(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050686
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ジアテルミー扁桃摘出吸引切開装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/26 20060101AFI20240403BHJP
A61B 18/08 20060101ALN20240403BHJP
【FI】
A61B17/26
A61B18/08
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024009246
(22)【出願日】2024-01-25
(62)【分割の表示】P 2021507508の分割
【原出願日】2019-04-17
(31)【優先権主張番号】2018902939
(32)【優先日】2018-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(71)【出願人】
【識別番号】520023271
【氏名又は名称】リダ,ヘイダー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】リダ,ヘイダー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】切開、焼灼切開、吸引の使用モードと、吸引のみの使用モードとの間で選択的に構成可能なジアテルミー扁桃摘出装置を提供する。
【解決手段】ジアテルミー扁桃摘出吸引切開装置140は、近位ハンドルを有する本体と、遠位湾曲チップと、本体内に摺動可能に保持されてチップから選択的に伸びるジアテルミー切断刃部材とを有する。ジアテルミー切断刃部材は、近位電気コネクタソケットを備える可撓性金属刃と、刃に取り付けられた手動操作可能な電気絶縁位置係止機構とを備える。係止機構は、開口部を介して手動操作可能であり、開口部と連動して、ジアテルミー切断刃部材を後退位置と伸長位置との間で位置決めし、ジアテルミー切断刃部材を伸長位置で係止する。
【選択図】
図24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書および/または図面に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には、扁桃摘出装置に関する。より詳細には、本発明は、切開、焼灼切開、吸引の使用モードと、吸引のみの使用モードとの間で選択的に構成可能な扁桃摘出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
扁桃摘出は、両方の口蓋扁桃が扁桃窩と呼ばれる咽頭の側部の凹部から除去される外科的処置である。
【0003】
扁桃摘出処置の1つのタイプは、典型的には片手で保持される扁桃切開用の細長い切断刃の使用を含み、他方の手は扁桃を保持するために鉗子を使用する。
【0004】
真空吸引チップを使用して、処置中に流体(血液および唾液)を除去することができる。ヤンカウアーチップ(扁桃用チップ)は、最も一般的に使用される吸引チップの1つである。
【0005】
しかしながら、3つの器具の利用には、助手が必要である、あるいは、必要に応じて器具の交換が必要であり、処置が複雑になり、処置時間が長くなる。
【0006】
さらに、ヤンカウアーチップは、大量の流体の吸引を可能にするが、チップが組織または大きな血餅に近接するときに閉塞を起こしやすいという欠点を有する。外科医は、チップにガーゼスポンジを当てて、ガーゼを通して流体を吸引して閉塞による詰まりを防止する。
【0007】
本発明は、先行技術の欠点の少なくともいくつかを克服する、または実質的に改善する扁桃摘出吸引切開装置を提供すること、または少なくとも代替装置を提供することを目的とする。
【0008】
任意の先行技術情報が本明細書で言及されている場合、その言及は、その情報がオーストラリアまたは任意の他の国において当技術分野における共通の一般知識の一部を形成することを自認するものではないことを理解されたい。
【発明の概要】
