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  • 特開-炭化水素樹脂およびその製造プロセス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050618
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】炭化水素樹脂およびその製造プロセス
(51)【国際特許分類】
   C08F 232/06 20060101AFI20240403BHJP
   C08L 57/02 20060101ALI20240403BHJP
   C08L 23/02 20060101ALI20240403BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20240403BHJP
   C08L 53/02 20060101ALI20240403BHJP
   C08F 8/04 20060101ALI20240403BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20240403BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20240403BHJP
   C09J 145/02 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
C08F232/06
C08L57/02
C08L23/02
C08L23/08
C08L53/02
C08F8/04
C09D7/65
C09D201/00
C09J145/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024003348
(22)【出願日】2024-01-12
(62)【分割の表示】P 2022548976の分割
【原出願日】2021-02-12
(31)【優先権主張番号】20157171.8
(32)【優先日】2020-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520307687
【氏名又は名称】レイン カーボン ジャーマニー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Rain Carbon Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179866
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 正樹
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル ナウ
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン ドライスワード
(72)【発明者】
【氏名】ジュン リウ
(72)【発明者】
【氏名】エドガー ウアマン
(72)【発明者】
【氏名】マシアス ハイトマン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】可能な限り色の明るい炭化水素樹脂、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】環状ジオレフィン化合物を含む環状ジオレフィン成分と、インデンおよび/またはC1-4-アルキルインデンを含む芳香族成分との熱重合によって得られ、1~2.3未満の多分散指数(PDI)を有する炭化水素樹脂を提供する。さらに、インデンおよび/またはC1-4-アルキルインデンを含む芳香族成分と、環状ジオレフィン化合物を含む環状ジオレフィン成分とを含むモノマー混合物を、少なくとも180℃の重合温度まで加熱することにより重合させて炭化水素樹脂を含む生成物ストリームを得て、該生成物ストリームから環状ジオレフィン化合物に起因する単位および/または芳香族成分に起因する単位を含むオリゴマーを分離してモノマー混合物に戻す、炭化水素樹脂の製造プロセスを提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状ジオレフィン化合物を含む環状ジオレフィン成分と、インデンおよび/またはC
-4アルキルインデンを含む芳香族成分との熱重合によって得られうる炭化水素樹脂であ
って、前記炭化水素樹脂が1~2.3未満の多分散性指数(PDI)を有する、炭化水素
樹脂。
【請求項2】
前記炭化水素樹脂が、前記環状ジオレフィン化合物に由来する繰り返し単位と、インデ
ンおよび/またはC1-4-アルキルインデン単位とを含み、任意に、前記芳香族成分に
由来するさらなる単位を含む、請求項1に記載の炭化水素樹脂。
【請求項3】
前記炭化水素樹脂が、1~2.1、好ましくは1.5~2.0、より好ましくは1.5
~1.95の多分散性指数(PDI)を有する、請求項1または2に記載の炭化水素樹脂
【請求項4】
前記炭化水素樹脂が、前記炭化水素樹脂の総質量に対し、1~20重量%、好ましくは
4~20重量%、より好ましくは4~16重量%、さらに好ましくは5~15重量%、特
に好ましくは7~13重量%のインデン単位および/またはC1-4-アルキルインデン
単位を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の炭化水素樹脂。
【請求項5】
前記炭化水素樹脂が、800~2450g/mol、好ましくは800~1800g/
mol、より好ましくは800~1750g/mol、さらに好ましくは800~170
0g/molのMzを有し;および/または、前記炭化水素樹脂が、80℃~140℃、
好ましくは90℃~130℃、より好ましくは100℃~120℃のASTM D346
1規格に準拠したリングおよびボール法に従って求められる軟化点を有し、および/また
は、14以下、好ましくは12以下、より好ましくは11以下であるガードナー色数を有
する、先行請求項のいずれか一項に記載の炭化水素樹脂。
【請求項6】
前記環状ジオレフィン成分は、前記環状ジオレフィン成分の総質量に対し、30重量%
以上、好ましくは35重量%以上、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは6
0重量%以上、さらになお好ましくは70重量%以上の前記環状ジオレフィン化合物を含
む、先行請求項のいずれか一項に記載の炭化水素樹脂。
【請求項7】
前記環状ジオレフィン化合物が、共役シクロジアルケンを含み、ならびに/または、シ
クロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、ペンタメチ
ルシクロペンタジエン、エチルテトラメチルシクロペンタジエンなどのシクロペンタジエ
ン誘導体、およびこれらの混合物からなる群より選択される、先行請求項のいずれか一項
に記載の炭化水素樹脂。
【請求項8】
前記炭化水素樹脂が、前記炭化水素樹脂の総質量に対し、40~85重量%、好ましく
は45~70重量%、より好ましくは45~65重量%の前記環状ジオレフィン化合物に
由来する単位を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の炭化水素樹脂。
【請求項9】
前記芳香族成分が、インデンおよび/またはC1-4-アルキルインデンと、少なくと
も1つのエチレン性不飽和芳香族化合物、特に互いに独立して、8~15個、好ましくは
8~13個の炭素原子をそれぞれ有する少なくとも2つのエチレン性不飽和芳香族化合物
とを含む芳香族混合物である、先行請求項のいずれか一項に記載の炭化水素樹脂。
【請求項10】
前記芳香族混合物が、前記混合物の総質量に対し、50重量%以下のスチレン、α-メ
チルスチレン、o-ビニルトルエン、m-ビニルトルエン、およびp-ビニルトルエンな
どのビニル芳香族と、30重量%以下のインデンと、15重量%以下のC1-4-アルキ
ルインデンとを含む混合物であるか、または、前記混合物の総質量に対し、60重量%以
下のインデンおよび/もしくはC1-4-アルキルインデンを含む混合物である、請求項
8に記載の炭化水素樹脂。
【請求項11】
前記炭化水素樹脂が、前記炭化水素樹脂の総質量に対し、5~25重量%、好ましくは
10~25重量%、より好ましくは15~25重量%のインデン単位および/またはC
-4-アルキルインデン単位ならびにエチレン性不飽和芳香族化合物に由来する単位を含
む、請求項9または10に記載の炭化水素樹脂。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の炭化水素樹脂を製造する方法であって、インデ
ンおよび/またはC1-4-アルキルインデンを含む芳香族成分と、環状ジオレフィン化
合物を含む環状ジオレフィン成分とを含むモノマー混合物を、少なくとも180℃の重合
温度まで加熱することにより重合して炭化水素樹脂を含む生成物ストリームを得て、前記
環状ジオレフィン化合物に由来する単位および/または前記芳香族成分に由来する単位を
含むオリゴマーを前記生成物ストリームから分離し、前記モノマー混合物に戻す、方法。
【請求項13】
前記モノマー混合物が、前記重合温度までの加熱時および重合中は実質的に単相の液体
であり、ならびに/または前記重合温度は200℃~300℃、好ましくは230℃~3
00℃、もしくは240℃~280℃、もしくは250℃~270℃であり;ならびに/
または前記重合は10bar~25bar、好ましくは10bar~20bar、もしく
は13bar~18barの圧力で行われ;ならびに/または前記重合は管状反応器内で
連続して行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記環状ジオレフィン成分は請求項6に従って定義され、および/または前記環状ジオ
レフィン化合物は請求項7に従って定義され、および/または前記芳香族成分は請求項9
もしくは10に従って定義される、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記環状ジオレフィン化合物は請求項7に従って定義され、前記芳香族成分は請求項9
または10に従って定義され、前記モノマー混合物は、前記環状ジオレフィン化合物、イ
ンデンおよび/またはC1-4-アルキルインデン、ならびにエチレン性不飽和芳香族化
合物の総質量に対し、50~95重量%、60~95重量%、または65~90重量%、
または65~85重量%、または65~80重量%の前記環状ジオレフィン化合物を含む
、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記環状ジオレフィン化合物は請求項7に従って定義され、前記芳香族成分は請求項9
または10に従って定義され、前記モノマー混合物は、前記環状ジオレフィン化合物、イ
ンデンおよび/またはC1-4-アルキルインデン、ならびにエチレン性不飽和芳香族化
合物の総質量に対し、5~40重量%、好ましくは10~35重量%、または15~35
重量%、または25~35重量%のインデンおよび/またはC1-4-アルキルインデン
ならびにエチレン性不飽和芳香族化合物を含む、請求項12~15のいずれか一項に記載
の方法。
【請求項17】
前記モノマー混合物は非重合性溶媒であり、好ましくは7から10個の炭素原子を有す
るモノ-またはポリ-、特にモノ-またはジ-アルキル置換芳香族化合物、例えばo-キ
シレン、m-キシレン、p-キシレン、および/またはエチルベンゼンを含む、請求項1
2~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記オリゴマーが、100mbar以下、特に50mbar以下、好ましくは30mb
arの絶対圧で、かつ、80℃以上、好ましくは80℃~120℃、より好ましくは90
℃~115℃、さらに好ましくは100℃~110℃の温度で沸騰し、および/または1
00~600g/mol、好ましくは130~600g/mol、もしくは150~60
0g/molの分子量を有する、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記オリゴマーおよび前記任意の非重合性溶媒が、前記重合後にバッチ式もしくは好ま
しくは連続式の蒸発によって前記生成物ストリームから部分的に、好ましくは完全に除去
され、ならびに/または、前記オリゴマーは、前記蒸発後に完全な、もしくは好ましくは
