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特開2024-50570エネルギーバランスが改善された複合材料リサイクル方法
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  • 特開-エネルギーバランスが改善された複合材料リサイクル方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050570
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】エネルギーバランスが改善された複合材料リサイクル方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 11/12 20060101AFI20240403BHJP
   B29B 17/00 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
C08J11/12
B29B17/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024000087
(22)【出願日】2024-01-04
(62)【分割の表示】P 2020558982の分割
【原出願日】2019-04-26
(31)【優先権主張番号】1853711
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】デュボワ, ジャン-リュック
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複合材料で作製された物品をリサイクルする方法を提供する。
【解決手段】ポリマーマトリックスと強化材を含む複合材料を含む、物品201を、物品を加熱するための反応器202に投入する工程;ポリマーマトリックスを分解するために反応器内の物品を所定の温度に加熱する工程;分解されたポリマーマトリックスから強化材209を分離する工程;及び熱を回収するために強化材を第一熱伝達手段と接触させる工程を含むことを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料を含む物品をリサイクルするための方法であって、該複合材料がポリマーマトリックスと強化材を含む方法において、次の工程:
- 物品を加熱するのに適した反応器に物品を投入する工程(110)、
- ポリマーマトリックスを分解するために、反応器内の物品を所定の温度で加熱する工程(120)、
- 分解されたポリマーマトリックスから強化材を分離する工程(130)、及び
- 熱を回収するために、強化材を第一熱伝達手段と接触させる工程(140)
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
物品が、エンドレススクリュー、コンベヤーベルト、ホッパー又は計量モジュールによって反応器に投入されることを特徴とする、請求項1に記載のリサイクル方法。
【請求項3】
物品が200℃と1500℃の間の温度で加熱されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のリサイクル方法。
【請求項4】
強化材が、次のプロセス:遠心分離、ドレン、スピン、プレス、フィルター、スクリーン及び/又はサイクロンの少なくとも一つによって分離されることを特徴とする、請求項1から3の何れか一項に記載のリサイクル方法。
【請求項5】
第一熱伝達手段が、強化材と熱伝達流体との間に直接的接触がある熱交換器であることを特徴とする、請求項1から4の何れか一項に記載のリサイクル方法。
【請求項6】
第一熱伝達手段が、熱伝達流体に浸漬させるための、又は熱伝達流体を噴霧するための、装置であることを特徴とする、請求項5に記載のリサイクル方法。
【請求項7】
第一熱伝達手段が、強化材と熱伝達流体との間に間接的接触がある熱交換器であることを特徴とする、請求項1から4の何れか一項に記載のリサイクル方法。
【請求項8】
保護剤が強化材に添加されることを特徴とする、請求項1から7の何れか一項に記載のリサイクル方法。
【請求項9】
回収された熱が、外部熱源により注入された熱に加えて、物品リサイクル方法において使用されることを特徴とする、請求項1から8の何れか一項に記載のリサイクル方法。
【請求項10】
回収された熱が、物品を、反応器に投入する前に予熱するために使用されることを特徴とする、請求項1から9の何れか一項に記載のリサイクル方法。
【請求項11】
強化材を第一熱伝達手段と接触させることによる熱回収後に、追加の熱を回収するために強化材を第二熱伝達手段と接触させることからなる工程を更に含むことを特徴とする、請求項1から10の何れか一項に記載のリサイクル方法。
【請求項12】
ポリマーマトリックスと強化材を含む複合材料の分解が、熱分解、高温熱分解、流動床反応器での熱処理、押出機又はコンベヤーでの熱処理、回転炉での熱処理、機械的撹拌床での熱分解、溶融塩浴での熱分解、又は温度上昇を含む加溶媒分解による解重合から選択される方法によって実施されることを特徴とする、請求項1から11の何れか一項に記載のリサイクル方法。
【請求項13】
ポリマーマトリックスが熱硬化性ポリマー又は熱可塑性ポリマーからなるマトリックスであることを特徴とする、請求項1から12の何れか一項に記載のリサイクル方法。
【請求項14】
ポリマーマトリックスが、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー、スチレン-ブタジエン-アルキルメタクリレート(又はSBM)コポリマーなどのオレフィンのホモポリマー及びコポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン及びポリブチレン;アクリルホモポリマー及びコポリマー及びポリ(メチルメタクリレート)などのポリアルキルメタクリレート;ホモポリアミド及びコポリアミド;ポリカーボネート;ポリ(エチレンテレフタレート)及びポリ(ブチレンテレフタレート)を含むポリエステル;ポリ(フェニレンエーテル)、ポリ(オキシメチレン)、ポリ(オキシエチレン)又はポリ(エチレングリコール)及びポリ(オキシプロピレン)などのポリエーテル;ポリスチレン;スチレンと無水マレイン酸のコポリマー;ポリ(塩化ビニル);ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリエチレンテトラフルオリド及びポリクロロトリフルオロエチレンなどのフルオロポリマー;天然又は合成ゴム;熱可塑性ポリウレタン;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)及びポリエーテルケトンケトン(PEKK)などのポリアリールエーテルケトン(PAEK);ポリエーテルイミド;ポリスルホン;ポリ(フェニレンスルフィド);セルロースアセテート;ポリ(ビニルアセテート);又はこれらのポリマーの二種以上の混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から12の何れか一項に記載のリサイクル方法。
【請求項15】
ポリマーマトリックスがポリメチルメタクリレート(PMMA)を含むことを特徴とする、請求項1から12の何れか一項に記載のリサイクル方法。
【請求項16】
分解されたマトリックスの一部が、強化材から分離された後、反応器に再投入されることを特徴とする、請求項1から15の何れか一項に記載のリサイクル方法。