【0009】
第1の実施形態によれば、近位ハンドルと遠位湾曲チップとを備える扁桃摘出吸引切開装置が提供される。該装置は、使用時に流体を吸引するために、チップの端部に位置する少なくとも1つの吸入ポートをハンドルの真空ポートに動作可能に接続する、チップ内でチップに沿った吸引チャネルを備える。該装置は、チップに沿ってスロット内で摺動可能な可撓性切断刃部材であり、切断刃部材の遠位切断端部がチップの端部から伸びる伸長位置と、可撓性切断刃部材の遠位切断端部がチップの端部内に後退する後退位置との間で手動操作可能な係止機構によって構成可能な可撓性切断刃部材をさらに備える。
【0010】
この刃の後退および伸長は、吸引チップまたは吸引切開器具としての二重機能性を可能にし、したがって、手術を迅速化させ、血液損失を低減する。
【0011】
したがって、係止機構は、切開/吸引動作モードと吸引のみの動作モードとの間で該装置を迅速に再構成するために使用され得る。さらに、本発明の構成は、片手での切開および吸引を可能にし、鉗子の操作などの他の作業のために他方の手を自由にする。
【0012】
さらに、本発明の係止機構は、ハンドルを把持するために親指のみを使用して人差し指を自由にするなど、片手での装置の再構成を可能にし得る。
【0013】
具体的には、係止機構は、ハンドルを貫通する開口部内で係止部を連動させる係止レバーを備える可撓性切断刃部材を備え得る。切断刃部材は、係止レバーが上方開口部内で係止する伸長位置まで前方に押すために、ハンドルの後方開口部から延在し得る。さらに、係止レバーは、切断刃部材を後退させるためにレバーを外して後方に引くために、上方開口部を介してアクセス可能である。
【0014】
出血が起こる扁桃窩に向かう吸引孔の位置は、正確な出血点における血液の瞬間的な吸引を可能にし、ひいては、喉に血液が溜まる可能性を最小限に抑え、血液/血餅吸入の危険性を低減する。
【0015】
また、外科医に面する刃の位置は、切断場所の正確な切開および十分な視認性を常に可能にし、周囲組織を不注意に損傷し、さらなる出血を引き起こす可能性を低減する。
【0016】
さらに、吸入ポートの構成は、ヤンカウアーチップによって経験され得るような閉塞問題を実質的に低減または排除し得る。具体的には、吸入ポートは、遠位切断端部に対して下方に位置し得、チップの一方の表面を押圧することによって閉塞を防止するように、チップの端部の異なる面に配置され得る。具体的には、実施形態では、吸入ポートは、遠位に位置し、対向して横方に位置し、下方に位置する一対の吸入ポートを備え得る。
【0017】
第2の実施形態によれば、近位ハンドルを有する本体および遠位湾曲チップを同様に備えるジアテルミー扁桃摘出切開器具が提供される。
【0018】
切開器具は、本体内にジアテルミー切断刃部材を備え得、ジアテルミー切断刃部材は、金属製可撓導電性ジアテルミー切断刃を備え、このジアテルミー切断刃は、湾曲チップの内側の湾曲スロット内に摺動可能に保持される。さらに、ジアテルミー切断刃部材は、刃を電気的に接続するための電気コネクタソケットをさらに備え得る。
【0019】
さらに、ジアテルミー切断刃部材は、刃に取り付けられた手動操作可能な電気絶縁位置係止機構を備える。係止機構は、後退位置と伸長位置との間で刃を構成するように本体内の開口部を介して手動で操作可能であり、伸長位置では、刃の遠位端は、ジアテルミー切断のためにチップを越えて伸びる。
【0020】
係止機構は、電気的に絶縁されるようにプラスチック製であり得、開口部を介して係止機構を操作するときに電気的接触を回避するように切断刃に取り付けられる。
【0021】
係止機構は、ヒンジ(ライブヒンジなど)によって基部に接続されたレバーを備え得る。基部は、刃の対応する開口部内で固定する下方ボスを介して刃に取り付けられ得る。
【0022】
レバーは、後退位置と伸長位置との間で後方大開口部内に位置する後方ノブを備え得る。開口部は、前方小開口部をさらに備え得、レバーは、刃を伸長位置で保持するためにブリッジに対して動かないように係合されるように、開口部間のブリッジの下で摺動するように前方角度を含むキャッチをさらに備え得る。刃を解放するために、レバーの後方ノブは、開口部内で下方に押し下げられてキャッチを係合解除し、係止機構が後方ノブによって(実施形態では圧縮ばねの作用下で)後方に引っ張られるのを可能にする。