部分的な凝縮によって前記非重合性溶媒からバッチ式もしくは好ましくは連続式で、部分
的に、好ましくは完全に分離され、ならびに/または前記凝縮後にさらなる重合のために
バッチ式もしくは好ましくは連続式で前記モノマー混合物に戻される、請求項17または
18に記載の方法。
【請求項20】
水素化炭化水素樹脂を得るために、前記炭化水素樹脂が後続の水素化ステップで部分的
または完全に水素化される、請求項12~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記水素化ステップが、溶媒、好ましくは脂肪族溶媒もしくは室温で液体である飽和炭
化水素の混合物の存在下、および/または触媒、特にニッケル触媒の存在下で行われる、
請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記水素化ステップが、60barより大きい、特に65~105bar、もしくは6
5~100bar、もしくは70~95barの圧力で、および/または240℃以上、
特に240℃~300℃、もしくは250℃~280℃の温度で行われる、請求項20ま
たは21に記載の方法。
【請求項23】
請求項1~11のいずれか一項に記載の炭化水素樹脂を水素化することにより、および
/または請求項20~22のいずれか一項に記載の方法により得られうる水素化炭化水素
樹脂。
【請求項24】
前記オレフィン性二重結合がそれらが少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%
、もしくは少なくとも95%、もしくは少なくとも99%水素化されている形態で前記水
素化炭化水素樹脂中に存在し、および/または前記芳香族二重結合がそれらが少なくとも
70%、好ましくは少なくとも90%、もしくは少なくとも95%、もしくは少なくとも
99%水素化されている形態で存在する、請求項23に記載の水素化炭化水素樹脂。
【請求項25】
前記水素化炭化水素樹脂は、800~2500g/mol、好ましくは800~180
0g/mol、より好ましくは800~1600g/mol、さらに好ましくは800~
1400g/molのMz;および/または80℃~140℃、好ましくは90℃~13
0℃、より好ましくは90℃~125℃のASTM D3461規格に準拠したリングお
よびボール法に従って求められる軟化点;および/または40以下、好ましくは25以下
のヘイゼン色指数;および/または3以下、好ましくは1以下の黄色度指数を有する、請
求項23または24に記載の水素化炭化水素樹脂。
【請求項26】
請求項1~11のいずれか一項に記載の炭化水素樹脂、または請求項23~25のいず
れか一項に記載の水素化炭化水素樹脂と、
粘着性ポリマー、例えばメタロセンポリオレフィン、またはエチレン-酢酸ビニルコポ
リマー、または非晶質ポリアルファオレフィン、またはスチレンブロックコポリマーと、
を含む、組成物。
【請求項27】
ホットメルト接着剤、特にメタロセンポリオレフィン、エチレン-酢酸ビニルコポリマ
ー、非晶質ポリアルファオレフィン、もしくはスチレンブロックコポリマーをベースとす
るホットメルト接着剤、および/または溶剤含有接着剤、特に溶剤含有スチレンブロック
コポリマー接着剤における、タック付与剤またはタッキファイヤーとしての請求項1~1
1のいずれか一項に記載の炭化水素樹脂または請求項23~25のいずれか一項に記載の
水素化炭化水素樹脂の使用。
【請求項28】
天然ゴム製品における、特に天然ゴム製品における機械的および動的特性を改善するた
めの改質剤としての、ビチューメンにおける、特にビチューメン、特にアスファルト用の
添加剤および/もしくは疎水化剤としての、または印刷インクにおける改質剤および/も
しくは疎水化剤としての、請求項1~11のいずれか一項に記載の炭化水素樹脂の使用。
【請求項29】
塗料における添加剤としての;プラスチック材料における、特にプラスチック材料にお
ける改質剤としての;ゴムにおける;ビチューメンにおける、特に例えばルーフィングフ
ェルト用のビチューメンにおける疎水化剤としての;ポリプロピレンフィルムにおける、
特にポリプロピレンフィルム、特にBOPPフィルムにおける改質剤および/もしくは疎
水化剤としての;化粧品における;または粘着性組成物における、特に衛生製品産業での
用途および食品包装での使用のためのタッキファイヤーとしての、請求項23~25のい
ずれか一項に記載の水素化炭化水素樹脂の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素樹脂と、環状ジオレフィン化合物を含む環状ジオレフィン成分なら
びにインデンおよび/またはC1-4-アルキルインデンを含む芳香族成分からそれを製
造する方法と、その水素化と、水素化炭化水素樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化水素樹脂は、ホットメルト接着剤におけるタック付与剤としてよく使用される。タ
ック付与剤は典型的には、タッキファイヤーともいう。ホットメルト接着剤は、その特性
を基本的に決定するベースポリマーを有している。ホットメルト接着剤のベースポリマー
としては、スチレンブロックコポリマー(SBC)、ポリアミド、ポリウレタン、および
ポリエステルに加え、メタロセンポリオレフィン(mPO)、非晶質ポリアルファオレフ
ィン(APAO)、またはエチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVAC)がしばしば使用
される。
【0003】
良好な加工特性を持つ、可能な限り色の明るいホットメルト接着剤に特に関心が集まっ
ている。ホットメルト接着剤の良好な加工特性には、タッキファイヤーとベースポリマー
の定義された相溶性が不可欠である。通常、使用されるタッキファイヤーは、mPO、A
PAO、またはEVACなどの1つのベースポリマークラスに対してのみ良好な相溶性を
有するため、良好な相溶性が望まれる場合は、各ベースポリマークラスに対して別々のタ
ッキファイヤーが必要となる。しかし、タッキファイヤーができるだけ多くのベースポリ
マークラスに対し相溶性を有すれば有利であろう。ホットメルト接着剤の成分の相溶性は
、例えば曇り点を求めることによって評価することができる。
【0004】
できるだけ色が明るく、加工しやすいホットメルト接着剤を製造するためには、この目
的に使用される少なくとも部分的に水素化された炭化水素樹脂が、望ましくない副生成物
をできるだけ含まないことが重要である。これらは炭化水素樹脂の黒色への変色およびホ
ットメルト接着剤の他の成分との非相溶性につながる可能性がある。変色の評価には、ガ
ードナー色数、黄色度指数、またはヘイゼン色数がしばしば用いられる。
【0005】
(水素化)炭化水素樹脂の製造方法は既知である。例えば、これらの方法では、シクロ
ペンタジエンなどの2つの共役二重結合を有するシクロアルケンとスチレンなどのエチレ
ン性不飽和芳香族成分が共重合され、得られた炭化水素樹脂は、さらなるステップで少な
くとも部分的に水素化される。このようにして得られた炭化水素樹脂は、単独でまたは他
の添加剤とともに、ホットメルト接着剤用タッキファイヤーとして使用することができる
【0006】
このような方法は米国特許第5502140号明細書に記載されており、ここでは特に
安価なジシクロペンタジエン含有出発物質が使用される。しかし、米国特許第55021
40号明細書では、反応にインデンではなく、スチレンまたはα-メチルスチレンなどの
ビニル芳香族を使用している。
【0007】
欧州特許第2251364号明細書には、芳香族化合物の含有量が5~25重量%であ
る、最初に述べたタイプの炭化水素樹脂を製造する方法が記載されている。また、欧州特
許第2251364号明細書では、エチレン性不飽和芳香族成分としてスチレンなどの純
ビニル芳香族を使用することによってのみ、質的に高グレードの樹脂が達成される。
【0008】
欧州特許第0936229号明細書には、オレフィンと、芳香族モノマーと、(ジ)シ
クロジオレフィンとを含む重合用供給物をフリーデル-クラフツ重合に付す、芳香族変性
脂肪族炭化水素樹脂を製造する方法が記載されている。しかしながら、欧州特許第093
6229号明細書の方法の欠点は、炭化水素樹脂の製造のためにハロゲン含有触媒を使用
することである。
【0009】
炭化水素樹脂の製造では、さまざまな理由で副生成物がさまざまな時点で形成される可
能性がある。例えば、所望の炭化水素樹脂に加えて、低分子量のワックス状または高分子
量の熱硬化性の副生成物が重合中に形成される可能性があり、これらは最終製品の品質を
損ない、ホットメルト接着剤における非相溶性の一因となり得る。
【0010】
有害な副産物は、中間生成物の精製および/もしくは単離、または最終生成物の単離の
際にも形成され得る。例えば、重合および水素化の両方は、通常、種々の不活性溶媒の存
在下で行われるため、重合後および水素化後の両方において、場合によっては、相当量の
溶媒を除去する必要がある。しばしば高沸点を有する溶媒を除去するには、通常、高温に
加熱する必要があり、これは、二次反応による副生成物をもたらす可能性がある。
【0011】
副生成物を回避するために、様々な解決策が提案されてきた。例えば、欧州特許出願公
開第3124503号明細書には炭化水素樹脂の製造方法が記載されており、この方法で
は、許容できるコストの増加で相溶性を改善するために、ジシクロペンタジエンをビニル
芳香族化合物と反応させてフェニルノルボルネン誘導体を形成し、これがその後の重合反
応のスターターとして作用する。こうして得られた炭化水素樹脂を次に水素化する。この
方法の欠点は、予備反応が、フェニルノルボルネン誘導体を高い選択性で得るために、温
度を狭いウィンドウ内に保たければならないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そのため、本発明は、可能な限り色の明るい炭化水素樹脂を提供するという目的に基づ
いている。本発明のさらなる目的は、ベースポリマー、特にメタロセンポリオレフィン(
mPO)、非晶質ポリアルファオレフィン(APAO)、および/またはエチレン-酢酸
ビニルコポリマー(EVAC)と良好な相容性を有することにより、特にホットメルト接
着剤のメタロセンポリオレフィン(mPO)、非晶質ポリアルファオレフィン(APAO
)、およびエチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVAC)と良好な相溶性を有し、それ故
タッキファイヤーとして機能する炭化水素を提供することである。さらに、本発明は、前
述の相溶性を有する炭化水素樹脂を製造することができる方法を提供することを目的とす
る。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、環状ジオレフィン化合物を含む環状ジオレフィン成分と、インデンおよび
/またはC1-4アルキルインデンを含む芳香族成分を熱重合することにより得られ、多
分散性指数(PDI)が1~2.3未満である炭化水素樹脂によって達成される。
【0014】
本発明の主題は、さらに、インデンおよび/またはC1-4-アルキルインデンを含む
芳香族成分と環状ジオレフィン化合物を含む環状ジオレフィン成分とを含むモノマー混合
物を、少なくとも180℃の重合温度に加熱することにより重合して炭化水素樹脂を含む
生成物ストリームを得、環状ジオレフィン化合物に由来する単位および/または芳香族成
分に由来する単位を含むオリゴマーが、生成物ストリームから分離されてモノマー混合物
に戻される、本発明による炭化水素樹脂を製造する方法である。
【0015】
また、本発明の主題は、本発明による炭化水素樹脂を水素化することによって、および
/または本発明による製造方法によって得ることができる水素化炭化水素樹脂である。
【0016】
また、本発明の主題は、
-本発明による炭化水素樹脂または本発明による水素化炭化水素樹脂と
-接着剤ベースポリマー、例えばメタロセンポリオレフィン、エチレン-酢酸ビニル
コポリマー、非晶質ポリアルファオレフィン、またはスチレンブロックコポリマーとを含
む、組成物である。
【0017】
また、本発明の主題は、ホットメルト接着剤、特にメタロセンポリオレフィン、エチレ
ン-酢酸ビニルコポリマー、非晶質ポリアルファオレフィン、もしくはスチレンブロック
