(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005072
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】室内用歩行車
(51)【国際特許分類】
A61H 3/04 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
A61H3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105073
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】598087841
【氏名又は名称】株式会社幸和製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 咲
(72)【発明者】
【氏名】奥村 泰明
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA24
4C046BB07
4C046CC02
4C046DD26
4C046DD33
(57)【要約】
【課題】ユーザーがハンドル、各フレーム、および各車輪で囲まれた立体空間に入った状態で、できる限り前方まで入ることのできる室内用歩行車を提供する。
【解決手段】室内用歩行車10を、一対の後輪フレーム14と、架橋フレーム16と、後輪フレーム14に回動可能に取り付けられた一対の上下フレーム18と、一対の上下フレーム18の上端に接続されたハンドルフレーム20と、前輪22が取り付けられている一対の前輪フレーム24と、後輪フレーム14、上下フレーム18もしくは前輪フレーム24の少なくともいずれかに回動可能に取り付けられた座面26とで構成する。上下フレーム18および後輪フレーム14に対して座面26を内側に位置して、座面26を後輪フレーム14および架橋フレーム16によって取り囲み、ハンドルフレーム20の前端を架橋フレーム16の前端よりも後側に位置させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方端に後輪が取り付けられている一対の後輪フレームと、
一対の前記後輪フレームにおける他方端同士を連結する架橋フレームと、
一対の前記後輪フレームに対してそれぞれ回動可能に取り付けられた上方に向かって延びる一対の上下フレームと、
一対の前記上下フレームの上端に接続されており、前方に向かって延びて前方でつながっているハンドルフレームと、
一対の前記上下フレームのそれぞれの下端に取り付けられており、一方端に前輪が取り付けられている一対の前輪フレームと、
前記後輪フレーム、前記上下フレームもしくは前記前輪フレームの少なくともいずれかに対して回動可能に取り付けられており、着座位置と跳ね上げ位置とを選択できる座面とを備えており、
前記上下フレームおよび前記後輪フレームに対して前記座面は内側に位置して、前記座面は前記後輪フレームおよび前記架橋フレームによって取り囲まれており、
前記ハンドルフレームの前端は、前記架橋フレームの前端よりも後側に位置している
室内用歩行車。
【請求項2】
前記座面を回動可能にする軸支位置は、前記架橋フレームの高さ以下の位置にある
請求項1に記載の室内用歩行車。
【請求項3】
前記後輪および前記前輪の少なくとも一方の回転を抑制する駐車ブレーキレバーをさらに備えており、
前記後輪フレームは、水平に延びる水平部を有しており、
前記駐車ブレーキレバーは、前記水平部に位置している
請求項1に記載の室内用歩行車。
【請求項4】
一対の前記前輪フレーム同士を連結する前輪側架橋フレームをさらに備えており、
前記前輪側架橋フレームの中央部は両端部に比べて上方にあり、
前側から後側にかけて、前記架橋フレームの前記前端、跳ね上げ位置にある前記座面、前記前輪側架橋フレームの前記中央部の順に並んでいる
請求項1に記載の室内用歩行車。
【請求項5】
一対の前記前輪フレーム同士を連結する前輪側架橋フレームをさらに備えており、
前記前輪側架橋フレームの中央部は両端部に比べて上方にあり、
跳ね上げ位置にある前記座面の前端部が前記前輪側架橋フレームの前記中央部に当接する
請求項1に記載の室内用歩行車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自力での歩行が困難な高齢者等が主に室内で使用する室内用歩行車に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、自力での歩行が困難な高齢者等が使用する歩行車が多数開発されている(一例として、特許文献1)。
【0003】
一般に、歩行車には、ユーザーが体重を掛けても転倒しないようにハンドルの位置が4つの車輪の内側にあることや、着座する座面が着座位置と跳ね上げ位置とを選択できるようになっていること等が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
とりわけ、主に室内で使用する室内用歩行車の場合、洗面所での手洗いや、台所での作業の際に便利なように、座面を跳ね上げた状態で、ユーザーがハンドル、各フレーム、および各車輪で囲まれた立体空間に入った状態で、できる限り前方まで入れることが望ましい。
【0006】
しかしながら、従来の室内用歩行車では、当該室内用歩行車を構成するハンドルや各フレームの構成・形状に起因して、ユーザーが立体空間に入った状態で思うように前方まで入ることができなかった。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザーがハンドル、各フレーム、および各車輪で囲まれた立体空間に入った状態で、できる限り前方まで入ることのできる室内用歩行車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面によれば、
一方端に後輪が取り付けられている一対の後輪フレームと、
一対の前記後輪フレームにおける他方端同士を連結する架橋フレームと、
一対の前記後輪フレームに対してそれぞれ回動可能に取り付けられた上方に向かって延びる一対の上下フレームと、
一対の前記上下フレームの上端に接続されており、前方に向かって延びて前方でつながっているハンドルフレームと、
一対の前記上下フレームのそれぞれの下端に取り付けられており、一方端に前輪が取り付けられている一対の前輪フレームと、
前記後輪フレーム、前記上下フレームもしくは前記前輪フレームの少なくともいずれかに対して回動可能に取り付けられており、着座位置と跳ね上げ位置とを選択できる座面とを備えており、
前記上下フレームおよび前記後輪フレームに対して前記座面は内側に位置して、前記座面は前記後輪フレームおよび前記架橋フレームによって取り囲まれており、
前記ハンドルフレームの前端は、前記架橋フレームの前端よりも後側に位置している
室内用歩行車が提供される。
【0009】
好適には、
前記座面を回動可能にする軸支位置は、前記架橋フレームの高さ以下の位置にある。
【0010】
好適には、
前記後輪および前記前輪の少なくとも一方の回転を抑制する駐車ブレーキレバーをさらに備えており、
前記後輪フレームは、水平に延びる水平部を有しており、
前記駐車ブレーキレバーは、前記水平部に位置している。
【0011】
好適には、
一対の前記前輪フレーム同士を連結する前輪側架橋フレームをさらに備えており、
前記前輪側架橋フレームの中央部は両端部に比べて上方にあり、
前側から後側にかけて、前記架橋フレームの前記前端、跳ね上げ位置にある前記座面、前記前輪側架橋フレームの前記中央部の順に並んでいる。
【0012】
好適には、
一対の前記前輪フレーム同士を連結する前輪側架橋フレームをさらに備えており、
前記前輪側架橋フレームの中央部は両端部に比べて上方にあり、
