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特開2024-50524光ファイバフラッシングイベントの分光的検出
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050524
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】光ファイバフラッシングイベントの分光的検出
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/22 20060101AFI20240403BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20240403BHJP
   A61B 18/26 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
A61B18/22
A61B1/00 621
A61B1/00 552
A61B18/26
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023170174
(22)【出願日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】63/377,646
(32)【優先日】2022-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・エー・ベイカー
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ・エー・ブケソフ
(72)【発明者】
【氏名】カート・ジー・シェルトン
(72)【発明者】
【氏名】ケスター・ジュリアン・バッチェラー
【テーマコード(参考)】
4C026
4C161
【Fターム(参考)】
4C026AA03
4C026AA04
4C026BB07
4C026FF17
4C026FF51
4C026GG06
4C161AA15
4C161CC06
4C161DD01
4C161FF43
4C161FF46
4C161HH51
4C161HH56
4C161JJ11
4C161LL02
(57)【要約】
【課題】内視鏡先端と標的との間の距離を決定および制御するためのシステムおよび方法を提供すること。
【解決手段】レーザ組織アブレーションシステムは、内視鏡の内視鏡本体から伸長可能な遠位端を有する光ファイバを含むことができる。光ファイバは、光ファイバの遠位端から標的部位に向けて治療用レーザ光を送達し、光ファイバの遠位端に戻り光を受光することができる。レーザ組織アブレーションシステムは、戻り光を分光的に測定することができるセンサを含むことができる。レーザ組織アブレーションシステムは、戻り光の分光測定から、戻り光の中にフラッシングイベント光が存在するかどうかの第1の判定を行うことができるプロセッサ回路を含むことができる。フラッシングイベント光は、光ファイバの遠位端においてフラッシングイベントが発生したときに生成され得る。プロセッサ回路は、第1の判定に応答して、フラッシングイベントが発生したかどうかを示すフラッシングイベントデータ信号を生成することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の内視鏡本体から伸長可能な遠位端を含む光ファイバであって、前記光ファイバが、
前記光ファイバの前記遠位端から標的部位に向けて治療用レーザ光を送達し、
前記光ファイバの前記遠位端に戻り光を受光するように構成された、
光ファイバと、
前記戻り光を分光的に測定するように構成されたセンサと、
プロセッサ回路であって、
前記戻り光の分光測定から、前記戻り光の中にフラッシングイベント光が存在するかどうかの第1の判定を行うことであって、前記フラッシングイベント光が、前記光ファイバの前記遠位端においてフラッシングイベントが発生したときに生成される、ことと、
前記第1の判定に応答して、前記フラッシングイベントが発生したかどうかを示すフラッシングイベントデータ信号を生成することと
を行うように構成されたプロセッサ回路と
を備える、レーザ組織アブレーションシステム。
【請求項2】
前記フラッシングイベント光が治療用レーザ光から分光的に分離される、請求項1に記載のレーザ組織アブレーションシステム。
【請求項3】
前記治療用レーザ光が第1の波長を含み、
前記フラッシングイベント光が、前記第1の波長よりも短い波長を含む分光プロファイルを有する、
請求項1に記載のレーザ組織アブレーションシステム。
【請求項4】
前記プロセッサ回路によって制御可能なアクチュエータであって、前記アクチュエータが、前記第1の判定に応答して前記光ファイバを前記内視鏡本体に対して近位方向に、指定された距離だけ自動的に後退させるように構成され、前記指定された距離が前記フラッシングイベントを終了させるのに十分である、アクチュエータ
をさらに備える、請求項1に記載のレーザ組織アブレーションシステム。
【請求項5】
前記アクチュエータがホイールを備え、前記ホイールが、前記内視鏡本体に対して位置において固定された中心を有し、前記ホイールが、前記光ファイバと接触する周面を有し、前記ホイールが、前記プロセッサ回路によって制御可能な回転アクチュエータから回転可能である、請求項4に記載のレーザ組織アブレーションシステム。
【請求項6】
前記内視鏡本体の遠位端に配置され、可視照明で前記標的部位を照明するように構成された照明光源と、
前記内視鏡本体の前記遠位端に配置され、前記照明された標的部位のビデオ画像をキャプチャするように構成されたビデオカメラと、
前記プロセッサ回路に結合され、前記照明された標的部位の前記ビデオ画像を表示するように構成されたビデオディスプレイと
をさらに備え、
前記プロセッサ回路が、前記フラッシングイベントが発生しているときに前記ビデオディスプレイが前記ビデオ画像を表示しないように、前記第1の判定に応答して前記ビデオ画像を抑制するようにさらに構成される、
請求項1に記載のレーザ組織アブレーションシステム。
【請求項7】
前記プロセッサ回路が、
前記戻り光内に前記フラッシングイベント光がもはや存在しないことを示す前記戻り光の分光測定から、前記フラッシングイベントが停止したという第2の判定を行い、
前記第2の判定の行いに応答して、前記ビデオディスプレイ上に前記ビデオ画像を表示することを再開する
ようにさらに構成される、請求項6に記載のレーザ組織アブレーションシステム。
【請求項8】
前記内視鏡に結合され、制御可能な灌注速度で前記標的部位に灌注剤を供給するように構成された灌注調整器であって、前記灌注調整器が、前記フラッシングイベントデータ信号に対応するデータの受信に応答して前記灌注速度を増加させるようにさらに構成された、灌注調整器をさらに備える、請求項1に記載のレーザ組織アブレーションシステム。
【請求項9】
前記センサが分光計を備える、請求項1に記載のレーザ組織アブレーションシステム。
【請求項10】
前記分光計および前記プロセッサ回路が、前記標的部位の分光プロファイルを生成するために前記フラッシングイベント光を使用するようにさらに構成される、請求項9に記載のレーザ組織アブレーションシステム。
【請求項11】
前記プロセッサ回路が、前記標的部位の材料組成を決定するために前記標的部位の前記分光プロファイルを使用するようにさらに構成される、請求項10に記載のレーザ組織アブレーションシステム。
【請求項12】
前記センサが、
前記戻り光を受光し、前記治療用レーザ光を第1の光路に沿って導き、前記フラッシングイベント光を第2の光路に沿って導くように構成されたダイクロイックビームスプリッタと、
前記第2の光路からの光を検出するように構成された光センサと
を備える、請求項1に記載のレーザ組織アブレーションシステム。
【請求項13】
レーザ組織アブレーションシステムを動作させるための方法であって、前記方法が、
内視鏡本体の遠位端に配置された照明光源を用いて、可視光照明スペクトルを有する可視光照明で標的部位を照明するステップと、
前記内視鏡本体の前記遠位端に配置されたビデオカメラを用いて、前記照明された標的部位のビデオ画像をキャプチャするステップと、
前記内視鏡本体の前記遠位端から前記標的部位に向かって遠位方向に伸長する光ファイバの遠位端から治療用レーザ光を送達するステップであって、前記治療用レーザ光が少なくとも1つの治療用レーザ光波長を有する、ステップと、
前記光ファイバの遠位端に戻り光を受光するステップと、
前記可視光照明スペクトルと重複せず、前記少なくとも1つの治療用レーザ光波長を含まない検出スペクトル領域における測定光レベルを決定するために、前記戻り光の分光測定を実行するステップと、
プロセッサ回路を用いて、前記測定光レベルをしきい値光レベルと比較するステップと、
前記プロセッサ回路を用いて、前記測定光レベルが前記しきい値光レベルを超えていると判定するステップと、
前記プロセッサ回路を用いて、前記測定光レベルが前記しきい値光レベルを超えているとの判定に応答して、前記光ファイバの前記遠位端においてフラッシングイベントが発生したことを示すフラッシングイベントデータ信号を生成するステップと
を含む、方法。
【請求項14】
