(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050633
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】デジタルアッセイのために横からの照射を使用した光学イメージングシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/64 20060101AFI20240403BHJP
G01N 21/78 20060101ALI20240403BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20240403BHJP
C12M 1/34 20060101ALN20240403BHJP
【FI】
G01N21/64 F
G01N21/78 C
G01N33/543 545A
C12M1/34 F
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024005071
(22)【出願日】2024-01-17
(62)【分割の表示】P 2022140509の分割
【原出願日】2017-12-20
(31)【優先権主張番号】62/437,534
(32)【優先日】2016-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】512264057
【氏名又は名称】アボットジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 朋宏
(57)【要約】 (修正有)
【課題】小型で低コストのデジタルイムノアッセイデバイスを提供する、デジタルイムノアッセイ用の簡略化された光学イメージングシステムを提供する。
【解決手段】デジタルアッセイにおけるビーズ検出のために、単一のフィルタ132と、横からの照射を提供する光源112、116とを含む小型光学イメージングシステム100。光源は、検出容器に向かって光を放射するように構成される。単一のフィルタは、光源から発せられ、検出容器内の試料から反射された光を受け取り、検出容器内の試料からの出力を受け取るように配置される。検出器136は、反射された光の一部分と、単一のフィルタを通過する出力の一部分とを受け取るように構成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
小型デジタルアッセイ装置であって、
検出容器と、
検出容器に向かって光を放射するように構成された光源と、
単一のフィルタであって、
光源から発せられ、検出容器内の試料から反射された光を受け取り、
検出容器内の試料からの出力を受け取る
ように配置された、単一のフィルタと、
反射された光の一部分と、単一のフィルタを通過する出力の一部分とを受け取るように構成された、検出器と
を含む、小型デジタルアッセイ装置。
【請求項2】
光源が発光ダイオードである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
光源が複数の発光ダイオードを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
光源が2つ以上の光源から構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
光源が色を変化させるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
光源が青色と緑色との間で変化するように構成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
緑色光源が、ビーズが試料中に存在するかどうかを識別する光学データを検出器が生成するように検出器用の検出容器内の試料に反射する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
青色光源が、酵素が試料中に存在するかどうかを識別する光学データを検出器が生成するように検出器用の検出容器内の試料を励起する、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
出力が、光源による検出容器内の試料の励起後に生成された蛍光である、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
出力が、検出容器内の試料の化学反応によって生成される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
小型デジタルアッセイ装置であって、
検出容器と、
検出容器に対してある角度で検出容器に向かって光を放射するように構成された第1の光源と、
検出容器に向かって光を放射するように構成された第2の光源と、
単一のフィルタであって、
第1の光源から発せられ、検出容器内の試料から反射された光を受け取り、
検出容器内の試料からの蛍光出力を受け取る
ように配置された、単一のフィルタと、
反射された光の一部分と、単一のフィルタを通過する蛍光の一部分とを受け取るように構成された検出器と
を含む、小型デジタルアッセイ装置。
【請求項12】
検出容器が、ほぼ90度でその中を延びる軸を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
第1の光源が、軸に対してある角度に配置される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
角度が0度から90度の間である、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
角度が45度から90度の間である、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
角度が80度である、請求項13に記載の装置。
【請求項17】
第2の光源が、軸に沿って進行する光ビームを放射するように構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項18】
第2の光源が軸に対して横方向にオフセットされており、第2の光源が、軸に平行に進行する光ビームを放射するように構成される、請求項12に記載の装置。
【請求項19】
第2の光源が2つ以上の光源を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項20】
第1の光源が発光ダイオードである、請求項11に記載の装置。
【請求項21】
第1の光源が複数の発光ダイオードを含む、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
第1の光源が2つ以上の光源から構成される、請求項11に記載の装置。
【請求項23】
第1の光源が緑色発光ダイオードである、請求項11に記載の装置。
【請求項24】
第2の光源が青色発光ダイオードである、請求項11に記載の装置。
【請求項25】
検出器が、第1の光源から発せられた光に基づいて第1の画像を生成するように構成され、第1の画像が検出容器内の試料中のビーズの位置を識別する、請求項11に記載の装置。
【請求項26】
検出器が、第2の光源による活性化の後、試料からの蛍光出力に基づいて第2の画像を生成するように構成され、第2の画像が検出容器内の試料中の標識の存在を検出する、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
第1の光源が色を含み、さらに、色が単一のフィルタに基づいている、請求項11に記載の装置。
【請求項28】
小型デジタルアッセイ装置であって、
複数の検出容器を有する試料アレイと、
検出容器に対してある角度で検出容器に向かって光を放射して、検出容器内の試料を照射するように構成された第1の光源と、
鏡または他の反射物体を使用することなく検出容器に向かって光を放射するように構成され、検出容器内の試料を活性化して、出力を放射するようにさらに構成された第2の光源と、
フィルタであって、
第1の光源から発せられ、検出容器から反射された光を受け取り、
検出容器内の試料からの出力を受け取る
ように配置された、フィルタと
反射された光と、フィルタを通過する試料からの出力とを受け取り、どのウェルがビーズを含むか、およびどのウェルが標識を含むかを識別する光学データを生成するように構成された検出器と、
を含む、小型デジタルアッセイ装置。
【請求項29】
試料アレイが、ほぼ90度でその中を延びる軸を含む、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
第1の光源が、軸に対してある角度に配置される、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
角度が0度から90度の間である、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
角度が45度から90度の間である、請求項30に記載の装置。
【請求項33】
角度が80度である、請求項30に記載の装置。
【請求項34】
第2の光源が、軸に沿って進行する光ビームを放射するように構成される、請求項29に記載の装置。
【請求項35】
第2の光源が軸に対して横方向にオフセットされており、第2の光源が、軸に平行に進行する光ビームを放射するように構成される、請求項29に記載の装置。
【請求項36】
第2の光源が2つ以上の光源を含む、請求項28に記載の装置。
【請求項37】
第1の光源が発光ダイオードである、請求項28に記載の装置。
【請求項38】
第1の光源が複数の発光ダイオードを含む、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
第1の光源が2つ以上の光源から構成される、請求項28に記載の装置。
【請求項40】
第1の光源が緑色発光ダイオードである、請求項28に記載の装置。
【請求項41】
第2の光源が青色発光ダイオードである、請求項28に記載の装置。
【請求項42】
光学データが、検出容器内の、存在するなら、ビーズの位置と、検出容器内の、存在するなら、標識とを識別する画像である、請求項28に記載の装置。
【請求項43】
第1の光源が色を含み、さらに、色がフィルタに基づいている、請求項28に記載の装置。
【請求項44】
小型デジタルアッセイ装置であって、
複数のナノウェル内に配置された複数の試料を含む試料アレイと、
試料アレイに対してある角度で試料アレイに向かって光を放射して、試料アレイ内の試料を照射ように構成され、450nmから550nmの間の波長を有する光源と、
試料から反射された光の一部分を受け取るように構成された検出器と
を含む、小型デジタルアッセイ装置。
【請求項45】
光源が発光ダイオードである、請求項44に記載の装置。
【請求項46】
光源が複数の発光ダイオードを含む、請求項45に記載の装置。
【請求項47】
光源が2つ以上の光源を含む、請求項44に記載の装置。
【請求項48】
光源が色を変化させるように構成される、請求項44に記載の装置。
【請求項49】
光源が、青色と緑色との間で変化するように構成される、請求項48に記載の装置。
【請求項50】
緑色光源が、ビーズが試料中に存在するかどうかを識別する光学データを検出器が生成するように検出器用の試料アレイ内の試料に反射する、請求項49に記載の装置。
【請求項51】
角度が、試料アレイに垂直に向けられた軸に対して0度から90度の間である、請求項44に記載の装置。
【請求項52】
角度が、試料アレイに垂直に向けられた軸に対して45度から90度の間である、請求項44に記載の装置。
【請求項53】
角度が、試料アレイに垂直に向けられた軸に対して80度である、請求項44に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年12月21日に出願した米国仮特許出願第62/437,534号の非仮出願であって、その利益を主張するものであり、その内容全体は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、デジタルアッセイにおける分析物分析のために、単一のフィルタと、横からの照射を提供する光源とを含む、光学イメージングシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
試料中の関心対象の分析物を正確に分析することができるデバイスおよび方法は、たとえば、病気、疾患、または健康状態の診断などの診断、予後診断、環境アセスメント、食品安全性、化学兵器剤または生物兵器剤の検出などには、不可欠である。試料中の低レベルの分析物分子を定量化するための現行の技法のほとんどは、レポーター分子の数を増加させる増幅手順を使用することにより、測定可能な信号を提供する。現行の技法の例としては、抗体ベースのアッセイにおいて信号を増幅するための酵素結合免疫吸着法(ELISA)、ならびにDNAベースのアッセイにおいてターゲットDNA鎖を増幅させるためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が挙げられる。ほとんどの検出方式は、信号の集合が検出しきい値を超えるために、全体の中で多数の分子が存在する必要がある。この必要条件は、ほとんどの検出技法の感受性およびダイナミックレンジ(すなわち、検出されることが可能な濃度の範囲)を制限する。公知の方法および技法の多くはさらに、非特異的結合の問題に悩まされ、非特異的結合は、バックグラウンド信号の増加につながり、正確にまたは再現可能に検出されることが可能である最低の濃度を制限する。
【0004】
デジタルELISAは、コンジュゲートを使用して1分子の酵素を検出することができるので、次世代のイムノアッセイの候補である。
図1および
図2を参照されたい。デジタルELISAでは、ターゲット分子は、捕捉抗体と検出抗体との間にビーズ上で捕捉されるが、検出抗体は、酵素に結合されている。その際、ビーズは、酵素の基質とともに液滴チャンバ内に捕えられ、水相は、重油によって置換され、分析前の水相の除去が可能になる。
【0005】
ビーズベースのデジタルELISAでは、単一のビーズが、アレイのマイクロチャンバ内に封入される。ビーズが免疫複合体種を捕捉したチャンバのいくつかは、蛍光イメージング中に明るい点(すなわち、明るいチャンバ)を提示する。ビーズが存在するチャンバのパーセンテージは、抗原の濃度と相関がある。したがって、アレイのマイクロチャンバ内のビーズおよび酵素の位置を識別することが必要である。
【0006】
光学イメージングは、アッセイの際にビーズの場所を決定する方法である。光学イメージングは、ビーズ/酵素デュアルチャネルイメージングを使用して同時に多数の(10,000を超える)マイクロチャンバのデータを検出することもできる。しかし、従来のデュアルチャネルイメージング用の光学システムは、蛍光/蛍光タイプのビーズ/酵素デュアルチャネルイメージング用の複雑な光学のために、現存の製品に取り付けるには大きく、費用がかかる。従来の光学システムは、それぞれのチャネルに関する複数の光学フィルタと、モードを入れ替えるための外部アクチュエータとを必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2001/058956号
【特許文献2】米国特許第7,070,921号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/0121544号明細書
【特許文献4】米国特許第5,620,850号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Wu,C.ら、Nature Biotechnology、25(11)、1290-1297頁(2007)
【非特許文献2】U.S.Pharmacopeial Convention(USP-NF),Food Chemicals Codex,and Dietary Supplements Compendium(http://www.usp.org)
【非特許文献3】Gottlinら、Journal of Biomolecular Screening、14、77-85頁(2009)
【非特許文献4】Heller、Acc.Chem.Res.23、128頁(1990)
【非特許文献5】Holtら(2014)Trends in Biotechnology21、484-490頁
【非特許文献6】Rader(2014)Trends in Biotechnology32、186-197頁
【非特許文献7】McEnaneyら(2012)ACS Chem.Biol.7、1139-1151頁
【非特許文献8】Millwardら(2011)J.AM.Chem.Soc.133、18280-18288頁
【非特許文献9】Gilbreth and Koide、(2012)Current Opinion in Structural Biology22、1-8頁
【非特許文献10】Bantaら(2013)Annu.Rev.Biomed.Eng.15、93-113頁
【非特許文献11】Patelら(2013)Protein Engineering、Design&Selection26(4)、307-314頁
【非特許文献12】Tiedeら(2014)Protein Engineering、Design&Selection27、145-155頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、小型で低コストのデジタルイムノアッセイデバイスを提供する、デジタルイムノアッセイ用の簡略化された光学イメージングシステムを提供することが望ましい。本発明の実施形態は、サイズおよびコストが従来の光学イメージングシステムと比較して大幅に低減された、デジタルイムノアッセイ用の光散乱光学を使用したイメージングシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態は、ビーズ検出のためにアッセイに光散乱を適用する光源を使用することによって光学イメージングシステムを簡略化する。本光学イメージングシステムは、光散乱/蛍光タイプを利用し、従来のシステムに使用される、光学的構成要素およびモード入替えのための対応するアクチュエータ構造を除去することによって簡略化された。本システムの実施形態による光学イメージングシステムの力を実証するために、デジタルELISA用の小型のデバイスが設計されテストされた。本光学イメージングシステムの実施形態は、良好な性能を実証し、従来の光学イメージングシステムに匹敵するか、またはそれよりも優れていた。(注目すべき仕様は、
図1に要約されている。)検出器は、体積およびコストにおいて、それぞれ、約数十分の一および100分の一である。
【0011】
1つの実施形態では、本発明は、検出容器と、検出容器に向かって光を放射するように構成された光源と、単一のフィルタと、検出器とを含む、小型デジタルアッセイ装置を提供する。単一のフィルタは、光源から発せられ、検出容器内の試料から反射された光を受け取り、検出容器内の試料からの出力を受け取るように配置される。検出器は、反射された光の一部分と、単一のフィルタを通過する出力の一部分とを受け取るように構成される。
【0012】
別の実施形態では、本発明は、検出容器と、試料アレイに対してある角度で検出容器に向かって光を放射するように構成された第1の光源と、検出容器に向かって光を放射するように構成された第2の光源と、単一のフィルタと、検出器とを含む、小型デジタルアッセイ装置を提供する。単一のフィルタは、第1の光源から発せられ、検出容器内の試料から反射された光を受け取り、検出容器内の試料からの蛍光出力を受け取るように配置される。検出器は、反射された光の一部分と、単一のフィルタを通過する蛍光の一部分とを受け取るように構成される。
【0013】
さらなる実施形態では、本発明は、複数のウェルを有する試料アレイと、試料アレイに対してある角度で試料アレイに向かって光を放射して、試料アレイ内の試料を照射するように構成された第1の光源と、鏡または他の反射物体を使用することなく試料アレイに向かって光を放射するように構成され、試料アレイ内の試料を活性化して、出力を放射するようにさらに構成された第2の光源と、フィルタと、検出器とを含む、小型デジタルアッセイ装置を提供する。フィルタは、第1の光源から発せられ、試料アレイから反射された光を受け取り、試料アレイ内の試料からの出力を受け取るように配置される。検出器は、反射された光と、フィルタを通過する試料からの出力とを受け取り、どのウェルがビーズを含むか、およびどのウェルが標識を含むかを識別する光学データを生成するように構成される。
【0014】
さらに別の実施形態では、本発明は、複数のナノウェル内に配置された複数の試料を含む試料アレイと、試料アレイに対してある角度で試料アレイに向かって光を放射して、試料アレイ内の試料を照射するように構成され、450nmから550nmの間の波長を有する光源と、試料から反射された光の一部分を受け取るように構成された検出器とを含む、小型デジタルアッセイ装置を提供する。
【0015】
本発明の他の態様は、発明を実施するための形態および添付の図面を検討することにより明らかになるであろう。
【0016】
本明細書に記載される主題の詳細は、その構造および動作に関しても、同様の参照番号が同様の部品を指す、添付の図面を検討することによって明らかになる場合がある。図面中の構成要素は、必ずしも原寸に比例しておらず、代わりに主題の原理を示すことが強調されている。さらに、すべての図は、概念を伝えることを意図されており、相対的なサイズ、形状、および他の詳細な属性は、文字通りでも厳密でもなく概略的に示される場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態による簡略化された光学イメージングシステムと、従来の光学イメージングシステムとの比較を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態による光学イメージングシステムの斜視図である。
【
図3】
図2に示された光学イメージングシステムのいくつかの図を示す。
【
図4】本発明の一実施形態による光学イメージングシステムの概略図である。
【
図5】デジタルイムノアッセイ用のマイクロチャンバおよび酵素反応による蛍光信号増幅のメカニズム(上段図)と、従来のシステムの光学イメージングシステムと
図2に示された光学イメージングシステムとの間の差の比較とを示す概略図である。
【
図6】
図5に示された光学イメージングシステムによって取得された画像を示す図である。
【
図7】
図5に示された光学イメージングシステムによって取得された画像を示す図である。
【
図8】
図5に示された光学イメージングシステムによって取得された画像を示す図である。
【
図9】
図5に示された光学イメージングシステムによって取得された画像を示す図である。
【
図10】
図5に示された光学イメージングシステムによって取得された画像を示す図である。
【
図11】
図5に示された光学イメージングシステムによって取得された画像を示す図である。
【
図12】
図5に示された光学イメージングシステムによって取得された画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1.定義
