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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050514
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】フィレット検出方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/20 20200101AFI20240403BHJP
   G06F 30/10 20200101ALI20240403BHJP
   G06F 119/18 20200101ALN20240403BHJP
【FI】
G06F30/20
G06F30/10 100
G06F119:18
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023168997
(22)【出願日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】22306451.0
(32)【優先日】2022-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】500102435
【氏名又は名称】ダッソー システムズ
【氏名又は名称原語表記】DASSAULT SYSTEMES
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス ブリフォルト
(72)【発明者】
【氏名】エロワ メーア
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146EA01
5B146EA14
5B146EA18
5B146EC09
(57)【要約】
【課題】フィレット検出方法を提供する。
【解決手段】本開示は特に、機械部品の一部の外側サーフェスのセグメントを表すメッシュを提供することを備えるコンピュータ実装方法に関する。方法はさらに、それぞれが前記メッシュの最大曲率方向に従う前記メッシュにわたる曲線を決定することと、それぞれの曲線をそれぞれの円に適合させることであって、それにより、円のセットを取得する、ことと、前記円のセットの1つまたは複数の統計値を計算することと、を備える。方法はそして、前記1つまたは複数の統計値の関数として、前記メッシュがフィレットであるか否かを検出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械部品の一部の外側サーフェスのセグメントを表すメッシュを提供することと、
それぞれが前記メッシュの最大曲率方向に従う前記メッシュにわたる曲線を決定することと、
それぞれの曲線をそれぞれの円に適合させることであって、それにより、円のセットを取得する、ことと、
前記円のセットの1つまたは複数の統計値を計算することと、
前記1つまたは複数の統計値の関数として、前記メッシュがフィレットであるか否かを検出することと、
を備えるコンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記曲線を決定することは、
前記メッシュにわたる最大曲率方向の分布を計算することと、
前記メッシュに属する複数のシード点からスタートして、最大曲率方向の前記分布の積分曲線をトレースすることと、
を備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
【請求項4】
前記曲率テンソル場を計算することは、法線サイクルアプローチ、二次関数フィッティングアプローチ、または円フィッティングアプローチにより実行される、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記メッシュは、フェースおよびエッジを有し、前記最大曲率方向の分布は、それぞれのフェースについて、1つまたは複数のそれぞれの最大曲率方向を備え、それぞれの積分曲線をトレースすることは、それぞれのシード点からスタートして、フェイスバイフェイスで反復することと、1つまたは複数のそれぞれの最大曲率方向に基づいてそれぞれのフェース上の平面曲線を積分することと、それぞれの反復が、前記積分することがそれぞれのフェースのエッジに達すると終了することと、
を備える、請求項2乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
それぞれのフェースの前記1つまたは複数の最大曲率方向は、前記フェースに対して一定の単一の最大曲率方向から成り、前記それぞれのフェース上のそれぞれの平面曲線を積分することは、前記一定の最大曲率方向に基づき、前記平面曲線はそれにより直線である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記1つまたは複数の統計値は、
平均フィッティングエラーが第1の閾値より下の時かつその時に限り、前記メッシュがフィレットとして検出される、平均フィッティングエラー、および、
半径分散が第2の閾値より下の場合かつその場合に限り、前記メッシュがフィレットとして検出される、半径分散、
の1つまたはその両方を備える、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記それぞれの曲線をそれぞれの円を適合させることは、
最小二乗距離に関して前記曲線に最も近いプレーンを決定することと、
前記プレーンに前記曲線を投影することと、
所定距離に関して前記投影された曲線に最も近い円を決定することと、
を備える請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、
前記円のセットの平均半径を計算することと、
フィレットが検出された場合に、前記平均半径によってパラメータ化されたフィレットCADフィーチャーを作成することと、
をさらに備える請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、
機械部品の外側サーフェスを表す第1のメッシュを提供することと、
前記第1のメッシュを第2のメッシュのセットにセグメント化することと、
1つまたは複数の第2のメッシュについて、
それぞれが前記第2のメッシュの最大曲率方向に従う前記第2のメッシュにわたる曲線を決定することと、
それぞれの曲線をそれぞれの円に適合させることであって、それにより、円のセットを取得する、ことと、
前記円のセットの1つまたは複数の統計値を計算することと、
前記1つまたは複数の統計値の関数として、前記第2のメッシュがフィレットであるか否かを検出することと、
を備える請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が第2のメッシュがフィレットであると検出した場合に、前記フィレットの隣接フェース入力を識別すること、
をさらに備える請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のメッシュを提供することは、
機械部品のスキャンから前記第1のメッシュを取得すること、または、
CAD設計から前記第1のメッシュを取得すること、
を備える請求項10または11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に従う方法を実行するための命令を備えるコンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項13のコンピュータプログラムを記録しているコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
メモリに結合されたプロセッサを備えるシステムであって、前記メモリは、請求項13のコンピュータプログラムを記録している、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はコンピュータプログラムおよびシステムの分野に関し、より詳細には、提供されたメッシュのフィレットを検出するための方法、システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くのソリューション、ハードウェアおよびソフトウェアが、オブジェクトの設計、エンジニアリング、および製造の市場に出されている。CADは、Computer-Aided Design(コンピュータ支援設計)の頭字語であり、例えば、オブジェクトを設計するためのソフトウェアソリューションに係る。CAEは、Computer-Aided Engineering(コンピュータ支援エンジニアリング)の頭字語であり、例えば、将来の製品の物理的挙動を分析し、シミュレートするためのソフトウェアソリューションに係る。CAMは、Computer-Aided Manufacturing(コンピュータ支援製造)の頭字語であり、例えば、製品製造の処理と資源を定義するためのソフトウェアソリューションに係る。そのような、コンピュータ支援設計ソリューションでは、グラフィカルユーザインタフェースが、技法の効率に関して重要な役割を果たす。これらの技法は、製品ライフサイクル管理(PLM)ソリューション内に組み込まれ得る。PLMとは、企業が、拡張企業の概念にわたって、構想から製品の寿命の終わりに至るまで、製品データを共有し、共通プロセスを適用し、かつ会社の知識を製品の開発に利用するのを支援する、エンジニアリング戦略をいう。ダッソー・システムズにより(CATIA、SIMULIA、DELMIAおよびENOVIAという商標で)提供されるPLMソリューションでは、エンジニアリングハブ、製造ハブ、および企業ハブが提供され、エンジニアリングハブは製品エンジニアリングの知識を体系化し、製造ハブは製造エンジニアリングの知識を管理し、企業ハブはエンジニアリングハブと製造ハブの両方への事業統合と事業接続とを可能とする。これらが一体となって、ソリューションは、製品、処理、リソースを関連づける共通モデルを提供し、最適な製品定義、製造準備、生産、およびサービスを推進するダイナミックで、知織ベースの製品創出および意思決定を可能とする。
【0003】
これらのシステムおよびプログラムのいくつかは、機械部品のCADモデルを処理するための機能を提供する。具体的には、提供される機能のいくつかは、CADフィーチャー、例えば、提供されるメッシュのフィレットフィーチャーの(自動)検出に向けられる。
【0004】
非特許文献1は、モザイク式幾何学モデルの補助的な特徴をセグメント化する方法を開示する。この方法は、幾何学的微分特性の解析に基づいており、その選択性に影響を与えることなく、不確実性に対する感度を低減する特定の戦略を提供する。
【0005】
この背景の中で、機械製品のCADモデルを処理し、フィレットを検出するための改良された解決策が依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Di Angelo et al., “Fillets, rounds, grooves and sharp edges segmentation from 3D scanned surfaces.”, Computer-Aided Design 110 (2019): 78-91.
【非特許文献2】Cohen-Steiner, and Morvan. “Restricted Delaunay triangulations and normal cycle.”, In Proceedings of the nineteenth annual symposium on Computational geometry, pp. 312-321. 2003.
【非特許文献3】Lachaud, Romon, Thibert, and Coeurjolly. “Interpolated corrected curvature measures for polygonal surfaces.”, In Computer Graphics Forum, vol. 39, no. 5, pp. 41-54. 2020.
【非特許文献4】Sylvain Petitjean, “A survey of methods for recovering quadrics in triangle meshes.”, ACM Computing Surveys (CSUR)34,no. 2 (2002): 211-262.
【非特許文献5】Gabriel Taubin, “Estimating the tensor of curvature of a surface from a polyhedral approximation.”, In Proceedings of IEEE International Conference on Computer Vision, pp. 902-907. IEEE, 1995.
【非特許文献6】Ian D. Coope, “Circle fitting by linear and nonlinear least squares.”, Journal of Optimization theory and applications 76, no. 2 (1993): 381-388.
【発明の概要】
【0007】
そこで、コンピュータ実装方法は、機械部品の一部の外側サーフェスのセグメントを表すメッシュを提供することを備える。方法は、それぞれが前記メッシュの最大曲率方向に従う前記メッシュにわたる曲線を決定することと、それぞれの曲線をそれぞれの円に適合させることであって、それにより、円のセットを取得する、ことと、前記円のセットの1つまたは複数の統計値を計算することと、をさらに備える。方法は、前記1つまたは複数の統計値の関数として、前記メッシュがフィレットであるか否かを検出すること、をさらに備える。
【0008】
方法は、以下のうちの1つまたは複数を備える。
【0009】
-前記曲線を決定することは、前記メッシュにわたる最大曲率方向の分布を計算することと、前記メッシュに属する複数のシード点からスタートして、最大曲率方向の前記分布の積分曲線をトレースすることと、を備える。
-前記最大曲率方向の分布を計算することは、前記メッシュにわたって分布された曲率テンソル場を計算することと、前記計算されたテンソル場を、少なくとも2つのサブテンソル、最大曲率に対応する第1のサブテンソル、および最小曲率に対応する第2のサブテンソルに分解することと、分解されたテンソル場に基づいて前記最大曲率方向の分布を計算することと、を備える。
-前記曲率テンソル場を計算することは、法線サイクルアプローチ、二次関数フィッティングアプローチ、または円フィッティングアプローチにより実行される。
