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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050653
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ERBB受容体阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20240403BHJP
   C07D 519/00 20060101ALI20240403BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20240403BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20240403BHJP
   A61K 31/55 20060101ALI20240403BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240403BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
C07D471/04 101
C07D519/00 311
C07D401/14 CSP
C07D471/04 108A
C07D471/04 106A
A61K31/517
A61K31/55
A61P35/00
A61P35/04
【審査請求】有
【請求項の数】31
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024007265
(22)【出願日】2024-01-22
(62)【分割の表示】P 2020562751の分割
【原出願日】2019-05-08
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/085998
(32)【優先日】2018-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】518099859
【氏名又は名称】ディザル(ジァンスー)ファーマシューティカル・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】リー,チェンタオ
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジアビン
(72)【発明者】
【氏名】ゼン,チンベイ
(72)【発明者】
【氏名】ツイ,ホンチュン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,チェンファン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シャオリン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】がんを含む、ErbB(殊に、HER2)と関連する疾患を処置するための化合物、及び該化合物を含む医薬組成物を提供する。
【解決手段】下記式(I)で表される化合物または薬学的に許容されるその塩、エステル、水和物、溶媒和物もしくは立体異性体を提供する。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
の化合物、または薬学的に許容されるその塩、エステル、水和物、溶媒和物もしくは立体異性体
(式中、
は、水素であり;
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OHまたはC1~12ハロアルキルであり;
Gは、NまたはC-CNであり;
Wは、O、C(=O)、S、SOまたはSOであり;
Yは、結合またはC1~12アルキレンであり;
は、3~10員の飽和もしくは不飽和のカルボシクリル、または3~10員の飽和もしくは不飽和のヘテロシクリルであり、これらは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OH、C1~12ハロアルキル、置換C1~12アルキルによって任意選択により一置換もしくは独立して多置換されていてもよく;
iは、0、1、2または3であり、
各Rは、独立して、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OHまたはC1~12ハロアルキルであり;
jは、0、1、2または3であり、
各Rは、独立して、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OH、C1~12ハロアルキルまたはORであり、これは、任意選択により一置換または独立して多置換されており;Rは、3~10員の飽和もしくは不飽和のカルボシクリル、または3~10員の飽和もしくは不飽和のヘテロシクリルであり、これらは、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、C1~12アルキル、またはC1~12ハロアルキルによって任意選択により一置換もしくは独立して多置換されており;
Aは、O、C(=O)、S、SOまたはSOであり;
Eは、
【化2】
であり、
、X、XおよびXは、各々独立して、NまたはCRであり;
およびXは、各々独立して、NまたはCRであり、Xは、O、S、NRまたはCR1011であり、ここで、XおよびXの少なくとも1つは、Nであり;R、R、R10およびR11は、各々独立して、水素、ハロゲン、C1~12アルキル、シアノ、アミノ、ヒドロキシル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OHまたはC1~12ハロアルキルであり;
pは、0、1、2または3であり、
各Rは、独立して、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OHまたはC1~12ハロアルキルである)。
【請求項2】
WがOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
AがOである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、3~10員の飽和ヘテロシクリルであり、これは、ハロゲン、重水素、ヒドロキシル、アミノ、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OH、C1~12ハロアルキル、重水素置換C1~12アルキルによって任意選択により一置換または独立して多置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、1個または2個のN原子を含有する5~10員の飽和ヘテロシクリルであり、これは、ハロゲン、重水素、ヒドロキシル、アミノ、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OH、C1~12ハロアルキル、重水素置換C1~12アルキルによって任意選択により一置換または独立して多置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が、
【化3】
であり、これは、ハロゲン、重水素、ヒドロキシル、アミノ、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OH、C1~12ハロアルキル、重水素置換C1~12アルキルによって任意選択により一置換または独立して多置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が、
【化4】
であり、これは、ハロゲン、重水素、ヒドロキシル、アミノ、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OH、C1~12ハロアルキル、重水素置換C1~12アルキルによって任意選択により一置換または独立して多置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
Yが、結合またはC1~3アルキレンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
Eが、
【化5】
である、請求項1に記載の化合物
(式中
およびXは、各々独立して、NまたはCRであり;
は、各々独立して、NまたはCRであり、Xは、O、S、NRまたはCR1011であり;
pは、0、1、2または3であり、
各Rは、独立して、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OHまたはC1~12ハロアルキルであり;
、R、R10およびR11は、各々独立して、水素、ハロゲン、C1~12アルキル、シアノ、アミノ、ヒドロキシル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OHまたはC1~12ハロアルキルである)。
【請求項10】
式(Ia):
【化6】
の構造、または薬学的に許容されるその塩、エステル、水和物、溶媒和物もしくは立体異性体を有する、請求項1に記載の化合物
(式中、
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OHまたはC1~12ハロアルキルであり;
12、13、R14およびR15は、各々独立して、水素、ハロゲン、重水素、ヒドロキシル、アミノ、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OH、C1~12ハロアルキル、重水素置換C1~12アルキルであり;
16およびR17は、各々独立して、水素、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OH、C1~12ハロアルキルまたはORであり、これは、重水素によって任意選択により一置換または独立して多置換されていてもよく;Rは、3~10員の飽和もしくは不飽和のカルボシクリル、または3~10員の飽和もしくは不飽和のヘテロシクリルであり、これらは、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、C1~12アルキル、またはC1~12ハロアルキルによって任意選択により一置換もしくは独立して多置換され;
Eは、
【化7】
であり、
式中、
およびXは、各々独立して、NまたはCRであり;
は、各々独立して、NまたはCRであり、Xは、O、S、NRまたはCR1011であり;
pは、0、1、2または3であり、
各Rは、独立して、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OHまたはC1~12ハロアルキルであり;
、R、R10およびR11は、各々独立して、水素、ハロゲン、C1~12アルキル、シアノ、アミノ、ヒドロキシル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OHまたはC1~12ハロアルキルである)。
【請求項11】
が、ハロゲン、ヒドロキシル、C1~12アルキルまたはC1~12アルコキシルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
12、13、R14およびR15が、各々独立して、水素、ハロゲン、重水素、ヒドロキシル、アミノ、C1~12アルキルまたはC1~12アルコキシルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
13およびR14の少なくとも1つが、ハロゲンである、請求項10に記載の化合物。
【請求項14】
ハロゲンがFである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
16およびR17が、各々独立して、水素、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、C1~12アルキルまたはC1~12アルコキシルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項16】
15が水素であり、R16が、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、C1~12アルキルまたはC1~12アルコキシルである、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
Eが、3個または2個のN原子を含む、請求項10に記載の化合物。
【請求項18】
Eが、
【化8】
であり、XがCRであり、Rが、水素、ハロゲン、C1~12アルキル、シアノ、アミノ、ヒドロキシルまたはC1~12アルコキシルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項19】
【化9-1】
【化9-2】
【化9-3】
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
結晶性形態での、請求項1から19のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、または薬学的に許容されるその塩、エステル、水和物、溶媒和物もしくは立体異性体。
【請求項21】
請求項1から19のいずれか一項に記載の1種もしくは複数の化合物、薬学的に許容されるその塩、エステル、水和物、溶媒和物または立体異性体、および薬学的に許容される希釈液、賦形剤または担体を含む医薬組成物。
【請求項22】
HER2を阻害するための医薬としての使用のための、請求項1から19のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩、エステル、水和物、溶媒和物もしくは立体異性体、または請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項23】
請求項1から19のいずれかに記載の1種もしくは複数の化合物、薬学的に許容されるその塩、エステル、水和物、溶媒和物または立体異性体、または請求項21に記載の医薬組成物を使用することによる、HER2を阻害する方法。
【請求項24】
請求項1から19のいずれかに記載の1種もしくは複数の化合物、薬学的に許容されるその塩、エステル、水和物、溶媒和物もしくは立体異性体、または請求項21に記載の医薬組成物の有効量を対象に投与することを含む、対象においてHER2と関連する疾患を処置する方法。
【請求項25】
HER2と関連する疾患が、乳がん、胃がん、結腸直腸がん、膵臓がん、前立腺がん、膀胱がん、卵巣がん、非小細胞肺がんを含む肺がんなどのがんである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
HER2と関連する疾患が、脳および軟髄膜の転移を有するがんである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
対象が、人間などの温血動物である、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
HER2が突然変異体HER2である、請求項23から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
1種もしくは複数の化合物、薬学的に許容されるその塩、エステル、水和物、溶媒和物または立体異性体が、対象の血液脳関門(BBB)を横切る、請求項23から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
第2の治療剤、好ましくは抗腫瘍剤、例えば化学療法(カペシタビン、ドセタキセル、
ビノレルビン)、またはHER2標的化抗体(トラスツズマブ、トラスツズマブエムタンシン、ペルツズマブ)との組合せにおける、請求項1から19のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩、エステル、水和物、溶媒和物もしくは立体異性体。
【請求項31】
対象においてHER2と関連する疾患を処置するための医薬の製造における、請求項1から19のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩、エステル、水和物、溶媒和物もしくは立体異性体の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ErbB(例えば、HER2)を阻害する化合物に関する。本開示は、活性成分として該化合物の1種または複数を含む医薬組成物、およびErbB(例えば、HER2)と関連する疾患を処置するための医薬の製造における該化合物の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
ErbB受容体チロシンキナーゼファミリーは、4つの密接に関連の受容体:EGFR(ErbB1またはHER1)、ErbB2(HER2)、ErbB3(HER3)およびErbB4(HER4)からなる(RieseおよびStern、Bioessays(1998)20:41~48;Olayioyeら、EMBO Journal(2000)19:3159~3167;ならびにSchlessinger、Cell(2002)110:669~672に概説されている)。これらの受容体は、それらのチロシンリン酸化残基でリン酸化事象を介して二次メッセンジャー(messenging)エフェクターを活性化することによって細胞の外側から内側にシグナルを伝達するように作用する。様々な細胞プロセスは、増殖、炭水化物利用、タンパク質合成、血管形成、細胞成長および細胞生存を含めて、これらのシグナルによってモジュレートされる。ErbBファミリーシグナル伝達の調節解除は、増殖、侵入、転移、血管形成および腫瘍細胞生存をモジュレートし、肺がん、頭頸部がんおよび乳がんのものを含む、多くのヒトがんと関連し得る。ErbB受容体シグナル伝達のおよび腫瘍形成におけるそれの関与の詳しい概説は、New England Journal of Medicine、2008、第358巻:1160~74およびBiochemical and Biophysical Research Communications、2004、第319巻:1~11に提供されている。
【0003】
数名の研究者が、がんの発症におけるEGFRおよびErbB2の役割を実証した(Salomonら、Crit.Rev.Oncol.Hematol.(1995)19:183~232;Klapperら、Adv.Cancer Res.(2000)77:25~79;ならびにHynesおよびStern、Biochim.Biophys.Acta(1994)1198:165~184に概説されている)。頭部、頸部および肺の扁平癌腫は、高レベルのEGFRを発現する。その上、恒常的に活性なEGFRが、神経膠腫、乳がんおよび肺がんにおいて見出された。ErbB2過剰発現は、全ての乳がんのおよそ30%に起こり、卵巣がん、結腸がん、膀胱がん、胃がん、食道がん、肺がん、子宮がんおよび前立腺がんなど様々な他のがん型に関係している。ErbB2過剰発現は、その上、転移および早期再発を含む、ヒトがんにおける予後不良と相関していた。
【0004】
EGFRおよびErbB2シグナル伝達経路のいくつかの阻害剤は、がん処置における臨床的効力を実証した。ゲフィチニブ(IRESSA)、エルロチニブ(TARCEVA)、ラパチニブ(TYKERB、TYVERB)、パニツムマブ(VECTIBIX)、セツキシマブ(ERBITUX)、オシメルチニブ(TAGRISSO、AZD9291)およびアファチニブ(GIOTRIF)は、臨床的に利用可能なEGFR阻害剤である。HER2を標的化する臨床的に利用可能な抗がん薬としては、トラスツズマブ(ハーセプチンとしても公知)、トラスツズマブエムタンシン(T-DM1)、ペルツズマブ(パージェタ)、ラパチニブ(タイバーブ)およびネラチニブ(ネルリンクス)が挙げられる。乳がん患者の3分の2は、ハーセプチントラスツズマブに良く応答するが、一部のHER2陽性乳がん患者は、該薬物に応答しない。
【0005】
したがって、新規なErbB(特にHER2)阻害剤を開発する必要が依然としてある
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、本開示は、式(I):
【0007】
【化1】
【0008】
によって表される化合物または薬学的に許容されるその塩、エステル、水和物、溶媒和物もしくは立体異性体を提供する。
別の態様において、本開示は、式(I)の1種もしくは複数の化合物、薬学的に許容されるその塩、エステル、水和物、溶媒和物または立体異性体、および薬学的に許容される希釈液、賦形剤または担体を含む医薬組成物を提供する。
【0009】
なお別の態様において、本開示は、ErbB(例えば、HER2)を阻害するための医薬としての使用のための、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩、エステル、水和物、溶媒和物もしくは立体異性体、あるいは前述の1つまたは複数の医薬組成物を提供する。
【0010】
別の態様において、本開示は、式(I)の1種もしくは複数の化合物、薬学的に許容されるその塩、エステル、水和物、溶媒和物または立体異性体、あるいは前述の1つまたは複数の医薬組成物を使用することによって、ErbB(例えば、HER2)を阻害する方法を提供する。
【0011】
別の態様において、本開示は、式(I)の1種もしくは複数の化合物、薬学的に許容されるその塩、エステル、水和物、溶媒和物または立体異性体、あるいは前述の1つまたは複数の医薬組成物の有効量を対象に投与するステップを含む、対象においてHER2と関連する疾患を処置する方法を提供する。
【0012】
さらなる態様において、本開示は、第2の治療剤、好ましくは抗腫瘍剤、例えば化学療法薬(カペシタビン、ドセタキセル、ビノレルビン)、またはHER2標的化抗体(トラスツズマブ(ハーセプチン)、トラスツズマブエムタンシン(T-DM1)、ペルツズマブ(パージェタ))との組合せにおける、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩、エステル、水和物、溶媒和物もしくは立体異性体を提供する。
【0013】
別の態様において、本開示は、対象においてErbB(例えば、HER2)と関連する疾患を処置するための医薬の製造における、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩、エステル、水和物、溶媒和物もしくは立体異性体の使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
化合物
一態様において、本開示は、式(I):
【0015】
【化2】
【0016】
の化合物または薬学的に許容されるその塩、エステル、水和物、溶媒和物もしくは立体異性体を提供し、
式中、
は、水素であり;
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル(alky)-OHまたはC1~12ハロアルキルであり;
Gは、NまたはC-CNであり;
Wは、O、C(=O)、S、SOまたはSOであり;
Yは、結合またはC1~12アルキレンであり、
は、3~10員の飽和もしくは不飽和のカルボシクリル、または3~10員の飽和もしくは不飽和のヘテロシクリルであり、これらは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OH、C1~12ハロアルキル、置換C1~12アルキルによって任意選択により一置換もしくは独立して多置換されていてもよく;
iは、0、1、2または3であり、
各Rは、独立して、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OHまたはC1~12ハロアルキルであり;
jは、0、1、2または3であり、
各Rは、独立して、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OH、C1~12ハロアルキルまたはORであり、ここで、Rは、3~10員の飽和もしくは不飽和のカルボシクリル、または3~10員の飽和もしくは不飽和のヘテロシクリルであり、これらは、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、C1~12アルキルもしくはC1~12ハロアルキルによって任意選択により一置換もしくは独立して多置換され;
Aは、O、C(=O)、S、SOまたはSOであり;
Eは、
【0017】
【化3】
【0018】
であり、
、X、XおよびXは、各々独立して、NまたはCRであり;
およびXは、各々独立して、NまたはCRであり、Xは、O、S、NRまたはCR1011であり、ここで、XおよびXの少なくとも1つは、Nであり;R、R、R10およびR11は、各々独立して、水素、ハロゲン、C1~12アルキル、シアノ、アミノ、ヒドロキシル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OHまたはC1~12ハロアルキルであり;
pは、0、1、2または3であり、
各Rは、独立して、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OHまたはC1~12ハロアルキルである。
【0019】
一部の実施形態において、式(I)におけるRは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1~12アルキルまたはC1~12アルコキシルである。
一部の実施形態において、i=0である。一部の実施形態において、i=1であり、式(I)におけるRはハロゲンである。
【0020】
一部の実施形態において、j=1または2であり、各Rは、独立して、アミノ、C1~12アルコキシルまたはORであり;ここで、Rは、3~10員の飽和もしくは不飽和のカルボシクリル、または3~10員の飽和もしくは不飽和のヘテロシクリルであり、これらは、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、C1~12アルキルもしくはC1~12ハロアルキルによって任意選択により一置換もしくは独立して多置換されている。
【0021】
一部の実施形態において、式(I)におけるRは、独立して、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OH、C1~12ハロアルキルまたはORであり、これは、重水素によって一置換または多置換されている。
【0022】
一部の実施形態において、式(I)におけるWは、Oである。
一部の実施形態において、式(I)におけるAは、Oである。
一部の実施形態において、式(I)におけるRは、重水素によって一置換または多置換されている3~10員の飽和または不飽和のヘテロシクリルである。
【0023】
一部の実施形態において、式(I)におけるRは、3~10員の飽和ヘテロシクリルであり、これは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OH、C1~12ハロアルキル、C1~12アルキルによって任意選択により一置換または独立して多置換されていてもよい。
【0024】
一部の実施形態において、式(I)におけるRは、重水素置換C1~12アルキルによって一置換または独立して多置換されている3~10員の飽和ヘテロシクリルである。
一部の実施形態において、式(I)におけるRは、1個または2個のN原子を含有する5~10員の飽和ヘテロシクリルであり、これは、ハロゲン、重水素、ヒドロキシル、アミノ、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OH、C
1~12ハロアルキルまたは重水素置換C1~12アルキルによって任意選択により一置換または独立して多置換されていてもよい。ある特定の実施形態において、式(I)におけるRは、少なくとも1個のハロゲン置換基を含有し、好ましくは、ハロゲンはFである。ある特定の実施形態において、式(I)におけるRは、2個、3個またはそれ以上のハロゲン置換基を含有し、好ましくは、ハロゲンはFである。
【0025】
一部の実施形態において、式(I)におけるRは、
【0026】
【化4】
【0027】
であり、これは、ハロゲン、重水素、ヒドロキシル、アミノ、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OH、C1~12ハロアルキルまたは重水素置換C1~12アルキルによって任意選択により一置換または独立して多置換されていてもよい。
【0028】
一部の実施形態において、式(I)におけるRは、
【0029】
【化5】
【0030】
であり、これは、ハロゲン、重水素、ヒドロキシル、アミノ、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OH、C1~12ハロアルキルまたは重水素置換C1~12アルキルによって任意選択により一置換または独立して多置換されていてもよい。
【0031】
一部の実施形態において、式(I)におけるYは、結合またはC1~3アルキレンである。
一部の実施形態において、式(I)におけるEは、
【0032】
【化6】
【0033】
であり、
式中、
およびXは、各々独立して、NまたはCRであり;
は、NまたはCRであり、Xは、O、S、NRまたはCR1011であり;
pは、0、1、2または3であり、
各Rは、独立して、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OHまたはC1~12ハロアルキルであり;
、R、R10およびR11は、各々独立して、水素、ハロゲン、C1~12アルキル、シアノ、アミノ、ヒドロキシル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OHまたはC1~12ハロアルキルである。
【0034】
一部の実施形態において、式(I)におけるEは、
【0035】
【化7】
【0036】
であり、式中、Xは、NまたはCRである。
一部の実施形態において、本開示の化合物は、式(Ia):
【0037】
【化8】
【0038】
または薬学的に許容されるその塩、エステル、水和物、溶媒和物もしくは立体異性体によって表され、
式中、
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OHまたはC1~12ハロアルキルであり;
12、13、R14およびR15は、各々独立して、水素、ハロゲン、重水素、ヒドロキシル、アミノ、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OH、C1~12ハロアルキル、重水素置換C1~12アルキルであり;
16およびR17は、各々独立して、水素、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OH、C1~12ハロアルキルまたはORであり;ここで、Rは、3~10員の飽和もしくは不飽和のカルボシクリル、または3~10員の飽和もしくは不飽和のヘテロシクリルであり、これらは、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、C1~12アルキルもしくはC1~12ハロアルキルによって任意選択により一置換もしくは独立して多置換されており;
式中、Eは、
【0039】
【化9】
【0040】
であり、
式中、
およびXは、各々独立して、NまたはCRであり;
は、各々独立して、NまたはCRであり、Xは、O、S、NRまたはCR1011であり;
pは、0、1、2または3であり、
各Rは、独立して、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシル、C1~12アルキル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OHまたはC1~12ハロアルキルであり;
、R、R10およびR11は、各々独立して、水素、ハロゲン、C1~12アルキル、シアノ、アミノ、ヒドロキシル、C1~12アルコキシル、C1~12アルキル-OHまたはC1~12ハロアルキルである。
【0041】
一部の実施形態において、式(Ia)におけるRは、ハロゲン、ヒドロキシル、C1~12アルキルまたはC1~12アルコキシルである。
一部の実施形態において、式(Ia)におけるR12、13、R14およびR15は、各々独立して、水素、ハロゲン、重水素、ヒドロキシル、アミノ、C1~12アルキルまたはC1~12アルコキシルである。
【0042】
一部の実施形態において、式(Ia)におけるR13およびR14の少なくとも1つは、ハロゲンである。一部の実施形態において、式(Ia)におけるR13およびR14の両方は、ハロゲンである。一部の実施形態において、式(Ia)におけるR13およびR14の少なくとも1つは、Fである。一部の実施形態において、式(Ia)におけるR13およびR14の両方は、Fである。一部の実施形態において、式(Ia)におけるR15は、水素である。一部の実施形態において、式(Ia)におけるR15は、ハロゲンである。
【0043】