【請求項17】
複合材が40重量%を超える強化材を含むことを特徴とする、請求項1から16の何れか一項に記載のリサイクル方法。
【請求項18】
複合材が70重量%を超える強化材を含むことを特徴とする、請求項1から16の何れか一項に記載のリサイクル方法。
【請求項19】
回収された熱が一又は複数の熱レベルで回収されることを特徴とする、請求項1から18の何れか一項に記載のリサイクル方法。
【請求項20】
物品をリサイクルするための方法が、方法の実施の前に、事前の選別工程を含むことを特徴とする、請求項1から19の何れか一項に記載のリサイクル方法。
【請求項21】
物品が、10kg/hと2000kg/hの間のリサイクルされる物品を反応器に供給する流量で、反応器に投入されることを特徴とする、請求項1から19の何れか一項に記載のリサイクル方法。
【請求項22】
物品リサイクル方法が、物品を粉砕する工程を含むことを特徴とする、請求項1から19の何れか一項に記載のリサイクル方法。
【請求項23】
リサイクル方法が、リサイクルされる物品を予熱する工程を含むことを特徴とする、請求項1から19の何れか一項に記載のリサイクル方法。
【請求項24】
ポリマーマトリックスと強化材を含む複合材料を含む物品をリサイクルするためのシステムにおいて、
- 上記物品を搬送するための手段、
- そのポリマーマトリックスを分解する目的で前記物品を加熱するのに適した反応器、
- 分解されたポリマーマトリックスから強化材を分離するための手段、及び
- 強化材から熱を回収するのに適した第一熱伝達手段
を含むことを特徴とする、システム。
【請求項25】
強化材から追加の熱を回収することができる第二熱伝達手段を含むことを特徴とする、請求項24に記載のリサイクルシステム。
【請求項26】
分離手段が、次の形態:遠心分離機、ドレン手段、スピン手段、プレス手段、フィルター、スクリーン及び/又はサイクロンの一つであることを特徴とする、請求項24に記載のリサイクルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に複合材料で作製された物品のリサイクル、より具体的には、エネルギーバランスが改善された複合材料リサイクル方法に関する。
【0002】
本発明は、使用済み製品などの消費後の複合廃棄物、又はプラスチック加工作業から生じる欠陥製品もしくはスクラップなどの産業廃棄物のリサイクルの問題に直面している全ての産業部門において有用である。
【従来技術】
【0003】
複合材料(「複合材」とも略される)は、互いに非混和性である少なくとも二種の材料の肉眼的組み合わせである。一般に、複合材料は、一方では連続相を形成するポリマーマトリックスと、他方では一般に繊維性強化材である強化材料(又は強化材)から構成される。ポリマーマトリックスと鉱物フィラー、例えば石英、大理石、シリカ、水酸化アルミニウム、TiOなどからなる複合材もある。場合によっては、複合材料には添加剤もまた含まれる。更に、これらの材料は、様々な産業向けの物品を製造するために、金属インサート、木材又は発泡体などの他の成分と組み合わされることがよくある。
【0004】
ポリマーマトリックスに基づく複合材又はポリマー複合材を含む物品のリサイクルは、幾つかの方法によって実施することができる。これらの方法は、一般に、ポリマーの熱分解を伴う。つまり、熱の作用又はポリマーの温度上昇により、ポリマーの機械的及び物理的特性が失われる。
【0005】
熱分解は知られており、処理される物品を適切なチャンバーに配し、ついでチャンバーを加熱して熱を物品に伝達させることからなる熱プロセスである。ポリマーマトリックスの化学分解を可能にするため、熱分解温度は一般に400℃と1300℃の間である。物品の熱分解は、ガス、油性残留物、並びに複合材の強化材、無機フィラー及び炭素質固形物を含む固体残留物の形成をもたらす。熱分解後に得られるガスは、新しいポリマー物品の製造に再利用でき、熱分解後に得られる固体残留物は、特に、絶縁材料などの他の製品の製造に再利用される。このリサイクル方法は、エネルギーバランスが悪い。
【0006】
例えば、流動床がケイ砂床でありうる流動床プロセスもまた知られている。このプロセスでは、複合材を含む物品は一般に予備粉砕され、流動床を含む流動床反応器に入れられる。流動化は、一般に400℃を超える温度に加熱されたガス流を使用して実施される。この床では、マトリックスが急速に加熱されてガス化され、マトリックスから強化材が除去される。次に、強化材の一部がガス流で床から二次燃焼チャンバーに運ばれる。他の一部は、流動床を構成する固体に同伴され、固体が再加熱される容器に取り込まれ、炭素質残留物は、流動床反応器に戻される前に燃焼される。熱分解の場合と同様に、この方法はそのエネルギーバランスを最適化するようには設計されていない。どちらの場合も、解重合/ガス化の終わりに、強化材を構成する固体が排出され、それが蓄積していた熱が失われる。失われる熱が大きいほど、非解重合性/非ガス化性材料の質量が大きくなる。
【0007】
加溶媒分解による複合材物品の化学処理もまた知られているリサイクル方法である。それは、ポリマーマトリックスの解重合を可能にするのに適した溶媒で物品の複合材料を処理することにある。これは、200℃未満の温度で、又は200℃を超える温度と高圧(200バールを超える)の超臨界条件下で実施されうる。加溶媒分解は、一方では特に複合材料の強化材を含む無機画分を生じ、他方では解重合から生じる生成物と溶媒を含む液体溶液を生じる複合材料の「分解」と見ることができる。加溶媒分解プロセスの終わりに、強化材とポリマー溶液を再利用できる。
【0008】
複合材料を含む物品をリサイクルする既知の方法は、例えば、加溶媒分解を目的として溶媒を加熱すること、又はガスを加熱して砂床を流動化すること、又は反応器を加熱して熱分解を誘導することからなる、様々な加熱工程を含むようである。これらの様々な加熱工程では、熱の形でエネルギーを注入する必要があり、望ましくない結果は、複合材に含まれる繊維性強化材及び鉱物フィラー(又は任意のその他の非解重合性/非ガス化性材料)を加熱するためのかなりの部分のエネルギーの消費である。具体的には、複合材料は、例えばガラス繊維などの繊維性強化材を構成する非解重合性固体化合物を最大70重量%もしくはそれ以上、含みうる。従って、これらの非解重合性固体化合物の加熱に費やされるエネルギーの量は、操作のエネルギーバランスの損失と見なければならない。
【0009】
従って、エネルギーと環境の観点から、エネルギーバランスの改善を可能にするリサイクル方法を有することができることが望ましい。
【0010】
文献EP2752445A1は、ポリマーマトリックスと炭素繊維強化材を含む複合材料をリサイクルするための方法と装置を記載している。この文献の目的は、複合材料のリサイクル中に炭素繊維を劣化させて、不織布を製造するプロセスにそれをリサイクルできるようにすることではない。リサイクルされる複合材物品は、ポリマーマトリックスの構造を分解するために加熱される反応器に投入される。
【0011】
文献JP3899563は、ポリマーマトリックスとガラス繊維製の繊維性強化材を含む複合材料のリサイクルを記載している。
【0012】
このために、リサイクルされる材料は反応器に投入され、有機物の燃焼が進行して残留炭素の量が減少するまで、ガラス繊維の融点より低い温度で加熱される。
【0013】
