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▶ シリコン・バイオシステムズ・ソシエタ・ペル・アチオニの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050699
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】試料の減容のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/40 20060101AFI20240403BHJP
   G01N 1/28 20060101ALI20240403BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20240403BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240403BHJP
   C12M 1/26 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
G01N1/40
G01N1/28 J
G01N1/10 H
C12M1/00 A
C12M1/26
【審査請求】有
【請求項の数】33
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024009943
(22)【出願日】2024-01-26
(62)【分割の表示】P 2020514738の分割
【原出願日】2018-09-21
(31)【優先権主張番号】102017000105911
(32)【優先日】2017-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】507008482
【氏名又は名称】メナリーニ・シリコン・バイオシステムズ・ソシエタ・ペル・アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】メドロ,ジャンニ
(72)【発明者】
【氏名】カランカ,アレックス
(72)【発明者】
【氏名】アルベルティ,ファブリツィオ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】試料の減容のための方法および装置を提供する。
【解決手段】試料が入った容器(6)が加速されて試料の液体成分の一部が容器(6)の1つの端部(8)の開口(8′)から流出する加速ステップを含み、幾つかの実施形態によれば、容器(6)は、容器(6)を通る回転軸(A)の周りで回転させられ、容器(6)は、その開口(8′)が外側に向いた状態で回転軸(A)に相対して半径方向に向けられている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの少なくとも部分的液体成分(3)を含み10μLまでの体積を有する試料(2)の減容の方法であって、前記方法が、内部空間と、第1の閉端(7)と、前記内部空間と外部との接続を確立する開口(8′)が配設された第2の端部(8)と、少なくとも1つの側壁(9)を有する少なくとも1つの容器(6)を使用することを含み、
前記方法が加速ステップを含み、前記加速ステップ中に、マニピュレーションアセンブリ(4)が前記試料(2)が入った前記容器(6)を移動させて、前記容器(6)に、前記第2の端部(8)から前記第1の閉端(7)の方に向けられ前記開口(8′)に対して横断方向(特に垂直)である少なくとも1つの成分を有する加速度を及ぼし、その結果、前記少なくとも部分的液体成分(3)の第1の部分が前記開口(8′)を介して容器(6)から流出し、また、前記少なくとも部分的液体成分(3)の第2の部分が実質的規定体積で前記容器(6)内、特に前記第1の閉端(7)に残留することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記試料(2)が少なくとも1つの微粒子(18)を含み、前記加速ステップ中に、前記マニピュレーションアセンブリ(4)は、前記微粒子(18)が、前記容器(6)内、特に前記第1の閉端(3)の領域に残留するように、前記容器(6)に加速度を及ぼす、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加速ステップに先行する前処理ステップを含み、前記加速ステップ中に、前記試料(2)が入った前記容器(6)は、前記微粒子(18)が前記第1の閉端(3)の前記領域に配置されるように、前記第1の閉端(7)から前記第2の端部(8)の方に向けられ前記開口(8′)に対して横断方向(特に、垂直)である少なくとも1つの成分を有するさらなる加速度を受ける、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記加速ステップ中に、前記容器(6)に印加された加速度の結果として、少なくとも1つの第1の慣性力が前記試料(2)の前記第1の部分に及ぼされるとともに少なくとも1つの第2の慣性力が前記試料(2)の前記第2の部分に及ぼされ、前記第1と第2の慣性力は、前記第1の閉端(7)から前記第2の端部(8)の方に、前記開口(8′)に対して横断方向(特に、垂直)に向けられ、前記加速ステップ中に、前記第1の慣性力は、前記試料の前記第1の部分と前記容器(6)の間に及ぼされる第1の保持力よりも大きく、前記第2の慣性力は、前記試料の前記第2の部分と、前記容器(6)との間に及ぼされる第2の保持力よりも小さい、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記加速ステップに先行する調整ステップを含み、前記調整ステップ中に、計算加速度および/または計算角速度が、得るべき実質的規定体積に基づいて決定され、前記加速ステップ中に、前記マニピュレーションアセンブリ(4)が前記容器(6)に及ぼす加速度は前記計算加速度である、および/または、前記マニピュレーションアセンブリ(4)が前記容器(6)に及ぼす角速度は前記計算角速度である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記マニピュレーションアセンブリ(4)は、前記加速ステップ中に、前記加速度を前記複数の容器(6)に同時に及ぼし、特に、前記マニピュレーションアセンブリ(4)は、それぞれの1つの容器(6)を各々収容した複数のシート(5)を備えている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記マニピュレーションアセンブリ(4)が移動デバイス(11)を備え、前記移動デバイス(11)は、前記加速ステップ中に、前記容器(6)に所与の方向への実質的直線運動を行わせて、前記第1の閉端(7)を前記所与の方向に対して前向きにし、前記第2の端部(8)を前記所与の方向に対して後ろ向きにする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記マニピュレーションアセンブリ(4)が移動デバイス(11)を備え、前記移動デバイス(11)は、前記加速ステップ中に、前記容器(6)を回転軸(A)周りに回転させて、その結果、遠心力により前記少なくとも部分的液体成分(3)の前記第1の部分を、前記開口(8′)を通って前記容器(6)から流出させる、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記加速ステップ中に、前記回転軸(A)は前記容器(6)を通って前記第1の閉端(7)と前記第2の端部(8)の間に延在する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記加速ステップ中に、前記第1の閉端(7)は、前記回転軸(A)と前記第2の端部(8)の間に配置される請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記微粒子(18)は、細胞、細胞破壊片(特に細胞フラグメントフラグメント-例えば、DNAおよび/またはRNA)、細胞塊(例えば、神経幹細胞塊または腫瘍様塊等の幹細胞由来の細胞の小クラスター等)、バクテリア、リポビーズ、マイクロビーズ(ポリスチレンおよび/または磁気の)、ナノビーズ(例えば100nmまでのナノビーズ)、細胞に結合されたマイクロビーズ(特に、磁性の特に、500μm未満の最大寸法の)で形成された集合体、磁性流体に結合された循環腫瘍細胞、エキソーム、コロイド懸濁液(例えば、磁性流体)、リポソーム、核、胞子およびそれらの組み合わせからなる群内で選択され、特に、前記微粒子(18)は、幹細胞、赤芽球、栄養芽層、神経細胞、上皮細胞、腫瘍細胞、白血球(WBC)、間質細胞、精子細胞、循環腫瘍細胞(CTC)、胎児細胞、マイクロビーズ(特に、最大寸法が500μm未満の)、コロイド懸濁液(例えば磁性流体)、細胞(例えば、幹細胞、赤芽球、栄養芽層、神経細胞、上皮細胞、腫瘍細胞、白血球(WBC)、間質細胞、精子細胞、循環腫瘍細胞(CTC)、胎児細胞)に結合されたマイクロビーズで形成される集合体、赤血球、磁性流体に結合された循環腫瘍細胞およびそれらの組み合わせからなる群内で選択される、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記試料(2)が前記容器(6)内に挿入される挿入ステップと、前記挿入ステップに後続するとともに前記加速ステップに先行する、前記試料(2)が特にさらなる物質で処理される処理ステップを含む、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記処理ステップが、前記試料(2)が入った前記容器(6)に反応物質(特に、前記微粒子(18)に着色するための反応物質および/または前記微粒子(18)を易透化する反応物質および/または前記微粒子(18)を固定するための反応物質)が挿入される第1の添加サブステップと、前記第1の添加サブステップに後続し、前記試料(2)が入った前記容器(6)に洗浄液体が挿入される第2の添加サブステップを含み、特に、前記処理ステップは、第1の添加サブステップに後続するとともに第2の添加サブステップに先行する、前記反応物質が前記試料(2)と共に放置される(より具体的には、最低温度と最高温度の間の範囲の温度管理下で)培養サブステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記加速ステップ中に、前記少なくとも部分的液体成分(3)を捕集する捕集デバイス(10)が、前記容器(6)からの前記開口(8′)の領域に配置されている請求項1乃至13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記捕集デバイス(10)が、前記少なくとも部分的液体成分(3)の前記第1の部分の少なくとも一画分を保持する保持システム(12)を備え、
