(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050698
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】樹脂組成物の調製方法、樹脂組成物および成形品
(51)【国際特許分類】
C08J 3/22 20060101AFI20240403BHJP
C08L 83/04 20060101ALI20240403BHJP
C08L 67/00 20060101ALI20240403BHJP
C08L 69/00 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
C08J3/22 CFH
C08L83/04
C08L67/00
C08L69/00
【審査請求】有
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024009942
(22)【出願日】2024-01-26
(62)【分割の表示】P 2021505875の分割
【原出願日】2019-07-26
(31)【優先権主張番号】201810876811.6
(32)【優先日】2018-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】508229301
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チェン
(72)【発明者】
【氏名】ロハス-ワール,ロイ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】樹脂組成物を調製するための方法、樹脂組成物、衝撃強度が改善した樹脂組成物を含む成形品、および樹脂製品の衝撃強度を改善するための耐衝撃性改良剤としてのマスターバッチの使用を提供する。
【解決手段】樹脂組成物を調製する方法であって、(a)シリコーン組成物を少なくとも1つの第1の樹脂と配合してマスターバッチを形成すること、シリコーン組成物は、少なくとも1つのポリオルガノシロキサンおよびポリオルガノシロキサンに可溶な少なくとも1つのシリコーン樹脂を含み、および(b)マスターバッチを少なくとも1つの第2の樹脂と配合することを含み、ここで第1の樹脂および第2の樹脂は、それぞれ、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびそれらの組み合わせからなる群から独立して選択される、方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂組成物を調製する方法であって、
(a)シリコーン組成物を少なくとも1つの第1の樹脂と配合してマスターバッチを形成すること、シリコーン組成物は、少なくとも1つのポリオルガノシロキサンおよびポリオルガノシロキサンに可溶な少なくとも1つのシリコーン樹脂を含み、および
(b)マスターバッチを少なくとも1つの第2の樹脂と配合することを含み、
ここで第1の樹脂および第2の樹脂は、それぞれ、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびそれらの組み合わせからなる群から独立して選択される、方法。
【請求項2】
シリコーン樹脂が、式R3SiO1/2の1つまたは複数のM単位および式SiO4/2の1つまたは複数のQ単位を含み、任意選択で、式R2SiO2/2の1つまたは複数のD単位および式RSiO3/2の1つまたは複数のT単位を含み、ここで各Rは独立して1-60個の炭素原子を有する一価の炭化水素基である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
シリコーン樹脂がMQ樹脂である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ポリオルガノシロキサンは下記式を有し、
M1
aM2
bD1
cD2
dT1
eT2
fQg
ここで
M1=R1R2R3SiO1/2
M2=R4R5R6SiO1/2
D1=R7R8SiO2/2
D2=R9R10SiO2/2
T1=R11SiO3/2
T2=R12SiO3/2
Q=SiO4/2
ここでR1、R2、R3、R5、R6、R7、R8、R10、およびR11は、独立して1-60個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり;R4、R9およびR12は、水素、ヒドロキシルおよび1-12個の炭素原子を有するアルコキシルからなる群から独立して選択され;そして下付き文字a、b、c、d、e、f、gはゼロまたは正の整数であって、制限:3≦a+b+c+d+e+f+g≦1000を受ける、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
R4がヒドロキシルであり;そしてe、f、gはゼロである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
シリコーン組成物が、100重量部の樹脂組成物に基づいて、約2重量部未満、好ましくは約1重量部以下、好ましくは約0.5重量部以下の量で樹脂組成物中に存在する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
シリコーン組成物が、100重量部の樹脂組成物に基づいて、0.01重量部以上、例えば、約0.02、0.05、0.07、0.1、0.2、0.3、0.4重量部以上の量で樹脂組成物中に存在する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
樹脂組成物が、樹脂組成物の総量に基づいて、約0.05重量%未満、例えば、約0.04重量%以下、約0.03重量%以下、約0.02重量%以下、または約0.01重量%以下の金属有機塩を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
樹脂組成物が金属有機塩を含まない、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
金属有機塩が第IIA族金属有機塩である、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
第1の樹脂が第2の樹脂と同じである、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
第1の樹脂と第2の樹脂との比が、約1:60、約1:50、約1:45、約1:40、約1:35、約1:30、約1:25、約1:20、約1:15、約1:10、または約1:8よりも大きい、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
第1の樹脂と第2の樹脂との比が、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、または約1:5よりも小さい、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
物品に成形されたときの樹脂組成物が、少なくとも約60MPaの引張強度および少なくとも約70KJ/m2のノッチ付きアイゾット衝撃強度を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
マスターバッチであって、シリコーン組成物と配合された第1の樹脂を含むマスターバッチ;および
マスターバッチと配合された第2の樹脂、を含み、
ここで第1の樹脂および第2の樹脂は、それぞれ、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびそれらの組み合わせからなる群から独立して選択され、そして
ここで物品に成形されたときの樹脂組成物は、ASTMD638に準拠して25℃で少なくとも約60MPaの引張強度およびASTM D256に準拠して25℃で少なくとも約65KJ/m2のノッチ付きアイゾット衝撃強度を有する、樹脂組成物。
【請求項16】
マスターバッチであって、シリコーン組成物と配合された第1の樹脂を含むマスターバッチ;および
マスターバッチと配合された第2の樹脂、を含み、
ここで第1の樹脂および第2の樹脂はそれぞれ、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびそれらの組み合わせからなる群から独立して選択され、そして
ここで樹脂組成物は、樹脂組成物の総量に基づいて、約0.05重量%未満の金属有機塩を含む、樹脂組成物。