跳ね上げ位置にある前記座面の前端部が前記前輪側架橋フレームの前記中央部に当接する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る室内用歩行車によれば、着座位置と跳ね上げ位置とを選択できる座面が上下フレームおよび後輪フレームに対して内側に位置しており、かつ、当該座面は後輪フレームおよび架橋フレームによって取り囲まれており、さらに、ハンドルフレームの前端が架橋フレームの前端よりも後側に位置していることにより、ハンドルフレーム、各フレーム、および各車輪で囲まれた立体空間内で座面を回動させることができ、さらに、跳ね上げた状態の座面をより前方に位置させることができるので、立体空間内でユーザーが入ることのできる前方空間を広く確保することができる。
【0014】
これにより、ユーザーがハンドルフレーム、各フレーム、および各車輪で囲まれた立体空間に入った状態で、できる限り前方まで入ることのできる室内用歩行車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明が適用された室内用歩行車10の一例を示す斜視図である。
【
図2】本発明が適用された室内用歩行車10の一例を示す斜視図である。
【
図3】ハンドル高さ調整機構30の一例を示す分解斜視図である。
【
図4】本発明が適用された室内用歩行車10の一例を示す平面図である。
【
図5】前輪22周辺の一例を示す分解斜視図である。
【
図6】座面26を跳ね上げた状態における
図4のX矢視図である。
【
図7】座面26を省略した、
図4のY矢視図である。
【
図8】
図7の状態から、折り畳み機構32の係合を解除した状態を示す図である。
【
図9】ユーザー操作機構420の一例を示す分解斜視図である。
【
図10】ユーザー操作機構420の内部構造(駐車ブレーキ解除状態)を示す図である。
【
図11】ユーザー操作機構420の内部構造(駐車ブレーキ状態)を示す図である。
【
図12】車輪部機構422の制動機構450の一例を示す分解斜視図である。
【
図13】車輪部機構422の制動機構450の一例を示す分解斜視図である。
【
図14】車輪部機構422の旋回抑止機構452の一例を示す分解斜視図である。
【
図15】車輪部機構422の旋回抑止機構452の一例を示す断面図である。
【
図16】車輪ユニット310の一例を示す分解斜視図である。
【
図17】車輪抜止ユニット100の一例を示す斜視図である。
【
図18】車輪抜止ユニット100の一例を示す斜視図である。
【
図19】車輪抜止ユニット100の一例を示す斜視図である。
【
図20】車輪抜止ユニット100の一例を示す断面図である。
【
図22】車輪ユニット310を組み立てた状態を示す斜視図である。
【
図23】
図22の状態からカバー316を外した状態を示す斜視図である。
【
図24】車軸312に対して車輪抜止ユニット100を取り付ける手順を示す図である。
【
図25】車軸312に対して車輪抜止ユニット100を取り付ける手順を示す図である。
【
図26】変形例1に係る車輪ユニット310を示す分解斜視図である。
【
図27】変形例1に係る車輪ユニット310において、車軸312に対して車輪抜止ユニット100を取り付ける手順を示す図である。
【
図28】変形例1に係る車輪ユニット310において、車軸312に対して車輪抜止ユニット100を取り付ける手順を示す図である。
【
図29】変形例1に係る車輪ユニット310において、車軸312に対して車輪抜止ユニット100を取り付ける手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(室内用歩行車10の構成について)
本発明が適用された室内用歩行車10に係るひとつの実施形態について説明する。
図1および
図2に示すように、室内用歩行車10は、大略、後輪12と、後輪フレーム14と、架橋フレーム16と、上下フレーム18と、ハンドルフレーム20と、前輪22と、前輪フレーム24と、座面26と、ハンドル高さ調整機構30と、折り畳み機構32と、駐車ブレーキ機構34と、接触保護機構36とを備えている。
【0017】
なお、本明細書全体を通して、室内用歩行車10を使用する状態のユーザーから見たときの前方を室内用歩行車10の「前方」あるいは「前側」とし、ユーザーから見て後方を室内用歩行車10の「後方」あるいは「後側」とする。
【0018】
後輪12は、室内用歩行車10の後側に所定の距離をあけて2つ配置されている。本実施形態に係る後輪12は、それぞれ、駐車ブレーキ機構34の車輪部機構422(後述)および抑速機構40を備えている。後輪12の詳細については後述する。
【0019】
後輪フレーム14は、その一方端に後輪12が取り付けられている丸棒状部材である。本実施形態に係る室内用歩行車10には、一対(2本)の後輪フレーム14が使用されている。また、後輪フレーム14は、丸棒状に限られず、例えば角棒状等であってもよい。
【0020】
なお、本実施形態の場合、後輪フレーム14の他方端部は、室内用歩行車10を展開状態にしたときに略水平に延びる水平部42となっている。
【0021】
架橋フレーム16は、上述した一対の後輪フレーム14における他方端同士を連結し、前方の延びる部材であり、本実施形態では、後輪フレーム14と同じ丸棒状部材が使用されている。
【0022】
また、架橋フレーム16は、後輪フレーム14の水平部42と同じく水平面に配置されている。なお、架橋フレーム16は水平面に限定されることなく、例えば、その前端部が上方に湾曲してもよいし下方に湾曲してもよい。
【0023】
上下フレーム18は、上述した一対の後輪フレーム14(の水平部42)に対してそれぞれ回動可能に取り付けられており、上方に向かって延びる、一対の棒状部材である。なお、上下フレーム18が回動可能に取り付けられる部分は、水平部42に限られず、後輪フレーム14のいずれであってもよい。
【0024】
本実施形態の場合、上下フレーム18は、筒状の上下フレーム本体部44と、当該上下フレーム本体部44から後方に突設された略三角形状のブラケット46とを有している。筒状の上下フレーム本体部44には、上方からハンドルフレーム20が嵌挿され、下方から前輪フレーム24が挿通されるようになっている。
【0025】
また、ブラケット46には、上下フレーム18を後輪フレーム14に対して回動可能に軸支する上下フレーム軸支ピン48が挿通される軸支ピン挿通孔50が形成されている。
【0026】
さらに、上下フレーム18には、
図3に示すように、ハンドル高さ調整機構30が設けられている。このハンドル高さ調整機構30は、上下フレーム本体部44の上端部に形成されたハンドル高さ調整ネジ嵌挿部材52と、ハンドル高さ調整ネジ54とを有している。
【0027】
ハンドル高さ調整ネジ嵌挿部材52には、ハンドル高さ調整ネジ54が嵌挿される調整ネジ嵌挿孔56が上下フレーム本体部44の内側まで貫通されている。この調整ネジ嵌挿孔56に対してハンドル高さ調整ネジ54を螺入していき、当該ハンドル高さ調整ネジ54の先端がハンドルフレーム20の下方端部にいくつか形成されたハンドル高さ調整孔58のいずれかひとつに嵌まることで、上下フレーム18に対するハンドルフレーム20の位置が固定されて、ハンドルフレーム20の高さを調整できるようになっている。
【0028】
図1および
図2に戻り、ハンドルフレーム20は、上述のように、一対の上下フレーム18の上端にそれぞれ接続されており、前方に向かって延びて前方でつながっている丸棒状の部材である。本実施形態の場合、ハンドルフレーム20は、
図4に示す平面視で、略前後方向に延びる一対の前後部60と、一対の前後部60の前端同士を連結し、前後方向に対して略直交する方向に延びる前端部62とを有しており、さらに、一対の前後部60の後端から湾曲しつつ下方に延びて上下フレーム18の上端に接続される一対の後端部64を有している。
【0029】
また、本実施形態の場合、ハンドルフレーム20の前端、つまり、前端部62は、架橋フレーム16の前端よりも後側に位置している。
【0030】
なお、ハンドルフレーム20の前後部60および前端部62は、ほぼ同一水平面上に配置されている。また、一対の前後部60には、それぞれ、比較的軟質の材料で形成された、ユーザーが把持する把持部材66が取り付けられている。
