(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050744
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】眼用のインプラントの製造
(51)【国際特許分類】
A61F 2/16 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
A61F2/16
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024013929
(22)【出願日】2024-02-01
(62)【分割の表示】P 2020550137の分割
【原出願日】2019-04-12
(31)【優先権主張番号】62/658,841
(32)【優先日】2018-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン シュミット
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ボルネマン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ダイジンガー
(57)【要約】
【課題】眼用のインプラントを製造するシステムを提供する。
【解決手段】特定の実施形態において、眼用のインプラントを製造するシステムは、プリンタと、カメラと、コンピュータと、を有する。プリンタはターゲット上に材料を印刷し、且つ、プリンタヘッドと、プリンタコントローラと、を有する。プリンタヘッドは材料をターゲット上に堆積させ、且つ、プリンタコントローラは、材料をターゲットの特定の場所上に堆積させるようにプリンタヘッドを運動させる。カメラは、材料の印刷を監視するべく画像を生成している。コンピュータは、眼のための屈折治療を提供するように設計されたインプラント用のパターンを保存し、パターンに従って材料をターゲット上に印刷するべくプリンタヘッドを運動させるように、プリンタコントローラに命令を送信し、パターンに従ってカメラからの画像を評価し、且つ、画像に応答して命令を調節する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼用のインプラントを製造するシステムであって、
材料をターゲット上に印刷するように構成されたプリンタであって、
前記材料を前記ターゲット上に堆積させるように構成されたプリンタヘッド、及び、
前記材料を前記ターゲットの特定の場所上に堆積させるべく、前記プリンタヘッドを運動させるように構成されたプリンタコントローラ、
を有するプリンタと、
前記材料の前記印刷を監視するべく、画像を生成するように構成されたカメラと、
前記インプラント用のパターンを保存し、前記インプラントは、前記眼のための屈折治療を提供するように設計されたコンピュータであって、
前記パターンに従って前記材料を前記ターゲット上に印刷するべく、前記プリンタヘッドを運動させるように、前記プリンタコントローラに命令を送信し、
前記パターンに従って前記カメラからの前記画像を評価し、且つ、
前記画像に応答して前記命令を調節する、
ように構成されたコンピュータと、
を有するシステム。
【請求項2】
前記印刷された材料を成形するように構成されたアブレーションレーザーを更に有し、且つ、
前記コンピュータは、前記パターンに従って前記印刷された材料を融除するべく、前記アブレーションレーザーに命令を送信するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記カメラは、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)システム、Scheimpflugシステム、又は立体カメラシステムを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記印刷された材料に向かって硬化光を導くように構成された硬化イルミネータを更に有し、且つ、
前記コンピュータは、前記パターンに従って前記硬化光を導くべく、前記硬化イルミネータに命令を送信するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記コンピュータは、前記画像を前記パターンと比較することにより、前記パターンに従って前記カメラからの前記画像を評価するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記コンピュータは、
前記画像内の前記印刷された材料の内部構造を識別し、且つ、
前記識別された内部構造を前記パターンによって定義された内部構造と比較することにより、
前記パターンに従って前記カメラからの前記画像を評価するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記コンピュータは、
前記画像内の前記印刷された材料の外部形状を識別し、且つ、
前記識別された外部形状を前記パターンによって定義された外部形状と比較することにより、
前記パターンに従って前記カメラからの前記画像を評価するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記コンピュータは、