【請求項17】
シリコーン組成物が、少なくとも1つのポリオルガノシロキサンおよびポリオルガノシロキサンに可溶な少なくとも1つのシリコーン樹脂を含む、請求項15または16に記載の樹脂組成物。
【請求項18】
シリコーン樹脂が、式R3SiO1/2の1つまたは複数のM単位および式SiO4/2の1つまたは複数のQ単位を含み、任意選択で、式R2SiO2/2の1つまたは複数のD単位および式RSiO3/2の1つまたは複数のT単位を含み、ここで各Rは、独立して、1-60個の炭素原子を有する一価の炭化水素基である、請求項15から17のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項19】
シリコーン樹脂がMQ樹脂である、請求項15から18のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項20】
ポリオルガノシロキサンは下記式を有し、
M1
aM2
bD1
cD2
dT1
eT2
fQg
ここで
M1=R1R2R3SiO1/2
M2=R4R5R6SiO1/2
D1=R7R8SiO2/2
D2=R9R10SiO2/2
T1=R11SiO3/2
T2=R12SiO3/2
Q=SiO4/2
ここでR1、R2、R3、R5、R6、R7、R8、R10、およびR11は、独立して1-60個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり;R4、R9およびR12は、水素、ヒドロキシルおよび1-12個の炭素原子を有するアルコキシルからなる群から独立して選択され;そして下付き文字a、b、c、d、e、f、gはゼロまたは正の整数であって、制限3≦a+b+c+d+e+f+g≦1000を受ける、請求項15から19のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項21】
R4がヒドロキシルであり;そしてe、f、gはゼロである、請求項20に記載の樹脂組成物。
【請求項22】
シリコーン組成物が、100重量部の樹脂組成物に基づいて、約2重量部未満、好ましくは約1重量部以下、好ましくは約0.5重量部以下の量で樹脂組成物中に存在する、請求項15から21のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項23】
シリコーン組成物が、100重量部の樹脂組成物に基づいて、0.01重量部以上、例えば、約0.02、0.05、0.07、0.1、0.2、0.3、0.4重量部以上の量で樹脂組成物中に存在する、請求項15から22のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項24】
樹脂組成物が、樹脂組成物の総量に基づいて、約0.04重量%以下、約0.03重量%以下、約0.02重量%以下、または約0.01重量%以下の金属有機塩を含む、請求項15から23のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項25】
樹脂組成物が金属有機塩を含まない、請求項15から24のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項26】
金属有機塩が第IIA族金属有機塩である、請求項24または25に記載の樹脂組成物。
【請求項27】
第1の樹脂が第2の樹脂と同じである、請求項15から26のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項28】
第1の樹脂と第2の樹脂との比が約1:60、約1:50、約1:45、約1:40、約1:35、約1:30、約1:25、約1:20、約1:15、約1:10、または約1:8よりも大きい、請求項15から27のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項29】
第1の樹脂と第2の樹脂との比が、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、または約1:5よりも小さい、請求項15から28のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項30】
請求項1から14のいずれか一項に記載の方法で得られた樹脂組成物、または実施形態15から29のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含む成形品。
【請求項31】
マスターバッチであって、シリコーン組成物と配合された第1の樹脂を含むマスターバッチ;および
マスターバッチと配合された第2の樹脂、を含み、
ここで第1の樹脂および第2の樹脂は、それぞれ、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびそれらの組み合わせからなる群から独立して選択され、そして
ここで物品に成形されたときの樹脂組成物は、ASTMD638に準拠して25℃で少なくとも約60MPaの引張強度およびASTM D256に準拠して25℃で少なくとも約65KJ/m2のノッチ付きアイゾット衝撃強度を有する、成形品。
【請求項32】
樹脂がマスターバッチと配合され、そしてポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、樹脂製品の衝撃強度を改善するための耐衝撃性改良剤としての請求項1から14のいずれか一項に記載のステップ(a)で得られたマスターバッチの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して樹脂製品の調製に関する。より具体的には、本発明は、樹脂組成物を調製するための方法、樹脂組成物、衝撃強度が改善した樹脂組成物を含む成形品、および樹脂製品の衝撃強度を改善するための耐衝撃性改良剤としての本発明の方法で得られたマスターバッチの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネートやポリエステルなどの樹脂は合成熱可塑性樹脂であり、軽量で良好な機械的特性より、電子機器のケーシング、携帯電話部品、自動車内装などの電子機器や自動車に広く使用されている。これらの樹脂は、通常、厚みの薄い部品の製造に使用されるため、衝撃強度を向上させることが望ましい。
【発明の概要】
【0003】
一態様では、本発明は樹脂組成物を調製する方法に関し、該方法は、
(a)シリコーン組成物を第1の樹脂と配合してマスターバッチを形成すること、シリコーン組成物は、ポリオルガノシロキサンおよびポリオルガノシロキサンに可溶なシリコーン樹脂を含み、および
(b)マスターバッチを第2の樹脂と配合すること、を含む。
【0004】
一実施形態では、第1の樹脂および第2の樹脂は、それぞれ独立して、エステル基(C=O)を含む樹脂である。別の実施形態では、第1の樹脂および第2の樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0005】
別の態様では、本発明は、本発明の方法に従って調製された樹脂組成物に関する。
【0006】
別の態様では、本発明は樹脂組成物に関し、該樹脂組成物は、
マスターバッチであって、シリコーン組成物と配合された第1の樹脂を含むマスターバッチ、および
マスターバッチと配合された第2の樹脂を含み、
ここで第1の樹脂および第2の樹脂は、それぞれ、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびそれらの組み合わせからなる群から独立して選択され、そして
ここで物品に成形されたときの樹脂組成物は、ASTMD638に準拠して25℃で少なくとも約60MPaの引張強度およびASTM D256に準拠して25℃で少なくとも約65KJ/m2のノッチ付きアイゾット衝撃強度を有する。
【0007】
別の態様では、本発明は樹脂組成物に関し、該樹脂組成物は、
マスターバッチであって、シリコーン組成物と配合された第1の樹脂を含むマスターバッチ、および
マスターバッチと配合された第2の樹脂を含み、
ここで第1の樹脂および第2の樹脂は、それぞれ、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびそれらの組み合わせからなる群から独立して選択され、そして
ここで樹脂組成物は、樹脂組成物の総量に基づいて、約0.05重量%未満の金属有機塩を含む。
【0008】
別の態様では、本発明は、本発明の方法に従って調製された樹脂組成物を含む成形品に関する。
【0009】
