(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050583
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ポリカーボネートエーテルポリオール及び高分子量ポリエーテルカーボネートを形成する方法
(51)【国際特許分類】
C08G 64/32 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
C08G64/32
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024000769
(22)【出願日】2024-01-05
(62)【分割の表示】P 2020522919の分割
【原出願日】2018-10-24
(31)【優先権主張番号】1717459.0
(32)【優先日】2017-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】517022142
【氏名又は名称】エコニック テクノロジーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ECONIC TECHNOLOGIES LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ケンバー、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リーランド、ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】カビール、ラキブル
(72)【発明者】
【氏名】ホリス、エマリーナ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ポリカーボネートエーテルポリオールを調製する方法を提供する。
【解決手段】方法は、下記式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒並びに任意選択的に二酸化炭素及び/又は溶媒をエポキシド並びに任意選択的にスターター化合物及び/又は二酸化炭素と混合して、混合物(α)を形成する工程を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネートエーテルポリオールを調製する方法であって、
(I) (a) 式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒並びに任意選択的に二酸化炭素及び/又は溶媒をエポキシド並びに任意選択的にスターター化合物及び/又は二酸化炭素と混合して、混合物(α)を形成する工程、又は
(b) 二重金属シアン化物(DMC)触媒並びに任意選択的にスターター化合物、二酸化炭素及び/又は溶媒をエポキシド並びに任意選択的に二酸化炭素及び/又は溶媒と混合して、混合物(α)を形成する工程、又は
(c) エポキシド、式(I)の触媒、スターター化合物及び二酸化炭素並びに任意選択的に溶媒を混合して、混合物(α)を形成する工程、又は
(d) 式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒並びに任意選択的にスターター化合物、エポキシド、二酸化炭素及び/又は溶媒を混合して、混合物(α)を形成する工程、及び
(II) スターター化合物、エポキシド、二酸化炭素、式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒及び/又は溶媒の1つ以上を混合物(α)に添加して、スターター化合物、エポキシド、二酸化炭素、式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒及び任意選択的に溶媒を含む混合物(β)を形成する工程
を含み、前記式(I)の触媒は、以下の構造:
【化1】
を有し、
式中、M
1及びM
2は、独立に、Zn(II)、Cr(II)、Co(II)、Cu(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ni(II)、Fe(II)、Ti(II)、V(II)、Cr(III)-X、Co(III)-X、Mn(III)-X、Ni(III)-X、Fe(III)-X、Ca(II)、Ge(II)、Al(III)-X、Ti(III)-X、V(III)-X、Ge(IV)-(X)
2又はTi(IV)-(X)
2から選択され、
R
1及びR
2は、独立に、水素、ハライド、ニトロ基、ニトリル基、イミン、アミン、エーテル基、シリル基、シリルエーテル基、スルホキシド基、スルホニル基、スルフィネート基若しくはアセチリド基又は任意選択的に置換されるアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、脂環式若しくはヘテロ脂環式基から選択され、
R
3は、独立に、任意選択的に置換されるアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はシクロアルキレンから選択され、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン及びヘテロアルキニレンは、任意選択的に、アリール、ヘテロアリール、脂肪族環又はヘテロ脂肪族環が挟まれ得、
R
5は、独立に、H又は任意選択的に置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール若しくはアルキルアリールから選択され、
E
1はCでE
2はO、S若しくはNHであるか、又はE
1はNでE
2はOであり、
E
3、E
4、E
5及びE
6は、N、NR
4、O及びSから選択され、E
3、E
4、E
5又はE
6がNである場合、
【化2】
は、
【化3】
であり、E
3、E
4、E
5又はE
6がNR
4、O又はSである場合、
【化4】
は、
【化5】
であり、
R
4は、独立に、H又は任意選択的に置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、-アルキルC(O)OR
19、若しくは-アルキルC≡N、若しくはアルキルアリールから選択され、
Xは、独立に、OC(O)R
x、OSO
2R
x、OSOR
x、OSO(R
x)
2、S(O)R
x、OR
x、ホスフィネート、ハライド、ナイトレート、ヒドロキシル、カーボネート、アミノ、アミド又は任意選択的に置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール若しくはヘテロアリールから選択され、各Xは、同じであるか又は異なり得、Xは、M
1とM
2との間に架橋を形成し得、
R
xは、独立に、水素又は任意選択的に置換される脂肪族、ハロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール、アルキルアリール若しくはヘテロアリールであり、
Gは、存在しないか、又はルイス塩基である中性若しくはアニオン性のドナー配位子から独立に選択される、方法。
【請求項2】
混合物(α)は、工程(II)の前に約50~150℃、任意選択的に約80~130℃の温度で保持される、請求項1(a)又は1(b)に記載の方法。
【請求項3】
混合物(α)は、工程(II)の前に約0~120℃、任意選択的に約40~100℃、任意選択的に約50~90℃の温度で保持される、請求項1(c)又は1(d)に記載の方法。
【請求項4】
混合物(α)は、工程(II)の前に少なくとも約1分間、任意選択的に少なくとも約5分間、任意選択的に少なくとも約15分間、任意選択的に少なくとも約30分間、任意選択的に少なくとも約1時間、任意選択的に少なくとも約2時間、任意選択的に少なくとも約5時間にわたって保持される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
混合物(α)は、工程(II)の前に少なくとも約1分間、任意選択的に少なくとも約5分間、任意選択的に少なくとも約15分間、任意選択的に少なくとも約30分間、任意選択的に少なくとも約1時間、任意選択的に少なくとも約2時間、任意選択的に少なくとも約3時間、任意選択的に少なくとも約4時間、任意選択的に少なくとも約8時間、任意選択的に少なくとも約16時間にわたって保持される、請求項1(c)又は3に記載の方法。
【請求項6】
混合物(α)は、約1重量%未満の水、任意選択的に約0.5重量%未満の水、任意選択的に約0.1重量%未満の水、任意選択的に約0.05重量%未満の水、任意選択的に約0重量%の水を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(I)は、式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒及び任意選択的に二酸化炭素を最初に混合して混合物(α’)を形成し、且つエポキシド並びに任意選択的にスターター化合物及び/又は二酸化炭素を続けて添加して混合物(α)を形成することを含む、請求項1(a)に従属する場合の請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
混合物(α’)は、前記続けて添加の前に約0~250℃、任意選択的に約40~150℃、任意選択的に約50~150℃、任意選択的に約70~140℃、任意選択的に約80~130℃の温度で保持される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程(II)は、二重金属シアン化物(DMC)触媒、エポキシド並びに任意選択的にスターター化合物、二酸化炭素及び/又は溶媒を混合して、予備活性化された混合物を形成し、且つ前記予備活性化された混合物を混合物(α)に添加して混合物(β)を形成することを含む、請求項1(c)に従属する場合の請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記予備活性化された混合物は、添加前に約50~110℃、任意選択的に約60~90℃の温度で保持される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記方法はエポキシドの全体量を使用し、前記エポキシドの全体量の約1~95%は工程(I)で混合され、残りは工程(II)で添加され、任意選択的に約1~75%、任意選択的に約1~50%、任意選択的に約1~40%、任意選択的に約1~30%、任意選択的に約1~20%、任意選択的に約5~20%が工程(I)で混合される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記方法はスターター化合物の全体量を使用し、前記スターター化合物の全体量の約1~95%は工程(I)で混合され、残りは工程(II)で添加され、任意選択的に約1~75%、任意選択的に約1~50%、任意選択的に約1~40%、任意選択的に約1~30%、任意選択的に約1~20%、任意選択的に約5~20%が工程(I)で混合される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は式(I)の触媒の全体量を使用し、前記式(I)の触媒の全体量の約1~100%は工程(I)で混合され、残りは工程(II)で添加され、任意選択的に約1~75%、任意選択的に約1~50%、任意選択的に約1~40%、任意選択的に約1~30%、任意選択的に約1~20%、任意選択的に約5~20%が工程(I)で混合される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記方法は二重金属シアン化物(DMC)触媒の全体量を使用し、前記二重金属シアン化物(DMC)触媒の全体量の約1~100%は工程(I)で混合され、残りは工程(II)で添加され、任意選択的に約1~75%、任意選択的に約1~50%、任意選択的に約1~40%、任意選択的に約1~30%、任意選択的に約1~20%、任意選択的に約5~20%が工程(I)で混合される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は二酸化炭素の全体量を使用し、前記二酸化炭素の全体量の約1~100%は工程(I)で混合され、残りは工程(II)で添加され、任意選択的に約1~75%、任意選択的に約1~50%、任意選択的に約1~40%、任意選択的に約1~30%、任意選択的に約1~20%、任意選択的に約5~20%が工程(I)で混合される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は溶媒の全体量を使用し、前記溶媒の全体量の約1~100%は工程(I)で混合され、残りは工程(II)で添加され、任意選択的に約1~75%、任意選択的に約1~50%、任意選択的に約1~40%、任意選択的に約1~30%、任意選択的に約1~20%、任意選択的に約5~20%が工程(I)で混合される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は連続的であり、混合物(β)中の式(I)の触媒に対するエポキシドの所定のモル比又は重量比が存在し、前記方法は、
(III) 混合物(β)にエポキシドを添加して混合物(γ)を形成することであって、前記エポキシドは、混合物(γ)中の式(I)の触媒に対するエポキシドのモル比又は重量比を前記所定のモル比又は重量比の少なくとも約75%にするのに十分な量で添加される、形成すること
をさらに含み、任意選択的に工程(III)が繰り返される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記方法は連続的であり、混合物(β)中の式(I)の触媒に対するスターター化合物の所定のモル比又は重量比が存在し、前記方法は、
(III) 混合物(β)にスターター化合物を添加して混合物(γ)を形成することをさらに含み、前記スターター化合物は、混合物(γ)中の式(I)の触媒に対するスターター化合物のモル比又は重量比を前記所定のモル比又は重量比の少なくとも約75%にするのに十分な量で添加され、任意選択的に工程(III)が繰り返される、請求項1~10又は17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記方法は連続的であり、混合物(β)中の式(I)の触媒に対する二酸化炭素の所定のモル比又は重量比が存在し、前記方法は、
(III) 混合物(β)に二酸化炭素を添加して混合物(γ)を形成すること
をさらに含み、前記二酸化炭素は、混合物(γ)中の式(I)の触媒に対する二酸化炭素のモル比又は重量比を前記所定のモル比又は重量比の少なくとも約75%にするのに十分な量で添加され、任意選択的に工程(III)が繰り返される、請求項1~10、17又は18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
工程(III)は、混合物(γ)中の式(I)の触媒に対するエポキシド、スターター化合物、二酸化炭素及び/又は溶媒のモル比又は重量比が前記所定のモル比又は重量比の約75%を下回らないように行われる、請求項1~10又は17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
工程(III)は、混合物(γ)中の式(I)の触媒に対するエポキシド、スターター化合物、二酸化炭素及び溶媒のモル比又は重量比が前記所定のモル比又は重量比の約75%を下回らないように行われる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記方法は連続的であり、混合物(β)中の式(I)の触媒の所定量が存在し、前記方法は、
(III) 混合物(β)に式(I)の触媒を添加して混合物(γ)を形成すること
をさらに含み、前記式(I)の触媒は、混合物(γ)中の式(I)の触媒の量を前記所定量の約50~550%にするのに十分な量で添加され、任意選択的に工程(III)が繰り返される、請求項1~10又は17~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
工程(III)は、前記混合物(γ)中の式(I)の触媒の量が前記所定量の約50%を下回らないように行われる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記方法は連続的であり、混合物(β)中の二重金属シアン化物(DMC)触媒の所定量が存在し、前記方法は、
(III) 混合物(β)に二重金属シアン化物(DMC)触媒を添加して混合物(γ)を形成すること
をさらに含む、前記二重金属シアン化物(DMC)触媒は、混合物(γ)中の二重金属シアン化物(DMC)触媒の量を前記所定量の約50~550%にするのに十分な量で添加され、任意選択的に工程(III)が繰り返される、請求項1~10又は17~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
工程(III)は、混合物(γ)中の二重金属シアン化物(DMC)触媒の量が前記所定量の約50%を下回らないように行われる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
混合物(β)中に2つのスターター化合物が存在し、工程(I)の前記スターター化合物は第1のスターター化合物であり、工程(II)は、
(A) 第1のスターター化合物、エポキシド、二酸化炭素、式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒及び/又は溶媒の1つ以上を混合物(α)に添加すること、及び
(B) 第2のスターター化合物並びに任意選択的にエポキシド、二酸化炭素、式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒及び/又は溶媒を添加して、第1のスターター化合物、第2のスターター化合物、エポキシド、二酸化炭素、式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒及び任意選択的に溶媒を含む混合物(β)を形成することを含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
工程(B)は、工程(A)の後、少なくとも約1分間、任意選択的に少なくとも約5分間、任意選択的に少なくとも約15分間、任意選択的に少なくとも約30分間、任意選択的に少なくとも約1時間、任意選択的に少なくとも約2時間、任意選択的に少なくとも約5時間で行われる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1のスターター化合物は少なくとも約200Daの分子量を有し、前記第2のスターター化合物は最大で約200Daの分子量を有する、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
前記第2のスターター化合物は、約200~1000Da、任意選択的に約300~700Da、任意選択的に約400Daの分子量を有するポリプロピレングリコールである、請求項26~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記スターター化合物又は各スターター化合物は、2つ以上のヒドロキシル基、任意選択的に3つ以上、任意選択的に4つ以上、任意選択的に5つ以上、任意選択的に6つ以上、任意選択的に7つ以上、任意選択的に8つ以上のヒドロキシル基を有する、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
混合物(α)において、前記式(I)の触媒の量及び前記二重金属シアン化物(DMC)触媒の量は、互いに約300:1~約1:100、例えば約40:1~約1:50などの約120:1~約1:75、例えば20:1~約1:1などの約30:1~約1:30、例えば約10:1~約2:1、例えば約5:1~約1:5の所定の重量比である、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
工程(I)において、前記二重金属シアン化物(DMC)触媒は、その他の成分と乾式混合される、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
工程(I)において、前記二重金属シアン化物(DMC)触媒は、スラリーとして混合され、前記スラリーは、前記二重金属シアン化物(DMC)触媒並びに前記スターター化合物及び/又は溶媒を含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
工程(I)において、前記式(I)の触媒は、その他の成分と乾式混合される、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
工程(I)において、前記式(I)の触媒は溶液として混合され、前記溶液は、前記式(I)の触媒並びに前記スターター化合物、エポキシド及び/又は溶媒の1つ以上を含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
エポキシドは工程(II)で添加される、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
式(I)の触媒は工程(II)で添加される、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
二重金属シアン化物(DMC)触媒は工程(II)で添加される、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
スターター化合物は工程(II)で添加される、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
エポキシド及びスターター化合物の両方は工程(II)で添加される、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
エポキシド、式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒及び/又はスターター化合物は、工程(II)において独立して連続的に添加される、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
エポキシド、式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒及び/又はスターター化合物は、工程(II)において独立して不連続的に添加される、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記スターター化合物又は各スターター化合物は、式(III):
【化6】
を有し、
式中、Zは任意の基であって、それに連結される2つ以上の-R
Z基を有し得る任意の基であり得、
各R
Zは、独立に、-OH、-NHR’、-SH、-C(O)OH、-P(O)(OR’)(OH)、-PR’(O)(OH)
2又は-PR’(O)OHから選択され、
R’は、H又は任意選択的に置換されるアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル若しくはヘテロシクロアルキルから選択され、
aは、少なくとも2である整数である、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記スターター化合物又は各スターター化合物は、1,2-エタンジオール(エチレングリコール)、1-2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,2-ブタンジオール、1-3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-ジフェノール、1,3-ジフェノール、1,4-ジフェノール、ネオペンチルグリコール、カテコール、シクロヘキセンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)又はPPG425、PPG725、PPG1000など、最大で約1500g/molのMnを有するポリエチレングリコール(PEG);グリセロール、ベンゼントリオール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、トリス(メチルアルコール)プロパン、トリス(メチルアルコール)エタン、トリス(メチルアルコール)ニトロプロパン、トリメチロールプロパン、ポリプロピレンオキシドトリオール、ポリエステルトリオールなどのトリオール、カリックス[4]アレーン、2,2-ビス(メチルアルコール)-1,3-プロパンジオール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、乳酸、グリコール酸、3-ヒドロキシプロパン酸、4-ヒドロキシブタン酸、5-ヒドロキシペンタン酸、エタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン及びフェニルジエタノールアミンから選択される、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記二酸化炭素は連続的に提供される、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記方法は、約1バール~約60バール、任意選択的に約1バール~約40バール、任意選択的に約1バール~約20バール、任意選択的に約1バール~約15バール、任意選択的に約1バール~約10バール、任意選択的に約1バール~約5バールの二酸化炭素の圧力で行われる、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
高分子量ポリエーテルカーボネートを調製する方法であって、
(I) (a) 式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒並びに任意選択的に二酸化炭素及び/又は溶媒をエポキシド及び任意選択的に二酸化炭素と混合して、混合物(α)を形成する工程、又は
(b) 二重金属シアン化物(DMC)触媒並びに任意選択的に二酸化炭素及び/又は溶媒をエポキシド並びに任意選択的に二酸化炭素及び/又は溶媒と混合して、混合物(α)を形成する工程、又は
(c) エポキシド、式(I)の触媒及び二酸化炭素並びに任意選択的に溶媒を混合して、混合物(α)を形成する工程、又は
(d) 式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒並びに任意選択的にエポキシド、二酸化炭素及び/又は溶媒を混合して、混合物(α)を形成する工程、及び
(II) エポキシド、二酸化炭素、式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒及び/又は溶媒の1つ以上を混合物(α)に添加して、エポキシド、二酸化炭素、式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒及び任意選択的に溶媒を含む混合物(β)を形成する工程
を含み、前記式(I)の触媒は、以下の構造:
【化7】
を有し、
式中、M
1及びM
2は、独立に、Zn(II)、Cr(II)、Co(II)、Cu(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ni(II)、Fe(II)、Ti(II)、V(II)、Cr(III)-X、Co(III)-X、Mn(III)-X、Ni(III)-X、Fe(III)-X、Ca(II)、Ge(II)、Al(III)-X、Ti(III)-X、V(III)-X、Ge(IV)-(X)
2又はTi(IV)-(X)
2から選択され、
R
1及びR
2は、独立に、水素、ハライド、ニトロ基、ニトリル基、イミン、アミン、エーテル基、シリル基、シリルエーテル基、スルホキシド基、スルホニル基、スルフィネート基若しくはアセチリド基又は任意選択的に置換されるアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、脂環式若しくはヘテロ脂環式基から選択され、
R
3は、独立に、任意選択的に置換されるアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はシクロアルキレンから選択され、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン及びヘテロアルキニレンは、任意選択的に、アリール、ヘテロアリール、脂肪族環又はヘテロ脂肪族環が挟まれ得、
R
5は、独立に、H又は任意選択的に置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール若しくはアルキルアリールから選択され、
E
1はCでE
2はO、S若しくはNHであるか、又はE
1はNでE
2はOであり、
E
3、E
4、E
5及びE
6は、N、NR
4、O及びSから選択され、E
3、E
4、E
5又はE
6がNである場合、
【化8】
は、
【化9】
であり、E
3、E
4、E
5又はE
6がNR
4、O又はSである場合、
【化10】
は、
【化11】
であり、
R
4は、独立に、H又は任意選択的に置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、-アルキルC(O)OR
19、若しくは-アルキルC≡N、若しくはアルキルアリールから選択され、
Xは、独立に、OC(O)R
x、OSO
2R
x、OSOR
x、OSO(R
x)
2、S(O)R
x、OR
x、ホスフィネート、ハライド、ナイトレート、ヒドロキシル、カーボネート、アミノ、アミド又は任意選択的に置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール若しくはヘテロアリールから選択され、各Xは、同じであるか又は異なり得、Xは、M
1とM
2との間に架橋を形成し得、
R
xは、独立に、水素又は任意選択的に置換される脂肪族、ハロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール、アルキルアリール若しくはヘテロアリールであり、
Gは、存在しないか、又はルイス塩基である中性若しくはアニオン性のドナー配位子から独立に選択される、方法。
【請求項48】
混合物(α)は、工程(II)の前に約50~110℃、任意選択的に約60~90℃の温度で保持される、請求項47(a)又は47(b)に記載の方法。
【請求項49】
混合物(α)は、工程(II)の前に約0~120℃、任意選択的に約40~100℃、任意選択的に約50~90℃の温度で保持される、請求項47(c)又は47(d)に記載の方法。
【請求項50】
混合物(α)は、工程(II)の前に少なくとも約1分間、任意選択的に少なくとも約5分間、任意選択的に少なくとも約15分間、任意選択的に少なくとも約30分間、任意選択的に少なくとも約1時間、任意選択的に少なくとも約2時間、任意選択的に少なくとも約5時間にわたって保持される、請求項47~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
混合物(α)は、工程(II)の前に少なくとも約5分間、任意選択的に少なくとも約15分間、任意選択的に少なくとも約30分間、任意選択的に少なくとも約1時間、任意選択的に少なくとも約2時間、任意選択的に少なくとも約3時間、任意選択的に少なくとも約4時間、任意選択的に少なくとも約8時間、任意選択的に少なくとも約16時間にわたって保持される、請求項47(c)又は49に記載の方法。
【請求項52】
混合物(α)は、約1重量%未満の水、任意選択的に約0.5重量%未満の水、任意選択的に約0.1重量%未満の水、任意選択的に約0.05重量%未満の水、任意選択的に約0重量%の水を含む、請求項47~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
工程(I)は、式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒及び任意選択的に二酸化炭素を最初に混合して混合物(α’)を形成し、且つエポキシド及び任意選択的に二酸化炭素を続けて添加して混合物(α)を形成することを含む、請求項48(a)に従属する場合の請求項47~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
混合物(α’)は、前記続けて添加の前に約0~250℃、任意選択的に約40~150℃、任意選択的に約50~150℃、任意選択的に約70~140℃、任意選択的に約80~130℃の温度で保持される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
