IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハンコック タイヤ カンパニー リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050525
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】騒音低減タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/13 20060101AFI20240403BHJP
   B60C 11/03 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B60C11/13 C
B60C11/03 100B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023170290
(22)【出願日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】10-2022-0124172
(32)【優先日】2022-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】514040088
【氏名又は名称】ハンコック タイヤ アンド テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HANKOOK TIRE & TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】286,Pangyo-ro,Bundang-gu,Seongnam-si,Gyeonggi-do,13494,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ジョン フン
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BC44
3D131EB11V
3D131EB32X
3D131EB32Y
3D131EB33X
3D131EB33Y
3D131EB35X
3D131EB35Y
3D131EC01V
3D131EC02V
3D131EC12X
3D131EC12Y
(57)【要約】      (修正有)
【課題】タイヤによる騒音を顕著に低減させる、騒音低減タイヤを提供する。
【解決手段】騒音低減タイヤは、両側のサイドウォール部と、前記サイドウォール部の外側円周周りの間を一体に連結するトレッド部10と、前記トレッド部10で走行方向に沿って凹入形成される縦方向溝20と、前記縦方向溝20から前記サイドウォール部側の側方向に凹入形成される横方向溝30と、を含み、前記横方向溝30は、前記サイドウォール部に行くほど多段の側壁階段51状に幅が拡張するように形成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両側のサイドウォール部(5)と、
前記サイドウォール部(5)の外側円周周りの間を一体に連結するトレッド部(10)と、
前記トレッド部(10)で走行方向に沿って凹入形成される縦方向溝(20)と、
前記縦方向溝(20)から前記サイドウォール部(5)側の側方向に凹入形成される横方向溝(30)と、を含み、
前記横方向溝(30)は、前記サイドウォール部(5)に行くほど幅が拡張するように形成されることを特徴とする、騒音低減タイヤ。
【請求項2】
前記横方向溝(30)は、
前記縦方向溝(20)側の端部で前記縦方向溝(20)と連通するように形成されることを特徴とする、請求項1に記載の騒音低減タイヤ。
【請求項3】
前記横方向溝(30)は、
両側壁のうち1つ以上の側壁が1つ以上の側壁階段(51)を含んで多段で幅が拡張する側方向拡張部(50)で形成されることを特徴とする、請求項1に記載の騒音低減タイヤ。
【請求項4】
前記横方向溝(30)は、
横方向溝(30)の長手方向(X-direction)における多段の側壁階段(51)それぞれの幅は、それぞれ横方向溝(30)の幅に対して0.01mm~0.1mmの範囲で順に広がるように構成されることを特徴とする、請求項3に記載の騒音低減タイヤ。
【請求項5】
前記側壁階段(51)は、
前記縦方向溝(20)側が狭く、前記サイドウォール部(5)に行くほど広くなる側面傾斜を有するように構成されることを特徴とする、請求項3に記載の騒音低減タイヤ。
【請求項6】
前記横方向溝(30)は、
前記縦方向溝(20)側の端部で前記縦方向溝(20)と連通し、前記横方向溝(30)の底面の深さは、前記トレッド部(10)の表面に対して前記縦方向溝(20)側が浅く、前記サイドウォール部(5)側が深いように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の騒音低減タイヤ。