前記プロセッサ回路を用いて、アクチュエータに、前記測定光レベルが前記しきい値光レベルを超えているとの判定に応答して前記光ファイバを前記内視鏡本体に対して近位方向に、指定された距離だけ後退させるステップであって、前記指定された距離が前記フラッシングイベントを終了させるのに十分である、ステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記プロセッサ回路に結合されたビデオディスプレイ上に、前記照明された標的部位の前記ビデオ画像を表示するステップと、
前記プロセッサ回路を用いて、前記フラッシングイベントが発生しているときに前記ビデオディスプレイが前記ビデオ画像を表示しないように、前記測定光レベルが前記しきい値光レベルを超えているとの判定に応答して前記ビデオ画像を抑制するステップと
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記内視鏡に結合された灌注調整器を用いて、制御可能な灌注速度で前記標的部位に灌注剤を供給するステップと、
前記灌注調整器を用いて、前記測定光レベルが前記しきい値光レベルを超えているとの判定に応答して前記灌注速度を増加させるステップと
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
内視鏡本体を有する内視鏡と、
前記内視鏡本体の遠位端に配置され、可視光照明スペクトル範囲を有する可視光照明で標的部位を照明するように構成された照明光源と、
前記内視鏡本体の前記遠位端に配置され、前記照明された標的部位のビデオ画像をキャプチャするように構成されたビデオカメラと、
前記照明された標的部位の前記ビデオ画像を表示するように構成されたビデオディスプレイと、
前記内視鏡本体から伸長した光ファイバであって、
前記光ファイバの遠位端から前記標的部位に向けて治療用レーザ光を送達することであって、前記治療用レーザ光が少なくとも1つの治療用レーザ光波長を有する、ことと、
前記光ファイバの前記遠位端に戻り光を受光することと
を行うように構成された光ファイバと、
前記戻り光を分光的に測定するように構成された分光計と、
プロセッサ回路であって、
前記戻り光の分光測定から、少なくとも1つのフラッシングイベント波長における前記戻り光の光レベルがしきい値光レベルを超えて上昇したときを判定することであって、前記少なくとも1つのフラッシングイベント波長が、前記少なくとも1つの治療用レーザ光波長とは異なり、前記可視光照明スペクトル範囲外にある、ことと、
前記光レベルが前記しきい値光レベルを超えて上昇したとの判定に応答して、前記光ファイバの前記遠位端においてフラッシングイベントが発生したことを示すフラッシングイベントデータ信号を生成することと
を行うように構成されたプロセッサ回路と
を備える、レーザ組織アブレーションシステム。
【請求項18】
前記プロセッサ回路によって制御可能なアクチュエータであって、前記アクチュエータが、前記光レベルが前記しきい値光レベルを超えて上昇したとの判定に応答して前記光ファイバを前記内視鏡本体に対して近位方向に、指定された距離だけ自動的に後退させるように構成され、前記指定された距離が前記フラッシングイベントを終了させるのに十分である、アクチュエータをさらに備える、請求項17に記載のレーザ組織アブレーションシステム。
【請求項19】
前記プロセッサ回路が、前記フラッシングイベントが発生しているときに前記ビデオディスプレイが前記ビデオ画像を表示しないように、前記光レベルが前記しきい値光レベルを超えて上昇したとの判定に応答して前記ビデオ画像を抑制するようにさらに構成される、請求項17に記載のレーザ組織アブレーションシステム。
【請求項20】
前記内視鏡に結合され、制御可能な灌注速度で前記標的部位に灌注剤を供給するように構成された灌注調整器をさらに備え、前記プロセッサ回路が、前記光レベルが前記しきい値光レベルを超えて上昇したとの判定に応答して前記灌注速度を増加させるようにさらに構成される、請求項17に記載のレーザ組織アブレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2022年9月29日に出願した米国仮出願第63/377,646号の利益を主張するものである。
【0002】
本文書は、一般に内視鏡システムに関し、より具体的には、内視鏡先端と標的との間の距離を決定および制御するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
医師、施術者、またはユーザなどの操作者は、患者の内部の場所への視覚的アクセスを提供するために内視鏡を使用することができる。操作者は、患者の体内に内視鏡を挿入することができる。内視鏡は、標的の解剖学的構造または物体などの検査される標的に光を送達することができる。内視鏡は、物体から反射された光を収集することができる。反射された光は、検査される標的に関する情報を伝えることができる。
【0004】
内視鏡は、作業チャネルを含むことができる。いくつかの例において、操作者は、作業チャネルを通じて吸引を実行することができる。いくつかの例において、操作者は、ブラシ、生検針、または鉗子などの器具を作業チャネルに通すことができる。いくつかの例において、操作者は、患者の身体から不要な組織または異物を除去するなどのために、作業チャネルを通じて低侵襲手術を実行することができる。
【0005】
内視鏡は、アブレーション、凝固、気化、断片化、砕石術などのレーザ治療を実行するためにレーザまたはプラズマシステムを使用することができる。レーザ治療において、操作者は、軟組織または硬組織などの様々な標的治療領域に外科用レーザエネルギーを送達するために内視鏡を使用することができる。砕石術において、操作者は、患者の腎臓、胆嚢、尿管、もしくは他の結石形成領域内の結石構造を破壊するため、または大きい結石をより小さい破片にアブレートするために外科用レーザエネルギーを送達するために内視鏡を使用することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一例において、レーザ組織アブレーションシステムは、内視鏡の内視鏡本体から伸長可能な遠位端を含む光ファイバであって、光ファイバが、光ファイバの遠位端から標的部位に向けて治療用レーザ光を送達し、光ファイバの遠位端に戻り光を受光するように構成された、光ファイバと、戻り光を分光的に測定するように構成されたセンサと、プロセッサ回路であって、戻り光の分光測定から、戻り光の中にフラッシングイベント光が存在するかどうかの第1の判定を行うことであって、フラッシングイベント光が、光ファイバの遠位端においてフラッシングイベントが発生したときに生成される、ことと、第1の判定に応答して、フラッシングイベントが発生したかどうかを示すフラッシングイベントデータ信号を生成することとを行うように構成されたプロセッサ回路とを含むことができる。
【0007】
一例において、レーザ組織アブレーションシステムを動作させるための方法は、内視鏡本体の遠位端に配置された照明光源を用いて、可視光照明スペクトルを有する可視光照明で標的部位を照明するステップと、内視鏡本体の遠位端に配置されたビデオカメラを用いて、照明された標的部位のビデオ画像をキャプチャするステップと、内視鏡本体の遠位端から標的部位に向かって遠位方向に伸長する光ファイバの遠位端から治療用レーザ光を送達するステップであって、治療用レーザ光が少なくとも1つの治療用レーザ光波長を有する、ステップと、光ファイバの遠位端に戻り光を受光するステップと、可視光照明スペクトルと重複せず、少なくとも1つの治療用レーザ光波長を含まない検出スペクトル領域における測定光レベルを決定するために、戻り光の分光測定を実行するステップと、プロセッサ回路を用いて、測定光レベルをしきい値光レベルと比較するステップと、プロセッサ回路を用いて、測定光レベルがしきい値光レベルを超えていると判定するステップと、プロセッサ回路を用いて、測定光レベルがしきい値光レベルを超えているとの判定に応答して、光ファイバの遠位端においてフラッシングイベントが発生したことを示すフラッシングイベントデータ信号を生成するステップとを含むことができる。
【0008】
一例において、レーザ組織アブレーションシステムは、内視鏡本体を有する内視鏡と、内視鏡本体の遠位端に配置され、可視光照明スペクトル範囲を有する可視光照明で標的部位を照明するように構成された照明光源と、内視鏡本体の遠位端に配置され、照明された標的部位のビデオ画像をキャプチャするように構成されたビデオカメラと、照明された標的部位のビデオ画像を表示するように構成されたビデオディスプレイと、内視鏡本体から伸長した光ファイバであって、光ファイバの遠位端から標的部位に向けて治療用レーザ光を送達することであって、治療用レーザ光が少なくとも1つの治療用レーザ光波長を有する、ことと、光ファイバの遠位端に戻り光を受光することとを行うように構成された光ファイバと、戻り光を分光的に測定するように構成された分光計と、プロセッサ回路であって、戻り光の分光測定から、少なくとも1つのフラッシングイベント波長における戻り光の光レベルがしきい値光レベルを超えて上昇したときを判定することであって、少なくとも1つのフラッシングイベント波長が、少なくとも1つの治療用レーザ光波長とは異なり、可視光照明スペクトル範囲外にある、ことと、光レベルがしきい値光レベルを超えて上昇したとの判定に応答して、光ファイバの遠位端においてフラッシングイベントが発生したことを示すフラッシングイベントデータ信号を生成することとを行うように構成されたプロセッサ回路とを含むことができる。