【0023】
電気ソケットは、刃の後方部で形成されてもよく、その側面は、ソケットを形成する包囲部を形成する。
【0024】
このようにして、電気ロッドを備える電気コネクタがソケットに挿入され得る。ソケットは、ロッドの直径よりもわずかに小さい直径を有し得、長手方向に拡張可能な切れ目を備え得、そのことにより、ソケットがわずかに拡張してロッドを収容し、ロッドと摩擦係合できるようにする。
【0025】
さらに、該装置は、刃の後方部に係合し、ソケットを不注意な電気的接触から隠す後方絶縁ボタンを備え得る。このようにして、電極ロッドがソケット内に挿入されたときでも、後方絶縁ボタンは、刃との電気的接触を回避しながら刃を伸長および後退させるために通常の方法で使用され得る。角度付きブーツは、ソケットから都合のよい角度で電気ケーブルを曲げることができる。
【0026】
実施形態では、該該置は、操作中に刃の遠位端を安定させるように、刃の遠位端とチップとの間にウエッジを備え得る(特に、アルミニウムがわずかに可撓性であり得るため)。
【0027】
ウエッジは、刃の遠位端に締結され得、刃の少なくとも一部に沿って刃を安定させるように実質的に平面状であり得る。ウエッジは、刃の対応する開口部内で固定する下方バスを備え得る。
【0028】
ウエッジは、伸長位置において、ウエッジがチップを越えて伸びないように構成され得る。
【0029】
一態様によれば、近位ハンドルを有する本体と、遠位湾曲チップと、チップから選択的に伸びるように本体内に摺動可能に保持されたジアテルミー切断刃部材とを備えるジアテルミー扁桃摘出吸引切開装置であって、ジアテルミー切断刃部材は、近位電気コネクタソケットを備える可撓性金属刃と、刃に取り付けられた手動操作可能な電気絶縁位置係止機構とを備え、係止機構は、開口部を介して手動で操作可能であり、開口部と連動して、ジアテルミー切断刃部材を後退位置と伸長位置との間に位置決めし、ジアテルミー切断刃部材を伸長位置で係止する、ジアテルミー扁桃摘出吸引切開装置が提供される。
【0030】
刃は、実質的に平面状であり、矩形断面スロット内に位置し得る。
【0031】
刃は、アルミニウムを含み得る。
【0032】
刃の近位端は、電気コネクタソケットを形成し得る。
【0033】
刃の側面は、ソケットを形成する包囲部を形成し得る。
【0034】
該装置は、ソケット内に挿入するための電極ロッドを備える電気コネクタをさらに備え得る。
【0035】
電気コネクタソケットは、電極ロッドの直径よりもわずかに小さい直径を有し、拡張可能な長手方向の切れ目を備え得る。
【0036】
該装置は、ソケットを隠す後方電気絶縁ボタンをさらに備え得る。
【0037】
絶縁ボタンは、切断刃部材を伸長位置に向かって押圧するための後面を画定し得る。
【0038】
電気コネクタは、電気コネクタの電気ケーブルを電極ロッドからある角度で持ち上げる角度付きブーツを備え得る。
【0039】
該装置は、チップの少なくとも1つの吸入ポートとハンドルの真空ポートとの間に吸引チャネルをさらに備え得る。
【0040】
係止機構は、枢動可能に連結された係止レバーを備え得る。
【0041】
係止機構は、刃の開口部を固定するボスを備え得る。
【0042】
係止機構は、係止機構を近位に付勢するように、圧縮部材に係合し得る。
【0043】
大開口部は、後退位置と伸長位置との間でレバーの後方ノブを収容するための長さを有し得る。
【0044】
レバーは、後退伸張位置では大開口部内に位置し、伸長位置では小開口部内に位置するキャッチを備え得る。
【0045】
キャッチは、伸長位置において小開口部の近位縁に対して後方に係止する近位縁を含み得る。
【0046】
キャッチは、傾斜遠位面を含み得、この遠位面は、切断刃部材が伸長位置に向かって移動するときに、大開口部の遠位縁の下で摺動する。
【0047】
該装置は、刃の遠位端に拘束ウエッジをさらに備え得る。
【0048】
ウエッジは平面状であり得、刃に接続され得る。
【0049】