文献WO2017/178681は、炭素繊維及び/又はガラス繊維で作製された繊維性強化材を含む複合材料をリサイクルするための方法を記載している。複合材料は、分離ゲートによって互いに分離された3つの独立したゾーンを含む水平反応器に投入される。
【0014】
文献DE102007026748は、炭素繊維で強化された複合材料を連続的にリサイクルするための方法と装置を記載している。このために、材料は、予熱チャンバー、熱分解チャンバー及び再加熱チャンバーを備えたトンネル反応器に運ばれる。
【技術的な課題】
【0015】
而して、本発明の目的は、従来技術の上記欠点の少なくとも一つを解消することである。
【0016】
本発明は、特に、複合材料物品の構成ポリマーを解重合するための簡単で効果的な解決手段を提供することを目的とし、エネルギーバランスを改善し、特に、固体の非解重合性繊維性材料によって吸収された熱量を回収することを可能にする。
【発明の概要】
【0017】
この目的のために、本発明の第一の態様では、複合材料を含む物品をリサイクルするための方法であって、該複合材料がポリマーマトリックスと強化材を含む方法において、次の工程:
- 物品を加熱するのに適した反応器に物品を投入する工程、
- ポリマーマトリックスを分解するために、反応器内の物品を所定の温度で加熱する工程、
- 分解されたポリマーマトリックスから強化材を分離する工程、及び
- 熱を回収するために、強化材を第一熱伝達手段と接触させる工程
を含むことを特徴とする方法を提案する。
【0018】
而して、この熱を再利用することを目的として、強化材に蓄積された顕熱を伝達することが可能である。この熱は、得られたモノマーを精製するための下流操作において又は材料を乾燥させるための上流操作においてこれを再利用できるようにするために、一又は複数の熱レベルで更に回収できなければならない。而して、本方法は、カーボンフットプリントが低減された複合材料を含む物品のリサイクルを実施することを可能にする。従って、本発明に係る方法は、より環境に優しい。
【0019】
更に、本発明に係る方法は、40重量%を超える強化材を含む複合材、好ましくは50重量%を超える強化材を含む複合材、より好ましくは60重量%を超える強化材を含む複合材、有利には70重量%を超える強化材を含む複合材に特に有利である。
【0020】
本方法の他の任意選択的な特徴によれば、
- 物品は、エンドレススクリュー、コンベヤーベルト、ホッパー又は計量モジュールによって反応器に投入される;
- 物品は200℃と1500℃の間の温度で加熱される;
- 強化材は、次のプロセス:遠心分離、ドレン(draining)、スピン(spinning)、プレス、フィルター、スクリーン及び/又はサイクロンの少なくとも一つによって分離される;
- 第一熱伝達手段は、強化材と熱伝達流体との間に直接的接触がある熱交換器である;
- 第一熱伝達手段は、熱伝達流体に浸漬させるための、又は熱伝達流体を噴霧するための、装置である;
- 第一熱伝達手段は、強化材と熱伝達流体との間に間接的接触がある熱交換器である;
- 保護剤が強化材に添加される;
- 回収された熱は、外部熱源により注入された熱に加えて、物品リサイクル方法において使用される;
- 回収された熱は、物品を、反応器に投入する前に予熱するために使用される;
- 本方法は、強化材を第一熱伝達手段と接触させることによる熱回収後に、追加の熱を回収するために強化材を第二熱伝達手段と接触させることからなる工程を更に含む;
- ポリマーマトリックスは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を含む;
- 分解されたマトリックスの一部は、強化材から分離された後、反応器に再投入される。これは、一方では、次の物品のマトリックスのより速い分解を可能にし、他方では、再投入されたマトリックスのリサイクルを改善することを可能にしうる。
【0021】
本発明はまたポリマーマトリックスと強化材を含む複合材料を含む物品をリサイクルするためのシステムにおいて、
- 上記物品を搬送するための手段、
- そのポリマーマトリックスを分解する目的で前記物品を加熱するのに適した反応器、
- 分解されたポリマーマトリックスから強化材を分離するための手段、及び
- 強化材から熱を回収するのに適した第一熱伝達手段
を含むことを特徴とする、システムに関する。
【0022】
本発明に係るリサイクルシステムは、強化材から追加の熱を回収することができる第二熱伝達手段を更に含みうる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の他の特徴と利点は、以下を示す添付図を参照して、例示として、黙示の限定なしに与えられた次の説明を読めば明らかになるであろう。
図1】一実施態様に係るリサイクル方法の工程図、
図2】直接接触熱交換器による熱伝達の例を示す図、
図3】プレート式熱交換器の図、及び
図4】別の実施態様に係るリサイクル方法の工程図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
説明の残りの部分において、「モノマー」という用語は、重合を受けうる分子を意味すると理解される。
【0025】
使用される「重合」という用語は、モノマー又はモノマー混合物をポリマーに転換するためのプロセスに関する。
【0026】
「ポリマー」という用語は、コポリマー又はホモポリマーの何れかを意味すると理解される。「コポリマー」は、幾つかの異なるモノマー単位を一緒にグループ化するポリマーであり、「ホモポリマー」は、同一のモノマー単位を一緒にグループ化するポリマーである。
【0027】
使用される「解重合」という用語は、ポリマーを、最初のポリマーの分子量と比較して分子量が減少した一又は複数種のモノマー及び/又はオリゴマー及び/又はポリマーに転換するためのプロセスに関する。
【0028】
「減量されたポリマー」は、その重量平均分子量が、マトリックスを構成する最初のポリマーの重量平均分子量よりも低いポリマーを意味すると理解される。重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィーによって測定されうる。
【0029】
「熱可塑性ポリマー」又は「熱可塑性」は、繰り返しの形で、熱の作用下で軟化し又は溶融し得、熱と圧力の適用によって新しい形状をとるポリマーを意味すると理解される。熱可塑性プラスチックの例は、例えば、特にプラスチックバッグの製造又は自動車の製造に使用される高密度ポリエチレン(HDPE);特にプラスチックボトルの製造に使用されるポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリ塩化ビニル(PVC);ポリメチルメタクリレート(PMMA)である。而して、熱可塑性プラスチックの使用は、包装から自動車産業に至るまで、様々な分野に影響を及ぼし、プラスチックの需要は依然として高いままである。
【0030】
「熱硬化性ポリマー」は、重合によって不可逆的に不溶性ポリマーネットワークに転換されるプラスチック材料を意味すると理解される。
【0031】
「(メタ)アクリルポリマー」は、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート及びそれらの混合物から選択される、(メタ)アクリルモノマーに基づくホモポリマー又はコポリマーを意味すると理解される。ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)は、メチルメタクリレートモノマーの重合によって得られる(メタクリル)ポリマーの特定の例である。
【0032】