一部の実施形態において、式(Ia)におけるR16およびR17は、各々独立して、水素、ハロゲン、アミノ、C1~12アルコキシルまたはORであり、これは、重水素によって任意選択により一置換または独立して多置換されていてもよく;ここで、Rは、3~10員の飽和もしくは不飽和のカルボシクリル、または3~10員の飽和もしくは不飽和のヘテロシクリルであり、これらは、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、C1~12アルキルもしくはC1~12ハロアルキルによって任意選択により一置換もしくは独立して多置換されている。一部の実施形態において、式(Ia)におけるR16およびR17は、各々独立して、水素、アミノまたはC1~12アルコキシルである。
【0044】
一部の実施形態において、式(Ia)におけるEは、少なくとも2個または3個のN原子を含有する。
一部の実施形態において、式(Ia)におけるEは、
【0045】
【化10】
【0046】
であり、式中、XはCRであり、Rは、水素、ハロゲン、C1~12アルキル、シアノ、アミノ、ヒドロキシルまたはC1~12アルコキシルである。
一部の実施形態において、式(Ia)におけるEは、
【0047】
【化11】
【0048】
であり、式中、XはCRであり、Rは、水素、ハロゲン、C1~12アルキル、シアノ、アミノ、ヒドロキシルまたはC1~12アルコキシルである。一部の実施形態において、式(Ia)におけるEは、
【0049】
【化12】
【0050】
であり、式中、XおよびXは、各々独立してCRであり、Rは、水素、ハロゲン、C1~12アルキル、シアノ、アミノ、ヒドロキシルまたはC1~12アルコキシルである。
【0051】
式(I)の例証的な化合物1~46は、下記の表1に説明されている。
【0052】
【表1-1】
【0053】
【表1-2】
【0054】
【表1-3】
【0055】
【表1-4】
【0056】
【表1-5】
【0057】
【表1-6】
【0058】
【表1-7】
【0059】
【表1-8】
【0060】
【表1-9】
【0061】
【表1-10】
【0062】
【表1-11】
【0063】
【表1-12】
【0064】
【表1-13】
【0065】
【表1-14】
【0066】
【表1-15】
【0067】
明確にするため、別々の実施形態の文脈で記載されている本開示のある特定の特色は、その上、単一の実施形態において組合せで提供され得ることが認められる。逆に、簡略にするため、単一の実施形態の文脈で記載されている本開示の様々な特色は、その上、別々にまたは任意の適切な下位の組合せで提供され得る。
【0068】
本開示における様々な場所で、連結する置換基が記載されている。構造が明らかに連結基を必要としている場合、その基について列挙されているマーカッシュ可変物が連結基であると理解される。例えば、該構造が連結基を必要とするとともにその可変物についてのマーカッシュグループの定義が「アルキル」を列挙するならば、「アルキル」は、連結するアルキレン基を表すと理解される。
【0069】
本明細書で使用される場合、「置換されている」という用語は、化学基を指す場合、化学基が、除去されるとともに置換基によって置き換えられる1個または複数の水素原子を有することを意味する。本明細書で使用される場合、「置換基」という用語は、当技術分野において公知の通常の意味を有し、親基に共有結合的に付着されているまたは適切な場合に縮合されている化学部分を指す。本明細書で使用される場合、「任意選択により置換されている」または「任意選択により・・・置換されている」という用語は、化学基が、置換基を有していない(即ち、非置換である)ことがある、または1個または複数の置換基を有している(即ち、置換されている)ことがあることを意味する。所与の原子での置換は、原子価によって限定されることが理解されるべきである。
【0070】
本明細書で使用される場合、「Ci~j」という用語は、炭素原子数の範囲を示し、ここで、iおよびjは整数であり、炭素原子数の範囲は、端点(即ち、iおよびj)およびその間の各整数点を含み、i∈{1、2、3、4、5、6、7、8、9または10}である場合、jはiよりも大きく、j∈{2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39または40}である。例えば、C1~6は、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子、4個の炭素原子、5個の炭素原子および6個の炭素原子を含む、1個から6個の炭素原子の範囲を示す。
【0071】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、別の用語の一部としてまたは独立して使用される場合、飽和または不飽和炭化水素鎖を指すが、後者は、少なくとも1つの二重または三重結合を有する炭化水素鎖(アルケニルまたはアルキニル)にさらに細分化され得る。上述されている炭化水素鎖は、直鎖または分岐鎖であってよい。「Ci~jアルキル」という用語は、i個からj個の炭素原子を有するアルキルを指す。一部の実施形態において、アルキル基は、1個から12個、1個から8個、1個から6個、1個から4個、1個から3個、または1個から2個の炭素原子を含有する。飽和アルキル基の例としては、以下に限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、イソブチル、sec-ブチル;より高次の同族体、例えば2-メチル-1-ブチル、n-ペンチル、3-ペンチル、n-ヘキシル、1,2,2-トリメチルプロピルなどが挙げられる。不飽和アルキル基の例としては、以下に限定されないが、エテニル、n-プロペニル、イソプロペニル、n-ブテニル、sec-ブテニル、エチニル、プロピン-1-イル、プロピン-2-イルなどが挙げられる。
【0072】
本明細書で使用される場合、「ハロ」および「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子を指す。
本明細書で使用される場合、「シアノ」という用語は、式-CNの基を指す。
【0073】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシル」という用語は、式-OHの基を指す。
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」という用語は、別の用語の一部としてまたは独立して使用される場合、式-O-アルキルの基を指す。「Ci~jアルコキシ」という用語は、アルコキシ基のアルキル部分が、i個からj個の炭素原子を有することを意味する。一部の実施形態において、アルキル部分は、1個から12個、1個から10個、1個から8個、1個から6個、1個から5個、1個から4個、1個から3個、または1個から2個の炭素原子を有する。アルコキシ基の例としては、以下に限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n-プロポキシおよびイソプロポキシ)、t-ブトキシなどが挙げられる。
【0074】
本明細書で使用される場合、「Ci~jアルキル-OH」という用語は、式「-C1~12アルキル-OH」の基を指し、ここで、該基のアルキル部分はi個からj個の炭素原子を有し、ヒドロキシル基は、アルキル部分における任意の炭素原子に連結されていてもよい。一部の実施形態において、アルキル部分は、1個から12個、1個から10個、1個から8個、1個から6個、1個から5個、1個から4個、1個から3個、または1個から2個の炭素原子を有する。
【0075】
本明細書で使用される場合、「Ci~jハロアルキル」という用語は、ハロゲン置換(一置換または多置換)Ci~jアルキル基を指す。
本明細書で使用される場合、「カルボシクリル」という用語は、別の用語の一部としてまたは独立して使用される場合、全ての環原子が炭素であるとともに少なくとも3個の環形成炭素原子を含有する任意の環を指す。一部の実施形態において、カルボシクリルは、3個から12個の環形成炭素原子、3個から10個の環形成炭素原子、3個から9個の環形成炭素原子、または4個から8個の環形成炭素原子を含有することができる。カルボシクリル基は、飽和また部分不飽和であってよい。一部の実施形態において、カルボシクリル基は、飽和環状アルキル基であってよい。一部の実施形態において、カルボシクリル基は、その環系に少なくとも1個の二重結合を含有する不飽和環状アルキル基であってよい。一部の実施形態において、不飽和カルボシクリル基は、1個または複数の芳香族環を含有することができる。
【0076】
カルボシクリル基は、単環式環または多環式環を含むことができる(例えば、2個、3
個または4個の縮合環、架橋環またはスピロ環を有する)。単環式カルボシクリル基の例としては、以下に限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタトリエニルなどが挙げられる。本明細書で使用される場合、「スピロ環」という用語は、1個の単一共通原子を介して接続されている2個の環を有する環系を指し;「縮合環」という用語は、2個の隣接する原子を共有する2個の環を有する環系を指し;「架橋環」という用語は、3個以上の原子を共有する2個の環を有する環系を指す。スピロカルボシクリルの例としては、以下に限定されないが、スピロ[5.5]ウンデカン、スピロ-ペンタジエン、スピロ[3.6]-デカンなどが挙げられる。縮合カルボシクリルの例としては、以下に限定されないが、ナフタレン、ベンゾピレン、アントラセン、アセナフテン、フルオレン、ネン(nene)などが挙げられる。架橋カルボシクリルの例としては、以下に限定されないが、ビシクロ[1,1,1]ペンテニル、ビシクロ[2,2,1]ヘプテニル,ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[3.3.3]ウンデカンなどが挙げられる。
【0077】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」という用語は、1個または複数の(例えば、1個、2個または3個の)環原子が、以下に限定されないが、酸素、硫黄、窒素、リンなどが挙げられるヘテロ原子によって置き換えられているカルボシクリル基を指す。一部の実施形態において、ヘテロシクリルは、飽和ヘテロシクリルである。一部の実施形態において、ヘテロシクリルは、それの環系に1個または複数の二重結合を有する不飽和ヘテロシクリルである。一部の実施形態において、不飽和ヘテロシクリル基は、1個または複数の芳香族環を含有することができる。
【0078】
ヘテロシクリル基は、単環式環または多環式環を含むことができる(例えば、2個、3個または4個の縮合環、架橋環またはスピロ環を有する)。例証的な単環式ヘテロシクリル基としては、以下に限定されないが、ピペリジル、ピロリジル、テトラヒドロフラン、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニルなどが挙げられる。スピロヘテロシクリルの例としては、以下に限定されないが、スピロピラン、スピロオキサジンなどが挙げられる。縮合ヘテロシクリルの例としては、以下に限定されないが、キノリン基、イソキノリン基、キノリジン基、キナゾリン基、プテリジン基、クロメン基、イソクロメン基、インドール基、イソインドール基、インドリジン基、インダゾール基、プリン基、ベンゾフラン基、イソベンゾフラン基、ベンズイミダゾール基、ベンゾチエニル基、カルバゾール基、フェナジン基、フェノチアジン基、フェナントリジン基などが挙げられる。架橋ヘテロシクリルの例としては、以下に限定されないが、モルファン、ヘキサメチレンテトラアミン、8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタン、1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクタン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)などが挙げられる。
【0079】
本明細書で使用される場合、「i~j員」という用語は、i個からj個の環形成原子を有するカルボシクリル基またはヘテロシクリル基を指す。例えば、「3~8員のカルボシクリル」は、3個から10個(例えば、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個)の環形成員を有するカルボシクリル基を指し;「3~10員のヘテロシクリル」は、3個から10個(例えば、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個)の環形成員を有するヘテロシクリルを指す。一部の実施形態において、カルボシクリル基またはヘテロシクリル基は、3~10員、3~8員、3~6員または4~6員である。例えば、ピペリジニルは、6員ヘテロシクリルの例であり、ピラゾリルは、5員ヘテロシクリルの例であり、ピリジルは、6員ヘテロシクリルの例であり、1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレンは、10員カルボシクリルの例である。
【0080】
本明細書で使用される場合、「芳香族基」または「芳香族環」という用語は、少なくと
も1個の環において環形成原子間に交互する二重結合および単結合を有する単環式または多環式のカルボシクリルまたはヘテロシクリル部分を指す。一部の実施形態において、芳香族環は、5個から12個、5個から10個、5個から8個、6個から12個、6個から10個、または6個から8個の環形成原子を有する(即ち、5~12員、5~10員、5~8員、6~12員、6~10員または6~8員)。炭素環式芳香族基の例としては、以下に限定されないが、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、イデニルなどが挙げられる。一部の実施形態において、複素環式芳香族基は、5員または6員である。例証的な5員の複素環式芳香族基は、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、テトラゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリルなどである。例証的な6員の複素環式芳香族基は、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニルおよびピリダジニルである。
【0081】
本開示の「化合物」は、別段に特定されていない限り、図示されている構造の全ての立体異性体、幾何異性体および互変異性体を包含すると意図される。
「立体異性体」という用語は、不斉化合物(例えば、1個または複数の非対称置換炭素原子-「不斉中心」を有するもの)の様々な立体異性配置(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびラセミ体)のいずれかを指す。不斉中心を含有する本開示の化合物は、光学活性(エナンチオマーおよびジアステレオマー)または光学不活性(ラセミ)形態に単離することができる。「エナンチオマー」という用語は、互いに重ねることができない鏡像である立体異性体の対を含む。1対のエナンチオマーの1:1混合物は、「ラセミ混合物」である。「ジアステレオマー」または「ジアステレオ異性体」という用語は、少なくとも2つの不斉原子を有するが互いの鏡像でない立体異性体を含む。1つまたは複数の不斉中心を含有するある特定の化合物は、Cahn-Ingold-PrelogR-S系に従って各不斉中心で(R)-または(S)-として絶対配置の点から定義することができるエナンチオマー、ジアステレオマーまたは他の立体異性体形態を生じることがあり。絶対配置が不明である分割化合物は、不斉中心で「または」という用語を使用して指定することができる。ラセミ混合物から光学活性形態をどのように調製するかについての方法は、HPLCによる分割または立体選択的合成など、当技術分野において公知である。
【0082】
「幾何異性体」または「シスおよびトランス異性体」は、同じ式を有する化合物を指すが、それらの官能基は、三次元空間において異なる配向に回転される。「互変異性体」という用語は、同じ式および総電荷を有する化合物の異性体プロトン化状態であるプロトトロピック互変異性体を含む。プロトトロピック互変異性体の例としては、以下に限定されないが、ケトン-エノール対、アミド-イミド酸対、ラクタム-ラクチム対、エナミン-イミン対、およびプロトンが複素環式系の2つ以上の位置を占有することができる環状形態、例えば、1H-および3H-イミダゾール、1H-、2H-および4H-1,2,4-トリアゾール、1H-および2H-イソインドール、ならびに1H-および2H-ピラゾールが挙げられる。互変異性体は、平衡状態であるかまたは適切な置換によって1つの形態に立体的に固定することができる。1つの特別な互変異性体形態として名前または構造によって同定された本開示の化合物は、別段に特定されていない限り、他の互変異性体形態を含むと意図される。
【0083】
本開示の「化合物」は、化合物における原子の全ての同位体も包含すると意図される。原子の同位体は、同じ原子番号だが異なる質量数を有する原子を含む。例えば、別段に特定されていない限り、本開示の「化合物」における水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素、臭素(bromide)またはヨウ素は、以下に限定されないが:
H、H、11C、12C、13C、14C、14N、15N、16O、17O、18O、31P、32P、32S、33S、34S、36S、17F、19F、35Cl、37Cl、79Br、81Br、127Iおよび131Iなどのそれらの同位体も含むことが意図される。一部の実施形態において、水素は、プロチウム、重水素およびトリチウムを含む。一部の実施形態において、「重水素によって置換されている」または「重水素置換」という用語は、化学基における水素の他のアイソフォーム(例えば、プロチウム)を重水素と置き換えることである。一部の実施形態において、炭素は、12Cおよび13Cを含む。
【0084】
本開示の「化合物」は、例えば、水和化形態、固体形態など、溶媒和ならびに非溶媒和形態でも存在することができると理解されるべきであり、本開示は、全てのこうした溶媒和および非溶媒和形態を包含すると意図される。
【0085】
本開示の「化合物」は、さらに、薬学的に許容される塩またはエステルの形態で存在することができると理解されるべきである。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、健全な医学的判断の範疇内で、過度の毒性、刺激性、アレルギー応答または他の問題もしくは合併症なく、妥当な利益/リスク比に相応する、ヒトおよび動物の組織との接触における使用に適当であるような化合物、材料、組成物および/または剤形を指す。一部の実施形態において、薬学的に許容される化合物、材料、組成物および/または剤形は、動物における、さらに特にヒトにおける使用について規制当局(米国食品医薬品局、中国食品医薬品局またはヨーロッパ医薬品庁など)によって承認されているまたは一般に認識されている薬局方(米国薬局方、中国薬局方またはヨーロッパ薬局方など)に列挙されているものを指す。
【0086】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」は、親化合物が、存在する酸性部分(例えば、カルボキシルなど)または塩基部分(例えば、アミン、アルカリなど)をそれの塩形態に変換することによって修飾される、本開示の化合物の誘導体を指す。多くの場合、本開示の化合物は、アミノ基および/もしくはカルボキシル基またはそれと同様の基の存在により酸塩および/または塩基塩を形成することができる。そして、薬学的に許容される塩は、典型的に、生物学的にまたはその他の状況で有害ではない親化合物の生物学的有効性および特性を保持する酸塩および/または塩基塩である。本開示の化合物の適切な薬学的に許容される塩としては、例えば無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など)または有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、トリメシン酸、クエン酸、乳酸、フェニル酢酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナパジシル(napadisylic)酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、サリチル酸、スルホサリチル酸など)から誘導することができる酸付加塩が例えば挙げられる。一部の実施形態において、本開示の化合物の薬学的に許容される塩は、ギ酸塩である。一部の実施形態において、本開示の化合物の薬学的に許容される塩は、TFA塩である。
【0087】
本開示の化合物の適切な薬学的に許容される塩としては、例えば無機塩基(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、および周期表のI族からXII族からの金属、例えばカルシウム、マグネシウム、鉄、銀、亜鉛、銅などの水酸化物塩、カーボネート塩、ビカーボネート塩)または有機塩基(例えば、第1級、第2級および第3級アミン、自然置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂など)から誘導することができる塩基付加塩も例えば挙げられる。ある特定の有機アミンとしては、以下に限定されないがイソプロピルアミン、ベンザチン、コリネート、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、リジン、メグルミン、ピペラジンおよびトロメタミンが挙げられる。当技術者は、実施例に示されるもの以外の酸/塩基付加塩を形成するための酸または塩基を添
加することも可能であり得ることを認められよう。追加の適切な塩の列挙は、例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第20版、Mack Publishing Company、Easton、Pa.、(1985)に;ならびにStahlおよびWermuthによる「Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use」(Wiley-VCH、Weinheim、Germany、2002)に見出すことができる。
【0088】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容されるエステル」は、インビボで加水分解するエステルを指し、親化合物またはその塩を残すために人体中で容易に分解するものを含む。こうしたエステルは、本明細書において定義されている通りのプロドラッグとして作用することができる。エステルは、本明細書に記載されている化合物上のアミン側鎖、ヒドロキシル側鎖またはカルボキシル側鎖で形成することができる。例えば、開示されている化合物がアルコール官能基を含有するならば、エステルは、以下に限定されないが、カルボン酸基、リン酸基、ホスフィン酸基、スルフィン酸基、スルホン酸基およびボロン酸基などを含む酸性基とのアルコール基の水素原子の置き換えによって形成することができる。こうしたエステルを作製するための手順および特定の基は、当業者公知であり、GreeneおよびWuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、John Wiley&Sons、New York、N.Y.、1999などの参照リソースにおいて容易に見出すことができ、これらは参照によりそれ全体で本明細書に組み込まれる。
【0089】
本開示は、本開示の化合物の活性中間体、活性代謝物およびプロドラッグも含む。本明細書で使用される場合、「活性中間体」は、最終合成化合物と同じまたは基本的に同じ生物学的活性を呈する、合成プロセスにおける中間体化合物を指す。
【0090】
本明細書で使用される場合、「活性代謝物」は、特定された化合物と同じまたは基本的に同じ生物学的活性を呈する、動物または人体における代謝または生体内転換を介して生成される本開示の化合物またはそれの塩もしくはプロドラッグの分解または最終の生成物を指す。こうした代謝物は、例えば、投与される化合物または塩もしくはプロドラッグの酸化、還元、加水分解、アミド化、脱アミド、エステル化、脱エステル化、酵素的切断などに起因し得る。
【0091】
本明細書で使用される場合、「プロドラッグ」は、動物またはヒト対象に投与されると活性親薬物を放出する任意の化合物またはコンジュゲートを指す。プロドラッグは、親化合物に、ルーチン操作またはインビボのいずれかにて、修飾物が切断されるように、化合物中に存在する官能基を修飾することによって調製することができる。プロドラッグは、ヒドロキシル基、アミノ基、スルフヒドリル基またはカルボキシル基が、哺乳動物対象に投与されると切断することで、それぞれ遊離ヒドロキシル、アミノ、スルフヒドリルまたはカルボキシル基を形成する任意の基に結合されている化合物を含む。プロドラッグの例としては、以下に限定されないが、本開示の化合物におけるアルコールおよびアミン官能基のアセテート、ホルメートおよびベンゾエート誘導体が挙げられる。プロドラッグの調製および使用は、T.HiguchiおよびV.Stella、「Pro-Drugs as Novel Delivery Systems」、A.C.S.Symposium Seriesの14巻に、ならびにBioreversible Carriers in Drug Design、編集Edward B.Roche、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987に考察されており、これらの両方は、本明細書によって参照によりそれら全体で組み込まれる。
【0092】
別段に特定されていない限り、「野生型ErbB」は、ErbBの正常機能を行う、自然環境に存在する正常なErbBファミリーメンバーを指す。一態様において、本開示は、ErbBファミリーキナーゼ(例えば、EGFR、HER2、Her3および/またはHer4)の阻害性化合物を提供する。一部の実施形態において、本開示の化合物は、1種より多くのErbBファミリーキナーゼを阻害することができる。一部の他の実施形態において、本開示の化合物は、ErbB2(即ち、HER2)を選択的に阻害するが、他のErbBファミリーキナーゼ(例えば、EGFR)を阻害しない。
【0093】
一部の実施形態において、本開示の化合物は、ErbBファミリーキナーゼの野生型(WT)および突然変異形態の両方を阻害することができる。本明細書で使用される場合、「突然変異」という用語は、ErbBタンパク質への任意の突然変異を指し;「突然変異体」または「突然変異型」は、前記突然変異を含有するタンパク質を指す。ErbBの例証的な突然変異としては、以下に限定されないが、EGFRにおけるL858R、T790M、G719S、G719X、delE746-A750、A763_Y764insFQEA、V769_D770insASV、H773_V774insNPHなど、およびHER2におけるExon 20 insYVMAが挙げられる。一部の実施形態において、本開示の化合物は、野生型(WT)HER2およびHER2の突然変異形態(例えば、Exon 20 insYVMA)の両方を阻害することができる。
【0094】
一部の実施形態において、本開示の化合物は、0.1~200nM、好ましくは0.1~150nM、0.1~130nM、0.1~120nM、0.1~100nM、0.1~50nM、0.1~40nM、0.1~30nM、0.1~25nM、0.1~20nM、0.1~10nM、0.5~200nM、0.5~150nM、0.5~130nM、0.5~120nM、0.5~100nM、0.5~50nM、0.5~40nM、0.5~30nM、0.5~25nM、0.5~20nM、0.5~10nM、1~200nM、1~150nM、1~130nM、1~120nM、1~100nM、1~50nM、1~40nM、1~30nM、1~25nM、1~20nM、1~10nM、2~200nM、2~150nM、2~130nM、2~120nM、2~100nM、2~50nM、2~40nM、2~30nM、2~25nM、2~20nM、または2~10nM、より好ましくは0.1~150nM、0.1~130nM、1~150nM、1~130nM、2~130nMまたは2~150nMのIC50値で、WT HER2のリン酸化を阻害する。
【0095】
増殖阻害効果は、それの最大増殖阻害効果の50%が観察される化合物の濃度を指す「50%成長阻害濃度」(GI50)値によって表すことができる。GI50値は、当技術分野において公知の方法、例えば、MTS、カゼインおよび任意の他の方法によって測定することができる。一部の実施形態において、本開示の化合物は、MTSによって測定される場合に0.1~200nM、好ましくは0.1~150nM、0.1~130nM、0.1~120nM、0.1~100nM、0.1~50nM、0.1~40nM、0.1~30nM、0.1~20nM、0.1~10nM、1~200nM、1~150nM、1~130nM、1~120nM、1~100nM、1~50nM、1~40nM、1~30nM、1~20nM、1~10nM、2~200nM、2~150nM、2~130nM、2~120nM、2~100nM、2~50nM、2~40nM、2~30nM、2~25nM、2~20nM、または2~10nM、4~200nM、4~150nM、4~130nM、4~120nM、4~50nM、4~40nM、4~30nM、4~20nM、4~10nM、より好ましくは0.1~150nM、0.1~130nM、1~150nM、1~130nM、2~150nM、2~130nM、4~150nMまたは4~130nMのGI50値で、WT HER2および/または突然変異体HER2保有細胞の増殖を阻害する。
【0096】
本明細書で使用される場合、HER2を「選択的に阻害する」は、提供される化合物が、他の型のErbBキナーゼ(例えば、EGFR)と比較した場合に、WT HER2(および/またはHER2の突然変異形態)の阻害剤として少なくとも1000倍強力、少なくとも500倍、少なくとも200倍、少なくとも100倍、少なくとも50倍、少なくとも45倍、少なくとも40倍、少なくとも35倍、少なくとも30倍、少なくとも25倍、少なくとも20倍、少なくとも15倍、または少なくとも10倍強力であることを意味する。一部の実施形態において、HER2を「選択的に阻害する」は、提供される化合物が、他の型のErbBキナーゼ(例えば、EGFR)と比較した場合に、HER2(WTおよび/または突然変異形態)の阻害剤として、最大1500倍まで強力、最大1200倍まで、最大1000倍まで、最大800倍まで、最大600倍まで、最大400倍まで、最大200倍まで、最大100倍まで、最大50倍まで強力であることを意味する。
【0097】
一部の実施形態において、他の型のErbBキナーゼ(例えば、EGFR)を「阻害しない」という用語は、提供される化合物が、少なくとも500nΜのIC50で他の型のErbBキナーゼ(例えば、WT EGFR)を阻害することを意味する。一部の実施形態において、こうした化合物は、少なくとも10μΜ、少なくとも9μΜ、少なくとも8μΜ、少なくとも7μΜ、少なくとも6μΜ、少なくとも5μΜ、少なくとも3μΜ、少なくとも2μΜ、または少なくとも1μΜのIC50で、他の型のErbBキナーゼを阻害する。
【0098】
一部の実施形態において、WT-EGFRに対する該化合物のIC50および/またはGI50は、WT HER2に対する該化合物のIC50および/またはGI50よりも、少なくとも5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、好ましくは50倍、100倍、200倍、500倍または1000倍高い。
【0099】
該化合物または薬学的に許容されるその塩、エステル、水和物、溶媒和物もしくは立体異性体は、他の臨床的に利用可能なErbB阻害剤と比較した場合、ある特定の改善された特性、例えば、より高い血液脳関門BBB透過を呈し(したがって、それらを、中枢神経系(CNS)に転移している、特に脳転移および軟髄膜転移しているがんの処置に潜在的に有用にする);ある特定の型のErbB(例えば、HER2)に対してより良好な選択性を示しながら、前記のある特定の型のErbBのための現存の薬物と比較して同等のまたは改善された阻害活性を維持する。そのため、こうした化合物または薬学的に許容されるその塩、エステル、水和物、溶媒和物もしくは立体異性体は、これらのHER2が関係する疾患状態の処置において、例えば、がん、殊に、CNS(特に、脳および軟髄膜)転移を有するがんの処置において殊に有用であり得る。
合成方法
その塩、エステル、水和物もしくは溶媒和物または立体異性体を含む、本明細書において提供されている化合物の合成は、実施例において合成スキームに例示されている。本明細書において提供されている化合物は、任意の公知の有機合成技法を使用して調製することができ、多数の可能な合成経路のいずれかに従って合成することができ、したがって、これらのスキームは例示だけであり、本明細書において提供されている化合物を調製するために使用することができる他の可能な方法を限定すると意味されない。加えて、該スキームにおけるステップは、より良好な例示のためであり、適切に変化させることができる。実施例における化合物の実施形態は、研究調査および規制当局への潜在的提出の目的で合成した。
【0100】
