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特開2024-50722アルミニウムブレーキディスク用摩擦ライニング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050722
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】アルミニウムブレーキディスク用摩擦ライニング
(51)【国際特許分類】
   F16D 69/02 20060101AFI20240403BHJP
   C09K 3/14 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
F16D69/02 F
C09K3/14 520L
C09K3/14 520G
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024011858
(22)【出願日】2024-01-30
(62)【分割の表示】P 2021571745の分割
【原出願日】2019-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】511198863
【氏名又は名称】テーエムデー フリクション サービシス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルプ、ディルク
(57)【要約】
【課題】Al含有ブレーキディスク等との組み合わせで十分に大きな摩擦値を確保可能な摩擦ライニングを提供する。
【解決手段】アルミニウム含有ブレーキディスク又はロータの摩擦相手部材としての、5質量%超のアルミニウムをアルミニウム金属の形で又はアルミニウム合金の形で含有する金属系の摩擦ライニング。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム含有ブレーキディスク又はロータの摩擦相手部材としての、5質量%超のアルミニウムをアルミニウム金属の形で又はアルミニウム合金の形で含有する金属系の摩擦ライニング。
【請求項2】
請求項1に記載の摩擦ライニングにおいて、
前記摩擦ライニングは、5~30質量%のアルミニウム、又は5~25質量%のアルミニウム、又は10~20質量%のアルミニウムを含有すること
を特徴する摩擦ライニング。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の摩擦ライニングにおいて、
前記アルミニウム合金は、Alに加えて、以下の金属:Mg、Ti、Si、Ba、Sr、Ca、Be、Zr、Cr、Fe、Sn、Biの1つ以上を含むこと
を特徴する摩擦ライニング。
【請求項4】
請求項1に記載の摩擦ライニングにおいて、
前記Al合金は、式Alで表されること、但し、ZはMg及び/又はTi及び/又はSiであり、xとyは夫々10質量%から90質量%以下の範囲を意味すること
を特徴する摩擦ライニング。
【請求項5】
請求項1~4の何れかに記載の摩擦ライニングにおいて、
前記Al合金は、二元系Al-Mg合金又はAl-Ti合金であること
を特徴する摩擦ライニング。
【請求項6】
請求項4に記載の摩擦ライニングにおいて、
前記Al合金は、Mg及び/又はTi及び/又はSiを含有しかつyが複数の成分Zの割合の和である三元系又は四元系合金であること
を特徴する摩擦ライニング。
【請求項7】
請求項5に記載の摩擦ライニングにおいて、
前記Al合金はAlTi10又はAlMg50であること
を特徴する摩擦ライニング。
【請求項8】
請求項1~7の何れかに記載の摩擦ライニングにおいて、
前記Al合金は、粒子の形で存在すること
を特徴する摩擦ライニング。
【請求項9】
請求項8に記載の摩擦ライニングにおいて、
前記粒子は、100~700μmの粒径を有すること
を特徴する摩擦ライニング。
【請求項10】
請求項1~9の何れかに記載の摩擦ライニングにおいて、
前記ブレーキディスク又はロータは、アルミニウムを20~60体積%まで、又は40体積%まで含有すること
を特徴する摩擦ライニング。
【請求項11】
請求項1~10の何れかに記載の摩擦ライニング及びアルミニウム含有ブレーキディスク又はロータを含むブレーキシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけアルミニウム製ブレーキディスク又はロータを有するディスクブレーキにおける使用に好適な、摩擦ライニング及び相応の摩擦ライニング混合物に関する。とりわけ、本発明は、アルミニウム含有ブレーキディスク又はロータと組み合わせた、アルミニウム含有摩擦ライニングの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