工程(II)は、二重金属シアン化物(DMC)触媒、エポキシド並びに任意選択的に二酸化炭素及び/又は溶媒を混合して、予備活性化された混合物を形成し、且つ前記予備活性化された混合物を混合物(α)に添加して混合物(β)を形成することを含む、請求項47(c)に従属する場合の請求項47~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記予備活性化された混合物は、添加前に約50~110℃、任意選択的に約60~90℃の温度で保持される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記方法はエポキシドの全体量を使用し、前記エポキシドの全体量の約1~95%は工程(I)で混合され、残りは工程(II)で添加され、任意選択的に約1~75%、任意選択的に約1~50%、任意選択的に約1~40%、任意選択的に約1~30%、任意選択的に約1~20%、任意選択的に約5~20%が工程(I)で混合される、請求項47~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記方法は式(I)の触媒の全体量を使用し、前記式(I)の触媒の全体量の約1~100%は工程(I)で混合され、残りは工程(II)で添加され、任意選択的に約1~75%、任意選択的に約1~50%、任意選択的に約1~40%、任意選択的に約1~30%、任意選択的に約1~20%、任意選択的に約5~20%が工程(I)で混合される、請求項47~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記方法は二重金属シアン化物(DMC)触媒の全体量を使用し、前記二重金属シアン化物(DMC)触媒の全体量の約1~100%は工程(I)で混合され、残りは工程(II)で添加され、任意選択的に約1~75%、任意選択的に約1~50%、任意選択的に約1~40%、任意選択的に約1~30%、任意選択的に約1~20%、任意選択的に約5~20%が工程(I)で混合される、請求項47~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記方法は二酸化炭素の全体量を使用し、前記二酸化炭素の全体量の約1~100%は工程(I)で混合され、残りは工程(II)で添加され、任意選択的に約1~75%、任意選択的に約1~50%、任意選択的に約1~40%、任意選択的に約1~30%、任意選択的に約1~20%、任意選択的に約5~20%が工程(I)で混合される、請求項47~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記方法は溶媒の全体量を使用し、前記溶媒の全体量の約1~100%は工程(I)で混合され、残りは工程(II)で添加され、任意選択的に約1~75%、任意選択的に約1~50%、任意選択的に約1~40%、任意選択的に約1~30%、任意選択的に約1~20%、任意選択的に約5~20%が工程(I)で混合される、請求項47~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記方法は連続的であり、混合物(β)中の式(I)の触媒に対するエポキシドの所定のモル比又は重量比が存在し、前記方法は、
(III) 混合物(β)にエポキシドを添加して混合物(γ)を形成すること
をさらに含み、前記エポキシドは、混合物(γ)中の式(I)の触媒に対するエポキシドのモル比又は重量比を前記所定のモル比の少なくとも約75%にするのに十分な量で添加され、任意選択的に工程(III)が繰り返される、請求項47~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記方法は連続的であり、混合物(β)中の式(I)の触媒に対する二酸化炭素の所定のモル比又は重量比が存在し、前記方法は、
(III) 混合物(β)に二酸化炭素を添加して混合物(γ)を形成すること
をさらに含み、前記二酸化炭素は、混合物(γ)中の式(I)の触媒に対する二酸化炭素のモル比又は重量比を前記所定のモル比の少なくとも約75%にするのに十分な量で添加され、任意選択的に工程(III)が繰り返される、請求項47~56又は62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記方法は連続的であり、混合物(β)中の式(I)の触媒に対する溶媒の所定のモル比又は重量比が存在し、前記方法は、
(III) 混合物(β)に溶媒を添加して混合物(γ)を形成すること
をさらに含み、前記溶媒は、混合物(γ)中の式(I)の触媒に対する溶媒のモル比又は重量比を前記所定のモル比の少なくとも約75%にするのに十分な量で添加され、任意選択的に工程(III)が繰り返される、請求項47~56、62又は63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
工程(III)は、混合物(γ)中の式(I)の触媒に対するエポキシド、二酸化炭素及び/又は溶媒のモル比又は重量比が前記所定モル比の約75%を下回らないように行われる、請求項47~56又は62~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
工程(III)は、混合物(γ)中の式(I)の触媒に対するエポキシド、二酸化炭素及び溶媒のモル比又は重量比が前記所定モル比の約75%を下回らないように行われる、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記方法は連続的であり、混合物(β)中の式(I)の触媒の所定量が存在し、前記方法は、
(III) 混合物(β)に式(I)の触媒を添加して混合物(γ)を形成すること
をさらに含み、前記式(I)の触媒は、混合物(γ)中の式(I)の触媒の量を前記所定量の約50~550%にするのに十分な量で添加され、任意選択的に工程(III)が繰り返される、請求項47~56又は62~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
工程(III)は、前記混合物(γ)中の式(I)の触媒の量が前記所定量の約50%を下回らないように行われる、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記方法は連続的であり、混合物(β)中の二重金属シアン化物(DMC)触媒の所定量が存在し、前記方法は、
(III) 混合物(β)に二重金属シアン化物(DMC)触媒を添加して混合物(γ)を形成すること
をさらに含み、前記二重金属シアン化物(DMC)触媒は、混合物(γ)中の二重金属シアン化物(DMC)触媒の量を前記所定量の約50~550%にするのに十分な量で添加され、任意選択的に工程(III)が繰り返される、請求項47~56又は62~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
工程(III)は、混合物(γ)中の二重金属シアン化物(DMC)触媒の量が前記所定量の約50%を下回らないように行われる、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
混合物(α)において、前記式(I)の触媒の量及び前記二重金属シアン化物(DMC)触媒の量は、互いに約300:1~約1:100、例えば約40:1~約1:50などの約120:1~約1:75、例えば20:1~約1:1などの約30:1~約1:30、例えば約10:1~約2:1、例えば約5:1~約1:5の所定の重量比である、請求項47~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
工程(I)において、前記二重金属シアン化物(DMC)触媒は、その他の成分と乾式混合される、請求項47~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
工程(I)において、前記二重金属シアン化物(DMC)触媒は、スラリーとして混合され、前記スラリーは、前記二重金属シアン化物(DMC)触媒及び溶媒を含む、請求項47~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
工程(I)において、前記式(I)の触媒は、その他の成分と乾式混合される、請求項47~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
工程(I)において、前記式(I)の触媒は溶液として混合され、前記溶液は、前記式(I)の触媒並びに前記エポキシド及び/又は溶媒の1つ以上を含む、請求項47~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
エポキシドは工程(II)で添加される、請求項47~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
式(I)の触媒は工程(II)で添加される、請求項47~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
二重金属シアン化物(DMC)触媒は工程(II)で添加される、請求項47~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
エポキシド、式(I)の触媒及び/又は二重金属シアン化物(DMC)触媒は、工程(II)において独立して連続的に添加される、請求項47~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
エポキシド、式(I)の触媒及び/又は二重金属シアン化物(DMC)触媒は、工程(II)において独立して不連続的に添加される、請求項47~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記二酸化炭素は連続的に提供される、請求項47~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記方法は、約1バール~約60バール、任意選択的に約1バール~約40バール、任意選択的に約1バール~約20バール、任意選択的に約1バール~約15バール、任意選択的に約1バール~約10バール、任意選択的に約1バール~約5バールの二酸化炭素の圧力で行われる、請求項47~81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
M1及び/又はM2は、Zn(II)、Cr(III)-X、Co(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ni(II)、Fe(II)及びFe(III)-Xから選択され、任意選択的に、M1及びM2は、Mg(II)、Zn(II)又はNi(II)から選択される、請求項1~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
Xは、独立に、OC(O)Rx、OSO2Rx、OS(O)Rx、OSO(Rx)2、S(O)Rx、ORx、ハライド、ナイトレート、カーボネート、アミノ、ニトロ、アミド、アルキル、ヘテロアルキル、アリール若しくはヘテロアリールから選択され、及び/又はRxは、任意選択的に置換されるアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル若しくはアルキルアリールであり得、各Xは、同じであるか又は異なり得、Xは、M1とM2との間に架橋を形成し得る、請求項1~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記式(I)の触媒は、対称の大環状配位子を有する、請求項1~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記式(I)の触媒は、非対称の大環状配位子を有する、請求項1~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
E3、E4、E5及びE6はNR4であり、E3、E4、E5及びE6の少なくとも1つの存在は、E3、E4、E5及びE6の残りの存在とは異なり、任意選択的にR4はH又はアルキルである、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
E3、E4、E5及びE6はNR4であり、各R4は、独立に、H又は任意選択的に置換される脂肪族であり、任意選択的に各R4はH又はアルキルである、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
E1はCであり、E2はOである、請求項1~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
R5はHであり、R2はHである、請求項1~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
R3は、任意選択的に置換されるアルキレン基であり、任意選択的に、R3は、任意選択的に置換されるC2又はC3アルキレン基である、請求項1~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
R1は、独立に、水素、ハライド、アミノ、ニトロ、スルホキシド、スルホニル、スルフィネート及び任意選択的に置換されるアルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シリル、シリルエーテル、アルコキシ、アリールオキシ又はアルキルチオから選択され、任意選択的に各R1は同じである、請求項1~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
各R4は、独立に、水素及び任意選択的に置換されるアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアリール、-アルキルC(O)OR19又は-アルキルC≡Nから選択され、任意選択的に、各R4は、水素及び任意選択的に置換されるアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル又はヘテロアリールから選択され、任意選択的に、各R4は水素又はアルキルであり、任意選択的に、各R4は、H、Me、Et、Bn、iPr、tBu又はPh及び-CH2-(ピリジン)から選択される、請求項1~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記式(I)の触媒は、以下の式:
【化12】
【化13】
【化14】
のものである、請求項1~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記DMC触媒は、少なくとも2つの金属中心及びシアニド配位子に加えて、1つ以上の錯化剤、水、金属塩及び/又は酸の少なくとも1つも任意選択的に非化学量論量で含む、請求項1~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
前記DMC触媒は、錯化剤、水及び/又は酸の少なくとも1つの存在下で金属塩の溶液を金属シアン化物塩の溶液で処理することによって調製され、任意選択的に、前記金属塩は式M’(X’)pのものであり、式中、M’は、Zn(II)、Ru(II)、Ru(III)、Fe(II)、Ni(II)、Mn(II)、Co(II)、Sn(II)、Pb(II)、Fe(III)、Mo(IV)、Mo(VI)、Al(III)、V(V)、V(VI)、Sr(II)、W(IV)、W(VI)、Cu(II)及びCr(III)から選択され、
X’は、ハライド、オキシド、ヒドロキシド、スルフェート、カーボネート、シアニド、オキサレート、チオシアネート、イソシアネート、イソチオシアネート、カルボキシレート及びナイトレートから選択されるアニオンであり、
pは、1以上の整数であり、pを乗じた前記アニオン上の電荷は、M’の価数を満たし、前記金属シアン化物塩は式(Y)qM’’(CN)b(A)cのものであり、式中、M’’は、Fe(II)、Fe(III)、Co(II)、Co(III)、Cr(II)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Ir(III)、Ni(II)、Rh(III)、Ru(II)、V(IV)及びV(V)から選択され、
Yは、プロトン、又はアルカリ金属イオン、又はアルカリ土類金属イオン(例えば、K+)であり、
Aは、ハライド、オキシド、ヒドロキシド、スルフェート、シアニド、オキサレート、チオシアネート、イソシアネート、イソチオシアネート、カルボキシレート及びナイトレートから選択されるアニオンであり、
q及びbは、1以上の整数であり、
cは、0又は1以上の整数であり得、
それぞれq、b及びcを乗じた前記アニオンY、CN及びA上の電荷の合計(例えば、Y×q+CN×b+A×c)は、M’’の価数を満たし、
前記少なくとも1つの錯化剤は、(ポリ)エーテル、ポリエーテルカーボネート、ポリカーボネート、ポリ(テトラメチレンエーテルジオール)、ケトン、エステル、アミド、アルコール、尿素又はこれらの組合せから選択され、
任意選択的に、前記少なくとも1つの錯化剤は、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、(メ)エトキシエチレングリコール、ジメトキシエタン、tert-ブチルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジグリム、トリグリム、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール及びsec-ブチルアルコール、3-ブテン-1-オール、2-メチル-3-ブテン-2-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール又はこれらの組合せから選択され、
前記酸は、存在する場合、式HrX’’’を有し、式中、X’’’は、ハライド、スルフェート、ホスフェート、ボレート、クロレート、カーボネート、シアニド、オキサレート、チオシアネート、イソシアネート、イソチオシアネート、カルボキシレート及びナイトレートから選択されるアニオンであり、rは、対イオンX’’’上の電荷に対応する整数である、請求項1~95のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
前記DMC触媒は、式:
M’d[M’’e(CN)f]g
を含み、式中、M’及びM’’は、請求項96に記載されている通りであり、d、e、f及びgは、整数であり、且つ前記DMC触媒が電気的中性を有するように選択され、
任意選択的に、dは3であり、eは1であり、fは6であり、gは2である、請求項1~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
M’は、Zn(II)、Fe(II)、Co(II)及びNi(II)から選択され、任意選択的に、M’はZn(II)である、請求項96又は97に記載の方法。
【請求項99】
M’’は、Co(II)、Co(III)、Fe(II)、Fe(III)、Cr(III)、Ir(III)及びNi(II)から選択され、任意選択的に、M’’は、Co(II)又はCo(III)である、請求項96~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記方法の過程中に反応の温度が上昇する、請求項1~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
工業スケールで行われる、請求項1~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
請求項1~101のいずれか一項に記載の方法によって形成される製品。
【請求項103】
請求項1~101のいずれか一項に記載の方法によって製造されるポリカーボネートエーテルポリオール又はポリエーテルカーボネート。
【請求項104】
請求項103に記載のポリカーボネートエーテルポリオール又はポリエーテルカーボネートから製造されるより高次のポリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカーボネートエーテルポリオール及び高分子量ポリエーテルカーボネートを調製する方法に関する。本発明は、より詳細には、必ずしもこれに限定されるものではないが、重合中の材料の制御された添加を通して改善された制御を有する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネートエーテルポリオールは、ポリウレタン合成の出発物質として有用である。ポリウレタンは、ジイソシアネート又はポリイソシアネートとポリオールとを反応させることによって調製されるポリマーである。ポリウレタンは、絶縁パネル、高性能接着剤、復元力に優れた発泡体座面、シール及びガスケット、ホイール及びタイヤ、合成繊維としてなどを含めて、多くの異なる製品及び用途において使用されている。
【0003】
ポリエーテルカーボネートポリオールは、エポキシド及び二酸化炭素をスターター(H官能基を有する化合物)に触媒付加することによって製造することができる。ポリエーテルカーボネートポリオールを調製する1つの方法は、二重金属シアン化物(DMC)触媒を使用することによるものである。そのような方法は、米国特許第4500704号明細書、米国特許第6762278号明細書、国際公開第2006/103213号パンフレット、国際公開第2015/022290号パンフレットに記載されている。
【0004】
「DMC」触媒は、少なくとも2つの金属中心及びシアン化物配位子を有する触媒を指すために文献及び刊行された特許において一般に使用される用語である。DMC触媒を調製する方法及びDMC触媒を使用してポリエーテルを調製する方法に関する多くの特許が開示されている[例えば、米国特許出願公開第2008/0167502号明細書(BASF);米国特許出願公開第2003/0158449号明細書(Bayer);米国特許出願公開第2003/0069389号明細書(Shell);米国特許出願公開第2004/0220430号明細書(Repsol Quimica);米国特許第5,536,883号明細書(Arco);米国特許出願公開第2005/0065383号明細書(Dow)及び米国特許第3,427,256号明細書(General Tyre and Rubber Company)]。
【0005】
DMC触媒によって形成されるポリエーテルカーボネートポリオールは、一般的に二酸化炭素含有率が低く(20重量%未満のCO2)、そのようなCO2レベルを組み込むために40又は50バールなどの高圧を必要とする。国際公開第2006/103213号パンフレットは、初期量のエポキシド(プロピレンオキシドなど)を添加することでスターターの存在下において反応器内の触媒を予備活性化し、ポリエーテルオリゴマーを生成する半バッチ式プロセスを開示している。その後、非常に発熱的な反応を制御し、安全に操作できるようにするために、残りのエポキシド及び二酸化炭素は、ゆっくりと反応中に量り入れられる。このプロセスは、鎖の最初のセグメントがポリエーテル結合のみを含む場合、二酸化炭素の不存在下での最初の活性化工程によってポリオールの二酸化炭素含有率が本質的に低下するという欠点を有する。低い当量のスターター(プロピレングリコール、PG、分子量76g/mol等)は、触媒の活性化を阻害するため、この方法は、高い当量のスターター(ポリプロピレングリコール460等)にも限定される。したがって、この方法は、高分子量において中程度のCO2含有率を生じさせるに過ぎず、多量のCO2を低分子量ポリオール(1500未満のMn)に組み込むために使用することができない。
【0006】
国際公開第2008/092767号パンフレットは、DMC触媒を使用する半バッチ式プロセスを開示しており、これにより、より高い当量の初期スターター(PPG-460等)が活性化工程のためのDMC触媒と共に反応器内に入れられる。反応中、PGなどのさらに低い当量のスターターがエポキシドと一緒に反応器内に量り入れられる。これらは、開始後の反応性を妨げないため、これにより低分子量のスターターを使用できるものの、触媒は、依然として活性化される必要があり、一部のポリオールには、依然として活性化のポリエーテル生成物が含まれている。全体的なCO2含有率は、高圧下でも依然として中程度である。高圧下での操作は、設計のコスト及び煩雑さを大幅に増大させるため、工業スケールの製造に不利である。
【0007】
国際公開第2017/037441号パンフレットは、低圧(5~10バールのCO2等)での操作を可能にし、CO2含有率が大幅に増加した(30重量%超のCO2)ポリエーテルカーボネートポリオールを製造可能である、複合触媒系を使用するポリエーテルカーボネートポリオールの製造のためのバッチ式方法を開示している。全てのエポキシドが反応開始時に反応器に入れられるこのようなバッチ操作は、DMC触媒とエポキシドとの間で非常に発熱的な反応が生じる可能性があるため、工業的に適用できないであろう。
【0008】
驚くべきことに、反応中に1つ以上の成分を反応器内に量り入れることにより、このプロセスの安全な操作を可能にする半連続形式又は連続形式において、そのような複合触媒系を扱えることが見出された。これは、均一なポリカーボネート触媒が一般的にバッチ形式で実証されているため(国際公開第2013/034750号パンフレット、国際公開第2016/012786号パンフレット又は国際公開第2016/012785号パンフレットに記載)、特に驚くべきことである。さらに、DMCを予め活性化する必要なしに半連続又は連続プロセスを実行できるため、反応の最初からCO2を組み込むことができ、ポリオールの潜在的なCO2含有率が増加する。このプロセスは、より大きいCO2含有率を有する幅広い分子量のポリオールを製造するために低い当量のスターター(1,6-ヘキサンジオール、当量118g/mol等)のみを使用して行うことができる。
【0009】
スターター及びエポキシドを反応器に連続的に添加することにより、高いCO2含有率を有するより低分子量の材料の製造が可能になることが見出された。
このプロセスは、驚くべきことに、ポリエーテルカーボネート(例えば、高分子量ポリエーテルカーボネート)を製造するためにスターターの不存在下において連続的な形式で採用することもできる。
【0010】
本発明の目的は、ポリカーボネートエーテルポリオールを調製する既存の方法及び/若しくは高分子量ポリエーテルカーボネートを調製する方法の問題を防ぐか若しくは軽減すること、並びに/又は改善された方法を提供すること、並びに/又は代替方法を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,500,704号明細書
【特許文献2】米国特許第6,762,278号明細書
【特許文献3】国際公開第2006/103213号
【特許文献4】国際公開第2015/022290号
【特許文献5】米国特許出願公開第2008/0167502号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2003/0158449号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2003/0069389号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2004/0220430号明細書
【特許文献9】米国特許第5,536,883号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2005/0065383号明細書
【特許文献11】米国特許第3,427,256号明細書
【特許文献12】国際公開第2008/092767号
【特許文献13】国際公開第2017/037441号
【特許文献14】国際公開第2013/034750号
【特許文献15】国際公開第2016/012786号
【特許文献16】国際公開第2016/012785号
【発明の概要】
【0012】
本発明によれば、ポリカーボネートエーテルポリオールを調製する方法が提供され、その方法は、
(I) (a) 式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒並びに任意選択的に二酸化炭素及び/又は溶媒をエポキシド並びに任意選択的にスターター化合物及び/又は二酸化炭素と混合して、混合物(α)を形成する工程、又は
(b) 二重金属シアン化物(DMC)触媒並びに任意選択的にスターター化合物、二酸化炭素及び/又は溶媒をエポキシド並びに任意選択的に二酸化炭素及び/又は溶媒と混合して、混合物(α)を形成する工程、又は
(c) エポキシド、式(I)の触媒、スターター化合物及び二酸化炭素並びに任意選択的に溶媒を混合して、混合物(α)を形成する工程、又は
(d) 式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒並びに任意選択的にスターター化合物、エポキシド、二酸化炭素及び/又は溶媒を混合して、混合物(α)を形成する工程、及び
(II) スターター化合物、エポキシド、二酸化炭素、式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒及び/又は溶媒の1つ以上を混合物(α)に添加して、スターター化合物、エポキシド、二酸化炭素、式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒及び任意選択的に溶媒を含む混合物(β)を形成する工程
を含み、式(I)の触媒は、以下の構造:
【0013】
【化1】
を有し、
式中、M
1及びM
2は、独立に、Zn(II)、Cr(II)、Co(II)、Cu(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ni(II)、Fe(II)、Ti(II)、V(II)、Cr(III)-X、Co(III)-X、Mn(III)-X、Ni(III)-X、Fe(III)-X、Ca(II)、Ge(II)、Al(III)-X、Ti(III)-X、V(III)-X、Ge(IV)-(X)
2又はTi(IV)-(X)
2から選択され、
R
1及びR
2は、独立に、水素、ハライド、ニトロ基、ニトリル基、イミン、アミン、エーテル基、シリル基、シリルエーテル基、スルホキシド基、スルホニル基、スルフィネート基若しくはアセチリド基又は任意選択的に置換されるアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、脂環式若しくはヘテロ脂環式基から選択され、
R
3は、独立に、任意選択的に置換されるアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はシクロアルキレンから選択され、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン及びヘテロアルキニレンは、任意選択的に、アリール、ヘテロアリール、脂肪族環又はヘテロ脂肪族環が挟まれ得、
R
5は、独立に、H又は任意選択的に置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール若しくはアルキルアリールから選択され、
E
1はCでE
2はO、S若しくはNHであるか、又はE
1はNでE
2はOであり、
E
3、E
4、E
5及びE
6は、N、NR
4、O及びSから選択され、E
3、E
4、E
5又はE
6がNである場合、
【0014】
【0015】
【化3】
であり、E
3、E
4、E
5又はE
6がNR
4、O又はSである場合、
【0016】
【0017】
【化5】
であり、
R
4は、独立に、H又は任意選択的に置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、-アルキルC(O)OR
19、若しくは-アルキルC≡N、若しくはアルキルアリールから選択され、
Xは、独立に、OC(O)R
x、OSO
2R
x、OSOR
x、OSO(R
x)
2、S(O)R
x、OR
x、ホスフィネート、ハライド、ナイトレート、ヒドロキシル、カーボネート、アミノ、アミド又は任意選択的に置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール若しくはヘテロアリールから選択され、各Xは、同じであるか又は異なり得、Xは、M
1とM
2との間に架橋を形成し得、
R
xは、独立に、水素又は任意選択的に置換される脂肪族、ハロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール、アルキルアリール若しくはヘテロアリールであり、
Gは、存在しないか、又はルイス塩基である中性若しくはアニオン性のドナー配位子から独立に選択される。
【0018】
高分子量ポリエーテルカーボネートを調製する方法もまた提供され、その方法は、
(I) (a) 式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒並びに任意選択的に二酸化炭素及び/又は溶媒をエポキシド及び任意選択的に二酸化炭素と混合して、混合物(α)を形成する工程、又は
(b) 二重金属シアン化物(DMC)触媒並びに任意選択的に二酸化炭素及び/又は溶媒をエポキシド並びに任意選択的に二酸化炭素及び/又は溶媒と混合して、混合物(α)を形成する工程、又は
(c) エポキシド、式(I)の触媒及び二酸化炭素並びに任意選択的に溶媒を混合して、混合物(α)を形成する工程、又は
(d) 式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒並びに任意選択的にエポキシド、二酸化炭素及び/又は溶媒を混合して、混合物(α)を形成する工程、及び
(II) エポキシド、二酸化炭素、式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒及び/又は溶媒の1つ以上を混合物(α)に添加して、エポキシド、二酸化炭素、式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒及び任意選択的に溶媒を含む混合物(β)を形成する工程
を含み、式(I)の触媒は、以下の構造:
【0019】
【化6】
を有し、
式中、M
1及びM
2は、独立に、Zn(II)、Cr(II)、Co(II)、Cu(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ni(II)、Fe(II)、Ti(II)、V(II)、Cr(III)-X、Co(III)-X、Mn(III)-X、Ni(III)-X、Fe(III)-X、Ca(II)、Ge(II)、Al(III)-X、Ti(III)-X、V(III)-X、Ge(IV)-(X)
2又はTi(IV)-(X)
2から選択され、
R
1及びR
2は、独立に、水素、ハライド、ニトロ基、ニトリル基、イミン、アミン、エーテル基、シリル基、シリルエーテル基、スルホキシド基、スルホニル基、スルフィネート基若しくはアセチリド基又は任意選択的に置換されるアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、脂環式若しくはヘテロ脂環式基から選択され、
R