コポリマーをベースとするホットメルト接着剤における、および/または溶剤含有接着剤
、特に溶剤含有スチレンブロックコポリマー接着剤における、本発明による炭化水素樹脂
または本発明による水素化炭化水素樹脂のタック付与剤またはタッキファイヤーとしての
使用である。
【0018】
本発明の主題はさらに、ゴム製品における、特にゴム製品における機械的および動的特
性を改善するための改質剤としての、ビチューメンにおける、特にビチューメン、特にア
スファルト用の添加剤および/もしくは疎水化剤としての、または印刷インクにおける改
質剤および/もしくは疎水化剤としての本発明による炭化水素樹脂の使用である。
【0019】
最後に、本発明の主題は、塗料における添加剤としての;プラスチック材料における、
特にプラスチック材料における改質剤としての;ゴムにおける;ビチューメンにおける、
特にビチューメンにおける、例えばルーフィングフェルト用の疎水化剤としての;ポリプ
ロピレンフィルムにおける、特にポリプロピレンフィルム、特にBOPPフィルムにおけ
る改質剤および/もしくは疎水化剤としての;化粧品における;または粘着性組成物にお
ける、特に衛生製品産業での用途および食品包装での使用のためのタッキファイヤーとし
ての、本発明による水素化炭化水素樹脂の使用である。
【0020】
驚くべきことに、環状ジオレフィン成分と、インデンおよび/またはC1-4-アルキ
ルインデンを含む成分との熱重合によって得られる、PDIが1~2.3未満の炭化水素
樹脂は、優れた特性、特に、良好な水素化能力を有し、および/または、変色がほんのわ
ずかであることが見出された。さらに、この樹脂を水素化することにより、色指数が非常
に低く、mPOおよびAPAOと、または好ましくはmPO、APAO、およびEVAC
とまで相溶性が良好な水素化樹脂を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明による方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
炭化水素樹脂を製造するための本発明による方法、および可能な後続の水素化について
、まず以下に説明する。
【0023】
本発明による方法では、モノマー混合物は、少なくとも180℃の重合温度への加熱時
および重合中は、好ましくは実質的に単相の液体である。これにより、良好な混合、より
短い反応時間、および混合物内の良好な熱伝達がもたらされる。
【0024】
環状ジオレフィン成分は、環状ジオレフィン化合物を含有する。環状ジオレフィン成分
は、環状ジオレフィン成分の総質量に対して、25重量%以上、30重量%以上、好まし
くは35重量%以上、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上
、さらになお好ましくは70重量%以上の環状ジオレフィン化合物を含有することが好ま
しい。
【0025】
また、環状ジオレフィン成分は、環状ジオレフィン化合物からなることも可能である。
【0026】
環状ジオレフィン化合物は、好ましくは、特に共役することのできる少なくとも2つの
炭素-炭素二重結合を有するシクロアルケンを含む。より好ましくは、環状ジオレフィン
化合物は、特に共役することのできる少なくとも2つの炭素-炭素二重結合を有する1つ
または複数のシクロアルケンからなる。
【0027】
少なくとも2つの炭素-炭素二重結合を有するシクロアルケンは、本発明に従って、シ
クロジアルケンという。2つの炭素-炭素二重結合が共役しているシクロジアルケンは、
本発明に従って、共役シクロジアルケンという。
【0028】
シクロジアルケン、特に共役シクロジアルケンは、好ましくはモノマーとして5~11
個、特に5~7個の炭素原子を有する。共役シクロジアルケンの例は、シクロペンタジエ
ン、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、ペンタメチルシクロペンタ
ジエン、およびエチルテトラメチルシクロペンタジエンなどのシクロペンタジエン誘導体
である。
【0029】
シクロジアルケン、特に共役シクロジアルケンは二量化し得る。シクロジアルケン、特
に共役シクロジアルケンは、モノマーとして、ダイマーとして、またはモノマーとダイマ
ーの混合物として存在し得る。二量体化は、好ましくは可逆的である。例えば、シクロペ
ンタジエンおよびシクロペンタジエン誘導体は、室温で自発的に二量化する傾向があり、
加熱されると逆反応でモノマーが再び形成される。環状ジオレフィン化合物が異なるシク
ロジアルケン、特に共役シクロジアルケンの混合物を含む場合、モノマー、ダイマーおよ
び/またはコダイマーが存在し得る。
【0030】
そのため、前述の共役シクロジアルケンの例は、温度に応じて、モノマーとして、ダイ
マーとして、またはモノマーとダイマーの混合物として存在し得る。モノマーおよびダイ
マーに加えてコダイマーもまた、異なる共役シクロジアルケンの混合物中に存在し得る。
例えば、2つのモノマー、シクロペンタジエン-シクロペンタジエンダイマー、メチルシ
クロペンタジエン-メチルシクロペンタジエンダイマー、およびシクロペンタジエン-メ
チルシクロペンタジエンコダイマーが、シクロペンタジエンおよびメチルシクロペンタジ
エンの混合物中に存在し得る。
【0031】
一実施形態によれば、環状ジオレフィン化合物は、シクロペンタジエン、メチルシクロ
ペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、ペンタメチルシクロペンタジエン、エチルテ
トラメチルシクロペンタジエンなどのシクロペンタジエン誘導体、およびこれらの混合物
からなる群より選択される。
【0032】
さらなる実施形態によれば、環状ジオレフィン化合物は、シクロペンタジエンおよびメ
チルシクロペンタジエンを含有する。
【0033】
さらなる実施形態によれば、環状ジオレフィン成分は、環状ジオレフィン化合物からな
り、環状ジオレフィン化合物は、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチ
ルシクロペンタジエン、ペンタメチルシクロペンタジエン、エチルテトラメチルシクロペ
ンタジンなどのシクロペンタジエン誘導体、およびこれらの混合物からなる群より選択さ
れる。
【0034】
さらなる実施形態によれば、環状ジオレフィン成分は、環状ジオレフィン化合物からな
り、環状ジオレフィン化合物は、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチ
ルシクロペンタジエン、ペンタメチルシクロペンタジエンおよびエチルテトラメチルシク
ロペンタジエンからなる群より選択される共役シクロジアルケンからなる。
【0035】
一実施形態によれば、炭化水素混合物の質量に対して、少なくとも25重量%、特に3
0~60重量%の含有量の共役シクロジアルケンを環状ジオレフィン化合物として有する
炭化水素混合物、例えば石油留分が、環状ジオレフィン成分として本発明による方法で使
用される。炭化水素混合物はまた、芳香族化合物、例えばインデン、C1-4-アルキル
インデン、および/またはそれぞれ互いに独立して、8~15個、好ましくは8~13個
の炭素原子を有するエチレン性不飽和芳香族化合物を、炭化水素混合物の質量に対して1
0~20重量%の量で含有することができる。炭化水素混合物はまた、炭化水素混合物の
質量に対して20~40重量%の非反応性成分を含むことができる。
【0036】
モノマー混合物はまた、インデンおよび/またはC1-4-アルキルインデンを含む芳
香族成分を含む。C1-4-アルキルインデンは、好ましくはモノ-またはポリ-の、特
にモノ-またはジ-の、C1-4-アルキル置換インデンを意味する。C1-4-アルキ
ルインデンの例は、メチルインデン、ジメチルインデン、およびエチルインデンである。
1-4-アルキルインデンの重要な例は、メチルインデンである。メチルインデンには
、メチルインデンの全ての異性体が含まれる。メチルインデンの異性体の例は、1-メチ
ルインデンおよび3-メチルインデンである。また、芳香族成分中に異なるメチルインデ
ン異性体が同時に存在することもある。
【0037】
芳香族成分は、インデンおよび/またはC1-4-アルキルインデンからなり得る。芳
香族成分はまた、インデンおよび/またはC1-4-アルキルインデンと、それぞれ互い
に独立して、8~15個、好ましくは8~13個の炭素原子を有する少なくとも1つ、特
に少なくとも2つのエチレン性不飽和芳香族化合物とを含む芳香族混合物であり得る。
【0038】
好ましい実施形態によれば、芳香族成分として、石油留分の総質量またはタール処理か
らの留分の総質量に対して少なくとも25重量%、のインデンおよび/またはC1-4
アルキルインデンと種々のエチレン性不飽和芳香族化合物とを含む石油留分またはタール
処理からの構成物質が使用される。
【0039】
特に、芳香環の外側に炭素-炭素二重結合を有するモノ-またはポリ-C-C-ア
ルキル置換ベンゼン化合物が、8~15個、好ましくは8~13個の炭素原子を有するエ
チレン性不飽和芳香族化合物として適切である。このようなエチレン性不飽和芳香族化合
物の例は、スチレン、α-メチルスチレン、o-ビニルトルエン、m-ビニルトルエン、
および/またはp-ビニルトルエンである。エチレン性不飽和芳香族化合物は、しばしば
ビニル芳香族という。
【0040】
一実施形態によれば、芳香族混合物は、インデンおよび/またはメチルインデンと、ス
チレン、α-メチルスチレン、o-ビニルトルエン、m-ビニルトルエン、およびp-ビ
ニルトルエン、またはそれらからなる群より選択される少なくとも2つのビニル芳香族と
を含む。
【0041】
一実施形態によれば、混合物の総質量に対して、50重量%以下のスチレン、α-メチ
ルスチレン、o-ビニルトルエン、m-ビニルトルエン、およびp-ビニルトルエンなど
のビニル芳香族と、30重量%以下のインデンと、15重量%以下のC1-4-アルキル
インデンの混合物が芳香族混合物として使用される。
【0042】
さらなる実施形態によれば、混合物の総質量に対して、60重量%以下のインデンおよ
び/またはC1-4-アルキルインデンを含む混合物が芳香族混合物として使用される。
【0043】
環状ジオレフィン化合物と、インデンおよび/もしくはC1-4-アルキルインデンま
たは芳香族混合物は、モノマー混合物のモノマーであることが好ましく、または前記モノ
マーを提供することが好ましい。
【0044】
環状ジオレフィン成分および芳香族成分は、モノマー混合物中に異なる比率で存在させ
ることができる。しかしながら、環状ジオレフィン成分と芳香族成分の比率を、環状ジオ
レフィン化合物とインデンおよび/またはC1-4-アルキルインデンとエチレン性不飽
和芳香族化合物が特定の比率で存在するように設定すると、より良好な結果が得られるこ
とが見出された。
【0045】
有利には、環状ジオレフィン化合物および芳香族成分は上記で定義したとおりであり、
モノマー混合物は、環状ジオレフィン化合物、インデンおよび/またはC1-4-アルキ
ルインデン、ならびにエチレン性不飽和芳香族化合物の総質量に対して、50~95重量
%、好ましくは60~95重量%、または65~90重量%、または65~85重量%、
または65~80重量%の環状ジオレフィン化合物を含有する。
【0046】
好ましい実施形態によれば、環状ジオレフィン化合物は、シクロペンタジエン、メチル
シクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、ペンタメチルシクロペンタジエン、エ
チルテトラメチルシクロペンタジエンなどのシクロペンタジエン誘導体、およびこれらの
混合物からなる群より選択され、芳香族成分は芳香族混合物、インデンおよび/またはC
1-4-アルキルと、それぞれ互いに独立して、8~15個、好ましくは8~13個の炭
素原子を有している少なくとも1つ、特に少なくとも2つのエチレン性不飽和芳香族化合
物であり、モノマー混合物は、環状ジオレフィン化合物、インデンおよび/またはC1-
-アルキルインデン、ならびにエチレン性不飽和芳香族化合物の総質量に対して、50
~95重量%、好ましくは60~95重量%、または65~90重量%、または65~8
5重量%、または65~80重量%の環状ジオレフィン化合物を含有する。
【0047】
さらなる好ましい実施形態によれば、環状ジオレフィン化合物は、シクロペンタジエン