望ましくない材料を融除するべく、前記アブレーションレーザーに命令することにより、
前記画像に応答して前記命令を調節するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
前記コンピュータは、
必要とされる材料を印刷するように前記プリンタに命令することにより、
前記画像に応答して前記命令を調節するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記材料は、生物学的な又は生体適合性を有する材料を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記ターゲットは、ステージ又はインプラント基材を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
眼用のインプラントを製造する方法であって、
前記眼のための屈折治療を提供するように設計されたインプラント用のパターンを保存するステップと、
前記パターンに従ってターゲット上に材料を印刷するべく、プリンタヘッドを運動させるように、プリンタコントローラに命令を送信するステップと、
前記材料の前記印刷を監視するべく、画像を生成するステップと、
前記パターンに従って前記画像を評価するステップと、
前記画像に応答して前記命令を調節するステップと、
を有する方法。
【請求項13】
前記パターンに従って前記印刷された材料を融除するべく、アブレーションレーザーに命令を送信するステップを更に有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記パターンに従って硬化光を導くべく、硬化イルミネータに命令を送信するステップを更に有する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記パターンに従って前記画像を評価するステップは、
前記画像内の前記印刷された材料の内部構造を識別するステップと、
前記識別された内部構造を前記パターンによって定義された内部構造と比較するステップと、
を有する、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、眼の屈折治療に関し、且つ、更に詳しくは、眼用のインプラントの製造に関する。
【背景技術】
【0002】
眼の屈折治療は、眼の屈折プロパティを変更することにより、屈折異常を低減して視力を改善するべく実行される技法を意味している。屈折異常は、眼の一部分が光を正しく折り曲げず、その結果、不鮮明な画像がもたらされる際に、発生する。屈折異常の主なタイプは、近視(近視眼)、遠視(遠視眼)、老眼(年齢に伴う近見視力の喪失)、及び乱視である。眼のインプラントは、屈折治療の1つのタイプにおいて使用されている。眼のインプラントは、屈折プロパティを変更して視力を改善するべく、眼内に埋植されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
特定の実施形態においては、眼用のインプラントを製造するシステムは、プリンタと、カメラと、コンピュータと、を有する。プリンタは、材料をターゲット上に印刷し、且つ、プリンタヘッドと、プリンタコントローラと、を有する。プリンタヘッドは、材料をターゲット上に堆積させ、且つ、プリンタコントローラは、材料をターゲットの特定の場所上に堆積させるべく、プリンタヘッドを運動させている。カメラは、材料の印刷を監視するべく、画像を生成している。コンピュータは、眼の屈折治療を提供するように設計されたインプラント用のパターンを保存し、パターンに従って材料をターゲット上に印刷するべくプリンタヘッドを運動させるように、プリンタコントローラに命令を送信し、パターンに従ってカメラからの画像を評価し、且つ、画像に応答して命令を調節している。
【0004】
特定の実施形態においては、眼用のインプラントを製造する方法は、眼の屈折治療を提供するように設計されたインプラント用のパターンを保存するステップを含む。命令は、パターンに従って材料をターゲット上に印刷するべくプリンタヘッドを運動させるように、プリンタコントローラに送信されている。材料の印刷を監視するべく、画像が生成されている。画像が、パターンに従って評価され、且つ、命令調節が、画像に応答して調節されている。
【0005】
一例として、以下の添付の図を参照し、本開示の実施形態について更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、眼用のインプラントを製造するシステムの一例を示す。
【
図2】
図2は、
図1のシステムによって実行されうる、眼用のインプラントを製造する方法の一例を示す。
【
図3A】
図3Aは、
図1のシステムによって生成されうる異なる外部形状を有するインプラントの例を示す。
【
図3B】
図3Bは、
図1のシステムによって生成されうる異なる外部形状を有するインプラントの例を示す。
【
図4A】
図4Aは、
図1のシステムによって製造されうる異なる内部構造を有するインプラントの例を示す。
【
図4B】
図4Bは、
図1のシステムによって製造されうる異なる内部構造を有するインプラントの例を示す。
【
図4C】
図4Cは、