本発明の目的では、「PMMA」という用語は、メチルメタクリレート(MMA)のホモポリマー及びコポリマーを意味し、MMAコポリマーでは、PMMA中のMMAの重量比は好ましくは少なくとも70重量%である。「メチルメタクリレートに基づくコポリマー」という用語は、少なくとも一種のメチルメタクリレートモノマーを含むコポリマーを意味する。例えば、メチルメタクリレートに基づくコポリマーは、PMMA中に少なくとも70重量%、好ましくは80重量%、有利には90重量%のMMAを含むコポリマーでありうる。
【0033】
「ベースモノマー」という用語は、ポリマーを構成する最も優勢なモノマー単位を意味する。而して、PMMAにおいて、ベースモノマーはMMAである。
【0034】
「ポリマーマトリックス」は、バインダーとして機能する固体材料を意味すると理解される。「マトリックス」には、ポリマー及び/又はオリゴマーが含まれる。而して、「(メタ)アクリルポリマーマトリックス」は、任意のタイプのアクリル及びメタクリル化合物、ポリマー、オリゴマー又はコポリマーに関する。しかし、(メタ)アクリルポリマーマトリックスが、例えば、次の群から選択される他の非アクリルモノマーを最大10重量%、好ましくは5重量%未満、含む場合、それは本発明の範囲からの逸脱を構成するものではない:ブタジエン、イソプレン、スチレン、置換スチレン、例えばα-メチルスチレン又はtert-ブチルスチレン、シクロシロキサン、ビニルナフタレン及びビニルピリジン。
【0035】
本発明の目的では、「複合材」は、少なくとも一種の成分がポリマーであり、他の成分が、例えば、繊維性強化材でありうる、少なくとも二種の非混和性成分を含む多成分材料を意味すると理解される。
【0036】
「強化材」とは、処理の最後に残る「繊維性強化材」又は「鉱物フィラー」などの非解重合性又は非ガス化性の固体材料を意味すると理解される。
【0037】
「繊維性強化材」とは、細片、ウェブ、ブレイズ、ロービング又はパーツの形態でありうる、繊維、一方向ロービング又は連続フィラメントマット、織物、フェルト又は不織布の集合物を意味すると理解される。
【0038】
「鉱物フィラー」という用語は、全ての粉状フィラー、例えば、石英、大理石、シリカ、水酸化アルミニウム又はTiOを意味すると理解される。
【0039】
「分解(構造分解)」という用語は、複合材料のマトリックスのポリマーが処理されて、溶融状態の混合物及び/又はガス状混合物になり、よって繊維性強化材を遊離させることを可能にするプロセスを意味すると理解される。分解は、マトリックスのポリマーが断片化されて溶融状態の混合物及び/又はガス形態の混合物となるプロセスである解重合をもたらしうる。ポリマーの断片化は、特に、ポリマーのベースモノマーにつながりうる。
【0040】
「熱交換器」は、第一構成要素と第二構成要素との間で熱を伝達するためのシステムを意味すると理解され、第一構成要素は、第二構成要素よりも高い温度を有する。
【0041】
「直接接触熱交換器」は、第一構成要素と第二構成要素との間に仕切り壁がない交換器を意味すると理解される。
【0042】
「間接接触熱交換器」は、第一構成要素が第二構成要素と接触していない、例えば、高温の強化材が流体と密接に接触していない交換器を意味すると理解される。
【0043】
本発明の目的では、「実質的に等しい」という用語は、比較される値に対して30%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは依然として10%未満、変動する値を意味すると理解される。
【0044】
次の実施態様の説明及び添付図においては、同じ構成要素又は類似の構成要素を示すために同じ参照符号を使用する。
【0045】
本発明はまた複合材料で作製された物品をリサイクルするための方法に関する。リサイクルされる物品の複合材料は、少なくとも一種のポリマーマトリックスと強化材を含む。
【0046】
ポリマーマトリックスは、熱硬化性ポリマーマトリックス又は熱可塑性ポリマーマトリックスでありうる。
【0047】
熱硬化又は熱硬化性ポリマーは、架橋三次元構造を有するポリマーである。熱硬化性ポリマーは、高温になると成形され、所望の形状に架橋される。熱硬化性ポリマーの形状が固定されて冷却されると、熱の作用下でそれを変更することはできない。熱硬化性ポリマーは、例えば、不飽和ポリエステル、ポリイミド、ポリウレタン、又はエポキシもしくはフェノール性でありうるビニルエステルである。
【0048】
熱可塑性ポリマーに基づくマトリックスは、熱成形可能であり、より容易にリサイクル可能であるため、一般的に好ましい。非限定的な例として、熱可塑性ポリマーマトリックスは、オレフィンのホモポリマー及びコポリマー、例えばアクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー、スチレン-ブタジエン-アルキルメタクリレート(又はSBM)コポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン及びポリブチレン;アクリルホモポリマー及びコポリマー、並びにポリアルキルメタクリレート、例えばポリ(メチルメタクリレート);ホモポリアミド及びコポリアミド;ポリカーボネート;ポリ(エチレンテレフタレート)及びポリ(ブチレンテレフタレート)を含むポリエステル;ポリエーテル、例えばポリ(フェニレンエーテル)、ポリ(オキシメチレン)、ポリ(オキシエチレン)又はポリ(エチレングリコール)及びポリ(オキシプロピレン);ポリスチレン;スチレンと無水マレイン酸のコポリマー;ポリ(塩化ビニル);フルオロポリマー、例えばポリ(フッ化ビニリデン)、ポリエチレンテトラフルオリド及びポリクロロトリフルオロエチレン;天然又は合成ゴム;熱可塑性ポリウレタン;ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)及びポリエーテルケトンケトン(PEKK);ポリエーテルイミド;ポリスルホン;ポリ(フェニレンスルフィド);セルロースアセテート;ポリ(ビニルアセテート);又はこれらのポリマーの二種以上の混合物に基づきうる。
【0049】
特に、熱可塑性ポリマーマトリックスは、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)樹脂でありうる。
【0050】
複合材料では、熱可塑性ポリマーマトリックスが強化材に密接に結合している。強化材は、多くの場合ガラス又は炭素繊維に基づく、強化手段とみることができる。例えば、強化材は、例えばガラス繊維、炭素繊維又は玄武岩質繊維に基づく織物、ウェブ、フェルト又は繊維性材料でありうる。特に、リサイクルされる物品の複合材料は、PMMAと繊維性材料に基づく。
【0051】
複合材料を含む物品のリサイクル中に、ポリマーマトリックスは分解又は解重合される。
【0052】
複合材料を含む物品のリサイクル、より具体的には複合材料の分解は、熱分解、高温熱分解、流動床反応器での熱処理、押出機又はコンベヤーでの熱処理、回転炉での熱処理、機械撹拌床での熱分解、溶融塩浴での熱分解、又は温度上昇を含む加溶媒分解による解重合などの方法によって実施されうる。
【0053】