、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、ペンタメチルシクロペンタジ
エン、エチルテトラメチルシクロペンタジエンなどのシクロペンタジエン誘導体、および
これらの混合物からなる群より選択され;芳香成分は芳香族混合物であって、該芳香族混
合物は、混合物の総質量に対して、50重量%以下のスチレン、α-メチルスチレン、o
-ビニルトルエン、m-ビニルトルエン、およびp-ビニルトルエンなどのビニル芳香族
と、25重量%以下のインデンと、10重量%以下のC1-4-アルキルインデンとを含
む混合物であるか、または混合物の総質量に対して、60重量%以下のインデンおよび/
もしくはC1-4-アルキルインデンを含む混合物であり;モノマー混合物は、環状ジオ
レフィン化合物、インデンおよび/またはC1-4-アルキルインデン、ならびにエチレ
ン性不飽和芳香族化合物の総質量に対して、50~95重量%、好ましくは60~95重
量%、または65~90重量%、または65~85重量%、または65~80重量%の環
状ジオレフィン化合物を含有する。
【0048】
環状ジオレフィン化合物および芳香族成分は有利には上記で定義したとおりであり、モ
ノマー混合物は、環状ジオレフィン化合物、インデンおよび/またはC1-4-アルキル
インデン、ならびにエチレン性不飽和芳香族化合物の総質量に対して、5~40重量%、
好ましくは10~35重量%、または15~35重量%、または25~35重量%のイン
デンおよび/またはC1-4-アルキルインデンならびにエチレン性不飽和芳香族化合物
を含有する。
【0049】
一実施形態によれば、環状ジオレフィン化合物は、シクロペンタジエン、メチルシクロ
ペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、ペンタメチルシクロペンタジエン、エチルテ
トラメチルシクロペンタジエンなどのシクロペンタジエン誘導体、およびこれらの混合物
からなる群より選択され;芳香族成分は、インデンおよび/またはC1-4-アルキルイ
ンデンと、それぞれ互いに独立して、8~15個、好ましくは8~13個の炭素原子を有
する少なくとも1個、特に少なくとも2個のエチレン性不飽和芳香族化合物とを含有する
芳香族混合物であり;モノマー混合物は、環状ジオレフィン化合物、インデンおよび/ま
たはC1-4-アルキルインデン、ならびにエチレン性不飽和芳香族化合物の総質量に対
して、5~40重量%、好ましくは10~35重量%、または15~35重量%、または
25~35重量%のエチレン性不飽和芳香族化合物を含有する。
【0050】
さらなる実施形態によれば、環状ジオレフィン化合物は、シクロペンタジエン、メチル
シクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、ペンタメチルシクロペンタジエン、エ
チルテトラメチルシクロペンタジエンダイマーなどのシクロペンタジエン誘導体、および
これらの混合物からなる群より選択され;芳香成分は芳香族混合物であって、該芳香族混
合物は、混合物の総質量に対して、50重量%以下のスチレン、α-メチルスチレン、o
-ビニルトルエン、m-ビニルトルエン、およびp-ビニルトルエンなどのビニル芳香族
と、30重量%以下のインデンと、15重量%以下のC1-4-アルキルインデンとを含
有する混合物であるか、または混合物の総質量に対して、60重量%以下のインデンおよ
び/もしくはC1-4-アルキルインデンを含有する混合物であり;モノマー混合物は、
環状ジオレフィン化合物、インデンおよび/またはC1-4-アルキルインデン、ならび
にエチレン性不飽和芳香族化合物の総質量に対して、5~40重量%、好ましくは10~
35重量%、または15~35重量%、または25~35重量%のインデンおよび/また
はC1-4-アルキルインデンならびにエチレン性不飽和芳香族化合物を含有する。
【0051】
環状ジオレフィン成分として、環状ジオレフィン化合物の含有量が少ない混合物、例え
ば石油留分を用いる場合、上記のモノマー比を設定するために、1つまたは複数の共役シ
クロジアルケン、例えばシクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、ペンタメチル
シクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエンおよびエチルテトラメチルシクロペンタ
ジエンからなる環状ジオレフィン化合物を加えることも可能である。芳香族成分と、イン
デンおよび/またはC1-4-アルキルインデンならびに8~15個、好ましくは8~1
3個の炭素原子を有するエチレン性不飽和芳香族化合物についても同様である。
【0052】
モノマー混合物は、非重合性溶媒を含有することができる。適切な溶媒は、芳香族およ
びナフテン系溶媒またはその水素化生成物である。したがって、適切な溶媒は、例えば、
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、ジメチルシクロヘキ
サン、エチルシクロヘキサンまたはこれらの混合物である。溶媒は、好ましくは、モノ-
またはポリ-、特にモノ-またはジ-の、7~10個の炭素原子を有するアルキル置換芳
香族化合物、例えばo-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、および/またはエチル
ベンゼンを含有し得る。これらは、好ましくは100℃超、特に130℃超の沸点を有す
る。キシレンを溶媒として使用する場合、これは純粋な化合物として、または異性体のo
-キシレン、m-キシレン、およびp-キシレンの2つ以上の混合物として存在し得る。
【0053】
好ましい実施形態によれば、C-異性体混合物を溶媒として使用することができる。
-異性体混合物は、好ましくは、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレンおよび
エチルベンゼンの混合物を含む。
【0054】
石油留分およびタール蒸留からの構成物質は、非重合性構成物質、例えばキシレンなど
の非重合性芳香族を既に含有していることがある。したがって、環状ジオレフィン成分と
して石油留分を、および/または芳香族成分として石油留分もしくはタール蒸留からの石
構成物質を使用すれば、溶剤の添加を省略することが可能である。
【0055】
モノマー混合物は、0~40重量%の量の非重合性構成物質を含むことができる。非重
合性溶媒は、モノマー混合物中に、モノマー混合物の質量に対して0~40重量%の量で
存在することができる。モノマー混合物は、それぞれモノマー混合物の質量に対して、5
~35重量%、特に好ましくは5~30重量%、例えば約30重量%の非重合性溶媒を含
有することが好ましい。
【0056】
また、モノマー混合物は、モノマー混合物の質量に対して、0~40重量%、好ましく
は5~35重量%、より好ましくは5~30重量%、例えば約30重量%の量で非重合性
溶媒と非重合性構成物質を一緒に含有することが考えらえる。最後に、モノマー混合物は
、モノマー混合物の質量に対して、0~40重量%、好ましくは5~35重量%、より好
ましくは5~30重量%、例えば約30重量%の量の非重合性構成物質を含有することが
考えられる。
【0057】
一実施形態によれば、本方法は、実質的に酸素を排除して実行される。これにより、副
生成物の生成を低減することができる。特に、生成物中の酸基およびエステル基の形成を
回避することができる。これは、無色な水素化炭化水素樹脂を最適に達成するのに役立つ
。環状ジオレフィン成分および/または芳香族成分もしくは芳香族混合物、特にその貯蔵
容器は、好ましくは窒素などの保護ガスで不活性化される。炭化水素樹脂および/または
水素化炭化水素樹脂、特に炭化水素樹脂および/または水素化炭化水素樹脂の貯蔵容器も
、有利には、窒素などの保護ガスで不活性化される。
【0058】
本発明による方法では、モノマー混合物を重合温度まで迅速に加熱することができる。
モノマー混合物は、20℃/分~200℃/分、好ましくは30℃/分~200℃/分、
より好ましくは35℃/分~200℃/分、さらに好ましくは35℃/分~140℃/分
、特に好ましくは35℃/分~80℃/分または35℃/分~70℃/分の速度で加熱さ
れることが好ましい。特に、重合反応を開始する温度まで、特に最高180℃~235℃
の温度までモノマー混合物を加熱する際に、前述の加熱速度が用いられる。モノマー混合
物が180℃以上の温度に達した時点で、その後の温度は、前記以外の加熱速度で設定す
ることも可能である。本発明による加熱速度では副生成物の量が少なく、所与の軟化点に
おいて低いMz値を達成できることが見出された。
【0059】
重合は180℃の温度ですでに開始されるが、本発明による方法における重合は、より
高い温度で行うことも可能である。本発明による方法では、重合は、180℃以上の温度
で行われる。例えば、200℃~300℃、または230℃~300℃、または240℃
~280℃、または250℃~270℃の重合温度で重合を行うことができる。
【0060】
温度は重合中に変更することができる。例えば、重合中に温度を最終温度まで上昇させ
ることができる。温度の変化は、様々な方法で整理することができる。例えば、温度の変
化は、直線的であってもよいし、急激であってもよい。一実施形態によれば、前述の温度
は最終温度である。これは、重合プロセスの終了時に到達される。一実施形態によれば、
温度は、重合中、実質的に一定に保たれる。
【0061】
重合をすべて低温、特に240℃未満で行うと、生成物の軟化点が低くなり、ワックス
状になることがあることが分かっている。
【0062】
重合は、10bar以上の圧力で行うことができる。例えば、圧力は10~25bar
、特に10bar~20barまたは13bar~18barとすることができる。重合
が10bar未満で行われると、最終生成物の品質が劣る。また、収率も低くなる。さら
に、前述の圧力によって、気相の存在をほぼ回避することができる。これは、反応のより
良好な制御と、より良好な熱伝導を可能にする。
【0063】
重合は、連続的に行ってもよいし、非連続的に行ってもよい。重合は、好ましくは連続
的に行われる。連続的な操作モードでは、非連続的な方法よりも熱伝達が良好になるとい
う利点がある。さらに、プロセスを連続的に行えば操作コストが低くなり、本方法をより
確実に行うことができる。
【0064】
重合は、種々の反応容器で行うことができる。重合は、好ましくは、管状反応器中で連
続的に行われる。この手順は、連続重合を考えると特に有利であることが証明されている
。管状反応器において、重合は、30~180分、特に40~120分または50~90
分の保持時間の間、特に行うことができる。
【0065】
本発明に従って得られた炭化水素樹脂の特性を変更する場合、得られた炭化水素樹脂の
一部または全部を管状反応器に再循環させることができる。この措置は、例えば、炭化水
素樹脂の高分子量化を達成する場合に有効である。再循環は、好ましくは、流入ストリー
ムの原料混合物内に向けて行われる。再循環のための除去は、好ましくは、反応器出口の
下流および生成物ストリームからオリゴマーを分離する上流で行われる。本発明による方
法では、得られた生成物ストリームの質量に対して生成物ストリームの0~90重量%、
好ましくは25~75重量%を、流入ストリームのモノマー混合物中に再循環させること
ができる。このような再循環は、管状反応器において特に容易に行うことができる。
【0066】
本発明による方法では、環状ジオレフィン化合物に由来する単位および/または芳香族
成分に由来する単位を含有するオリゴマーを、生成物ストリームから分離してモノマー混
合物に戻す。重合後に、オリゴマーの一部、好ましくは全部と、任意の非重合性溶媒を、
バッチ式または好ましくは連続式の蒸発により生成物ストリームから有利に除去する。有
利には、蒸発の後、オリゴマーの一部または好ましくは全部を、バッチ式または好ましく
は連続式で、完全にまたは好ましくは部分的に凝縮することによって、任意の非重合性溶
媒から分離する。有利には、凝縮の後、オリゴマーを、さらなる重合のために、バッチ式
または好ましくは連続式でモノマー混合物に戻す。
【0067】
オリゴマーは、特に、絶対圧が100mbar以下、特に50mbar以下、好ましく
は30mbarで、温度が80℃以上、好ましくは80℃~120℃、より好ましくは9