本開示の実施形態について説明する前に、本発明は、説明される特定の実施形態に限定されず、したがって、当然改変し得ることを理解されたい。本明細書に使用される用語は、特定の実施形態について説明するためにすぎず、限定を意図するものではないことも理解されたい。
【0019】
本明細書に示される、「含む(comprise)」、「含む(include)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「できる(can)」、「含む(contain)」、およびそれらの変形語は、追加の作用または構造の可能性を除外しない、制約のない移行句、用語、または単語であることを意図される。単数形「1つの(a)」、「および(and)」、および「その(the)」は、文脈が別段にはっきりと指示しない限り、複数の参照事項を含む。本開示は、明確に説明されているか否かにかかわらず、本明細書に提示される実施形態または要素「を含む(comprising)」、「から成る(consisting of)」、および「から基本的に成る(consisting essentially of)」他の実施形態も企図する。
【0020】
本明細書の数値範囲の記述では、その間に介在する各々の数が、同じ精度で、明確に企図される。たとえば、6~9の範囲では、数7および8が、6および9に加えて企図され、6.0~7.0の範囲では、数6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、および7.0が明確に企図される。
【0021】
本明細書に置き換え可能に使用される「親和性」および「結合親和性」は、分析物に対する結合メンバーの結合の傾向または力を指す。たとえば、結合親和性は、平衡解離定数(KD)、解離速度(kd)、または会合速度(ka)によって表される場合がある。
【0022】
本明細書に使用される「類似体」は、関心対象の分子と類似の構造を有する分子(たとえば、ヌクレオシド類似体、ヌクレオチド類似体、糖リン酸類似体、分析物類似体など)を指す。分析物類似体は、分析物と構造的に類似しているが、結合メンバーが異なる親和性を有する、分子である。
【0023】
本明細書に置き換え可能に使用される、「分析物」、「ターゲット分析物」、「関心対象の分析物」は、本明細書に開示される方法およびデバイスにおいて測定されている分析物を指す。関心対象の分析物は、本明細書にさらに説明される。
【0024】
本明細書に使用される「抗体」および「複数の抗体」は、モノクローナル抗体と、多重特異性抗体と、ヒト抗体と、ヒト化抗体(完全にまたは部分的にヒト化されている)と、限定はされないが、鳥(たとえば、カモまたはガン)、サメ、クジラ、および非霊長類(たとえば、ウシ、ブタ、ラクダ、ラマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、マウスなど)またはヒト以外の霊長類(たとえば、サル、チンパンジーなど)を含む哺乳類などの動物抗体と、組換え抗体と、キメラ抗体と、一本鎖Fv(「scFv」)と、一本鎖抗体と、単一ドメイン抗体と、Fabフラグメントと、F(ab’)フラグメントと、F(ab’)2フラグメントと、ジスルフィド結合Fv(「sdFv」)と、抗イディオタイプ(「抗Id」)抗体と、デュアルドメイン抗体と、二重可変領域(DVD)もしくは三重可変領域(TVD)の抗体(二重可変領域免疫グロブリンおよびそれらを生成するための方法は、Wu,C.ら、Nature Biotechnology、25(11)、1290-1297頁(2007)およびPCT国際特許出願WO2001/058956に記載されており、これらの各々の内容は、引用により本明細書に組み込まれている)と、上記のもののいずれかの機能的に活性なエピトープ結合フラグメントとを指す。特に、抗体は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性なフラグメント、すなわち、分析物結合部位を含む、分子を含む。免疫グロブリン分子は、任意のタイプ(たとえば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY)、クラス(たとえば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)、またはサブクラスを有することができる。簡単にするために、分析物に対する抗体は、しばしば、本明細書では「抗分析物抗体」または単に「分析物抗体」のいずれかと呼ばれる。
【0025】
本明細書に使用される「抗体フラグメント」は、抗原結合部位または可変領域を含むインタクト抗体の一部分を指す。この部分は、インタクト抗体のFc領域の定常重鎖ドメイン(すなわち、抗体アイソタイプによる、CH2、CH3、またはCH4)を含まない。抗体フラグメントの例は、限定はされないが、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、Fab’-SHフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fdフラグメント、Fvフラグメント、二重特異性抗体、一本鎖Fv(scFv)分子、1つの軽鎖可変ドメインのみを含む一本鎖ポリペプチド、軽鎖可変ドメインの3つのCDRを含む一本鎖ポリペプチド、1つの重鎖可変領域のみを含む一本鎖ポリペプチド、および重鎖可変領域の3つのCDRを含む、一本鎖ポリペプチドを含む。
【0026】
「ビーズ」および「粒子」は、本明細書に置き換え可能に使用され、ほぼ球形の固相支持体を指す。
【0027】
「結合タンパク質」は、たとえば、ポリペプチド、抗原、化合物もしくは他の分子、または任意の種類の基質などの結合パートナーに結合し、結合パートナーと複合体を形成する、単量体タンパク質または多量体タンパク質を指すために本明細書に使用される。結合タンパク質は、結合パートナーに特異的に結合する。結合タンパク質は、抗体と、その抗原結合性フラグメントおよび当技術分野で知られており本明細書に以下に説明される他の様々な形態およびその誘導体と、抗原分子または抗原分子上の特定の部位(エピトープ)に結合する1つまたは複数の抗原結合ドメインを含む他の分子とを含む。したがって、結合タンパク質は、限定はされないが、抗体、四量体免疫グロブリン、IgG分子、IgG1分子、モノクローナル抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体、ヒト化抗体、親和性成熟抗体、および抗原に結合する能力を維持する任意のそのような抗体のフラグメントを含む。
【0028】
本明細書に使用される「捕捉分子」は、生体試料中の関心対象の分析物を捕捉または固定化するのに使用される、特異的な結合パートナーまたは特異的な結合メンバーを指す。捕捉分子は、しばしば、関心対象の分析物に加えた複合体の1つの構成要素であり、1つまたは複数の検出分子も含むことができる。複合体は、任意で、固相支持体に結合される場合がある。
【0029】
「構成要素」、「複数の構成要素」、または「少なくとも1つの構成要素」は、一般に、本明細書に説明される方法および当技術分野で知られている他の方法による、患者の尿、血清、全血、組織吸引液、または血漿試料などのテスト試料のアッセイ用のキットに含まれる可能性がある、捕捉抗体、検出試薬またはコンジュゲート、キャリブレーター、コントロール、感受性パネル、容器、緩衝液、希釈剤、塩、酵素、酵素用の補因子、検出試薬、前処理試薬/溶液、基質(たとえば、溶液として)、停止液などを指す。いくつかの構成要素は、アッセイにおいて使用するための再構成のために溶液中にあるか、または凍結乾燥される可能性がある。
【0030】
本明細書に使用される「接触」およびその文法上の同義語は、結合メンバーに対して特異的な関心対象の分析物が試料中に存在する場合、結合相互作用が起こるように、結合メンバーを試料中の関心対象の分析物の十分近くに持ってくる、任意のタイプの結合作用を指す。接触は、試料を結合メンバーと結合すること、結合メンバーを分析物の近くに導くことによってターゲット分析物を結合メンバーに露出させることなどを含む、多種多様な方法で達成される場合がある。
【0031】
本明細書に使用される「コントロール」は、当技術分野で知られているか、もしくは許容されている、または一般に使用されている許容できる手段を使用して実験的に決定される分析物の標準試料を指す。「標準試料」は、類似の物質の測定ベースとして使用される標準物質である。たとえば、文書化された標準試料は、U.S.Pharmacopeial Convention(USP-NF),Food Chemicals Codex,and Dietary Supplements Compendium(そのすべては、http://www.usp.orgにおいて入手可能である)および他のよく知られているソースに公開されている。参照物質を標準化するための方法が、文献に記載される。分析物用の較正曲線を使用することによって、または代替の標準試料と比較することによって存在する分析物の量を定量化するための手段もよく知られている。標準曲線は、質量分析、重量法によって、および当技術分野で公知の他の技法によって、既知の濃度の分析物の連続希釈物または溶液を使用して生成され得る。文献に記載されてきた代替の標準試料は、標準添加(標準添加方法としても知られている)またはデジタルポリメラーゼ連鎖反応を含む。
【0032】
本明細書に使用される「検出分子」は、生体試料中の関心対象の分析物の存在を検出し、かつ/またはその分析物の量を定量化もしくは測定するために使用される、特異的な結合パートナーまたは特異的な結合メンバーを指す。検出分子は、しばしば、1つまたは複数の捕捉分子および関心対象の分析物を含む場合がある複合体の1つの構成要素である。複合体は、任意で、固相支持体に結合される場合がある。
【0033】
本明細書に使用される「検出」容器または「反応」容器は、関心対象の分析物を含む場合もまたは含まない場合もある反応混合物を含むことができる、容器または他の装置を指す。適切な「検出」容器または「反応」容器の例は、キュベット、チューブ、チューブプレートの個々のチューブ、マイクロタイタープレート内の穴もしくはウェル、個々の反応ウェル(マイクロウェルアレイまたはナノウェルアレイなどの、ウェルのアレイなど)、またはテストスライドプレートもしくはアッセイアレイプレート内のピットを含む。
【0034】
本明細書に使用される「固定化」は、第1の特異的な結合メンバーと固相支持体の表面との安定した会合を指す。「安定した会合」は、たとえば、生理学的条件下で、会合体の平均半減期が1日以上である、2つのエンティティ間の物理的な会合を意味する。いくつかの態様では、2つのエンティティ間の物理的な会合は、6か月以上、たとえば4℃のPBSにおいて1年以上を含む、2日以上、1週間以上、1か月以上の平均半減期を有する。いくつかの実施形態によれば、安定した会合は、2つのエンティティ間の共有結合、2つのエンティティ間の非共有結合(たとえば、イオン結合または金属結合)、または、水素結合、ファンデルワールス力などの化学誘引の他の形態から生じる。
【0035】
本明細書に使用される「標識」および「検出可能な標識」は、抗体と検出可能な分析物との間の反応を提供する、抗体または分析物に付着した部分を指し、そのように標識化された抗体または分析物は、「検出可能に標識化された」と言われる。標識は、視覚的手段または機器による手段によって検出可能な信号を生成することができる。様々な標識は、色原体、蛍光化合物、化学発光化合物、放射性化合物などの信号生成物質を含む。他の標識は、本明細書に説明される。この点に関して、部分はそれ自体が検出可能でない場合であっても、さらに別の部分と反応することにより検出可能になる場合がある。「検出可能に標識化された」という用語の使用は、そのような標識化を含むことを意図される。
【0036】
本明細書に使用される「モノクローナル抗体」は、ほぼ均一な抗体の集団から得られた抗体を指し、すなわち、その集団を含む個々の抗体は、少ない割合で存在するかもしれない、生じ得る自然発生の突然変異体を除いて、同一である。モノクローナル抗体は、特異性が高く、単一の抗原に向けられる。さらに、様々な決定基(エピトープ)に向けられた様々な抗体を通常含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に向けられている。モノクローナル抗体は、本明細書では特に、それらが所望の生物学的特徴を示す限り、重鎖および/または軽鎖の一部分が、特定の種から得られるか、または特定の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体の対応する配列と同一か、あるいはそれらの配列と同種である一方で、これらの鎖の残りが、別の種から得られるか、または別の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体およびそのような抗体のフラグメントの対応する配列と同一か、あるいはそれらの配列と同種である、「キメラ」抗体を含む。
【0037】
「ポリヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」は、核酸塩基が、糖リン酸結合(糖リン酸骨格)によって接続される、核酸塩基のポリマーまたはオリゴマーを指す。例示的なポリヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドは、2’-デオキシリボヌクレオチドのポリマー(DNA)およびリボヌクレオチドのポリマー(RNA)を含む。ポリヌクレオチドは、全体が、リボヌクレオチド、2’-デオキシリボヌクレオチド、またはそれらの組合せから構成される場合がある。「核酸」は、「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」を含み、ヌクレオチドモノマーの一本鎖および二本鎖のポリマーを含む。
【0038】
本明細書に使用される「所定のカットオフ」および「所定のレベル」は、アッセイ結果を所定のカットオフ/レベルと比較することによって、診断結果、予後診断の結果、または治療の有効性の結果を評価するのに使用されるアッセイカットオフ値を指すが、所定のカットオフ/レベルはすでに、様々な臨床パラメータ(たとえば、病気の存在、病気のステージ、病気の重症度、病気の進行、非進行、または改善など)とリンクされるか、または関連付けられている。本開示は、例示的な所定のレベルを提供する。しかし、カットオフ値は、イムノアッセイの性質(たとえば、使用される抗体、反応条件、試料純度など)によって様々である可能性があることがよく知られている。さらに、本開示によって提供される説明に基づいて、他のイムノアッセイ用のイムノアッセイ固有のカットオフ値を得るために、本明細書の開示をこれらの他のイムノアッセイに適応させることは、当業者によく知られている。所定のカットオフ/レベルの正確な値は、アッセイ間で変化する場合があるが、本明細書に説明される相関は、一般に、適用可能であるはずである。
【0039】
本明細書に説明される診断アッセイにおいて使用される「前処理試薬」、たとえば、溶解試薬、沈殿試薬、および/または可溶化試薬は、テスト試料中に存在する任意の細胞を溶解し、かつ/またはテスト試料中に存在する任意の分析物を可溶性にするものである。前処理は、本明細書にさらに説明されるように、すべての試料に必要なわけではない。特に、分析物を可溶性にすることは、試料中に存在する任意の内在性結合タンパク質からの分析物の放出を伴う。前処理試薬は、均一(分離ステップを必要としない)であっても、または不均一(分離ステップを必要とする)であってもよい。不均一な前処理試薬を使用する場合、アッセイの次のステップに進む前に、テスト試料からの任意の沈殿した分析物結合タンパク質の除去を行う。前処理試薬は:任意で、(a)1つもしくは複数の溶媒および塩、(b)1つもしくは複数の溶媒、塩、および界面活性剤、(c)界面活性剤、(d)界面活性剤および塩、または(e)分析物の細胞溶解および/もしくは可溶化に適した任意の試薬もしくは試薬の組合せ、を含むことができる。
【0040】
本明細書に説明されるイムノアッセイおよびキットの文脈における「品質管理試薬」は、限定はされないが、キャリブレーター、コントロール、および感受性パネルを含む。「キャリブレーター」すなわち「標準液」は、通常、抗体または分析物などの分析物の濃度の内挿用の較正(標準)曲線(たとえば、多数などの、1つまたは複数)を構築するために使用される。代替として、所定の陽性/陰性カットオフに近い単一のキャリブレーターが使用されることが可能である。複数のキャリブレーター(すなわち、2つ以上のキャリブレーターまたは変化する量のキャリブレーター)が、「感受性パネル」を含むために併せて使用されることが可能である。
【0041】
本明細書に使用される「受容体」は、内在性化学信号を認識し内在性化学信号に反応するタンパク質分子を指す。そのような内在性化学信号は、受容体に結合するとき、何らかの形態の細胞/組織反応を起こす。受容体の例は、限定はされないが、神経受容体、ホルモン受容体、栄養素受容体、および細胞表面受容体を含む。
【0042】
「組換え抗体」および「複数の組換え抗体」は、組換え技法によって1つまたは複数のモノクローナル抗体のすべてまたは一部分を適切な発現ベクター中にコードする核酸配列をクローニングすることと、続いて適切な宿主細胞内で抗体を発現させることとを含む、1つまたは複数のステップによって準備された抗体を指す。これらの用語は、限定はされないが、組換えで生成されたモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体(完全にまたは部分的にヒト化された)、抗体フラグメントから形成された多特異性のまたは多価の構造、二機能性抗体、ヘテロコンジュゲートAb、[Math.1]DVD-Ig(R),および(i)本明細書に説明される他の抗体を含む。(二重可変領域免疫グロブリンおよびそれらを生成するための方法は、Wu,C.ら、Nature Biotechnology、25、1290-1297頁(2007)に記載されている。)本明細書に使用される「二機能性抗体」という用語は、ある抗原部位の特異性を有する第1のアームと、異なる抗原部位の特異性を有する第2のアームとを含む抗体を指し、すなわち、二機能性抗体は、二重の特異性を有する。
【0043】
本明細書に使用される、「試料」、「テスト試料」、「生体試料」、「被験者からの試料」、「流体生体試料」、および「患者試料」は、置き換え可能に使用され、関心対象の分析物を含むか、または含む疑いがある流体試料を指す場合がある。
【0044】
本明細書に使用される「試料アレイ」は、1つまたは複数の(または複数の)検出容器または反応容器の集合を指す。
【0045】
本明細書に使用される「信号生成化合物」は、信号生成基質などの適切なまたは適当な変換剤に露出すると、検出可能な生成物または検出可能な標識に変換される可能性がある、任意の分子、化合物、タンパク質などを指す。「検出可能な生成物」または「検出可能な標識」は、当技術分野で知られている選択された技法を使用して検出されるエンティティとして作用することによって検出を容易にする、任意の分子、粒子などである。信号生成化合物の例は、アミラーゼ、ポリヌクレオチダーゼ、アルギナーゼ、アデナーゼ、アミノポリペプチダーゼ、ペプシン、リパーゼ、カタラーゼ、チロシナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、コハク酸デヒドロゲナーゼ、ジアフォラーゼ、グリオキサラーゼ、アルドラーゼ、グルコースオキシダーゼ、西洋わさびペルオキシダーゼ、ガラクトシダーゼ(ベータ-ガラクトシダーゼなど)、ホスファターゼ、ホスホリラーゼおよびヘキソキナーゼ、またはそれらの組合せなどの酵素である。
【0046】
本明細書に使用される「信号生成基質」は、信号生成化合物などの適切なまたは適当な変換剤に露出すると、検出可能な生成物または検出可能な標識に変換される信号生成化合物に変換されるか、またはこの信号生成化合物をもたらす可能性がある、任意の分子、化合物、タンパク質、基質、粒子などを指す。「検出可能な化合物」または「検出可能な標識」は、当技術分野で知られている選択された技法を使用して検出されるエンティティとして作用することによって検出を容易にする、任意の分子、粒子などである。信号生成基質は、比色分析性、化学発光性、または化学蛍光性がある可能性がある。信号生成基質の例は、[Math.2]CDP-Star(R)(二ナトリウム4-クロロ-3-(メトキシスピロ{1,2-ジオキセタン-3,2’-(5’-クロロ)トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン}-4-イル)フェニルホスフェート)、[Math.3]CSPD(R)すなわち(二ナトリウム3-(4-メトキシスピロ{1,2-ジオキセタン-3,2-(5’-クロロ)トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン}-4-イル)フェニルホスフェート)などの化学発光基質と、p-ニトロフェニルホスフェート、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェート(BCIP)、4-ニトロブルーテトラゾリウムクロライド(NBT)、またはヨードニトロテトラゾリウム(INT)などの発光基質と、4-メチルウンベリフェリルホスフェート(4-MUP)などの蛍光基質と、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェート(BCIP)、二ナトリウム5-ブロモ-6-クロロ-インドリルホスフェート、またはp-ニトロフェニルホスフェートなどの発色基質などの酵素基質である。
【0047】
本明細書に置き換え可能に使用される「特異的な結合パートナー」または「特異的な結合メンバー」は、他の分子を実質的に少なく認識することと比較してある分子を特異的に認識する、2つ以上の異なる分子のうちの1つを指す。2つの異なる分子のうちの1つは、他方の分子の空間的かつ極性的に特定の構成に特異的に結合し、そしてそれによってその構成と相補的であると定義される領域を、表面上または空隙内に有する。これらの分子は、特異的な結合ペアのメンバーであってもよい。たとえば、特異的な結合メンバーは、限定はされないが、受容体、酵素、および抗体などのタンパク質を含む場合がある。
【0048】
一般のイムノアッセイの抗原と抗体の特異的な結合ペアに加えて、他の特異的な結合ペアは、ビオチンとアビジン(またはストレプトアビジン)、炭水化物とレクチン、相補的ヌクレオチド配列、エフェクター分子と受容体分子、補因子と酵素、酵素と酵素阻害剤などを含むことができる。さらに、特異的な結合ペアは、元の特異的な結合メンバーの類似体であるメンバー、たとえば分析物類似体を含むことができる。免疫反応性の特異的な結合メンバーは、単独で生成されてもまたは組換えで生成されても、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体ならびにそれらの複合体およびフラグメントを含む、抗原、抗原フラグメント、および抗体を含む。
【0049】