別の態様によれば、本明細書に記載の装置を使用するジアテルミー扁桃摘出処置が提供され、この方法は、給電リード線を刃のソケットに接続することと、開口部を介して係止機構を手動操作して、ジアテルミー切断刃部材を、刃がチップから伸びるように伸長位置に位置決めすることとを含む。
【0050】
ジアテルミー切断刃部材を伸長位置に位置決めするための開口部を介する係止機構の手動操作は、ジアテルミー切断刃部材の後方絶縁ボタンを押圧することを含み得る。
【0051】
係止機構の手動操作はさらに、ジアテルミー切断刃部材を後退位置に位置決めするための開口部を介する係止機構の手動操作であって、レバーのキャッチが開口部のうちの小開口部の近位縁から解放されるように、開口部のうちの大開口部内で係止機構のレバーのノブを押し下げることを含む、係止機構の手動操作をさらに含み得る。
【0052】
本発明の他の態様も開示する。
【0053】
本発明の範囲内に含まれ得る任意の他の形態があるとしても、単なる例として本開示の好適な実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】実施形態に係る、扁桃摘出吸引切開装置の上面斜視図である。
【
図7】該装置の吸引チップの端部の上面斜視図である。
【
図11】該装置のチップの端部の側面断面図である。
【
図13】後退位置における切断刃部材の後方位置を示す図である。
【
図14】伸長位置における切断刃部材の前方位置を示す図である。
【
図15】一実施形態に係る、ジアテルミー吸引切開装置の先端の横断面図である。
【
図16】ジアテルミー吸引切開装置の先端の図である。
【
図17】安定化ウエッジを備えるジアテルミー吸引切開装置の金属切断刃の遠位端の上面斜視図および底面斜視図である。
【
図18】安定化ウエッジを備えるジアテルミー吸引切開装置 の金属切断刃の遠位端の上面斜視図および底面斜視図である。
【
図19】一実施形態に係る、ジアテルミー吸引切開装置の係止機構の横断面図である。
【
図20】一実施形態に係る、ジアテルミー吸引切開装置の導電性刃に取り付け可能な絶縁性係止機構の下面図である。
【
図22】導電性金属切断刃の後端部および電気ソケットの周りの絶縁ボタンを示す図である。
【
図23】導電性金属切断刃の後端部および電気ソケットの周りの絶縁ボタンを示す図である
【
図24】一実施形態に係る、ジアテルミー吸引切開装置のソケットへの給電リード線の接続を示す図である。
【
図25】一実施形態に係る、ジアテルミー吸引切開装置のソケットへの給電リード線の接続を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
扁桃摘出吸引切開装置100は、近位ハンドル101および遠位湾曲チップ102を備える。装置100は、チップ102の端部に位置する少なくとも1つの吸入ポート104と、ハンドル101に位置する真空管接続部105とを動作可能に接続する少なくとも1つの吸引チャネル103を備え得る。
【0056】
本明細書では、
図1に示されている配向軸を参照する。
図1では、装置100は、近端/近位端および遠端/遠位端、側面/側方面、ならびに上面/上方面および底面/下方面を含む細長い形状である。
【0057】
装置100は、チップ102に沿ってスロット107内に摺動可能に保持され、ハンドル101の手動操作可能な係止機構108によって、
図7、
図8、および
図11に実質的に表されているように切断刃部材106の遠位切断端部109がチップ102の端部から突出する伸長位置と、遠位切断端部109がチップ102の端部内に後退する後退位置との間で構成可能な可撓性切断刃部材106をさらに備える。
【0058】
装置100の利用は、真空チューブ接続部105への吸引装置の接続を含み得る。次いで、湾曲チップ102は、その端部が喉の奥に位置するように、左側または右側から口の中に挿入される。係止機構108は、切断刃部材106の遠位切断端部109をチップ102の端部から伸ばすように構成され得、そのことにより、遠位切断端部109は、典型的には反対側の手の一対の鉗子で引っ張られている間に、それぞれの扁桃を切開することができる。遠位切断端部109は、直角の直線状の切断縁115を画定し、この切断縁は、扁桃が鉗子と反対の方向に引っ張られている間に、扁桃の基部に対して前方に押圧され得、そのことにより扁桃を切開する。
