(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005056
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】車載装置、データ収集装置、データ収集システムおよびデータ収集方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240110BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G08G1/00 J
G08G1/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105046
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】糠野 友彦
(72)【発明者】
【氏名】濱岡 達哉
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181FF05
5H181FF10
5H181MC18
5H181MC19
(57)【要約】
【課題】交通安全施設の視認性の低下を精度良く判定することができる車載装置、データ収集装置、データ収集システムおよびデータ収集方法を提供する。
【解決手段】実施形態の一態様に係る車載装置においては、コントローラを備える。コントローラは、車両の周辺が撮像された画像データを取得し、取得した画像データに基づいて、画像データにおける交通安全施設の位置と、当該交通安全施設の周辺に存在する植物の位置とを検出する。また、コントローラは、検出した植物の位置が交通安全施設の視認の障害となる障害位置であるか否かを判定する判定処理を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラを備えた車載装置であって、
前記コントローラは、
車両の周辺が撮像された画像データを取得し、
取得した前記画像データに基づいて、前記画像データにおける交通安全施設の位置と、当該交通安全施設の周辺に存在する植物の位置とを検出し、
検出した前記植物の位置が前記交通安全施設の視認の障害となる障害位置であるか否かを判定する判定処理を実行する、
車載装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記判定処理において前記植物の位置が前記障害位置であると判定された場合、前記判定処理に用いられた前記画像データと、前記画像データが撮像された撮像位置を示す撮像位置情報とをデータ収集装置へ送信する、
請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
今回の前記判定処理に用いられた前記画像データの撮像位置が、前記データ収集装置に既に送信された前記撮像位置情報に含まれる撮像位置と同じである場合、今回の前記判定処理に用いられた前記画像データおよび当該画像データの前記撮像位置情報の前記データ収集装置への送信を禁止する、
請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
車両が、前記植物の位置が前記障害位置であると判定された前記判定処理に用いられた前記画像データの撮像位置を通過するとき、前記車両が過去に当該画像データを撮像した時点から時間経過した経過画像データであって、前記交通安全施設および前記植物を含む経過画像データを取得し、
取得した前記経過画像データをデータ収集装置へ送信する、
請求項1に記載の車載装置。
【請求項5】
他車両に搭載された他車載装置によって前記経過画像データが取得されているとき、前記コントローラは、
取得した前記経過画像データが、前記データ収集装置によって設定された収集条件を満たす場合に、当該経過画像データを前記データ収集装置へ送信する、
請求項4に記載の車載装置。
【請求項6】
コントローラを備えたデータ収集装置であって、
前記コントローラは、
車載装置において、車両の周辺が撮像された画像データに含まれる植物の位置が交通安全施設の視認の障害となる障害位置であると判定された場合に、前記画像データを収集する、
データ収集装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記画像データと、前記車両が過去に当該画像データを撮像した時点から時間経過した経過画像データであって、前記交通安全施設および前記植物を含む経過画像データとを収集し、
収集した前記画像データおよび前記経過画像データに基づいて、前記植物が前記交通安全施設の視認性に与える影響の傾向を示す傾向情報を生成する、
請求項6に記載のデータ収集装置。
【請求項8】
前記コントローラは、
現在の季節情報、収集した前記画像データおよび前記経過画像データに基づいて、前記傾向情報を生成する、
請求項7に記載のデータ収集装置。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記傾向情報を前記交通安全施設を管理する管理者に通知する、
請求項7または8に記載のデータ収集装置。
【請求項10】
車載装置と、前記車載装置からデータを収集するデータ収集装置とを含むデータ収集システムであって、
前記車載装置は、
車両の周辺が撮像された画像データを取得し、
取得した前記画像データに基づいて、前記画像データにおける交通安全施設の位置と、当該交通安全施設の周辺に存在する植物の位置とを検出し、
検出した前記植物の位置が前記交通安全施設の視認の障害となる障害位置であるか否かを判定する判定処理を実行し、
前記判定処理において前記植物の位置が前記障害位置であると判定された場合、前記判定処理に用いられた前記画像データを前記データ収集装置へ送信し、
前記データ収集装置は、
前記車載装置から送信された前記画像データを収集する、
データ収集システム。
【請求項11】
車載装置と、前記車載装置からデータを収集するデータ収集装置とを含むデータ収集システムにおいて用いられるデータ収集方法であって、
前記車載装置が、
車両の周辺が撮像された画像データを取得し、
取得した前記画像データに基づいて、前記画像データにおける交通安全施設の位置と、当該交通安全施設の周辺に存在する植物の位置とを検出し、
検出した前記植物の位置が前記交通安全施設の視認の障害となる障害位置であるか否かを判定する判定処理を実行し、
前記判定処理において前記植物の位置が前記障害位置であると判定された場合、前記判定処理に用いられた前記画像データを前記データ収集装置へ送信し、
前記データ収集装置が、
前記車載装置から送信された前記画像データを収集する、
