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特開2024-50769免疫グロブリン単一可変ドメインを伴うアッセイにおける非特異的タンパク質干渉を予測、検出及び低減するための技術
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050769
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】免疫グロブリン単一可変ドメインを伴うアッセイにおける非特異的タンパク質干渉を予測、検出及び低減するための技術
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/00 20060101AFI20240403BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240403BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240403BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240403BHJP
【FI】
C07K16/00 ZNA
A61K39/395 N
A61P43/00 111
C12N15/13
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024014906
(22)【出願日】2024-02-02
(62)【分割の表示】P 2021068327の分割
【原出願日】2012-06-25
(31)【優先権主張番号】61/500,360
(32)【優先日】2011-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2011/067132
(32)【優先日】2011-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】13/435,567
(32)【優先日】2012-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2012/061304
(32)【優先日】2012-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】61/500,464
(32)【優先日】2011-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/541,368
(32)【優先日】2011-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】505166225
【氏名又は名称】アブリンクス エン.ヴェー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】バウマイスター,ユーディト
(72)【発明者】
【氏名】ブーシュ,マリー-ポール・リュシェンヌ・アルマンダ
(72)【発明者】
【氏名】ブトン,カルロ
(72)【発明者】
【氏名】バイセ,マリー-アンジュ
(72)【発明者】
【氏名】スノエック,フェールレ
(72)【発明者】
【氏名】スターレンス,ステファニー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】タンパク質干渉を生じる傾向が低減又は除去された、重鎖可変ドメインに由来する免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)を提供する。
【解決手段】重鎖可変ドメインを含む、重鎖可変ドメインに基づく、及び/又は重鎖可変ドメインに由来するISVであって、前記ISVが、VHドメイン、VHHドメイン、ヒト化VHHドメイン、配列最適化VHHドメイン又はラクダ化VHドメインから選択され、ここで、前記ISVは、そのC末端にアミノ酸配列VTVSS(X)nを含み、nは、1、2、3、4または5であり、各Xは、独立して、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)またはイソロイシン(I)から選択されるアミノ酸残基である、前記ISVを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)であって、ナノボディであるか、又はVH配列を含む(すなわち、ナノボディ以外)、若しくはVH配列に由来するISVであり、配列VTVSS(X)のC末端を有する免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV);
又はこのようなISV(好ましくはこのようなナノボディ)をそのC末端に含有するタンパク質若しくはポリペプチド。
ここで、式中:
- n=1、2又は3(好ましくは1又は2)、各X=Ala又はGly;又は
- n=1、2又は3(好ましくは1又は2)、各X=Ala;又は
- n=1、2又は3(好ましくは1又は2)、各X=Gly;又は
- n=2又は3、少なくとも1個のX=Ala又はGly(残りのアミノ酸残基Xは天然に存在する任意のアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくはVal、Leu及び/又はIleから独立して選択される;又は
- n=2又は3、1個以外のすべてのX=Ala又はGly(残りのアミノ酸残基Xは天然に存在する任意のアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくはVal、Leu及び/又はIleから独立して選択される。
【請求項2】
- n=1、2又は3(好ましくは1又は2)、各X=Ala又はGly;又は
- n=1、2又は3(好ましくは1又は2)、各X=Ala;又は
- n=1、2又は3(好ましくは1又は2)、各X=Gly
である、請求項1に記載の免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)、タンパク質又はポリペプチド。
【請求項3】
Xがシステインではない、請求項1に記載の免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)、タンパク質又はポリペプチド。
【請求項4】
免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)であって、ナノボディであるか、又はVH配列を含む、若しくはVH配列に由来するISVであり、配列VTVSS(X)nのC末端を有する免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV);又はこのようなISV(好ましくはこのようなナノボディ)をそのC末端に含むタンパク質若しくはポリペプチド。
ここで、式中、nは、1~10、好ましくは1~5、例えば1、2、3、4又は5(好ましくは1又は2、例えば1)であり、各Xは、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)又はイソロイシン(I)からなる群より独立して選択される(好ましくは天然に存在する)アミノ酸残基であるが、ただしXはシステインではない。
【請求項5】
前記(C末端)ISVがナノボディである、請求項1~4のいずれかに記載の免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)、タンパク質又はポリペプチド。
【請求項6】
21-4による結合について500未満のRU値を有し、このRU値が、実施例9に示されているプロトコールに従ってBiacoreを使用し測定され、測定RU値をISV、タンパク質又はポリペプチドの分子量についての式([測定RU]/[タンパク質の分子量(MW)]x10)に従って調整して決定される、請求項1~5のいずれかに記載の免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)、タンパク質又はポリペプチド。
【請求項7】
ISV又は少なくとも1個のISVを含むタンパク質若しくはポリペプチドが、ADAアッセイなどの免疫アッセイにおいてタンパク質干渉を生じさせるか否かを予測するための方法であって、
(i)ヒト被験体から得られた抗体であって、前記ISVのC末端を認識する能力及び/又は前記ISVのC末端に結合する能力に基づいて選択/単離された抗体に、前記ISV又はタンパク質/ポリペプチドを接触させる工程;及び
(ii)前記免疫アッセイにおいて、前記ISV、タンパク質又はポリペプチドが、前記抗体に結合するか否かを決定する工程
を少なくとも含む免疫アッセイを実施することを含む、方法。
【請求項8】
ISVがナノボディであるか、又はVHドメインであり若しくはVHドメインを含む(その他の)ISV(すなわち、ナノボディ以外)である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ISVがナノボディである、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
タンパク質又はポリペプチドが前記ISVをそのC末端に有する、請求項7又は9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
工程(ii)において、ISV、タンパク質又はポリペプチドが前記抗体に結合するという事実が、ISV、タンパク質又はポリペプチドがこのようなタンパク質干渉を生じさせることができる(又は、このようなタンパク質干渉を生じさせる高いリスク又は増加したリスクを有する)ことを意味する、請求項7~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
抗体がポリクローナル抗体である、請求項7又は11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
抗体が、ヒト被験体から得られポリクローナル抗体を得るための出発材料として適切である、生体サンプルから出発して得られたポリクローナル抗体であり、このポリクローナル抗体が、ISV又は少なくとも1個のISVを含むタンパク質若しくはポリペプチドを保持するアフィニティーマトリックスが使用され、及び/又はISV又は少なくとも1個のISVを含むタンパク質若しくはポリペプチドがアフィニティー部分又は抗原として使用される、(免疫)アフィニティークロマトグラフィーの工程を少なくとも1つ含む方法によって得られ、場合により、前記サンプルからポリクローナル抗体を単離及び/又は精製するための1つ以上のさらなる工程(前記アフィニティー工程の前及び/又は後に実施される)とを含む方法によって得られる請求項7~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
アフィニティーマトリックス上に保持されており、及び/又はアフィニティー部分若しくは抗原として使用されるISV又は少なくとも1個のISVを含むタンパク質若しくはポリペプチドが、そのC末端においてアミノ酸配列VTVSS(配列番号33)で終了しているISV又は少なくとも1個のISVを含むタンパク質若しくはポリペプチドであるか、又はアフィニティーマトリックス上に保持されており、及び/又はアフィニティー部分若しくは抗原として使用されるISV又は少なくとも1個のISVを含むタンパク質若しくはポリペプチドが、そのC末端においてアミノ酸配列VTVSS(配列番号33)で終了しているISV又はナノボディをそのC末端に有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
アフィニティーマトリックス上に保持されており、及び/又はアフィニティー部分若しくは抗原として使用されるISV又は少なくとも1個のISVを含むタンパク質若しくはポリペプチドが、そのC末端においてアミノ酸配列VTVSS(配列番号33)で終了しており、プロリン残基を14位に有するISV又は少なくとも1個のISVを含むタンパク質若しくはポリペプチドであるか;又は、アフィニティーマトリックス上に保持されており、及び/又はアフィニティー部分若しくは抗原として使用されるISV又は少なくとも1個のISVを含むタンパク質若しくはポリペプチドが、そのC末端においてアミノ酸配列VTVSS(配列番号33)で終了しており、プロリン残基を14位に有するISV又は少なくとも1個のISVを含むタンパク質若しくはポリペプチドをそのC末端に有する、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
アフィニティーマトリックス上に保持されており、及び/又はアフィニティー部分若しくは抗原として使用されるISV又はナノボディが、配列最適化及び/又はヒト化ナノボディ(例えば、配列最適化及び/若しくはヒト化VHH又はラクダ化VH、例えばラクダ化ヒトVH)であるか;又は、アフィニティーマトリックス上に保持されており、及び/又はアフィニティー部分若しくは抗原として使用されるISV系薬物又はナノボディ系薬物が、配列最適化及び/又はヒト化ナノボディ(例えば、配列最適化及び/若しくはヒト化VHH又はラクダ化VH、例えばラクダ化ヒトVH)であるISV又はナノボディをそのC末端に有する、請求項13~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
アフィニティーマトリックス上に保持されており、及び/又はアフィニティー部分若しくは抗原として使用されるISV又はナノボディが、そのC末端においてアミノ酸配列VTVSS(配列番号33)で終了しており、その対応する天然に存在するVHHのヒト化及び/又は配列最適化の一環として導入されたプロリン残基を14位に有する配列最適化及び/又はヒト化ナノボディであるか;又は、アフィニティーマトリックス上に保持されており、及び/又はアフィニティー部分若しくは抗原として使用されるISV系薬物又はナノボディ系薬物が、そのC末端においてアミノ酸配列VTVSS(配列番号33)で終了しており、その対応する天然に存在するVHHのヒト化及び/又は配列最適化の一環として導入されたプロリン残基を14位に有する配列最適化及び/又はヒト化ナノボディをそのC末端に有する、請求項15又は16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項7~11のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
抗体が、ヒト被験体から得られ、モノクローナルを得るための出発材料として適切である生体サンプルから出発して得られたポリクローナル抗体であり、ISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物が、前記ISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物(特にこれらのC末端)に結合するモノクローナル抗体をスクリーニング及び選択するのに使用される少なくとも1つのスクリーニング又は選択工程と、場合により、前記サンプルからモノクローナル抗体を単離及び/又は精製するための1つ以上のさらなる工程(前記スクリーニング及び/若しくは選択工程の前及び/又は後に実施される)とを含む方法によって得られる、請求項7~11又は18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
スクリーニング若しくは選択工程において使用されるISV又はナノボディが、そのC末端においてアミノ酸配列VTVSS(配列番号33)で終了しているか、又はスクリーニング若しくは選択工程において使用されるISV系薬物又はナノボディ系薬物が、そのC末端においてアミノ酸配列VTVSS(配列番号33)で終了しているISV又はナノボディをそのC末端に有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
スクリーニング若しくは選択工程において使用されるISV又はナノボディが、そのC末端においてアミノ酸配列VTVSS(配列番号33)で終了しており、プロリン残基を14位に有するか、又は、スクリーニング若しくは選択工程において使用されるISV系薬物又はナノボディ系薬物が、そのC末端においてアミノ酸配列VTVSS(配列番号33)で終了しており、プロリン残基を14位に有するISV又はナノボディをそのC末端に有する、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
スクリーニング若しくは選択工程において使用されるISV又はナノボディが、配列最適化及び/又はヒト化ナノボディ(例えば、配列最適化及び/若しくはヒト化VHH又はラクダ化VH、例えばラクダ化ヒトVH)であるか;又は、スクリーニング若しくは選択工程において使用されるISV系薬物又はナノボディ系薬物が、配列最適化及び/又はヒト化ナノボディ(例えば、配列最適化及び/若しくはヒト化VHH又はラクダ化VH、例えばラクダ化ヒトVH)であるISV又はナノボディをそのC末端に有する、請求項19、20又は21に記載の方法。
【請求項23】