さらに別の態様では、本発明はさらに、本発明の方法で得られたマスターバッチの、樹脂製品の衝撃強度を改善するための耐衝撃性改良剤としての使用に関する。
【0010】
驚くべきことに、樹脂組成物を含む成形品は、衝撃強度を大幅に改善することが見出されている。一実施形態では、成形品のノッチ付きアイゾット衝撃強度は、出発樹脂のノッチ付きアイゾット衝撃強度の少なくとも4倍である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。例えば、「樹脂」とは、単一の樹脂だけでなく、2つ以上の樹脂などを含む。
【0012】
本明細書で使用される場合、「例えば」、「そのような」、または「含む」という用語は、より一般的な主題をさらに明確にする例を紹介することを意味する。特に明記しない限り、これらの例は、本開示に示される用途を理解するための補助としてのみ提供されており、いかなる方法でも限定することを意味するものではない。
【0013】
実施例または別段の指示がある場合を除き、明細書および特許請求の範囲に記載されている材料の量、温度、持続時間、材料の定量化された特性などを表すすべての数値は、「約」という用語が表現において使用されているかどうかにかかわらず、すべての場合において「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。
【0014】
本明細書に列挙される任意の数値範囲は、その範囲内のすべての下位範囲、およびそのような範囲または下位範囲の様々な端点の任意の組み合わせを含み、それが実施例または明細書の他の箇所に記載されているものであることを理解されたい。
【0015】
本明細書の実施例の部分に詳述される任意の特定の属または種によって記載される本明細書の本発明の任意の構成要素は、一実施形態において、その構成要素に関して本明細書の他の箇所に記載される範囲の任意の端点の代替のそれぞれの定義を規定するために使用され得、そして非限定的な一実施形態において、他の箇所で記載されるように、そのような範囲の端点に取って代わるために使用され得る。
【0016】
構造的、組成的および/または機能的に関連する化合物、材料または物質の群に属するものとして明細書に明示的または暗黙的に開示され、および/または特許請求の範囲に記載されている化合物、材料または物質は、その群の個々の代表物およびそれらのすべての組み合わせを含むことがさらに理解される。
【0017】
本開示に従って、1つまたは複数の他の物質、成分、または原料と最初に接触、その場で形成、配合、または混合される直前の時点で存在する物質、成分、または原料が参照される。得られた混合物などとして識別される物質、成分または原料は、関連技術分野における者の常識および通常の技能により開示に従って行われる場合、接触、その場での形成、配合、または混合の操作の過程での化学反応または変換を通じて同一性、特性、または特徴を得ることができる。化学反応物または出発物質から化学製品または最終材料への変換は、それが発生する速度に関係なく、継続的に進化するプロセスである。したがって、そのような変換プロセスが進行しているため、出発物質と最終物質の混合物、ならびにそれらの動的寿命に応じて、当業者に知られている現在の分析技術で検出するのが容易または困難となり得る中間種が存在し得る。
【0018】
説明および特許請求の範囲で使用される用語または単語は、通常の意味または辞書の意味として限定的に解釈されるべきではなく、発明者が彼または彼女自身の発明を最良の方法で説明するため用語の概念を適切に定義できるという原則に基づいて、発明の概念に準拠する意味および概念として解釈されるべきである。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「炭化水素基」は、好ましくは基あたり1から60個の炭素原子を含み、飽和または不飽和であり得、そして任意選択で1つ以上の原子または官能基、例えば、ヒドロキシおよびオキシなどで置換または中断され得る、直鎖または分岐炭化水素基を意味する。
【0020】
炭化水素基に関して本明細書で使用される場合、「一価」という用語は、その基が基ごとに1つの共有結合を形成することができることを意味する。一般に、一価の基は、化合物から1つの水素原子を概念的に除去することにより、飽和炭化水素化合物から誘導されたものとして表すことができる。例えば、エチル基、すなわち-CH2CH3基は、飽和炭化水素エタンから1つまたは複数の水素原子を概念的に除去することによって誘導されたものとして表すことができる。
【0021】
適切な一価炭化水素基には、非環式炭化水素基、脂環式炭化水素基および芳香族炭化水素基が含まれる。好ましい一価炭化水素基は、アルキル基、アリール基およびアラルキル基である。
【0022】
本明細書で使用される場合、「非環式炭化水素基」という表現は、好ましくは最大60個の炭素原子を含み、飽和または不飽和であり得、そして1つ以上のヘテロ原子、例えば酸素、窒素など、および/または1つまたは複数の官能基および/または原子、例えば、ヒドロキシル、ハロ、特にクロロおよびフルオロなどが、同数のヒドロカルビル水素原子の代わりに含み得る直鎖または分岐鎖炭化水素基を意味する。
【0023】
適切な一価非環式炭化水素基には、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、シアノアルキル、カルボキシアルキル、アルキルオキシ、オキサアルキル、アルキルカルボニルオキサアルキレン、カルボキサミド、およびハロアルキル、例えば、メチル、エチル、sec-ブチル、tert-ブチル、オクチル、デシル、ドデシル、セチル、ステアリル、エテニル、プロペニル、ブチニル、ヒドロキシプロピル、シアノエチル、ブトキシ、2,5,8-トリオキサデカニル、カルボキシメチル、クロロメチル、トリフルオロメチル、および3,3,3-トリフルオロプロピルが含まれる。
【0024】
本明細書で使用される場合、「脂環式炭化水素基」という表現は、1つ以上の飽和炭化水素環を含む基であって、好ましくは環あたり4から12個の炭素原子を含み、任意選択で、1つ以上の環を1つ以上のアルキル基、好ましくはそれぞれがアルキル基あたり2から6個の炭素原子を含むもの、ハロ基または他の官能基で置換することができ、そして2つ以上の環を含む一価の脂環式炭化水素基の場合、縮合環であり得るものを意味する。適切な一価脂環式炭化水素基には、例えば、シクロヘキシルおよびシクロオクチルが含まれる。
【0025】
本明細書で使用される場合、「芳香族炭化水素基」という表現は、基あたり1つまたは複数の芳香環を含む炭化水素基であって、任意選択で、芳香環上で1つまたは複数のアルキル基、各々好ましくはアルキル基あたり2から6個の炭素原子を含むアルキル基、ハロ基または他の官能基で置換され得、そして2つ以上の環を含む一価の芳香族炭化水素基の場合、縮合環であり得るものを意味する。適切な一価芳香族炭化水素基には、例えば、フェニル、トリル、2,4,6-トリメチルフェニル、1,2-イソプロピルメチルフェニル、1-ペンタレニル、ナフチル、アントリルが含まれる。
【0026】
本明細書で使用される場合、「アラルキル」という用語は、アルキル基の芳香族誘導体、好ましくは(C2-C6)アルキル基を意味し、ここで芳香族誘導体のアルキル部分は、任意選択で、酸素原子によって中断され得、例えば、フェニルエチル、フェニルプロピル、2-(1-ナフチル)エチル、好ましくはフェニルプロピル、フェニオキシプロピル、ビフェニルオキシプロピルなどである。
【0027】
一態様では、本発明は、樹脂組成物を調製するための方法に関する。該方法は、少なくとも、(a)ポリオルガノシロキサンおよびポリオルガノシロキサンに可溶なシリコーン樹脂を含むシリコーン組成物を第1の樹脂と配合して、マスターバッチを形成すること(以下、MB形成と称する)、および(b)マスターバッチを第2の樹脂と配合すること(以下、MB配合と称する)を含む。
【0028】
一実施形態では、この方法は、ステップ(a)の前にシリコーン組成物を前処理すること;ステップ(a)と(b)の間にシリコーン組成物を冷却および乾燥すること;ステップ(b)後にシリコーン組成物を冷却および乾燥すること;および/または樹脂組成物を所望の形状に成形すること(以下、成形ステップと称する)など、必要に応じて1つまたは複数のステップをさらに含み得る。
【0029】
別の実施形態では、第1の樹脂および第2の樹脂は、それぞれ独立して、エステル基(C=O)を含む樹脂である。好ましい実施形態では、第1の樹脂および第2の樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0030】