【0009】
様々な実施形態が、添付図面の図において例として示されている。そのような実施形態は、例証的であり、本主題の網羅的または排他的な実施形態はであることを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】レーザ組織アブレーションシステムの一例の概略側面図である。
図2】レーザ組織アブレーションシステムを動作させるための方法の一例のフローチャートである。
図3】レーザ組織アブレーションシステムを動作させるための方法の一例のフローチャートである。
図4】光ファイバの遠位端においてフラッシングイベントが発生しているかどうか、またはいつ発生しているかを判定し、これに応答して、フラッシングイベントを停止させるために光ファイバを近位に後退させるなどの適切なアクションを起こすように構成された、例示的なコンピュータベースの臨床判断支援システム(CDSS)の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
レーザ療法治療において、施術者は、内視鏡の遠位端を腎臓結石などの標的の近くに配置することができる。内視鏡は、光ファイバの遠位端を介するなどして、治療用レーザ光を標的に送達することができる光ファイバを含むことができる。治療中、光ファイバの遠位端と標的との間の分離を動的に監視または動的に制御することが有益である可能性がある。例えば、レーザ組織アブレーション処置中、操作者は、レーザが動作している間、光ファイバの遠位端を組織に誤って接触させる場合がある。レーザが動作している間にそのような接触が発生すると、接触は、フラッシングとして知られるイベントを生じさせる可能性がある。フラッシングは、組織アブレーションの有効性に影響を及ぼさない場合があるが、光ファイバの遠位端を分解または劣化させる可能性がある。そのような劣化は、ファイババーンバックとして知られ得る。
【0012】
フラッシングは、腎臓結石などの結石内などの組織内の有機化合物の燃焼によって引き起こされると考えられている。そのような燃焼は、レーザ光源によっては生成されない波長の光を生成する可能性がある。例えば、レーザ光源は、約1908nmと約2940nmとの間、または約1920nmと1960nmとの間の波長範囲内のレーザ光を生成することができる。フラッシングイベントによって生成される光は、およそ750nmにおいてピークになる波長を有する可能性があり、約680nmおよび約840nmにおいて半分の最大強度が発生する。
【0013】
以下で詳細に説明するレーザ組織アブレーションシステムは、フラッシングイベントの分光学的プロファイル(例えば、波長の関数としての光強度)を認識することによるなどして、フラッシングイベントを検出することができる。例えば、システムは、組織に向けられる光のスペクトル外の1つまたは複数の波長の光を監視することができる。1つまたは複数の波長の光が指定されたしきい値を超えるか、指定されたしきい値を超えて上昇すると、システムは、フラッシングイベントが開始されたと判定することができる。したがって、光レベルが指定されたしきい値を超えると、システムは、フラッシングイベントが現在発生していると判定することができる。
【0014】
フラッシングイベントを検出したことに応答して、システムは、1つまたは複数のアクションを起こすことができる。例えば、システムは、光ファイバの遠位先端が標的からさらに遠ざかるように、光ファイバを再配置することができる。そのようなフラッシングイベントの認識およびフラッシングイベントの認識に応答した光ファイバの再配置は、ファイババーンバックを低減または排除することによるなどして、光ファイバの寿命を延ばすことができる。他の例は、レーザ光源のパワーを低減すること、標的または標的近傍での灌注速度を上げること、標的のビデオ画像を抑制することなどを含むことができる。
【0015】
図1は、レーザ組織アブレーションシステム100の一例の概略側面図を示す。レーザ組織アブレーションシステム100は、内視鏡本体102を有する内視鏡を含むことができる。内視鏡本体102は、操作者によって把持されることが可能であり、操作者は、必要に応じて、患者の1つまたは複数の内部位置における腎臓結石などの1つまたは複数の標的を観察およびアブレートするために、内視鏡本体102を位置決めすることができる。いくつかの例において、内視鏡本体102は、剛性であり得る。1つまたは複数の例において、内視鏡本体102は、伸長軸に沿って伸長されることが可能である。内視鏡本体102は、伸長軸に沿って内視鏡本体102を通って伸長する1つまたは複数のチャネル、通路、または開口部を含むことができる。例えば、内視鏡本体102は、作業チャネルを含むことができる。いくつかの例において、操作者は、作業チャネルを通じて吸引を実行することができる。いくつかの例において、操作者は、ブラシ、生検針、または鉗子などの器具を作業チャネルに通すことができる。いくつかの例において、操作者は、患者の身体から不要な組織または異物を除去するなどのために、作業チャネルを通じて低侵襲手術を実行することができる。別の例として、内視鏡本体102は、標的の破片を洗い流すなどのために、標的部位に灌注剤を供給することができる灌注チャネルを含むことができる。他のチャネルも使用されることが可能である。
【0016】
レーザ組織アブレーションシステム100は、内視鏡本体102の遠位端106に配置された照明光源104を含むことができる。例えば、照明光源104は、内視鏡本体102の遠位端106に配置された1つまたは複数の発光ダイオードを含むことができる。いくつかの例において、発光ダイオードは、白色発光ダイオードであることが可能である。例えば、白色発光ダイオードは、青色光または紫色光の一部またはすべてを吸収することができ、それに応答して、電磁スペクトルの黄色部分におけるような1つまたは複数のより長い波長の光を放射することができる蛍光体と結合された青色または紫色発光ダイオードを含むことができる。他の照明光源も使用されることが可能である。照明光源104は、可視光照明スペクトル範囲を有する可視光照明で標的部位108を照明することができる。いくつかの例において、可視光照明スペクトル範囲は、電磁スペクトルの可視部分における波長を含むことができる。
【0017】
レーザ組織アブレーションシステム100は、内視鏡本体102の遠位端106に配置されたビデオカメラ110を含むことができる。いくつかの例において、ビデオカメラ110は、レンズと、レンズの焦点面に配置されたセンサ素子と、センサ素子によって生成された電気信号をデジタル信号に変換することができる電子装置とを含むことができる。ビデオカメラ要素は、内視鏡本体102の遠位端106において、比較的小さい密封パッケージ内に配置されることが可能である。ビデオカメラ110は、照明された標的部位108のリアルタイムビデオ画像をキャプチャすることができる。
【0018】
レーザ組織アブレーションシステム100は、照明された標的部位108のビデオ画像を表示することができるビデオディスプレイ112を含むことができる。例えば、ビデオディスプレイ112は、内視鏡から離れた機器のラック上またはラック内に取り付けられることが可能である。ビデオディスプレイ112は、照明光源104からの白色光で照明された標的部位108のリアルタイム画像を施術者に提供することができる。
【0019】
レーザ組織アブレーションシステム100は、パルスレーザ光などのレーザ光を生成することができるレーザ光源114を含むことができる。レーザ光源114は、内視鏡102が操作者によって位置決め可能であることが可能であるように、内視鏡本体102から離れて配置されることが可能であり、一方、レーザ光源114は、処置中、内視鏡本体102から離間した固定位置に留まることができるレーザハウジング内に配置されることが可能である。いくつかの例において、レーザ光源114は、約1920nmと約1960nmとの間の1つまたは複数の波長を有する光を生成することができるツリウムファイバレーザを含むことができる。いくつかの例において、レーザ光源114は、2010nmの波長の光を生成することができるツリウム:YAG(イットリウムアルミニウムガーネット)レーザを含むことができる。いくつかの例において、レーザ光源114は、2120nmの波長の光を生成することができるホルミウム:YAGレーザを含むことができる。いくつかの例において、レーザ光源114は、2940nmの波長の光を生成することができるエルビウム:YAGレーザを含むことができる。いくつかの例において、レーザ光源114によって生成されるレーザ光は、約1908nmと約2940nmとの間、もしくは約1920nmと1960nmとの間、約1900nmと約1940nmとの間、約1900nmよりも大きい、約1800nmよりも大きい、または他の波長などの第1の波長を含むことができる。これら(および他の)レーザ光源について、レーザ光は、水(組織の主要成分)が比較的高い吸収を有する電磁スペクトルの部分における波長を有することができる。処置中、組織は、レーザ光を吸収する可能性があり、局所的に比較的高い温度に加熱する可能性があり、組織内の局所的な熱歪みによって分解する可能性がある。
【0020】