特に、前記保持システム(12)が、吸収材(13)、毛細管トラップ、液体トラップおよびそれらの組み合わせからなる群内で選択された要素を含み、前記毛細管トラップは、幅が2.0mm未満、特に0.9mm未満である複数の溝(14)を備え、前記液体トラップは捕集チャンバ(15)を備え、前記捕集チャンバ(15)には、入口(16)と少なくとも1つの可動壁(17)が配設され、前記可動壁(17)は、前記入口(16)を通る液体の通過を防止する閉位置と、前記液体が前記入口(16)を通過可能な開位置の間で可動であり、前記加速ステップ中に、前記加速度は(特に、直接的に、および/または前記少なくとも部分的液体成分(3)によって間接的に)前記移動壁(17)を前記開位置に移動させ、前記容器(6)に、特に前記保持システム(12)に加速度が印加されなくなると、前記可動壁(17)は前記閉位置に戻る、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記加速ステップ中に、前記容器(6)の温度は所定の温度間隔内に保持される、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
挿入ステップをさらに含み、前記挿入ステップ中に、前記試料(2)が、マイクロ流体デバイス、ピペッティング器具、フローサイトメータ、マイクロマニピュレータ、光ピンセットからなる群内で選択された器具によって前記容器(6)に挿入され、特に、前記試料(2)は、前記少なくとも1つの微粒子(18)を含むように、画像、免疫蛍光法、インピーダンス、寸法、幾何形状、形態学的特徴およびそれらの組み合わせを用いて選択される請求項1乃至16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記試料(2)が、特に少なくとも1つの磁気成分を含む少なくとも1つの微粒子(18)を含み、前記加速ステップ中に、前記微粒子(18)に、前記側壁(9)および/または前記閉端(7)の方への磁力が及ぼされる請求項1乃至17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記加速ステップ中に、前記容器(6)から望ましくない材料(例えば磁性流体)を除去するために前記開口(8′)の方への磁力が及ぼされる請求項1乃至18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つの少なくとも部分的液体成分(3)を含み10μLまでの体積を有する試料(2)の減容のための装置であって、前記装置(1)が、内部空間と、第1の閉端(7)と、前記内部空間と外部との接続を確立する開口(8′)が配設された第2の端部(8)と、少なくとも1つの側壁(9)を有する少なくとも1つの容器(6)を少なくとも部分的に支持するための少なくとも1つのシート(5)が配設されたマニピュレーションアセンブリ(4)を備え、
前記マニピュレーションアセンブリ(4)が、前記少なくとも部分的液体成分(3)の第1の部分を捕集するように適合されるとともに、前記シート(5)の外部且つ前記シート(5)付近に配置された捕集デバイス(10)を備え、前記マニピュレーションアセンブリ(4)が、前記シート(5)を移動させて、前記シート(5)に、前記捕集デバイス(10)から前記シート(5)の方に向けられた少なくとも1つの成分を有する加速度を及ぼして、その結果、前記少なくとも部分的液体成分(3)の前記第1の部分が前記容器(6)から流出して前記捕集デバイス(10)に達するとともに、前記少なくとも部分的液体成分(3)の第2の部分が実質的規定体積で前記容器(6)内、特に前記第1の閉端(7)の領域に残留するように適合されている装置。
【請求項21】
前記容器(6)に、所与の方向に加速した実質的直線運動を起こさせて、前記所与の方向に対して前記シート(5)を前向きにし、前記捕集デバイス(10)を後ろ向きにするように適合された移動デバイスを前記マニピュレーションアセンブリが備えている請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記マニピュレーションアセンブリ(4)は、前記シート(5)を回転軸(A)の周りで回転させて、遠心力が、前記少なくとも部分的液体成分(3)の前記第1の部分を、前記容器(6)から前記捕集デバイス(10)へと流出させるように適合された移動デバイス(11)を備え、前記シート(5)は、前記回転軸(A)が前記容器(6)を通って前記第1の閉端(7)と前記第2の端部(8)の間に延在するように成形されている請求項20に記載の装置。
【請求項23】
前記マニピュレーションアセンブリ(4)は、前記シート(5)を回転軸(A)の周りで回転させて、遠心力が、前記少なくとも部分的液体成分(3)の前記第1の部分を、前記容器(6)から前記捕集デバイス(10)へと流出させるように適合された移動デバイス(11)を備え、前記シート(5)は、前記第1の閉端(7)が前記回転軸(A)と前記第2の端部(8)の間に配置されるように成形されている請求項20に記載の装置。
【請求項24】
前記マニピュレーションアセンブリ(4)、特に前記移動デバイス(11)は、1つ以上の可撓性ウェルプレートが前記移動デバイス(11)上に直接取り付けられて、前記回転軸(A)の周りに延在する(曲げられる)ように成形されている、請求項22または23に記載の装置。
【請求項25】
前記捕集デバイス(10)が、前記少なくとも部分的液体成分(3)の前記第1の部分の少なくとも一画分を保持する保持システム(12)(特にタンク)を備えている請求項20乃至24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記保持システム(12)が、吸収材(13)、毛細管トラップ、液体トラップおよびそれらの組み合わせからなる群内で選択された要素を含み、前記毛細管トラップは、幅が2.0mm未満、特に0.9mm未満である複数の溝(14)を備え、前記液体トラップは捕集チャンバ(15)を備え、前記捕集チャンバ(15)には、入口(16)と少なくとも1つの可動壁(17)が配設され、前記可動壁(17)は、前記入口(16)を通る液体の通過を防止する閉位置と、前記液体が前記入口(16)を通過できる開位置の間で可動であり、前記壁(17)は、使用時に、前記加速度が印加されたときに前記開位置に移動するように適合され、前記シート(5)に加速度が印加されなくなると、前記壁(17)は前記閉位置に戻る、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記マニピュレーションアセンブリ(4)は、それぞれの容器(6)を各々収容するように適合された複数のシート(5)を備え、前記マニピュレーションアセンブリ(4)は、前記シート(5)全てに同じ移動を起こすように適合された移動デバイス(11)を備えている請求項20乃至26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記移動デバイス(11)が、前記シート(5)を回転軸(A)の周りで回転させて、遠心力が、前記少なくとも部分的液体成分(3)の前記第1の部分を、前記捕集デバイス(10)へと移動させるように適合され、前記シート(5)は、前記回転軸(A)に対して実質的に平行な少なくとも1つの列に従って配置されている請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記マニピュレーションアセンブリ(4)は、前記シート(5)を回転軸(A)の周りで回転させて、遠心力が、前記少なくとも部分的液体成分(3)の前記第1の部分を、前記捕集デバイス(10)へと移動させるように適合された移動デバイス(11)を備え、前記マニピュレーションアセンブリ(4)は、前記回転軸(A)の周りに配置された複数のさらなる辺縁シート(19)を備え、前記辺縁シート(19)は、それぞれの試料(2)を各々が入れたさらなる容器(6)を収容するように適合されるとともに、前記さらなる容器(6)に入っている前記少なくとも部分的液体成分(3)に、前記さらなる容器(6)の前記第1の閉端(7)の方への遠心力が及ぼされるように、前記回転軸(A)の周りで前記移動デバイス(11)によって回転されるように適合されている、請求項20乃至28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記マニピュレーションアセンブリ(4)は、前記容器(6)、特に前記シート(5)の温度を所望の間隔内、特に、所与の最低温度と所与の最高温度の間に保持するように適合された温度保持システムを備え、特に、前記温度保持システムは、温度センサと、前記温度センサによって検出されたデータに基づいて作動するように適合された加熱および/または冷却デバイスを備えている請求項20乃至29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記マニピュレーションアセンブリ(4)が、前記捕集デバイス(10)の反対側の前記シート(5)の一端部の領域に配置された第1の磁石を備え、特に、前記第1の磁石は前記閉端(7)の前記領域に配置されている請求項20乃至30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記マニピュレーションアセンブリ(4)が、前記シート(5)の前記領域に、特に、前記捕集デバイス(10)の領域の前記シート(5)の一端部の前記領域に配置された第2の磁石を備え、特に、前記磁石は、前記第2の端部(8)の領域、より具体的には前記開口(8′)に配置されている請求項20乃至31のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年9月21日に出願されたイタリア特許出願第102017000105911号の優先権を主張し、同出願の開示を参照により援用する。
【0002】
本発明は、試料の減容のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
生体試料を異なる方式で処理して特定のタイプの微粒子(通常は細胞)の単離を得ることは周知である。
【0004】
これに関する例は、(DEPArrayTMシステムに関する)特許文献1および特許文献2に記載されているデバイスおよび方法である。
【0005】
通常、上述の処理の最後に、液体成分に微粒子が挿入された試料が得られる。上記に関連して、この液体成分は通常は、後続の分析段階では使用され得ないバッファであり、試料の体積が通常は大きすぎることに留意すべきである。例えば、DEPArrayTMシステムの使用後に得られる試料は約13μLの体積を有するのに対し、後続の段階(WGA-全ゲノム増幅等)に必要な体積は数マイクロリットル、具体的には5μL未満、さらに具体的には1.5μL未満である。
【0006】
したがって、試料が遠心分離で高速処理される必要があり、また、オペレータがピペットを用いて細心の注意と配慮をもって過剰な液体を手動で(且つ試料が入った試験管を傾けて)捕集することが必要である。このプロセスは複数の問題を伴う。それらは以下を含む。
・操作の成功はオペレータの能力に大きく依存し、オペレータは適切に訓練を受けるとともに定期的に練習しなければならない。
・オペレータが正確に操作しなかった場合、過剰な液体と一緒に微粒子を除去するおそれが高くなる。
・手順の成功率は確実性がなく常に再現性があるわけでもなく、使用されるバッファのタイプに依存する。
・操作が比較的遅い(96個の試料の回収に約3時間を要する)。