スクリーニング又は選択工程において使用されるISV又はナノボディが、そのC末端においてアミノ酸配列VTVSS(配列番号33)で終了しており、その対応する天然に存在するVHHのヒト化及び/又は配列最適化の一環として導入されたプロリン残基を14位に有する配列最適化及び/又はヒト化ナノボディであるか;又は、スクリーニング又は選択工程において使用されるISV系薬物又はナノボディ系薬物が、そのC末端においてアミノ酸配列VTVSS(配列番号33)で終了しており、その対応する天然に存在するVHHのヒト化及び/又は配列最適化の一環として導入されたプロリン残基を14位に有する配列最適化及び/又はヒト化ナノボディをそのC末端に有する、請求項21~22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
ISV又は少なくとも1個のISVを含むタンパク質若しくはポリペプチドが、免疫アッセイにおいてタンパク質干渉を生じさせる(又は、タンパク質干渉を生じさせる高い傾向又は増加した傾向を有する)かを予測するのに(及び/又は、前記ISV又は少なくとも1個のISVを含むタンパク質若しくはポリペプチドに、ヒトの血中又は血清中に存在する干渉因子が結合するか否かを予測するのに)使用され得る方法であって、
(i)(すなわち、「分析抗体」として使用される)モノクローナル抗体21-4に、前記ISV又はナノボディ(又は、ISV系薬物又はナノボディ系薬物)を接触させる工程;及び
(ii)前記免疫アッセイにおいて、前記ISV又はナノボディ(又は、ISV系薬物又はナノボディ系薬物)に、モノクローナル抗体21-4が結合するか否かを決定する工程
を少なくとも含む免疫アッセイを実施することを含む、方法。
【請求項25】
ISVがナノボディであるか、又はVHドメインであり若しくはVHドメインを含む(その他の)ISV(すなわち、ナノボディ以外)である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ISVがナノボディである、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
タンパク質又はポリペプチドが前記ISVをそのC末端に有する、請求項24~26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
実施例9に示されているプロトコールに従って実施される、請求項24~27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
請求項1~6のいずれかに記載のISV、タンパク質又はポリペプチドと、少なくとも1つの適切な担体、希釈剤又は賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項30】
- 前記組成物、ISV、タンパク質又はポリペプチドが、ヒトにおける慢性疾患を処置することを目的とするものであり、及び/又は
- 前記ISV、タンパク質、ポリペプチドが、それが(すなわち、治療活性用量で)投与される被験体の循環系に(すなわち、薬学的に活性なレベルで)少なくとも1週間の期間、好ましくは少なくとも2週間、例えば少なくとも1カ月間にわたって存在することを目的とするものであり;及び/又は
- 前記ISV、タンパク質、ポリペプチドが、ヒト被験体において、少なくとも3日間、例えば少なくとも1週間、最大10日間又はそれ以上の半減期(好ましくは、t1/2-βと表わされる)を有するようなものであり;及び/又は
- 前記ISV、タンパク質、ポリペプチド又は医薬組成物が、少なくとも3日間、例えば少なくとも1週間、例えば少なくとも2週間又は少なくとも1カ月間又はそれよりもさらに長い期間(すなわち、少なくとも3カ月間、少なくとも6カ月間又は少なくとも1年間)にわたって投与されるか、又はさらに慢性的に投与される2回以上の用量としてヒトに投与されることを目的とするものである、請求項29に記載の医薬組成物。
【請求項31】
ヒトにおける疾患の治療において使用するための、請求項1~6のいずれかに記載のISV、タンパク質又はポリペプチド。
【請求項32】
- 前記ISV、タンパク質又はポリペプチドが、ヒトにおける慢性疾患を処置することを目的とするものであり、及び/又は
- 前記ISV、タンパク質、ポリペプチドが、それが(すなわち、治療活性用量で)投与される被験体の循環系に(すなわち、薬学的に活性なレベルで)少なくとも1週間の期間、好ましくは少なくとも2週間、例えば少なくとも1カ月間にわたって存在することを目的とするものであり;及び/又は
- 前記ISV、タンパク質、ポリペプチドが、ヒト被験体において、少なくとも3日間、例えば少なくとも1週間、最大10日間又はそれ以上の半減期(好ましくは、t1/2-βと表わされる)を有するようなものであり;及び/又は
- 前記ISV、タンパク質又はポリペプチドが、少なくとも3日間、例えば少なくとも1週間、例えば少なくとも2週間又は少なくとも1カ月間又はそれよりもさらに長い期間(すなわち、少なくとも3カ月間、少なくとも6カ月間又は少なくとも1年間)にわたって投与されるか、又はさらに慢性的に投与される2回以上の用量としてヒトに投与されることを目的とするものである、請求項1~6及び/又は31のいずれかに記載のISV、タンパク質又はポリペプチド。
【請求項33】
医薬組成物の調製、特に請求項29又は30に記載の医薬組成物の調製における、請求項1~6、31又は32のいずれかに記載のISV又はタンパク質又はポリペプチドの使用。
【請求項34】
- 前記ISV、タンパク質又はポリペプチドが、ヒトにおける慢性疾患を処置することを目的とするものであり、及び/又は
- 前記ISV、タンパク質、ポリペプチドが、それが(すなわち、治療活性用量で)投与される被験体の循環系に(すなわち、薬学的に活性なレベルで)少なくとも1週間の期間、好ましくは少なくとも2週間、例えば少なくとも1カ月間にわたって存在することを目的とするものであり;及び/又は
- 前記ISV、タンパク質、ポリペプチドが、ヒト被験体において、少なくとも3日間、例えば少なくとも1週間、最大10日間又はそれ以上の半減期(好ましくは、t1/2-βと表わされる)を有するようなものであり;及び/又は
- 前記ISV、タンパク質又はポリペプチドが、少なくとも3日間、例えば少なくとも1週間、例えば少なくとも2週間又は少なくとも1カ月間又はそれよりもさらに長い期間(すなわち、少なくとも3カ月間、少なくとも6カ月間又は少なくとも1年間)にわたって投与されるか、又はさらに慢性的に投与される2回以上の用量としてヒトに投与されることを目的とするものである、請求項33に記載の使用。
【請求項35】
請求項1~6、31又は32の一項に記載のISV若しくはタンパク質若しくはポリペプチド、又は請求項29又は30に記載の医薬組成物をヒト被験体(例えば、このような処置を必要とする患者)に投与することを含む、処置方法。
【請求項36】
- 前記医薬組成物、ISV、タンパク質又はポリペプチドが、ヒトにおける慢性疾患を処置することを目的とするものであり、及び/又は
- 前記ISV、タンパク質、ポリペプチドが、それが(すなわち、治療活性用量で)投与される被験体の循環系に(すなわち、薬学的に活性なレベルで)少なくとも1週間の期間、好ましくは少なくとも2週間、例えば少なくとも1カ月間にわたって存在することを目的とするものであり;及び/又は
- 前記ISV、タンパク質、ポリペプチドが、ヒト被験体において、少なくとも3日間、例えば少なくとも1週間、最大10日間又はそれ以上の半減期(好ましくは、t1/2-βと表わされる)を有するようなものであり;及び/又は
- 前記医薬組成物、ISV、タンパク質又はポリペプチドが、少なくとも3日間、例えば少なくとも1週間、例えば少なくとも2週間又は少なくとも1カ月間又はそれよりもさらに長い期間(すなわち、少なくとも3カ月間、少なくとも6カ月間又は少なくとも1年間)にわたって投与されるか、又はさらに慢性的に投与される2回以上の用量としてヒトに投与されることを目的とするものである、請求項35に記載の処置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫グロブリン単一可変ドメインの分野に関する。
【0002】
免疫グロブリン単一可変ドメイン又は「ISV」は、本明細書において一般に、
- 免疫グロブリンフォールドを含み、又はすなわち、免疫グロブリン可変ドメイン(例えば、VH、VL又はVHHドメインなど)を形成するように、適切な条件(例えば、生理条件)下で(すなわち、フォールディングすることによって)免疫グロブリンフォールドを形成でき;
及び
- (機能的抗原結合部位を形成するために別の免疫グロブリン可変ドメインとの相互作用(例えば、VH-VL相互作用)を必要としないという意味で)機能的抗原結合部位を含む免疫グロブリン可変ドメインを形成する(又は、このような適切な条件下で前記免疫グロブリン可変ドメインを形成できる)アミノ酸配列と定義される。
【0003】
当技術分野において現在公知である免疫グロブリン単一可変ドメインのいくつかの例は、VHH及び/又は(その他の)ナノボディ、dAb及び(単一)ドメイン抗体である。これらの中で、本出願の出願日の時点では、種々のナノボディが第I相及び第II相臨床試験にある。このため、ISVで処置される人々(例えば、臨床試験の被験者、及びこのようなISVの上市後にこのようなISVで処置される患者)に由来する生体サンプルを分析するための信頼性のあるアッセイを利用可能にすることが重要である。
【0004】
処置を処方する臨床医も、種々の処置態様をモニタリングするための信頼性のあるアッセイが利用可能になることを望んでいるので、これは、制御する目的にだけではなく、生物学的薬物による患者の処置にも重要である。
【0005】
例えば、生物学的薬物分子の臨床開発では、それらの免疫原性、特にそれらがいわゆる「抗薬物抗体」又は「ADA」を誘導できる程度を評価することが重要である。これは、いわゆる「抗薬物抗体」又は「ADA(免疫)アッセイ」を使用して決定される(例えば、Shankarらによる総説、Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis, 48 (2008), 1267-1281;及びMire-Sluis et al., J. Immunol. Meth. 289 (2004), 1-16; Peng et al., Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis, 54, (2011), 629-635;及びLoyet et al., J. Immunol. Meth. 345 (2009), 17-28を参照のこと)。このようなADAアッセイ、及びそれらを実施するため方法は薬理学分野の標準的な知識であり、生物学的薬物製品の臨床開発で通常使用されている(そして世界中の種々の規制当局によって必要とされている)。
【0006】
例えばMire-Sluisの論文の3頁及び4頁に記載されており、例えばPengの論文の図にも概略的に例示されているように、「ELISA-ブリッジング形式」、「ELISA-直接形式」、「間接形式」、放射性免疫沈降アッセイ(RIP)、「表面プラズモン共鳴」及び「電気化学発光-ブリッジング形式」などの多数の異なるADAアッセイ形式が公知である。ADA免疫アッセイを実施するためのその他の形式は、当業者には明らかである。
【0007】
当業者であれば、ADAアッセイを準備及び実施するのに適切であることが示されている多数の異なる市販の技術基盤も熟知しているであろう。これらのものとしては、限定されないが、MSD platform (Mesoscale)、Gyrolab (Gyros)及びoctet platform (Fortebio)が挙げられる。
【0008】
ADAアッセイ形式のいくつかの非限定的な例は、図1A図1Cにも概略的に示されている。
【0009】
一般に、ISVに対するADAを検出又は測定するためのこのようなADAアッセイでは、ISVは「分析剤」として(すなわち、ADAが、試験されるサンプル中に存在するかを検出するのに使用される化合物として)使用され、ADAは「抗原」(すなわち、試験されるサンプル中の検出されるべき化合物)であることに留意するべきである。従って、これらのアッセイでは、ISVは、通常/多くの場合、担体(例えば、ELISAプレート)に結合されるのに対して、ADAは、(もしある場合は)アッセイに供されるサンプル中に存在する。
【0010】
本明細書において記載される本発明をより良く理解するためには、-対照的に-ISVがタンパク質干渉を生じさせるかを予測するのに本明細書において使用される方法では、ISVは、通常、「抗原」として(すなわち、検出されるべき化合物として)使用され、抗体(これは本明細書においてさらに説明される)は、「分析剤」として(すなわち、所定のISVが結合するか否かをそれぞれ検出し、それによりタンパク質干渉を生じさせる高いリスク又は増加したリスクを有するか否かをそれぞれ検出するための手段として)使用されることに予め留意するべきである。従って、本発明のこの方法では、分析剤として使用される抗体(これは、本明細書において「分析抗体」とも称される)は、通常、担体に(すなわち、ELISAプレートに)結合され、ISVは、試験されるべきサンプルである(前記サンプル中に存在する)。しかしながら、一般には、本発明は、「分析抗体」が担体に結合されるアッセイに限定されないことに留意するべきである。例えば、(図1に示されており、実施例に記載されているように)本発明のアッセイを実施する代替方法では、分析抗体はブリッジング剤として代わりに使用されるので、(プレート上にコーティングされるISVを介してプレートに間接的には結合されるが)プレートに結合されるというよりもむしろ溶液中に存在する。しかしながら、実施例に記載されている特定のブリッジングアッセイ(これは競合アッセイである)においても、分析抗体は、分析剤として(すなわち、目的のISVが結合するか否かをそれぞれ決定し、それによりタンパク質干渉を生じさせる高いリスク又は増加したリスクを有するか否かをそれぞれ決定するのに)依然として使用される。本明細書におけるさらなる開示に基づいて、当業者であれば、所定のISVが結合できるか否かをそれぞれ決定し、それによりタンパク質干渉を生じさせる高いリスク又は増加したリスクを有するか否かを決定するのに分析抗体が分析剤として使用され得るその他のアッセイ形式を設計できることも想定される。
【0011】
一本鎖Fv又は「ScFv」(これらは、ISVと同様に、定常ドメインと結合していない免疫グロブリン単一可変ドメインを含有する構築物である)の研究結果として、免疫グロブリン単一可変ドメインのC末端は、抗体では可変ドメインと定常ドメインとの間の境界面に埋まっているが、可変ドメインが定常ドメインと結合していない場合には溶媒に曝露されるようになる疎水性パッチを形成すると当技術分野では説明されている(Nieba et al., Protein Engineering, 10, 435-444 (1997))。曝露されたC末端は、(新規及び/又は既存の)抗薬物抗体を生じさせることができ、及び/又は(新規及び/又は既存の)抗薬物抗体と相互作用できるB細胞エピトープを形成し得(国際公開第11/07586号)、次いで、これらの存在は、上述のADAアッセイを使用して決定され得ることも説明されている。この理由により、可変ドメインのC末端の一部を形成するアミノ酸残基のいくつかに対する突然変異を作って、前記疎水性を減少させ、及び/又は前記エピトープを除去することが提案された。例えば、Niebaらは、VH領域の11位、14位、41位、84位、87位及び/又は89位(Kabatのナンバリング)を突然変異させることを提案しているのに対して、国際公開第11/07586号では、VLドメインの99位、101位及び/若しくは148位(AHoのナンバリング)、又はVHドメインの12位、97位、98位、99位、103位及び/若しくは144位(先と同様に、AHoのナンバリング-これらの位置は、Kabatの11位、83位、84位、85位、89位及び103位に対応する)を突然変異させることが提案されている。
【0012】
しかしながら、これらの参考文献はいずれもが、被検体の血中または血清中に存在するある種のタンパク質が、ISVを用いるADAアッセイにおいて干渉し得ることを認識していない。そしてこのために、これらの参考文献は、ADAアッセイにが、試験されるべきサンプル中の(新規又は既存の)抗薬物抗体についての真の存在/程度を決定するために用いられることが可能になるように、このようなADAアッセイにおける非特異的タンパク質干渉をどのようにして回避するかという課題を対象としていない(前記課題の解決手段も提供していない)。
【0013】
対照的に本発明は、免疫グロブリン単一可変ドメインが、ADAアッセイにおいて非特異的タンパク質干渉を受ける傾向を有するか否かを当業者が予測することを容易に可能にする方法及びアッセイを提供する。本明細書において記載される方法及びアッセイはまた、可変ドメインが、ADAアッセイにおいてこのようなタンパク質干渉を受ける傾向又はリスクを有し得ると思われる場合、可変ドメインに対する改変(候補)がこのようなタンパク質干渉を減少させ、又は本質的には完全に回避するかを予測するために、当業者が、可変ドメインに対する改変(候補)を容易に試験することを可能にする。
【0014】