「固相支持体」は、不溶性であるか、または後続の反応によって不溶性にされる可能性がある任意の材料を指す。固相支持体は、捕捉剤を誘引し固定化するその固有の能力ゆえに選択される場合がある。あるいは、固相支持体は、固相支持体に付着している結合剤を含んでもよく、この結合剤は、捕捉剤を誘引し固定化する能力を有する。たとえば、結合剤は、捕捉剤自体に対してまたは捕捉剤とコンジュゲートした帯電物質に対して逆に帯電されている、帯電物質を含むことができる。一般に、結合剤は、固相支持体上に固定化され(固相支持体に付着され)、結合反応を通して捕捉剤を固定化する能力を有する、任意の結合パートナー(特異的であるのが好ましい)である可能性がある。結合剤は、アッセイの実行前またはアッセイの実行中の固相支持体材料に対する捕捉剤の間接結合を可能にする。たとえば、固相支持体は、たとえば、テストチューブ、マイクロタイターウェル、シート、ビーズ、マイクロ粒子、チップ、および当業者に知られている他の構成を含む、プラスチック、誘導体化プラスチック、磁性もしくは非磁性の金属、ガラス、またはシリコンである可能性がある。
【0050】
本明細書に置き換え可能に使用される「被験者」および「患者」は、限定はされないが、哺乳類(たとえば、ウシ、ブタ、ラクダ、ラマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、およびマウス)、ヒト以外の霊長類(たとえば、カニクイザルまたはアカゲザルなどのサル、チンパンジーなど)、およびヒトを含む、任意の脊椎動物を指す。いくつかの実施形態では、被験者は、ヒトであってもヒト以外であってもよい。被験者または患者は、他の形態の処置を受けている場合がある。
【0051】
本明細書に使用される「しきい値」は、それを上回る取得データが「信号」と見なされ、それを下回る取得データが「ノイズ」と見なされる、実験的に決定された主観的なカットオフレベルを指す。CUSUM(累積和アルゴリズム)に基づくコンピュータプログラムは、取得データを処理し、ユーザからのしきい値入力に基づいてイベントを検出するために使用される。ユーザ間のばらつきは、できるだけ多くのイベントを検出し、続いて、特定の目的のためにデータを後でフィルタリングすることによって回避される。「緩い」しきい値を用いれば、より少ない数のイベントが信号として計数される。「厳しい」しきい値を用いれば、より多くの数のイベントが信号として計数される。しきい値を緩くまたは厳しく設定することは、アッセイのための所望の感受性(sensitivity)または特異性(specificity)と、所与の評価において偽陽性が好ましいか、または偽陰性が好ましいかとに基づく主観的な選択である。
【0052】
「処置する(treat)」、「処置すること(treating)」、または「処置(treatment)」は各々、そのような用語が適用される、病気、またはそのような病気の1つもしくは複数の症状の進行を元に戻すこと、緩和すること、または阻害することを説明するために本明細書に置き換え可能に使用される。被験者の状態に応じて、この用語は、病気を防止することも指し、病気の発生を防止すること、または病気に関連する症状を防止することを含む。処置は、急性の方法または慢性の方法のいずれかで実行されてもよい。この用語は、病気で苦しむ前に、病気またはそのような病気に関連する症状の重症度を低減することも指す。苦痛の前の病気の重症度のそのような防止または低減は、被験者に対する本発明の抗体または医薬組成物の投与を指し、被験者は、投与のときには病気に苦しまない。「防止すること」は、病気またはそのような病気に関連する1つまたは複数の症状の再発を防止することも指す。「処置」および「治療的に」は、「処置すること」が以上に定義されたように、処置する行動を指す。
【0053】
別段に定義されない限り、本明細書に使用されるすべての専門用語および科学用語は、当業者によって共通に理解されるものと同じ意味を有する。衝突した場合は、定義を含む本文書が規制する。好ましい方法および材料は、以下で説明されるが、本明細書に記載されたものと同様のまたは均等な方法および材料は、本発明の実施またはテストにおいて使用されることが可能である。本明細書に述べられる、すべての出版物、特許出願、特許、および他の参照文献は、引用された出版物に関連して方法および/または材料を開示および説明するために、引用によりその全体が組み込まれる。本明細書に開示される、材料、方法、および例は、例示にすぎず、限定を意図するものではない。
【0054】
1.光学イメージングシステム
本発明は、試料中の関心対象の分析物を検出および/または定量化するために、デジタルイムノアッセイなどのデジタルアッセイを行うための小型で比較的低コストの装置を提供する。本装置は、ハンドヘルド型であるか、もしくは支持体表面上に配置され、または、隣接する処理機器に接続され、隣接する処理機器によって支持される場合がある。本明細書に説明される装置は、当技術分野で知られている従来の光学イメージングシステムを上回るいくつかの利益を提供する。たとえば、本開示の装置は、小型であり、より大きいイメージング領域を提供し、簡略化された構造などを含む。
図1に記載されるように、本発明の一実施形態は、従来のシステム(たとえば、光学顕微鏡システム)と比較される。本発明の装置のサイズは、従来のシステムよりもはるかに小さい。たとえば、本装置の1つの構造は、12cm×10cm×10cmであるが、従来のシステムは、70cm×50cm×50cmである。この構造では、本装置は、従来のシステムの約5分の一である。加えて、本発明の装置のイメージング領域は、従来のシステムでは約9mm
2ある、30,000個の試料チャンバに対して、約30mm
2ある、100,000個の試料チャンバである。画像取得は、本発明の実施形態の周囲条件下で起こることができるが、従来のシステムは、暗室を必要とする。本発明の実施形態と従来のシステムの実施形態との間の追加の比較は、
図1に示されている。
【0055】
本発明の装置の構造はまた、従来のシステムの構造よりも複雑でない。試料中の1つまたは複数の関心対象の分析物の検出のために蛍光イメージング技法を利用する、従来のシステムは、フィルタを入れ換えるためのアクチュエータとともに2つのチャネルの各々のために複数の光学フィルタを必要とする。本装置は、分析物検出のための光散乱イメージング技法と試料アレイ(1つまたは複数の検出容器または反応容器を含む)に対してある角度に向けられた光源とを利用し、したがって、単一のフィルタの使用と、従来のシステムに使用される複数のフィルタおよびアクチュエータの除去とを可能にする。加えて、光源の色は、分析物検出のために使用される放射フィルタに基づいて選択されることが可能であり、それによって、分析物検出のための単一のフィルタの使用を可能にする。
【0056】
一実施形態によれば、本装置は、1つまたは複数の検出容器または反応容器と、検出容器に向かって光を放射するように構成された光源と、光源から発せられ、1つまたは複数の検出容器内の試料から反射された光を受け取り、検出容器内の試料からの出力を受け取るように配置された単一のフィルタと、反射された光の一部分と単一のフィルタを通過する出力の一部分とを受け取るように構成された検出器とを含む、いくつかの構成要素を含む。
【0057】
図2-
図5は、本発明の一実施形態による、光学イメージングシステム100を示す。
図4を参照すると、光学イメージングシステム100は、検出容器104(複数のマイクロウェルまたはナノウェルを含む試料アレイなど)内の関心対象の分析物を含む場合がある固相支持体(ビーズなど)を検出し、(検出可能な標識を使用することなどによって)試料が活性化すると、検出容器内の試料からの出力を検出するように構成される。
【0058】
光学イメージングシステム100は、検出容器104を受けるための支持体108を含んでもよい。システム100は、第1の光源112も含み、第2の光源116を含む場合がある。第1の光源112は、単一の光源または複数の光源から構成されてもよい。第1の光源112は、検出容器104の上または下に配置され、検出容器104にほぼ垂直に延びる軸120に対して角度θに向けられる。たとえば、ほぼ垂直というのは、検出容器104に対して90度+/-約2度(すなわち、88度から92度)を含む。角度θは、約0度から約90度の間にある。他の実施形態では、角度θは、約45度から約90度の間にある。別の実施形態では、角度θは80度である。
【0059】
第1の光源112は、検出容器104に向かって散乱光124を放射する。第1の光源112は、特定の波長で光を放射する発光ダイオード(LED)を含むことができる。たとえば、第1の光源112は、約520nmで光を放射する緑色LEDを含むことができる。散乱光124は、反射光128として検出容器104内の試料に反射し、反射光128は、フィルタ132によって受け取られる。フィルタ132は、反射光128の一部分の、検出器またはカメラ136までの通過を可能にする。カメラ136は、画像を生成し、画像は、画像内の関心対象の分析物を含む任意の固相支持体(たとえば、ビーズ)の位置を視覚化または決定する明るいピクセルを示す。画像は、関心対象の分析物を含む、固相支持体を含み、かつ/またはこれらの場所の位置に関する空間的情報を提供する、検出容器の数の決定を助ける。たとえば、上述の第1の光源112で生成された画像(A)および(D)を示す、
図6を参照されたい。他の構造では、第1の光源112のLEDの色は、本装置に使用されるフィルタ132に基づいて選択される可能性がある。
【0060】
引き続き
図4および
図5を参照すると、第2の光源116は、検出容器104の上または下に配置され、検出容器104に対してほぼ垂直に向けられる。たとえば、ほぼ垂直というのは、90度および+または-約2度(すなわち、検出容器104に対して88度から92度)を含む。いくつかの実施形態では、第2の光源116は、軸120に沿って配置されるが、他の実施形態では、第2の光源116は、軸120に隣接して配置される。たとえば、
図4(タイプA)に示されるように、第2の光源116は、試料から反射された散乱光と試料から放射された蛍光とを妨げないように、軸120から横方向にオフセットされている(以下で説明される)。
【0061】
第2の光源116は、検出容器104に向かって励起光140を放射する。第2の光源116は、特定の波長で励起光を放射するLEDを含むことができる。たとえば、第2の光源116は、約450nmで光を放射する青色LEDを含むことができる。励起光140は、検出容器104内の試料を励起または活性化する。たとえば、特定の分析物が試料中に存在する場合、試料は、蛍光などの出力144を放射する。特定の分析物が試料中に存在しない場合、出力144は、作り出されない。フィルタ132(反射光128を受け取るフィルタと同じ)は、出力144を受け取り、出力144のカメラ136までの通過を可能とする。カメラ136は、画像を生成し、画像は、どの検出容器が関心対象の特定の分析物を含むかを視覚化または決定する明るいピクセルを示す。たとえば、上述のように、第2の光源116で生成された画像(B)および(E)を示す、
図6を参照されたい。第2の光源116(たとえば、LEDの色)は、試料中の分析物検出のために使用されるフィルタ132に基づいて具体的に選択される可能性がある。
【0062】
カメラ136は、画像をキャプチャするために使用されるCCDカメラである可能性がある。カメラの他の例は、電荷注入デバイス(CID)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)デバイス、サイエンティフィックCMOS(sCMOS)デバイス、および時間遅延積分(TDI:time delay integration)デバイスを含む。
【0063】
カメラ136は、コンピュータ148に電子的にまたは通信可能に結合される可能性がある。コンピュータ148は、電子プロセッサ(たとえば、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、または別の適切な電子デバイス)と、記憶デバイス(たとえば、非一時的コンピュータ可読記憶媒体)と、通信インターフェース、例えば、通信ネットワーク(たとえば、ワイヤレス)および、任意選択で、1つまたは複数の追加の通信ネットワークまたは接続上で通信するためのトランシーバなど、を含む。電子プロセッサ、記憶デバイス、および通信インターフェースは、1つまたは複数の通信回線またはバス上で通信する。コンピュータは、様々な構成で上述された構成要素に対する追加の構成要素を含む場合があり、本出願で説明された機能に対する追加の機能を実行する場合があることを理解されたい。たとえば、いくつかの実施形態では、コンピュータによって実行される本明細書に説明される機能は、複数のコンピュータおよびサーバなどの複数のデバイス間で分散される場合がある。
【0064】
電子プロセッサは、記憶デバイス内に記憶された命令を実行する。特に、記憶デバイスは、画像アナライザを記憶する。画像アナライザは、電子プロセッサによって実行可能なソフトウェアアプリケーションである。以下に説明されるように、画像アナライザは、電子プロセッサによって実行されるとき、通信ネットワーク上で(通信インターフェースを通して)カメラ136と通信して、カメラ136上にローカルに記憶されたデータを1つまたは複数のリモートの記憶場所(たとえば、コンピュータ内の記憶デバイス)に移行することを管理する。
【0065】
画像アナライザは、カメラ136によって生成された画像の入力を受け取る。画像アナライザは、画像を処理して、検出容器104内の試料のビーズおよび酵素の場所を示すマージされた画像へとそれらを組み合わせことができる。たとえば、分析されマージされた画像を伴う画像(C)および(F)を示す、
図6を参照されたい。特に、画像(C)は、
図6において画像(A)と(B)の分析されマージされた画像である。同様に、画像(F)は、
図6において画像(D)と(E)の分析されマージされた画像である。
【0066】
2.分析物分析のための方法
分析物分析のための方法も本明細書に提供される。本方法は、単一の分子の計数を含む場合がある。いくつかの実施形態では、分析物分析のための方法は、試料中に存在する関心対象の分析物を評価することを含む場合がある。いくつかの実施形態では、この評価することは、試料中の関心対象の分析物の存在および/または濃度を決定するために使用される場合がある。いくつかの実施形態では、本方法は、試料中に存在する関心対象の複数の異なる分析物の存在および/または濃度を決定するために使用される場合もある。
【0067】
液滴中の関心対象の分析物を検出するための方法が本明細書に提供される(ここで、関心対象の分析物は、テスト試料または生体試料由来のものである)。本方法は、関心対象の分析物を含む、第1の液滴を提供するステップと、関心対象の分析物に結合する特異的な結合メンバーを含む少なくとも1つの固相支持体(たとえば、(ビーズなどの)磁性固相支持体など)を含む、第2の液滴を提供するステップと、混合物(本明細書では「反応混合物」とも呼ばれる)を生成するために第2の液滴(少なくとも1つの固相支持体を含む)を用いて第1の液滴(関心対象の分析物を含む)を操作する力を及ぼすエネルギーを使用するステップと、混合物のすべてまたは少なくとも一部分をウェルのアレイ(ここで、アレイの1つまたは複数のウェルは、少なくとも1つの固相支持体を収容するのに十分なサイズを有する)に移動させるステップと、混合物の一部分をウェルのアレイに移動させる前、後、または前後に少なくとも1つの検出可能な標識を混合物に添加するステップと、ウェル内の関心対象の分析物を検出するステップとを含む。ウェルのアレイは、本明細書では「検出容器」とも呼ばれる。
【0068】
いくつかの実施形態では、ウェルは、マイクロウェルアレイまたはナノウェルアレイである可能性がある。いくつかの実施形態では、マイクロウェルアレイまたはナノウェルアレイは、少なくとも約4mm、少なくとも約5mm、少なくとも約6mm、少なくとも約7mm、少なくとも約8mm、少なくとも約9mm、または少なくとも約10mmの直径を有する。いくつかの実施形態では、マイクロウェルアレイは、6mmの直径を有する。いくつかの実施形態では、マイクロウェルアレイまたはナノウェルアレイは、約100,000個から約1,000,000個のウェル、約200,000個から約750,000個のウェル、または約300,000個から約500,000個のウェルを含む。いくつかの実施形態では、マイクロウェルアレイは、約100,000個、約200,000個、約300,000個、約350,000個、約375,000個、約400,000個、約425,000個、約450,000個、約475,000個、約500,000個、約600,000個、約700,000個、約800,000個、約900,000個、または約1,000,000個のウェルを含む。いくつかの実施形態では、マイクロウェルアレイは、400,000個のウェルを含む。いくつかの実施形態では、ウェルは、ウェルの底部に、少なくとも約1μMの直径、少なくとも約2μMの直径、少なくとも約3μMの直径、少なくとも約4μMの直径、少なくとも約5μMの直径、少なくとも約6μMの直径、少なくとも約7μMの直径、少なくとも約8μMの直径、少なくとも約9μMの直径、または少なくとも約10μMの直径を有することができる。いくつかの実施形態では、複数の反応容器は、6mmの直径を有し、ウェルの底部に5μmの直径を有する約400,000個のウェルを含む、マイクロウェルアレイまたはナノウェルアレイである場合がある。
【0069】
いくつかの実施形態では、「第2の液滴を用いて第1の液滴を操作する力を及ぼすエネルギーを使用するステップ」は、少なくとも第1および第2の液滴(および任意で追加の液滴)を操作して(たとえば、統合または結合させて)混合物にする力を提供するか、またはその力を及ぼすために機械的でない力(すなわち、たとえば、ポンプおよび/またはバルブを使用することなく生成されたエネルギー)を使用することを指す。本明細書に説明される方法に使用される可能性がある機械的でない力の例は、電気的駆動力(液滴駆動、電気泳動、エレクトロウェッティング、誘電泳動、静電的駆動、媒介する電場、媒介する電極、毛管力、クロマトグラフィ、遠心分離、または吸引など)および/または音響力(表面音響波(すなわち「SAW」)など)を含む。いくつかの実施形態では、生成される電気的駆動力は、交流である。たとえば、交流は、10V、15V、20V、25V、30V、35V、またはそれらを超える二乗平均平方根(rms)電圧を有することができる。たとえば、そのような交流は、10V以上、15V以上、20V以上、25V以上、30V以上、または35V以上のrms電圧を有することができる。代替として、交流は、無線周波数範囲の周波数を有することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、磁性固相支持体が使用される場合、電気的駆動力および磁場は、混合物の少なくとも一部分に対して反対方向から適用される可能性がある。いくつかの他の実施形態では、混合物は、円周方向に、行きつ戻りつしながら混合物を移動させることによって、または、混合物を2つ以上の部分混合物に分離し次いでこれらの部分混合物を統合することによって混合される。いくつかの他の実施形態では、電気的駆動力は、ウェル(少なくとも1つの固相支持体が装填されている)を密封するために混合物をウェルのアレイに移動させるのに、一連のまたは複数(すなわち、少なくとも2つ以上、少なくとも3つ以上、少なくとも4つ以上、少なくとも5つ以上、少なくとも6つ以上、少なくとも7つ以上、少なくとも8つ以上、少なくとも9つ以上、少なくとも10個以上、少なくとも11個以上、少なくとも12個以上、少なくとも13個以上、少なくとも14個以上、少なくとも15個以上など)の電極を使用して生成される可能性がある。
【0071】
いくつかの実施形態では、混合物のすべてまたは少なくとも一部分をウェルのアレイに移動させるステップは、ウェルのアレイへの少なくとも1つの固相支持体の装填(充填および/または配置)をもたらす。いくつかの実施形態では、磁場は、混合物したがって少なくとも1つの固相支持体がアレイの1つまたは複数のウェルに移動することを容易にするために使用される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの固相支持体がウェルに装填された後、ウェルに装填されなかったどの固相支持体も、当技術分野で知られている決められた技法を使用して除去される可能性がある。たとえば、そのような除去は、ウェルのアレイから混合物の少なくとも一部分を遠方(重要にならない距離)に移動させるために、流体液滴(分極性流体液滴など)をウェルのアレイに移動させるのに、一連のまたは複数の電極を用いて電気的駆動力(本明細書に先に説明された)を生成することを含む可能性がある。いくつかの実施形態では、水性洗浄液体は、関心対象の任意の分析物に結合されていない固相支持体を除去するために使用される可能性がある。そのような実施形態では、この除去は、ウェルのアレイ全体にわたって水性洗浄(または洗浄用)液滴(第3の液滴)を移動させるために、一連のまたは複数の電極を用いて電気的駆動力を生成することを含む。前記洗浄に使用される水性液体の量およびタイプは、重要ではない。
【0072】
いくつかの実施形態では、本方法における混合物は、水性液体である。他の実施形態では、混合物は、不混和液体である。他の実施形態では、液滴は、疎水性液滴である。他の実施形態では、液滴は、親水性液滴である。いくつかの実施形態では、本方法に使用されるウェルのアレイは、疎水性表面を有する。他の実施形態では、ウェルのアレイは、親水性表面を有する。
【0073】
いくつかの実施形態では、本方法に使用される第1の液滴は、分極性液体である。いくつかの実施形態では、本方法に使用される第2の液滴は、分極性液体である。いくつかの実施形態では、本方法に使用される第1および第2の液滴は、分極性液体である。いくつかの実施形態では、混合物は、分極性液体である。いくつかの実施形態では、第1の液滴、第2の液滴、および混合物のうちの1つまたは複数は、分極性液体である。
【0074】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの固相支持体は、関心対象の分析物に特異的に結合する、少なくとも1つの特異的な結合メンバーを含む。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、混合物の少なくとも一部分をウェルのアレイに移動させる前に混合物に添加される。いくつかの他の実施形態では、検出可能な標識は、関心対象の分析物の少なくとも一部分を移動させた後、混合物に添加される。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、関心対象の分析物に特異的に結合する少なくとも1つの特異的な結合メンバーを含む。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、色素体、蛍光化合物、酵素、化学発光化合物、または放射性化合物を含む。いくつかの実施形態では、特異的な結合メンバーは、受容体、アプタマー、または抗体である。いくつかの実施形態では、本方法は、混合物がウェルのアレイに移動することを容易にするように構成された毛管要素を使用してウェルのアレイ全体にわたって混合物の少なくとも一部分を配置するステップをさらに含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、混合物が液体であるとき、および混合物がウェルのアレイに移動した後、水相がウェル内に形成される。いくつかの実施形態では、ウェルは、1つまたは複数の溶媒の添加によって密封される可能性がある(「溶媒ウェル密封」)。親水性または疎水性の溶媒が使用される可能性がある。使用される可能性がある親水性溶媒は、親水性アルコール、親水性エーテル、ケトン、ニトリル溶媒、ジメチルスルホキシド、およびN,N-ジメチルホルムアミド、またはそれらの混合物を含む。親水性アルコールの例は、エタノール、メタノール、プロパノール、およびグリセリンを含む。親水性エーテルの例は、テトラヒドロフラン、ポリエチレンオキシド、および1,4-ジオキサンを含む。ケトンの例は、アセトンおよびメチルエチルケトンを含む。ニトリル溶媒の例は、アセトニトリルを含む。使用される可能性がある疎水性溶媒は、炭化水素、不飽和炭化水素、芳香族炭化水素、シリコーンオイル、パーフルオロカーボン、ハロゲン溶媒、疎水性イオン溶液、およびそれらの混合物を含む。飽和炭化水素の例は、デカンおよびヘキサデカンなどのアルカンを含む。不飽和炭化水素の例は、スクアレンを含む。芳香族炭化水素の例は、ベンゼンおよびトルエンを含む。パーフルオロカーボンの例は、[Math.4]Fluorinert(R)(FC-40、FC-72、FC-84、FC-77、FC-3255、FC-3283、FC-43、FC-7)、3M Novec4200、3M Novec4300、3M FC-4432、3M FC-4430、または3M FC-4434を含む。ハロゲン溶媒の例は、クロロホルム、塩化メチレン、およびクロロベンゼンを含む。疎水性イオン溶液は、少なくとも水中では解離されないイオン溶液を示す。イオン溶液の例は、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスファートを含む。