データ収集方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置、データ収集装置、データ収集システムおよびデータ収集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、信号機や道路標識などの交通安全施設が撮像された画像データに対して画像処理を施し、かかる交通安全施設を識別する技術が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した交通安全施設においては、周辺に存在する樹木や生垣などの植物が覆いかぶさり、交通安全施設の視認性が低下することがある。しかしながら、従来技術には、交通安全施設の視認性の低下を精度良く判定するという点で、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、交通安全施設の視認性の低下を精度良く判定することができる車載装置、データ収集装置、データ収集システムおよびデータ収集方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、車載装置において、コントローラを備える。前記コントローラは、車両の周辺が撮像された画像データを取得し、取得した前記画像データに基づいて、前記画像データにおける交通安全施設の位置と、当該交通安全施設の周辺に存在する植物の位置とを検出する。また、前記コントローラは、検出した前記植物の位置が前記交通安全施設の視認の障害となる障害位置であるか否かを判定する判定処理を実行する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、交通安全施設の視認性の低下を精度良く判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るデータ収集システムの概要を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るデータ収集システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、車載装置の構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、画像データにおける交通安全施設等の位置の検出を説明する図である。
【
図6】
図6は、データ収集装置の構成例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、傾向情報の通知が行われた管理者端末装置のディスプレイを示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る車載装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施形態に係るデータ収集装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する車載装置、データ収集装置、データ収集システムおよびデータ収集方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
<データ収集システムの概要>
まず、実施形態に係るデータ収集システムの概要について、
図1を用いて説明する。
図1は、実施形態に係るデータ収集システムの概要を示す図である。
【0011】
図1に示すように、実施形態に係るデータ収集システム1は、車両V-1,V-2…にそれぞれ搭載された車載装置10-1,10-2…と、データ収集装置100とを含む。なお、以下では、車両全般を指す場合には「車両V」と、また、車載装置全般を指す場合には「車載装置10」と、それぞれ記載する。
【0012】
車載装置10は、例えばカメラ、GPS(Global Positioning System)センサといった各種センサ、記憶デバイス、マイクロコンピュータなどを有する装置であって、データ収集装置100と通信可能に接続される。
【0013】
上記したカメラは、例えば車両Vの周辺を撮像して画像データを出力する。画像データは、動画データであるが、これに限られず、静止画データなどであってもよい。GPSセンサは、車両Vの位置を検出する。車載装置10としては、ドライブレコーダを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0014】
データ収集装置100は、例えばインターネットや携帯電話回線網等のネットワークN(
図2参照)を介したクラウドサービスを提供するクラウドサーバとして構成され、各種の処理を実行する。なお、データ収集装置100は、複数のサーバを用いて分散処理を行う構成であってもよい。
【0015】
ところで、車両Vが走行する道路沿いには、交通安全施設が設置される。交通安全施設としては、例えば信号機や道路標識、交通情報板などがある。なお、
図1では、信号機Aを交通安全施設の一例として示している。
【0016】
また、信号機Aなどの交通安全施設の周辺には、樹木や生垣などの植物Bが存在する場合がある。かかる植物Bは、例えば生長によって信号機Aの信号灯部分に覆いかぶさってしまい、信号機Aの視認性(可視性)が低下することがある。
【0017】
そこで、本実施形態に係る車載装置10にあっては、交通安全施設(ここでは信号機A)の視認性の低下を精度良く判定することができるようにした。
【0018】
具体的に説明すると、車載装置10(正確には車載装置10-1)は、カメラを用いて車両Vの周辺を撮像し、車両Vの周辺が撮像された画像データを取得する(ステップS1)。次いで、車載装置10は、取得した画像データに基づいて、画像データ内における植物Bの位置が信号機Aの視認の障害となる障害位置であるか否かを判定する判定処理を実行する(ステップS2)。
【0019】
具体的には、車載装置10は、画像データにおける信号機Aの位置と、植物Bの位置とを検出する。そして、車載装置10は、画像データ内において植物Bの位置が信号機Aの位置と重複する、あるいは隣接するような場合、植物Bの位置が障害位置であると判定する。すなわち、車載装置10は、植物Bの位置が障害位置であるため、交通安全施設(ここでは信号機A)の視認性が低下している、あるいは視認性が低下する可能性があると判定することができる。
【0020】
一方、車載装置10は、画像データ内において植物Bの位置が信号機Aの位置と重複せず、また所定距離以上離間しているような場合、植物Bの位置は障害位置ではないと判定する。すなわち、車載装置10は、植物Bの位置が障害位置ではないため、交通安全施設(ここでは信号機A)の視認性が低下していない、あるいは視認性が低下する可能性がないと判定することができる。
【0021】
なお、上記した所定距離は、例えば植物Bの位置と信号機Aの位置とが隣接していないと推定される値に設定されるが、これに限定されるものではない。また、植物Bの位置が障害位置であるか否かを判定については、
図3および
図5などを参照して後述する。