図1は、第一実施態様に係る物品リサイクル方法の工程図を示す。このリサイクルは、複合材料のポリマーマトリックスが転換されて、溶融状態の残留物及び/又は気体状態の残留物が得られ、強化材を含む固体残留物が生成される方法とみることができる。このために、工程110において、リサイクルされる物品が、ポリマーリサイクルに適した反応器に投入される。次に、適切な加熱手段を使用して、工程120において物品が加熱される。例えば、加熱は、溶融鉛床、流動床(例えば砂)、マイクロ波、パルス電場又は蒸気への物品の曝露、あるいは押出機、スクリューコンベヤー等々におけるように高温表面との接触によって、実施されうる。高温表面は、直接電気加熱、熱伝達流体(蒸気、油、溶融塩など)による加熱など、様々な手段によって加熱されうる。物品は、複合材の分解を可能にし、溶融状態の少なくとも一種の残留物及び/又は気体状態の一種の残留物をもたらす所与の温度で加熱される。加熱は、例えば、200℃と1500℃の間、好ましくは200℃と600℃の間、より好ましくは200℃と500℃の間、より好ましくは更に300℃と500℃の間の温度で実施される。
【0054】
複合材の解重合はまた強化材を含む固体残留物の形成をもたらす。工程130において、強化材は、分解されたポリマーマトリックスから分離される。次に、この強化材は、工程140において、強化材によって蓄えられた熱が流体に伝達されるように、第一熱伝達手段と接触させられ、ここで、流体は液体又はガスでありうる。
【0055】
更に、解重合が転換度100%まで行われない場合、非解重合又は非ガス化ポリマーの部分が、熱を蓄え、それを第一熱伝達手段に戻す可能性がある。従って、解重合が転換度100%まで実施されない場合、本方法は、その間に非解重合画分が第一熱伝達手段と接触させられる付随する工程を含む。その場合、非解重合画分によって蓄えられたポリマーの顕熱及び/又は融解熱が、強化材と同じ順序に従って液体又はガスでありうる流体に伝達されうる。更に、本方法は、非解重合画分が完全に又は部分的に酸化されて、熱伝達手段によって回収される燃焼熱を生成しうる追加の工程を含みうる。この追加の工程は、強化材からの顕熱の回収を伴う場合と伴わない場合がある。而して、非解重合画分からの熱回収により、全体的なエネルギーバランスを更に改善することが可能になる。
【0056】
有利なことに、本方法によれば、解重合から生じるMMAを精製する工程の後に、解重合の不純物によって蓄えられた燃焼熱を回収することもまた可能である。而して、強化材、非解重合画分、又は不純物に蓄えられた熱を、この熱を再利用することを目的として伝達させることが可能である。
【0057】
このようにして回収された熱は、有利には、得られたモノマーを精製するための下流の操作又は材料を乾燥又は予熱するための上流の操作においてそれを最大限に利用できるように、一又は複数の熱レベルで回収される。而して、本方法は、カーボンフットプリント及び再生不可能な資源のエネルギー消費が低減された、複合材料を含む物品のリサイクルを実施することを可能にする。従って、本発明に係る方法は、より環境に優しい。
【0058】
リサイクルされる物品は、その寿命の終わりにある製造された製品又は製造された製品の一部、あるいはそのような製品の製造からの廃棄物でありうることに留意されたい。どちらの場合も、非解重合性廃棄物又はエネルギー効率の低下に寄与する非解重合性製品を排除するために、事前の選別工程が必要であることが判明する場合がある。
【0059】
一実施態様では、物品をリサイクルするための本方法は、図1の工程図を参照して上で説明した方法を実施する前の、事前の選別工程を含む。選別工程は、複合材料を含む物品が分離され、区分けされる工程でありうる。例えば、それは、複合材料を含まない物品から分離され区分けされ得、及び/又はそれは、ガラス、砂又は金属などの汚染物質から分離され区分けされうる。選別工程では、家庭によるプラスチックの分離及び選別もまた許容される。例えば、一方では熱可塑性ポリマーを、他方では熱硬化性ポリマーを選別することができる。選別はまた複合材料で作製されていない粉砕から生じる部分を排除することを可能にしうる。
【0060】
選別は、ポリマーのリサイクルに適した任意の選別方法によって実施されうる。一つの可能な選別方法は、廃棄物が水及び/又はブラインのタンクに入れられるデカンテーションシステムを含みうる。重質コンポーネントはタンクの底に見出され、空気圧エアロックシステムによって排出できる。リサイクルされるコンポーネントは、エンドレススクリューを使用してタンクから取り外すことができる。選別はまた金属粒子を取り出すための磁気選別を含みうる。選別はまた銅などの所定の金属を除去するための渦電流分離を含みうる。例えば、溶液中の密度による選別と、磁気分離など、分離技術を組み合わせることもまたできる。選別は選別センターで実施することができる。選別工程は、有利には、リサイクル方法の実施に使用される様々な装置を損傷させる可能性のあるコンポーネントを排出することを可能にする。
【0061】
ポリマーのリサイクルに適した反応器にリサイクルされる物品を投入するために、投入手段を使用することができる。例えば、物品は、エンドレススクリュー、コンベヤーベルト、ホッパーによって、又は計量モジュールによって反応器に投入されうる。リサイクルされる物品を反応器に供給するための流量は、10kg/hと2000kg/hの間、好ましくは50kg/hと500kg/hの間、好ましくは100kg/hと400kg/hの間でありうる。
【0062】
ポリマーのリサイクルに適した反応器への物品の投入を容易にするために、物品を事前に粉砕することができる。而して、一実施態様では、物品をリサイクルするための本方法は、図1の工程110の前に実施される、物品を粉砕する工程を含む。粉砕工程は、リサイクルされる物品の寸法を縮小させることを可能にし、例えば、任意の適切な機械式グラインダーを使用して実施されうる。物品は、得られた粉砕材料を本発明に係るリサイクルに適した装置に投入することを可能にする寸法に縮小される。粉砕後に得られる粒子は、例えば、少なくとも一寸法が1mmと100mmの間、好ましくは3mmと50mmの間であるようなサイズを有しうる。好ましくは、寸法の少なくとも一つは3mm未満である。その場合、物品は、チップ、顆粒又は粉体の形をとることができる。物品はまた一又は複数の上記形態で反応器に投入されうる。有利には、粉砕工程は、選別工程を容易にすることを可能にしうる。このため、粉砕工程は、上記の選別操作の前に実施されうる。
【0063】
有利には、物品をリサイクルするための方法は、リサイクルされる物品を予熱する工程を含む。物品を予熱するこの工程は、それを反応器に投入する前に、また適切な場合には、粉砕後に、実施されうる。予熱は、任意の適切な加熱手段を使用して実施することができる。一変形態様では、予熱は、ポリマー解重合に適した反応器で開始されうる。物品が予熱される温度は、50℃以上、例えば200℃でありうる。物品を予熱することにより、ポリマーの一部を溶融状態又は液体状態に転換することができ、及び/又はポリマーマトリックスの解重合を容易にすることができる。有利には、物品の予熱は、現場で回収された熱から、熱伝達手段によって回収された熱によって実施することができる。この場合、エネルギー節約が達成され、本方法は好ましいエネルギーバランスを持っているため、より環境に優しい。更に、物品が予熱されると解重合の速度が増加し、よってリサイクルプロセスが一般に速くなる。
【0064】
複合材料物品をリサイクルするために、また複合材料のポリマー部分を分解するために、物品は反応器に入れられる。例えば、反応器は、押出機又はコンベヤー、熱分解、高温熱分解、溶融塩浴での熱分解に適した反応器、又は流動床反応器又は加溶媒分解に適した反応器あるいはプレート内を循環する熱伝達流体によって加熱される中空プレートからなる反応器でありうる。
【0065】