本発明はまた、このようなタンパク質干渉を減少させ、又は本質的に回避するために、可変ドメインに対して行われ得る多数の改変を説明する。非限定的な一態様によれば、この改変は、限られた数(本明細書においてさらに説明される)のアミノ酸残基(本明細書においてさらに説明される)を可変ドメインのC末端に付加することを含む。驚くべきことに、多数の異なる可変ドメイン又はそれに基づく構築物について、1個のアミノ酸残基(例えば、1個のアラニン残基)をC末端に付加さえすれば、このような1個のアミノ酸の付加それ自体によっては、NiebaらによればISVのC末端に存在する疎水性パッチを「覆う」か又は「埋める」のに十分ではないとしても、ADAアッセイにおけるタンパク質干渉の問題を実質的に又はさらに本質的には完全に取り除くことができることが見出された。同様に、本発明を何ら又はあらゆる機序若しくは説明に限定するものではないが、このような1個のアミノ酸の付加は、国際公開第11/07586号によれば可変ドメインのC末端に存在し得るB細胞エピトープを「覆う」か又は「埋める」のに十分ではないことも想定される。本発明のこの具体的な態様によれば、限られた数の又は1個のアミノ酸を可変ドメインのC末端に付加することにより(すなわち、Niebaら及び国際公開第11/07586号によって提案されているように、C末端領域それ自体の中には置換を作らない)、-多くの場合では-非特異的タンパク質干渉の問題を有意に減少させ、又はさらには本質的に取り除き得るが、C末端へのこのような付加をC末端領域内の突然変異と組み合わせることも本発明のこの態様の範囲内であることにも留意するべきである。しかしながら、この点において、本発明は、このような突然変異を作る論理的根拠に関しては特に限定されないことにも留意するべきである。例えば、可変ドメイン(限定されないが、VHHドメインを含む)をヒト化するために、又はVドメインを「ラクダ化」するために(例えば、国際公開第08/020079号、及び本明細書において参照されるAblynx N.V.によるその他の出願のいくつかを参照のこと)、C末端内のアミノ酸残基(Niebaらによって、及び国際公開第11/07586号で明確に言及されている位置を含む)に対して突然変異を作ることが周知である。
【0015】
本明細書において教示される方法、アッセイ及び改変は、定常ドメイン(又は、可変ドメインのC末端領域を「保護」し、覆い、又は「埋める」働きをする別の基又はペプチド部分)に連結していないか、又はさもなければ結合している種々の可変ドメインに適用され得、より一般には、溶媒に曝露されているC末端領域を有する可変ドメインに適用され得ると想定される。しかしながら、本発明の好ましいが非限定的な一態様によれば、この方法、アッセイ及び改変は、特に重鎖可変ドメイン(V)に適用され得、本発明の具体的な一態様によればVHHドメインに適用され得る。
【0016】
本明細書において記載される方法、アッセイ及び改変は、適切には、1個以上の可変ドメインを含有するタンパク質構築物に適用され得、特に、可変ドメインが構築物のC末端部分を形成するか、又はさもなければ本明細書において記載される方法及びアッセイの場合では可変ドメインのC末端領域が溶媒に曝露されているこのような構築物に適用され得ることも想定される。先と同様に、本発明の好ましいが非限定的な一態様によれば、この方法、アッセイ及び改変は、Vドメイン(特にVHHドメイン)が構築物のC末端部分を形成するか、又はさもなければ本発明の方法及びアッセイの場合では溶媒に曝露されている構築物に適用される。
【0017】
このような構築物のいくつかの非限定的な例は、直接的に又は1個以上の適切なリンカーを介して連結された2個以上のISV(先と同様に、具体的な一態様によれば、V又はVHHドメイン)であって、このような構築物のC末端部分を形成する2個以上のISVを含有する多価、多重特異性(例えば、二重特異性)又は多パラトープ性(例えば、二パラトープ性)の構築物である。例えば、限定されないが、このような構築物は、先と同様に直接的に又は1個以上の適切なリンカーを介して連結されたVドメイン、特にナノボディ(すなわち、VHHドメイン、ヒト化VHHドメイン又はラクダ化Vドメイン)から完全に構成され得る。このような構築物のいくつかの非限定的な例、及び(特にナノボディに基づいて)このような構築物がどのようにして作製され得るかの一般的な教示については、例えば、Conrath et al., JBC 276, 10(9), 7346 (2001)及びMuyldermansによる総説論文Reviews in Mol. Biotechnol., 74: 27 (2001)を参照のこと。
【0018】
しかしながら、例えば、本発明は、溶媒に曝露された可変ドメインを有し、特に可変ドメインをそのC末端に有するその他の構築物、例えばその重鎖可変ドメインをC末端に有する一本鎖Fv、特にScFvなどに適用され得ることも想定される。
【0019】
本明細書及び特許請求の範囲では、「ISV」、「分析剤」及び「タンパク質干渉」のような用語は、本明細書においてさらに定義される意味を有する。
【0020】
特に、本明細書において記載されるISVは特にナノボディでもよいし、VHドメインであり又はVHドメインを含む(その他の)ISV(すなわち、ナノボディ以外)でもよく、好ましくはナノボディである。
【0021】
また、ISV(例えば、ISV系薬物)を含む任意のタンパク質又はポリペプチドは、好ましくは、前記(又は少なくとも1個の)このようなISVをそのC末端に有する。先と同様に、前記ISVは特にナノボディでもよいし、VHドメインであり又はVHドメインを含む(その他の)ISV(すなわち、ナノボディ以外)でもよく、好ましくはナノボディである。
【0022】
本明細書において記載される本発明は、特に、VHドメイン(ヒトVHドメインを含む)などの重鎖可変ドメイン、及びVHHドメイン(ヒト化及び配列最適化VHHドメインを含む)などのナノボディ、又はラクダ化VHドメインを含み、これらに基づき及び/又は由来するISVに適用されることを目的とするものであり、前記ISVに適用されるのに適切である。これらは、合成の(例えば、合成ライブラリーから出発して、及び/又は一定のフレームワーク領域に基づいて得られたもの)、半合成の(例えば、天然のVH又はVHHドメインから出発して、ヒト化、ラクダ化若しくは配列最適化、又は親和性成熟若しくはCDR移植によって得られたもの)、若しくは完全に天然に存在するVH又はVHHドメインであり得る。従って、本明細書では、VH若しくはVHHドメインであり、VH若しくはVHHドメインに基づき及び/又は由来するISVを参照して、本発明をさらに説明する。
【0023】
本発明を確立する際に、生体サンプル(例えば、全血、血清又は血漿を含む血液サンプル、眼液、気管支肺胞洗浄液/BALF、脳脊髄液、又はその他の生体液のサンプル)を分析するのに使用されるいくつかのアッセイ(例えば、ADA免疫アッセイなど)では、タンパク質干渉が起こり得ること、並びにこのようなタンパク質干渉は、これらのアッセイのいくつか又はこれらのサンプルのいくつかにおいて、非特異的シグナルを生じさせ得ることが見出された。このようなタンパク質干渉は、ISV(特に、ナノボディ;又は、少なくとも1個のこのようなISV若しくはナノボディを含むタンパク質、ポリペプチド若しくはその他の生物学的薬物)で処置され、及び/又は前記ISVが投与された被験体(例えば、患者又は臨床試験の被験者)から得られたサンプルだけではなく、ISVの投与を受けたことがない被験体に由来するサンプルにおいても起こり得ることも見出された(これは、このような干渉が、新規のADAよりもむしろ既存のタンパク質との非特異的タンパク質-タンパク質相互作用に起因する可能性があることを示している)。
【0024】
このようなアッセイにおけるこのようなタンパク質干渉及び/又はこのようなシグナルは、ISVの薬理学的特性(例えば、薬物動態/PK特性又は薬力学的/PD特性)の変化又は減少に関連しないことが見出されたが、このような非特異的タンパク質干渉を予測し、検出し、減少させ、及び/又は可能であれば回避するための技術が利用可能であることが望ましい。これは、本発明の一般的な目的である。
【0025】
特に、本発明は以下のものを提供し、ある種の具体的だが非限定的な態様では以下のものに関する:
-所定のISVが、このようなアッセイ(例えば、ADA免疫アッセイなど)においてこのようなタンパク質干渉を受け、及び/又はこのような(非特異的)シグナルを生じさせるかを予測するのに使用され得るアッセイ。このような予測アッセイは、例えば、所定のISVが、このようなタンパク質干渉及び/又はこのようなシグナルを生じさせる傾向を有し得るかを試験するのに使用され得;このようなタンパク質干渉又はこのようなシグナルの発生の傾向がないか又は前記傾向がほとんどないISVを選択するのに使用され得;ISVに対するある種の改変が、このような干渉又はこのようなシグナルを生じさせる傾向を(完全に又は部分的に)減少させるかを試験するのに使用され得るアッセイ又は試験として使用され得;及び/又は、このようなタンパク質干渉又はシグナルを生じさせる傾向を減少させるようにISVの改変又は改善をガイドするのに使用され得るアッセイ又は試験として使用され得る;
-このようなタンパク質干渉又はこのようなシグナルを生じさせる傾向を除去し、又は減少させるようにISVを改変及び/又は改善するための方法;
-ISVに導入され得る改変であって、このようなタンパク質干渉又はこのようなシグナルを生じさせる傾向を除去し、又は減少させる改変;
-(例えば、本明細書において記載されるアッセイを使用して)特異的に選択されたISVであって、このようなタンパク質干渉又はこのようなシグナルを生じさせる傾向を有しないか又は前記傾向が(より)低い/減少したISV;
-改変及び/又は改善されたISVであって、このようなタンパク質干渉又はこのようなシグナルを生じさせる傾向を有しないか又は前記傾向が(より)低い/減少したISV。
【0026】
例えば、第1の非限定的な態様では、本発明は、所定のISV又はナノボディ(又は、ISV系薬物又はナノボディ系薬物)が、免疫アッセイにおいて(すなわち、本明細書においてさらに説明されるように、それを被験体に投与した後に前記被験体から生体液のサンプルを得て、前記サンプルを免疫アッセイに供する)、タンパク質干渉を生じさせる(又は、タンパク質干渉を生じさせる高いリスク又は増加したリスクを有する)かを予測するのに使用され得る方法であって、
(i)ヒト被験体から得られた抗体であって、ISV若しくはナノボディのC末端を認識する能力及び/又はISV若しくはナノボディのC末端に結合する能力に基づいて選択、作製及び/又は単離された抗体(「分析抗体」)に、前記ISV又はナノボディ(又は、ISV系薬物又はナノボディ系薬物)を接触させる工程;及び
(ii)前記ISV又はナノボディ(又は、ISV系薬物又はナノボディ系薬物)が、前記免疫アッセイにおいて前記抗体によって結合されるかを決定する工程
を少なくとも含む免疫アッセイを実施することを含む方法に関する。
【0027】
この方法では、ISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物が前記分析抗体によって結合される場合、前記ISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物は、このようなタンパク質干渉(本明細書においてさらに定義される)を生じさせる(又は、このようなタンパク質干渉を生じさせる高いリスク又は増加したリスクを有する)と予想され得る。これに基づいて、例えば、前記ISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物は、このようなタンパク質干渉(これは、上記アッセイを使用して再度決定され得る)を生じさせる傾向を減少させ、又は除去するように改変又は改善されてもよく、前記ISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物を改変するのに使用され得るいくつかの方策が本明細書において記載される(例えば、少数のアミノ酸残基をC末端に付加すること、及び/又は1個以上の特定のアミノ酸置換を導入することが挙げられる)。
【0028】
従って、一般に、本発明により、当業者は、ISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物がタンパク質干渉を生じさせる傾向を予測するのに使用され得、及び/又はタンパク質干渉を生じさせる傾向を減少させ、又は回避するようにISVを改善するツールとして使用され得るアッセイ及び方法/技術が利用可能になる。そうすることによって、本発明はまた、タンパク質干渉を生じさせる低い能力又は低下した能力(又は能力の欠如)に基づいてISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物を選択するための手段を当業者に提供する。従って、本発明は、ISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物の最適化及び開発において使用され得る重要なアッセイ及びツールを当業者に提供する。
【0029】
また本明細書においてさらに説明されるように、本発明は、タンパク質干渉を生じさせる傾向を減少させ、又は回避するように、ISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物を改変又は改善し得る多数の方法を当業者に教示する。従って、本発明はまた、一般に、改変及び/又は改善されたISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物であって、タンパク質干渉を生じさせる傾向が減少したか、前記傾向が低いか、又は前記傾向を有しないISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物を利用可能にする。
【0030】
本明細書においてさらに説明されるように、本発明は、所定のISV又はナノボディ(又は、ISV系薬物又はナノボディ系薬物)が、免疫アッセイ、特にADAアッセイにおいてタンパク質干渉(本明細書においてさらに説明される)を生じさせるかを予測するのに特に使用され得る。前記ADAアッセイは、例えば、一般にはISVに対するADAを検出又は測定するためのADAアッセイでもよいし、特に、上記工程(i)及び(ii)において使用されるISVに対するADAを検出又は測定するためのADAアッセイでもよい。
【0031】
先と同様に、本明細書において述べたように、本明細書において記載されるISVは特にナノボディでもよいし、VHドメインである又はVHドメインを含む(その他の)ISV(すなわち、ナノボディ以外)でもよく、好ましくはナノボディである。
【0032】
また、ISV(例えば、ISV系薬物)を含む任意のタンパク質又はポリペプチドは、好ましくは、前記(又は少なくとも1個の)このようなISVをそのC末端に有する。先と同様に、前記ISVは特にナノボディでもよいし、VHドメインである又はVHドメインを含む(その他の)ISV(すなわち、ナノボディ以外)でもよく、好ましくはナノボディである。
【0033】
前記免疫アッセイ又はADAアッセイにおいて試験されるサンプルは、本明細書において「試験サンプル」又は「アッセイサンプル」とも称される。混乱を避けるために、このような「試験サンプル」又は「アッセイサンプル」は、本発明において使用される(ポリクローナル又はモノクローナル)「分析抗体」を得るための出発材料として本明細書において使用される生体サンプルと混同されるべきではない。
【0034】
特に好ましいが非限定的な一態様では、本発明は、所定のISV又はナノボディ(又は、ISV系薬物又はナノボディ系薬物)が、このようなISVの使用を伴う免疫アッセイ(特に、ADAアッセイ)においてタンパク質干渉(本明細書においてさらに説明される)を生じさせるかを予測するのに使用され得る。先と同様に、前記ADAアッセイは、例えば、一般にはISVに対するADAを検出又は測定するためのADAアッセイでもよいし、特に、上記工程(i)及び(ii)において使用されるISVに対するADAを検出又は測定するためのADAアッセイでもよい。
【0035】
さらにより具体的だが非限定的な態様では、本発明は、所定のISV又はナノボディ(又は、ISV系薬物又はナノボディ系薬物)が、サンプルがISVに対するADAを含有するかを決定又は測定することを目的とする免疫アッセイ(特に、ADAアッセイ)において、タンパク質干渉(本明細書においてさらに説明される)を生じさせるかを予測するのに使用され得る。先と同様に、例えば、このような免疫アッセイは、前記ISVに対するADAが「試験サンプル」中に存在するかを決定又は測定するのに実施される公知の種類のADAアッセイ(これについては、例えば、本明細書において引用されるADAアッセイの従来技術を参照のこと)のうちの1つでもよく、この場合の前記試験サンプルは、前記ISVが投与された被験体(本明細書においてさらに説明される)から得られる生体液のサンプル(本明細書において記載される)である。
【0036】
本明細書においてさらに説明されるように、すべてのこれらの態様(及び、本明細書において記載される本発明のさらなる態様)では、本発明はまた、このような免疫アッセイ又はADAアッセイにおいてこのようなタンパク質干渉の傾向がないか又は前記傾向がほとんどないISVを選択するのに使用され得るし;ISVに対するある種の改変が、このような免疫アッセイ又はADAアッセイにおいてこのような干渉を生じさせる傾向を(完全に又は部分的に)減少させるかを試験するのに使用され得るアッセイ又は試験として使用され得るし;及び/又は、このような免疫アッセイ又はADAアッセイにおいてこのようなタンパク質干渉を生じさせる傾向を減少させるようにISVの改変又は改善をガイドするのに使用され得るアッセイ又は試験として使用され得る。
