042】
層スタックを形成するステップは、電子回路をデバイス層内に形成するステップの後、絶縁体層を、デバイス層の背面に堆積させるステップおよび/または熱成長させるステップを含んでもよい。
【0043】
方法は、デバイス層を薄膜化する前に、または、絶縁体層を形成する前に、基板キャリアをデバイス層に取り付けるステップと、スペーサディスクを絶縁体層に接着ボンディングした後、早い時期に基板キャリアを除去するステップと、をさらに含んでもよい。
【0044】
基板キャリアは、固体またはパターン付きディスクでもよい。基板キャリアの材料は、同種でもよい。代替的には、基板キャリアは、異なる組成物および/または内部構造の2つ以上の垂直にスタックされた層を含んでもよい。例えば、基板キャリアは、金属含有層から成ってもよいし、もしくは、これを含んでもよく、単結晶または多結晶シリコンのような半導体材料の層から成ってもよいし、もしくは、これを含んでもよく、または、絶縁体層、例えば、ガラスまたは絶縁セラミックから成ってもよいし、もしくは、これを含んでもよい。基板キャリアは、絶縁体層の形成の間、薄いデバイス層を機械的に安定させてもよく、および/または、スペーサディスクを層スタックに接着ボンディングするプロセスのために、層スタックを機械的に安定させてもよい。
【0045】
半導体回路を製造する他の方法は、ウェーハコンポジットを提供するステップを含んでもよく、ウェーハコンポジットは、層スタック、接着テープおよび接着テープの層スタックとは反対の側のスペーサディスクを含む。層スタックは、少なくとも、デバイス層およびデバイス層に接触する絶縁体層を含んでもよい。電子要素は、デバイス層内に形成されてもよい。接着テープは、層スタックのデバイス層とは反対の側にある。方法は、ウェーハコンポジットを複数の個々の半導体チップにダイシングするステップをさらに含んでもよく、各半導体チップは、層スタックの部分およびスペーサディスクの部分を含む。
【0046】
半導体デバイスを製造するさらなる方法は、半導体チップを提供するステップを含んでもよく、半導体チップは、デバイス層部、デバイス層部の背面に接触する絶縁体層部、絶縁体層部のデバイス層部とは反対の側に形成される接着材層、および、接着材層の絶縁体層部とは反対の側に形成されるスペーサ層を含んでもよい。電子要素は、デバイス層部内に形成されてもよい。コンタクトパッドは、デバイス層部のコンタクト側の面に形成される。方法は、コンタクトパッドとデバイス端子との間に電気接続を形成するステップをさらに含んでもよい。
【0047】
接着材層は、絶縁体層部のデバイス層部とは反対の面に直接接触してもよい。代替的には、半導体チップは、絶縁体層部上に形成される基板層を含んでもよく、接着材層は、基板層の絶縁体層部とは反対の面に直接接触してもよい。
【0048】
電気接続を形成するステップは、ワイヤボンディングのステップを含んでもよく、ボンドワイヤは、コンタクトパッドとデバイス端子との間に形成される。
【0049】
他の実施形態は、ウェーハコンポジットに関する。ウェーハコンポジットは、層スタック、接着テープおよびスペーサディスクを含んでもよい。層スタックは、デバイス層および絶縁体層を含み、デバイス層は、電子要素を含み、絶縁体層は、デバイス層の背面に接触する。接着テープは、層スタックのデバイス層とは反対の側に位置する。スペーサディスクは、接着テープの絶縁体層とは反対の側にあり、スペーサディスクおよび層スタックの横方向の形状および寸法は、同一でもよい。
【0050】
スペーサディスクの厚さは、1mm未満であり、例えば、800μm未満である。スペーサディスクは、層スタックに永続的に構造的に接続されるように形成される。接着テープは、層スタックとスペーサディスクとの間に永続的な接続を提供する。
【0051】
デバイス層の厚さは、多くとも100μmでもよく、層スタックの厚さおよびスペーサディスクの厚さの合計は、少なくとも100μmでもよい。
【0052】
例えば、デバイス層の厚さは、多くとも10μm、1μm、100nmまたは50nmでもよい。層スタックの厚さおよびスペーサディスクの厚さの合計は、少なくとも200μmでもよい。
【0053】
他の実施形態は、デバイス層部、絶縁体層部、接着材層およびスペーサ層を含んでもよい半導体デバイスに関する。デバイス層部は、電子要素と、デバイス層部のコンタクト側の面に形成されるコンタクトパッドと、を含んでもよい。絶縁体層部は、デバイス層部の背面に接触する。接着材層は、絶縁体層部のデバイス層部とは反対の側にある。スペーサ層は、接着材層の絶縁体層部とは反対の側にある。
【0054】