【0022】
このように、本実施形態に係る車載装置10にあっては、車両Vの周辺が撮像された画像データにおける交通安全施設(信号機A)の位置と植物Bの位置とを検出し、検出した植物Bの位置が障害位置であるか否かを判定する判定処理を実行するようにした。
【0023】
これにより、本実施形態にあっては、判定処理の判定結果により、交通安全施設(ここでは信号機A)の視認性の低下を精度良く判定することができる。
【0024】
また、信号機Aの視認性が低下した場合、植物Bの剪定作業などの対策を行って信号機Aの視認性を改善する必要がある。そこで、本実施形態にあっては、植物Bが信号機Aの視認性に与える影響の傾向を分析するようにした。そして、本実施形態にあっては、分析結果である傾向情報を、交通安全施設の管理者に通知することで、視認性が悪化する傾向にある地点の植物Bに対して優先的に剪定作業などの対策が行えるようにした。
【0025】
具体的に説明すると、車載装置10は、判定処理において植物Bの位置が障害位置であると判定された場合、判定処理に用いられた画像データ、および、画像データが撮像された撮像位置Xを示す撮像位置情報などをデータ収集装置100へ送信する(ステップS3)。なお、車載装置10は、画像データが撮像された時間帯を示す撮像時間帯情報をデータ収集装置100へ送信してもよい。
【0026】
データ収集装置100は、車載装置10から画像データなどを収集すると、対象となる車両Vから画像データ等を収集するための収集条件を設定する。収集条件には、画像データが撮像された撮像位置X、撮像時間帯、収集の時間間隔(例えば1日毎)などの情報が設定されるが、これに限定されるものではない。
【0027】
そして、データ収集装置100は、設定した収集条件を配信対象となる車両Vの車載装置10に対して配信する(ステップS4)。配信対象は、例えば撮像位置Xを含む都道府県に車両登録されている車両V、走行履歴などから撮像位置Xを比較的多く通過すると推定される車両V、ナビゲーション装置の経路情報から撮像位置Xを通過すると推定される車両Vなどの車載装置10であるが、これらは例示であって限定されるものではない。なお、
図1では、車両V-2の車載装置10-2が配信対象である例を示している。
【0028】
そして、車載装置10-2は、車両V-2が、上記した収集条件の撮像位置Xを通過するとき、カメラで信号機Aおよび植物Bを撮像し、信号機Aおよび植物Bを含む経過画像データを取得する(ステップS5)。
【0029】
上記した経過画像データは、車載装置10-1のカメラによって画像データが撮像された時点から時間経過したときに撮像された画像データである。詳しくは、経過画像データは、車両Vが過去に画像データ(ここではステップS1の画像データ)を撮像した時点から時間経過した画像データであって、交通安全施設(ここでは信号機A)および植物Bを含む画像データである。なお、
図1では、過去に画像データを撮像する車両(車両V-1)と経過画像データを撮像する車両(車両V-2)とが異なる車両である例を示したが、これに限定されるものではなく、同じ車両であってもよい。
【0030】
次いで、車載装置10-2は、取得した経過画像データをデータ収集装置100へ送信する(ステップS6)。
【0031】
次いで、データ収集装置100は、収集した画像データおよび経過画像データに基づいて、植物Bが信号機Aの視認性に与える影響の傾向を示す傾向情報を生成する(ステップS7)。
【0032】
例えば、データ収集装置100は、画像データと経過画像データとを比較し、画像データあるいは経過画像データ内において植物Bの位置と信号機Aの位置とが重複する面積が時間経過に伴って増大しているような場合、信号機Aの視認性が悪化する傾向にあることを示す傾向情報を生成する。具体的には、データ収集装置100は、当該植物Bに対して剪定作業などの対策を行う優先度を示す対策優先度が高く設定された傾向情報を生成する。
【0033】
次いで、データ収集装置100は、生成した傾向情報を交通安全施設の管理者に通知する(ステップS8)。なお、データ収集装置100は、傾向情報等に基づいて、視認性が低下していると判定された交通安全施設の位置を対策優先度とともにマップ化して管理者に通知するが、これについては
図9を参照して後述する。
【0034】
そして、管理者は、通知された傾向情報を元に、例えば視認性が低下していると判定された交通安全施設付近の植物Bであって、対策優先度が高く設定された植物Bに対して優先的に剪定作業などの対策を行うことができる。これにより、本実施形態にあっては、視認性が低下していると判定された交通安全施設が複数ある場合であっても、交通安全施設の視認性を効率よく改善していくことが可能になる。
【0035】
<データ収集システムの全体構成>
図2は、実施形態に係るデータ収集システム1の構成例を示すブロック図である。なお、
図2等のブロック図では、実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0036】
換言すれば、
図2等のブロック図に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0037】
また、
図2以降の説明では、既に説明済みの構成要素については、説明を簡略するか、省略する場合がある。
【0038】
図2に示すように、実施形態に係るデータ収集システム1は、上記した車載装置10と、データ収集装置100と、管理者端末装置200とを含み、各装置は互いに通信ネットワークNを介して通信可能に接続される。なお、
図2では、図示の簡略化のため、車載装置10を1つ示しているが、複数であってもよい。
【0039】
管理者端末装置200は、交通安全施設を管理する管理者によって利用される装置である。管理者端末装置200としては、例えばPC(Personal Computer)、スマートフォンやタブレット端末などを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0040】
<車載装置>
次いで、車載装置10の構成について
図3を参照して説明する。
図3は、車載装置10の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、車載装置10は、通信部11と、カメラ12と、GPSセンサ13と、車載コントローラ(制御部)20と、記憶部30とを備える。
【0041】
通信部11は、通信ネットワークNに双方向通信可能に接続する通信インターフェイスであり、データ収集装置100や管理者端末装置200などとの間で情報の送受信を行う。
【0042】
カメラ12は、車両Vの周辺(例えば前方や後方、左右方向など)を撮像し、撮像された画像データを車載コントローラ20へ出力する。GPSセンサ13は、車両Vの位置を検出し、検出した車両Vの位置を示す位置情報を車載コントローラ20へ出力する。