3は、独立に、任意選択的に置換されるアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はシクロアルキレンから選択され、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン及びヘテロアルキニレンは、任意選択的に、アリール、ヘテロアリール、脂肪族環又はヘテロ脂肪族環が挟まれ得、
R
5は、独立に、H又は任意選択的に置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール若しくはアルキルアリールから選択され、
E
1はCでE
2はO、S若しくはNHであるか、又はE
1はNでE
2はOであり、
E
3、E
4、E
5及びE
6は、N、NR
4、O及びSから選択され、E
3、E
4、E
5又はE
6がNである場合、
【0020】
【0021】
【化8】
であり、E
3、E
4、E
5又はE
6がNR
4、O又はSである場合、
【0022】
【0023】
【化10】
であり、
R
4は、独立に、H又は任意選択的に置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、-アルキルC(O)OR
19、若しくは-アルキルC≡N、若しくはアルキルアリールから選択され、
Xは、独立に、OC(O)R
x、OSO
2R
x、OSOR
x、OSO(R
x)
2、S(O)R
x、OR
x、ホスフィネート、ハライド、ナイトレート、ヒドロキシル、カーボネート、アミノ、アミド又は任意選択的に置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール若しくはヘテロアリールから選択され、各Xは、同じであるか又は異なり得、Xは、M
1とM
2との間に架橋を形成し得、
R
xは、独立に、水素又は任意選択的に置換される脂肪族、ハロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール、アルキルアリール若しくはヘテロアリールであり、
Gは、存在しないか、又はルイス塩基である中性若しくはアニオン性のドナー配位子から独立に選択される。
【0024】
本明細書に記載の方法によって得られる製品も提供される。
定義
本発明の目的のために、脂肪族基は、直鎖(すなわち非分岐状)、分岐状又は環状であり得、且つ完全に飽和し得るか、又は不飽和の1つ若しくは複数の単位を含有するが、芳香族ではない炭化水素部分である。用語「不飽和」は、1つ又は複数の二重結合及び/又は三重結合を有する部分を意味する。したがって、用語「脂肪族」は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル又はシクロアルケニル基及びこれらの組合せを包含することを意図する。
【0025】
脂肪族基は、任意選択的に、C1~30脂肪族基、すなわち1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30の炭素原子を有する脂肪族基である。任意選択的に、脂肪族基は、任意選択的に、C1~12脂肪族基、任意選択的にC1~10脂肪族基、任意選択的にC1~8脂肪族基、例えばC1~6脂肪族基である。適切な脂肪族基は、直鎖状又は分岐状のアルキル、アルケニル及びアルキニル基並びにこれらの混合物、例えば(シクロアルキル)アルキル基、(シクロアルケニル)アルキル基及び(シクロアルキル)アルケニル基を含む。
【0026】
用語「アルキル」は、本明細書において使用する場合、脂肪族部分からの単一の水素原子の除去に由来する飽和、直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を指す。アルキル基は、任意選択的に、1~20の炭素を有する直鎖又は分岐鎖であるアルキル基である「C1~20アルキル基」である。したがって、アルキル基は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20の炭素原子を有する。任意選択的に、アルキル基は、C1~15アルキル、任意選択的にC1~12アルキル、任意選択的にC1~10アルキル、任意選択的にC1~8アルキル、任意選択的にC1~6アルキル基である。具体的には、「C1~20アルキル基」の例は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソ-プロピル基、n-ブチル基、イソ-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、sec-ペンチル、イソ-ペンチル、n-ペンチル基、ネオペンチル、n-ヘキシル基、sec-ヘキシル、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-エイコシル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、n-ヘキシル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1-エチルブチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基などを含む。
【0027】
用語「アルケニル」は、本明細書において使用する場合、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖又は分岐鎖の脂肪族部分からの単一の水素原子の除去に由来する基を示す。用語「アルキニル」は、本明細書において使用する場合、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する直鎖又は分岐鎖の脂肪族部分からの単一の水素原子の除去に由来する基を指す。アルケニル及びアルキニル基は、任意選択的に、それぞれ「C2~20アルケニル」及び「C2~20アルキニル」、任意選択的に「C2~15アルケニル」及び「C2~15アルキニル」、任意選択的に「C2~12アルケニル」及び「C2~12アルキニル」、任意選択的に「C2~10アルケニル」及び「C2~10アルキニル」、任意選択的に「C2~8アルケニル」及び「C2~8アルキニル」、任意選択的に「C2~6アルケニル」及び「C2~6アルキニル」基である。アルケニル基の例は、エテニル、プロペニル、アリル、1,3-ブタジエニル、ブテニル、1-メチル-2-ブテン-1-イル、アリル、1,3-ブタジエニル及びアレニルを含む。アルキニル基の例は、エチニル、2-プロピニル(プロパルギル)及び1-プロピニルを含む。
【0028】
用語「脂環式」、「炭素環」又は「炭素環式」は、本明細書において使用する場合、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20の炭素原子を有する脂環式基である、3~20の炭素原子を有する飽和又は部分不飽和の環状脂肪族単環式又は多環式(縮合、架橋及びスピロ-縮合を含めた)環系を指す。任意選択的に、脂環式基は、3~15、任意選択的に3~12、任意選択的に3~10、任意選択的に3~8つの炭素原子、任意選択的に3~6つの炭素原子を有する。用語「脂環式」、「炭素環」又は「炭素環式」は、1つ又は複数の芳香族又は非芳香族環、例えばテトラヒドロナフチル環に縮合している脂肪族環も含み、ここで、付着点は、脂肪族環上にある。炭素環式基は、多環式、例えば二環式又は三環式であり得る。脂環式基は、1つ又は複数の連結若しくは非連結アルキル置換基、例えば-CH2-シクロヘキシルを担持する脂環式環を含み得ることを認識されたい。具体的には、炭素環の例は、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、ノルボルネン、フェニル、シクロヘキセン、ナフタレン、スピロ[4.5]デカン、シクロヘプタン、アダマンタン及びシクロオクタンを含む。
【0029】
ヘテロ脂肪族基(ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル及びヘテロアルキニルを含めた)は、1つ又は複数のヘテロ原子をさらに含有する上記のような脂肪族基である。したがって、ヘテロ脂肪族基は、任意選択的に、2~21の原子、任意選択的に2~16の原子、任意選択的に2~13の原子、任意選択的に2~11の原子、任意選択的に2~9つの原子、任意選択的に2~7つの原子を含有し、ここで、少なくとも1つの原子は、炭素原子である。任意選択的なヘテロ原子は、O、S、N、P及びSiから選択される。ヘテロ脂肪族基が2つ以上のヘテロ原子を有するとき、ヘテロ原子は、同じ又は異なり得る。ヘテロ脂肪族基は、置換又は非置換、分岐状又は分岐していない、環式又は非環式であり得、飽和、不飽和又は部分不飽和基を含む。
【0030】
脂環式基は、3~20の炭素原子を有する飽和又は部分的に不飽和の環状脂肪族単環式又は多環式(縮合、架橋及びスピロ縮合を含む)環系、すなわち3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20の炭素原子を有する脂環式基である。任意選択的に、脂環式基は、3~15、任意選択的に3~12、任意選択的に3~10、任意選択的に3~8つの炭素原子、任意選択的に3~6つの炭素原子を有する。「脂環式」という用語には、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニル基が包含される。脂環式基には、-CH2-シクロヘキシルなどの1つ以上の連結又は非連結アルキル置換基を有する脂環式環が含まれ得ることが理解されるであろう。具体的には、C3~20シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル及びシクロオクチルが挙げられる。
【0031】
ヘテロ脂環式基は、炭素原子に加えて、任意選択的にO、S、N、P及びSiから選択される1つ又は複数の環ヘテロ原子を有する、上で定義した脂環式基である。ヘテロ脂環式基は、任意選択的に、同じ又は異なり得る1~4つのヘテロ原子を含有する。ヘテロ脂環式基は、任意選択的に、5~20の原子、任意選択的に5~14の原子、任意選択的に5~12の原子を含有する。
【0032】
アリール基又はアリール環は、5~20の炭素原子を有する単環式又は多環式環系であり、ここで、系における少なくとも1つの環は、芳香族であり、系における各環は、3~12の環員を含有する。用語「アリール」は、単独で又は「アラルキル」、「アラルコキシ」若しくは「アリールオキシアルキル」におけるようにより大きい部分の部分として使用することができる。アリール基は、任意選択的に、「C6~12アリール基」であり、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11又は12の炭素原子によって構成されるアリール基であり、縮合環基、例えば単環式環基又は二環式環基などを含む。具体的には、「C6~10アリール基」の例は、フェニル基、ビフェニル基、インデニル基、アントラシル基、ナフチル基又はアズレニル基などを含む。縮合環、例えばインダン、ベンゾフラン、フタルイミド、フェナントリジン及びテトラヒドロナフタレンは、アリール基にも含まれることに留意すべきである。
【0033】
用語「ヘテロアリール」は、単独で又は別の用語の部分(例えば、「ヘテロアラルキル」若しくは「ヘテロアラルコキシ」)として使用されて、5~14の環原子、任意選択的に5つ、6つ又は9つの環原子を有し、環状配列中で共有される6つ、10又は14のπ電子を有し、炭素原子に加えて、1~5つのヘテロ原子を有する基を指す。用語「ヘテロ原子」は、窒素、酸素又は硫黄を指し、窒素又は硫黄の任意の酸化された形態及び窒素の任意の四級化された形態を含む。用語「ヘテロアリール」は、ヘテロアリール環が1つ又は複数のアリール環、脂環式環又はヘテロシクリル環に縮合している基も含み、ここで、基又は付着点は、ヘテロ芳香族環上にある。例は、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H-キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル及びピリド[2,3-b]-1,4-オキサジン-3(4H)-オンを含む。このように、ヘテロアリール基は、単環式又は多環式であり得る。
【0034】
用語「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリールで置換されているアルキル基を指し、ここで、アルキル及びヘテロアリール部分は、独立に、任意選択的に置換されている。
本明細書において使用する場合、用語「複素環」、「ヘテロシクリル」、「複素環式基」及び「複素環式環」は、互換的に使用され、上記に定義されているように、飽和、部分不飽和又は芳香族であり、炭素原子に加えて、1つ又は複数、任意選択的に1~4つのヘテロ原子を有する、安定な5~7員単環式又は7~14員二環式の複素環式部分を指す。複素環の環原子に関連して使用されるとき、用語「窒素」は、置換された窒素を含む。
【0035】
脂環式、ヘテロ脂環式、アリール及びヘテロアリール基の例には、これらに限定されないが、シクロヘキシル、フェニル、アクリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、シンノリン、ダイオキシン、ジオキサン、ジオキソラン、ジチアン、ジチアジン、ジチアゾール、ジチオラン、フラン、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、インドール、インドリン、インドリジン、インダゾール、イソインドール、イソキノリン、イソオキサゾール、イソチアゾール、モルホリン、ナフチリジン、オキサゾール、オキサジアゾール、オキサチアゾール、オキサチアゾリジン、オキサジン、オキサジアジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、フタラジン、ピペラジン、ピペリジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、ピロリン、キノリン、キノキサリン、キナゾリン、キノリジン、テトラヒドロフラン、テトラジン、テトラゾール、チオフェン、チアジアジン、チアジアゾール、チアトリアゾール、チアジン、チアゾール、チオモルホリン、チアナフタレン、チオピラン、トリアジン、トリアゾール及びトリチアンが含まれる。
【0036】
用語「ハライド」、「ハロ」及び「ハロゲン」は、互換的に使用され、本明細書において使用する場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など、任意選択的にフッ素原子、臭素原子又は塩素原子及び任意選択的にフッ素原子を意味する。
【0037】
ハロアルキル基は、任意選択的に、「C1~20ハロアルキル基」、任意選択的に「C1~15ハロアルキル基」、任意選択的に「C1~12ハロアルキル基」、任意選択的に「C1~10ハロアルキル基」、任意選択的に「C1~8ハロアルキル基」、任意選択的に「C1~6ハロアルキル基」であり、それぞれ少なくとも1つのハロゲン原子、任意選択的に1つ、2つ又は3つのハロゲン原子で置換されている上記のようなC1~20アルキル、C1~15アルキル、C1~12アルキル、C1~10アルキル、C1~8アルキル又はC1~6アルキル基である。用語「ハロアルキル」は、ペルフルオロ化化合物を含めたフッ素化基又は塩素化基を包含する。具体的には、「C1~20ハロアルキル基」の例は、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、フルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基などを含む。
【0038】
用語「アシル」は、本明細書において使用する場合、式-C(O)Rを有する基を指し、式中、Rは、水素又は任意選択的に置換されている脂肪族、アリール若しくは複素環式基である。
【0039】
アルコキシ基は、任意選択的に、「C1~20アルコキシ基」、任意選択的に「C1~15アルコキシ基」、任意選択的に「C1~12アルコキシ基」、任意選択的に「C1~10アルコキシ基」、任意選択的に「C1~8アルコキシ基」、任意選択的に「C1~6アルコキシ基」であり、それぞれ従前に定義したC1~20アルキル、C1~15アルキル、C1~12アルキル、C1~10アルキル、C1~8アルキル又はC1~6アルキル基に結合しているオキシ基である。具体的には、「C1~20アルコキシ基」の例は、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソ-プロポキシ基、n-ブトキシ基、イソ-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソ-ペンチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、イソ-ヘキシルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、n-ウンデシルオキシ基、n-ドデシルオキシ基、n-トリデシルオキシ基、n-テトラデシルオキシ基、n-ペンタデシルオキシ基、n-ヘキサデシルオキシ基、n-ヘプタデシルオキシ基、n-オクタデシルオキシ基、n-ノナデシルオキシ基、n-エイコシルオキシ基、1,1-ジメチルプロポキシ基、1,2-ジメチルプロポキシ基、2,2-ジメチルプロポキシ基、2-メチルブトキシ基、1-エチル-2-メチルプロポキシ基、1,1,2-トリメチルプロポキシ基、1,1-ジメチルブトキシ基、1,2-ジメチルブトキシ基、2,2-ジメチルブトキシ基、2,3-ジメチルブトキシ基、1,3-ジメチルブトキシ基、2-エチルブトキシ基、2-メチルペンチルオキシ基、3-メチルペンチルオキシ基などを含む。
【0040】
アリールオキシ基は、任意選択的に、「C5~20アリールオキシ基」、任意選択的に「C6~12アリールオキシ基」、任意選択的に「C6~10アリールオキシ基」であり、それぞれ従前に定義したC5~20アリール、C6~12アリール又はC6~10アリール基に結合しているオキシ基である。
【0041】
アルキルチオ基は、任意選択的に、「C1~20アルキルチオ基」、任意選択的に「C1~15アルキルチオ基」、任意選択的に「C1~12アルキルチオ基」、任意選択的に「C1~10アルキルチオ基」、任意選択的に「C1~8アルキルチオ基」、任意選択的に「C1~6アルキルチオ基」であり、これは、上で定義したC1~20アルキル、C1~15アルキル、C1~12アルキル、C1~10アルキル、C1~8アルキル又はC1~6アルキル基にそれぞれ結合しているチオ(-S-)基である。
【0042】
アリールチオ基は、任意選択的に、「C5~20アリールチオ基」、任意選択的に「C6~12アリールチオ基」、任意選択的に「C6~10アリールチオ基」であり、これは、上で定義したC5~20アリール、C6~12アリール又はC6~10アリール基にそれぞれ結合しているチオ(-S-)基である。
【0043】
アルキルアリール基は、任意選択的に、「C6~12アリールC1~20アルキル基」、任意選択的に「C6~12アリールC1~16アルキル基」、任意選択的に「C6~12アリールC1~6アルキル基」であり、これは、上で定義したアルキル基に任意の位置において結合している上で定義したアリール基である。分子へのアルキルアリール基の付着点は、アルキル部分を介したものであり得、このように、任意選択的に、アルキルアリール基は、-CH2-Ph又は-CH2CH2-Phである。アルキルアリール基は、「アラルキル」と称することもできる。
【0044】
シリル基は、任意選択的に、基-Si(Rs)3であり、式中、各Rsは、独立に、上で定義した脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール又はヘテロアリール基であり得る。任意選択的に、各Rsは、独立に、非置換脂肪族、脂環式又はアリールである。任意選択的に、各Rsは、メチル、エチル又はプロピルから選択されるアルキル基である。
【0045】
シリルエーテル基は、任意選択的に、基OSi(R6)3であり得、各R6は、独立に、上で定義した脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール又はヘテロアリール基であり得る。各R6は、独立に、無置換の脂肪族、脂肪族環又はアリールであり得る。任意選択的に、各R6は、任意選択的に置換されるフェニルであるか、又はメチル、エチル、プロピル若しくはブチル(n-ブチル(nBu)若しくはtert-ブチル(tBu)等)から選択される、任意選択的に置換されるアルキル基である。例示的なシリルエーテル基としては、OSi(Me)3、OSi(Et)3、OSi(Ph)3、OSi(Me)2(tBu)、OSi(tBu)3及びOSi(Ph)2(tBu)が挙げられる。
【0046】
ニトリル基(シアノ基とも呼ばれる)は、CN基である。
イミン基は、-CRNR、任意選択的に-CHNR7の基であり、R7は、上で定義した脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール又はヘテロアリール基である。R7は、無置換の脂肪族、脂肪族環又はアリールであり得る。任意選択的に、R7は、メチル、エチル又はプロピルから選択されるアルキル基である。
【0047】
アセチリド基は、三重結合-C≡C-R9を含み、任意選択的に、R9は、上で定義した水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール又はヘテロアリール基であり得る。本発明の目的のために、R9がアルキルである場合、三重結合は、アルキル鎖に沿った任意の位置に存在することができる。R9は、無置換の脂肪族、脂肪族環又はアリールであり得る。任意選択的に、R9は、メチル、エチル、プロピル又はフェニルである。
【0048】
アミノ基は、任意選択的に、-NH2、-NHR10又は-N(R10)2であり、R10は、上で定義した脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、シリル基、アリール又はヘテロアリール基であり得る。アミノ基がN(R10)2である場合、各R10基は、同じであるか又は異なり得ることが理解されるであろう。各R10は、独立に、無置換の脂肪族、脂肪族環、シリル又はアリールであり得る。任意選択的に、R10は、メチル、エチル、プロピル、SiMe3又はフェニルである。
【0049】
アミド基は、任意選択的に、-NR11C(O)-又は-C(O)-NR11-であり、R11は、上で定義した水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール又はヘテロアリール基であり得る。R11は、無置換の脂肪族、脂肪族環又はアリールであり得る。任意選択的に、R11は、水素、メチル、エチル、プロピル又はフェニルであり得る。アミド基の末端は、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール又はヘテロアリール基であり得る。
【0050】
エステル基は、任意選択的に、-OC(O)R12-又は-C(O)OR12-であり、式中、R12は、上で定義した脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール又はヘテロアリール基であり得る。R12は、非置換脂肪族、脂環式又はアリールであり得る。任意選択的に、R12は、メチル、エチル、プロピル又はフェニルである。エステル基は、脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール又はヘテロアリール基によって終端し得る。R12が水素である場合、-OC(O)R12-又は-C(O)OR12-によって定義される基は、カルボン酸基であることを認識されたい。
【0051】
スルホキシドは、任意選択的に、-S(O)R13であり、スルホニル基は、任意選択的に、-S(O)2R13であり、R13は、上で定義した脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール又はヘテロアリール基であり得る。R13は、無置換の脂肪族、脂肪族環又はアリールであり得る。任意選択的に、R13は、メチル、エチル、プロピル又はフェニルである。
【0052】
カルボン酸基は、任意選択的に、-OC(O)R14であり、式中、R14は、上で定義した水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール又はヘテロアリール基であり得る。R14は、非置換脂肪族、脂環式又はアリールであり得る。任意選択的に、R14は、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル(例えば、n-ブチル、イソブチル若しくはtert-ブチル)、フェニル、ペンタフルオロフェニル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、トリフルオロメチル又はアダマンチルである。
【0053】
アセトアミドは、任意選択的に、MeC(O)N(R15)2であり、R15は、上で定義した水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール又はヘテロアリール基であり得る。R15は、無置換の脂肪族、脂肪族環又はアリールであり得る。任意選択的に、R15は、水素、メチル、エチル、プロピル又はフェニルである。
【0054】
ホスフィネート基は、任意選択的に、-OP(O)(R16)2又は-P(O)(OR16)(R16)であり、各R16は、独立に、水素又は上で定義した脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール又はヘテロアリール基から選択される。R16は、脂肪族、脂肪族環又はアリールであり得、これらは、脂肪族、脂肪族環、アリール又はC1~6アルコキシによって任意選択的に置換される。任意選択的に、R16は、任意選択的に置換されるアリール又はC1~20アルキル、任意選択的にC1~6アルコキシ(任意選択的にメトキシ)又は無置換C1~20アルキル(ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、ステアリルなど)で任意選択的に置換されるフェニルである。ホスホネート基は、任意選択的に、-P(O)(OR16)2であり、R16は、上で定義した通りである。-P(O)(OR16)2基のR16のいずれか又は両方が水素である場合、-P(O)(OR16)2で定義される基は、ホスホン酸基になることが理解されるであろう。
【0055】
スルフィネート基は、任意選択的に、-S(O)OR17又は-OS(O)R17であり、R17は、上で定義した水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール又はヘテロアリール基であり得る。R17は、無置換の脂肪族、脂肪族環又はアリールであり得る。任意選択的に、R17は、水素、メチル、エチル、プロピル又はフェニルである。R17が水素である場合、-S(O)OR17で定義される基は、スルホン酸基になることが理解されるであろう。
【0056】
カーボネート基は、任意選択的に、-OC(O)OR18であり、式中、R18は、上で定義した水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール又はヘテロアリール基であり得る。R18は、任意選択的に置換されている脂肪族、脂環式又はアリールであり得る。任意選択的に、R18は、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル(例えば、n-ブチル、イソブチル若しくはtert-ブチル)、フェニル、ペンタフルオロフェニル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、トリフルオロメチル、シクロヘキシル、ベンジル又はアダマンチルである。R17が水素である場合、-OC(O)OR18によって定義される基は、炭酸基であることを認識されたい。
【0057】
-アルキルC(O)OR19又は-アルキルC(O)R19基において、R19は、上で定義した水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール又はヘテロアリール基であり得る。R19は、無置換の脂肪族、脂肪族環又はアリールであり得る。任意選択的に、R19は、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル(例えば、n-ブチル、イソブチル若しくはtert-ブチル)、フェニル、ペンタフルオロフェニル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、トリフルオロメチル又はアダマンチルである。
【0058】
上の基のいずれかがルイス塩基Gに存在する場合、原子価を完全にするために、必要に応じて1つ以上の追加のR基が存在し得ることが理解されるであろう。例えば、アミノ基に関して、RNHR10を与えるために追加のR基が存在し得、このRは、水素、上で定義した任意選択的に置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール又はヘテロアリール基である。任意選択的に、Rは、水素又は脂肪族、脂肪族環若しくはアリールである。
【0059】
本明細書で使用される「任意選択的に置換される」という用語は、任意選択的に置換される部位の1つ以上の水素原子が適切な置換基で置換されていることを意味する。別段の指示がない限り、「任意選択的に置換される」基は、基の各置換可能な位置に適切な置換基を有し得、任意の所定の構造中の2つ以上の位置が特定の基から選択される2つ以上の置換基で置換され得る場合、置換基は、全ての位置で同じであるか又は異なり得る。本発明により想定される置換基の組合せは、任意選択的に、安定な化合物が形成されるものである。本明細書で使用される「安定な」という用語は、化学的に実現可能であり、検出、単離及び/又は化学合成における使用が可能なほどに室温(すなわち16~25℃)で十分に長時間存在できる化合物を指す。
【0060】
本発明における使用のための任意選択的な置換基としては、限定するものではないが、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、カルボキシレート、カーボネート、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールオキシ、アルキルアリール、アミノ、アミド、イミン、ニトリル、シリル、シリルエーテル、エステル、スルホキシド、スルホニル、アセチリド、ホスフィネート、スルホネート又は任意選択的に置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール又はヘテロアリール基(例えば、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、カーボネート、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アミノ、イミン、ニトリル、シリル、スルホキシド、スルホニル、ホスフィネート、スルホネート又はアセチリドで任意選択的に置換される)が挙げられる。
【0061】
式(I)では、基X及びGは、単一のM1又はM2金属中心に関与するものとして示されているものの、1つ以上のX及びG基がM1及びM2金属中心間に架橋を形成し得ることが理解されるであろう。
【0062】
本発明の目的のために、エポキシド基質は、限定されない。したがって、エポキシドという用語は、エポキシド部分を含む任意の化合物に関する(すなわち置換又は非置換のオキシラン化合物)。置換オキシランは、一置換オキシラン、二置換オキシラン、三置換オキシラン及び四置換オキシランを含む。エポキシドは、単一のオキシラン部分を含む。エポキシドは、2つ以上のオキシラン部分を含む。
【0063】
本発明において使用し得るエポキシドの例には、これらに限定されないが、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、置換シクロヘキセン酸化物(例えば、リモネンオキシド、C10H16O又は2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、C11H22O)、アルキレンオキシド(例えば、エチレンオキシド及び置換エチレンオキシド)、非置換若しくは置換オキシラン(例えば、オキシラン、エピクロロヒドリン、2-(2-メトキシエトキシ)メチルオキシラン(MEMO)、2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)メチルオキシラン(ME2MO)、2-(2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)メチルオキシラン(ME3MO)、1,2-エポキシブタン、グリシジルエーテル、ビニル-シクロヘキセンオキシド、3-フェニル-1,2-エポキシプロパン、1,2-及び2,3-エポキシブタン、イソブチレンオキシド、シクロペンテンオキシド、2,3-エポキシ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、インデンオキシド並びに官能化3,5-ジオキサエポキシドが含まれる。官能化3,5-ジオキサエポキシドの例は、
【0064】
【0065】
エポキシド部分は、グリシジルエーテル、グリシジルエステル又はグリシジルカーボネートであり得る。グリシジルエーテル、グリシジルエステル、グリシジルカーボネートの例は、
【0066】
【0067】
上で述べたように、エポキシド基質は、複数のエポキシド部分を含有し得、すなわち、これは、ビス-エポキシド、トリス-エポキシド又はマルチ-エポキシド含有部分であり得る。複数のエポキシド部分を含む化合物の例は、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及び3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートを含む。複数のエポキシド部分を有する1つ又は複数の化合物の存在下で行われる反応は、このように得られたポリマーにおける架橋をもたらし得ることが理解される。