【請求項7】
前記横方向溝(30)は、
前記縦方向溝(20)側の端部で前記縦方向溝(20)と連通し、
前記横方向溝(30)の底面が前記サイドウォール部(5)に行くほど徐々に深くなる1つ以上の底面階段(41)を有する底面階段部(40)を含んで構成されることを特徴とする、請求項1に記載の騒音低減タイヤ。
【請求項8】
前記横方向溝(30)は、
前記縦方向溝(20)と離隔することなく前記横方向溝(30)の内側壁を互いに連結する非離隔タイバー(14)、又は前記縦方向溝(20)と離隔して前記横方向溝(30)の内側壁を互いに連結する離隔タイバー(15)のうちいずれか一方のタイバーをさらに含んで構成されることを特徴とする、請求項1に記載の騒音低減タイヤ。
【請求項9】
前記タイバーは、
平坦面又は放物線状に深くなる形状を有することを特徴とする、請求項8に記載の騒音低減タイヤ。
【請求項10】
前記タイバーは、
開始位置が前記縦方向溝(20)から0~3mmまでの前記横方向溝(30)の内側底面に位置するように構成されていることを特徴とする、請求項8に記載の騒音低減タイヤ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用タイヤに関し、さらに詳しくは、騒音低減構造を有する騒音低減タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
走行中の自動車は、自らの空気抵抗、エンジンや変速器などの駆動系の機械的運動、タイヤの路面摩擦などによって騒音が発生するようになる。
【0003】
このような騒音は、運転者と搭乗者の乗り心地を低減するのみならず、不快感を誘発するようになり、車両防音材又は吸音材を用いて騒音を低減しようとする努力が続けられている。
【0004】
環境部は、2019年から欧州連合(EU)で施行中の「タイヤ騒音性能表示制度」を導入すると明らかにし、これに制度施行を控えて騒音を低減するための国内外自動車産業界の努力が盛んでいる。従来は、エンジンなど車両内部の騒音発生を低減することに集中していたが、タイヤのように車両の外部で発生する騒音を最小化するために、タイヤの開発の初期段階から低騒音新技術を適用する事例が増えている。
【0005】
特に、最近市場シェアが急激に増えている電気自動車のためのタイヤは、内燃機関車とは異なる騒音性能が求められている。電気自動車にはエンジンがないため、全体的な騒音レベルが低く、これによるタイヤと路面との摩擦による騒音の寄与が高くなり、タイヤの重要性が大きくなっている。
【0006】
タイヤ騒音のうち、1KHz領域帯の気柱共鳴(pipe resonance)に対するピーク(peak)とピッチ(pitch、走行方向に分けられたブロック)によるピッチノイズ(pitch、noise)は、タイヤ騒音全体で非常に大きい比重を占めている。地面と接触しながらパイプ形状が作られ、各ブロックに衝撃が加えられることで、1KHz帯域の気柱共鳴音とピッチ数に関連する周波数領域のインパクト(impact)騒音が発生する。
【0007】
一般的なタイヤは、排水のために横方向溝(Lateral Groove)をさらに有する。前記タイヤに形成された横方向溝は、地面と接触して衝撃によって騒音を発生するまた他の原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】日本公開特許第2019-529230号(2019.10.17.公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
よって、本発明は上述した従来技術の問題点を解決するためのものであり、道路面とタイヤとの間で発生する不快な騒音を最小化するために、横方向溝で発生する騒音エネルギーを減少させ、ピッチ(pitch)性騒音と関連して影響を受ける気柱共鳴音のピーク(peak)を低減させることで、騒音エネルギーを減少させるようにする騒音低減型タイヤを提供することを技術的課題とする。
【0010】
具体的に、本発明は、横方向溝が側方向拡張部及び底面階段部を有するように設計することで空気のチャネルを狭くし、路面との接触メカニズムを分散させて騒音エネルギーを減少させることによって騒音を低減させる騒音低減タイヤを提供することを解決しようとする技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した目的を達成するための本発明の一実施例は、両側のサイドウォール部5と、前記サイドウォール部5の外側円周周りの間を一体に連結するトレッド部10と、前記トレッド部10で走行方向に沿って凹入形成される縦方向溝20と、前記縦方向溝20から前記サイドウォール部5側の側方向に凹入形成される横方向溝30と、を含み、前記横方向溝30は、前記サイドウォール部5に行くほど幅が拡張するように形成されることを特徴とする騒音低減タイヤを提供する。