【0043】
記憶部30は、例えば、不揮発性メモリやデータフラッシュ、ハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。かかる記憶部30には、画像データ31、検出モデル32、対象物情報33、収集条件情報34、経過画像データ35および各種プログラムなどが記憶される。
【0044】
画像データ31は、車両Vの周辺が撮像された画像データである。検出モデル32は、画像データ内における交通安全施設の位置や、植物の位置などを検出するためのモデルである。言い換えると、検出モデル32は、画像データ内における交通安全施設が撮像されている領域や、植物が撮像されている領域を抽出して検出するためのモデルである。
【0045】
検出モデル32は、例えば、ディープニューラルネットワーク(DNN:Deep Neural Network)等の機械学習のアルゴリズムにより学習を行うことで得られる。検出モデル32は、例えば、教師あり学習により得られてよい。検出モデル32は、HOG(Histogram Of Gradient)特徴量を利用したSVM(Support Vector Machine)等の機械学習のアルゴリズムを用いる構成であってもよい。また、車載装置10は、機械学習を行った検出モデルを用いることなく、例えば、テンプレートマッチング等を用いて交通安全施設や植物の位置を検出する構成であってもよい。
【0046】
対象物情報33は、分析対象となる対象物に関する情報であり、具体的には、上記した植物が交通安全施設の視認性に与える影響の傾向を分析する処理の分析対象となる対象物に関する情報である。詳しくは、対象物情報33には、植物の位置が障害位置であるため、視認性が低下している、あるいは視認性が低下する可能性があると判定された交通安全施設に関する情報が含まれる。
【0047】
ここで、
図4を用いて対象物情報33について説明する。
図4は、対象物情報33の一例を示す図である。
図4に示すように、対象物情報33には、「対象物情報ID」、「画像データ」、「撮像位置」、「撮像時間帯」および「交通安全施設の種類」等の項目が含まれ、各項目のデータは互いに関連付けられている(紐付けられている)。
【0048】
「対象物情報ID」は、対象物情報を識別する識別情報である。「画像データ」は、植物の位置が障害位置であると判定された判定処理に用いられた画像データである。なお、
図4に示す例では、便宜上、「画像データ」を「D1」といったように抽象的な記載とするが、「D1」には具体的な情報が記憶されるものとする。以下、他の情報についても抽象的に記載する場合がある。
【0049】
「撮像位置」は、対応する画像データが撮像された撮像位置を示す撮像位置情報である。「撮像時間帯」は、対応する画像データが撮像された時間帯を示す撮像時間帯情報である。「撮像時間帯」には、例えば9時~9時30分などの情報が含まれる。なお、「撮像時間帯」には、対応する画像データが撮像された時刻(例えば9時)などの撮像時刻情報が含まれてもよい。
【0050】
「交通安全施設の種類」は、対応する画像データにおいて検出された交通安全施設の種類を示す情報である。「交通安全施設の種類」には、例えば信号機、道路標識、交通情報板などを示す情報が含まれる。
【0051】
図4に示す例では、対象物情報ID「C1」で識別される対象物情報は、画像データが「D1」、撮像位置が「E1」、撮像時間帯が「F1」、交通安全施設の種類が「G1」であることを示している。
【0052】
図3の説明に戻ると、収集条件情報34は、例えば視認性が低下している、あるいは視認性が低下する可能性があると判定された交通安全施設についての画像データ(詳しくは経過画像データ)等を収集するための収集条件を示す情報である。収集条件情報34には、上記したように、植物の位置が障害位置であると判定された判定処理に用いられた画像データが撮像された撮像位置X(
図1参照)、撮像時間帯、収集の時間間隔などの情報が設定される。なお、収集条件情報34の撮像時間帯には、判定処理に用いられた画像データが撮像された撮像時刻情報が含まれてもよい。
【0053】
経過画像データ35は、上記した撮像位置X(
図1参照)を通過するときに撮像された、交通安全施設および植物を含む経過画像データである。詳しくは、経過画像データ35は、車両Vが過去に画像データ(判定処理に用いられた画像データ)を撮像した時点から時間経過した経過画像データであって、交通安全施設および植物を含む画像データである。
【0054】
車載コントローラ20は、取得部21と、検出部22と、判定部23と、アップロード部24と、受付部25とを備え、例えば、CPU(Central Processing Unit)、(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、車載コントローラ20の取得部21、検出部22、判定部23、アップロード部24および受付部25として機能する。なお、車載コントローラ20は、コントローラの一例である。
【0055】
また、車載コントローラ20の取得部21、検出部22、判定部23、アップロード部24および受付部25の少なくともいずれか一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0056】
取得部21は、カメラ12から車両Vの周辺が撮像された画像データを取得し、取得したデータを記憶部30に画像データ31として記憶させる。このとき、取得部21は、GPSセンサ13から車両Vの位置を検出し、検出した位置情報を画像データ31の撮像位置情報として画像データ31に対応付けて記憶させる。また、取得部21は、画像データを撮像した時間帯を撮像時間帯情報として画像データ31に対応付けて記憶させる。
【0057】
検出部22は、取得した画像データに基づいて、画像データにおける交通安全施設の位置と、当該交通安全施設の周辺に存在する植物の位置とを検出する。この画像データにおける交通安全施設および植物の位置の検出について、
図5を参照して説明する。
図5は、画像データにおける交通安全施設および植物の位置の検出を説明する図である。なお、
図5は、車両Vの周辺が撮像された画像データ31の一部を示している。
【0058】
図5に示すように、検出部22は、上記した検出モデル32(
図3参照)を用いて、画像データ31内において交通安全施設(ここでは信号機A)が撮像された領域Haと、植物Bが撮像された領域Hbとを抽出する。そして、検出部22は、領域Haを交通安全施設の位置Ha、領域Hbを植物Bの位置Hbとして検出する。また、検出部22は、交通安全施設の種類(ここでは信号機A)を検出する。
【0059】
検出部22は、検出された交通安全施設の位置Ha、植物Bの位置Hbおよび交通安全施設の種類の情報を判定部23へ出力する。