接着材層は、絶縁体層部のデバイス層部とは反対の面に直接接触してもよい。代替的には、半導体チップは、絶縁体層部のデバイス層部とは反対の側に形成される基板層を含んでもよく、接着材層は、基板層の絶縁体層部とは反対の面に直接接触してもよい。
【0055】
接着材層は、完全にまたはほぼ完全に架橋された樹脂を含む同種の層でもよい。代替的には、接着材層は、キャリアテープ、キャリアテープと絶縁体層部との間の第1の接着材層およびキャリアテープとスペーサ層との間の第2の接着材層を含んでもよい。第1および第2の接着材層は、完全にまたはほぼ完全に架橋された樹脂を含む同種の層でもよい。
【0056】
デバイス層部の厚さは、多くとも100μmでもよく、例えば、多くとも10μmまたは1μmでもよい。デバイス層部の厚さ、絶縁体層部の厚さおよびスペーサ層の厚さの合計は、少なくとも100μm、例えば、少なくとも200μmでもよい。
【0057】
半導体デバイスは、デバイス端子およびコンタクトパッドとデバイス端子との間のワイヤリング接続をさらに含んでもよい。ワイヤリング接続は、コンタクトパッドとデバイス端子との間の直接の電気接続を提供する。
【0058】
図1Aから
図1Cは、スペーサ層を有する半導体デバイスを製造する方法を示す。
【0059】
図1Aは、デバイス層110および絶縁体層120を含む層スタック130を示す。
【0060】
デバイス層110は、単結晶の半導体材料でできていて、電子要素315のドーピング領域を含む。電子要素315は、ダイオード、バイポーラトランジスタ、絶縁ゲート型電界効果トランジスタ、接合電界効果トランジスタおよび/または絶縁ゲートバイポーラトランジスタを含み、ゲート駆動回路、力率補正回路、モータ制御回路、無線充電回路、高周波スイッチまたは論理回路の要素を形成する。
【0061】
デバイス層110は、平らな前面111(デバイス層前面111)および平らな背面112(デバイス層背面112)を有し、前面111から、電子要素315のドーピング領域の少なくとも一部は、デバイス層110内に延在する。デバイス層前面111およびデバイス層背面112は、互いに平行に伸びる。デバイス層前面111とデバイス層背面112との間のデバイス層110の厚さth1は、多くとも1μm、多くとも100nmまたは多くとも50nmである。
【0062】
絶縁体層120は、熱成長したシリコン酸化物層および/または堆積したシリコン酸化物層を含むシリコン酸化物層である。絶縁体層120は、平らな前面121(絶縁体層前面121)および平らな背面122(絶縁体層背面122)を有する。絶縁体層前面121および絶縁体層背面122は、互いに平行である。絶縁体層前面121と絶縁体層背面122との間の絶縁体層120の厚さth2は、多くとも50μmまたは多くとも10μmである。絶縁体層背面122は、デバイス層背面112に直接接触する。
【0063】
スペーサディスク190は、層スタック130のデバイス層110とは反対の側で絶縁体層前面121に接着ボンディングされる。
【0064】
スペーサディスク190は、固体ディスクである。スペーサディスク190は、同種でもよいし、または、異なる組成物および/または内部構造の2つ以上の垂直にスタックされた層を含んでもよい。スペーサディスク190は、金属含有層から成ってもよいし、もしくは、これを含んでもよく、半導体材料の層から成ってもよいし、もしくは、これを含んでもよく、または、絶縁体層、例えば、ガラス、セラミックまたは樹脂、例えば、高耐熱性プラスチックから成ってもよいし、もしくは、これを含んでもよい。
【0065】
スペーサディスク190は、導電性または絶縁性であり、絶縁性または導電性であることから離れて、スペーサディスク190は、任意の他の電気的機能を欠いている。特に、スペーサディスクは、能動電子要素を欠いている。スペーサディスク190は、層スタック130と同じ横方向形状および横方向寸法を有する。
【0066】
スペーサディスク190を層スタック130に接着ボンディングすることは、接着剤150を絶縁体層前面121におよび/またはスペーサディスク190の実装面191に適用し、次に、スペーサディスク190の実装面191を絶縁体層前面121上の接着剤150に接触させることを含む。接着ボンディングすることは、絶縁体層前面121とスペーサディスク190との間に存在する接着剤150を硬化させることを含んでもよい。
【0067】
図1Bは、
図1Aの絶縁体層120の前面121にスペーサディスク190を接着ボンディングすることによって得られたウェーハコンポジット100を示す。硬化した接着剤150は、層スタック130およびスペーサディスク190を機械的に接続する。
【0068】