押出機・コンベヤーは、それぞれがバレル内で作動させられる一又は複数のエンドレススクリューを含み、特に前記バレルに投入された成分の混合を可能にする反応器である。リサイクル方法を実施するために押出機・コンベヤーを使用することは、プロセスの環境、セキュリティ及び安全性の観点から有利である。具体的には、押出機・コンベヤーは、溶融ポリマーの粘度を低下させるために溶媒を添加する必要なしに、高粘度の溶融ポリマーを処理することを可能にする。押出機・コンベヤーには、バレルから処理される複合材への効率的な熱伝達を可能にするという利点がある。押出機は、有利には、その長さの全体又は一部にわたってスクリューコンベヤーシステムによって置き換えることができる。有利には、そのシステムは、第一の部分のコンベヤータイプの装置、続く押出機タイプの装置、最後の固体(すなわち強化材)を排出口に移送するように構成されたコンベヤータイプの装置の組み合わせを備えうる。
【0066】
複合材料を含むリサイクルされる物品を受け入れるための反応器は、循環流動床反応器でありうる。循環流動床反応器は、流動床の移送部において流動化速度が4から8m/秒のオーダーである、すなわち、0.4から1m/秒である従来の流動床の流動化速度よりも速い、反応器である。このタイプの反応器では、高速流動床が下部にあり、その上により小径の部分がある。下方部では、複合材と熱伝達固体が強力に混合され、効率的な熱伝達が可能である。解重合/ガス化により、追加のガス量が生成され、これがついで複合材と熱伝達固体を同伴して上方に流れる。反応器の上部では、放出ゾーンにより、熱伝達固体を容器に戻して再加熱し、生成されたガスとまた繊維及びその他の固体を取り出すことができる。この装置には、同伴された固体粒子間で良好な熱交換が可能になるという利点がある。
【0067】
物品をリサイクルするのに適した反応器はまた熱分解反応器、例えば、多段熱分解反応器又は撹拌回転シリンダー反応器でありうる。二通りの構成が可能である:シリンダーがその軸を中心に回転するか、内部撹拌システムが混合を確実にする。
【0068】
物品をリサイクルするのに適した反応器の別の例は、高温熱分解反応器でありうる。このような反応器はガラス質懸濁体を含み、物品の処理温度は1200℃と1500℃の間である。反応器を出るときに、特に複合材料がガラス繊維に基づいている場合、ガラス顆粒が回収される。
【0069】
複合材料を含む物品をリサイクルするために使用することができる反応器は、解重合が一般に400℃と500℃の間で起こる溶融塩浴中での熱分解のための反応器でありうる。物品を溶融塩浴に浸漬させて、マトリックスの解重合を可能にする。繊維は、例えば、塩浴からの濾過によって回収することができる。塩浴は、共晶CaCl又は共晶NaCl-NaCOなどの共晶混合物から構成されうる。有利なことに、溶融塩浴での熱分解は、例えば、熱硬化性ポリマーあるいは塗料又はワニスで汚染された複合材料の処理に適している。
【0070】
使用できる別のタイプの反応器は、熱伝達流体回路(加圧蒸気、油、溶融塩など)によって加熱される中空プレートで構成される。その処理の過程で、物品は最初の段階で温度が上昇するプレート上を進む。固体残留物は、より低い温度にあり、そこで残留物から熱伝達流体への熱交換が起こるプレートを通過することによって、その反応器の通過を終了する。次に、このようにして再加熱された熱伝達流体を使用して、反応器入口において物品を予熱することができる。
【0071】
上で検討した反応器の全ての例において、複合材料で作製された物品は、反応器内で、複合材料の構成ポリマーの分解又は解重合を可能にする所定の温度に加熱される。そのような温度は、反応器のタイプと使用される分解技術に応じて、200℃と1500℃の間でありうる。PMMAを含む複合材の場合、所与の分解温度は、300℃と600℃の間、好ましくは350℃と500℃の間、より好ましくは400℃と450℃の間であり得、この温度範囲は特に対象のポリマーであるPMMAの分解に適している。
【0072】
好ましい実施態様では、物品の加熱は、不活性雰囲気下、例えば、真空下、窒素下、CO下、又はアルゴン下、又は酸素が実質的に低い(例えば、0.1%から10%酸素)雰囲気下で実施される。あるいは、ガス化による合成ガスの生成が望まれる場合、物品の加熱は、酸素を含む反応性ガスの存在下で実施される。物品の加熱が実施される雰囲気を制御するために、反応器は、フィードロックによって、又は例えば溶融ポリマーのプラグによって、又は他の任意の手段によって、供給部から仕切ることができる。而して、物品が投入される反応器は、その操作中、より具体的には、加熱/熱分解/解重合工程中に、気密的に仕切ることができる。例として、反応器内の酸素組成を制御し、複合材の性質に適合させることができる。そのような酸素が枯渇した雰囲気は、例えば、解重合ユニットからの軽質排出物の燃焼ガスをリサイクルすることによって得ることができる。燃焼後、酸素含有量を適切な範囲にすることができる。
【0073】
実施態様に係るリサイクル方法では、ポリマーマトリックスが分解され、例えば、溶融状態又は液体状態の混合物、又は気体状態の混合物に転換されることが想起される。而して、本方法は、強化材と分解マトリックスが互いに分離されて区分けされる分離工程を含む。分離手段は、反応器内又は反応器の出口でのマトリックスの状態に適合化され、すなわち、マトリックスが溶融状態又は液体状態で混合物に転換されるか、あるいは気体状態で混合物に転換されるかに応じて、適合化される。強化材が溶融状態又は液体状態の混合物に含まれる場合、分離手段は、例えばグリッドなど、固液分離を可能にする任意の手段でありうる。分離はまた遠心分離機を使用する遠心分離によって、あるいはデカンテーション、濾過、ドレン、スピン、プレス又はスクリーンによって実施することができる。好ましくは、分離は、溶融媒体中での濾過、プレス又はデカンテーションによって実施される。マトリックスがガス化/解重合される場合、分離手段は、例えば、サイクロン又はフィルターを含みうる。フィルターを使用する場合は、周期的に背圧をかけて、フィルターに蓄積した固形物をほぐす。次に、固形ケーキが、この目的のために設けられた容器内のフィルターの下に回収される。マトリックスの解重合中に、ポリマー残留物が強化材に残る場合があることに留意する必要がある。
【0074】
場合によっては、分解されたマトリックスの一部が反応器内に再投入される。具体的には、分離工程中に、溶融状態又は液体状態の混合物を、この目的のために設けられたチャンバー内に回収することができる。気体状態の混合物の場合、この目的のために設けられた凝縮器で凝縮するために、ガスをダクトを通して反応器から抜き出すことができる。溶融状態又は液体状態の混合物を含むチャンバーは、例えば、前記混合物の反応器への再投入を可能にするために、戻りダクト又はレグを介して反応器に接続されうる。溶融状態の混合物は、特に軽量のポリマーを含む。而して、有利には、マトリックスの分解から生じる溶融状態での混合物の再投入は、次の物品又は物品の次のバッチのマトリックスの分解を容易にすること、及び/又はマトリックスの転換度を改善することを可能にする。更に、ガス混合物の凝縮は、分別的に実施することができ、ベースモノマーを含む清浄な画分、及びモノマーと汚染物質を含む清浄度の低い画分を生じうる。汚染物質を含むこの画分は、この画分に含まれるモノマーのより良い分離を可能にするために、反応器に再投入することもまたできる。
【0075】
本リサイクル方法において、強化材を分離し区分けする工程の後に得られた強化材は、第一熱伝達手段と場合によっては第二熱伝達手段と接触させられる。