本開示の化合物を調製するための反応は、有機合成の当業者によって容易に選択することができる適切な溶媒中で実施することができる。適切な溶媒は、反応が実施される温度、例えば、溶媒の凍結温度から溶媒の沸騰温度を範囲とすることができる温度で、出発材
料(反応物)、中間体または生成物と実質的に非反応性であり得る。所与の反応は、1種の溶媒または1種より多くの溶媒の混合物中で実施することができる。特別な反応ステップに依存して、特別な反応ステップのための適切な溶媒は、当業者によって選択することができる。
【0101】
本開示の化合物の調製は、様々な化学基の保護および脱保護を伴うことができる。保護および脱保護の必要ならびに適切な保護基の選択は、当業者によって容易に決定することができる。保護基の化学は、例えば、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版.、Wiley&Sons、Inc.、New York(1999)において見出すことができ、これは参照によりそれ全体で本明細書に組み込まれる。
【0102】
反応は、当技術分野において公知の任意の適切な方法に従ってモニタリングすることができる。例えば、生成物形成は、分光学的な手段、例えば核磁気共鳴分光法(例えば、Hまたは13C)、赤外分光法、分光光度法(例えば、UV-可視)、質量分光分析法によって、またはクロマトグラフィー法、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、液体クロマトグラフィー-質量分析(LCMS)または薄層クロマトグラフィー(TLC)によってモニタリングすることができる。化合物は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(参照によりそれ全体で本明細書に組み込まれる「Preparative LC-MS Purification:Improved Compound Specific Method Optimization」Karl F.Blom、Brian Glass、Richard Sparks、Andrew P.Combs J.Combi.Chem.2004、6(6)、874~883)および順相シリカクロマトグラフィーを含む様々な方法により、当業者によって精製することができる。
【0103】
本明細書で使用される通りの略語は、以下の通りに定義されている:「1×」または「×1」は1倍、「2×」または「×2」は2倍、「3×」または「×3」は3倍、「4×」または「×4」は4倍、「5×」または「×5」は5倍、「℃」は摂氏温度、「eq」または「eq.」は当量(単数または複数)、「g」はグラム(単数または複数)、「mg」はミリグラム(単数または複数)、「L」はリットル(単数または複数)、「mL」または「ml」はミリリットル(単数または複数)、「μL」はマイクロリットル(単数または複数)、「Nor」は正常、「m」はモル、「mmol」はミリモル(単数または複数)、「min」は分(単数または複数)、「h」または「hr」は時間(単数または複数)、「r.t.」または「rt」は室温、「atm」は雰囲気、「psi」はポンド毎平方インチ、「conc.」は濃、「sat」または「sat’d」は飽和、「MS」または「Mass Spec」は質量分光分析法、「ESI」はエレクトロスプレーイオン化法質量分析、「LCMS」は液体クロマトグラフィー質量分光分析法、「HPLC」は高圧液体クロマトグラフィー、「RP」は逆相、「TLC」または「tlc」は薄層クロマトグラフィー、「SM」は出発材料、「NMR」は核磁気共鳴分光法、「H」はプロトン、「δ」はデルタ、「S」はシングレット、「d」はダブレット、「t」はトリプレット、「q」はカルテット、「m」はマルチプレット、「br」はブロード、および「Hz」はヘルツ。「α」、「β」、「R」、「S」、「E」および「Z」は、当業者に精通した立体化学的な名称である。
【0104】
本明細書において提供されている化合物の合成において使用される化学物質についての略語は、下記に列挙されている:
【0105】
【表2-1】
【0106】
【表2-2】
【0107】
【表2-3】
【0108】
医薬組成物
本開示は、本開示の少なくとも1種の化合物を含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態において、医薬組成物は、本開示の1種より多くの化合物を含む。一部の実施形態において、医薬組成物は、本開示の1種または複数の化合物、および薬学的に許容される担体を含む。
【0109】
薬学的に許容される担体は、医薬技術において周知の方式で調製することができる当技術分野における従来の医薬用担体である。一部の実施形態において、本開示の化合物は、医薬組成物の調製のための薬学的に許容される担体と添加混合することができる。
【0110】
「薬学的に許容される担体」という用語は、本明細書で使用される場合、薬学的に許容される材料、組成物またはビヒクル、例えば、本明細書において提供されている化合物を運ぶまたは1つの位置、体液、組織、器官(内部または外部)もしくは体の一部から別の位置、体液、組織、器官もしくは体の一部に輸送するのに関与する、液体もしくは固体の充填剤、希釈液、賦形剤、溶媒もしくはカプセル化材料を指す。薬学的に許容される担体は、ビヒクル、希釈剤、賦形剤、または過度の毒性または有害作用なく動物の組織に接触するために使用することができる他の材料であってよい。例証的な薬学的に許容される担
体としては、糖、デンプン、セルロース、麦芽、トラガカント、ゼラチン、リンゲル溶液、アルギン酸、等張生理食塩水、緩衝剤などが挙げられる。本開示において用いることができる薬学的に許容される担体としては、当技術分野において一般に公知のもの、例えば、参照により本明細書に組み込まれる「Remington Pharmaceutical Sciences」Mack Pub.Co.、New Jersey(1991)に開示されているものが挙げられる。
【0111】
薬学的に許容される担体として働くことができる材料の一部の例としては、以下が挙げられる:(1)糖、例えばラクトース、グルコースおよびスクロース;(2)デンプン、例えばコーンスターチおよびバレイショデンプン;(3)セルロースおよびその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;(4)粉末化トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)賦形剤、例えばカカオ脂および坐剤ワックス;(9)油、例えば落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油および大豆油;(10)グリコール、例えばプロピレングリコール;(11)ポリオール、例えばグリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール;(12)エステル、例えばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝剤、例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)ピロゲンフリー水;(17)等張生理食塩水;(18)リンゲル液;(19)アルコール、例えばエチルアルコールおよびプロパンアルコール;(20)リン酸緩衝溶液;ならびに(21)医薬製剤中に用いられる他の非毒性の適合性ある物質、例えばアセトン。
【0112】
該医薬組成物は、pH調整剤および緩衝剤、毒性調整剤など、生理学的条件に近似するのに必要とされる場合の薬学的に許容される補助物質、例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなどを含有することができる。
【0113】
該医薬組成物の形態は、以下に限定されないが、投与の経路、疾患の程度、または投与されるべき用量を含む、多数の基準に依存する。
該医薬組成物は、経口、経鼻、直腸、経皮、静脈内または筋肉内の投与のために製剤化することができる。所望の投与経路に応じて、医薬組成物は、錠剤、カプセル、丸剤、糖衣錠、粉末、顆粒、サッシェ、カシェ、ロゼンジ、懸濁液、エマルジョン、溶液、シロップ、エアロゾル(固体としてまたは液体媒体中で)、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、パッチ、吸入薬または坐剤の形態で製剤化することができる。
【0114】
該医薬組成物は、当技術分野において公知の手順を用いることによって、患者への投与の後の活性成分の迅速放出、徐放または遅延放出を提供するために製剤化することができる。一部の実施形態において、医薬組成物は、徐放形態で製剤化される。本明細書で使用される場合、「徐放形態」という用語は、長時間かけて(拡張放出)、またはある特定の位置で(制御放出)、対象における、主に対象の胃腸管における生体吸収に利用可能になるような医薬組成物からの活性薬剤の放出を指す。一部の実施形態において、長時間とは、約1時間から24時間、2時間から12時間、3時間から8時間、4時間から6時間、1日から2日またはそれ以上であり得る。ある特定の実施形態において、長時間とは、少なくとも約4時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、または少なくとも約24時間である。医薬組成物は、錠剤の形態で製剤化することができる。例えば、活性薬剤の放出速度は、胃腸液における活性薬剤の溶解、およびpHに非依存性の錠剤または丸剤からの後続の拡散によって制御することができるだけでなく、錠剤の崩解および浸食の物理的プロセスによって影響を及ぼされることもある。一部の実施形態において、「Medical Applications of Controlled Release」、LangerおよびWise(編集)、CRC Pres.、Boca Raton、
Florida(1974);「Controlled Drug Bioavailability」、Drug Product Design and Performance、SmolenおよびBall(編集)、Wiley、New York(1984);RangerおよびPeppas、1983、J Macromol.Sci.Rev.Macromol Chem.23:61;以下も参照、Levyら、1985、Science 228:190;Duringら、1989、Ann.Neurol.25:351;Howardら、1989、J.Neurosurg.71:105に開示されている通りの高分子材料は、徐放のために使用することができる。上記の参照は、それら全体で参照により本明細書に組み込まれる。
【0115】
ある特定の実施形態において、医薬組成物は、約0.0001mgから約5000mgの本開示の化合物(例えば、約0.0001mgから約10mg、約0.001mgから約10mg、約0.01mgから約10mg、約0.1mgから約10mg、約1mgから約10mg、約5mgから約10mg、約5mgから約20mg、約5mgから約30mg、約5mgから約40mg、約5mgから約50mg、約10mgから約100mg、約20mgから約100mg、約30mgから約100mg、約40mgから約100mg、約50mgから約100mg、約50mgから約200mg、約50mgから約300mg、約50mgから約400mg、約50mgから約500mg、約100mgから約200mg、約100mgから約300mg、約100mgから約400mg、約100mgから約500mg、約200mgから約500mg、約300mgから約500mg、約400mgから約500mg、約500mgから約1000mg、約600mgから約1000mg、約700mgから約1000mg、約800mgから約1000mg、約900mgから約1000mg、約1000mgから約2000mg、約2000mgから約3000mg、約3000mgから約4000mg、または約4000mgから約5000mg)を含む。対象につき1日当たりの適切な投与量は、約5mgから約500mg、好ましくは約5mgから約50mg、約50mgから約100mg、または約50mgから約500mgであってよい。
【0116】
ある特定の実施形態において、医薬組成物は、単位剤形で製剤化することができ、各投与量は、約0.0001mgから約10mg、約0.001mgから約10mg、約0.01mgから約10mg、約0.1mgから約10mg、約1mgから約10mg、約5mgから約10mg、約5mgから約20mg、約5mgから約30mg、約5mgから約40mg、約5mgから約50mg、約10mgから約100mg、約20mgから約100mg、約30mgから約100mg、約40mgから約100mg、約50mgから約100mg、約50mgから約200mg、約50mgから約300mg、約50mgから約400mg、約50mgから約500mg、約100mgから約200mg、約100mgから約300mg、約100mgから約400mg、約100mgから約500mg、約200mgから約500mg、約300mgから約500mg、約400mgから約500mg、約500mgから約1000mg、約600mgから約1000mg、約700mgから約1000mg、約800mgから約1000mg、約900mgから約1000mg、約1000mgから約2000mg、約2000mgから約3000mg、約3000mgから約4000mg、または約4000mgから約5000mgの本開示の化合物を含有する。
【0117】
「単位剤形」という用語は、ヒト対象および他の哺乳動物のための単位投与量として適切な物理的に個別の単位を指し、各単位は、適切な医薬担体と併せて、所望の治療効果を生成するために算出された活性材料の所定の定量を含有する。一部の実施形態において、医薬組成物は、本開示の1種または複数の化合物を第1の活性成分として含み、第2の活性成分をさらに含む。第2の活性成分は、当技術分野において公知の任意の抗がん剤、例えば、化学療法薬、細胞シグナル伝達阻害剤、細胞シグナル伝達阻害剤、アルキル化試薬
、トポイソメラーゼ阻害剤、免疫療法薬剤、有糸分裂阻害剤、抗ホルモン剤、化学療法薬、EGFR阻害剤、CTLA-4阻害剤、MEK阻害剤、PD-L1阻害剤;OX40アゴニストなどであってよい。がんまたは腫瘍を処置するための抗がん剤の代表例としては、以下に限定されないが、トラスツズマブ、トラスツズマブエムタンシン、ペルツズマブ、ONT380、ネラチニブ、ラパチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、ダサチニブ、ボリノスタット、テムシロリムス、エバロリムス、パゾパニブ、トラスツズマブ、アド-トラスツズマブエムタンシン、ペルツズマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、ラニビズマブ、ペガプタニブ、パニツムマブ、トレメリムマブ、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、イピリムマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、クリゾチニブ、ルキソリチニブ、カペシタビン、ドセタキセル、ビノレルビン、パクリタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、シスプラチン、カルボプラチン、ゲムシタビン、タモキシフェン、ラロキシフェン、シクロホスファミド、クロラムブシル(chromabucil)、カルムスチン、メトトレキセート、フルオロウラシル、アクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、アントラサイクリン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、イリノテカン、トポテカン、テニポシドインターロイキン、インターフェロンなどを挙げることができる。一部の実施形態において、第2の活性薬剤は、化学療法薬(カペシタビン、ドセタキセル、ビノレルビン)の1種もしくは複数、またはHER2標的化抗体(トラスツズマブ、トラスツズマブエムタンシン、ペルツズマブ)である。
処置のための方法
本開示は、1種または複数の化合物、薬学的に許容されるその塩、エステル、水和物、溶媒和物もしくは立体異性体、または本開示の医薬組成物の治療有効量を対象に投与することを含む、ErbB(例えば、HER2を含む)と関連する疾患を処置する方法を提供する。
【0118】
本明細書で使用される場合、「ErbBと関連する疾患」という用語は、発生もしくは発症または両方が、ErbBのゲノム変化、発現、過剰発現または活性と関連する疾患を指す。例としては、以下に限定されないが、免疫関連疾患、増殖性障害、がん、および他の疾患が挙げられる。
【0119】
本明細書で使用される場合、「HER2と関連する疾患」という用語は、発生もしくは発症または両方が、各場合によって、HER2のゲノム変化、発現、過剰発現または活性と関連する疾患または障害を指す。例としては、以下に限定されないが、免疫関連疾患、増殖性障害、がん、および他の疾患が挙げられる。
【0120】
一部の実施形態において、ErbBと関連する疾患は、がん、好ましくはErbB発現がん、またはErbB過剰発現がんである。「ErbB発現がん」は、細胞表面に存在するHER2などのErbBタンパク質を有するがん細胞または腫瘍細胞に関与するものである。「ErbB過剰発現がん」は、同じ組織型の非がん細胞と比較して、がんまたは腫瘍細胞の細胞表面で、著しく高いレベルのErbBタンパク質、例えばHER2を有するものである。こうした過剰発現は、遺伝子増幅によってまたは転写もしくは翻訳の増加によって引き起こされ得る。ErbB受容体発現または過剰発現は、細胞の表面上に存在するErbBタンパク質のレベルの増加を評価することによって、診断または予後のアッセイにおいて決定することができる(例えば、免疫組織化学アッセイ;IHCを介する)。あるいは、または加えて、細胞におけるErbBコード化核酸のレベルを、例えば蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH;1998年10月に発行されたWO98/45479を参照されたい)、サザンブロッティング、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技法、例えばリアルタイム定量的PCR(RT-PCR)を介して測定することができる。(Methods 132:73~80(1990))。上記アッセイの他に、様々なインビボアッセイが当業者に利用可能である。患者の体内の細胞を、例えば、検出可能な標識、例えば放射性同位元素で任意選択により標識化された抗体に曝露すること
ができ、患者における細胞への抗体の結合は、例えば、放射活性について外部スキャンすることによって、または抗体に予め曝露された患者から採取された生検を分析することによって評価することができる。
【0121】
特に、がんとしては、以下に限定されないが、白血病、神経膠芽腫、黒色腫、軟骨肉腫、胆管腺癌腫、骨肉腫、リンパ腫、肺がん、腺腫、骨髄腫、肝細胞癌腫、副腎皮質癌腫、膵臓がん、乳がん、膀胱がん、前立腺がん、肝臓がん、胃がん、結腸がん、結腸直腸がん、卵巣がん、子宮頸がん、脳がん、食道がん、骨がん、精巣がん、皮膚がん、腎臓がん、中皮腫、神経芽細胞腫、甲状腺がん、頭頸部がん、食道がん、眼がん、前立腺がん、上咽頭がんまたは口腔がんが挙げられる。一部の実施形態において、がんは、肺がん、乳がん、卵巣がん、膀胱がんまたは神経膠芽腫である。一部の実施形態において、がんは、乳がん、胃がん、結腸直腸がん、膵臓がん、前立腺がん、膀胱がん、卵巣がんまたは肺がん(例えば、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、腺癌腫、扁平細胞肺がんおよび大細胞肺がん)である。一部の実施形態において、ErbB(例えば、HER2)と関連する疾患は、中枢神経系(CNS)に転移したがん、特に、脳および軟髄膜(leptomengingeal)転移を有するがんである。
【0122】
本明細書で使用される場合、「処置」および「処置する」という用語は、本明細書に記載されている通りの疾患もしくは障害またはその1つもしくは複数の症状の発生を逆戻りさせること、軽減すること、遅延させること、またはその進行を阻害することを指す。一部の実施形態において、処置は、1つまたは複数の症状が発症した後に行うことができる。他の実施形態において、処置は、症状の非存在で行うことができる。例えば、処置は、症状の発生の前に(例えば、症状の履歴に照らしておよび/または遺伝子もしくは他の感受性因子に照らして)感受性個体に行うことができる。処置は、症状が消散した後に、例えばそれらの再発を表すまたは遅延させるために続けることもできる。
【0123】
本明細書において提供されている通りの化合物の治療有効量は、例えば、体重、年齢、既往歴、現在の薬物療法、対象の健康の状態、および交差反応、アレルギー、感受性および有害な副作用に対する潜在性、ならびに投与経路および疾患の発症程度など、当技術分野において公知の様々な因子に依存する。投与量は、これらのおよび他の状況または要件によって示されている通り、当業者(例えば、医師または獣医)によって比例的に低減または増加することができる。
【0124】
本明細書で使用される場合、「対象」および「個体」という用語は、相互交換可能に使用され、ヒトまたは任意の非ヒト動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマまたは霊長類)を含む温血動物を指す。ヒトは、出生の前および後の形態を含む。一部の実施形態において、対象はヒトである。対象は、ErbB(好ましくはHER2)と関連する疾患で苦しむことが疑われる対象であるが、疾患の症状を呈示し得るまたは呈示し得ない。
【0125】
一部の実施形態において、本明細書において提供されている1種もしくは複数の化合物、薬学的に許容されるその塩、エステル、水和物、溶媒和物もしくは立体異性体、または医薬組成物は、非経口経路または非経口ではない経路を介して投与される。一部の実施形態において、1種または複数の化合物、薬学的に許容されるその塩、水和物、溶媒和物もしくは立体異性体、または医薬組成物は、経口、経腸、頬側、経鼻、鼻腔内、経粘膜、表皮、経皮、真皮下、眼、肺、舌下、直腸、経膣、局所、皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、角皮下、関節内、嚢下、クモ膜下、髄腔内または胸骨内に投与される。
【0126】
本明細書において提供されている化合物は、純粋な形態で、他の活性成分との組合せで
、または本開示の医薬組成物の形態で投与することができる。一部の実施形態において、本明細書において提供されている化合物は、当技術分野において公知の1種または複数の抗がん剤(単数または複数)との組合せで同時にまたは逐次に、必要とする対象に投与することができる。一部の実施形態において、投与は、1日1回、1日2回、1日3回、または2日毎に1回、3日毎に1回、4日毎に1回、5日毎に1回、6日毎に1回、週1回行われる。
【0127】
一部の実施形態において、本明細書において提供されている1種もしくは複数の化合物、薬学的に許容されるその塩、エステル、水和物、溶媒和物もしくは立体異性体、または医薬組成物は、経口的に投与される。経口投与のため、所望の目標を達成する任意の用量が適切である。一部の実施形態において、適切な1日投与量は、約0.001~5000mgの間、好ましくは0.1mgから5gの間、より好ましくは5mgから1gの間、より好ましくは10mgから500mgの間であり、投与は、1日1回、1日2回、1日3回、毎日、または週3~5日行われる。一部の実施形態において、本明細書において提供されている1種もしくは複数の化合物、薬学的に許容されるその塩、エステル、水和物、溶媒和物もしくは立体異性体、または医薬組成物の用量は、1日当たり約0.0001mg、好ましくは0.001mg、0.01mg、0.1mg、1mg、10mg、50mg、100mg、200mg、250mg、500mg、750mg、1000mg、2000mg、3000mg、4000mgまたは最大約5000mgまでの間を範囲とする。
【0128】
一部の実施形態において、本明細書において提供されている1種もしくは複数の化合物、薬学的に許容されるその塩、エステル、水和物、溶媒和物もしくは立体異性体、または医薬組成物は、対象に投与された後に、対象の血液脳関門(BBB)を横切ることができる。
化合物の使用
ある特定の実施形態において、本開示は、ErbB(例えば、HER2)と関連する疾患を処置するための医薬の製造における、本開示の化合物、薬学的に許容されるその塩、エステル、水和物、溶媒和物もしくは立体異性体、または医薬組成物の使用を提供する。
【0129】
本開示における化合物およびその医薬組成物は、ErbB(発現または活性)を阻害する際に、殊にインビボおよびインビトロの両方でHER2(発現または活性)を阻害する際に使用することができる。一部の実施形態において、本開示における化合物およびその医薬組成物は、ErbB(発現または活性)を阻害する際に、殊に非診断、非処置方法(例えば、研究調査目的のため)においてHER2(発現または活性)を阻害する際に使用することができる。
【0130】
本開示における化合物およびその医薬組成物は、温血動物における、殊にヒトにおける、ErbB(例えば、HER2)と関連する疾患のいずれもの発生または発症の防止または処置において使用することができる。
【0131】
こうした状況において、本開示は、単独でまたは他の成分(例えば、第2の活性成分、例えば抗がん剤)と組み合わされた本開示の化合物または医薬組成物を用いる処置に適切な患者をスクリーニングする方法も提供する。該方法は、患者からの腫瘍試料を配列決定すること、および患者におけるErbB(例えば、HER2)の蓄積を検出することを含む。
【実施例0132】
以下に、本開示の一般的な方法をさらに説明する。本開示の化合物は、当技術分野で公知の方法により調製され得る。以下に、本開示の好ましい化合物の詳細な調製方法を例示
する。しかし、それらは、本開示の化合物の調製方法を決して限定するものではない。
合成実施例
以下の実施例における化合物の構造は、核磁気共鳴(NMR)または/および質量分析(MS)により特性決定した。NMRシフト(δ)は、10-6(ppm)単位で示した。H-NMRスペクトルは、ICON-NMR(TopSpinプログラム制御下)を使用するBruker AVANCE NMR(400MHz)分光計、または内部標準としてテトラメチルシランを用いるVarian 400MR NMRもしくはVarian VNMR400 NMR(400MHz)分光計(VnmrJプログラム制御下)上にて、ジメチルスルホキシド-d(DMSO-d)またはCDClまたはCDODまたはDO(AldrichまたはCambridge Isotope Lab.,Inc.からの)中で記録した。
【0133】
MS測定は、一連の機器からエレクトロスプレー、化学および電子衝撃イオン化法を使用する、Shimadzu 2010質量分析計またはAgilent 6110A MSDもしくは1969A TOF質量分析計を使用して行った。
【0134】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)測定は、Ultimate XB-C18カラム(3.0×50mm、3umまたは3.0×150mm、3um)、またはXbridge shieldRP18カラム(5um、50mm×2.1mm)、またはXtimate C18カラム(3um、2.1×30mm)、またはMERCK RP18 2.5-2mm、またはAgilent Zorbax Eclipse Plus C18カラム(4.6mm×150mm、5μm)などを使用して、Shimadzu LC-20AシステムもしくはShimadzu LC-2010HTシリーズ、またはAgilent 1200 LCもしくはAgilent 1100シリーズ上で行った。
【0135】
薄層クロマトグラフィーは、Yantai Huanghai HSGF254シリカゲルまたはAnhui Liang Chen Gui Yuanプレートを使用して行った。薄層クロマトグラフィー(TLC)に使用するシリカゲルプレートは、0.15mm~0.2mmとした。生成物をTLCにより分離および精製するために使用するシリカゲルプレートは、0.4mm~0.5mmとした。
【0136】
精製されるクロマトグラフィーカラムは、Teledyne ISCOコンビフラッシュまたはBiotageフラッシュシステムにおいて、担体としてのシリカゲル(100~200、200~300または300~400メッシュ、Yantai Huanghai co.、またはAnhui Liang Chen Gui Yuan co.製など)、またはフラッシュカラム(シリカ-CSフラッシュカラム40~60um、または逆相C18カラム20~35um、Agela Technologies製など)、またはAgela Technologiesによるフラッシュカラムシリカ-CS(40~60um)もしくはC18カラム(20~40um)を使用する。カラムのサイズは化合物の量に応じて調整した。
【0137】
本開示の公知の出発物質は、当技術分野における公知の方法を使用することにより、もしくはこれらに従って合成することができ、またはAlfa Aesar、Langcaster、TCI、Aldrich、Bepharm、およびScochem(もしくはPharmaBlock、Bide、Amatek、Stru Chem、Firster Pharmaceutical、Titan(Adamas)など)から購入することができる。
【0138】
別段の指定がない限り、実施例における反応はすべて、アルゴンまたは窒素雰囲気下で行った。アルゴンまたは窒素雰囲気は、反応フラスコが、約1Lの体積を有するアルゴン
または窒素バルーン(ballon)に接続されることを指す。水素化は、通常、加圧下で行った。別段の指定がない限り、実施例における反応温度は、20℃~30℃である周囲温度とした。
【0139】
実施例における反応の進行は、TLCによりモニターした。反応に使用される溶離液系には、ジクロロメタン-メタノール系および石油エーテル-酢酸エチル系が含まれる。溶媒の体積比は化合物の異なる極性に応じて調整した。
【0140】
化合物を精製するために使用されるカラムクロマトグラフィーの溶出系、およびTLCの溶離液系には、ジクロロメタン-メタノール系および石油エーテル-酢酸エチル系が含まれる。溶媒の体積比は化合物の異なる極性に応じて調整した。少量のアルカリ性または酸性の試薬(0.1%~1%)、例えばギ酸、または酢酸、またはTFA、またはアンモニアを、調整のために添加することができる。
【0141】
実施例1
N-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-5-((3,3-ジフルオロ-1-メチルピペリジン-4-イル)オキシ)キナゾリン-4-アミン
【0142】
【化13】
【0143】
化合物1bの調製のための手順:
エタノール(150mL)中の4-メトキシ-ピリジン-2-イルアミン(5.0g、40.3mmol)の溶液に、ジメトキシメチル-ジメチル-アミン(4.8g、40.3mmol)を添加した。次いで、混合物を10時間還流撹拌した。混合物を濃縮して、粗生成物(7.8g)を得、これを精製せずに次のステップで直接使用した。LCMS:0-60AB_220&254lcmクロマトグラフィー(Xtimate C18、2.1×30mm、3um)においてRt=0.898分、MS(ESI)m/z=179.9[M+H]。
化合物1cの調製のための手順:
メタノール中の1b(7.8gの粗製物)の溶液に、ヒドロキシルアミン-o-スルホン酸(5.42g、47.9mmol)、ピリジン(7g、88.5mmol)を添加し、新たに得られた溶液を10時間還流撹拌した。溶液を濃縮し、残留物をシリカゲル(CHCl:MeOH、100:1~50:1)により精製して、生成物1c(4.0g
、収率61.5%)を白色固体として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 8.76 (d, J =
7.6 Hz, 1H), 8.32 (s, 1H), 7.22 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 6.84 (dd, J = 7.6 Hz, 1H),
3.89 (s, 3H).
化合物1dの調製のための手順:
フラスコ内の化合物1c(900mg、6.03mmol)およびピリジン塩酸塩(6g、51.9mmol)の混合物を、160℃で4時間撹拌した。混合物を25℃まで冷却し、溶液を水酸化ナトリウム溶液(1M)により中和して、pHを5~7に調整した。得られた混合物を濾過して、生成物を白色固体として得た。濾液をEtOAc(200mL×5)で抽出し、有機相を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、生成物を白色固体(700mg、収率85.9%)として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6)
δ 10.87 (s, 1H), 8.70 (dd, J = 7.4 Hz, 1H), 8.24 (s, 1H), 6.89 (dd, J = 2.8 Hz, 1H), 6.75-72 (m, 1H).