【0060】
判定部23は、検出した植物Bの位置Hbが交通安全施設の視認の障害となる障害位置であるか否かを判定する判定処理を実行する。具体的には、判定部23は、画像データ31内において植物Bの位置Hbが交通安全施設(信号機A)の位置Haと重複する、あるいは隣接するような場合、植物Bの位置が障害位置であると判定する。なお、
図5の例では、画像データ31内において植物Bの位置Hbが交通安全施設の位置Haと一部重複しているため、判定部23は、植物Bの位置が障害位置であると判定する。
【0061】
従って、判定部23においては、植物Bの位置Hbが障害位置であるため、交通安全施設(ここでは信号機A)の視認性が低下している、あるいは視認性が低下する可能性があると判定することができる。
【0062】
このように、本実施形態に係る判定部23にあっては、画像データ31における交通安全施設(信号機A)の位置Haと植物Bの位置Hbとを検出し、検出した植物Bの位置Hbが障害位置であるか否かを判定する判定処理を実行するようにしたので、交通安全施設(ここでは信号機A)の視認性の低下を精度良く判定することができる。
【0063】
図3の説明を続けると、判定部23は、視認性が低下している、あるいは視認性が低下する可能性があると判定された交通安全施設を、交通安全施設の視認性に与える影響の傾向を分析する処理の分析対象とする。すなわち、判定部23は、かかる交通安全施設についての対象物情報33(
図4参照)を生成する。詳しくは、判定部23は、判定処理に用いられた画像データや、画像データの撮像位置情報、撮像時間帯情報、交通安全施設の種類を示す情報などを含む対象物情報33を生成する。
【0064】
アップロード部24は、対象物情報33をデータ収集装置100へアップロードする。すなわち、アップロード部24は、判定部23による判定処理において植物の位置が障害位置であると判定された場合、判定処理に用いられた画像データや、画像データが撮像された撮像位置を示す撮像位置情報などをデータ収集装置100へアップロードする(送信する)。
【0065】
これにより、データ収集装置100において、画像データや撮像位置情報などに基づいて、交通安全施設の視認性に与える影響の傾向を分析する分析処理を効率よく行うことが可能になる。
【0066】
なお、アップロード部24は、データ収集装置100において既に分析処理が行われている交通安全施設については、対象物情報33をデータ収集装置100へアップロードしないようにする、言い換えると、対象物情報33のデータ収集装置100へのアップロード(送信)を禁止する。
【0067】
具体的には、車載装置10には、データ収集装置100において分析処理が行われている交通安全施設の位置情報(別言すれば、交通安全施設を撮像した画像データの撮像位置情報)が、上記した収集条件情報としてデータ収集装置100から配信されている。
【0068】
従って、アップロード部24は、今回の判定処理に用いられた画像データの撮像位置が収集条件情報に含まれる撮像位置(すなわち、分析処理が既に行われている交通安全施設の位置)である場合、対象物情報33のデータ収集装置100へのアップロードを禁止する。言い換えると、アップロード部24は、今回の判定処理に用いられた画像データの撮像位置が、データ収集装置100に既に送信された撮像位置情報に含まれる撮像位置と同じである場合、今回の判定処理に用いられた画像データおよび当該画像データの撮像位置情報などのデータ収集装置100へのアップロード(送信)を禁止する。
【0069】
これにより、本実施形態にあっては、不要な情報(ここでは、データ収集装置100において既に分析処理が行われている交通安全施設に関する情報など)をデータ収集装置100へアップロード(送信)することを抑制することができる。
【0070】
受付部25は、データ収集装置100から分析処理に利用するデータの収集指示を受け付ける。そして、受付部25は、収集指示に応じて経過画像データなどを取得し、取得した経過画像データなどをデータ収集装置100へ送信(アップロード)する。
【0071】
詳しくは、受付部25は、データ収集装置100から配信される収集条件を受け付け、記憶部30に収集条件情報34として記憶させる。受付部25は、収集条件が満たされるタイミングで、経過画像データなどを取得する。具体的には、受付部25は、現在の時刻が収集条件の撮像時間帯に含まれるとともに、収集の時間間隔に該当し、また、車両Vが収集条件の撮像位置を通過するとき、カメラ12で交通安全施設および植物を撮像し、交通安全施設および植物を含む経過画像データを取得する。また、受付部25は、取得したデータを記憶部30に経過画像データ35として記憶させる。
【0072】
そして、受付部25は、経過画像データなどをデータ収集装置100へアップロード(送信)する。なお、かかるアップロード処理は、アップロード部24によって行われてもよい。
【0073】
これにより、データ収集装置100においては、分析処理の対象となっている交通安全施設および植物を含む経過画像データを効率よく収集することが可能になる。
【0074】
なお、受付部25は、データ収集装置100からアップロード指示を受け付けた場合に、経過画像データなどをデータ収集装置100へアップロードするようにしてもよい。これにより、データ収集装置100においては、分析処理の対象となっている交通安全施設および植物を含む経過画像データをより一層効率よく収集することが可能になる。
【0075】
詳説すると、データ収集装置100は、上記したように、収集条件を配信対象となる車両Vの車載装置10に対して配信することから、収集条件が複数の車載装置10に配信される場合がある。かかる場合、車載装置10と、他車両に搭載された他車載装置(図示せず)との両方において、経過画像データが取得されることがある。
【0076】
このとき、例えばデータ収集装置100における分析処理に必要な経過画像データが1つである場合、データ収集装置100は、車載装置10および他車載装置のいずれか一方から経過画像データを収集すればよい。
【0077】
そこで、本実施形態に係る車載装置10は、取得した経過画像データが、データ収集装置100によって設定された収集条件を満たす場合に、当該経過画像データをデータ収集装置100へアップロードするようにした。
【0078】
詳しくは、車載装置10の受付部25は、経過画像データを取得すると、まず、取得した経過画像データの撮像時刻情報および撮像位置情報をデータ収集装置100へアップロードする。同様に、他車載装置も、自身で取得した経過画像データの撮像時刻情報および撮像位置情報をデータ収集装置100へアップロードする。
【0079】