【0076】
親水性または疎水性の溶媒は、水相よりも重い密度を有するので、溶媒が添加された後、溶媒は、ウェルの底部に向かって移動して水相を動かすことによって、水相を表面に押し出し、上部の水相と下部の溶媒相との間のはっきりした分離を形成する。上部の水相は、当技術分野で知られている決められた技法を使用して、除去することができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明される方法は、セクション1で説明された光学イメージングシステムを使用して実行される。いくつかの実施形態では、本明細書に説明される方法は、マイクロ流体デバイスを使用して実行される。いくつかの実施形態では、本明細書に説明される方法は、デジタルマイクロ流体デバイス(DMF)を使用して実行される。いくつかの実施形態では、本明細書に説明される方法は、表面音響波ベースのマイクロ流体デバイス(SAW)を使用して実行される。いくつかの実施形態では、本明細書に説明される方法は、統合されたDMFおよび分析物検出デバイスを使用して実行される。いくつかの実施形態では、本明細書に説明される方法は、統合された表面音響波ベースのマイクロ流体デバイスおよび分析物検出デバイスを使用して実行される。いくつかの実施形態では、本明細書に説明される方法は、ロボティクスベースのアッセイ処理ユニットを使用して実行される。
【0078】
液滴中の関心対象の分析物を検出するための方法が本明細書に提供される(ここで、関心対象の分析物は、テスト試料または生体試料からのものである)。本方法は、関心対象の分析物を含む、第1の液滴を提供するステップと、関心対象の分析物に結合する特異的な結合メンバーを含む少なくとも1つの検出可能な標識を含む、第2の液滴を提供するステップと、混合物(すなわち、分析物/検出可能な標識-特異的な結合メンバー複合体を含む反応混合物)を生成するために第2の液滴(少なくとも1つの固相支持体を含む)を用いて第1の液滴(関心対象の分析物を含む)を操作する力を及ぼすエネルギーを使用するステップと、混合物のすべてまたは少なくとも一部分をウェルのアレイ(ここで、アレイの1つまたは複数のウェルは、少なくとも1つの固相支持体を収容するのに十分なサイズを有する)に移動させるステップと、任意で、1つまたは複数の溶媒を使用してウェルを密封するステップと、ウェル内の関心対象の分析物を検出するステップとを含む。いくつかの実施形態では、「第2の液滴を用いて第1の液滴を操作する力を及ぼすエネルギーを使用するステップ」は、少なくとも第1および第2の液滴(および任意で追加の液滴)を操作して(たとえば、統合または結合させて)混合物にする力を提供するか、またはその力を及ぼすために機械的でない力(すなわち、たとえば、ポンプおよび/またはバルブを使用することなく生成されたエネルギー)を使用することを指す。本明細書に説明される方法に使用される可能性がある機械的でない力の例は、電気的駆動力(液滴駆動、電気泳動、エレクトロウェッティング、誘電泳動、静電的駆動、媒介する電場、媒介する電極、毛管力、クロマトグラフィ、遠心分離、または吸引など)および/または音響力(表面音響波(すなわち「SAW」)など)を含む。いくつかの実施形態では、生成される電気的駆動力は、交流である。たとえば、交流は、10V、15V、20V、25V、30V、35V、またはそれらを超える二乗平均平方根(rms)電圧を有することができる。たとえば、そのような交流は、10V以上、15V以上、20V以上、25V以上、30V以上、または35V以上のrms電圧を有することができる。代替として、交流は、無線周波数範囲の周波数を有することができる。
【0079】
いくつかの他の実施形態では、混合物は、円周方向に、行きつ戻りつしながら混合物を移動させることによって、または、混合物を2つ以上の部分混合物に分離し次いでこれらの部分混合物を統合することによって混合される。いくつかの他の実施形態では、電気的駆動力は、ウェル(少なくとも1つの固相支持体が装填されている)を密封するために混合物をウェルのアレイに移動させるのに、一連のまたは複数(すなわち、少なくとも2つ以上、少なくとも3つ以上、少なくとも4つ以上、少なくとも5つ以上、少なくとも6つ以上、少なくとも7つ以上、少なくとも8つ以上、少なくとも9つ以上、少なくとも10個以上、少なくとも11個以上、少なくとも12個以上、少なくとも13個以上、少なくとも14個以上、少なくとも15個以上など)の電極を使用して生成される可能性がある。
【0080】
いくつかの実施形態では、混合物のすべてまたは少なくとも一部分をウェルのアレイに移動させるステップは、ウェルのアレイへの分析物/検出可能な標識-特異的な結合メンバー複合体の装填(充填および/または配置)をもたらす。いくつかの実施形態では、磁場は、混合物したがって少なくとも1つの分析物/検出可能な標識-特異的な結合メンバー複合体が、アレイの1つまたは複数のウェルに移動することを容易にするために使用される。たとえば、そのような除去は、ウェルのアレイから混合物の少なくとも一部分を遠方(重要にならない距離)に移動させるために、流体液滴(分極性流体液滴など)をウェルのアレイに移動させるのに、一連のまたは複数の電極を用いて電気的駆動力(本明細書に先に説明された)を生成することを含む可能性がある。いくつかの実施形態では、水性洗浄液体は、任意の分析物に結合されていない任意の検出可能な標識-特異的な結合メンバーを除去するために使用される可能性がある。そのような実施形態では、この除去は、ウェルのアレイ全体にわたって水性洗浄(または洗浄用)液滴(第3の液滴)を移動させるために、一連のまたは複数の電極を用いて電気的駆動力を生成することを含む。前記洗浄に使用される水性液体の量およびタイプは、重要ではない。
【0081】
いくつかの実施形態では、本方法における混合物は、水性液体である。他の実施形態では、混合物は、不混和液体である。他の実施形態では、液滴は、疎水性液滴である。他の実施形態では、液滴は、親水性液滴である。いくつかの実施形態では、本方法に使用されるウェルのアレイは、疎水性表面を有する。他の実施形態では、ウェルのアレイは、親水性表面を有する。
【0082】
いくつかの実施形態では、本方法に使用される第1の液滴は、分極性液体である。いくつかの実施形態では、本方法に使用される第2の液滴は、分極性液体である。いくつかの実施形態では、本方法に使用される第1および第2の液滴は、分極性液体である。いくつかの実施形態では、混合物は、分極性液体である。いくつかの実施形態では、第1の液滴、第2の液滴、および混合物のうちの1つまたは複数は、分極性液体である。
【0083】
いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、少なくとも1つの固相支持体に結合される。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、色素体、蛍光化合物、酵素、化学発光化合物、または放射性化合物を含む。いくつかの実施形態では、特異的な結合メンバーは、受容体、アプタマー、または抗体である。いくつかの実施形態では、本方法は、混合物がウェルのアレイに移動することを容易にするように構成された毛管要素を使用してウェルのアレイ全体にわたって混合物の少なくとも一部分を配置するステップをさらに含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、混合物が液体であるとき、および混合物がウェルのアレイに移動した後、水相がウェル内に形成される。いくつかの実施形態では、ウェルは、本明細書に先に説明されたように、1つまたは複数の溶媒の添加によって密封される可能性がある。
【0085】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明される方法は、本明細書に説明される小型デジタルイムノアッセイ装置を使用して実行される。いくつかの実施形態では、本明細書に説明される方法は、マイクロ流体デバイスを使用して実行される。いくつかの実施形態では、本明細書に説明される方法は、デジタルマイクロ流体デバイス(DMF)を使用して実行される。いくつかの実施形態では、本明細書に説明される方法は、表面音響波ベースのマイクロ流体デバイス(SAW)を使用して実行される。いくつかの実施形態では、本明細書に説明される方法は、統合されたDMFおよび分析物検出デバイスを使用して実行される。いくつかの実施形態では、本明細書に説明される方法は、統合された表面音響波ベースのマイクロ流体デバイスおよび分析物検出デバイスを使用して実行される。いくつかの実施形態では、本明細書に説明される方法は、ロボティクスベースのアッセイ処理ユニットを使用して実行される。
【0086】
液滴中の関心対象の分析物を測定するための方法が本明細書に提供される(ここで、関心対象の分析物は、テスト試料または生体試料からのものである)。本方法は、関心対象の分析物を含む、第1の液滴を提供するステップと、関心対象の分析物に結合する特異的な結合メンバーを含む少なくとも1つの固相支持体(たとえば、(ビーズなどの)磁性固相支持体など)を含む、第2の液滴を提供するステップと、混合物(本明細書では「反応混合物」とも呼ばれる)を生成するために第2の液滴(少なくとも1つの固相支持体を含む)を用いて第1の液滴(関心対象の分析物を含む)を操作する力を及ぼすエネルギーを使用するステップと、混合物のすべてまたは少なくとも一部分をウェルのアレイ(ここで、アレイの1つまたは複数のウェルは、少なくとも1つの固相支持体を収容するのに十分なサイズを有する)に移動させるステップと、混合物の一部分をウェルのアレイに移動させる前、後、または前後に少なくとも1つの検出可能な標識を混合物に添加するステップと、任意で、1つまたは複数の溶媒を使用してウェルのアレイを密封するステップと、ウェル内の関心対象の分析物を測定するステップとを含む。いくつかの実施形態では、「第2の液滴を用いて第1の液滴を操作する力を及ぼすエネルギーを使用するステップ」は、少なくとも第1および第2の液滴(および任意で追加の液滴)を操作して(たとえば、統合または結合させて)混合物にする力を提供するか、またはその力を及ぼすために機械的でない力(すなわち、たとえば、ポンプおよび/またはバルブを使用することなく生成されたエネルギー)を使用することを指す。本明細書に説明される方法に使用される可能性がある機械的でない力の例は、電気的駆動力(液滴駆動、電気泳動、エレクトロウェッティング、誘電泳動、静電的駆動、媒介する電場、媒介する電極、毛管力、クロマトグラフィ、遠心分離、または吸引など)および/または音響力(表面音響波(すなわち「SAW」)など)を含む。いくつかの実施形態では、生成される電気的駆動力は、交流である。たとえば、交流は、10V、15V、20V、25V、30V、35V、またはそれらを超える二乗平均平方根(rms)電圧を有することができる。たとえば、そのような交流は、10V以上、15V以上、20V以上、25V以上、30V以上、または35V以上のrms電圧を有することができる。代替として、交流は、無線周波数範囲の周波数を有することができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、磁性固相支持体が使用される場合、電気的駆動力および磁場は、混合物の少なくとも一部分に対して反対方向から適用される可能性がある。いくつかの他の実施形態では、混合物は、円周方向に、行きつ戻りつしながら混合物を移動させることによって、または、混合物を2つ以上の部分混合物に分離し次いでこれらの部分混合物を統合することによって混合される。いくつかの他の実施形態では、電気的駆動力は、ウェル(少なくとも1つの固相支持体が装填されている)を密封するために混合物をウェルのアレイに移動させるのに、一連のまたは複数(すなわち、少なくとも2つ以上、少なくとも3つ以上、少なくとも4つ以上、少なくとも5つ以上、少なくとも6つ以上、少なくとも7つ以上、少なくとも8つ以上、少なくとも9つ以上、少なくとも10個以上、少なくとも11個以上、少なくとも12個以上、少なくとも13個以上、少なくとも14個以上、少なくとも15個以上など)の電極を使用して生成される可能性がある。
【0088】
いくつかの実施形態では、混合物のすべてまたは少なくとも一部分をウェルのアレイに移動させるステップは、ウェルのアレイへの少なくとも1つの固相支持体の装填(充填および/または配置)をもたらす。いくつかの実施形態では、磁場は、混合物したがって少なくとも1つの固相支持体が、アレイの1つまたは複数のウェルに移動することを容易にするために使用される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの固相支持体がウェルに装填された後、ウェルに装填されなかったどの固相支持体も、当技術分野で知られている決められた技法を使用して除去される可能性がある。たとえば、そのような除去は、ウェルのアレイから混合物の少なくとも一部分を遠方(重要にならない距離)に移動させるために、流体液滴(分極性流体液滴など)をウェルのアレイに移動させるのに、一連のまたは複数の電極を用いて電気的駆動力(本明細書に先に説明された)を生成することを含む可能性がある。いくつかの実施形態では、水性洗浄液体は、関心対象の任意の分析物に結合されていない固相支持体を除去するために使用される可能性がある。そのような実施形態では、この除去は、ウェルのアレイ全体にわたって水性洗浄(または洗浄用)液滴(第3の液滴)を移動させるために、一連のまたは複数の電極を用いて電気的駆動力を生成することを含む。前記洗浄に使用される水性液体の量およびタイプは、重要ではない。
【0089】
いくつかの実施形態では、本方法における混合物は、水性液体である。他の実施形態では、混合物は、不混和液体である。他の実施形態では、液滴は、疎水性液滴である。他の実施形態では、液滴は、親水性液滴である。いくつかの実施形態では、本方法に使用されるウェルのアレイは、疎水性表面を有する。他の実施形態では、ウェルのアレイは、親水性表面を有する。
【0090】
いくつかの実施形態では、本方法に使用される第1の液滴は、分極性液体である。いくつかの実施形態では、本方法に使用される第2の液滴は、分極性液体である。いくつかの実施形態では、本方法に使用される第1および第2の液滴は、分極性液体である。いくつかの実施形態では、混合物は、分極性液体である。いくつかの実施形態では、第1の液滴、第2の液滴、および混合物のうちの1つまたは複数は、分極性液体である。
【0091】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの固相支持体は、関心対象の分析物に特異的に結合する、少なくとも1つの特異的な結合メンバーを含む。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、混合物の少なくとも一部分をウェルのアレイに移動させる前に混合物に添加される。いくつかの他の実施形態では、検出可能な標識は、関心対象の分析物の少なくとも一部分をウェルのアレイに移動させた後、混合物に添加される。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、関心対象の分析物に特異的に結合する少なくとも1つの特異的な結合メンバーを含む。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、色素体、蛍光化合物、酵素、化学発光化合物、または放射性化合物を含む。いくつかの実施形態では、特異的な結合メンバーは、受容体、アプタマー、または抗体である。いくつかの実施形態では、本方法は、混合物がウェルのアレイに移動することを容易にするように構成された毛管要素を使用してウェルのアレイ全体にわたって混合物の少なくとも一部分を配置するステップをさらに含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、混合物が液体であるとき、および混合物がウェルのアレイに移動した後、水相がウェル内に形成される。いくつかの実施形態では、ウェルは、本明細書に先に説明されたように、1つまたは複数の溶媒の添加によって密封される可能性がある。
【0093】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明される方法は、セクション1で説明された光学イメージングシステムを使用して実行される。いくつかの実施形態では、本明細書に説明される方法は、マイクロ流体デバイスを使用して実行される。いくつかの実施形態では、本明細書に説明される方法は、デジタルマイクロ流体デバイス(DMF)を使用して実行される。いくつかの実施形態では、本明細書に説明される方法は、表面音響波ベースのマイクロ流体デバイス(SAW)を使用して実行される。いくつかの実施形態では、本明細書に説明される方法は、統合されたDMFおよび分析物検出デバイスを使用して実行される。いくつかの実施形態では、本明細書に説明される方法は、統合された表面音響波ベースのマイクロ流体デバイスおよび分析物検出デバイスを使用して実行される。いくつかの実施形態では、本明細書に説明される方法は、ロボティクスベースのアッセイ処理ユニットを使用して実行される。
【0094】
いくつかの実施形態では、測定するステップは、アレイのウェル内の固相支持体の総数(「総固相支持体数」)を決定することを最初に含む。次に、たとえば、検出可能な標識によって生成された信号の強度を決定するなどして、検出可能な標識を含むアレイのウェル内の固相支持体(「陽性粒子」(positives))の数が決定される。陽性粒子は、検出可能な標識を含まないか、または検出されないウェルのアレイ内の固相支持体(「陰性粒子」(negatives))の数を提供するために、総固相支持体数から減算される。次いで、ウェルのアレイ内の陽性粒子と陰性粒子の比が、決定され、次いで、較正曲線と比較され得る。代替として、以下に示されるポアソン方程式P(x;μ)を使用したデジタル定量化:
P(x;μ)=(e-μ)(μx)/x!
ここで:
e:約2.71828に等しい定数であり
μ:特定された領域において起こる成功の平均数であり、そして
x:特定された領域において起こる成功の実際の数である。
【0095】
本明細書に説明される方法に使用される試料は、関心対象の分析物を含むか、または含む疑いがある任意のテスト試料である可能性がある。本明細書に使用される、「分析物」、「ターゲット分析物」、「関心対象の分析物」は、置き換え可能に使用され、本明細書に開示される方法およびデバイスにおいて測定される分析物を指す。関心対象の分析物は、以下にさらに説明される。
【0096】
本明細書に使用される「接触」およびその文法上の同義語は、特異的な結合メンバーに対して特異的な関心対象の分析物が試料中に存在する場合、結合相互作用が起こるように、特異的な結合メンバーを試料中の関心対象の分析物の十分近くに持ってくる、任意のタイプの結合作用を指す。接触は、試料を特異的な結合メンバーと結合すること、結合メンバーを分析物の近くに導くことによってターゲット分析物を特異的な結合メンバーに露出させることなどを含む、多種多様な方法で達成される場合がある。
【0097】
いくつかの場合には、第1の特異的な結合メンバーは、固相支持体上に固定化される場合がある。本明細書に使用される「固定化」という用語は、第1の特異的な結合メンバーと固相支持体の表面との安定した会合を指す。「安定した会合」は、たとえば、生理学的条件下で、会合体の平均半減期が1日以上である、2つのエンティティ間の物理的な会合を意味する。いくつかの態様では、2つのエンティティ間の物理的な会合は、6か月以上、たとえば4℃のPBSにおいて1年以上を含む、2日以上、1週間以上、1か月以上の平均半減期を有する。いくつかの実施形態によれば、安定した会合は、2つのエンティティ間の共有結合、2つのエンティティ間の非共有結合(たとえば、イオン結合または金属結合)、または、水素結合、ファンデルワールス力などの化学誘引の他の形態から生じる。
【0098】
特異的な結合メンバーが固定化される表面を有する固相支持体は、マイクロ流体チップの表面、チャンバの内部表面、ビーズ(本明細書に定義された)の外部表面、または多孔質のビーズの内部および/もしくは外部の表面などの、平面的または非平面的な構造の任意の便利な表面である場合がある。たとえば、第1の特異的な結合メンバーは、ラテックス、アガロース、セファロース、ストレプトアビジン、トシル活性、エポキシ、ポリスチレンなどのビーズ、アミノビーズ、アミンビーズ、カルボキシルビーズなどに共有結合的にまたは非共有結合的に付着される場合がある。いくつかの実施形態では、ビーズは、マイクロ粒子などの粒子である場合がある。いくつかの実施形態では、マイクロ粒子は、約0.1nmから約10ミクロンの間、約50nmから約5ミクロンの間、約100nmから約1ミクロンの間、約0.1nmから約700nmの間、約500nmから約10ミクロンの間、約500nmから約5ミクロンの間、約500nmから約3ミクロンの間、約100nmから約700nmの間、または約500nmから約700nmの間である場合がある。たとえば、マイクロ粒子は、約4~6ミクロン、約2~3ミクロン、または約0.5~1.5ミクロンである場合がある。約500nmよりも小さい粒子は、ナノ粒子と見なされる場合がある。したがって、マイクロ粒子は、任意で、約0.1nmから約500nmの間、約10nmから約500nmの間、約50nmから約500nmの間、約100nmから約500nmの間、約100nm、約150nm、約200nm、約250nm、約300nm、約350nm、約400nm、約450nm、または約500nmのナノ粒子である場合がある。
【0099】