-前記メッシュは、フェースおよびエッジを有し、前記最大曲率方向の分布は、それぞれのフェースについて、1つまたは複数のそれぞれの最大曲率方向を備え、それぞれの積分曲線をトレースすることは、それぞれのシード点からスタートして、フェイスバイフェイスで反復することと、1つまたは複数のそれぞれの最大曲率方向に基づいてそれぞれのフェース上の平面曲線を積分することと、それぞれの反復が、前記積分することがそれぞれのフェースのエッジに達すると終了することと、を備える。
-それぞれのフェースの前記1つまたは複数の最大曲率方向は、前記フェースに対して一定の単一の最大曲率方向から成り、前記それぞれのフェース上のそれぞれの平面曲線を積分することは、前記一定の最大曲率方向に基づき、前記平面曲線はそれにより直線である。
-前記1つまたは複数の統計値は、平均フィッティングエラーが第1の閾値より下の時かつその時に限り、前記メッシュがフィレットとして検出される、平均フィッティングエラー、および、半径分散が第2の閾値より下の場合かつその場合に限り、前記メッシュがフィレットとして検出される、半径分散、の1つまたはその両方を備える。
-前記それぞれの曲線をそれぞれの円を適合させることは、最小二乗距離に関して前記曲線に最も近いプレーンを決定することと、前記プレーンに前記曲線を投影することと、所定距離に関して前記投影された曲線に最も近い円を決定することと、を備える。
-前記方法は、前記円のセットの平均半径を計算することと、フィレットが検出された場合に、前記平均半径によってパラメータ化されたフィレットCADフィーチャーを作成することと、をさらに備える。
-前記方法は、機械部品の外側サーフェスを表す第1のメッシュを提供することと、
前記第1のメッシュを第2のメッシュのセットにセグメント化することと、1つまたは複数の第2のメッシュについて、それぞれが前記第2のメッシュの最大曲率方向に従う前記第2のメッシュにわたる曲線を決定することと、それぞれの曲線をそれぞれの円に適合させることであって、それにより、円のセットを取得する、ことと、前記円のセットの1つまたは複数の統計値を計算することと、前記1つまたは複数の統計値の関数として、前記第2のメッシュがフィレットであるか否かを検出することと、を備える。
-前記方法が第2のメッシュがフィレットであると検出した場合に、前記フィレットの隣接フェース入力を識別すること、をさらに備える。
- 前記第1のメッシュを提供することは、機械部品のスキャンから前記第1のメッシュを取得すること、または、CAD設計から前記第1のメッシュを取得すること、を備える。
【0010】
さらに、方法を実行する命令を備えるコンピュータプログラムが提供される。
【0011】
さらに、コンピュータプログラムを記録しているコンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0012】
さらに、メモリに結合されたプロセッサを備えるシステムであって、前記メモリは、コンピュータプログラムを記録している、システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
ここで、非限定的な例を、添付の図面を参照して説明する。
図1】方法の一例を示すフローチャートである。
図2】システムのグラフィカルユーザインタフェースの一例を示す図である。
図3】システムの一例を示す図である。
図4】方法を説明する図である。
図5A】方法を説明する図である。
図5B】方法を説明する図である。
図5C】方法を説明する図である。
図6A】方法を説明する図である。
図6B】方法を説明する図である。
図7A】方法を説明する図である。
図7B】方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
機械部品の一部の外側サーフェスのセグメントを表すメッシュを提供することと、メッシュにわたる曲線を決定することを含むコンピュータ実装方法が提案される。決定された曲線のそれぞれは、メッシュの最大曲率方向に従う。方法はさらに、それぞれの曲線をそれぞれの円に適合させることであって、それにより、円のセットを取得する、ことを含む。方法はさらに、円のセットの1つまたは複数の統計値を計算することと、1つまたは複数の統計値の関数として、メッシュがフィレットであるか否かを検出することと、を含む。
【0015】
方法は、メッシュによって表された機械部品の一部のCADモデルを処理するための改良されたソリューションを構成する。機械部品の一部の外側サーフェスのセグメントである提供されたメッシュのフィレットフィーチャーの検出は、例えば、製造されたものに、検出されたフィレットCADフィーチャーを適合させることにより、製造の観点において、機械部品の準備を可能にさせる。そのような適合は特に、以下で論じるように、製造CADの分野に関連する。製造CADでは、フィレットCADフィーチャーを検出することは、簡単な操作ならびに/またはメモリにおける機械部品の編集および/もしくは効率的な記憶を可能にさせる。特に、方法は、メッシュがフィレットであるかを検出する。そのようなコンピュータ実装フィレット検出は、そのような目的のために、人間の介入(例えば、ユーザまたはより具体的には技術者)に関わらず、または低減された状態で、自動化されたコンピュータ実装方法を形成する、またはその一部を形成する。
【0016】
3DCADモデル上のフィレット(CAD)オペレータは、それ自体知られているが、2つの随伴フェースの間(すなわち、共有する)のエッジを丸めることをする。そのような丸めることは、前記フェースの両方で接線支持することにより前記エッジに沿って転がる球の包絡線を用いることで取得され得る。それゆえ、フィレットオペレータは、例えば、最大(絶対値)曲率で、1つの一定の主曲率値を示すサーフェスを生成する。
【0017】
具体的には、方法は、メッシュにわたる曲線を決定することによりフィレット検出を実行し、それにより、それぞれの曲線は、メッシュの最大曲率方向に従う。それゆえ、そのような曲線は、前記機械部品の前記部分の外側サーフェスの主曲率方向に基づいている。方法は、そして、そのような曲線に基づいてフィレットを検出する。そのような検出は、特に、提供された(入力された)メッシュにノイズが多い場合(例えば、メッシュが以下で説明される3Dスキャン処理により取得された場合)、フィレット検出のための曲率分布に依存する先行技術よりも優位である。これらの優位は、少なくとも2つある。
【0018】
第1に、先行技術では、曲率計算は、ノイズに対してロバストでないため、精度の観点からは、ノイズが多いメッシュ上のノイズレベルにかなり影響され得る。フィレット検出およびそのパラメータ化について曲率値分布に依存する公知の方法は、この分布が一定の値の周辺にピークがあるかを見つけるために、主曲率値の統計的分析を含み得る。分布がピークである場合、これらの方法は、サーフェスが、前記一定の値に関して反比例するフィレット半径を持つフィレット状サーフェスを構成すると推定する。そのような方法は、特にノイズが多いメッシュでは、非常に正確でない。対照的に、本開示の方法は、メッシュにノイズが存在する場合の曲率値と比較して、計算されるのによりロバストな最大曲率方向を考慮する。そのようなロバスト性は、ノイズが多いメッシュの場合、フィレット検出(および検出されたフィレットのパラメータ化)をより正確に取得することを構成する。
【0019】
第2に、メッシュの曲率値を取得するために、公知の先行技術の方法は、曲率値(例えば、メッシュにわたる曲率値の分布)に依存するが、本開示の方法は、曲率のそれぞれの値の代わりに、(最大)曲率に従って定義された方向に基づいてフィレットを検出する。機械部品の外側サーフェスが滑らかでないおよび/または前記外側サーフェスを表す提供されたメッシュが滑らかでないために、曲率値は、十分に正確でないことがある。実際に、そのような滑らかでないことは、曲率計算を不正確にする。対照的に、本開示の方法のように、曲率方向を計算することは、曲率値を計算することよりも、かなりロバストである。実際には、それぞれの点における曲率の値を計算するために、公知の先行技術の方法は、それぞれの点に対して、曲率値をそれぞれ計算するために、平均化技法を使用する。そのような平均化技法は、設定するのに明快でなく、取得される曲率値にかなり影響を与えるいくつかのパラメータにより定義され、そのため、取得される曲率は、前記どのように設定するかが明らかでないパラメータを平均化することによって大きく影響される。そのようなパラメータを平均化することは、一方で、曲率方向には影響しない。
【0020】
提供されるメッシュの起源がここで論じられる。
【0021】
提供されるメッシュは、機械部品、例えば、機械部品の部分の外側サーフェス上の物理的測定に由来し得る。そのような測定は、以下で論じるような復元処理、例えば、実際のオブジェクトの3Dスキャニング内で実行され得る。そのような場合、メッシュを提供することは、物理的測定、随意に、測定に適用されたテッセレーションから、機械部品の一部の外側サーフェスのセグメントを表すメッシュを取得する復元処理を含み得る。
【0022】
復元処理により取得されたそのようなメッシュを利用することは、いくつかの実際的な困難を有する。特に、そのようなメッシュは、大量のノイズ(例えば、実際のオブジェクト上の物理的な測定を実行するのに使用されるセンサの限定された正確さのために)を含み得、不完全であり得(例えば、物理的な測定を実行する実際のオブジェクトのいくつかの部分のアクセス不可能性のために)、および/またはそれぞれのCADフィーチャーツリーにより付加され得ない。前記困難のそれぞれは、最終的な製造されたオブジェクトの精度を低減し、および/または、製造される機械部品を仕上げる前に修正を適用するユーザの能力を制限するため、リバースエンジニアリングにおいて提供されたメッシュを使用することを妨げ得る。
【0023】
提供されるメッシュは、代替的に、別のCADシステムによって設計され、CADフィーチャーツリーが不明またはアクセスできないCADまたはCAEモデルに由来し得る。そのような場合、メッシュを提供することは、メッシュ(例えば、既存のCAD/CAEモデルからの変換による)を入力すること(例えば、ローカルメモリまたはリモートデータベースから読み出すこと)、および、入力されたメッシュに基づいてそれぞれのCADフィーチャーツリーを生成することを含み得る。
【0024】
方法の適用がここで論じられる。
【0025】
前述したように、(提供された)メッシュがフィレットであるか否かを検出することは、製造CADの分野、すなわち、設計処理および製造処理を支援するソフトウェアソリューションに特に関連し、そのために、設計されたCADモデル(例えば、CAD3Dモデル)に対応する物理的な製品を製造することが目的となる。この文脈において、CADモデルは、製造製品を表し、これは、その設計に対する製造された下流であり得る。方法はそれゆえ、そのような設計の部分および/または機械製品の製造処理であり得る。方法は、機械的製品の表現からフィーチャーツリーを取得することを可能にする又は関与する(例えば、その一部)設計処理の部分であり得るまたはその設計処理を形成し得る。このフィーチャーツリーを取得するステップは、CAEからCADへの変換ステップを形成し得る。「機械部品を設計すること」は、機械部品のモデル化されたオブジェクトを精巧にする処理の少なくとも一部である任意のアクションまたは一連のアクションを指す。方法は、そのような処理を形成し得る、またはその処理の少なくとも一部を形成し得る。
【0026】
方法はそれゆえ、通常はメッシュなどのモデル化されたオブジェクを操作し、随意に、検出によるパラメータ化されたフィレットを出力するよう操作する。モデル化されたオブジェクトは、例えば、データベースに記憶されたデータにより定義された任意のオブジェクトである。さらに言うと、「モデル化されたオブジェクト」という表現は、データそれ自体を指す。システムのタイプに従って、モデル化されたオブジェクトは、異なる種類のデータにより定義され得る。システムは、実際は、CADシステム、CAEシステム、CAMシステム、PDMシステムおよび/またはPLMシステムの任意の組合せであり得る。これらの異なるシステムでは、モデル化されたオブジェクトは、対応するデータにより定義される。したがって、オブジェクトは、CADオブジェクト、PLMオブジェクト、PDMオブジェクト、CAEオブジェクト、CAMオブジェクト、CADデータ、PLMデータ、PDMデータ、CAMデータ、CAEデータ、のことをいうものとしてよい。しかしながら、これらのシステムは、モデル化されたオブジェクトがこれらのシステムの任意の組合せに対応するデータにより定義され得るため、一方が他方に排他的ではない。システムはそれゆえ、以下に提供されるそのようなシステムの定義から明らかなように、CADシステム、CAEシステム、PLMシステムおよび/またはCAMシステムの両方であり得る。
【0027】
CADソリューション(例えば、CADシステムまたはCADソフトウェア)によって、CATIA等の、モデル化されたオブジェクトのグラフィカルな表現および/またはそれらの構造化された表現(例えば、フィーチャーツリー)に基づき、モデル化されたオブジェクトを設計するために少なくとも適合された任意のシステム、ソフトウェアまたはハードウェアがさらに表される。この場合、モデル化されたオブジェクトを定義するデータは、モデル化されたオブジェクトの表現が可能なデータを含む。CADシステムは、例えば、エッジまたは線を、時にはフェースまたはサーフェスと共に使用して、CADモデル化オブジェクトの表現を提供し得る。線、エッジ、またはサーフェスは、種々の様式で、例えば、非一様有理Bスプライン(NURBS)で、表現され得る。具体的には、CADファイルは仕様を含み、該仕様によりジオメトリ(幾何学形状)が生成され得、該ジオメトリにより表現を生成させ得る。モデル化されたオブジェクトの仕様は、単一のCADファイルまたは複数の該ファイルに記憶され得る。CADシステムのモデル化されたオブジェクトを表現するファイルの典型的なサイズは、1部品当たり1メガバイトの範囲である。モデル化されたオブジェクトは、典型的には、数千部品のアセンブリ(組立品)であり得る。
【0028】