そして、データ収集装置100では、収集条件に撮像時刻情報(例えば9時)が含まれる場合、撮像時刻が、収集条件における撮像時刻情報に近い経過画像データを、収集条件を満たすデータ、言い換えると、複数の経過画像データの中で収集条件を最も満たすデータとして選択する。データ収集装置100は、選択した経過画像データを有する車載装置10(または他車載装置)に対して、経過画像データのアップロード指示を送信する。
【0080】
車載装置10の受付部25は、データ収集装置100からアップロード指示を受け付けた場合に、言い換えると、自身で取得した経過画像データが、データ収集装置100によって設定された収集条件を満たす場合に、当該経過画像データをデータ収集装置100へアップロードする。
【0081】
なお、受付部25は、アップロード指示を受け付けない場合、経過画像データをデータ収集装置100へアップロードしない。すなわち、他車載装置が、アップロード指示を受け付け、他車載装置で取得した経過画像データをデータ収集装置100へアップロードする。
【0082】
これにより、データ収集装置100においては、分析処理の対象となっている交通安全施設および植物を含む経過画像データのうち、必要な経過画像データをより一層効率よく収集することが可能になる。
【0083】
また、本実施形態にあっては、分析処理に不要な情報(ここでは、アップロード指示がない経過画像データ)をデータ収集装置100へアップロードすることを抑制することができ、通信負荷を低減させることができる。
【0084】
<データ収集装置>
次に、データ収集装置100の構成について
図6を参照して説明する。
図6は、データ収集装置100の構成例を示すブロック図である。
図6に示すように、データ収集装置100は、通信部101と、コントローラ(制御部)110と、記憶部120とを備える。
【0085】
通信部101は、通信ネットワークNに双方向通信可能に接続する通信インターフェイスであり、車載装置10や管理者端末装置200などとの間で情報の送受信を行う。
【0086】
記憶部120は、例えば、不揮発性メモリやデータフラッシュ、ハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。かかる記憶部120には、地図情報121、収集情報122、車両管理情報123、傾向情報124および各種プログラムなどが記憶される。
【0087】
地図情報121は、車両Vが走行する道路の地図を示す情報である。なお、地図情報121には、交通安全施設の位置を示す施設位置情報が含まれてもよい。
【0088】
収集情報122は、後述する収集部111によって車載装置10や他車載装置(図示せず)などから収集された情報である。ここで、
図7を用いて収集情報122について説明する。
【0089】
図7は、収集情報122の一例を示す図である。
図7に示すように、収集情報122には、「収集情報ID」、「画像データ」、「撮像位置」、「撮像時間帯」、「交通安全施設の種類」および「経過画像データ」等の項目が含まれ、各項目のデータは互いに関連付けられている(紐付けられている)。
【0090】
「収集情報ID」は、収集情報を識別する識別情報である。「画像データ」は、車載装置10から収集した画像データであり、詳しくは、車載装置10において植物の位置が障害位置であると判定された判定処理に用いられた画像データである。
【0091】
「撮像位置」、「撮像時間帯」、「交通安全施設の種類」は、対象物情報33(
図4参照)と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0092】
「経過画像データ」は、車載装置10や他車載装置から収集した経過画像データである。「経過画像データ」には、収集条件を満たした経過画像データが1つまたは2つ以上含まれる。
【0093】
図7に示す例では、収集情報ID「J1」で識別される収集情報は、画像データが「D1」、撮像位置が「E1」、撮像時間帯が「F1」、交通安全施設の種類が「G1」、経過画像データが「K1」であることを示している。
【0094】
図6の説明に戻ると、車両管理情報123は、車両Vの管理に関する情報である。車両管理情報123には、例えば車両Vの現在位置情報、走行中あるいは駐車中などの運転状況情報、車両登録されている都道府県などの車両登録情報、走行履歴情報、ナビゲーション装置の経路情報などが含まれる。なお、車両管理情報123には、上記した現在位置情報等のうちの一部が含まれてもよいし、現在位置情報等に加えてあるいは代えて、車両Vの管理に関するその他の情報が含まれてもよい。
【0095】
傾向情報124は、植物が交通安全施設の視認性に与える影響の傾向を示す情報である。具体的には、傾向情報124は、植物が交通安全施設の視認性に与える影響の傾向を分析する処理の結果などを含む情報である。
【0096】
ここで、
図8を用いて傾向情報124について説明する。
図8は、傾向情報124の一例を示す図である。
図8に示すように、傾向情報124には、「傾向情報ID」、「交通安全施設の位置」、「交通安全施設の種類」、「傾向」および「対策優先度」等の項目が含まれ、各項目のデータは互いに関連付けられている(紐付けられている)。
【0097】
「傾向情報ID」は、傾向情報を識別する識別情報である。「交通安全施設の位置」は、視認性に与える影響の傾向を分析する処理の対象となっている交通安全施設の位置を示す情報である。言い換えると、「交通安全施設の位置」は、視認性が低下していると判定された交通安全施設の位置を示す情報である。従って、「交通安全施設の位置」は、植物の位置が障害位置であると判定された判定処理に用いられた画像データが撮像された撮像位置を示す情報でもある。
【0098】
「交通安全施設の種類」は、対応する交通安全施設の種類を示す情報(例えば信号機、道路標識など)である。
【0099】
「傾向」は、植物が交通安全施設の視認性に与える影響の傾向を示す情報である。例えば、「傾向」は、後述する分析部113によって画像データと経過画像データとが比較され、画像データあるいは経過画像データ内において植物Bの位置Hb(
図5参照)と交通安全施設(信号機A)の位置Haとが重複する面積P(
図5の斜線部分)が時間経過に伴って増大しているような場合、「傾向」は、交通安全施設の視認性が悪化する傾向にあることを示す情報となる。
【0100】
なお、「傾向」は、上記した重複する面積Pに変化がない場合に「変化なし」、重複する面積Pが減少した場合に「改善」などを示す情報となる。
【0101】
「対策優先度」は、植物に対して剪定作業などの対策を行う優先度を示す情報である。「対策優先度」は、後述する分析部113によって例えば「高」、「中」、「低」など優先度が段階的に設定される。
【0102】
図8に示す例では、傾向情報ID「M1」で識別される傾向情報は、交通安全施設の位置が「E1」、交通安全施設の種類が「G1」、傾向が「悪化」、対策優先度が「高」であることを示している。