【0012】
前記横方向溝30は、前記縦方向溝20側の端部で前記縦方向溝20と連通するように形成されてもよい。
【0013】
前記横方向溝30は、両側壁両側壁のうち1つ以上の側壁が1つ以上の側壁階段51を含んで多段で幅が拡張する側方向拡張部50で形成されてもよい。
【0014】
前記横方向溝30は、横方向溝30の長手方向(X-direction)における多段の側壁階段51それぞれの幅は、それぞれ横方向溝30の幅に対して0.01mm~0.1mmの範囲で順に広がるように構成されてもよい。
【0015】
前記側壁階段51は、前記縦方向溝20側は狭く、前記サイドウォール部5に行くほど広くなる側面傾斜を有するように構成されてもよい。
【0016】
前記横方向溝30は、前記縦方向溝20側の端部で前記縦方向溝20と連通し、前記横方向溝30の底面の深さは、前記トレッド部10の表面に対して前記縦方向溝20側が浅く、前記サイドウォール部5側が深いように構成されてもよい。
【0017】
前記横方向溝30は、前記縦方向溝20側の端部で前記縦方向溝20と連通し、前記横方向溝30の底面が前記サイドウォール部5に行くほど徐々に深くなる1つ以上の底面階段41を有する底面階段部40を含んで構成されてもよい。
【0018】
前記底面階段41は、前記縦方向溝20側が浅く、前記サイドウォール部5に行くほど徐々に深くなる傾斜を有するように構成されてもよい。
【0019】
前記横方向溝30は、前記縦方向溝20側の端部で前記縦方向溝20と連通し、前記連通した端部側にタイヤの円周方向に突出してトレッドパターンブロック11の側面を連結するように前記トレッド部10より低い高さを有して形成されるタイバー14、15をさらに含んで構成されてもよい。
【0020】
前記横方向溝30は、前記縦方向溝20と離隔することなく前記横方向溝30の内側壁を互いに連結する非離隔タイバー14、又は前記縦方向溝20と離隔して前記横方向溝30の内側壁を互いに連結する離隔タイバー15のうちいずれか一方をさらに含んで構成されてもよい。
【0021】
前記非離隔タイバー14又は離隔タイバー15は、平坦面又は放物線状に深くなる形状を有してもよい。
【発明の効果】
【0022】
上述した本発明の一実施例による騒音低減タイヤは、道路面とタイヤとの間で発生する不快な騒音を最小化するために、横方向溝で発生する騒音エネルギーを減少させ、ピッチ(pitch)性騒音と関連して影響を受ける気柱共鳴音のピーク(peak)を低減させることで騒音エネルギーを減少させることによって、タイヤによる騒音を顕著に低減させるという効果を提供する。
【0023】
また、上述した本発明の一実施例による騒音低減タイヤは、横方向溝が側方向拡張部及び階段状を有するように設計して空気のチャネルを狭くし、路面との接触メカニズムを分散させて騒音エネルギーを減少させることによって、タイヤによる騒音を顕著に低減させるという効果を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施例のタイヤの縦方向溝20と横方向溝30を示すトレッド部の部分平面写真(a)とトレッド部の部分傾斜方向写真(b)である。
図2】本発明の一実施例のタイヤ1の縦方向溝20と横方向溝30の側端面図(a)、横方向溝の一側壁に側方向拡張部50が形成された縦方向溝20と横方向溝30の平面図(b)、及び横方向溝の両側壁に側方向拡張部50が形成された縦方向溝20と横方向溝30の平面図(c)である。
図3】速度80kph(km per hour)での走行時におけるタイヤの横方向溝の幅と深さ、及びタイバー(Tie bar)の深さによる音力(sound power)変化実験を行った結果グラフであって、(a)は、タイヤの横方向溝の幅による音力変化を示すグラフであり、(b)は、タイヤの横方向溝の深さによる音力変化を示すグラフ、及び(c)タイヤのタイバーの深さによる音力変化を示すグラフである。
図4A】速度80kphでの走行時におけるタイヤの横方向溝の幅の変化による音力変化実験を行った結果グラフであって、タイヤの縦方向溝側の横方向溝の幅とサイドウォール側の横方向溝の幅とが同一なタイヤ(Refタイヤ)の写真である。
図4B】同、タイヤのサイドウォール側の横方向溝の幅が縦方向溝側の横方向溝の幅に対して1.5倍以上かつ2倍未満の幅に広がるように構成されるタイヤ(小拡張タイヤ(Extended LG Small))の写真である。
図4C】同、タイヤのサイドウォール側の横方向溝の幅が縦方向溝側の横方向溝の幅に対して2倍以上かつ6倍以下に広がるように構成されるタイヤ(大拡張タイヤ(Extended LG Large))の写真である。
図4D】同、Refタイヤ、小拡張タイヤ及び大拡張タイヤ毎の音力変化を示すグラフである。