レーザ組織アブレーションシステム100は、内視鏡本体102から伸長することができる光ファイバ116を含むことができる。いくつかの例において、光ファイバ116は、マルチモード光ファイバであることが可能である。いくつかの例において、光ファイバ116は、内視鏡本体102の遠位端106から伸長する遠位端118を有することができる。
【0021】
レーザ光源114は、レーザ光源光ファイバ122および自由空間光カプラ/スプリッタ124を介するなどして、光ファイバ116の近位部分120にレーザ光を導くことができる。自由空間光カプラ/スプリッタ124は、レーザ光源光ファイバ122の遠位端128において焦点面が位置するコリメートレンズ126を含むことができ、コリメートレンズ126は、レーザ光源114からの光をコリメートする(または少なくとも部分的に集束する)ことができる。コリメートされた光は、ビームスプリッタ130を通過し、双方向集束レンズ132によって光ファイバ116の近位部分120上に集束されることが可能である。双方向集束レンズ132は、光ファイバ116を通って戻る戻り光をコリメートすることができる。ビームスプリッタ130は、戻り光のすべてまたは一部(またはスペクトル部分)を戻り経路集束レンズ134上に導くことができ、戻り経路集束レンズ134は、戻り光を戻り経路光ファイバ138の端136上に集束させることができる。戻り経路光ファイバ138は、戻り光をセンサ(以下で説明する)に導くことができる。自由空間光カプラ/スプリッタ124は、そのようなカプラ/スプリッタのための1つの構成に過ぎない。代替的には、ファイバベースの光カプラ/スプリッタも使用されることが可能である。
【0022】
光ファイバ116は、治療用レーザ光を形成するために、レーザ光を、光ファイバ116の遠位端118から現れるように、光ファイバ116の長さに沿って遠位方向に向けることができる。光ファイバ116は、光ファイバ116の遠位端118から標的部位108に向けて治療用レーザ光を送達することができる。治療用レーザ光は、約1908nmと約2940nmとの間、もしくは約1920nmと1960nmとの間、約1900nmと約1940nmとの間、約1900nmよりも大きい、約1800nmよりも大きい、または他の適切な波長などの、少なくとも1つの治療用レーザ光波長を含むことができる。
【0023】
光ファイバ116は、戻り光を光ファイバ116の遠位端118で受光することができる。いくつかの例において、戻り光は、標的部位108から反射された治療用レーザ光の少なくとも一部を含むことができる。フラッシングイベントが発生すると、戻り光は、フラッシングイベント光を追加的に含む可能性がある。フラッシングイベント光は、治療用レーザ光の分光プロファイルとは異なる分光プロファイルを有する可能性がある。言い換えれば、フラッシングイベント光は、治療用レーザ光から分光的に分離されることが可能である。例えば、フラッシングイベント光は、およそ750nmにおいてピークになり、約680nmおよび約840nmにおいて最大の半分の光強度を有する分光プロファイルを有する可能性がある。いくつかの例において、フラッシングイベント光は、治療用レーザ光の1つまたは複数の波長よりも短い波長を含む分光プロファイルを有する可能性がある。
【0024】
レーザ組織アブレーションシステム100は、戻り光を分光的に測定することができるセンサ140を含むことができる。例えば、センサ140は、1つまたは複数の指定された波長または波長領域において戻り光を測定することができる。指定された波長または波長領域は、照明光のスペクトルには存在しない場合があり、治療用レーザ光の1つまたは複数の波長とは異なる場合がある。言い換えれば、センサ140は、内視鏡から標的部位108に向けられない1つまたは複数の波長における戻り光を測定することができる。いくつかの例において、センサ140は、1つまたは複数の波長領域をフィルタリング除去することができ、フィルタリング除去されない残りの波長領域のうちの1つまたは複数を検出することができる。
【0025】
センサ140は、戻り光などの光信号を内部電気信号に変換することができる感光センサ素子142を含むことができる。センサ140は、図1の構成において示すように、センサ回路144も含むことができ、センサ回路144は、感光センサ素子142からの内部電気信号を、プロセッサ回路148(以下で説明する)によって解釈されることが可能なアナログまたはデジタルセンサデータ信号146に変換または処理することができる。センサ140は、1つまたは複数の波長感応素子をさらに含むことができ、これは、センサ回路144が波長の関数として戻り光の強度測定値を提供することを可能にする。
【0026】
例えば、センサ140の波長感応素子は、治療用レーザ光(例えば、約1900nmと約1940nmとの間の1つまたは複数の波長を有する)からフラッシングイベント光(例えば、約680nmと約840nmとの間の波長を有する)を分離することができるダイクロイックビームスプリッタ(例えば、ビームスプリッタ130上の薄膜コーティングとして実装される)を含むことができる。ダイクロイックビームスプリッタは、しきい値波長を有することができ、しきい値波長よりも短い波長を有する光を第1の光路に沿って導くことができ、しきい値波長よりも長い波長を有する光を第2の光路に沿って導くことができる。しきい値波長は、フラッシングイベント光の分光プロファイルと治療用レーザ光波長の波長との任意の適切な波長値を有することができる。例えば、しきい値波長は、1000nm、1500nm、1700nm、または任意の他の適切な値であり得る。いくつかの例において、ダイクロイックビームスプリッタは、プリズムなどの透明な光学素子の表面上の薄膜コーティングとして実装されることが可能である。
【0027】
いくつかの構成において、センサ140は、戻り光を受光し、治療用レーザ光を第1の光路に沿って導き、フラッシングイベント光を第2の光路に沿って導くことができるダイクロイックビームスプリッタ(例えば、ビームスプリッタ130上の薄膜コーティングとして実装される)を含むことができる。センサ140の感光センサ素子142は、第2の光路からの光を検出することができるセンサ素子または検出器を含むことができる。そのようなセンサは、センサ140によって生成された信号の存在(または増加)としてフラッシュイベントを検出することができる。いくつかの例において、感光センサ素子142は、単一の検出器素子を含むことができる。他の例において、感光センサ素子142は、マルチピクセル検出器素子を含むことができる。センサ140は、光センサによって受光された光に応答して1つまたは複数のセンサデータ信号146を生成することができるセンサ回路144をさらに含むことができる。プロセッサ回路148(以下で説明する)は、フラッシングイベントが発生したかどうかおよび/またはフラッシングイベントがいつ発生したかを判定するために1つまたは複数のセンサデータ信号146を分析することができる。
【0028】
いくつかの構成において、センサ140のセンサ回路144(およびオプションで、センサ140の波長感応素子)は、戻り光を分光的に測定することができる分光計を含むことができる。これらの構成について、感光センサ素子142は、戻り光のすべてまたは一部を受光することができる分光計センサまたは分光計検出器を含むことができる。これらの構成について、センサデータ信号146は、波長の関数として光強度(または振幅、または他の適切な測光量)を表すデータを含む分光計出力信号であることが可能である。プロセッサ回路148(以下で説明する)は、フラッシングイベントが発生したかどうかおよび/またはフラッシングイベントが発生したときを判定するために分光計出力信号を分析することができる。
【0029】
センサ140が分光計を含む構成について、レーザ組織アブレーションシステム100は、戻り光に基づいて、標的の分析をオプションで実行することができる。例えば、分光計およびプロセッサ回路148は、標的部位108の分光プロファイルを生成するためにフラッシングイベント光を使用することができる。いくつかの例において、プロセッサ回路148(以下で説明する)は、標的部位108の測定された分光プロファイルと、既知の材料に対応する指定された(有限の)複数の所定の分光プロファイルの1つまたは複数とを照合することによるなどして、標的部位108の材料組成を決定するために標的部位108の分光プロファイルを使用することができる。これらは、例に過ぎず、標的部位108の他の適切な分析も実行されることが可能である。
【0030】
レーザ組織アブレーションシステム100は、プロセッサ回路を含むことができる。いくつかの例において、プロセッサ回路148は、コントローラと呼ばれる場合もある。いくつかの例において、プロセッサ回路148は、純粋にソフトウェアにおいて実装され得る。いくつかの例において、プロセッサ回路148は、純粋にハードウェアにおいて実装され得る。いくつかの例において、プロセッサ回路148は、ソフトウェアとハードウェアの組合せとして実装され得る。いくつかの例において、プロセッサ回路148は、単一のプロセッサ上に実装され得る。いくつかの例において、プロセッサ回路148は、複数のプロセッサ上に実装され得る。いくつかの例において、複数のプロセッサは、共通のハウジング内に収容され得る。いくつかの例において、複数のプロセッサのうちの少なくとも2つが、異なるハウジング内に間隔を開けて配置され得る。