0℃~120℃、さらに好ましくは100℃~120℃で沸騰し得る。オリゴマーは、絶
対圧が50mbar以下、好ましくは30mbarで、温度が90℃~120℃、特に1
00℃~120℃で沸騰することが特に好ましい。前述のオリゴマーの再循環は、前述の
条件下で部分凝縮器を操作することによって達成することができ、その部分凝縮器におい
て、オリゴマーは低沸点構成物質から分離される。
【0068】
さらに、オリゴマーは、好ましくは100~600g/molの分子量、より好ましく
は130~600g/mol、特に好ましくは150~600g/molの分子量を有し
得る。
【0069】
生成物ストリームからオリゴマーを分離し、次にオリゴマーをモノマー混合物に供給す
ることにより、高品質の炭化水素樹脂を得ることができることが分かった。特に、PDI
が1~2.3未満である炭化水素樹脂を得ることができる。さらに、特に、インデンを含
み、PDIが1~2.3未満である炭化水素樹脂を得ることができる。特に、これらの樹
脂は、その水素化後に、mPOおよびAPAO、特にmPO、APAOおよびEVACと
良好な相溶性を示す。
【0070】
さらに、本発明による方法では、得られた生成物ストリームからオリゴマーを分離し、
続いてそれをモノマー混合物に供給することにより、難溶性生成物を形成することなく一
定温度で重合を行うことも可能である。さらに、それによって変色の少ない炭化水素樹脂
を得ることができる。最後に、オリゴマーを再循環させることにより、収率を上げること
ができる。
【0071】
また、再循環オリゴマーは、非重合性構成物質および/または溶媒を含み得る。
【0072】
未反応のモノマーを溶媒と熱的に分離し、供給ストリームの原料混合物に加えることに
より再度再循環させることができる。これも、樹脂の収率を上げる。
【0073】
本発明による方法は、前述の範囲で沸騰するオリゴマーまたは前述の分子量を有するオ
リゴマーを選択的に分離することにより、効果的に実施することができる。特に、本発明
による方法は、オリゴマーの選択的な分離により、定常状態運転で収率よく実行すること
ができる。加えて、原料の供給量を調整する必要がない。さらに、石油留分またはタール
処理からの留分などの希釈原料も使用することができる。
【0074】
炭化水素樹脂を形成するためのモノマー混合物の重合は、好ましくは、ディールス-ア
ルダー反応とこれらのポリ-ディールス-アルダー生成物のラジカル結合の組み合わせに
よって行われる。
【0075】
本発明による炭化水素樹脂は、前記に記載の方法により得ることができる。
【0076】
本発明による炭化水素樹脂は、好ましくは、環状ジオレフィン化合物に由来する繰り返
し単位と、インデン単位および/またはC1-4-アルキルインデン単位とを含む。特に
、炭化水素樹脂は、芳香族成分に由来するさらなる単位を含むこともできる。例えば、炭
化水素樹脂は、スチレン、α-メチルスチレン、o-ビニルトルエン、m-ビニルトルエ
ン、および/またはp-ビニルトルエンに由来する単位も含有することができる。
【0077】
本発明による方法についての前記記載は、本発明による炭化水素樹脂の環状ジオレフィ
ン成分、環状ジオレフィン化合物、および芳香族成分にも適切に適用される。
【0078】
本発明による炭化水素樹脂は、好ましくは、少なくとも一部が、一般構造式(I)を有
し、
【化1】

式中、各Rおよび各Rは、互いに独立して、-H、-CH、-C、-n-
、-CH(CH、-n-C、-CHCH(CH、-CH(
CH)(C)および-C(CHからなる群より選択され、
各Rは、互いに独立して、-H、-CH、または-Cであり、
p、q、r、s、t、およびuは、互いに独立して、0~8の整数であり、
各n、各m、および各oは、互いに独立して、0~6の整数、好ましくは0~4の整数
、より好ましくは0~2の整数であり、
各a、各b、各c、および各dは、互いに独立して、1~4の整数、好ましくは1~2
の整数であり、
但し、炭化水素樹脂は、200~600g/mol、好ましくは220~500g/m
ol、より好ましくは250~400g/molの数平均分子量Mnを有し、インデン単
位および/またはC1-4-アルキルインデン単位を含有することを条件とする。
【0079】
したがって、この樹脂は、好ましくは、環状ジオレフィン成分および芳香族成分に含有
される、または環状ジオレフィン成分および/もしくは芳香族成分の構成物質のディール
ス-アルダー反応生成物である異なる単位を、ラジカル結合により相互に連結したコポリ
マーである。構造式(I)中の変数pで示される単位は、環状ジオレフィン化合物の単一
または複数のディールス-アルダー反応の結果である。構造式(I)中の変数qおよびr
で示される単位は、環状ジオレフィン化合物とエチレン性不飽和芳香族化合物またはイン
デンもしくはC-Cアルキルインデンとのディールス-アルダー反応の結果であり、
追加の環状ジオレフィン化合物が任意にディールス-アルダー反応によって組み込まれて
いる。構造式(I)中の変数sで示される単位は、ディールス-アルダー反応を経ていな
いラジカル結合によって組み込まれた環状ジオレフィン化合物である。構造式(I)中の
変数tで示される単位は、環状ジオレフィン化合物とのディールス-アルダー反応を経て
いないラジカル結合により組み込まれた、インデン単位またはC1-4-アルキルインデ
ン単位である。構造式(I)中の変数uで示される単位は、ラジカル結合により組み込ま
れ、エチレン性不飽和芳香族化合物に由来し、環状ジオレフィン化合物とのディールス-
アルダー反応を経ていない単位である。
【0080】
構造式(I)において、特に変数p、q、r、s、t、およびuを有する単位の順序、
存在、および数は、炭化水素樹脂の個々のコポリマー分子について統計的に異なることが
ある。変数n、m、およびoは、それぞれの単位において、1つまたは複数の環状ジオレ
フィン化合物がディールス-アルダー反応によって互いに結合しているか否かを示す。有
利には、構造式(I)中の変数pで示される単位に対し、pが1より大きい場合、各nが
、互いに独立して、0~6、好ましくは0~4、より好ましくは0~2の整数であり得る
ことが適用される。構造式(I)中の変数qおよびrで示される単位についても同様であ
る。
【0081】
変数p、q、r、s、t、およびuの和は、好ましくは少なくとも1、より好ましくは
1~10、さらに好ましくは1~8、特に好ましくは2~6である。
【0082】
構造式(I)で示されるように、異なる単位は置換されていてもよい。特に、芳香族単
位は多置換することができる。
【0083】
本発明による炭化水素樹脂は、1~2.3未満のPDIを有する。炭化水素樹脂は、好
ましくは1~2.1、好ましくは1.5~2.0、より好ましくは1.5~1.95の多
分散性指数(PDI)を有する。前述のPDIを有する炭化水素樹脂は、ホットメルト接
着剤のベースポリマー、特にmPO、APAO、およびEVACと非常に良好な相溶性を
有することが分かっている。
【0084】
本発明による炭化水素樹脂は、炭化水素樹脂の総質量に対して、好ましくは1~20重
量%、好ましくは4~20重量%、より好ましくは4~16重量%、さらに好ましくは5
~15重量%、特に好ましくは7~13重量%のインデン単位および/またはC1-4
アルキルインデン単位を含有する。前述の量のインデン単位および/またはC1-4-ア
ルキルインデン単位を有する炭化水素樹脂は、ホットメルト接着剤のベースポリマー、特
にmPO、APAO、およびEVACと非常に良好な相溶性を有することが分かっている
【0085】
炭化水素樹脂中のインデンの含有量は、例えば、水素炎イオン化検出器(FID)を用
いた熱分解ガスクロマトグラフィーにより求めることができる。また、この方法を用いて
、炭化水素樹脂中の残存単位の含有量を求めることもできる。
【0086】
炭化水素樹脂は、炭化水素樹脂の総質量に対して、好ましくは40~85重量%、より
好ましくは45~70重量%、さらに好ましくは45~65重量%の環状ジオレフィン化
合物に由来する単位を含有する。
【0087】
インデンおよび/またはC1-4-アルキルインデンと、それぞれ互いに独立して、8
~15、好ましくは8~13の炭素原子を有する少なくとも1つ、特に少なくとも2つの
エチレン性不飽和芳香族化合物とを含有する混合物を芳香族成分として用いる場合、炭化
水素樹脂は、インデン単位および/またはC1-4-アルキルインデン単位に加えて、エ
チレン性不飽和芳香族化合物に由来するさらなる単位も好ましくは有することが可能であ
る。炭化水素樹脂は、炭化水素樹脂の総質量に対して、好ましくは5~25重量%、好ま
しくは10~25重量%、より好ましくは15~25重量%のインデン単位および/また
はC1-4-アルキルインデン単位ならびにエチレン性不飽和芳香族化合物に由来する単
位を含有する。
【0088】
炭化水素樹脂は、800~2450g/mol、好ましくは800~1800g/mo
l、より好ましくは800~1750g/mol、さらに好ましくは800~1700g
/molのMzを有することが好ましい。
【0089】
様々な分子量が当業者に知られている。従って、当該者は、数平均分子量Mn、重量平
均分子量Mw、および遠心平均分子量Mzを知っている。本例では、遠心平均分子量Mz
は略して分子量Mzともいう。数平均分子量Mnと重量平均分子量Mwの比Mw/Mnは
多分散性PDIという。
【0090】
分子量Mn、Mw、およびMzを求める方法は、当業者に知られている。例えば、当該
者は、ゲル浸透クロマトグラフィーの助けを借りて、または質量分析の手段によって、好
ましくはゲル浸透クロマトグラフィーによって、分子量Mn、Mw、およびMzを求める
ことができる。ゲル浸透クロマトグラフィーによる測定では、溶離液としてTHFが好ま
しくは用いられる。校正基準としては、好ましくはポリスチレンが用いられる。ゲル浸透
クロマトグラフィーによる測定は、有利には、空隙率1,000Åのリニアカラムを使用
して行われる。好ましくは屈折率およびUV検出器が使用される。モル質量に加えて、U
V検出器を用いてモル質量部の水素化度を表示することも可能である。
【0091】
さらに、炭化水素樹脂は、200~600g/mol、より好ましくは220~500
g/mol、特に好ましくは250~400g/molのMnを有することが好ましい。
本発明による炭化水素樹脂は、有利には、300~800g/mol、好ましくは400
~800g/mol、特に好ましくは500~800g/molのMwを有する。
【0092】
当業者には明らかなように、オリゴマーについて与えられた分子量は、本発明による炭
化水素樹脂について与えられた好ましい数平均または重量平均分子量と直接比較すること
はできない。これは特に、オリゴマーについての分子量が絶対分子量であるのに対し、本
発明による炭化水素樹脂について与えられた好ましい分子量は、前述の分子量を有するポ
リスチレン基準に対する相対分子量であるという事実による。
【0093】
炭化水素樹脂は、ASTM D3461規格に準拠したリングおよびボール法により求
めた軟化点が80℃~140℃、好ましくは90℃~130℃、より好ましくは100℃
~120℃であることが好ましい。
【0094】
また、本発明による炭化水素樹脂は、若干の着色を有していてもよい。炭化水素樹脂は
、14以下、好ましくは12以下、より好ましくは11以下のガードナー色数を有するこ
とが好ましい。本発明による炭化水素樹脂は、それにより、例えば、ホットメルト接着剤
、ゴム製品、ビチューメン、および印刷インキにおいて良好な水素化能力を有し、他の成
分と良好な相溶性を有する。
【0095】
ガードナー色数は、好ましくはISO 4630、特にISO 4630:2015に
従って決定される。
【0096】
本発明による炭化水素樹脂は、好ましくは、水素化されていない。特に、本発明による
炭化水素樹脂は、H-NMRスペクトル中の芳香族プロトンの含有量が、H-NMR
スペクトル中のプロトンの総量に対して、1%~30%、特に2%~25%、または3%
~20%であることが可能である。特に、本発明による炭化水素樹脂は、H-NMRス
ペクトル中のオレフィン系プロトンの含有量が、H-NMRスペクトル中のプロトンの
総量に対して、1%~20%、特に1%~10%または3%~10%であることが可能で
ある。H-NMRスペクトルは、好ましくはCDCl中で測定する。芳香族プロトン
は、CDCl中のH-NMRスペクトルにおいて、好ましくは6.01ppm~8.