CADの文脈において、モデル化されたオブジェクトは典型的には、3Dモデル化オブジェクトであり得、例えば、部品もしくは部品のアセンブリなどの製品を表現し、または、製品のアセンブリを表現することが可能である。2Dまたは3Dモデル化オブジェクトは、製造される製品、すなわち、製造されるべき製品、であり得る。「3Dモデル化オブジェクト」とは、その3D表現が可能なデータによりモデル化された任意のオブジェクトを意味する。3D表現は、あらゆる角度からの部品のビューを可能にする。例えば、3Dで表現する際、3Dモデル化オブジェクトは、処理してオブジェクトのいずれかの軸を中心に、または、表現が表示されるスクリーンの任意の軸を中心に、回転させることができる。これは特に、2Dアイコンが含まれず、2Dアイコンは3Dモデル化されない。3D表現の表示は、設計を容易にさせる(すなわち、設計者がその仕事を統計的に達成する速度が上がる)。これにより、製品の設計は、製造処理の一部であるため、業界における製造処理の速度が上がる。
【0029】
3Dモデル化オブジェクトは、例えば、CAD/CAEソフトウェアソリューションまたはCAD/CAEシステムを用いて、(例えば、機械の)部品または部品のアセンブリ(または、方法の観点からそれ自体部品として見られ得る部品のアセンブリである時、または、方法がアセンブリのそれぞれの部品に対して独立して適用され得る時、部品のアセンブリと同等のもの)、または、さらに一般的には任意の剛体アセンブリ(例えば、移動機構)など、その仮想設計の完了に続いて実世界で製造される製品のジオメトリを表し得る。CAD/CAEソフトウェアソリューションは、航空宇宙、建築、建設界、消費財、ハイテク装置、産業機器、運輸、海洋、および/または、海上オイル/ガスもしくは運輸を含む、種々な、そして無限の、工業分野における製品の設計を可能にさせる。方法により設計される3Dモデル化オブジェクトは、工業製品をこのように表現するものであり、これはあらゆる機械部品、地上車の部品(例えば、自動車および軽トラックの機器、レーシングカー、オートバイ、トラックおよびモータの機器、トラックおよびバス、電車を含む)、飛行機の部品(例えば、機体機器、航空宇宙機器、推進機器、防衛製品、航空機器、宇宙機器を含む)、海軍車の部品(例えば、海軍機器、商船、海上機器、ヨットおよび作業船、海洋機器を含む)、機械部品(例えば、工業製造機械、移動重機または機器、設置された機器、産業機器製品、組立金属製品、タイヤ製造製品を含む)、電気機械部品または電子部品(例えば、家電、セキュリティおよび/または制御および/または計測製品、コンピューティングおよび通信機器、半導体、医療装置および機器を含む)、消費財(例えば、家具、家庭および園芸製品、レジャー用品、ファッション製品、耐久諸費材小売製品、織物小売製品を含む)、パッケージング(例えば、食品および飲料およびたばこ、美容および身の回りの手入れ、家庭用品パッケージングを含む)、であり得る。
【0030】
CADシステムは、履歴ベースであり得る。この場合、モデル化されたオブジェクトはさらに、ジオメトリフィーチャーの履歴を含むデータにより定義される。モデル化されたオブジェクトは、実際には、標準的なモデリングフィーチャー(例えば、押し出し、回転、カット、および/またはラウンド)および/または標準的なサーフェスのフィーチャー(例えば、スウィープ、ブレンド、ロフト、フィル、デフォーム、および/またはスムージング)を使用して、物理的人物(すなわち、設計者/ユーザ)により定義される。そのようなモデリング機能を支持する多くのCADシステムは、履歴ベースのシステムである。これは、設計フィーチャーの作成履歴が、典型的には、入力と出力のリンクを通じて前記ジオメトリフィーチャー同士を繋ぐ非周期的なデータフローを通じて保存されることを意味する。この履歴ベースのモデリングパラダイムは、80年代の初頭からよく知られている。モデル化されたオブジェクトは、2つの永続的データ表現、履歴およびB-rep(すなわち、境界表現(boundary representation))により説明される。B-repは、履歴において定義された計算の結果である。モデル化されたオブジェクトが表されたとき、コンピュータのスクリーン上に表示された部品の形状がB-repである(例えば、そのテッセレーション)。部品の履歴は設計意図である。基本的には、履歴はモデル化されたオブジェクトが受けた操作に関する情報を収集する。B-repは、複雑な部品の表示を容易にするために、履歴と共に保存され得る。設計意図に応じて部品の設計変更を可能にするために、履歴は、B-repと共に保存され得る。
【0031】
PLMソリューションとは、製造される物理的な製品を表すモデル化されたオブジェクトの管理のために適合された任意のソリューションがさらに表される。PLMソリューションでは、モデル化されたオブジェクトはそれゆえ、物理的オブジェクトの製造に適したデータにより定義される。これらは、典型的には寸法値および/または許容値であり得る。オブジェクトを正確に製造するために、そのような値を有することが実際は好ましい。例えば、PLMソリューションは、製作公差を管理し得る、例えば、CADモデルにおける提供された押し出しフィーチャーに関する機械加工またはモデリングを管理し得る。
【0032】
CAEソリューションによって、モデル化されたオブジェクトの物理的挙動の分析のために適合された任意のソリューション、ハードウェアのソフトウェアがさらに表される。公知の広く使用されるCAE技法は、有限要素モデル(FEM))であり、以下CAEモデルと同等に呼ばれる。FEMは、典型的には、モデル化されたオブジェクトを要素、すなわち、有限の要素メッシュに分割することを含み、これは、物理的挙動が方程式を介して計算され、シミュレートされることが可能である。そのようなCAEソリューションはダッソー・システムズによりSIMULIA(登録商標)という商標で提供される。別の成長中のCAE技法では、CADジオメトリデータを用いない、物理学の異なる分野からの、複数の構成要素から成る複雑なシステムのモデリングおよび分析を含む。CAEソリューションは、製造する製品のシミュレーション、ひいては最適化、向上および検証を可能にさせる。そのようなCAEソリューションは、ダッソー・システムズによりDYMOLA(登録商標)という商標で提供される。CAEは、様々な構造の必要条件(限定ではなく、質量、剛性、強度、耐久性など)が新しいCADモデルによって達成されることを確かにし得る。これら必要条件のいくつかは、キーパフォーマンスインジケータ(KPIs)と呼ばれ得る。多くの工業製品(例えば、車、飛行機、消費者向けパッケージ商品、ハイテク)について、これらKPIは衝突する、例えば、低質量では通常低剛性となる。それゆえ、最適化方法は、しばしばKPI間の最適なトレードオフを見つけるために適用される。
【0033】
CAMソリューションによって、製品の製造データを管理するために適合された任意のソリューション、ハードウェアのソフトウェアが表される。製造データは、一般に、製造する製品、製造処理、および必要なリソース、に関するデータを含む。CAMソリューションを使用して、製品の製造処理全体を計画および最適化する。例えば、これは、実現可能性、製造処理の期間、または製造処理の特定のステップで使用されてもよい特定のロボットなどのリソースの数、に関する情報をCAMユーザに提供することができ、従って、管理または必要な投資に関する決定を可能にする。CAMは、CAD処理および可能性があるCAE処理の後に続く処理である。例えば、CAMソリューションは、CADモデルにおける提供された押し出しフィーチャーとまとまりのある機械加工パラメータ、またはモデリングパラメータに関する情報を提供し得る。そのようなCAMソリューションは、ダッソー・システムズにより、CATIA、Solidworks、またはDELMIA(登録商標)という商標で提供される。
【0034】
CADおよびCAMソリューションは、そのため、強固に関連する。実際に、CADソリューションは、製品または部品の設計に焦点を置き、CAMソリューションは、その製造方法に焦点を置く。CADモデルを設計することは、コンピュータ支援製造への第1のステップである。実際に、CADソリューションは、フィーチャーベースのモデリングおよび境界表現(B-Rep)などの重要な機能を提供し、CAMソリューションで対処する製造処理の間のエラーのリスクと正確さの損失を低減する。実際に、CADモデルは、製造されることが意図されている。そのため、(CADモデルは)デジタルツインとも呼ばれる、製造されるオブジェクトのバーチャルツインであり、2つの目的がある;
-特定の環境で製造されるオブジェクトの正しい挙動をチェックすること、および
-製造されるオブジェクトの製造可能性を確かにすること。
【0035】
PDMは、Product Data Management(製品データ管理)の略である。PDMソリューションによって、特別な製品に関する全ての種類のデータを管理するために適合された任意のソリューション、ハードウェアのソフトウェアが表される。PDMソリューションは、製品のライフサイクルに係る全ての当事者、第一には技術者であるが、プロジェクトマネージャ、財務担当者、販売員、およびバイヤー、により使用され得る。PDMソリューションは、一般に製品志向のデータベースに基づく。これにより、当事者は、自らの製品に関する一貫したデータを共有することができ、そのため、相違したデータを使用してしまうことから回避できる。そのようなPDMソリューションは、ダッソー・システムズによりENOVIA(登録商標)という商標で提供される。
【0036】
本方法により入力として用いられ/本方法により提供されるモデル化されたオブジェクトは、メッシュであり、それゆえ、製造製品/機械製品/機械部品の3D離散幾何学的表現である。離散幾何学的表現は、データのピースの離散セットを含むデータ構造である。それぞれのデータのピースは、製品/機械部品の要素を既定し得、離散要素とも呼ばれ得る。離散幾何学的表現は、3Dであり得る。離散幾何学的表現は、100、1000、または10000より多い数の、データのピースを含み得る。メッシュ、それ自体知られている、はフェースおよびエッジを有し、前記フェースおよび前記エッジの間の連結性に従って定義される。
【0037】
3Dメッシュの場合、3D離散幾何学的表現は、ソリッド3D有限要素モデル(FEM)または3D体積メッシュ(例えば、3D四面体メッシュまたは3D多面体メッシュ)などの、製品/機械部品のソリッド/体積3D離散幾何学的表現であり得る。そのような場合、それぞれのデータのピースは、3D空間に配置されたそれぞれの幾何学的エンティティを表し得、それにより、データのピースは、機械部品/製品のソリッド表現(すなわち、「ソリッド3D離散幾何学的表現」)を形成する。それぞれの幾何学的エンティティは、3Dオブジェクト(言い換えると、3Dオブジェクトによって表されたソリッドの物質構成のそれぞれの部分)のそれぞれの位置(すなわち、物質的な点)を表し得る。幾何学的エンティティの集合体(すなわち、結合または並列)は、3Dオブジェクトをソリッド/体積として完全に表す。3D離散幾何学的表現は、代替的に、3Dサーフェスメッシュ(例えば、三角形のサーフェスメッシュ)またはテッセレーションなどの、製品/機械部品のスキンを表現する、スキン3D幾何学的表現であり得る。そのような場合、それぞれのデータのピースは、3D空間に配置されたそれぞれの幾何学的エンティティを表し得、それにより、データのピースが、機械製品のスキン(すなわち、「スキン3D離散幾何学的表現」)の表現を形成する。そのような場合、それぞれの幾何学的エンティティは、3Dオブジェクトの外側サーフェス(言い換えると、オブジェクトによって表されたソリッドの物質構成によって占められた体積の外側サーフェスのそれぞれの部分)上のそれぞれの位置(すなわち、物質的な点)を表す。幾何学的エンティティの集合体(すなわち、結合または並置)は、オブジェクトの外側サーフェスの少なくとも一部を完全に表す。
【0038】
方法は、上述したように、メッシュまたは離散幾何学的表現と同等のものによって提供されると、提供されたメッシュがフィレットであるか否かを検出する。フィレットが検出されたと、方法が検出した場合、方法は、提供されたメッシュに基づいて、検出されたフィレットを既に存在するCADオブジェクトに追加することを可能にする(または、それに続くことができる)。代替的に、方法は、検出されたフィレットから、新しいCADオブジェクトをインスタンス化し得る。
【0039】
離散幾何学的表現は、「有限要素モデル(FEM)」とも呼ばれるCAEモデルであり得、方法によってさらにCAEモデルに変換され得る。CAEモデルは、機械部品/製品を表すCADモデルに由来し得、例えば、方法は、初期段階で、例えば、メッシュ生成(例えば、三角形分割)処理を使用して、CADモデルからCAEモデルを取得することを含む。反対に、CAEモデルは、CADモデルへ変換され得る。方法は、CAEモデルを設計/出力し、これを対応するCADモデルに変換し得る。方法は、CAEモデルをCADモデルに変換する任意の公知の(例えば、自動的な)CAEからCADへの変換処理を使用することにより、方法によって設計/出力されたCAEモデルをCADモデルに変換することを含むか、またはそのソリューションを形成する(例えば、自動的に)、より広範な処理を含む、または含まれ得る。
【0040】
方法により出力されたモデル化されたオブジェクトは、代替的に、例えば、フィーチャーツリーおよび/またはB-Repを備えるまたは内包する、CADモデルであり得る。
そのようなモデルは、CAEモデルに由来し得、例えば方法が初期段階で含み得るCAEからCAD変換への処理を生じさせ得る。
【0041】
CADモデルは、フィーチャーベースであり得る(例えば、フィーチャーツリーおよび、随意に、フィーチャーツリーを実行することにより取得されるB-Repに対応することを含む)。フィーチャーベース3Dモデルは、検出、および、製造処理に影響を与え得るクラッシュなどのCADモデルにおけるジオメトリエラーの自動解消を可能にする(例えば、以下で論じられる、製造ファイルまたはCAMファイルの決定の間)。クラッシュは、例えば、それらの相対的な動きに起因する、3Dモデルの2つの部品間の相互貫通である。さらに、このクラッシュは、時に、CADフィーチャーベースモデルに基づく有限要素分析を介してのみ検出される。そのため、クラッシュの解消は、フィーチャーのパラメータを繰り返し修正すること、および有限要素分析を行うことによって、CADソリューションと共に、またはCADソリューションによって自動的に実行されることが可能である。
【0042】
別の例として、フィーチャーベース3Dモデルは、コンピュータ数値制御(CNC)を介して、機械のためのツールパスの自動的な作成を可能にする(例えば、以下で論じられる、製造ファイルまたはCAMファイルの決定の間)。CNCでは、製造されるそれぞれのオブジェクトは、カスタムコンピュータプログラムを与えられ、機械に取り付けられたマイクロコンピュータである機械制御ユニットに記憶され実行される。プログラムは、工作機械が従うであろう命令およびパラメータを含む。フライス加工、旋盤、ルーター、グラインダー、レーザーは、CNCで操作を自動化することが可能な一般的な工作機械の例である。