図1のシステムによって製造されうる異なる内部構造を有するインプラントの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下には、説明及び図面を参照することにより、開示されている装置、システム、及び方法の例示用の実施形態が詳細に示されている。当業者には明らかなように、開示されている実施形態は、例示を目的としており、且つ、すべての可能な実施形態を網羅するものではない。
【0008】
図1は、眼用のインプラント12を製造するシステム10の一例を示している。システム10は、ステージ14などのターゲット上に生物学的な又は生体適合性を有する材料を印刷するプリンタ16を含む。コンピュータ22は、パターン20に従って材料を印刷するべく、命令をプリンタ16に送信している。パターン20は、眼内に埋植された際に眼に対する屈折治療を提供するインプラント12をもたらすように、設計されている。カメラ26は、材料の印刷を監視するべく、画像を生成している。コンピュータ22は、パターン20に従って画像を評価し、且つ、画像に応答して命令を調節することができる。特定の実施形態においては、アブレーションレーザーにより印刷された材料を成形することができると共に、硬化イルミネータ28により印刷された材料を硬化させることができる。
【0009】
図示の実施形態においては、システム10は、コンピュータ22と、プリンタ16と、ステージ14と、アブレーションレーザー24と、カメラ26と、硬化イルミネータ28と、を有する。コンピュータ22は、1つ又は複数のプロセッサ30と、パターン20を保存する1つ又は複数のメモリ32と、を含む。プリンタ16は、プリンタヘッド34と、プリンタコントローラ36と、を含む。概要として、特定の実施形態においては、コンピュータ22は、パターン20に従ってインプラント12を製造するように、システム10のコンポーネントを制御している。ステージ14は、印刷される材料のためのターゲットとして動作する、或いは、印刷される材料のためにターゲットを支持する、プラットフォームである。プリンタ16は、材料をターゲット上に印刷している。アブレーションレーザー24は、パターン20に従って、印刷された材料を成形するように、印刷された材料を融除している。硬化イルミネータ28は、材料の硬化を促進する光により、印刷された材料を照明している。カメラ26は、インプラント12の生成を監視するべく、画像を生成している。説明を支援するべく、本説明においては、印刷において使用される座標系を参照している。この座標系においては、印刷された材料が放出される方向はz軸を定義しており、且つ、xyプレーンはz軸に対して垂直のプレーンである。
【0010】
インプラント12は、眼の屈折治療を提供するべく眼内に手術によって埋植される、眼のインプラント、即ち、人工補助具である。インプラント12が眼内に埋植され、且つ、眼が埋植から回復した際に、インプラント12は、眼の屈折プロパティを変更して視力を改善する。インプラント12の例は、角膜インレー、角膜アンレー、眼内レンズ、又は角膜移植組織を含む。角膜移植組織のケースにおいては、システム10は、上皮、Bowman、ストロマ、及び/又は内皮細胞のような、細胞層を含みうる、「ドナー」組織を生成している。ドナー組織は、全層角膜移植(即ち、浸透性角膜移植術)又は裏層角膜移植(即ち、内皮角膜移植術)のために生成することができる。
【0011】
インプラント12は、任意の適切なサイズ又は形状を有することができる。例えば、インプラント12は、円形であるか、又は環状であってよく、0.5~12ミリメートル(mm)の範囲内の、或いは、0.5~5mm、5mm~8mm、又は8~12mmなどのサブ範囲内の、直径を有する。特定の実施形態においては、インプラント12は、透明な生体適合性を有する基材上において印刷された材料を有することができる。(このような印刷された材料の例については、後述する)。その他の実施形態においては、インプラント12は、基材ではなく、印刷された材料を有することができる。インプラント12の有効エリアは、例えば、その最大サイズにおいて瞳孔によって囲まれているエリアなどの、眼が観察しているエリアであってよい。
【0012】
パターン20は、インプラント20の外部サイズ及び形状を記述しており、且つ、インプラント20の内部構造を記述することもできる。内部構造は、印刷された材料が、インプラント20の生成の際に堆積、硬化、及び/又は融除される方式の結果としてもたらされうる。特定の実施形態においては、パターン20は、材料が、インプラント20を形成しているそれぞれの層において堆積、硬化、及び/又は融除されるその方式を定義しうる。例えば、パターン20は、材料が堆積されるべき場所、材料が硬化されるべきかどうか及びその方式、及び/又は材料が融除されるべきかどうか及びその方式を記述することにより、第1層が生成されるべき方式を定義することができる。パターン20は、類似のタイプの説明を使用することにより、後続の層が生成されるべき方式を定義することができる。インプラント12、内部構造、及びパターン20の例は、
図3A~
図4Cにおいて示されている。
【0013】