【0068】
エポキシドは、「環境に優しい」又は再生可能資源から得ることができることを当業者は認識する。エポキシドは、(ポリ)不飽和化合物、例えば標準的な酸化化学反応を使用して得た脂肪酸及び/又はテルペンに由来するものから得ることもできる。
【0069】
エポキシド部分は、-OH部分又は保護された-OH部分を含有し得る。-OH部分は、任意の適切な保護基によって保護され得る。適切な保護基は、メチル又は他のアルキル基、ベンジル、アリル、tert-ブチル、テトラヒドロピラニル(THP)、メトキシメチル(MOM)、アセチル(C(O)アルキル)、ベンゾリル(C(O)Ph)、ジメトキシトリチル(DMT)、メトキシエトキシメチル(MEM)、p-メトキシベンジル(PMB)、トリチル、シリル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、t-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリ-イソ-プロピルシリルオキメチル(TOM)及びトリイソプロピルシリル(TIPS))、(4-メトキシフェニル)ジフェニルメチル(MMT)、テトラヒドロフラニル(THF)及びテトラヒドロピラニル(THP)を含む。
【0070】
エポキシドは、任意選択的に、少なくとも98%、任意選択的に>99%の純度を有する。
用語「エポキシド」は、1つ又は複数のエポキシドを包含することを意図すると理解される。換言すると、用語「エポキシド」は、単一のエポキシド又は2つ以上の異なるエポキシドの混合物を指す。例えば、エポキシド基質は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの混合物、シクロヘキセンオキシド及びプロピレンオキシドの混合物、エチレンオキシド及びシクロヘキセンオキシドの混合物又はエチレンオキシド、プロピレンオキシド及びシクロヘキセンオキシドの混合物であり得る。
【0071】
ポリエーテルカーボネート及びポリカーボネートエーテルは、本明細書では互換的に使用され、共に複数のエーテル結合と複数のカーボネート結合とを有するポリマーを指す。
ポリエーテルカーボネートポリオールという用語は、一般的に、それぞれの末端が-OH、-SH及び/又は-NHR’基(C-OH、P-OH、-C(O)OHなどの部位を含む)で実質的に終端しているポリマーを指す。R’は、Hであり得るか、又は任意選択的に置換されるアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル若しくはヘテロシクロアルキルであり得、任意選択的に、R’は、H又は任意選択的に置換されるアルキルである。
【0072】
例えば、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%のポリマーが各末端で-OH基で終端し得る。当業者であれば、ポリマーが直鎖である場合、両端が-OH基でキャップされ得ることを理解するであろう。ポリマーが分岐である場合、各分岐は、-OH基でキャップされ得る。そのようなポリマーは、ポリウレタンなどのより高次のポリマーの調製に一般的に有用である。鎖は、官能基(例えば、-OH及び-SH基)の混合を含み得るか、又は同じ官能基(例えば、全て-OH基)を含み得る。
【0073】
本明細書で使用される「連続」という用語は、材料の添加形式として定義することができるか、又は全体としての反応方法の性質を指す場合がある。
連続的な添加形式に関し、関連する材料は、反応過程中に連続的に又は絶えず添加される。これは、例えば、一定の流量又は可変の流量のいずれかで材料の流れを添加することによって達成することができる。換言すると、1つ以上の材料は、本質的にノンストップ方式で添加される。しかしながら、例えばこれらの材料を添加するための材料容器を再充填又は交換するために、実施上の判断から、材料のノンストップ添加を一時的に中断する必要がある場合があることに留意されたい。
【0074】
反応全体として連続的であることに関し、反応は、数日、数週間、数カ月などの長期間にわたって行われ得る。そのような連続反応では、反応物質が継続的に補充され得、且つ/又は反応生成物が取り出され得る。触媒は、反応中に消費されない場合があるものの、取り出しは、存在する触媒の量を激減させる場合があるため、いずれの場合でも、触媒は、補充を要する場合があることが理解されるであろう。
【0075】
連続反応は、材料の連続添加を使用し得る。
本明細書において使用される「不連続」という用語は、材料の添加が小分けに行われることを意味する。これは、例えば、材料を滴下することにより行うことができる。代わりに、材料は、添加中に時間間隔を空けて、分割して(すなわちバッチ式供給)容器に添加され得る。これらの時間間隔は、規則的であり得るか、又は反応の過程中に変更され得る。このような時限間隔は、数分程度の短いものであり得るか、又は数時間であり得る。例えば、時間間隔は、1分間~12時間、5分間~6時間、10分間~4時間、15分間~3時間、20分間~2時間又は30分間~1時間であり得る。材料が分割して添加される場合(すなわちバッチ式供給)、反応の過程中に全体として材料を少なくとも2回別々に添加しなければならない。
【0076】
連続反応は、材料の不連続な(すなわちバッチ式の)添加を用い得る。
【発明を実施するための形態】
【0077】
本発明は、式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒及びスターター化合物の存在下でエポキシド及び二酸化炭素を反応させることにより、ポリカーボネートエーテルポリオールを調製する連続的及び不連続的な方法に関する。
【0078】
本発明は、式(I)の触媒及び二重金属シアン化物(DMC)触媒の存在下でエポキシド及び二酸化炭素を反応させることにより、高分子量ポリエーテルカーボネートを調製する連続的及び不連続的な方法にさらに関する。
【0079】
したがって、本発明は、ポリカーボネートエーテルポリオールを調製する方法に関し、その方法は、
(I) (a) 式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒並びに任意選択的に二酸化炭素及び/又は溶媒をエポキシド並びに任意選択的にスターター化合物及び/又は二酸化炭素と混合して、混合物(α)を形成する工程、又は
(b) 二重金属シアン化物(DMC)触媒並びに任意選択的にスターター化合物、二酸化炭素及び/又は溶媒をエポキシド並びに任意選択的に二酸化炭素及び/又は溶媒と混合して、混合物(α)を形成する工程、又は
(c) エポキシド、式(I)の触媒、スターター化合物及び二酸化炭素並びに任意選択的に溶媒を混合して、混合物(α)を形成する工程、又は
(d) 式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒並びに任意選択的にスターター化合物、エポキシド、二酸化炭素及び/又は溶媒を混合して、混合物(α)を形成する工程、及び
(II) スターター化合物、エポキシド、二酸化炭素、式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒及び/又は溶媒の1つ以上を混合物(α)に添加して、スターター化合物、エポキシド、二酸化炭素、式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒及び任意選択的に溶媒を含む混合物(β)を形成する工程
を含み、式(I)の触媒は、以下の構造:
【0080】
【化13】
を有し、
式中、M
1及びM
2は、独立に、Zn(II)、Cr(II)、Co(II)、Cu(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ni(II)、Fe(II)、Ti(II)、V(II)、Cr(III)-X、Co(III)-X、Mn(III)-X、Ni(III)-X、Fe(III)-X、Ca(II)、Ge(II)、Al(III)-X、Ti(III)-X、V(III)-X、Ge(IV)-(X)
2又はTi(IV)-(X)
2から選択され、
R
1及びR
2は、独立に、水素、ハライド、ニトロ基、ニトリル基、イミン、アミン、エーテル基、シリル基、シリルエーテル基、スルホキシド基、スルホニル基、スルフィネート基若しくはアセチリド基又は任意選択的に置換されるアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、脂環式若しくはヘテロ脂環式基から選択され、
R
3は、独立に、任意選択的に置換されるアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はシクロアルキレンから選択され、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン及びヘテロアルキニレンは、任意選択的に、アリール、ヘテロアリール、脂肪族環又はヘテロ脂肪族環が挟まれ得、
R
5は、独立に、H又は任意選択的に置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール若しくはアルキルアリールから選択され、
E
1はCでE
2はO、S若しくはNHであるか、又はE
1はNでE
2はOであり、
E
3、E
4、E
5及びE
6は、N、NR
4、O及びSから選択され、E
3、E
4、E
5又はE
6がNである場合、
【0081】
【0082】
【化15】
であり、E
3、E
4、E
5又はE
6がNR
4、O又はSである場合、
【0083】
【0084】
【化17】
であり、
R
4は、独立に、H又は任意選択的に置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、-アルキルC(O)OR
19、若しくは-アルキルC≡N、若しくはアルキルアリールから選択され、
Xは、独立に、OC(O)R
x、OSO
2R
x、OSOR
x、OSO(R
x)
2、S(O)R
x、OR
x、ホスフィネート、ハライド、ナイトレート、ヒドロキシル、カーボネート、アミノ、アミド又は任意選択的に置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール若しくはヘテロアリールから選択され、各Xは、同じであるか又は異なり得、Xは、M
1とM
2との間に架橋を形成し得、
R
xは、独立に、水素又は任意選択的に置換される脂肪族、ハロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール、アルキルアリール若しくはヘテロアリールであり、
Gは、存在しないか、又はルイス塩基である中性若しくはアニオン性のドナー配位子から独立に選択される。
【0085】
本発明は、ポリカーボネートエーテルポリオール及び高分子量ポリエーテルカーボネートを調製する方法に関する。この方法は、2段階以上で行われる。この方式では、反応の一部が開始されてから、反応の継続に伴って1つ以上の反応物質が(連続的に又は不連続的に)添加される。
【0086】
2番目の工程で特定の成分を添加することは、触媒の活性を高めるのに有用な場合があり、また全ての材料が反応の開始時に供給されるプロセスと比較してより効率的なプロセスにすることができる。反応全体にわたって存在する一部の成分の量が多いと、触媒の効率が低下する場合がある。ゆっくりと反応に材料を追加すると、触媒のこの効率低下を防ぐことができ、且つ/又は触媒活性を最適化することができる。
【0087】
さらに、反応の開始時に各成分の全体量を入れないことは、触媒作用を均一にし、ポリマー生成物をより均一にすることができる。これは、したがって、より狭い分子量分布、エーテル結合対カーボネート結合の望まれる比率及び/又は改善された(すなわちより低い)多分散性指数を有するポリマーを生じさせることができる。
【0088】
最初の工程で特定の成分のみを混合し、2番目の工程で残りを追加することは、触媒の予備活性化にも有用な場合がある。このような予備活性化は、上の工程(I)(a)又は(b)により、一方又は両方の触媒をエポキシド(及び任意選択的に他の成分)と混合することによって行うことができる。予備活性化は、一方又は両方の触媒を刺激するのに有用な場合があり、その結果、工程(II)における残りの成分の添加時に反応の効率を増加させることができる。
【0089】
カーボネート結合及びエーテル結合が成長中のポリマー鎖に付加される反応に本発明が関係することが理解されるであろう。最初の工程で特定の成分のみを混合し、残りを2番目の工程で添加すると、反応の第2段階前に反応の一部を進行させるのに有用な場合がある。例えば、エポキシド、式(I)の触媒、スターター化合物及び二酸化炭素並びに任意選択的に溶媒を上の工程(I)(c)により混合すると、多数のカーボネート結合を有するポリマーを成長させることができる。その後、残りの成分(DMC触媒を含む)を添加すると、成長しているポリマー鎖にエーテル結合を付加する(及びカーボネート結合を付加し続ける)ことによって反応を進行させることができる。
【0090】
一般的には、本発明の目的は、制御された材料の添加により重合反応を制御することである。本明細書の方法は、そのような方法によって調製された製品を必要な要件に合わせられるようにすることができる。
【0091】
工程(I)(a)又は(b)によって形成された混合物(α)は、工程(II)の前に約50~150℃、任意選択的に約80~130℃の温度で保持され得る。
工程(I)(c)又は(d)によって形成された混合物(α)は、工程(II)の前に約0~120℃、任意選択的に約40~100℃、任意選択的に約50~90℃の温度で保持され得る。
【0092】
混合物(α)は、工程(II)の前に少なくとも約1分間、任意選択的に少なくとも約5分間、任意選択的に少なくとも約15分間、任意選択的に少なくとも約30分間、任意選択的に少なくとも約1時間、任意選択的に少なくとも約2時間、任意選択的に少なくとも約5時間にわたって保持され得る。
【0093】
工程(I)(c)によって形成された混合物(α)は、工程(II)の前に少なくとも約1分間、任意選択的に少なくとも約5分間、任意選択的に少なくとも約15分間、任意選択的に少なくとも約30分間、任意選択的に少なくとも約1時間、任意選択的に少なくとも約2時間、任意選択的に少なくとも約3時間、任意選択的に少なくとも約4時間、任意選択的に少なくとも約8時間、任意選択的に少なくとも約16時間にわたって保持され得る。
【0094】
混合物(α)は、約1重量%未満の水、任意選択的に約0.5重量%未満の水、任意選択的に約0.1重量%未満の水、任意選択的に約0.05重量%未満の水、任意選択的に約0重量%の水を含み得る。混合物中の水の存在は、その触媒又はそれぞれの触媒の失活を引き起こす可能性がある。したがって、混合物中の含水率を最小限にすることが望ましい。
【0095】
工程(I)(a)は、式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒及び任意選択的に二酸化炭素を最初に混合して混合物(α’)を形成し、且つエポキシド並びに任意選択的にスターター化合物及び/又は二酸化炭素を続けて添加して混合物(α)を形成することを含み得る。この方式で方法を実施することは、前述したように、一方又は両方の触媒を予備活性化するために有用な場合がある。
【0096】
混合物(α’)は、前記続けて添加の前に約0~250℃、任意選択的に約40~150℃、任意選択的に約50~150℃、任意選択的に約70~140℃、任意選択的に約80~130℃の温度で保持され得る。
【0097】
工程(I)(c)に続いて、工程(II)は、二重金属シアン化物(DMC)触媒、エポキシド並びに任意選択的にスターター化合物、二酸化炭素及び/又は溶媒を混合して、予備活性化された混合物を形成し、且つ予備活性化された混合物を混合物(α)に添加して混合物(β)を形成することを含み得る。
【0098】
予備活性化された混合物は、添加前に約50~110℃、任意選択的に約60~90℃の温度で保持され得る。
反応方法は、全体としてバッチ式で行われ得る。そのような場合、方法は、反応で使用されるそれぞれの関連材料(エポキシド、スターター化合物など)の全体量を使用することができ、その全体量の一部は、反応の異なる工程で添加され得る。
【0099】
方法は、エポキシドの全体量を使用し得、エポキシドの全体量の約1~95%は工程(I)で混合され、残りは工程(II)で添加され得、任意選択的に約1~75%、任意選択的に約1~50%、任意選択的に約1~40%、任意選択的に約1~30%、任意選択的に約1~20%、任意選択的に約5~20%が工程(I)で混合され得る。
【0100】
方法は、スターター化合物の全体量を使用し得、スターター化合物の全体量の約1~95%は工程(I)で混合され、残りは工程(II)で添加され得、任意選択的に約1~75%、任意選択的に約1~50%、任意選択的に約1~40%、任意選択的に約1~30%、任意選択的に約1~20%、任意選択的に約5~20%が工程(I)で混合され得る。
【0101】
方法は、式(I)の触媒の全体量を使用し得、式(I)の触媒の全体量の約1~100%は工程(I)で混合され、残りは工程(II)で添加され得、任意選択的に約1~75%、任意選択的に約1~50%、任意選択的に約1~40%、任意選択的に約1~30%、任意選択的に約1~20%、任意選択的に約5~20%が工程(I)で混合され得る。
【0102】
方法は、二重金属シアン化物(DMC)触媒の全体量を使用し得、二重金属シアン化物(DMC)触媒の全体量の約1~100%は工程(I)で混合され、残りは工程(II)で添加され得、任意選択的に約1~75%、任意選択的に約1~50%、任意選択的に約1~40%、任意選択的に約1~30%、任意選択的に約1~20%、任意選択的に約5~20%が工程(I)で混合され得る。
【0103】
方法は、二酸化炭素の全体量を使用し得、二酸化炭素の全体量の約1~100%は工程(I)で混合され、残りは工程(II)で添加され得、任意選択的に約1~75%、任意選択的に約1~50%、任意選択的に約1~40%、任意選択的に約1~30%、任意選択的に約1~20%、任意選択的に約5~20%が工程(I)で混合され得る。
【0104】
方法は、溶媒の全体量を使用し得、溶媒の全体量の約1~100%は工程(I)で混合され、残りは工程(II)で添加され得、任意選択的に約1~75%、任意選択的に約1~50%、任意選択的に約1~40%、任意選択的に約1~30%、任意選択的に約1~20%、任意選択的に約5~20%が工程(I)で混合され得る。
【0105】
式(I)の触媒の全体量は、本発明の方法が低い触媒添加量で実施できるように低いことができる。例えば、式(I)の触媒の触媒添加量は、約1:10,000~100,000の[式(I)の触媒の合計]:[エポキシドの合計]などの約1:100,000~300,000の[式(I)の触媒の合計]:[エポキシドの合計]の範囲、例えば約1:10,000~50,000の[式(I)の触媒の合計]:[エポキシドの合計]の範囲、例えば約1:10,000の[式(I)の触媒の合計]:[エポキシドの合計]の範囲であり得る。上の比率は、モル比である。これらの比率は、方法で使用される式(I)の触媒の全体量:エポキシドの全体量の比率である。
【0106】
方法は、連続的であり得、混合物(β)中の式(I)の触媒に対するエポキシドの所定のモル比又は重量比が存在し、方法は、
(III) 混合物(β)にエポキシドを添加して混合物(γ)を形成すること
をさらに含み、前記エポキシドは、混合物(γ)中の式(I)の触媒に対するエポキシドのモル比又は重量比を前記所定のモル比又は重量比の少なくとも約75%にするのに十分な量で添加され、任意選択的に工程(III)が繰り返される。
【0107】
方法は、連続的であり得、混合物(β)中の式(I)の触媒に対するスターター化合物の所定のモル比又は重量比が存在し、方法は、
(III) 混合物(β)にスターター化合物を添加して混合物(γ)を形成することをさらに含み、前記スターター化合物は、混合物(γ)中の式(I)の触媒に対するスターター化合物のモル比又は重量比を前記所定のモル比又は重量比の少なくとも約75%にするのに十分な量で添加され、任意選択的に工程(III)が繰り返される。
【0108】
方法は、連続的であり得、混合物(β)中の式(I)の触媒に対する二酸化炭素の所定のモル比又は重量比が存在し、方法は、
(III) 混合物(β)に二酸化炭素を添加して混合物(γ)を形成すること
をさらに含み、前記二酸化炭素は、混合物(γ)中の式(I)の触媒に対する二酸化炭素のモル比又は重量比を前記所定のモル比又は重量比の少なくとも約75%にするのに十分な量で添加され、任意選択的に工程(III)が繰り返される。
【0109】
工程(III)は、混合物(γ)中の式(I)の触媒に対するエポキシド、スターター化合物、二酸化炭素及び/又は溶媒のモル比又は重量比が前記所定のモル比又は重量比の約75%を下回らないように行われ得る。
【0110】
工程(III)は、混合物(γ)中の式(I)の触媒に対するエポキシド、スターター化合物、二酸化炭素及び溶媒のモル比又は重量比が前記所定のモル比又は重量比の約75%を下回らないように行われ得る。
【0111】
方法は、連続的であり得、混合物(β)中の式(I)の触媒の所定量が存在し、方法は、
(III) 混合物(β)に式(I)の触媒を添加して混合物(γ)を形成すること
をさらに含み、前記式(I)の触媒は、混合物(γ)中の式(I)の触媒の量を前記所定量の約50~550%にするのに十分な量で添加され、任意選択的に工程(III)が繰り返される。
【0112】
工程(III)は、混合物(γ)中の式(I)の触媒の量が前記所定量の約50%を下回らないように行われ得る。
方法は、連続的であり得、混合物(β)中の二重金属シアン化物(DMC)触媒の所定量が存在し、方法は、
(III) 混合物(β)に二重金属シアン化物(DMC)触媒を添加して混合物(γ)を形成すること
をさらに含み、前記二重金属シアン化物(DMC)触媒は、混合物(γ)中の二重金属シアン化物(DMC)触媒の量を前記所定量の約50~550%にするのに十分な量で添加され、任意選択的に工程(III)が繰り返される。
【0113】
工程(III)は、混合物(γ)中の二重金属シアン化物(DMC)触媒の量が前記所定量の約50%を下回らないように行われ得る。
材料が添加される速度は、(発熱)反応の温度が、選択された温度を超えないように(すなわち過剰な熱を散逸させて残りの温度をほぼ一定にするのに十分なほどゆっくり材料が添加されるように)選択され得る。
【0114】
材料の添加(すなわち工程IIIにより)が繰り返される場合、添加は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回又はそれを超えて繰り返され得る。
混合物(α)において、前記式(I)の触媒の量及び前記二重金属シアン化物(DMC)触媒の量は、互いに約300:1~約1:100、例えば約40:1~約1:50などの約120:1~約1:75、例えば20:1~約1:1などの約30:1~約1:30、例えば約10:1~約2:1、例えば約5:1~約1:5の所定の重量比であり得る。
【0115】
工程(I)において、前記二重金属シアン化物(DMC)触媒は、他の成分と乾式混合され得る。
工程(I)において、前記二重金属シアン化物(DMC)触媒は、スラリーとして混合され得、前記スラリーは、二重金属シアン化物(DMC)触媒並びにスターター化合物及び/又は溶媒を含む。
【0116】
工程(I)において、前記式(I)の触媒は、他の成分と乾式混合され得る。
工程(I)において、前記式(I)の触媒は、溶液として混合され得、前記溶液は、式(I)の触媒並びにスターター化合物、エポキシド及び/又は溶媒の1つ以上を含む。
【0117】
エポキシドは、工程(II)で添加され得る。
式(I)の触媒は、工程(II)で添加され得る。
二重金属シアン化物(DMC)触媒は、工程(II)で添加され得る。
【0118】
スターター化合物は、工程(II)で添加され得る。
エポキシド及びスターター化合物の両方は、工程(II)で添加され得る。
エポキシド、式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒及び/又はスターター化合物は、工程(II)において独立して連続的に添加され得る。
【0119】
エポキシド、式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒及び/又はスターター化合物は、工程(II)において独立して不連続的に添加され得る。
二酸化炭素は、連続的に供給され得る。
【0120】
方法は、約1バール~約60バール、任意選択的に約1バール~約40バール、任意選択的に約1バール~約20バール、任意選択的に約1バール~約15バール、任意選択的に約1バール~約10バール、任意選択的に約1バール~約5バールの二酸化炭素の圧力で行われ得る。
【0121】
反応の温度は、方法の過程中に上昇し得る。
ポリカーボネートエーテルポリオールを形成する方法で使用され得るスターター化合物は、ヒドロキシル基(-OH)、チオール(-SH)、少なくとも1つのN-H結合を有するアミン(-NHR’)、少なくとも1つのP-OH結合を有する基(例えば、-PR’(O)OH、PR’(O)(OH)2若しくは-P(O)(OR’)(OH))又はカルボン酸基(-C(O)OHから選択される少なくとも2つの基を含む。
【0122】
したがって、ポリカーボネートエーテルポリオールを形成するための方法において使用され得るスターター化合物は、式(III):
【0123】
【化18】
のものであり得、Zは、任意の基であって、それに連結される2つ以上の-R
Z基を有し得る任意の基であり得る。したがって、Zは、任意選択的に置換されるアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロシクロアルケニレン、アリーレン、ヘテロアリーレンから選択されるか、又はZは、これらの基のいずれかの組合せであり得、例えば、Zは、アルキルアリーレン、ヘテロアルキルアリーレン、ヘテロアルキルヘテロアリーレン又はアルキルヘテロアリーレン基であり得る。任意選択的に、Zは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン又はヘテロアリーレンである。
【0124】
aは、少なくとも2である整数であり、任意選択的に、aは、2~8の範囲であり、任意選択的に、aは、2~6の範囲であることが理解されるであろう。
各RZは、-OH、-NHR’、-SH、-C(O)OH、-P(O)(OR’)(OH)、-PR’(O)(OH)2又は-PR’(O)OHであり得、任意選択的に、RZは、-OH、-NHR’又は-C(O)OHから選択され、任意選択的に、各RZは、-OH、-C(O)OH又はこれらの組合せ(例えば、各RZは、-OHである)である。
【0125】
R’は、H又は任意選択的に置換されるアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル若しくはヘテロシクロアルキルであり得、任意選択的に、R’は、H又は任意選択的に置換されるアルキルである。
【0126】
混合物(β)中に2つのスターター化合物が存在し得、工程(I)のスターター化合物は第1のスターター化合物であり、工程(II)は、
(A) 第1のスターター化合物、エポキシド、二酸化炭素、式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒及び/又は溶媒の1つ以上を混合物(α)に添加すること、及び
(B) 第2のスターター化合物並びに任意選択的にエポキシド、二酸化炭素、式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒及び/又は溶媒を添加して、第1のスターター化合物、第2のスターター化合物、エポキシド、二酸化炭素、式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒及び任意選択的に溶媒を含有する混合物(β)を形成すること
を含む。
【0127】
工程(B)は、工程(A)の後、少なくとも約1分間、任意選択的に少なくとも約5分間、任意選択的に少なくとも約15分間、任意選択的に少なくとも約30分間、任意選択的に少なくとも約1時間、任意選択的に少なくとも約2時間、任意選択的に少なくとも約5時間で行われ得る。
【0128】
前記第1のスターター化合物は、少なくとも約200Daの分子量を有し得、前記第2のスターター化合物は、最大で約200Daの分子量を有する。
前記第2のスターター化合物は、約200~1000Da、任意選択的に約300~700Da、任意選択的に約400Daの分子量を有するポリプロピレングリコールであり得る。
【0129】
そのスターター化合物又は各スターター化合物は、2つ以上のヒドロキシル基、任意選択的に3つ以上、任意選択的に4つ以上、任意選択的に5つ以上、任意選択的に6つ以上、任意選択的に7つ以上、任意選択的に8つ以上のヒドロキシル基を有する。
【0130】
上の特徴のいずれも組み合わせられることが理解されるであろう。例えば、aは、2~8であり得、各RZは、-OH、-C(O)OH又はそれらの組合せであり得、Zは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン又はヘテロアリーレンから選択され得る。
【0131】
例示的なスターター化合物としては、1,2-エタンジオール(エチレングリコール)、1-2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,2-ブタンジオール、1-3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-ジフェノール、1,3-ジフェノール、1,4-ジフェノール、ネオペンチルグリコール、カテコール、シクロヘキセンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)又はPPG425、PPG725、PPG1000など、最大で約1500g/molのMnを有するポリエチレングリコール(PEG)などのジオール;グリセロール、ベンゼントリオール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、トリス(メチルアルコール)プロパン、トリス(メチルアルコール)エタン、トリス(メチルアルコール)ニトロプロパン、トリメチロールプロパン、ポリプロピレンオキシドトリオール及びポリエステルトリオールなどのトリオール、カリックス[4]アレーン、2,2-ビス(メチルアルコール)-1,3-プロパンジオール、エリスリトール、ペンタエリスリトール又は4つの-OH基を有するポリアルキレングリコール(PEG又はPPG)などのテトラオール;ソルビトール若しくは5つ以上の-OH基を有するポリアルキレングリコール(PEG又はPPG)などのポリオール;又はエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン及びフェニルジエタノールアミンなどの混合官能基を有する化合物が挙げられる。
【0132】
例えば、スターター化合物は、1,2-エタンジオール(エチレングリコール)、1-2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,2-ブタンジオール、1-3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-ジフェノール、1,3-ジフェノール、1,4-ジフェノール、ネオペンチルグリコール、カテコール、シクロヘキセンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ポリ(カプロラクトン)ジオール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、最大で約1500g/molのMnを有するポリプロピレングリコール(PPG)又はポリエチレングリコール(PEG)(PPG425、PPG725、PPG1000等)などのジオールであり得る。スターター化合物は、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,12-ドデカンジオール、ポリ(カプロラクトン)ジオール、PPG425、PPG725又はPPG1000であり得ることが理解されるであろう。
【0133】
更なる例示的なスターター化合物としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸などの二酸;又は乳酸、グリコール酸、3-ヒドロキシプロパン酸、4-ヒドロキシブタン酸、5-ヒドロキシペンタン酸などの混合官能基を有する他の化合物が挙げられる。
【0134】
スターター化合物(存在する場合)対式(I)の触媒の比は、約1000:1~約1:1、例えば約500:1~約10:1、例えば約250:1~約20:1、又は約125:1~約30:1、又は約50:1~約20:1などの約750:1~約5:1の量であり得る。これらの比率は、モル比である。これらの比率は、方法で使用されるスターターの合計量対式(I)の触媒の合計量の比率である。これらの比率は、材料の添加の過程にわたって維持され得る。
【0135】
スターターは、水分を取り除くために(例えば、モレキュラーシーブで)予備乾燥され得る。記載された上の反応条件のいずれも組み合わせられることが理解されるであろう。例えば、反応は、約30バール以下、任意選択的に20バール以下(例えば、10バール以下)などの60バール以下において、約5℃~200℃、例えば約15℃~約100℃などの約10℃~約150℃、例えば約20℃~約90℃の範囲の温度で行うことができる。本発明の方法は、約45℃~約90℃で行われ得る。
【0136】
本発明の方法は、例えば、ポリウレタンを調製するために使用できるポリカーボネートエーテルポリオールを調製することができる。特に、本発明の連続的な及び不連続的な方法は、低い多分散性指数(PDI)を有するポリカーボネートエーテルポリオールを提供することができる。