00ppmの範囲に現れる。オレフィン系プロトンは、CDCl中のH-NMRスペ
クトルにおいて、好ましくは5.00ppm~6.00ppmの範囲に現れる。
【0097】
さらに、本発明による炭化水素樹脂は、効果的に水素化することができる。特に、本発
明による炭化水素樹脂は、室温で液体である飽和炭化水素の混合物、特に芳香族を含まな
い精製ガソリンに室温で可溶である。このような混合物は、D40、例えばExxsol
D40またはShellsol D40という名称で商業的に利用可能である。
【0098】
さらに、本発明による炭化水素樹脂は、0.5~5時間、好ましくは0.5~3時間、
特に好ましくは0.75~1.5時間で、黄色度指数が5以下、好ましくは3以下、特に
好ましくは1以下となるように水素化することが可能である。なお、黄色度指数は、AS
TM D1209-05(2011)規格またはISO 6271:2015規格に従っ
て求められる。効果的に水素化することができる炭化水素樹脂は、技術的により簡便かつ
安価に水素化することができる。得られた水素化炭化水素樹脂は、例えば、ホットメルト
接着剤において、他の成分と良好な相溶性を有する。また、それは変色が少ないため、幅
広い用途に使用することができる。
【0099】
水素化時に、高度な水素化を達成することができる。例えば、本発明による炭化水素樹
脂を水素化して、残留芳香族含有量を0.2%未満、好ましくは0.15%未満、特に好
ましくは0.09%未満にすることができる。低い残留芳香族含有量は、変色に関してよ
り安定な炭化水素樹脂をもたらす。
【0100】
一実施形態によれば、本発明による炭化水素樹脂は、本発明による方法、特に前記に記
載の方法によって得られる。
【0101】
本発明による炭化水素樹脂は、本明細書で述べた用途、特に接着剤用途に直接使用する
ことができる。
【0102】
本発明による炭化水素樹脂は、特に溶媒、未反応モノマー、およびオリゴマーを分離し
た後に、さらに処理することもできる。特に、本発明による炭化水素樹脂は、官能化およ
び/または水素化することができる。
【0103】
このため、本発明による方法において、重合後に水素化を行うことができる。炭化水素
樹脂を水素化することにより、水素化炭化水素樹脂が得られる。したがって、炭化水素樹
脂は、好ましくは、水素化炭化水素樹脂を得るために、後続の水素化ステップにおいて部
分的または完全に水素化される。
【0104】
炭化水素樹脂は、特に、部分的または完全に水素化することができる。水素化は、好ま
しくは、触媒の存在下で行われる。触媒としては、種々の触媒を使用することができる。
例えば、ニッケル系、パラジウム系、コバルト系、白金系、およびロジウム系の触媒を水
素化に使用することができる。触媒としては、ニッケルが有利に使用される。前述の触媒
は、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、ゼオライト、モンモリロナイトなどの粘土鉱物、
および炭化ケイ素などの基質に適用することができる。炭化水素樹脂の水素化は、好まし
くはニッケル触媒の存在下で行われる。さらなる好ましい実施形態によれば、ニッケル触
媒は、酸化アルミニウム/酸化ケイ素の基質上で使用される。これらの触媒は、商業的に
入手可能である。ニッケル触媒は、特に、不均一な形態で存在し得る。その結果、水素化
が終了した後、濾過によって容易に除去することができる。
【0105】
用語「部分的な水素化」は、主にオレフィン性二重結合が水素化されること、または炭
化水素樹脂の芳香族単位の一部も水素化されることを意味すると理解される。炭化水素樹
脂は、好ましくは、水素化において完全に水素化される。完全水素化では、有利にはオレ
フィン性二重結合の少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少
なくとも95%、特に好ましくは少なくとも99%と、有利には芳香族二重結合の少なく
とも70%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、特に好ま
しくは少なくとも99%が水素化される。部分水素化では、オレフィン性二重結合の少な
くとも70%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%、
特に好ましくは少なくとも99%と、有利には芳香族二重結合の50%以下、好ましくは
30%以下、より好ましくは10%以下が水素化される。
【0106】
完全水素化は、後反応により形成される副生成物が少ないため、炭化水素樹脂の変色を
可能な限り避けることができるという利点がある。
【0107】
炭化水素樹脂が部分的にまたは完全に水素化されているか否かは、NMR分光法、特に
H-NMR分光法により芳香族および/またはオレフィン性二重結合の含有量を求め
ることによって決定することができる。残留芳香族含有量は、好ましくは、H-NMR
スペクトル中のプロトンの総量に対する芳香族プロトンの含有量を示す。
【0108】
水素化は、溶媒、特に脂肪族溶媒の存在下で行うことができる。室温で液体である飽和
炭化水素の混合物、好ましくは155℃~170℃、より好ましくは160℃~165℃
の沸点を有するものも、溶媒として使用することができる。適切な溶媒は、例えば、精製
ガソリンである。このような混合物は、D40、例えばExxsol D40またはSh
ellsol D40という名称で商業的に利用可能である。溶媒を加えることにより、
炭化水素樹脂の粘度を低下させることができる。さらに、D40などの脂肪族溶媒を使用
することで、芳香族溶媒の使用と比較して水素を節約することができる。
【0109】
好ましくは、炭化水素樹脂の質量に対して、80重量%以上、特に90重量%以上また
は100重量%以上の溶媒を炭化水素樹脂に加えることができる。炭化水素樹脂と溶媒を
含有する水素化混合物が好ましく使用される。水素化混合物は、有利には溶液である。水
素化混合物は、好ましくは50%の炭化水素樹脂を含む。
【0110】
水素化は、非連続的に行ってもよいし、連続的に行ってもよい。好ましくは、水素化は
、連続的に行われる。連続的または非連続的な水素化は、非水素化炭化水素樹脂を形成す
るための重合とは独立である。したがって、重合を連続的に行い、水素化を非連続的に行
うことができ、またはその逆も可能である。さらに、重合と水素化を連続的に行うことも
可能である。最後に、重合と水素化を非連続的に行うことも可能である。
【0111】
水素化は、有利には、ループ反応器において行うことができる。水素化混合物は、水素
化の間、便宜上、循環される。ループ反応器は、有利には、気液エジェクタを有する。気
液エジェクタと組み合わせてループ反応器を使用することにより、水素化される炭化水素
樹脂は、水素および任意に加えられる触媒と特によく混合され、その結果、水素化の時間
を短縮することができる。
【0112】
水素化は、好ましくは60bar超、特に65bar~105bar、または65ba
r~100bar、または70bar~95barの圧力で行われる。このようにして、
炭化水素樹脂の水素化を所望の程度に設定することができる。
【0113】
また、水素化は、240℃以上、特に240℃~300℃、または250℃~280℃
の温度で行うことが好ましい。240℃未満の水素化温度では水素化の進行が遅く、30
0℃を超えるとますます多くの副生成物が形成され得ることが判明した。
【0114】
工業的規模で慣用されているループ反応器では、50~160分、好ましくは60~1
50分、特に好ましくは80~150分、水素化を行うことができる。このようにして、
水素化炭化水素樹脂の所望の程度の水素化および明度を設定することができる。
【0115】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、重合後および水素化後の両方に発泡段階が設
けられる。重合後の第1発泡段階は、高揮発性成分、特に溶媒および/または未反応モノ
マーおよび/またはオリゴマーを生成物ストリームから除去する役割を果たす。第1発泡
段階での圧力差を利用することにより生成物ストリームはフラッシングされ、その結果、
より高揮発性の成分が除去される。炭化水素樹脂を含有する生成物ストリームは、好まし
くは200℃~300℃の温度で、特に好ましくは220℃~260℃または230℃~
250℃の温度で第1発泡段階に導入することができる。
【0116】
第1発泡段階の後、炭化水素樹脂は、それぞれ炭化水素樹脂の質量に対して、溶媒およ
び/または未反応モノマーを3重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0
.5重量%以下しか含有しないことが好ましい。
【0117】
第1発泡段階において、絶対圧力を1bar以下、好ましくは0.1bar以下、特に
好ましくは0.03bar以下に低下させることが可能である。圧力の低下は、薄膜蒸発
器または水除去装置などの複雑な撹拌システムを省くことができることを意味する。これ
は、本方法をよりコスト効率よく、失敗しにくい方法で行うことができることを意味する
。しかし、薄膜蒸発器は、重合およびそれに続く第1発泡段階の後に本方法で使用するこ
ともできる。その結果、重合後の炭化水素樹脂中の溶媒の含有量を低くすることができる
【0118】
第2発泡段階を、好ましくは、水素化の後に設けることができる。第2発泡段階におい
て、揮発性構成物質、特に溶媒の少なくとも一部を、追加の熱応力によって多量の副生成
物が生じることなく、かつ樹脂の色指数を損なうことなく、水素化炭化水素樹脂から除去
することが可能である。第2発泡段階後の水素化炭化水素樹脂は、それぞれ水素化炭化水
素樹脂の質量に対して、2重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、または0.03重
量%以下の溶媒を有していることが好ましい。
【0119】
第2発泡段階での減圧は、2回の発泡ステップで行うことができる。第1発泡ステップ
では、絶対圧を0.5bar以下、好ましくは0.2bar以下、好ましくは0.05b
ar以下、特に好ましくは0.01bar以下に減圧することができる。水素化処理の後
、好ましくは、まず触媒を除去する。触媒は、例えば、濾過によって除去することができ
る。水素化混合物は、190℃~270℃、より好ましくは200℃~260℃、さらに
好ましくは210℃~250℃、さらになお好ましくは220℃~240℃、さらに一層
好ましくは230℃の温度で第1発泡ステップに導入されることが好ましい。第1発泡ス
テップの後、水素化混合物は、190℃~270℃、好ましくは200℃~260℃、特
に好ましくは210℃~250℃または220℃~240℃の温度で第2発泡ステップに
導入することができる。第2発泡ステップにおいて、絶対圧は、好ましくは0.1bar
以下、好ましくは0.05bar以下、より好ましくは0.03bar以下、さらに好ま
しくは0.01bar以下に減少させることができる。
【0120】
さらに、先に任意に加えられた触媒が除去された水素化混合物は、第2発泡段階の直前
に予備発泡段階に導入することができる。水素化混合物は、240℃~300℃、好まし
くは250℃~290℃、特に好ましくは260℃~280℃の温度を有することができ
る。予備発泡段階において、過圧は、3bar以下、好ましくは2bar以下、より好ま
しくは1.5bar以下、さらに好ましくは1bar以下に低減できることが好ましい。
【0121】
予備発泡段階が設けられている場合、予備発泡段階から取り出された混合物は、好まし
くは、第2発泡段階に導入される。
【0122】
1つまたは複数の発泡段階を設けることにより、炭化水素樹脂および/または水素化炭