図4E】同、タイヤ毎の1/3オクターブバンドの音力変化を示すグラフである。
図5A】速度80kphでの走行時におけるタイバー14、15と横方向溝の深さとの組み合わせによる音力変化実験を行うための、互いに異なるタイバーと横方向溝の深さとの組み合わせを有するタイヤであって、非離隔タイバー/大深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar0mm_Large Depth)を示す。
図5B】同、非離隔タイバー/中深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar0mm_MIddle Depth)を示す。
図5C】同、非離隔タイバー/小深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar0mm_Small Depth)を示す。
図5D】同、離隔タイバー/大深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar3mm_Large Depth)を示す。
図5E】同、離隔タイバー/中深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar3mm_MIddle Depth)を示す。
図5F】同、離隔タイバー/小深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar3mm_Small Depth)を示す図である。
図6】速度80kphでの走行時におけるタイバーと横方向溝の深さとの組み合わせによる音力変化実験を行うための、互いに異なるタイバーと横方向溝の深さとの組み合わせを有するタイヤであって、(a)は、図5のタイヤの音力測定値を示すグラフであり、(b)は、図5のタイヤの1/3オクターブバンドの中心周波数毎の音力変化を測定したグラフである。
図7】速度80kphでの走行時におけるタイバーと横方向溝の深さとの組み合わせによる音力変化実験を行うための、互いに異なるタイバーと横方向溝の深さとの組み合わせを有するタイヤであって、(a)は、図5の非離隔タイバー/大深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar0mm_Large Depth)、非離隔タイバー/中深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar0mm_MIddle Depth)、非離隔タイバー/小深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar0mm_Small Depth)の音力測定グラフであり、(b)は、図5の離隔タイバー/大深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar3mm_Large Depth)、離隔タイバー/中深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar3mm_MIddle Depth)、離隔タイバー/小深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar3mm_Small Depth)の音力測定グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
下記で本発明を説明するにあたって、関連する公知の機能又は構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0026】
本発明の概念による実施例は様々な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるので、特定の実施例を図面に例示して本明細書又は出願書に詳細に説明する。しかし、これは本発明の概念による実施例を特定の開示形態に限定しようとするものでなく、本発明は、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されるべきである。
【0027】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるか「接続されて」いると言及されたときは、他の構成要素に直接的に連結されているか、又は接続されていることもできるが、それらの間にまた他の構成要素が存在することもできると理解すべきである。一方、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるか「直接接続されて」いると言及されたときは、それらの間にまた他の構成要素が存在しないと理解すべきである。構成要素間の関係を説明する他の表現、すなわち「~の間に」と「すぐ~の間に」又は「~に隣接する」と「~に直接隣接する」なども同様に解釈されるべきである。