【0103】
図6の説明に戻ると、コントローラ110は、収集部111と、指示部112と、分析部113と、通知部114とを備え、例えば、CPU、RAM、ハードディスクドライブ、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、コントローラ110の収集部111、指示部112、分析部113および通知部114として機能する。
【0104】
また、コントローラ110の収集部111、指示部112、分析部113および通知部114との少なくともいずれか一部または全部をASICやFPGA等のハードウェアで構成することもできる。
【0105】
収集部111は、車載装置10や他車載装置(図示せず)などから各種の情報を収集する。例えば、収集部111は、車載装置10から車両Vの周辺が撮像された画像データを収集する。なお、かかる画像データは、上記したように、車載装置10において、画像データに含まれる植物の位置が交通安全施設の視認の障害となる障害位置であると判定された場合に収集される。
【0106】
また、収集部111は、車載装置10から、画像データの撮像位置情報、撮像時間帯情報、交通安全施設の種類を示す情報などを収集する。そして、収集部111は、収集した情報を記憶部120に収集情報122として記憶させる。
【0107】
また、収集部111は、後述する指示部112によって配信された収集条件を満たす経過画像データを車載装置10から収集する。そして、収集部111は、収集した経過画像データを記憶部120に収集情報122として記憶させる。
【0108】
指示部112は、収集部111によって車載装置10から画像データなどが収集されると、経過画像データ等を収集するための収集条件を設定する。収集条件には、画像データが撮像された撮像位置、撮像時間帯、収集の時間間隔などの情報が設定される。
【0109】
そして、指示部112は、設定した収集条件を配信対象となる車両Vの車載装置10に対して配信する。配信対象となる車載装置10は、車両管理情報123などに基づいて設定される。配信対象は、上記したように、画像データが撮像された撮像位置を含む都道府県に車両登録されている車両Vの車載装置10などであるが、これに限定されるものではない。
【0110】
また、指示部112は、車載装置10から経過画像データの撮像時刻情報および撮像位置情報が複数収集された場合、上記したように、複数の経過画像データの中で収集条件を最も満たす経過画像データを選択する。そして、指示部112は、選択した経過画像データを有する車載装置10に対して、経過画像データのアップロード指示を送信し、よって当該経過画像データが収集される。
【0111】
分析部113は、収集した画像データおよび経過画像データに基づいて、植物が交通安全施設の視認性に与える影響の傾向を示す傾向情報124(
図8参照)を生成する。例えば、分析部113は、画像データおよび経過画像データを分析し、画像データおよび経過画像データ内において植物Bの位置Hb(
図5参照)と交通安全施設(信号機A)の位置Haとが重複する面積Pを算出する。面積Pは、交通安全施設において視認性が欠落している面積であるともいえる。
【0112】
そして、分析部113は、算出した面積Pなどに基づいて傾向情報を生成する。一例として、分析部113は、面積Pが時間経過に伴って増大しているような場合、傾向情報124の「傾向」を、交通安全施設の視認性が悪化する傾向にあることを示す「悪化」に設定する。
【0113】
また、分析部113は、面積Pに基づいて傾向情報124の「対策優先度」を設定する。一例として、分析部113は、面積Pが閾値以上である場合、交通安全施設の視認性が比較的悪いことから、傾向情報124の「対策優先度」を、剪定作業などの対策を行う優先度が高いことを示す「高」に設定する。なお、上記した閾値は、例えば交通安全施設の視認性が比較的悪く、剪定作業などの対策を行う必要があると推定される値に設定されるが、これに限定されるものではなく、任意の値に設定可能である。
【0114】
一方、分析部113は、面積Pが閾値未満である場合、交通安全施設の視認性が比較的確保できていることから、傾向情報124の「対策優先度」を、剪定作業などの対策を行う優先度が低いことを示す「低」に設定する。
【0115】
また、分析部113は、上記した画像データおよび経過画像データに加えて、現在の季節情報に基づいて、傾向情報124を生成してもよい。これにより、本実施形態にあっては、傾向情報124を精度良く生成することができる。
【0116】
すなわち、上記した植物によっては、季節に応じてその生長スピードが変化することがある。具体的には、季節が夏季である場合、植物の生長スピードは増加する一方、季節が冬季である場合、植物の生長スピードは減少する。
【0117】
従って、例えば分析部113は、現在の季節情報において季節が夏季である場合、面積Pが閾値未満であっても、増加する植物の生長スピードを考慮して、傾向情報124の「対策優先度」を「高」に設定する。また、例えば分析部113は、現在の季節情報において季節が冬季であって、かつ、面積Pが閾値未満である場合、減少する植物の生長スピードを考慮して、傾向情報124の「対策優先度」を「低」のままとする。なお、分析部113は、現在の季節情報において季節が中間期である春季あるいは秋季である場合、傾向情報124の「対策優先度」を「中」に設定する。
【0118】
このように、本実施形態にあっては、現在の季節情報を用いることで、傾向情報124を精度良く生成することができる。
【0119】
通知部114は、上記した傾向情報を交通安全施設を管理する管理者に通知する。詳しくは、通知部114は、傾向情報を管理者が利用するに管理者端末装置200に送信して通知する。
【0120】
例えば、通知部114は、傾向情報等に基づいて、視認性が低下していると判定された交通安全施設の位置を対策優先度とともにマップ化して管理者に通知する。ここで、傾向情報の通知について
図9を参照して説明する。
図9は、傾向情報の通知が行われた管理者端末装置200のディスプレイ210を示す図である。
【0121】
図9に示すように、通知部114は、傾向情報等に基づいて、視認性が低下していると判定された交通安全施設の位置をマップ上に表示させて通知する。
図9の例では、通知部114は、視認性が低下していると判定された交通安全施設の位置にマーク221を付して通知する。また、通知部114は、交通安全施設の種類や対策優先度などの情報を表示欄222に表示して通知する。
【0122】
上記した傾向情報等の通知がなされた管理者は、傾向情報等を元に、例えば視認性が低下していると判定された交通安全施設付近の植物であって、対策優先度が高く設定された植物に対して優先的に剪定作業などの対策を行うことができる。これにより、本実施形態にあっては、視認性が低下していると判定された交通安全施設が複数ある場合であっても、交通安全施設の視認性を効率よく改善していくことが可能になる。