化水素樹脂を高温に保つ時間を短縮することができる。これは、副生成物の低減にも役立
ち得る。
【0123】
一実施形態によれば、水素化の後に、2つのフラッシュ蒸発ステップが設けられる。こ
れらの2つのフラッシュ蒸発ステップは、好ましくは、第2発泡段階を形成する。この目
的のために、好ましくは、最初に触媒が除去される。触媒は、例えば、濾過によって除去
することができる。続いて、第1フラッシュ蒸発ステップにおいて、好ましくは触媒を含
まない水素化混合物が、第1加圧容器内に導かれる。第1加圧容器内の圧力は、水素化混
合物の圧力よりも低い。第1加圧容器内の水素化混合物の圧力は、好ましくは3bar以
下、好ましくは2bar以下、より好ましくは1.5bar以下、さらに好ましくは1b
ar以下の絶対圧力まで低下させる。このようにして、特に水素を水素化混合物から除去
することができる。
【0124】
第2フラッシュ蒸発ステップでは、得られた混合物を第2加圧容器に導く。第2加圧容
器内の圧力は、得られた混合物の圧力よりも低い。第2加圧容器内の得られた混合物の圧
力は、0.1bar以下、好ましくは0.05bar以下、特に好ましくは0.03ba
r以下に低下させることが好ましい。特に、溶媒はこのようにして除去することができる
。第2フラッシュ蒸発ステップの後、有利には、0.01bar以下、好ましくは0.0
05bar以下、より好ましくは0.003bar以下で操作される薄膜蒸発器が提供さ
れる。このようにして、溶媒は、水素化炭化水素樹脂から大部分除去することができる。
【0125】
水素化混合物は、190℃~270℃、より好ましくは200℃~260℃、さらに好
ましくは210℃~250℃、さらになお好ましくは220℃~240℃、さらに一層好
ましくは230℃の温度で第1フラッシュ蒸発ステップに導入されることが好ましい。第
1フラッシュ蒸発ステップの後、水素化混合物は、190℃~270℃、好ましくは20
0℃~260℃、特に好ましくは210℃~250℃、または220℃~240℃の温度
で第2フラッシュ蒸発ステップに導入することができる。第2フラッシュ蒸発ステップの
後、水素化混合物は、180℃~260℃、好ましくは190℃~250℃、特に好まし
くは200℃~240℃、または210℃~230℃の温度で薄膜蒸発器に導入すること
ができる。
【0126】
本発明による水素化炭化水素樹脂は、本発明による炭化水素樹脂を水素化すること、お
よび/または本明細書に記載の方法によって得ることができる。
【0127】
オレフィン性二重結合は、少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%または少な
くとも95%または少なくとも99%水素化されている形態で、水素化炭化水素樹脂に存
在することが好ましい。オレフィン性二重結合の部分的または完全な水素化により、水素
化炭化水素樹脂における変色の発生を低減することができる。代替的にまたは追加的に、
芳香族二重結合は、少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%または少なくとも9
5%または少なくとも99%水素化されている形態であることができる。芳香族二重結合
の部分的または完全な水素化により、水素化炭化水素樹脂における変色の発生を低減する
ことができる。より安定な樹脂が得られる。
【0128】
水素化炭化水素樹脂は、有利には、0.1%未満、好ましくは0.05%未満、特に好
ましくは0.01%未満のオレフィン性二重結合の残留含有量、および0.2%未満、好
ましくは0.15%未満、特に好ましくは0.09%未満の残留芳香族含有量を有する。
二重結合の含有量は、H-NMR分光法により求めることができる。
【0129】
水素化炭化水素樹脂は、800~2500g/mol、好ましくは800~1800g
/mol、より好ましくは800~1600g/mol、特に好ましくは800~140
0g/molのMzを有することが好ましい。さらに、水素化炭化水素樹脂は、有利には
、200~600g/mol、好ましくは220~500g/mol、特に好ましくは2
20~400g/molのMnを有する。水素化炭化水素樹脂は、300~800g/m
olのMw、より好ましくは250~700g/mol、特に好ましくは300~600
g/molのMwを有することが好ましい。
【0130】
水素化炭化水素樹脂は、1~2.3未満、好ましくは1.5~2.2、特に好ましくは
1.5~2.1の多分散性指数を有することが好ましい。
【0131】
ASTM D3461規格に準拠したリングおよびボール法による水素化炭化水素樹脂
の軟化点は、80℃~140℃、好ましくは90℃~130℃、または90℃~125℃
であることが好ましい。
【0132】
さらに、水素化炭化水素樹脂は、40以下、特に25以下のヘイゼン色数を有すること
ができる。ヘイゼン色数は、DIN EN ISO 6271:2016-05規格によ
って決定される。ヘイゼン色数は、白金コバルト色数ともいうことができる。
【0133】
水素化炭化水素樹脂は、有利には、3以下、好ましくは1以下の黄色度指数を有する。
黄色度指数は、ASTM D1209-05(2011)規格に従って決定される。
【0134】
炭化水素樹脂の前述の利点、特に良好な相溶性、低着色性、汎用性、および良好な安定
性は、水素化炭化水素樹脂にも適宜適用される。
【0135】
また、本発明の主題は、
-本発明による炭化水素樹脂または本発明による水素化炭化水素樹脂と、
-接着剤ベースポリマー、例えばメタロセンポリオレフィン、またはエチレン-酢酸
ビニルコポリマー、または非晶質ポリアルファオレフィン、またはスチレンブロックコポ
リマーとを含む組成物である。
【0136】
本発明のさらなる主題は、ホットメルト接着剤、特にメタロセンポリオレフィン、エチ
レン-酢酸ビニルコポリマー、非晶質ポリアルファオレフィン、もしくはスチレンブロッ
クコポリマーに基づくホットメルト接着剤における、および/または溶剤含有接着剤、特
に溶剤含有スチレンブロックコポリマーの接着剤における、タック付与剤またはタッキフ
ァイヤーとしての本発明による炭化水素樹脂または本発明による水素化炭化水素樹脂の使
用である。
【0137】
本発明の主題はまた、ゴム製品における、特にゴム製品における機械的および動的特性
を改善するための改質剤としての、ビチューメンにおける、特にビチューメン、特にアス
ファルト用の添加剤および/もしくは疎水化剤としての、または印刷インクにおける改質
剤および/もしくは疎水化剤としての炭化水素樹脂の使用である。
【0138】
さらに、本発明の主題は、塗料における添加剤としての;プラスチック材料における、
特にプラスチック材料における改質剤としての;ゴムにおける;ビチューメンにおける、
特にビチューメンにおける、例えばルーフィングフェルト用の疎水化剤としての;ポリプ
ロピレンフィルムにおける、特にポリプロピレンフィルム、特にBOPPフィルムにおけ
る改質剤および/もしくは疎水化剤としての;化粧品における;または粘着性組成物にお
ける、特に衛生製品産業での用途および食品包装での使用のためのタッキファイヤーとし
ての、水素化炭化水素樹脂の使用である。
【実施例0139】
本発明について、炭化水素樹脂の例示的で非限定的な製造と、その後の水素化炭化水素
樹脂を製造するための水素化を用いて、以下により詳細に説明する。特定された圧力は絶
対圧である。
【0140】
図1に模式的に示す連続重合法において、ジシクロペンタジエン、メチルシクロペンタ
ジエンダイマー、およびシクロペンタジエン-メチルシクロペンタジエンダイマー(以下
、環状ジオレフィン化合物という)に富む石油留分(Dow Chemical社からB
N-200として利用可能、以下BN-200という)を供給タンク11内に置く。BN
-200は、BN-200の総質量に対して、約50重量%の環状ジオレフィン化合物と
、約2.5重量%のインデンおよびC1-4-アルキルインデンと、約6重量%のエチレ
ン性不飽和芳香族化合物と、約41.5重量%の非反応性成分とをそれぞれ含有する。供
給タンク12内には、スチレン、ビニルトルエン、インデン、およびメチルインデン(以
下、エチレン性不飽和芳香族という)に富むさらなる石油留分(以下、C9留分という)
を置く。C9留分は、芳香族混合物である。C9留分は、約27重量%のインデンおよび
アルキルインデン誘導体と、1重量%のスチレンと、12.5重量%のスチレンのアルキ
ル誘導体と、約59.5重量%の非反応成分とを含有する。供給タンク13は、少なくと
も95%の純度を有するジシクロペンタジエンを含有する。供給タンク14は、不活性溶
媒としてキシレンを含有する。
【0141】
実験の一般的な実施
レシーバー15において、供給タンク11、12、13、および14からモノマー混合
物が生成される。それがレシーバー15に導入されると、モノマー混合物は、静的ミキサ
ーによって混合される。また、レシーバー15には、混合用の撹拌機を設けることもでき
る。モノマー混合物がモノマー混合物中の環状ジオレフィン化合物およびエチレン性不飽
和芳香族の質量に対して、環状ジオレフィン化合物とエチレン性不飽和芳香族を約2:1
~約4:1の比で含有するように、構成物質であるBN-200、C9留分、純ジシクロ
ペンタジエン、およびキシレンが供給タンク11、12、13および14から取り出され
る。この比は、特に供給タンク13から純ジシクロペンタジエンを加えることによって設
定することができる。また、モノマー混合物は、モノマー混合物の質量に対して、40%
の不活性成分を含有する。
【0142】
この混合物は、まず、レシーバー15から10kg/hの供給ストリームでヒーター1
6に導入される。モノマー混合物は、ヒーター16で195℃の温度にされ、次いで、管
状反応器20内で重合される。モノマー混合物の温度は、ヒーター16内で、約68℃/
分の加熱速度で195℃まで上げられる。モノマー混合物は、加熱の間だけヒーター16
内に置かれ、その後、管状反応器20に直接移される。従って、モノマー混合物のヒータ
ー16内での総滞留時間は、約2.5分である。20秒未満という短い滞留時間のため、
特に180℃以上の反応関連温度では、ヒーター16内で生成物形成反応が有意な程度に
起こることはない。管状反応器20では、モノマー混合物の温度が約20℃/分の加熱速
度で265℃まで上げられ、モノマー混合物の重合によって、環状ジオレフィン化合物と
エチレン性不飽和芳香族との反応生成物が形成される。管状反応器20内の圧力は13b
arである。管状反応器20内の滞留時間は、60分である。加熱時および重合中は、モ
ノマー混合物は実質的に単相の液体である。
【0143】
10kg/hが管状反応器20の出口で流出ストリームから除去され、管状反応器20
の入口でライン23を通ってモノマー混合物に再び加えられる。さらに、プロセスの後の
過程で炭化水素樹脂および不活性溶媒から分離される5kg/hのオリゴマーが、モノマ
ー混合物に再び混合される。このように、管状反応器20には、再循環させた反応器生成
物ストリームと再循環させたオリゴマーとのモノマー混合物25kg/hが連続的に供給
される。
【0144】
10kg/hの反応器生成物ストリームを除去した後、炭化水素樹脂、溶媒、残留モノ
マー、およびオリゴマーの生成物ストリーム15kg/hが管状反応器20から得られ、
フラッシュ蒸発器21に導入される。そのストリームは、265℃の温度および13ba
rの圧力でフラッシュ蒸発器21に入る。フラッシュ蒸発器21において、ストリームの
圧力は30mbarに低減される。これにより、炭化水素樹脂中の溶媒、未反応モノマー
およびオリゴマーの含有量は、0.5重量%以下に低減される。炭化水素樹脂から実質的
になるフラッシュ蒸発器21からの塔底生成物は、7kg/hの塔底生成物ストリームと