【0037】
本発明のその他の態様、実施態様、利点及び用途は、本明細書におけるさらなる説明から明らかになるであろう。
【0038】
本明細書では、「ISV」という用語が使用される場合は常に、以下のことを理解するべきである:
- このようなISVは、好ましくは、ナノボディ(「ナノボディ」という用語は、一般に、国際公開第08/020079号又は国際公開第09/138519号で定義されている通りである)であるので、具体的な態様では一般に、VHH、ヒト化VHH若しくはラクダ化VH(例えば、ラクダ化ヒトVH)、又は一般には配列最適化VHH(例えば、化学安定性及び/又は溶解性、公知のヒトフレームワーク領域との最大限のオーバーラップ、並びに最大限の発現について最適化されたものなど)を意味する。ナノボディ(Nanobody)又はナノボディ(Nanobodies)という用語はAblynx N.V.の商標として登録されているので、Nanobody(登録商標)及び/又はNanobodies(登録商標)とも称され得ることに留意する;
- 「ISV」という用語は、その最も広い意味において「ISV系生物学的製剤」も含み、ISVがナノボディである場合は「ナノボディ系生物学的製剤」も含む。「ISV系生物学的製剤」は、本明細書において、少なくとも1個(例えば、1個、2個又は3個)のISVを含むか、又は本質的に前記ISVからなるタンパク質、ポリペプチド又はその他の生物学的薬物と定義される。同様に、「ナノボディ系生物学的製剤」は、少なくとも1個(例えば、1個、2個又は3個)のナノボディを含むか、又は本質的に前記ナノボディからなるタンパク質、ポリペプチド又はその他の生物学的薬物と定義される。「ISV」という用語と同様に、「ISV系生物学的製剤」という用語が使用される場合は常に、このようなISV系生物学的製剤は、好ましくは、ナノボディ系生物学的製剤であることを理解するべきである。本発明の文脈内では、「ISV系生物学的製剤」及び「ナノボディ系生物学的製剤」は両方とも、例えば、それぞれ一価、二価(又は多価)、二重特異性(又は多重特異性)及び二パラトープ性(又は多パラトープ性)のISV構築物又はナノボディ構築物であり得る。また、あらゆるISV系生物学的製剤又はナノボディ系生物学的製剤は、例えば、1個以上(例えば、1個、2個又は3個)のISV又はナノボディに加えて、場合により、1個以上(例えば、1個又は2個)のその他のさらなる治療部分、及び/又はISV系生物学的製剤若しくはナノボディ系生物学的製剤の薬物動態特性若しくは薬力学的特性(例えば、その半減期)に影響を与える1個以上(例えば、1個又は2個)のその他の部分をさらに含み得る。このようなさらなる治療部分又はその他の部分の適切な例は当業者には明らかであり、例えば一般には、任意の治療的に活性なタンパク質、ポリペプチド又はその他の結合ドメイン若しくは結合単位、並びに例えば国際公開第09/138159号の149頁~152頁に記載されているものなどの改変が挙げられ得る。ISV系生物学的製剤又はナノボディ系生物学的製剤は、好ましくは治療薬であるか、又は治療用途(これは、予防及び診断を含む)を目的とするものであり、この目的のために好ましくは、治療上関連のあるターゲット(例えば、RANK-L、vWF、IgE、RSV、CXCR4、IL-23又はその他のインターロイキンなど)に対する少なくとも1個のISVを含有する。このようなISV系生物学的製剤又はナノボディ系生物学的製剤の具体的だが非限定的な例のいくつかについては、例えば、Ablynx N.V.による種々の出願(例えば限定されないが、国際公開第2004/062551号、国際公開第2006/122825号、国際公開第2008/020079号及び国際公開第2009/068627号など)、及び例えば(限定されないが)国際公開第06/038027号、国際公開第06/059108号、国際公開第07/063308号、国際公開第07/063311号、国際公開第07/066016号及び国際公開第07/085814号などの出願を参照のこと。また、本明細書では、特に本明細書において明確に記載しない限り、本明細書において記載されるすべての用語は、国際公開第09/138519号(又は国際公開第09/138519号で引用された従来技術)又は国際公開第08/020079号(又は国際公開第08/020079号で引用された従来技術)に示されている意味を有する。また、方法又は技術が本明細書において具体的に記載されていない場合、それは、国際公開第09/138519号(又は国際公開第09/138519号で引用された従来技術)又は国際公開第08/020079号(又は国際公開第08/020079号で引用された従来技術)に記載されているように実施され得る。
【0039】
特に、以下の用語は、国際公開第09/138519号の62頁~75頁に示されているのと同じ意味を有し、及び/又は適用可能な場合には前記頁に記載されているように決定され得る:「アゴニスト」、「アンタゴニスト」、「逆アゴニスト」、「非極性非荷電アミノ酸残基」、「極性非荷電アミノ酸残基」、「極性荷電アミノ酸残基」、「配列同一性」、「全く同じ」及び「アミノ酸差異」(2個のアミノ酸配列の配列比較について言及する場合)、「(から)本質的に単離された(形)」、「ドメイン」、「結合ドメイン」、「抗原決定基」、「エピトープ」、(抗原)「に対する(against)」又は「に指向性を有する(directed against)」、「特異性」並びに「半減期」。加えて、「モデュレーションする(modulating)」及び「モデュレーションするための(to modulate)」、「相互作用部位」、「に特異的」、「交差ブロッキング(cross-block)」、「交差ブロッキングされた(cross-blocked)」及び「交差ブロッキングする(cross-blocking)」、並びに「本質的にpH非依存性の」という用語は、本出願人の国際公開第10/130832号の74頁~79頁に定義されている通りである(及び/又は、前記頁に記載されているように決定され得る)。また、本発明の構築物、化合物、タンパク質又はポリペプチドについて言及する場合、「一価」、「二価」(又は「多価」)、「二重特異性」(又は「多重特異性」)及び「二パラトープ性」(又は「多パラトープ性」)のような用語は、国際公開第09/138.519号、国際公開第10/130832号又は国際公開第08/020079号に示されている意味を有し得る。
【0040】
ISV、ナノボディ、ISV系生物学的製剤若しくはナノボディ系生物学的製剤又は任意のその他のアミノ酸配列、化合物若しくはポリペプチドに関して本明細書において使用される「半減期」という用語は、一般に、国際公開第08/020079号の57頁の段落o)に記載されているように定義され得、そこで述べられているように、アミノ酸配列、化合物又はポリペプチドの血清濃度が、例えば、自然の機構による配列若しくは化合物の分解及び/又は配列若しくは化合物の排出又は隔離により、in vivoで50%減少するのに要する時間を指す。本発明のアミノ酸配列、化合物又はポリペプチドのin vivo半減期は、それ自体が公知の任意の方法、例えば薬物動態分析によって決定され得る。適切な技術は当業者には明らかであり、例えば一般には、国際公開第08/020079号の57頁の段落o)に記載されている通りでもよい。国際公開第08/020079号の57頁の段落o)でも述べられているように、半減期は、t1/2-α、t1/2-β及び濃度曲線下面積(AUC)などのパラメーターを使用して表わされ得る。この点において、本明細書において使用される「半減期」という用語は、特に、t1/2-β又は最終半減期(t1/2-α及び/若しくはAUC又はその両方は考慮しなくてもよい)を指すことに留意するべきである。例えば、以下の実験部分並びにKenneth, A et al: Chemical Stability of Pharmaceuticals: A Handbook for Pharmacists及びPeters et al, Pharmacokinete analysis: A Practical Approach (1996)などの標準的なハンドブックを参照のこと。"Pharmacokinetics", M Gibaldi & D Perron, published by Marcel Dekker, 2nd Rev. edition (1982)も参照のこと。同様に、「半減期の増加」又は「増加した半減期」という用語も国際公開第08/020079号の57頁の段落o)に定義されている通りであり、特に、t1/2-α及び/若しくはAUC又はその両方の増加の有無にかかわらず、t1/2-βの増加を指す。
【0041】
用語が本明細書において具体的に定義されていない場合、それは、当業者に明らかな当技術分野におけるその通常の意味を有する。例えば、Sambrook et al, "Molecular Cloning: A Laboratory Manual" (2nd.Ed.), Vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989); F. Ausubel et al, eds., "Current protocols in molecular biology", Green Publishing and Wiley Interscience, New York (1987); Lewin, “Genes II”, John Wiley & Sons, New York, N.Y., (1985); Old et al., “Principles of Gene Manipulation: An Introduction to Genetic Engineering”, 2nd edition, University of California Press, Berkeley, CA (1981); Roitt et al., “Immunology” (6th. Ed.), Mosby/Elsevier, Edinburgh(2001); Roitt et al., Roitt’s Essential Immunology, 10th Ed. Blackwell Publishing, UK(2001);及びJaneway et al., “Immunobiology” (6th Ed.), Garland Science Publishing/Churchill Livingstone, New York (2005)などの標準的なハンドブック、並びに本明細書において引用される一般的な背景技術を参照のこと。
【0042】
また本明細書では、ナノボディのアミノ酸残基は、Riechmann and Muyldermans, J. Immunol. Methods 2000 Jun 23; 240 (1-2): 185-195の論文においてラクダに由来するVHHドメインに適用されているように;又は本明細書において参照されるように、Kabatら(“Sequence of proteins of immunological interest”, US Public Health Services, NIH Bethesda, MD, Publication No. 91)によって示されたVHドメインの一般的なナンバリングに従ってナンバリングされる。このナンバリングによれば、ナノボディのFR1はアミノ酸残基を1位~30位に含み、ナノボディのCDR1はアミノ酸残基を31位~35位に含み、ナノボディのFR2はアミノ酸残基を36位~49位に含み、ナノボディのCDR2はアミノ酸残基を50位~65位に含み、ナノボディのFR3はアミノ酸残基を66位~94位に含み、ナノボディのCDR3はアミノ酸残基を95位~102位に含み、ナノボディのFR4はアミノ酸残基を103位~113位に含む。[この点において、-VHドメイン及びVHHドメインについて当技術分野において周知であるように-各CDRにおけるアミノ酸残基の総数は変化してもよいし、Kabatのナンバリングによって示されたアミノ酸残基の総数に対応しなくてもよいことに留意するべきである(すなわち、Kabatのナンバリングによる1個以上の位置に実際の配列がなくてもよいし、実際の配列は、Kabatのナンバリングによって許容される数よりも多くのアミノ酸残基を含有してもよい)。これは、一般に、Kabatのナンバリングが実際の配列におけるアミノ酸残基の実際のナンバリングに対応してもよいし、対応しなくてもよいことを意味する。しかしながら、一般に、Kabatのナンバリングによれば、CDRのアミノ酸残基の数にかかわらず、Kabatのナンバリングによる1位はFR1の開始に対応しその逆もまた同様であり、Kabatのナンバリングによる36位はFR2の開始に対応しその逆もまた同様であり、Kabatのナンバリングによる66位はFR3の開始に対応しその逆もまた同様であり、Kabatのナンバリングによる103位はFR4の開始に対応しその逆もまた同様であると言うことができる。]。
【0043】
VHドメインのアミノ酸残基をナンバリングするための代替方法は、Chothiaら(Nature 342, 877-883 (1989))によって説明されている方法(いわゆる「AbM定義」及びいわゆる「接触定義」)であり、この方法は、同様の方法でラクダに由来するVHHドメイン及びナノボディにも適用され得る。しかしながら、本明細書、態様及び図面では、特に指示がない限り、Riechmann及びMuyldermansによってVHHドメインに適用されたようにKabatのナンバリングに従う。
【0044】
図面、配列表及び実験部分/実施例は本発明をさらに説明するためにのみ示すものであり、本明細書において特に明確な指示がない限り、本発明及び/又は添付の特許請求の範囲の範囲を限定するものと決して解釈又は理解されるべきではないことにも留意するべきである。
【0045】
本発明は、本発明で観察され、本発明に従って低減され得るタンパク質干渉(及び/又は免疫アッセイにおいて生じるシグナル)のあらゆる原因、説明、仮説又は機序を具体的に限定するものではないことにさらに留意するべきである。しかしながら、特定の個人、若しくは個体群の血液又は血清(又は、本明細書において記載されるものなどのその他の生体液)は、このような個体から得られた血液又は血清サンプルを分析するのに使用されるある種のアッセイにおいて、ある種の環境下でISVに(非特異的に)結合して干渉シグナルをもたらし得るある種の(既存の)タンパク質を含有し得ると想定される。これは、本発明によって対処される非特異的タンパク質干渉が、ISVが過去に投与された被験体から得られたサンプルをアッセイする場合だけではなく、ISVが過去に投与されてない被験体から得られたサンプルをアッセイする場合にも起こるという本発明を確立する際に行った観察に特に基づいている。
【0046】
特に、本発明を確立する際に行った観察に基づいて、このような(既存の)タンパク質はこのようなISVのC末端に特に結合する(できる)可能性があると考えられるが、本発明はこれに限定されない(通常の完全型4本鎖モノクローナル抗体、及びラクダで見られる「重鎖単独」抗体では、前記C末端は、抗体の残りの部分-すなわち、それぞれ通常のモノクローナルのCH1領域及びラクダ重鎖抗体のヒンジ領域-に連結しているので、このような完全型抗体ではこのようなタンパク質干渉から保護される可能性がある)。
【0047】
これは、ISVのC末端におけるある種の(単純な)改変がこのようなタンパク質干渉を実質的に減少させ、又は本質的に抑制し得るという本発明を確立する際に本発明者らによってなされた発見(この発見は、本明細書においてさらに説明される)によって裏付けている。従って、ISVをこのように改変するための方法、及びこのように改変されたISVは、本明細書においてさらに説明されるように、本発明のさらなる態様を形成する。
【0048】
本発明は、(生物学的)薬物が投与された被験体から得られた生体サンプル(例えば、血液又は血清サンプル)(先と同様に、このようなサンプルは、本明細書において「試験サンプル」又は「アッセイサンプル」とも称される)に対して実施される免疫アッセイにおける非特異的結合によるタンパク質干渉及び/又はシグナルを減少させ、又は回避するのに特に使用され得る。これのいくつかの例は、生物学的薬物を被験体に投与する際の薬物体内動態及び抗体形成を特性決定するのに使用される免疫アッセイ、例えばCommittee for Medicinal Products for Human Use (CHMP) of the European Medicines Agency (EMEA)によって発行された“Guideline on the Clinical Investigation of the Pharmacokinetics of Therapeutic Proteins”(2007年1月27日付けの文書CHMP/EWP/89249/2004)で言及されているものである。この文書の4頁及び5頁で述べられているように:
「考えられるいくつかの欠点が判明したが、これは、薬物体内動態及び抗体形成についての誤った特性決定をもたらす可能性がある。以下の問題を考慮するべきである[...]:
免疫アッセイ
薬物アッセイ:
[...]