【0059】
切開の間、流体が吸入ポート104を通して排出され得る。いつでも、外科医は、係止機構108を使用して遠位切断端部109を後退させ、吸引のためだけにチップ102を使用して、必要なときに必要に応じて遠位切断端部109を伸ばすことができる。
【0060】
この処置は、口の反対側の側方面から湾曲チップ102を挿入することによって、反対側の扁桃に対して繰り返され得る。
【0061】
好適な実施形態では、ハンドル101およびチップ102は、プラスチックから一体的に形成される。さらに、実施形態では、切断刃部材106もプラスチック製である。しかしながら、実施形態では、切断刃部材106は、以下でさらに詳細に説明するように、電気焼灼用途のために導電性を有するように、金属から撓み可能に形成され得る。これは、吸引、切開および電気焼灼のような3つの機能性を可能にし、そして出血点を即座に封止する。また、器具内で電気凝固を使用することは、電気が瘢痕組織を溶解し、最小限の切開力が加えられている間に凝固するため、瘢痕扁桃を切開するために力を使用する必要性を低減し、より正確な切開、より少ない組織外傷、ひいては、術後のより迅速かつより痛みの少ない治癒をもたらす。
【0062】
図4を参照すると、ハンドル102は、略細長形状であり得、したがって、細長い軸を有し得、チップ102は、ハンドル101の細長い軸と実質的に一致する一直線上から湾曲し、その軸の遠位端において、その軸から約40°偏向し得る。この40°の湾曲は、外科医の手を手術野の外側へ遠ざけて、一定の視認性を確保し、同時に、40°の滑らかな湾曲は、吸引ポートの内側での適切な吸引力を維持し、吸引ポートの内側での血液の詰まりを防止する。
【0063】
図1および
図2を参照すると、真空接続ポート105は、ハンドル102の近位端から延在し得る。図示されている実施形態では、真空接続ポート105は、ハンドル101の細長い軸と実質的に一致する細長い軸を含む略円筒形である。真空接続ポート105は、接続連動環112およびOリングシール113を備え得る。
【0064】
図7は、チップ102の端部をさらに詳細に示しており、伸長位置にある切断刃部材106を示している。
【0065】
図示されている好適な実施形態では、切断刃部材109は、伸長位置と後退位置との間で移行するときにスロット107内で撓むことができるように、長手方向スロット107内で扁平になり、幅方向に配向される部分を有する。一実施形態では、切断刃部材109は、約10ミリメートルの幅および約2mmの厚さを有し得る。
【0066】
好適な実施形態では、切断刃部材106は、プラスチックから製造される。
【0067】
図7に示されているように、遠位切断端部109は、直角の直線状の切断縁115まで狭くなり得る。
【0068】
さらに、切断縁115は、切断縁115を上から下まで直角に横切って走る複数の鋸歯116を備え得、鋸歯116は、扁桃組織に係合して、切開中に切断刃部材106が横に滑るのを実質的に防止し、周囲組織の損傷を回避し得る。
【0069】
図11に最もよく示されているように、切断縁115は、ある点まで鋭利にされず、そのことにより、操作中に周囲組織を好ましくない形で不注意に損傷し得るその切断作用の効果を制限し、一方で、必要な場合に扁桃を効果的に切断することができる程度の狭さをさらに有する。例えば、切断縁115の幅は、約1mmであり得る。また、刃の寸法は、良好に切開できる程度に大きく、視認性を維持して、付随する組織損傷を回避するために周囲組織を常に観察することができる程度に小さくなるように最適化される。
【0070】
図8を参照すると、チップ102の端部を約5mm越えて伸びている伸長位置の遠位切断端部109が示されている。
【0071】
図7を参照すると、切断刃部材106に対して下方に位置する吸入ポート104が示されている。
【0072】
さらに、好適な実施形態では、吸入ポート104は、チップ102の端部の複数の面に、例えば遠位に、側方に、および下側に配置され得、そのことより閉塞の可能性を低減する。具体的には、