【0123】
<車載装置の制御処理>
次に、実施形態に係る車載装置10が実行する処理手順について、
図10を用いて説明する。
図10は、実施形態に係る車載装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0124】
図10に示すように、車載装置10の車載コントローラ20は、車両Vの周辺が撮像された画像データを取得する(ステップS100)。次いで、車載コントローラ20は、取得した画像データに基づいて、画像データにおける植物の位置が交通安全施設の視認の障害となる障害位置であるか否かを判定する(ステップS101)、すなわち、交通安全施設の視認性が植物によって低下しているか否かを判定する。
【0125】
車載コントローラ20は、画像データにおける植物の位置が障害位置であると判定された場合(ステップS101,Yes)、かかる画像データが撮像された撮像位置が収集条件に含まれる撮像位置と同じである否かを判定する(ステップS102)。すなわち、車載コントローラ20は、今回の判定処理に用いられた画像データの撮像位置が収集条件情報に含まれる撮像位置(すなわち、分析処理が既に行われている交通安全施設の位置)であるか否かを判定する。
【0126】
車載コントローラ20は、画像データが撮像された撮像位置が収集条件に含まれる撮像位置と同じはないと判定された場合(ステップS102,No)、当該画像データや撮像時間帯情報などをデータ収集装置100へアップロードする(ステップS103)。
【0127】
他方、車載コントローラ20は、画像データの撮像位置が収集条件に含まれる撮像位置と同じあると判定された場合(ステップS102,Yes)、ステップS103の処理をスキップする、すなわち、画像データ等のアップロードを行わない。また、車載コントローラ20は、画像データにおける植物の位置が障害位置でないと判定された場合(ステップS101,No)、ステップS102,S103の処理をスキップする。
【0128】
次いで、車載コントローラ20は、経過画像データの収集条件を満たすか否かを判定する(ステップS104)。すなわち、車載コントローラ20は、車両Vが、収集条件に含まれる撮像時間帯に撮像位置を通過するなど、車両Vの走行状態が収集条件を満たす状態であるか否かを判定する。
【0129】
車載コントローラ20は、経過画像データの収集条件を満たさないと判定された場合(ステップS104,No)、そのまま処理を終了する。一方、車載コントローラ20は、経過画像データの収集条件を満たすと判定された場合(ステップS104,Yes)、カメラ12で交通安全施設および植物を撮像し、交通安全施設および植物を含む経過画像データを取得する(ステップS105)。
【0130】
次いで、車載コントローラ20は、取得した経過画像データの撮像位置情報および撮像時刻情報をデータ収集装置100へアップロードする(ステップS106)。次いで、車載コントローラ20は、データ収集装置100からアップロード指示があるか否かを判定する(ステップS107)。ステップS107の処理は、言い換えると、車載コントローラ20によって取得された経過画像データが、複数の経過画像データの中で収集条件を最も満たすデータとしてデータ収集装置100において選択されたか否かを判定する処理である。
【0131】
車載コントローラ20は、アップロード指示があると判定された場合(ステップS107,Yes)、ステップS105で取得した経過画像データをデータ収集装置100へアップロードする(ステップS108)。一方、車載コントローラ20は、アップロード指示がないと判定された場合(ステップS107,No)、そのまま処理を終了する。
【0132】
<データ収集装置の制御処理>
次に、実施形態に係るデータ収集装置100が実行する処理手順について、
図11を用いて説明する。
図11は、実施形態に係るデータ収集装置100が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0133】
図11に示すように、データ収集装置100のコントローラ110は、車載装置10から画像データを取得する(ステップS200)。すなわち、コントローラ110は、車載装置10において植物の位置が障害位置であると判定された判定処理に用いられた画像データを取得する。
【0134】
次いで、コントローラ110は、経過画像データを収集する収集条件を配信対象となる車両Vの車載装置10に対して配信する(ステップS201)。次いで、コントローラ110は、収集条件が配信された車載装置10から、経過画像データの撮像位置情報および撮像時刻情報を収集する(ステップS202)。
【0135】
コントローラ110は、車載装置10において取得された経過画像データが複数であるか否かを判定する(ステップS203)。言い換えると、ステップS203の処理は、車載装置10から経過画像データの撮像位置情報等が複数収集された否かを判定する処理である。
【0136】
コントローラ110は、経過画像データが複数であると判定された場合(ステップS203,Yes)、複数の経過画像データの中で収集条件を最も満たすデータを選択し、選択した経過画像データを有する車載装置10に対して、経過画像データのアップロード指示を送信する(ステップS204)。
【0137】
そして、コントローラ110は、車載装置10から経過画像データを収集する(ステップS205)。一方、コントローラ110は、経過画像データが複数ではないと判定された場合(ステップS203,No)、ステップS205の処理に進む。
【0138】
次いで、コントローラ110は、収集した画像データおよび経過画像データ等に基づいて、植物が交通安全施設の視認性に与える影響の傾向を示す傾向情報を生成する(ステップS206)。次いで、コントローラ110は、生成した傾向情報を交通安全施設の管理者に通知する(ステップS207)。
【0139】
上述してきたように、実施形態に係る車載装置10は、車載コントローラ(コントローラの一例)20を備える。車載コントローラ20は、車両Vの周辺が撮像された画像データを取得し、取得した画像データに基づいて、画像データにおける交通安全施設の位置と、当該交通安全施設の周辺に存在する植物の位置とを検出する。また、車載コントローラ20は、検出した植物の位置が交通安全施設の視認の障害となる障害位置であるか否かを判定する判定処理を実行する。これにより、交通安全施設の視認性の低下を精度良く判定することができる。
【0140】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0141】
1 データ収集システム
10 車載装置
20 車載コントローラ
100 データ収集装置
110 コントローラ