(iii)内因性物質による干渉。
(iv)血漿成分、又は検体に結合して捕捉抗体への相補的結合を阻害する抗薬物抗体による干渉。」
【0049】
本発明は、ISV(特に、ナノボディ;又は、本明細書においてさらに定義されるISV系生物学的製剤又はナノボディ系生物学的製剤)が投与された被験体から採取された生体液の試験サンプル/アッセイサンプルを分析するのに使用される免疫アッセイにおけるこの種の干渉を予測し、減少させ、又は回避するのに特に使用され得る。
【0050】
本発明は、薬物体内動態を特性決定するのに、及び/又はADA(抗薬物)抗体の形成を決定するのに使用される免疫アッセイにおけるこの種の(非特異的)タンパク質干渉を予測し、減少させ、又は回避するのに特に使用され得る。この点において、本明細書及び添付の特許請求の範囲では一般に、「タンパク質干渉を予測し、減少させ、又は回避する」のような表現が使用される場合、これは、このようなタンパク質干渉それ自体を予測し、減少させ、又は回避することだけではなく、免疫アッセイ(例えば、タンパク質干渉に関連する(非特異的)シグナルが発生し得るアッセイ、例えばADAアッセイ)における非特異的シグナルの発生を一般に予測し、減少させ、又は回避すること、特に、このようなアッセイにおいて観察される場合には通常は(非特異的)タンパク質干渉に起因し、関連し、及び/又は(非特異的)タンパク質干渉の兆候として考えられる非特異的シグナルの発生をこのような免疫アッセイにおいて予測し、減少させ、又は回避することも含むことに留意するべきである。この点において、一般には、本明細書において述べたように、本発明は、あらゆる原因、説明、仮説又は機序を具体的に限定するものではないことに留意するべきである。
【0051】
具体的だが非限定的な一態様では、本発明は、ISV(特に、ナノボディ;又は、本明細書においてさらに定義されるISV系生物学的製剤又はナノボディ系生物学的製剤)が投与された被験体から採取された生体液のサンプル(すなわち、「試験サンプル」)に対して実施される「抗薬物抗体」又は「ADA」アッセイにおけるこのようなタンパク質干渉を予測し、回避し、又は減少させるのに使用され得る。
【0052】
具体的だが非限定的な別の態様では、本発明は、1個以上のISVに対する(特に、ナノボディ;又は、本明細書においてさらに定義されるISV系生物学的製剤又はナノボディ系生物学的製剤に対する)(任意の)抗薬物抗体の存在を検出、測定及び/又は特性決定するのに使用される「抗薬物抗体」又は「ADA」アッセイにおけるこのようなタンパク質干渉(及び/又は、このようなタンパク質干渉に通常は関連する非特異的シグナル)を予測し、回避し、又は減少させるのに使用され得る。特に、本発明は、生体液のサンプル(すなわち、「試験サンプル」)、より具体的には、1個以上のこのようなISV又はナノボディ(又は、本明細書においてさらに定義されるISV系生物学的製剤又はナノボディ系生物学的製剤)が投与された被験体から得られた生体液のサンプルに対して実施されるこのような「抗薬物抗体」又は「ADA」アッセイにおけるこのようなタンパク質干渉を予測し、回避し、又は減少させるのに使用され得る。例えば、本発明は、(臨床試験の関連及び/又は治療の関連で)サンプルが得られた被験体に投与されたISV又はナノボディ(又は、本明細書においてさらに定義されるISV系生物学的製剤又はナノボディ系生物学的製剤)に対する(任意の)抗薬物抗体の存在を検出、測定及び/又は特性決定するのに使用されるこのような「抗薬物抗体」又は「ADA」アッセイにおけるこのようなタンパク質干渉を予測し、回避し、又は減少させるのに使用され得る。
【0053】
従って、具体的だが非限定的な一態様では、本発明は、1個以上のこのようなISV又はナノボディ(又は、本明細書においてさらに定義されるISV系生物学的製剤又はナノボディ系生物学的製剤)が投与された被験体から得られた生体サンプル(すなわち、「試験サンプル」)であって、ADAアッセイなどの免疫アッセイに適切であり、及び/又は前記免疫アッセイにおける使用を目的とするサンプルにおけるこのようなタンパク質干渉(及び/又は、このようなタンパク質干渉に通常は関連する非特異的シグナル)を予測し、回避し、又は減少させるのに使用され得る。前述のように、このような生体サンプルは、血液(全血、血清又は血漿を含む)、眼液、気管支肺胞洗浄液/BALF、脳脊髄液、又は免疫アッセイ、特にADAアッセイにおける使用に適切である任意のその他の適切な生体液若しくはサンプルであり得る。
【0054】
具体的だが非限定的な一態様では、このような試験サンプルは、複数回投与(例えば、少なくとも10日間、例えば少なくとも1カ月間又はそれよりも長い期間にわたる少なくとも1回~3回の個別投与)、及び/又はISV、ナノボディ、ISV系生物学的製剤(本明細書においてさらに定義される)又はナノボディ系生物学的製剤(本明細書においてさらに定義される)による慢性処置(すなわち、少なくとも10日間、例えば少なくとも1カ月間の処置)に供された被験体から得られたものでもよい。このようなISV、ナノボディ、ISV系生物学的製剤又はナノボディ系生物学的製剤は、例えば、治療の関連又は臨床試験の関連で前記被験体に投与されたものでもよい。
【0055】
具体的だが非限定的な一態様では、このような試験サンプルは、それが投与される/投与された被験体において、増加した半減期(本明細書において定義される、及び一価のISVと比較して)、例えば少なくとも1日間、好ましくは少なくとも3日間、より好ましくは少なくとも7日間、例えば少なくとも10日間の半減期を有する(及び/又は、前記増加した半減期が与えられた)ISV、ナノボディ、ISV系生物学的製剤又はナノボディ系生物学的製剤が投与された被験体から得られたものでもよい。
【0056】
例えば、限定されないが、このようなISV、ナノボディ、ISV系生物学的製剤又はナノボディ系生物学的製剤は、機能化によって、及び/又は構築物の半減期を増加させる部分若しくは結合単位を構築物に含めることによって、増加した半減期が与えられたものでもよい。このような機能化、部分又は結合単位の例は当業者には明らかであり、例えば、本明細書において記載されるようなものでもよく、例えば、ペグ化、血清アルブミンとの融合、又は血清アルブミンなどの血清タンパク質に結合できるペプチド若しくは結合単位との融合が挙げられ得る。このような血清アルブミン結合ペプチド又は結合ドメインは、(血清アルブミン結合ペプチド又は結合ドメインを有しない同じ構築物と比較して)構築物の半減期を増加させることができる任意の適切な血清アルブミン結合ペプチド又は結合ドメインでもよく、特に、本出願人による国際公開第2008/068280号(及び特に、いずれも本出願人による国際公開第2009/127691号及び未公開米国出願61/301,819号)に記載されている血清アルブミン結合ペプチドでもよいし、血清アルブミン結合ISV(例えば、血清アルブミン結合ナノボディ;例えば、Alb-1又はAlb-1のヒト化型、例えばAlb-8(これらについては、例えば、国際公開第06/122787号を参照のこと))でもよい。
【0057】
従って、具体的だが非限定的な一態様では、このような生体サンプルは、(ヒト)血清アルブミン結合結合ペプチド又は結合ドメインを含むISV、ナノボディ、ISV系生物学的製剤又はナノボディ系生物学的製剤が投与された被験体から得られたものでもよい。
【0058】
既に上述のように、非限定的な一態様では、本発明は一般に、所定のISV又はナノボディ(又は、ISV系薬物又はナノボディ系薬物)が、免疫アッセイにおいて(すなわち、本明細書においてさらに説明されるように、前記ISVを被験体に投与した後に、前記被験体から生体液のサンプルを得て、前記生体液を免疫アッセイに供する)、タンパク質干渉(本明細書においてさらに説明される)を生じさせる(又は、タンパク質干渉を生じさせる高い傾向又は増加した傾向を有する)かを予測するのに使用され得る方法であって、
(i)ヒト被験体から得られた抗体であって、ISV若しくはナノボディのC末端を認識する能力及び/又はISV若しくはナノボディのC末端に結合する能力に基づいて選択、作製及び/又は単離された抗体(「分析抗体」)に、前記ISV又はナノボディ(又は、ISV系薬物又はナノボディ系薬物)を接触させる工程;及び
(ii)前記ISV又はナノボディ(又は、ISV系薬物又はナノボディ系薬物)が、前記免疫アッセイにおいて前記抗体によって結合されるかを決定する工程
を少なくとも含む免疫アッセイを実施することを含む方法に関する。
【0059】
繰り返しになるが、先と同様に、本明細書において述べたように、本明細書において記載されるISVは特にナノボディでもよいし、VHドメインであり又はVHドメインを含む(その他の)ISV(すなわち、ナノボディ以外)でもよく、好ましくはナノボディである。
【0060】
また、ISV(例えば、ISV系薬物)を含む任意のタンパク質又はポリペプチドは、好ましくは、前記(又は少なくとも1個の)このようなISVをそのC末端に有する。先と同様に、前記ISVは特にナノボディでもよいし、VHドメインであり又はVHドメインを含む(その他の)ISV(すなわち、ナノボディ以外)でもよく、好ましくはナノボディである。
【0061】
代替的な実施態様(これも本明細書においてさらに説明される)では、ヒト被験体から得られた上記抗体の代わりに、本明細書において「21-4-3」(又は略して「21-4」。VH及びVLの配列については配列番号35及び36を参照のこと)と称されるモノクローナル抗体が使用され得る。21-4は、実施例7でさらに説明されるように、国際公開第2006/122825号の配列番号98のナノボディ構築物で免疫したマウスから出発してハイブリドーマ技術を使用して作製したものであり、21-4を発現するハイブリドーマ細胞株(「ABH0015」と称される)は、アクセッションナンバーLMBP-9680-CBでBCCM, Ghent, Belgiumに2012年6月4日に寄託した。モノクローナル21-4は、国際公開第2006/122825号の配列番号98のナノボディ構築物のC末端であって、フォン・ヴィレブランド因子(vWF)に対して作られたナノボディ(ヒト化VHH)からなるC末端を認識することが示された。21-4は、本来的には、(血清)サンプル中のタンパク質ナノボディ(特に、国際公開第2006/122825号の配列番号98のナノボディ構築物)を検出するのに使用するための分析試薬として作った;驚くべきことに、21-4は、ISVが非特異的タンパク質干渉を受ける傾向を有するかを予測するのにも使用され得ることが今回見出された(国際公開第2006/122825号の配列番号98のナノボディ構築物に対して、又はその他のナノボディに対して作られたいくつかのその他の同程度の(マウス)モノクローナルよりももっと)。
【0062】
特に、ISV(又は、ISVをそのC末端に含有するタンパク質若しくはポリペプチド、又は本明細書において記載される類似のタンパク質若しくはポリペプチド)への21-4の結合の測定が、実施例9に示されているプロトコールに従って決定すると(タンパク質の分子量についての測定RU値を式[測定RU]/[タンパク質の分子量(MW)]x10に従って調整した後に)500未満のRU値を示す場合、前記ISV又はタンパク質は、タンパク質干渉を受ける傾向を有しない可能性があることが見出された(以下の実施例に示されているデータによって提供される信頼性の範囲内において)。上記式のために、分子量(MW)は、ISV中に存在する全アミノ酸残基の全分子量(MW)の合計として計算され得る。
【0063】
従って、本明細書において記載されるISV、タンパク質又はポリペプチドは、好ましくは、(実施例9に示されているプロトコールに従って決定し、使用したISV又はタンパク質の分子量についての測定RU値を上に示した式に従って調整した後に)21-4による結合について500未満のこのようなRU値を有する。
【0064】
従って、本発明の本態様は一般に、所定のISV又はナノボディ(又は、ISV系薬物又はナノボディ系薬物)が、免疫アッセイにおいて(すなわち、本明細書においてさらに説明されるように、前記ISVを被験体に投与した後に前記被験体から生体液のサンプルを得て、前記生体液を免疫アッセイに供する)、タンパク質干渉(本明細書においてさらに説明される)を生じさせる(又は、タンパク質干渉を生じさせる高い傾向又は増加した傾向を有する)かを予測するのに使用され得る方法であって、
(i)モノクローナル抗体21-4(すなわち、「分析抗体」として使用される)に、前記ISV又はナノボディ(又は、ISV系薬物又はナノボディ系薬物)を接触させる工程;及び
(ii)前記ISV又はナノボディ(又は、ISV系薬物又はナノボディ系薬物)が、前記免疫アッセイにおいてモノクローナル抗体21-4によって結合されるかを決定する工程
を少なくとも含む免疫アッセイを実施することを含む方法に関する。
【0065】
前記方法は、特に、BiaCore又は類似技術を使用して、より具体的には実施例9に示されているプロトコールを使用して実施され得る。本明細書において述べたように、このプロトコールにおけるISV又はISV系薬物の結合が、(タンパク質の分子量についての測定RU値を式[測定RU]/[タンパク質の分子量(MW)]x10に従って調整した後に)500未満のRU値を示す場合、前記ISV又はISV系タンパク質は、ヒトの血中又は血清中に存在する干渉因子によって結合されない可能性があり、及び/又はADAアッセイにおいて非特異的タンパク質干渉を受ける傾向を有しない可能性がある(すなわち、以下の実験部分に示されている信頼度の範囲内において)。
【0066】
繰り返しになるが、先と同様に、本明細書において述べたように、本明細書において記載されるISVは特にナノボディでもよいし、VHドメインであり又はVHドメインを含む(その他の)ISV(すなわち、ナノボディ以外)でもよく、好ましくはナノボディである。
【0067】
また、ISV(例えば、ISV系薬物)を含む任意のタンパク質又はポリペプチドは、好ましくは、前記(又は少なくとも1個の)このようなISVをそのC末端に有する。先と同様に、前記ISVは特にナノボディでもよいし、VHドメインであり又はVHドメインを含む(その他の)ISV(すなわち、ナノボディ以外)でもよく、好ましくはナノボディである。
【0068】
また本明細書において述べたように、21-4を使用する上記方法は、ISV又はISVを含むタンパク質若しくはポリペプチドが、ヒトの血中又は血清中に存在する干渉因子によって結合される(又は、前記干渉因子によって結合される傾向を有する)かを決定するのにも使用され得る。
【0069】
また本明細書において述べたように、21-4を使用する前記方法は、VHドメインをそのC末端に有する任意のタンパク質又はポリペプチド(例えば、抗体フラグメント又はScFv)が、ヒトの血中又は血清中に存在する干渉因子によって結合され(又は、前記干渉因子によって結合される傾向を有し)、及び/又はADAアッセイにおいてタンパク質干渉を受ける傾向を有するかを予測するのにも使用され得ると想定される。
【0070】
21-4に加えて、21-4の重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメイン(それぞれ配列番号35及び36を参照のこと)を含有するか、又は(その他の適切なVH及びVKフレームワークに適切に移植された)21-4のCDR配列のみを含有する抗体又は抗体フラグメント(例えば、適切なFabフラグメント)もまた、本明細書において記載される方法において使用され得ると想定される。
【0071】
本明細書においてさらに説明されるように、本発明は、所定のISV又はナノボディ(又は、ISV系薬物又はナノボディ系薬物)が、ADAアッセイである免疫アッセイにおいてタンパク質干渉(本明細書においてさらに説明される)を生じさせるかを予測するのに特に使用され得る。前記ADAアッセイは、例えば、一般にはISVに対するADAを検出又は測定するためのADAアッセイでもよいし、特に、上記工程(i)及び(ii)において使用されるISVに対するADAを検出又は測定するためのADAアッセイでもよい。
【0072】
特に好ましいが非限定的な一態様では、本発明は、所定のISV又はナノボディ(又は、ISV系薬物又はナノボディ系薬物)が、このようなISVの使用を伴う免疫アッセイ(特に、ADAアッセイ)においてタンパク質干渉(本明細書においてさらに説明される)を生じさせるかを予測するのに使用され得る。先と同様に、前記ADAアッセイは、例えば、一般にはISVに対するADAを検出又は測定するためのADAアッセイでもよいし、特に、上記工程(i)及び(ii)において使用されるISVに対するADAを検出又は測定するためのADAアッセイでもよい。