図7は、一対の遠位入口ポート104Aと、一対の対向する側方吸入ポート104Bとを備える吸入ポートを示しており、
図8は、下側入口ポート104Cを示す。
【0073】
図12は、係止機構100をさらに詳細に示す装置100の横断面図である。図示されているように、切断刃部材106は、ハンドル102の後方開口部117から延びる近位端116を備え得る。近位端116の近位面は、前方に位置しているときにハンドル102の近位面118を塞ぎ、近位面118とぴったり重なるように傾斜している。
【0074】
切断刃部材106は、ライブヒンジ121によって隣接部分120に枢動可能に連結された係止レバー119をさらに備え得る。さらに、ハンドル102の上側面122は、レバー119のキャッチ125が選択的に移行することができる、後方大開口部123および前方小開口部124を備え得る。レバー119は、レバー119を押し下げるために大開口部123を介してアクセス可能な後方ノブ126を備え得る。さらに、レバー119は、切断刃部材106が伸長位置にあるときに対向壁128に当接するバットレス127において遠位で終端する。
【0075】
図12は、後退位置にある切断刃部材106を示す。したがって、切開用の切断刃部材109を伸ばすために、後方端116は、典型的には人差し指でハンドル102の下面を把持しながら親指で、ハンドル102の伸長軸に沿って前方に押圧され得る。キャッチ125の前方傾斜部129は、キャッチ125が前方小開口部124内に位置するまで、キャッチ125が大開口部123と小開口部124との間の中間部分130の下で移行することができるように、レバー109を押し下げる。この位置になると、キャッチ125の後方直角縁部130は、中間部分130の前方縁131に対して押し込まれ、切断刃部材106が圧力下で後方に摺動するのを防止する。この伸長位置では、バットレス127は、対向壁128に当接し、そのことにより後方端116の前方移動を制限し得る。
【0076】
続いて、切断刃部材106を後退させるために、親指を大開口部123内に挿入して、レバー119を実質的に押し下げ、同時にノブ126の前方縁132に対して後方に引くことができ、このことにより、キャッチ125の後方面130を中間部分130の前方縁131から係合解除し、親指の作用により切断刃部材106が後方へ摺動できるようにする。
【0077】
また、
図12から理解され得るように、スロット107の後方部分133は、十分に広く、切断刃部材106の全体の後方への取り外しを可能にする。
【0078】
係止機構108は親指操作用に構成され得るが、ハンドル102は、対向する人差し指の把持力を高めるような形状にされ得る。具体的には、
図5を参照すると、パネル102は、平坦な側壁と、直角下方縁111とを備えることにより、ハンドル102の非円形断面を形成し、そのことにより、外科医の手の中でのハンドル102の回転滑りを防止または低減する。
【0079】
図15~
図25は、ジアテルミー扁桃摘出吸引切開装置140を示す。この実施形態によれば、装置140は、導電性金属切断刃142を備えるジアテルミー切断刃部材141を備える。
【0080】
図20は、連結された電気絶縁性位置係止機構143を備える導電性金属切断刃142を備えるジアテルミー切断刃部材141の下面図である。
【0081】
実施形態では、金属切断刃142は、アルミニウム製であり得、切断のためだけでなく、さらにジアテルミーのために、上述されているのと同様の方法で選択的に伸びることができるように、装置140のチップ102において屈曲することができるように同様に可撓性であり得る。刃142は、約1mmの厚さを有し得る。
【0082】
絶縁位置係止機構143は、同様に、ライブヒンジ121によって基部144に枢動可能に連結された係止レバー119を備え得る。基部144は、金属切断刃142から切り取られた対応する開口部146内に固定される複数の下側ボス145を備え得る。
【0083】
機構143の遠位端は、位置係止機構143を装置140の近位端に向かって後方に付勢するために対向壁149を押圧するための圧縮ばね148をその周囲108で保持するためのバレル147を備え得る。
【0084】