MB形成
MB(マスターバッチ)形成中に、シリコーン組成物と第1の樹脂が配合されてマスターバッチが形成される。一実施形態では、シリコーン組成物および第1の樹脂は、溶融および配合されて、マスターバッチを形成する。別の実施形態では、MB形成は、約80℃から約400℃、好ましくは約200℃から約400℃、より好ましくは約220℃から約350℃、さらにより好ましくは約240℃から約300℃の範囲の温度で実施される。
【0031】
シリコーン組成物は、約5重量%から約45重量%など、50重量%未満の量でマスターバッチ中に存在し得る。好ましい実施形態では、シリコーン組成物は、約8重量%から40重量%、好ましくは約10重量%から約35重量%、特に好ましくは約10重量%から約30重量%の量でマスターバッチ中に存在する。シリコーン組成物のすべてのパーセンテージは、マスターバッチの100重量%に基づいている。
【0032】
MB形成に使用されるシリコーン組成物は、ポリオルガノシロキサンおよびポリオルガノシロキサンに可溶なシリコーン樹脂を含む。一実施形態では、シリコーン樹脂がポリオルガノシロキサンに溶解してシリコーン流体を形成するという条件であれば、ポリオルガノシロキサンとシリコーン樹脂との重量比は、広い範囲内で変化し得る。例えば、ポリオルガノシロキサンとシリコーン樹脂との重量比は、約99:1から約50:50、約90:10から約60:40、または約80:20から約70:30であり得る。好ましい実施形態では、シリコーン組成物は、高粘度のシリコーン流体であり、好ましくは、25℃で約200,000-900,000cpsの粘度を有する。シリコーン組成物の粘度は、コーンスピンドルCPE-52を備えたHBDV-Iプライムデジタルブルックフィールドクローズドカップ粘度計を使用して25℃で測定され、毎分回転数は70%-90%のトルクで動作するように調整されている。
【0033】
シリコーン組成物中のシリコーン樹脂は、式R3SiO1/2の1つまたは複数のM単位および式SiO4/2の1つまたは複数のQ単位を含み、任意選択で、式R2SiO2/2の1つまたは複数のD単位および式RSiO3/2の1つまたは複数のT単位を含み、ここで各Rが独立して約1-60個の炭素原子を有する一価の炭化水素基である。
【0034】
シリコーン樹脂に適した一価の炭化水素基には、アルキル、アルコキシル、アリール、およびアラルキルが含まれる。好ましい実施形態において、一価炭化水素基は、1-6個の炭素原子を有するアルキル、1-6個の炭素原子を有するアルコキシル、6-12個の炭素原子を有するアリール、および7-13個の炭素原子を有するアラルキルからなる群から選択される。好ましい実施形態では、各Rは、独立して、1-6個の炭素原子を有するアルキルまたはフェニルである。
【0035】
好ましい実施形態では、シリコーン樹脂は、式R3SiO1/2の1つまたは複数のM単位、式SiO4/2の1つまたは複数のQ単位、および式RSiO3/2の1つまたは複数のT単位から構成される。より好ましい実施形態では、シリコーン樹脂は、M単位およびQ単位から構成されるMQ樹脂である。MQ樹脂の好ましいM単位において、各Rは、独立して、1-4個の炭素原子を有するアルキル、好ましくはメチルである。
【0036】
一実施形態では、シリコーン組成物中のポリオルガノシロキサンは、下記式を有し、
M1
aM2
bD1
cD2
dT1
eT2
fQg
ここで
M1=R1R2R3SiO1/2
M2=R4R5R6SiO1/2
D1=R7R8SiO2/2
D2=R9R10SiO2/2
T1=R11SiO3/2
T2=R12SiO3/2
Q=SiO4/2
ここでR1、R2、R3、R5、R6、R7、R8、R10、およびR11は、それぞれ独立して、1-60個の炭素原子を有する一価炭化水素基であり、R4、R9およびR12はそれぞれ、水素、ヒドロキシルおよび1-12個の炭素原子を有するアルコキシルからなる群から独立して選択され、そして下付き文字a、b、c、d、e、f、gはゼロまたは正の整数であって、以下の制限:3≦a+b+c+d+e+f+g≦1000を受ける。
【0037】
好ましい実施形態では、ポリオルガノシロキサンは下記式を有し、
M3
hM4
iD5
jD6
k
ここで
M3=R11R12R13SiO1/2
M4=R14R15R16SiO1/2
D5=R17R18SiO2/2
D6=R19R20SiO2/2
ここでR11、R12、R13、R15、R16、R17、R18およびR20は、それぞれ独立して、1-60個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり:R14およびR19は、それぞれ独立して、ヒドロキシルまたは1-12個の炭素原子を有するアルコキシルであり:そして下付き文字h、i、j、kはゼロまたは正の整数であって、以下の制限:3≦h+i+j+k≦1000を受ける。
【0038】
より好ましい実施形態では、R11、R12、R13、R15、R16、R17、R18およびR20はそれぞれ、1-6個の炭素原子を有するアルキル、6-12個の炭素原子を有するアリール、および7-13個の炭素原子を有するアラルキルからなる群から独立して選択される。より好ましい実施形態では、R11、R12、R13、R15、R16、R17、R18およびR20は、それぞれ独立して、1-4個の炭素原子を有するアルキル、特にメチルである。
【0039】
好ましい実施形態では、R14およびR19は、それぞれ独立して、ヒドロキシルまたは1-6個の炭素原子を有するアルコキシルである。より好ましい実施形態では、R14およびR19の両方がヒドロキシルである。さらにより好ましい実施形態では、R14はヒドロキシルであり、kはゼロに等しい。
【0040】
シリコーン組成物は、例えば、シリコーン樹脂をポリオルガノシロキサンと物理的に混合することによって、またはシリコーン樹脂をポリオルガノシロキサンに溶解することによって調製することができる。シリコーン組成物はまた、例えば、Momentive Performance Materials Inc.からの商品名SFR100にて市販により入手し得る。
【0041】
SFR 100シリコーン流体は通常、難燃剤として知られており、一般に第IIA族金属有機塩とともに使用され、さまざまな程度の難燃性を提供する。驚くべきことに、マスターバッチに配合されたSFR 100シリコーン流体は、ポリカーボネートまたはポリエステル樹脂製品の衝撃強度を大幅に改善したが、第IIA族金属有機塩を樹脂組成物に配合すると、非常に低濃度(樹脂組成物の100重量%に基づいて0.05重量%)であっても、改善が失われたことが判明している。したがって、本発明の一実施形態では、樹脂組成物は、金属有機塩を実質的に含まず、好ましくは、ステアリン酸マグネシウムなどの第IIA族金属有機塩を含まない。別の実施形態では、樹脂組成物は、樹脂組成物の100重量%に基づいて、約0.05重量%未満の金属有機塩を含む。さらに別の実施形態では、樹脂組成物は、樹脂組成物の100重量%に基づいて、約0.02重量%未満の金属有機塩を含み、さらに別の実施形態では、約0.01重量%未満の第IIA族金属有機塩を含む。
【0042】
一実施形態では、第1の樹脂は、エステル基(C=O)を含む樹脂を含む。好ましい実施形態では、第1の樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0043】
MB形成に使用される第1のポリカーボネート樹脂は、特に限定されるものではなく、当技術分野で知られている任意のポリカーボネート樹脂であり得る。ポリカーボネート樹脂の例には、芳香族ポリカーボネートおよび芳香族ポリエステルカーボネートまたはそれらの組み合わせが含まれ得る。好ましい実施形態では、第1のポリカーボネート樹脂は芳香族ポリカーボネート樹脂である。第1のポリカーボネート樹脂は、1つの芳香族ポリカーボネート樹脂のみであり得、あるいは異なるモノマーから作製された、または同じモノマーから作製されたが異なる分子量および/または異なるメルトインデックスを有する2つ以上の芳香族ポリカーボネート樹脂の混合物であり得る。
【0044】