【0043】
CADモデルの重要な特徴は、少量のハイレベルなパラメータ化された設計操作(限定ではなく、例えば、スケッチ、押し出し、面取りを含む)を連鎖することにより、厳格に、および、曖昧さなく設計され得ること、および、ハイレベルなパラメータを修正することにより編集され得ること、である。それは、任意の3Dシェイプを表すが、工業設計の文脈において必要とされる修正またはパラメータ化の能力を提供しない、三角形のサーフェスメッシュなどの多面体表現との重要な差異である。
【0044】
CADモデルは、(例えば、機械的な)部品/製品のパラメータ化されたモデルであり、これは、メモリフットプリントの観点では、CAEモデルなどの他のモデルよりも軽い。実際に、有限要素などの離散幾何学的要素の収集を記憶することの代わりに、CADモデルは、フィーチャーおよびパラメータのリストを記憶することを可能にし、これは、ストレージおよびメモリフットプリントの観点において、より軽い。それゆえ、CADモデルで作業することは、例えばCAEモデルと比べて、基礎となるシステムのためのメモリ要件を低減し、加えて、モデルの編集性を容易にする。この量は、CAEモデルをより容易に編集可能なCADモデルへ転換することに加えて、CAEからCADへの変換処理が実際には、CAEモデルを、メモリ要件(例えば、フットプリント)の観点でより軽いCADモデルへ圧縮することを意味する。
【0045】
CADファイルからのカスタムコンピュータプログラムの生成は、自動化され得る。そのような生成は、そのため、エラーの傾向がなく、製造された製品に対してCADモデルの完全な複製を確かにする。CNCは、手動による機械加工よりも、より高い正確性、複雑性および再現性を提供すると考えられる。その他の利点は、より良い精度、スピード、柔軟性、ならびに、3D設計において製造されたものを含む、輪郭形状のフライス加工を可能にする輪郭加工などの能力、が含まれる。
【0046】
B-Rep(すなわち、境界表現)は、機械部品の3D表現である。具体的には、B-Repは、機械部品を表す3Dモデル化オブジェクトを説明する永続性データ表現である。B-Repは、計算の結果および/または機械部品を表す3Dモデル化オブジェクトの設計段階の間実行される一連の操作であり得る。モデル化されたオブジェクトが表される場合、コンピュータのスクリーンに表示された機械部品の形状は、B-Rep(例えば、のテッセレーション)である。例では、B-Repは、モデルオブジェクトの一部を表す。
【0047】
B-Repは、トポロジカルエンティティおよび幾何学的エンティティを含む。トポロジカルエンティティは、フェース、エッジ、および頂点である。幾何学的エンティティは、3Dオブジェクトであり、サーフェス、プレーン、曲線、線、点である。定義によって、フェースは、サーフェスの境界のある部分であり、サーフェス支持(supporting surface)と呼ばれる。エッジは、曲線の境界のある部分であり、曲線指示(supporting curve)と呼ばれる。頂点は、3D空間内の点である。それらは、以下のように互いに関連する。曲線の境界のある部分は、曲線上に横たわる2つの点(頂点)により定義される。サーフェスの境界のある部分は、その境界により定義され、この境界はサーフェス上に横たわるエッジのセットである。フェースのエッジの境界は頂点を共有することにより結合される。フェースは、エッジを共有することにより結合される。2つのフェースは、それがエッジを共有する場合に隣接する。同様に、2つのエッジは、それが頂点を共有する場合に隣接する。CADシステムでは、B-Repは、「により限られる(is bounded by)」関係、トポロジカルエンティティとサポーティングジオメトリとの関係、および、サポーティングジオメトリの数学的記述、を適切なデータ構造に収集する。B-Repの内部エッジは、ちょうど2つのフェースによって共有されるエッジである。定義によって、境界エッジは、共有されず、ただ1つのフェースを限る。定義によって、境界フェースは、少なくとも1つの境界エッジによって限られる。B-Repは、全てのそのエッジが内部エッジである場合に閉じているといわれる。B-Repは、少なくとも1つの境界エッジを含む場合に開いているといわれる。閉じたB-Repは、物質を(仮想的に)内包する空間の内側部分を定義するため、厚い3D体積のモデリングに使用される。開いているB-Repは、3Dスキンのモデリングに使用され、厚さが無視できるほど小さい3Dオブジェクトを表す。
【0048】
CADモデリングで使用される任意の他の表現種類を超えるB-Repの重要な優位性は、その任意の形状を正確に表す能力である。点群、距離フィールドおよびメッシュなどの、使用される他の全ての表現は、離散化により表す形状の近似を実行する。一方、B-Repは、正確な設計を表すサーフェス方程式を含み、そのため、CNC用のツールパスの生成であれ、所定の3Dプリンタ技術のための正確なサンプル密度への離散化であれ、さらなる製造のための真の「マスターモデル」を構成する。言い換えると、B-Repを使用することにより、3Dモデルは、製造されたオブジェクトの正確な表現であり得る。B-Repはまた、3Dモデルの挙動をシミュレーションすることについて優位である。圧力、熱、電磁気または他の分析の観点では、物理現象を捉えるために、シミュレーションメッシュの局所的な精密化をサポートし、運動学について、曲面間の真の接触モデリングをサポートする。最後に、B-Repは、メモリおよび/またはファイルのフットプリントを小さくする。第一に、表現は、パラメータのみに基づいたサーフェスを含むためである。メッシュなどの他の表現では、同等のサーフェスは、何千もの三角形を含む。第二に、B-Repは、任意の履歴ベースの情報を含まないためである。
【0049】
方法は、生産処理に含まれることがあり、これは、方法を実行した後、方法によって設計/処理/出力されたモデル化されたオブジェクトに対応する物理的製品を生産することを含み得る。生産処理は、以下のステップを含み得る。
-(例えば、自動的に)方法を適用し、それにより、方法によって出力されたCADモデルを取得するステップ(これはフィレットCADフィーチャーを含み得る)。
-随意に、前述したように、(例えば、自動的に)CAEからCADへの変換処理を使用することによって、(例えば、自動的に)取得されたCAEモデルをCADモデルへ変換するステップ。
-部品/製品を製造するために取得されたCADモデルを使用するステップ。
【0050】
CAEモデルをCADモデルへ変換することは、入力としてCAEを用い、それを、製品/部品を表すフィーチャーツリーを含むCADモデルへ変換する、以下の(例えば、完全に自動的な)変換処理を実行することを含み得る。変換処理は、以下のステップを含む(これらのステップのそれぞれを実装する公知の完全に自動的なアルゴリズムが存在する場合)。
-CAEモデル、または、その外側サーフェス/スキンをセグメント化し、それにより、例えば、それぞれがモデルのサーフェス部分を形成する、セグメントに分割するCAEモデルのセグメンテーションを取得するステップ。
-例えば、セグメント、または、それぞれが所定のCADフィーチャージオメトリ(例えば、フィレット、押し出し、回転、または基準のプリミティブ)を形成するセグメントのグループを検出することを含み、随意に、それらのジオメトリ特徴(例えば、フィレット半径および/または中心、押し出し軸、回転軸、またはプロファイル)を含む、セグメントを処理することによってCADフィーチャーのジオメトリを検出するステップ。
-例えば、ジオメトリおよび/またはそれらの前記ジオメトリ特徴に基づいて、検出されたジオメトリをパラメータ化するステップ。
-前記部分のジオメトリに基づいて、例えば、同じフィーチャージオメトリの部分として検出された隣接するセグメントを統合することによって、CADオペレータそれぞれを、CAEモデルのそれぞれの部分に適合させるステップ。
-ジオメトリを符号化し、フィーチャーツリーにCADオペレータを対応させるステップ。
-随意に、フィーチャーツリーを実行し、それにより、製品のB-Rep表現を取得するステップ。
-フィーチャーツローおよび随意にB-Repを出力し、フィーチャーツリーおよび隋にB-RepがCADモデルを形成するステップ。
【0051】
製造のためにCADモデルを使用することは、CADモデルにより表される製品/部品の製造に関与する/参加する、あらゆる実世界のアクションまたは一連のアクションを指定する。製造のためにCADモデルを使用することは、例えば、以下のステップを含み得る。
-取得されたCADモデル、例えばフィレットのパラメータ、を編集するステップ。
-機械的な検証、使用、ならびに/または、特性および/もしくは制約を製造するためのシミュレーション(例えば、構造的なシミュレーション、熱力学シミュレーション、空気力学的シミュレーション)などの、CADモデルまたは対応するCAEモデル(例えば、CAEからCADへの変換処理の後、CADモデルに由来するCAEモデル)に基づいて、シミュレーションを実行するステップ。
-例えば、フィレットのパラメータを修正する、またはCADモデルにフィレットCADオペレータを追加して、機械的に、使用、ならびに/または、特性および/もしくは制約の製造がより良いCADモデルを取得(例えば、サーフェス上のより少ない空気力学的なドラッグ、CADモデルに従って形作られた製品の容易な型外し)する、シミュレーションの結果に基づいて、CADモデルを編集するステップ。
-(すなわち、使用される製造処理に応じて、機械製品の製造は、このステップを含み得るまたは含み得ない)(例えば、自動的に)製造される製品の生産/製造について、(例えば、編集された)CADモデルに基づいて、製造ファイル/CAMファイルを製造することを決定するステップ。
-工場へCADファイルおよび/または製造ファイル/CAMファイルを送るステップ。
-(例えば、自動的に)決定された製造ファイル/CAMファイルまたはCADモデルに基づいて、方法によって出力されたモデルにより最初に表される機械製品を生産する/製造するステップ。これは、製造ファイル/CAMファイルおよび/またはCADファイルを(自動的に)製造処理を実行する機械へ入力することを含み得る。
【0052】
生産/製造の最後のステップは、製造ステップまたは生産ステップと呼ばれ得る。例えば、1つまたは複数の製造機械または機械を制御するコンピュータシステムに、CADモデルおよび/またはCADファイルが入力されることによって、このステップは、CADモデルおよび/またはCAMファイルに基づいて、部品/製品を製造する/製作する。この製造ステップは、例えば、1つまたは複数の付加的な製造ステップ、1つまたは複数の切断ステップ(例えば、レーザー切断またはプラズマ切断ステップ)、1つまたは複数のスタンピングステップ、1つまたは複数の鍛造ステップ、1つまたは複数の曲げステップ、1つまたは複数の深絞りステップ、1つまたは複数の成形ステップ、1つまたは複数の機械加工ステップ(例えば、フライス加工ステップ)および/または1つまたは複数の打ち抜きステップなど、任意の公知の製造処理または一連の製造処理を含み得る。設計方法は、部品/製品を表すモデル(CAEまたはCAD)の設計を改良するため、製造およびその生産性も改良される。
【0053】
CADモデルを編集することは、例えば、CADソリューションを使用することによって、ユーザが(すなわち、設計者が)、1つまたは複数のCADモデルを実行することを含み得る。CADモデルの修正は、CADモデルの、ジオメトリおよび/またはパラメータそれぞれの1つまたは複数の修正を含み得る。修正は、モデルのフィーチャーツリー上で実行される修正(例えば、フィーチャーパラメータおよび/または仕様の修正)および/またはCADモデルの表示された表現(例えば、B-rep)上で実行される修正の任意の修正または一連の修正を含み得る。修正は、部品/製品の技術的な機能を維持する修正であり、すなわち、ユーザは、モデルのジオメトリおよび/またはパラメータに影響を与え得る修正を実行するが、部品/製品の下流での使用および/または製造に技術的により準拠するCADモデルを作成することのみを目的とする。そのような修正は、下流の製造処理で使用される機械の仕様にCADモデルを技術的に準拠させる任意の修正または一連の修正を含み得る。そのような修正は、追加的にまたは代替的に、一度製造された製品/部品のさらなる使用にCADモデルを技術的に準拠させる任意の修正または一連の修正を含み、そのような修正または一連の修正は、例えば、シミュレーションの結果に基づく。
【0054】
CAMファイルは、CADモデルから取得されたモデルを製造ステップアップすることを含み得る。製造ステップアップは、機械製品を製造するために必要な全てのデータを含み得、それは、CADモデルによって捕捉されたものに対応するジオメトリおよび/または物質の分布を有し、場合により、製造許容エラーまで有する。生産ファイルを決定することは、CADモデル(例えば、任意の自動化されたCADからCAMへの変換アルゴリズム)から生産ファイルを(例えば、自動的に)決定するための、任意のCAM(コンピュータ支援製造)またはCAD-CAMソリューションを適用することを含み得る。そのようなCAMまたはCAD-CAMソリューションは、1つまたは複数の以下のソフトウェアを含み得、それは、製造される製品のCADモデルに基づいて、製造命令および所定の製造処理のためのツールパスの自動的な生成を可能にする。
-Fusion 360,
-FreeCAD,
-CATIA,
-SOLIDWORKS,
-The NC Shop Floor programmer of Dassault Systemes illustrated on https://my.3dexperience.3ds.com/welcome/fr/compass-world/rootroles/nc-shop-floor-programmer,
-The NC Mill-Turn Machine Programmer of Dassault Systemes illustrated on https://my.3dexperience.3ds.com/welcome/fr/compass-world/rootroles/nc-mill-turn-machine-programmer,,および/または、
-The Powder Bed Machine Programmer of Dassault Systemes illustrated on https://cloud.academy.3ds.com/explorer/r2019x/role_apw.html.