化合物1eの調製のための手順:
DMF(10mL)中の1d(1.0g、7.4mmol)および1-フルオロ-2-メチル-4-ニトロベンゼン(1.4g、8.9mmol)の撹拌溶液に、CsCO(4.8g、14.8mmol)を添加し、混合物を100℃に2時間加熱した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残留物をEtOAc(50mL)に溶解した。溶液を水およびブラインで洗浄した。有機層を濃縮し、残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中5%~20%酢酸エチルで溶出)により精製して、化合物1e(1.5g、収率75.0%)を白色固体として得た。
化合物1fの調製のための手順:
メタノール(15mL)中の1e(1.5g、5.6mmol)および10%Pd/C(150mg)の溶液を、水素雰囲気(275.79kPa(40psi))下、45℃で3時間加熱した。熱溶液をセライトに通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、化合物1f(1.2g、粗製)を淡灰色固体として得、これを次のステップで直接使用した。
化合物1gの調製のための手順:
【0144】
【化14】
【0145】
濃HSO(700mL)中の化合物1g1(100g、734.5mmol)の撹拌溶液を、65℃で3時間撹拌した。次いで、混合物を氷に注ぎ入れ、20%NaOH水溶液によりpH=9に調整した。混合物をEtOAc(1000mL×3)で抽出し、有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、次いで真空中で濃縮して、化合物1g2(100g、収率88%)を黄色固体として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 7.52 (d, J = 12.4 Hz, 2H), 7.10-7.04 (m, 1H), 6.50 (d, J = 8.0 Hz , 2H), 6.33-6.28 (m, 1H), 6.16 (s, 2H).CH(OEt)(300mL)中の化合物1g2(
30g、19.5mmol)の溶液を、140℃で72時間撹拌した。次いで、得られた混合物を濃縮して、粗残留物を得、これを酢酸エチル/PE=1:2(v/v)から再結晶して、化合物1g3(28g、収率:87.8%)を白色固体として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 12.28 (s, 1H), 8.08 (s, 1H), 7.81-7.75 (m, 1H), 7.48 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.29-7.24 (m, 1H).SOCl(400mL)および無水DMF(5mL)中の化合物1g3(20g、12.2mmol)の溶液を、24時間還流撹拌した。次いで、混合物を濃縮して、化合物1g(24g、収率:99%)を黄色固体として得、これをさらに精製することなく次のステップに使用した。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 9.23 (
s, 1H), 8.49 (d, J = 8.4, 1H), 8.15-8.21 (m, 1H), 7.62-7.66 (m, 1H).
化合物1hの調製のための手順:
無水CHCN(30mL)中の化合物1g(3g、6.48mmol)および化合物1f(3.95g、16.48mmol)の混合物を、2時間還流撹拌した。固体を混合物から沈殿させた。混合物を室温(25~30℃)まで冷却し、混合物を濾過して、所望の化合物1h(5g、収率78.1%)を黄色固体として得た。LCMS:0-60AB_4分クロマトグラフィー(Welch Xtimate C18、2.1×30mm、3um)においてR=2.144分、MS(ESI)m/z=387.0[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 9.13-9.10 (m, 2H), 8.84 (s, 1H), 8.20-8.15 (m, 1H), 7.78-7.77 (m, 2H), 7.73-7.68 (m, 2H), 7.50 (dd, J1= 2.4 Hz, J2 = 7.6 Hz,
1H), 7.40 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.26 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 2.32 (s, 3H).
化合物1iの調製のための手順:
【0146】
【化15】
【0147】
氷塩冷浴中の化合物1i1(130g、0.948mol)の溶液に、98%HCOOH(200mL、4.47mol)を添加した。得られた混合物を25℃まで加温し、40%HCHO(137mL、1.896mol)を添加した。40℃まで加熱する間に、多量のガスが放出された。完了後、溶液を、濃NaOHを添加することによりpH=9~10に調整し、EtOAc(1.5L×3)で抽出し、水およびブライン(1.6L)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濃縮して、化合物1i(116.8g、粗製)を白色固体として得た。
化合物1および化合物1’の化合物の調製のための手順:
DMF(2mL)中の化合物1h(100mg、0.259mmol)、化合物1i(118mg、0.778mmol)、t-BuOK(146mg、1.3mmol)の溶液を、100℃で16時間撹拌した。混合物を逆相分取HPLC(カラム:Sunfire C8 30×100mm×5um、勾配:0~20%B(A=47ater/0.05%HCl、B=アセトニトリル)、流速:30mL/分)により精製して、1jを得、これをSFC分離により分離して、エナンチオマーである化合物1’(28.6mg)および化合物1(26.0mg)を得た。
【0148】
化合物1:LCMS:0-60AB_4分クロマトグラフィー(Welch Xtimate C18、2.1×30mm、3um)においてR=1.931分、MS(ESI)m/z=518.4[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 8.74 (d, J
= 7.6 Hz, 1H), 8.53 (s, 1H), 8.28 (s, 1H), 7.85 (m, 2H), 7.78 (t, J = 8.4 Hz, 1H), 7.45 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.32 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.18 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.07 (dd, J1= 2.4 Hz, J2 = 8.4 Hz, 1H), 6.81 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 5.17-5.08 (m, 1H), 3.27 (m, 1H), 2.98-2.95 (m, 1H), 2.68-2.58 (m, 1H), 2.48-2.41 (m, 2H), 2.41 (s, 3H), 2.12 (s, 3H), 2.10-2.03 (m, 1H).
実施例2
N-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-5-(((1R,3r,5S)-8-(2,2-ジフルオロエチル)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)オキシ)キナゾリン-4-アミン
【0149】
【化16】
【0150】
化合物2の調製のための手順:
THF(3mL)およびDMF(3mL)中の化合物1h(100mg、0.26mmol)の溶液に、化合物2a(99mg、0.52mmol)、t-BuOK(88mg、0.78mmol)を添加した。添加後、混合物を90℃で5日間撹拌した。混合物を濾過し、濃縮し、HPLC(カラム:ASB 150×25mm×5um、勾配:5~30%B(HCl、B=アセトニトリル)、流速:30mL/分)により精製して、化合物2(10mg、6.9%)を得た。
【0151】
化合物2:LCMS:10-80AB_4分クロマトグラフィー(Xtimate C18、2.1×30mm、3um)においてR=1.865分、MS(ESI)m/z=558.1[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 9.07 (d, J = 7.6 Hz,
1 H), 9.01 (d, J = 6.4 Hz, 1 H), 8.79 (s, 1 H), 8.09 (t, J = 8.4 Hz, 1 H), 7.87
(s, 1 H), 7.76-7.69 (m, 1 H), 7.51-7.40 (m, 3 H), 7.37 (d, J = 8.0 Hz, 1 H), 7.19 (s, 1 H), 6.55 (tt, J1 = 53.6 Hz, J2 = 3.2 Hz, 1 H), 5.29 (s, 1 H), 4.25 (s, 2 H), 3.73-3.60 (m, 2 H), 2.90-2.86 (m, 2H), 2.70-2.67 (m, 2 H), 2.41 (s, 2 H), 2.32-2.28 (m, 5 H).
実施例3
N-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-5-(((3R,4S)-3-フルオロ-1-メチルピペリジン-4-イル)オキシ)-6-メトキシキナゾリン-4-アミン
【0152】
【化17】
【0153】
化合物3bの調製のための手順:
DMF(50mL)中の化合物3a(5.0g、26.44mmol)の溶液に、NaCN(1.43g、29.08mmol)を添加した。反応混合物を20℃で12時間撹拌した。混合物を濃縮して、残留物を得た。残留物をEtOAc(80mL)に溶解し、水(20mL×2)および飽和ブライン(20mL×2)で洗浄した。有機層をNa
で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、粗生成物を得、これをフラッシュシリカクロマトグラフィー(PE/EtOAc=20:1~5:1(v/v))により精製し、濃縮して、化合物3b(2.5g、収率48.1%)を黄色固体として得た。LCMS:10-80AB_2.0分_Eクロマトグラフィー(Merck RP-18e 25-2mm、SN:UM9504/198)においてR=0.845分、MS(ESI)m/z=197.1[M+H]
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 8.22 (br d, J=8.80 Hz, 1 H), 7.24 - 7.33 (m, 1 H), 4.09 (s, 3 H).
化合物3cの調製のための手順:
0℃のAcOH(25mL)および水(0.3mL)中の化合物3b(2.3g、11.73mmol)の溶液に、Fe(3.27g、58.63mmol)を添加した。得られた混合物を20℃で16時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、残留物を得た。残留物を酢酸エチル(50mL)に溶解し、飽和NaHCOでpH=8~9に調整した。有機相を水(20mL)、ブライン(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、化合物3c(2g、粗製)を黄色固体として得た。LCMS:10-80AB_2分_Eクロマトグラフィー(Merck RP-18e 25-2mm、SN:UM9504/198)においてR=0.689分、MS(ESI)m/z=167.1[M+H]1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.06 (t, J=9.00 Hz, 1 H), 6.46 (dd, J=9.00, 1.76 Hz, 1 H), 4.21 (br s, 2 H), 3.71 - 3.91 (m, 3 H).
化合物3dの調製のための手順:
DMF-DMA(15mL)中の化合物3c(1g、6.02mmol)の混合物を、100℃で12時間撹拌した。混合物を濃縮して、粗化合物3d(1.5g、粗製)を黄色固体として得た。LCMS:0-60AB_2分_Eクロマトグラフィー(Merck
RP-18e 25-2mm、SN:UM9504/198)においてR=0.577分、MS(ESI)m/z=222.1[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 7.73 (s, 1 H), 7.27 (t, J=9.26 Hz, 1 H), 6.82 (dd, J=9.04, 1.76 Hz, 1 H), 3.72 - 3.98 (m, 3 H), 3.01 - 3.14 (m, 6 H).
化合物3eの調製のための手順:
AcOH(20mL)中の化合物3d(1.5g、6.78mmol)および化合物1f(2.44g、10.17mmol)の混合物を、50℃で12時間撹拌した。混合物を真空下で濃縮した。残留物をEtOAc(15mL)中に懸濁させ、飽和KCO(水溶液)でpHを8~9に調整し、濾過し、ケーキを酢酸エチル(5mL)で洗浄して、N-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-5-フルオロ-6-メトキシキナゾリン-4-アミン(Y02、2g、4.81mmol、90.0質量%、収率70.9%)を褐色固体として得た。LCMS:0-60AB_2分_Eクロマトグラフィー(Merck RP-18e 25-2mm、SN:UM9504/198)においてR=1.022分、MS(ESI)m/z=417.2[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 8.71 - 8.77 (m,
1 H), 8.44 (s, 1 H), 8.27 - 8.31 (m, 1 H), 7.79 - 7.88 (m, 1 H), 7.70 - 7.77 (m, 2 H), 7.66 (dd, J=9.26, 1.76 Hz, 1 H), 7.19 (d, J=8.60 Hz, 1 H), 7.05 - 7.11 (m, 1 H), 6.85 (d, J=2.43 Hz, 1 H), 4.05 (s, 3 H), 2.25 (s, 3 H).
化合物3の調製のための手順:
DMF(5mL)中の化合物3e(400mg、537.9umol、純度56%)および化合物3f(214.9mg、1.61mmol、3.0当量)およびt-BuOK(211.3mg、1.88mmol、3.5当量)の混合物を、130℃で16時間撹拌した。混合物をpH=7~8に調整し、濾過し、濾液を中性分取HPLC(カラム:Phenomenex Gemini C18 200×25mm×10um、勾配:28~58%B(A:HO、B:CHCN)、流速:25mL/分)、続いてSFC分離により精製して、化合物3のシス異性体(40mg、収率14%)を白色固体として得た。
【0154】
化合物3:LCMS:0-60AB_4分クロマトグラフィー(Xtimate C18、2.1×30mm、3um)においてR=1.906分、MS(ESI)m/z=530.1[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 8.74 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 8.40 (s, 1H), 8.28 (s, 1H), 7.84 (s, 1H), 7.84-7.81 (m, 1H), 7.76 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.61 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.15 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.06 (dd, J = 2.4
Hzおよび7.6 Hz, 1H), 6.81 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 5.20-5.07 (m, 1H), 4.98-4.89 (m,
1H), 4.04 (s, 3H), 3.25-3.23 (m, 1H), 2.91 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.24 (s, 3H), 2.49-2.15 (m, 3H).
実施例4
(R)-N-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-5-((4,4-ジフルオロ-1-メチルピペリジン-2-イル)メトキシ)-6-メトキシキナゾリン-4-アミン
【0155】
【化18】
【0156】
THF(6mL)およびDMF(4mL)中の化合物3e(100mg、0.24mmol)の溶液に、化合物4a(119mg、0.72mmol)、t-BuOK(94mg、0.84mmol)を添加した。添加後、混合物を80℃で24時間撹拌した。これを濾過し、濃縮し、HPLC(カラム:Agella Venusil ASB C18
150×21.2mm×5um、勾配:10~40%B(HCl、B=アセトニトリル)、流速:25mL/分)により精製して、化合物4(80mg、収率59.3%)を得た。
【0157】
化合物4:LCMS:10-80AB_4分クロマトグラフィー(Xtimate C18、2.1×30mm、3um)においてR=2.079分、MS(ESI)m/z=562.1[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 9.08 (d, J= 7.6 Hz,
1 H), 9.04 (s, 1 H), 8.71 (s, 1 H), 8.07 (d, J= 9.2 Hz, 1 H), 7.91-7.88 (m, 2 H), 7.76 (d, J= 9.2 Hz, 1 H), 7.45 (dd, J1 = 7.6 Hz, J2 = 2.4 Hz, 1 H), 7.36 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 7.21 (d, J = 2.4 Hz, 1 H), 4.87 (m, 1 H), 4.58-4.55 (m, 1 H), 4.17 (s, 3 H), 4.09-4.05 (m, 1 H), 3.77 (m, 1 H), 3.51-3.48 (m, 1 H), 3.26 (s,
3 H), 2.86-2.69 (m, 3 H), 2.47-2.44 (m, 1 H), 2.30 (s, 3H).
実施例5
N-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-5-((4,4-ジフルオロ-1-メチルピペリジン-3-イル)オキシ)-6-メトキシキナゾリン-4-アミン
【0158】
【化19】
【0159】
合成は化合物3と同様の実験手順に従い、SFC分離後にエナンチオマー化合物5を固体として得た。
化合物5:LCMS:0-60AB_4分クロマトグラフィー(Welch Xtimate C18、2.1×30mm、3um)においてR=2.065分、MS(ESI)m/z=548.3[M+H]1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.69-12.04 (m,
1H), 10.86-10.49 (m, 1H), 8.98 (d, J =7.2 Hz, 1H), 8.81 (s, 1H), 8.42 (s, 1H), 8.06 (d, J =9.6 Hz, 1H), 7.86 (d, J =8.8 Hz, 1H), 7.80 (s, 1H), 7.68 (s, 1H), 7.31 (d, J =6.0 Hz, 1H), 7.06 (dd, J1=2.8 Hz, J2 =7.6 Hz, 1H), 6.83 (s, 1H), 5.56-4.88 (m, 1H), 4.27-4.23 (m, 6H), 4.12 (brs, 1H), 3.31 (brs, 3H), 2.91 (s, 3H), 2.58 (brs, 1H), 2.23 (s, 3H)
実施例6
エナンチオマー-1:
(S)-N-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-5-((3,3-ジフルオロ-1-メチルピペリジン-4-イル)オキシ)-7-メトキシキナゾリン-4-アミン
および
エナンチオマー-2:
(R)-N-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-5-((3,3-ジフルオロ-1-メチルピペリジン-4-イル)オキシ)-7-メトキシキナゾリン-4-アミン
【0160】
【化20】
【0161】
化合物6bの調製のための手順:
NMP(25mL)中の化合物6a(2.5g、11.2mmol)およびCuCN(2.9g、22.4mmol)の混合物を、160℃で5時間撹拌した。室温に冷却した後、濾過し、濃縮し、粗生成物6bをさらに精製することなく次のステップで直接使用した。
化合物6cの調製のための手順:
NHガスを100mLのEtOH中に0℃で15分間ポンプ注入し、化合物6b(3gの粗製物)を30mLのMeOHに溶解し、混合物を密封管内にて120℃で終夜撹拌した。溶液を濃縮し、残留物をシリカゲル中でのカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=1/1)により精製して、化合物6c(2ステップで450mg、収率24%)を白色固体として得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 6.38 (s, 2H), 6.17 (d, J = 2 Hz, 1H), 6.13 (dd, J1 = 2.0 Hz , J2 = 9.2 Hz, 1H), 3.73 (s, 3H).
化合物6dの調製のための手順:
DMF-DMA(8mL)中の化合物6c(2gの粗製物)の混合物を、100℃で2時間撹拌し、室温に冷却した後、混合物を濾過し、沈殿物を酢酸エチルで洗浄して、化合物6d(800mg、粗製)を黄色固体として得、これを次のステップで直接使用した。化合物6eの調製のための手順:
AcOH(15mL)中の化合物6d(800mg、3.62mmol)および化合物1f(1.303g、5.43mmol)の混合物を、40~60℃で終夜撹拌した。濃縮し、KCO(水溶液)でpHを8~9に調整し、濾過し、ケーキを酢酸エチルで洗浄して、化合物6e(1.6g、粗製)を褐色固体として得た。LCMS:5-95AB_1.5分クロマトグラフィー(Xtimate C18 2.1×30mm)においてR=0.702分、MS(ESI)m/z417.0[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 8.74 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 8.46 (s, 1H), 8.29 (s, 1H), 7.71 (s,
1H), 7.67 (dd, J1 = 2.4 Hz , J2= 8.4 Hz, 1H), 7.18 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.09-7.00 (m, 3H), 6.85 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 3.98 (s, 3H), 2.25 (s, 3H).
化合物6の調製のための手順:
THF/DMF(15/6mL)中の化合物6e(1.1g、2.64mmol)、化合物1i(991mg、5.28mmol)およびt-BuOK(889mg、7.92
mmol)の混合物を、N保護下、80~100℃で終夜撹拌した。混合物を濃縮し、残留物を逆相分取HPLC(カラム:SYNERGI 250×50 10um、勾配:40~70%B(A=水/0.05%NHHCO、B=アセトニトリル)、流速:80mL/分)により精製して、化合物6fを得、次いで化合物をSFCにより分離して、170mgの化合物6および170mgの化合物6’を得た。
【0162】
化合物6(エナンチオマー-1):LCMS:0-60AB_4分クロマトグラフィー(Xtimate C18、2.1×30mm、3um)においてR=2.001分、MS(ESI)m/z=548.1[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 8.89 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.77 (s, 1H), 8.58 (s, 1H), 7.82 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.77 (dd, J1 = 9.2 Hz, J2 = 2.8 Hz, 1H), 7.31 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.26 (dd, J1=
13.6 Hz, J2 = 2.0 Hz, 2H), 6.95 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 6.92 (s, 1H), 5.67-5.59 (m, 1H), 4.28 (brs, 1H), 4.08 (s, 3H), 3.91-3.76 (m, 2H), 3.53-3.47 (m, 1H), 3.07 (s, 3H), 2.88 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 2.43-2.40 (m, 1H), 2.29 (s, 3H).
化合物6’(エナンチオマー-2):LCMS:0-60AB_4分クロマトグラフィー(Xtimate C18、2.1×30mm、3um)においてR=2.009分、MS(ESI)m/z=548.0[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4)
δ 8.89 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 8.76 (s, 1H), 8.57 (s, 1H), 7.82 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.77 (dd, J1 = 8.4 Hz, J2 = 2.4 Hz, 1H), 7.30 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.22 (dd, J1= 7.6 Hz, J2 = 2.4 Hz, 2H), 6.96 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 6.91 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 5.72-5.63 (m, 1H), 4.26-4.24 (m, 1H), 4.08 (s, 3H), 3.94-3.76 (m, 2H), 3.57-3.51 (m, 1H), 3.07 (s, 3H), 2.87 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 2.48-2.42 (m, 1H), 2.29 (s,
3H).
実施例7
5-((3,3-ジフルオロ-1-メチルピペリジン-4-イル)オキシ)-N-(3-メチル-4-((1-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)オキシ)フェニル)キナゾリン-4-アミン
【0163】
【化21】
【0164】
化合物7bの調製のための手順:
DMF(50mL)中の化合物7a(5.0g、29.76mmol)の溶液に、NaH(1.3g、32.74mmol)を0℃で添加し、10分間撹拌した。MeI(6.34g、44.64mmol)を添加し、35℃で1.5時間撹拌した。TLCは、化合物1が完全に消費されたことを示した。溶液に水(50mL)を添加し、EtOAc(1
00mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100mL×3)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、化合物7b(6.2g、100%)を赤色固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.62 (d, J = 2.8 Hz, 1 H), 7.18 (dd, J = 9.6 Hz, 3.2 Hz, 1 H), 6.82 (d, J = 9.6 Hz, 1 H), 3.80 (s, 3 H), 3.02 (d, J = 5.2 Hz, 3 H).
化合物7cの調製のための手順:
EtOH(147mL)およびTHF(27mL)中の化合物7b(6.2g、34.06mmol)の溶液に、Pd/C(1.0g)を添加し、溶液をHバルーン下、室温で4時間撹拌した。完了後、溶液を濾過し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(PE:EtOAc=3:1(v/v))により精製して、化合物7c(3.5g、69%)を固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.60 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 6.39-6.35 (m, 2 H), 3.74 (s, 3 H), 2.82 (s, 3 H).
化合物7dの調製のための手順:
2-メトキシ-エタノール(60mL)中の化合物7c(3.5g、23.03mmol)およびホルムアミジン酢酸塩(4.8g、46.06mmol)の溶液を、120℃で20時間撹拌した。次いで、混合物を濃縮し、HO(60mL)を添加し、CHCl(150mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100mL×3)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、化合物7d(3.6g、97%)を固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.83 (s, 1 H), 7.29-7.26 (m, 2 H), 6.97 (dd, J1 = 2.4 Hz, J2 = 8.8 Hz, 1 H), 3.87 (s, 3 H), 3.82 (s, 3 H).
化合物7eの調製のための手順:
38%HBr(30mL)およびAcOH(30mL)中の化合物7d(1.0g、6.17mmol)の溶液を、110℃で48時間撹拌した。完了後、混合物を濃縮し、NaCOでpH=7に中和した。混合物をEtOAc(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100mL×3)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、化合物7e(0.2g、22%)を固体として得た。1H NMR (400 MHz,
メタノール-d4) δ 7.97 (s, 1 H), 7.34 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 7.03 (d, J = 2.4 Hz,
1 H), 6.87 (dd, J1 = 2.4 Hz, J2= 8.8 Hz, 1 H), 3.84 (s, 3 H).
化合物7gの調製のための手順:
DMF(5mL)中の化合物7e(209.0mg、1.35mmol)および化合物7f(200.0mg、1.35mmol)の溶液に、KCO(209.0mg、1.35mmol)を添加し、80℃で20時間撹拌した。完了後、混合物に水(10mL)を添加し、EtOAc(50mL×3)で抽出し、合わせた有機層をブライン(50mL×3)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、化合物7g(0.4g、粗製)を黄色固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.15 (d, J = 2.0 Hz, 1 H), 7.95 (d, J = 2.8 Hz, 1 H), 7.93 (d, J = 2.8 Hz, 1 H), 7.48 (d, J = 2.0 Hz, 1
H), 7.42 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 7.26 (s, 1 H), 7.07 (dd, J1 = 2.4 Hz, J2 = 8.8 Hz, 1 H), 6.67 (d, J = 9.2 Hz, 1 H), 3.89 (s, 2 H), 2.46 (s, 3 H).
化合物7hの調製のための手順:
MeOH(50mL)中の化合物7g(400.0mg、1.41mmol)の溶液に、Pd/C(0.5g)を添加し、Hバルーン下、室温で2時間撹拌した。完了後、混合物を濾過し、濃縮して、化合物7h(340mg、収率69%)を赤色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.09 (s, 1H), 7.46 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.89-6.85 (m, 2H), 6.65 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 6.49 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 6.42 (dd, J1 = 2.4 Hz, J2 = 8.4 Hz, 1H), 4.88 (s, 2H), 3.79 (s, 3H), 1.99 (s, 3H).
化合物7iの調製のための手順:
CHCN(40mL)中の化合物7h(340.0mg、1.344mmol)および化合物1g(244.0mg、1.344mmol)の溶液を、80℃で20時間撹拌した。完了後、混合物を濃縮して、化合物7i(530.0mg、収率98.0%)を黄
色固体として得た。LCMS:10-80AB_4分クロマトグラフィー(Welch Xtimate C18、2.1×30mm、3um)においてR=1.351分、MS(ESI)m/z=400.1[M+H]1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ 8.49 (s, 1H), 8.10 (s, 1 H), 7.85-7.79 (m, 1H), 7.61 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.55-7.48 (m, 2H), 7.35 (dd, J1= 8.0 Hz, J2 = 12.8 Hz, 1H), 7.15 (d, J = 2.0 Hz, 1 H), 7.08 (dd, J1= 2.4 Hz, J2 = 8.8 Hz, 1H), 6.88 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 3.90 (s, 3H),
2.30 (s, 3H).