・オペレータによる処理中に試料が汚染されるおそれを軽減するために、手順は、専用ピペットおよび二重フィルタが付いた汚染のないピペット先端の使用などの特別な配慮を要する。
・前述したように比較的高速で行われ(したがって、比較的高いストレスを微粒子に与える)遠心分離により、微粒子が損傷するおそれが比較的高くなる。
・この手順は、体外診断(IVD)用途には推奨されない。
【0007】
特定のタイプの微粒子(通常は細胞)の単離を得るために上述の処理の前に生体試料を準備することが必要な場合に、類似した問題が発生する。これらの事例では、初期体積と最終体積はより高い(典型的にはそれぞれ約200μLと12μLである)が、既知の技法(高速での遠心分離と、それに続く、オペレータによる手での捕集)の欠点は、上述の欠点に加えて、所望の体積を得るために、数回の測定が繰り返し行われなければならないという事実である。
【0008】
さらに、試料の体積が少ない他の事例(例えば、細胞の染色、細胞の洗浄、バッファの交換、細胞の固定、細胞の易透化およびそれらの組み合わせ等)にも、実質的に同じ問題が発生する。前記問題は、微粒子(細胞)の数が低い場合にも浮かび上がってくる。
【0009】
より一般的には、小寸法の試料の減容のための、満足のいく、十分に正確および/または再現性のある方法はこれまで提案されてこなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際特許出願第PCT/IB2010/000615号パンフレット
【特許文献2】国際特許出願第PCT/IB2010/000580号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、従来技術の欠点を少なくとも部分的に克服でき、また、可能ならば、同時に容易且つ低価格で製造可能な試料の減容のための方法と装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明により、以下の独立請求項および好ましくは、独立請求項に直接的または間接的に従属するいずれか1つの請求項に記載の試料の減容のための方法および装置が提供される。
【0013】
他の形で明記されない限り、本文において以下の用語は下記の意味を有する。
【0014】
断面の等価直径とは、その断面と同じ面積を有する円の直径を意味する。
【0015】
マイクロ流体システムとは、少なくとも1つのマイクロ流体チャネルおよび/または少なくとも1つのマイクロ流体チャンバを備えたシステムを意味する。マイクロ流体システムが少なくとも1つのポンプ(より具体的には複数のポンプ)と、少なくとも1つのバルブ(より具体的には複数のバルブ)と、必要に応じ少なくとも1つのガスケット(より具体的には複数のガスケット)を備えていれば有利であるが必須ではない。
【0016】
特に、マイクロ流体チャネルとは、0.5mm未満の等価直径の断面を有するチャネルを意味する。
【0017】
特に、マイクロ流体チャンバは、0.5mm未満の高さを有する。より具体的には、マイクロ流体チャンバは、高さよりも大きい幅と長さを有する(より厳密には、高さの少なくとも5倍である)。
【0018】
本文において、微粒子とは、500μm未満の(有利には150μm未満の)最大寸法を有する小体を意味する。幾つかの非限定的な例によれば、微粒子は、細胞、細胞破壊片(特に細胞フラグメント-例えば、DNAおよび/またはRNA)、細胞塊(例えば、神経幹細胞塊または腫瘍様塊等の幹細胞由来の細胞の小クラスター等)、バクテリア、リポビーズ、マイクロビーズ(ポリスチレンおよび/または磁気の)、ナノビーズ(例えば100nmまでのナノビーズ)、細胞に結合されたマイクロビーズ(特に磁性の、特に500μm未満の最大寸法の)で形成された複合体、磁性流体に結合された循環腫瘍細胞、エキソーム、コロイド懸濁液(例えば、磁性流体)、リポソーム、核、胞子およびそれらの組み合わせから選択される。粒子が細胞であると有利であるが必須ではない。
【0019】
幾つかの非限定的な実施形態によれば、微粒子(有利には細胞および/または細胞破壊片)の最大寸法は60μm未満である。
【0020】
微粒子の寸法は、目盛尺を備える顕微鏡で、または、目盛尺を有するスライド(微粒子が沈着した)と共に用いる通常の顕微鏡により標準的な方式で測定され得る。
【0021】
本文において、微粒子の寸法とは、粒子の長さと幅と厚さとを意味する。
【0022】
以下に、本発明を、幾つかの非限定的な実施形態を説明する添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る装置の、順次操作段階における模式斜視図である。
図2】本発明に係る装置の、順次操作段階における模式斜視図である。
図3図1の装置の一部分の側断面図である。
図4図1の装置の正面図である。
図5】本発明に係る装置のさらなる実施形態の、一部の部分を透視図で示した正面模式図である。
図6図5の装置の一部分の斜視図である。
図7図6の部分の断面図である。
図8図6の部分の、明確にするため幾つかの構成要素を取り去った斜視図である。
図9】本発明に係る装置のさらなる実施形態の一部分の模式側面図である。
図10】本発明に係る装置のさらなる実施形態の一部分の模式図である。
図11】本発明に係る装置のさらなる実施形態の一部分の模式図である。
図12図1乃至11のうち1つの装置の構成要素の模式断面図である。
図13図12の構成要素のさらなる実施形態の、順次操作段階における模式断面図である。
図14図12の構成要素のさらなる実施形態の、順次操作段階における模式断面図である。
図15図12の構成要素のさらなる実施形態の、順次操作段階における模式断面図である。
図16図12の構成要素のさらなる実施形態の、順次操作段階における模式断面図である。
図17図12の構成要素のさらなる実施形態の、順次操作段階における模式断面図である。
図18図12の構成要素のさらなる実施形態の、順次操作段階における模式断面図である。
図19図18の構成要素の詳細の拡大図である。
図20】本発明に従って使用可能な容器の別の実施形態の断面図である。
図21】本発明に従って使用可能な容器の別の実施形態の断面図である。
図22】本発明に従って使用可能な容器の別の実施形態の断面図である。
図23】X軸が回転軸からの距離を示し、Y軸が力を示している、本発明の実施中に存在する力のうち一部の模式図である。
図24】X軸が回転軸からの距離を示し、Y軸が力を示している、本発明の実施中に存在する力のうち一部の模式図である。
図25】X軸が容器の端部への相対距離を示し、Y軸が力を示している、本発明の実施中に存在する力のうち一部の模式図である。
図26】X軸が回転軸からの距離を示し、Y軸が力を示している、本発明の実施中に存在する力のうち一部の模式図である。
図27】X軸が回転軸からの距離を示し、Y軸が力を示している、本発明の実施中に存在する力のうち一部の模式図である。
図28】本発明の実施中に存在する力のうち一部の模式図である。
図29】本発明の実施中に存在する力のうち一部の模式図である。
図30】X軸が試験を実行するオペレータの識別を示し、Y軸が得られた試料の体積(μLで)を示す、技術水準の方法を用いて得られた実験結果のグラフ表示図である。
図31】X軸が得られた試料の体積(μLで)を示し、Y軸が前記体積が得られた頻度(回数)を示す、技術水準の方法を用いて得られた実験結果のグラフ表示図である。
図32】Y軸が得られた体積(μLで)を示し、X軸が実験で使用された角速度を(RPMで)示す、図27に示すものと類似の構造を有する本発明の方法を試験することにより得られた実験結果のグラフ表示図である。
図33】本発明に係る方法の可能な使用に関する流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1では、符号1は、少なくとも1つの(少なくとも部分的)液体成分3を含む試料2の減容のための装置(図9、10および23-29)を全体として示す。
【0025】
装置1(特に、図1-11)はマニピュレーションアセンブリ4を備え、マニピュレーションアセンブリ4には、内部空間と、閉端7と、内部空間と外部空間の間の接触を確立する開口8′が配設された端部8と、(少なくとも)1つの側壁9(端部7と8の間に延在する)とを有する少なくとも1つの容器6(図7、12および20-22)を(少なくとも部分的に)支持するための少なくとも1つのシート5が配設されている。特に、内部空間は側壁9と閉端7によって(少なくとも部分的に)境界を定められている。
【0026】
特に、容器6は、マニピュレーションアセンブリ4に挿入されマニピュレーションアセンブ4から取り出され得る(より厳密には、シート5に挿入されシート5から取り出され得る)。より具体的には、装置1は容器6を含む。
【0027】
マニピュレーションアセンブリ4は、前記(少なくとも部分的)液体成分3の第1の部分を捕集するように構成されるとともにシート5の外部且つ前記シート5(の領域に)付近に配置された捕集デバイス10(特に、図3,4,6,7及び12-19)を備えている。
【0028】
マニピュレーションアセンブリ4は、シート5を移動させて、捕集デバイス10によって特にシート5に向けられた加速度(少なくとも1つの成分を有する)をシート5に及ぼすように適合され、その結果、前記(少なくとも部分的)液体成分3の第1の部分が容器6から(開口8′を通って)流出して捕集デバイス10に達し、また、(少なくとも部分的)液体成分3の第2の部分が、(特に、実質的規定体積で)容器6内、特に閉端7に残留する。
【0029】
加速度はベクトル量(ベクトル)であり、よって、係数(強度の大きさ)と方向で提示されることに留意すべきである。特に、加速(減速に対立するものとして)は、正である(したがって正の係数を伴う)と理解され、したがって、速度の増加(その独自の方向における)を包含することに留意すべきである。
【0030】
より具体的には、使用時に、加速度は、試料2の第1の部分に少なくとも1つの第1の慣性力を決定するとともに、試料2の第2の部分に少なくとも1つの第2の慣性力を決定する。第1の慣性力と第2の慣性力は、第1の閉端7から、第1の端部8の方に、前記開口8′に対して横断方向に(特に、垂直に)向けられる。マニピュレーションアセンブリ4は、第1の慣性力が、試料の第1の部分と容器6の間に及ぼされる第1の保持力より大きく、且つ、第2の慣性力が、試料の第2の部分と容器6の間に及ぼされる第2の保持力より小さくなるように加速度を調整するように適合されている。
【0031】
幾つかの非限定的な実施形態によれば(特に図9および図25参照)、マニピュレーションアセンブリ4は、容器6に、所与の方向に加速した実質的直線運動を起こさせて、シート5を該所与の方向に対して前向きにし、捕集デバイス10を該所与の方向に対して後ろ向きにする(または、より厳密には、閉端7を前向きにし、端部8を後ろ向きにする)ように適合された移動デバイス11を備えている。言い換えると、捕集デバイス10は、言及した所与の方向においてシート5の下流に配置されている。
【0032】