【0031】
プロセッサ回路148は、フラッシングイベントが発生したかどうかおよび/またはフラッシングイベントがいつ発生したかを判定するために、センサデータ信号146または分光計出力信号などの、センサ140によって生成される1つまたは複数の信号を分析することができる。
【0032】
例えば、プロセッサ回路148は、戻り光の分光測定から、戻り光内にフラッシングイベント光が存在するかどうかの第1の判定を行うことができる。フラッシングイベント光は、光ファイバ116の遠位端118においてフラッシングイベントが発生したときに生成される可能性がある。プロセッサ回路148は、第1の判定に応答して、フラッシングイベントが発生したかどうかを示すフラッシングイベントデータ信号を生成することができる。
【0033】
可視光照明スペクトルと重複せず、少なくとも1つの治療用レーザ光波長を含まない検出スペクトル領域における測定光レベルを、戻り光の分光測定が決定した別の例として、プロセッサ回路148は、測定光レベルを、サーバ上またはルックアップテーブル内に保存された値などのしきい値光レベルと比較することができる。プロセッサ回路148は、測定光レベルがしきい値光レベルを超えるかどうかおよび/またはいつ超えたかを判定することができる。測定光レベルがしきい値光レベルを超えているとの判定に応答して、プロセッサ回路148は、光ファイバ116の遠位端118においてフラッシングイベントが発生したことを示すフラッシングイベントデータ信号を生成することができる。
【0034】
別の例として、プロセッサ回路148は、戻り光の分光測定から、少なくとも1つのフラッシングイベント波長における戻り光の光レベルがしきい値光レベルを超えて上昇したときを判定することができる。少なくとも1つのフラッシングイベント波長は、少なくとも1つの治療レーザ光波長とは異なる可能性があり、可視光照明スペクトル範囲外である可能性がある。光レベルがしきい値光レベルを超えて上昇したとの判定に応答して、プロセッサ回路148は、光ファイバ116の遠位端118においてフラッシングイベントが発生したことを示すフラッシングイベントデータ信号を生成することができる。
【0035】
いくつかの例において、しきい値光レベルは、経時的に一定(例えば、不変)であり可能性がある。いくつかの例において、しきい値光レベルは、レーザ光源114の出力パワーとともに変化するなど、経時的に変化する可能性がある。プロセッサ回路148は、フラッシングイベントが発生したことを判定するために、他の適切な信号分析技法を使用することができる。
【0036】
いくつかの例において、自由空間光カプラ/スプリッタ124、センサ140、および処理回路148は、ハウジング150内に含まれることが可能である。レーザ光源114は、レーザ光源光ファイバ122を介してハウジング内にレーザ光を導くことができる。光ファイバ116は、レーザ光をハウジング150から内視鏡本体102に導くことができ、内視鏡をハウジング150に繋ぎ止めることができる。ビデオディスプレイ112は、オプションでハウジング150に取り付けられるか、またはハウジング150と一体化されることが可能である。
【0037】
プロセッサ回路148が、フラッシングイベントが発生したと判定すると、プロセッサ回路148は、アクションを発生させることができる。例えば、第1の判定(例えば、フラッシングイベントが発生したとの判定)に応答して、プロセッサ回路148は、フラッシングイベントが発生したかどうかを示すフラッシングイベントデータ信号を生成することができる。いくつかの例において、フラッシングイベントデータ信号は、電気信号であることが可能である。例えば、フラッシングイベントデータ信号は、フラッシングイベントが発生しない場合は第1の電圧を有することができ、フラッシングイベントが発生した場合は第2の電圧を有することができる。いくつかの例において、フラッシングイベントデータ信号は、デジタル信号であることが可能である。例えば、フラッシングイベントデータ信号は、メモリ内に記憶された変数を含むことができる。変数は、フラッシングイベントが発生しない場合は第1の値を有することができ、フラッシングイベントが発生した場合は第2の値を有することができる。他の適切なフラッシングイベントデータ信号が使用されることも可能である。
【0038】
(フラッシングイベントが発生したとの判定に応答して起こされる)アクションの一例は、(例えば、図1における距離(Z)を増加させるために)フラッシングイベントを終了させるために光ファイバ116を近位方向に後退させることである。例えば、レーザ組織アブレーションシステム100は、フラッシングイベントデータ信号に対応するデータの受信に応答して、光ファイバ116を内視鏡本体102に対して近位方向に自動的に後退させることができるアクチュエータ152をさらに含むことができる。いくつかの例において、図1の構成のように、アクチュエータ152は、ホイールを含むことができる。ホイールは、内視鏡本体102に対して位置が固定された中心を有することができる。ホイールは、光ファイバ116と接触する周面を有することができる。ホイールは、ホイールの中心またはその近傍に配置された回転アクチュエータなど、回転アクチュエータから回転可能であることが可能である。いくつかの例において、アクチュエータ152は、フラッシングイベントデータ信号に対応するデータの受信に応答して、光ファイバ116を内視鏡本体102に対して、指定された距離だけ近位方向に自動的に後退させることができる。指定された距離は、1mm、約1mm、または任意の他の適切な値などの、フラッシングイベントを終了させるのに十分なものであることが可能である。上記で説明し、図1に示すアクチュエータ152は、フラッシングイベントを終了させるために光ファイバ116を近位方向に後退させることができるアクチュエータの一例に過ぎない。他の適切なアクチュエータも使用されることが可能である。
【0039】
(フラッシングイベントが発生したとの判定に応答して起こされる)アクションの別の例は、レーザ光源114にその出力パワーをオプションでゼロまで低下させることである。
【0040】
(フラッシングイベントが発生したとの判定に応答して起こされる)アクションの別の例は、標的部位108により多くの灌注剤を供給することである。例えば、レーザ組織アブレーションシステム100は、内視鏡に結合された灌注調整器154を含むことができる。灌注調整器154は、灌注ライン156を介して制御可能な灌注速度で生理食塩水などの灌注剤を標的部位108に供給することができる。プロセッサ回路148は、フラッシングイベントデータ信号に対応するデータの受信に応答して、灌注調整器154に灌注速度を増加させることができる。
【0041】
(フラッシングイベントが発生したとの判定に応答して起こされる)アクションの別の例は、標的部位108の表示されたビデオ画像を抑制または中断することである。例えば、レーザ組織アブレーションシステム100は、内視鏡本体102の遠位端106に配置された照明光源104を含むことができる。照明光源104は、可視照明で標的部位108を照明することができる。レーザ組織アブレーションシステム100は、内視鏡本体102の遠位端106に配置されたビデオカメラ110を含むことができる。ビデオカメラ110は、照明された標的部位108のビデオ画像をキャプチャすることができる。レーザ組織アブレーションシステム100は、プロセッサ回路148に結合されたビデオディスプレイ112を含むことができる。ビデオディスプレイ112は、照明された標的部位108のビデオ画像を表示することができる。プロセッサ回路148は、ビデオディスプレイ112が、フラッシングイベントが発生しているときにビデオ画像を表示しないように、フラッシングイベントデータ信号に対応するデータの受信に応答してビデオ画像を抑制することができる。フラッシングイベントが発生したとの判定に応答して起こされるアクションの例は、単なる例に過ぎず、処理回路は、代替的には、他の適切なアクションを起こさせることができる。
【0042】
いくつかの例において、プロセッサ回路148は、フラッシングイベントがいつ停止したかまたはフラッシングイベントが停止したかどうかをオプションで判定することができ、フラッシングイベントが停止したとの判定に応答して追加のアクションをオプションで起こすことができる。例えば、処理回路148は、フラッシングイベント光が戻り光内にもはや存在しないことを示す戻り光の分光測定から、フラッシングイベントが停止したという第2の判定を行うことができる。プロセッサ回路148は、第2の判定の行いに応答して、ビデオディスプレイ112上にビデオ画像を表示することを再開することができる。レーザ光源114にその出力パワーを、オプションでプロセッサ回路148がフラッシングイベントが発生していると判定する前に利用された以前の出力パワーレベルまで増加させるなどの、他の適切なアクションが起こされることも可能である。
【0043】
いくつかの例において、プロセッサ回路148は、プロセッサ回路148が指定された時間間隔内に指定された数のフラッシングイベントを検出した後にアクションを起こし得る。いくつかの例において、プロセッサ回路148は、プロセッサ回路148が指定された数の連続レーザパルスにおいて指定された数のフラッシングイベントを検出した後にアクションを起こし得る。他の基準に使用されることが可能である。