【0073】
さらにより具体的だが非限定的な態様では、本発明は、所定のISV又はナノボディ(又は、ISV系薬物又はナノボディ系薬物)が、このようなISVの使用を伴う免疫アッセイ(特に、ADAアッセイ)においてタンパク質干渉(本明細書においてさらに説明される)を生じさせるかを予測するのに使用され得る。例えば、このような免疫アッセイは、前記ISVに対するADAが、前記ISVが投与された被験体(本明細書においてさらに説明される)から得られる生体液のサンプル(本明細書において記載される)である試験サンプル中に存在するかを決定又は測定するのに実施されるADAアッセイ(すなわち、ISVを含む)であり得る。例えば、本明細書においてさらに述べるように、前記サンプル(すなわち、「試験サンプル」)は、(全血、血清又は血漿を含む)サンプル、眼液、気管支肺胞洗浄液/BALF、脳脊髄液、又は任意のその他の適切な生体液でもよいし、特に、ADAアッセイなどの免疫アッセイに適切であり、及び/又は前記免疫アッセイにおける使用を目的とする生体サンプルでもよい。
【0074】
本明細書においてさらに説明されるように、すべてのこれらの態様(及び、本明細書において記載される本発明のさらなる態様)では、本発明はまた、このような免疫アッセイ又はADAアッセイにおいてこのようなタンパク質干渉の傾向がないか又は前記傾向がほとんどないISVを選択するのに使用され得;ISVに対するある種の改変が、このような免疫アッセイ又はADAアッセイにおいてこのような干渉を生じさせる傾向を(完全に又は部分的に)減少させるかを試験するのに使用され得るアッセイ又は試験として使用され得;及び/又は、このような免疫アッセイ又はADAアッセイにおいてこのようなタンパク質干渉を生じさせる傾向を減少させるようにISVの改変又は改善をガイドするのに使用され得るアッセイ又は試験として使用され得る。
【0075】
前述のように、本発明の方法の工程(i)は、ヒト被験体から得られた抗体であって、ISV若しくはナノボディのC末端を認識する能力及び/又はISV若しくはナノボディのC末端に結合する能力に基づいて選択/単離された抗体(本明細書においてさらに説明される)に、前記ISV又はナノボディ(又は、ISV系薬物又はナノボディ系薬物)を接触させることを含む。本明細書において記載される方法の前記工程(i)では、「前記ISV又はナノボディ(又は、ISV系薬物又はナノボディ系薬物)」は、免疫アッセイにおいて抗原として(すなわち、検出されるべき物質として)使用される。また、前記工程(i)では、「ヒト被験体から得られた抗体であって、ISV若しくはナノボディのC末端を認識する能力及び/又はISV若しくはナノボディのC末端に結合する能力に基づいて選択/単離された抗体」は、分析試薬として(すなわち、それらが対象とする抗原の存在を検出するのに免疫アッセイにおいて使用されるその他の抗体と同じように)使用される。
【0076】
既に述べたように、本明細書において記載される本発明をより良く理解するためには、工程(i)では、ISVは、通常、「抗原」として(すなわち、検出されるべき化合物として)使用され、「分析抗体」は「分析剤」として(すなわち、所定のISVが結合するか否かをそれぞれ検出し、それによりタンパク質干渉を生じさせる高いリスク又は増加したリスクを有するか否かをそれぞれ検出するための手段として)使用されることに留意するべきである。例えば、工程(i)がELISA形式で実施される場合、「抗体/分析剤」は、通常、担体(すなわち、ELISAプレート)に結合され、ISVは試験されるべきサンプル(中に存在する)である。
【0077】
対照的に、ISVに対するADAを検出又は測定するためのADAアッセイでは、ISVは「分析剤」として(すなわち、ADAが存在するかを検出するのに使用される化合物として)使用され、ADAは「抗原」(すなわち、検出されるべき化合物)であることに留意するべきである。従って、これらのアッセイでは、ISVは、通常/多くの場合、担体(例えば、ELISAプレート)に結合されるのに対して、ADAは(もしある場合は)アッセイに供されるサンプル中に存在する。
【0078】
しかしながら、既に述べたように、一般には、本発明は、「分析抗体」が担体に結合されるアッセイに限定されないことに留意するべきである。例えば、(実施例5に示されているように)本発明のアッセイを実施する代替方法では、分析抗体はブリッジング剤として代わりに使用されるので、(プレート上にコーティングされるISVを介してプレートに間接的には結合されるが)プレートに結合されるというよりもむしろ溶液中に存在する。しかしながら、実施例5に記載されている特定の(ブリッジング)アッセイ(これは競合アッセイである)においても、分析抗体は、分析剤として(すなわち、目的のISVが結合するか否かをそれぞれ決定し、それによりタンパク質干渉を生じさせる高いリスク又は増加したリスクを有するか否かをそれぞれ決定するのに)依然として使用される。本明細書におけるさらなる開示に基づいて、当業者であれば、所定のISVが結合できるか否かをそれぞれ決定し、それによりタンパク質干渉を生じさせる高いリスク又は増加したリスクを有するか否かを決定するために、分析抗体が分析剤として使用され得るその他のアッセイ形式を設計できることも想定される。
【0079】
工程(i)において使用される「分析抗体」はポリクローナル抗体でもよいし、モノクローナル抗体でもよい。
【0080】
分析抗体がポリクローナル抗体である場合、それは、例えば、ヒト被験体の得られた生体サンプル(例えば、血液、血漿、B細胞、又はポリクローナル抗体が適切に単離され得る別の適切な生体サンプル若しくは生体液)から得られた/精製された/単離されたポリクローナル抗体(調製物)でもよい。これは、例えば、少なくとも1個のISV(例えば、工程(i)において使用されるISVだが、これが必要又は必須ではない)が投与されたヒト被験体から得られた適切な生体サンプルでもよいが、ISVが投与されたことがないか又はISVで処置されたことがないヒト被験体に由来する適切な生体サンプルでもよい(好ましい)。より重要なことは、ポリクローナル抗体が、アフィニティー部分としてISVを保持するアフィニティーマトリックス又はアフィニティーカラムを使用する少なくとも1つのアフィニティー工程(及び、それ自体は公知のポリクローナル抗体を得る/精製する/単離するための1つ以上のさらなる工程)を含む方法によって、前記生体サンプルから得られたものであることである。例えば、ポリクローナル抗体は、例えば実施例2に記載されているように、ISVを保持するアフィニティーカラムを使用するアフィニティークロマトグラフィーによって、このような生体サンプルから得られたものでもよい。これは、例えば、抗原としてISVを保持するアフィニティーマトリックスを使用して、生体サンプルから抗体を単離するための免疫アフィニティークロマトグラフィーの周知技術を使用して実施され得る。このような技術は当技術分野において一般に公知であり、その適切な例は、本明細書における開示に基づいて当業者には明らかである。
【0081】
このようなポリクローナル抗体(調製物)は、特に、IgG(又はIgG画分)であり得る。
【0082】
例えば、それは、C末端タグを含有しない(すなわち、そのC末端がアミノ酸配列VTVSS(配列番号33)で終了している)ISV(特に、ナノボディ、例えばVHH、ヒト化及び/若しくは配列最適化VHH又はラクダ化VH、例えばラクダ化ヒトVH)を、アフィニティーマトリックスに結合された抗原として使用して、ヒト被験体から得られた生体液のサンプルに対して実施される(免疫)アフィニティークロマトグラフィーを伴う方法によって得られたポリクローナル抗体であり得る。特に、アフィニティーマトリックスに結合された抗原として使用されるISVは、そのC末端がアミノ酸配列VTVSS(配列番号33)で終了しているヒト化又は配列最適化VHH(あるいは、対応するラクダ化ヒトVH)であり得る。具体的だが非限定的な一態様では、アフィニティーマトリックスに結合された抗原として使用されるISVは、このようなヒト化又は配列最適化の結果として、プロリン(P)残基を14位(対応する「ネイティブな」VHHは、アラニン(A)を14位に含む)に含むヒト化又は配列最適化VHHであり得る(換言すれば、抗原として使用されるISVは、アラニン(A)を14位に本来含むVHHのヒト化型であり、このアラニン残基は、ヒト化又は配列最適化の結果として、プロリン(P)残基で置換されている)。抗原として使用されるISVは、例えば国際公開第08/020079号又は国際公開第09/138519号に一般に記載されているこのようなヒト化又は配列最適化の結果として、1個以上のその他のアミノ酸置換も含み得る。
【0083】
本発明において使用される「分析抗体」を作製/単離するのに抗原として使用され得るISVのいくつかの具体例は、配列番号1及び2に示される。
【0084】
先と同様に、ポリクローナル抗体を得るのに使用される方法は、(免疫)アフィニティー工程に加えて、生体サンプルからポリクローナル抗体を単離/精製するための1つ以上のさらなる工程(アフィニティー工程の前又は後に実施される)も含み得る。先と同様に、それらを実施するためのこのような工程及び技術は、当業者には明らかである。
【0085】
従って、一態様では、本発明は、本明細書において記載される工程(i)及び(ii)を含む本明細書においてさらに説明される方法であって、「分析抗体」(すなわち、ヒト被験体から得られた抗体であって、ISV若しくはナノボディのC末端を認識する能力及び/又はISV若しくはナノボディのC末端に結合する能力に基づいて選択/単離された抗体)が、ISV(好ましくは、ナノボディ)が抗原として使用され、好ましくは、C末端配列としてアミノ酸配列VTVSS(配列番号33)を含むISVが抗原として使用され、より好ましくは、C末端配列としてアミノ酸配列VTVSS(配列番号33)を含むヒト化及び/又は配列最適化ナノボディが抗原として使用され、さらにより好ましくは、C末端配列としてアミノ酸配列VTVSS(配列番号33)を含み、プロリン残基を14位に含むヒト化及び/又は配列最適化ナノボディ、例えば、C末端配列としてアミノ酸配列VTVSS(配列番号33)を含み、前記ヒト化及び/又は配列最適化(例えば、ヒト化及び/又は配列最適化されたVHHの前記位置に本来存在するアラニン残基の置換)の結果としてナノボディに導入されたプロリン残基を14位に含むナノボディが抗原として使用される少なくとも1つのアフィニティー工程(例えば、免疫アフィニティークロマトグラフィーなどのアフィニティークロマトグラフィーの工程)を含む方法を使用して、ヒト被験体から得られた生体サンプル(前記生体サンプルは、サンプルから抗体を作製/単離するための方法において使用するのに適切なサンプルである)から得られたものである方法を含む。
【0086】
上記ISVは、「分析抗体」として本発明において使用するのに適切なモノクローナル抗体を(先と同様に、ヒトから得られた適切な生体サンプルから出発して)単離するための方法においても使用され得る。
【0087】
例えば、このようなモノクローナル抗体は、血液、B細胞、又は抗体を単離するのに適切な別のサンプル若しくは材料から出発して得られるものでもよいし、ISV若しくはナノボディ(のC末端)を認識する能力及び/又はISV若しくはナノボディ(のC末端)に結合する能力に基づいて選択されるものでもよい(先と同様に、スクリーニング及び/又は選択において抗原として使用されるISVは、好ましくは、前段落に記載されているようなものであり、このようなISV/抗原について述べた好ましいものが挙げられる)。このようなスクリーニング及び選択は、任意の適切な方法で、例えば欧州特許出願公開第0488470号、国際公開第92/02551号、欧州特許出願公開第1633787号、国際公開第01/55216号、国際公開第02/26829号、国際公開第04/051268号、国際公開第04/102198号又は国際公開第04/106377号に記載されているB細胞選択技術と本質的に同じか又は適切に類似のB細胞選択及び/又は増幅技術、又は国際公開第06/079372号に記載されているナノクローン技術と(ラクダB細胞よりもむしろヒトB細胞を使用する以外は)類似の技術を使用することによって実施され得る。
【0088】
適切な抗体を発現する1個以上のB細胞が同定/単離されたら、前記抗体は、任意の適切な方法で単離、発現及び/又は産生され得る。例えば、前記B細胞を、(選択されたB細胞から出発してハイブリドーマを作製するためのそれ自体が周知の技術を使用して)所望の抗体(antibody)/抗体(antibodies)を産生するハイブリドーマとして不死化してもよく、次いで前記抗体(antibody)/抗体(antibodies)を、当技術分野において十分に確立されており、種々のハンドブック及びマニュアルに記載されており、さらには前段落で述べた特許公報に記載されており、及び/又は前記特許公報で参照されている適切な技術を再度使用して、前記ハイブリドーマ(の培養上清)から単離し得る。
【0089】
あるいは、前記B細胞を、それ自体が公知のB細胞増幅技術を使用して増幅してもよく、増幅した前記B細胞(の培養上清)から抗体(antibody)/抗体(antibodies)を単離し得る。先と同様に、これは、当技術分野において十分に確立されており、種々のハンドブック及びマニュアルに記載されており、さらには前段落で述べた特許公報に記載されており、及び/又は前記特許公報で参照されている適切な技術を使用して実施し得る。
【0090】
さらに別の代替方法では、目的の抗体(antibody)/抗体(antibodies)をコードするDNAを、前記B細胞又はその他の適切な細胞から、直接的に(例えば、適切な単細胞PCRクローニング技術を使用して)、又は所望のB細胞を適切に増幅した後に(例えば、増幅によって)得てもよい。次いで、前記DNAを適切なホスト細胞又はホスト生物で適切に発現させて、所望の抗体(antibody)/抗体(antibodies)を提供し得る。先と同様に、これは、当技術分野において十分に確立されており、種々のハンドブック及びマニュアルに記載されており、さらには前段落で述べた特許公報に記載されており、及び/又は前記特許公報で参照されている適切な技術を使用して実施し得る。
【0091】
(ヒト被験体から得られた適切なサンプルから出発して)レパートリークローニングをして、抗原として使用されるISV(先と同様に、スクリーニング及び/又は選択において抗原として使用されるISVは、好ましくは、前段落に記載されるようなものであり、このようなISV/抗原について述べた好ましいものが挙げられる)に結合する抗体について、クローニングしたレパートリーをスクリーニングすることを含む方法によって、「分析抗体」として使用するのに適切なモノクローナル抗体を作製することも可能である。レパートリークローニングの方法、及びクローニングしたレパートリーを選択及びスクリーニングのために提示するための種々の技術(例えば、ファージディスプレイ、リボソームディスプレイ及び酵母ディスプレイ)は当業者には明らかであり、例えば、欧州特許出願公開第0589877号、欧州特許出願公開第0774511号、国際公開第90/14430号及び欧州特許出願公開第0368684号、並びにこの主題に関する種々のハンドブックに記載されている。
【0092】
一般に、(ポリクローナル又はモノクローナル)分析抗体を得るための開始点として使用される生体サンプルは、任意の適切なヒト被験体から得られた任意の適切な(すなわち、それぞれポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を得るための出発材料として適切な)サンプルであり得る。具体的だが非限定的な一態様では、このようなサンプルは、例えば、女性、特に経閉後の女性から得られたものでもよい。従って、具体的だが非限定的な一態様では、上記工程(i)及び(ii)において使用される分析抗体は、経閉後の女性から得られた/経閉後の女性に由来する生体サンプルから出発して得られたもの(又は、経閉後の女性から得られた/経閉後の女性に由来する抗体に由来するもの)である。
【0093】
また、(ポリクローナル又はモノクローナル)分析抗体を得るための開始点として使用される生体サンプルは、ISVが(例えば、臨床試験の一環として又は治療上)過去に投与された被験体から得られるものでもよいが、好ましくは、ISVが過去に投与されてない被験体から得られるものである。
【0094】