幾つかの非限定的な実施形態によれば(特に図1-11、23、24、26および27参照)、マニピュレーションアセンブリ4は、遠心力が、前記(少なくとも部分的)液体成分3の前記第1の部分を(容器6から)捕集デバイス10の方に移動させるように、シート5を回転軸Aの周りで回転させるように適合された移動デバイス11を備えている。
【0033】
幾つかの事例では、回転軸Aが閉端7と端部8の間(特に、図7、11、24および27)で容器6を通って延在する(ようにシート5が成形されている)。
【0034】
代替的に(特に、図10、23および26)、閉端7が回転軸Aと端部8の間に配置される(ようにシート5が成形されている)。
【0035】
幾つかの非限定的な事例では、捕集デバイス10は、(少なくとも部分的)液体成分3の第1の部分(のうち少なくとも一画分)が(いずれかのさらなる後続の使用に備えて)捕集される捕集エリアを備えている。これらの事例では、捕集デバイス10は、例えば試験管であり得る。
【0036】
(特に、図12乃至19参照)、捕集デバイス10が、(少なくとも部分的)液体成分3の第1の部分(のうち少なくとも一画分)を保持するための保持システム12を備えていれば有利であるが必須ではない。
【0037】
こうして、(少なくとも部分的)液体成分3の第1の部分の一部分が容器6に逆流するリスクが回避される。
【0038】
特に、使用時に、捕集デバイス10(より厳密には保持システム12)は開口8′に対面している。
【0039】
幾つかの非限定的な実施形態によれば、保持システム12は、吸収材13(図12)、毛細管トラップ(図17-19)、液体トラップ(図13-16)(およびそれらの組み合わせ)からなる群から選択された要素を含む。
【0040】
毛細管トラップ(図17-19)は、幅が2.0mm未満、特に0.9mm未満(より具体的には0.5mmを超える)である複数の溝14を備えている。この場合、液体は、容器6が加速されている間に受ける力(特に遠心力)によって溝14に入り、毛管現象によって(表面張力の力が重力の力より大きいため)、前記溝14内に残留する。特に、各溝14は、少なくとも2mm(典型的には7mmまで)の深さを有する。
【0041】
液体トラップは捕集チャンバ15(図13-16)を備え、捕集チャンバ15には、入口16と少なくとも1つの可動壁17(この特定の場合は2つの可動壁17)が配設され、可動壁17は(捕集チャンバ14からの流体の出口、および捕集チャンバ14への流体の入口に)、入口16を通る液体の通過を防止する閉位置(図13および16)と、液体が入口を通過可能な開位置(図14および15)の間で移動する。壁17は、使用時に前記加速度が印加されたときに開位置に移動するように適合されている。特に、壁17に加速度が印加されていないとき(より一般的には壁17に力が全くかかっていないとき)に壁17は閉位置となる。より厳密には、シート5にもはや加速度が印加されなくなると、壁17は閉位置に戻る。特に、使用時に、捕集デバイス10は開口8′に対面する。
【0042】
より厳密には、使用時に、加速度が可動壁17を開位置にする。さらにより厳密には、使用時に、加速度が、可動壁に直接的および/または間接的に作用して可動壁17を開位置にする。特に、幾つかの事例では、加速度は、少なくとも部分的液体成分3に作用し、それが可動壁17を押す。
【0043】
幾つかの非限定的な例によれば、壁17は、(弾性的に)および/または変形可能(弾性的に)枢着されているという意味で可動である。
【0044】
幾つかの非限定的な実施形態によれば、吸収材13は吸取紙(図12)である。
【0045】
マニピュレーションアセンブリ4が複数のシート5を備え(特に図8-10)、各シートがそれぞれの容器6を収容するように適合されていると有利であるが必須ではない。特に、これらの事例では、マニピュレーションアセンブリ4は、全てのシート5に同じ移動を起こさせるように適合された移動デバイス11を備えている。
【0046】
幾つかの非限定的な実施形態によれば(例えば図8参照)、シート5は、回転軸Aに対して実質的に平行な(少なくとも)1つの列に従って配置されている。
【0047】
幾つかの事例では、シート5は、回転軸Aに対して実質的に平行な複数の列に従って配置されている。これらの事例では、図10は、数回繰り返される移動デバイス11の層を示す。言い換えると、(図10の)各シート5は、シート5の列(それぞれが、他の列の他のシート5と共に軸Aの周りに配置されている)に属する一枚のシートである。
【0048】
1つ以上の可撓性ウェルプレートが、特に軸Aの周りに(曲げられて)、移動デバイス11上に(より厳密には、移動デバイス11のロータ上に)直接取り付けられ得る。
【0049】
幾つかの好ましいが非限定的な実施形態によれば、試料は、少なくとも1つの微粒子18(特に、複数の微粒子18)を含むことに留意すべきである。
【0050】
図11を特に参照すると、幾つかの有利であるが非限定的な実施形態によれば、マニピュレーションアセンブリ4は、回転軸Aの周りに配置された複数のさらなる辺縁シート19を備え、さらなる辺縁シート19は、(少なくとも部分的)液体成分3を入れたさらなる容器6を収容するように適合されるとともに、更なる容器6に入っている(少なくとも部分的)液体成分3に、さらなる容器6の閉端7の方への遠心力が及ぼされるように、移動デバイス11によって回転軸Aの周りで回転されるように適合される。
【0051】
こうして、移動デバイス11は、1つの単一の移動(軸Aの周りの回転)で、シート5内に配置された容器6に入っている試料2の減容と、辺縁シート19内に配置された他の容器6に入っている試料2の準備(微粒子18を閉端7に移動させる)の両方を行うことが可能である。
【0052】
特に、さらなる辺縁シート19は、特に軸A(の中心位置)に配置されたシート5の周りに(より厳密には、軸Aが、シート5内に配置された容器6を通って)配置される。
【0053】
マニピュレーションアセンブリ4が、辺縁シート8(実際にはシート5となる)をその辺縁位置から、他の辺縁シート8が周りに配置されている位置まで移動させる、またはその逆に移動させるように適合された移動デバイス20(特に、部分的且つ模式的にのみ示されたカム機構を備えて)を備えていると有利であるが必須ではない。図11では、この移動が矢印Tによって示されている。
【0054】
幾つかの非限定的な実施形態によれば、移動デバイス20は、辺縁シート19の列(軸Aに対して実質的に平行な)を移動させるように適合されている。これらの事例では、図11に示されているものは、辺縁シート19の複数の列(例えば、同じ支持体21で得られる)を提供する構造の層を表す。
【0055】
シート5(特に、支持体21)と捕集デバイス10は共に、マニピュレーションアセンブリ4に挿入されマニピュレーションアセンブリ4から取り出され得る(特に、移動デバイス11に挿入され移動デバイス11から取り出される)カートリッジ22を構成することに留意すべきである。
【0056】
マニピュレーションアセンブリ4(特に、移動デバイス11)が、カートリッジ22(移動デバイス11内の)の存在(および/または正しい位置)を検出するためのセンサ(それ自体が既知のタイプであり図示されていない)を備えていれば有利であるが必須ではない。
【0057】
カートリッジ22が書換え可能なメモリ(それ自体が既知のタイプであり図示されていない-例えばRFID)を備え、マニピュレーションアセンブリ4が前記書換え可能なメモリの読み取りおよび/または書き込みデバイス(それ自体が既知のタイプであり図示されていない)を備えていれば有利であるが必須ではない。幾つかの非限定的な実施形態によれば、例えばカートリッジ22の識別、カートリッジの使用のパラメータおよび/またはカートリッジ22が使用された回数等のカートリッジ22に関する情報は、書換え可能なメモリに記録され得る。特に、使用時に、読み取りおよび/または書き込みデバイスは、上述のメモリに、関連カートリッジ22が何時初回使用されたかを記録し、前記カートリッジ22が移動デバイス11に取り付けられる度に、それが初回利用ではないことを検出してエラー信号を発する。これで、カートリッジ22が数回使用されて試料2が汚染されることが回避される。
【0058】
マニピュレーションアセンブリ4が、その上に複数のシート5が得られる支持体21を有していれば有利であるが必須ではない。これらの事例では、カートリッジ22は支持体21と捕集デバイス10を備えている。
【0059】
図8を特に参照すると、幾つかの非限定的な実施形態によれば、支持体21は列に配置された複数のシート5を有する。
【0060】
特に(図6および7)、捕集デバイス10はシート5の上方に配置され、より具体的には、容器6の開口8′を覆うように配置されている。より具体的には、捕集デバイス10は支持体21の上に配置されている。
【0061】
幾つかの図示しない非限定的な実施形態によれば、マニピュレーションアセンブリ4は、シート5に配置された磁石(永久磁石および/または電磁石)を備えている。
【0062】
幾つかの事例では、磁石は捕集デバイス10の反対側のシート5の一端部に配置されている。特に、磁石は閉端7に配置されている。幾つかの事例では、磁石は、使用時に容器6がマニピュレーションアセンブリ4によって(特に、移動デバイス11によって)加速されている間に微粒子18(少なくとも1つの磁気的機能化を備える)が容器6から流出するリスクを低減するように適合されている。
【0063】
付加的にまたは代替的に、マニピュレーションアセンブリ4は、捕集デバイス10に配置されたシート5に、特に、捕集デバイス10に位置決めされたシート5の一端部に配置された1つの(さらなる)磁石(永久磁石および/または電磁石)を備えている。より具体的には、磁石は端部8に、より具体的には開口8′に配置されている。これらの事例では、磁石は試料2からの望ましくない(磁気的)成分の除去を改善する。
【0064】
幾つかの非限定的な実施形態によれば、マニピュレーションアセンブリ4は、物質(特に液体)、例えば、反応物質および/またはバッファ液等を容器6に供給するように適合されたフィーダーF(例えば、図11に示されている)も備えている。フィーダーFは、試料2に(単なる減容とは別に)付加的な処理(例えば、微粒子18の染色および/または易透化および/または洗浄および/または固定)の実行が望まれる場合に特に便利である。
【0065】
図5を参照すると、特に、移動デバイス11は、モータ23とアクチュエータ24(直線または回転)を備えている。図1乃至8の実施形態において、アクチュエータ24はロータであり、カートリッジ22のハウジングHを有する。
【0066】
移動デバイス11がシート5の(特にアクチュエータ24の)移動を阻止するように適合されたブレーキ25も備えていれば有利であるが必須ではない。
【0067】
特に、マニピュレーションアセンブリ4は、モータ23の(必要に応じブレーキ25の)動作を制御するように適合された制御ユニット26(図5)も備えている。より厳密には、制御ユニット26は、モータ23の(必要に応じブレーキ25の)動作を、得られる試料2の最終体積(および/または試験管の、および/または液体の特性)に基づいて調整するように適合されている。
【0068】