芳香族ポリカーボネート樹脂は、当業者に知られている任意の方法によって調製することができる。例えば、Schnell、「Chemistry and Physics ofPolycarbonates」、Interscience Publishers、1964を参照することができ、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂は、ジフェノール化合物を、ホスゲン化合物、ハロゲン酸エステル化合物、炭酸エステル化合物、またはそれらの組み合わせと反応させることによって調製することができる。ジフェノール化合物は、例えば、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-プロパン、2,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルブタン、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-シクロヘキサン、2,2-ビス-(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)-プロパン、または2,2-ビス-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)-プロパンであり得るが、特に限定されない。好ましい実施形態では、ジフェノール化合物は、ビスフェノールAとしての2,2-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-プロパンである。
【0045】
好ましい実施形態では、第1のポリカーボネート樹脂は、高粘度のポリカーボネート樹脂である。高粘度のポリカーボネート樹脂は、ISO1133に準拠した、温度300℃および1.2kgの荷重下で10g/10分未満の低いメルトインデックス(MI)を有する低い流動性を有している。好ましい実施形態では、第1のポリカーボネート樹脂は、例えば、ISO1133に準拠した300℃の温度および1.2kgの荷重下で9g/10分、7.5g/10分、6.5g/10分、または5g/10分のメルトインデックス(MI)を有する。異なるメルトインデックスを有する2つ以上のポリカーボネート樹脂の混合物を一緒に使用して、目標メルトインデックスを達成することができる。具体的には、ポリカーボネート樹脂は、ISO1133に準拠した300℃の温度および1.2kgの荷重下で、7.5g/10分、6.5g/10分、および/または5g/10分のメルトインデックス(MI)を有する芳香族ポリカーボネート樹脂から選択される2つ以上の混合物であり得る。
【0046】
第1のポリカーボネート樹脂はまた、単独でまたは組み合わせて使用される、任意の市販のポリカーボネート樹脂であり得る。
【0047】
MB形成に使用される第1のポリエステル樹脂は、特に限定されず、当技術分野で知られている任意のポリエステル樹脂、例えば、ポリカルボン酸とポリオールから合成されたポリエステル樹脂であり得る。ポリカルボン酸には、ジカルボン酸、および三価から六価、またはそれ以上のポリカルボン酸が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、ジカルボン酸は、直鎖脂肪族ジカルボン酸および分岐鎖ジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸;芳香族ジカルボン酸;およびそれらの組み合わせを含む。ポリオールには、ジオール、三価から八価またはそれ以上のポリオールが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、ジオールは、直鎖脂肪族ジオールおよび分枝鎖脂肪族ジオールなどの脂肪族ジオール;アルキレンエーテルグリコール;脂環式ジオール;脂環式ジオールのアルキレンオキシド付加物;ビスフェノールのアルキレンオキシド付加物;およびそれらの組み合わせを含む。
【0048】
一実施形態では、第1のポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールから合成される。別の実施形態では、第1のポリエステル樹脂は、芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジオールから合成される。好ましい実施形態では、第1のポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリブチレンイソフタレート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0049】
MB形成の配合工程は、押出機、熱プレス、バンブリミキサー、2ロールミル、射出成形機、または均質な組成粒を提供するのに有効な他の溶融配合装置からなる群から選択される装置で実施することができる。好ましい実施形態では、押出機を使用して、MB形成ステップを実行する。
【0050】
押出機は、熱可塑性樹脂の処理に一般的に使用される従来の押出機であり得る。押出機の例には、単軸スクリュ押出機、二軸スクリュ押出機、および多軸スクリュ押出機が含まれるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、シリコーン組成物および第1の樹脂は、二軸スクリュ押出機で溶融および配合される。二軸スクリュ押出機の各バレル(ゾーン)内の温度とスクリュの回転速度は、押出される材料に応じて決定され得る。
【0051】
一般的に、バレル温度は通常約80℃から約400℃の範囲である。下流のバレル温度は、例えば、約80℃から約200℃、好ましくは約100℃から約160℃と低くなければならない。上流のバレル温度は、例えば、約200℃から約400℃、好ましくは220℃から約300℃とより高くなければならない。一般にスクリュは、約200rpmから約500rpm、典型的には約250から約450rpmの範囲の速度で回転する。
【0052】
MB配合
MB配合では、MB形成で得られたマスターバッチと第2の樹脂とを配合して樹脂組成物を形成する。樹脂に一般的に使用される添加剤は、マスターバッチおよび第2の樹脂と共に配合することもできる。一実施形態では、MB配合は、約80℃から約400℃、好ましくは約200℃から約400℃、より好ましくは約220℃から約350℃、さらにより好ましくは約240℃から約300℃の範囲の温度で実施される。
【0053】
一般に、第2の樹脂と配合されるマスターバッチの量は、特に限定されず、マスターバッチ中のシリコーン組成物の濃度、および得られる樹脂組成物中に存在するシリコーン組成物の所望の濃度にもよる。一般に、マスターバッチは、約0.1重量%から約15重量%など、約20重量%未満の量で樹脂組成物に導入される。好ましい実施形態では、マスターバッチは、樹脂組成物の100重量%に基づいて、約0.5重量%から10重量%、好ましくは約0.8重量%から約8重量%、特に好ましくは約1重量%から約7.5重量%の量で樹脂組成物に導入される。
【0054】
一実施形態では、第2の樹脂は、エステル基(C=O)を含む樹脂を含む。好ましい実施形態では、第2の樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0055】
MB配合に使用される第2のポリカーボネート樹脂は、特に限定されず、当技術分野で知られている任意のポリカーボネート樹脂であり得る。ポリカーボネート樹脂の例には、芳香族ポリカーボネートおよび芳香族ポリエステルカーボネートまたはそれらの組み合わせが含まれ得る。好ましい実施形態では、第2のポリカーボネート樹脂は芳香族ポリカーボネート樹脂である。第2のポリカーボネート樹脂は、1つの芳香族ポリカーボネート樹脂のみであり得、あるいは異なるモノマーから作製された、または同じモノマーから作製されたが異なる分子量および/または異なるメルトインデックスを有する2つ以上の芳香族ポリカーボネート樹脂の混合物であり得る。
【0056】
MB配合に使用される第2のポリエステル樹脂は、特に限定されず、当技術分野で知られている任意のポリエステル樹脂、例えば、ポリカルボン酸とポリオールから合成されたポリエステル樹脂であり得る。一実施形態では、第2のポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールから合成される。別の実施形態では、第2のポリエステル樹脂は、芳香族ジカルボン酸および脂肪族ジオールから合成される。好ましい実施形態では、第2のポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリブチレンイソフタレート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0057】