【0137】
本発明の方法は、エーテル結合及びカーボネート結合の量を制御することができるポリカーボネートエーテルポリオールを製造することができる。したがって、本発明は、n個のエーテル結合とm個のカーボネート結合とを有するポリカーボネートエーテルポリオールを提供することができ、これらのn及びmは、整数であり、m/(n+m)は、0より大きく1未満である。したがって、n≧1且つm≧1であることが理解されるであろう。
【0138】
例えば、本発明の方法は、広範囲のm/(n+m)値を有するポリカーボネートエーテルポリオールを調製することができる。m/(n+m)は、約0.05、約0.10、約0.15、約0.20、約0.25、約0.25、約0.30、約0.35、約0.40、約0.45、約0.50、約0.55、約0.60、約0.65、約0.70、約0.75、約0.80、約0.85、約0.90、約0.95又はこれらの具体的な値から作成される任意の範囲内であり得ることが理解されるであろう。例えば、m/(n+m)は、約0.05~約0.95、約0.10~約0.90、約0.15~約0.85、約0.20~約0.80又は約0.25~約0.75などであり得る。
【0139】
上に示したように、本発明の方法は、m/(n+m)が約0.7~約0.95、例えば約0.75~約0.95であるポリカーボネートエーテルポリオールを調製することができる。
【0140】
したがって、本発明の方法は、高い比率のカーボネート結合を有するポリカーボネートエーテルポリオールを調製することを可能にし、例えば、m/(n+m)は、約0.55超約0.95未満、例えば約0.65~約0.90、例えば約0.75~約0.90など、約0.50よりも大きいことができる。
【0141】
例えば、本発明の方法によって製造されるポリカーボネートエーテルポリオールは、以下の式(IV)を有し得る。
【0142】
【化19】
Z及びZ’の識別は、スターター化合物の性質に依存し、またR
e1及びR
e2の識別は、ポリカーボネートエーテルポリオールを調製するために使用されるエポキシドの性質に依存することが理解されるであろう。m及びnは、ポリカーボネートエーテルポリオールのカーボネート結合及びエーテル結合の量を規定する。
【0143】
当業者であれば、式(IV)のポリマーにおいて、主鎖中の隣接するエポキシドモノマー単位が頭-尾結合、頭-頭結合又は尾-尾結合であり得ることを理解するであろう。
式(IV)が、カーボネート結合及びエーテル結合が「a」によって規定される各部分の2つの別々の「ブロック」に存在することを必要とせず、カーボネート及びエーテルの繰り返し単位がポリマー主鎖に沿って統計的に分布し得ること、又はカーボネート結合及びエーテル結合が2つの別々のブロックにならないように配置され得ることも理解されるであろう。
【0144】
したがって、本発明の方法によって調製されるポリカーボネートエーテルポリオール(例えば、式(IV)のポリマー)は、ランダムコポリマー、統計的コポリマー、交互コポリマー又は周期的コポリマーと呼ばれる場合がある。
【0145】
当業者であれば、ポリマー中に組み込まれた二酸化炭素の重量%を、ポリマー主鎖中のカーボネート結合の量を決定するために確定的に使用できないことを理解するであろう。例えば、同じ重量%の二酸化炭素を組み込んだ2つのポリマーは、カーボネート結合対エーテル結合の比が大きく異なる場合がある。これは、二酸化炭素の「配合重量%」がスターター化合物の長さ及び性質を考慮していないためである。例えば、100g/molのモル質量のスターターを使用して1つのポリマー(Mn 2000g/mol)が調製され、500g/molのモル質量のスターターを使用して別のポリマー(これもMn 2000g/mol)が調製され、且つ得られる両方のポリマーが同じm/nの比を有する場合、ポリマー全体の分子量(Mn)におけるスターターの質量割合が異なるため、ポリマー中の二酸化炭素の重量%が異なる。例えば、m/(m+n)が0.5であった場合、上述した2つのポリオールの二酸化炭素含有率は、それぞれ26.1重量%及び20.6重量%になるであろう。
【0146】
上で強調したように、本発明の方法は、広範囲のカーボネート結合対エーテル結合を有するポリオールを調製することができ(例えば、m/(n+m)は、ゼロより大きく1未満であり得る)、これは、プロピレンオキシドを使用する場合、最大で約43重量%の二酸化炭素の取り込みに対応する。以前に報告されているDMC触媒は、通常、エーテル結合に対するカーボネート結合の比率が最大で0.75のポリオールのみを調製でき、これらの量は、通常、30バール、より一般的には40バール以上などの二酸化炭素の高い圧力でのみ達成できるため、これは、驚くべきことである。
【0147】
さらに、ポリカーボネートポリオールを調製するために使用される触媒は、典型的には、約0.95以上(通常、約0.98以上)のエーテル結合に対するカーボネート結合の比率を達成できるため、高い重量%の二酸化炭素を組み込むこともできる。しかしながら、これらの触媒は、エーテル結合に対するカーボネート結合の比率が0.95未満のポリオールを調製することができない。二酸化炭素の重量%は、スターターの質量を変更することで抑制することができ、得られるポリオールは、ポリカーボネートのブロックを含む。エポキシドと二酸化炭素とから製造されたポリカーボネートは、ポリエーテルよりも熱安定性が低く、ブロックコポリマーは、ランダム又は統計的コポリマーと非常に異なる特性を有する可能性があるため、多くの用途ではこれは望ましくない。
【0148】
他の全ての条件が同じであれば、ポリエーテルは、エポキシドと二酸化炭素とから製造されるポリカーボネートよりも分解温度が高い。したがって、エーテル結合とカーボネート結合との統計的又はランダムな分布を有するポリオールは、ポリカーボネートポリオール又はカーボネート結合のブロックを有するポリオールよりも分解温度が高いであろう。熱分解温度は、熱重量分析(TGA)を使用して測定することができる。
【0149】
上で説明したように、本発明の方法は、ランダムコポリマー、統計的コポリマー、交互コポリマー又は周期的コポリマーを調製する。したがって、カーボネート結合は、単一のブロック内になく、それによりポリカーボネートポリオールと比較して改善された熱分解などの改善された特性を有するポリマーが提供される。本発明の方法によって調製されるポリマーは、ランダムコポリマー又は統計的コポリマーであり得る。
【0150】
本発明の方法によって調製されるポリカーボネートエーテルポリオールは、式(IV)のものであり得、式中、n及びmは、1以上の整数であり、全てのm基及びn基の合計は、4~200であり、m/(m+n)は、0より大きく1.00未満の範囲である。上で説明したように、m/(n+m)は、約0.05、約0.10、約0.15、約0.20、約0.25、約0.25、約0.30、約0.35、約0.40、約0.45、約0.50、約0.55、約0.60、約0.65、約0.70、約0.75、約0.80、約0.85、約0.90、約0.95又はこれらの具体的な値から作成される任意の範囲内であり得る。例えば、m/(n+m)は、約0.05~約0.95、約0.10~約0.90、約0.15~約0.85、約0.20~約0.80又は約0.25~約0.75などであり得る。
【0151】
当業者であれば、ポリオールが少なくとも1つのカーボネート結合及び少なくとも1つのエーテル結合を含まなければならないことも理解するであろう。したがって、ポリオール中のエーテル結合及びカーボネート結合の数(n+m)は、≧aであることが理解されるであろう。n+mの合計は、「a」より大きいか又はそれと等しくなければならない。
【0152】
各Re1は、独立に、H、ハロゲン、ヒドロキシル又は任意選択的に置換されるアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアルキル若しくはヘテロアルケニルから選択され得る。Re1は、H又は任意選択的に置換されるアルキルから選択され得る。
【0153】
各Re2は、独立に、H、ハロゲン、ヒドロキシル又は任意選択的に置換されるアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアルキル若しくはヘテロアルケニルから選択され得る。Re2は、H又は任意選択的に置換されるアルキルから選択され得る。
【0154】
Re1及びRe2は、炭素及び水素原子を含み、任意選択的に1つ以上のヘテロ原子(例えば、O、N又はS)も含み得る飽和の、部分的に飽和の又は不飽和の環を一緒に形成し得ることも理解されるであろう。例えば、Re1及びRe2は、5員又は6員の環を一緒に形成し得る。
【0155】
上で説明したように、Re1及びRe2の性質は、反応において使用されるエポキシドに依存する。エポキシドがシクロヘキセンオキシド(CHO)である場合、Re1及びRe2は、6員アルキル環(例えば、シクロヘキシル環)を一緒に形成する。エポキシドがエチレンオキシドである場合、Re1及びRe2は、共にHである。エポキシドがプロピレンオキシドである場合、Re1は、Hであり、Re2は、メチルである(又はエポキシドのポリマー主鎖への付加の方法により、Re1がメチルであり、Re2がHである)。エポキシドがブチレンオキシドである場合、Re1は、Hであり、Re2は、エチルである(又は逆も同様である)。エポキシドがスチレンオキシドである場合、Re1は、水素であり得、Re2は、フェニルであり得る(又は逆も同様である)。
【0156】
エポキシドの混合物が使用される場合、Re1及び/又はRe2の各存在は、同じでなくてよく、例えばエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの混合物が使用される場合、Re1は、独立に、水素又はメチルであり得、Re2は、独立に、水素又はメチルであり得ることも理解されるであろう。
【0157】
したがって、Re1及びRe2は、独立に、水素、アルキル又はアリールから選択され得るか、又はRe1及びRe2がシクロヘキシル環を一緒に形成し得、Re1及びRe2は、独立に、水素、メチル、エチル又はフェニルから選択され得るか、又はRe1及びRe2がシクロヘキシル環を一緒に形成し得る。
【0158】
結合が不安定水素原子を置き換えることを除いて、Z’は、Rzに対応する。そのため、各Z’の識別は、スターター化合物中のRZの定義に依存する。したがって、各Z’は、-O-、-NR’-、-S-、-C(O)O-、-P(O)(OR’)O-、-PR’(O)(O-)2又は-PR’(O)O-(式中、R’は、H又は任意選択的に置換されるアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又はヘテロシクロアルキルであり得、任意選択的に、R’は、H又は任意選択的に置換されるアルキルである)であり得、任意選択的に、Z’は、-C(O)O-、-NR’-又は-O-であり得、各Z’は、-O-、-C(O)O-又はこれらの組み合せであり得、任意選択的に、各Z’は、-O-であり得ることが理解されるであろう。
【0159】
Zは、スターター化合物の性質にも依存する。したがって、Zは、任意選択的に置換されるアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、シクロアルキレン、シクロアルケニレン、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロシクロアルケニレン、アリーレン、ヘテロアリーレンから選択され得るか、又はZは、これらの基の任意の組合せであり得、例えば、Zは、アルキルアリーレン、ヘテロアルキルアリーレン、ヘテロアルキルヘテロアリーレン又はアルキルヘテロアリーレン基であり得る。任意選択的に、Zは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン又はヘテロアリーレン、例えばアルキレン又はヘテロアルキレンである。上の基のそれぞれは、例えば、アルキルなどによって任意選択的に置換されることが理解されるであろう。
【0160】
変数aは、スターター化合物の性質にも依存する。当業者であれば、式(IV)におけるaの値が式(III)におけるaと同じであることを認識するであろう。したがって、式(IV)では、aは、少なくとも2の整数であり、任意選択的に、aは、2~8の範囲であり、任意選択的に、aは、2~6の範囲である。
【0161】
当業者であれば、aの値は、本発明の方法によって調製されるポリオールの形状に影響を与えることも理解するであろう。例えば、aが2である場合、式(IV)のポリオールは、以下の構造:
【0162】
【化20】
を有し得、式中、Z、Z’、m、n、R
e1及びR
e2は、式(IV)について上述した通りである。
【0163】
例えば、aが3である場合、式(IV)のポリオールは、以下の式:
【0164】
【化21】
を有し得、式中、Z、Z’、m、n、R
e1及びR
e2は、式(IV)について上述した通りである。
【0165】
当業者であれば、上の特徴のそれぞれが組み合わされ得ることを理解するであろう。例えば、Re1及びRe2は、独立に、水素、アルキル又はアリールから選択され得るか、又はRe1及びRe2は、一緒にシクロヘキシル環を形成し得、各Z’は、-O-、-C(O)O-又はこれらの組合せであり得(任意選択的に、各Z’は、-O-であり得る)、Zは、任意選択的に置換されるアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン又はヘテロアリーレン、例えばアルキレン又はヘテロアルキレンであり得、aは、2~8であり得る。
【0166】
本発明の方法によって製造されるポリオールは、任意選択的に、低分子量ポリオールである。ポリカーボネートエーテルポリオールを調製するために使用されるエポキシドの性質は、生成物の得られる分子量に影響を与えることが理解されるであろう。したがって、n+mの上限は、本明細書では、本発明の「低分子量」ポリマーを定義するために使用される。
【0167】
本発明の方法は、狭い分子量分布を有するポリカーボネートエーテルポリオールを有利に調製することができる。換言すると、ポリカーボネートエーテルポリオールは、低い多分散指数(PDI)を有し得る。ポリマーのPDIは、ポリマーの重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で割ることによって決定され、それによりポリマー生成物における鎖長の分布が示される。ポリマー鎖の長さにおける変動割合は、両方のポリマーが同じPDIを有していたとしても長鎖ポリマーと比較して短鎖ポリマーでより大きいため、ポリマーの分子量の減少に伴ってPDIがより重要となることが理解されるであろう。
【0168】
任意選択的に、本発明の方法によって製造されるポリマーは、約1~約2未満、任意選択的に約1~約1.5未満、約1~約1.3未満、約1~約1.2未満及び約1~約1.1未満などの約1~約1.75未満のPDIを有する。
【0169】
本発明の方法によって製造されるポリマーのMn及びMw並びにその結果としてのPDIは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して測定することができる。例えば、GPCは、直列の2本のAgilent PLgel μ-m mixed-Eカラムを備えたAgilent 1260 Infinity GPC装置を使用して測定することができる。試料は、狭いポリスチレン標準(例えば、Agilent Technologiesから供給されている、405~49,450g/molの様々なMnを有するポリスチレン低EasiVials)と対照して、1mL/分の流量でTHF中において室温(293K)で測定することができる。任意選択的に、試料は、Agilent Technologiesから供給されているポリエチレングリコールeasivialsなどのポリ(エチレングリコール)標準を対照として測定され得る。
【0170】
任意選択的に、本発明の方法によって製造されるポリエーテルカーボネートポリオールは、約500~約6,000Da、任意選択的に約700~約5,000Da又は約500~約3,000Daの範囲の分子量を有し得る。
【0171】
本発明は、高分子量ポリエーテルカーボネートを調製する方法にも関し、その方法は、
(I) (a) 式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒並びに任意選択的に二酸化炭素及び/又は溶媒をエポキシド及び任意選択的に二酸化炭素と混合して、混合物(α)を形成する工程、又は
(b) 二重金属シアン化物(DMC)触媒並びに任意選択的に二酸化炭素及び/又は溶媒をエポキシド並びに任意選択的に二酸化炭素及び/又は溶媒と混合して、混合物(α)を形成する工程、又は
(c) エポキシド、式(I)の触媒及び二酸化炭素並びに任意選択的に溶媒を混合して、混合物(α)を形成する工程、又は
(d) 式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒並びに任意選択的にエポキシド、二酸化炭素及び/又は溶媒を混合して、混合物(α)を形成する工程、及び
(II) エポキシド、二酸化炭素、式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒及び/又は溶媒の1つ以上を混合物(α)に添加して、エポキシド、二酸化炭素、式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒及び任意選択的に溶媒を含む混合物(β)を形成する工程
を含み、式(I)の触媒は、以下の構造:
【0172】
【化22】
を有し、
式中、M
1及びM
2は、独立に、Zn(II)、Cr(II)、Co(II)、Cu(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ni(II)、Fe(II)、Ti(II)、V(II)、Cr(III)-X、Co(III)-X、Mn(III)-X、Ni(III)-X、Fe(III)-X、Ca(II)、Ge(II)、Al(III)-X、Ti(III)-X、V(III)-X、Ge(IV)-(X)
2又はTi(IV)-(X)
2から選択され、
R
1及びR
2は、独立に、水素、ハライド、ニトロ基、ニトリル基、イミン、アミン、エーテル基、シリル基、シリルエーテル基、スルホキシド基、スルホニル基、スルフィネート基若しくはアセチリド基又は任意選択的に置換されるアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、脂環式若しくはヘテロ脂環式基から選択され、
R
3は、独立に、任意選択的に置換されるアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はシクロアルキレンから選択され、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン及びヘテロアルキニレンは、任意選択的に、アリール、ヘテロアリール、脂肪族環又はヘテロ脂肪族環が挟まれ得、
R
5は、独立に、H又は任意選択的に置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール若しくはアルキルアリールから選択され、
E
1はCでE
2はO、S若しくはNHであるか、又はE
1はNでE
2はOであり、
E
3、E
4、E
5及びE
6は、N、NR
4、O及びSから選択され、E
3、E
4、E
5又はE
6がNである場合、
【0173】
【0174】
【化24】
であり、E
3、E
4、E
5又はE
6がNR
4、O又はSである場合、
【0175】
【0176】
【化26】
であり、
R
4は、独立に、H又は任意選択的に置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、-アルキルC(O)OR
19、若しくは-アルキルC≡N、若しくはアルキルアリールから選択され、
Xは、独立に、OC(O)R
x、OSO
2R
x、OSOR
x、OSO(R
x)
2、S(O)R
x、OR
x、ホスフィネート、ハライド、ナイトレート、ヒドロキシル、カーボネート、アミノ、アミド又は任意選択的に置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール若しくはヘテロアリールから選択され、各Xは、同じであるか又は異なり得、Xは、M
1とM
2との間に架橋を形成し得、
R
xは、独立に、水素又は任意選択的に置換される脂肪族、ハロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール、アルキルアリール若しくはヘテロアリールであり、
Gは、存在しないか、又はルイス塩基である中性若しくはアニオン性のドナー配位子から独立に選択される。
【0177】
材料の制御された添加により重合反応を制御することなど、ポリカーボネートエーテルポリオールを調製する方法に関して上で示した利点は、高分子量ポリエーテルカーボネートを調製する方法に等しく適用される。
【0178】
本発明の方法は、大きい分子量分布を有する高分子量ポリエーテルカーボネートを有利に調製できることが理解されるであろう。換言すると、ポリエーテルカーボネートは、比較的高い多分散指数(PDI)を有し得る。
【0179】
工程(I)(a)又は(b)によって形成された混合物(α)は、工程(II)の前に約50~110℃、任意選択的に約60~90℃の温度で保持され得る。
工程(I)(c)又は(d)によって形成された混合物(α)は、工程(II)の前に約0~120℃、任意選択的に約40~100℃、任意選択的に約50~90℃の温度で保持され得る。
【0180】
混合物(α)は、工程(II)の前に少なくとも約1分間、任意選択的に少なくとも約5分間、任意選択的に少なくとも約15分間、任意選択的に少なくとも約30分間、任意選択的に少なくとも約1時間、任意選択的に少なくとも約2時間、任意選択的に少なくとも約5時間にわたって保持され得る。
【0181】
工程(I)(c)によって形成された混合物(α)は、工程(II)の前に少なくとも約5分間、任意選択的に少なくとも約15分間、任意選択的に少なくとも約30分間、任意選択的に少なくとも約1時間、任意選択的に少なくとも約2時間、任意選択的に少なくとも約3時間、任意選択的に少なくとも約4時間、任意選択的に少なくとも約8時間、任意選択的に少なくとも約16時間にわたって保持され得る。
【0182】
混合物(α)は、約1重量%未満の水、任意選択的に約0.5重量%未満の水、任意選択的に約0.1重量%未満の水、任意選択的に約0.05重量%未満の水、任意選択的に約0重量%の水を含み得る。混合物中の水の存在は、その触媒又はそれぞれの触媒の失活を引き起こす可能性がある。したがって、混合物中の含水率を最小限にすることが望ましい。
【0183】
工程(I)(a)は、式(I)の触媒、二重金属シアン化物(DMC)触媒及び任意選択的に二酸化炭素を最初に混合して混合物(α’)を形成し、且つエポキシド及び任意選択的に二酸化炭素を続けて添加して混合物(α)を形成することを含み得る。この方式で方法を実施することは、前述したように、一方又は両方の触媒を予備活性化するために有用な場合がある。
【0184】
混合物(α’)は、前記続けて添加の前に約0~250℃、任意選択的に約40~150℃、任意選択的に約50~150℃、任意選択的に約70~140℃、任意選択的に約80~130℃の温度で保持され得る。
【0185】
工程(I)(c)に続いて、工程(II)は、二重金属シアン化物(DMC)触媒、エポキシド並びに任意選択的に二酸化炭素及び/又は溶媒を混合して、予備活性化された混合物を形成し、且つ予備活性化された混合物を混合物(α)に添加して混合物(β)を形成することを含み得る。
【0186】
予備活性化された混合物は、添加前に約50~110℃、任意選択的に約60~90℃の温度で保持され得る。
反応方法は、全体としてバッチ式で行われ得る。そのような場合、方法は、反応で使用されるそれぞれの関連材料(エポキシド、スターター化合物など)の全体量を使用することができ、その全体量の一部は、反応の異なる工程で添加され得る。
【0187】
方法は、エポキシドの全体量を使用し得、エポキシドの全体量の約1~95%は工程(I)で混合され、残りは工程(II)で添加され得、任意選択的に約1~75%、任意選択的に約1~50%、任意選択的に約1~40%、任意選択的に約1~30%、任意選択的に約1~20%、任意選択的に約5~20%が工程(I)で混合され得る。
【0188】
方法は、式(I)の触媒の全体量を使用し得、式(I)の触媒の全体量の約1~100%は工程(I)で混合され、残りは工程(II)で添加され得、任意選択的に約1~75%、任意選択的に約1~50%、任意選択的に約1~40%、任意選択的に約1~30%、任意選択的に約1~20%、任意選択的に約5~20%が工程(I)で混合され得る。
【0189】
方法は、二重金属シアン化物(DMC)触媒の全体量を使用し得、二重金属シアン化物(DMC)触媒の全体量の約1~100%は工程(I)で混合され、残りは工程(II)で添加され得、任意選択的に約1~75%、任意選択的に約1~50%、任意選択的に約1~40%、任意選択的に約1~30%、任意選択的に約1~20%、任意選択的に約5~20%が工程(I)で混合され得る。
【0190】
方法は、二酸化炭素の全体量を使用し得、二酸化炭素の全体量の約1~100%は工程(I)で混合され、残りは工程(II)で添加され得、任意選択的に約1~75%、任意選択的に約1~50%、任意選択的に約1~40%、任意選択的に約1~30%、任意選択的に約1~20%、任意選択的に約5~20%が工程(I)で混合され得る。
【0191】
方法は、溶媒の全体量を使用し得、溶媒の全体量の約1~100%は工程(I)で混合され、残りは工程(II)で添加され得、任意選択的に約1~75%、任意選択的に約1~50%、任意選択的に約1~40%、任意選択的に約1~30%、任意選択的に約1~20%、任意選択的に約5~20%が工程(I)で混合され得る。
【0192】
式(I)の触媒の全体量は、本発明の方法が低い触媒添加量で実施できるように低いことができる。例えば、式(I)の触媒の触媒添加量は、約1:10,000~100,000の[式(I)の触媒の合計]:[エポキシドの合計]などの約1:100,000~300,000の[式(I)の触媒の合計]:[エポキシドの合計]の範囲、例えば約1:10,000~50,000の[式(I)の触媒の合計]:[エポキシドの合計]の範囲、例えば約1:10,000の[式(I)の触媒の合計]:[エポキシドの合計]の範囲であり得る。上の比率は、モル比である。これらの比率は、方法で使用される式(I)の触媒の全体量:エポキシドの全体量の比率である。
【0193】
方法は、連続的であり得、混合物(β)中の式(I)の触媒に対するエポキシドの所定のモル比又は重量比が存在し、方法は、
(III) 混合物(β)にエポキシドを添加して混合物(γ)を形成すること
をさらに含み、前記エポキシドは、混合物(γ)中の式(I)の触媒に対するエポキシドのモル比又は重量比を前記所定のモル比の少なくとも約75%にするのに十分な量で添加され、任意選択的に工程(III)が繰り返される。
【0194】
方法は、連続的であり得、混合物(β)中の式(I)の触媒に対する二酸化炭素の所定のモル比又は重量比が存在し、方法は、
(III) 混合物(β)に二酸化炭素を添加して混合物(γ)を形成すること
をさらに含み、前記二酸化炭素は、混合物(γ)中の式(I)の触媒に対する二酸化炭素のモル比又は重量比を前記所定のモル比の少なくとも約75%にするのに十分な量で添加され、任意選択的に工程(III)が繰り返される。
【0195】
方法は、連続的であり得、混合物(β)中の式(I)の触媒に対する溶媒の所定のモル比又は重量比が存在し、方法は、
(III) 混合物(β)に溶媒を添加して混合物(γ)を形成すること
をさらに含み、前記溶媒は、混合物(γ)中の式(I)の触媒に対する溶媒のモル比又は重量比を前記所定のモル比の少なくとも約75%にするのに十分な量で添加され、任意選択的に工程(III)が繰り返される。
【0196】
工程(III)は、混合物(γ)中の式(I)の触媒に対するエポキシド、二酸化炭素及び/又は溶媒のモル比又は重量比が前記所定のモル比又は重量比の約75%を下回らないように行われ得る。
【0197】
工程(III)は、混合物(γ)中の式(I)の触媒に対するエポキシド、二酸化炭素及び溶媒のモル比又は重量比が前記所定のモル比の約75%を下回らないように行われ得る。
【0198】
方法は、連続的であり得、混合物(β)中の式(I)の触媒の所定量が存在し、方法は、
(III) 混合物(β)に式(I)の触媒を添加して混合物(γ)を形成すること
をさらに含み、前記式(I)の触媒は、混合物(γ)中の式(I)の触媒の量を前記所定量の約50~550%にするのに十分な量で添加され、任意選択的に工程(III)が繰り返される。
【0199】
工程(III)は、混合物(γ)中の式(I)の触媒の量が前記所定量の約50%を下回らないように行われ得る。
方法は、連続的であり得、混合物(β)中の二重金属シアン化物(DMC)触媒の所定量が存在し、方法は、
(III) 混合物(β)に二重金属シアン化物(DMC)触媒を添加して混合物(γ)を形成すること
をさらに含み、前記二重金属シアン化物(DMC)触媒は、混合物(γ)中の二重金属シアン化物(DMC)触媒の量を前記所定量の約50~550%にするのに十分な量で添加され、任意選択的に工程(III)が繰り返される。
【0200】
工程(III)は、混合物(γ)中の二重金属シアン化物(DMC)触媒の量が前記所定量の約50%を下回らないように行われ得る。
材料が添加される速度は、(発熱)反応の温度が選択された温度を超えないように(すなわち過剰な熱を散逸させて残りの温度をほぼ一定にするのに十分なほどゆっくり材料が添加されるように)選択され得る。
【0201】
材料の添加(すなわち工程IIIにより)が繰り返される場合、添加は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10回又はそれを超えて繰り返され得る。
混合物(α)において、前記式(I)の触媒の量及び前記二重金属シアン化物(DMC)触媒の量は、互いに約300:1~約1:100、例えば約40:1~約1:50などの約120:1~約1:75、例えば20:1~約1:1などの約30:1~約1:30、例えば約10:1~約2:1、例えば約5:1~約1:5の所定の重量比であり得る。
【0202】
工程(I)において、前記二重金属シアン化物(DMC)触媒は、他の成分と乾式混合され得る。
工程(I)において、前記二重金属シアン化物(DMC)触媒は、スラリーとして混合され得、前記スラリーは、二重金属シアン化物(DMC)触媒及び溶媒を含む。
【0203】
工程(I)において、前記式(I)の触媒は、他の成分と乾式混合され得る。
工程(I)において、前記式(I)の触媒は溶液として混合され得、前記溶液は、式(I)の触媒並びにエポキシド及び/又は溶媒の1つ以上を含む。
【0204】
エポキシドは、工程(II)で添加され得る。
式(I)の触媒は、工程(II)で添加され得る。
二重金属シアン化物(DMC)触媒は、工程(II)で添加され得る。
【0205】
エポキシド、式(I)の触媒及び/又は二重金属シアン化物(DMC)触媒は、工程(II)において独立して連続的に添加され得る。
エポキシド、式(I)の触媒及び/又は二重金属シアン化物(DMC)触媒は、工程(II)において独立的して不連続的に添加され得る。
【0206】
二酸化炭素は、連続的に供給され得る。
方法は、約1バール~約60バール、任意選択的に約1バール~約40バール、任意選択的に約1バール~約20バール、任意選択的に約1バール~約15バール、任意選択的に約1バール~約10バール、任意選択的に約1バール~約5バールの二酸化炭素の圧力で行われ得る。
【0207】
反応の温度は、方法の過程中に上昇し得る。
本発明の方法は、ポリエーテルカーボネートを調製することができる。本発明の方法は、エーテル結合及びカーボネート結合の量を制御することができるポリエーテルカーボネートの製造が可能である。したがって、本発明は、n個のエーテル結合とm個のカーボネート結合とを有するポリカーボネートエーテルポリオールを提供し、これらのn及びmは、整数であり、m/(n+m)は、0より大きく1未満である。
【0208】
例えば、本発明の方法は、広範囲のm/(n+m)値を有するポリエーテルカーボネートを調製することができる。m/(n+m)は、約0.05、約0.10、約0.15、約0.20、約0.25、約0.25、約0.30、約0.35、約0.40、約0.45、約0.50、約0.55、約0.60、約0.65、約0.70、約0.75、約0.80、約0.85、約0.90、約0.95又はこれらの具体的な値から作成される任意の範囲内であり得ることが理解されるであろう。例えば、m/(n+m)は、約0.05~約0.95、約0.10~約0.90、約0.15~約0.85、約0.20~約0.80又は約0.25~約0.75などであり得る。
【0209】
したがって、本発明の方法は、高い比率のカーボネート結合を有するポリエーテルカーボネートを調製することを可能にし、例えば、m/(n+m)は、約0.55超約0.95未満、例えば約0.65~約0.90、例えば約0.75~約0.90など、約0.50よりも大きいことができる。本発明の方法は、例えば、10バール以下などの20バール以下の圧力下などの穏やかな条件下において、高いm/(n+m)の比率を有するポリマーを調製することができる。
【0210】
例えば、本発明の方法によって製造されるポリエーテルカーボネートは、以下の式(IV)を有し得る。
【0211】
【化27】
Xの識別は、式(I)の化合物中のXの性質に依存すること、またR
e1及びR
e2の識別は、ポリエーテルカーボネートを調製するために使用されるエポキシドの性質に依存することが理解されるであろう。「m」及び「n」は、ポリエーテルカーボネート中のカーボネート結合及びエーテル結合の量を規定する。n≦1且つm≦1であることが理解されるであろう。