【0028】
本明細書で使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図でない。単数の表現は、文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書で、「含む」又は「有する」などの用語は、記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部分品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部分品又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0029】
以下、本発明の実施例を示す添付図面を参照して本発明をさらに詳しく説明する。
【0030】
図1は、本発明の一実施例のタイヤの縦方向溝20と横方向溝30を示すトレッド部の部分平面写真(a)と、トレッド部の部分傾斜方向写真(b)であり、図2は、本発明の一実施例のタイヤ1の縦方向溝20と横方向溝30の側端面図(a)、横方向溝の一側壁に側方向拡張部50が形成された縦方向溝20と横方向溝30の平面図(b)、及び横方向溝の両側壁に側方向拡張部50が形成された縦方向溝20と横方向溝30の平面図(c)である。
【0031】
図1及び図2のように、本発明の一実施例の騒音低減タイヤ1は、両側のサイドウォール部5、前記サイドウォール部5の外側円周周りの間を一体に連結するトレッド部10、前記トレッド部10で走行方向に沿って凹入形成される縦方向溝20、及び前記縦方向溝20から前記サイドウォール部5側の側方向に凹入形成される横方向溝(LG、Lateral Groove)30を含み、前記横方向溝30は、前記サイドウォール部5に行くほど幅が拡張するように形成されることを特徴とする。
【0032】
前記横方向溝30は、前記縦方向溝20側の端部で前記縦方向溝20と連通するように形成されてもよい。
【0033】
前記横方向溝30は、両側壁のうち1つ以上の側壁が1つ以上の側壁階段51を含んで多段で幅が拡張する側方向拡張部50で形成されてもよい。
【0034】
前記側壁階段51は、前記縦方向溝20側が狭く、前記サイドウォール部5に行くほど広くなる側面傾斜を有するように構成されてもよい。
【0035】
横方向溝30の長手方向における側壁階段51は、1段、2段、3段などの多段で構成されてもよい。
【0036】
横方向溝の長手方向において、それぞれの側壁階段51の多段数を設定する基準は、縦方向溝20の連結部分の横方向溝30の幅に対して0.01mm~0.1mmの範囲で順に広くなってもよい。
【0037】
横方向溝の長手方向において、2段又は3段を設定する基準は、主溝連結部分の横方向溝の幅に対して0.01mm以上広くなる場合の全てである。
【0038】
上記の構成において、互いに隣接する前記側壁階段51間の側壁段差は、0.5mm~4mmの範囲を有するように形成されてもよい。
【0039】
前記側壁階段51の拡張形態及び階段形態の変化位置は、横方向溝30のサイズによって自由に変更されてもよい。前記側壁階段51の拡張形態及び階段形態の混合時における適正位置は、実際タイヤの接地形状の接地幅を考慮しなければならず、3段を例として、2段の始点は定走時の接地幅(TW(tread width)の約90~95%地点)と同様でなければならず、3段の始点は、適正旋回時の接地幅(TW(tread width)の約100~105%地点)と同様でなければならない。
【0040】
前記横方向溝30は、前記縦方向溝20側の端部で前記縦方向溝20と連通し、前記横方向溝30の底面の深さが前記トレッド部10の表面に対して、前記縦方向溝20側が浅く、前記サイドウォール部5側が深いように構成されてもよい。
【0041】
前記横方向溝30は、前記縦方向溝20側の端部で前記縦方向溝20と連通し、前記横方向溝30の底面が前記サイドウォール部5に行くほど徐々に深くなる1つ以上の底面階段41を有する底面階段部40を含んで構成されてもよい。
【0042】
上記の構成において、互いに燐接する前記底面階段41間の高さ方向段差は、0.5mm~4mmの範囲を有するように形成されてもよい。
【0043】
前記底面階段41は、前記縦方向溝20側が浅く、前記サイドウォール部5に行くほど徐々に深くなる傾斜を有するように構成されてもよい。
【0044】
前記横方向溝30は、前記縦方向溝20側の端部で前記縦方向溝20と連通し、前記連通した端部側にタイヤの円周方向に突出してトレッドパターンブロック11の側面を連結するように前記トレッド部10より低い高さを有して形成されるタイバー15をさらに含んで構成されてもよい。
【0045】