化合物7の調製のための手順:
DMF(5mL)およびTHF(5mL)中の化合物7i(430.0mg、1.08mmol)、化合物1i(325.0mg、2.16mmol)およびt-BuOK(362.0mg、3.24mmol)の溶液を、100℃で20時間撹拌した。混合物を濾過し、濃縮し、粗製物をHPLC(カラム:Phenomenex Gemini C18 200×25mm×10um、勾配:10~20%B(A=水/0.05%TFA、B=アセトニトリル)、続いてSFC分離により精製して、エナンチオマー化合物7(140mg、収率24%)を白色固体として得た。
【0165】
化合物7:LCMS:10-80AB_4分クロマトグラフィー(Welch Xtimate C18、2.1×30mm、3um)においてR=1.166分、MS(ESI)m/z=531.1[M+H]1H NMR (400 MHz, メタノール-d4) δ 9.37 (s, 1 H), 8.83 (s, 1 H), 8.10 (t, J = 8.4 Hz, 1 H), 7.95 (d, J = 9.2 Hz, 1 H), 7.77-7.73 (m, 2 H), 7.56 (d, J = 8.4 Hz, 1 H), 7.40 (dd, J1 = 2.0 Hz, J2 = 8.8 Hz, 1 H), 7.30 (d, J = 2.0 Hz, 1 H), 7.10 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 5.81-5.73 (m, 1 H), 4.32-4.27 (m, 1 H), 4.17 (s, 3H), 4.06-3.95 (m, 1 H), 3.81 (d, J = 12.8 Hz, 1 H), 3.69-3.62 (m, 1H), 3.10 (s, 3 H), 2.92-2.88 (m, 1 H), 2.51-2.47 (m, 1 H), 2.32
(s, 3 H).
実施例8
5-((3,3-ジフルオロ-1-メチルピペリジン-4-イル)オキシ)-N-(4-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-7-メトキシキナゾリン-4-アミン
【0166】
【化22】
【0167】
化合物8cの調製のための手順:
DMF(135mL)中の化合物8a(12.68g、1.0当量)、化合物8b(9.0g、1.0当量)およびCsCO(53.26g、2.0当量)の溶液を、80℃で16時間撹拌した。完了後、混合物を水に注ぎ入れ、酢酸エチル(150mL×3)で抽出し、ブライン(150mL×3)で洗浄し、次いでNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、粗製物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(PE:EA=1:1(v/v))により精製して、化合物8c(10g、収率49%)を黄色固体として得た
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 8.28 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 8.13 (dd, J1 = 8.8 Hz, J2 = 2.4 Hz, 1H), 7.87 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 7.21 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.19 (dd, J1 = 6.0 Hz, J2 = 2.0 Hz, 1H), 6.04 (s, 2H), 5.89 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 2.27 (s, 3H).
化合物8dの調製のための手順:
2-クロロアセトアルデヒド(137.9g、43.1当量)中の化合物8c(10.0g、1.0当量)の溶液を、80℃で16時間撹拌した。混合物を飽和NaOH水溶液(50mL)でクエンチし、濃縮し、シリカカラムクロマトグラフィー(CHCl/CHOH=10:1(v/v))により精製して、化合物8dを褐色固体(9.0g、収率91.9%)として得た。LCMS:5-95AB_4分クロマトグラフィー(Xtimate C18、2.1×30mm、3um)においてR=0.640分、MS(ESI)m/z=269.9[M+H]1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 8.21 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 8.17 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.09 (dd, J1 = 8.4 Hz, J2 = 2.4 Hz, 1H), 7.62 (s, 1H), 7.57 (s, 1H), 7.10 (s, 1H), 7.04 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.75 (dd, J1 = 7.6 Hz, J2 = 2.4 Hz, 1H), 2.37 (s, 3H).
化合物8eの調製のための手順:
MeOH/HO=3:1(v/v)(100mL)中の化合物8d(9.0g、1.0当量)およびNHCl(17.88g、10.0当量)の溶液に、Fe(9.33g、5.0当量)を添加し、混合物を60℃で6時間撹拌した。懸濁液をセライトパッドに通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、粗生成物8eを得、これをさらに精製することなく次のステップで使用した。
化合物8fの調製のための手順:
AcOH(5mL)中の化合物6d(203.4mg、0.919mmol)および化合物8e(200mg、0.836mmol)の混合物を、40~60℃で3日間撹拌した。AcOHを真空下で除去し、残留物をNaCO水溶液でpH8~9に塩基性化し、濾過した。濾液を乾燥させて、化合物8f(250mg、粗製)を赤色油状物として得、これをさらに精製することなく次のステップで直接使用した。LCMS:0-60AB_4分クロマトグラフィー(Xtimate C18、2.1×30mm)においてR=1.901分、MS(ESI)m/z=416.0[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 8.77 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.68 (s, 1H), 8.09 (s, 1H), 7.88 (d, J
= 2.0 Hz, 1H), 7.69 (s, 1H), 7.63 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.36-7.28 (m, 3H), 7.08 (s, 1H), 7.04 (s, 1H), 4.06 (s, 3H), 2.29 (s, 3H).
化合物8の調製のための手順:
THF(5mL)およびDMF(2mL)中の化合物8f(250mg、0.6mmol)、化合物1i(136.4mg、0.9mmol)およびt-BuOK(134.4mg、1.2mmol)の混合物を、80~100℃で終夜撹拌した。混合物を濃縮し、粗製物を逆相分取HPLC(カラム:Sunfire C8 30×100mm×5um、勾配:0~20%B(A=水/0.05%HCl、B=アセトニトリル)、流速:30mL/分)、続いてSFC分離により精製して、エナンチオマー化合物8(2ステップで18.2mg、収率5.6%)を黄色固体として得た。
【0168】
化合物8:LCMS:0-60AB_4分クロマトグラフィー(Xtimate C18 2.1×30mm)においてR=1.81分、MS(ESI)m/z=547.1[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 8.79 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 8.77 (s, 1H), 8.10 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.89-7.79 (m, 3H), 7.35-7.31 (m, 3H), 7.02 (d,
J = 2.4 Hz, 1H), 6.98 (s, 1H), 5.73 (brs, 1H), 4.29-4.26 (m, 1H), 4.08 (s, 3H),
4.01-3.89 (m, 1H), 3.79 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 3.63-3.57 (m, 1H), 3.09 (s, 3H), 2.87 (s, 1H), 2.49-2.46 (m, 1H), 2.29 (s, 3H).
実施例9
5-((3,3-ジフルオロ-1-メチルピペリジン-4-イル)オキシ)-N-(3-
メチル-4-(ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-イルオキシ)フェニル)キナゾリン-4-アミン
【0169】
【化23】
【0170】
化合物9bの調製のための手順:
DMF(10mL)中の2-フルオロ-1メチル-5-ニトロベンゼン(0.301g、1.0当量)、CsCO(1.26g、2.0当量)および化合物9a(0.26g、1.0当量)の混合物を、80℃で2時間撹拌した。完了後、水(50mL)を混合物に添加し、混合物をEtOAc(50mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗化合物9bを得、これをシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=5:1)により精製して、黄色固体(0.45g、収率:86%)を得た。LCMS:5-95AB_1.5分、クロマトグラフィー(XMK RP-18e 25-2mm)においてR=0.866分、MS(ESI)m/z=269.9[M+H]1H NMR: (400MHz, CDCl3) δ 8.37 (dd, J1 = 1.2 Hz, J2 = 2.4 Hz, 1H), 8.17 (dd, J1 = 0.8 Hz, J2 = 2.8 Hz, 1H), 8.02-7.99 (m, 1H), 7.98 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.61 (dd, J1 = 4.8 Hz, J2 = 9.6 Hz, 1H), 6.96 (dd, J1 = 2.0 Hz, J2 = 9.6 Hz, 1H), 6.82 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 6.61 (dd, J1 = 0.8 Hz, J2 = 2.4 Hz, 1H), 2.46 (s, 3H).
化合物9cの調製のための手順:
MeOH(20mL)中の化合物9b(0.45g、1.0当量)およびZn粉末(0.874g、8.0当量)の溶液に、NHCl(0.715g、8.0当量)を5分間かけて少量ずつ添加した。混合物を30℃で5時間撹拌した。完了後、混合物を濾過し、濾液を濃縮して、粗生成物を得、これをフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、泡状固体(0.36g、収率90%)を得た。LCMS:5-95AB_1.5分、クロマトグラフィー(MK RP-18e 25-2mm)においてR=0.656分、MS(ESI)m/z239.9[M+H]1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.93 (t, J =
1.2 Hz, 1H), 7.84 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.46 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 7.02 (dd, J1 =
2.4 Hz, J2 = 9.6 Hz, 1H), 6.80 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.59 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 6.52 (dd, J1 = 2.8 Hz, J2 = 8.8 Hz, 1H), 6.47 (d, J = 2.0 Hz, 1H).
化合物9dの調製のための手順:
MeCN(10mL)中の化合物9c(0.2g、1.0当量)および化合物1g(0.4152g、1.0当量)の混合物を、2時間還流撹拌した。完了後、混合物を濃縮して、化合物9d(0.32g、収率99%)を黄色固体として得た。LCMS:10-80AB_4分、クロマトグラフィー(Xtimate C18 2.1×30mm)においてR=1.874分、MS(ESI)m/z=385.9[M+H]1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 8.71 (s, 1H), 8.44 (d, J = 19.6 Hz, 1H), 8.14 (t, J =1.2 Hz, 1H), 7.90 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.79-7.71 (m, 2H), 7.63 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.56-7.51 (m, 1H), 7.27-7.22 (m, 1H), 7.04 (dd, J1 = 9.6 Hz, J2= 2.0 Hz, 1H), 7.67 (d,
J = 8.8 Hz, 2H), 6.53 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 2.36 (s, 3H).
化合物9eの調製のための手順:
THF/DMF(20mL、v/v=1:1)中の化合物9d(270mg、1.0当量)およびB(116mg、1.10当量)の溶液に、t-BuOK(326mg、4.1当量)を添加した。混合物を100℃で12時間撹拌した。完了後、混合物を濃縮して、粗生成物を得、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:MeOH=20:1)により予め精製し、次いで粗製物を逆相分取HPLCにより精製して、70mgの化合物9eを淡色固体(100mg、収率27.6%)として得た。LCMS:10-80AB_4分、クロマトグラフィー(Xtimate C18 2.1×30mm SN:3U411201583)においてR=1.614分、MS(ESI)m/z=517.3[M+H]1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 10.01 (s, 1H), 8.65 (s, 1H), 8.07 (s, 1H), 8.13 (t, J = 1.2 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.71 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.69-7.60 (m, 3H), 7.51 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 7.04 (dd, J1 = 2.4 Hz, J2 = 9.6 Hz, 1H), 6.94 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.52 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 4.74-4.645 (m, 1H), 3.27-3.20 (m, 1H), 2.60-2.50 (m, 1H), 2.43 (s, 3H), 2.40-2.33 (m, 2H), 2.29 (s, 3H), 2.21-2.13 (m, 1H).
化合物9の調製のための手順:
化合物9e(85mg)をSFCにより分離して、化合物9(39mg)および化合物9’(41mg)を得た。
【0171】
化合物9(エナンチオマー-1):LCMS:10-80AB_4分、クロマトグラフィー(Xtimate C18、2.1×30mm、3um SN:3U411201579)においてR=1.583分、MS(ESI)m/z=517.1[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 8.49 (s, 1H), 8.12 (t, J = 1.2 Hz, 1H), 7.88 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.78-7.67 (m, 4H), 7.42 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.28 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.28 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.14 (dd, J1= 2.0 Hz, J2 = 9.6 Hz, 1H), 7.00 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.61 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 5.15-5.05 (m, 1H), 3.29-3.23 (m, 1H), 2.95 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 2.68-2.58 (m, 1H), 2.49-2.40 (m, 2H), 2.40 (s,
3H), 2.33 (s, 3H), 2.10-2.02 (m, 1H).
実施例10
-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-5-((3,3-ジフルオロ-1-メチルピペリジン-4-イル)オキシ)キナゾリン-4,7-ジアミン
【0172】
【化24】
【0173】
化合物10bの調製のための手順:
オートクレーブ内の化合物10a(20g)の混合物に、NH/EtOH(200mL)を添加した。混合物を100℃で終夜撹拌した。混合物を真空中で濃縮し、残留物を酢酸エチル(200mL)に溶解し、水(100mL)で洗浄した。有機層を濃縮して、灰色固体を得、これを石油エーテル(3×100mL)で洗浄し、乾燥させて、化合物10b(19.5g、収率98%)を得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 6.72 (t, J = 1.2
Hz, 1H), 6.67 (dd, J1 = 8.8 Hz, J2=1.2 Hz. 1H), 4.63 (s, 2H).
化合物10cの調製のための手順:
トルエン中の化合物10b(10.0g)およびDMF-DMA(11.0g、2.0当量)の溶液を、120℃で2時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮して、化合物10c(15.2g、粗製)を灰色固体として得、これを次のステップに直接使用した。LCMS:5-95AB_1.5分クロマトグラフィー(Welch Xtimate C18、2.1×30mm、3um)においてR=0.718分、MS(ESI)m/z=271.2[M+H]1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.63 (s, 1H), 6.93-6.91 (m, 2H),
3.11 (d, J = 2.0 Hz, 6H).
化合物10dの調製のための手順:
酢酸(150mL)中の化合物10c(15.2g)および化合物1f(11.1g、1.0当量)の混合物を、120℃で2時間撹拌した。強力な所望のMsピーク(466.9)がLCMSにより検出された。混合物を冷却し、次いで水(100mL)に注ぎ入れた。混合物を濾過し、濃縮し、クロマトグラフィー(DCM:MeOH=20:1(v/v))により精製して、化合物10d(8.0g、38%)を褐色固体として得た。LCMS:5-95AB_1.5分クロマトグラフィー(Welch Xtimate C18、2.1×30mm、3um)においてR=0.787分、MS(ESI)m/z=466.9[M+H]1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 9.28 (d, J = 11.6 Hz, 1H),
8.93 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.59 (s, 1H), 8.38 (s, 1H), 7.85-7.67 (m, 4H), 7.21 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.02 (dd, J1= 7.6 Hz, J2 = 2.8 Hz, 1H), 6.78 (d, J = 2.8 Hz,
1H), 2.18 (s, 3H).
化合物10eの調製のための手順:
THF(50mL)およびDMF(20mL)中の化合物10d(4.6g)、化合物1i(1.5g、1.0当量)およびt-BuOK(2.2g、2.0当量)の混合物を、70℃で終夜撹拌した。混合物を水(50mL)に注ぎ入れ、次いで濾過した。固体を乾燥させて、化合物10e(4.74g、収率80%)を灰色固体として得た。LCMS
:5-95AB_1.5分クロマトグラフィー(Welch Xtimate C18、2.1×30mm、3um)においてR=0.737分、MS(ESI)m/z=597.9[M+H]1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 9.95 (s, 1H), 8.92 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.59 (s, 1H), 8.37 (s, 1H), 7.83 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.73 (dd, J1 = 8.8
Hz, J2 = 2.4 Hz, 1H), 7.64 (s, 2H), 7.25 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.02 (dd, J1 = 7.6 Hz, J2 =2.4 Hz, 1H), 6.82 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 5.43-5.35 (m, 1H), 3.27-3.23 (m, 2H), 2.86-2.82 (m, 1H), 2.38-2.32 (m, 2H), 2.29 (s, 3H), 2.19 (s, 3H), 1.97-1.89 (m, 1H).
化合物10fの調製のための手順:
メタノール(10mL)中の化合物10e(200mg)、Pd(OAc)(8mg、0.1当量)、dppf(18mg、0.1当量)およびEtN(67mg、2.0当量)の混合物を、一酸化炭素雰囲気(310.26kPa(45Psi))下、70℃で終夜撹拌した。次いで、混合物を濾過し、濾液を濃縮して、化合物10f(223mg、粗製)を褐色油状物として得た。LCMS:5-95AB_1.5分クロマトグラフィー(Welch Xtimate C18、2.1×30mm、3um)においてR=0.730分、MS(ESI)m/z=576.1[M+H]
化合物10gの調製のための手順:
THF/HO(5mL)中の化合物10f(223mg)およびLiOH-HO(70mg、5.0当量)の溶液を、室温で終夜撹拌した。混合物を濃縮し、残留物を1N
HClの溶液で酸性化した。沈殿物を収集し、乾燥させて、化合物10g(140mg、粗製)を灰色固体として得た。LCMS:5-95AB_1.5分クロマトグラフィー(Welch Xtimate C18、2.1×30mm、3um)においてR=0.643分、MS(ESI)m/z=562.1[M+H]
化合物10の調製のための手順:
t-BuOH(3mL)中の化合物10g(70mg)、DPPA(42mg、1.2当量)およびEtN(25mg、2.0当量)の溶液を、80℃で終夜撹拌した。混合物を真空中で濃縮し、残留物をHCl/ジオキサン(4M、1mL)で処理した。反応物を室温で10分間撹拌した。混合物を濃縮し、残留物を分取HPLC(カラム:Sunfire C8 30×100mm×5um、勾配:15~25%B(A=水/0.05%HCl、B=アセトニトリル)、流速:30mL/分)、続いてSFC分離により精製して、エナンチオマー化合物10(7.9mg、収率10%)を得た。LCMS:10-80AB_4分クロマトグラフィー(Welch Xtimate C18、2.1×30mm、3um)においてR=1.427分、MS(ESI)m/z=533.0[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 9.06 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 9.00 (s, 1H), 8.51 (s, 1H), 7.79-7.74 (m, 2H), 7.42 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 7.30 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.97 (s, 1H), 6.49 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 5.65-5.58 (m, 1H), 4.27 (m, 2H), 4.06-3.94 (m,1H), 3.80-3.65 (m, 2H), 3.09 (s, 3H), 2.88-2.86 (m, 2H), 2.44-2.41 (m, 2H), 2.27 (s, 3H).
実施例11
5-(((3S,4R)-3-フルオロ-1-メチルピペリジン-4-イル)オキシ)-N-(4-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)キナゾリン-4-アミン
【0174】
【化25】
【0175】
化合物11bの調製のための手順:
DMF-DMA(3.93mL、29.38mmol、2.0当量)を、トルエン(20mL)中の化合物11a(2g、14.69mmol)の溶液に添加した。得られた懸濁液を120℃で1.5時間撹拌した。LCMS分析は、反応が完了したことを示した。溶液を濃縮して、化合物11b(3.0g、粗製、純度93%)を黄色固体として得た。LCMS:5-95AB_220&254クロマトグラフィーにおいてR=0.135分、MS(ESI)m/z=191.9[M+H]
化合物11cの調製のための手順:
酢酸(30mL)中の化合物11b(1.5g、純度93%、7.30mmol、1.0当量)の溶液に、化合物8e(2.62g、10.94mmol、1.5当量)を添加し、反応混合物を120℃に2時間加熱した。LCMSは、反応が完了したことを示した。酢酸を真空中で除去し、粗生成物をアセトニトリル(20mL)に溶解し、水(50mL)で希釈した。溶液を炭酸ナトリウム溶液によりpH=8に塩基性化した。沈殿物を濾過し、濾過ケーキを酢酸エチルで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、化合物11c(1.5g、粗製)を得た。LCMS:5-95AB_1.5分クロマトグラフィーにおいてR=0.609分、MS(ESI)m/z=386.1[M+H]1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 2.20 (3H, s), 6.55 (1H, d, J = 2.4 Hz), 6.82 (1H, dd, J1= 7.2 Hz, J2 =2.4 Hz), 7.15 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.40-7.48 (2H, m), 7.61-7.74 (3H, m), 7.81-7.89 (2H, m), 8.56 (1H, d, J = 7.6 Hz), 8.58 (1H, s), 9.20 (1H, br.s)
化合物11シス異性体の調製のための手順:
THF/DMF(20mL、v/v 1:1)中の化合物11c(300mg、1.0当量)および化合物cis-11d(207mg、2.0当量)の溶液に、t-BuOK(306mg、3.5当量)を添加した。混合物を100℃で72時間撹拌した。完了後、反応物を濃縮し、残留物を、DCM/MeOH(10:1)を用いるシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製して、粗製物を得、これを分取HPLC、続いてSFC分離によりさらに精製して、エナンチオマー的に純粋なシス異性体である化合物11を白色固体(35mg、収率9%)として得た。LCMS:0-60AB_4分、クロマトグラフィー(Xtimate C18、2.1×30mm、3um SN:3U411201579)においてR=1.560分、MS(ESI)m/z=499.0[M+H]1H NMR (400MHz, D2O) δ 8.65 (s, 1H), 8.63 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.05 (t,
J = 8.4 Hz, 1H), 7.93 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.73 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.70 (d, J
=2.4 Hz, 1H), 7.63-7.59 (m, 1H), 7.52 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.49 (d, J = 8.4 Hz,
1H), 7.34 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.30 (dd, J = 7.6 Hz, 2.4 Hz, 1H), 7.05 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 5.65-5.53 (m, 1H), 5.44-5.30 (m, 1H), 4.11-4.04 (m, 1H), 3.78-3.74 (m, 1H), 3.71-7.57 (m, 1H), 3.45-3.38 (m, 1H), 3.01 (s, 3H), 2.67-2.64 (m, 1H), 2.49-2.37 (m, 1H), 2.24 (s, 3H).
実施例12
(S)-N-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-5-((1-エチル-3,3-ジフルオロピペリジン-4-イル)オキシ)キナゾリン-4-アミン
および
(R)-N-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-5-((1-エチル-3,3-ジフルオロピペリジン-4-イル)オキシ)キナゾリン-4-アミン
【0176】
【化26】
【0177】
化合物12aの調製のための手順:
MeOH(8mL)中の化合物1i1(0.2g、1.46mmol)の溶液に、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.092g、1.46mmol)およびアセトアルデヒド(0.099mL、1.75mmol)を添加した。得られた混合物を12~23℃で16時間撹拌した。次いで、反応物を水(15mL)に注ぎ入れ、クロロホルム/イソプロパノール(v/v=3/1、10mL×3)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗化合物12a(0.22g)を黄色油状物として得た。生成物をさらに精製することなく次のステップで直接使用した。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 1.09 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.75-2.04 (4H, m), 2.75-2.85 (1H, m), 2.45-2.05 (2H, m), 2.53-2.67 (2.5H, m), 2.75-2.92 (2H, m), 3.69-3.85 (2H, m), 4.02-4.05 (1H, m).
化合物12bの調製のための手順:
DMF(10mL)およびTHF(4mL)中の化合物1h(300mg、0.776mmol)の溶液に、カリウムtert-ブトキシド(305mg、2.72mmol)および化合物12a(154mg、0.931mmol)を添加した。得られた混合物を100℃で16時間撹拌した。次いで、反応物を水(30mL)に注ぎ入れ、酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(80mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、残留物を得、これを分取HPLC(カラム:YMC-Actus Triart C18 150×30 5u、勾配:5~35%B(A=水/0.05%HCl、B=アセトニトリル)、流速:25mL/分)により精製し、凍結乾燥して、化合物12b(110mg、粗製)を黄色固体として得た。LCMS:4.0分クロマトグラフィーにおいてR=1.972分、MS(ESI)m/z=532.3[M+H]
化合物12/12’:エナンチオマー-1/-2の調製のための手順
化合物12b(110mg)を、AD(250mm×30mm、5um)カラム、移動相:A:CO、B:エタノール(0.05%DEA)、条件:ベース-ETOH、開始B40%および終了B40%、流速(mL/分)=50上での分取キラルHPLCにより分離した。所望の化合物を含有する画分を蒸発乾固させて、エナンチオマー1およびエナンチオマー2を得、次いで分取HPLC(DuraShell 150×25mm×5um、35%~65%B(A=水/10mM NHAc、B=MeCN)により再精製した。MeCNの大部分を減圧下で除去し、残った溶媒を凍結乾燥により除去して、化合物12’(24.6mg、収率:5.96%)を白色固体として、化合物12(27.6mg、収率:6.69%)を白色固体として得た。
【0178】
化合物12’(エナンチオマー-2):LCMS:4.0分クロマトグラフィーにおい
てR=1.903分、MS(ESI)m/z532.3[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 1.14 (3H, t, J = 7.2 Hz), 2.07-2.09 (1H, m), 2.25 (3H, s), 2.44-2.65 (5H, m), 3.04 (1H, d, J = 12.4 Hz), 3.34-3.39 (1H, m), 5.07-5.16 (1H, m), 6.81 (1H, d, J = 2.4 Hz), 7.06 (1H, dd, J = 7.6, 2.4 Hz), 7.18 (1H, d, J = 8.8 Hz), 7.31 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.45 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.76-7.88 (3H, m), 8.28 (1H, s), 8.54 (1H, s),8.73 (1H, d, J = 8.0 Hz).
化合物12(エナンチオマー-1):LCMS:4.0分クロマトグラフィーにおいてR=1.905分、MS(ESI)m/z532.2[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 1.14 (3H, t, J = 7.2 Hz), 2.04-2.07 (1H, m), 2.25 (3H, s), 2.40-2.65 (5H, m), 3.04 (1H, d, J = 12.4 Hz), 3.34-3.39 (1H, m), 5.07-5.16 (1H, m),
6.81 (1H, d, J = 2.4 Hz), 7.06 (1H, dd, J = 10.0, 2.4 Hz), 7.18 (1H, d, J = 8.8
Hz), 7.31 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.45 (1H, d, J = 7.6 Hz), 7.76-7.88 (3H, m), 8.28 (1H, s), 8.54 (1H, s),8.73 (1H, d, J = 7.6 Hz).
実施例13
N-(4-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-5-(キヌクリジン-4-イルオキシ)キナゾリン-4-アミン
【0179】
【化27】
【0180】
化合物13cの調製のための手順:
NaH(87mg、60重量%、2.17mmol)を、THF(5mL)中の化合物13b(230mg、1.81mmol)および化合物13a(300mg、1.81mmol)に、窒素下、0℃で5分間かけて少量ずつ添加した。得られた混合物を17~27℃で3時間撹拌した。次いで、反応混合物を飽和NHCl(75mL)に注ぎ入れ、EtOAc(50mL×2)で抽出し、有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、粗生成物を得、これをフラッシュシリカクロマトグラフィー(PE:EA=3:1~100%メタノール)により精製した。純粋な画分を蒸発乾固させて、化合物13b(320mg、粗製)を黄色固体として得た。LCMS:1.5分クロマトグラフィーにおいてR=0.579分、MS(ESI)m/z=274.0[M+H]1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.95-2.01 (6H, m), 3.08-3.12 (6H, m), 7.49 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.67 (1H, t, J = 8.4 Hz), 7.99 (1H, d, J = 8.4 Hz).