プリンタ16は、デジタル命令に従ってターゲット上に材料を堆積させるように構成された任意の適切なプリンタであってよい。例えば、プリンタ16は、特定の形状及びサイズにおいて構成された、印刷された材料をもたらすように、材料の連続的な層を堆積させる、3D(又は、付加製造)プリンタであってよい。プリンタ16は、プリンタヘッド44と、プリンタコントローラ46と、を含む。プリンタヘッド44は、材料をターゲット上に導き、且つ、材料を表面上に堆積させる、任意の適切なプリンタ押出機であってよい。プリンタコントローラ46は、材料をターゲットの特定の場所上に導くように、x、y、z方向においてプリンタヘッドを運動させ、且つ、パターン20に従ってプリンタヘッド44を運動させるべく、コンピュータ22から命令を受け取ることができる。
【0014】
プリンタ16は、生物学的な且つ/又は生体適合性を有する任意の適切な透明又は半透明材料を有する材料を印刷している。このような材料の例は、培養されたコラーゲン物質、人間又は動物細胞物質、生体適合性を有するプラスチック、ヒアルロナン、組み換えヒトコラーゲンIII(RHCIII)、ゼラチンメタクリレート、及び絹を含む。特定のケースにおいては、上皮がその上部において成長しうる材料を使用することができる。このような材料は、角膜細胞及び細胞外物質の最適な栄養補給、寿命を通じた光学的な透明性、及び上皮成長用の支援表面プロパティを提供することができる。
【0015】
プリンタ16は、材料をターゲット上に印刷し、ターゲットは、ステージ14であってもよく、或いは、ステージ14によって支持されたインプラント基材であってもよい。特定の実施形態においては、インプラント基材は、モールド上に堆積される材料の表面を成形するモールドであってよい。モールドは、眼内へのインプラント12の埋植の前に除去することができる。その他の実施形態においては、インプラント基材は、インプラント20の一部分を形成することができると共に、インプラント20の残りの部分と共に眼内に埋植されている。これらの実施形態においては、インプラント基材は、上述のように、生物学的な且つ/又は生体適合性を有する、透明又は半透明の材料を有することができる。
【0016】
アブレーションレーザー24は、パターン20に従って材料を成形するように、印刷された材料を融除している。アブレーションレーザー24は、印刷された材料を融除するレーザービームを生成及び放出する任意の適切なレーザー装置であってよい。アブレーションレーザー24は、レーザービームを生成するレーザー供給源(例えば、エキシマ又はフェムト)と、レーザービームの焦点をターゲットの特定の地点まで導くスキャニングコンポーネント(例えば、オプティクス)と、を有することができる。特定の実施形態においては、レーザー24は、異なるレーザービームを生成する、更なるレーザー供給源を内蔵していてもよく、例えば、レーザー24は、印刷された材料を光分解又は架橋するビームと、印刷された材料を融除するビームと、を生成する供給源を有することができる。コンピュータ22は、材料が融除されるべき場所を記述することにより、材料を成形するように、アブレーションレーザー24に命令することができる。
【0017】
硬化イルミネータ28は、材料を硬化させるべく、印刷された材料に向かって硬化光を導いている。光は、材料の架橋を促進することにより、材料を硬化させることができる。硬化光の例は、紫外光又は(LED光などの)400~500nmの光を含む。コンピュータ22は、材料が硬化されるべき時点、硬化時間、及び/又は硬化強度を通知することにより、材料を硬化させるように、硬化イルミネータ28に命令することができる。
【0018】
カメラ26は、材料の印刷を監視するべく、印刷された材料の画像を生成している。カメラ26は、物体の画像を生成しうる任意の適切なシステムを有することができる。画像を生成するべくOCTスキャンを生成する、(時間ドメイン又は周波数ドメインOCTシステムなどの)光コヒーレンストモグラフィ(OCT:Optical Coherence Tomography)システムが、カメラ26の一例である。その他の例は、Scheimpflugシステム(光断面計測)又は立体カメラシステムを含む。
【0019】
コンピュータ22は、パターン20に従ってインプラント12を製造するようにコンポーネントに動作する方式を通知するべく、システム10のコンポーネントに命令を送信している。例えば、コンピュータ22は、パターン20に従って材料を印刷するようにプリンタヘッド34を運動させるべく、プリンタコントローラ36に命令を送信している。また、特定の実施形態においては、コンピュータ22は、パターン20に従って印刷された材料を融除するように、命令をアブレーションレーザー24に送信することができ、且つ/又はパターン20に従って硬化光を導くように、命令を硬化イルミネータ28に送信することができる。
【0020】
これに加えて、コンピュータ22はカメラ26からの画像を評価し、且つ、画像に応答して命令を調節することができる。コンピュータ22は、画像とパターン20の間の差を判定するべく画像をパターン20と比較することにより、パターン20に従って画像を評価することができる。コンピュータ22は、パターン20によって定義されているインプラント12の同一の特徴に対応する画像の特徴を識別するべく、画像を画像処理することができる。特徴は、例えば、外部形状又はサイズ又は内部構造であってよい。なんらかの差を検出するべく、対応する特徴が比較される。差が検出された場合には、差を低減するべく命令を調節することができる。例えば、画像が、材料が存在するべきではないことをパターン20が通知している場所において材料を示している場合には、コンピュータ22は、望ましくない材料を融除するように、アブレーションレーザー24に命令を送信することができる。別の例として、材料が存在するべきであるとパターン20が通知している場所において、画像が材料を示していない場合には、コンピュータ22は、より多くの材料を堆積させるようにプリンタ16に命令を送信することができる。