ウェーハコンポジット100は、複数の個々の半導体チップ900に分割される(ダイシングされる)。ウェーハコンポジット100を分割することは、第1および第2の切り溝に沿った機械的切り出し、レーザーによる切り出し、化学エッチングおよび/または化学物理エッチングを含んでもよく、第2の切り溝は、第1の切り溝に垂直に伸びる。
【0069】
図1Cは、
図1Bのウェーハコンポジット100をダイシングすることによって得られた半導体チップ900を示す。
【0070】
分割プロセスは、ウェーハコンポジット100を、矩形の水平断面を有する複数の同一の半導体チップ900にダイシングする。各半導体チップ900は、
図1Bのデバイス層110の部分を含むデバイス層部910、絶縁体層120の部分を含む絶縁体層部920、硬化した接着剤150の部分を含む接着材層950およびスペーサディスク190の部分から形成されるスペーサ層990を含む。
【0071】
スペーサディスク190の適切な厚さを選択することによって、ウェーハコンポジット100の厚さおよび半導体チップ900の厚さは調整され、半導体チップ900のさらなる処理のために、従来のテストおよびパッケージング装置に対するウェーハコンポジット100および半導体チップ900の互換性を確実にすることができる。
【0072】
図2Aから
図2Dは、スペーサ層を有する半導体デバイスを製造する方法を示し、接着テープ155を用いて、層スタック130をスペーサディスク190に構造的に接続する。
【0073】
上述したように、デバイス層110および絶縁体層120を含む層スタック130は、基板キャリア200の上面に実装され、デバイス層前面111は、基板キャリア200に配向される。例えば、デバイス層110は、基板キャリア200の上面にデバイス層前面111によってボンディングされ、ボンディングは、グルーのないボンディングまたは接着ボンディングでもよい。代替的には、層スタック130は、静電的にまたは空気圧により、基板キャリア200の上面にチャックされてもよい。
【0074】
デバイス層110を薄膜化する前に、または、絶縁体層120を形成する前に、基板キャリア200は、デバイス層110に取り付けられてもよい。
【0075】
図示の基板キャリア200は、金属含有材料、半導体材料または絶縁材料の固体の同種のディスクである。基板キャリア200は、絶縁体層120の形成の間、薄いデバイス層110を機械的に安定させてもよく、および/または、スペーサディスク190を層スタック130に接着ボンディングするプロセスのために層スタック130を安定させてもよい。
【0076】
図2Aは、上述したように、基板キャリア200の上面に実装されたデバイス層110および絶縁体層120を含む層スタック130を示す。基板キャリア200は、平らな上面を有するプレートでもよく、上面の横方向の延在長さは、層スタックの横方向の延在長さより大きい。代替的には、基板キャリアは、チャックの一部でもよい。
【0077】
接着テープ155は、基板キャリア200とは反対の絶縁体層120の露出した前面121に適用される。接着テープ155を層スタック130上に適用することは、ウェーハのための証明およびテストされた積層プロセスを含み、層スタック130の横方向寸法を有するフォイルの事前に製造された部分が準備され、層スタック130に接着ボンディングされる。
【0078】
図2Bは、絶縁体層120の前面121上の接着テープ155を示す。接着テープ155は、キャリアテープと、キャリアテープの第1の側に形成された第1の接着材層と、キャリアテープの反対の第2の側に形成された第2の接着材層と、を含んでもよい。接着材層は、樹脂が摂氏25度でキャリアテープ上に固定される程度まで、部分的に硬化してもよい樹脂を含んでもよい。接着テープ155の厚さは、非常に均一である。液体接着剤と異なり、接着テープ155上の部分的に架橋された樹脂は、高い整合性をもって本質的に適用されるので、ほとんど労力を要せず、スペーサディスク190および層スタック130の実装面が、接着テープ155の両側で、互いに非常に平行になることを可能にし、アセンブリ、テストおよびパッケージングのための既存のツールとの互換性を改善する。
【0079】
スペーサディスク190は、接着テープ155の露出した側に接触させられる。
【0080】
図2Cは、接着テープ155の両側に取り付けられたスペーサディスク190および絶縁体層120を示す。接着テープ155の非常に均一な厚さに起因して、スペーサディスク190の実装面191および接着テープ155とは反対の絶縁体層前面121は、互いに実質的に平行に整列配置される。
【0081】