化合物13dの調製のための手順:
メタノール(30mL)中の化合物13c(320mg、1.17mmol)およびPd-C(120mg、10重量%、0.11mmol)を、水素バルーン雰囲気下、17~24℃で1時間撹拌した。次いで、反応混合物を濾別し、濾液を蒸発乾固させて、化合物13d(280mg、収率98%)を淡黄色油状物として得、これは静置すると固化した。LCMS:1.5分クロマトグラフィーにおいてR=0.279分、MS(ESI)m/z=244.2[M+H]1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.90-1.94 (6H, m),
3.02-3.06 (6H, m), 4.42 (2H, br.s.), 6.39 (1H, d, J = 8.0 Hz), 6.43 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.18 (1H, t, J = 8.0 Hz).
化合物13eの調製のための手順:
1,1-ジメトキシ-N,N-ジメチルメタンアミン(0.339mL、2.53mmol)を、トルエン(10mL)中の化合物13d(280mg、1.15mmol)に20℃で添加した。得られた混合物を110℃で90分間撹拌した。反応混合物を濃縮して、粗生成物を得、これをさらに精製することなく次のステップで直接使用した。LCMS:1.5分クロマトグラフィーにおいてR=0.128分、MS(ESI)m/z=299.1[M+H]
化合物13の調製のための手順:
化合物8e(164mg、0.68mmol)を、AcOH(5mL)中の化合物13e(170mg、0.57mmol)に20℃で添加した。得られた混合物を120℃で90分間撹拌した。次いで、反応混合物を濃縮して、粗生成物を得、これを分取HPLC(カラム:Waters Xbridge Prep OBD C18 150×30 5u、25~55%B(A=水/0.05%アンモニア、B=アセトニトリル)、流速:25mL/分)により精製した。所望の化合物を含有する画分を凍結乾燥により乾燥させて、化合物13(95.3mg、収率33.9%)を白色固体として得た。LCMS:1.5分クロマトグラフィーにおいてt=0.578分、MS(ESI)m/z=493.2[M+H]。LCMS:4.0分クロマトグラフィーにおいてt=2.740分、MS(ESI)m/z=493.2[M+H]1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.01-2.05 (6H, m), 2.26 (3H, s), 3.07-3.11 (6H, m), 6.72-6.76 (2H, m), 7.08 (1H, d, J
= 8.4 Hz), 7.16 (1H, d, J = 7.2 Hz), 7.49 (1H, d, J = 10.4 Hz), 7.58-7.65 (3H, m), 7.80 (1H, d, J = 2.0 Hz), 8.05 (1H, d, J = 7.2 Hz), 8.66 (1H, s), 10.22 (1H,
s).
実施例14
(S)-N-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-2-フルオロ-5-メチルフェニル)-5-((3,3-ジフルオロ-1-メチルピペリジン-4-イル)オキシ)-7-メトキシキナゾリン-4-アミン
および
(R)-N-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-2-フルオロ-5-メチルフェニル)-5-((3,3-ジフルオロ-1-メチルピペリジン-4-イル)オキシ)-7-メトキシキナゾリン-4-アミン
【0181】
【化28】
【0182】
化合物14bの調製のための手順:
ジオキサン(150mL)中のベンジルアルコール(10g、76mmol)の溶液に、NaH(3.3g、1.1当量)を添加し、溶液を60℃で2.0時間撹拌した。次いで、化合物14a(8.2g、76mmol)を反応混合物に添加し、3.0時間還流撹拌した。完了後、次いで反応溶液をNHClでクエンチし、EtOAcで抽出した。合わせた有機層を濃縮し、残留物をPE/EtOAc=10/1(20ml)により再結晶して、生成物(14g、収率84.1%)を白色固体として得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 8.20 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 7.44-7.37 (m, 5H), 6.92 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 6.82 (dd, J = 5.6 Hz, 2.4 Hz, 1H), 5.11 (s, 2H).
化合物14cの調製のための手順:
THF(120mL)中の化合物14b(12g、5.01mmol)、Pd(dba)(550mg、0.5mmol)およびXphos(525mg、1.1mmol)の混合物に、LiHMDS(66.0mL、66mmol)を添加した。65℃に60分間加熱した後、混合物を室温まで冷却した。完了後、反応物をHCl水溶液(2.0mL、1.0mol/L)でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。液体溶液をNaHCO水溶液によりpH>8に調整し、EtOAc(200mL×2)で抽出した。合わせた有機層を濃縮して、化合物14c(10.5g、収率88%)を白色固体として得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.91 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 7.41-7.33 (m, 5H), 6.34 (dd, J =
6.0 Hz, 2.0 Hz, 1H), 6.05 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 5.05 (s, 2H), 4.38 (s, 2H).
化合物14dの調製のための手順:
t-BuOH(50mL)中の化合物14c(10.5g、52.5mmol)の混合物に、BocO(12.6g、1.1当量)を添加し、次いで溶液を50℃で2.0時間撹拌した。完了後、EtOH(300mL)を反応溶液に添加した。混合物を室温まで冷却し、濾過し、濃縮して、生成物(16g、収率95.2%)を得た。LCMS 10-80AB_2.0分クロマトグラフィー、(Welch Xtimate C18 2.1×30mm)においてR=0.946分、MS(ESI)m/z=300.9[M
+H]
化合物14eの調製のための手順:
MeOH(300mL)中の化合物14d(15g、50mmol)の溶液に、Pd/C(3.0g)を添加した。溶液を室温で3.0時間撹拌した。次いで、反応溶液を濾過し、濾液を濃縮して、さらに精製することなく化合物14e(8.5g、収率80.9%)を白色固体として得た。
化合物14fの調製のための手順:
DMF(100mL)中の化合物14e(5.0g、28.9mmol)および1,5-ジフルオロ-2-メチル-4-ニトロベンゼン(6.06g、28.9mmol)の溶液に、KCO(5.9g、43.4mmol)を添加し、溶液を室温で終夜撹拌した。混合物を濃縮し、残留物をシリカゲルカラム(PE/EtOAc=1/2)により精製して、化合物14f(6.5g、収率61.9%)を黄色固体として得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 8.24 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 8.06 (d, J=8.0 Hz, 1H), 8.00 (s, 1H), 7.86 (s, 1H), 6.79-6.82 (d, J=11.6 Hz, 1H), 6.57 (m, 1H), 2.30 (s, 3H), 1.50 (s, 9H).
化合物14gの調製のための手順:
DCM(40mL)中の化合物14f(6.5g、17.9mmol)の溶液に、TFA(15mL)を添加し、溶液を3.0時間還流撹拌した。TLCは、出発物質が消費されたことを示した。LCMSは、生成物が見出されたことを示した。混合物を濃縮し、残留物をNaHCO水溶液で洗浄し、DCMで抽出した。合わせた有機層を濃縮して、化合物14g(4.5g、95%)を黄色油状物として得、これを次のステップで直接使用した。
化合物14hの調製のための手順:
DMF-DMA(20.0mL)中の化合物14g(4.5g、13.8mmol)の溶液を、3.0時間還流撹拌した。混合物を濃縮して、化合物14h(6.2g、粗製)を黄色油状物として得、これを次のステップに直接使用した。LCMS:0-60AB_4分クロマトグラフィー、(Welch Xtimate C18 2.1×30mm)においてR=2.579分、MS(ESI)m/z=319.0[M+H]
化合物14iの調製のための手順:
i-PrOH(50.0mL)中の化合物14h(6.3g、13.8mmol)の溶液に、NHOH.HCl(1.3g、13.8mmol)を添加し、溶液を室温で4.0時間撹拌した。混合物を濾過して、化合物14i(5.5g、粗製)を黄色固体として得、これを次のステップに直接使用した。LCMS:5-95AB_1.5分クロマトグラフィー、(Welch Xtimate C18 2.1×30mm)においてR=0.767分、MS(ESI)m/z=307.0[M+H]
化合物14jの調製のための手順:
THF(50.0mL)中の化合物14i(5.0g、13.0mmol)の溶液に、TFAA(4.5g、16.9mmol)を添加し、溶液を50℃で終夜撹拌した。混合物をNaHCOでpH>8に調整し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を濃縮し、残留物をシリカゲルカラムにより精製して、化合物14j(2.1g、粗製)を黄色固体として得た。
化合物14kの調製のための手順:
EtOH(100mL)およびHO(50mL)中の化合物14j(3.0g、10.4mmol)の溶液に、Fe(2.9g、52mmol)およびNHCl(3.2g、63mmol)を添加し、溶液を3.0時間還流撹拌した。反応溶液を濾過し、濾液を濃縮して、粗生成物を得、これを分取HPLC(カラム:AD(250×30mm、5um):5~25%B(A=45%MeOH NHO 水、B=アセトニトリル)、流速:50mL/分、UV検出器220nm)により精製して、化合物14k(700mg、収率19.7%)を白色固体として得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 8.47 (d, J =
7.6 Hz, 1H), 8.21 (s, 1H), 6.85-6.83 (m, 1H), 6.79-6.71 (m, 3H), 3.71 (s, 2H),
2.06 (s, 3H).
化合物14lの調製のための手順:
i-PrOH(5.0mL)中の化合物14k(400mg、1.55mmol)の溶液に、トリエトキシメタン(690mg、4.65mmol)を添加した。溶液を100℃で1.0時間撹拌し、次いで2-アミノ-6-フルオロ-4-メトキシベンゾニトリル(260mg、1.55mmol)およびTFA(0.2mL)を反応溶液に添加し、溶液を2.0時間還流撹拌した。反応溶液を濃縮し、残留物をPE/EtOAc(v/v=10/1、3.0mL)により洗浄して、化合物14l(400mg、粗製)を黄色固体として得、これを直接次のステップで直接使用した。LCMS:5-95AB_1.5分クロマトグラフィー、(Welch Xtimate C18 2.1×30mm)においてR=0.753分、MS(ESI)m/z=434.9[M+H]
化合物14mの調製のための手順:
DMF(5.0mL)中の化合物14l(400mg、0.92mmol)の溶液に、t-BuONa(260mg、2.76mmol)および化合物1i(280mg、1.84mmol)を添加し、溶液を120℃で2.0時間撹拌した。反応溶液を濾過し、濾液を濃縮した。残留物を分取HPLC(カラム:YMC-Triat、10~30%B(A=TFA 水、B=アセトニトリル)、流速:30mL/分、UV検出器220nm)により精製して、14m(202mg、収率38.7%)を白色固体として得た。LCMS:0-60AB_2.0分クロマトグラフィー、(Welch MK RP-18e、25-2mm SN:UM8505/155)においてR=1.004分、MS(ESI)m/z=566.1[M+H]1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 9.15 (d, J = 10.0 Hz,1H), 9.13 (s, 1H), 8.83 (s, 1H), 8.27 (d, J = 8.4Hz, 1H), 7.51 (dd, J = 7.6
Hz, 2.8 Hz, 1H), 7.40-7.33 (m, 3H), 7.03 (s, 1H), 5.78 (m, 1H), 4.27 (m, 1H), 4.11 (s, 3H), 4.02-3.91 (m, 1H), 3.83-3.80 (m, 1H), 3.63-3.57 (m, 1H), 3.11 (s, 3H), 2.83 (m, 1H), 2.52 (m, 1H), 2.30 (s, 3H).
化合物14の調製のための手順:
化合物14m(150mg、0.265mmol)をSFCにより分離して、生成物である化合物14’(55mg、収率36.7%)を白色固体として、化合物14(54mg、収率36%)を白色固体として得た。
化合物14’(エナンチオマー-2):
LCMS 5-95AB_1.5分クロマトグラフィー、(Welch MK RP-18e、25-2mm SN:UM8505/155)においてR=0.672分、MS(ESI)m/z=566.2[M+H]1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 8.78 (d,
J = 7.2 Hz,1H), 8.48 (s, 1H), 8.33 (s, 1H), 8.27 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.15 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 7.10 (dd, J = 7.6 Hz, 2.0 Hz, 1H), 6.99 (s, 1H), 6.94 (s, 1H),
6.90 (s, 1H), 5.21-5.13 (m, 1H), 3.99 (s, 3H), 3.22-3.17 (m, 1H), 2.96-2.93 (m,
1H), 2.72-2.62 (m, 1H), 2.52-2.46 (m, 2H), 2.41 (s, 3H), 2.24 (s, 3H), 2.17-2.13 (m, 1H).
化合物14(エナンチオマー-1):
LCMS:5-95AB_1.5分クロマトグラフィー、(Welch MK RP-18e、25-2mm SN:UM8505/155)においてR=0.675分、MS(ESI)m/z=566.2[M+H]1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 8.78 (d,
J = 7.2 Hz,1H), 8.47 (s, 1H), 8.33 (s, 1H), 8.27 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.15 (d, J = 10.4 Hz, 1H), 7.10 (dd, J = 7.6 Hz, 2.0 Hz, 1H), 6.97 (s, 1H), 6.94 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 6.90 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 5.17-5.09 (m, 1H), 3.99 (s, 3H), 3.20-3.15 (m, 1H), 2.94-2.91 (m, 1H), 2.69-2.59 (m, 1H), 2.49-2.43 (m, 2H), 2.40 (s, 3H), 2.25 (s, 3H), 2.17-2.13 (m, 1H).
実施例15
(±)-(5-(((2S,4S)-2-(ジフルオロメチル)ピペリジン-4-イル)オキシ)-N-(4-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチ
ルフェニル)キナゾリン-4-アミン
および
(±)-(5-(((2R,4S)-2-(ジフルオロメチル)ピペリジン-4-イル)オキシ)-N-(4-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)キナゾリン-4-アミン
【0183】
【化29】
【0184】
化合物15bの調製のための手順:
THF(10mL)中の化合物15a(0.271g、1.44mmol)の溶液に、NaH(0.241g、6.02mmol、鉱油中60%)を添加した。得られた混合物を20~27℃で0.5時間撹拌した。次いで、2-フルオロ-6-ニトロベンゾニトリル(0.2g、1.20mmol)を上記混合物に添加した。得られた混合物を20~27℃で20時間撹拌した。次いで、反応混合物を水(40ml)に注ぎ入れ、EtOAc(20mL×2)で抽出した。合わせた有機層をブライン(40mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、生成物15b(0.28g、収率78.2%)を黄色油状物として得た。LCMS:1.5分クロマトグラフィーにおいてR=0.389分、MS(ESI)m/z=298.0[M+H]。生成物は、シスおよびトランス異性体の混合物である。
化合物15cの調製のための手順:
MeOH(10mL)中の化合物15b(0.28g、0.94mmol)の溶液に、Pd-C(0.1g、50%HOおよび10%Pd)を添加した。得られた混合物をHバルーン下、20~25℃で1時間撹拌した。完了後、反応混合物を濾過し、MeOH(10mL×3)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮して、粗生成物15c(0.2g)を無色油状物として得、これをさらに精製することなく次のステップに使用した。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 1.97-2.13 (0.3H, m), 2.13-2.24 (1H, m), 2.25-2.28 (1H, m), 2.97-2.98 (1H, m), 3.24-3.30 (1H, m), 4.34-4.48 (2H, m), 5.70 (td, J1 = 56.4 Hz, J2
= 4.8 Hz), 6.24 (0.6H, t, J = 8.0 Hz), 6.32 (1H, d, J = 8.0 Hz), 6.79 (0.7H, t,
J = 8.8 Hz), 7.18-7.23 (0.6H, m), 7.47-7.51 (0.3H, m).
化合物15dの調製のための手順:
トルエン(5mL)中の化合物15c(0.05g、0.19mmol)の溶液に、DMF-DMA(0.075mL、0.56mmol)を添加した。得られた混合物を110℃で2時間撹拌した。反応物を減圧下で濃縮して、粗化合物15d(0.06g)を黄色油状物として得、これをさらに精製することなく次のステップで直接使用した。LCMS:1.5分クロマトグラフィーにおいてR=0.123分、MS(ESI)m/z=
323.1[M+H]
化合物15の調製のための手順:
AcOH(5mL)中の化合物15d(0.054g、0.17mmol)の溶液に、化合物8e(0.04g、0.17mmol)を添加した。得られた混合物を110℃で2時間撹拌した。LCMSは、反応が完了したことを示した。反応物を減圧下で濃縮して、残留物を得た。残留物を分取HPLC(Waters Xbridge Prep OBD C18 150×30 5u、33%~63%B、A=水/0.05%水酸化アンモニア、B=MeCN)により精製した。MeCNの大部分を減圧下で除去し、残った溶媒を凍結乾燥により除去して、異性体-1である化合物15(2.5mg、収率:2.9%)を白色固体として、異性体-2である化合物15’(1.4mg、収率:1.6%)を黄色固体として得た。
【0185】
化合物15(±)異性体-1:LCMS:4.0分クロマトグラフィーにおいてR=1.654分、MS(ESI)m/z=517.1[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 1.91-1.99 (2H, m), 2.22-2.25 (4H, m), 2.35 (1H, d, J = 12.4 Hz), 3.01-3.05 (2H, m), 3.35 (1H, m), 5.28 (1H, s), 5.78 (1H, t, d, J = 56.0, 4.4 Hz),
6.62 (1H, d, J = 2.4 Hz), 6.82 (1H, d, J = 7.6 Hz), 7.14 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.20 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.39 (1H, d, J = 8.0 Hz),7.43 (1H, s), 7.70-7.79 (4H, m), 8.41 (1H, d, J = 7.6 Hz), 8.48 (1H, s).
化合物15‘:(±)異性体-2 LCMS:4.0分クロマトグラフィーにおいてR=1.691分、MS(ESI)m/z517.1[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 2.19-2.39 (5H, m), 2.72 (1H, d, J = 12.4 Hz), 2.37 (1H, t, d, J = 14.4 Hz), 3.48 (1H, t, J = 13.2 Hz), 3.74 (1H, d, J = 12.0 Hz), 4.09-4.14 (1H,
m), 5.36 (1H, s), 6.33 (1H, t, J = 53.6 Hz), 7.04 (1H, d, J = 1.6 Hz),7.35 (2H,
d, J = 8.4 Hz), 7.50 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.71 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.83-7.91 (3H, m), 8.09-8.12 (2H, m), 8.80-8.82 (2H, m).
実施例16
N-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-5-((3,3-ジフルオロピペリジン-4-イル)オキシ)-7-メトキシキナゾリン-4-アミン
【0186】
【化30】
【0187】
化合物16bの調製のための手順:
CHCl(200mL)中の化合物16a(10g、72.92mmol)の溶液に、BocO(15.92g、72.92mmol)を添加し、反応混合物を10℃で12時間撹拌した。混合物を真空下で濃縮し、残留物を酢酸エチル(200mL)と水(100mL)との間で分配した。水層をEtOAc(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残留物をシリカカラムクロマトグラフィー(20%EtOAc:80%石油エーテル、120gのシリカカラム)により精製して、化合物16b(13g、収率75.1%)を白色固体として得た。1H
NMR (400MHz, CDCl3) δ 4.03- 3.90 (m, 1H), 3.84-3.62 (m, 2H), 3.61-3.40 (m, 2H), 2.13 (br. s., 1H), 1.95 (br. s., 1H), 1.86-1.74 (m, 1H), 1.46 (s, 9H).
化合物16cの調製のための手順:
THF/DMF(20mL/8mL)中の化合物16b(569.74mg、0.24mmol)の溶液に、t-BuOK(404.21mg、0.36mmol)を添加した。混合物を20℃で20分間撹拌した。次いで、化合物6e(500mg、0.12mmol)を添加した。反応混合物を90℃で5時間撹拌し、次いで真空下で濃縮した。完了後、残留物を酢酸エチル(100mL)と水(500mL)との間で分配した。水層をEtOAc(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残留物をシリカカラムクロマトグラフィー(10%MeOH:90%DCM、40gのシリカカラム)により精製して、粗生成物を得、これをSFCにより分離して、エナンチオマー-1である化合物16c(300mg、収率16.43%)を得た。LCMS:10-80AB_2.0分 A:、Xtimate、2.1×30mm、3um 3U411201577 B:XBrige Shield 2.1×50mm、SN:01193135614705においてR=1.028分、MS(ESI)m/z=634.4[M+H]1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 9.62 (s, 1H), 8.61 (s, 1H), 8.53-8.46 (m, 1H), 8.22 (s, 1H), 7.79 (d, J=1.8 Hz, 1H), 7.67 (d, J=8.4
Hz, 1H), 7.07 (d, J=8.8 Hz, 1H), 6.97-6.84 (m, 3H), 6.51 (s, 1H), 4.74 (dt, J=5.3, 10.6 Hz, 1H), 4.21 (br. s., 1H), 4.00-3.91 (m, 3H), 3.72 (q, J=7.1 Hz, 1H), 3.34 (br. s., 1H), 3.12 (br. s., 1H), 2.41 (d, J=12.8 Hz, 1H), 2.27-2.20 (m, 3H), 2.09 (d, J=5.3 Hz, 1H), 1.57-1.32 (m, 9H).
化合物16の調製のための手順:
EtOAc(10mL)中の化合物16c(300mg、0.47mmol)の溶液に、HCl/EtOAc(3mL)を添加した。混合物を10℃で1時間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、残留物を分取HPLCにより精製して、化合物16(217.0mg、収率85.9%)をHCl塩の形態で白色固体として得た。LCMS:10-80AB_2.0分_220&254クロマトグラフィー(Xtimate ODS 2.1×30mm、3um)においてR=0.746分、MS(ESI)m/z=534.3[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 9.06 (d, J=7.5 Hz, 1H), 8.99 (s,
1H), 8.77 (s, 1H), 7.89-7.76 (m, 2H), 7.42 (dd, J=2.4, 7.7 Hz, 1H), 7.34 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.29 (d, J=1.3 Hz, 1H), 7.16 (d, J=2.6 Hz, 1H), 6.97 (d, J=1.8 Hz, 1H), 5.78-5.63 (m, 1H), 4.16-4.03 (m, 4H), 3.90-3.75 (m, 1H), 3.66 (d, J=12.8 Hz, 1H), 3.56-3.44 (m, 1H), 2.85 (d, J=14.1 Hz, 1H), 2.47-2.32 (m, 1H), 2.29 (s, 3H).
実施例17
(S)-N-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-5-((3,3-ジフルオロ-1-メチルピペリジン-4-イル)オキシ)-7-フルオロキナゾリン-4-アミン
および
(R)-N-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-5-((3,3-ジフルオロ-1-メチルピペリジン-4-イル)オキシ)-7-フルオロキナゾリン-4-アミン
【0188】
【化31】
【0189】
化合物17bの調製のための手順:
アセトニトリル(128mL)およびアンモニア(64mL)中の化合物17a(5g、31.8mmol)の溶液を、TLC(R=0.7、石油エーテル:酢酸エチル=2:1)によりモニターしながら室温で3日間撹拌した。混合物をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄した。有機層を乾燥させ、濃縮して、粗生成物を得、これを、石油エーテル:酢酸エチル=10:1~2:1(v/v)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、化合物17b(1.5g、収率:30%)を得た。1H NMR (400MHz, CDCl3)
δ 6.28-6.23 (m, 2H), 4.70 (br, 2H).
化合物17cの調製のための手順:
トルエン(20mL)中の化合物17b(500mg、3.24mmol)およびDMF-DMA(580mg、4.86mmol)の溶液を、TLC(R=0.5、石油エーテル:酢酸エチル=2:1)によりモニターしながら120℃で2時間撹拌した。溶媒を真空中で除去して、化合物17c(690mg、粗製)を得、これを次のステップで直接使用した。
化合物17dの調製のための手順:
酢酸(15mL)中の化合物17c(690mg、3.24mmol)および化合物1f(780mg、3.24mmol)の溶液を、120℃で2時間撹拌した。溶媒を真空中で除去し、残留物をNaHCO溶液で希釈して、pHを7~8に調整した。次いで、混合物を濾過し、濾過ケーキを真空中で乾燥させて、化合物17d(720mg、収率55%)を得た。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 9.25 (br, 1H), 8.93 (d, J= 7.6 Hz, 1H
), 8.56 (s, 1H), 8.37 (s, 1H), 7.70-7.65 (m, 3H), 7.57 (d, J= 9.6 Hz, 1H ), 7.20 (d, J= 9.2 Hz, 1H ), 7.02 (dd, J1 = 2.4 Hz, J2= 7.2 Hz, 1H ), 6.78 (d, J= 2.8 Hz, 1H ), 2.18 (s, 3H).
化合物17の調製のための手順:
DMF-THF(40mL、2:5)中の化合物17d(720mg、1.78mmol)、化合物1i(335mg、1.78mmol)およびカリウムt-ブトキシド(700mg、6.23mmol)の溶液を、LCMSによりモニターしながら100℃で終夜撹拌した。溶液を濾過し、濾液を乾燥させ、濃縮して、粗生成物17e(900mg)を得た。300mgの粗生成物を分取HPLC(カラム:Waters Xbridge
C18 150×20mm×5um、勾配:34~54%B(A=水/0.05%アンモニア、B=アセトニトリル)、流速:25mL/分)およびSFC(カラム:OD(250mm×50mm、5um)、条件:NH・HO中40%EtOH 50mL/分)により精製して、化合物17(64.9mg)および化合物17’(12.2mg)を得た。
【0190】
化合物17(エナンチオマー-1):LCMS:4分クロマトグラフィーにおいてR=1.487分、MS(ESI)m/z=536.3[M+H]1H NMR (400MHz, メ
タノール-d4) δ 8.78-8.73 (m, 2H ), 8.31 (s, 1H), 7.82-7.77 (m, 2H), 7.52 (dd, J1 = 2.4 Hz, J2= 10.8 Hz, 1H ), 7.23-7.10 (m, 3H), 6.80 (d, J= 2.4 Hz, 1H ), 5.45 (br, 1H), 3.81 (br, 1H), 3.39-3.31 (m, 2H), 3.04-3.01 (m, 1H), 2.77-2.69 (m, 4H), 2.32-2.21 (m, 4H).