【0055】
製品/部品は、追加的な製造可能な部品であり得る、すなわち、追加的な製造(すなわち、3Dプリント)により製造される部品であり得る。この場合、生産処理は、CAMファイルを決定するステップを含まず、3DプリンタへCADモデルを直接的に入力することにより、直接的に生産/製造ステップへと進む。3Dプリンタは、機械製品を表すCADモデルが入力されると(例えば、3Dプリンタオペレータが3Dプリントを開始すると)、CADモデルに従って機械製品を直接的および自動的に3Dプリントするように構成される。言い換えると、3Dプリンタは、CADモデルを受信し、これに入力(例えば、自動的に)し、(例えば、自動的に)CADモデルを読み取り、および、例えば、CADモデルによって捕捉されたジオメトリおよび/または物質の分布を再現するために、レイヤごとに、物質とともに追加することにより、部品を(例えば、自動的に)プリントする。3Dプリンタは、物質を追加し、それにより、CADモデルによって捕捉されたジオメトリおよび/または物質の分布を、3Dプリンタの解像度まで、ならびに、随意に許容エラーおよび/または製造補正の有りまたは無しで、現実に正確に再現する。製造することは、例えば、ユーザ(例えば、3Dプリンタのオペレータ)によって、または自動的に(例えば、3Dプリンタまたはそれを制御するコンピュータシステム)、例えば、CADファイルを3Dプリンタの仕様に合致させるために修正することによって、そのような製造補正および/または許容エラーを決定することを含み得る。生産処理は、追加的にまたは代替的に、CADファイルから(、例えば、突き出した体積を最小化するための(参照によりここに組み込まれる欧州特許第3327593号に記載されているように)印刷方向、レイヤスライス(すなわち、各レイヤの厚さを決定すること)、ならびに3Dプリンタヘッドのレイヤ単位の経路/軌道および他の特性(例えば、レーザビームについて、例えば、経路、速度、強度/温度、および他のパラメータ)を例えば、3Dプリンタまたはそれを制御するコンピュータシステムによって自動的に)決定することを含む。
【0056】
製品/部品は、代替的に、フライス加工された部品(すなわち、フライス加工によって製造された部品)などの機械加工された部品であり得る。このような場合、生産処理は、CAMファイルを決定するステップを含み得る。このステップは、機械加工された部品のCADモデルからCAMファイルを自動的に取得する任意の適切なCAMソリューションにより、自動的に実行され得る。CAMファイルの決定は、(例えば、自動的に)CADモデルが、生産処理に影響を与え得る任意の幾何学的な特殊性(例えば、エラーまたはアーチファクト)を有するかをチェックすること、および、そのような特殊性を(例えば、自動的に)補正することを含み得る。例えば、CADモデルに基づいた機械加工またはフライス加工は、CADモデルが依然としてシャープエッジを含む場合実行し得ず(機械加工またはフライス工具はシャープエッジを作成することが可能でないため)、そのような場合、CAMファイルの決定は、そのようなシャープエッジを丸めるまたはフィレットし得(例えば、実質的に許容エラーと同等のもの、工作機械の切断ヘッドの半径、に対応するラウンドまたはフィレット半径によって)、それによりCADモデルに基づいて機械加工またはフライス加工を行うことが可能になる。より一般的には、CAMファイルの決定は、機械加工/フライス加工を可能にするために、機械加工またはフライス工具の半径に不適合なCADモデル内のジオメトリを丸めることまたはフィレットすることを自動的に含み得る。このチェックおよび可能な補正(例えば、ジオメトリを丸めることまたはフィレットすること)は、前述したように自動的に実行されることができるだけでなく、CAD/CAMソリューション、例えば、CADモデルを機械加工処理で使用される工作機械の仕様に適合させる補正を実行するユーザを制約するソリューション、上で手動で補正を実行するユーザ(例えば、製造エンジニア)によって実行され得る。
【0057】
さらなるチェックのために、CAMファイルの決定は、機械加工またはフライス加工の経路、すなわち、製品を機械加工するために、工作機械によってとられる経路、を(例えば、自動的に)決定することを含み得る。経路は、機械加工のために工作機械が従う座標のセットおよび/またはパラメータ化された軌道を含み得、経路を決定することは、CADモデルに基づいて、これらの座標および/または軌道を計算することを含み得る。この計算は、例えばダッソー・システムズによって2021年12月13日に出願された欧州特許出願EP21306754.9で論じられ、参照によりここに組み込まれるように、工作機械のCADモデル表現によるCADモデルのミンコフスキー減算の境界の計算に基づき得る。経路は、単一の経路であり得る、例えば、工作機械は、接触を遮断することなく切断する物質に連続的に従う。代替的に、経路は、例えば、それぞれが、接触を遮断することなく切断する物質に連続的に従う、工作機械が一定の序列で従う一連のサブ経路の連結であり得る。随意に、CAMファイルの決定はまた、例えば、決定された経路および機械の仕様に基づいて、切断速度、切断/貫通の高さ、および/または型開きストロークを含む機械パラメータを(例えば、自動的に)設定することを含み得る。随意に、CAMファイルの決定はまた、CAMソリューションが、機械加工効率を最大化するために部品の最適な向きを決定するネスティングを(例えば、自動的に)構成することを含み得る。
【0058】
部品の機械加工またはフライス加工の場合では、CAMファイルを決定することは、それゆえ機械加工経路を含むCAMから生じてそれを出力し、随意に、機械のパラメータおよび/または構成されたネスティングの仕様を設定する。この出力されたCAMファイルは、その後、(直接的におよび自動的に)工作機械に入力され、および/または機械加工工具は、その後、ファイルの読み取りによってプログラム化され、そのうえで生産処理は、例えば、直接的におよび自動的に生産ファイルを実行することによって、機械が、生産ファイルに従って製品の機械加工を実行する生産/製造ステップを含み得る。機械加工処理は、CADモデルによって捕捉されたジオメトリおよび/または物質の分布を再現するために、物質の実世界のブロックを、例えば、許容エラーまで(例えば、フライス加工については数十ミクロン)切断する工作機械を含む。
【0059】
製品/部品は、代替的に、形成された部品、すなわち、形成により(例えば、挿入形成)製造された部品であり得る。そのような場合、生産処理は、CAMファイルを決定するステップを含み得る。このステップは、形成された部品のCADモデルからCAMファイルを自動的に取得する任意の適切なCAMソリューションによって、自動的に実行され得る。CAMファイルを決定することは、CADモデルによって捕捉されたジオメトリおよび/または物質の分布が形成に適するかをチェックするCADモデルに基づいて、一連の形成チェックを(例えば、自動的に)実行すること、および、CADモデルが形成に適していない場合に適切に補正を実行すること、を含み得る。チェックおよび適切な補正を(必要であれば)実行することは、自動的に、または代替的に、例えば、彼/彼女の、CADモデルをモデリングツールの仕様に準拠させる補正を制約するが、ユーザにCADモデル上の適切な補正を実行することを可能にさせるCADおよび/またはCAMソリューションを使用することにより、ユーザ(例えば、モデリングエンジニア)によって実行され得る。チェックは、CADモデルによって表された仮想製品が形成の寸法と一致するかを検証すること、および/または、モデリングからそれ自体知られているが、CADモデルが、離型される製品に必要な全ての抜き勾配を含むかを検証することを含み得る。CAMファイルを決定することは、その後、CADモデルに基づいて、形成に使用される液体物質の量、および/または液体物質を金型内で硬化/セットさせる時間を決定すること、および、これらのパラメータを含むCAMファイルを出力することをさらに含む。生産処理は、そして、出力されたファイルに基づいて、成形を(例えば自動的に)実行することを含み、ここで、形成形状は、決定された硬化時間の間、液体物質を、CADモデルによって捕捉されたジオメトリおよび/または物質の分布に対応する形状に、例えば許容エラーまで(例えば、抜き勾配の組み込みまで、また離型のための抜き勾配の修正まで)成形する。
【0060】
製品/部品は、代替的にスタンプされた部品であり得、また、場合により「スタンピングされる部品」、すなわち、スタンピング処理で製造される部品と呼ばれ得る。生産処理は、この場合、CADモデルに基づいてCAMファイルを決定することを含み得る。CADモデルは、例えば、部品がいくつかのフランジを含む場合、1つまたは複数のフランジを有する可能性があり、後者の場合、スタンピングからそれ自体知られるように、部品の1つまたは複数のフランジの展開状態を形成するように除去される余分な物質で、スタンピング部品を表す。CADモデルは、それゆえ、フランジのない部分(場合によっては部品全体)を表す部分、および、場合によりフランジを表す外側の余分なパッチ部分(必要であれば)、場合により余分な物質(必要であれば)を含む。この余分なパッチ部分は、一定の長さを超えるg2連続、および、そして、一定の長さを超えるg1連続を提示し得る。
【0061】
CAMファイルの決定は、このスタンピングの場合、CADモデルによって捕捉された仮想製品のジオメトリおよび/または物質の分布に基づいて、スタンピング機械のパラメータ、例えばスタンピングダイまたはパンチおよび/または打ち抜き力、を(例えば、自動的に)決定することを含む。CADモデルが、部品の1つまたは複数のフランジの展開状態を形成するように除去される余分な物質の表現も含む場合、除去される余分な物質は、例えば、機械加工により切断され得、CAMファイルを決定することはまた、例えば、前述したように、対応する機械加工CAMファイルを決定することを含み得る。1つまたは複数のフランジがある場合、CAMファイルを決定することは、スタンピング自体および余分な物質の除去の後に、フランジをスタンピングされた部品の内面に向かって、g2連続長さに沿って折り曲げ処理で折り曲げることを可能にする、g2連続およびg1連続の幾何学的仕様を決定することを含み得る。それにより決定されたCAMファイルは、それゆえ、スタンピング工具のパラメータ、随意に、フランジを折り曲げるための前記仕様(必要であれば)、および、随意に、余分な物質を除去するための機械加工生産を含み得る。
【0062】
スタンピング生産処理は、つぎに、例えば直接的におよび自動的に、CAMファイルを出力し得、ファイルに基づいて、スタンピング処理を(例えば、自動的に)実行し得る。スタンピング処理は、CADファイルによって表された製品を形成する物質の一部をスタンピングすること(例えば、打ち抜き)を含み得、これは、場合により展開フランジおよび余分な物質(必要であれば)を伴う。適切な場合、スタンピング処理は、その後、機械加工生産ファイルに基づいて余分な材料を切断すること、および、フランジを折り曲げるための前記仕様に基づいてフランジを折り曲げることを含み得、それにより、フランジをそのg2連続長さで折り曲げ、部品の外側の境界に滑らかな様相を与える。後者の場合、一度製造された部品の形状は、余分な物質が除去され、フランジが折り曲げられているという点でCADモデルにより表される仮想対応部分とは異なるが、CADモデルは、余分な物質および展開した状態のフランジを有する部品を表す。
【0063】
方法によって提供されたフィレット検出がここで論じられる。
【0064】
上述したように、また、図1を参照すると、方法は、機械部品の一部の外側サーフェスのセグメントを表すメッシュを提供することを含む。「入力(例えば、メッシュ)を提供すること」とは、方法によって前記入力が取得されることを意味する。そのような取得することは、前記入力をダウンロードすること(例えば、オンラインデータベースから、または、オンラインクラウドから)、またはメモリ(例えば、永続性のメモリ)から前記入力を読み出すこと、のいずれかを指すまたは含み得る。提供されたメッシュは、上述したように(スキン/体積)3Dメッシュであり得る。
【0065】
方法は、ステップ120にて、それぞれがメッシュの最大曲率方向に従うメッシュにわたる曲線を決定する。微分幾何学の分野で知られるように、「サーフェス(または前記サーフェスがメッシュにより表される場合にはメッシュと同等のもの)の最大曲率方向」とは、曲率の最大値に対応する前記サーフェス上のそれぞれの点における主方向のアンサンブルにより定義される方向を意味する。言い換えると、ステップ120にて決定されたそれぞれの曲線は、メッシュ上(より正確には、メッシュによって表されたサーフェス上)に横たわる曲線であり、曲線のそれぞれの点については、その点における曲率の値は最大であり、すなわち、その同じ点において、メッシュ上に横たわり、前記点を通過する他の任意の曲線の曲率値に対してより高いか同じである。
【0066】
そのようなステップ120の前記曲線の決定は、ステップ110に従うメッシュにわたる最大曲率方向の分布を計算することを含み得る。そのようなメッシュにわたる最大曲率方向の分布は、メッシュのそれぞれのフェース内(すなわち、内部の)の1つまたは複数の点における最大曲率方向(の値)に在る。追加的に、または代替的に、分布は、メッシュのそれぞれのフェースの1つまたは複数のエッジ上の最大曲率方向(の値)、すなわち、少なくともそれぞれの事実の境界の部分、に在る、前記曲線の決定は、メッシュに属する複数のシード点からスタートすること、および最大曲率方向の(計算された)分布の積分曲線をトレースすることをさらに含み得る。それ自体知られているように、「最大曲率方向の分布の積分曲線をトレースすること」とは、最大曲率方向によって定義されるベクトル場が、積分曲線がそれぞれの点における勾配場の接線であるように、前記微分方程式系の勾配場となる微分方程式系を解くことを意味する。
【0067】
例では、方法は、曲線を決定する前に、全ての提供されたメッシュにわたる最大曲率方向の分布を計算し得る。代替的に、方法は、積分曲線をトレースすることに従って、その場で分布を計算し得る。そのような場合、方法は、分布の必要な部分に対応する領域内の曲線(の一部)を決定するために、例えば、メッシュ上の点の近傍(すなわち、隣接)において、分布の必要な部分を計算する。
【0068】
【0069】
知られるように、メッシュなどの滑らかでないサーフェスについての曲率テンソル場の直接計算(すなわち、前記サーフェスの全ての点について曲率テンソルを計算すること)は、十分に定義されていない。それにより、方法は、いくつかの近似を使用して、メッシュにわたって分布された曲率テンソル場を計算することを含み得る。そのような近似の例では、曲率テンソル場を計算することは、曲率テンソルを、それぞれのフェースならびに/またはメッシュのそれぞれのフェースの各頂点および/もしくは重心に割り当て得、方法は、そして、全てのメッシュ(すなわち、メッシュのサーフェスの各点について)にわたるそのような割り当てられた曲率テンソルの補間によって、曲率テンソル場を計算し得る(すなわち、概算する)。そのような補間は、線形(例えば、連続的な線形)または、メッシュのそれぞれのフェース上で一定であり得る。方法は、前記曲率を、前記フェースの近傍ならびに/またはメッシュのそれぞれのフェースの各頂点および/もしくは重心内の1つまたは複数の曲率テンソルの平均を計算することにより、それぞれのフェースおよび/またはそれぞれの頂点に割り当て得る。前記頂点は、前記近傍の重心であり得る。そのような例は、曲率テンソル量を計算することに関して以下でさらに説明される。代替的に、方法は、複数の選択された点上の曲率テンソルを(例えば、近似的に)直接的に計算することによって、前記曲率を、前記複数の選択された点(例えば、メッシュの頂点の1つまたは複数、および/またはフェースの重心の1つまたは複数)に割り当て得る。