一実施形態では、MB配合で使用される第2の樹脂は、MB形成で使用される第1の樹脂と同じであっても異なっていてもよい。異なる樹脂の混合物が第1および/または第2の樹脂として使用される場合、第2の樹脂もまた、第1の樹脂と部分的または完全に異なり得る。好ましい実施形態では、第1および第2の樹脂は、少なくとも部分的に同じであり、特に完全に同じである。
【0058】
MB形成の部分における第1の樹脂に関する説明は、第2の樹脂にも当てはまり得る。
【0059】
MB配合の配合工程は、押出機、熱プレス、射出成形機、バンブリミキサー、2ロールミル、または均質な組成物を提供するのに有効な他の溶融配合装置からなる群から選択される装置で実施することができる。好ましい実施形態では、MB配合は押出機で行われる。
【0060】
押出機は、熱可塑性樹脂の処理に一般的に使用される従来の押出機であり得る。押出機の例には、一軸スクリュ押出機、二軸スクリュ押出機、および多軸スクリュ押出機が含まれるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、マスターバッチおよび第2の樹脂が必要に応じて任意の添加剤と共に、二軸スクリュ押出機で溶融および配合される。二軸スクリュ押出機の各バレル(ゾーン)内の温度とスクリュの回転速度は、押出される材料に応じて決定され得る。
【0061】
一般的に、バレル温度は通常約80℃から約400℃の範囲である。下流のバレル温度は、例えば、約80℃から約200℃、好ましくは約100℃から約160℃と低くなければならない。上流のバレル温度は、例えば、約200℃から約400℃、好ましくは220℃から約300℃とより高くなければならない。一般に、スクリュは、約200rpmから約500rpm、典型的には約250から約450rpmの範囲の速度で回転する。
【0062】
樹脂組成物は、シリコーン組成物の耐衝撃性改良剤に加えて通常使用される他の添加剤をさらに含み得るが、但し添加剤は、樹脂組成物または成形品の所望の特性に悪影響を及ぼさないように選択されることを条件とする。添加剤の例には、抗酸化剤、熱安定剤、光安定剤またはUV安定剤、および帯電防止剤のうちの1つまたは複数が含まれるが、これらに限定されない。添加剤は、樹脂組成物の総重量に基づいて、0.0001から1重量パーセントの総量で使用することができる。
【0063】
適切な酸化防止剤添加剤には、例えば、オルガノホスファイト、例えばトリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等;アルキル化モノフェノールまたはポリフェノール;ポリフェノールとジエンのアルキル化反応生成物;アルキル化ヒドロキノン;ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル;アルキリデン-ビスフェノール;ベンジル化合物;チオアルキルまたはチオアリール化合物のエステル;またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0064】
適切な熱安定剤添加剤には、例えば、オルガノホスファイト、例えばトリフェニルホスファイト、およびトリス-(2,6-ジメチルフェニル)ホスファイトなど;ホスホネート、例えばジメチルベンゼンホスホネートなど;ホスフェート、例えばトリメチルホスフェートなど;またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0065】
適切な光安定剤またはUV安定剤には、例えば、ベンゾトリアゾール、例えば2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)-ベンゾトリアゾールなど;ヒドロキシベンゾフェノン、例えば2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノンなど;ヒドロキシベンゾトリアゾール;ヒドロキシベンゾトリアジン;シアノアクリレート;オキサニリド;ベンゾオキサジノン;またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0066】
適切な帯電防止剤には、例えば、導電性ブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、モノステアリン酸グリセロール、ジステアリン酸グリセロール、トリステアリン酸グリセロール、エトキシル化アミン、エトキシル化アルコール、アルキルサルフェート、アルキルアリールサルフェート、アルキルホスフェート、アルキルアミンサルフェート、第四級アンモニウム塩、第四級アンモニウム樹脂、イミダゾリン誘導体、ソルビタンエステル、エタノールアミド、ベタイン;またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0067】
本発明の方法に従って得られた樹脂組成物は、シリコーン組成物の耐衝撃性改良剤の濃度が非常に低い場合に、大幅に改善された衝撃強度を有することができる。例えば、シリコーン組成物は、樹脂組成物100重量部に基づいて、樹脂組成物中に約2重量部未満、好ましくは約0.05から約2重量部、より好ましくは約0.1から約1.5重量部、さらには約0.1から約0.5重量部の量で存在する。驚くべきことに、本発明の樹脂組成物は、物品に成形された場合、シリコーン組成物を添加しない出発樹脂のノッチ付きアイゾット衝撃強度の少なくとも4倍であるノッチ付きアイゾット衝撃強度を有する。
【0068】
成形ステップ
本発明の方法は、樹脂組成物を所望の形状に成形することをさらに含み得る。樹脂組成物を成形するためのプロセスは、当技術分野でよく知られている。本発明で使用される成形プロセスの例には、射出成形、押出成形、回転成形、ブロー成形、および熱成形などが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態では、ポリカーボネートまたはポリエステルは、射出成形によって成形される。
【0069】
好ましい実施形態では、成形プロセスは、例えば、約100-150℃の温度で約1から5時間放置することにより、樹脂組成物を最大0.02重量%の最終含水量まで予備乾燥すること、予備乾燥した樹脂組成物を約200℃から約350℃の温度で溶融すること、および約250℃から約350℃の温度でノズルから樹脂組成物を押出または注入することを含む。
【0070】
樹脂組成物
一態様では、本発明は樹脂組成物に関し、該樹脂組成物は
マスターバッチであって、シリコーン組成物と配合された第1の樹脂を含むマスターバッチ;および
マスターバッチと配合された第2の樹脂を含み、そして
ここで物品に成形されたときの樹脂組成物は、ASTMD638に準拠して25℃で少なくとも約60MPaの引張強度およびASTM D256に準拠して25℃で少なくとも約65KJ/m2のノッチ付きアイゾット衝撃強度を有する。
【0071】
別の態様では、本発明は樹脂組成物に関し、該樹脂組成物は
マスターバッチであって、シリコーン組成物と配合された第1の樹脂を含むマスターバッチ、および
マスターバッチと配合された第2の樹脂を含み、そして
ここで該樹脂組成物は、約0.05重量%未満の金属有機塩を含む。
【0072】
一実施形態では、第1の樹脂および第2の樹脂は、それぞれ独立して、エステル基(C=O)を含む樹脂である。別の実施形態では、第1の樹脂および第2の樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。MB形成の部分における第1および第2の樹脂に関する説明は、ここでの第1および第2の樹脂にも適用され得る。
【0073】
成形品
本発明の一実施形態による成形品は、様々な形状をとることができ、特に限定されない。例えば、成形品は、粒子、ペレット、フィルム、シート、バー、プレートなどの形状など、所望の任意の形状を有することができる。特定の実施形態では、成形品は、押出機を使用して樹脂組成物を溶融押出しすることにより、ペレットの形状に調製することができる。
【0074】
本発明の成形品は、シリコーン組成物を添加しない出発樹脂のノッチ付きアイゾット衝撃強度の少なくとも4倍であるノッチ付きアイゾット衝撃強度を有する。しかし、この驚くべき高い衝撃強度は、非常に少量の耐衝撃性改良剤としてのシリコーン組成物で達成される。シリコーン組成物は、成形品100重量部に基づいて、成形品中に約2重量部未満、より好ましくは、約0.1から約1.5重量部、さらには約0.1から約0.5重量部の量で存在する。
【0075】