回復ないし復熱(Rekuperation)を伴う車両、特に乗用車の採用が顕著に増大する過程において、ブレーキディスクのための材料として又はブレーキディスクの成分としてアルミニウムを使用するというアイデアが自動車業界において再び注目されている。上記の車両のブレーキディスクの熱負荷は従来のドライブにおける値に最早到達しないため、ブレーキディスクにおけるアルミニウムの使用により、重量の利点が得られるだけではない。
【0003】
従来技術においては、アルミニウム製ブレーキディスクとの組み合わせた使用に好適であると言われる種々の摩擦ライニングの処方(組成)が記載されている。
【0004】
例えば、DE69403791T2は、ブレーキ過程においてロータの崩壊を阻止するというアルミニウム-金属基複合材料(Metallverbundgrundmasse)からなるロータのための摩擦ライニング組成物を記載している。この場合、更に、0.38~0.42の平均摩擦率に調節されるものとされている。この摩擦ライニング混合物は、アルミニウムロータと摩擦ライニングの間の摩耗を低減するために2~12質量%の多孔性銅パウダを含有している。
【0005】
DE69513634T2は同じ分野のための摩擦ライニング混合物を記載しているが、この混合物は特殊な粒径を有する5~80体積%の微細分散化酸化アルミニウムを含有する必要がある。
【0006】
WO94/15112はアルミニウム製ブレーキディスクを有するディスクブレーキのためのブレーキライニングに関し、その組成は摩擦値が400℃の温度まで高い値で一定しておりかつ450℃までの範囲で顕著に減少するように決定されるものとされている。
【0007】
アルミニウム含有摩擦ライニングも従来技術において既知である。
【0008】
WO2015/193361A1は、例えばAlMg5のようなAl-Mg合金の繊維を5~9.75%含有する銅フリー(銅不含有)摩擦材料を記載している。
【0009】
DE19828301A1は、Al-Zn合金、例えばAlZn5を0.5~15質量%含有し、そのため防食特性を有する摩擦ライニングに関する。
【0010】
KR1020010091694には、90質量%超のAl金属(パウダ)及び/又はAl合金を含有し得る摩擦ライニングが記載されている。
【0011】
最後に、CN104265816は、20~30質量%のAl合金及び炭化ケイ素(SiC)を有する摩擦ライニングを記載している。この場合、Al合金は、摩擦ライニング混合物のスチールファイバの代替物として使用され、摩擦特性、摩耗特性及び温度特性の改善をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】DE69403791T2
【特許文献2】DE69513634T2
【特許文献3】WO94/15112
【特許文献4】WO2015/193361A1
【特許文献5】DE19828301A1
【特許文献6】KR1020010091694
【特許文献7】CN104265816
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
まとめると、アルミニウム製ブレーキディスク又はロータと結合して(結合した状態で)使用するために、従来技術では一般的に銅含有摩擦ライニングが提案されていることを確認することができる。しかしながら、銅は、様々な環境当局によって、重金属として、従って環境適合性でないものとして分類されており、そのため、銅フリーのブレーキないし摩擦ライニングへの傾向が確認できるようになっている。しかしながら、銅フリーの摩擦ライニングは、アルミニウムディスクに対し通常凡そ0.3の極めて小さい摩擦値を示す。
【0014】
上記のAl含有摩擦ライニングは、従来のブレーキディスク(鋳鉄、スチール)と結合した(状態での)使用について記載されており、アルミニウム又はアルミニウム合金の使用は、例えばそのようなライニングにおけるスチールファイバの代替又はこのライニングの防食特性の改善をもたらすものとされている。
【0015】
最後に、鋳鉄ロータと共に使用するために使用される摩擦ライニングは、そのような摩擦ライニングの摩耗物質がロータのアルミニウム基地層(Aluminiumgrundlage)を傷つけ、そのため最終的に安定な摩擦係数は達成されないため、ロータのアルミニウム基地層には使用可能ではないことは、従来技術において一般的に既知である。
【0016】