【0070】
例では、曲率テンソル場を計算することは、法線サイクルアプローチ、二次関数フィッティングアプローチ、または円フィッティングアプローチにより実行される。法線サイクルアプローチに従って曲率テンソル場を計算することは、上述のように、平均化による割り当ての例である。法線サイクルアプローチに従って曲率テンソル場を計算することは、参照によりここに組み込まれる非特許文献2、非特許文献3で説明され得る。二次関数フィッティングアプローチに従って曲率テンソル場を計算することは、参照によりここに組み込まれる非特許文献4で説明され得る。円フィッティングアプローチに従って曲率テンソル場を計算することは、参照によりここに組み込まれる非特許文献5で説明され得る。二次関数フィッティングアプローチまたは円フィッティングアプローチに従って曲率テンソル場を計算することは、上述した直接計算による割り当ての例である。
【0071】
上述したように、最大曲率方向を計算することは、曲率テンソル量に基づいて、メッシュにわたって分布された曲率テンソル場を計算することを含む。「曲率テンソル量」とは、部分の外側サーフェスのそれぞれの領域(または、それらの部分/領域)上に曲率テンソルを与える量を意味する。言い換えると、曲率テンソル量は、前記サーフェスのそれぞれの部分/領域/パーティションについて、いくつかの曲率テンソルを順番に提供するサーフェス上の量を定義する。サーフェスの部分/領域/パーティションは、サーフェスのボレルσ代数の要素として(すなわち、全てのオープンサブセットにより生成されたσ代数)、定義される。
【0072】
前記外側サーフェスは、一般的な(すなわち、滑らかまたは連続的ではあるが滑らかでない)サーフェスであり得る。「曲率テンソル量に基づいて」曲率テンソル場を計算することとは、方法が、メッシュ上の曲率テンソル量を計算することによって前記曲率テンソル場を計算することを意味する。前述したように、滑らかでないサーフェスについての曲率テンソル場の直接計算は、十分に定義されておらず、そのため、方法は、曲率テンソル量を使用することを介して、必ずしも滑らかでない一般的なサーフェス(メッシュのような)にわたる曲率テンソル場を計算することによって、改良されたソリューションを構成する。滑らかでないサーフェスについてのこの一般化のために、さらに、曲率テンソル量に基づいて曲率テンソル場を計算することが、特に、場の方向においてより信頼できる計算された曲率テンソル場を提供する。
【0073】
【0074】
方法は、この分野において任意の公知の方法に従って曲率テンソル量を計算し得る。例では、方法は、法線サイクルアプローチにより曲率テンソル量を計算し得、既に引用した、参照によりここに組み込まれる非特許文献2および/または非特許文献3により計算し得る。
【0075】
例では、最大曲率方向の分布を計算することは、計算されたテンソル場を、第1のサブテンソルおよび第2のサブテンソルの分布により定義された少なくとも2つのサブテンソル場に分解することをさらに含み得る。第1のサブテンソルは、最大曲率に対応し得、第2のサブテンソルは、最小曲率に対応し得る。少なくとも2つのサブテンソルへテンソル場を分解することは、曲率テンソル場を、第1のサブテンソル、第2のサブテンソル、および第3のサブテンソルの分布により定義された3つのサブテンソル場へ分解し得る。第1のサブテンソルは、最大曲率に対応し得、第2のサブテンソルは、最小曲率に対応し得、および第3のサブテンソルは、摂動項に対応し得る。例では、上述したように、テンソル場が、平均化および/または補間によって計算される場合、摂動項は、そのような平均化および/または補間から生じ得る。第3のサブテンソルは、サーフェス上の曲率テンソル場の直接計算が十分に定義されているときに提供された外側サーフェスが滑らかである例において、ゼロであり得る。
【0076】
例では、方法は、分解されたテンソル場に基づいて、最大曲率方向の分布を計算し得る。方法は、特に、上述した第1のサブテンソルに基づいて、最大曲率方向の分布を計算し得る。「第1のサブテンソルに基づいている」とは、方法が、外側サーフェスに対する接線空間内の分解されたテンソルに基づいて、最大曲率方向の分布を計算し得ることを意味する。
【0077】
メッシュにわたる曲率テンソル量の分布を計算すること、および、分布によって形成されたテンソル場を分解することによって最大曲率方向を計算することは、主方向の正確さ(すなわち、精度)および信頼性(すなわち、ロバスト性)を改良する。そのような改良は、最大曲率方向を計算することにおいて、主曲率方向を利用する方法と比べ、特に重要である。
【0078】
図1のステップ110および120の特定の例がここで論じられる。
【0079】
【0080】
【数1】
【0081】
【0082】
【数2】
【0083】
【0084】
【数3】
【0085】
【0086】
例では、最大曲率方向の分布は、それぞれのフェースについて、1つまたは複数のそれぞれの最大曲率方向を含み得る。それぞれの積分曲線をトレースすることは、それぞれのシード点(メッシュに属する複数のシード点の)からスタートして、フェイスバイフェイスで反復することと、1つまたは複数のそれぞれの最大曲率方向に基づいてそれぞれのフェース上の平面曲線を積分することを含み得る。それ自体知られるように、「積分曲線」とは、通常の微分方程式または方程式系のための特定の解を表すパラメータの曲線を意味する。そのような積分曲線について、微分方程式が、ベクトル場または勾配場(例えば、(曲率テンソル)場の最大方向)として表された場合、対応する積分曲線は、それぞれの点における場に接する。そのような例では、積分曲線は、前記場によって定義された方向に従う方向を含み得る。より具体的には、ベクトル場の積分曲線は、速度が、曲線のそれぞれの点におけるベクトル場と同等のパラメータの曲線である。それぞれの反復(すなわち、それぞれのフェイスバイフェイスの反復)は、積分することがそれぞれのフェースのエッジに達すると終了し得る。言い換えると、方法は、それぞれのフェースについて、前記それぞれのフェースの内側(すなわち、フェース上)に存在するそれぞれのシード点からスタートして、前記積分曲線が前記フェースのエッジによって定義される前記フェースの境界に達するまで積分曲線を計算し得る。
【0087】
【0088】
図1に戻り、上述したように、ステップ130にて、方法は、それぞれの曲線をそれぞれ円に適合させ得る。「曲線を円に適合させること」とは、曲線に最も近い円を見つけることを意味する。それぞれの適合した円は、前記円と前記曲線との間で定義されるある距離において曲線に最も近くにあり得る。そのような距離は、前記曲線上の複数の点と前記曲線との間で定義される累積の距離であり得る。それゆえ、それぞれの曲線を円に適合させることは、前記距離を最小化しがちな最適化問題を解くことを含み得る。適合された円および曲線の間の最小の距離(すなわち、最適化問題を解くこと)は、適合された円のフィッティングエラーを形成する。例では、そのような適合させることは、少なくとも距離の二乗に関して曲線に最も近いプレーンを決定すること、および、プレーン上に曲線を投影することを含み得る。言い換えると、方法は、それぞれ決定された3D曲線を2Dプレーンに投影し得る。方法は、曲線と候補プレーンとの間の距離(例えば、少なくとも向きの二乗)を最適化(例えば、最小化する)することによって、そのような2Dプレーンを決定し得る。例では、曲線がポリラインである場合、そのような最適化は、候補プレーンおよびポリラインを定義する複数の点それぞれとの間の距離の総計を最小化し得る。そのようなプレーンは、等価的に平均プレーンと呼ばれ得る。最適化は、2D/3D空間におけるそれぞれの曲線の広がりを表す共分散マトリクスを形成すること、および、前記マトリクスの固有値/固有ベクトルを計算することを含み得る。適合させることは、所定の距離に関して投影された曲線に最も近い円を決定することをさらに含み得る。言い換えると、方法は、曲線をそれぞれの円に適合させ、円のセットを取得する。
【0089】
図1のステップ140にて、方法は、それぞれの円にそれぞれの曲線(すなわち、決定された曲線のそれぞれ)を適合させる。例では、方法は、前記円のそれぞれの半径およびそれぞれの中心を決定することにより、それぞれの円にそれぞれの曲線を適合させる。方法は、この分野で公知の任意の方法、例えば、任意の曲線フィッティング方法で、それぞれの曲線を円に適合させ得る(例えば、論じたように、それぞれの半径および中心を決定することにより)。
【0090】
そして、ステップ150にて、方法は、円のセットの1つまたは複数の統計値を計算し得る。「円のセットの1つまたは複数の統計値」とは、セットに組み込まれるそれぞれのデータを要約するための、セット上の複数の統計的な(すなわち、数字上の)量を意味する。前記量は、特に、この分野で公知の任意の数量的量であり得る。方法は、セットの円の統計的分析によって、例えば、ヒストグラム、曲線フィッティングおよび/または任意の他の公知の統計分析を使用することによって、そのような量をさらに取得し得る。例では、1つまたは複数の統計値は、平均フィッティングエラーおよび半径分散、の1つまたは両方を含む。平均フィッティングエラーは、円のセットにわたるフィッティグエラーの平均値(すなわち、代表値)を指す。セットのそれぞれの円についてのフィッティングエラーは、上述のように、適合された円とそれぞれの曲線との間の距離を表す。半径分散は、適合された円のセットにおける様々な半径を表す。半径分散は、どのように前記半径が分布されているか、例えば、前記半径の代表値またはメジアンあたりに、を表し得る。フィレットフィーチャーが、一定の最大曲率(すなわち、半径)でサーフェスを形成するので、そのような分散は、以下で論じるように、フィレットの取得された半径にエラーを表す。
【0091】
例では、1つまたは複数の統計値が平均フィッティングエラーを含む場合、フィッティングエラーが第1の閾値より下の時かつその時に限り、メッシュは、フィレットとして検出され得る。第1の閾値は、提供されたメッシュの期待されたノイズレベル(例えば、期待される誤差)に近い値を有し得る。そのような閾値は、方法が、メッシュの離散的性質に由来する近似を考慮することを可能にする。例では、第1の閾値の値は、低レベルのノイズを有するメッシュの[0.0001B,0.002B]の範囲から、高レベルのノイズを有するメッシュの[0.002B,0.01B]の範囲であり得、ここでBは、メッシュの境界となる球面の半径である。そのような例では、方法は、決定された曲線およびそれぞれの適合された円について、平均フィッティングエラー、すなわち、決定された曲線およびそれぞれの適合された円についての平均フィッティングエラーを計算し得る。そのような平均フィッティングエラーは、エラー量に従ってそれぞれの適合された曲線から決定された曲線がどのくらい離れているかを表し得る。曲線がポリラインである場合にそれぞれの曲線について、エラー量は、上述したように、ポリラインを定義する複数の点のそれぞれの点の投影の間の距離の総計であり得、また、適合された曲線上のそれぞれの点であり得る。例えば、方法は、以下の型の距離量を使用し得る。
【0092】
【数4】
【0093】
【0094】
【数5】
【0095】
【0096】
例では、1つまたは複数の統計値が半径分散を含む場合、半径分散が第2の閾値より下の場合かつその場合に限り、メッシュは、フィレットとして検出され得る。例では、方法は、上述したように、適合された円についての決定された半径の平均に基づいて、第2の閾値についての値を決定し得る。第2の閾値は、好ましくは[0.01,0.25]の範囲の係数を乗じた前記平均の二乗であり得る。方法は、適合された円の決定された半径の統計値においてそれ自体知られているように、数学的分散として半径分散を計算し得る。特に、半径分散は、以下の型であり得る。
【0097】
【数6】
【0098】
【0099】
例では、図1のステップ160のように、方法は、提供されたメッシュにおける決定されたフィレットのパラメータ化をさらに含み得る。「フィーチャーのパラメータ化」とは、前記フィーチャーを完全に定義することができる1つまたは複数のパラメータを取得することを意味する。例えば、3Dにおけるフィレットは、円柱のフィレットであり得、フィレットの軸(円柱に対する軸に対応する)により完全に定義され得、また、フィレットの円柱曲率の半径であり得る。代替的に、3Dにおけるフィレットは、球のフィレットであり得、また、フィレットの中心(球の中心に対応する)およびフィレットの球曲率の半径によって完全に定義され得る。そのようなパラメータ化は、フィレットの中心および半径に対する2D縮尺である。そのような例では、方法は、円のセットの平均半径を計算することをさらに含み得、フィレットが検出された場合には、平均半径によってパラメータ化されたフィレットCADフィーチャーを作成し得る。
【0100】
フィレット検出方法は、上述したように、フィレット検出方法を第1のメッシュのパーティションに適用する検出処理の部分であり得る。そのような第1のメッシュは、提供されたメッシュを含み得る。そのような検出処理は、機械部品の外側サーフェスを表す第1のメッシュを提供すること(すなわち、取得すること)を含み得る。そのような第1のメッシュは、この分野において公知の任意の方法、および、特に、上述したようにメッシュがフィレット検出方法に提供されるのと同じやり方の方法、に従って取得され得る。検出処理はつぎに第1のメッシュを第2のメッシュのセットにセグメント化する。検出処理は、この分野において公知の任意のセグメンテーション方法に従って第1のメッシュをセグメント化し得る。処理はつぎに、上述したフィレット検出方法を、セグメンテーションの結果から生じるセットの少なくともいくつかの第2のメッシュに適用する。「フィレット検出方法をセットの1つまたは複数の第2のメッシュに適用すること」とは、検出処理が、セットの1つまたは複数の第2のメッシュを、フィレット検出方法に提供することを意味する。検出処理は、フィレット検出方法を、第2のメッシュの1つのメッシュで次々に連続的に読み出すことによって、フィレット検出方法を、セットの少なくともいくつかの第2のメッシュに適用し得る。代替的に、フィレット検出方法は、フィレット検出方法を、前記いくつかの第2のメッシュに並行してかつ一度に適用し得る。上述したようなフィレット検出処理は、検出処理において、セグメンテーションによって取得された大きなメッシュのセグメントにのみフィレット検出法を適用するため、大きく、複雑なジオメトリのフィレットを検出するための改良された方法を構成する。これは、フィレット検出方法の精度および計算コストを改良する。さらに、これは、フィレット検出方法を、特定の用途のために関心のある部分である第1のメッシュの一部(すなわち、第2のメッシュ)だけに適用することを可能にさせる。
【0101】
第1のメッシュを提供することは、上述した機械部品のスキャンから第1のメッシュを取得することを含み得る。スキャンは、機械部品の実世界のバージョン、例えば、任意の適切な製造方法に従って製造されるバージョン、のスキャンであり得る。機械部品のスキャンは、上述した3Dスキャン処理を介して取得されるスキャンであり得る。代替的に、第1のメッシュを提供することは、CAD設計から、例えば、(例えば、CADソフトウェアの異なるバージョン、異なるCADソフトウェアによって提供されたCAD設計、またはフィーチャー履歴へのパブリックアクセスを提供することができないCADのために)アクセスできないフィーチャー履歴を有するCAD設計のフィーチャー履歴がないCAD設計から、第1のメッシュを取得することを含み得る。
【0102】