いくつかの実施形態では、ビーズは、磁性ビーズまたは磁性粒子である場合がある。いくつかの実施形態では、ビーズは、磁性ナノビーズ、ナノ粒子、マイクロビーズ、またはマイクロ粒子である場合がある。磁性ビーズ/粒子は、強磁性、フェリ磁性、常磁性、超常磁性、または磁性流体である場合がある。例示的な強磁性材料は、Fe、Co、Ni、Gd、Dy、CrO2、MnAs、MnBi、EuO、およびNiO/Feを含む。フェリ磁性材料の例は、NiFe2O4、CoFe2O4、Fe3O4(またはFeO.Fe2O3)を含む。ビーズは、磁性があるソリッドコア部分を有することができ、1つまたは複数の非磁性層によって囲まれている。代替として、磁性部分は、非磁性コアの周りの層である可能性がある。第1の特異的な結合メンバーが固定化される固相支持体は、乾燥状態でまたは液体中に保存される場合がある。これらの磁性ビーズは、第1の特異的な結合メンバーが固定化された磁性ビーズとともに試料と接触する前または後に磁場を受ける場合がある。
【0100】
接触するステップの後、試料および第1の特異的な結合メンバーは、特異的な結合メンバーと分析物との間の結合相互作用が起こることを可能にするのに十分な時間の間、インキュベートされてもよい。加えて、インキュベートは、特異的な結合相互作用を容易にする結合バッファー中で起こる場合がある。第1の特異的な結合メンバーおよび/または第2の特異的な結合メンバーの結合親和性および/または特異性は、結合バッファーを変化させることによってアッセイにおいて操作されるか、または変化させられる場合がある。いくつかの実施形態では、結合親和性および/または特異性は、結合バッファーを変化させることによって増大される場合がある。いくつかの実施形態では、結合親和性および/または特異性は、結合バッファーを変化させることによって低下される場合がある。
【0101】
第1の特異的な結合メンバーおよび/または第2の特異的な結合メンバーの結合親和性および/または特異性は、以下で説明される開示された方法およびデバイスを使用して測定される場合がある。いくつかの実施形態では、試料の1アリコートは、1組の条件を使用してアッセイされ、異なる組の条件を使用してアッセイされた試料の別のアリコートと比較され、それによって、結合親和性および/または特異性に関する条件の効果を決定する。たとえば、条件を変更または変化させることは、試料からターゲット分析物を除去すること、ターゲット分析物または結合用のリガンドと競合する分子を添加すること、およびpH、塩濃度、または温度を変更することのうちの1つまたは複数である可能性がある。それに加えてまたは代替として、継続時間は、可変であってもよく、条件を変更することは、検出方法を再び実行する前に、ある継続時間の間、待つことを含んでもよい。
【0102】
結合バッファーは、アルブミン(たとえば、BSA)、非イオン性界面活性剤(Tween-20、Triton X-100)、および/またはプロテアーゼ阻害剤(たとえば、PMSF)などの抗原抗体結合バッファーの標準分子を含む場合がある。いくつかの場合には、結合バッファーは、試料を添加する前または後に、マイクロ流体チップ、チャンバなどに添加される場合がある。いくつかの場合には、第1の特異的な結合メンバーは、試料と接触する前に結合バッファー中に存在する場合がある。結合メンバーと分析物との間の結合相互作用が起こる時間の長さは、実験的に決定される場合があり、結合メンバーと分析物との間の結合親和性および結合親和力による場合がある。いくつかの実施形態では、接触またはインキュベートは、10秒~30分、または1分~15分、または5分~10分などの5秒から1時間、たとえば、10秒、15秒、30秒、1分、5分、10分、15分、30分、45分、1時間、または2時間の期間の間に起こる場合がある。温度、塩濃度などの、結合相互作用に関する他の条件も、実験的に決定されるか、または生産者の指示に基づく場合がある。たとえば、接触は、室温(21℃~28℃、たとえば、23℃~25℃)、37℃、または4℃で実行されてもよい。いくつかの実施形態では、試料と第1の特異的な結合メンバーとの任意の混合は、接触ステップ中に実行されてもよい。
【0103】
固定化された第1の特異的な結合メンバーと分析物との間の複合体形成に続いて、任意の未結合の分析物は、試料とともに第1の特異的な結合メンバーの近辺から除去される場合があるが、第1の特異的な結合メンバーおよび分析物の複合体は、固相支持体とのその会合により保持される場合がある。任意で、固相支持体は、固相支持体に非特異的に結合されたいかなる分子も除去するために洗浄バッファーと接触してもよい。
【0104】
第1の接触ステップ、ならびに試料の任意の除去および/または任意の洗浄ステップの後、第1の特異的な結合メンバーおよび分析物の複合体は、第2の特異的な結合メンバーと接触し、それによって、分析物が2つの特異的な結合メンバーによって結合される、サンドイッチ複合体の形成につながる。第2のメンバーと第1の特異的な結合メンバー-分析物複合体との任意の混合は、第2の接触ステップ中に実行されてもよい。いくつかの実施形態では、表面に対する分析物分子の固定化は、表面から分析物分子を除去する心配なしに溶液から任意の余分な第2の特異的な結合メンバーの除去を助ける場合がある。いくつかの実施形態では、第2の特異的な結合メンバーは、色素体、蛍光化合物、化学発光化合物、酵素、放射性化合物などの1つまたは複数の信号生成物質を含む、検出可能な標識を含む場合がある。
【0105】
上述のように、第2の接触ステップは、分析物と第2の特異的な結合メンバーとの間の結合相互作用のために十分な条件で実行される場合がある。第2の接触ステップに続いて、任意の未結合の第2の特異的な結合メンバーが除去される場合があり、任意の洗浄ステップが続く。任意の未結合の第2の特異的な結合メンバーは、液滴駆動、電気泳動、エレクトロウェッティング、誘電泳動、静電的駆動、媒介する電場、媒介する電極、毛管力、クロマトグラフィ、遠心分離、吸引、またはSAWなどの適切な手段によって、第1の特異的な結合メンバー-分析物-第2の特異的な結合メンバーの複合体から分離される場合がある。任意の未結合の第2の特異的な結合メンバーが第1の特異的な結合メンバー-分析物-第2の特異的な結合メンバーの複合体の近辺から除去されると、第1の特異的な結合メンバー-分析物-第2の特異的な結合メンバーの複合体中に存在する第2の特異的な結合メンバーに付着された検出可能な標識は、適切な手段によって分離されるか、または、当技術分野で知られている技法を使用して検出される場合がある。いくつかの実施形態では、検出可能な標識は、色素体、蛍光化合物、酵素、化学発光化合物、放射性化合物などの1つまたは複数の信号生成物質を含む、検出可能な標識を含む。代替として、いくつかの実施形態では、検出可能な標識がタグを含む場合、タグは、未結合の試薬の除去後に残る複合体から切断または解離される可能性がある。たとえば、タグは、切断可能なリンカー(本明細書に説明される「切断可能なリンカー」)を介して第2の特異的な結合メンバーに付着される場合がある。第1の特異的な結合メンバー-分析物-第2の特異的な結合メンバーの複合体は、切断可能なリンカーの切断を媒介する切断剤に露出される場合がある。
【0106】
上述のように、タグは、核酸を含む場合がある。いくつかの実施形態では、分析物の定量化は、タグ中に存在する核酸配列の少なくとも一部分の識別情報を決定することによってタグの識別情報を決定することを含まない。たとえば、計数ステップは、タグの配列を決定することを含まない。他の実施形態では、タグは、配列決定されないが、タグの識別情報は、タグのサイズ、構造、電荷、電荷の量などによってタグに関連付けられた弁別可能な信号に基づいて、あるタグを別のタグから区別することができる程度まで、決定される場合がある。タグの識別は、試料中の2つ、3つ、4つ、またはそれよりも多い異なる分析物などの、試料中の複数の異なる分析物の同時分析を含む方法において役に立つ場合がある。
【0107】
いくつかの実施形態では、第1および第2の特異的な結合メンバーの一対が試料中の単一の分析物に対して特異的である、複数の異なる第1および第2の特異的な結合メンバーを使用することによって、単一の試料中の複数の分析物の同時分析が実行される場合がある。これらの実施形態では、単一の分析物に対して特異的である第1および第2の特異的な結合メンバーの第1の対の第2の特異的な結合メンバーに会合した検出可能な標識は、異なる分析物に対して特異的である第1および第2の特異的な結合メンバーの第2の対の第2の特異的な結合メンバーに会合した検出可能な標識とは、区別できる場合がある。上述のように、第1の検出可能な標識は、信号生成物質などの差に基づいて、第2の検出可能な標識から区別できる場合がある。
【0108】
いくつかの実施形態では、ほぼ正確に決定され得る流体試料中の分析物の濃度は、約5000fM(フェムトモル)未満、約3000fM未満、約2000fM未満、約1000fM未満、約500fM未満、約300fM未満、約200fM未満、約100fM未満、約50fM未満、約25fM未満、約10fM未満、約5fM未満、約2fM未満、約1fM未満、約500aM(アトモル)未満、約100aM未満、約10aM未満、約5aM未満、約1aM未満、約0.1aM未満、約500zM(ゼプトモル)未満、約100zM未満、約10zM未満、約5zM未満、約1zM未満、約0.1zM未満、またはそれ未満である。
【0109】
いくつかの場合には、検出限界(たとえば、溶液中で決定される場合がある分析物の下限濃度)は、約100fM、約50fM、約25fM、約10fM、約5fM、約2fM、約1fM、約500aM(アトモル)、約100aM、約50aM、約10aM、約5aM、約1aM、約0.1aM、約500zM(ゼプトモル)、約100zM、約50zM、約10zM、約5zM、約1zM、約0.1zM、またはそれ未満である。いくつかの実施形態では、ほぼ正確に決定される場合がある流体試料中の分析物の濃度は、約5000fMから約0.1fMの間、約3000fMから約0.1fMの間、約1000fMから約0.1fMの間、約1000fMから約0.1zMの間、約100fMから約1zMの間、約100fMから約0.1zMの間、またはそれ未満である。
【0110】
検出の上限(たとえば、溶液中で決定される場合がある分析物の上限濃度)は、少なくとも約100fM、少なくとも約1000fM、少なくとも約10pM(ピコモル)、少なくとも約100pM、少なくとも約100pM、少なくとも約10nM(ナノモル)、少なくとも約100nM、少なくとも約1000nM、少なくとも約10μM、少なくとも約100μM、少なくとも約1000μM、少なくとも約10mM、少なくとも約100mM、少なくとも約1000mM、またはそれらよりも上である。
【0111】
いくつかの場合には、試料中の分析物の存在および/または濃度は、通常は、45分、30分、15分、10分、5分、1分、または30秒などの約1時間未満で迅速に検出される場合がある。
【0112】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明される方法の少なくともいくつかは、セクション1で説明された光学イメージングシステムを使用して実行される場合がある。いくつかの実施形態では、本明細書に説明される方法の少なくともいくつかのステップは、本明細書に説明されるデバイスなどのデジタル一体化マイクロ流体および分析物検出デバイス上で遂行される場合がある。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、分析物検出デバイスと併せてデジタル一体化マイクロ流体デバイスを使用して遂行される。たとえば、デジタルマイクロ流体デバイスおよび分析物検出デバイスは、別個のデバイスである場合があり、検出可能な標識を含む液滴は、マイクロ流体デバイス内で生成され、分析物検出デバイスに輸送される場合がある。
【0113】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、デジタルマイクロ流体モジュールが、以下に説明されるデバイスなどの分析物検出デバイスと一体化されたデバイスを使用して遂行される。いくつかの実施形態では、デジタル一体化マイクロ流体モジュールおよび分析物検出デバイスは、可逆的に一体化される場合がある。たとえば、2つのモジュールは、一体化デバイスを形成するために物理的に結合される場合があり、そのデバイスは、次いで、個別のモジュールに分離され得る。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、内蔵の分析物検出デバイスを有するマイクロ流体モジュールを含む、使い捨てのカートリッジを使用して遂行される。本明細書に提供される方法を実行するために使用されるデバイスの例示的な実施形態は、次のセクションでさらに説明される。
【0114】
本方法の例示的な実施形態は、関心対象の分析物を含む試料液滴を、関心対象の分析物に結合し固相支持体(磁性粒子またはビーズなど)上に固定化される場合がある第1の特異的な結合メンバーを含む液滴と統合することを含む。単一の統合された液滴は、第1の特異的な結合メンバーを関心対象の分析物に結合することを可能にするのに十分な時間の間、インキュベートされ得る。任意で、単一の液滴は、試料を第1の特異的な結合メンバーと混合することを容易にするために撹拌されてもよい。混合は、行きつ戻りつしながら単一の液滴を移動させること、複数の電極の周りに単一の液滴を移動させること、液滴を分離し次いでこれらの液滴を統合すること、またはSAWを使用することなどによって達成される場合がある。次に、単一の液滴は、デバイス内のある場所にビーズを保持する磁力を受ける場合がある一方で、この液滴は、引き離され、第2の特異的な結合メンバーを含む液滴に置換される場合があるが、この第2の特異的な結合メンバーは、任意で、検出可能な標識を含むことができる。任意の洗浄ステップは、ビーズが磁力を使用して保持される場所に洗浄バッファーの液滴を移動させることによって、第2の特異的な結合メンバーを添加する前に実行される場合がある。第2の特異的な結合メンバーが第1の特異的な結合メンバーに結合された分析物を結合するのに十分な時間の後、第2の特異的な結合メンバーを含む液滴は、引き離される場合があるが、ビーズは、第1の場所に保持される。ビーズは、洗浄バッファーの液滴を使用して洗浄される場合がある。洗浄ステップに続いて、磁力は除去される場合があり、標識されたビーズ(第1の特異的な結合メンバー/分析物/第2の特異的な結合メンバー-任意の検出可能な標識を含む)を含む液滴は、本明細書に説明される検出モジュールまで移動する。標識されたビーズは、検出モジュールのウェルのアレイ内に定着することが可能になる。ビーズは、重力を介して、または電気力もしくは磁力を適用することによって定着する場合がある。ウェル内に位置しない任意のビーズを除去する洗浄ステップに続いて、ウェルは、溶媒(オイルなどの疎水性液体など)を使用して密封される場合がある。上記の実施形態では、任意で、結合の後、液滴は、第1の特異的な結合メンバー、第2の特異的な結合メンバーなどをアッセイ試薬と試料を混合することを容易にするために操作される(たとえば、行きつ戻りつしながら移動される、円周方向に移動される、振動し、分離/統合される、SAWに露出される、など)場合がある。検出可能な標識が酵素である実施形態では、複合体がウェルのアレイに移動される前または後のいずれかに、基質が添加される可能性がある。
【0115】
一体化マイクロ流体および分析物検出デバイス内の液滴の移動は、電気力(たとえば、エレクトロウェッティング、誘電泳動、媒介する電極、オプトエレクトロウェッティング、媒介する電場、および静電的駆動)、圧力、表面音響波などを使用して実行され得る。液滴を移動させるために使用される力は、デバイスの仕様に基づいて決定される場合があり、これらの仕様は、次のセクションに、本明細書に説明される特定のデバイスに関して説明される。
【0116】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の検出信号は、特異的な結合メンバーが分析物に結合するイベントに対応する。いくつかの実施形態では、1つの検出信号は、特異的な結合メンバーが分析物に結合するイベントに対応する。いくつかの実施形態では、2つ以上の検出信号は、特異的な結合メンバーが分析物に結合するイベントに対応する。
【0117】
いくつかの実施形態では、第1の特異的な結合メンバーおよび第2の特異的な結合メンバーを含む固相支持体が、試料に連続的にまたは同時に添加される。
【0118】
分析物の検出は、検出可能な生成物または検出可能な標識、すなわち、少なくとも1つの信号生成化合物および少なくとも1つの信号生成基質により生成された信号によって関連付けられる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの信号生成化合物は酵素であり、少なくとも1つの信号生成基質は、酵素に対する基質である。いくつかの実施形態では、酵素に対する基質は、比色分析の蛍光発生(非蛍光)基質または発色基質である。いくつかの実施形態では、検出可能な信号は、蛍光信号である。たとえば、酵素は、ポリヌクレオチダーゼ、アルギナーゼ、アデナーゼ、アミノポリペプチダーゼ、ペプシン、リパーゼ、カタラーゼ、チロシナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、コハク酸デヒドロゲナーゼ、ジアフォラーゼ、グリオキサラーゼ、アルドラーゼ、グルコースオキシダーゼ、西洋わさびペルオキシダーゼ、ガラクトシダーゼ(ベータ-ガラクトシダーゼなど)、ホスファターゼ、ホスホリラーゼおよびヘキソキナーゼ、またはそれらの組合せである場合がある。使用される可能性がある酵素基質の例は、[Math.5]CDP-Star(R)(二ナトリウム4-クロロ-3-(メトキシスピロ{1,2-ジオキセタン-3,2’-(5’-クロロ)トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン}-4-イル)フェニルホスフェート)、[Math.6]CSPD(R)すなわち(二ナトリウム3-(4-メトキシスピロ{1,2-ジオキセタン-3,2-(5’-クロロ)トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン}-4-イル)フェニルホスフェート)などの化学発光基質と、p-ニトロフェニルホスフェート、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェート(BCIP)、4-ニトロブルーテトラゾリウムクロライド(NBT)、またはヨードニトロテトラゾリウム(INT)などの発光基質と、4-メチルウンベリフェリルホスフェート(4-MUP)などの蛍光基質と、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェート(BCIP)、二ナトリウム5-ブロモ-6-クロロ-インドリルホスフェート、またはp-ニトロフェニルホスフェートなどの発色基質とを含む。
【0119】
いくつかの態様では、使用される可能性がある酵素は、酵素の活性結合部位以外の部位に結合された阻害剤分子(タンパク質、ペプチドなど)を含む、酵素を含む。そのような阻害剤分子は、酵素の活性結合部位の構造を変化させ、酵素が基質に結合するのを防ぐ。阻害剤分子の例は、プロテアーゼ阻害剤を含む。阻害剤は、酵素が基質に結合することを可能にするために、したがって、信号生成反応が起こることを可能にするために、当技術分野で知られている決められた技法を使用して酵素から除去され得る。
【0120】
いくつかの実施形態では、酵素は、非蛍光基質を蛍光基質に変換することができる。いくつかの実施形態では、酵素は、発色基質を使用して色を生成することができる。
【0121】
3.特異的な結合メンバー
当業者によって諒解されるように、特異的な結合メンバーは、分析されるべき分析物によって決定される。多種多様なターゲット分子に対する特異的な結合メンバーは、公知であるか、または公知技法を使用して容易に見いだされるかもしくは開発される可能性がある。たとえば、ターゲット分析物がタンパク質であるとき、特異的な結合メンバーは、タンパク質と、特にその抗体またはフラグメント(たとえば、抗原結合性フラグメント(Fab)、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、組換え抗体、キメラ抗体、一本鎖Fv(「scFv」)、一本鎖抗体、ラクダ科の動物から得られる重鎖可変領域(「VHH」、「VHHフラグメント」としても知られている)(VHHおよびそれらを生成する方法は、Gottlinら、Journal of Biomolecular Screening、14、77-85頁(2009)に記載されている)などの単一ドメイン抗体、組換えVHH単一ドメイン抗体、およびVNARフラグメント、ジスルフィド結合Fv(「sdFv」)、および抗イディオタイプ(「抗Id」)抗体、および上記のもののいずれかの機能的に活性なエピトープ結合フラグメント、完全長ポリクローナル抗体または完全長モノクローナル抗体、抗体様のフラグメントなど)と、受容体タンパク質、プロテインA、プロテインCなどの他のタンパク質などを含む場合がある。分析物が、ステロイド、ビリン、レチノイド、および脂質などの小分子である場合、第1および/または第2の特異的な結合メンバーは、骨格タンパク質(たとえば、リポカリン)または受容体である場合がある。いくつかの場合には、タンパク質分析物に対する特異的な結合メンバーは、ペプチドである場合がある。たとえば、ターゲット分析物が酵素であるとき、適切な特異的な結合メンバーは、ペプチド、小分子などである場合がある、酵素基質および/または酵素阻害剤を含む場合がある。いくつかの場合には、ターゲット分析物がリン酸種であるとき、特異的な結合メンバーは、リン酸結合剤を含む場合がある。たとえば、リン酸結合剤は、米国特許第7,070,921号および米国特許出願第2006/0121544号に記載されたものなどの金属-イオン親和性媒体を含む場合がある。
【0122】
ターゲット分子が炭水化物であるとき、適切である可能性がある捕捉構成要素(本明細書に定義された)は、たとえば、抗体、レクチン、およびセレクチンを含む。当業者によって諒解されるように、関心対象のターゲット分子と特異的に会合することができる任意の分子は、特異的な結合メンバーとして使用される可能性がある。
【0123】
いくつかの実施形態では、適切なターゲット分析物/特異的な結合メンバー複合体は、限定はされないが、抗体/抗原、抗原/抗体、受容体/リガンド、リガンド/受容体、タンパク質/核酸、酵素/基質および/または阻害剤、炭水化物(糖タンパク質および糖脂質を含む)/レクチンおよび/またはセレクチン、タンパク質/タンパク質、タンパク質/小分子などを含むことができる。
【0124】
特定の実施形態では、第1の特異的な結合メンバーおよび/または第2の特異的な結合メンバーは、結合を介して固相支持体に付着される場合があり、この結合は、特異的な結合メンバーが担体に付着することを容易にする、担体および/または特異的な結合メンバーの任意の部分、機能付与、または修飾を含む場合がある。特異的な結合メンバーと担体との間の連鎖は、1つまたは複数の化学的または物理的(たとえば、ファンデルワールス力、水素結合、静電相互作用、疎水性/親水性相互作用などを介する非特異的な付着)結合、および/またはそのような結合を提供する化学的スペーサーを含む場合がある。
【0125】