それゆえ、本発明の課題は、Al含有ブレーキディスク又はロータとの組み合わせにおいて十分に大きな摩擦値を確保(保証)し、同時に摩損(摩擦)特性(Abriebseigenschaft)、摩耗特性及び温度特性に関し従来技術の摩擦ライニングの欠点を有しないか又は顕著に低減された程度でのみ有する摩擦ライニングないし摩擦ライニング処方物(ないし組成物:Reibbelagsrezepturen)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の視点により、アルミニウム含有ブレーキディスク又はロータの摩擦相手部材としての、5質量%超のアルミニウムをアルミニウム金属の形で又はアルミニウム合金の形で含有する金属系の摩擦ライニングが提供される(形態1)。
本発明の第2の視点により、本発明の摩擦ライニング及びアルミニウム含有ブレーキディスク又はロータを含むブレーキシステムが提供される(形態11)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここに、本発明の好ましい形態を示す。
(形態1)上記本発明の第1の視点参照。
(形態2)形態1の摩擦ライニングにおいて、前記摩擦ライニングは、5~30質量%のアルミニウム、又は5~25質量%のアルミニウム、又は10~20質量%のアルミニウムを含有することが好ましい。
(形態3)形態1又は2の摩擦ライニングにおいて、前記アルミニウム合金は、Alに加えて、以下の金属:Mg、Ti、Si、Ba、Sr、Ca、Be、Zr、Cr、Fe、Sn、Biの1つ以上を含むことが好ましい。
(形態4)形態1の摩擦ライニングにおいて、前記Al合金は、式Alで表されること、但し、ZはMg及び/又はTi及び/又はSiであり、xとyは夫々10質量%から90質量%以下の範囲を意味することが好ましい。
(形態5)形態1~4の何れかの摩擦ライニングにおいて、前記Al合金は、二元系Al-Mg合金又はAl-Ti合金であることが好ましい。
(形態6)形態4の摩擦ライニングにおいて、前記Al合金は、Mg及び/又はTi及び/又はSiを含有しかつyが複数の成分Zの割合の和である三元系又は四元系合金であることが好ましい。
(形態7)形態5の摩擦ライニングにおいて、前記(二元系)Al合金はAlTi10又はAlMg50であることが好ましい。
(形態8)形態1~7の何れかの摩擦ライニングにおいて、前記Al合金は、粒子の形で存在することが好ましい。
(形態9)形態8の摩擦ライニングにおいて、前記粒子は、100~700μmの粒径を有することが好ましい。
(形態10)形態1~9の何れかの摩擦ライニングにおいて、前記ブレーキディスク又はロータは、アルミニウムを20~60体積%まで、又は40体積%まで含有することが好ましい。
(形態11)上記本発明の第2の視点参照。
【0019】
本発明の意義において、アルミニウム含有ブレーキディスク又はロータという概念は、一般的に、アルミニウムを金属の形で又はアルミニウム合金の形で含有するか又はそれからなるブレーキディスク又はロータとして理解されるものである。ブレーキディスク及びロータのためのより新しい材料と思われているものは、いわゆるアルミニウム-金属基複合材料(Al-MMC=aluminum metal matrix composites)であるが、これは、粒子状又は繊維(ファイバ)状の補強材を有するアルミニウム合金の一種である。これらの補強材/成分によって、アルミニウム系(ないしアルミニウム基)合金(Aluminiumgrundlegierung)の強度及び硬度は顕著に増大される。この場合、補強材料としては、SiC(10~90体積%)が使用されることが好ましいが、酸化アルミニウム及び他のセラミック材料も同様に使用可能である。
【0020】
従来技術のブレーキディスクにおけるアルミニウムの濃度は、これは本発明においても使用可能であるが、一般的に、20~60体積%(金属としてのアルミニウム換算)、とりわけ凡そ40体積%である。
【0021】
本発明の課題は、摩擦ライニングの製造にあたって、アルミニウム及び/又はそのいわゆる化合物、とりわけアルミニウム合金、を使用することによって解決される。この場合、好ましくは、摩擦ライニング成分として、金属としての(例えば非合金化金属パウダとしての)アルミニウムが使用される。アルミニウム合金の場合、僅かに合金化したAl合金が好ましい。この場合、耐摩耗性のAl合金は、そのように構成された摩擦ライニングの摩擦挙動に対しポジティブな影響を与えることができる。このことは、とりわけ、温度安定性が向上された合金に対して妥当する。
【0022】
この場合、少なくとも5質量%~30質量%までのアルミニウム濃度が好ましいが、より大きなアルミニウム濃度も可能である。ここで、質量%の表示は、完成した摩擦ライニング混合物中におけるアルミニウムの割合(金属として表される、Al合金は相応にAl含有量に換算される)に関するものである。この摩擦ライニング混合物からは、その後、従来技術において既知の通常の方法に応じて摩擦ライニングが製造される。摩擦ライニング中におけるアルミニウムの好ましい濃度は5~25質量%、とりわけ10~20質量%である。