【0076】
熱伝達手段は、有利には熱交換器である。一般に、熱交換器は二流体間の熱伝達を可能にする。本リサイクル方法では、熱伝達は固体と熱伝達流体の間で起こる。固体と流体は静止している場合もあれば、又は双方が動いている場合もあり、そうでない場合は、固体が静止し、流体が動いている場合がある。固体と流体は、互いに平行にかつ同じ方向に循環する場合がある。しかし、固体と流体は互いに平行に、しかし反対方向に循環する場合がある。それらはまた直交して循環しうる。
【0077】
熱伝達は、直接接触熱交換器によって実施されうる。而して、直接接触熱交換器によって実施される熱伝達の間、高温の強化材は、熱伝達流体と密接に接触している。流体は、液体、例えば、水、溶媒又はそれらの混合物でありうる。他の例では、流体は、例えば、空気又はガスの流れなどの気体状流体でありうる。流体との接触は、浸漬又は噴霧装置を使用して実施されうる。好ましくは、接触は、高温蒸気を生成するように噴霧することによってなされる。この噴霧の後に浸漬を続けることができる。接触はまた流体が逃げることができる穴を有するノズル又は一連のノズルによって実施され得、ノズルは、固体成分に向けられる。他の熱伝達流体を使用することもできる;好ましくは、現場で入手可能な流体が使用される。例えば、水、空気、ガス、及び解重合の副産物、特に炭化水素は、燃料油及び/又は二次熱伝達流体として使用することができる。具体的には、炭化水素は、高温の残留物と接触すると、水と同様に、気化する。高温ガスはボイラーに向けられ、そこで炭化水素が凝縮され、水が沸騰する。この水は、本方法において、又は一次熱伝達流体を加熱するために、使用されるであろう。
【0078】
変形態様として、熱伝達は、間接接触熱交換器によって実施されうる。そのような熱交換器は、例えば、管式交換器、プレート交換器、水平管束を備えた交換器、垂直管束を備えた交換器、スパイラル交換器、フィン管交換器、あるいは回転式又はブロック式交換器でありうる。これらの例は、限定的ではなく、当業者は、他のタイプの間接接触熱交換器を使用できることを理解するであろう。間接接触熱交換器もまた伝熱流体を使用しうる。伝熱流体は、液体、例えば、水、溶媒又はそれらの混合物、溶融塩、あるいは合成油でありうる。例えば、そのような合成油は、アルケマによってJarytherm(登録商標)の名で販売されている製品でありうる。
【0079】
間接接触熱交換器の利点は、様々な熱レベルでの熱回収が可能になることである。言い換えれば、幾つかの熱レベルで熱を回収することが可能であり、各熱レベルは異なる温度に関連付けられる。ある交換器から次の交換器へとあまり熱くならない、強化材との熱交換を可能にするように、熱交換器をカスケード(又は多段的)にすることが可能である。
【0080】
本リサイクル方法を実施するために、特に、
- 前記複合物品を搬送するための手段、
- 前記物品を、そのポリマーマトリックスを分解する目的で加熱するのに適した反応器、
- 分解されたポリマーマトリックスから強化材を分離するための手段、及び
- 強化材から熱を回収するのに適した第一熱伝達手段
を含むシステムを使用することが可能である。
【0081】
反応器が流動床反応器であるリサイクル方法を、以下に説明する。図2の略図を参照すると、PMMAと繊維に基づく複合材で作製された物品201は、ホッパー又はエンドレススクリュー216によって、流動床反応器202中に、好ましくは反応器の下方部分に(物品201は流動床中で上昇する傾向があるので)投入される。物品201は、粉砕(図示せず)によって得られた約25mmの粒子の形態である。
【0082】
不活性流動媒体もまた反応器中に投入される。この媒体は、例えば、砂、セラミック粒子、金属粒子、金属酸化物粒子、金属水酸化物粒子又は金属ハロゲン化物粒子でありうる。
【0083】
粉砕粒子の形態の、不活性粒子媒体及び物品201は、分配支持体/グリッド205の上に、高温上昇ガス流204に懸濁される、固体粒子203の混合物を形成する。不活性粒子媒体は、高温ガス流によって及び/又は外部容器内で(図示せず)再加熱される。後者の場合、反応器202中に存在する固体は、反応器202に戻される前に外部容器内で再加熱されるために、例えばエンドレススクリューによって引き出される。再加熱は、物品201の炭素質残留物の燃焼によって、及び/又は外部入熱によって、実施することができる。
【0084】
ガス流は、例えば、窒素、二酸化炭素、モノマー又は蒸気に基づき得、場合によっては450℃と550℃の間の温度で加熱される。
【0085】
支持体205は、粒子が下方に通過することを可能にしないが、ガス流が上方に通過することを可能にするグリッド又はディフューザーでありうる。
【0086】
流動化ガス204は、反応器の底部206に吹き込まれ、その流量は、粒子の混合物の流動化を可能にしなければならないようなものである。ガス流は、粒子の混合物の動きと熱伝達を促進する混合につながる。反応器において、PMMAベースのマトリックスが熱の作用によって解重合され、特にガス状のメチルメタクリレートモノマーが生成される。反応器中で生成されたガス207は、サイクロンなどの気/固分離器208まで運ばれる。このような分離器は、反応器の内部又は外部にありうる。直列にされた多数の内部及び外部分離器があり得、最初のものは反応器内に不活性粒子を保持する目的を有し、次のものは強化材粒子209を回収する目的を有する。
【0087】
強化材209に蓄えられた熱を回収するために、強化材は、分離後に強化材を回収するために設けられたチャンバー210に回収される。チャンバー210は、反応器内で生成されたガスが強化材と同じ経路をたどることを潜在的に防止するための任意の適切な手段によって分離器208から隔離されている。これは、エンドレススクリュー、エアーロック、背圧をもたらす不活性ガス流、又は任意の他の手段を使用して達成されうる。強化材は、反応器内で解重合プロセスが実施された後に回収されるため、反応器内の温度と実質的に等しい温度を有する。チャンバー210は、チャンバー210への熱伝達流体の流入を調節するための手段を備えた流入口211を有しうる。チャンバーはまた加熱された熱伝達流体を排出することを可能にする排出口212を有しうる。水などの液体流体の場合、後者は、外部リザーバ213からチャンバー210に移送される。
【0088】
流体は、任意の適切な手段、例えば、可撓性又は剛性のダクト、あるいはパイプによって移送されうる。
【0089】
水は、流入口211を通ってチャンバー210に投入される。図示された例では、高温強化材209は、好ましくは噴霧によって、流入口211を通って入る水と噴霧及び/又は浸漬によって接触させられる。流体が強化材と接触した後、熱伝達が実施される結果、熱蒸気214が生成される。こうして熱蒸気の形で回収された熱は、チャンバー210から排出口212を通して抜き出される。
【0090】
有利には、回収された熱は、外部熱源により注入された熱に加えて、本発明のリサイクル方法において使用されうる。熱源は、既に説明した加熱手段の全ての例を意味すると理解される。
【0091】
例えば、この熱は、物品201の予熱215のためにその場で使用することができる。回収された熱はまたモノマー精製工程において使用することもできる。例えば、ガス202は、凝縮器を使用して凝縮することができ、得られた凝縮物は、高温蒸気で加水分解されうる。この高温蒸気は、水溶液を加熱することによって得ることができ、加熱はリサイクルされた熱で実施される。加水分解はまた加水分解触媒の存在下又は非存在下で、凝縮物又は蒸気207との水と高温の強化材の接触によって得られた蒸気との直接接触によっても実施されうる。次に、加水分解生成物は、例えば、結晶化によって、又は任意の他の同等の技術によって分離することができる。