制御ユニット26が、カートリッジ22の存在(および/または正しい位置)を検出する上述のセンサに接続され、センサによって検出されたデータに基づいてモータ23(必要に応じブレーキ25)を制御するように適合されていれば有利であるが必須ではない。より厳密には、センサがカートリッジ22の存在を検出しなかった場合、または、カートリッジ22の正しくない位置を検出した場合、モータ23は作動しない(制御ユニット26によって)。制御ユニット26がフィーダーFの動作も制御すれば有利であるが必須ではない。
【0069】
制御ユニット26が上述の読み取りおよび/または書き込みデバイスに接続され、読み取りおよび/または書き込みデバイスによって検出されたデータに基づいてモータ23(必要に応じブレーキ25)を制御するように適合されていれば有利であるが必須ではない。より厳密には、カートリッジ22が初回使用されたのではないことを読み取りおよび/または書き込みデバイスが検出した場合、制御ユニット26はモータ23を作動させない。
【0070】
幾つかの非限定的な実施形態によれば、マニピュレーションアセンブリ4は、タッチスクリーンおよび/または物理的プッシュボタンが配設されたオペレータインターフェース27(HMI)を備えている。
【0071】
マニピュレーションアセンブリ4が、開位置と閉位置の間で移動するカバー28も備えていれば有利であるが必須ではない。
【0072】
カバー28が開位置にある場合、容器6(より厳密にはカートリッジ22)は移動デバイス11に挿入され得るとともに移動デバイス11から取り出され得る。言い換えると、カバー28が開位置にある場合、上述のハウジングHは外部からアクセス可能である。
【0073】
カバー28が閉位置にある場合、容器6(特に、カートリッジ22)を挿入および/または取り外すことは可能でない。言い換えると、ハウジングHは外部からアクセス可能でない。
【0074】
幾つかの非限定的な実施形態(図1乃至4に示されたような)によれば、移動アセンブリは、外部位置(図1)と内部位置(図2および3)の間で摺動するハウジングHを備えている。
【0075】
これらの事例では、使用時に、容器6(より厳密にはカートリッジ22)は、外部位置に配置されたハウジングH内に挿入される。この時点で、ハウジングHは内部位置に移動される(容器6を-より厳密にはカートリッジ22を伴って)。内部位置において、ハウジングは使用時に軸Aの周りで回転させられる。
【0076】
図1乃至4の実施形態は、モータ3とブレーキ25がアクチュエータ24の同じ側にあるため(ロータに関しても当てはまる-特に図3参照)、図5乃至8の実施形態と異なっている。
【0077】
幾つかの非限定的な実施形態によれば(図20)、容器6は伝統的なタイプの試験管(例えばPCR試験管)である。
【0078】
容器6が、縮小した内部断面を備えた(伝統的試験管に相対して-特に、前記断面は0.8mm未満の半径を有し、より厳密には、半径は約0.5mmである)、閉端7に配置され実質的に円筒形状を有する部分を有すると有利であるが必須ではない(図21)。このタイプの幾何形状は、試料2のより小さい最終体積を得る可能性、および減容の再現性のさらなる増加を含む種々の利点を提供する。
【0079】
容器6が、閉端7付近に内側狭窄部29を有していると有利であるが必須ではない(図22)。特に、狭窄部29と閉端7に配置された容器6の部分の内部体積は、試料2の開始時体積よりも小さく、得られる試料2の最終体積よりも大きい。
【0080】
このタイプの幾何形状は、微粒子18が容器6から流出するリスクを低減する。
【0081】
本発明の一態様により、少なくとも1つの(少なくとも部分的)液体成分3を備え10mLまで(特に2mLまで)の体積を有する試料2の減容のための方法が提供される。
【0082】
方法は、上記に規定した少なくとも1つの容器6の使用を提供する。
【0083】
方法は、加速ステップを含み、加速ステップ中に、マニピュレーションアセンブリ4が、試料2が入った容器6を移動させて、端部8から閉端7の方に開口8′に対して横断方向に(特に、垂直に)向けられた(少なくとも1つの成分を有する)加速度を容器に及ぼして、その結果、(少なくとも部分的)液体成分3の第1の部分が前記開口8′を通って容器6から流出し、(少なくとも部分的)液体成分3の第2の部分が(特に、実質的規定体積で)容器6内、特に閉端7に残留する。
【0084】
方法が上述の装置1によって実施されれば有利であるが必須ではない。
【0085】
試料2が少なくとも1つの微粒子18(特に、複数の微粒子18)を含むことは有利であるが必須ではない。加速ステップ中に、マニピュレーションアセンブリ4は、微粒子18が容器6内に、特に閉端7に残留するように容器6に加速度を及ぼす。
【0086】
方法が、加速ステップに先行する前処理ステップを備え、前処理ステップ中に、試料2が入った容器6が、微粒子18が閉端7に、特に、容器6の内面30と接触して配置されるように、閉端7から端部8の方に(また、前記開口8′に横断方向に特に垂直に)向けられた(少なくとも1つの成分を有する)さらなる加速度を受けることは有利であるが必須ではない。特に、前処理ステップは、試料2が入った容器6の遠心分離を伴う。
【0087】
こうして、加速ステップ中に容器6から微粒子18が流出するリスクがさらに低減されることが実験的に観測されている。
【0088】
これに関連して、微粒子18と内面30の間に、加速ステップ中に微粒子18に印加される慣性力Ficに拮抗する付着力Faが生成されることに留意すべきである。
【0089】
上記は、実験的観測結果を説明する試みを表す図28および29に図示されている。図28は、加速ステップの開始時の容器6と試料2を示す。図29は、加速ステップの終了時の容器6と試料2を示す。
【0090】
これらの図において、試料2に印加される慣性力は試料2の量に基づくものであり、Fcとして示され、試料の表面をそのまま維持する(緩んだ表面張力にリンクする)保持力はFyとして示される。
【0091】
特に、幾つかの実施形態によれば、加速ステップ中に、容器6に印加される加速度の結果として、少なくとも1つの第1の慣性力が試料2の第1の部分に及ぼされ、少なくとも1つの第2の慣性力が試料2の第2の部分に及ぼされる。第1と第2の慣性力は、閉端7から端部8の方に開口8′に(横断方向に-特に、垂直に)向けられる。加速ステップ中、第1の慣性力は、試料の第1の部分と容器6の間に及ぼされる第1の保持力よりも大きく、第2の慣性力は、試料の第2の部分と容器6の間に及ぼされる第2の保持力よりも小さい。特に、第1と第2の保持力は(主に)、試料2の表面張力と、試料2と容器6(より厳密には容器6の側壁9)の間の表面張力によって決定される。
【0092】
以下のより詳細な説明、および図23-29において、保持力はFyとして示される。
【0093】
マニピュレーションアセンブリ4は、加速ステップ中に、(各々にそれぞれの試料2が入っている)複数の容器6に上述の加速度を同時に及ぼすと有利であるが必須ではない。特に、マニピュレーションアセンブリ4は複数のシート5を備え、シート各々がそれぞれの容器6を収容する。
【0094】
幾つかの非限定的な実施形態によれば、マニピュレーションアセンブリ4は、加速ステップ中に、容器6に所与の方向への実質的直線運動を及ぼして、閉端7を該所与の方向に対して前向きにし、端部8を該所与の方向に対して後ろ向きにする移動デバイス11を備えている(図9および25)。
【0095】
別の実施形態によれば、マニピュレーションアセンブリ4は、加速ステップ中に、遠心力により、(少なくとも部分的)液体成分3の第1の部分が開口8′を通って容器6から出るように、回転軸Aの周りで容器6を回転させる移動デバイス11を備えている。
【0096】
特に、加速ステップ中に、容器6は、端部8が外側に向くように軸Aに対して実質的に半径方向に配向している。
【0097】
回転軸Aは閉端7と端部8の間で容器6を通って延在すると有利であるが必須ではない。こうして、加速ステップ中に、容器が、軸Aの位置によって規定される限度を超えて(言い換えると軸Aより下まで)空にされることは実質的に不可能である。これらの事例では、軸Aが容器6を通過する位置を選択することによって、容器6に残留する(少なくとも部分的)液体成分3の部分の体積を調整することが可能である。
【0098】
別の非限定的な実施形態によれば、加速ステップ中に、閉端7は回転軸Aと端部8の間に配置されている。こうすれば(以下にさらに詳細に説明するように)、加速ステップ中に、液体成分3の第2の部分の体積は容器6の角速度に基づくものとなる。
【0099】
幾つかの非限定的な実施形態によれば、微粒子18は、細胞、細胞破壊片(特に細胞フラグメント-例えば、DNAおよび/またはRNA)、細胞塊(例えば、神経幹細胞塊または腫瘍様塊等の幹細胞由来の細胞の小クラスター等)、バクテリア、リポビーズ、マイクロビーズ(ポリスチレンおよび/または磁気の)、ナノビーズ(例えば100nmまでのナノビーズ)、細胞に結合されたマイクロビーズ(特に、磁性の特に、500μm未満の最大寸法の)で形成された複合体、磁性流体に結合された循環腫瘍細胞、エキソーム、コロイド懸濁液(例えば、磁性流体)、リポソーム、核、胞子およびそれらの組み合わせから選択される。
【0100】
特に、微粒子18は、幹細胞、赤芽球、栄養芽層、神経細胞、上皮細胞、腫瘍細胞、白血球(WBC)、間質細胞、精子細胞、循環腫瘍細胞(CTC)、胎児細胞、マイクロビーズ(特に、最大寸法が500μm未満の)、コロイド懸濁液(例えば磁性流体)、細胞(例えば、幹細胞、赤芽球、栄養芽層、神経細胞、上皮細胞、腫瘍細胞、白血球(WBC)、間質細胞、精子細胞、循環腫瘍細胞(CTC)、胎児細胞)に結合されたマイクロビーズで形成される複合体、赤血球、磁性流体に結合された循環腫瘍細胞およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0101】
方法が、加速ステップに先行し、得るべき実質的規定体積(および特に、容器の幾何形状および前記側壁を構成する材料と前記液体成分の間の相互作用定数)に基づいて、計算加速度(および/または計算角速度)が(制御ユニット6によって)決定される調整ステップを備えていると有利であるが必須ではない。加速ステップ中に、マニピュレーションアセンブリ4が容器6に及ぼす加速度は、計算加速度である(および/または、マニピュレーションアセンブリ4が容器6に及ぼす角速度は計算角速度である)。
【0102】
実際には、角速度と加速度は、aを遠心加速度、ωを角速度、dを回転軸からの距離とした場合の関係式a=ω×dによって制約されるため、(円運動に関しては)等しいことに留意すべきである。
【0103】
幾つかの非限定的な実施形態によれば、方法は、試料2が容器6に挿入される挿入ステップを含む。
【0104】
特に、挿入ステップ中に、サンプル2は、マイクロ流体デバイス(例えば、特にインクジェット技術から派生したジェットシステムを含む)、ピペッティング器具、フローサイトメータ、マイクロマニピュレータ、光ピンセットからなる群から選択された器具によって容器6に挿入される。幾つかの非限定的な実施形態によれば、マイクロ流体デバイスは、公報番号がWO2010/106434およびWO2012/085884の特許出願に記載のタイプのデバイスである。