【0031】
図1および
図2に戻り、前輪22は、室内用歩行車10の前側に所定の距離をあけて2つ配置されている。前輪22の詳細については後述する。
【0032】
前輪フレーム24は、その一方端に前輪22が取り付けられており、他方端が上下フレーム18の下端に取り付けられている、前方に湾曲した一対の丸棒状の部材である。
【0033】
本実施形態の場合、前輪側架橋フレーム68が設けられている。この前輪側架橋フレーム68は、一端が一方の前輪フレーム24の略中央部に接続され、他端が他方の前輪フレーム24の略中央部に接続されており、一対の前輪フレーム24同士を連結している。この前輪側架橋フレーム68は、中央部70が両端部に比べて上方にあるように湾曲している。
【0034】
また、前輪22は、前輪フレーム24に対して旋回自在に取り付けられている。具体的には、
図5に示すように、フォーク旋回ピン201が挿通されることによって前輪フレーム24の先端下部にキャスターフォーク200が前輪フレーム24に対して旋回自在に取り付けられている。
【0035】
さらに、前輪フレーム24の先端上部には、接触保護機構36が配置されている。この接触保護機構36は、室内の壁面や家具等に対して前輪22の車輪314が誤って接触しないように、当該車輪314よりも先に壁面や家具等に接触する保護部材72と、この保護部材72を前輪フレーム24に対して固定する固定部材74とで構成されている。
【0036】
本実施形態の場合、保護部材72は、略楕円状に形成された板状部材であり、固定部材74が挿通される固定用孔76が複数形成されている。また、固定部材74は、固定ネジ78と、保護部材72よりもやや硬質の材料で形成された固定片80とで構成されている。
【0037】
前輪フレーム24と固定片80とで保護部材72を挟み込み、上方から、固定片80、保護部材72、前輪フレーム24の順に固定ネジ78を挿通していくことで、保護部材72が前輪フレーム24に対して固定されている。
【0038】
保護部材72の外形は、平面視(
図4参照)で、前輪22の車輪314の前端よりも保護部材72の外縁の方が面一ないしは内側に入る形状であり、かつ、前輪22の車輪314における側端よりも保護部材72の外縁の方が外側にでる形状になっており、また、前輪22が
図4の図中左右いずれかに90°回転した状態においても、前輪22の車輪314における側端よりも保護部材72の外縁の方が外側にでる形状になっている。
【0039】
これにより、ユーザーが室内用歩行車10を使用したとき、前輪22の車輪314よりも先に保護部材72の外縁が壁面や家具等に接触して、車輪314が破損したり、車輪314によって壁面や家具等が破損したりするのを回避できる。
【0040】
また、キャスターフォーク200には、車輪314を回転可能にする車軸312が挿通されるフォーク車軸孔203が形成されている。さらに、車輪314にも車軸孔322が形成されており、車軸312によって車輪314がキャスターフォーク200に対して回転可能に取り付けられている。
【0041】
さらに、この車軸312が使用中に誤って抜けてしまうのを防止するための車輪抜止ユニット100が使用されている。この車輪抜止ユニット100については、後述する。
【0042】
図2に戻り、座面26は、ユーザーが着座するための部材であり、後輪フレーム14、上下フレーム18もしくは前輪フレーム24の少なくともいずれかに対して回動可能に取り付けられており、着座位置と跳ね上げ位置とを選択できるようになっている。本実施形態の場合、座面26は、上下フレーム18に対して回動可能に取り付けられている。
【0043】
座面26は、大略、座面本体部材82と、座面フレーム84とで構成されている。座面本体部材82は、樹脂で形成された略板状の部材であり、ユーザが直接接触・着座するものである。
【0044】
座面本体部材82の表面(ユーザーが着座する面)は、ほぼ平坦で滑らかな形状になっている。座面本体部材82の裏面には、座面フレーム84の一部が嵌め込まれる座面溝86が形成されているとともに、座面26を回動させる際にユーザーの指先が嵌まる回動用溝88が形成されている。
【0045】
座面フレーム84は、上下フレーム18と座面本体部材82との間に介在して座面26を回動させるとともに、座面本体部材82にユーザーが着座したときに、ユーザーの体重を支えるための部材である。
【0046】
本実施形態において、座面フレーム84は、回動フレーム90と、座面本体部材82の座面溝86に嵌め込まれる座面支持フレーム92とを有している。
【0047】
回動フレーム90は、略U字状の丸棒部材であり、両端部がそれぞれ上下フレーム18の上下フレーム本体部44に対して座面回動用ピン94で軸支されており、中央部が座面支持フレーム92に固定されている。
【0048】
座面支持フレーム92は、座面溝86において略前後方向に延びる1本の前後部材96と、座面本体部材82の後端側においてこの前後部材96と交差する横部材98とを有している。
【0049】
1本の前後部材96の前端側が回動フレーム90の中央部にそれぞれ固定されている。また、横部材98の両端部は、座面本体部材82からそれぞれ突出しており、座面26を着座位置にしたときに、これら両端部が後輪フレーム14の水平部42に上方から当接するようになっている。これにより、ユーザーの体重を後輪フレーム14と、回動フレーム90を介して上下フレーム18とで分散支持できる。
【0050】
なお、本実施形態では、前後部材96が嵌め込まれる前後方向に延びる座面溝86の他に、同じく略前後方向に延びる2本の座面溝86が形成されているがこれら2本の座面溝86には座面支持フレーム92は嵌め込まれていない。もちろん、座面溝86の数はこれに限定されず、また、座面支持フレーム92が嵌め込まれる座面溝86も本実施形態に限定されない。
【0051】
本実施形態の場合、座面26(座面本体部材82)は、上下フレーム18および後輪フレーム14に対して内側に位置しており、かつ、後輪フレーム14および架橋フレーム16によって取り囲まれている。
【0052】
また、座面26を回動可能にする回動フレーム90の上下フレーム18に対する軸支位置は、架橋フレーム16の高さ以下の位置にある。
【0053】
さらに、座面26を跳ね上げ位置にしたとき、
図6に示すように、前側から後側にかけて、架橋フレーム16の前端、跳ね上げ位置にある座面26(座面本体部材82)、前輪側架橋フレーム68の中央部70の順に並ぶようになっている。
【0054】
また、同じく座面26を跳ね上げ位置にしたとき、跳ね上げ位置にある座面26(座面本体部材82)の前端部が前輪側架橋フレーム68の中央部70に当接するようになっている。
【0055】
次に、折り畳み機構32について説明する。折り畳み機構32は、室内用歩行車10を展開状態(ユーザーが使用できる状態)で保持し、必要に応じて室内用歩行車10を折り畳んだ状態にできるようにする機構である。
【0056】
本実施形態の場合、折り畳み機構32は、
図7に示すように、一方の後輪フレーム14における水平部42から下方に突設された折り畳みブラケット400と、この折り畳みブラケット400に対して回動可能に取り付けられたハンドル部材402と、一方の上下フレーム18の上下フレーム本体部44における下端部に形成されたフック嵌挿穴404と、フック係合部材406とを備えている。
【0057】
ハンドル部材402は、上述のように折り畳みブラケット400に対して回動可能に軸支された部材であり、ユーザーが操作するハンドル部408と、上下フレーム本体部44に形成されたフック係合部材406と係合するフック部410とを有している。なお、ハンドル部材402は、図示しない付勢部材(巻きバネ等)により、折り畳みブラケット400に対してフック係合部材406の方向に回動するように付勢されている。
【0058】
この折り畳み機構32によれば、フック部410がフック係合部材406と係合した、室内用歩行車10の展開状態(
図7に示す状態)から、ユーザーが付勢部材の付勢力に抗してハンドル部408を後方斜め上に引くことにより、