【0044】
図2は、図1のレーザ組織アブレーションシステム100または任意の他の適切なレーザ組織アブレーションシステムなどのレーザ組織アブレーションシステムを動作させるための方法200の一例のフローチャートを示す。方法200は、レーザ組織アブレーションシステムを動作させるための方法の一例に過ぎず、他の方法も使用されることが可能である。
【0045】
動作202において、内視鏡の内視鏡本体から伸長可能な遠位端を含む光ファイバは、光ファイバの遠位端から標的部位に向けて治療用レーザ光を送達することができる。
【0046】
動作204において、光ファイバは、光ファイバの遠位端に戻り光を受光することができる。
【0047】
動作206において、センサは、戻り光を分光的に測定することができる。
【0048】
動作208において、プロセッサ回路は、戻り光の分光測定から、戻り光内にフラッシングイベント光が存在するかどうかの第1の判定を行うことができる。フラッシングイベント光は、フラッシングイベントが光ファイバの遠位端において発生したときに生成される可能性がある。
【0049】
動作210において、プロセッサ回路は、第1の判定に応答して、フラッシングイベントが発生したかどうかを示すフラッシングイベントデータ信号を生成することができる。
【0050】
図3は、図1のレーザ組織アブレーションシステム100または任意の他の適切なレーザ組織アブレーションシステムなどのレーザ組織アブレーションシステムを動作させるための方法300の一例のフローチャートを示す。方法300は、レーザ組織アブレーションシステムを動作させるための方法の一例に過ぎず、他の方法も使用されることが可能である。
【0051】
動作302において、内視鏡本体の遠位端に配置された照明光源は、可視光照明スペクトルを有する可視光照明で標的部位を照明することができる。
【0052】
動作304において、内視鏡本体の遠位端に配置されたビデオカメラは、照明された標的部位のビデオ画像をキャプチャすることができる。
【0053】
動作306において、内視鏡本体の遠位端から遠位方向に伸長する光ファイバは、光ファイバの遠位端から標的部位に向けて治療用レーザ光を送達することができる。治療用レーザ光は、少なくとも1つの治療用レーザ光波長を有することができる。
【0054】
動作308において、光ファイバは、光ファイバの遠位端に戻り光を受光することができる。
【0055】
動作310において、レーザ組織アブレーションシステムは、可視光照明スペクトルと重複せず、少なくとも1つの治療用レーザ光波長を含まない検出スペクトル領域における測定光レベルを決定するために、戻り光の分光測定を実行することができる。
【0056】
動作312において、プロセッサ回路は、測定光レベルをしきい値光レベルと比較することができる。
【0057】
動作314において、プロセッサ回路は、測定光レベルがしきい値光レベルを超えていると判定することができる。
【0058】
動作316において、プロセッサ回路は、測定光レベルがしきい値光レベルを超えているとの判定に応答して、光ファイバの遠位端においてフラッシングイベントが発生したことを示すフラッシングイベントデータ信号を生成することができる。
【0059】
いくつかの例において、方法300は、プロセッサ回路を用いて、測定光レベルがしきい値光レベルを超えているとの判定に応答して、アクチュエータに、光ファイバを内視鏡本体に対して近位方向に、指定された距離だけ後退させるステップをオプションでさらに含むことができ、指定された距離は、フラッシングイベントを終了させるのに十分である。
【0060】
いくつかの例において、方法300は、プロセッサ回路に結合されたビデオディスプレイ上に、照明された標的部位のビデオ画像を表示するステップと、プロセッサ回路を用いて、フラッシングイベントが発生しているときにビデオディスプレイがビデオ画像を表示しないように、測定光レベルがしきい値光レベルを超えているとの判定に応答してビデオ画像を抑制するステップとをオプションでさらに含むことができる。
【0061】
いくつかの例において、方法300は、内視鏡に結合された灌注調整器を用いて、灌注剤を制御可能な灌注速度において標的部位に供給するステップと、灌注調整器を用いて、測定光レベルがしきい値光レベルを超えているとの判定に応答して灌注速度を増加させるステップとをオプションでさらに含むことができる。
【0062】
図4は、光ファイバの遠位端においてフラッシングイベントが発生しているかどうか、またはいつ発生しているかを判定し、それに応答して、フラッシングイベントを停止させるために、光ファイバを近位に後退させるなどの適切なアクションを起こすように構成された例示的なコンピュータベースの臨床判断支援システム(CDSS)400の概略図を示す。様々な実施形態において、CDSS400は、入力インターフェース402を含み、入力インターフェース402を介して、センサデータ信号146は、フラッシングイベントが発生したかどうか、および/またはいつ発生したかの判定がユーザ、例えば臨床医に伝達される推論動作を実行する人工知能(AI)モデル404、コントローラなどのプロセッサ、またはプロセッサ回路148に入力特徴として提供されることが可能である。
【0063】
いくつかの実施形態において、入力インターフェース402は、CDSS400と、入力特徴の少なくとも一部を生成するレーザ組織アブレーションシステム100または内視鏡などの1つまたは複数の医療デバイスとの間の直接データリンクであり得る。例えば、入力インターフェース402は、治療および/または診断医療処置中に決定をCDSSに直接送信し得る。追加的または代替的に、入力インターフェース402は、ユーザとCDSS400との間の対話を容易にする古典的なユーザインターフェースであり得る。例えば、入力インターフェース402は、ユーザが手動で決定を入力し得るユーザインターフェースを容易にし得る。追加的または代替的に、入力インターフェース402は、1つまたは複数の入力特徴が抽出され得る電子患者記録へのアクセスをCDSS400に提供し得る。これらの場合のいずれにおいても、入力インターフェース402は、CDSS400が腎臓結石などのレーザ組織アブレーションシステム100または内視鏡によって対処される医学的状態を評価するために使用される時点またはその前に、特定の患者に関連して判定を収集するように構成される。
【0064】
上記の入力特徴のうちの1つまたは複数に基づいて、コントローラまたはプロセッサ回路148は、判定を生成するためにAIモデルを使用して推論動作を実行する。例えば、入力インターフェース402は、センサデータ信号146をAIモデルの入力層に送達することができ、AIモデルの入力層は、この入力特徴をAIモデルを介して出力層に伝播する。AIモデルは、データの分析において発見されたパターンに基づいて推論を行うことによって、明示的にプログラムされることなく、コンピュータシステムにタスクを実行する能力を提供することができる。AIモデルは、既存のデータから学習し、新しいデータについて予測を行い得るアルゴリズム(例えば、機械学習アルゴリズム)の研究および構築を調査する。そのようなアルゴリズムは、出力または評価として表現されるデータ駆動型の予測または決定を行うために、例示的なトレーニングデータからAIモデルを構築することによって動作する。
【0065】
機械学習(ML)には、教師ありMLと教師なしMLという2つの一般的なモードが存在する。教師ありMLは、入力と出力との間の関係を学習するために事前知識(例えば、入力と出力または結果を関連付ける例)を使用する。教師ありMLの目標は、対応する出力を生成するために入力が与えられたときに、MLモデルが同じ関係を実装することができるように、あるトレーニングデータが与えられたときに、トレーニング入力と出力との間の関係を最もよく近似する関数を学習することである。教師なしMLは、分類もラベル付けもされていない情報を使用するMLアルゴリズムのトレーニングであり、アルゴリズムがガイダンスなしにその情報に基づいて作動することを可能にする。教師なしMLは、データ内の構造を自動的に識別することができるので、探索的分析において有用である。
【0066】
教師ありMLに関する共通のタスクは、分類問題および回帰問題である。カテゴリ化問題とも呼ばれる分類問題は、アイテムをいくつかのカテゴリ値のうちの1つに分類することを目的とする(例えば、この物体は、リンゴかまたはオレンジか)。回帰アルゴリズムは、いくつかのアイテムを(例えば、ある入力の値にスコアを提供することによって)定量化することを目的とする。一般的に使用される教師ありMLアルゴリズムのいくつかの例は、ロジスティック回帰(LR)、ナイーブベイズ、ランダムフォレスト(RF)、ニューラルネットワーク(NN)、ディープニューラルネットワーク(DNN)、行列分解、およびサポートベクターマシン(SVM)である。
【0067】
教師なしMLに関するいくつかの一般的なタスクは、クラスタリング、表現学習、および密度推定を含む。一般的に使用される教師なしMLアルゴリズムのいくつかの例は、K平均法クラスタリング、主成分分析、およびオートエンコーダである。
【0068】