【0105】
試料2が少なくとも1つの微粒子18を含むように、画像、免疫蛍光法、インピーダンス、寸法、幾何形状, 形態学的特徴およびそれらの組み合わせを用いて選択されると有利であるが必須ではない。
【0106】
特定の非限定的な実施形態によれば、画像、免疫蛍光法、インピーダンス、寸法、幾何形状, 形態学的特徴およびそれらの組み合わせを用いて、少なくとも1つの微粒子18(所与のタイプの)を含む試料を選択するマイクロ流体デバイスが使用される。
【0107】
幾つかの事例では、挿入ステップに後続し遠心分離ステップに先行するとともに、試料が特にさらなる物質で処理される処理ステップを設けることも可能である。
【0108】
幾つかの非限定的な実施形態によれば、さらなる物質は、容器に挿入される反応物質(例えば、微粒子18を染色および/または易透化する)である。代替的にまたは付加的に、反応物質は、微粒子18を固定するための反応物質である。
【0109】
さらに、洗浄ステップを設けてその間に洗浄液体(洗浄液-洗浄バッファ)を容器6に挿入し、次に加速ステップ中に除去することも可能である。
【0110】
特に、処理ステップは、試料2が入った容器6に反応物質(特に、微粒子18を染色する反応物質および/または微粒子18を易透化する反応物質)が挿入される第1の添加サブステップと、試料2が入った容器6に洗浄液体が挿入される第2の添加サブステップを含む。特に、第1の添加サブステップに後続する。
【0111】
幾つかの非限定的な実施形態によれば、処理ステップは、第1の添加サブステップに後続し第2の添加サブステップに先行するとともに、容器6内で反応物質が試料2とともに(特に、最低温度と最高温度の間の温度管理下で)維持される培養サブステップを含む。
【0112】
幾つかの非限定的な実施形態によれば、培養サブステップは10秒から24時間の範囲の持続時間を有する。
【0113】
図33は、従われ得る手順の流れ図である。これらの事例では、方法は、前処理ステップSA(上記のような)と、前処理ステップに後続する加速ステップSBを含む。方法は、加速ステップSBに後続するとともに、添加サブステップSCと、通常は、容器6内でさらなる物質を試料2と接触させて維持する培養サブステップSDを含む処理ステップと、処理ステップに後続(より厳密には、培養サブステップSDに後続)するとともに、洗浄液体が容器6に挿入される洗浄ステップSEも含む。
【0114】
この時点で(洗浄ステップ後に)、第1のオプションによれば、前処理ステップSAが再び予定される(したがって、再び続けてステップSB、SC、SDが予定される)。第2のオプションによれば、加速ステップ(SB)が再び予定される(したがって、再び続けてステップSC、SDが予定される)。手順は数回実行され得る(そして通常SBステップで終了する)。
【0115】
加速ステップ中に、容器6内の温度が所定の間隔で保持されれば有利であるが必須ではない。特に、マニピュレーションアセンブリ4は、容器6の(より厳密にはシート2の)温度を所望の間隔で保持するように適合された温度保持システムを備えている。幾つかの非限定的な実施形態によれば、温度保持システムは、温度センサと、温度センサによって検出されたデータに基づいて動作する加熱および/または冷却デバイスを備えている。
【0116】
調整ステップは、事前に取得してある実験データ(それは、例えば、所与の形状および所与の材料の所与の容器6で、所与の成分3で、所与の加速度および/または角速度を印加して、所与の最終体積が得られるということを示唆する)を用いて実施され得る。角速度を液体成分3の第2の部分の体積(加速ステップ後に容器に残留する)に関係付ける、取得された実験データで得られた曲線の一例を図32に示す。
【0117】
特に(したがって)、幾つかの事例では調整ステップに先行して校正ステップがあり、そこで、異なる加速度(および/または角速度)に関して得られた最終体積の異なる値が測定される。より具体的には、校正ステップ中に校正曲線(または校正関数)が作成され、それが次に調整ステップ中に用いられて、得るべき実質的規定体積に基づいて計算加速度(および/または計算角速度)を得る。
【0118】
代替的にまたは付加的に、調整ステップ中に、慣性力を加速度に結びつける第1の関数が、表面張力による力の第2の関数と掛け合わされて、どの加速度値(および/または角速度)で、これら2つの力が、望まれる(少なくとも部分的)液体成分3の第2の部分の体積と等価になるかが推定(グラフでも)される。言い換えると、調整ステップ中に、容器6に残留すべき(少なくとも部分的)液体成分3の第2の部分の体積を特定した後で、どの加速度値(および/または角速度)で、慣性力が表面張力による力と等価になるかが、慣性力を加速度(および/または角速度)に関係付ける第1の関数と、慣性力を、閉端7からの距離または軸Aからの距離に関連付ける第2の関数に基づいて推定される。
【0119】
加速ステップ中に、マニピュレーションアセンブリは、容器6に前記値での加速度を及ぼす。
【0120】
閉端7が軸Aと端部8の間に配置され、容器6の断面が一定であれば(図23に示されるように)、第1の関数は:
(d)∝mωd (1)
であり、第2の関数は、
γ∝2πRΔγ (2)
であり、Fcは慣性力(より厳密には 遠心力)であり、mは試料の質量であり、ωは角速度であり、dは軸Aからの距離であり、Fγは保持力(表面張力による)であり、Rは容器6の内半径であり、Δγは、試料2のタイプ(より厳密には、液体成分3のタイプ)に、および容器6が作製されている材料に依存するパラメータである。パラメータΔγは、ハンドブックで表に纏められたものを使用しても、または、実験的に決定されてもよい。
【0121】
この場合、(少なくとも部分的)液体成分3の第2の部分の体積(すなわち、加速ステップ後に容器内に残留する部分)は、(容器の内周面を維持し、質量と表面張力が固定されて)角速度に基づく(したがって、角速度を変化させることによって調節され得る)。より厳密には、角速度が増加すると体積は減少する。
【0122】
軸Aが容器6を通過して閉端7と端部8の間に配置され、容器6の断面が一定であれば(図24に示すように)、第1と第2の関数は、上記の関数(1)と(2)である。前記の状況とは違って、この場合、軸Aと閉端7の間に配置された部分が(いずれにせよ)容器6の内部に残留しているため、試料2全体を(角速度を増加させることによって)流出させることは不可能である。
【0123】
容器6が可変な直径を有し、直線的に移動する場合(図25に示すように)、第2の関数は関数(2)であり(しかしながらこの場合、容器6の内周面-したがって内半径Rは、容器6の長手方向範囲に沿って移動するにつれて変動することに留意すべきである)、第1の関数は、
∝ma∝β・d(3)
であり、Fcは慣性力であり、mは試料2の質量であり、aは加速度であり、dは閉端7への相対距離であり、βは、試料2の(より厳密には、液体成分3の)比重量および容器6の幾何形状に依存する比例定数である(したがって、事前に決定され得る)。
【0124】
閉端7が軸Aと端部8の間に配置され、容器6の断面が可変である場合(図26に示すように)、第2の関数は関数(2)であり(しかしながらこの場合、容器6の内周面-したがって内半径Rは、容器6の長手方向範囲に沿って移動するにつれて変動することに留意すべきである)、第1の関数は、
(d)∝β・dω(4)
であり、Fは慣性力であり、ωは角速度であり、dは軸Aからの距離であり、βは、試料2の(より厳密には、液体成分3の)比重量および容器6の幾何形状に依存する比例定数である(したがって、事前に決定され得る)。
【0125】
特に、関数(4)は
(d)∝mωd∝pπRω (5)
から求まり、pは試料の比重量である。
【0126】
閉端7が軸Aと端部8の間に配置され、容器6の断面が可変である場合(図27に示すように)、第2の関数は関数(2)であり(しかしながらこの場合、容器6の内周面-したがって内半径は、容器6の長手方向範囲に沿って移動するにつれて変動することに留意すべきである)、第1の関数は関数(4)である。前記の状況とは違って、この場合、軸Aと閉端7の間に配置された部分が容器6の内部に残留しているため、試料2全体を(角速度を増加させることによって)流出させることは不可能である。
【0127】
上記に鑑み、第1の関数は関数(1)または(3)または(4)であり、第2の関数は関数(2)である。このことは、閉端7が軸Aと端部8の間に配置されている場合に特に重要である。
【0128】
関数(l)-(5) および図23-27の例証は、本発明が試料2の減容を非常に正確且つ再現性をもって得られることを実験的に驚異的に実証した後で作成された(観察結果を合理化し、幾つかの実施形態を自動化するために)ということに留意すべきである。
【0129】
幾つかの非限定的な実施形態によれば、試料2は微粒子18とさらなる微粒子を含む予備的試料から得られる。特に、試料2は、微粒子18をさらなる微粒子に相対して選択的に回収することによって得られる。これは、誘電泳動、光学ピンセット、磁気泳動、音響泳動、進行波、熱流、電気熱流によって生じる局所流体運動、電気流体力学的力によって生じる局所流体運動およびそれらの組み合わせからなる群から選択されたシステムを備えた分離ユニットを用いてなされる。
【0130】
幾つかの非限定的な事例では、分離ユニットは、誘電泳動、光ピンセット、磁気泳動、音響泳動およびそれらの組み合わせからなる群から選択されたシステムを備えている。
【0131】
特に、分離ユニットは、微粒子18に直接力を及ぼす(特に、微粒子18に運動を伝える流体に力を及ぼさずに)ことが可能なシステムを備えている。
【0132】
特定の実施形態によれば、分離ユニットは、例えば、特許出願WO-A-0069565、WO-A-2007010367、WO-A-2007049120のうち少なくとも1つに記載のような誘電泳動ユニット(またはシステム)を備えている。より具体的には、分離ユニットは、公報番号WO2010/106434およびWO2012/085884号の特許出願の記載に従って動作する。
【0133】
分離ユニットが、上記のマイクロ流体デバイスのうち1つの一部であり、また、特に、公報番号WO2010/106428およびW02010/106426の特許出願の記載内容に係るマイクロ流体デバイスのうち1つの一部であれば有利であるが必須ではない。前記マイクロ流体システムは、予備的試料から試料2を得るために用いられる。
【0134】
幾つかの非限定的な実施形態によれば、加速ステップ中に、特に少なくとも1つの磁気成分を含む微粒子18に、磁力が、閉端7(および/または側壁9)の方に及ぼされる。
【0135】
代替的に(または付加的に)、加速ステップ中に、(さらなる)磁力が開口8′の方に及ぼされる。特に、前記磁力は、磁性流体のコロイド懸濁液に及ぼされる(容器6からのコロイド懸濁液の流出を助長するために)。
【0136】
本発明に係る方法と装置はさらに、遺伝子解析のための試料調製のために、細胞選別のための試料調製のために、細胞染色、および細胞洗浄のために用いると有利である。
【0137】