前記横方向溝30の横方向溝の底面31は、上述した階段部に限定されず、下記の図5で説明するように、平坦部又は可変する傾斜を有する放物面などの傾斜面で形成されてもよい。
【0046】
また、前記横方向溝30の前記側方向拡張部50の側壁は、上述した階段部に限定されず、下記の図3で説明するように、トレッド部10のサイドウォール部5に向かう側方向中心線に対して一定の角度を有する直線状に形成されてもよい。
【0047】
上述した構成の本発明の一実施例の騒音低減タイヤ1は、排水溝として機能する横方向溝30の深さ方向の底面に底面階段部40を形成し、トレッド部10の走行方向の断面に側方向拡張部50を形成することで、直進走行時の騒音の発生量を低減し、路面に接地するときの横方向溝30の衝撃を分散してピッチ(pitch)性騒音を低減する作用効果を提供する。
【0048】
以下、図3ないし図7は、本発明の一実施例の騒音低減タイヤ1の騒音低減性能を実験した結果を示す図である。
【0049】
図3は、速度80kphでの走行時におけるタイヤの横方向溝30の幅と深さ及びタイバー15の深さによる音力変化実験を行った結果グラフであって、(a)は、タイヤの横方向溝の幅による音力変化を示すグラフであり、(b)は、タイヤの横方向溝の深さによる音力変化を示すグラフ、及び(c)は、タイヤのタイバーの深さによる音力変化を示すグラフである。
【0050】
図3は、基本的にタイヤの横方向溝30の幅と、深さ、タイバー15の形態によるタイヤ騒音を比較した結果を示す。
【0051】
具体的に、図3の(a)は、タイヤ1の横方向溝30の幅による音力変化を示すグラフであり、横方向溝30の幅が細くなるほど音力が減少することを確認することができた。
【0052】
図3の(b)は、タイヤ1の横方向溝30の深さによる音力変化を示すグラフであり、横方向溝30の深さが浅くなるほどタイヤ1単品の騒音性能が有利であるを確認することができた。
【0053】
図3の(c)は、タイヤ1の横方向溝30の縦方向溝20側に形成されるタイバー15の上部面からトレッド部10までの距離であるタイバー15の深さによる音力変化を示すグラフであり、タイバー15の深さが浅くなるほどタイヤ1単品の騒音性能が有利であるを確認することができた。
【0054】
図4は、速度80kphでの走行時におけるタイヤの横方向溝の幅の変化による音力変化実験を行った結果グラフであって、(a)は、タイヤの縦方向溝側の横方向溝の幅とサイドウォール側の横方向溝の幅とが同一なタイヤ(Refタイヤ)の写真、(b)は、タイヤのサイドウォール側の横方向溝の幅が縦方向溝側の横方向溝の幅に対して1.5倍以上かつ2倍未満の幅に広がるように構成されるタイヤ(小拡張タイヤ(Extended LG Small))の写真、(c)は、タイヤのサイドウォール側の横方向溝の幅が縦方向溝側の横方向溝の幅に対して2倍以上かつ6倍以下に広がるように構成されるタイヤ(大拡張タイヤ(Extended LG Large))の写真、(d)は、Refタイヤ、小拡張タイヤ及び大拡張タイヤ毎の音力変化を示すグラフ、及び(e)は、タイヤ毎の1/3オクターブバンドの音力変化を示すグラフである。
【0055】
図4の実験は、側壁階段51を2段にして行った結果である。
【0056】
80kphで走行する際、図4の(d)のように、一般のRefタイヤ(図4の(a))に比べ、小拡張タイヤ(Extended LG Small、図4の(b))及び大拡張タイヤ(Extended LG Large、図4の(c))の場合、騒音低減に有利であるを確認した。また、その効果は、周波数領域を基準として800~2500Hzまで影響を及ぼすことを確認した。また、ピッチ(Pitch)によるインパクト(impact)騒音が減少し、これにより1KHz付近全般で騒音が減少するという効果を確認した。
【0057】
図5は、速度80kphでの走行時におけるタイバーと横方向溝の深さとの組み合わせによる音力変化実験を行うための、互いに異なるタイバーと横方向溝の深さとの組み合わせを有するタイヤであって、(a)は、非離隔タイバー/大深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar0mm_Large Depth)、(b)は、非離隔タイバー/中深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar0mm_MIddle Depth)、(c)は、非離隔タイバー/小深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar0mm_Small Depth)、(d)は、離隔タイバー/大深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar3mm_Large Depth)、(e)は、離隔タイバー/中深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar3mm_MIddle Depth)、(f)は、離隔タイバー/小深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar3mm_Small Depth)を示す図である。