【0212】
Xは、-OHを含む基でなくてもよいことが理解されるであろう。
当業者であれば、式(IV)のポリマーにおいて、主鎖中の隣接するエポキシドモノマー単位が頭-尾結合、頭-頭結合又は尾-尾結合であり得ることを理解するであろう。
【0213】
式(IV)は、カーボネート結合及びエーテル結合が「m」及び「n」によって規定される各部分の2つの別々の「ブロック」に存在することを必要とせず、カーボネート及びエーテルの繰り返し単位がポリマー主鎖に沿って統計的に分布し得ること、又はカーボネート結合とエーテル結合が2つの別々のブロックにならないように配置され得ることも理解されるであろう。
【0214】
したがって、本発明の方法によって調製されるポリエーテルカーボネート(例えば、式(IV)のポリマー)は、ランダムコポリマー、統計的コポリマー、交互コポリマー又は周期的コポリマーと呼ばれる場合がある。
【0215】
当業者であれば、ポリマー中に組み込まれた二酸化炭素の重量%がポリマー主鎖中のカーボネート結合の数に正比例することを理解するであろう。
他の全ての条件が同じであれば、ポリエーテルは、エポキシドと二酸化炭素とから製造されるポリカーボネートよりも分解温度が高い。したがって、エーテル結合とカーボネート結合との統計的又はランダムな分布を有するポリエーテルカーボネートは、ポリカーボネート又はカーボネート結合のブロックを有するポリエーテルカーボネートよりも分解温度が高いであろう。熱分解温度は、熱重量分析(TGA)を使用して測定することができる。
【0216】
上で説明したように、本発明の方法は、ランダムコポリマー、統計的コポリマー、交互コポリマー又は周期的コポリマーを調製する。したがって、カーボネート結合は、単一のブロック内になく、それによりポリカーボネートと比較して改善された熱分解などの改善された特性を有するポリマーが提供される。任意選択的に、本発明の方法によって調製されるポリエーテルカーボネートは、ランダムコポリマー又は統計的コポリマーであり得る。
【0217】
本発明の方法によって調製されるポリエーテルカーボネートは、式(IV)のものであり得、式中、n及びmは、1以上の整数であり、全てのm基及びn基の合計は、4~200であり、m/(m+n)は、0より大きく1.00未満の範囲である。上で説明したように、m/(n+m)は、約0.05、約0.10、約0.15、約0.20、約0.25、約0.25、約0.30、約0.35、約0.40、約0.45、約0.50、約0.55、約0.60、約0.65、約0.70、約0.75、約0.80、約0.85、約0.90、約0.95又はこれらの具体的な値から作成される任意の範囲内であり得る。例えば、m/(n+m)は、約0.05~約0.95、約0.10~約0.90、約0.15~約0.85、約0.20~約0.80又は約0.25~約0.75などであり得る。
【0218】
当業者であれば、ポリエーテルカーボネートが少なくとも1つのカーボネート結合及び少なくとも1つのエーテル結合を含まなければならないこと、例えばn≧1且つ≧1であることも理解するであろう。したがって、ポリエーテルカーボネート中のエーテル結合及びカーボネート結合の数(n+m)は、ポリマーの分子量を規定することが理解されるであろう。例えば、任意選択的に、n≧5且つm≧5、又はn≧10且つm≧10、又はn≧20且つm≧20、又はn≧50且つm≧50である。
【0219】
任意選択的に、m+n≧10、又はm+n≧20、又はm+n≧100、又はm+n≧200、又はm+n≧500、又はm+n≧1,000である。
各Re1は、独立に、H、ハロゲン、ヒドロキシル又は任意選択的に置換されるアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアルキル若しくはヘテロアルケニルから選択され得る。任意選択的に、Re1は、H又は任意選択的に置換されるアルキルから選択され得る。
【0220】
各Re2は、独立に、H、ハロゲン、ヒドロキシル又は任意選択的に置換されるアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアルキル若しくはヘテロアルケニルから選択され得る。任意選択的に、Re2は、H又は任意選択的に置換されるアルキルから選択され得る。
【0221】
Re1及びRe2は、炭素及び水素原子を含み、任意選択的に1つ以上のヘテロ原子(例えば、O、N又はS)も含み得る飽和の、部分的に飽和の又は不飽和の環を一緒に形成し得ることも理解されるであろう。例えば、Re1及びRe2は、5員又は6員の環を一緒に形成し得る。
【0222】
上で説明したように、Re1及びRe2の性質は、反応において使用されるエポキシドに依存する。エポキシドがシクロヘキセンオキシド(CHO)である場合、Re1及びRe2は、6員アルキル環(例えば、シクロヘキシル環)を一緒に形成する。エポキシドがエチレンオキシドである場合、Re1及びRe2は共にHである。エポキシドがプロピレンオキシドである場合、Re1はHであり、Re2はメチルである(又はエポキシドのポリマー主鎖への付加の方法により、Re1がメチルであり、Re2がHである)。エポキシドがブチレンオキシドである場合、Re1はHであり、Re2はエチルである(又は逆も同様である)。エポキシドがスチレンオキシドである場合、Re1は水素であり得、Re2はフェニルであり得る(又は逆も同様である)。
【0223】
エポキシドの混合物が使用される場合、Re1及び/又はRe2の各存在は、同じでなくてよく、例えばエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの混合物が使用される場合、Re1は、独立に、水素又はメチルであり得、Re2は、独立に、水素又はメチルであり得ることも理解されるであろう。
【0224】
したがって、Re1及びRe2は、独立に、水素、アルキル又はアリールから選択され得るか、又はRe1及びRe2がシクロヘキシル環を一緒に形成し得、任意選択的に、Re1及びRe2は、独立に、水素、メチル、エチル又はフェニルから選択され得るか、又はRe1及びRe2がシクロヘキシル環を一緒に形成し得る。
【0225】
Xは、式(I)の化合物で使用される基Xの性質に依存する。したがって、Xは、OC(O)Rx、OSO2Rx、OSORx、OSO(Rx)2、S(O)Rx、ORx、ホスフィネート、ハライド、ナイトレート、ヒドロキシル、カーボネート、アミノ、アミド又は任意選択的に置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール若しくはヘテロアリールから選択され得、Rxは、独立に、水素又は任意選択的に置換される脂肪族、ハロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール、アルキルアリール若しくはヘテロアリールである。
【0226】
任意選択的に、各Xは、独立に、OC(O)Rx、OSO2Rx、OSORx、OSO(Rx)2、S(O)Rx、ORx、ハライド、ナイトレート、ヒドロキシル、カーボネート、アミノ、ニトロ、アミド、アルキル(例えば、分岐アルキル)、ヘテロアルキル(例えば、シリル)、アリール又はヘテロアリールである。任意選択的に、各Xは、独立に、OC(O)Rx、ORx、ハライド、カーボネート、アミノ、ニトロ、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ホスフィネート又はOSO2Rxである。Xが脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール又はヘテロアリールである場合の任意選択的な置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、アミノ又は置換若しくは無置換の脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール若しくはヘテロアリールが挙げられる。
【0227】
Xの例示的な選択肢としては、OAc、OC(O)CF3、ハロゲン、OSO(CH3)2、Et、Me、OMe、OiPr、OtBu、Cl、Br、I、F、N(iPr)2又はN(SiMe3)2、OPh、OBn、サリシレート、ジオクチルホスフィネートなどが挙げられる。
【0228】
2つ以上のX基が存在する場合、例えば以下に示されるような式(IV-A)の化合物において、各Xは同じであるか又は異なり得、任意選択的に、各Xは同じである。
任意選択的に、Rxは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又はアルキルアリールである。Rxについての任意選択的な置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アミノ、アルコキシ、アルキルチオ又は置換若しくは無置換の脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール若しくはヘテロアリール(例えば、任意選択的に置換されるアルキル、アリール又はヘテロアリール)が挙げられる。
【0229】
任意選択的に、各Xは同じであり、OC(O)Rx、ORx、ハライド、カーボネート、アミノ、ニトロ、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ホスフィネート又はOSO2Rxから選択され、Rxは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキルアリールである。任意選択的に、各Xは同じであり、OC(O)Rx、ORx、ハライド、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ホスフィネート又はOSO2Rxである。任意選択的に、各Xは同じであり、OC(O)Rxである。さらに、任意選択的に、各Xは同じであり、OAc、O2CCF3又はO2C(CH2)3Cyから選択される。任意選択的に、各Xは同じでありOAcである。
【0230】
任意選択的に、各Rxは同じであり、任意選択的に置換されるアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又はアルキルアリールから選択される。任意選択的に、各Rxは同じであり、任意選択的に置換されるアルキル、アルケニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又はアルキルアリールである。任意選択的に、各Rxは同じであり、任意選択的に置換されるアルキル、アルケニル、ヘテロアルキル又はシクロアルキルである。さらに、任意選択的に、Rxは、任意選択的に置換されるアルキル、ヘテロアルキル又はシクロアルキルである。任意選択的に、Rxは、任意選択的に置換されるアルキルである。
【0231】
Xの選択肢の定義とRxの選択肢の定義とが組み合わされ得ることが理解されるであろう。例えば、各Xは、独立に、OC(O)Rx、OSO2Rx、OS(O)Rx、OSO(Rx)2、S(O)Rx、ORx、ハライド、ナイトレート、ヒドロキシル、カーボネート、アミノ、ニトロ、アミド、アルキル(例えば、分岐アルキル)、ヘテロアルキル(例えば、シリル)、アリール又はヘテロアリールであり得、例えば、それぞれは、独立に、OC(O)Rx、ORx、ハライド、カーボネート、アミノ、ニトロ、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ホスフィネート又はOSO2Rxであり得、Rxは、任意選択的に置換されるアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又はアルキルアリールであり得る。
【0232】
当業者であれば、上の特徴のそれぞれを組み合わせられることを理解するであろう。例えば、Re1及びRe2は、独立に、水素、アルキル又はアリールから選択され得るか、又はRe1及びRe2は、シクロヘキシル環を一緒に形成し得、Xは、任意選択的に置換される脂肪族又はヘテロ脂肪族、例えばアルキレン又はヘテロアルキレンであり得る。
【0233】
本発明の方法によって製造されるポリエーテルカーボネートは、任意選択的に、高分子量ポリエーテルカーボネートである。ポリエーテルカーボネートを調製するために使用されるエポキシドの性質は、得られる生成物の分子量に影響を与えることが理解されるであろう。したがって、n+mの下限は、本明細書では、本発明の「高分子量」ポリマーを定義するために使用される。
【0234】
任意選択的に、本発明の方法によって製造されるポリエーテルカーボネートは、少なくとも約40,000ダルトンなどの少なくとも約25,000ダルトン、例えば少なくとも約50,000ダルトン又は約50,000ダルトン~1,000,000ダルトンなどの少なくとも約100,000ダルトンの分子量を有し得る。本発明の方法によって形成される高分子量ポリマーは、典型的には、少なくとも約500,000ダルトン、任意選択的に少なくとも約1,000,000ダルトンなどの少なくとも約100,000ダルトンの分子量を有する。
【0235】
本発明の方法は、大きい分子量分布を有するポリエーテルカーボネートを有利に調製することができる。換言すると、ポリエーテルカーボネートは、比較的大きい多分散指数(PDI)を有し得る。ポリマーのPDIは、ポリマーの重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で割ることによって決定され、それによりポリマー生成物における鎖長の分布が示される。高分子量ポリマーでは、短い鎖が長い鎖の可塑剤として機能し、それによってポリマーが脆くなり過ぎることが防止されるため、大きいPDIが望ましい場合がある。
【0236】
任意選択的に、本発明の方法によって製造されるポリマーは、約1より大きい、任意選択的に約2より大きい、任意選択的に約3より大きいPDIを有する。
本発明の方法によって製造されるポリマーのMn及びMw並びにその結果としてのPDIは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して測定することができる。例えば、GPCは、直列の2本のAgilent PLgel μ-m mixed-Eカラムを備えたAgilent 1260 Infinity GPC装置を使用して測定することができる。試料は、狭いポリスチレン標準(例えば、Agilent Technologiesから供給されている、405~49,450g/molの様々なMnを有するポリスチレン低easivials)と対照して、1mL/分の流量でTHF中において室温(293K)で測定することができる。任意選択的に、試料は、Agilent Technologiesから供給されているポリエチレングリコールEasiVialsなどのポリ(エチレングリコール)標準を対照として測定され得る。
【0237】
ポリカーボネートエーテルポリオールを調製する方法と、高分子量ポリエーテルカーボネートを調製する方法との両方に共通する特徴を以下に示す。
本発明の方法は、溶媒の存在下で行うことができるものの、方法が溶媒の不存在下で行われ得ることも理解されるであろう。溶媒が存在する場合、それは、トルエン、ヘキサン、酢酸t-ブチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル、ジオキサン、ジクロロベンゼン、塩化メチレン、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、アセトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸n-ブチル、テトラヒドロフラン(THF)などであり得る。溶媒は、トルエン、ヘキサン、アセトン、酢酸エチル及び酢酸n-ブチルであり得る。
【0238】
溶媒は、1つ以上の材料を溶解するように機能することができる。しかしながら、溶媒は、担体としても機能することができ、懸濁液中の1つ以上の材料を懸濁するために使用することができる。本発明の方法の工程中の1つ以上の材料の添加を促進するために溶媒が必要とされる場合がある。
【0239】
方法で使用されるエポキシドは、エポキシド部位を含む任意の適切な化合物であり得る。例示的なエポキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及びシクロヘキセンオキシドが挙げられる。
【0240】
エポキシドは、二酸化炭素との反応前に(例えば、水素化カルシウム上などの蒸留により)精製され得る。例えば、エポキシドは、添加される前に蒸留され得る。
本発明の方法は、任意のスケールで行われ得る。方法は、工業スケールで実施され得る。当業者に理解されるように、触媒反応は、熱の発生を伴うことが多い(すなわち、触媒反応は、一般には発熱的である)。温度の上昇は、例えば、氷浴を使用することにより比較的簡単に制御できるため、小スケール反応中の熱の発生が問題になる可能性は低い。より大きいスケールの反応、特に工業スケールの反応では、反応中の熱の発生が問題となり、危険性を有する可能性がある。そのため、本明細書に記載のいずれかの形式で材料を徐々に添加することにより、触媒反応の速度を制御することができ、過剰な熱の蓄積を最小限に抑えることができる。反応速度は、例えば、添加時の材料の流量を調整することによって制御することができる。したがって、本発明の方法は、大規模な工業スケールの触媒反応に適用される場合、特に利点を有する。
【0241】
本発明の方法の過程中に温度が上昇し得る。例えば、方法は低温(例えば、約50℃~80℃以下の温度)で開始され得、反応混合物は、方法の過程中に温度上昇し得る。例えば、反応混合物の温度は、本発明の方法の過程中、反応の開始時の約50℃から反応の終了時の約80℃まで上昇する。この温度の上昇は、緩やかなもの又は急激なものであり得る。この温度の上昇は、外部加熱源を利用した結果又は上述したような発熱反応によって得られるものであり得る。
【0242】
反応混合物の温度は、本発明の方法の過程中に低下し得る。例えば、方法は、高温(例えば、約90~150℃の温度で開始され得、反応混合物は、方法の過程中に(例えば、約50℃~80℃以下の温度で)冷却され得る。この温度の低下は、緩やかなもの又は急激なものであり得る。この温度の低下は、上述したような外部冷却源を利用した結果であり得る。
【0243】
本発明は、上述した方法によって得られる製品にも関する。
式(I)の触媒は、以下の構造:
【0244】
【化28】
を有し、
式中、M
1及びM
2は、独立に、Zn(II)、Cr(II)、Co(II)、Cu(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ni(II)、Fe(II)、Ti(II)、V(II)、Cr(III)-X、Co(III)-X、Mn(III)-X、Ni(III)-X、Fe(III)-X、Ca(II)、Ge(II)、Al(III)-X、Ti(III)-X、V(III)-X、Ge(IV)-(X)
2又はTi(IV)-(X)
2から選択され、
R
1及びR
2は、独立に、水素、ハライド、ニトロ基、ニトリル基、イミン、アミン、エーテル基、シリル基、シリルエーテル基、スルホキシド基、スルホニル基、スルフィネート基若しくはアセチリド基又は任意選択的に置換されるアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、脂環式若しくはヘテロ脂環式基から選択され、
R
3は、独立に、任意選択的に置換されるアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はシクロアルキレンから選択され、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン及びヘテロアルキニレンは、任意選択的に、アリール、ヘテロアリール、脂肪族環又はヘテロ脂肪族環が挟まれ得、
R
5は、独立に、H又は任意選択的に置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール若しくはアルキルアリールから選択され、
E
1はCでE
2はO、S若しくはNHであるか、又はE
1はNでE
2はOであり、
E
3、E
4、E
5及びE
6は、N、NR
4、O及びSから選択され、E
3、E
4、E
5又はE
6がNである場合、
【0245】
【0246】
【化30】
であり、E
3、E
4、E
5又はE
6がNR
4、O又はSである場合、
【0247】
【0248】
【化32】
であり、
R
4は、独立に、H又は任意選択的に置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、-アルキルC(O)OR
19、若しくは-アルキルC≡N、若しくはアルキルアリールから選択され、
Xは、独立に、OC(O)R
x、OSO
2R
x、OSOR
x、OSO(R
x)
2、S(O)R
x、OR
x、ホスフィネート、ハライド、ナイトレート、ヒドロキシル、カーボネート、アミノ、アミド又は任意選択的に置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール若しくはヘテロアリールから選択され、各Xは、同じであるか又は異なり得、Xは、M
1とM
2との間に架橋を形成し得、
R
xは、独立に、水素又は任意選択的に置換される脂肪族、ハロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール、アルキルアリール若しくはヘテロアリールであり、
Gは、存在しないか、又はルイス塩基である中性若しくはアニオン性のドナー配位子から独立に選択される。
【0249】
基R1及びR2の各存在は、同じであるか又は異なり得、R1及びR2は、同じであるか又は異なり得る。
任意選択的に、R1及びR2は、独立に、水素、ハライド、アミノ、ニトロ、スルホキシド、スルホニル、スルフィネート及び任意選択的に置換されるアルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シリル、シリルエーテル、アルコキシ、アリールオキシ又はアルキルチオから選択される。任意選択的に、R2の各存在は同じである。任意選択的に、R2の各存在は同じであり水素である。
【0250】
R1の両方の存在は同じであり得、水素、ハライド、アミノ、ニトロ、スルホキシド、スルホニル、スルフィネート、シリル、シリルエーテル及び任意選択的に置換されるアルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ又はアルキルチオから選択され得る。例えば、R1の両方の存在は同じであり得、水素、ハライド、スルホキシド及び任意選択的に置換されるアルキル、ヘテロアリール、シリル、アルキルチオ又はアルコキシから選択され得る。R1(両方とも同じであり得る)の例示的な選択肢としては、水素、メチル、t-ブチル、メトキシ、エトキシ、アルキルチオ、トリアルキルシリル(トリメチルシリル又はトリエチルシリル等)、ブロミド、メタンスルホニル又はピペリジニルが挙げられ、例えば、R1の両方の存在は、同じであり得、これは、メチル、t-ブチル又はトリアルキルシリルから選択され得る。
【0251】
任意選択的に、R2の各存在は水素であり、各R1は、独立に、水素、C1~6アルキル(例えば、ハロアルキル)、アルコキシ、アリール、ハライド、ニトロ、スルホニル、シリル及びアルキルチオなど、例えばtBu、iPr、Me、OMe、H、ニトロ、SO2Me、SiEt3、SiMe3、SMe、ハロゲン又はフェニルなど、水素、ハライド、アミノ、ニトロ、スルホキシド、スルホニル、スルフィネート及び任意選択的に置換されるアルキル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シリル、シリルエーテル、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオから選択される。
【0252】
R1の各存在は同じであり得、R2の各存在は同じであり得、またR1は、R2と異なり得ることが理解されるであろう。
基R3は、二置換の二価のアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル又はヘテロアルキニル基であり得、これらは、任意選択的に、アリール、ヘテロアリール、脂環式又はヘテロ脂環式基が挟まれ得るか、又はこれらは、式(I)の触媒において2つの窒素中心間の架橋基として機能する二置換のアリール又はシクロアルキル基であり得ることが理解されるであろう。したがって、R3がジメチルプロピレニルなどのアルキレン基である場合、R3基は、構造-CH2-C(CH3)2-CH2-を有する。そのため、上で示したアルキル、アリール、シクロアルキルなどの基の定義は、R3について示される二価のアルキレン、アリーレン、シクロアルキレンなどの基にもそれぞれ関連し、これらは、任意選択的に置換され得る。R3は、任意選択的に置換されるアルキレン基であり得、任意選択的に、R3は、任意選択的に置換されるC2又はC3アルキレン基である。R3の例示的な選択肢としては、エチレニル、2,2-フルオロプロピレニル、2,2-ジメチルプロピレニル、プロピレニル、ブチレニル、フェニレニル、シクロヘキシレニル又はビフェニレニルが挙げられる。R3がシクロヘキシレニルである場合、それはラセミ、RR-又はSS-体であり得る。
【0253】
R3は、独立に、置換若しくは無置換のアルキレン及び置換若しくは無置換のアリーレン、任意選択的に置換されているか無置換のプロピレニル(プロピレニル及び2,2-ジメチルプロピレニル等)及び置換若しくは無置換のフェニレニル又はビフェニレニルから選択することができる。任意選択的に、R3の両方の存在は、同じである。任意選択的に、R3は、2,2-ジ(アルキル)プロピレニル、特に2,2-ジ(メチル)プロピレニルなどの置換プロピレニルである。
【0254】
R3は、独立に、置換若しくは無置換のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン又はヘテロアルキニレン、アリーレン又はシクロアルキレンから選択することができる。任意選択的に、R3は、置換若しくは無置換のアルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、ヘテロアルキレン及びアリーレンから選択される。任意選択的に、R3は、2,2-ジメチルプロピレニル、-CH2CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2-、-CH2C(CH2C6H5)2CH2-、フェニレン、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2N(CH3)CH2CH2-、1,4-シクロヘキサンジイル又は-CH2CH2CH(C2H5)-から選択される。任意選択的に、R3は、2,2-ジメチルプロピレニル、-CH2CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2-、-CH2C(CH2C6H5)2CH2-、-CH2CH2CH(C2H5)-、-CH2CH2CH2CH2-から選択される。任意選択的に、R3は、2,2-ジメチルプロピレニル、-CH2C(CH2C6H5)2CH2-、CH2CH(CH3)CH2及び-CH2C(C2H5)2CH2-から選択される。
【0255】
任意選択的に、R3は、2,2-ジ(アルキル)プロピレニル、任意選択的に2,2-ジメチルプロピレニルなどの置換プロピレニルである。
上で説明したように、E3、E4、E5及びE6は、それぞれ独立に、N、NR4、O及びSから選択される。当業者であれば、E3、E4、E5又はE6のいずれかがNである場合、
【0256】
【0257】
【化34】
であり、E
3、E
4、E
5又はE
6のいずれかがNR
4、O又はSである場合、
【0258】
【0259】
【化36】
であることを理解するであろう。任意選択的に、E
3、E
4、E
5及びE
6は、それぞれ独立に、NR
4、O及びSから選択される。
【0260】
任意選択的に、各R4は、独立に、水素及び任意選択的に置換されるアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアリール、-アルキルC(O)OR19又は-アルキルC≡Nから選択される。各R4は、同じであるか又は異なり得る。任意選択的に、R4は、水素及び任意選択的に置換されるアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル又はヘテロアリールから選択される。R4の例示的な選択肢としては、H、Me、Et、Bn、iPr、tBu又はPh及び-CH2-(ピリジン)が挙げられる。任意選択的に、各R4は水素又はアルキルである。
【0261】
任意選択的に、各R5は、独立に、水素及び任意選択的に置換される脂肪族又はアリールから選択される。任意選択的に、各R5は、独立に、水素及び任意選択的に置換されるアルキル又はアリールから選択される。任意選択的に、各R5は、同じであり、水素及び任意選択的に置換されるアルキル又はアリールから選択される。例示的なR5基としては、水素、メチル、エチル、フェニル及びトリフルオロメチル、任意選択的に水素、メチル又はトリフルオロメチルが挙げられる。任意選択的に、各R5は水素である。R5はHであり得、その場合、R2はHである。
【0262】
任意選択的に、E1の両方の存在はCであり、E2の両方の存在は同じであり、O、S又はNHから選択される。任意選択的に、E1の両方の存在はCであり、E2の両方の存在はOである。代わりに、E2がOである場合、E1はCであり得る。
【0263】
当業者であれば、式(I)の触媒の大環状配位子が対称又は非対称であり得ることを理解するであろう。
大環状配位子が対称である場合、E3、E4、E5及びE6の各存在が同じであることが理解されるであろう。例えば、E3、E4、E5及びE6の各存在はNR4であり得る(及び各R4は、同じであり得る)。E3、E4、E5及びE6は同じであり得、NHであり得ることが理解されるであろう。換言すると、式(I)の触媒は、以下の構造を有し得る。
【0264】
【化37】
大環状配位子が対称である場合、R
1の各存在は同じであり得、R
2の各存在は同じであり得、R
3の各存在は同じであり得、R
5の各存在は同じであり得、E
1の各存在は同じであり得、E
2の各存在は同じであり得(ただし、R
1、R
2、R
3及びR
5は、必ずしも互いに同じである必要はない)、E
3、E
4、E
5及びE
6は同じであることが理解されるであろう。
【0265】
E3、E4、E5及びE6は、独立に、NR4であり得、E3、E4、E5及びE6の少なくとも1つの存在は、E3、E4、E5及びE6の残りの存在とは異なり、任意選択的に、R4はH又はアルキルである。
【0266】
E3、E4、E5及びE6は、独立に、NR4であり得、各R4は、独立に、H又は任意選択的に置換される脂肪族であり、任意選択的に、各R4はH又はアルキルである。
例えば、R2及びR5の各存在は、水素であり得、E3、E4、E5及びE6の各存在は、NR4であり、各R4は、水素又はアルキルであり、R3の各存在は、置換若しくは無置換のアルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、ヘテロアルキレン及びアリーレンであり得、R1の各存在は、水素、ハロゲン、スルホキシド又は置換若しくは無置換アルキル、ヘテロアリール、シリル、アルキルチオ又はアルコキシから選択され得、E1の両方の存在はCであり得、E2の両方の存在はOであり得る。
【0267】
式(I)の触媒の配位子が非対称である場合、基R1、R2、R3、R4、R5、E1又はE2の少なくとも1つの存在は、同じ基の残りの存在と異なり得ること、又はE3、E4、E5及びE6の少なくとも1つの存在は、E3、E4、E5及びE6の残りの存在と異なることが理解されるであろう。例えば、R3の各存在は異なり得るか、又はR1の各存在は異なり得る。
【0268】
E3及びE5は同じであり得、E4及びE6は同じであり得るが、E3及びE5は、E4及びE6とは異なることも理解されるであろう。E3及びE4は同じであり得、E5及びE6は同じであり得るが、E3及びE4は、E5及びE6とは異なることも理解されるであろう。代わりに、E3、E4、E5及びE6の1つの存在は、E3、E4、E5及びE6の残りの存在とは異なる(残りの3つの存在は同じである)。
【0269】
例えば、E3、E4及びE5は-NR4(R4は、Hである)であり得、R6はNR4(R4は、アルキルである)であり得る。さらに、E3及びE5はNR4(R4はHである)であり得、E4及びE6はNR4(R4はアルキルである)であり得るか、又はE3及びE4はNR4(R4はHである)であり得、E5及びE6はNR4(R4はアルキルである)であり得る。したがって、各E3、E4、E5及びE6は、任意選択的に、NR4であり、R4の少なくとも1つの存在は、R4の残りの存在とは異なることが理解されるであろう。
【0270】
式(I)の触媒(対称及び非対称)に関し、各Xは、独立に、OC(O)Rx、OSO2Rx、OSORx、OSO(Rx)2、S(O)Rx、ORx、ホスフィネート、ハライド、ニトロ、ヒドロキシル、カーボネート、アミノ、ナイトレート、アミド及び任意選択的に置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族(例えば、シリル)、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール又はヘテロアリールから選択される。任意選択的に、各Xは、独立に、OC(O)Rx、OSO2Rx、OSORx、OSO(Rx)2、S(O)Rx、ORx、ハライド、ナイトレート、ヒドロキシル、カーボネート、アミノ、ニトロ、アミド、アルキル(例えば、分岐アルキル)、ヘテロアルキル(例えば、シリル)、アリール又はヘテロアリールである。任意選択的に、各Xは、独立に、OC(O)Rx、ORx、ハライド、カーボネート、アミノ、ニトロ、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ホスフィネート又はOSO2Rxである。Xが脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール又はヘテロアリールである場合の任意選択的な置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、アミノ又は置換若しくは無置換の脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール若しくはヘテロアリールが挙げられる。各Xは、同じであるか又は異なり得、任意選択的に、各Xは同じである。Xは、2つの金属中心間で架橋を形成し得ることも理解されるであろう。