図8に示すように、フック部410がフック係合部材406から離れて、折り畳みブラケット400に対してハンドル部材402が回動する。この状態で例えば後輪フレーム14を上下フレーム18に対して回動させると、後輪12が前輪22に近づくようにして室内用歩行車10を折り畳むことができる。
【0059】
次に、駐車ブレーキ機構34について説明する。本実施形態に係る駐車ブレーキ機構34は、ユーザーが座面26に着座しているときに室内用歩行車10が不所望に動かないように車輪(本実施形態では後輪12)の回転を抑制すると同時に、車輪(本実施形態では後輪12)の旋回も抑制する役割を有している。なお、駐車ブレーキ機構34を後輪12ではなく前輪22に取り付けてもよい。
【0060】
駐車ブレーキ機構34は、大略、ユーザー操作機構420と、車輪部機構422とに分かれている。
【0061】
ユーザー操作機構420は、
図9および
図10に示すように、ユーザー操作機構ケース424と、駐車ブレーキレバー426と、レバーカム428と、ブレーキワイヤー430と、ワイヤー操作部材432とを有している。なお、ユーザー操作機構420は、室内用歩行車10の左右両側にそれぞれ設けられている。
【0062】
ユーザー操作機構ケース424は、後輪フレーム14の水平部42に取り付けられた内部空間434を有する部材である。本実施形態では、ユーザー操作機構ケース424の内部空間434は、主に、後輪フレーム14の水平部42よりも下側に配設されている。
【0063】
駐車ブレーキレバー426は、ユーザーが直接操作する略S字状に形成された部材であり、下側端部がユーザー操作機構ケース424の内部空間434に嵌挿されており、これにより、駐車ブレーキレバー426がユーザー操作機構ケース424に対して回動可能になっている。
【0064】
レバーカム428は、内部空間434において駐車ブレーキレバー426の下側端部に取り付けられた部材であり、ユーザー操作機構ケース424に対して駐車ブレーキレバー426を回動させることにより、このレバーカム428も内部空間434において回動するようになっている。
【0065】
ブレーキワイヤー430は外部からユーザー操作機構ケース424の内部空間434内に配置されており、ブレーキワイヤー430の一端はワイヤー操作部材432の回動側端部436に取り付けられている。なお、ブレーキワイヤー430の一端は、車輪部機構422によって常にユーザー操作機構ケース424の内部空間434から外部へ出る方向に付勢されている。また、レバーカム428も付勢バネ429によって図中時計回りに(駐車ブレーキレバー426が起立する方向に)付勢されているが、これに限定されず付勢されない構成でもよい。
【0066】
ワイヤー操作部材432は、ブレーキワイヤー430の一端を付勢力に抗して内部空間434から外部へ出る方向とは逆の方向に引っ張る部材である。本実施形態では、ワイヤー操作部材432の回動側端部436にブレーキワイヤー430の一端が取り付けられており、回動側端部436とは反対側の軸支端438は、ユーザー操作機構ケース424に対して回動可能に取り付けられている。
【0067】
これにより、駐車ブレーキレバー426を上げている状態(駐車ブレーキ解除状態)では、
図10に示すように、レバーカム428が略下向きになっており、ワイヤー操作部材432の回動側端部436はブレーキワイヤー430に付勢されている付勢力により、ブレーキワイヤー430が外部へ出る側(後側)に倒れた状態でレバーカム428に当接している。
【0068】
この状態から、駐車ブレーキレバー426を後方に回動させると、
図11に示すように、レバーカム428も回動してワイヤー操作部材432の回動側端部436を前方(図中右方)に回動させるので、ブレーキワイヤー430の一端は内部空間434の奥に引っ張られる。この状態で、後輪12の回転および旋回が抑制された状態(駐車ブレーキ状態)になる。
【0069】
車輪部機構422は、大略、制動機構450と、旋回抑止機構452とを備えている。制動機構450は、
図12および
図13に示すように、制動用フォーク454と、制動車軸456と、制動ピン458と、制動ピンガイド部材460と、制動ピン移動部材462と、制動ピン付勢部材464と、抑速ローラー466と、抑速ローラー付勢部材468と、抑速ローラー押圧部材470とを備えている。
【0070】
制動用フォーク454は、後輪12が回転可能に取り付けられる部材であり、略直方体状のフォーク本体部472と、このフォーク本体部472から斜め下方に延びる一対のフォーク部474と、フォーク本体部472の一方端部に形成された旋回ボルト挿通孔476と、この旋回ボルト挿通孔476を囲むようにして上方に突設された円筒状の係合部478とを有している。
【0071】
旋回ボルト挿通孔476に挿通される旋回ボルト477によって、制動用フォーク454は後輪フレーム14に対して旋回可能に取り付けられている。なお、旋回ボルト477には、ブレーキワイヤー430が挿通される挿通孔479(
図10参照)が長手方向に沿って形成されている。また、旋回ボルト477の先端部は、後述する旋回抑止機構452の軸芯部材502に形成された旋回ボルト螺合穴481に固定される。
【0072】
また、各フォーク部474には、制動車軸456が挿通される車軸挿通孔480と、斜め上下方向に形成された長孔であるガイド孔482とが形成されている。
【0073】
制動ピン458は、制動ピンガイド部材460を貫通してフォーク部474に形成されたガイド孔482を通り、その先端が後輪12の内周縁に形成された制動凹所484に嵌まり込むことで後輪12の回転を止める部材である。本実施形態では、一対の制動ピン458が各フォーク部474に形成されたガイド孔482を貫通するように取り付けられているが、一方の制動ピン458は短く形成されており後輪12の制動に寄与しないようになっている。
【0074】
制動ピンガイド部材460は、制動ピン458の上下動をガイドするための部材であり、その中央部に制動ピン458が嵌挿される制動ピン嵌挿孔486が形成されているとともに、フォーク部474に形成されたガイド孔482内を上下方向に摺動できるような外形となっている。
【0075】
制動ピン移動部材462は、制動ピン458を上下方向に移動させるための部材であり、水平面状の本体部488と、この本体部488から斜め下方に延びる一対の縦部材490とを有している。
【0076】
また、本体部488の略中央部には、ブレーキワイヤー430の他端部が挿通されるブレーキワイヤー挿通孔492が形成されており、ブレーキワイヤー430の他端によって本体部488(制動ピン移動部材462)が上方に引き上げられるようになっている。
【0077】
さらに、各縦部材490には、制動ピンガイド部材460を貫通してきた制動ピン458の先端部が挿通される制動ピン挿通孔494がそれぞれ形成されている。
【0078】
制動ピン付勢部材464は、フォーク本体部472に対して制動ピン移動部材462を下方に付勢するための部材であり、本実施形態では、一例としてつるまきバネが使用されている。
【0079】
抑速ローラー466は、後輪12の外周面に押し付けられることにより、ユーザーが室内用歩行車10を動かす際に後輪12の回転数を調整(回転する重さを調整)するための部材である。本実施形態では、略円柱状の抑速ローラー466が使用されている。
【0080】
抑速ローラー付勢部材468は、抑速ローラー466を後輪12の外周面に押し付け付勢するための部材であり、フォーク本体部472の下面(後輪12に向かう面)に取り付けられる被取付部496と、抑速ローラー466が回転可能に取り付けられる抑速ローラー取付部498とを有している。
【0081】
被取付部496は、矩形状の板材を断面U字状に曲げた構造を有しているので2枚の板材が並んだ状態となっている。外側にある板材をピンでフォーク本体部472の下面に対して固定することで、内側にある板材が上下方向にある程度動くことができるようになっている。この内側にある板材の先端部に抑速ローラー取付部498が形成されているので、抑速ローラー466も上下方向にある程度動くことができるようになっている。