【0023】
本発明に応じた好ましい摩擦ライニングは、金属アルミニウム(非合金)の形で、とりわけパウダの形で、及び/又は、アルミニウム合金(複数)の形で含有する。
【0024】
マグネシウム(Mg)又はチタン(Ti)を有するAl合金は、本発明の課題の解決のために格別に好適であることが(本発明によって)判明した。例えばシリコン(Si)のような他の合金化相手も原理的には好適である。これは、二元系、三元系又は四元系合金システムであり得るが、これらのうち、二元系アルミニウム合金が格別に好ましい。Al(Zは好ましくはMg又はTi、x=10~90質量%及びy=10~90質量%)のタイプのこれらの二元系システムが格別に好ましいことが(本発明によって)判明した。ここでは、とりわけ、AlTi10及びAlMg50のような合金を挙示することができる。
【0025】
本発明に応じた合金は、以下の金属:Mg、Ti、Si、Ba、Sr、Ca、Be、Zr、Cr、Fe、Sn、Biの1つ以上を含むが、アルミニウムは必ず含まれる。本発明に応じた摩擦ライニング混合物は、上記の成分(複数)を含む金属混合物のパウダを含むことも可能である。合金の製造は、複数の成分を溶融し、均質化して微細分散系(システム)とすることによって実行される。そのような合金の多くは市場で入手可能である。
【0026】
摩擦ライニング混合物ないし完成した摩擦ライニングにおける本発明に応じた合金の割合は、好ましくは5~30質量%、とりわけ10~20質量%であり得る。これらの合金は既存のあらゆる摩擦ライニングにおいて使用可能である。従って、本書に記載された合金に対する摩擦ライニングのその他の成分の格別な適合化は不可欠ではない。従来技術の混合物において、例えば、Zn又はZn合金成分のみが本発明の合金によって置換されることが好ましい。摩擦ライニング混合物中におけるAl合金の質量割合は、場合により付加的に存在するAl金属(パウダ)を考慮した所望のAl含有量に従う。
【0027】
本発明に応じた合金は、好ましくは、パウダ(の形)で-ないし粒子の形で、摩擦ライニング混合物中にもたらされる(投入される)。潤滑材として、凡そ0.5~10質量%の、好ましくは凡そ2~8質量%の質量割合の硫化錫を含有することも可能である。
【0028】
摩擦ライニングの製造のために、好ましくは紐(ペレット)又はブロックの形で存在するアルミニウム合金を、まず液状化(溶融)し、次いでノズルから噴射する(アトマイズする:verduesen)ことによって、実質的に球状の粒子を製造する。次いで、これらの粒子を通常の摩擦材料混合物と又は通常の摩擦ライニング混合物の複数の成分と混合し、既知の温度及び圧力でプレスして摩擦ライニングを製造する。
【0029】
尤も、例えばノズルからの噴射(Verduesen)によって又は回転ディスクの縁を介した遠心力による放射スプレイ(Schleudern)によって、合金の融解物(溶湯)から直接的にパウダ状粒子を形成することも可能である。本発明に応じた合金の粒径は、100μm~700μmの範囲にあることが好ましい。また、例えばAl/Mg合金のような更なる金属を有する粒子の形状のアルミニウム合金も市場で入手可能である。
【0030】
本発明に応じた摩擦ライニングのための充填材として、金属酸化物、金属ケイ酸塩及び/又は金属硫酸塩をそれらだけで又は他の充填材と組み合わせて含有することができる。繊維(ファイバ)状物質は、好ましくは、アラミド繊維及び/又は他の有機又は無機繊維から構成される。金属として、アルミニウム合金の他に、例えばスチールウール及び/又は銅ウールを含有することも可能である。
【0031】
潤滑材として、好ましくは、0.5~10質量%の、好ましくは2~8質量%の質量割合の硫化錫が使用される。硫化錫は、例えばパウダとして、摩擦ライニング混合物に添加されることができる。
【0032】
本発明に応じた合金は、基本的に、任意の摩擦ライニング混合物において使用可能である。本発明に応じた摩擦ライニングの製造は、伝統的かつ従来技術から既知の方法に応じて、具体的には全ての出発成分(原材料成分)を混合し、そのようにして得られた摩擦ライニング混合物を増大された圧力及び増大された温度でプレス加工することによって、実行することができる。この場合、Al合金は、典型的な適用例では、パウダとして他の混合物成分と共にミキサへ供給され、かくして、合金粒子の混合工程の際に、摩擦材料内において均一に(一様に)分散される。このことは、更に、相応のブレーキライニングの使用時の摩擦プロセス中において、常に新しいAl含有材料が摩擦ライニングの表面に現れることを意味する。かくして、摩擦ライニングの使用サイクル(過程)中において、その表面に常に均一な(一様な)ないしは一定の条件が支配する(現れる)。
【0033】