【0271】
Rxは、独立に、水素又は任意選択的に置換される脂肪族、ハロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール、アルキルアリール若しくはヘテロアリールである。任意選択的に、Rxは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又はアルキルアリールである。Rxについての任意選択的な置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アミノ、アルコキシ、アルキルチオ又は置換若しくは無置換の脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール若しくはヘテロアリール(例えば、任意選択的に置換されるアルキル、アリール又はヘテロアリール)が挙げられる。
【0272】
Xの例示的な選択肢としては、OAc、OC(O)CF3、ハロゲン、OSO(CH3)2、Et、Me、OMe、OiPr、OtBu、Cl、Br、I、F、N(iPr)2又はN(SiMe3)2、OPh、OBn、サリシレート、ジオクチルホスフィネートなどが挙げられる。
【0273】
任意選択的に、各Xは同じであり、OC(O)Rx、ORx、ハライド、カーボネート、アミノ、ニトロ、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ホスフィネート又はOSO2Rxから選択され、Rxは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はアルキルアリールである。任意選択的に、各Xは同じであり、OC(O)Rx、ORx、ハライド、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ホスフィネート又はOSO2Rxである。任意選択的に、各Xは同じであり、OC(O)Rxである。さらに、任意選択的に、各Xは同じであり、OAc、O2CCF3又はO2C(CH2)3Cyから選択される。任意選択的に、各Xは同じであり、OAcである。
【0274】
任意選択的に、各Rxは同じであり、任意選択的に置換されるアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又はアルキルアリールから選択される。任意選択的に、各Rxは同じであり、任意選択的に置換されるアルキル、アルケニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又はアルキルアリールである。任意選択的に、各Rxは同じであり、任意選択的に置換されるアルキル、アルケニル、ヘテロアルキル又はシクロアルキルである。さらに、任意選択的に、Rxは、任意選択的に置換されるアルキル、ヘテロアルキル又はシクロアルキルである。任意選択的に、Rxは、任意選択的に置換されるアルキルである。
【0275】
Xの選択肢の定義とRxの選択肢の定義とが組み合わされ得ることが理解されるであろう。例えば、各Xは、独立に、OC(O)Rx、OSO2Rx、OS(O)Rx、OSO(Rx)2、S(O)Rx、ORx、ハライド、ナイトレート、ヒドロキシル、カーボネート、アミノ、ニトロ、アミド、アルキル(例えば、分岐アルキル)、ヘテロアルキル(例えば、シリル)、アリール又はヘテロアリールであり得、例えば、それぞれは、独立に、OC(O)Rx、ORx、ハライド、カーボネート、アミノ、ニトロ、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ホスフィネート又はOSO2Rxであり得、Rxは、任意選択的に置換されるアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又はアルキルアリールであり得る。
【0276】
上で詳述したように、M1及びM2は、独立に、Zn(II)、Cr(III)-X、Cr(II)、Co(III)-X、Co(II)、Cu(II)、Mn(III)-X、Mn(II)、Mg(II)、Ni(II)、Ni(III)-X、Fe(II)、Fe(III)-X、Ca(II)、Ge(II)、Ti(II)、Al(III)-X、Ti(III)-X、V(II)、V(III)-X、Ge(IV)-(X)2又はTi(IV)-(X)2のいずれかから選択される。
【0277】
任意選択的に、M1及びM2の少なくとも1つは、Zn(II)、Cr(III)-X、Co(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ni(II)、Fe(II)及びFe(III)-Xから選択され、任意選択的に、M1及びM2の少なくとも1つは、Mg(II)、Zn(II)及びNi(II)から選択され、例えば、M1及びM2の少なくとも1つはNi(II)である。
【0278】
M1及びM2は、同じであるか又は異なり得ることが理解されるであろう。例えば、M1及び/又はM2は、Zn(II)、Cr(III)-X、Co(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ni(II)、Fe(II)及びFe(III)-Xから選択され得、任意選択的に、M1及び/又はM2は、Mg(II)、Zn(II)及びNi(II)から選択され、例えば、M1及び/又はM2はNi(II)である。
【0279】
M1及びM2の例示的な組合せとしては、Mg(II)及びMg(II)、Zn(II)及びZn(II)、Ni(II)及びNi(II)、Mg(II)及びZn(II)、Mg(II)及びNi(II)、Zn(II)及びCo(II)、Co(II)及びCo(III)、Fe(III)及びFe(III)、Zn(II)及びFe(II)又はZn(II)及びNi(II)が挙げられる。
【0280】
M1及びM2の1つがCr(III)、Co(III)、Mn(III)、Ni(III)、Fe(III)、Al(III)、Ti(III)又はV(III)である場合、式(I)の触媒は、金属中心に配位した追加のX基(Xは、上で定義された通りである)を含むことが理解されるであろう。M1及びM2の1つがGe(IV)又はTi(IV)である場合、式(III)の触媒は、金属中心に配位した2つの追加のX基(Xは、上で定義された通りである)を含むことも理解されるであろう。M1及びM2の1つがGe(IV)-(X)2又はTi(IV)-(X)2である場合、両方のGが存在しない場合がある。
【0281】
Gが存在しない場合、それは、孤立電子対を供与できる基(すなわちルイス塩基)である。Gは、窒素含有ルイス塩基であり得る。各Gは、中性又は負に帯電し得る。Gが負に帯電している場合、錯体の電荷のバランスをとるために1つ以上の正の対イオンが必要とされる。適切な正の対イオンとしては、1族の金属イオン(Na+、K+等)、2族の金属イオン(Mg2+、Ca2+等)、イミダゾリウムイオン、正に帯電している任意選択的に置換されるヘテロアリール、ヘテロ脂肪族又はヘテロ脂環式基、アンモニウムイオン(すなわちN(R12)4
+)、イミニウムイオン(すなわちビス(トリフェニルホスフィン)イミニウムイオンなどの(R12)2C=N(R12)2
+)又はホスホニウムイオン(P(R12)4
+)が挙げられ、各R12は、独立に、水素又は任意選択的に置換される脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂肪族環、ヘテロ脂肪族環、アリール若しくはヘテロアリールから選択される。例示的な対イオンとしては、[H-B]+が挙げられ、式中、Bは、トリエチルアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン及び7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デク-5-エンから選択される。
【0282】
Gは、任意選択的に、独立に、任意選択的に置換されるヘテロ脂肪族基、任意選択的に置換されるヘテロ脂環式基、任意選択的に置換されるヘテロアリール基、ハライド、ヒドロキシド、ヒドリド、カルボキシレート及び水から選択される。任意選択的に、Gは、水、アルコール(例えば、メタノール)、置換若しくは無置換ヘテロアリール(イミダゾール、メチルイミダゾール(例えば、N-メチルイミダゾール)、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、ピロール、ピラゾール等)、エーテル(ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、環状エーテル等)、チオエーテル、カルベン、ホスフィン、ホスフィンオキシド、置換若しくは無置換ヘテロ脂肪族環(モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン等)、アミン、アルキルアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン等)、アセトニトリル、エステル(酢酸エチル等)、アセトアミド(ジメチルアセトアミド等)、スルホキシド(ジメチルスルホキシド等)、カルボキシレート、ヒドロキシド、ヒドリド、ハライド、ナイトレート、スルホネートなどから選択される。Gの一方又は両方の例は、独立に、任意選択的に置換されるヘテロアリール、任意選択的に置換されるヘテロ脂肪族、任意選択的に置換されるヘテロ脂肪族環、ハライド、ヒドロキシド、ヒドリド、エーテル、チオエーテル、カルベン、ホスフィン、ホスフィンオキシド、アミン、アルキルアミン、アセトニトリル、エステル、アセトアミド、スルホキシド、カルボキシレート、ナイトレート又はスルホネートから選択することができる。Gは、ハライド;ヒドロキシド;ヒドリド;水;任意選択的にアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ又はニトリルで置換され得るヘテロアリール、ヘテロ脂環式又はカルボキシレート基であり得る。任意選択的に、Gは、独立に、ハライド;水;任意選択的にアルキル(例えば、メチル、エチル等)、アルケニル、アルキニル、アルコキシ(任意選択的にメトキシ)、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ又はニトリルで置換され得るヘテロアリールから選択される。Gの一方又は両方の例は、負に帯電し得る(例えば、ハライド)。Gの一方又は両方の例は、任意選択的に置換されるヘテロアリールであり得る。例示的なG基としては、クロリド、ブロミド、ピリジン、メチルイミダゾール(例えば、N-メチルイミダゾール)及びジメチルアミノピリジン(例えば、4-メチルアミノピリジン)が挙げられる。
【0283】
G基が存在する場合、式(I)に示されるようにG基が単一のM金属中心に関与し得るか、又は下の式(IIa)に示されるようにG基が両方の金属中心に関与し、2つの金属中心間に架橋を形成し得ることが理解されるであろう。
【0284】
【化38】
式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、M
1、M
2、G、X、E
1及びE
2は、式(I)及び式(II)で定義した通りである。
【0285】
当業者であれば、固体状態において、式(I)、(II)又はその任意の下位概念の触媒は、水又はアルコール(例えば、メタノール又はエタノール)などの溶媒分子と会合し得ることを理解するであろう。溶媒分子は、第1の態様の触媒の分子に対して1:1未満の比(すなわち0.2:1、0.25:1、0.5:1)、第1の態様の触媒の分子に対して1:1の比又は第1の態様の触媒の分子に対して1:1より大きい比で存在し得ることが理解されるであろう。
【0286】
当業者であれば、固体状態において、第1の態様の触媒が会合体を形成し得ることを理解するであろう。例えば、第1の態様の触媒は、二量体、三量体、四量体、五量体又はそれより大きい会合体であり得る。
【0287】
式(I)の例示的な触媒は、以下の通りである。
【0288】
【0289】
【0290】
【化41】
式中、M
1、M
2、G及びXは、式(I)について上で定義した通りであり、G基の一方又は両方が存在しなくてもよいことが理解されるであろう。
【0291】
例えば、M1及びM2の少なくとも1つは、Zn(II)、Cr(III)-X、Co(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ni(II)、Fe(II)及びFe(III)-Xから選択され得、例えば、M1及びM2の少なくとも1つは、Mg(II)、Zn(II)及びNi(II)から選択され得、例えば、M1及びM2の少なくとも1つはNi(II)であり得る。
【0292】
上で示したように、M1及びM2は、同じであるか又は異なり得る。例えば、M1及び/又はM2は、Zn(II)、Cr(III)-X、Co(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ni(II)、Fe(II)及びFe(III)-Xから選択され得、任意選択的に、M1及び/又はM2は、Mg(II)、Zn(II)及びNi(II)から選択され、例えば、M1及び/又はM2は、Ni(II)である。M1及びM2の例示的な組合せとしては、Mg(II)/Mg(II)、Zn(II)/Zn(II)、Ni(II)/Ni(II)、Mg(II)/Zn(II)、Mg(II)/Ni(II)、Zn(II)/Ni(II)が挙げられる。
【0293】
例えば、各Xは、独立に、OC(O)Rx、OSO2Rx、OSORx、OSO(Rx)2、S(O)Rx、ORx、ハライド、ナイトレート、ヒドロキシル、カーボネート、アミノ、ニトロ、アミド、アルキル(例えば、分岐アルキル)、ヘテロアルキル(例えば、シリル)、アリール又はヘテロアリールであり得、例えば、それぞれは、独立に、OC(O)Rx、ORx、ハライド、カーボネート、アミノ、ニトロ、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ホスフィネート又はOSO2Rxであり得る。例えば、Rxは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又はアルキルアリールであり得る。
【0294】
例えば、いずれかのGが存在する場合、Gは、独立に、ハライド;水;任意選択的にアルキル(例えば、メチル、エチル等)、アルケニル、アルキニル、アルコキシ(任意選択的にメトキシ)、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ又はニトリルで置換され得るヘテロアリールから選択され得、例えば、Gの一方又は両方の例(存在する場合)は、クロリド、ブロミド、ピリジン、メチルイミダゾール(例えば、N-メチルイミダゾール)及びジメチルアミノピリジン(例えば、4-メチルアミノピリジン)であり得る。
【0295】
当業者であれば、上の定義を組み合わせ得ることを理解するであろう。例えば、上の触媒について、M1及びM2は、同じであるか又は異なり得、これらは、Zn(II)、Cr(III)-X、Co(II)、Mn(II)、Mg(II)、Ni(II)、Fe(II)及びFe(III)-Xから選択され得;各Xは、独立に、OC(O)Rx、OSO2Rx、OSORx、OSO(Rx)2、S(O)Rx、ORx、ハライド、ナイトレート、ヒドロキシル、カーボネート、アミノ、ニトロ、アミド、アルキル(例えば、分岐アルキル)、ヘテロアルキル(例えば、シリル)、アリール又はヘテロアリールであり得、例えば、それぞれは、独立に、OC(O)Rx、ORx、ハライド、カーボネート、アミノ、ニトロ、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ホスフィネート又はOSO2Rxであり得;Rxは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル又はアルキルアリールであり得;Gは、存在していなくてもよく、存在する場合、これは、独立に、ハライド;水;任意選択的にアルキル(例えば、メチル、エチル等)、アルケニル、アルキニル、アルコキシ(任意選択的にメトキシ)、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ又はニトリルで置換され得るヘテロアリールから選択され得る。
【0296】
したがって、当業者であれば、式(I)の上の例示的な触媒が以下の触媒を包含するが、これらに限定されないことを理解するであろう。
[L1Ni2(OAc)2]、[L1Mg2(OAc)2]、[L1Zn2(OAc)2]、[L1MgZn(OAc)2]、[L1MgNi(OAc)2]、[L1Ni2(CO2CF3)2]、[L1Mg2CO2CF3)2]、[L1Zn2(CO2CF3)2]、[L1MgZn(CO2CF3)2]、[L1MgNi(CO2CF3)2]、[L1Ni2(CO2
tBu)2]、[L1Mg2(CO2
tBu)2]、[L1Zn2(CO2
tBu)2]、[L1MgZn(CO2
tBu)2]、[L1MgNi(CO2
tBu)2]、[L1Ni2(OPh)2]、[L1Mg2(OPh)2]、[L1Zn2(OPh)2]、[L1MgZn(OPh)2]、[L1MgNi(OPh)2]、[L1Ni2(Ph)2]、[L1Mg2(Ph)2]、[L1Zn2(Ph)2]、[L1MgZn(Ph)2]、[L1MgNi(Ph)2]、[L1Ni2(OiPr)2]、[L1Mg2(OiPr)2]、[L1Zn2(OiPr)2]、[L1MgZn(OiPr)2]、[L1MgNi(OiPr)2]、[L1Ni2(C6F5)2]、[L1Mg2(C6F5)2]、[L1Zn2(C6F5)2]、[L1MgZn(C6F5)2]、[L1MgNi(C6F5)2]、[L1Ni2Cl2]、[L1Mg2Cl2]、[L1Zn2Cl2]、[L1MgZnCl2]、[L1MgNiCl2]、[L1Ni2Br2]、[L1Mg2Br2]、[L1Zn2Br2]、[L1MgZnBr2]、[L1MgNiBr2]、[L1Ni2I2]、[L1Mg2I2]、[L1Zn2I2]、[L1MgZnI2]、[L1MgNiI2]、[L1Ni2(OC(O)(CH2)4CH3)2]、[L1Mg2(OC(O)(CH2)4CH3)2]、[L1Zn2(OC(O)(CH2)4CH3)2]、[L1MgZn(OC(O)(CH2)4CH3)2]、[L1MgNi(OC(O)(CH2)4CH3)2]、[L1Ni2(OC(O)(CH2)6CH3)2]、[L1Mg2(OC(O)(CH2)6CH3)2]、[L1Zn2(OC(O)(CH2)6CH3)2]、[L1MgZn(OC(O)(CH2)6CH3)2]、[L1MgNi(OC(O)(CH2)6CH3)2]、[L1Ni2(OC(O)(CH2)10CH3)2]、[L1Mg2(OC(O)(CH2)10CH3)2]、[L1Zn2(OC(O)(CH2)10CH3)2]、[L1MgZn(OC(O)(CH2)10CH3)2]、[L1MgNi(OC(O)(CH2)10CH3)2]、[L1Ni2(OC(O)C6F5)2]、[L1Mg2(OC(O)C6F5)2]、[L1Zn2(OC(O)C6F5)2]、[L1MgZn(OC(O)C6F5)2]、[L1MgNi(OC(O)C6F5)2]、[L1Ni2Cl2(メチルイミダゾール)]、[L1Mg2Cl2(メチルイミダゾール)]、[L1Zn2Cl2(メチルイミダゾール)]、[L1MgZnCl2(メチルイミダゾール)]、[L1MgNiCl2(メチルイミダゾール)]、[L1Ni2Cl2(ピリジン)]、[L1Mg2Cl2(ピリジン)]、[L1Zn2Cl2(ピリジン)]、[L1MgZnCl2(ピリジン)]、[L1MgNiCl2(ピリジン)]、[L1Ni2Cl2(ジメチルアミノピリジン)]、[L1Mg2Cl2(ジメチルアミノピリジン)]、[L1Zn2Cl2(ジメチルアミノピリジン)]、[L1MgZnCl2(ジメチルアミノピリジン)]、[L1MgNiCl2(ジメチルアミノピリジン)]、[L1Ni2Br2(ジメチルアミノピリジン)]、[L1Mg2Br2(ジメチルアミノピリジン)]、[L1Zn2Br2(ジメチルアミノピリジン)]、[L1MgZnBr2(ジメチルアミノピリジン)]、[L1MgNiBr2(ジメチルアミノピリジン)]、[L1Ni2(ビス(4-メトキシ)フェニルホスフィネート)2]、[L1Mg2(ビス(4-メトキシ)フェニルホスフィネート)2]、[L1Zn2(ビス(4-メトキシ)フェニルホスフィネート)2]、[L1MgZn(ビス(4-メトキシ)フェニルホスフィネート)2]、[L1MgNi(ビス(4-メトキシ)フェニルホスフィネート)2]、[L1Ni2(アダマンチルカーボネート)2]、[L1Mg2(アダマンチルカーボネート)2]、[L1Zn2(アダマンチルカーボネート)2]、[L1MgZn(アダマンチルカーボネート)2]、[L1MgNi(アダマンチルカーボネート)2]、[L1Ni2(ジフェニルホスフィネート)2]、[L1Mg2(ジフェニルホスフィネート)2]、[L1Zn2(ジフェニルホスフィネート)2]、[L1MgZn(ジフェニルホスフィネート)2]、[L1MgNi(ジフェニルホスフィネート)2]、[L2Ni2(OAc)2]、[L2Mg2(OAc)2]、[L2Zn2(OAc)2]、[L2MgZn(OAc)2]、[L2MgNi(OAc)2]、[L3Ni2(OAc)2]、[L3Mg2(OAc)2]、[L3Zn2(OAc)2]、[L3MgZn(OAc)2]、[L3MgNi(OAc)2]、[L4Ni2(OAc)2]、[L4Mg2(OAc)2]、[L4Zn2(OAc)2]、[L4MgZn(OAc)2]、[L4MgNi(OAc)2]、[L5Ni2(OAc)2]、[L5Mg2(OAc)2]、[L5Zn2(OAc)2]、[L5MgZn(OAc)2]、[L5MgNi(OAc)2]、[L6Ni2(OAc)2]、[L6Mg2(OAc)2]、[L6Zn2(OAc)2]、[L6MgZn(OAc)2]、[L6MgNi(OAc)2]、[L7Ni2(OAc)2]、[L7Mg2(OAc)2]、[L7Zn2(OAc)2]、[L7MgZn(OAc)2]、[L7MgNi(OAc)2]、[L8Ni2(OAc)2]、[L8Mg2(OAc)2]、[L8Zn2(OAc)2]、[L8MgZn(OAc)2]、[L8MgNi(OAc)2]、[L9Ni2(OAc)2]、[L9Mg2(OAc)2]、[L9Zn2(OAc)2
]、[L9MgZn(OAc)2]、[L9MgNi(OAc)2]、[L10Ni2(OAc)2]、[L10Mg2(OAc)2]、[L10Zn2(OAc)2]、[L10MgZn(OAc)2]、[L10MgNi(OAc)2]、[L11Ni2(OAc)2]、[L11Mg2(OAc)2]、[L11Zn2(OAc)2]、[L11MgZn(OAc)2]、[L11MgNi(OAc)2]、[L12Ni2(OAc)2]、[L12Mg2(OAc)2]、[L12Zn2(OAc)2]、[L12MgZn(OAc)2]、[L12MgNi(OAc)2]、[L13Ni2(OAc)2]、[L13Mg2(OAc)2]、[L13Zn2(OAc)2]、[L13MgZn(OAc)2]、[L13MgNi(OAc)2]、[L14Ni2(OAc)2]、[L14Mg2(OAc)2]、[L14Zn2(OAc)2]、[L14MgZn(OAc)2]、[L14MgNi(OAc)2]、[L15Ni2(OAc)2]、[L15Mg2(OAc)2]、[L15Zn2(OAc)2]、[L15MgZn(OAc)2]、[L15MgNi(OAc)2]、[L16Ni2(OAc)2]、[L16Mg2(OAc)2]、[L16Zn2(OAc)2]、[L16MgZn(OAc)2]、[L16MgNi(OAc)2]、[L17Ni2(OAc)2]、[L17Mg2(OAc)2]、[L17Zn2(OAc)2]、[L17MgZn(OAc)2]、[L17MgNi(OAc)2]、[L18Ni2(OAc)2]、[L18Mg2(OAc)2]、[L18Zn2(OAc)2]、[L18MgZn(OAc)2]、[L18MgNi(OAc)2]、[L19Ni2(OAc)2]、[L19Mg2(OAc)2]、[L19Zn2(OAc)2]、[L19MgZn(OAc)2]、[L19MgNi(OAc)2]、[L20Ni2(OAc)2]、[L20Mg2(OAc)2]、[L20Zn2(OAc)2]、[L20MgZn(OAc)2]、[L20MgNi(OAc)2]、[L21Ni2(OAc)2]、[L21Mg2(OAc)2]、[L21Zn2(OAc)2]、[L21MgZn(OAc)2]、[L21MgNi(OAc)2]、[L22Ni2(OAc)2]、[L22Mg2(OAc)2]、[L22Zn2(OAc)2]、[L22MgZn(OAc)2]、[L22MgNi(OAc)2]、[L23Ni2(OAc)2]、[L23Mg2(OAc)2]、[L23Zn2(OAc)2]、[L23MgZn(OAc)2]、[L23MgNi(OAc)2]、[L1Co2(OAc)3]、[L1ZnCoI2]、[L1ZnFe(OAc)2]、[L1ZnFeBr2]、[L1ZnFeCl2]、[L1ZnFeI2]、[L1ZnCo(OAc)2]、[L1ZnCoCl2]、[L1ZnCoBr2]、[L1Fe2Cl4]、[L1Co2Cl2(メチルイミダゾール)]、[L1Co2Cl2(ピリジン)]、[L1Co2Cl3]-[H-DBU]+及び[L1Co2Cl3]-[H-MTBD]+。
【0297】
当業者であれば、上の錯体のいずれにおいても、「L」によって定義される任意の1つの配位子は、異なる「L」によって定義される別の配位子によって置き換えられ得ることを理解するであろう。例えば、L1に言及する錯体において、この配位子は、L2~L22で定義される任意の配位子により置き換えることができる。
【0298】
DMC触媒は、少なくとも2つの金属中心及びシアン化物配位子を含む複雑な化合物である。DMC触媒は、(例えば、非化学量論量における)1つ若しくは複数の錯化剤、水、金属塩及び/又は酸の少なくとも1つをさらに含み得る。
【0299】
少なくとも2つの金属中心の最初の2つは、M’及びM’’によって表され得る。
M’は、Zn(II)、Ru(II)、Ru(III)、Fe(II)、Ni(II)、Mn(II)、Co(II)、Sn(II)、Pb(II)、Fe(III)、Mo(IV)、Mo(VI)、Al(III)、V(V)、V(VI)、Sr(II)、W(IV)、W(VI)、Cu(II)及びCr(III)から選択され得、M’は、任意選択的に、Zn(II)、Fe(II)、Co(II)及びNi(II)から選択され、任意選択的に、M’は、Zn(II)である。
【0300】
M’’は、Fe(II)、Fe(III)、Co(II)、Co(III)、Cr(II)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Ir(III)、Ni(II)、Rh(III)、Ru(II)、V(IV)及びV(V)から選択され、任意選択的に、M’’は、Co(II)、Co(III)、Fe(II)、Fe(III)、Cr(III)、Ir(III)及びNi(II)から選択され、任意選択的に、M’’は、Co(II)及びCo(III)から選択される。
【0301】
M’及びM’’についての上記の任意選択的な定義は、組み合わされ得ることを認識されたい。例えば、任意選択的に、M’は、Zn(II)、Fe(II)、Co(II)及びNi(II)から選択され得、M’’は、任意選択的に、Co(II)、Co(III)、Fe(II)、Fe(III)、Cr(III)、Ir(III)及びNi(II)から選択され得る。例えば、M’は、任意選択的に、Zn(II)であり得、M’’は、任意選択的に、Co(II)及びCo(III)から選択され得る。
【0302】
さらなる金属中心が存在する場合、さらなる金属中心は、M’又はM’’の定義からさらに選択され得る。
本発明の方法において使用することができるDMC触媒の例は、それらの全内容が参照により組み込まれる米国特許第3,427,256号明細書、米国特許第5,536,883号明細書、米国特許第6,291,388号明細書、米国特許第6,486,361号明細書、米国特許第6,608,231号明細書、米国特許第7,008,900号明細書、米国特許第5,482,908号明細書、米国特許第5,780,584号明細書、米国特許第5,783,513号明細書、米国特許第5,158,922号明細書、米国特許第5,693,584号明細書、米国特許第7,811,958号明細書、米国特許第6,835,687号明細書、米国特許第6,699,961号明細書、米国特許第6,716,788号明細書、米国特許第6,977,236号明細書、米国特許第7,968,754号明細書、米国特許第7,034,103号明細書、米国特許第4,826,953号明細書、米国特許第4,500,704号明細書、米国特許第7,977,501号明細書、米国特許第9,315,622号明細書、欧州特許出願公開第A-1568414号明細書、欧州特許出願公開第A-1529566号明細書及び国際公開第2015/022290号パンフレットに記載されているものを含む。
【0303】
本発明において有用であるDMC触媒は、1つ若しくは複数の錯化剤、水及び/又は酸の存在下で金属塩の溶液(例えば、水溶液)を金属シアン化物塩の溶液(例えば、水溶液)で処理することによって生成され得る。適切な金属塩は、式M’(X’)pの化合物を含み、式中、M’は、Zn(II)、Ru(II)、Ru(III)、Fe(II)、Ni(II)、Mn(II)、Co(II)、Sn(II)、Pb(II)、Fe(III)、Mo(IV)、Mo(VI)、Al(III)、V(V)、V(VI)、Sr(II)、W(IV)、W(VI)、Cu(II)及びCr(III)から選択され、M’は、任意選択的に、Zn(II)、Fe(II)、Co(II)及びNi(II)から選択され、任意選択的に、M’は、Zn(II)である。X’は、ハライド、オキシド、ヒドロキシド、スルフェート、カーボネート、シアニド、オキサレート、チオシアネート、イソシアネート、イソチオシアネート、カルボキシレート及びナイトレートから選択されるアニオンであり、任意選択的に、X’は、ハライドである。pは、1以上の整数であり、及びpを乗じたアニオン上の電荷は、M’の価数を満たす。適切な金属塩の例は、塩化亜鉛、臭化亜鉛、酢酸亜鉛、アセトニルアセトン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸鉄(II)、臭化鉄(II)、塩化コバルト(II)、チオシアン酸コバルト(II)、ギ酸ニッケル(II)、硝酸ニッケル(II)及びこれらの混合物を含む。
【0304】
適切な金属シアン化物塩は、式(Y)q[M’’(CN)b(A)c]の化合物を含み、式中、M’’は、Fe(II)、Fe(III)、Co(II)、Co(III)、Cr(II)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Ir(III)、Ni(II)、Rh(III)、Ru(II)、V(IV)及びV(V)から選択され、任意選択的に、M’’は、Co(II)、Co(III)、Fe(II)、Fe(III)、Cr(III)、Ir(III)及びNi(II)から選択され、任意選択的に、M’’は、Co(II)及びCo(III)から選択される。Yは、プロトン(H+)、又はアルカリ金属イオン、又はアルカリ土類金属イオン(例えば、K+)であり、Aは、ハライド、オキシド、ヒドロキシド、スルフェート、シアニド、オキサレート、チオシアネート、イソシアネート、イソチオシアネート、カルボキシレート及びナイトレートから選択されるアニオンである。q及びbは、1以上の整数であり、任意選択的に、bは、4又は6である。cは、0又は1以上の整数であり得る。それぞれq、b及びcを乗じたイオンY、CN及びA上の電荷の合計(例えば、Y×q+CN×b+A×c)は、M’’の価数を満たす。適切な金属シアン化物塩の例は、ヘキサシアノコバルト(III)酸カリウム、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム、ヘキサシアノコバルト(III)酸カルシウム、ヘキサシアノコバルト(III)酸リチウム及びこれらの混合物を含む。
【0305】
適切な錯化剤は、(ポリ)エーテル、ポリエーテルカーボネート、ポリカーボネート、ポリ(テトラメチレンエーテルジオール)、ケトン、エステル、アミド、アルコール、尿素など、又はこれらの組合せを含む。例示的な錯化剤は、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(PPG)、(メ)エトキシエチレングリコール、ジメトキシエタン、tert-ブチルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジグリム、トリグリム、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、3-ブテン-1-オール、2-メチル-3-ブテン-2-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オールなど、又はこれらの組合せを含む。アルコールは、飽和され得るか、又は不飽和部分(例えば、二重結合若しくは三重結合)を含有し得ることを認識されたい。複数の(すなわち複数の異なるタイプの)錯化剤は、本発明において使用されるDMC触媒中に存在し得る。
【0306】
DMC触媒は、ポリエーテル、ポリエーテルカーボネート又はポリカーボネートである錯化剤を含み得る。