【0082】
抑速ローラー押圧部材470は、フォーク本体部472を貫通して抑速ローラー取付部498を上方から下方に向けて押圧するためのネジ状部材である。本実施形態では、フォーク本体部472に形成されたネジ孔500に抑速ローラー押圧部材470を螺合していき、フォーク本体部472の下面から突出する抑速ローラー押圧部材470の先端部の長さを調整することで、抑速ローラー取付部498を下方に押圧する強さが調整され、最終的に、抑速ローラー466が後輪12の外周面を押さえる強さが調整される。
【0083】
旋回抑止機構452は、
図14および
図15に示すように、軸芯部材502と、内側可動部材504と、付勢部材506と、外側可動部材508とを備えている。
【0084】
軸芯部材502は、円筒状の後輪フレーム14の先端内に嵌め込まれて、当該後輪フレーム14にネジ等で固定される部材である。この軸芯部材502の上端面には、付勢部材506の下端が当接する当接面510が形成されている。また、軸芯部材502の長手方向中央部には、ブレーキワイヤー430が挿通する挿通孔512が形成されている。
【0085】
内側可動部材504は、軸芯部材502よりも先に円筒状の後輪フレーム14の先端内に嵌め込まれて、当該後輪フレーム14内で摺動可能に配置される部材である。この内側可動部材504の下向面には、付勢部材506の上端が当接する押面514が形成されている。また、内側可動部材504の中央部には、ブレーキワイヤー430が挿通される長手方向に伸びる挿通孔516が形成されている。さらに、内側可動部材504の上端面には、ブレーキワイヤー430の外側を覆うアウターチューブ518が当接するアウターチューブ当接面520が形成されており、挿通孔516はこのアウターチューブ当接面520の略中央部から形成されている。なお、アウターチューブ518の反対側端は、ユーザー操作機構420のユーザー操作機構ケース424の表面に固定されている。
【0086】
また、内側可動部材504には、一対の連動ピン522の先端部が螺合される一対の連動ピン嵌挿穴524が形成されている。
【0087】
付勢部材506は、円筒状の後輪フレーム14の先端内において、軸芯部材502と内側可動部材504との間に配置された部材であり、本実施形態では、つるまきバネが使用されている。
【0088】
この付勢部材506により、内側可動部材504は、軸芯部材502に対して上方に付勢されている。
【0089】
外側可動部材508は、後輪フレーム14の先端部の外側に被せられる略筒状の部材であり、後輪フレーム14の先端部が挿通される後輪フレーム挿通孔526が形成されている。
【0090】
また、後輪フレーム挿通孔526の下側部は内径がより広げられており、フォーク本体部472に形成された円筒状の係合部478が収容される係合部収容部528となっている。つまり、後輪フレーム挿通孔526と係合部収容部528とは連通している。また、係合部478の先端面には係合凹凸530が形成されており(
図12および
図13を参照)、係合部収容部528の底面にはこの係合凹凸530と係合する被係合凹凸532が形成されている。
【0091】
さらに、外側可動部材508の側面上端部には、一対の連動ピン522が挿通される一対の連動ピン挿通孔534が形成されている。なお、この連動ピン挿通孔534は、挿通した連動ピン522がある程度動くようにやや大きい略三角形状に形成されている。このように、連動ピン挿通孔534が大きい略三角形状に形成されていることにより、係合凹凸530と被係合凹凸532とがうまく噛み合わない場合において、連動ピン522に対する外側可動部材508の位置を少しずらす(例えば、長手方向を中心として周動させる)ことにより、係合凹凸530と被係合凹凸532とが噛み合うように調整できる。
【0092】
また、後輪フレーム14の先端部における側周面にも、一対の連動ピン522が挿通される一対の連動ピン挿通長孔536が当該後輪フレーム14の長手方向に沿って形成されている。
【0093】
以上のことから、連動ピン522は、外側可動部材508の連動ピン挿通孔534、および、後輪フレーム14の先端部に形成された連動ピン挿通長孔536を通って、内側可動部材504の連動ピン嵌挿穴524に螺合される。これにより、連動ピン522によって一体化された外側可動部材508および内側可動部材504が後輪フレーム14の先端部で摺動可能となっている。
【0094】
車輪部機構422によれば、ユーザーがユーザー操作機構420を操作してブレーキワイヤー430を引くことにより、当該ブレーキワイヤー430の他端が取り付けられた制動ピン移動部材462が制動ピン付勢部材464からの付勢力に抗して上方に移動する。制動ピン移動部材462が上方に移動することにより、制動ピン458、制動ピンガイド部材460も共に上方に移動し、当該制動ピン458の先端部が後輪12の内周面に形成されている制動凹所484に入ることにより、後輪12の回転が抑止される。
【0095】
これと同時に、ユーザーがユーザー操作機構420を操作してブレーキワイヤー430を引くことによるアウターチューブ518の動きを見ると、上述のように、アウターチューブ518の一方端は内側可動部材504の上端面に形成されたアウターチューブ当接面520に当接しており、他方端はユーザー操作機構420のユーザー操作機構ケース424の表面に固定されている。
【0096】
すると、ブレーキワイヤー430が引かれたとき、アウターチューブ518における固定されていない一方端が内側可動部材504のアウターチューブ当接面520を下方に押さえるように動く。これにより、アウターチューブ518の一方端に押された内側可動部材504、および内側可動部材504に対して連動ピン522を介して連動する外側可動部材508が、付勢部材506の付勢力に抗して下方に移動する。
【0097】
外側可動部材508が下方に移動した結果、外側可動部材508の係合部収容部528に形成されている被係合凹凸532が、フォーク本体部472の係合部478における先端面に形成された係合凹凸530と係合する。これにより、フォーク本体部472の旋回が抑止されるので、後輪12の旋回も抑止される。
【0098】
次に、前輪22および当該前輪22に取り付けられている車輪抜止ユニット100について説明する。なお、以下では、最初に一般的な歩行車Aに使用される前輪22を含む車輪ユニット310について説明し、然る後、変形例1として、本実施形態に係る室内用歩行車10に適用される場合について説明する。なお、後輪12ではなく前輪22に駐車ブレーキ機構34を取り付ける場合、後輪12に車輪抜止ユニット100を取り付けてもよい。
【0099】
前輪22を含む車輪ユニット310は、
図16に示すように、車軸312と、車輪314と、車輪抜止ユニット100と、カバー316とを備えている。
【0100】
車軸312は、歩行車Aの脚フレームBの下端部から水平方向に突設された円柱状の部材であり、長手方向に直交する方向に車軸溝320が形成されている。
【0101】
図示する実施形態では、一対の車軸溝320が車軸312の先端部において互いに対向するように形成されている。なお、車軸溝320は、周にわたってひとつだけ形成される、または周にわたらずひとつだけ形成されてもよい。また、車軸312において車軸溝320が形成される位置は、特に限定されるものではない。
【0102】
車輪314は、車軸312が挿通される車軸孔322を有している。また、本実施形態では、車輪314における脚フレームBに向かう面とは反対側の面に、車軸孔322を中心とする断面円形状の凹所324が形成されており、車輪抜止ユニット100がこの凹所324に収容された状態で、当該凹所324を覆うようにして外側からカバー316が被せられる。
【0103】
車輪抜止ユニット100は、車輪314が車軸312から抜けるのを防止する役割を有しており、
図17から
図19に示すように、大略、本体部102と、蓋部104とを備えている。