して中間貯蔵タンク22に供給される。フラッシュ蒸発器21からは、溶媒と、未反応モ
ノマーと、オリゴマーとを含む8kg/hの蒸気流が上方に排出される。フラッシュ蒸発
器21からの塔底生成物をさらに精製するために、フラッシュ蒸発器21の後に薄膜蒸発
器を使用することも可能である。まだ水素化されていない炭化水素樹脂は、ライン22’
を通って中間貯蔵タンク22から除去することができる。
【0145】
フラッシュ蒸発器21からの蒸気ストリームは部分凝縮器24に導かれ、ここでオリゴ
マーが液相として分離され、溶媒および未反応モノマーが蒸気相として分離される。オリ
ゴマーは、ライン24’を通って管状反応器20の入口で、5kg/hのオリゴマースト
リームとしてモノマー混合物に供給される。溶媒および未反応モノマーは、ライン24”
を通って運び去られる。部分凝縮器は、30mbarの圧力および110℃の温度で操作
される。その結果、オリゴマーはモノマー混合物に選択的に再循環されるが、非反応性物
質はほとんど除去される。石油留分の使用にもかかわらず、本方法は原料供給を調整する
ことなく安定的に運用することができる。
【0146】
炭化水素樹脂の特性
各種モノマー混合物および得られた炭化水素樹脂を以下の表1に示す。
【表1】

表1の説明:環状ジオレフィン化合物、インデンまたはインデン誘導体、およびエチレ
ン性不飽和芳香族の質量に対する、CD-モノマー混合物中の環状ジオレフィン化合物の
重量%単位の含有量;VA-環状ジオレフィン化合物、インデンまたはインデン誘導体、
およびエチレン性不飽和芳香族の質量に対する、モノマー混合物中のエチレン性不飽和芳
香族の含有量;インデン-樹脂の総質量に対する、樹脂中の重量%単位のインデン含有量
;Mn-g/mol単位の数平均分子量;Mw-g/mol単位の重量平均分子量;PD
I-多分散性指数;Mz-g/mol単位の遠心平均分子量;EP-ASTM D346
1に準拠した℃単位の軟化点;ガードナー-ISO 4630に準拠したガードナー色数
;*-オリゴマーがモノマー混合物に戻されず、純BN-200が私用され、C9が使用
されなかった比較例;**-オリゴマーがモノマー混合物に戻されなかった比較例。
【0147】
分子量Mn、Mw、およびMzはゲル浸透クロマトグラフィーで求めた。溶離液として
THFを使用し;操作特徴はオーブン温度40℃でアイソクラティックであった。直線状
の架橋ポリスチレンプレカラムに加え、それぞれ1000Åの空隙率を有する直線状架橋
ポリスチレンカラムを3本使用した。検出器には、屈折率検出器とUV検出器を使用した
。校正には、266g/mol~66,000g/molのポリスチレン基準と質量16
2g/molの基準を有するポリスチレンキット(PSS社製Ready Cal Ki
t)を使用した。
【0148】
インデン含有量は、水素炎イオン化検出器付き熱分解ガスクロマトグラフィーにより求
めた。それぞれの炭化水素樹脂を白金フィラメントに塗布し、熱分解チャンバー、例えば
Porylab社製のPyrola 2000に導入した。熱分解チャンバーは、60m
キャピラリーカラム(例えば、Macherey-Nagel社製の0.25μm膜厚の
Optima 1MS)を備えたガスクロマトグラフ、例えば、Thermo Trac
e GC Ultraに接続し、その出口は、水素炎イオン化検出器に結合された。熱分
解は、白金フィラメントを600℃に急速加熱することにより達成した。白金フィラメン
トはヘリウムキャリアガスストリームに直接取り付けられ、熱分解片はガスクロマトグラ
フに運ばれて分離された。
【0149】
炭化水素樹脂の水素化
中間貯蔵タンク22から炭化水素樹脂1~5をそれぞれ250gずつ、5つの異なる水
素化において取り出し、撹拌しながらShellsol D40の250gに溶解させる
。得られた溶液の500gをオートクレーブ(Parr Instruments社製の
1Lオートクレーブ、4530シリーズ反応器)に導入する。次に、シリカ上のニッケル
触媒を撹拌しながら加える(樹脂溶液の総質量に対して、0.75重量%のニッケル触媒
)。その後、反応器を閉じ、50℃、40barの圧力で窒素を用いて気密性をテストす
る。気密性が確認された後、窒素を水素に交換し、反応器の出口を閉じる。
【0150】
反応を開始するために、水素の圧力を40barまで上げる。次に、反応混合物を、加
熱油で作動する熱交換器を使用して、45~50分以内に265~270℃の反応温度ま
で加熱する。反応温度に達した後、水素圧を85barにゆっくりと調整する。水素化の
ために、反応混合物は、265℃および85barでさらに3~5時間、連続的に水素を
追加投入しながら保持される。反応器内の水素消費量が0.5L/h未満になると、水素
化は完了したとみなされる。
【0151】
反応終了後、水素供給ストリームと加熱油のスイッチを切る。反応器内を再び窒素で満
たし、約1時間以内に約70℃まで冷却する。その後、水素化炭化水素樹脂を含有する樹
脂溶液を濾過し、三口フラスコに充填する。
【0152】
水素化後に得られた樹脂溶液を、水蒸気蒸留により蒸留する。このため、三口フラスコ
内で樹脂溶液を180℃に加熱し、浸漬管によって360℃の蒸気を樹脂溶液に通過させ
る。加えて、フラスコはコールドトラップを介して真空ポンプに接続されているため、約
10mbarの圧力で穏やかに蒸留を行うことができる。
【0153】
通常、約2時間の蒸留後、溶媒はほぼ分離される。高温で液状の水素化樹脂を瓶詰めす
る前に、水素化樹脂の質量に対して0.5重量%の酸化防止剤、例えばIrganox
1010を加えて均質化する。
【0154】
このようにして、炭化水素樹脂1、2、3、4、5、および6から、水素化炭化水素樹
脂1-H、2-H、3-H、4-H、5-H、および6-Hを得ることができる。
【0155】
また、上述した重合は、不連続に行うこともできる。また、上述した水素化は、連続的
に操作することもできる。
【0156】
また、先の例で説明した方法は、実質的に酸素を排除して行うこともできる。
【0157】
水素化炭化水素樹脂の特性
水素化炭化水素樹脂1-H~6-Hは、完全に水素化されている。また、オレフィン性
二重結合の含有量が0.01%未満、残存芳香族含有量が0.1%未満である。水素化炭
化水素樹脂1-H~6-Hは、それぞれVOC含有量が300ppm未満である。さらに
、水素化炭化水素樹脂1-H~6-Hは、表2および表3に示す以下の特性を有する。
【0158】
樹脂の相溶性は、後述する方法に従って曇り点を求めることにより決定した。樹脂1-
H~6-Hのそれぞれについて、ベースポリマー3gと関連する樹脂3gとの混合物を調
製した。次に、この混合物を内径16mmの試験管に入れて、オイルバス中で透明な溶液
が得られるまで加熱し、最高温度は260℃であった。加熱後、試験管をオイルバスから
取り出し、外側をきれいに拭き取った。その後、混合物を試験管内で冷却し、その際、直
径3mmの先端に赤い液球を有する温度計を用いて混合物を注意深く撹拌した。先端の赤
い液球は、試験管の底に接触させながら撹拌した。一定時間ごとに撹拌を一時中断し、試
験管の円筒領域で赤い液球を試験管壁に押し付け、試験管の直径に沿って赤い液球が混合
物を通して見えるかどうかを確認し、混合物の温度を読み取った。そして、赤い液球が試
験管の直径に沿って混合物を通して見えなくなる温度を曇り点とする。
【0159】
より正確に曇り点を求めるために、最初の実行で曇り点が発生する温度範囲を求めた。
その後、3回の測定の平均値として曇り点を求めた。
【0160】
相溶性の高い樹脂の曇り点は最高で65℃までである。相溶性を有する樹脂の曇り点は
66℃~100℃である。相溶性が劣る樹脂の曇り点は101℃~150℃である。相溶
性が低い樹脂の曇り点は150℃~200℃である。相溶性がない樹脂の曇り点は200
℃超である。曇り点が30℃以下の樹脂は非常に相溶性を有する。
【0161】
曇り点を求めるための混合物のベースポリマーとして、ホットメルト接着剤に典型的に
使用されるベースポリマーを使用した。したがって、ホットメルト接着剤に典型的に用い
られるメタロセンポリオレフィン、またはホットメルト接着剤に典型的に用いられるエチ
レン-酢酸ビニルコポリマー、またはホットメルト接着剤に典型的に用いられる非晶質ポ
リアルファオレフィンを使用した。
【0162】
典型的に使用されるメタロセンポリオレフィンは、例えば、Dow Chemical
Company社製のAffinity GA 1900およびAffinity G
A 1950である。典型的に使用されるエチレン-酢酸ビニルコポリマーは、例えば、
Arkema社製のEvatane 18-500、Evatane 28-420、お
よびEvatane 33-400である。前記Evataneエチレン-酢酸ビニルコ
ポリマーにおいて、最初の2桁は酢酸ビニル含有量の重量%単位の平均値を表し、最後の
3桁はISO1133またはASTM D1238による190℃および2.16kgで
のメルトフロー指数の平均値を表す。典型的に使用される非晶質ポリアルファオレフィン
は、例えば、Evonik Industries社製のVestoplast608、
Vestoplast703、およびVestoplast750である。これらの樹脂
は、それぞれの最新の特性をもって使用される。樹脂の1つがもはや利用できない場合、
それは、代わりにホットメルト接着剤に典型的に使用される別の樹脂(それぞれ対応する
mPO、EVAC、APAO)に置き換えられる。
【0163】
【表2】

表2の説明:黄色-ASTM D1209-05(2011)規格に従って測定される
黄色度指数;Mn-g/mol単位の数平均分子量;Mw-g/mol単位の重量平均分
子量;Mz-g/mol単位の遠心平均分子量;PDI-多分散性指数;EP-ASTM
D3461による℃単位の軟化点;*および**-比較例の水素化樹脂、表1について
の説明も参照。
【0164】
【表3】

表3についての説明:示された曇り点は、上記のように求めた;*および**-比較例
の水素化樹脂、表1についての説明も参照。
【0165】
前記データから分かるように、本発明による方法において、環状ジオレフィン化合物と
、インデンまたはC1-4-アルキルインデンを含有する芳香族成分を熱重合することに
より、PDIが2.27で、ガードナー色数が14.1以下の炭化水素樹脂を得ることが
可能である。それにより、PDIが1.91、ガードナー色数が11.1である炭化水素
樹脂を得ることさえ可能であった。この完全水素化炭化水素樹脂は、ホットメルト接着剤
に典型的に使用されるメタロセンポリオレフィンおよび非晶質ポリアルファオレフィンと
良好な相溶性を有する。特に、本発明による完全水素化炭化水素樹脂は、ホットメルト接
着剤に典型的に使用されるエチレン-酢酸ビニルコポリマーとの良好な相溶性さえも示し
ている。
【0166】
参照記号一覧
11 BN-200供給タンク
12 C9留分供給タンク
13 純ジシクロペンタジエン供給タンク
14 キシレン供給タンク
15 レシーバー
16 ヒーター
20 管状反応器
21 フラッシュ蒸発器
22 中間貯蔵タンク
22’ 除去
23 生成物再循環
24 部分凝縮器
24’ オリゴマー再循環
24” 溶媒および未反応モノマーの排出
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-02-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状ジオレフィン化合物を含む環状ジオレフィン成分と、インデンおよび/またはC1-4アルキルインデンを含む芳香族成分との熱重合によって得られうる炭化水素樹脂であって、前記炭化水素樹脂が1~2.3未満の多分散性指数(PDI)を有する、炭化水素樹脂。
【外国語明細書】