しかしながら、本発明は、使用される分析抗体(antibody)/抗体(antibodies)の起源に特に限定されないことに留意するべきであり、いくつかの場合では、本明細書において記載される技術を使用して、市販のヒト血液又は血漿(さらには、その他の哺乳類種又は霊長類種、例えばヒヒ又はカニクイザルに由来する血液、血漿又はB細胞)などのその他の起源に由来するその他の適切な分析抗体を得る(作製、単離)ことが可能であると証明されている。
【0095】
上述のように、工程(i)及び(ii)において使用される(ポリクローナル又はモノクローナル)分析抗体は、ISV若しくはナノボディのC末端を認識できるか、又はISV若しくはナノボディのC末端に結合でき、最も好ましくは、ISV又はナノボディのC末端に結合するこの能力に基づいて選択及び/又は単離されるようなものであるべきである。
【0096】
図2から分かるように、ISVがVH若しくはVHHドメインに基づき又は由来する場合、ISVのC末端はアミノ酸配列VTVSS(配列番号33)を含む。それに応じて分析抗体は、アミノ酸配列VTVSS(配列番号33)をそのC末端に有するあらゆるISVを認識できるはずである。図2からさらに分かるように、配列VTVSS(配列番号33)(のアミノ酸残基の少なくともいくつか)は、その他の残基の中でも特に14位のアミノ酸残基(及び、アミノ酸配列の14位のアミノ酸残基の隣の/近くの、例えば11位、13位及び15位のアミノ酸残基)も含み、83位のアミノ酸残基(及び、アミノ酸配列の83位のアミノ酸残基の隣の/近くの、例えば82位、82a位、82b位及び84位のアミノ酸残基)及び/又は108位のアミノ酸残基(及び、アミノ酸配列の108位のアミノ酸残基の隣の/近くの、例えば107位のアミノ酸残基。109位はC末端VTVSS(配列番号33)配列の最初のVであり、例えば、110位もタンパク質干渉に影響を与え得ることが示された)も含み得るISV上の推定エピトープの一部である。これは、本明細書ではまとめて「C末端領域」とも称され、このC末端領域は、C末端配列VTVSS(配列番号33)及び14位のアミノ酸残基を少なくとも含み、83位及び108位のアミノ酸残基、並びに場合により13位、15位、82b位、83位、84位及び107位のアミノ酸残基も含み得ると理解される。
【0097】
既に述べたように、先と同様にあらゆる仮説又は説明に限定されないが、完全型4本鎖モノクローナル抗体又は完全型重鎖単独抗体(例えば、ラクダに存在するもの)では、VH又はVHHドメインのC末端は、抗体の残りの部分-すなわち、それぞれ通常のモノクローナルのCH1領域又はラクダ重鎖抗体のヒンジ領域-に連結しているので、このような完全型抗体ではこのようなタンパク質干渉から保護され、及び/又は(通常の4本鎖抗体の)VH/VL相互作用によって守られる可能性があり、従って、この「C末端領域」は、通常、溶媒に曝露されず、及び/又はこのようなISVが投与されるヒトの血中、血漿中又は体内に存在するタンパク質のための相互作用部位としてアクセス可能ではない。しかしながら、ISV若しくはナノボディそれ自体が使用される場合(すなわち、抗体の任意の他の一部と連結されない場合)、又はISV若しくはナノボディをそのC末端に保有するISV系薬物若しくはナノボディ系薬物が使用される場合、このC末端エピトープは、その他のタンパク質との(非特異的)相互作用に利用可能であり、先と同様にあらゆる仮説又は説明に限定されないが、C末端領域は今度は、試験されるべき「試験サンプル」中に既に存在する1個以上のタンパク質(例えば、1個以上のIgG)との(非特異的)タンパク質相互作用を受けるのにアクセス可能であり得、これが、免疫アッセイ(特に、ADAアッセイ)においてタンパク質干渉及び/又は非特異的シグナルを引き起こし得ると想定される。
【0098】
前述のように、本明細書において記載される方法は、このようなタンパク質相互作用を予測し、減少させ、又は回避するのに使用され得る。そして、このようなタンパク質干渉を生じさせる傾向が(部分的に又は好ましくは本質的には完全に)抑えられたISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物を提供するように、ISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物に対する改変に導くためのツールとしても使用され得る。
【0099】
前段落から明らかであるように、先と同様にあらゆる仮説又は説明に限定されないが、「C末端領域」に対する(ある種の)改変は、ISVがこのような非特異的タンパク質相互作用を受ける傾向を変化させる(好ましくは、減少させる)ことが特に予想され(そして本発明の教示の一部であり)、これは実験的に観察されることでもある(例えば、以下の実施例1C及び実施例3に示されている実験結果を参照のこと)。
【0100】
これに基づいて、先と同様にあらゆる仮説又は説明に限定されないが、本発明はまた、この目的のためにISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物のC末端領域内に導入され得るある種の改変(この(潜在的)有効性は、本明細書において記載される方法を使用して試験され得る)を教示する。また、本明細書における教示に基づいて、当業者であれば、この目的のために導入され得るC末端領域に対するその他の改変(候補)(この(潜在的)有効性は、先と同様に、本明細書において記載される方法を使用して試験され得る)を選択、設計又は提案できると想定される。
【0101】
本発明において使用される分析抗体に戻るが、これは、好ましくは、ISVのC末端領域(上に定義される)、限定されないが特にナノボディのC末端領域を認識する(ポリクローナル又はモノクローナル)抗体である。
【0102】
例えば、具体的だが非限定的な一態様では、「分析抗体」は、配列のC末端がVTVSS(配列番号33)で終了しているISV又はナノボディのC末端領域を認識する(及び/又は、前記C末端領域に結合、特に特異的に結合できる)が、C末端VTVSS(配列番号33)に連結された1個以上のさらなるアミノ酸残基(例えば、1個~5個のアミノ酸残基、あるいは小ペプチド配列、又はさらに別のポリペプチド若しくはタンパク質)がある場合には、ISV又はナノボディ(これらは異なるISVでもよいが、好ましくは同じISVである)のC末端領域を認識しない(及び/又は、前記C末端領域に特異的に結合できない)ポリクローナル又はモノクローナルであり得る。
【0103】
より具体的だが依然として非限定的な別の態様では、「分析抗体」は、配列のC末端がVTVSS(配列番号33)で終了しており、14位が14位に本来存在しないアミノ酸であり、及び/又は(例えば、ヒト化、ラクダ化及び/又は配列最適化の結果として)14位に本来存在するアミノ酸と比較して改変されたISV又はナノボディのC末端領域を認識する(及び/又は、前記C末端領域に結合、特に特異的に結合できる)が、C末端VTVSS(配列番号33)に連結された1個以上のさらなるアミノ酸残基(例えば、1個~5個のアミノ酸残基、あるいは小ペプチド配列、又はさらに別のポリペプチド若しくはタンパク質)があり;及び/又は、14位が14位に本来存在するアミノ酸(例えば、アラニン、又はISVがプロリンを14位に本来含有する場合にはプロリン)であるISV又はナノボディ(これらは異なるISVでもよいが、好ましくは同じISVである)のC末端領域を認識しない(及び/又は、前記C末端領域に特異的に結合できない)ポリクローナル又はモノクローナルであり得る。
【0104】
例えば、「分析抗体」はまた、配列のC末端がVTVSS(配列番号33)で終了しており、14位がプロリンである(特に、例えばヒト化、ラクダ化及び/又は配列最適化の結果として、14位がプロリンに改変された場合)ISV又はナノボディのC末端領域を認識する(及び/又は、前記C末端領域に結合、特に特異的に結合できる)が、C末端VTVSS(配列番号33)に連結された1個以上のさらなるアミノ酸残基(例えば、1個~5個のアミノ酸残基、あるいは小ペプチド配列、又はさらに別のポリペプチド若しくはタンパク質)があり;及び/又は、14位がアラニンであるISV又はナノボディ(これらは異なるISVでもよいが、好ましくは同じISVである)のC末端領域を認識しないポリクローナル又はモノクローナルであり得る。
【0105】
「分析抗体」はまた、配列のC末端がVTVSS(配列番号33)で終了しており、14位がプロリンである(特に、プロリン残基が前記ISVの前記位置に本来存在する場合)ISV又はナノボディのC末端領域を認識する(及び/又は、前記C末端領域に結合、特に特異的に結合できる)が、C末端VTVSS(配列番号33)に連結された1個以上のさらなるアミノ酸残基(例えば、1個~5個のアミノ酸残基、あるいは小ペプチド配列、又はさらに別のポリペプチド若しくはタンパク質)があり、14位が依然として(本来存在するか又は未改変の)プロリンであるISV又はナノボディ(これらは異なるISVでもよいが、好ましくは同じISVである)のC末端領域を認識しないポリクローナル又はモノクローナルであり得る。
【0106】
「分析抗体」はまた、例えば、本明細書において「Nb3.4」と称されるISVの配列(配列番号5)(のC末端領域)を認識するが、本明細書において「Nb3.1」と称されるISVの配列(配列番号3)(のC末端領域)を認識せず、及び/又は(好ましくは)本明細書において「Nb3.2」と称されるISVの配列(配列番号4)を認識しないポリクローナル又はモノクローナルであり得る。
【0107】
上記目的のために、「分析抗体」がISV又はナノボディを認識する(又は認識しない)か(及び/又は、ISV又はナノボディに(特異的に)結合できるか否か)は、任意の適切な結合アッセイ(例えば、Biacore)を使用して決定され得るが、実施例3に記載されているBIACOREアッセイ、又は実施例5に記載されているADAブリッジング/競合アッセイなどのADAアッセイを使用して決定してもよい(図1A図1C、特に図1Bも参照のこと)。
【0108】
このようなアッセイを実施するための適切な形式/技術は、本明細書における開示に基づいて当業者には明らかであり、例えば(限定されないが)、以下のものが挙げられる:
- 分析抗体をプレートに直接的又は間接的にコーティングし、結合したISVをモノクローナル又はポリクローナル抗ISV抗体で検出するELISAなどの比色アッセイ。このセットアップに有用なその他の代替技術としては、限定されないが、電気化学発光(MSDプラットフォーム)、蛍光発光(DELFIA、GYROS)、及び結合したISVの二次検出に依存するその他の方法が挙げられる。
- 表面プラズモン共鳴(例えば、BIACORE)、又は分析抗体を直接的又は間接的に固定化し、続いて注入/投与したISVの結合をモニタリングするその他のリアルタイムバイオセンサー法(すなわち、SPRを使用するもの以外)。これらの方法は、結合したISVをさらに検出することを必要としない。この種のアッセイを実施するための代表的な方法は、実施例3に記載されている。
- 生体液を含有するADAの代わりに分析抗体を使用して、ブリッジングアッセイ(ADAアッセイ)においてISVの競合行動を分析する。ブリッジングアッセイについては、ELISA、MSDプラットフォームなどの様々な技術を使用できる。この種のものを実施するための代表的な方法は図1A図1Cに概略的に示され、この種のアッセイの一具体例は実施例5にも記載されている。
- 分析抗体をクロマトグラフマトリックス上に固定化し、溶液からISVを特異的に捕捉/単離する任意のクロマトグラフ法。
【0109】
本明細書又は実施例の1つに記載されている方法の1つ(又は、前記方法と本質的に同等の方法)を使用して適切な分析抗体が得られたら、前記分析抗体は、上記工程(i)及び(ii)を実施することによって、所定のISV又はナノボディ(又は、ISV系薬物又はナノボディ系薬物)がタンパク質干渉(本明細書において定義される)を生じさせる(又は、タンパク質干渉を生じさせる高い傾向又は増加した傾向を有する)かを決定するのに使用され得る。本明細書において既に記載したように、これは、一般に、分析抗体に前記ISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物を接触させること、並びに前記ISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物が前記分析抗体によって認識される(及び/又は、前記分析抗体によって結合、特に特異的に結合される)か(特に、前記ISV若しくはナノボディのC末端領域、又は前記ISV系薬物若しくはナノボディ系薬物のC末端を形成するISV若しくはナノボディのC末端領域が、前記分析抗体によって認識されるか)を決定することを含む。
【0110】
これは、一般に、抗原(この場合は、ISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物)に抗体が結合するか否かを決定するための任意の適切な技術を使用して実施され得る。そして、適切な(免疫)アッセイ技術は当業者には明らかである。いくつかの非限定的な例は、適切なELISA技術(例えば、サンドイッチELISAを含む)である;この場合、使用されるELISA形式(当業者には明らかである)に応じて、分析抗体又はISVをプレート上にコーティングしてもよいし、分析抗体又はISVを検出可能にラベルしてもよい。その他の技術は、例えば、BIAcore機器の使用を含み得る(この場合は先と同様に、分析抗体又はISVをチップ上にコーティングしてもよい。例えば、実施例3を参照のこと)。別の代替方法は、ISVが、分析抗体によって結合されることが公知の別のISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物と競合する(又は逆もまた同様である)能力を試験する競合ブリッジングアッセイ(例えば、実施例5に例示される)であり得る。所定のISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物が分析抗体によって(特異的に)結合又は認識されるかを決定するためのこれらの及びその他の適切な技術は、本明細書における開示に基づいて当業者には明らかである。
【0111】
本明細書における開示に基づいて、本発明(特に、本発明において使用される分析抗体)は、所定のISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物が、ADAアッセイ(特に、ISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物に対するADAの存在を決定するためのADAアッセイ)などの免疫アッセイに供されるべき被験体から得られた生体サンプル(すなわち、「試験サンプル」)中に存在し得る1個以上のタンパク質又はその他の成分との(非特異的)タンパク質相互作用を受けることができる相互作用部位(例えば、C末端領域に若しくはC末端領域内に存在し、及び/又はC末端領域がその一部を形成する相互作用部位)を含有するか否かを決定するのに使用され得ることも明らかである。従って、ISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物が本発明において使用される分析抗体によって認識される場合、前記ISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物はこのような(アクセス可能な又は曝露された)相互作用部位を含有し、それにより、試験サンプルを試験するためのこのような免疫アッセイ又はADAアッセイにおいて使用される場合に、このようなタンパク質干渉(本明細書において定義される)を生じさせる傾向を有する可能性が非常に高い。当業者には明らかであるように、これは、好ましくは、可能であれば別のISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物を選択/使用することによって、又はこのようなタンパク質干渉の傾向が実質的に低減され、若しくは本質的に除去されるように、ISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系を改変することによって回避されるべきことである(先と同様に、これは、本明細書において開示される方法及び分析抗体を使用して試験され得る)。
【0112】