化合物17’(エナンチオマー-2):LCMS 4分クロマトグラフィーにおいてR=1.421分、MS(ESI)m/z536.1[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 8.79-8.76 (m, 2H ), 8.33 (s, 1H), 7.82-7.56 (m, 3H), 7.27-7.22 (m, 2H), 7.10 (dd, J1 = 2.4 Hz, J2= 7.2 Hz, 1H), 6.81 (d, J= 2.4 Hz, 1H), 75.56-5.49 (m, 1H), 3.94 (br, 1H), 3.54-3.43 (m, 2H), 3.22-3.15 (m, 1H), 2.86-2.74 (m,
4H), 2.34-2.28 (m, 4H).
実施例18
N-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-5-((3,3-ジフルオロ-1-メチルピペリジン-4-イル)オキシ)-7-((テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ)キナゾリン-4-アミン
【0191】
【化32】
【0192】
化合物18の調製のための手順:
DMF-THF(5mL、2:5)中の化合物17e(70mg、0.2mmol)、テトラヒドロフラン-3-オール(35mg、0.4mmol)およびカリウムt-ブトキシド(68mg、0.6mmol)の溶液を、LCMSによりモニターしながら100℃で終夜撹拌した。溶液を分取HPLC(カラム:Phenomenex Gemini
C18 200×25mm×10um、勾配:37~67%B(A=水、B=アセトニトリル)、流速:25mL/分)、続いてSFC分離により精製して、化合物18(7.2mg、収率9.1%)を得た。
【0193】
LCMS:4分クロマトグラフィーにおいてR=1.540分、MS(ESI)m/z=604.1[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 8.72 (d, J= 7.6 Hz, 1H ), 8.44 (s, 1H), 8.27 (s, 1H), 7.79-7.77 (m, 2H), 7.14 (d, J= 8.4 Hz, 1H ), 7.04 (d, J= 9.6 Hz, 1H ), 6.88 (d, J= 2.0 Hz, 1H ), 6.79 (dd, J1 = 2.4 Hz, J2= 7.2 Hz, 1H ), 5.15-5.05 (m, 2H), 4.06-3.90 (m, 4H), 3.27 (brs, 1H), 2.95-2.92 (m, 1H), 2.47-2.35 (m, 7H), 2.22-2.18 (m, 4H), 2.06-2.06 (m, 1H).
実施例19
N-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-5-(((2S,4S)-5,5-ジフルオロ-1,2-ジメチルピペリジン-4-イル)オキシ)キナゾリン-4-アミン
および
N-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-5-(((2R,4R)-5,5-ジフルオロ-1,2-ジメチルピペリジン-4-イル)オキシ)キナゾリン-4-アミン
【0194】
【化33】
【0195】
化合物19bの調製のための手順:
MeOH(400mL)中の化合物19a(30g)の溶液に、エチル(E)-ブタ-2-エノエート(31.96g、0.28mol)を添加した。得られた混合物を75℃で48時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して、粗化合物19b(62g、粗製)を黄色油状物として得た。粗生成物をさらに精製することなく次のステップで直接使用した。
化合物19dの調製のための手順:
MeOH(300mL)中の化合物19b(30g、0.136mol)の溶液に、化合物19c(16.2g、0.136mol)および(CHO)(4.9g、0.163mol)を添加した。混合物をN保護下、15~20℃で18時間撹拌した。反応混合物を濾過し、真空中で濃縮して、残留物を得た。残留物をフラッシュシリカクロマトグラフィー、PE/EA=1/0~9/1~4/1により精製した。純粋な画分を蒸発乾固させて、化合物19d(25.6g、収率55.7%)を黄色油状物として得た。
化合物19fの調製のための手順:
乾燥THF(200mL)中の亜鉛末(9.89g、151.3mmol)の懸濁液に、TMSCl(16.44g、151.3mmol)をN下、12~20℃で添加した。10分後、化合物19e(16.89g、83.22mmol)を滴下添加し、温度を12~20℃に維持した。混合物をさらに10分間撹拌した。次いで、THF(100mL)中の化合物19d(25.6g、75.65mmol)の溶液を、上記混合物に添加し、12~20℃で18時間撹拌した。完了後、5%NaHCO水溶液(500mL)を添加して反応物をクエンチした。次いで、混合物を濾過し、濾液をEtOAc(200mL×2)で抽出した。合わせた層をブライン(600mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、残留物を得た。残留物を、石油エーテル:酢酸エチル(0/1~97:3~95:5)を用いるフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、化合物19f(11.0g、収率42.3%)を無色油状物として得た。LCMS:1.5分クロマトグラフィーにおいてR=0.905分、MS(ESI)m/z=344.1[M+H]1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 1.04 (3H, d, J = 6.8 Hz), 1.30 (3H, t, J
= 6.8 Hz), 2.04-2.24 (1H, m), 2.48-2.54 (1H, m), 3.11 (2H, t, J = 13.2 Hz), 3.28-3.30 (1H, m), 3.61 (3H, s), 3.70 (2H, dd, J = 14.0, 34.4 Hz), 4.22-4.27 (2H, m), 7.24-7.29 (5H, m).
化合物19gの調製のための手順:
THF(100mL)中のLDA(70.5mL、n-ヘプタンおよびTHF中2M)
の溶液に、THF(100mL)中の化合物19f(32.4g、4.08mmol)をN下、-65℃で添加した。冷却浴を取り外し、反応混合物を15~23℃までゆっくりと加温し、さらに20時間撹拌した。反応混合物をNHCl(500mL)に注ぎ入れ、酢酸エチル(200mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(600mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、化合物19g(31.0g、粗製)を褐色油状物として得た。LCMS:1.5分クロマトグラフィーにおいてR=0.866分、MS(ESI)m/z=298.0[M+H]1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 1.21-1.28 (3H, m), 3.06-3.10 (1H, m), 3.21-3.33 (2H, m), 3.69-3.84
(6H, m), 7.28-7.36 (5H, m).
化合物19hの調製のための手順:
3M HCl(400mL)中の化合物19g(30.0g、100.9mmol)の溶液を加熱還流し、18時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、次いで固体NaHCOでpHを7~8に調整した。水相をEtOAc(200mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(700mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空中で濃縮して、化合物19h(17.6g、粗製)を得、これをさらに精製することなく次のステップで使用した。
化合物19iの調製のための手順:
EtOH(200mL)中の化合物19h(17.6g、0.068mol)の溶液に、NaBH(3.86g、0.102mol)を0℃で添加した。得られた混合物を16~25℃で20時間撹拌した。完了後、HCl溶液(3M、10mL)を添加して反応物をクエンチした。反応混合物をHO(200mL)で希釈し、EtOAc(200mL×3)で抽出した。合わせた有機層を真空中で濃縮して、化合物19i(16.8g、粗製)を得、これをさらに精製することなく次のステップで使用した。LCMS:1.5分クロマトグラフィーにおいてR=0.173分、MS(ESI)m/z=242.0[M+H]
化合物19jの調製のための手順:
MeOH(50mL)中の化合物19i(2.0g、8.29mmol)およびPd/C(250mg、50%HOおよび10%Pd)の溶液に、(CHO)n(1.24g、41.45mmol)を添加した。得られた混合物を344.74kPa(50psi)および50℃の水素雰囲気下で18時間撹拌した。反応混合物を濾過し、MeOH(20mL×3)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮して、化合物19j(1.3g、粗製)を黄色油状物として得、これをさらに精製することなく次のステップで使用した。
化合物19kの調製のための手順:
DMF(20mL)/THF(8mL)中の化合物1h(1.0g、2.59mmol)の溶液に、化合物19j(1.28g、7.77mmol)およびカリウムtert-ブトキシド(1.02g、9.07mmol)を添加した。得られた混合物を100℃で16時間撹拌した。反応混合物を水(100mL)に注ぎ入れ、酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(300mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、残留物を得た。残留物を分取HPLC(カラム:Phenomenex Gemini C18 250×50mm×10um、30~60%B(A=水/0.05%水酸化アンモニア、B=アセトニトリル)、流速:90mL/分)により精製して、トランスおよびシス混合物19k(0.7g、粗製)を淡赤色固体として得た。LCMS:4.0分クロマトグラフィーにおいてR=1.960分、MS(ESI)m/z=532.3[M+H]
化合物19の調製のための手順:
化合物19k(0.7g、粗製)を、AD(250mm×30mm、5um)カラム、移動相:A:CO B:エタノール(0.05%DEA);条件:ベース-EtOH、開始B40%および終了B40%、流速(ml/分)=50上での分取キラルHPLCにより分離した。所望の化合物を含有する画分を蒸発乾固させて、4つの異性体を得、次いで分取HPLC(Waters Xbridge Prep OBD C18 150×
30 5u、35%~65%B(A=水/0.05%水酸化アンモニア、B=MeCN)により再精製して、トランスエナンチオマー-1である化合物19’(16.3mg、収率2.3%)を白色固体として、トランスエナンチオマー-2である化合物19(10.7mg、収率:1.5%、トランス、ピーク2)を白色固体として得た。化合物19’(トランスエナンチオマー-1):LCMS:4.0分クロマトグラフィーにおいてR=1.946分、MS(ESI)m/z532.3[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 1.19 (3H, d, J = 6.8 Hz), 2.11-2.16 (1H, m), 2.26 (3H, s), 2.31-2.38
(4H, m), 2.82 (1H, s), 2.91-2.97 (1H, m), 3.20-3.22 (1H, m), 5.22-5.24 (1H, m),
6.81 (1H, d, J = 2.4 Hz), 7.06 (1H, dd, J = 4.8, 7.2 Hz), 7.20 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.29 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.45 (1H, d, J = 7.6 Hz), 7.77-7.82 (3H, m), 8.29
(1H, s), 8.52 (1H, s), 8.74 (1H, d, J = 7.6 Hz).化合物19(トランスエナンチオ
マー-2):LCMS:4.0分クロマトグラフィーにおいてR=1.902分、MS(ESI)m/z532.3[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 1.18 (3H, d, J = 6.4 Hz), 2.08-2.13 (1H, m), 2.23 (3H, s), 2.29-2.37 (4H, m), 2.80 (1H, s), 2.89-2.92 (1H, m), 3.18-3.20 (1H, m), 5.17-5.24 (1H, m), 6.80 (1H, d, J = 2.4 Hz), 7.03 (1H, d, J = 7.6 Hz), 7.16 (1H, d, J = 8.8 Hz), 7.27 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.42 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.74-7.79 (3H, m), 8.27 (1H, s), 8.49 (1H, s), 8.71 (1H, d, J = 7.2 Hz).
実施例20
N-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-5-(((1R,3s,5S)-8-メチル-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)オキシ)キナゾリン-4-アミン
【0196】
【化34】
【0197】
化合物20の調製のための手順:
DMF(5mL)中の化合物1h(100mg、0.26mmol)の溶液に、カリウムtert-ブトキシド(58mg、0.52mmol)を25℃で添加した。得られた混合物を90℃で5日間撹拌した。反応混合物を25℃に冷却し、濾別した。濾液を分取HPLC(カラム:Phenomenex Gemini C18 250×21.2mm×5um、65~95%B(A=水/0.05%アンモニア、B=メタノール)、流速:25mL/分)により精製して、化合物20(9.1mg、収率:6.93%)を白色固体として得た。LCMS:4.0分クロマトグラフィーにおいてR=2.842分、MS(ESI)m/z=508.2[M+H]1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.74 (2H, d, J = 7.6 Hz), 2.03-2.08 (2H, m), 2.18-2.33 (7H, m), 2.39 (3H, s), 3.33-3.43
(2H, m), 4.80-4.89 (1H, m), 6.88-6.95 (3H, m), 7.09 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.46 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.61-7.65 (2H, m), 7.77 (1H, s), 8.23 (1H, s), 8.49 (1H, d, J = 7.6 Hz), 8.65 (1H, s), 10.13 (1H, br.s.)
実施例21
5-((5,5-ジフルオロ-1-メチルアゼパン-4-イル)オキシ)-N-(4-(イミダゾ[1,2-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)キナゾリン
-4-アミン
【0198】
【化35】
【0199】
化合物21の調製のための手順:
合成は化合物11と同様の実験手順に従い、SFC分離後に化合物21を固体として得た。LCMS:4.0分クロマトグラフィーにおいてR=1.459分。MS(ESI)m/z=531.3[M+H]1HNMR (400MHz, メタノール-d4) δ 8.64 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.53 (s, 1H), 7.95 (s, 1H), 7.86-7.85 (m, 2H), 7.83 (t, J = 8.4 Hz,
1H), 7.78-7.75 (m, 1H), 7.71-7.69 (m, 1H), 7.48 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.25-7.19 (m, 2H), 7.17-7.15 (m, 1H), 6.83 (s, 1H), 5.37-5.27 (m, 1H), 3.36-3.31 (m, 2H), 3.23-3.20 (m, 2H), 2.75 (s, 3H), 2.72-2.59 (m,2H), 2.49-2.40 (m, 2H), 2.26 (s, 3H).
実施例22
5-((3,3-ジフルオロ-1-メチルピペリジン-4-イル)オキシ)-N-(4-((6-フルオロ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イル)オキシ)-3-メチルフェニル)-7-メトキシキナゾリン-4-アミン
【0200】
【化36】
【0201】
合成は化合物6と同様の実験手順に従い、化合物22を固体として得た。粗生成物22aを、溶離液としてのIPA中50%COで定組成溶出するCHIRALPAK AD-H SFC5×25cm、5um Chiral-P(AD-H)006S90ADHSCY-QH001カラム上での分取SFCにより精製した。所望の化合物を含有する画分を蒸発乾固させて、化合物22(エナンチオマー-1):(350mg、収率33.3%)をオフホワイトの固体として得た。LCMS:MS(ESI)m/z=566.2[M+H];HPLC R=1.911分。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.22 (d, 1H), 2.27 (s, 5H), 2.32 - 2.65 (m, 6H), 2.97 (d, 1H), 3.18 - 3.34 (m, 1H), 3.95 (s, 3H), 4.63 (td, 1H), 6.52 (d, 1H), 6.86 (d, 1H), 6.94 (d, 1H), 7.10 (d, 1H), 7.78 (dd, 1H), 7.85 (d, 1H), 8.23 (s, 1H), 8.55 - 8.67 (m, 2H), 9.80 (s, 1H). 19F NMR (282 MHz, CDCl3) δ -154.2, -116.6, -109.7.
実施例23
5-((3,3-ジフルオロ-1-メチルピペリジン-4-イル)オキシ)-N-(4-((6-フルオロ-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イル)オキシ)-3-メチルフェニル)-6-メトキシキナゾリン-4-アミン
【0202】
【化37】
【0203】
合成は化合物3と同様の実験手順に従い、化合物23aを固体として得た。粗生成物23aを、溶離液としてのEtOH中50%CO(NH 2mMで修飾)で定組成溶出するCHIRALPAK IF2×25cm、5um86445S90IF0SCJ-RA002カラム上での分取SFCにより精製した。所望の化合物を含有する画分を蒸発乾固させて、化合物23(エナンチオマー-1):(25.00mg、収率25.0%)をオフホワイトの固体として得た。化合物23(エナンチオマー-1):LCMS:MS(ESI)m/z=566.2[M+H];HPLC:R=1.193分。1H NMR (CRO-HER2_P-1-202-011-01, 300 MHz, メタノール-d4) δ 2.04 - 2.16 (m, 1H), 2.32 (d, 8H), 2.48 (dd, 1H), 2.94 (d, 1H), 3.19 (s, 1H), 4.07 (s, 3H), 4.89 - 5.06 (m, 1H), 6.86 (d, 1H), 7.23 (d, 1H), 7.63 (d, 1H), 7.79 (d, 1H), 7.85 (d, 2H), 8.30 (s, 1H), 8.44 (s, 1H), 9.07 (d, 1H). 19F NMR (282 MHz, メタノール-d4) δ-156.2, -118.2, -111.7.
実施例24
N-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-5-((3,3-ジフルオロ-1-(メチル-d)ピペリジン-4-イル)オキシ)キナゾリン-4-アミン
【0204】
【化38】
【0205】
化合物24aの調製のための手順:
DMF(20mL)およびTHF(8mL)中の化合物1h(0.5g、1.29mmol)の溶液に、化合物27a(0.307g、1.29mmol)およびt-BuOK(0.508g、4.53mmol)を添加した。得られた混合物を100℃で16時間撹拌した。LCMSは、反応が完了したことを示した。水(20mL)を添加し、EtOAc(30mL×3)で抽出し、合わせた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮して、粗生成物を得、これをフラッシュシリカクロマトグラ
フィー、EtOAc/MeOH=1/0~9/1により精製した。純粋な画分を蒸発乾固させて、化合物24a(760mg、収率92.2%)を黄色油状物として得た。LCMS:4.0分クロマトグラフィーにおいてR=2.794分、MS(ESI)m/z604.1[M+H]。SFC分析方法:カラム:Chiralcel OD-3 100×4.6mm I.D.、3um;移動相:A:CO B:エタノール(0.05%DEA);勾配:4.5分で5%~40%のB、2.5分間40%を保持し、次いで1分間5%のB;流速:2.8mL/分 カラム温度:40℃
化合物24bの調製のための手順:
化合物24aを、OD(250mm×30mm、5um)カラム、移動相:A=CO、B=エタノール(0.05%DEA);条件:ベース-EtOH、流速:50ml/分上での分取キラルHPLCにより分離した。所望の化合物を含有する画分を蒸発乾固させて、化合物24b’(0.340g、収率44.7%)(異性体-1)および化合物24b(0.310g、収率40.8%)(異性体-2)を両方とも薄黄色固体として得た。化合物24b’:エナンチオマー-1 LCMS:1.5分クロマトグラフィーにおいてR=0.760分、MS(ESI)m/z626.1[M+Na]。化合物24b:エナンチオマー-2 LCMS:1.5分クロマトグラフィーにおいてR=0.762分、MS(ESI)m/z626.1[M+Na]
化合物24cの調製のための手順:
DCM(4mL)中の化合物24b(0.15g、0.25mmol、エナンチオマー-2)の溶液に、TFA(1mL、12.98mmol)を添加した。得られた混合物を16~18℃で2時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して、残留物を得た。残留物をMeOH(3mL)で希釈し、アンモニアでpHを8~9に調整し、次いで分取HPLC[Waters Xbridge Prep OBD C18 150×30 5u、30%~60%B(A=水/0.05%水酸化アンモニア、B=MeCN)]により精製して、化合物24c(0.069g、収率55.1%)を白色固体として得た。LCMS:4.0分クロマトグラフィーにおいてR=1.946分、MS(ESI)m/z=504.2[M+H]1HNMR (400MHz, DMSO-d6) δ 1.77-1.81 (1H, m), 2.20 (3H, s), 2.36 (1H, d, J = 10.8 Hz), 2.65 (1H, s), 2.74 (1H, t, J = 12.4 Hz), 2.88-2.99 (2H, m), 3.29-3.32 (1H, m), 5.30-5.39 (1H, m), 6.81 (1H, d, J = 7.6 Hz), 7.02 (1H, d, J = 7.6 Hz), 7.24 (1H, d, J = 8.8 Hz), 7.40 (2H, dd, J = 8.0, 17.6 Hz), 7.76-7.78 (2H, m), 7.87 (1H, s), 8.38 (1H, s), 8.59 (1H, s), 8.92 (1H, d, J = 7.6 Hz), 10.15 (1H, s).
化合物24の調製のための手順:
DMF(5mL)中の化合物24c(300mg、0.596mmol)の溶液に、CDI(69mg、0.894mmol)およびKCO(124mg、0.894mmol)を添加した。得られた混合物を27~31℃で3時間撹拌した。LCMSは、反応が完了したことを示した。反応混合物を水(20mL)に注ぎ入れ、EA(20mL×3)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、残留物を得た。残留物を、HPLC(Waters Xbridge Prep OBD C18 150×30 5u、42~42%B、A=水(0.05%水酸化アンモニア)、B=MeCN、流速(ml/分)=25mL/分)により精製した。MeCNの大部分を減圧下で除去し、残った溶媒を凍結乾燥により除去して、化合物24(25.1mg、収率8.1%)を白色固体として得た。LCMS:4.0分クロマトグラフィーにおいてR=2.026分、MS(ESI)m/z=521.3[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 2.06-2.10 (1H, m), 2.25 (3H, s), 2.42-2.48 (2H, m), 2.64
(1H, dd, J = 11.6, 28.8 Hz), 2.96 (1H, d, J = 12.0 Hz), 3.24-3.27 (1H, m), 5.08-5.16 (1H, m), 6.81 (1H, d, J = 2.8 Hz), 7.06 (1H, dd, J = 2.4, 7.6 Hz), 7.18 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.31 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.45 (1H, d, J = 8.4 Hz),7.76-7.86 (3H, m), 8.28 (1H, s), 8.53 (1H, d, J = 7.6 Hz), 8.73 (1H, d, J = 7.6 Hz).
実施例25
(±)-N-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-5-(((2R,4S)-1-(メチル-d)-2-(トリフルオロメチル)ピペリジン-4-イル)オキシ)キナゾリン-4-アミン
【0206】
【化39】
【0207】
化合物25bの調製のための手順:
メタノール(200mL)中の化合物25a(15.0g、1.0当量)の溶液に、塩酸(12M、3mL)およびPtO(1.2g)を添加した。混合物を水素雰囲気(344.74kPa(50psi))下、50℃で3日間撹拌した。固体をメタノール(200mL)で溶解し、塩酸(12M、3mL)およびPtO(1.2g)を混合物に添加し、水素雰囲気(344.74kPa(50psi))下、50℃で20時間撹拌した。混合物を濾過し、濃縮して、化合物25bの塩酸塩(18.2g、収率96%)を無色固体として得た。1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 1.60-1.86 (2H, m), 1.91-2.07 (1H, m), 2.17-2.27 (1H, m), 2.32-2.45 (0.5H, m), 3.10-3.30 (1H, m), 3.46-3.64 (1H, m), 3.90-4.00 (0.5H, m), 4.15-4.40 (1H, m).
化合物25cの調製のための手順:
化合物25bHCl塩をメタノールに溶解し、アンモニアにより塩基性化し、濃縮し、残留物をジクロロメタンで希釈し、濾過し、濾液を濃縮して、化合物25b(3.8g、遊離塩基)を得、これを次のステップに使用した。THF(10mL)中の化合物25b(300mg、1.2当量)の溶液に、撹拌下でNaH(180mg、3.0当量、60%)を添加した。0.5時間後、2-フルオロ-6-ニトロベンゾニトリル(250mg、1.0当量)を反応混合物に添加し、21~29℃で2日間撹拌した。LCMS分析は、反応がほぼ完了したことを示した。混合物をNHClの飽和溶液(50mL)に注ぎ入れ、酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(PE中0~50%EA)により精製して、化合物25c(230mg、収率48%)を黄色油状物として得た。LCMS:5-95AB_220&254クロマトグラフィーにおいてR=0.641分、MS(ESI)m/z=315.9[M+H]
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 1.79-1.86 (2H, m), 2.18-2.29 (1H, m), 2.35-2.44 (1H, m), 2.78-2.83 (1H, m), 3.25-3.37 (1H, m), 3.38-3.45 (1H, m), 4.48-4.57 (1H, m), 7.37 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.73 (1H, t, J = 8.4 Hz), 7.90 (1H, d, J = 8.4 Hz).
化合物25dの調製のための手順:
DMF(10mL)中の化合物25c(180mg、1.0当量)および炭酸カリウム(118mg、1.5当量)の混合物に、CDI(66mg、0.8当量)を添加した。混合物を23~26℃で6時間撹拌した。反応物をブライン(50mL)に注ぎ入れ、EA(20mL×3)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し
、濃縮した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(PE中0~30%EA)により精製して、化合物25d(140mg、粗製)を褐色油状物として得た。LCMS:5-95AB_220&254クロマトグラフィーにおいてR=0.684分、MS(ESI)m/z=333.0[M+H]1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 1.94-2.05 (2H, m), 2.10-2.18 (1H, m), 2.35-2.51 (2H, m), 2.74-2.85 (1H, m), 3.05-3.15 (1H, m), 4.40-4.53 (1H, m), 7.35 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.72 (1H, t, J = 8.4 Hz), 7.89 (1H, d, J = 8.4 Hz).
化合物25eの調製のための手順:
メタノール(10mL)中の化合物25d(140mg、1.0当量)の溶液に、Pd/C(50mg、10%)をアルゴン下で添加した。懸濁液を水素(バルーン)下、24~30℃で17時間撹拌した。LCMS分析は、反応が完了したことを示した。混合物を濾過し、濃縮して、化合物25e(60mg、収率68%)を黄色油状物として得た。LCMS:5-95AB_220&254クロマトグラフィーにおいてR=0.620分、MS(ESI)m/z=303.1[M+H]1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 1.83-1.93 (2H, m), 2.08-2.14 (1H, m), 2.31-2.49 (2H, m), 2.71-2.79 (1H, m), 3.03-3.09 (1H, m), 4.25-4.35 (1H, m), 4.44 (2H, br. s), 6.25 (1H, d, J = 8.4 Hz), 6.34 (1H, d, J = 7.6 Hz), 7.22 (1H, t, J = 8.4 Hz).