いくつかの実施形態では、固相支持体は、検出中の偽陽性信号または信号の損失につながる場合がある、アッセイ中の非捕捉構成要素(たとえば、分析物分子、特異的な結合メンバー)の結合表面への非特異的な付着を除外または最小化することができる、保護用、遮断用、または不動態化の層も含むことができる。いくつかの実施形態において不動態化層を形成するために利用される場合がある材料の例は、限定はされないが、タンパク質の非特異的な結合を忌避するポリ(エチレングリコール)などのポリマーと、血清アルブミンおよびカゼインなどの、この性質を有する自然発生のタンパク質と、スルホベタンなどの双性イオン界面活性剤などの界面活性剤と、自然発生の長鎖脂質と、ポリマーブラシと、サケ精子DNAなどの核酸とを含む。
【0126】
いくつかの実施形態は、タンパク質またはポリペプチドである特異的な結合メンバーを利用する。当技術分野で知られているように、ポリペプチドを多種多様な固相支持体に付着させるために、多数の技法が使用される可能性がある。米国特許第5,620,850号に概要が記載された方法などの、反応性の部分をタンパク質に付加するための多種多様な技法が知られている。さらに、タンパク質を表面に付着させるための方法が知られており、たとえば、Heller、Acc.Chem.Res.23、128頁(1990)を参照されたい。
【0127】
本明細書に説明されるように、特異的な結合メンバーと分析物との間の結合は、たとえば、特異的な結合メンバーと分析物が結合対の相補的な部分であるときなどに、特異的である。いくつかの実施形態では、特異的な結合メンバーは、分析物に特異的に結合する。「特異的に結合する」または「結合の特異性」は、特異的な結合メンバーが、分析物分子とテスト試料の他の構成要素または混入物とを区別するのに十分な特異性を有する分析物分子に結合することを意味する。たとえば、一実施形態による特異的な結合メンバーは、分析物のエピトープに特異的に結合する抗体である場合がある。一実施形態による抗体は、関心対象の分析物に特異的に結合することが可能である任意の抗体である場合がある。たとえば、適切な抗体は、限定はされないが、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、ミニボディ、ドメイン抗体(dAb)(たとえば、Holtら(2014)Trends in Biotechnology21、484-490頁など)を含み、たとえば軟骨魚類およびラクダ科の動物内などで自然発生するか、または、合成の、たとえば、ナノボディ、VHH、もしくは他のドメイン構造である、単一ドメイン抗体sdAbと、合成の抗体(抗体ミメティックと呼ばれることがある)と、キメラ抗体と、ヒト化抗体と、抗体融合体(「抗体コンジュゲート」と呼ばれることがある)と、各々のもののフラグメントとをそれぞれ含む。別の例として、分析物分子は抗体である場合があり、第1の特異的な結合メンバーが抗原であり、第2の特異的な結合メンバーが、ターゲット抗体に特異的に結合する二次抗体である場合があるか、または、第1の特異的な結合メンバーが、ターゲット抗体に特異的に結合する二次抗体であり、第2の特異的な結合メンバーが抗原である場合がある。
【0128】
いくつかの実施形態では、特異的な結合メンバーは、化学的にプログラムされた抗体(cpAb)(Rader(2014)Trends in Biotechnology32、186-197頁)、二重特異性cpAb、抗体リクルート分子(ARM)(McEnaneyら、(2012)ACS Chem.Biol.7、1139-1151頁に記載されている)、トリリガンド捕捉剤(Millwardら(2011)J.Am.Chem.Soc.133、18280-18288頁に記載されている)などの分枝捕捉剤、モノボディ(ヒトフィブロネクチンの10番目のフィブロネクチンIII型ドメインから得られる)などの非抗体骨格から得られる操作された結合タンパク質、アフィボディ(免疫グロブリン結合プロテインAから得られる)、DARPin(アンキリンリピート分子に基づく)、アンチカリン(リポカリン、ビリン結合タンパク質、およびヒトリポカリン2から得られる)、シスチンノットペプチド(ノッチン)(Gilbreth and Koide、(2012)Current Opinion in Structural Biology22、1-8頁、およびBantaら(2013)Annu.Rev.Biomed.Eng.15、93-113頁に記載されている)、WWドメイン(Patelら(2013)Protein Engineering、Design&Selection26(4)、307-314頁に記載されている)、転用受容体リガンド、アフィチン(Beharら(2013)26、267-275頁に記載されている)、および/またはアドヒロン(Tiedeら(2014)Protein Engineering、Design&Selection27、145-155頁)である場合がある。
【0129】
分析物が生体細胞(たとえば、哺乳類、トリ、は虫類、他の脊椎動物、昆虫、酵母、細菌などの細胞)である一実施形態によれば、特異的な結合メンバーは、細胞表面抗原(たとえば、細胞表面受容体)に対して特異的な親和性を有するリガンドである場合がある。一実施形態では、特異的な結合メンバーは、ターゲット細胞型の表面上で発現される細胞接着分子に対する結合特異性を有する、接着分子受容体またはその一部分である場合がある。使用の際、接着分子受容体は、ターゲット細胞の細胞外表面上で接着分子と結合し、それによって、細胞を固定化または捕捉し、結合された細胞は、次いで、第1の特異的な結合メンバーと同じである場合がある第2の特異的な結合メンバーを使用することによって検出されるか、または、細胞の表面上で発現される異なる分子に結合する場合がある。
【0130】
いくつかの実施形態では、分析物分子と特異的な結合メンバーとの間の結合親和性は、非特異的に結合されている分子または粒子を除去するための洗浄ステップを含む、アッセイの条件下で結合されたままであるのに十分であるべきである。いくつかの場合には、たとえば、いくつかの生体分子の検出において、分析物分子とその相補的な特異的な結合メンバーとの結合定数は、少なくとも約104から約106M-1の間、少なくとも約105から約109M-1の間、少なくとも約107から約109M-1の間、約109M-1よりも上、またはそれらよりも上である場合がある。
【0131】
4.例示的なターゲット分析物
当業者によって諒解されるように、第1の特異的な結合メンバーおよび第2の特異的な結合メンバーによって特異的に結合される可能性がある任意の分析物は、本開示の方法およびデバイスを使用して検出され、任意で、定量化される場合がある。
【0132】
いくつかの実施形態では、分析物は、生体分子または生物学的分子である場合がある。生体分子および生物学的分子の非限定的な例は、タンパク質、脂質、および炭水化物などの巨大分子を含む。いくつかの事例では、分析物は、ホルモン、抗体、成長因子、サイトカイン、酵素、受容体(たとえば、神経受容体、ホルモン受容体、栄養素受容体、および細胞表面受容体)またはそれらのリガンド、がんマーカー(たとえば、PSA、TNF-アルファ)、心筋梗塞のマーカー(たとえば、トロポニン、クレアチン、キナーゼ、BNP、pro-BNP、NT-ProBNP、CK-MB、ガレクチン-3など)、甲状腺マーカー(たとえば、抗Tg、抗TPO、遊離型T3、遊離型T4、T摂取率、総T3、総T4、TSH)、トキシン、薬物(たとえば、中毒性の薬物)、代謝製剤(たとえば、ビタミンを含む)などである場合がある。タンパク質分析物の非限定的な実施形態は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質フラグメント、タンパク質複合体、融合タンパク質、組換えタンパク質、リンタンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質などを含む。いくつかの実施形態では、分析物は、外傷性脳損傷、敗血症、または凝血のためのバイオマーカーなどのバイオマーカー、一般化学に関連する分析物(たとえば、アンモニア、AST、コレステロールなど)、タンパク質(たとえば、トランスフェリン、CRPなど)、治療的な薬物モニタリング用の分析物(たとえば、メトトレキサート)、移植用の分析物(たとえば、タクロリムス)、依存性薬物、または遺伝性障害用のバイオマーカーである場合がある。
【0133】
いくつかの実施形態では、分析物は、翻訳後修飾されたタンパク質(たとえば、リン酸化、メチル化、グリコシル化されたタンパク質)である場合があり、第1または第2の特異的な結合メンバーは、翻訳後修飾に対して特異的な抗体である場合がある。修飾されたタンパク質は、固相支持体上に固定化された第1の特異的な結合メンバーに結合される場合があり、第1の特異的な結合メンバーは、修飾されたタンパク質には結合するが、修飾されていないタンパク質には結合しない。他の実施形態では、第1の特異的な結合メンバーは、修飾されていないタンパク質と修飾されたタンパク質の両方に結合する場合があり、第2の特異的な結合メンバーは、翻訳後修飾されたタンパク質に対して特異的である場合がある。
【0134】
いくつかの実施形態では、分析物は、循環腫瘍細胞などの細胞、病原菌、ウィルス(レトロウィルス、ヘルペスウィルス、アデノウィルス、レンチウィルス、フィロウィルス(たとえば、ウエストナイルウィルス、エボラウィルス、およびジカウィルス)、肝炎ウィルス(たとえば、A、B、C、D、およびE)、HPV、パルボウイルスなどを含む)、芽胞などである場合がある。
【0135】
本明細書に提供される方法によって分析される場合がある分析物の非限定的なリストは、Aβ42アミロイドベータタンパク質、フェチュインA、タウ、セクレトグラニンII、プリオンタンパク質、アルファ-シヌクレイン、タウタンパク質、神経フィラメント軽鎖、パーキン、PTEN誘導性推定キナーゼ1、DJ-1、ロイシンリッチリピートキナーゼ2、変異型ATP13A2、アポH、セルロプラスミン、ペルオキシソーム増殖因子活性型受容体ガンマコアクチベータ-1アルファ(PGC-1α)、トランスサイレチン、ビタミンD結合タンパク質、アクティブB12、B12、コルチゾール、葉酸、フルクトサミン、ホモシステイン、完全型(intact)PTH、ペプシノゲンI&II、DHEA-S、エストラジオール、hCG、プロゲステロン、プロラクチン、SHBG、テストステロン、アポトーシス促進性キナーゼR(PKR)およびそのリン酸化PKR(pPKR)、IL-12p40、CXCL13、IL-8、Dkk-3(精液)、p14エンドカンフラグメント、血清、ACE2、CD25の自己抗体、hTERT、CAI25(MUC16)、VEGF、sIL-2、オステオポンチン、ヒト副睾丸タンパク質4(HE4)、アルファ-フェトプロテイン、アルブミン、アルブミン尿、マイクロアルブミン尿、好中球ゼラチナーゼ会合リポカリン(NGAL)、システインC、インターロイキン18(IL-18)、腎障害分子-1(KIM-1)、肝臓型脂肪酸結合タンパク質(L-FABP)、LMP1、BARF1、IL-8、BRAF、CCNI、EGRF、FGF19、FRS2、GREB1、およびLZTS1、アルファ-アミラーゼ、がん胎児性抗原(CEA)、CA125、チオレドキシン、ベータ-2マイクログロブリンレベル-ウィルスの活性監視、腫瘍壊死因子-アルファ受容体-ウィルスの活性監視、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、CA15-3、CA19-9、CYFRA21-1、HE-4、PIVKA-11、ProGRP、SCC、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、T細胞のリンパ腫侵襲および転移1(TIAM1)、N-カドヘリン、EC39、アンフィレギュリン、dUTPase、分泌ゲルソリン(pGSN)、PSA(前立腺特異性抗原)、チモシンβ15、インスリン、血漿C-ペプチド、グリコシル化ヘモグロビン(HBA1c)、C反応性タンパク質(CRP)、インターロイキン-6(IL-6)、ARHGDIB(Rho GDP-解離阻害剤2)、CFL1(コフィリン-1)、PFN1(プロフィン-1)、GSTP1(グルタチオンS-トランスフェラーゼP)、S100A11(タンパク質S100-A11)、PRDX6(ペルオキシレドキシン-6)、HSPE1(10kDaヒートショックタンパク質、ミトコンドリア1)、LYZ(リゾチームC前駆体)、GPI(グルコース-6-リン酸イソメラーゼ)、HIST2H2AA(ヒストンH2Aタイプ2-A)、GAPDH(グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ)、HSPG2(基底膜特異性ヘパラン硫酸プロテオグリカンコアタンパク質前駆体)、LGALS3BP(ガレクチン-3-結合タンパク質前駆体)、CTSD(カテプシンD前駆体)、APOE(アポリポタンパク質E前駆体)、IQGAP1(Ras GTPase活性様タンパク質IQGAP1)、CP(セルロプラスミン前駆体)、およびIGLC2(IGLC1タンパク質)、PCDGF/GP88、EGFR、HER2、MUC4、IGF-IR、p27(kip1)、Akt、HER3、HER4、PTEN、PIK3CA、SHIP、Grb2、Gab2、PDK-1(3-ホスホイノシチド依存性タンパク質キナーゼ-1)、TSC1、TSC2、mTOR、MIG-6(ERBB受容体フィードバック阻害剤1)、S6K、src、KRAS、MEKマイトジェン活性型タンパク質キナーゼ1、cMYC、TOPOIIトポイソメラーゼ(DNA)IIアルファ170kDa、FRAP1、NRG1、ESR1、ESR2、PGR、CDKN1B、MAP2K1、NEDD4-1、FOXO3A、PPP1R1B、PXN、ELA2、CTNNB1、AR、EPHB2、KLF6、ANXA7、NKX3-1、PITX2、MKI67、PHLPP、アディポネクチン(ADIPOQ)、フィブリノゲンアルファ鎖(FGA)、レプチン(LEP)、終末糖化産物受容体(AGER aka RAGE)、アルファ-2-HS-糖タンパク質(AHSG)、アンジオゲニン(ANG)、CD14分子(CD14)、フェリチン(FTH1)、インスリン様成長因子結合タンパク質1(IGFBP1)、インターロイキン2受容体、アルファ(IL2RA)、血管細胞接着分子1(VCAM1)およびフォンビルブランド因子(VWF)、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、IL1α、TNFα、核周囲型抗好中球細胞質抗体(p-ANCA)、ラクトフェリン、カルプロテクチン、ウィルムス腫瘍-1タンパク質、アクアポリン-1、MLL3、AMBP、VDAC1、大腸菌エンテロトキシン(熱不安定性外毒素、熱安定エンテロトキシン)、インフルエンザHA抗原、破傷風毒素、ジフテリア毒素、ボツリヌス毒素、志賀毒素、志賀様毒素I、志賀様毒素II、クロストリジウムディフィシル毒素AおよびBなどを含む。
【0136】
主題の方法を使用して必要としている患者または被験者から得られた環境的試料および生体試料などの試料において測定される場合がある、例示的なターゲットは:乱用薬物(たとえば、コカイン)と、タンパク質バイオマーカー(限定はされないが、ヌクレオリン、核因子-kB必須モジュレーター(NEMO)、CD-30、タンパク質チロシンキナーゼ7(PTK7)、血管内皮成長因子(VEGF)、MUC1グリコフォーム、免疫グロブリンμ重鎖(IGHM)、免疫グロブリンE、αvβ3インテグリン、α-トロンビン、HIV gp120、NF-κB、E2F転写因子、HER3、プラスミノーゲンアクチベータインヒビター、テネイシンC、CXCL12/SDF-1、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、胃がん細胞、HGC-27を含む)と、細胞(限定はされないが、非小細胞肺がん(NSCLC)、大腸がん細胞、(DLD-1)、H23肺腺がん細胞、Ramos細胞、T細胞急性リンパ性白血病(T-ALL)セル、CCRF-CEM、急性骨髄性白血病(AML)細胞(HL60)、小細胞肺がん(SCLC)細胞、NCIH69、ヒトグリオブラストーマ細胞、U118-MG、PC-3細胞、HER-2-過剰発現ヒト乳がん細胞、SK-BR-3、すい臓がん細胞株(Mia-PaCa-2)を含む)と、感染病原体(限定はされないが、結核菌、黄色ブドウ球菌、志賀赤痢菌、大腸菌O157:H7、カンピロバクタージェジュニ、リステリアモノサイトゲネス、緑膿菌、サルモネラO8、および腸炎菌を含む)とを含む。
【0137】
主題の方法を使用して必要としている患者または被験者から得られた試料において測定される場合がある、例示的なターゲットは:限定はされないが、HBVコアカプシドタンパク質、CDK2、E2F転写因子、チミジル酸シンターゼ、Ras、EB1、および終末糖化産物受容体(RAGE)を含む。
【0138】
5.試料
本明細書に使用される、「試料」、「テスト試料」、「生体試料」は、関心対象の分析物を含むか、または含む疑いがある流体試料を指す。試料は、任意の適切なソースから得られる場合がある。いくつかの場合には、試料は、液体、流動性の微粒子固体、または固体粒子の懸濁液を含む場合がある。いくつかの場合には、試料は、本明細書に説明される分析の前に処理される場合がある。たとえば、試料は、分析の前にそのソースから分離または精製される場合があるが、いくつかの実施形態では、分析物を含む未処理の試料は、直接アッセイされる場合がある。分析物分子のソースは、合成(たとえば、実験室での生成)、環境(たとえば、大気、土、水分補給などの流体試料など)、哺乳類などの動物、植物、またはそれらの任意の組合せであってもよい。特定の例では、分析物のソースは、ヒトの身体の物質(たとえば、体液、血液、血清、血漿、尿、唾液、汗、痰、精液、粘液、涙液、リンパ液、羊水、間質液、肺洗浄液、脳脊髄液、大便、組織、臓器など)である。組織は、限定はされないが、骨格筋組織、肝臓組織、肺組織、腎臓組織、心筋組織、脳組織、骨髄、子宮頸部組織、皮膚などである。試料は、液体試料または固体試料の抽出液である場合がある。いくつかの場合には、試料のソースは、組織分解/細胞溶解によって可溶化される場合がある、生検試料などの臓器または組織である場合がある。
【0139】
流体試料の多種多様な容積が分析される場合がある。いくつかの例示的な実施形態では、試料容積は、約0.5nL、約1nL、約3nL、約0.01μL、約0.1μL、約1μL、約5μL、約10μL、約100μL、約1mL、約5mL、約10mLなどである場合がある。いくつかの場合には、液体試料の容積は、約0.01μLから約10mLの間、約0.01μLから約1mLの間、約0.01μLから約100μLの間、または約0.1μLから約10μLの間である。
【0140】
いくつかの場合には、流体試料は、アッセイにおいて使用する前に希釈される場合がある。たとえば、分析物分子のソースが人体流体(たとえば、血液、血清)である実施形態では、流体は、適切な溶媒(たとえば、PBSバッファーなどのバッファー)を用いて希釈される場合がある。流体試料は、使用する前に、約1倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約10倍、約100倍、またはそれらを超えて希釈される場合がある。
【0141】
いくつかの場合には、試料は、解析前の処理を受ける場合がある。解析前の処理は、非特異的なタンパク質除去および/または効果的なさらに安価に実施可能な混合機能などの追加の機能を提供する場合がある。解析前の処理の一般的な方法は、動電学的捕獲、AC動電学、表面音響波、等速電気泳動、誘導泳動、電気泳動、または当技術分野で知られている他の予備濃縮技法の使用を含む場合がある。いくつかの場合には、流体試料は、アッセイで使用する前に濃縮される場合がある。たとえば、分析物分子のソースが人体流体(たとえば、血液、血清)である実施形態では、流体は、沈殿、蒸発、ろ過、遠心分離、またはそれらの組合せによって濃縮される場合がある。流体試料は、使用する前に、約1倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約10倍、約100倍、またはそれらを超えて濃縮される場合がある。
【0142】
いくつかの実施形態では、分析物は、分析物の測定前に増幅されない(すなわち、分析物のコピー数は、増加されない)。たとえば、分析物がDNAまたはRNAである場合には、分析物は、分析物のコピー数を増加させるように複製されない。いくつかの場合には、分析物は、タンパク質または小分子である。
【0143】
6.方法のバリエーション
試料中に存在する関心対象の分析物の存在または量を決定する開示された方法は、以上に説明されたとおりであってよい。これらの方法は、分析物を分析するための他の方法を考慮して適応させる場合もある。よく知られているバリエーションの例は、限定はされないが、酵素検出(酵素免疫測定法(EIA)または酵素結合免疫吸着法(ELISA))、競合阻害イムノアッセイ(たとえば、順方向および逆方向)、酵素増幅イムノアッセイ技法(EMIT:enzyme multiplied immunoassay technique)、競合結合試験、生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)、ワンステップ抗体検出アッセイ、ホモジニアスアッセイ、ヘテロジニアスアッセイ、キャプチャーオンザフライアッセイなどを含む、サンドイッチイムノアッセイ(たとえば、モノクローナル-ポリクローナルサンドイッチイムノアッセイ)などのイムノアッセイを含む。いくつかの事例では、以下の説明は、以上に説明された方法と重なる場合があるが、他方では、以下の説明は、代替案を提供する場合がある。
【0144】
(a)イムノアッセイ
関心対象の分析物、および/またはペプチドもしくはそのフラグメントは、イムノアッセイを使用して分析される場合がある。関心対象の分析物の存在または量は、本明細書に説明される抗体と関心対象の分析物に対する特異的な結合を検出することとを使用して決定されることが可能である。任意のイムノアッセイが利用されてもよい。イムノアッセイは、たとえば、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)、順方向もしくは逆方向の競合阻害アッセイなどの競合阻害アッセイ、または競合結合試験である場合がある。いくつかの実施形態では、1つの信号生成化合物または信号生成基質が、捕捉抗体および検出抗体に付着される。代替として、捕捉に使用されるマイクロ粒子も、検出のために機能する場合がある。
【0145】
均一な形式が使用される場合がある。たとえば、テスト試料が被験者から得られた後、混合物が準備される。この混合物は、分析物、第1の特異的な結合パートナー、および第2の特異的な結合パートナーに関して評価されるテスト試料を含む。混合物を生成するためにテスト試料、第1の特異的な結合パートナー、および第2の特異的な結合パートナーが添加される順序は、重要ではない。テスト試料は、第1の特異的な結合パートナーおよび第2の特異的な結合パートナーと同時に接触される。いくつかの実施形態では、第1の特異的な結合パートナーおよびテスト試料に含まれる関心対象の任意の分析物は、第1の特異的な結合パートナー-関心対象の分析物-抗原複合体を形成する場合があり、第2の特異的な結合パートナーは、第1の特異的な結合パートナー-関心対象の分析物-第2の特異的な結合パートナー複合体を形成する場合がある。いくつかの実施形態では、第2の特異的な結合パートナーおよびテスト試料に含まれる関心対象の任意の分析物は、第2の特異的な結合パートナー-関心対象の分析物-抗原複合体を形成する場合があり、第1の特異的な結合パートナーは、第1の特異的な結合パートナー-関心対象の分析物-第2の特異的な結合パートナー複合体を形成する場合がある。さらに、第2の特異的な結合パートナーは、本明細書に説明される検出可能な標識によって標識されるか、またはその検出可能な標識を含む。