レバー119はさらに、大開口部123と小開口部124との間に選択的に位置する後方ノブ126を備え得る。同様に、レバー119は、切断刃部材141が圧縮ばね108の圧縮に抗して前方に摺動することを可能にするが、切断刃142の遠位端に圧力が加えられたときにブリッジ150に抵抗するように、開口部123、124間でブリッジ150の下で摺動するための前方傾斜部129を備えるキャッチ125を備え得る。
【0085】
切断刃142の解放、ひいては切断刃142の後退は、キャッチ125をブリッジ150から係合解除するために大開口部123内でノブ126を押し下げること、およびノブ126を後方に、ひいてはジアテルミー切断刃部材141全体を後退させるために、キャッチ125の前方面151を押圧することを含む。
【0086】
絶縁位置係止機構143は、プラスチック製であり得る。
【0087】
理解され得るように、絶縁位置係止機構143およびその下に接続された金属刃142を備えるジアテルミー切断刃部材141の複合構造は、装置140の開口部123、124を介する導電性金属刃142との電気的接触を防止する。
【0088】
図22および
図23は、ジアテルミー電気リード線152用のソケット151を形成するためにバレルに巻かれた切断刃142の近位端を示す。ジアテルミー電気リード線152は、ソケット151内へ摺動してその中で摩擦係合される細長い電極ロッド153を含み得る。これに関して、ソケット151は、電極ロッド153の直径よりもわずかに小さい直径を有し得るが、ソケット151がわずかに拡張できるようにする長手方向の切れ目を備え、そのことにより、使用中に電極ロッド153をその中に収容し、電極ロッド153と摩擦係合する。
【0089】
プラスチック製の近位ボタン154は、ソケット151を取り囲み得る。ボタン154は、ジアテルミー切断刃部材141が、
図13および
図14に示されているように、伸長位置および後退位置をとることができるようにする、摩擦係合傾斜面155を備え得る。
【0090】
電極ロッド153がソケット151内に係合されると、ソケット151および電極ロッド153は、電気的接触から隠される。それでも、近位ボタン154の後面155を指で押し下げて、通常の方法で伸長および後退を可能にすることができる。
【0091】
図24および
図25に示されている実施形態では、電気リード線152は、ソケット151から都合のよい角度で電気ケーブルを位置決めする角度付きブーツ155を備え得る。
【0092】
図15~
図18は、遠位ウエッジ157を備える切断刃142の遠位端を示す。ウエッジ157は、金属切断刃142と長手方向内部スロット107の内面との間に入り込み、そのことにより、動作中に切断刃142の遠位端をしっかりと保持する。
【0093】
図示されている実施形態では、ウエッジ152は、切断刃142の遠位端に固定される。この点に関して、ウエッジ157は、切断刃1オプション42の対応する切り欠き159に固定される下側ボス158をさらに備え得る。
【0094】
このようにして、ウエッジ157は、スロット107内で刃142と共に摺動する。ウエッジ157は、プラスチック製であり得る。
【0095】
図26は、金属切断刃142がその遠位端で基板156の周りに折り返され、基板がその遠位端で金属切断刃142の厚さを増加させる実施形態を示す。折り返された部分157は、伸ばされたときでも、その近位縁158がスロット107内で保持されるように、十分な長さを含み得る。
【0096】
対向縁屈曲部159は、複数の開口部160を備え、そのことにより、横方向の切断に特に適する実質的に鋸歯状の縁部を形成し得る。
【0097】
図28は、金属切断刃142の上側部分および下側部分を示しており、上側部分および下側部分は、上側部分および下側部分を通って、さらに基板156を通って延びる1つ以上のタイ161によって所定位置で保持される。
【0098】
図29は、(
図22および
図23に示されているような分岐構造とは対照的に)一体構造のプラスチック近位ボタン154の代替の実施形態を示す。プラスチック近位ボタン154は、金属切断刃142の開口部を通って延びる下方正方形ボス162によって保持され得る。
【0099】