化合物25fの調製のための手順:
無水トルエン(10mL)中の化合物25e(60mg、1.0当量)の混合物に、DMF-DMA(54uL、2.0当量)を添加した。混合物を120℃で1時間撹拌した。LCMS分析は、反応が完了したことを示した。溶液を濃縮して、化合物25f(0.2mmol、粗製)を得た。LCMS:5-95AB_220&254クロマトグラフィーにおいてR=0.222分、MS(ESI)m/z=358.1[M+H]
化合物25の調製のための手順:
AcOH(10mL)中の化合物25f(0.20mmol、1.0当量)の混合物に、化合物1f(57mg、1.2当量)を添加した。混合物を120℃で1.5時間撹拌した。LCMS分析は、反応が完了したことを示した。溶液を濃縮した。残留物を分取HPLC(カラム:DuraShell 150×25mm×5um、勾配:50%~80%B(A=水/0.05%水酸化アンモニア、B=アセトニトリル)、流速:25mL/分)により精製して、化合物25(13.1mg、収率12%)を白色固体として得た。LCMS:0-60AB_4分_220&254クロマトグラフィーにおいてR=2.307分、MS(ESI)m/z=553.3[M+H]。HPLC:0-60_AB_1.2mlにおいてR=4.31分。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 1.90-1.96 (1H, m), 2.01-2.08 (1H, m), 2.25 (3H, s), 2.35-2.43 (1H, m), 2.49-2.55 (1H, m), 2.62-2.69 (1H, m), 2.79-2.89 (1H, m), 3.12-3.19 (1H, m), 4.59-4.69 (1H, m), 6.87-6.91 (2H, m), 6.95 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.11 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.51 (1H, d, J = 7.6 Hz), 7.62-7.74 (3H, m), 8.23 (1H, s), 8.50 (1H, dd, J1 = 7.2 Hz, J2 = 1.2 Hz),
8.68 (1H, s), 10.03 (1H, s).
実施例26
(±)-N-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-5-((3,3-ジフルオロ-1-(メチル-d3)ピペリジン-4-イル)オキシ)-6-(メトキシ-d)キナゾリン-4-アミン
【0208】
【化40】
【0209】
化合物26aの調製のための手順:
化合物3e(200mg、0.48mmol)およびピリジン塩酸塩(277.52mg、2.40mmol)の混合物を、170℃で2時間撹拌した。混合物を室温に冷却した。pHを飽和NaHCOで8~9に調整した。混合物を強く撹拌し、濾過し、沈殿物を酢酸エチル(5mL)で洗浄して、化合物26a(120mg、収率62.1%)を褐色固体として得た。LCMS:0-60AB_2分_Eクロマトグラフィー(Merck
RP-18e 25-2mm、SN:UM9504/198)においてR=0.956分、MS(ESI)m/z=403.2[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 8.73 (br d, J=7.50 Hz, 1 H), 8.09 - 8.39 (m, 2 H), 7.69 - 7.87 (m, 2 H), 7.30 - 7.49 (m, 2 H), 7.03 - 7.25 (m, 2 H), 6.87 (s, 1 H), 2.24 (s, 3 H).
化合物26bの調製のための手順:
DMF(8mL)中の化合物26a(120mg、0.30mmol)およびKCO(49.46mg、0.36mmol)の溶液に、CDI(51.88mg、0.36mmol)を添加した。混合物を20℃で12時間撹拌した。混合物を濾過し、濃縮して、生成物を得、これを分取TLC(CHCl/MeOH=10:1、R=0.6)により精製して、化合物26b(60mg、収率48%)を黄色固体として得た。LCMS:0-60AB_2分_Eクロマトグラフィー(Merck RP-18e 25-2mm、SN:UM9504/198)においてR=1.016分、MS(ESI)m/z=420.2[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 8.73 (dd, J=7.50, 0.66 Hz, 1 H), 8.44 (s, 1 H), 8.28 (s, 1 H), 7.78 - 7.87 (m, 1 H), 7.70 - 7.76
(m, 2 H), 7.66 (dd, J=9.15, 1.87 Hz, 1 H), 7.19 (d, J=8.38 Hz, 1 H), 7.07 (dd, J=7.50, 2.43 Hz, 1 H), 6.84 (d, J=2.20 Hz, 1 H), 2.25 (s, 3 H).
化合物26の調製のための手順:
THF(5mL)およびDMF(2mL)中の化合物26c(60.6mg、0.39mmol)の溶液に、tBuOK(44.1mg、0.39mmol)を添加した。混合物を20℃で30分間撹拌し、次いで化合物26b(60mg、0.13mmol)を添加した。混合物を90℃で12時間撹拌した。反応混合物を濾過し、真空下で濃縮して、粗生成物を得、これを分取TLC(CHCl/MeOH=10:1、R=0.5)により精製して、化合物26(16.37mg、収率22.57%)を黄色固体として得た。LCMS:0-60AB_2.0分クロマトグラフィー(Welch Xtimate C18 2.1×30mm 3um)においてR=1.034分、MS(ESI)m/z=554.1[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 8.73 (d, J=7.72 Hz, 1 H), 8.41 (s, 1 H), 8.28 (s, 1 H), 7.73 - 7.84 (m, 3 H), 7.62 (d, J=9.26 Hz, 1 H), 7.17 (d, J=8.38 Hz, 1 H), 7.06 (dd, J=7.50, 2.65 Hz, 1 H), 6.83 (d, J=2.65 Hz, 1 H), 4.90 - 5.01 (m, 1 H), 3.12 - 3.23 (m, 1 H), 2.86 - 2.97 (m, 1 H),
2.38 - 2.53 (m, 1 H), 2.23 - 2.28 (m, 5 H), 2.03 - 2.14 (m, 1 H).
実施例27
(±)N-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-5-((3,3-ジフルオロ-1-メチルピペリジン-4-イル-4-d)オキシ)-7-メトキシキナゾリン-4-アミン
【0210】
【化41】
【0211】
化合物27bの調製のための手順:
乾燥CHCl(50mL)中の化合物27a(1.0g、4.22mmol)の溶液に、デス-マーチン試薬(regent)(3.58g、8.44mmol)をゆっくりと添加した。混合物を20℃で2時間撹拌し、次いで飽和NaSO/NaHCO(v/v=3/1、100mL)によりクエンチし、CHCl(50mL×2)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、化合物27b(700mg、収率65.5%)を白色固体として得た。1H NMR (400MHz, CDCl3)
δ 3.94 (br t, J=12.0 Hz, 1H), 3.79 (br t, J=6.1 Hz, 2H), 3.61-3.52 (m, 1H), 3.11 (br s, 1H), 2.76 (br t, J=6.0 Hz, 1H), 1.93 (br s, 1H), 1.49 (d, J=14.5 Hz, 9H).
化合物27cの調製のための手順:
乾燥CDOD(5mL)中の化合物27b(700mg、2.76mmol)の溶液に、NaBD(231.07mg、5.52mmol)をN下、0℃でゆっくりと添加した。混合物を20℃で1時間撹拌し、次いでDO(10mL)によりクエンチし、EtOAc(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、粗化合物27c(500mg、収率76.1%)を白色固体として得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 3.88-3.62 (m, 2H), 3.60-3.40 (m, 2H), 2.24 (br s, 1H), 2.00-1.88 (m, 1H), 1.86-1.73 (m, 1H), 1.53-1.44 (m, 9H).
化合物27dの調製のための手順:
乾燥THF/DMF(10mL/4mL)中の化合物27c(300mg、1.26mmol)の溶液に、t-BuOK(212.06mg、1.89mmol)をN下、20℃で添加し、この温度で30分間撹拌した。化合物6e(262.55mg、0.63mmol)を添加し、次いで90℃で12時間加熱した。反応混合物を30mLの水で希釈し、EtOAc(50mL×2)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=100/1~20/1、R=0.4)により精製して、化合物27d(320mg、収率80%)を黄色固体として得た。LCMS:0-60AB_2.0分_220&254クロマトグラフィー(Xtimate 3um、C18、2.1×30mm S/N3U)においてR=1.254分、MS(ESI)m/z634.9[M+H]1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 9.63 (s, 1H), 8.62 (s, 1H), 8.49 (d, J=8.4 Hz, 1H), 8.23 (s, 1H), 7.80 (s, 1H), 7.68 (br d, J=8.6 Hz, 1H), 7.08 (d, J=8.6 Hz, 1H), 6.93 (d, J=1.4 Hz, 1H), 6.91-6.83
(m, 2H), 6.52 (d, J=1.8 Hz, 1H), 4.45 (br s, 1H), 4.25-4.10 (m, 1H), 3.95 (s, 3H), 3.35 (br s, 1H), 3.13 (br s, 1H), 2.41 (br d, J=10.2 Hz, 1H), 2.25 (s, 3H), 2.14-2.00 (m, 1H), 1.50 (s, 9H).
化合物27eの調製のための手順:
化合物27d(320mg、0.5mmol)をCHCl中TFA溶液(20%、10mL)に溶解し、20℃で3時間撹拌した。反応混合物を、NaHCO(飽和)でpHを7~8に調整し、CHCl(30mL×2)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、化合物27e(280mg、粗製)を黄色固体として得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 9.75 (s, 1H), 8.51 (s, 1H), 8.43 (d, J=7.4 Hz, 1H), 8.13 (s, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.66 (br d, J=8.6 Hz, 1H), 7.00 (d, J=8.8 Hz, 1H), 6.88-6.76 (m, 3H), 6.52 (d, J=2.2 Hz, 1H), 6.55-6.50 (m, 1H), 3.86 (s, 3H), 3.42-3.31 (m, 1H), 3.13 (br d, J=13.5 Hz, 1H), 3.02-2.88 (m, 1H), 2.77 (br t, J=12.8 Hz, 1H), 2.43-2.35 (m, 1H), 2.17 (s, 3H), 1.93-1.90 (m, 2H).
化合物27の調製のための手順:
乾燥CHCl/MeOH(4mL/4mL)中の化合物27e(140mg、0.26mmol)の溶液に、(HCHO)(23.4mg、0.26mmol)、続いて5滴のHCOOH(1滴の純粋なHCOOHを1mLのCHClにより希釈)を添加した。混合物を20℃で12時間撹拌し、次いでNaCNBH(163.4mg、2.6mmol)を添加した。得られた混合物を20℃で30分間撹拌し、10mLの飽和NHClでクエンチし、CHCl(50mL×3)で抽出した。合わせた有機層をブライン(30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残留物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=100/1~15/1、R=0.3)により精製して、化合物27(40.32mg、収率28.3%)を黄色固体として得た。LCMS:5-95AB_1.5分_220&254クロマトグラフィー(Merck RP-18e 25-2mm、SN:UM9504)においてR=0.690分、MS(ESI)m/z549.1[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 8.72 (d, J=7.5 Hz, 1H), 8.44 (s, 1H), 8.27 (s, 1H), 7.87-7.70 (m, 2H), 7.14 (d, J=8.4 Hz, 1H), 7.08-6.97 (m, 1H), 6.92-6.76 (m, 3H), 3.95 (s, 3H), 3.31 (br s, 2H), 3.29-3.19 (m, 1H), 2.94 (br d, J=11.9 Hz, 1H), 2.70-2.54 (m, 1H), 2.52-2.35 (m, 5H), 2.22 (s, 3H), 2.12-1.97 (m, 1H).
実施例28
(S)-N-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-5-((3,3-ジフルオロ-1-(メチル-d)ピペリジン-4-イル-4-d)オキシ)-7-メトキシキナゾリン-4-アミン
および
(R)-N-(4-([1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリジン-7-イルオキシ)-3-メチルフェニル)-5-((3,3-ジフルオロ-1-(メチル-d)ピペリジン-4-イル-4-d)オキシ)-7-メトキシキナゾリン-4-アミン
【0212】
【化42】
【0213】
化合物28aの調製のための手順:
乾燥DMF(5mL)中の化合物27e(140mg、0.262mmol)およびKCO(145mg、0.275mmol)の溶液に、CDI(37.97mg、0.262mmol)をN下、20℃で滴下添加し、この温度で2時間撹拌した。反応物を20mLの水で希釈し、EtOAc(30mL×3)で抽出し、ブライン(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、残留物を分取HPLC(機器:AA/Boston Green ODS 150×30 5u 条件 水(0.05%HCl)-ACN 開始B5終了B30 勾配時間(分)12 100%B保持時間(分)2.2 流速(ml/分)25))により精製して、化合物28a(48.3mg、収率27.9%)をHCl塩の形態で黄色固体として得た。LCMS:0-60AB_2.0分_220&254クロマトグラフィー(Xtimate 3um、C18、2.1×30mm S/N3U411201576)においてR=1.204分、MS(ESI)m/z552.1[M+H]1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 8.96 (br d, J=7.1 Hz, 1H), 8.81-8.59 (m, 2H), 7.98-.71 (m, 2H), 7.45-7.24 (m, 3H), 6.99 (br d, J=17.4 Hz, 2H), 4.28 (br s, 1H), 4.08 (s, 3H), 4.01-3.85 (m, 1H), 3.79 (br d, J=11.9 Hz, 1H), 3.66-3.52 (m, 1H), 2.87 (br d, J=14.8 Hz, 1H), 2.46 (br t, J=12.3 Hz, 1H), 2.29 (s, 3H).
化合物28の調製のための手順:
化合物28a(45mg、0.068mmol)をキラルSFC(SFC方法:機器:SFC-MS法:カラム:Chiralcel AD(250mm×30mm、10um) 条件:0.1%NHO IPA 開始B:45%、終了B:45%、流速:80mL/分)により精製し、凍結乾燥して、化合物28(18.9mg、収率50.4%)および化合物28’(18.1mg、収率48.3%)を黄色固体として得た。
【0214】
化合物28(エナンチオマー-1):SFC:R=5.868分(220nm) OD-H_EtOH(DEA)_5_40_2.5M(カラム:カラム:ChiralCel OD-H 150×4.6mm I.D.、5um 移動相:A:CO2 B:エタノール(0.05%DEA) 勾配:5.5分で5%~40%のB、3分間40%を保持し、次いで1.5分間5%のB 流速:2.5mL/分 カラム温度:40℃)。1H NMR
(400MHz, メタノール-d4) δ 9.87 (s, 1H), 8.92 (d, J=7.7 Hz, 1H), 8.51 (s, 1H), 8.37 (s, 1H), 7.82 (s, 1H), 7.73 (dd, J=2.1, 8.7 Hz, 1H), 7.23 (d, J=8.8 Hz, 1H), 7.04-6.99 (m, 2H), 6.88 (d, J=2.0 Hz, 1H), 6.81 (d, J=2.4 Hz, 1H), 3.92 (s, 3H), 3.26-3.16 (m, 1H), 2.82 (br d, J=11.5 Hz, 1H), 2.56 (br s, 1H), 2.40-2.29 (m,
2H), 2.18 (s, 3H), 1.96-1.85 (m, 1H).
化合物28’(エナンチオマー-2):SFC:R=6.789分(220nm)
OD H_EtOH(DEA)_5_40_2.5M(カラム:ChiralCel OD-H 150×4.6mm I.D.、5um移動相:A:CO B:エタノール(0.05%DEA) 勾配:5.5分で5%~40%のB、3分間40%を保持し、次いで1.5分間5%のB 流速:2.5mL/分 カラム温度:40℃)。1H NMR (400MHz, メタノール-d4) δ 9.87 (s, 1H), 8.92 (d, J=7.5 Hz, 1H), 8.51 (s, 1H), 8.37 (s,
1H), 7.82 (br s, 1H), 7.74 (br d, J=8.8 Hz, 1H), 7.23 (br d, J=8.8 Hz, 1H), 7.02 (br s, 2H), 6.89 (s, 1H), 6.81 (d, J=2.0 Hz, 1H), 3.92 (s, 3H), 3.24 (br d, J=10.8 Hz, 1H), 2.82 (br d, J=11.0 Hz, 1H), 2.56 (br s, 1H), 2.41-2.29 (m, 2H), 2.18 (s, 3H), 1.96-1.79 (m, 1H).
生物学的実施例:
実施例29:WT EGFRに対する効力判定
EGFR WTについての阻害の化合物の活性は、化合物の選択性を定義するために計数スクリーニング(count screening)として野生型EGFRタンパク質を発現するNCI-H838(ATCC(登録商標)CRL-5844(商標))を用いて評価することができる。
【0215】
標的とするモジュレーションの化合物の阻害を以下の通りに決定した:NCI-H838細胞を、終夜、1%FBSを含有するDMEM培地を有する96ウェルプレート(20000細胞/ウェル)中に選別し、次いで、一連の濃度(3μM、0.3μM、0.1μM、0.03μM、0.01μM、0.003μM、0.001μM、0.0001μM)で試験化合物を用いて処置した。プレートを37℃で5%のCOを用いて4時間インキュベートし、続いて、組換えhEGF(100ng/ml、10分間、RD、Cat番号236-EG)を刺激し、次いで、各ウェルにおける細胞のEGFR(Y1068)リン酸化レベルをMSDキット(MULTI-SPOT(登録商標)96 4-Spot HB Prototype EGFR Triplex ANALYTES:pEGFR(Tyr1068)、pEGFR(Tyr1173)、総EGFR(Cat番号N45ZB-1)で測定した。該アッセイは、MSD SECTOR(登録商標)Imagerを用いて細胞のリン酸化EGFRおよび総EGFRの両方を決定するための電気化学発光方法(MESO SCALE DISCOVERY)であり、次いで、p-EGFR/総EGFRの比が該機械によって発生され得る。阻害の百分率を、式:%阻害=100×[1-(試料ウェルの比-Min対照ウェルの比)/(Maxの比-Min対照ウェルの比)]から得た。Prism GraphPad 7.0またはMicrosoft Xlfitソフトウェアを使用して、IC50値を、最適曲線における50%阻害に必要とされる化合物濃度としてさらに算出した。
【0216】
実施例30:WT HER2に対する効力判定
HER2野生型増幅のための選択的阻害の化合物の活性は、BT474細胞株(ATCC(登録商標)HTB-20(商標))を用いて評価することができる。該細胞株はリン酸化HER2タンパク質を発現し、それの増殖は増幅遺伝子に依存しており、これはインビトロPDおよび抗増殖アッセイのために使用することができる。
【0217】
標的とするモジュレーションの化合物の阻害を、以下の通りに決定した:BT474細胞を、終夜、10%FBSを含有するDMEM培地を有する96ウェルプレート(20000細胞/ウェル)中に選別し、次いで、一連の濃度(3μM、0.3μM、0.1μM、0.03μM、0.01μM、0.003μM、0.001μM、0.0001μM)で試験化合物を用いて処置した。プレートを37℃で5%のCOを用いて4時間インキュベートし、次いで、各ウェルにおける細胞のHER2(Y1248)リン酸化レベルをMSDキット(ホスホErbB2(Tyr1248)Assay Whole Cell
Lysate Kit:Cat番号K151CLD-3)で測定した。該アッセイは、MSD SECTOR(登録商標)Imagerを用いて細胞のリン酸化HER2および
総HER2の両方を決定するための電気化学発光方法((MESO SCALE DISCOVERY)であり、次いで、p-HER2/総HER2の比が該機械によって発生され得る。阻害の百分率を、式:%阻害=100×[1-(試料ウェルの比-Min対照ウェルの比)/(Maxの比-Min対照ウェルの比)]から得た。Prism GraphPad 7.0またはMicrosoft Xlfitソフトウェアを使用して、IC50値を、最適曲線における50%阻害に必要とされる化合物濃度としてさらに算出した。
【0218】
化合物の抗増殖活性を以下の手順の通りに決定した:BT474細胞を、終夜、10%FBSおよび1M OAAを含有するDMEM培地を有する384ウェルプレート中に選別し、次いで、翌日に一連の濃度(30μM、10μM、3μM、1μM、0.3μM、0.1μM、0.03μM、0.01μM、0.001μM)で試験化合物を投薬した。一方、翌日にG0値を測定するために、別の細胞プレートを調製した。投薬プレートを37℃で5%CO2を用いて72時間インキュベートし、G0または投薬プレートの各ウェルにおける生細胞の数を、MTS(CellTiter 96(登録商標AQueous
One Solution Cell Proliferation Assay、Promega)エンドポイントによって測定した。このアッセイは、増殖アッセイにおいて生細胞の数を決定するための比色方法である。検出試薬(5μl)を1ウェル当たりに分注し、プレートを2時間の間室温でインキュベートした。次いで、各ウェルにおける490nmおよび650nm(参照波長)での吸光度を、safile II.(Tecan)を使用して測定した。増殖の百分率を式:%増殖=100×(試料ウェルのG3値-G0値)/(DMSO対照のG3値-G0値)から得た。Genedata Screener(登録商標)ソフトウェアを使用して、GI50値を、最適曲線における50%増殖に必要とされる化合物濃度としてさらに算出した。
【0219】
【表3】
【0220】
実施例31:ラットにおける血液脳関門透過アッセイ
インビトロ血液、血漿および脳結合アッセイを平衡透析装置で実施した。希釈血液(DPBS pH7.4と1:1)、EDTA-抗凝固処理血漿、および脳ホモジネート(DPBS pH7.4と1:3)を5μM試験化合物(三連)でスパイクし、等体積の150μLの100mM PBS緩衝液(pH7.4)に対して37℃で適切な平衡時間の間ゆっくり回転させたプレートにおいて透析した。インキュベーションの終わりに、レシーバー側から50μLのアリコートおよびドナーチャンバーから5μLを採取した。5μLの試料を、45μLのブランク血液、血漿または脳ホモジネートでさらに希釈した。対の試料を緩衝液またはブランクマトリックスのいずれかとマトリックス適合させ、2分間混合し、次いで、内部標準として100ng/mLのトルブタミドとともに、150μLの冷アセトニトリルを用いて沈殿させた。4000rpmで20分間遠心分離した後、上澄みを0.1%ギ酸水溶液で希釈し、LC/MS/MS(API 4000、Applie
d Biosystems、Foster City)に関して分析した。試験化合物の非結合画分(fu)を、緩衝液側の応答対脳ホモジネート/血漿/血液側の応答の比によって算出し、非希釈血液および組織における試験化合物の非結合画分(fu,bl、fu,plおよびfu,br)を、ホモジネートおよび希釈血液における測定fuから、以下の等式:fu,bl(fu,br)=(1/D)/[(1/fu-1)+1/D)]を用いて算出した。Dは、希釈係数である。(Dは、血漿について1、血液について2、および脳については4に等しい)
即時経口吸収(Short oral absorption)(SOA)モデルは、化合物の脳透過を同定するためのインビボスクリーニングモデルである。Beijing
Vital Riverから購入した6匹の雄性Han Wistarラットに、該化合物を経口的に投薬した。前定義された投薬後時間ポイントで、脳脊髄液(CSF)を大槽から回収し、血液試料(>60μL/時間ポイント/各部位)を別々のEDTA抗凝固チューブに心穿刺を介して回収し、次いで、血液試料について3倍の体積の水で直ちに希釈するか、または4000gで10分間遠心分離することで、血漿を得た。脳組織を収集し、3X体積の100mMリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)中でホモジナイズした。全ての試料をLC/MS/MS分析の前に約-70℃で貯蔵した。
【0221】
ブランク血漿、血液、脳ホモジネートおよび人工CSFをスパイクすることによって、標準物を調製した。ホモジナイズ脳組織を血液/血漿試料と一緒に、内部標準を含有する3倍の体積の冷アセトニトリルを添加することによって沈殿させ、10μLのCSF試料を、内部標準を含有する100μLの冷アセトニトリルで沈殿させた。2分のボルテックスおよび14,000rpmでの5分の遠心分離の後、上澄みをLC/MS/MS(API 4000、Applied Biosystems、Foster City)によって分析した。2セットの標準曲線を、血液試料分析から各バッチの開始および終了時に実行した。脳およびCSF試料について、1つの標準曲線を試験試料と一緒に分析した。
【0222】
脳/血液比(Kp,brain)として表される総脳レベルを、経口投与後のげっ歯類におけるAUC(脳)/AUC(血液または血漿)によって測定した。同様に、CSF/血液曝露の比(Kp,CSF)によって表されるCSFレベルをAUC(CSF)/AUC(血液または血漿)によって決定した。生物学的マトリックスにおける試験化合物の遊離画分を、インビトロ血液および脳結合アッセイによって決定した。
【0223】
p,uubrainおよびKp,uuCSFを以下の等式によって算出した:
p,uubrain=AUC(脳)/AUC(血液または血漿)×(fubrain/fublood/plasma)および
p,uuCSF=AUC(CSF)/AUC(血液または血漿)×(1/fublood/plasma)。
【0224】
【表4】
【0225】
p,uubrainおよびKp,uuCSFの両方は、CNS薬物発見において測定および最適化された主なパラメータであるべきである(Di Lら、Journal of Medicinal Chemistry[2013]、56:2~12)。Kp,uubrain、脳中および血液中の非結合薬物の濃度の関係は、脳における転移性腫瘍に対する薬物作用を予測する。軟髄膜転移(LM)は、軟髄膜へのがんの転移伝播に起因し、中枢神経系機能不全を生じさせる。Kp,uuCSFは、血液における薬物の分布と比較したCSFにおける薬物の分布を表し、これが軟髄膜転移処置中の薬物応答を推進する。この出願の化合物について表3におけるアッセイデータ、ならびにネラチニブについて得られたデータは、ネラチニブと比較した場合の、本発明の化合物の優位な脳関門およびCSF関門透過特性を実証する。
【0226】
本開示は、特定の実施形態(これらの一部は好ましい実施形態である)を参照して特に示され、記載されてきた一方で、形態および詳細において様々な変化が、本明細書において開示されている通りの本開示の趣旨および範疇から逸脱することなくここで行われ得ることは、当業者によって理解されるべきである。
【外国語明細書】