【0104】
本体部102は、大略、板状部110と、保持部112とを有している。
【0105】
板状部110は、例えば鉄やアルミニウム等の金属で形成されており、車軸挿通孔120と、切欠き122と、一対の車軸溝摺嵌部124とを有している。
【0106】
車軸挿通孔120は、車軸312が挿通可能な大きさに形成されている(つまり、車軸312の直径よりも大きく形成された)孔である。本実施形態では、矩形状の孔と半円形状の孔とを組み合わせて車軸挿通孔120が形成されているが、車軸挿通孔120の形状はこれに限定されるものではなく、例えば、円形状の孔であってもよい。
【0107】
切欠き122は、車軸挿通孔120に連通する位置に形成されており、車軸挿通孔120に挿通した車軸312を挿通したままで切欠き122に移動させることができる。
【0108】
一対の車軸溝摺嵌部124は、切欠き122を臨む位置に対向配置された部分であり、車軸312に形成された一対の車軸溝320にそれぞれ摺嵌可能な間隔で配置されている。
【0109】
なお、車軸312に形成されている車軸溝320が周にわたらず1本の場合は、一方の車軸溝摺嵌部124を車軸溝320に対して摺嵌させ、他方の車軸溝摺嵌部124を当該車軸溝320に対向する位置にある車軸312の周表面に当接させることになり、周にわたって1本の場合は、一方の車軸溝摺嵌部124を車軸溝320に対して摺嵌させることになる。
【0110】
保持部112は、上述した板状部110の外側において当該板状部110よりも厚肉に形成された部分である。このように保持部112を板状部110よりも厚肉に形成することで、工具を使用することなく車輪抜止ユニット100を車軸312に対して着脱することができる。
【0111】
本実施形態では、保持部112の周縁における切欠き122の両側方に一対の保持凹所126が形成されており、ユーザーは、これら一対の保持凹所126に指を掛けて車輪抜止ユニット100を動かすようになっている。また、保持部112の中央部には蓋部104が嵌まり込む蓋部嵌入凹所128が形成されており、この蓋部嵌入凹所128の底部において板状部110の車軸挿通孔120、切欠き122、および、一対の車軸溝摺嵌部124等が露出している。
【0112】
また、保持部112における、蓋部嵌入凹所128が形成された面と反対側の面(車輪314の凹所324に対向する面)には、摺動凸部129が凸設されている。車輪抜止ユニット100を車軸312に取り付ける際や車輪314が回転したときには、この摺動凸部129の先端面のみが車輪314の凹所324の底面に当接摺動するので、保持部112の凹所324に対向する面が全体で凹所324の底面に当接摺動する場合にくらべて摩擦が少なく、車輪抜止ユニット100が車輪314のスムーズな回転を阻害し難い点で好適である。
【0113】
なお、本実施形態では、保持部112は、板状部110を包むようにしてインサート成形された樹脂部材であるが、特にこれに限定されるものではない。
【0114】
蓋部104は、本体部102に対して回動可能に取り付けられた部材であり、蓋部本体134と、係合部136と、車軸挿通孔充填部138とを有している。
【0115】
より具体的には、本体部102(保持部112)の蓋部嵌入凹所128の外側端部に形成された一対の回動穴130に、蓋部本体134の一端部から両側方に突設された回動軸132がそれぞれ嵌入することにより、蓋部104が回動可能となっている。
【0116】
係合部136は、蓋部本体134における他端部から突設されており、蓋部104を本体部102に対して回動させて、当該蓋部104が蓋部嵌入凹所128に嵌まり込んだときに、本体部102(保持部112)の蓋部嵌入凹所128において回動穴130が形成された端部とは反対側の端部に形成された係合凹所140と係合する。これにより、蓋部嵌入凹所128に嵌まり込んだ蓋部104が不所望に本体部102から離れてしまうのを回避できる。
【0117】
車軸挿通孔充填部138は、車軸312が本体部102の切欠き122にあり、車軸溝320が車軸溝摺嵌部124に嵌め込まれた状態で、車軸挿通孔120に嵌め込まれる部材であり、蓋部本体134における係合部136の内側寄り(蓋部本体134における一端部に向けて内側寄り)に隣接して突設されている。なお、隣接とは、係合部136に連続している場合、および係合部136に所定の距離をおいて隣り合っている場合を含む。
【0118】
これにより、
図20に示すように、本体部102に対して蓋部104を回動させることにより、車軸挿通孔充填部138を車軸挿通孔120に対して挿脱させることができる。
【0119】
また、車軸挿通孔充填部138における切欠き122に向かう側には、車軸挿通孔充填部138が車軸挿通孔120に嵌め込まれるときに車軸312を切欠き122の奥側に押圧付勢する付勢面142が形成されている。
【0120】
なお、車軸挿通孔充填部138は、本体部102や蓋部104とは別体として形成してもよい。
【0121】
カバー316は、
図16および
図21に示すように、車輪抜止ユニット100が車輪314の凹所324に収容された状態で、当該凹所324を覆うにして外側から被せられる部材であり、カバー本体144と、嵌入凸部146と、点検孔148と、切欠部150と、係合凸部152とを有している。
【0122】
カバー316を車輪314に取り付けることにより、万一、車輪抜止ユニット100の蓋部104が破損したり、本体部102に対する蓋部104の係合がうまくいっていなかったりしたときでも、車輪抜止ユニット100が車軸312に対して不所望に移動して外れてしまうのを回避できる。
【0123】
カバー本体144は、略円盤状の部材である。
【0124】
嵌入凸部146は、カバー本体144の車輪314に向かう面から凸設された部分であり、車輪314の凹所324に嵌入するようになっている。本実施形態では、嵌入凸部146は、断面形状がリング状部分と、当該リング状部分から放射状外向きに延びる4本の直線状部分とで構成されている。嵌入凸部146の形状は、凹所324に嵌入できるものであれば、これに限定されない。
【0125】
点検孔148は、カバー本体144の中心部分に形成された貫通孔であり、カバー316を車輪314に取り付けたときに、凹所324に収容されている車輪抜止ユニット100が目視できるようになっている。これにより、万一、車軸312に対して車輪抜止ユニット100を取り付け忘れた状態で車輪314にカバー316を取り付けたとしても、車輪抜止ユニット100が存在しないことをこの点検孔148から確認することができる。
【0126】
切欠部150は、カバー本体144の中心から対称な位置に2箇所形成されている。これら切欠部150の存在により、切欠部150の外側に薄肉部154が形成される。ユーザーがこれら薄肉部154をカバー本体144の中心方向に押圧することにより、薄肉部154が同方向に撓むようになっている。
【0127】
係合凸部152は、上述した一対の薄肉部154における、車輪314に向かう面から凸設された部分であり、車輪314の表面に形成された係合凹孔156に係合するようになっている。
【0128】
車輪314に形成された凹所324に対して嵌入凸部146を嵌入させていき、係合凸部152を係合凹孔156に係合させることで、カバー316が車輪314に対して固定される。カバー316を車輪314から取り外す際は、カバー本体144の薄肉部154をカバー本体144の中心方向に押圧することにより(
図22を参照)、薄肉部154が同方向に撓み、係合凹孔156に対する係合凸部152の係合が解除されるので、撓ませた状態を維持しつつカバー316を引くことで、車輪314からカバー316を取り外すことができる(
図23を参照)。
【0129】
(室内用歩行車10の特徴)