言い換えると、フィレット検出処理は、機械部品の外側サーフェスを表す第1のメッシュを提供すること、および、第1のメッシュを第2のメッシュにセグメント化することを含み得る。検出処理は、1つまたは複数の第2のメッシュについて、第2のメッシュの最大曲率方向にそれぞれが従う第2のメッシュにわたる曲線を決定すること、および、それぞれの曲線をそれぞれの円に適合させることであって、それにより円のセットを取得する、こと、をさらに含み得る。検出処理は、次に、円のセットの1つまたは複数の統計値を計算し得、1つまたは複数の統計値の関数として、第2のメッシュがフィレットであるか否かを検出し得る。
【0103】
例では、検出処理は、方法が第2のメッシュがフィレットであると検出した場合に、フィレットの隣接フェース入力を識別すること、をさらに含み得る。そのような隣接識別は、方法が、フィレットと一定の最大曲率を有する他のサーフェスとを区別することを可能にさせる。そのような例では、方法は、候補セグメント(すなわち、第2のメッシュ)が、少なくとも2つの隣接する他のセグメントに接していると主張し得る。2つの隣接するセグメントが接しているかをチェックするために、方法は、それらが通常有するエッジのセットをチェックし得、対応する二面角を計算し得る。方法はそして、最も大きい二面角(絶対的な値)が隣接閾値よりも大きい場合、候補セグメントが少なくとも2つの隣接する他のセグメントに接していると決定し得る。隣接閾値は、]0,π/4]の範囲であり得る。方法によって設定されたより高い隣接閾値が選択され、より多くの接触状態が許容される。
【0104】
方法は、コンピュータで実装される。これは、方法のステップ(または実質上全てステップ)が少なくとも1つのコンピュータ、または任意のシステムなどにより実行されることを意味する。それゆえ、方法のステップは、コンピュータにより、場合により、自動的に、または半自動的に実行される。例では、方法の少なくともいくつかのステップを動作させることは、ユーザとコンピュータとの相互作用を通じて実行され得る。必要とされるユーザとコンピュータとの相互作用のレベルは、予見される自動化のレベル、および、ユーザの希望を実現する必要性とのバランスに依存し得る。例では、このレベルは、ユーザによる定義付けおよび/または事前定義付けであり得る。例えば、上述したフィレット検出方法は、ユーザによる、メッシュを提供することまたはメッシュ若しくはそれぞれのCADモデルへのアクセスを提供すること(例えば、サーバまたはデータベースへのリンクの提供することを介して)により、自動的に方法のステップを実行し、フィレット検出のための結果、検出されたフィレットに関するいくつかの取得されたパラメータを出力し、および/または検出されパラメータ化されたフィレットをフィーチャーツリーに追加する。同様に、フィレット検出処理は、ユーザによるアクションによって、フィレット検出方法のように単に第1のメッシュを受信し、自動的にメッシュをセグメント化し、取得されたセグメントのセットにフィレット検出方法を適用し得る。
【0105】
方法のコンピュータ実装の典型的な例は、方法を、この目的に適したシステムで実行することである。このシステムは、メモリに結合されたプロセッサおよびグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を含み、メモリは、それに、方法を実行するための命令を含んだコンピュータプログラムを記録している。メモリはまた、データベースを記憶し得る。メモリは、そのようなストレージに適合したあらゆるハードウェアであり、場合により、いくつかの物理的な独特な部品(例えば、プログラムのためのもの、および、場合により、データベースのためのもの)を含む。
【0106】
図2は、システムのGUIの例を示しており、システムは、CADシステムである。GUI2100は、典型的なCAD様のインターフェースであり得、標準的なメニューバー2110、2120、ならびにボトムツールバーおよびサイドツールバー2140、2150を有する。そのようなメニューおよびツールバーは、ユーザ選択可能なアイコンのセットを含み、それぞれのアイコンは、当技術分野において知られているような、1または複数の操作または機能と関連付けられる。これらのアイコンのいくつかは、GUI2100内に表示された3Dモデル化されたオブジェクト2000における編集および/または作業のために適合された、ソフトウェアツールと関連付けられる。ソフトウェアツールは、ワークベンチにグループ化される。各ワークベンチは、ソフトウェアツールのサブセットを含む。特に、ワークベンチの1つは、モデル化された製品2000の幾何学的フィーチャーを編集するのに適した、編集ワークベンチである。操作の際、設計者は、例えば、オブジェクト2000の一部を事前選択し、その後、操作を開始し(例えば、寸法、色などを変え)、または適切なアイコンを選択することによって、幾何学的制約を編集し得る。例えば、典型的なCAD操作は、スクリーン上に表示された3Dモデル化されたオブジェクトの穴開け、または折り曲げのモデリングである。GUIは、例えば、表示された製品2000に関連するデータ2500を表示し得る。図の例では、「フィーチャーツリー」として表示されるデータ2500、およびそれらの3D表現2000は、ブレーキキャリパおよびブレーキディスクを含むブレーキアセンブリに関する。GUIは、様々なタイプのグラフィックツール2130、2070、2080を、例えば、オブジェクトの3D方向付けを容易にするためのもの、編集された製品の動作のシミュレーションをトリガするためのもの、または表示された製品2000の様々な属性をレンダリングするためのものをさらに示し得る。カーソル2060は、ユーザがグラフィックツールと対話することを可能にするために、触覚デバイスによって制御され得る。
【0107】
図3は、システムの例を示しており、システムは、クライアントコンピュータシステム、例えば、ユーザのワークステーションである。
【0108】
例のクライアントコンピュータは、内部通信バス1000に接続された中央処理装置(CPU)1010と、やはりバスに接続されたランダムアクセスメモリ(RAM)1070とを備える。クライアントコンピュータは、バスに接続されたビデオランダムアクセスメモリ1100と関連付けられたグラフィカル処理ユニット(GPU)1110をさらに提供される。ビデオRAM1100は、当技術分野では、フレームバッファとしても知られている。大容量記憶デバイスコントローラ1020は、ハードドライブ1030などの、大容量記憶デバイスへのアクセスを管理する。コンピュータプログラム命令およびデータを有形に実施するのに適した大容量記憶デバイスは、全ての形態の不揮発性メモリを含み、例として、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス、内蔵ハードディスクおよび着脱可能ディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスクを含む。上記のいずれも、特別に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)によって補完され得、またはそれに組み込まれ得る。ネットワークアダプタ1050は、ネットワーク1060へのアクセスを管理する。クライアントコンピュータは、カーソル制御デバイス、キーボードなどの触覚デバイス1090も含み得る。カーソル制御デバイスは、ユーザが、ディスプレイ1080上の任意の所望の位置にカーソルを選択的に位置付けることを可能にするために、クライアントコンピュータにおいて使用される。加えて、カーソル制御デバイスは、ユーザが、様々なコマンドを選択すること、および制御信号を入力することを可能にする。カーソル制御デバイスは、システムに制御信号を入力するための数々の信号生成デバイスを含む。典型的には、カーソル制御デバイスは、マウスであり得、マウスのボタンが、信号を生成するために使用される。代替的に、または追加的に、クライアントコンピュータシステムは、センシティブパッド、および/またはセンシティブスクリーンを備え得る。
【0109】
コンピュータプログラムは、コンピュータによって実行可能な命令を含み得、命令は、上述のシステムに方法を実行させるための手段を含む。プログラムは、システムのメモリを含む、任意のデータ記憶媒体上に記録可能であり得る。プログラムは、例えば、デジタル電子回路で、またはコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、もしくはそれらの組み合わせで実装され得る。プログラムは、装置として、例えば、プログラム可能なプロセッサによる実行のために機械可読記憶デバイス内で有形に実施される製品として実装され得る。方法ステップは、入力データを操作し、出力を生成することによって、方法の機能を実行するために、命令からなるプログラムを実行する、プログラム可能なプロセッサによって実行され得る。プロセッサはそれゆえ、データ記憶システム、少なくとも1つの入力デバイス、および少なくとも1つの出力デバイスからデータおよび命令を受信し、それらにデータおよび命令を送信するように、プログラム可能であり、結合され得る。アプリケーションプログラムは、高水準手続きプログラミング言語またはオブジェクト指向プログラミング言語で、またはそれが望ましければ、アセンブリ言語もしくは機械語で実装され得る。いずれの場合も、言語は、コンパイラ言語またはインタープリタ言語であり得る。プログラムは、完全インストールプログラムまたは更新プログラムであり得る。システム上でのプログラムの適用は、いずれの場合も、方法を実行するための命令をもたらす。コンピュータプログラムは、代替的に、クラウドコンピューティング環境のサーバに記憶および実行され得、サーバは、1つまたは複数のクライアントとネットワークを介して通信している。このような場合、処理ユニットは、プログラムによって構成される命令を実行し、それにより、クラウドコンピューティング環境上で方法が実行される。
【0110】
方法(フィレット検出部分)の実装がここで説明される。
【0111】
実装は、3DCAD分析の分野に対する幾何学的処理およびそのアプリケーション、モデリングおよび編集、3D復元および識別、実験のシミュレーションおよび設計、に属する。
【0112】
実装は、メッシュとして3Dサーフェスは与えられると、所与の前記3Dサーフェスがフィレットオペレータによって作成されることが可能かを識別し、その場合、フィレットオペレータの半径を計算する。実装は、セグメント化されたメッシュのサブ部分として、例えば、機械部品の一部の外側サーフェスのセグメントを表すメッシュとして、所与の3Dサーフェスを取得し得る。
【0113】
図4は、フィレットオペレータの一例を提示する。3DCADモデル上のフィレットオペレータは、2つの随伴フェースの間のエッジを丸くし、それらのサーフェスの両方で接線支持することによりこのエッジに沿って転がる球の包絡線を用いることで取得される。図4では、2つの隣接するフェースは、4010および4020であり、丸みを帯びたエッジが4030である。
【0114】
つぎに、実装は、所与のサーフェス上の曲率テンソルを計算し、最も大きい主曲率値(すなわち、絶対的な値)に関連付けられた主曲率方向を抽出する。実装は、サーフェス上のランダムな点を通過しながら、抽出された方向場を使用して、メッシュ上の多数の測地的曲線を描く。実装は、2Dに曲線を投影し、それら上に円を適合させる。フィッティングエラーが十分に低く、円の異なる半径が十分に近い場合、実装は、潜在的なフィレットとして所与のサーフェスを識別し、計算された半径の平均と同等の関連する半径(フィレットの)を取得する。
【0115】
実装は、フィレット検出についての先行技術の公知の方法よりも、よりロバストである。それら先行技術の方法は、しばしば十分に正確でない曲率値に依存している。反対に、実装は、はるかにより正確であろう主曲率方向に基づいている。さらに、実装に従うフィレットサーフェスの計算された半径は、先行の方法よりも、より正確である。実装は、曲率の分布の、複雑な、直接的な統計分析の代わりに、2つのシンプルなハイパーパラメータのみを必要とし、そのため、微調整が容易である。
【0116】
そのような実装の詳細がここで論じられる。
【0117】
【0118】
【0119】
【数7】
【0120】
【0121】
【数8】
【0122】
【0123】
【0124】
【数9】
【0125】
【0126】
【数10】
【0127】
【0128】
【数11】
【0129】
【0130】
【数12】
【0131】
【0132】
【数13】
【0133】
【0134】
【0135】
【数14】
【0136】
実装は、そのような曲率テンソル量を定義し得、任意の公知の方法、例えば、参照によりここに組み込まれる、非特許文献2で説明された方法に従って、メッシュ上のそれらを計算し得る。
【0137】
【0138】
【数15】
【0139】
【0140】
【数16】
【0141】
【0142】
【0143】
図5A-Cは、これらの評価に基づいて、この分野において公知のフィレット検出方法に重大な影響を与える曲率評価のノイズが多い結果を提示する。トーラスのメッシュ上の計算された曲率テンソルの最小曲率値は、3つの平均化のレベルについて、図5A-Cのメッシュのフェース上の色により提示される。図5Aは軽い平均化、図5Bは中間の平均化、図5Cは重い平均化、の結果を表示する。平均化のレベルは、フェースの平均値を表す平均の計算においてその値が使用される、フェースの隣接の数に応じて、平均化の領域に基づいて定義され得る。代替的に、平均化のレベルは、球の半径およびサーフェスメッシュに対応するその交差領域に基づいて定義され得る。平均化のレベルが高いほど、より多く(およびより遠く)のフェースの隣接が平均化に使用される(または、前記球の半径が大きくなる)。図5A-Cで提示されるこの結果は、フェースにより一定である曲率テンソル場を提供する、既に引用した非特許文献2に従って計算された最小曲率値を示している。この結果は、最小曲率値が平均化のレベルに非常に依存していることを示している。図5Bの平均化の中間レベルは、この例において最も正確な結果を出している。平均化が図5Aのように軽すぎる場合、計算された曲率値は、極値でノイズが多い結果を示しがちであり、平均化が図5Cのように重すぎる場合、計算された曲率値は、ある領域では無効な均質な値となり、他の領域では有効範囲外の値となる。提供された結果は、曲率値の計算が、平均化のためのパラメータのロバストな選択でないことを示している。正しい平均化レベルの選択は、メッシュに依存し、同じメッシュでも場所によって異なり得るため、些細な作業ではない。さらに、そのような平均化技法は、曲率分布を平坦にしがちな平均化効果のバランスをとるために、後処理に従う必要がある。追加的に、得られた曲率値は、一般的に理論的な期待値(すなわち、メッシュにより近似された滑らかなサーフェスの正確な値)からかなり離れている。
【0144】
図5A-Cは、最小曲率方向を示し、これは、黒い矢により表されている。計算された曲率と対照的に、最小曲率方向は、平均化のレベルにわたってかなり一定であり、それらは3つの場合で非常に正確である。曲率方向に匹敵する精度とロバスト性で曲率値を計算することができる既存の方法は、現在のところ存在しない。
【0145】
【0146】
曲線トレーシング
実装は、以下によって曲線を作る。
【0147】
【数17】
【0148】
【0149】
【0150】
図6Aおよび6Bは、計算曲線6010および6020の例を提示する。図6Aの提供されたメッシュ6030は、三角形のメッシュである。
【0151】
【0152】
【数18】
【0153】
ここで、
【0154】
【数19】
【0155】
【0156】
【数20】
【0157】
実装はつぎに、計算された固有ベクトルを使用してマトリクスを定義する。
【0158】
【数21】