他の形で明記されない限り、本明細書で引用した引例(記事、書籍、特許出願等)は、全体が参照される。特に、言及した参考文献は、参照で本明細書に援用される。
【0138】
本発明のさらなる特徴は、以下の、単に例示的で非限定的な実施例の説明から明らかとなろう。
【0139】
実施例1
この実施例は、液体成分3と少なくとも1つの微粒子18を含む試料6の伝統的減容方法で実行された試験について説明する。前記試料は、微粒子18の、容器6(図20に図示するように試験管)の閉端7での位置決めを助長するために事前に遠心分離機で処理されている。
【0140】
特に、全体で260の試験が、3人の異なるオペレータ(A、BおよびC)によって行われ、オペレータは、約113μLの初期体積の試料6から開始して、1μLの体積を得なければならなかった。
【0141】
各オペレータは、ピペットを用いて(且つ試料が入った試験管を傾けて)、過剰な液体を手動で捕集した。
【0142】
オペレータAおよびBはそれぞれ90の減容操作を行った。オペレータCは80の減容操作を行った。
【0143】
操作を完了するためには10時間の作業が必要であった(各オペレータの作業時間を合算して)。得られた全体的結果は、表1と図31に挙げられており(X軸は、減容後に得られた試料の体積を示し、Y軸は、減容した試料がその体積を提示した回数を示す)、暗色は微粒子を逸失した時間を強調表示し、破線は(どの最終体積で)前記逸失が起こった領域を識別している。
【0144】
【表1】
【0145】
最大間隔とは、減容操作後に得られた最大体積と最小体積の間の差を意味する。平均は、減容後に得られた試料の体積の平均である。得られた結果は、伝統的な手順に信頼性がなく(微粒子18が逸失された場合に関する失敗率が無視できない程度である)および平均体積が、標的体積(1μL)よりも有意に高いことを示している。
【0146】
オペレータあたりの得られた結果を以下の表2-4に示す。
【0147】
【表2】
【表3】
【表4】
【0148】
これらの結果は、手順の精度がオペレータに、またオペレータの手動能力に、非常に依存することを示している。
【0149】
各オペレータが3つの別個のセッションで減容を実行したことに留意すべきである。各断面に関して各オペレータ(X軸上に示す)によって得られた結果が図30にグラフで示されている(Y軸は、減容後に得られた試料の体積を示す)。
【0150】
見て取れるように、一人のオペレータでも異なる瞬間には異なる結果を得る傾向にある。
【0151】
実施例2
この実施例は、伝統的減容方法で実行された試験と、本発明に係る(自動)方法で実行された試験との比較を説明する。試験は、約113μLの初期体積で実行され、標的体積は1μLであった。
【0152】
伝統的方法は、実施例1で説明したように実施された。
【0153】
本発明に係る方法に関しては、図5-8に示した装置1(4200RPMで作動させ)と、図20の容器(より厳密には、それぞれ0.2mLの体積のPCR試験管ストリップ)が使用された。軸A(容器を通過する)と閉端7との間の距離は2.22mmであった。
【0154】
得られた結果を表5に挙げる。
【0155】
【表5】
【0156】
上記のデータから、本発明は、記録された各様相において有意且つ予想外の改善を提示している。
【0157】
下記の表6は、伝統的減容方法で実行された場合と、本発明に係る(自動)方法で実行された場合の同数の試験を比較したものである。
【0158】
【表6】
【0159】
減容した試料を得るための所要時間が、本発明に係る方法を実施することによって劇的に低減されることが直ちに観測され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
【手続補正書】
【提出日】2024-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの少なくとも部分的液体成分(3)を含み10Lまでの体積を有する試料(2)の減容の方法であって、前記方法が、内部空間と、第1の閉端(7)と、前記内部空間と外部との接続を確立する開口(8′)が配設された第2の端部(8)と、少なくとも1つの側壁(9)を有する少なくとも1つの容器(6)を使用することを含み、
前記方法が加速ステップを含み、前記加速ステップ中に、マニピュレーションアセンブリ(4)が前記試料(2)が入った前記容器(6)を移動させて、前記容器に、前記第2の端部(8)から前記第1の閉端(7)の方に向けられ前記開口(8′)に対して横断方向(特に垂直)である少なくとも1つの成分を有する加速度を及ぼし、その結果、前記少なくとも部分的液体成分(3)の第1の部分が前記開口(8′)を介して前記容器(6)から流出し、また、前記少なくとも部分的液体成分(3)の第2の部分が実質的規定体積で前記容器(6)内、特に前記第1の閉端(7)に残留し、
前記加速ステップ中に、前記容器(6)に印加された加速度の結果として、少なくとも1つの第1の慣性力が前記試料(2)の前記第1の部分に及ぼされるとともに少なくとも1つの第2の慣性力が前記試料(2)の前記第2の部分に及ぼされ、前記第1と第2の慣性力は、前記第1の閉端(7)から前記第2の端部(8)の方に、前記開口(8′)に対して横断方向(特に、垂直)に向けられ、前記加速ステップ中に、前記第1の慣性力は、前記試料の前記第1の部分と前記容器(6)の間に及ぼされる第1の保持力よりも大きく、前記第2の慣性力は、前記試料の前記第2の部分と、前記容器(6)との間に及ぼされる第2の保持力よりも小さく、
前記加速ステップ中に、前記マニピュレーションアセンブリ(4)は前記容器(6)に、計算加速度である加速度を及ぼし、および/または、前記マニピュレーションアセンブリ(4)は前記容器(6)に、計算角速度である角速度を及ぼすことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記試料(2)が少なくとも1つの微粒子(18)を含み、前記加速ステップ中に、前記マニピュレーションアセンブリ(4)は、前記微粒子(18)が、前記容器(6)内、特に前記第1の閉端(3)の領域に残留するように、前記容器(6)に加速度を及ぼす、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加速ステップに先行する前処理ステップを含み、前記加速ステップ中に、前記試料(2)が入った前記容器(6)は、前記微粒子(18)が前記第1の閉端(3)の前記領域に配置されるように、前記第1の閉端(7)から前記第2の端部(8)の方に向けられ前記開口(8′)に対して横断方向(特に、垂直)である少なくとも1つの成分を有するさらなる加速度を受ける、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記加速ステップに先行する調整ステップを含み、前記調整ステップ中に、前記計算加速度および/または前記計算角速度が、得るべき実質的規定体積に基づいて決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記マニピュレーションアセンブリ(4)は、前記加速ステップ中に、前記加速度を複数の記容器(6)に同時に及ぼし、特に、前記マニピュレーションアセンブリ(4)は、それぞれの1つの容器(6)を各々収容した複数のシート(5)を備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記マニピュレーションアセンブリ(4)が移動デバイス(11)を備え、前記移動デバイス(11)は、前記加速ステップ中に、前記容器(6)に所与の方向への実質的直線運動を行わせて、前記第1の閉端(7)を前記所与の方向に対して前向きにし、前記第2の端部(8)を前記所与の方向に対して後ろ向きにする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記マニピュレーションアセンブリ(4)が移動デバイス(11)を備え、前記移動デバイス(11)は、前記加速ステップ中に、前記容器(6)を回転軸(A)周りに回転させて、その結果、遠心力により前記少なくとも部分的液体成分(3)の前記第1の部分を、前記開口(8′)を通って前記容器(6)から流出させる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記加速ステップ中に、前記回転軸(A)は前記容器(6)を通って前記第1の閉端(7)と前記第2の端部(8)の間に延在する請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記加速ステップ中に、前記第1の閉端(7)は、前記回転軸(A)と前記第2の端部(8)の間に配置される請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記微粒子(18)は、細胞、細胞破壊片(特に細胞フラグメントフラグメント-例えば、DNAおよび/またはRNA)、細胞塊(例えば、神経幹細胞塊または腫瘍様塊等の幹細胞由来の細胞の小クラスター等)、バクテリア、リポビーズ、マイクロビーズ(ポリスチレンおよび/または磁気の)、ナノビーズ(例えば100nmまでのナノビーズ)、細胞に結合されたマイクロビーズ(特に、磁性の特に、500μm未満の最大寸法の)で形成された集合体、磁性流体に結合された循環腫瘍細胞、エキソーム、コロイド懸濁液(例えば、磁性流体)、リポソーム、核、胞子およびそれらの組み合わせからなる群内で選択され、特に、前記微粒子(18)は、幹細胞、赤芽球、栄養芽層、神経細胞、上皮細胞、腫瘍細胞、白血球(WBC)、間質細胞、精子細胞、循環腫瘍細胞(CTC)、胎児細胞、マイクロビーズ(特に、最大寸法が500μm未満の)、コロイド懸濁液(例えば磁性流体)、細胞(例えば、幹細胞、赤芽球、栄養芽層、神経細胞、上皮細胞、腫瘍細胞、白血球(WBC)、間質細胞、精子細胞、循環腫瘍細胞(CTC)、胎児細胞)に結合されたマイクロビーズで形成される集合体、赤血球、磁性流体に結合された循環腫瘍細胞およびそれらの組み合わせからなる群内で選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記試料(2)が前記容器(6)内に挿入される挿入ステップと、前記挿入ステップに後続するとともに前記加速ステップに先行する、前記試料(2)が特にさらなる物質で処理される処理ステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記処理ステップが、前記試料(2)が入った前記容器(6)に反応物質(特に、前記微粒子(18)に着色するための反応物質および/または前記微粒子(18)を易透化する反応物質および/または前記微粒子(18)を固定するための反応物質)が挿入される第1の添加サブステップと、前記第1の添加サブステップに後続し、前記試料(2)が入った前記容器(6)に洗浄液体が挿入される第2の添加サブステップを含み、特に、前記処理ステップは、第1の添加サブステップに後続するとともに第2の添加サブステップに先行する、前記反応物質が前記試料(2)と共に放置される(より具体的には、最低温度と最高温度の間の範囲の温度管理下で)培養サブステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記加速ステップ中に、前記少なくとも部分的液体成分(3)を捕集する捕集デバイス(10)が、前記容器(6)からの前記開口(8′)の領域に配置されている請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記捕集デバイス(10)が、前記少なくとも部分的液体成分(3)の前記第1の部分の少なくとも一画分を保持する保持システム(12)を備え、