本実施形態に係る室内用歩行車10によれば、着座位置と跳ね上げ位置とを選択できる座面26が上下フレーム18および後輪フレーム14に対して内側に位置しており、かつ、当該座面26は後輪フレーム14および架橋フレーム16によって取り囲まれており、さらに、ハンドルフレーム20の前端が架橋フレーム16の前端よりも後側に位置していることにより、ハンドルフレーム20、各フレーム14,16,18、および各車輪12,22で囲まれた立体空間内で座面26を回動させることができ、さらに、跳ね上げた状態の座面26をより前方に位置させることができるので、立体空間内でユーザーが入ることのできる前方空間を広く確保することができる。
【0130】
これにより、ユーザーがハンドルフレーム20、各フレーム14,16,18、および各車輪12,22で囲まれた立体空間に入った状態で、できる限り前方まで入ることのできる室内用歩行車10を提供することができる。
【0131】
また、座面26を回動可能にする軸支位置は、架橋フレーム16の高さ以下の位置にあることにより、跳ね上げたときの座面26の位置をより前方にすることができるので、立体空間内でユーザーが入ることのできる前方空間をさらに広く確保することができる。
【0132】
さらに、後輪12および前輪22の少なくとも一方の回転を抑制する駐車ブレーキレバー426をさらに備えており、後輪フレーム14は、水平に延びる水平部42を有しており、駐車ブレーキレバー426は、水平部42に位置している。これにより、座面26に着座した状態で、ユーザーが駐車ブレーキレバー426を操作できるようになるので、ユーザーが着座したままで室内用歩行車10を移動させたり(駐車ブレーキ解除状態)、室内用歩行車10の動きを止めたり(駐車ブレーキ状態)できる。
【0133】
また、一対の前輪フレーム24同士を連結する前輪側架橋フレーム68をさらに備えており、前輪側架橋フレーム68の中央部70は両端部に比べて上方にあり、前側から後側にかけて、架橋フレーム16の前端、跳ね上げ位置にある座面26、前輪側架橋フレーム68の中央部70の順に並ぶようになっているので、立体空間内でユーザーが入ることのできる前方空間をさらに広く確保することができる。
【0134】
また、一対の前輪フレーム24同士を連結する前輪側架橋フレーム68をさらに備えており、前輪側架橋フレーム68の中央部70は両端部に比べて上方にあり、跳ね上げ位置にある座面26の前端部が前輪側架橋フレーム68の中央部70に当接するようになっている。これにより、座面26を跳ね上げたとき、当該座面26が不所望に前方側へ倒れ込み過ぎないようにできる。
【0135】
(車輪抜止ユニット100の特徴)
本実施形態に係る車輪抜止ユニット100によれば、車軸312を車軸挿通孔120に挿通した後(
図24を参照)、当該車軸312に形成された車軸溝320に車軸溝摺嵌部124を摺嵌させつつ、車軸挿通孔120に連通する切欠き122に車軸312を移動させることにより、車軸312に対して車輪抜止ユニット100を取り付けることができる(
図25を参照)。
【0136】
加えて、車軸312が完全に切欠き122に移動しきっていない場合、本体部102に対して蓋部104を回動させようとしても、当該車軸312が邪魔をして車軸挿通孔120に車軸挿通孔充填部138を嵌め込むことができない。これにより、車軸312に対して車輪抜止ユニット100がきちんと嵌まっていない状態を回避できるので、車輪抜止ユニット100が抜け落ちることがなくなる。
【0137】
また、車軸挿通孔充填部138における切欠き122に向かう側には、車軸挿通孔充填部138が車軸挿通孔120に嵌め込まれるときに車軸312を切欠き122の奥側に押圧付勢する付勢面142が形成されているので、切欠き122から車軸312が少しだけはみ出している状態であれば、本体部102に対して蓋部104を回動させて車軸挿通孔充填部138を車軸挿通孔120に近づけていくと、付勢面142が車軸312を切欠き122の奥側に押圧付勢して当該車軸312を完全に切欠き122に移動させることができるので、車軸312に対して車輪抜止ユニット100がきちんと嵌まっていない状態をより確実に回避できる。
【0138】
(変形例1)
上述した実施形態では、車輪抜止ユニット100に被せるようにしてカバー316を車輪314に取り付けて、車輪抜止ユニット100の抜け防止策を二重にしていたが、カバー316に変えて、
図26に示すように、車輪314が回転可能に取り付けられるキャスターフォーク200の側面に車輪抜止ユニットクリップ202を形成してもよい。
【0139】
この車輪抜止ユニットクリップ202は、キャスターフォーク200の側面に形成された、車軸312が挿通されるフォーク車軸孔203を中心として、略円弧状に形成された車輪抜止ユニット収容壁204を有する部材である。
【0140】
車輪抜止ユニット収容壁204は、車軸312に対して車輪抜止ユニット100を取り付けたときに、当該車輪抜止ユニット100の外周に当接する当接部206を有している。この変形例1では、車輪抜止ユニット100の外周形状が略円形であることから、当接部206の形状も略円弧状となっている。車輪抜止ユニット100の外周形状が他の形状(例えば、矩形状)であれば、当接部206の形状もそれに合わせる(例えば、矩形状)のが好適である。また、変形例1における車輪抜止ユニット収容壁204は、下方の一部を欠いた形状になっているが、車輪抜止ユニット収容壁204を連続的に形成してもよい。
【0141】
当接部206の(
図28に図示する上方の)終端は車輪抜止ユニット100の外周形状(略円形)の下方半分を越えて形成されており、当該終端には車輪抜止ユニット100の方に向かう突起208が形成されている。
【0142】
この車輪抜止ユニットクリップ202に車輪抜止ユニット100を取り付ける手順について説明する。
図27に示すように、車輪抜止ユニット100の車軸挿通孔120に車軸312を挿通したとき、車輪抜止ユニット100に約半分は、車輪抜止ユニット収容壁204よりも外側(図中斜め上方)に出た状態となっている。また、車輪抜止ユニット100の保持部112における周縁の保持凹所126に突起208が嵌まり込んでいる。
【0143】
この状態から、車輪抜止ユニット100をキャスターフォーク200に沿って図中斜め下方に移動させると、
図28に示すように、車軸312が車軸挿通孔120から切欠き122に移動すると同時に、車輪抜止ユニット100が突起208を越えて車輪抜止ユニット収容壁204の内側に入り、当接部206に当接する。なお、車輪抜止ユニット100が突起208を越えて車輪抜止ユニット収容壁204の内側に入り、当接部206に取り囲まれる状態で例えばクリアランスを設けて収容されればよく、当接部206に当接することに限定はされない。
【0144】
然る後、本体部102に対して蓋部104を回動させて車軸挿通孔充填部138を車軸挿通孔120に嵌め込んで、車輪抜止ユニット100の取り付けが完了する(
図29を参照)。
【0145】
変形例1に係る車輪抜止ユニットクリップ202では、車輪抜止ユニット収容壁204、当接部206、および突起208によって、万一、車軸挿通孔充填部138を車軸挿通孔120に嵌め込まれていなかったとしても、車輪抜止ユニット100が不所望に移動して車軸312から外れてしまうのを回避できる。
【0146】
また、車輪抜止ユニット収容壁204の上側に突起208が形成されており、車輪抜止ユニット収容壁204の下側には当接部206が形成されているので、車輪抜止ユニット100が自重で下方向に移動して車軸312から外れてしまうおそれがない。
【0147】
なお、上述した実施形態に係るカバー316や変形例1に係る車輪抜止ユニットクリップ202は、歩行車Aの前輪22および後輪12のいずれに使用してもよい。
【0148】
実施形態および変形例1に開示する形態以外にも、車輪抜止ユニット100の抜けを防止する第一の手段に加えて二重に防止する第二の手段であればなんら限定されない。
【0149】