【0092】
図3を参照すると、熱交換器300は、複数のプレート(301a及び301b)を備えたプレート型交換器でありうる。これらのプレート301a及び301bは中空であり、ほぼ長方形又は円形の形状、あるいは円筒形又は半円筒形(例えば樋)の形状でありうる。一例では、それらは互いに平行に、より正確には平らにかつ上下に配置されている。プレート間の間隙は数ミリメートルから数センチメートルのオーダーで小さいが、強化材の流通を可能にする。各プレート302は、熱伝達流体が循環する内部空間を有している。第一プレート301aに入る第一流体302は、第二プレート301bに入る第二流体303の温度T2eとは異なる温度T1eを有しうる。高温の強化材209は、重力によってその上に載る第一プレート上に配置され得、その結果、熱伝達は、プレートの上壁を通る熱伝導によって起こる。固体残留物(すなわち、強化材)は、重力によって、又は固体残留物(すなわち、強化材)をプレート上で前方に移動させる「プッシャー」によって、あるプレートから次のプレートに移動する。強化材と熱伝達手段の間の接触時間は、1分と10時間の間、100℃と450℃の間でありうる。
【0093】
所定時間後、強化材は、また重力によってその上に載る第二プレートに向けて、動きを設定する手段によって移動させられる。動きは連続的又は不連続的でありうる。そこで、熱伝達が、第二プレート内の流体303によって起こる。あるいは、強化材は、プッシャー、エンドレススクリューを使用して、又は重力によって動きを設定されうる。熱交換器には幾つかの形態がある。例えば、積層された円形プレートの場合、スクレーパーが中心軸に沿って存在し、プレートに沿って強化材を前進させることができる。各プレートには強化材をより低い高さで異なる温度のプレートに落下させることができる、排出口がある。僅かに傾斜していてもよい長方形のプレートの場合、各プレートに強化材を前進させうるスクレーパーがある。プレートの端部に達すると、強化材が別のプレートに移動する一方、スクレーパーがプレートの下を通過してプレートの完全な回路を作る。押出機/コンベヤーを使用する場合、押出機/コンベヤーは、独立して加熱される部位を有し得、従って、逆に、押出機/コンベヤーの端部において、その部位は、独立して冷却されうる。
【0094】
而して、他のプレートを同じバッチの強化材に逐次的に使用して、それぞれの減少する熱レベルで逐次的に熱伝達を実施することができる。有利には、第一プレート301aを離れる流体は温度T1sを有し、第二プレート301bを離れる流体は温度T2sを有し、温度T1s及びT2sは異なる。このように、プレート型熱交換器により、温度の異なるプレートの排出口で流体を回収することができる。また、あるプレートから次のプレートに向流で流れる同じ流体の場合もある。考慮される用途で回収される加熱流体に対しての望ましい用途に応じて、プレートに堆積された強化材の温度、プレート上の強化材の保持時間、及び後者の熱特性に応じて、所定のオーダーの排出口温度を得るために流体入口温度を選択することができる。
【0095】
一実施態様では、熱伝達手段、例えば第一熱伝達手段は、熱伝達中に繊維性強化材の動きを定めるのに適している。熱伝達手段上の強化材の動きの影響を最小限にするために、保護剤を強化材に加えてもよい。有利には、保護剤はまた強化材と熱伝達手段の間の熱交換を促進することを可能にする。
【0096】
次に、工程図の形でのリサイクル方法の第二の実施態様を提示する。図4を参照すると、家庭ごみに由来するリサイクルされる物品は、工程410において分類される。次に、工程420において、複合材料を含む物品は、約20mmの粒子を生成するように粉砕される。工程110において、粉砕された粒子は、50kg/hの流量で、計量モジュールを使用して熱分解反応器に投入される。熱分解反応器は、工程120において、300℃と550℃の間の温度で加熱される。熱の効果下で、ポリマーマトリックスは解重合して、溶融状態の混合物と強化材を含む固体を生じる。強化材は、分離手段を使用して、工程130において溶融状態の混合物から分離される。ステップ140において、蓄熱された熱を持つ強化材は、蓄熱された熱が回収されるようにプレート型熱交換器に配される。回収された熱は、粉砕後に物品を予熱する工程430において使用することができる。
【0097】
一変形態様によれば、リサイクル方法は、強化材が第一熱伝達手段と接触させられ、次に強化材の動きが定められ、第二熱伝達手段に向かって移動させられる工程を含む。これは、例えば、強化材(例えば、繊維状強化材)を第一熱交換器と接触させることによって第一の量の熱を回収した後、追加の熱を回収することを可能にしうる。而して、熱回収を最適化するために、幾つかの伝達手段を使用することができる。
【0098】
本方法によって回収されるエネルギーは、材料の繊維含有量とポリマーの転換度によって変わることに留意する必要がある。この特徴の例を表1に示す。
【0099】
【0100】
而して、エネルギーバランスが改善された本リサイクル方法は、複合材料が70%を超える繊維を含む場合、及び/又は方法がポリマーの70%を超える転換度を許容しない場合のエネルギー回収に特に適している。具体的には、特に、これらの条件下で、複合材料が70%を超える繊維を含み、方法がポリマーの70%未満の転換度を許容する場合、必要なエネルギーの40%以上を回収可能である。
【0101】
本方法は、繊維の割合が40%を超える場合に熱回収と共に複合材料をリサイクルするのに特に有利であり、転換度に関係なく、必要なエネルギーの10%以上を回収できる。
【0102】
最後に、全体的なエネルギーバランスは、例えば、繊維含有量が低く、転換度が高い場合、転換されていないポリマーの完全又は部分燃焼のエネルギーと解重合されたモノマーから分離された不純物の燃焼エネルギーを回収することによって、改善することができる。ポリマーの部分的な転換/燃焼/酸化は、ポリマー残留物を含む完全ではない転換と、CO以外の生成物、例えば、CO、酸及び軽質アルデヒド、並びに炭化水素をもたらす酸化の両方を意味すると理解される。
【0103】
而して、本発明は、複合材料物品の構成ポリマーを解重合するための簡単で効果的な解決策を提案し、エネルギーバランスを改善し、特に、固体の非解重合性繊維材料によって吸収された熱量を回収することを可能にする。この方法により、カーボンフットプリントが削減され、従ってより環境に優しい、複合材料を含む物品のリサイクルを実施することが可能になる。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-01-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料を含む物品をリサイクルするための方法であって、該複合材料がポリマーマトリックスと強化材を含む方法において、次の工程:
- 物品を加熱するのに適した反応器に物品を投入する工程(110)、
- ポリマーマトリックスを分解するために、反応器内の物品を所定の温度で加熱する工程(120)、
- 分解されたポリマーマトリックスから強化材を分離する工程(130)、及び
- 熱を回収するために、強化材を第一熱伝達手段と接触させる工程(140)
を含むことを特徴とする方法。
【外国語明細書】