【0146】
均一な形式が使用される場合がある。たとえば、テスト試料が被験者から得られた後、第1の混合物が準備される。この混合物は、関心対象の分析物および第1の特異的な結合パートナーに関して評価されるテスト試料を含み、第1の特異的な結合パートナーおよびテスト試料に含まれる関心対象の任意の分析物は、第1の特異的な結合パートナー-関心対象の分析物複合体を形成する。好ましくは、第1の特異的な結合パートナーは、関心対象の分析物に抗する抗体またはそのフラグメントである。混合物を生成するためにテスト試料および第1の特異的な結合パートナーが添加される順序は、重要ではない。好ましくは、第1の特異的な結合パートナーは、固相支持体上に固定化される。イムノアッセイに使用される固相支持体(第1の特異的な結合パートナー用、および任意で第2の特異的な結合パートナー用)は、限定はされないが、磁性粒子、ビーズ、ナノビーズ、マイクロビーズ、ナノ粒子、マイクロ粒子、膜、骨格分子、薄膜、ろ紙、ディスク、またはチップ(たとえば、マイクロ流体チップ)などの、当技術分野で知られている任意の固相支持体である可能性がある。固相支持体がビーズである、これらの実施形態では、ビーズは、磁性ビーズまたは磁性粒子である場合がある。磁性ビーズ/粒子は、強磁性、フェリ磁性、常磁性、超常磁性、または磁性流体である場合がある。例示的な強磁性材料は、Fe、Co、Ni、Gd、Dy、CrO2、MnAs、MnBi、EuO、およびNiO/Feを含む。フェリ磁性材料の例は、NiFe2O4、CoFe2O4、Fe3O4(またはFeO・Fe2O3)を含む。ビーズは、磁性があるソリッドコア部分を有することができ、1つまたは複数の非磁性層によって囲まれている。代替として、磁性部分は、非磁性コアの周りの層である可能性がある。第1の特異的な結合メンバーが固定化される固相支持体は、乾燥状態でまたは液体中に保存される場合がある。これらの磁性ビーズは、第1の特異的な結合メンバーが固定化された磁性ビーズとともに試料と接触する前または後に磁場を受ける場合がある。
【0147】
第1の特異的な結合パートナー-関心対象の分析物複合体を含む混合物が生成された後、関心対象の任意の未結合の分析物は、当技術分野で知られている任意の技法を使用して、この複合体から除去される。たとえば、関心対象の未結合の分析物は、洗浄によって除去される可能性がある。しかし、第1の特異的な結合パートナーは、テスト試料中に存在する関心対象のすべての分析物が第1の特異的な結合パートナーによって結合されるように、テスト試料中に存在する関心対象の任意の分析物よりも余分に存在することが望ましい。
【0148】
関心対象の任意の未結合の分析物が除去された後、第1の特異的な結合パートナー-関心対象の分析物-第2の特異的な結合パートナー複合体を形成するために、第2の特異的な結合パートナーが混合物に添加される。第2の特異的な結合パートナーは、第1の特異的な結合パートナーによって結合された関心対象の分析物のエピトープとは異なる、関心対象の分析物のエピトープに結合する、関心対象の分析物に抗する抗体であることが好ましい。さらに、第2の特異的な結合パートナーは、以上で説明されたように、信号生成化合物または信号生成基質によって標識されるか、またはこれらの信号生成化合物または信号生成基質を含むことも好ましい。
【0149】
固定化された抗体またはそのフラグメントの使用が、イムノアッセイに組み込まれる場合がある。抗体は、磁性のまたはクロマトグラフ的なマトリックス粒子、ラテックス粒子または表面修飾されたラテックス粒子、ポリマーまたはポリマー薄膜、プラスチックまたはプラスチック薄膜、平面的な基質、マイクロ流体表面、固体基質材料の一部分などの、様々な担体上に固定化される場合がある。
【0150】
(b)サンドイッチイムノアッセイ
サンドイッチイムノアッセイは、抗体の2つの層(すなわち、捕捉抗体(すなわち、少なくとも1つの捕捉抗体)と、検出抗体(すなわち、少なくとも1つの検出抗体))の間の抗原の量を測定する。捕捉抗体および検出抗体は、関心対象の分析物などの抗原の異なるエピトープに結合する。捕捉抗体とエピトープとの結合が、検出抗体とエピトープとの結合を妨げないことが望ましい。モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体のいずれかは、サンドイッチイムノアッセイにおいて捕捉抗体および検出抗体として使用される場合がある。
【0151】
一般に、少なくとも2つの抗体が、テスト試料中の関心対象の分析物を分離および定量化するために使用される。より具体的には、少なくとも2つの抗体は、関心対象の分析物のいくつかのエピトープまたは関心対象の分析物のフラグメントに結合し、「サンドイッチ」と呼ばれる免疫複合体を形成する。1つまたは複数の抗体は、テスト試料中の関心対象の分析物を捕捉するために使用される可能性があり(これらの抗体は、1つまたは複数の「捕捉」抗体としばしば呼ばれる)、関心対象の分析物に同様に結合する、信号生成化合物または信号生成基質を有する1つまたは複数の抗体(これらの抗体は、1つまたは複数の「検出」抗体としばしば呼ばれる)は、サンドイッチを完成するために使用される可能性がある。サンドイッチアッセイでは、抗体とそのエピトープとの結合は、そのアッセイにおける任意の他の抗体とそのそれぞれのエピトープとの結合によって減少しない。言い換えれば、抗体は、関心対象の分析物を含む疑いがあるテスト試料と接触した1つまたは複数の第1の抗体が、第2の抗体または後続の抗体によって認識されるエピトープのすべてまたは一部分に結合し、それによって、1つまたは複数の第2の検出抗体が関心対象の分析物に結合する能力を妨げないように選択される。以上に説明された捕捉抗体は、捕捉分子の一例である。以上に説明された検出抗体は、検出分子の一例である。
【0152】
一実施形態では、関心対象の分析物を含む疑いがあるテスト試料は、少なくとも1つの捕捉抗体(または複数の抗体)および少なくとも1つの検出抗体と、同時にまたは連続的に接触する可能性がある。サンドイッチアッセイ形式では、関心対象の分析物(関心対象の膜結合性の分析物、関心対象の可溶性の分析物、関心対象の膜結合性の分析物のフラグメント、関心対象の可溶性の分析物のフラグメント、関心対象の分析物の変異体(関心対象の膜結合性の分析物または可溶性の分析物)、またはそれらの任意の組合せ)を含む疑いがあるテスト試料は、抗体-関心対象の分析物複合体の形成を可能にする条件の下で特定のエピトープに特異的に結合する少なくとも1つの捕捉抗体と最初に接触する。2つ以上の捕捉抗体が使用される場合、複数の捕捉抗体-関心対象の分析物複合体が形成される。サンドイッチアッセイでは、抗体、好ましくは少なくとも1つの捕捉抗体が、テスト試料内に予想される、関心対象の分析物または関心対象の分析物のフラグメントの最大量を超えるモル量で使用される。
【0153】
任意で、テスト試料を少なくとも1つの第1の捕捉抗体と接触させる前に、少なくとも1つの捕捉抗体は、テスト試料からの抗体-関心対象の分析物複合体の分離を容易にする固相支持体に結合され得る。限定はされないが、平面的な基質またはビーズなどの形態でポリマー材料から作られた固相支持体を含む、当技術分野で知られている任意の固相支持体が使用される可能性がある。抗体(または複数の抗体)は、吸着によって、化学的カップリング剤を使用した共有結合によって、または当技術分野で知られている他の手段によって固相支持体に結合される可能性があるが、そのような結合は、抗体が関心対象の分析物または関心対象の分析物のフラグメントに結合する能力を妨げないという条件付きである。さらに、必要であれば、固相支持体は、抗体の様々な官能基との反応を可能にするために誘導体化されてもよい。そのような誘導体化は、限定はされないが、無水マレイン酸、N-ヒドロキシコハク酸イミド、アジド、アルキニル、および、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドなどの、いくつかのカップリング剤の使用を必要とする。
【0154】
関心対象の分析物を含む疑いがあるテスト試料が、少なくとも1つの捕捉抗体と接触した後、テスト試料は、1つの捕捉抗体(または複数の捕捉抗体)-関心対象の分析物複合体の形成を可能にするためにインキュベートされる。このインキュベーションは、約4.5から約10.0までのpH、約2℃から約45℃までの温度、および、少なくとも約1分から約18時間まで、約2~6分、または約3~4分の期間で実行される可能性がある。
【0155】
1つの捕捉抗体(複数の抗体)-関心対象の分析物複合体の形成後、この複合体は、(1つの捕捉抗体(複数の抗体)-関心対象の分析物-1つの検出抗体(複数の抗体)複合体の形成を可能にする条件の下で)少なくとも1つの検出抗体と接触する。捕捉抗体-関心対象の分析物複合体が、2つ以上の検出抗体と接触する場合、1つの捕捉抗体(複数の抗体)-関心対象の分析物-1つの検出抗体(複数の抗体)検出複合体が形成される。捕捉抗体と同様に、少なくとも1つの検出(および後続の)抗体が、捕捉抗体-関心対象の分析物複合体と接触するとき、以上に説明されたものと同様の条件下でのインキュベーションの期間が、1つの捕捉抗体(複数の抗体)-関心対象の分析物-1つの検出抗体(複数の抗体)複合体の形成のために必要とされる。少なくとも1つの検出抗体が、信号生成化合物または信号生成基質を含むことが好ましい。信号生成化合物または信号生成基質は、1つの捕捉抗体(複数の抗体)-関心対象の分析物-1つの検出抗体(複数の抗体)複合体の形成の前に、その形成と同時に、またはその形成の後に少なくとも1つの検出抗体に結合される可能性がある。
【0156】
アッセイ用の混合物を生成するために、テスト試料および特異的な結合パートナーが添加される順序は、重要ではない。第1の特異的な結合パートナーが、信号生成化合物または信号生成基質に付着された場合、信号生成化合物または信号生成基質-付着された第1の特異的な結合パートナー-関心対象の分析物複合体が形成される。代替として、第2の特異的な結合パートナーが使用され、第2の特異的な結合パートナーが、信号生成化合物または信号生成基質に付着された場合、信号生成化合物または信号生成基質-第1の特異的な結合パートナー-関心対象の分析物-第2の特異的な結合パートナーの付着された複合体が形成される。任意の未結合の特異的な結合パートナーは、標識されているにせよ、または標識されていないにせよ、洗浄などの、当技術分野で知られている任意の技法を使用して混合物から除去される可能性がある。
【0157】
次に、関心対象の分析物またはそのフラグメントの存在を示す信号が生成される。生成された信号のパラメータに基づいて、試料中の関心対象の分析物の量が、定量化されることが可能である。任意で、標準曲線は、質量分析、重量法、および当技術分野で知られている他の技法によって関心対象の分析物の知られている濃度の連続希釈または溶液を使用して生成されることが可能である。
【0158】
(c)順方向の競合阻害
順方向の競合形式では、知られている濃度の関心対象の標識された分析物のアリコートが、関心対象の分析物の抗体に結合について、テスト試料中の関心対象の分析物と競合するために使用される。
【0159】
順方向の競合アッセイでは、固定化された特異的な結合パートナー(抗体など)は、テスト試料および関心対象の標識された分析物、関心対象の分析物のフラグメント、または関心対象の分析物の変異体と連続的にまたは同時に接触することが可能である。関心対象の分析物のペプチド、関心対象の分析物のフラグメント、または関心対象の分析物の変異体は、信号生成化合物または信号生成基質に付着される可能性がある。このアッセイでは、抗体は、固相支持体上に固定化される可能性がある。代替として、抗体は、マイクロ粒子または平面的な基質などの固相支持体上に固定化された、抗種抗体などの抗体に結合される可能性がある。
【0160】
関心対象の標識された分析物、テスト試料、および抗体は、サンドイッチアッセイ形式に関連して以上に説明されたものと同様の条件の下でインキュベートされる。次いで、2つの異なる種の抗体-関心対象の分析物複合体が生成される場合がある。具体的には、生成された抗体-関心対象の分析物複合体のうちの1つは、信号生成化合物または信号生成基質を含むが、他の抗体-関心対象の分析物複合体は、信号生成化合物または信号生成基質を含まない。抗体-関心対象の分析物複合体は、必須ではないが、検出可能な生成物または検出可能な標識の定量化の前にテスト試料の残りから分離される可能性がある。抗体-関心対象の分析物複合体が、テスト試料の残りから分離されるかどうかにかかわらず、次いで、抗体-関心対象の分析物複合体中の検出可能な生成物または検出可能な標識(たとえば、検出可能な信号)の量が定量化される。次いで、テスト試料中の関心対象の分析物(関心対象の膜結合性の分析物、関心対象の可溶性の分析物、関心対象の可溶性の分析物のフラグメント、関心対象の分析物の変異体(関心対象の膜結合性の分析物または可溶性の分析物)、またはそれらの任意の組合せなど)の濃度が、たとえば以上で説明されたように、決定される可能性がある。有益な場合、抗体-関心対象の分析物複合体中の検出可能な生成物または検出可能な標識(たとえば、検出可能な信号)の量を標準曲線と比較することによって、決定が行われる可能性がある。標準曲線は、知られている濃度の関心対象の分析物(関心対象の膜結合性の分析物、関心対象の可溶性の分析物、関心対象の可溶性の分析物のフラグメント、関心対象の分析物の変異体(関心対象の膜結合性の分析物または可溶性の分析物)、またはそれらの任意の組合せなど)の連続希釈を使用して生成される可能性があるが、ここで、濃度は、質量分析、重量法、および当技術分野で知られている他の技法によって決定される。
【0161】
任意で、抗体-関心対象の分析物複合体は、サンドイッチアッセイ形式に関連して以上に説明された固相支持体などの固相支持体に抗体を結合させ、次いで、テスト試料の残りを固相支持体との接触から除外することによってテスト試料から分離される可能性がある。
【0162】
(d)逆方向の競合アッセイ
逆方向の競合アッセイでは、関心対象の固定化された分析物は、テスト試料および少なくとも1つの標識された抗体と連続的にまたは同時に接触することができる。関心対象の分析物は、サンドイッチアッセイ形式に関連して以上に説明された固相支持体などの固相支持体に結合される可能性がある。
【0163】
関心対象の固定化された分析物、テスト試料、および少なくとも1つの標識された抗体は、サンドイッチアッセイ形式に関連して以上に説明されたものと同様の条件の下でインキュベートされる。次いで、2つの異なる種の関心対象の分析物-抗体複合体が生成される。具体的には、生成された関心対象の分析物-抗体複合体のうちの1つは、固定化され、信号生成化合物または信号生成基質を含むが、他の関心対象の分析物-抗体複合体は、固定化されず、信号生成化合物または信号生成基質を含む。関心対象の固定化されていない分析物-抗体複合体およびテスト試料の残りは、洗浄などの、当技術分野で知られている技法を介して、関心対象の固定化されていない分析物-抗体複合体の存在から除去される。関心対象の固定化されていない分析物-抗体複合体が除去されると、関心対象の固定化された分析物-抗体複合体中の信号生成化合物または信号生成基質の量が定量化される。次いで、テスト試料中の関心対象の分析物の濃度は、以上で説明された検出可能な信号の量を比較することによって決定される可能性がある。助けになるならば、このことは、標準曲線の使用によって行われる可能性がある。標準曲線は、知られている濃度の関心対象の分析物または関心対象の分析物のフラグメントの連続希釈を使用して生成される可能性があるが、ここで、濃度は、質量分析、重量法、および当技術分野で知られている他の技法によって決定される。
【0164】
(e)ワンステップイムノアッセイまたはキャプチャーオンザフライアッセイ
ワンステップイムノアッセイまたはキャプチャーオンザフライアッセイでは、固体基質は、固定化剤をプレコーティングされる。捕捉剤、分析物、および検出剤が固体基質に共に付加され、検出の前の洗浄ステップが続く。捕捉剤は、分析物を結合することができ、固定化剤に対するリガンドを含む。捕捉剤および検出剤は、抗体、または本明細書に説明される、もしくは当技術分野で知られている、捕捉もしくは検出が可能である任意の他の部分であってもよい。リガンドは、ペプチドのタグを含む場合があり、固定化剤は、ペプチドのタグに抗する抗体を含む場合がある。代替として、リガンドおよび固定化剤は、キャプチャーオンザフライアッセイに使用されるように共に結合することが可能である薬剤の任意の対(たとえば、特異的な結合対、および当技術分野で知られている他のもの)である場合がある。2つ以上の分析物が測定されてもよい。いくつかの実施形態では、固体基質は、抗原をコーティングされる場合があり、分析されるべき分析物は、抗体である。
【0165】
いくつかの実施形態では、固定化剤(ビオチン、ストレプトアビジンなど)ならびに少なくとも1つの第1の特異的な結合メンバーおよび第2の特異的な結合メンバー(それぞれ、捕捉試薬および検出試薬として機能する)をプレコーティングされた固相支持体(マイクロ粒子など)が使用される。第1の特異的な結合メンバーは、固定化剤に対するリガンドを含み(たとえば、固相支持体上の固定化剤がストレプトアビジンである場合、第1の特異的な結合メンバーのリガンドはビオチンである場合がある)、さらに関心対象の分析物に結合する。第2の特異的な結合メンバーは、信号生成化合物または信号生成基質を含み、関心対象の分析物に結合する。固相支持体ならびに第1および第2の特異的な結合メンバーは、テスト試料に(連続的にまたは同時に)付加される場合がある。第1の特異的な結合メンバーのリガンドは、固相支持体/第1の特異的な結合メンバー複合体を形成するために固相支持体上の固定化剤に結合する。試料中に存在する関心対象の任意の分析物は、固相支持体/第1の特異的な結合メンバー/分析物複合体を形成するために、固相支持体/第1の特異的な結合メンバー複合体に結合する。第2の特異的な結合メンバーは、固相支持体/第1の特異的な結合メンバー/分析物複合体、および検出される信号生成化合物または信号生成基質に結合する。任意の洗浄ステップが、検出前に使用される場合がある。いくつかの実施形態では、ワンステップアッセイにおいて、2つ以上の分析物が測定される場合がある。いくつかの他の実施形態では、3つ以上の特異的な結合メンバーが使用される可能性がある。いくつかの他の実施形態では、複数の信号生成化合物または信号生成基質が付加される可能性がある。いくつかの他の実施形態では、複数の関心対象の分析物が検出される可能性がある。
【0166】
ワンステップイムノアッセイまたはキャプチャーオンザフライアッセイの使用は、本明細書に説明され当技術分野で知られている、様々な形式において行われる可能性がある。たとえば、この形式は、以上に説明されたサンドイッチアッセイである可能性があるが、代替として、競合アッセイである可能性があり、単一の特異的な結合メンバーを使用するか、または知られている他のバリエーションを使用する可能性がある。
【0167】
(f)コンビネーションアッセイ(マイクロ粒子へのAg/Abの共コーティング)
コンビネーションアッセイでは、マイクロ粒子などの固体基質は、試料から抗体および抗原を捕捉するために、それぞれ、抗原および抗体を共コーティングされる。この固相支持体は、試料から2つ以上の異なる抗体を捕捉するために、2つ以上の異なる抗原を共コーティングされる場合がある。この固相支持体は、試料から2つ以上の異なる抗原を捕捉するために、2つ以上の異なる抗体を共コーティングされる場合がある。
【0168】
加えて、本明細書に説明される方法は、アッセイ化合物間で特異的な結合反応または非特異的な結合反応のいずれか(たとえば、HAMA干渉)を妨げるために遮断薬を使用する場合がある。この薬剤(および任意で、任意のコントロール)が担体上に固定化されると、この薬剤の残りの結合部位が、担体上で遮断される場合がある。当業者に知られている任意の適切な遮断薬が使用される場合がある。たとえば、ウシ血清アルブミン(「BSA」)、リン酸緩衝生理食塩水(「PBS」)中のカゼインのPBS溶液、Tween20(TM)(Sigma Chemical Company,St.Louis,Mo.)、または他の適切な界面活性剤、ならびに他の遮断薬が使用される場合がある。
【0169】
本開示から明らかであるように、複数のバリエーションを含む、本明細書に開示される方法は、病気、疾患、または健康状態を有する疑いがある被験者の病気、疾患、または健康状態を診断するために使用されてもよい。たとえば、試料分析は、がんマーカー、心臓の状態、毒素、ウィルス、細菌、またはそれらの一部分などの病原体に関するマーカーなどの病気のマーカーを検出するために役に立つ場合がある。これらの方法は、生体試料中に存在する分析物を測定するためにも使用される場合がある。これらの方法は、ターゲット分析物を検出するために血液スクリーニングアッセイにも使用される場合がある。血液スクリーニングアッセイは、輸血用血液をスクリーニングするために使用される場合がある。
【0170】
7.多重化
これらの方法は、多重アッセイにおいて試料中の1つまたは複数(または代わりに2つ以上)のターゲット分析物を検出するために1つまたは複数(または代わりに2つ以上)の特異的な結合メンバーを含んでもよい。1つまたは複数(または代わりに2つ以上)の特異的な結合メンバーの各々は、異なるターゲット分析物に結合し、各特異的な結合メンバーは、異なる信号生成化合物または信号生成基質に結合される。たとえば、第1の特異的な結合メンバーは、第1のターゲット分析物に結合し、第2の特異的な結合メンバーは、第2のターゲット分析物に結合し、第3の特異的な結合メンバーは、第3のターゲット分析物に結合するなどし、第1の特異的な結合メンバーは、第1の信号生成化合物または第1の信号生成基質で標識され、第2の特異的な結合メンバーは、第2の信号生成化合物または第2の信号生成基質で標識され、第3の特異的な結合メンバーは、第3の信号生成化合物または第3の信号生成基質で標識されるなどする。いくつかの実施形態では、試料の状態は、アッセイ中の様々な時刻において変化する可能性があり、第1の信号生成化合物または第1の信号生成基質、第2の信号生成化合物または第2の信号生成基質、第3の信号生成化合物または第3の信号生成基質などの検出を可能にし、それによって、1つまたは複数(または代わりに2つ以上)のターゲット分析物を検出する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数(または代わりに2つ以上)の信号生成化合物または信号生成基質が、同時に検出される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数(または代わりに2つ以上)の信号生成化合物または信号生成基質が、連続的に検出される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数(または代わりに2つ以上)の信号生成化合物または信号生成基質は、異なる波長の蛍光信号などの異なる検出可能な信号を生成する。