衝撃強度が大幅に改善された本発明の成形品は、電子部品、建設資材、データストレージ、自動車、航空機、鉄道、およびセキュリティ部品、例えば、充電器とアダプター、計算機、リモートコントロール、多機能携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ラップトップコンピューター、ワイヤレスマウス、コンピューターキーボード、自動車やその他の車両用の車載ナビゲーション装置、洗面所センサー、セキュリティセンサーなど多種多様な用途に使用することができる。
【0076】
特に、本発明による成形品は、鉄道車両、船舶、航空機、バスおよびその他の自動車の内装仕上げ用の部品;電気機器用ケーシング;情報を処理および送信するためのデバイスのケーシング:医療機器、マッサージ機器およびケーシング用のケーシングおよびカバー;子供のためのおもちゃの乗り物;プレハブ壁パネル;セキュリティデバイスのケーシング;断熱輸送コンテナ;サニタリーおよびバスルームフィッティング用のモールディング、ベンチレーター開口部用のカバーグリッド:および庭園装置のケーシングに適することができる。
【実施例0077】
本発明は、実施例を参照してより具体的に説明されるが、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。また、以下の説明において、「部」は、特に明記しない限り、「重量部」を意味する。
【0078】
実施例で使用されている材料を以下に示す。
【表1】
【0079】
例1から4:マスターバッチ1から4の調製
表2に示すように、MAKROLON 3106、SFR 100、およびステアリン酸マグネシウムをさまざまな量で二軸スクリュ押出機(Nanjing Zhongsen ZSE-35mm)に供給した。スクリュを400RPMの速度で回転させた。各ゾーンの温度を表1に示す。押出機から得られたものを室温に冷却し、ペレット化した。ペレットを120℃で3時間乾燥し、マスターバッチ(MB)として使用した。
【0080】
【0081】
例5から9および比較例1から2:ポリカーボネート組成物の調製
MAKROLON 3106、SFR 100、および表4に示すさまざまな量の各マスターバッチを、二軸スクリュ押出機(Nanjing Zhongsen ZSE-35mm)に供給した。スクリュを400RPMの速度で回転させた。各ゾーンの温度を以下の表3に示す。押出機から得られたものを室温に冷却し、ペレット化した。ペレットを120℃で3時間乾燥させて、ポリカーボネート組成物を得た。
【0082】
【0083】
評価
このようにして得られた各ペレット組成物を厚さ4mmの棒状に成形し、引張強度およびノッチ付きアイゾット衝撃強度を評価した。成形条件は以下のとおりである。
【表6】
【0084】
引張強度は、ASTMD638に準拠して25℃で測定され、ノッチ付きアイゾット衝撃強度は、ASTM D256に準拠して25℃で測定された。
【0085】
測定結果を表5に示す。成形棒状物内のSFR100の濃度、および比較例1と比較したノッチ付きアイゾット衝撃強度の増大も示されている。
【表7】
【0086】
表5に示すように、すべての成形棒状物の引張強度はほぼ同じレベルである。しかしながら、驚くべきことに、本発明に従って調製された成形棒状物(例5から9)はすべて、最初のポリカーボネート樹脂の少なくとも4倍のノッチ付きアイゾット衝撃強度を得たが、一方で、事前にマスターバッチを形成せずにシリコーン組成物をポリカーボネート樹脂に直接導入した場合は、ノッチ付きアイゾット衝撃強度がわずかに増加することが見出された。すなわち、本発明の方法に従ってマスターバッチに配合されたシリコーン組成物は、ポリカーボネート製品の衝撃強度を大幅に改善した。
【0087】
また、驚くべきことに、例5から9の中で、シリコーン組成物の濃度が最も低い(0.5重量%)例6が、最初のポリカーボネート樹脂の5倍を超える最高のノッチ付きアイゾット衝撃強度を達成することが見出されている。さらに、シリコーン組成物の最高濃度(2重量%)を有する例8は、残りの例5、6、7および9以下のノッチ付きアイゾット衝撃強度となっており、これは、本発明が耐衝撃性改良剤としてのシリコーン組成物の使用量を大幅に削減したことを示している。
【0088】
例10および比較例3:ポリカーボネート組成物の調製
表6に示すように、MAKROLON 3106とマスターバッチ2または4をさまざまな量で二軸スクリュ押出機(NanjingZhongsen ZSE-35mm)に供給した。スクリュを400RPMの速度で回転させた。条件は表3に示すものと同じである。押出機から得られたものを室温に冷却し、ペレット化した。両方のペレット組成物を120℃で3時間乾燥し、厚さ4mmの棒状物に成形した。両方の棒状物は、上記のように、ASTMD638に準拠して引張強度およびASTM D256に準拠してノッチ付きアイゾット衝撃強度について評価された。測定結果を表6に示す。
【表8】
【0089】
表6に示すように、例10は例5-9のように大幅に改善された衝撃強度を達成したが、比較例3は、マスターバッチへの第IIA族金属有機塩の組み込み(1重量%の低濃度)においてのみ例10と異なっており、少なくとも4倍の衝撃強度を達成できなかった。したがって、出発ポリカーボネート樹脂の少なくとも4倍の衝撃強度を得るために、第IIA族金属有機塩は、本発明のシリコーン組成物から除外されるべきである。
【0090】
本発明は、例えば、以下の実施形態を提供する。
【0091】
1.樹脂組成物を調製する方法であって、
(a)シリコーン組成物を少なくとも1つの第1の樹脂と配合してマスターバッチを形成すること、シリコーン組成物は、少なくとも1つのポリオルガノシロキサンおよびポリオルガノシロキサンに可溶な少なくとも1つのシリコーン樹脂を含み、および
(b)マスターバッチを少なくとも1つの第2の樹脂と配合することを含み、
ここで第1の樹脂および第2の樹脂は、それぞれ、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびそれらの組み合わせからなる群から独立して選択される、方法。
【0092】
2.シリコーン樹脂が、式R3SiO1/2の1つまたは複数のM単位および式SiO4/2の1つまたは複数のQ単位を含み、任意選択で、式R2SiO2/2の1つまたは複数のD単位および式RSiO3/2の1つまたは複数のT単位を含み、ここで各Rは、独立して、1-60個の炭素原子を有する一価の炭化水素基である、実施形態1の方法。
【0093】
3.シリコーン樹脂がMQ樹脂である、実施形態1から2のいずれか一つに記載の方法。
【0094】
4.ポリオルガノシロキサンが下記式を有し、
M1
aM2
bD1
cD2
dT1
eT2
fQg
ここで
M1=R1R2R3SiO1/2
M2=R4R5R6SiO1/2
D1=R7R8SiO2/2
D2=R9R10SiO2/2
T1=R11SiO3/2
T2=R12SiO3/2
Q=SiO4/2
ここでR1、R2、R3、R5、R6、R7、R8、R10、およびR11は、独立して1-60個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり;R4、R9およびR12は、水素、ヒドロキシルおよび1から12個の炭素原子を有するアルコキシルからなる群から独立して選択され;そして下付き文字a、b、c、d、e、f、gはゼロまたは正の整数であって、制限:3≦a+b+c+d+e+f+g≦1000を受ける、実施形態1から3のいずれか一つに記載の方法。
【0095】
5.R4がヒドロキシルであり;そしてe、f、gはゼロである、実施形態4に記載の方法。
【0096】
6.シリコーン組成物が、100重量部の樹脂組成物に基づいて、約2重量部未満、好ましくは約1重量部以下、好ましくは約0.5重量部以下の量で樹脂組成物中に存在する、実施形態1から5のいずれか一つに記載の方法。
【0097】
7.シリコーン組成物が、100重量部の樹脂組成物に基づいて、0.01重量部以上、例えば、約0.02、0.05、0.07、0.1、0.2、0.3、0.4重量部以上の量で樹脂組成物中に存在する、実施形態1から6のいずれか一つに記載の方法。
【0098】
8.樹脂組成物が、樹脂組成物の総量に基づいて、約0.05重量%未満、例えば、約0.04重量%以下、約0.03重量%以下、約0.02重量%以下、または約0.01重量%以下の金属有機塩を含む、実施形態1から7のいずれか一つに記載の方法。
【0099】
9.樹脂組成物が金属有機塩を含まない、実施形態1から8のいずれか一つに記載の方法。
【0100】
10.金属有機塩が第IIA族金属有機塩である、実施形態8または9に記載方法。
【0101】
11.第1の樹脂が第2の樹脂と同じである、実施形態1から10のいずれか一つに記載の方法。