別のタイプのMLは、データを交換することなく、ローカルデータを保持する複数の分散型デバイスにわたってアルゴリズムをトレーニングする連合学習(協調学習としても知られる)である。この手法は、すべてのローカルデータセットが1つのサーバにアップロードされる従来の集中型機械学習技法、ならびにローカルデータサンプルが同一に分散されると仮定することが多い、より古典的な分散型手法とは対照的である。連合学習は、複数のアクターがデータを共有することなく共通の堅牢な機械学習モデルを構築することを可能にし、したがって、データプライバシー、データセキュリティ、データアクセス権、および異種データへのアクセスなどの重要な問題に対処することを可能にする。
【0069】
いくつかの例において、AIモデルは、コントローラまたはプロセッサ回路148による推論動作の実行の前に、連続的または定期的にトレーニングされ得る。次いで、推論動作中、AIモデルに提供される患者固有の入力特徴は、入力層から、1つまたは複数の隠れ層を介して、最終的に距離(Z)の値に対応する出力層に伝播され得る。
【0070】
いくつかの例において、AIモデルは、患者に対応するデータを含むことができるデータベースを含むことができる。データベースは、患者記録をCDSS400に提供することができる。いくつかの例において、AIモデルは、センサ140などのセンサからセンサデータ信号146を受信することができる。
【0071】
推論動作中および/または推論動作に続いて、判定は、ユーザインターフェース(UI)を介してユーザに伝達され得、および/またはプロセッサに接続されたアクチュエータもしくはアラームに所望のアクションを自動的に実行させ得る。例えば、コントローラまたはプロセッサ回路148は、アクチュエータに、内視鏡に対して光ファイバを移動させることができる。代替的には、コントローラまたはプロセッサ回路148は、アラームに、施術者への警報を出させることができる。
【0072】
いくつかの例において、CDSS400は、センサデータ信号146に応答して起こされるアクションを決定するためにオプションで使用され得る。
【0073】
本明細書で説明するいくつかの特徴は、例えば、内視鏡による生体内の医療用途(例えば、硬組織または軟組織)において、様々な標的の組成を識別することができる方法および装置を提供し得る。これは、処置の間中、操作者が内視鏡を通して見られる標的の組成を連続的に監視することを可能にし得る。これは、レーザシステムと組み合わせて使用されることも可能であり、その場合、方法は、標的の組成に基づいて設定を調整するためにレーザシステムにフィードバックを送り得る。この特徴は、操作者によって選択された元のレーザ設定の設定範囲内でレーザ設定の瞬時の調整を可能にし得る。
【0074】
本明細書で説明するいくつかの特徴は、標的の化学組成などの差異を生体内で測定し、所望の効果をよりよく達成するために、レーザ設定を提案するかまたはレーザ設定を自動的に調整するシステムおよび方法を提供するために使用され得る。標的および用途の例は、腎結石のレーザ砕石術、および軟組織のレーザ切開または蒸発を含む。一例において、レーザ、分光システム、およびフィードバック分析器の3つの主要な構成要素が提供される。一例において、レーザシステムのコントローラは、標的組成に基づいて適切なレーザパラメータ設定を用いてレーザ治療を自動的にプログラムし得る。一例において、レーザは、分光器データを用いてトレーニングされた機械学習アルゴリズムに基づいて制御され得る。追加的または代替的に、操作者は、処置中に標的タイプの指示を継続的に受信し、レーザ設定を調整するように促され得る。レーザ設定を調整し、単一の結石標的の組成部分にレーザ治療を適応させることによって、結石のアブレーションまたはダスティング処置が、より高速かつよりエネルギー効率的に実行されることが可能である。
【0075】
本明細書で説明するいくつかの特徴は、インターネット接続と、測定機能を有する他の外科用デバイスへの接続性とを含む、フィードバック分析器にデータ入力を提供するためのシステムおよび方法を提供し得る。それに加えて、レーザシステムは、画像プロセッサなどの別のシステムに入力データを提供し得、それによって、処置モニタは、医療処置に関連する情報を操作者に対して表示し得る。これの一例は、処置中の視野内で、異なる軟組織、血管系、被覆組織、および例えば結石などの同じ標的内の異なる化学組成をより明確に識別することである。
【0076】
本明細書で説明するいくつかの特徴は、異なる組織タイプまたは異なる結石タイプなどの、異なる標的タイプを識別するためのシステムおよび方法を提供し得る。場合によっては、単一の結石構造(例えば、腎臓結石、膀胱結石、膵胆道結石、または胆嚢結石)が、ブルシャイト、リン酸カルシウム(CaP)、シュウ酸カルシウム二水和物(COD)、シュウ酸カルシウム一水和物(COM)、リン酸アンモニウムマグネシウム(MAP)、またはコレステロールベースもしくは尿酸ベースの結石構造などの、その体積全体にわたって2つ以上の異なる組成を有し得る。例えば、標的結石構造は、CODの第1の部分と、COMの第2の部分とを含み得る。一態様によれば、本文書は、生体内で分光データの継続的な収集および分析に基づいて、単一の標的(例えば、単一の結石)内に含まれる異なる組成を継続的に識別するためのシステムおよび方法について説明する。治療(例えば、レーザ療法)は、識別された標的組成に従って適応され得る。例えば、標的の結石内の第1の組成(例えば、COD)の識別に応答して、レーザシステムは、第1のレーザパラメータ設定(例えば、パワー、露光時間、または発射角度など)を用いてプログラムされ、第1の部分をアブレートまたは粉塵化するために、それに応じてレーザビームを送達し得る。分光学的データは、レーザ治療中に継続的に収集および分析され得る。治療される同じ標的結石内の第1の組成とは異なる第2の組成(例えば、COM)の識別に応答して、レーザ治療は、レーザパラメータ設定とは異なる第2のレーザパラメータ設定(例えば、異なるパワー、露光時間、または発射角度など)を用いてレーザシステムをプログラムすることなどによって調整され、同じ標的結石の第2の部分をアブレートまたは粉塵化するために、それに応じてレーザビームを送達し得る。いくつかの例において、複数の異なるレーザ源がレーザシステム内に含まれ得る。異なる組成の結石部分は、異なるレーザ源によって治療され得る。使用する適切なレーザは、結石タイプの識別によって決定され得る。
【0077】
本明細書で説明するいくつかの特徴は、異なるタイプのレーザ源を組み込むことが有利であり得る様々な用途のためのレーザシステムに関連して使用され得る。例えば、本明細書で説明する特徴は、医療診断、治療、および外科的処置などの産業または医療現場において適している場合がある。本明細書で説明する特徴は、内視鏡、レーザ手術、レーザ砕石術、レーザ設定、および/または分光法に関して使用され得る。
【0078】
前述の詳細な説明において、本開示の方法および装置について、その特定の実施形態を参照して説明した。しかしながら、本開示のより広い要旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更が行われ得ることは明らかであろう。したがって、本明細書および図は、限定的ではなく例示的なものとみなされるべきである。
【0079】
本明細書で開示されるデバイスおよび関連する方法をさらに説明するために、例の非限定的なリストを以下に提供する。以下の非限定的な例の各々は、単独で成り立つことができ、または他の例のうちの任意の1つまたは複数と任意の順列または組合せにおいて組み合わされることが可能である。
【0080】
例1において、レーザ組織アブレーションシステムは、内視鏡の内視鏡本体から伸長可能な遠位端を含む光ファイバであって、光ファイバが、光ファイバの遠位端から標的部位に向けて治療用レーザ光を送達し、光ファイバの遠位端に戻り光を受光するように構成された、光ファイバと、戻り光を分光的に測定するように構成されたセンサと、戻り光の分光測定から、戻り光の中にフラッシングイベント光が存在するかどうかの第1の判定を行うことであって、フラッシングイベント光が、光ファイバの遠位端においてフラッシングイベントが発生したときに生成される、ことと、第1の判定に応答して、フラッシングイベントが発生したかどうかを示すフラッシングイベントデータ信号を生成することとを行うように構成されたプロセッサ回路とを備えることができる。
【0081】
例2において、例1のレーザ組織アブレーションシステムは、フラッシングイベント光が治療用レーザ光から分光的に分離されるようにオプションで構成されることが可能である。
【0082】
例3において、例1~2のいずれか1つのレーザ組織アブレーションシステムは、治療用レーザ光が第1の波長を含み、フラッシングイベント光が、第1の波長よりも短い波長を含む分光プロファイルを有するようにオプションで構成されることが可能である。
【0083】
例4において、例1~3のいずれか1つのレーザ組織アブレーションシステムは、プロセッサ回路によって制御可能なアクチュエータであって、アクチュエータが、第1の判定に応答して光ファイバを内視鏡本体に対して近位方向に、指定された距離だけ自動的に後退させるように構成され、指定された距離がフラッシングイベントを終了させるのに十分である、アクチュエータをオプションでさらに備えることができる。
【0084】