【0021】
コンピュータ22は、インプラント12の生成の際に任意の適切な時点において評価及び調節を実行することができる。例えば、コンピュータ22は、評価及び調節を継続的に実行してもよく、或いは、例えば、層の形成の後及び新しい層の形成の前などの、特定の時点において評価及び調節を実行してもよい。
【0022】
図2は、
図1のシステム10によって実行されうる、眼用のインプラント12を製造する方法の一例を示している。方法は、ステップ100において始まり、ここで、コンピュータ22は、眼のインプラント12を製造するべく、パターン20を評価する。コンピュータ22は、パターン20に従ってインプラント12を製造するように、動作する方式についてコンポーネントに通知するべく、ステップ102において、システム10のコンポーネントに命令を送信する。例えば、コンピュータ22は、ステップ102aにおいて、パターン20に従って材料を印刷するようにプリンタ16に命令を送信し、ステップ102bにおいて、パターン20に従って印刷された材料に向かって硬化光を導くように、硬化イルミネータ28に命令を送信し、且つ/又は、ステップ102cにおいて、パターン20に従って、印刷された材料を融除するように、アブレーションレーザー24に命令を送信する。
【0023】
カメラ26は、印刷された材料の画像を生成し、且つ、コンピュータ22は、ステップ104において画像を評価する。コンピュータ22は、画像の特徴(例えば、外部形状又はサイズ又は内部構造)とパターン20によって定義されている対応する特徴の間の差を判定するべく、画像をパターン20と比較することにより、パターン20に従って画像を評価することができる。コンピュータ22は、ステップ106において、印刷された材料が満足できるものであるかどうかを判定する。印刷された材料は、特徴の間に差が存在していない又は差が無視可能である場合にのみ、満足できるものとなりうる。無視可能な差とは、結果的に得られる視力における知覚可能な差を生成しない差でありうる。
【0024】
ステップ106において、印刷された材料が満足できるものではない場合には、方法はステップ108に進み、ここでは、コンピュータ22が、画像に応答して命令を調節する。命令は、撮像された特徴とパターン特徴の間の差を低減するように調節することができる。例えば、命令は、望ましくない材料を除去するべく、或いは、必要とされている材料を堆積させるべく、調節することができる。第1のケースにおいては、命令は、望ましくない材料を融除するように、アブレーションレーザー24に命令することができる。第2のケースにおいては、命令は、必要とされている材料を印刷するように、プリンタ16に命令することができる。
【0025】
ステップ106において、印刷された材料が満足できるものである場合には、方法は、ステップ110に進み、ここではコンピュータ22が、インプラント形成プロセスが終了したかどうかを判定する。プロセスが終了していない場合には、方法は、より多くの命令を送信するべく、ステップ102に戻る。プロセスが終了している場合には、方法は終了する。
【0026】
図3A及び
図3Bは、
図1のシステム10によって製造されうる異なる外部形状を有するインプラント12の例を示している。
図3Aのインプラント12aは、遠視の矯正のために使用することができると共に、
図3Bのインプラント12bは、近視の矯正のために使用することができる。
図3A(1)及び
図3B(1)は、それぞれ、インプラント12a及び12bの平面図を示しており、且つ、
図3A(2)及び
図3B(2)は、ラインA-Aに沿った、それぞれ、インプラント12a及び12bの断面図を示している。
【0027】
図4A~
図4Cは、
図1のシステム10によって製造されうる、異なる内部構造を有するインプラント12c~12eの例を示している。インプラント12c~12eは、層50を堆積させることにより製造され、これらの層50は、インプラント12c~12e用のパターンによって定義することができる。それぞれの図は、インプラント12の有効エリア内の層50の形成を示している。それぞれの図において、ステップ(1)は、ターゲット上に堆積された層50aを示しており(これは、ステージ14又はインプラント基材であってよい)、ステップ(2)は、層50a及び/又はターゲット上に堆積された層50bを示しており、且つ、ステップ(3)は、層50b上に堆積された層50cを示している。それぞれの層50が堆積され(且つ、任意選択により硬化及び/又は融除され)るのに伴い、インプラント12の屈折プロパティに影響を及ぼしうる内部構造を形成する。
【0028】