前述の説明は、説明の便宜上、本発明の完全な理解を提供するために特定の用語を使用している。しかしながら、本発明を実施するために特定の詳細が必要でないことは当業者には明らかであろう。したがって、本発明の特定の実施形態の前述の説明は、例示および説明のために提示されている。前述の説明は、網羅的であること、または本発明を開示されている正確な形態に限定することを意図するものではなく、明らかに、上記の教示を考慮して多くの修正および変形が可能である。実施形態は、本発明の原理およびその実用的な応用を最も良く説明するために選択され、説明されたものであり、したがって、他の当業者が企図される特定の使用に適する様々な修正を伴う本発明および様々な実施形態を最善の形で利用できるようにするものである。以下の請求項およびそれらの均等物が本発明の範囲を定義するものとする。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位ハンドルと、遠位湾曲チップを有する本体と、前記チップから選択的に伸びるように前記本体内に摺動可能に保持されたジアテルミー切断刃部材とを備えるジアテルミー扁桃摘出吸引切開装置であって、前記ジアテルミー切断刃部材は、近位電気コネクタソケットを備える可撓性金属刃と、前記刃に取り付けられた手動操作可能な電気絶縁位置係止機構とを備え、前記係止機構は、開口部を介して手動で操作可能であり、前記開口部と連動して、前記ジアテルミー切断刃部材を後退位置と伸長位置との間に位置決めし、前記ジアテルミー切断刃部材を伸長位置で係止する、装置。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
【
図1】実施形態に係る、扁桃摘出吸引切開装置の上面斜視図である。
【
図7】該装置の吸引チップの端部の上面斜視図である。
【
図11】該装置のチップの端部の側面断面図である。
【
図13】後退位置における切断刃部材の後方位置を示す図である。
【
図14】伸長位置における切断刃部材の前方位置を示す図である。
【
図15】一実施形態に係る、ジアテルミー吸引切開装置の先端の横断面図である。
【
図16】ジアテルミー吸引切開装置の先端の図である。
【
図17】安定化ウエッジを備えるジアテルミー吸引切開装置の金属切断刃の遠位端の上面斜視図および底面斜視図である。
【
図18】安定化ウエッジを備えるジアテルミー吸引切開装置 の金属切断刃の遠位端の上面斜視図および底面斜視図である。
【
図19】一実施形態に係る、ジアテルミー吸引切開装置の係止機構の横断面図である。
【
図20】一実施形態に係る、ジアテルミー吸引切開装置の導電性刃に取り付け可能な絶縁性係止機構の下面図である。
【
図22】導電性金属切断刃の後端部および電気ソケットの周りの絶縁ボタンを示す図である。
【
図23】導電性金属切断刃の後端部および電気ソケットの周りの絶縁ボタンを示す図である
【
図24】一実施形態に係る、ジアテルミー吸引切開装置のソケットへの給電リード線の接続を示す図である。
【
図25】一実施形態に係る、ジアテルミー吸引切開装置のソケットへの給電リード線の接続を示す図である。
【
図26】
一実施形態に係る、切断刃が伸ばされたジアテルミー吸引切開装置の遠位端の斜視図である。
【
図27】
一実施形態に係る、切断刃が伸ばされたジアテルミー吸引切開装置の遠位端の横断面図である。
【
図28】
一実施形態に係る、ジアテルミー吸引切開装置の切断刃の遠位端の斜視図である。
【
図29】
一実施形態に係る、ジアテルミー吸引切開装置のプラスチック近位ボタンの代替の実施形態を示す図である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0095
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0095】
図26は、金属切断刃142がその遠位端で基板156の周りに折り返され、基板がその遠位端で金属切断刃142の厚さを増加させる実施形態を示す。
図27は、この実施形態の横断面図である。折り返された部分157は、伸ばされたときでも、その近位縁158がスロット107内で保持されるように、十分な長さを含み得る。