例5において、例1~4のいずれか1つのレーザ組織アブレーションシステムは、アクチュエータがホイールを備えるようにオプションで構成されることが可能であり、ホイールが、内視鏡本体に対して位置において固定された中心を有し、ホイールが、光ファイバと接触する周面を有し、ホイールが、プロセッサ回路によって制御可能な回転アクチュエータから回転可能である。
【0085】
例6において、例1~5のいずれか1つのレーザ組織アブレーションシステムは、内視鏡本体の遠位端に配置され、可視照明で標的部位を照明するように構成された照明光源と、内視鏡本体の遠位端に配置され、照明された標的部位のビデオ画像をキャプチャするように構成されたビデオカメラと、プロセッサ回路に結合され、照明された標的部位のビデオ画像を表示するように構成されたビデオディスプレイとをオプションでさらに備えることができ、プロセッサ回路が、フラッシングイベントが発生しているときにビデオディスプレイがビデオ画像を表示しないように、第1の判定に応答してビデオ画像を抑制するようにさらに構成される。
【0086】
例7において、例1~6のいずれか1つのレーザ組織アブレーションシステムは、プロセッサ回路が、戻り光内にフラッシングイベント光がもはや存在しないことを示す戻り光の分光測定から、フラッシングイベントが停止したという第2の判定を行い、第2の判定の行いに応答して、ビデオディスプレイ上にビデオ画像を表示することを再開するようにさらに構成されるように、オプションで構成されることが可能である。
【0087】
例8において、例1~7のいずれか1つのレーザ組織アブレーションシステムは、内視鏡に結合され、制御可能な灌注速度で標的部位に灌注剤を供給するように構成された灌注調整器であって、灌注調整器が、フラッシングイベントデータ信号に対応するデータの受信に応答して灌注速度を増加させるようにさらに構成された、灌注調整器をオプションでさらに備えることができる。
【0088】
例9において、例1~8のいずれか1つのレーザ組織アブレーションシステムは、センサが分光計を備えるようにオプションで構成されることが可能である。
【0089】
例10において、例1~9のいずれか1つのレーザ組織アブレーションシステムは、分光計およびプロセッサ回路が、標的部位の分光プロファイルを生成するためにフラッシングイベント光を使用するようにさらに構成されるようにオプションで構成されることが可能である。
【0090】
例11において、例1~10のいずれか1つのレーザ組織アブレーションシステムは、プロセッサ回路が、標的部位の材料組成を決定するために標的部位の分光プロファイルを使用するようにさらに構成されるようにオプションで構成されることが可能である。
【0091】
例12において、例1~11のいずれか1つのレーザ組織アブレーションシステムは、センサが、戻り光を受光し、治療用レーザ光を第1の光路に沿って導き、フラッシングイベント光を第2の光路に沿って導くように構成されたダイクロイックビームスプリッタと、第2の光路からの光を検出するように構成された光センサとを備えるようにオプションで構成されることが可能である。
【0092】
例13において、レーザ組織アブレーションシステムを動作させるための方法は、内視鏡本体の遠位端に配置された照明光源を用いて、可視光照明スペクトルを有する可視光照明で標的部位を照明するステップと、内視鏡本体の遠位端に配置されたビデオカメラを用いて、照明された標的部位のビデオ画像をキャプチャするステップと、内視鏡本体の遠位端から標的部位に向かって遠位方向に伸長する光ファイバの遠位端から治療用レーザ光を送達するステップであって、治療用レーザ光が少なくとも1つの治療用レーザ光波長を有する、ステップと、光ファイバの遠位端に戻り光を受光するステップと、可視光照明スペクトルと重複せず、少なくとも1つの治療用レーザ光波長を含まない検出スペクトル領域における測定光レベルを決定するために、戻り光の分光測定を実行するステップと、プロセッサ回路を用いて、測定光レベルをしきい値光レベルと比較するステップと、プロセッサ回路を用いて、測定光レベルがしきい値光レベルを超えていると判定するステップと、プロセッサ回路を用いて、測定光レベルがしきい値光レベルを超えているとの判定に応答して、光ファイバの遠位端においてフラッシングイベントが発生したことを示すフラッシングイベントデータ信号を生成するステップとを含むことができる。
【0093】
例14において、例13の方法は、プロセッサ回路を用いて、アクチュエータに、測定光レベルがしきい値光レベルを超えているとの判定に応答して光ファイバを内視鏡本体に対して近位方向に、指定された距離だけ自動的に後退させるステップであって、指定された距離がフラッシングイベントを終了させるのに十分である、ステップをオプションでさらに含むことができる。
【0094】
例15において、例13~14のいずれか1つの方法は、プロセッサ回路に結合されたビデオディスプレイ上に、照明された標的部位のビデオ画像を表示するステップと、プロセッサ回路を用いて、フラッシングイベントが発生しているときにビデオディスプレイがビデオ画像を表示しないように、測定光レベルがしきい値光レベルを超えているとの判定に応答してビデオ画像を抑制するステップとをオプションでさらに含むことができる。
【0095】
例16において、例13~15のいずれか1つの方法は、内視鏡に結合された灌注調整器を用いて、制御可能な灌注速度で標的部位に灌注剤を供給するステップと、灌注調整器を用いて、測定光レベルがしきい値光レベルを超えているとの判定に応答して灌注速度を増加させるステップとをオプションでさらに含むことができる。
【0096】
例17において、レーザ組織アブレーションシステムは、内視鏡本体を有する内視鏡と、内視鏡本体の遠位端に配置され、可視光照明スペクトル範囲を有する可視光照明で標的部位を照明するように構成された照明光源と、内視鏡本体の遠位端に配置され、照明された標的部位のビデオ画像をキャプチャするように構成されたビデオカメラと、照明された標的部位のビデオ画像を表示するように構成されたビデオディスプレイと、内視鏡本体から伸長した光ファイバであって、光ファイバの遠位端から標的部位に向けて治療用レーザ光を送達することであって、治療用レーザ光が少なくとも1つの治療用レーザ光波長を有する、ことと、光ファイバの遠位端に戻り光を受光することとを行うように構成された光ファイバと、戻り光を分光的に測定するように構成された分光計と、プロセッサ回路であって、戻り光の分光測定から、少なくとも1つのフラッシングイベント波長における戻り光の光レベルがしきい値光レベルを超えて上昇したときを判定することであって、少なくとも1つのフラッシングイベント波長が、少なくとも1つの治療用レーザ光波長とは異なり、可視光照明スペクトル範囲外にある、ことと、光レベルがしきい値光レベルを超えて上昇したとの判定に応答して、光ファイバの遠位端においてフラッシングイベントが発生したことを示すフラッシングイベントデータ信号を生成することとを行うように構成されたプロセッサ回路とを備えることができる。
【0097】
例18において、例17のレーザ組織アブレーションシステムは、プロセッサ回路によって制御可能なアクチュエータであって、アクチュエータが、光レベルがしきい値光レベルを超えて上昇したとの判定に応答して光ファイバを内視鏡本体に対して近位方向に、指定された距離だけ自動的に後退させるように構成され、指定された距離がフラッシングイベントを終了させるのに十分である、アクチュエータをオプションでさらに備えることができる。
【0098】
例19において、例17~18のいずれか1つのレーザ組織アブレーションシステムは、プロセッサ回路が、フラッシングイベントが発生しているときにビデオディスプレイがビデオ画像を表示しないように、光レベルがしきい値光レベルを超えて上昇したとの判定に応答してビデオ画像を抑制するようにさらに構成されるようにオプションで構成されることが可能である。
【0099】
例20において、例17~19のいずれか1つのレーザ組織アブレーションシステムは、内視鏡に結合され、制御可能な灌注速度で標的部位に灌注剤を供給するように構成された灌注調整器をオプションでさらに備えることができ、プロセッサ回路は、光レベルがしきい値光レベルを超えて上昇したとの判定に応答して灌注速度を増加させるようにさらに構成される。
【符号の説明】
【0100】
100 レーザ組織アブレーションシステム
102 内視鏡本体
104 照明光源
106 遠位端
108 標的部位
110 ビデオカメラ
112 ビデオディスプレイ
114 レーザ光源
116 光ファイバ
118 遠位端
120 近位部分
122 レーザ光源光ファイバ
124 自由空間光カプラ/スプリッタ
126 コリメートレンズ
128 遠位端
130 ビームスプリッタ
132 双方向集束レンズ
134 戻り経路集束レンズ
136 端
138 戻り経路光ファイバ
140 センサ
142 感光センサ素子
144 センサ回路
146 アナログまたはデジタルセンサデータ信号、センサデータ信号
148 プロセッサ回路
150 ハウジング
152 アクチュエータ
154 灌注調整器
156 灌注ライン
400 コンピュータベースの臨床判断支援システム(CDSS)、CDSS
402 入力インターフェース
404 人工知能(AI)モデル
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】