本発明に応じた摩擦ライニングを用いることにより、Al含有ブレーキディスク又はロータとの組み合わせで、例えば0.35~0.4の十分に大きな摩擦値を達成することができると同時に、ブレーキディスク/ロータにおける摩耗を小さくすることができる。
【実施例0034】
本発明に応じた摩擦材料混合物は、例えば以下のような組成を有することができる:
原料 質量%
アルミニウム-Mg/Ti合金 10~20(>5質量%Al)
酸化アルミニウム 0.5~2
雲母粉 5~8
重晶石 5~30
酸化鉄 5~15
硫化錫 2~8
グラファイト 2~6
コークス粉 10~20
アラミド繊維 1~25
樹脂充填材粉 2~6
接着剤樹脂 3~7
【0035】
更に、本発明に応じた混合物は、(金属としての又は合金の形での)アルミニウムに加えて、例えばスチール/スチールウール、銅及び/又は銅合金も含有することが可能である。
【0036】
本発明は、従って、アルミニウム含有ブレーキディスク及びロータとの組み合わせで使用される摩擦ライニングのための本発明に応じたAl合金及びAl金属の使用に関する。更に、本発明は、上記の目的のための本発明に応じたブレーキライニングの使用及び本発明に応じた摩擦ないしブレーキライニングと上記のブレーキディスク又はロータを含むブレーキシステムに関する。
【0037】
ここに、本発明の可能な形態を付記する。
[付記1]アルミニウム含有ブレーキディスク又はロータの摩擦相手部材としての、5質量%超のアルミニウムをアルミニウム金属の形で又はアルミニウム合金の形で含有する金属系の摩擦ライニング。
[付記2]上記の摩擦ライニングにおいて、前記摩擦ライニングは、5~30質量%のアルミニウム、又は5~25質量%のアルミニウム、又は10~20質量%のアルミニウムを含有する。
[付記3]上記の摩擦ライニングにおいて、前記アルミニウム合金は、Alに加えて、以下の金属:Mg、Ti、Si、Ba、Sr、Ca、Be、Zr、Cr、Fe、Sn、Biの1つ以上を含む。
[付記4]上記の摩擦ライニングにおいて、前記Al合金は、式Alで表されること、但し、ZはMg及び/又はTi及び/又はSiであり、xとyは夫々10質量%から90質量%以下の範囲を意味する。
[付記5]上記の摩擦ライニングにおいて、前記Al合金は、二元系Al-Mg合金又はAl-Ti合金である。
[付記6]上記の摩擦ライニングにおいて、前記Al合金は、Mg及び/又はTi及び/又はSiを含有しかつyが複数の成分Zの割合の和である三元系又は四元系合金である。
[付記7]上記の摩擦ライニングにおいて、前記(二元系)Al合金はAlTi10又はAlMg50である。
[付記8]上記の摩擦ライニングにおいて、前記Al合金は、粒子の形で存在する。
[付記9]上記の摩擦ライニングにおいて、前記粒子は、100~700μmの粒径を有する。
[付記10]上記の摩擦ライニングにおいて、前記ブレーキディスク又はロータは、アルミニウムを20~60体積%まで、又は40体積%まで含有する。
[付記11]上記の摩擦ライニング及びアルミニウム含有ブレーキディスク又はロータを含む、ブレーキシステム。
[付記1’]アルミニウム含有ブレーキディスク又はロータのための摩擦ライニングとしての、5質量%超のアルミニウムをアルミニウム金属の形で又はアルミニウム合金の形で含有する摩擦ライニングの使用。
[付記2’]上記の使用において、前記摩擦ライニングは、5~30質量%のアルミニウム、とりわけ5~25質量%のアルミニウム、格別に好ましくは10~20質量%のアルミニウムを含有する。
[付記3’]上記の使用において、前記アルミニウム合金は、Alに加えて、以下の金属:Mg、Ti、Si、Ba、Sr、Ca、Be、Zr、Cr、Fe、Sn、Biの1つ以上を含む。
[付記4’]アルミニウム含有ブレーキディスク又はロータのための摩擦ライニングの成分としての、式AlのAl合金の上記の使用。但し、ZはMg及び/又はTi及び/又はSiであり、xとyは夫々10質量%から90質量%以下の範囲を意味する。
[付記5’]上記の使用において、前記Al合金は、二元系Al-Mg合金又はAl-Ti合金である。
[付記6’]上記の使用において、前記Al合金は、Mg及び/又はTi及び/又はSiを含有しかつyが複数の成分Zの割合の和である三元系又は四元系合金である。
[付記7’]上記の使用において、前記二元系Al合金はAlTi10又はAlMg50である。
[付記8’]上記の使用において、前記Al合金は、粒子の形で存在しかつ使用される。
[付記9’]上記の使用において、前記粒子は、100~700μmの寸法(粒径)を有する。
[付記10’]上記の使用において、前記ブレーキディスク又はロータは、アルミニウムを20~60体積%まで、とりわけ凡そ40体積%まで含有する。
[付記11’]上記の摩擦ライニング及びブレーキディスクを含むブレーキシステム。