特に、前記保持システム(12)が、吸収材(13)、毛細管トラップ、液体トラップおよびそれらの組み合わせからなる群内で選択された要素を含み、前記毛細管トラップは、幅が2.0mm未満、特に0.9mm未満である複数の溝(14)を備え、前記液体トラップは捕集チャンバ(15)を備え、前記捕集チャンバ(15)には、入口(16)と少なくとも1つの可動壁(17)が配設され、前記可動壁(17)は、前記入口(16)を通る液体の通過を防止する閉位置と、前記液体が前記入口(16)を通過可能な開位置の間で可動であり、前記加速ステップ中に、前記加速度は(特に、直接的に、および/または前記少なくとも部分的液体成分(3)によって間接的に)前記移動壁(17)を前記開位置に移動させ、前記容器(6)に、特に前記保持システム(12)に加速度が印加されなくなると、前記可動壁(17)は前記閉位置に戻る、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記加速ステップ中に、前記容器(6)の温度は所定の温度間隔内に保持される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
挿入ステップをさらに含み、前記挿入ステップ中に、前記試料(2)が、マイクロ流体デバイス、ピペッティング器具、フローサイトメータ、マイクロマニピュレータ、光ピンセットからなる群内で選択された器具によって前記容器(6)に挿入され、特に、前記試料(2)は、前記少なくとも1つの微粒子(18)を含むように、画像、免疫蛍光法、インピーダンス、寸法、幾何形状、形態学的特徴およびそれらの組み合わせを用いて選択される請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記試料(2)が、特に少なくとも1つの磁気成分を含む少なくとも1つの微粒子(18)を含み、前記加速ステップ中に、前記微粒子(18)に、前記側壁(9)および/または前記閉端(7)の方への磁力が及ぼされる請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記加速ステップ中に、前記容器(6)から望ましくない材料(例えば磁性流体)を除去するために前記開口(8′)の方への磁力が及ぼされる請求項1に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つの少なくとも部分的液体成分(3)を含み10Lまでの体積を有する試料(2)の減容のための装置であって、前記装置(1)が、内部空間と、第1の閉端(7)と、前記内部空間と外部との接続を確立する開口(8′)が配設された第2の端部(8)と、少なくとも1つの側壁(9)を有する少なくとも1つの容器(6)を少なくとも部分的に支持するための少なくとも1つのシート(5)が配設されたマニピュレーションアセンブリ(4)を備え、
前記マニピュレーションアセンブリ(4)が、前記少なくとも部分的液体成分(3)の第1の部分を捕集するように適合されるとともに、前記シート(5)の外部且つ前記シート(5)付近に配置された捕集デバイス(10)を備え、前記マニピュレーションアセンブリ(4)が、前記シート(5)を移動させて、前記シート(5)に、前記捕集デバイス(10)から前記シート(5)の方に向けられた少なくとも1つの成分を有する加速度を及ぼして、その結果、前記少なくとも部分的液体成分(3)の前記第1の部分が前記容器(6)から流出して前記捕集デバイス(10)に達するとともに、前記少なくとも部分的液体成分(3)の第2の部分が実質的規定体積で前記容器(6)内、特に前記第1の閉端(7)の領域に残留するように適合されている装置。
【請求項20】
前記容器(6)に、所与の方向に加速した実質的直線運動を起こさせて、前記所与の方向に対して前記シート(5)を前向きにし、前記捕集デバイス(10)を後ろ向きにするように適合された移動デバイスを前記マニピュレーションアセンブリが備えている請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記マニピュレーションアセンブリ(4)は、前記シート(5)を回転軸(A)の周りで回転させて、遠心力が、前記少なくとも部分的液体成分(3)の前記第1の部分を、前記容器(6)から前記捕集デバイス(10)へと流出させるように適合された移動デバイス(11)を備え、前記シート(5)は、前記回転軸(A)が前記容器(6)を通って前記第1の閉端(7)と前記第2の端部(8)の間に延在するように成形されている請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記マニピュレーションアセンブリ(4)は、前記シート(5)を回転軸(A)の周りで回転させて、遠心力が、前記少なくとも部分的液体成分(3)の前記第1の部分を、前記容器(6)から前記捕集デバイス(10)へと流出させるように適合された移動デバイス(11)を備え、前記シート(5)は、前記第1の閉端(7)が前記回転軸(A)と前記第2の端部(8)の間に配置されるように成形されている請求項19に記載の装置。
【請求項23】
前記マニピュレーションアセンブリ(4)、特に前記移動デバイス(11)は、1つ以上の可撓性ウェルプレートが前記移動デバイス(11)上に直接取り付けられて、前記回転軸(A)の周りに延在する(曲げられる)ように成形されている、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記捕集デバイス(10)が、前記少なくとも部分的液体成分(3)の前記第1の部分の少なくとも一画分を保持する保持システム(12)(特にタンク)を備えている請求項19乃至23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記保持システム(12)が、吸収材(13)、毛細管トラップ、液体トラップおよびそれらの組み合わせからなる群内で選択された要素を含み、前記毛細管トラップは、幅が2.0mm未満、特に0.9mm未満である複数の溝(14)を備え、前記液体トラップは捕集チャンバ(15)を備え、前記捕集チャンバ(15)には、入口(16)と少なくとも1つの可動壁(17)が配設され、前記可動壁(17)は、前記入口(16)を通る液体の通過を防止する閉位置と、前記液体が前記入口(16)を通過できる開位置の間で可動であり、前記壁(17)は、使用時に、前記加速度が印加されたときに前記開位置に移動するように適合され、前記シート(5)に加速度が印加されなくなると、前記壁(17)は前記閉位置に戻る、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記マニピュレーションアセンブリ(4)は、それぞれの容器(6)を各々収容するように適合された複数のシート(5)を備え、前記マニピュレーションアセンブリ(4)は、前記シート(5)全てに同じ移動を起こすように適合された移動デバイス(11)を備えている請求項19に記載の装置。
【請求項27】
前記移動デバイス(11)が、前記シート(5)を回転軸(A)の周りで回転させて、遠心力が、前記少なくとも部分的液体成分(3)の前記第1の部分を、前記捕集デバイス(10)へと移動させるように適合され、前記シート(5)は、前記回転軸(A)に対して実質的に平行な少なくとも1つの列に従って配置されている請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記マニピュレーションアセンブリ(4)は、前記シート(5)を回転軸(A)の周りで回転させて、遠心力が、前記少なくとも部分的液体成分(3)の前記第1の部分を、前記捕集デバイス(10)へと移動させるように適合された移動デバイス(11)を備え、前記マニピュレーションアセンブリ(4)は、前記回転軸(A)の周りに配置された複数のさらなる辺縁シート(19)を備え、前記辺縁シート(19)は、それぞれの試料(2)を各々が入れたさらなる容器(6)を収容するように適合されるとともに、前記さらなる容器(6)に入っている前記少なくとも部分的液体成分(3)に、前記さらなる容器(6)の前記第1の閉端(7)の方への遠心力が及ぼされるように、前記回転軸(A)の周りで前記移動デバイス(11)によって回転されるように適合されている、請求項19に記載の装置。
【請求項29】
前記マニピュレーションアセンブリ(4)は、前記容器(6)、特に前記シート(5)の温度を所望の間隔内、特に、所与の最低温度と所与の最高温度の間に保持するように適合された温度保持システムを備え、特に、前記温度保持システムは、温度センサと、前記温度センサによって検出されたデータに基づいて作動するように適合された加熱および/または冷却デバイスを備えている請求項19に記載の装置。
【請求項30】
前記マニピュレーションアセンブリ(4)が、前記捕集デバイス(10)の反対側の前記シート(5)の一端部の領域に配置された第1の磁石を備え、特に、前記第1の磁石は前記閉端(7)の前記領域に配置されている請求項19に記載の装置。
【請求項31】
前記マニピュレーションアセンブリ(4)が、前記シート(5)の前記領域に、特に、前記捕集デバイス(10)の領域の前記シート(5)の一端部の前記領域に配置された第2の磁石を備え、特に、前記磁石は、前記第2の端部(8)の領域、より具体的には前記開口(8′)に配置されている請求項19に記載の装置。
【請求項32】
前記マニピュレーションアセンブリ(4)が、前記シート(5)に、得るべき実質的規定体積の関数として決定される、所与の加速度および/または所与の角速度を及ぼすように、前記シート(5)を移動させるように適合される、請求項19に記載の装置。
【請求項33】
前記マニピュレーションアセンブリ(4)が、前記シート(5)に、得るべき実質的規定体積の関数として決定される、(特に、事前の)計算加速度および/または(特に、事前の)計算角速度を及ぼすように、前記シート(5)を移動させるように適合される、請求項19に記載の装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0101
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0101】
方法が、加速ステップに先行し、得るべき実質的規定体積(および特に、容器の幾何形状および前記側壁を構成する材料と前記液体成分の間の相互作用定数)に基づいて、計算加速度(および/または計算角速度)が(制御ユニット6によって)決定される調整ステップを備えていると有利であるが必須ではない。加速ステップ中に、マニピュレーションアセンブリ4が容器6に及ぼす加速度は、(事前の)計算加速度である(および/または、マニピュレーションアセンブリ4が容器6に及ぼす角速度は(事前の)計算角速度である)。