【0171】
代替として、1つまたは複数(または代わりに2つ以上)の特異的な結合メンバーの各々は、異なるターゲット分析物に結合し、各特異的な結合メンバーは、異なるフルオロフォアビーズなどの異なる固相支持体に結合される。たとえば、第1の特異的な結合メンバーは、第1のターゲット分析物に結合し、第2の特異的な結合メンバーは、第2のターゲット分析物に結合し、第3の特異的な結合メンバーは、第3のターゲット分析物に結合するなどし、第1の特異的な結合メンバーは、第1の信号生成化合物または第1の信号生成基質で標識され、第2の特異的な結合メンバーは、第2の信号生成化合物または第2の信号生成基質で標識され、第3の特異的な結合メンバーは、第3の信号生成化合物または第3の信号生成基質で標識されるなどし、第1の特異的な結合メンバーは、第1の固相支持体上に固定化され、第2の特異的な結合メンバーは、第2の固相支持体上に固定化され、第3の特異的な結合メンバーは、第3の固相支持体上に固定化されるなどする。いくつかの実施形態では、1つまたは複数(または代わりに2つ以上)の信号生成化合物または信号生成基質は、異なる波長の蛍光信号などの異なる検出可能な信号を生成し、異なる固相支持体は、同時にまたは連続的に検出される。
【0172】
いくつかの実施形態では、第1の特異的な結合メンバーは、第1のターゲット分析物に結合し、第2の特異的な結合メンバーは、第2のターゲット分析物に結合し、第3の特異的な結合メンバーは、第3のターゲット分析物に結合するなどし、第1の特異的な結合メンバー、第2の特異的な結合メンバー、第3の特異的な結合メンバーなどは、信号生成化合物または信号生成基質で標識され、第1の特異的な結合メンバーは、第1の固相支持体上に固定化され、第2の特異的な結合メンバーは、第2の固相支持体上に固定化され、第3の特異的な結合メンバーは、第3の固相支持体上に固定化されるなどする。いくつかの実施形態では、信号生成化合物または信号生成基質は、異なる波長の蛍光信号などの検出可能な信号を生成し、異なる固相支持体は、同時にまたは連続的に検出される。
【0173】
8.キット
以上に説明された方法を実行する際に使用するためのキットも、本明細書に提供される。キットは、開示された方法を用いて分析物を分析するための指示書を含む場合がある。キットに含まれる指示書は、パッケージング材料に添付されるか、または、パッケージ挿入物として含まれる場合がある。指示書は、書かれるか、または印刷された材料である場合があるが、そのようなものに限定されない。そのような指示書を記憶し、それらをエンドユーザに伝達することができる任意の媒体が、本開示によって企図される。そのような媒体は、限定はされないが、電子記憶媒体(たとえば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光媒体(たとえば、CD ROM)などを含む。本明細書に使用される「指示書」は、指示書を提供するインターネットサイトのアドレスを含む場合がある。
【0174】
代替としてまたはそれに加えて、キットは、などのキャリブレーターもしくはコントロール(たとえば、精製されているか、任意で凍結乾燥されているか、または液体、ジェル、もしくは他の形態である、関心対象の分析物)、および/または、以上に説明された方法とともに使用するための少なくとも1つの容器(たとえば、チューブ、マイクロタイタープレート、またはストリップ)、および/またはアッセイバッファーもしくは洗浄バッファーなどのバッファーを含む場合があり、これらのいずれも、濃縮液として提供されることが可能である。いくつかの実施形態では、キットは、アッセイを実行するのに必要なすべての構成要素、すなわち、試薬、標準液、バッファー、希釈剤などを含む。指示書は、標準曲線を生成するための指示書も含むことができる。
【0175】
キットは、関心対象の分析物を定量化するための標準試料をさらに含む場合がある。標準試料は、関心対象の分析物の濃度の内挿および/または外挿のための標準曲線を構築するために使用される場合がある。キットは、濃度レベルに関して変化する標準試料を含む場合がある。たとえば、キットは、高濃度レベル、中濃度レベル、または低濃度レベルのうちのいずれかを有する、1つまたは複数の標準試料を含む場合がある。標準試料の濃度の範囲に関して、これは、アッセイごとに最適化される可能性がある。標準試料の例示的な濃度範囲は、限定はされないが、たとえば、約10fg/mL、約20fg/mL、約50fg/mL、約75fg/mL、約100fg/mL、約150fg/mL、約200fg/mL、約250fg/mL、約500fg/mL、約750fg/mL、約1000fg/mL、約10pg/mL、約20pg/mL、約50pg/mL、約75pg/mL、約100pg/mL、約150pg/mL、約200pg/mL、約250pg/mL、約500pg/mL、約750pg/mL、約1ng/mL、約5ng/mL、約10ng/mL、約12.5ng/mL、約15ng/mL、約20ng/mL、約25ng/mL、約40ng/mL、約45ng/mL、約50ng/mL、約55ng/mL、約60ng/mL、約75ng/mL、約80ng/mL、約85ng/mL、約90ng/mL、約95ng/mL、約100ng/mL、約125ng/mL、約150ng/mL、約165ng/mL、約175ng/mL、約200ng/mL、約225ng/mL、約250ng/mL、約275ng/mL、約300ng/mL、約400ng/mL、約425ng/mL、約450ng/mL、約465ng/mL、約475ng/mL、約500ng/mL、約525ng/mL、約550ng/mL、約575ng/mL、約600ng/mL、約700ng/mL、約725ng/mL、約750ng/mL、約765ng/mL、約775ng/mL、約800ng/mL、約825ng/mL、約850ng/mL、約875ng/mL、約900ng/mL、約925ng/mL、約950ng/mL、約975ng/mL、約1000ng/mL、約2μg/mL、約3μg/mL、約4μg/mL、約5μg/mL、約6μg/mL、約7μg/mL、約8μg/mL、約9μg/mL、約10μg/mL、約20μg/mL、約30μg/mL、約40μg/mL、約50μg/mL、約60μg/mL、約70μg/mL、約80μg/mL、約90μg/mL、約100μg/mL、約200μg/mL、約300μg/mL、約400μg/mL、約500μg/mL、約600μg/mL、約700μg/mL、約800μg/mL、約900μg/mL、約1000μg/mL、約2000μg/mL、約3000μg/mL、約4000μg/mL、約5000μg/mL、約6000μg/mL、約7000μg/mL、約8000μg/mL、約9000μg/mL、または約10000μg/mLを含む。
【0176】
キットに提供される、任意の特異的な結合メンバーは、少なくとも1つの信号生成化合物、1つもしくは複数の信号生成基質などを含む場合があり、または、キットは、特異的な結合メンバーを標識するための試薬もしくは特異的な結合メンバーを検出するための試薬、および/または、分析物を標識するための試薬もしくは分析物を検出するための試薬を含むことができる。必要に応じて、キットは、1つまたは複数の異なる信号生成化合物および/または信号生成基質を含むことができる。特異的な結合メンバー、キャリブレーター、および/またはコントロールは、別個の容器に提供されるか、または、適切なアッセイ形式に予備分注される可能性がある。
【0177】
キットは、たとえば、多重アッセイにおいて試料中の1つまたは複数のターゲット分析物を検出するために、1つまたは複数の特異的な結合メンバーを含む場合がある。キット内の異なるタイプの特異的な結合メンバーの数は、キットの意図された使用に応じて多種多様であってもよい。キット内の特異的な結合メンバーの数は、1個から約10個以上までの範囲である場合がある。たとえば、キットは、1個から10個までの特異的な結合メンバー、1個から9個までの特異的な結合メンバー、1個から8個までの特異的な結合メンバー、1個から7個までの特異的な結合メンバー、1個から6個までの特異的な結合メンバー、1個から5個までの特異的な結合メンバー、1個から4個までの特異的な結合メンバー、1個から3個までの特異的な結合メンバー、1個から2個までの特異的な結合メンバー、2個から10個までの特異的な結合メンバー、2個から9個までの特異的な結合メンバー、2個から8個までの特異的な結合メンバー、2個から7個までの特異的な結合メンバー、2個から6個までの特異的な結合メンバー、2個から5個までの特異的な結合メンバー、2個から4個までの特異的な結合メンバー、3個から10個までの特異的な結合メンバー、3個から9個までの特異的な結合メンバー、3個から8個までの特異的な結合メンバー、3個から7個までの特異的な結合メンバー、3個から6個までの特異的な結合メンバー、3個から5個までの特異的な結合メンバー、3個から4個までの特異的な結合メンバー、4個から10個までの特異的な結合メンバー、4個から9個までの特異的な結合メンバー、4個から8個までの特異的な結合メンバー、4個から7個までの特異的な結合メンバー、4個から6個までの特異的な結合メンバー、5個から10個までの特異的な結合メンバー、5個から9個までの特異的な結合メンバー、5個から8個までの特異的な結合メンバー、5個から7個までの特異的な結合メンバー、5個から6個までの特異的な結合メンバー、6個から10個までの特異的な結合メンバー、6個から9個までの特異的な結合メンバー、6個から8個までの特異的な結合メンバー、6個から7個までの特異的な結合メンバー、7個から10個までの特異的な結合メンバー、7個から9個までの特異的な結合メンバー、7個から8個までの特異的な結合メンバー、8個から10個までの特異的な結合メンバー、8個から9個までの特異的な結合メンバー、または9個から10個までの特異的な結合メンバーを含む場合がある。1つまたは複数の特異的な結合メンバーの各々は、異なるターゲット分析物に結合する結合する場合があり、各特異的な結合メンバーは、異なる信号生成化合物および/または信号生成基質と会合する場合がある。たとえば、キットは、第1のターゲット分析物に結合する第1の特異的な結合メンバー、第2のターゲット分析物に結合する第2の特異的な結合メンバー、第3のターゲット分析物に結合する第3の特異的な結合メンバーなどを含む場合があり、第1の特異的な結合メンバーは、第1の信号生成化合物および/または第1の信号生成基質と会合し、第2の特異的な結合メンバーは、第2の信号生成化合物および/または第2の信号生成基質と会合し、第3の特異的な結合メンバーは、第3の信号生成化合物および/または第3の信号生成基質と会合するなどする。1つまたは複数の特異的な結合メンバーに加えて、キットは、適切なバッファー媒体などの、1つまたは複数の追加のアッセイ構成要素をさらに含む場合がある。キットは、以上に説明されたものなどの、信号生成化合物および/または信号生成基質を検出および測定するためのデバイスも含む場合がある。最後に、キットは、主題の発明による、分析物検出の方法において特異的な結合メンバーを使用するための指示書を含む場合があり、使用するためのこれらの指示書は、キットパッケージ上および/またはパッケージ挿入物上に存在する場合がある。
【0178】
任意で、キットは、品質管理構成要素(たとえば、感受性パネル、キャリブレーター、および陽性コントロール)を含む。品質管理試薬の準備は、当技術分野でよく知られており、様々な免疫診断製品用の挿入シートに記載されている。感受性パネルメンバーは、アッセイ性能特性を構築するために使用され、さらに任意で、キット試薬の完全性およびアッセイの標準化の指標として役に立つ。
【0179】
キットは、任意で、バッファー、塩、酵素、酵素の補因子、基質、検出試薬などの、診断アッセイを行い、または品質管理評価を容易にするのに必要な他の試薬も含むことができる。テスト試料の分離および/または処理のためのバッファーおよび溶液などの他の構成要素(たとえば、前処理試薬)も、キット内に含まれる可能性がある。キットは、1つまたは複数の他のコントロールをさらに含むことができる。キットの構成要素の1つまたは複数は、凍結乾燥され、その場合、キットは、凍結乾燥された構成要素の再構成に適した試薬をさらに含むことができる。これらの構成要素の1つまたは複数は、液体の形態であってもよい。
【0180】
キットの様々な構成要素が、必要に応じて適切な容器内に提供される。キットは、試料を保持または保存するための容器(たとえば、尿、唾液、血漿、脳脊髄液、もしくは血清の試料のための容器、または、組織吸引物を生成するために組織を保存、輸送、もしくは処理するための適切な容器)をさらに含むことができる。適切である場合、キットは、任意で、反応容器、混合容器、および試薬またはテスト試料の準備を容易にする他の構成要素も含むことができる。キットは、組織試料を取得、保存、または吸引するための、マイクロサンプリングデバイス、マイクロニードル、または他の低侵襲無痛採血方法などの様々な採血/輸送デバイス、採血管、ランセット、毛管採血管、他の単一の指先穿刺採血方法、口腔スワブ、鼻/のどスワブ、16ゲージまたは他のサイズの針、パンチ生検用の円形ブレード(たとえば、1~8mm、または他の適切なサイズ)、メスまたはレーザー(たとえば、特にハンドヘルド型)、注射器、無菌容器、またはカニューレなどの、テスト試料を得るのを助けるための1つまたは複数の試料採取/取得器具なども含むことができる。キットは、関節液吸引、錐体生検、パンチ生検、細針吸引生検、画像誘導経皮針吸引生検、気管支肺胞洗浄、内視鏡生検、および腹腔鏡生検を助けるための1つまたは複数の器具を含むことができる。
【0181】
必要に応じて、キットは、磁性粒子、ビーズ、膜、骨格分子、薄膜、ろ紙、ディスク、またはチップなどの固相支持体を含むことができる。
【0182】
必要に応じて、キットは、感染症、心臓病、代謝疾患、甲状腺疾患などの病状または障害のバイオマーカーなどの、バイオマーカーである可能性がある、別の分析物のテスト試料をアッセイするための、単独の、またはさらに指示書と組み合わせられた、1つまたは複数の構成要素をさらに含むことができる。
【0183】
9.例
(例1)
図4は、デジタルイムノアッセイのためのマイクロチャンバアレイと、酵素反応による蛍光信号増幅のメカニズムとを示す。この例では、ビーズ直径は約2.7μmであり、ウェル直径/深さは約4μm/約4μmであり、酵素はアルカリホスファターゼであり、蛍光発生基質は二リン酸フルオレセインであり、信号増幅はRTで90分だった。
【0184】
デジタルELISAイムノアッセイの有用性を評価するために、本発明の実施形態に基づくハンドヘルド型(約10×10×12cm)の光学イメージングシステムが開発された。実演では、0および10フェムトMの抗原溶液(組換え型HBsAg)が適用された。検出容器に適用された第1の光源は、それぞれ
図6に示される、画像(A)および(D)をもたらした。検出容器に適用された第2の光源は、それぞれ
図6に示される、画像(B)および(E)をもたらした。
図6に示されるように、画像分析器は、画像(A)と(B)を組み合わせて画像(C)をもたらし、画像(D)と(E)を組み合わせて画像(F)をもたらした。画像(C)および(F)は、それぞれ、グレーおよび白色のドットによってプロットされた「ビーズのみ」および「ビーズおよび酵素」の検出位置を示すが、白色のドットは、免疫複合体の信号と同一視される。ハンドヘルド型検出器の性能は、デジタルアッセイの1画像において100,000チャンバ領域を捕捉する良好な性能を示した。
【0185】
(例2)
HBsAg(肝炎Bウィルス表面抗原)のデジタルイムノアッセイ光学検出
抗HBsAgマウスモノクローナル抗体(社内で準備された)が、捕捉抗体を準備するために、直径3μmの常磁性マイクロ粒子(Agilent Technologies)表面上にEDC(1-エチル-3-3-ジメチルアミノプロピル)をコーティングされた。洗浄後、コーティングされた常磁性マイクロ粒子は、タンパク質を含むバッファー溶液中に添加された。
【0186】
抗HBsAgヤギポリクローナル抗体(社内で準備された)が、検出抗体を準備するために、当技術分野で知られている標準的な化学反応を使用してアルカリホスファターゼ(Abbott)に結合された。結合抗体は、当技術分野で知られている、決められたゲルろ過方法を使用して精製された。精製された結合抗体は、タンパク質を含むバッファー溶液中で希釈された。
【0187】
50μLの抗HBsAg抗体マイクロ粒子溶液および50μLのアルカリホスファターゼを結合された抗HBsAg抗体溶液は、75μLのヒト血清とともに(HBsAgとともに、またはHBsAgなしで)インキュベートされた。37℃で18分間のインキュベーション後、ビーズは、バッファー溶液を用いて洗浄され、MUPまたはFDP溶液と混合され、次いで、底部にマイクロウェルアレイ(約400,000個の直径5μmのウェル(フェムトリットルチャンバ))を有するウェル(直径6mm)に装填された。フッ素化が進んだオイル(たとえば、FC-40など)が、ウェルの上部に添加され、水相と油相が入れ替わった。水相(上部相)が除去され、ウェルは、本明細書に説明されるハンドヘルド型光学イメージングシステムとともに設定された。
【0188】
この光学システムを用いて撮影された画像(写真)が、
図7-
図11に示される。マイクロ粒子は、散乱画像検出によって検出された。抗体コーティングされたマイクロ粒子-HBsAg-アルカリ性リン酸塩結合抗体の複合体(HBsAg免疫複合体)を有するフェムトリットルチャンバが、蛍光画像検出によって検出された。検出画像は、マイクロ粒子の数と、HBsAg免疫複合体を有するフェムトリットルチャンバの数とを計数するためにImage Jソフトウェアを使用して分析された。
【0189】
(例3)
図4は、デジタルイムノアッセイのためのマイクロチャンバアレイと、酵素反応による蛍光信号増幅のメカニズムとを示す。この例では、ビーズ直径は約2.7μmであり、ビーズは、Qdot625(Ex/Em:青色/赤色)コーティングされたものと非コーティングのものの混合物(比率は約10%)を含み、ウェル直径/深さは約4μm/約4μmであった。すべてのビーズおよびQdotコーティングされたビーズの赤色蛍光は、それぞれ、光散乱および蛍光イメージングによって視覚化された。
【0190】
デジタルELISAイムノアッセイの蛍光イメージングの有用性を評価するために、本発明の実施形態に基づくハンドヘルド型(約10×10×12cm)の光学イメージングシステムが利用された。この例では、単一の放射フィルタは、515nmロングパスタイプのフィルタ(たとえば、Semrok515LP)だった。実演では、赤色蛍光性ビーズおよび非蛍光性ビーズの10%の二元混合物が適用された。
【0191】
実演されたイメージング方式は、放射フィルタが変更される必要がないことを示した。このイメージング方式は、緑色LED(525nm)を含む第1の光源を使用して第1のオートフォーカスステップを利用し、次いで、散乱およびビーズイメージングのために第1の光源を検出容器に適用した。このことは、
図12に示された画像(A)をもたらした。次のステップでは、検出容器内の試料を励起させるために、青色LED(450nm)を含む第2の光源が検出容器に適用された。このことは、
図12に示された蛍光画像(B)をもたらした。次に、第1の光源として赤色LED(625nm)を含めるために、色収差が一新された。オートフォーカスは、この一新された第1の光源を用いて実行され、次いで、散乱のために検出容器に適用された。このことは、
図12に示された画像(C)をもたらした。試料を励起させるために、第2の光源(青色LED)が検出容器に適用され、このことが、
図12に示された画像(D)をもたらした。
【0192】
画像分析器は、画像(A)を(D)と組み合わせ、
図12に示されるように画像(E)をもたらした。画像(A)および(D)をマージするために、ImageJソフトウェアが使用された。画像(E)は、緑色ドットおよび赤色ドットによってプロットされた「ビーズおよび蛍光種」の検出された位置を示す。
【0193】
本発明の様々な特徴および利点は、以下の特許請求の範囲に記載される。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェル中の関心対象の分析物を検出する方法であって、方法は、
(a)分析物を含む疑いがある試料を、
(i)ウェル内に少なくとも1つのビーズを有する複数のウェルを含む検出容器であって、少なくとも1つのビーズが、関心対象の分析物に結合する特異的な結合メンバーを含む、検出容器と、
(ii)検出容器に向けて光を放射するように構成された光源と、
(iii)光源から生じる、少なくとも1つのビーズから反射された光の一部分を受け取り通過し、検出容器内の少なくとも1つのビーズからの蛍光出力の一部分を受け取って通過するように配置された単一のフィルタと、
(iv)反射された光の一部分と、単一のフィルタを通過する蛍光出力の一部分とを受け取るように構成された検出器と、
接触させることと、
(b)反射された光および蛍光出力からの情報を使用して、どのウェルがビーズを含むかを決定することと、
を有する、方法。
【請求項2】
検出容器は、ほぼ90度でその中を延びる軸を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
光源は、軸に対してある角度に配置される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
角度が、0度から90度である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
角度が、45度から90度である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
角度が、80度である、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
光源が、複数の発光ダイオードを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
光源が発光ダイオードである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
光源が、2つ以上の光源から構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
光源が、色を変化させるように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
光源は、青色と緑色との間で変化するように構成される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
緑色光源が、ビーズが試料中に存在するかどうかを識別する光学データを検出器が生成するように、検出容器内の少なくとも1つのビーズを反射する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
青色光源は、酵素が試料中に存在するかどうかを識別する光学データを検出器が生成するように、検出容器内のビーズを励起する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
蛍光出力が、光源による、検出容器内のビーズの励起後に生成される蛍光である、請求項1に記載の方法。