図4Aは、層50を有するインプラント12cを示しており、この場合に、それぞれの層50は、実質的に同一の厚さを有する。層50aは、均一な曲がりを有しており、且つ、後続の層50b及び50cも、類似の均一な曲がりを有している。ステップ(4a)及び(4b)は、インプラント12cが、異なるタイプの屈折矯正をもたらすべく、異なる方式によって融除されうる方式を示している。ステップ(4a)は、遠視の矯正のために
図3Aのインプラント12aのものに類似した外部形状をもたらすように融除された層50を示している。ステップ(4b)は、近視の矯正のために
図3Bのインプラント12bのものに類似した外部形状をもたらすように融除された層50を示している。
【0029】
図4B及び
図4Cは、層50を有するインプラント12d及び12eを示しており、この場合に、層50aは、有効エリアにわたって同一の厚さを有してはおらず、従って、後続の層50b及び50cも、層50aのものに類似した曲がりを有してはいない。
図4Bにおいて、層50aは、インプラント12dの、周辺ではなく、中央の、エリアにおいて、堆積されている。後続の層50b及び50cが堆積されているが、これは、遠視の矯正のために
図3Aのインプラント12aのものに類似した外部形状を結果的にもたらしている。但し、インプラント12dと
図4Aのステップ(4a)のインプラント12cは、類似の外部形状を有しているにも拘らず、これらの内部構造は異なっている。
【0030】
図4Cにおいては、層50aは、インプラント12eの、中央のではなく周辺のエリア内において堆積されている。後続の層50b及び50cが堆積され、この結果、近視の矯正のために
図3Bのインプラント12bのものに類似した外部形状がもたらされる。但し、インプラント12eと
図4Aのステップ(4b)のインプラント12cは、類似の外部形状を有しているにも拘らず、内部構造は異なっている。
【0031】
本明細書において開示されているシステム及び装置のコンポーネント(例えば、コンピュータ)は、インターフェイス、ロジック、及び/又はメモリを含んでいてもよく、これらのうちの任意のものは、ハードウェア及び/又はソフトウェアを含みうる。インターフェイスは、コンポーネントに対する入力を受け取ることが可能であり、コンポーネントからの出力を提供することが可能であり、且つ/又は、入力及び/又は出力を処理することができる。ロジックは、入力から出力を生成するべく、コンポーネントの動作を実行することが可能であり、例えば、命令を実行することができる。ロジックは、1つ又は複数のコンピュータ或いは1つ又は複数のマイクロプロセッサなどの、プロセッサであってよい。ロジックは、コンピュータプログラム又はソフトウェアなどの、コンピュータによって実行されうる、メモリ内においてエンコーディングされたコンピュータ実行可能命令であってよい。メモリは、情報を保存することが可能であり、且つ、1つ又は複数の有体の、一時的ではない、コンピュータ可読である、コンピュータ実行可能ストレージ媒体を有することができる。メモリの例は、コンピュータメモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)又は読み出し専用メモリ(ROM:Read Only Memory))、マスストレージ媒体(例えば、ハードディスク)、着脱自在のストレージ媒体(例えば、コンパクトディスク(CD:Compact Disk)又はデジタルビデオディスク(DVD:Digital Video Disk))、及びネットワークストレージ(例えば、サーバー又はデータベース)を含む。
【0032】
本開示について特定の実施形態の観点において説明したが、当業者には実施形態の(置換、追加、変更、又は省略などの)変更が明らかとなろう。従って、本発明の範囲を逸脱することなしに、変更を実施形態に対して実施することができる。例えば、変更は、本明細書において開示されているシステム及び装置に対して実施することができる。システム及び装置のコンポーネントは統合又は分離されてもよく、システム及び装置の動作は、更に多くの数の、更に少ない数の、又はその他の、コンポーネントにより、実行されてもよい。別の例として、本明細書において開示されている方法に対して変更を実施することができる。方法は、更に多くの数の、更に少ない数の、又はその他の、ステップを含んでいてもよく、且つ、ステップは、任意の適切な順序において実行されてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼用のインプラントを製造するシステムであって、
材料をターゲット上に印刷するように構成されたプリンタであって、
前記材料を前記ターゲット上に堆積させるように構成されたプリンタヘッド、及び、
前記材料を前記ターゲットの特定の場所上に堆積させるべく、前記プリンタヘッドを運動させるように構成されたプリンタコントローラ、
を有するプリンタと、
前記材料の前記印刷を監視するべく、画像を生成するように構成されたカメラと、
前記インプラント用のパターンを保存し、前記インプラントは、前記眼のための屈折治療を提供するように設計されたコンピュータであって、
前記パターンに従って前記材料を前記ターゲット上に印刷するべく、前記プリンタヘッドを運動させるように、前記プリンタコントローラに命令を送信し、
前記パターンに従って前記カメラからの前記画像を評価し、且つ、
前記画像に応答して前記命令を調節する、
ように構成されたコンピュータと、
を有するシステム。
【外国語明細書】