【0102】
12.第1の樹脂と第2の樹脂との比が、約1:60、約1:50、約1:45、約1:40、約1:35、約1:30、約1:25、約1:20、約1:15、約1:10、または約1:8よりも大きい、実施形態1から11のいずれか一つに記載の方法。
【0103】
13.第1の樹脂と第2の樹脂との比が、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、または約1:5よりも小さい、実施形態1から12のいずれか一つに記載の方法。
【0104】
14.物品に成形されたときの樹脂組成物が、少なくとも約60MPaの引張強度および少なくとも約70KJ/m2のノッチ付きアイゾット衝撃強度を有する、実施形態1から13のいずれか一つに記載の方法。
【0105】
15.マスターバッチであって、シリコーン組成物と配合された第1の樹脂を含むマスターバッチ、および
マスターバッチと配合された第2の樹脂、を含み、
ここで第1の樹脂および第2の樹脂は、それぞれ、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびそれらの組み合わせからなる群から独立して選択され、そして
ここで物品に成形されたときの樹脂組成物は、ASTMD638に準拠して25℃で少なくとも約60MPaの引張強度およびASTM D256に準拠して25℃で少なくとも約65KJ/m2のノッチ付きアイゾット衝撃強度を有する、樹脂組成物。
【0106】
16.マスターバッチであって、シリコーン組成物と配合された第1の樹脂を含むマスターバッチ、および
マスターバッチと配合された第2の樹脂を含み、
ここで第1の樹脂および第2の樹脂は、それぞれ、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびそれらの組み合わせからなる群から独立して選択され、そして
樹脂組成物は、樹脂組成物の総量に基づいて、約0.05重量%未満の金属有機塩を含む、樹脂組成物。
【0107】
17.シリコーン組成物が、少なくとも1つのポリオルガノシロキサンおよびポリオルガノシロキサンに可溶な少なくとも1つのシリコーン樹脂を含む、実施形態15または16に記載の樹脂組成物。
【0108】
18.シリコーン樹脂が、式R3SiO1/2の1つまたは複数のM単位および式SiO4/2の1つまたは複数のQ単位を含み、任意選択で式R2SiO2/2の1つまたは複数のD単位および式RSiO3/2の1つまたは複数のT単位を含み、ここで各Rは、独立して、1-60個の炭素原子を有する一価の炭化水素基である、実施形態15から17のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0109】
19.シリコーン樹脂がMQ樹脂である、実施形態15から18のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0110】
20.ポリオルガノシロキサンは、下記式を有し、
M1
aM2
bD1
cD2
dT1
eT2
fQg
ここで
M1=R1R2R3SiO1/2
M2=R4R5R6SiO1/2
D1=R7R8SiO2/2
D2=R9R10SiO2/2
T1=R11SiO3/2
T2=R12SiO3/2
Q=SiO4/2
ここでR1、R2、R3、R5、R6、R7、R8、R10、およびR11は、独立して1-60個の炭素原子を有する一価の炭化水素基であり;R4、R9およびR12は、水素、ヒドロキシルおよび1-12個の炭素原子を有するアルコキシルからなる群から独立して選択され;そして下付き文字a、b、c、d、e、f、gはゼロまたは正の整数であって、次の制限:3≦a+b+c+d+e+f+g≦1000を受ける、実施形態15から19のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0111】
21.R4がヒドロキシルであり:そしてe、f、gはゼロである、実施形態20に記載の樹脂組成物。
【0112】
22.シリコーン組成物が、100重量部の樹脂組成物に基づいて、約2重量部未満、好ましくは約1重量部以下、好ましくは約0.5重量部以下の量で樹脂組成物中に存在する、実施形態15から21のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0113】
23.シリコーン組成物が、100重量部の樹脂組成物に基づいて、0.01重量部以上、例えば約0.02、0.05、0.07、0.1、0.2、0.3、0.4重量部以上の量で樹脂組成物中に存在する、実施形態15から22のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0114】
24.樹脂組成物が、樹脂組成物の総量に基づいて、約0.04重量%以下、約0.03重量%以下、約0.02重量%以下、または約0.01重量%以下の有機金属塩を含む、実施形態15から23のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0115】
25.樹脂組成物が金属有機塩を含まない、実施形態15から24のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0116】
26.金属有機塩が第IIA族金属有機塩である、実施形態24または25に記載の樹脂組成物。
【0117】
27.第1の樹脂が第2の樹脂と同じである、実施形態15から26のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0118】
28.第1の樹脂と第2の樹脂との比が約1:60、約1:50、約1:45、約1:40、約1:35、約1:30、約1:25、約1:20、約1:15、約1:10、または約1:8よりも大きい、実施形態15から27のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0119】
29.第1の樹脂と第2の樹脂との比が約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、または約1:5よりも小さい、実施形態15から28のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
【0120】
30.実施形態1から14のいずれか一つに記載の方法で得られた樹脂組成物、または実施形態15から29のいずれか一つに記載の樹脂組成物を含む成形品。
【0121】
31.マスターバッチであって、シリコーン組成物と配合された第1の樹脂を含むマスターバッチ;および
マスターバッチと配合された第2の樹脂を含み、
ここで第1の樹脂および第2の樹脂は、それぞれ、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびそれらの組み合わせからなる群から独立して選択され、
ここで物品に成形されたときの樹脂組成物は、ASTMD638に準拠して25℃で少なくとも約60MPaの引張強度およびASTM D256に準拠して25℃で少なくとも約65KJ/m2のノッチ付きアイゾット衝撃強度を有する、成形品。
【0122】
32.樹脂はマスターバッチと配合され、そしてポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、樹脂製品の衝撃強度を改善するための耐衝撃性改良剤としての実施形態1から14のいずれか一つに記載のステップ(a)で得られたマスターバッチの使用。
【0123】
本発明は特定の実施形態を参照して説明されてきたが、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができ、その要素の代わりに均等物を使用できることを理解することになる。本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に含まれるすべての実施形態を含むことが意図されている。
シリコーン組成物が、100重量部の樹脂組成物に基づいて、0.01重量部以上の量で樹脂組成物中に存在する、請求項13から17のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
樹脂がマスターバッチと配合され、そしてポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、樹脂製品の衝撃強度を改善するための耐衝撃性改良剤としての請求項1から12のいずれか一項に記載のステップ(a)で得られたマスターバッチの使用。