本発明のDMC触媒において使用するための適切なポリエーテルは、環状エーテルの開環重合によって生成されるものを含み、エポキシドポリマー、オキセタンポリマー、テトラヒドロフランポリマーなどを含む。触媒作用の任意の方法を使用して、ポリエーテルを作製することができる。ポリエーテルは、例えば、ヒドロキシル、アミン、エステル、エーテルなどを含めた任意の所望の末端基を有することができる。本発明のDMC触媒において使用するための任意選択的なポリエーテルは、2~8つのヒドロキシル基を有するポリエーテルポリオールである。本発明のDMC触媒において使用するためのポリエーテルが約1,000ダルトン~約10,000ダルトン、任意選択的に約1,000ダルトン~約5,000ダルトンの分子量を有することも任意選択的にある。本発明のDMC触媒において有用なポリエーテルポリオールは、PPGポリオール、EOキャップされたPPGポリオール、混合EO-POポリオール、ブチレンオキシドポリマー、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを有するブチレンオキシドコポリマー、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどを含む。任意選択的なポリエーテルは、PPG、例えばPPGポリオール、特にジオール及びトリオールを含み、前記PPGは、約250ダルトン~約8,000ダルトン、任意選択的に約400ダルトン~約4,000ダルトンの分子量を有する。
【0307】
本発明のDMC触媒において使用するための適切なポリエーテルカーボネートは、適切なスターター又はイニシエーター化合物の存在下でのアルキレンオキシド及び二酸化炭素の触媒反応によって得ることもできる。本発明のDMC触媒において錯化剤として使用されるポリエーテルカーボネートは、当業者に公知の他の方法により、例えば二官能性又は三官能性ヒドロキシ化合物によるポリカーボネートポリオールの部分的加アルコール分解により生成することもできる。錯化剤として使用されるポリエーテルカーボネートは、任意選択的に、1~6つ、任意選択的に2~3つ、任意選択的に2つ平均のヒドロキシル官能基を有する。
【0308】
本発明のDMC触媒中で使用するための適切なポリカーボネートは、二官能性ヒドロキシ化合物(一般に、ビス-ヒドロキシ化合物、例えばアルカンジオール又はビスフェノール)と、炭酸誘導体、例えばホスゲン又はビス[クロロカルボニルオキシ]化合物、炭酸ジエステル(例えば、炭酸ジフェニル若しくは炭酸ジメチル)又は尿素との重縮合によって得ることもできる。ポリカーボネートを生成するための方法は、一般に、周知であり、例えば“Houben-Weyl,Methoden der organischen
Chemie”,Volume E20,Makromolekulare Stoffe,4th Edition,1987,p.1443-1457、“Ullmann’s Encyclopaedia of Industrial Chemistry」,Volume A21,5th Edition,1992,p.207-215及び「Encyclopaedia of Polymer Science and Engineering”,Volume 11,2nd Edition,1988,p.648-718に詳細に記載されている。約500ダルトン~5000ダルトン、任意選択的に1000ダルトン~3000ダルトンの分子量を有する脂肪族ポリカーボネートジオールが任意選択的に本発明のDMC触媒において使用される。これらは、一般に、炭酸ジアリール、炭酸ジアルキル、ジオキソラノン、ホスゲン、ビスクロロギ酸エステル又は尿素との反応によって非隣接ジオールから得られる(例えば、欧州特許出願公開第A292772号明細書を参照されたい)。適切な非隣接ジオールは、特に1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ビス-(6-ヒドロキシヘキシル)エーテル、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,4-ビス-ヒドロキシメチルシクロヘキサン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール;1000ダルトンまで、任意選択的に200ダルトン~700ダルトンのモル質量を有する、ジオールとエチレンオキシド、及び/又はプロピレンオキシド、及び/又はテトラヒドロフランとのアルコキシル化生成物並びにより稀な場合には不飽和植物性脂肪酸の二量体化によって得ることができるダイマー酸の両方のカルボキシル基を還元することによって得ることができる二量体ジオールである。非隣接ジオールは、個々に又は混合物中で使用することができる。反応は、当業者に公知の様式で塩基又は遷移金属化合物によって触媒することができる。
【0309】
本発明において有用であり得る他の錯化剤は、ポリ(テトラメチレンエーテルジオール)を含む。ポリ(テトラメチレンエーテルジオール)は、ポリテトラヒドロフラン(PTHF)又はポリオキシブチレングリコールとしても公知のテトラメチレンエーテルグリコールをベースとするポリエーテルポリオールである。これらのポリ(テトラメチレンエーテルジオール)は、1分子当たり2つのOH基を含む。これらは、触媒を用いてテトラヒドロフラン(THF)のカチオン重合によって生成することができる。
【0310】
錯化剤を上記に定義されているように使用して、このように得られたDMC触媒の結晶化度を増加又は減少させ得る。
本発明のDMC触媒において使用するための適切な酸は、式HrX’’’を有し得、式中、X’’’は、ハライド、スルフェート、ホスフェート、ボレート、クロレート、カーボネート、シアニド、オキサレート、チオシアネート、イソシアネート、イソチオシアネート、カルボキシレート及びナイトレートから選択されるアニオンであり、任意選択的に、X’’’は、ハライドである。rは、対イオンX’’’上の電荷に対応する整数である。例えば、X’’’がCl-であるとき、rは、1であり、すなわち、酸は、HClである。
【0311】
存在する場合、式HrX’’’を有する本発明のDMC触媒中で使用するための任意選択的な酸は、下記:HCl、H2SO4、HNO3、H3PO4、HF、HI、HBr、H3BO3及びHClO4を含む。例えば、HCl、HBr及びH2SO4である。
【0312】
アルカリ金属塩(例えば、アルカリ金属水酸化物、例えばKOH、アルカリ金属酸化物又はアルカリ金属炭酸塩)を反応混合物に加え得ることも理解されたい。例えば、金属塩(M’(X’)p)を金属シアン化物塩((Y)q[M’’(CN)b(A)c])に加えた後にアルカリ金属塩を反応混合物に加え得る。
【0313】
1つの一般の調製において、塩化亜鉛(過剰量)の水溶液をヘキサシアノコバルト酸カリウムの水溶液と混合し、錯化剤(例えば、ジメトキシエタン)をこのように得られたスラリーに加える。錯化剤の水溶液(例えば、ジメトキシエタン水溶液)による触媒の濾過及び洗浄後、活性触媒が得られる。
【0314】
代替の調製において、いくつかの別々の溶液を調製し、次いで順序を追って組み合わせ得る。例えば、下記の溶液を調製し得る。
1.金属シアン化物(例えば、ヘキサシアノコバルト酸カリウム)の溶液
2.金属塩、例えば(塩化亜鉛(過剰量))の溶液
3.第1の錯化剤(例えば、PPGジオール)の溶液
4.第2の錯化剤(例えば、tert-ブチルアルコール)の溶液。
【0315】
この方法において、溶液1及び溶液2を直ちに組み合わせ、それに続いて任意選択的に急速に撹拌する一方で溶液4をゆっくりと加える。溶液3は、溶液4の添加が完了すると又はその直後に加えられ得る。触媒を濾過によって反応混合物から除去し、錯化剤の溶液でそれに続いて洗浄する。
【0316】
水がDMC触媒において望ましい場合、上記の溶液(例えば、溶液1~4)は、水溶液であり得る。しかし、上記の調製において記載した溶液が無水溶液である場合、無水DMC触媒(すなわち水が存在しないDMC触媒)を調製し得ることが理解される。DMC触媒を水和させ、それによって水分子を導入することを回避するために、無水溶媒を使用して任意のさらなる加工ステップ(洗浄、濾過など)を行い得る。
【0317】
1つの一般の調製において、いくつかの別々の溶液を調製し、次いで順序を追って組み合わせ得る。例えば、下記の溶液を調製し得る。
1.金属塩(例えば、塩化亜鉛(過剰量))及び第2の錯化剤(例えば、tert-ブチルアルコール)の溶液
2.金属シアン化物(例えば、ヘキサシアノコバルト酸カリウム)の溶液
3.第1及び第2の錯化剤の溶液(例えば、第1の錯化剤は、ポリマー(例えば、ポリプロピレングリコールジオール)であり得、第2の錯化剤は、tert-ブチルアルコールであり得る)
この方法において、溶液1及び溶液2を(例えば、450rpmにおいて)撹拌しながら、上昇した温度(例えば、25℃超、例えば約50℃)で(例えば、1時間にわたり)ゆっくりと合わせる。添加が完了した後、撹拌速度を1時間(例えば、900rpmまで)増加させる。次いで、撹拌速度を低速(例えば、200rpmまで)に減少させ、弱く撹拌しながら溶液3を迅速に加える。混合物を濾過する。固体触媒は、第2の錯化剤の溶液に高い撹拌速度(例えば、約900rpm)で再スラリー化し、その後、第1の錯化剤を低い撹拌速度(例えば、200rpm)で添加し得る。次いで、混合物を濾過する。このステップを2回以上繰り返し得る。このように得られた触媒ケークは、真空下で乾燥され得る(例えば、60℃に加熱しながら)。
【0318】
代わりに、混合物を最初に濾過した後、これを上昇した温度(例えば、25℃超、例えば約50℃)で第1の錯化剤の溶液(第2又はさらなる錯化剤はなし)に再スラリー化し、次いで撹拌することによって均質化することができる。次いで、このステップ後、これを濾過する。次いで、固体触媒を第1及び第2の錯化剤の混合物中で再スラリー化させる。例えば、固体触媒を上昇した温度(例えば、25℃超、例えば約50℃)で第2の錯化剤に再スラリー化し、それに続いて第1の錯化剤を加え、混合物を撹拌することによって均質化する。混合物を濾過し、(例えば、100℃に)加熱しながら触媒を真空下で乾燥させる。
【0319】
DMC触媒は、
M’d[M’’e(CN)f]g
を含み得、式中、M’及びM’’は、上で定義されている通りであり、d、e、f及びgは、整数であり、DMC触媒が電気的中性を有するように選択されることを認識されたい。任意選択的に、dは、3である。任意選択的に、eは、1である。任意選択的に、fは、6である。任意選択的に、gは、2である。任意選択的に、M’は、Zn(II)、Fe(II)、Co(II)及びNi(II)から選択され、任意選択的に、M’は、Zn(II)である。任意選択的に、M’’は、Co(II)、Co(III)、Fe(II)、Fe(III)、Cr(III)、Ir(III)及びNi(II)から選択され、任意選択的に、M’’は、Co(II)又はCo(III)である。
【0320】
これらの任意選択的な特徴のいずれかを組み合わせ得ることを認識されたい。例えば、dは3であり、eは1であり、fは6であり、gは2であり、M’はZn(II)であり、M’’はCo(III)である。
【0321】
上記の式の適切なDMC触媒は、ヘキサシアノコバルト(III)酸亜鉛、ヘキサシアノ鉄(III)酸亜鉛、ヘキサシアノ鉄(II)酸ニッケル及びヘキサシアノコバルト(III)酸コバルトを含み得る。
【0322】
DMC触媒の分野において多くの進展がなされており、DMC触媒は、上記の式に加えて、触媒の活性を増進するさらなる添加物を含み得ることを当業者は認識する。このように、上記の式は、DMC触媒の「コア」を形成し得る一方、DMC触媒は、化学量論量又は非化学量論量の1つ又は複数のさらなる成分、例えば少なくとも1つの錯化剤、酸、金属塩及び/又は水をさらに含み得る。
【0323】
例えば、DMC触媒は、下記の式:
M’d[M’’e(CN)f]g・hM’’’X’’i・jRc・kH2O・lHrX’’’
を有し得、式中、M’、M’’、X’’’、d、e、f及びgは、上で定義されている通りである。M’’’は、M’及び/又はM’’であり得る。X’’は、ハライド、オキシド、ヒドロキシド、スルフェート、カーボネート、シアニド、オキサレート、チオシアネート、イソシアネート、イソチオシアネート、カルボキシレート及びナイトレートから選択されるアニオンであり、任意選択的に、X’’はハライドである。iは1以上の整数であり、iを乗じたアニオンX’’上の電荷は、M’’’の価数を満たす。rは、対イオンX’’’上の電荷に対応する整数である。例えば、X’’’がCl-であるとき、rは1である。lは0であるか、又は0.1~5の数である。任意選択的に、lは0.15~1.5である。
【0324】
Rcは錯化剤であり、上で定義されている通りであり得る。例えば、Rcは、(ポリ)エーテル、ポリエーテルカーボネート、ポリカーボネート、ポリ(テトラメチレンエーテルジオール)、ケトン、エステル、アミド、アルコール(例えば、C1~8アルコール)、尿素など、例えばプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、(メ)エトキシエチレングリコール、ジメトキシエタン、tert-ブチルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジグリム、トリグリム、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、3-ブテン-1-オール、2-メチル-3-ブテン-2-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オールであり得、例えば、Rcは、tert-ブチルアルコール、ジメトキシエタン又はポリプロピレングリコールであり得る。
【0325】
上記で示したように、複数の錯化剤は、本発明において使用されるDMC触媒中に存在し得る。任意選択的に、錯化剤であるtert-ブチルアルコール及びポリプロピレングリコールの組合せが存在し得る。
【0326】
水、錯化剤、酸及び/又は金属塩がDMC触媒中に存在しない場合、h、j、k及び/又はlは、それぞれゼロであることを認識されたい。水、錯化剤、酸及び/又は金属塩が存在する場合、h、j、k及び/又はlは正の数であり、例えば0~20であり得る。例えば、hは0.1~4であり得る。jは0.1~6であり得る。kは0~20、例えば0.1~10、例えば0.1~5であり得る。lは0.1~5、例えば0.15~1.5であり得る。
【0327】
上記で示すように、DMC触媒は、複雑な構造であり、このように、さらなる成分を含めた上記の式は、限定的なものではない。代わりに、この定義は、本発明において使用することができるDMC触媒の包括的なものではないことを当業者は認識する。
【0328】
例えば、DMC触媒は、
M’d[M’’e(CN)f]g
を含み得、M’及びM’’は上で定義した通りであり、d、e、f及びgは整数であり、これらはDMC触媒が電気的に中性になるように選択される。任意選択的に、dは3である。任意選択的に、eは1である。任意選択的に、fは6である。任意選択的に、gは2である。任意選択的に、M’は、Zn(II)、Fe(II)、Co(II)及びNi(II)から選択され、任意選択的に、M’は、Zn(II)である。任意選択的に、M’’は、Co(III)、Fe(III)、Cr(III)及びIr(III)から選択され、任意選択的に、M’’はCo(III)である。
【0329】
任意のこれらの選択肢の特徴を組み合わせることができることが理解されるであろう。例えば、dは3であり、eは1であり、fは6であり、gは2であり、M’はZn(II)であり、M’はCo(III)である。
【0330】
上の式の適切なDMC触媒としては、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛(III)、ヘキサシアノ鉄酸亜鉛(III)、ヘキサシアノ鉄酸ニッケル(II)及びヘキサシアノコバルト酸コバルト(III)を挙げることができる。
【0331】
DMC触媒の分野では多くの開発がなされており、当業者であれば、DMC触媒が、上の式に加えて、触媒の活性を高めるための追加の添加剤を含み得ることを理解するであろう。したがって、上の式は、DMC触媒の「コア」を形成することができる一方、DMC触媒は、化学量論量又は非化学量論量の第1及び第2の錯化剤をさらに含み、第1の錯化剤は、ポリマーである。DMC触媒は、化学量論量又は非化学量論量の1つ以上の追加の成分(酸、金属塩及び/又は水等)も含み得る。
【0332】
例えば、DMC触媒は、以下の式:
M’d[M’’e(CN)f]g・hM’’’X’’i・jRc・kH2O・lHrX’’’・Pol
を有し得、式中、M’、M’’、d、e、f及びgは上で定義した通りである。M’’’は、M’及び/又はM’’であり得る。M’’は、ハライド、ヒドロキシド、オキシド、スルフェート、カーボネート、シアニド、オキサレート、チオシアネート、イソシアネート、イソチオシアネート、カルボキシレート及びナイトレートから選択されるアニオンであり、任意選択的に、X’はハライドである。iは1以上の整数であり、アニオンX’’の電荷にiを掛けると、M’’’の原子価を満たす。rは、対イオンX’’’の電荷に対応する整数である。例えば、X’’’がCl-である場合、rは1になる。lは0.1~5の数である。任意選択的に、lは0.15~1.5である。
【0333】
Rcは第2の錯化剤であり、上で定義された通りであり得る。例えば、Rcは、エーテル、ケトン、エステル、アミド、アルコール(例えば、C1~8アルコール)、尿素などであり得る。Rcの例としては、プロピレングリコール、エトキシ(又はメトキシ)エチレングリコール、ジメトキシエタン、tert-ブチルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジグリム、トリグリム、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、3-ブテン-1-オール、2-メチル-3-ブテン-2-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オールが挙げられ、例えば、Rcは、tert-ブチルアルコール又はジメトキシエタンであり得る。任意選択的に、Rcはtert-ブチルアルコールである。
【0334】
jは正の数であり、0.1~6であり得る。
水、金属塩及び/又は酸がDMC触媒中に存在しない場合、h、k及び/又はlは、それぞれゼロであることが理解されるであろう。水、金属塩及び/又は酸が存在する場合、h、k及び/又はlは、正の数であり、例えば0~20であり得る。例えば、hは0.1~4であり得、kは0~20、例えば0.1~5などの0.1~10であり得る。
【0335】
Polは第1の錯化剤を表し、これはポリマーである。Polは、任意選択的に、ポリエーテル、ポリカーボネートエーテル及びポリカーボネートから選択される。第1の錯化剤(例えば、「Pol」)は、DMC触媒の約5重量%~約80重量%の量、任意選択的にDMC触媒の約10重量%~約70重量%の量、任意選択的にDMC触媒の約20重量%~約50重量%の量で存在する。
【0336】
DMC触媒は、少なくとも2つの金属中心及びシアニド配位子に加えて、1つ以上の錯化剤、水、金属塩及び/又は酸の少なくとも1つも任意選択的に非化学量論量で含み得る。
【0337】
例示的なDMC触媒は、式Zn3[Co(CN)6]2・hZnCl2・kH2O・j[(CH3)3COH]のものであり、式中、h、k及びiは上で定義されている通りである。例えば、hは0~4(例えば、0.1~4)であり得、kは0~20(例えば、0.1~10)であり得、jは0~6(例えば、0.1~6)であり得る。
【0338】
上で示したように、DMC触媒は複雑な構造であり、そのため、追加の成分を含む上の式は限定を意図するものではない。むしろ当業者であれば、この定義が本発明で使用可能なDMC触媒を網羅するものではないことを理解するであろう。
【実施例0339】
方法
核磁気共鳴分光法
1H NMRスペクトルは、溶媒CDCl3を使用して、Bruker AV-400装置で記録した。
【0340】
ゲル浸透クロマトグラフィー
GPC測定は、Agilent PLgel Mixed-Eカラムを備えたAgilent1260Infinity機器を使用して、THF中の狭い多分散性のポリ(エチレングリコール)又はポリスチレン標準に対して行った。
【0341】
質量分析
全ての質量分析測定は、MALDI micro MX micromass装置を使用して行った。
【0342】
実施例1
DMC触媒の合成
この実施例において使用されるDMC触媒は、Journal of Polymer
Science;Part A:Polymer Chemistry,2002,40,1142において報告されている方法に従って調製した。手短に言えば、1.0gのK3Co(CN)6を13gの蒸留水及び2gのtert-ブチルアルコールの溶媒混合物に溶解した。6gのZnCl2を13gの水及び4gのtert-ブチルアルコールの溶媒混合物に溶解し、次いでこの混合物を撹拌しながらK3Co(CN)6溶液に20分の期間にわたりゆっくりと加えた。次いで、混合物をさらに40分間撹拌し、次いで遠心分離を行って、白色の沈殿物を得た。沈殿物を16gの水及び16gのtert-ブチルアルコールの溶媒混合物に分散し、20分間撹拌し、次いで沈殿物を遠心によって分離した。この洗浄手順を3回繰り返した。次いで、白色の沈殿物を50gのtert-ブチルアルコールに分散し、次いで20分間撹拌し、それに続いて遠心分離を行い、白色の沈殿物を得た。次いで、tert-ブチルアルコールによる洗浄をもう一回繰り返した。次いで、溶媒を減圧下で60℃において8時間除去した。生成した化合物は、式Zn3[Co(CN)6]2・hZnCl2・0.5H2O・2[(CH3)3COH]を有すると理解される。
【0343】
[L1Ni2(OAc)2]、触媒1の合成
配位子H2L1は、KemberらのAngew.Chem.Int.Ed.,2009,48,931-933に以前に記載された方法により合成した。
【0344】
【化42】
H
2L
1(2mmol)をMeOH(50mL)に溶解し、次いでNi(OAc)
2.4H
2O(0.498g、4mmol)を15分かけて少しずつ加え、溶液を一晩撹拌した。真空下で溶媒を除去し、トルエン(3×40mL)との共沸により過剰の水/AcOHを除去した。
【0345】
[L1Ni2(OAc)2]:IR(νC=O、cm-1、ニート):1581及び1413。MALDI-TOF MS:m/z:727.6([M-OAc)]+,100%)。
【0346】
実施例2
米国特許第5482908号明細書の実施例1によるDMC触媒(触媒2)の合成
4000分子量のポリプロピレングリコールジオールを2000分子量のポリプロピレングリコールジオールで置き換えた以外、米国特許第5482908号明細書の実施例1に記載されている合成に従った。
【0347】
ヘキサシアノコバルト酸カリウム(8.0g)をビーカー中の脱イオン(DI)水(140mL)に溶解した(溶液1)。塩化亜鉛(25g)を第2のビーカー中の脱イオン水(40mL)に溶解した(溶液2)。溶液3を含有する第3のビーカーを調製した:脱イオン水(200mL)、tert-ブチルアルコール(2mL)及びポリオール(2gの2000分子量のポリプロピレングリコールジオール)の混合物。溶液1及び2を、機械式撹拌機を使用して一緒に混合した。直ちにtert-ブチルアルコール及び脱イオン水の50/50(容量による)混合物(全部で200mL)をヘキサシアノコバルト酸亜鉛混合物に加え、生成物を10分間激しく撹拌した。溶液3(ポリオール/水/tert-ブチルアルコール混合物)をヘキサシアノコバルト酸亜鉛の水性スラリーに加え、生成物を3分間磁力的に撹拌した。混合物を加圧下で濾過し、固体を単離した。固体ケークをtert-ブチルアルコール(140mL)、脱イオン水(60mL)及びさらなる2gの2000分子量のポリプロピレングリコールジオールに再スラリー化した。次いで、混合物を10分間激しく撹拌し、濾過した。固体ケークをtert-ブチルアルコール(200mL)及びさらなる1gの2000分子量のポリプロピレングリコールジオールに再スラリー化し、激しく10分間撹拌し、次いで濾過した。このように得られた固体触媒を真空下(<1ミリバール)で50℃において恒量まで乾燥させた。乾燥粉状触媒の収量は、8.5gであった。
【0348】
実施例3
ChenらのPolymer,45(2004),6519に記載されている通りに正確にDMCを合成した(触媒3)。
【0349】
激しく撹拌しながら、10mlのK3[Co(CN)6]溶液(0.2M)をZnCl2溶液(30mlの水と15mlのtert-ブタノールとの混合物中の8gのZnCl2)に滴下し、得られた白色懸濁液を濾過してDMC触媒の析出物を単離し、激しく撹拌しながらtert-ブタノールと水との溶液(v/vZ1:1)中に再懸濁させ、その後、析出物を再度濾過した。析出物を、水に対してtert-ブタノールの割合を徐々に増加させて数回洗浄した。最後に、固体をtert-ブタノールに再懸濁させて水を除き、濾過し、50℃で8時間真空乾燥した。
【0350】
触媒をICP-MSにより分析したところ、K+成分は、ほとんどない(XXXppm)ことが明らかになった。粉末X線回折による分析から、結晶性ヘキサシアノコバルト酸亜鉛成分の存在を示す17.65°(5.07Å)、23.72°(3.76Å)、24.80°(3.59Å)、35.19°(2.54Å)及び39.82°(2.26Å)にピークがないことが示された。18.37°(4.82Å)及び23.72°(3.76Å)の幅広いピークは、この手順で作成した触媒が実質的に又は完全にアモルファスであることを示す。
【0351】
実施例4
上述した206mgのDMC触媒(3)を1,6-ヘキサンジオール(30.5g)と共に2L反応器内に入れた。触媒及びスターターを真空下において110~120℃で1~2時間乾燥した。反応器を室温まで冷却し、触媒1(2.06g)を、CO2ガスを連続的に流しながらシリンジから容器に注入することにより、酢酸エチル溶液として添加した。室温で反応器を2バールのCO2に加圧した。容器を設定温度まで加熱し、反応器を設定反応圧力で安定させた。PO全体の最初の14重量%を添加して反応を開始した。反応器の内容物を45分間撹拌した。さらに4重量%のPOを30分かけてゆっくりと添加した後、消費されるようにさらに30分間待った。残りのPO(82重量%)は、5~6時間かけてHPLCポンプから連続的に添加した。反応温度及び圧力は、反応全体を通して同じままであった。16時間後、反応器を5℃まで冷却することにより反応を停止し、ゆっくりと排気した。粗製ポリオールを1H NMR分光法及びゲル浸透クロマトグラフィーにより分析した。
【0352】
PEC1~PEC7は、このプロセスに従って製造した。ポリオールのCO2含有率は、温度及びCO2圧力を変更することにより制御した。
PEC8及びPEC9は、工程(α)及び(β)の温度を変更することによって製造した。POの20%を工程(α)で65℃において添加し、残りの80%のPOを工程(β)で80℃において添加した。残りの手順は、上述した通りであった。
【0353】
【表1】
実施例5
上述した10.3mgのDMC触媒(2)をドデカンジオール(2.615g)と共に100mLのオーブン乾燥した反応器内に入れた。混合物を真空下120℃で1時間乾燥させた。反応器を室温まで冷却し、CO
2ガスを連続的に流しながらシリンジから容器に酢酸エチル(15mL)を注入した。容器を設定温度(130℃)まで加熱し、設定CO
2圧力(5バール)まで満たした。プロピレンオキシド全体の6%(1.49g)を3回(各2重量%、0.5g)に分けてそれぞれ30分間隔で添加した。
【0354】
反応器を70℃に冷却し、次いで触媒(1)(103mg)をEtOAc(5mL)中に溶解させ、20重量%のPO(4.98g)をHPLCポンプから添加した。残りの74重量%のPO(18.43g)を3時間かけて添加した。反応器を10℃未満まで冷却し、圧力を解放した。NMR及びGPCを直ちに測定した。
【0355】
【表2】
実施例6
10.3mgのDMC触媒(3)をポリテトラヒドロフラン250(スターター全体の50%、1.6g)と共に100mLのオーブン乾燥した反応器内に入れた。触媒とスターターを真空下において120℃で1時間乾燥させた。反応器を室温まで冷却し、酢酸エチル(15mL)中の触媒(1)(103mg)を、CO
2ガスを連続的に流しながらシリンジから容器に注入した。
【0356】
容器を設定温度(70℃)まで加熱し、設定CO2圧力(5バール)まで満たした。プロピレンオキシドの14重量%(3.5g)を添加し、次いで45分後にさらに3.8重量%(0.95g)のプロピレンオキシドを添加し、その後、45分間待機した。さらに1.63gのポリテトラヒドロフラン250(スターター全体の50%)を残りの82.2重量%のプロピレンオキシド(20.45g)と混合し、この混合物を、HPLCポンプを介して4時間かけて反応器に添加した。反応が終了した後、反応器を10℃未満まで冷却し、圧力を解放した。NMR及びGPCを直ちに測定した。
【0357】
【表3】
実施例7
3.1mgのDMC触媒(3)をドデカンジオール(6.2g)と共に100mLのオーブン乾燥した反応器内に入れた。混合物を真空下において120℃で1時間乾燥させた。反応器を室温まで冷却し、酢酸エチル(6mL)を、CO
2ガスを連続的に流しながらシリンジから容器に注入した。容器を設定温度(130℃)まで加熱した。3.75gのプロピレンオキシドを3回(各1.25g)に分けて、それぞれ30分間隔で添加した。活性化を示唆する発熱及び圧力低下が生じた。
【0358】
CO2で5バールに加圧しながら、反応器を65℃まで冷却した。EtOAc(5mL)中に溶解させた触媒(1)(103mg)及びPO(4.98g)を、HPLCポンプを介して添加した。残りのPO(18.43g)を3時間かけて添加した後、温度を85℃まで上げた。反応を一晩「完全に」行った後、反応器を10℃未満まで冷却して圧力を解放した。NMR及びGPCを直ちに測定した。
【0359】
実施例8
3.1mgのDMC触媒(3)をドデカンジオール(6.2g)と共に100mLのオーブン乾燥した反応器内に入れた。混合物を真空下において120℃で1時間乾燥させた。反応器を室温まで冷却し、酢酸エチル(6mL)を、CO2ガスを連続的に流しながらシリンジから容器に注入した。容器を設定温度(130℃)まで加熱した。2.25gのプロピレンオキシドを3回(各0.75g)に分けて、それぞれ30分間隔で添加した。活性化を示唆する発熱及び圧力低下が生じた。
【0360】
CO2で5バールに加圧しながら、反応器を65℃まで冷却した。EtOAc(5mL)中に溶解させた触媒(1)(103mg)及びPO(4.98g)を、HPLCポンプを介して添加した。残りのPO(18.43g)を3時間かけて添加した後、温度を85℃まで上げた。反応を一晩「完全に」行った後、反応器を10℃未満まで冷却して圧力を解放した。NMR及びGPCを直ちに測定した。
【0361】
実施例9
3.1mgのDMC触媒(3)をドデカンジオール(6.2g)と共に100mLのオーブン乾燥した反応器内に入れた。混合物を真空下において120℃で1時間乾燥させた。反応器を室温まで冷却し、酢酸エチル(6mL)を、CO2ガスを連続的に流しながらシリンジから容器に注入した。容器を設定温度(130℃)まで加熱した。3.75gのプロピレンオキシドを3回(各1.25g)に分けて、それぞれ30分間隔で添加した。活性化を示唆する発熱及び圧力低下が生じた。
【0362】
CO2で5バールに加圧しながら、反応器を65℃まで冷却し、PO(1.25g)を30分かけてゆっくりと供給した。目標温度でPO(2.5g)をさらに添加した。この後、EtOAc(5mL)に溶解させた触媒(1)(103mg)を、HPLCポンプを介して添加した。残りのPO(17.4g)を2.5時間かけて添加した後、温度を85℃まで上げた。反応を一晩「完全に」行った後、反応器を10℃未満まで冷却して圧力を解放した。NMR及びGPCを直ちに測定した。
【0363】
実施例10
180.0mgのDMC触媒(3)をドデカンジオール(52.0g)と共に2Lの反応器内に入れた。混合物を真空下において120℃で1時間乾燥させた。容器を真空下で隔離し、130℃に加熱した。225gの酢酸エチルを、HPLCポンプを介して添加した。75gのプロピレンオキシドを3回に分けて(各25g)、それぞれ30分間隔で添加した。
【0364】
反応器を65℃まで冷却し、反応器をCO2で5バールに加圧した。EtOAc(100g)に溶解させた触媒(1)(2.06g)を、HPLCポンプを介して添加し、続いてPO(25g)を添加した。残りのPO(398.4g)を65℃で3時間かけて添加した。反応器を10℃未満まで冷却し、圧力を解放した。NMR及びGPCを直ちに測定した。
【0365】
実施例11
180.0mgのDMC触媒(3)をドデカンジオール(52.0g)と共に2Lの反応器内に入れた。混合物を真空下において120℃で1時間乾燥させた。容器を130℃まで加熱し、5バールのCO2で加圧した。225gの酢酸エチルを、HPLCポンプを介して添加した。75gのプロピレンオキシド全体を3回に分けて(各25g)、それぞれ30分間隔で添加した。
【0366】
5バールのCO2を連続的に流しながら反応器を73℃まで冷却し、温度が73℃に達した時点でPO(25g)を添加した。EtOAc(100g)に溶解させた触媒(1)(2.06g)を、HPLCポンプを介して添加した。残りのPO(398.4g)を73℃で3時間かけて添加した。反応を一晩「完全に」行った後、反応器を10℃未満まで冷却して圧力を解放した。NMR及びGPCを直ちに測定した。
【0367】
【表4】
これらの実施例は、プロセスの安全性、生産性及び製品設計を向上させるために、1つ以上の試薬又は触媒が反応の異なるポイントで連続的に又は半連続的に添加されるプロセス方法を使用して、様々なCO
2含有ポリオールを製造できることを示している。低分子量スターターを使用して製品を製造することで、低CO
2圧力下で高CO
2含有率のポリオールを製造することができる。