本発明の室内用歩行車10は、一方端に後輪12が取り付けられている一対の後輪フレーム14と、一対の後輪フレーム14における他方端同士を連結する架橋フレーム16と、一対の後輪フレーム14に対してそれぞれ回動可能に取り付けられた上方に向かって延びる一対の上下フレーム18と、一対の上下フレーム18の上端に接続されており、前方に向かって延びて前方でつながっているハンドルフレーム20と、一対の上下フレーム18のそれぞれの下端に取り付けられており、一方端に前輪22が取り付けられている一対の前輪フレーム24と、後輪フレーム14、上下フレーム18もしくは前輪フレーム24の少なくともいずれかに対して回動可能に取り付けられており、着座位置と跳ね上げ位置とを選択できる座面26とを備えており、上下フレーム18および後輪フレーム14に対して座面26は内側に位置して、座面26は後輪フレーム14および架橋フレーム16によって取り囲まれており、ハンドルフレーム20の前端は、架橋フレーム16の前端よりも後側に位置しているものであれば、特に限定されるものではない。これにより、ユーザーがハンドルフレーム20、各フレーム14,16,24、および各車輪12,22で囲まれた立体空間に入った状態で、できる限り前方まで入ることのできるものとされる。加えて、座面26を着座位置に位置させて、ユーザーが着座する、さらには着座した状態で足漕ぎをして室内用歩行車10を移動する際に足をできる限り自由に移動できるように、
図4に示すように、後輪フレーム14は、下側に向けて屈曲する始点の位置に比して後輪12が取り付けられる一方端の横幅が広くなるように、さらには、一方端に向けて横幅が広くなるように形成するのがよい。
【0150】
ユーザーが座面26に着座した状態で足漕ぎをして移動する際、座面26の位置は、上下フレーム18に比して後方に位置する方が、上下フレーム18によって体の移動の規制を受けることなく身体の上体をできる限り自由に動かして移動させることができる。そのため、
図4および
図6に示すように、前側から後側に向かって(
図4の平面視における図面下側から上側に向かって)、平面視において上下フレーム18の後端(
図4の平面視における図面上端)、座面26の後端、後輪フレーム14の後端が同順で位置するように形成するのがよく、さらには、前側から後側に向かって架橋フレーム16の前端、ハンドルフレーム20の前端、座面26の前端が同順で位置するように形成するのがよい。また、内側に向かって上下フレーム18、後輪フレーム14、座面26が同順で位置するように形成するのがよい。
【0151】
図4に示すように、座面26は、上下フレーム18および後輪フレーム14に対して内側に位置して、後輪フレーム14および架橋フレーム16によって取り囲まれており、ハンドルフレーム20の前端は、架橋フレーム16の前端よりも後側に位置している。詳細には、後輪フレーム14は、前方に向かって延びて架橋フレーム16につながっており、上下フレーム18は、前方に向かって延びて前方でつながっているハンドルフレーム20とつながっている。このようにして、座面26を後輪フレーム14および架橋フレーム16で取り囲むことにより、部材点数を減らしながら、ユーザーがハンドルフレーム20、各フレーム14,16,24、および各車輪12,22で囲まれた立体空間に入った状態で、できる限り前方まで入ることのできるものとされる一方、座面26に着座した状態でも、身体が自由になる領域が広く確保されている。また、座面26に着座した状態さらには足漕ぎをして移動する際には、重心位置は低い方が比較的安定するが、後輪フレーム14が前方に延びた部位、より好適には水平(実質的に水平であるものを含む。)に伸びた部位を有するものとすることにより、より低い位置にて、後輪フレーム14および架橋フレーム16により取り囲む面を平面視でより広く確保することができる。加えて、座面26を回動可能にする軸支位置を、架橋フレーム16の高さ以下、より好適には架橋フレーム16の高さより低くすることにより、重心位置を低くする機構を実現させている。さらには、後輪フレーム14が前方に延びた部位、より好適には水平(実質的に水平であるものを含む。)に伸びた部位を有するものとし、当該延びた部位または水平な部位に駐車ブレーキレバー426をとりつけることによって、座面26に着座した状態で簡便に駐車ブレーキを操作することができる。
【0152】
後輪フレーム14および架橋フレーム16は、別フレームとして機械的または化学的に結合させてもよいが、一つのフレームとして形成することにより部品点数を減らすことが可能な機構とされる。また、上下フレーム18およびハンドルフレーム20についても、別フレームとして機械的または化学的に結合させてもよいが、一つのフレームとして形成することにより部品点数を減らすことが可能な機構とされる。
【0153】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0154】
10…室内用歩行車、12…後輪、14…後輪フレーム、16…架橋フレーム、18…上下フレーム、20…ハンドルフレーム、22…前輪、24…前輪フレーム、26…座面
30…ハンドル高さ調整機構、32…折り畳み機構、34…駐車ブレーキ機構、36…接触保護機構、40…抑速機構、42…水平部、44…上下フレーム本体部、46…ブラケット、48…上下フレーム軸支ピン、50…軸支ピン挿通孔、52…ハンドル高さ調整ネジ嵌挿部材、54…ハンドル高さ調整ネジ、56…調整ネジ嵌挿孔、58…ハンドル高さ調整孔、60…前後部、62…前端部、64…後端部、66…把持部材、68…前輪側架橋フレーム、70…(前輪側架橋フレーム68の)中央部、72…保護部材、74…固定部材、76…固定用孔、78…固定ネジ、80…固定片、82…座面本体部材、84…座面フレーム、86…座面溝、88…回動用溝、90…回動フレーム、92…座面支持フレーム、94…座面回動用ピン、96…前後部材、98…横部材
100…車輪抜止ユニット、102…本体部、104…蓋部
110…板状部、112…保持部
120…車軸挿通孔、122…切欠き、124…車軸溝摺嵌部、126…保持凹所、128…蓋部嵌入凹所、129…摺動凸部、130…回動穴、132…回動軸、134…蓋部本体、136…係合部、138…車軸挿通孔充填部、140…係合凹所、142…付勢面、144…カバー本体、146…嵌入凸部、148…点検孔、150…切欠部、152…係合凸部、154…薄肉部、156…係合凹孔
200…キャスターフォーク、201…フォーク旋回ピン、202…車輪抜止ユニットクリップ、203…フォーク車軸孔、204…車輪抜止ユニット収容壁、206…当接部、208…突起
310…車輪ユニット、312…車軸、314…車輪、316…カバー
320…車軸溝、322…車軸孔、324…(車輪314の)凹所
400…折り畳みブラケット、402…ハンドル部材、404…フック嵌挿穴、406…フック係合部材、408…ハンドル部、410…フック部
420…ユーザー操作機構、422…車輪部機構、424…ユーザー操作機構ケース、426…駐車ブレーキレバー、428…レバーカム、429…付勢バネ、430…ブレーキワイヤー、432…ワイヤー操作部材、434…内部空間、436…回動側端部、438…軸支端
450…制動機構、452…旋回抑止機構、454…制動用フォーク、456…制動車軸、458…制動ピン、460…制動ピンガイド部材、462…制動ピン移動部材、464…制動ピン付勢部材、466…抑速ローラー、468…抑速ローラー付勢部材、470…抑速ローラー押圧部材、472…フォーク本体部、474…フォーク部、476…旋回ボルト挿通孔、477…旋回ボルト、478…係合部、479…挿通孔、480…車軸挿通孔、481…旋回ボルト螺合穴、482…ガイド孔、484…制動凹所、486…制動ピン嵌挿孔、488…本体部、490…縦部材、492…ブレーキワイヤー挿通孔、494…制動ピン挿通孔、496…被取付部、498…抑速ローラー取付部、500…ネジ孔、502…軸芯部材、504…内側可動部材、506…付勢部材、508…外側可動部材、510…当接面、512…挿通孔、514…押面、516…挿通孔、518…アウターチューブ、520…アウターチューブ当接面、522…連動ピン、524…連動ピン嵌挿穴、526…後輪フレーム挿通孔、528…係合部収容部、530…係合凹凸、532…被係合凹凸、534…連動ピン挿通孔、536…連動ピン挿通長孔
A…歩行車、B…脚フレーム