【0159】
【0160】
【0161】
【0162】
【0163】
決定
実装は、以下のインジケータを考慮してフィレット検出を決定し得る。
【0164】
【0165】
【0166】
【0167】
【0168】
隣接条件
セグメント化されたメッシュが提供されている場合、実装では、フィレットと、一定の最大曲率を持つ他のサーフェスとを区別するための補足的な条件として、候補セグメントが、少なくとも2つの隣接する他のセグメントに接することを主張することを考慮し得る。
【0169】
【0170】
【数22】
【0171】
【0172】
図7A-Bは、方法の適用の結果を、機械部品7010および7020の提供されたメッシュ上にそれぞれ表示する。さらに、暗色のフェース7030および7040は、検出されたフィレットを示す。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
【手続補正書】
【提出日】2023-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械部品の一部の外側サーフェスのセグメントを表すメッシュを提供することと、
それぞれが前記メッシュの最大曲率方向に従う前記メッシュにわたる曲線を決定することと、
それぞれの曲線をそれぞれの円に適合させることであって、それにより、円のセットを取得する、ことと、
前記円のセットの1つまたは複数の統計値を計算することと、
前記1つまたは複数の統計値の関数として、前記メッシュがフィレットであるか否かを検出することと、
を備えるコンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記曲線を決定することは、
前記メッシュにわたる最大曲率方向の分布を計算することと、
前記メッシュに属する複数のシード点からスタートして、最大曲率方向の前記分布の積分曲線をトレースすることと、
を備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
【請求項4】
前記曲率テンソル場を計算することは、法線サイクルアプローチ、二次関数フィッティングアプローチ、または円フィッティングアプローチにより実行される、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記メッシュは、フェースおよびエッジを有し、前記最大曲率方向の分布は、それぞれのフェースについて、1つまたは複数のそれぞれの最大曲率方向を備え、それぞれの積分曲線をトレースすることは、それぞれのシード点からスタートして、フェイスバイフェイスで反復することと、1つまたは複数のそれぞれの最大曲率方向に基づいてそれぞれのフェース上の平面曲線を積分することと、それぞれの反復が、前記積分することがそれぞれのフェースのエッジに達すると終了することと、
を備える、請求項2乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
それぞれのフェースの前記1つまたは複数の最大曲率方向は、前記フェースに対して一定の単一の最大曲率方向から成り、前記それぞれのフェース上のそれぞれの平面曲線を積分することは、前記一定の最大曲率方向に基づき、前記平面曲線はそれにより直線である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記1つまたは複数の統計値は、
平均フィッティングエラーが第1の閾値より下の時かつその時に限り、前記メッシュがフィレットとして検出される、平均フィッティングエラー、および、
半径分散が第2の閾値より下の場合かつその場合に限り、前記メッシュがフィレットとして検出される、半径分散、
の1つまたはその両方を備える、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記それぞれの曲線をそれぞれの円を適合させることは、
最小二乗距離に関して前記曲線に最も近いプレーンを決定することと、
前記プレーンに前記曲線を投影することと、
所定距離に関して前記投影された曲線に最も近い円を決定することと、
を備える請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、
前記円のセットの平均半径を計算することと、
フィレットが検出された場合に、前記平均半径によってパラメータ化されたフィレットCADフィーチャーを作成することと、
をさらに備える請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、
機械部品の外側サーフェスを表す第1のメッシュを提供することと、
前記第1のメッシュを第2のメッシュのセットにセグメント化することと、
1つまたは複数の第2のメッシュについて、
それぞれが前記第2のメッシュの最大曲率方向に従う前記第2のメッシュにわたる曲線を決定することと、
それぞれの曲線をそれぞれの円に適合させることであって、それにより、円のセットを取得する、ことと、
前記円のセットの1つまたは複数の統計値を計算することと、
前記1つまたは複数の統計値の関数として、前記第2のメッシュがフィレットであるか否かを検出することと、
を備える請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記方法が第2のメッシュがフィレットであると検出した場合に、前記フィレットの隣接フェース入力を識別すること、
をさらに備える請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のメッシュを提供することは、
機械部品のスキャンから前記第1のメッシュを取得すること、または、
CAD設計から前記第1のメッシュを取得すること、
を備える請求項10記載の方法。
【請求項13】
請求項1従う方法を実行するための命令を備えるコンピュータプログラム。
【請求項14】
請求項13のコンピュータプログラムを記録しているコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
メモリに結合されたプロセッサを備えるシステムであって、前記メモリは、請求項13のコンピュータプログラムを記録している、システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
CAEソリューションによって、モデル化されたオブジェクトの物理的挙動の分析のために適合された任意のソリューションソフトウェアまたはハードウェアがさらに表される。公知の広く使用されるCAE技法は、有限要素モデル(FEM))であり、以下CAEモデルと同等に呼ばれる。FEMは、典型的には、モデル化されたオブジェクトを要素、すなわち、有限の要素メッシュに分割することを含み、これは、物理的挙動が方程式を介して計算され、シミュレートされることが可能である。そのようなCAEソリューションはダッソー・システムズによりSIMULIA(登録商標)という商標で提供される。別の成長中のCAE技法では、CADジオメトリデータを用いない、物理学の異なる分野からの、複数の構成要素から成る複雑なシステムのモデリングおよび分析を含む。CAEソリューションは、製造する製品のシミュレーション、ひいては最適化、向上および検証を可能にさせる。そのようなCAEソリューションは、ダッソー・システムズによりDYMOLA(登録商標)という商標で提供される。CAEは、様々な構造の必要条件(限定ではなく、質量、剛性、強度、耐久性など)が新しいCADモデルによって達成されることを確かにし得る。これら必要条件のいくつかは、キーパフォーマンスインジケータ(KPIs)と呼ばれ得る。多くの工業製品(例えば、車、飛行機、消費者向けパッケージ商品、ハイテク)について、これらKPIは衝突する、例えば、低質量では通常低剛性となる。それゆえ、最適化方法は、しばしばKPI間の最適なトレードオフを見つけるために適用される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
CAMソリューションによって、製品の製造データを管理するために適合された任意のソリューションソフトウェアまたはハードウェアが表される。製造データは、一般に、製造する製品、製造処理、および必要なリソース、に関するデータを含む。CAMソリューションを使用して、製品の製造処理全体を計画および最適化する。例えば、これは、実現可能性、製造処理の期間、または製造処理の特定のステップで使用されてもよい特定のロボットなどのリソースの数、に関する情報をCAMユーザに提供することができ、従って、管理または必要な投資に関する決定を可能にする。CAMは、CAD処理および可能性があるCAE処理の後に続く処理である。例えば、CAMソリューションは、CADモデルにおける提供された押し出しフィーチャーとまとまりのある機械加工パラメータ、またはモデリングパラメータに関する情報を提供し得る。そのようなCAMソリューションは、ダッソー・システムズにより、CATIA、Solidworks、またはDELMIA(登録商標)という商標で提供される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
PDMは、Product Data Management(製品データ管理)の略である。PDMソリューションによって、特別な製品に関する全ての種類のデータを管理するために適合された任意のソリューションソフトウェアまたはハードウェアが表される。PDMソリューションは、製品のライフサイクルに係る全ての当事者、第一には技術者であるが、プロジェクトマネージャ、財務担当者、販売員、およびバイヤー、により使用され得る。PDMソリューションは、一般に製品志向のデータベースに基づく。これにより、当事者は、自らの製品に関する一貫したデータを共有することができ、そのため、相違したデータを使用してしまうことから回避できる。そのようなPDMソリューションは、ダッソー・システムズによりENOVIA(登録商標)という商標で提供される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
B-Rep(すなわち、境界表現)は、機械部品の3D表現である。具体的には、B-Repは、機械部品を表す3Dモデル化オブジェクトを説明する永続性データ表現である。B-Repは、計算の結果および/または機械部品を表す3Dモデル化オブジェクトの設計段階の間実行される一連の操作であり得る。モデル化されたオブジェクトが表される場合、コンピュータのスクリーンに表示された機械部品の形状は、B-Rep(例えば、のテッセレーション)である。例では、B-Repは、モデル化されたオブジェクトの一部を表す。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
そのようなステップ120の前記曲線の決定は、ステップ110に従うメッシュにわたる最大曲率方向の分布を計算することを含み得る。そのようなメッシュにわたる最大曲率方向の分布は、メッシュのそれぞれのフェース内(すなわち、内部の)の1つまたは複数の点における最大曲率方向(の値)に在る。追加的に、または代替的に、分布は、メッシュのそれぞれのフェースの1つまたは複数のエッジ上の最大曲率方向(の値)、すなわち、少なくともそれぞれのフェースの境界の部分、に在る、前記曲線の決定は、メッシュに属する複数のシード点からスタートすること、および最大曲率方向の(計算された)分布の積分曲線をトレースすることをさらに含み得る。それ自体知られているように、「最大曲率方向の分布の積分曲線をトレースすること」とは、最大曲率方向によって定義されるベクトル場が、積分曲線がそれぞれの点における勾配場の接線であるように、前記微分方程式系の勾配場となる微分方程式系を解くことを意味する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0085
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0085】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0091
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0091】
例では、1つまたは複数の統計値が平均フィッティングエラーを含む場合、フィッティングエラーが第1の閾値より下の時かつその時に限り、メッシュは、フィレットとして検出され得る。第1の閾値は、提供されたメッシュの期待されたノイズレベル(例えば、期待される誤差)に近い値を有し得る。そのような閾値は、方法が、メッシュの離散的性質に由来する近似を考慮することを可能にする。例では、第1の閾値の値は、低レベルのノイズを有するメッシュの[0.0001B,0.002B]の範囲から、高レベルのノイズを有するメッシュの[0.002B,0.01B]の範囲であり得、ここでBは、メッシュの境界となる球面の半径である。そのような例では、方法は、決定された曲線およびそれぞれの適合された円について、平均フィッティングエラー、すなわち、決定された曲線およびそれぞれの適合された円についての平均フィッティングエラーを計算し得る。そのような平均フィッティングエラーは、エラー量に従ってそれぞれの適合されたから決定された曲線がどのくらい離れているかを表し得る。曲線がポリラインである場合にそれぞれの曲線について、エラー量は、上述したように、ポリラインを定義する複数の点のそれぞれの点の投影の間の距離の総計であり得、また、適合された曲線上のそれぞれの点であり得る。例えば、方法は、以下の型の距離量を使用し得る。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0100
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0100】
フィレット検出方法は、上述したように、フィレット検出方法を第1のメッシュのパーティションに適用する検出処理の部分であり得る。そのような第1のメッシュは、提供されたメッシュを含み得る。そのような検出処理は、機械部品の外側サーフェスを表す第1のメッシュを提供すること(すなわち、取得すること)を含み得る。そのような第1のメッシュは、この分野において公知の任意の方法、および、特に、上述したようにメッシュがフィレット検出方法に提供されるのと同じやり方の方法、に従って取得され得る。検出処理はつぎに第1のメッシュを第2のメッシュのセットにセグメント化する。検出処理は、この分野において公知の任意のセグメンテーション方法に従って第1のメッシュをセグメント化し得る。処理はつぎに、上述したフィレット検出方法を、セグメンテーションの結果から生じるセットの少なくともいくつかの第2のメッシュに適用する。「フィレット検出方法をセットの1つまたは複数の第2のメッシュに適用すること」とは、検出処理が、セットの1つまたは複数の第2のメッシュを、フィレット検出方法に提供することを意味する。検出処理は、フィレット検出方法を、第2のメッシュの1つのメッシュで次々に連続的に読み出すことによって、フィレット検出方法を、セットの少なくともいくつかの第2のメッシュに適用し得る。代替的に、検出処理は、フィレット検出方法を、前記いくつかの第2のメッシュに並行してかつ一度に適用し得る。上述したようなフィレット検出処理は、検出処理において、セグメンテーションによって取得された大きなメッシュのセグメントにのみフィレット検出法を適用するため、大きく、複雑なジオメトリのフィレットを検出するための改良された方法を構成する。これは、フィレット検出方法の精度および計算コストを改良する。さらに、これは、フィレット検出方法を、特定の用途のために関心のある部分である第1のメッシュの一部(すなわち、第2のメッシュ)だけに適用することを可能にさせる。

【外国語明細書】