加熱は、接着材層内の接着剤を硬化させるので、加熱の後、接着剤は、以前より大きな程度に架橋される。加熱は、接着剤、例えば、樹脂を完全にまたはほぼ完全に架橋する。加熱は、単一の加熱プロセスでもよいし、または、いくつかの加熱ステップを含んでもよい。加熱は、スペーサディスク190が接着テープ155に接触させられた後、早い時期に開始してもよく、パッケージングされた半導体デバイスが出荷される前に、例えば、基板キャリア200が除去される前に、または、ウェーハコンポジット100がダイシングされる前に、完了してもよい。
【0082】
図2Dは、基板キャリアからウェーハコンポジット100を分離した後のウェーハコンポジット100を示す。代替的には、基板キャリア200は、ダイシングプロセスの間用いられ、ウェーハコンポジット100を個々の半導体チップに分割した後にはじめて除去されてもよい。
【0083】
ウェーハコンポジット100は、層スタック130、接着テープ155およびスペーサディスク190を含む。層スタック130は、デバイス層110および絶縁体層120を含む。電子要素315は、デバイス層110内および/またはデバイス層110上に形成される。絶縁体層120は、デバイス層110の背面112に接触する。接着テープ155は、層スタック130のデバイス層110とは反対の側に位置し、接着テープ155は、絶縁体層120に直接接触する。接着テープ155は、完全にまたはほぼ完全に架橋した接着剤、例えば、樹脂を含む。スペーサディスク190は、接着テープ155の絶縁体層120とは反対の側にあり、スペーサディスク190および層スタック130の横方向の形状および寸法は、同一である。
【0084】
デバイス層110の厚さは、多くとも100μmでもよく、層スタック130の厚さth3およびスペーサディスク190の厚さの合計は、少なくとも100μmである。
【0085】
図3Aから
図3Dは、絶縁体層部とスペーサ層との間に基板層を含む半導体デバイスを製造する方法を示す。
【0086】
図3Aの層スタック130は、層スタック130が絶縁体層前面121に形成されるさらなる半導体層140を含むという点で、
図2Aの層スタック130と異なる。さらなる半導体層140は、第1の導電型の背景ドーピングを有してもよい。反対の第2の導電型のドーピング領域145は、絶縁体層前面121に配向される側からさらなる半導体層140内に延在してもよい。第1の導電型はn型でもよく、第2の導電型はp型でもよい。さらなる半導体層140の厚さは、10μm未満でもよい。
【0087】
図3Bに示したように、接着テープ155は、さらなる半導体層140の絶縁体層120とは反対の側にボンディングされる。
【0088】
図3Cは、スペーサディスク190をさらなる半導体層140に接着ボンディングする接着テープ155を示す。
【0089】
図3Dは、以下の点、すなわち、層スタック130が、絶縁体層120のデバイス層110とは反対の側に形成されるさらなる半導体層140を含む点、接着テープ155が、さらなる半導体層140に直接接触する点、および、スペーサディスク190が、さらなる半導体層140の絶縁体層120とは反対の側に接着ボンディングされるという点で、
図2Dに示されるウェーハコンポジット100と異なるウェーハコンポジット100を示す。
【0090】
図4Aから
図4Bは、ボンディング装置400が圧縮応力を接着テープ155内の部分的に架橋された樹脂に適用し、樹脂を硬化させる方法に関連する。
【0091】
図4Aは、
図2Bを参照して記載したように、層スタック130の絶縁体層前面121に積層された接着テープ155を示す。接着テープ155、層スタック130および基板キャリア200を含むコンポジットは、ボンディング装置400の第1のプレート410上に配置され、分離可能に固定され、例えば、静電的にまたは空気圧によりチャックされる。スペーサディスク190は、ボンディング装置400の第2のプレート420上に配置され、分離可能に固定され、例えば、静電的にまたは空気圧によりチャックされる。
【0092】
スペーサディスク190の実装面191および絶縁体層前面121が互いに平行であり、スペーサディスク190が層スタック130に対して横方向に調節されるように、第1のプレート410および第2のプレート420は、互いに整列配置される。
【0093】
ボンディング装置400は、第1のプレート410および/または第2のプレート420を互いの方に垂直方向に移動させ、スペーサディスク190を接着テープ155上に押圧し、十分なボンディング力を作成する。
【0094】
図4Bは、スペーサディスク190が接着テープ155上に押圧される位置にある第1のプレート410および第2のプレート420を示す。ボンディングは、