【0058】
図6は、速度80kphでの走行時におけるタイバーと横方向溝の深さとの組み合わせによる音力変化実験を行うための、互いに異なるタイバーと横方向溝の深さとの組み合わせを有するタイヤの騒音測定結果を示すグラフであって、(a)は、図5のタイヤの音力測定値を示すグラフであり、(b)は、図5のタイヤの1/3オクターブバンドの中心周波数毎の音力変化を測定したグラフである。
【0059】
図7は、速度80kphでの走行時におけるタイバーと横方向溝の深さとの組み合わせによる音力変化実験を行うための、互いに異なるタイバーと横方向溝の深さとの組み合わせを有するタイヤのタイバー15と、横方向溝30の深さ毎の騒音測定結果を示すグラフであって、(a)は、図5の非離隔タイバー/大深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar0mm_Large Depth)、非離隔タイバー/中深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar0mm_MIddle Depth)、非離隔タイバー/小深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar0mm_Small Depth)の音力測定グラフであり、(b)は、図5の離隔タイバー/大深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar3mm_Large Depth)、離隔タイバー/中深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar3mm_MIddle Depth)、離隔タイバー/小深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar3mm_Small Depth)の音力測定グラフである。
図5ないし図7は、深さ方向の断面を基準としてタイバーと拡張形態とを組み合わせた場合の騒音低減効果に対する実験、及びその結果を示す。
【0060】
図5において、非離隔タイバー14は、縦方向溝20との離隔のないタイバーを意味し、離隔タイバー15は、縦方向溝20との離隔のあるタイバーを意味する。また前記タイバー14、15は、平坦面及び放物線状に深くなる形状を有してもよい。
【0061】
前記非離隔タイバー14は、前記縦方向溝20と離隔することなく前記横方向溝30の内側壁を互いに連結するように構成される。
【0062】
前記離隔タイバー15は、前記縦方向溝20と離隔して前記横方向溝30の内側壁を互いに連結するように構成される。
【0063】
前記タイバー14、15は、開始位置が前記縦方向溝20から0~3mmまでの前記横方向溝30の内側底面に位置してもよい。
【0064】
図5(a)の非離隔タイバー/大深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar0mm_Large Depth)は、非離隔タイバー14が横方向溝30と離隔することなく、横方向溝30の縦方向溝20側の底面2~3mmの領域がトレッドパターンブロック11の面から2~3mm下に位置し、以降の底面は、縦方向溝20の底面の高さとほぼ同じ高さを有する平坦面を有するように構成した。
【0065】
図5(b)の非離隔タイバー/中深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar0mm_MIddle Depth)は、非離隔タイバー14が横方向溝30と離隔することなく、横方向溝30の縦方向溝20側の底面2~3mmの領域がトレッドパターンブロック11の面から2~3mm下に位置し、以降の底面は、トレッドパターンブロック11の面から最大深さが約5~7mmである放物線状に深くなるように構成した。
【0066】
図5(c)の非離隔タイバー/小深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar0mm_Small Depth)は、非離隔タイバー14が横方向溝30と離隔することなく、横方向溝30の縦方向溝20側の底面2~3mmの領域がトレッドパターンブロック11の面から2~3mm下に位置し、以降の底面は、トレッドパターンブロック11の面から最大深さが約3~4mmである放物線状に深くなるように構成した。
【0067】
図5(d)の離隔タイバー/大深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar3mm_Large Depth)は、トレッドパターンブロック11の面から2~3mm下に上部面が位置する離隔タイバー15が形成され、横方向溝30の縦方向溝20側の離隔タイバー15以降の底面3mmの領域がトレッドパターンブロック11の面から2~3mm下に位置し、以降の底面は縦方向溝20の底面の高さとほぼ同じ高さを有する平坦面を有するように構成した。
【0068】
図5(e)の離隔タイバー/中深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar3mm_MIddle Depth)は、トレッドパターンブロック11の面から2~3mm下に上部面が位置する離隔タイバー15が形成され、横方向溝30の縦方向溝20側の離隔タイバー15以降の底面2~3mmの領域がトレッドパターンブロック11の面から2~3mm下に位置し、以降の底面は、トレッドパターンブロック11の面から最大深さが約5~7mmである放物線状に深くなるように構成した。
【0069】
図5(f)の離隔タイバー/小深さの横方向溝を有するタイヤ(Tiebar3mm_Small Depth)は、トレッドパターンブロック11の面から2~3mm下に上部面が位置する離隔タイバー15が形成され、横方向溝30の縦方向溝20側の離隔タイバー15以降の底面2~3mmの領域がトレッドパターンブロック11の面から2~3mm下に位置し、以降の底面は、トレッドパターンブロック11の面から最大深さが約3~4mmである放物線状に深くなるように構成した。
【0070】
実験の結果、一般のRefタイヤに比べ、タイバー14、15に適用するときに騒音がわずか減少した。また、深さ方向に3レベルの階段を形成して評価した結果、横方向溝30のボリュームによって明確な差を有することを確認した。
【0071】
タイバー14、15の位置を変更する場合も類似の傾向を示した。図6の(b)のように、周波数領域を基準として630~4,000Hzの広い範囲で騒音が低減することも確認した。タイバー14、15の位置変更の場合、タイバー14、15の位置に応じて同一の効果を有し、これによって、タイバー14、15の開始位置に横方向溝30から0~3mmまで離隔時に、多様性を有して騒音低減の効果を有することを確認した。
【0072】
上述した図5ないし図7の実験の結果、トレッド部10の深さ方向及び走行方向の断面にそれぞれ底面階段部40と側方向拡張部50を適用した横方向溝30を適用したとき、パターン騒音の点で騒音低減効果が顕著であり、室内タイヤ単品の騒音及びパスバイノイズ(pass by noise)も低減することを確認した。
【0073】
同一の接地形状及び同一の横方向溝30のボリューム(volume)において、横方向溝30の長手方向(図1を参照)を基準に階段形式の段階差が大きいほど、定走時に発生するエアポンピングノイズ(air pumping noise)が小さかった。
【0074】
上述した構成の本発明の実施例のタイヤ1は、レーシングカー、電気自動車、一般車両など様々な車両に適用することができる。
【0075】
上記で説明した本発明の技術的思想は好ましい実施例で具体的に記述されたが、上記実施例はその説明のためのものであり、その制限のためのものではないことにに注意されたい。また、本発明の技術的分野の通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想の範囲内で様々な実施例が可能であるを理解できるであろう。よって、本発明の真の技術的保護範囲は、添付の特許請求の範囲の技術的思想によって定められるべきである。
【符号の説明】
【0076】
1:タイヤ
5:サイドウォール部
10:トレッド部
11:トレッドパターンブロック
14:非離隔タイバー(Tie bar)
15:離隔タイバー(Tie bar)
20:縦方向溝
30:横方向溝
31:横方向溝の底面
40:底面階段部
41:底面階段
50:側方向拡張部
51:側壁階段
Extended LG Small:小拡張タイヤ
Extended LG Large:大拡張タイヤ
Tiebar0mm_Large Depth:非離隔タイバー/大深さの横方向溝を有するタイヤ
Tiebar0mm_MIddle Depth:非離隔タイバー/中深さの横方向溝を有するタイヤ
Tiebar0mm_Small Depth:非離隔タイバー/小深さの横方向溝を有するタイヤ
Tiebar3mm_Large Depth:離隔タイバー/大深さの横方向溝を有するタイヤ
Tiebar3mm_MIddle Depth:離隔タイバー/中深さの横方向溝を有するタイヤ
Tiebar3mm_Small Depth:離隔タイバー/小深さの横方向溝を有するタイヤ

図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
図7