図4Bに示される状態でおよび/またはその後に、例えば、ボンディング装置400の外側でスペーサディスク190、接着テープ155および層スタック130を含むウェーハコンポジット100の加熱を含んでもよい。
【0095】
図5Aから
図5Cは、前の図面に示したように、ウェーハコンポジット100から半導体デバイス800を製造する方法を示す。
【0096】
図1Aに示したように、層スタック130、接着テープ155および接着テープ155の層スタック130とは反対の側のスペーサディスク190を含むウェーハコンポジット100は、個々の半導体チップ900に分割され、層スタック130は、デバイス層110およびデバイス層110に接触する絶縁体層120を含み、電子要素315は、デバイス層110内に形成され、接着テープ155は、層スタック130のデバイス層110とは反対の側に形成される。
【0097】
図5Aは、ダイシングによって得られた半導体チップ900のうちの1つを示す。半導体チップ900は、デバイス層部910、デバイス層部910の背面912に接触する絶縁体層部920、絶縁体層部920のデバイス層部910とは反対の側に形成される接着材層950および接着材層950の絶縁体層部920とは反対の側に形成されるスペーサ層990を含む。電子要素315は、デバイス層部910内に形成される。コンタクトパッド916は、デバイス層部910のコンタクト側の面911に形成される。
【0098】
半導体チップ900は、リードフレーム970の実装側に配置され、ボンディング、例えば、接着ボンディングされる。ワイヤリング接続971は、半導体チップ900のコンタクトパッド916とリードフレーム970のデバイス端子972との間にワイヤボンディングにより形成される。
【0099】
図5Bは、リードフレーム970上に実装される半導体チップ900を示し、スペーサ層990は、リードフレーム970の実装面に配向される。ボンドワイヤは、コンタクトパッド916をデバイス端子972に電気的に接続する。グルーおよび/またははんだ974は、半導体チップ900をリードフレーム970の実装部分973上に固定する。
【0100】
モールディングプロセスは、半導体チップ900をカプセル化し、デバイス端子972を互いから少なくとも部分的に分離し、半導体デバイス800を形成する。
【0101】
図5Cは、デバイス層部910、絶縁体層部920、接着材層950およびスペーサ層990を含む半導体デバイス800を示す。デバイス層部910は、電子要素315と、デバイス層部910のコンタクト側の面911に形成されるコンタクトパッド916と、を含んでもよい。絶縁体層部920は、デバイス層部910の背面912に接触する。接着材層950は、絶縁体層部920のデバイス層部910とは反対の側にあり、絶縁体層部920のデバイス層部910とは反対の面に直接接触してもよい。スペーサ層990は、接着材層950の絶縁体層部920とは反対の側にある。
【0102】
接着材層950は、接着テープを含んでもよい。接着テープは、キャリアテープ、キャリアテープと絶縁体層部920との間の第1の接着材層およびキャリアテープとスペーサ層990との間の第2の接着材層を含んでもよい。第1および第2の接着材層は、完全にまたはほぼ完全に架橋した樹脂を含む。
【0103】
デバイス層部910の厚さは、多くとも100μmでもよく、例えば、多くとも10μmまたは1μmでもよい。デバイス層部910の厚さ、絶縁体層部920の厚さ、接着材層950の厚さおよびスペーサ層990の厚さの合計は、少なくとも100μmである。
【0104】
半導体デバイス800は、デバイス端子972およびコンタクトパッド916とデバイス端子972との間のワイヤリング接続971をさらに含む。モールド980は、半導体チップ900およびワイヤリング接続971をカプセル化し、封止し、半導体チップ900およびワイヤリング接続を物理的および化学的な衝撃、外部の湿度および汚染物質から保護する。モールド980の材料は、硬化した樹脂でもよい。
【0105】
図6の半導体デバイス800は、半導体の基板層940が絶縁体層部920上に形成されるという点で、
図5Cの半導体デバイス800と異なる。基板層940は、第1の導電型の背景ドーピングを有する。反対の第2の導電型のドーピング領域945は、絶縁体層部920に配向される側から基板層940内に延在してもよい。第1の導電型はn型でもよく、第2の導電型はp型でもよい。基板層940の厚さは、10μm未満でもよい。接着材層950は、基板層940の絶縁体層部920とは反対の面に直接接触する。
【外国語明細書】