また、本明細書における開示に基づいて当業者には明らかであるように、このような改変は、例えば、試験サンプル中に存在し得る1個以上のタンパク質又はその他の成分との(非特異的)タンパク質相互作用を受ける能力が抑制されるか又は除かれるように、ISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物上の相互作用部位に対する1個以上の改変(例えば、アミノ酸の挿入、付加、欠失又は置換)を作ることを含み得る。先と同様に、これは、1個以上の改変を導入し、次いで、本明細書において開示される方法及び分析抗体を再度使用してこの能力が抑制されたか否かを試験することによって、わずかな試行錯誤で実施され得る。例えば、1個以上のこのような改変を導入し、次いで、改変されたISVが分析抗体に結合する能力を元の/未改変のISVの能力と比較してもよい。あるいは、競合ブリッジング形式(例えば、実施例5に例示される)を使用して、又はBIAcore(例えば、実施例3を参照のこと)を使用して、分析抗体への結合について、改変されたISVが元のISVと(依然として)競合する能力を決定してもよい。
【0113】
先と同様に、本発明はあらゆる仮説又は説明に限定されないが、以下の実施例に示されている実験的な証拠に基づいて、本発明者らは、この相互作用部位がC末端領域(本明細書において定義される)に/C末端領域の近くに位置する可能性があること、又は前記相互作用部位がC末端領域の一部を形成すること(又は、C末端領域がこの相互作用部位の一部を形成すること)を見出した。これは、例えば、ISVがこのようなタンパク質干渉を生じさせる傾向を有し、アミノ酸残基としてVTVSS(配列番号33)をそのC末端に有する場合、限られた数のアミノ酸残基(例えば、1個~10個、例えば1個~5個、例えば1個、2個、3個、4個又は5個)、あるいはタグ又は別のペプチド、タンパク質若しくはその他の部分をこのC末端に付加することにより、通常、前記傾向が実質的に低減され、又は本質的に除去されるという観察に少なくとも部分的には基づいている。いくつかの場合では、1個、2個又は3個のアミノ酸残基(これは、国際公開第09/138519号の64頁の表A-2に列挙されているアミノ酸などの天然に存在するアミノ酸、例えば限定されないが、アラニン、グリシン、バリン、ロイシン又はイソロイシンからそれぞれ独立して選択され得る任意の適切なアミノ酸又はアミノ酸の組み合わせであり得る)をC末端VTVSS(配列番号33)にさらに付加することにより、前記傾向がすぐに実質的に低減され、又は本質的に除去され得ることが見出された。これは、VHHがアラニン残基(前述のように、これはC末端領域の一部を形成する;図2を参照のこと)を14位に本来含有するいくつかの場合では、天然に存在するVHHは、このようなタンパク質干渉を生じさせる傾向を有しない(又は前記傾向が低い)ことが多いのに対して、(例えば、ヒト化又は配列最適化の目的のために)14位の前記アラニンがプロリン残基で置換された対応するVHHは、その結果として、(すなわち、アラニンを14位に有するVHHと比較して)このようなタンパク質干渉を生じさせる増加した傾向を有し得るという観察にも部分的には基づいている。
【0114】
一態様では、本発明は、VHH、ナノボディ(本明細書において定義され、特にヒト化VHH又はラクダ化VH、例えばラクダ化ヒトVH)又は別のISV(又は、VHH、ナノボディ又はその他のISVをそのC末端に有するISV系薬物又はナノボディ系薬物)であって、以下のいずれの場合でも好ましくは、改変されていない以外は同じVHH、ナノボディ又はISVと比較して、(i)タンパク質干渉(本明細書において定義される)を生じさせる実質的に減少した傾向(例えば、少なくとも統計的に関連性のある減少した傾向)を有するように;及び/又は(ii)本明細書において記載される本発明の方法(例えば、実施例3又は実施例5に記載されている特定のアッセイ)において、本明細書において記載される分析抗体(例えば、実施例2に記載されており、実施例3及び実施例5で使用されているポリクローナル抗体)によって結合される能力が実質的に低下するように、(例えば、1個以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を導入することによって)改変された、特に(例えば、C末端領域内に1個以上のアミノ酸を置換又は付加することによって)C末端領域が改変されたVHH、ナノボディ又は別のISVに関する。
【0115】
従って、一態様では、本発明は、VHH若しくはVHドメインであり(すなわち、VHドメインであり又はVHドメインに由来するISV)、及び/又はVHH若しくはVHドメイン(のアミノ酸配列)に基づき若しくは由来するVHH、ナノボディ(本明細書において定義され、特にヒト化VHH又はラクダ化VH、例えばラクダ化ヒトVH)又は別のISV(又は、VHH、ナノボディ又はその他のISVをそのC末端に有するISV系薬物又はナノボディ系薬物)であって、アミノ酸配列VTVSS(X)(配列番号34)(式中、nは、1~10、好ましくは1~5、例えば1、2、3、4又は5(好ましくは1又は2、例えば1)であり、各Xは、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)又はイソロイシン(I)からなる群より独立して選択される(好ましくは天然に存在する)アミノ酸残基である;しかしながら、以下に示されているデータから分かるように、その他の(好ましくは天然に存在する)アミノ酸残基、又は上記好ましいアミノ酸残基とその他のアミノ酸残基(例えば、セリン、プロリン、トレオニン及び/又はリシン)との組み合わせも使用され得る)をそのC末端に含むVHH、ナノボディ又は別のISVに関する。好ましくは、アミノ酸配列VTVSS(X)(配列番号34)をそのC末端に有する前記VHH、ナノボディ又はISVは、以下のいずれの場合でも好ましくは、アミノ酸配列VTVSS(配列番号33)をそのC末端に有する以外は同じVHH、ナノボディ又はISVと比較して、(i)タンパク質干渉(本明細書において定義される)を生じさせる実質的に減少した傾向(例えば、少なくとも統計的に有意な減少傾向)を有し;及び/又は(ii)本明細書において記載される本発明の方法(例えば、実施例3又は実施例5に記載されている特定のアッセイ)において、本明細書において記載される分析抗体(例えば、実施例2に記載されているポリクローナル抗体)によって結合される能力が実質的に低下しているようなものである。例えば、実施例3に示されているアッセイ及びデータを参照のこと。
【0116】
上記VHH、ナノボディ又は(その他の)ISVは、好ましくは、(実施例9に示されているプロトコールに従って決定し、分子(molecu)についての測定RU値を調整した後に)21-4による結合について500未満のRU値を有するようなものである。本明細書における説明又は特許請求の範囲においてC末端配列VTVSS(X)(上記態様(a)~(p)のいずれかを含む)について言及するときは常に、本発明の具体的な一態様によれば、アミノ酸Xはいずれもシステイン残基ではないことにも留意するべきである。
【0117】
例えば、いくつかの好ましい態様では、ISV又はISVを含有する構築物のC末端(このC末端が、VHに由来するISV、VHH又はナノボディである場合)は、以下のものであり得る:
(a)VTVSS(X)(式中、n=1及びX=Ala);
(b)VTVSS(X)(式中、n=2及び各X=Ala);
(c)VTVSS(X)(式中、n=3及び各X=Ala);
(d)VTVSS(X)(式中、n=2及び少なくとも1個のX=Ala(残りのアミノ酸残基Xは天然に存在する任意のアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくはVal、Leu及び/又はIleから独立して選択される));
(e)VTVSS(X)(式中、n=3及び少なくとも1個のX=Ala(残りのアミノ酸残基Xは天然に存在する任意のアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくはVal、Leu及び/又はIleから独立して選択される));
(f)VTVSS(X)(式中、n=3及び少なくとも2個のX=Ala(残りのアミノ酸残基Xは天然に存在する任意のアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくはVal、Leu及び/又はIleから独立して選択される));
(g)VTVSS(X)(式中、n=1及びX=Gly);
(h)VTVSS(X)(式中、n=2及び各X=Gly);
(i)VTVSS(X)(式中、n=3及び各X=Gly);
(j)VTVSS(X)(式中、n=2及び少なくとも1個のX=Gly(残りのアミノ酸残基Xは天然に存在する任意のアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくはVal、Leu及び/又はIleから独立して選択される));
(k)VTVSS(X)(式中、n=3及び少なくとも1個のX=Gly(残りのアミノ酸残基Xは天然に存在する任意のアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくはVal、Leu及び/又はIleから独立して選択される));
(l)VTVSS(X)(式中、n=3及び少なくとも2個のX=Gly(残りのアミノ酸残基Xは天然に存在する任意のアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくはVal、Leu及び/又はIleから独立して選択される));
(m)VTVSS(X)(式中、n=2及び各X=Ala又はGly);
(n)VTVSS(X)(式中、n=3及び各X=Ala又はGly);
(o)VTVSS(X)(式中、n=3及び少なくとも1個のX=Ala又はGly(残りのアミノ酸残基Xは天然に存在する任意のアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくはVal、Leu及び/又はIleから独立して選択される));又は
(p)VTVSS(X)(式中、n=3及び少なくとも2個のX=Ala又はGly(残りのアミノ酸残基Xは天然に存在する任意のアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくはVal、Leu及び/又はIleから独立して選択される);
態様(a)、(b)、(c)、(g)、(h)、(i)、(m)及び(n)が特に好ましく、n=1又は2の態様が好ましく、n=1の態様が特に好ましい。
【0118】
本明細書における説明又は特許請求の範囲においてC末端配列VTVSS(X)(上記態様(a)~(p)のいずれかを含む)について言及するときは常に、本発明の具体的な一態様によれば、アミノ酸Xはいずれもシステイン残基ではないことにも留意するべきである。
【0119】
従って、好ましい一態様では、本発明は、免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)であって、ナノボディであるか、又はVH配列を含み若しくはVH配列に由来する(その他の)ISVであり(ナノボディが好ましい)、配列VTVSS(X)(式中、n=1及びX=Ala)のC末端を有する免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)(又はこのようなISV(好ましくはこのようなナノボディ)をそのC末端に含有するタンパク質又はポリペプチド)に関する。
【0120】
別の好ましい態様では、本発明は、免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)であって、ナノボディであるか、又はVH配列を含み若しくはVH配列に由来する(その他の)ISVであり(ナノボディが好ましい)、配列VTVSS(X)(式中、n=2及び各X=Ala)のC末端を有する免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)(又はこのようなISV(好ましくはこのようなナノボディ)をそのC末端に含有するタンパク質又はポリペプチド)に関する。
【0121】
別の好ましい態様では、本発明は、免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)であって、ナノボディであるか、又はVH配列を含み若しくはVH配列に由来する(その他の)ISVであり(ナノボディが好ましい)、配列VTVSS(X)(式中、n=2及び少なくとも1個のX=Ala(残りのアミノ酸残基Xは天然に存在する任意のアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくはVal、Leu及び/又はIleから独立して選択される))のC末端を有する免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)(又はこのようなISV(好ましくはこのようなナノボディ)をそのC末端に含有するタンパク質又はポリペプチド)に関する。
【0122】
別の好ましい態様では、本発明は、免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)であって、ナノボディであるか、又はVH配列を含み若しくはVH配列に由来する(その他の)ISVであり(ナノボディが好ましい)、配列VTVSS(X)(式中、n=3及び少なくとも1個のX=Ala(残りのアミノ酸残基Xは天然に存在する任意のアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくはVal、Leu及び/又はIleから独立して選択される))のC末端を有する免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)(又はこのようなISV(好ましくはこのようなナノボディ)をそのC末端に含有するタンパク質又はポリペプチド)に関する。
【0123】
別の好ましい態様では、本発明は、免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)であって、ナノボディであるか、又はVH配列を含み若しくはVH配列に由来する(その他の)ISVであり(ナノボディが好ましい)、配列VTVSS(X)(式中、n=3及び少なくとも2個のX=Ala(残りのアミノ酸残基Xは天然に存在する任意のアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくはVal、Leu及び/又はIleから独立して選択される))のC末端を有する免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)(又はこのようなISV(好ましくはこのようなナノボディ)をそのC末端に含有するタンパク質又はポリペプチド)に関する。
【0124】
別の好ましい態様では、本発明は、免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)であって、ナノボディであるか、又はVH配列を含み若しくはVH配列に由来する(その他の)ISVであり(ナノボディが好ましい)、配列VTVSS(X)(式中、n=3及び各X=Ala)のC末端を有する免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)(又はこのようなISV(好ましくはこのようなナノボディ)をそのC末端に含有するタンパク質又はポリペプチド)に関する。
【0125】
別の好ましい態様では、本発明は、免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)であって、ナノボディであるか、又はVH配列を含み若しくはVH配列に由来する(その他の)ISVであり(ナノボディが好ましい)、配列VTVSS(X)(式中、n=1及びX=Gly)のC末端を有する免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)(又はこのようなISV(好ましくはこのようなナノボディ)をそのC末端に含有するタンパク質又はポリペプチド)に関する。
【0126】
別の好ましい態様では、本発明は、免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)であって、ナノボディであるか、又はVH配列を含み若しくはVH配列に由来する(その他の)ISVであり(ナノボディが好ましい)、配列VTVSS(X)(式中、n=2及び各X=Gly)のC末端を有する免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)(又はこのようなISV(好ましくはこのようなナノボディ)をそのC末端に含有するタンパク質又はポリペプチド)に関する。
【0127】
別の好ましい態様では、本発明は、免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)であって、ナノボディであるか、又はVH配列を含み若しくはVH配列に由来する(その他の)ISVであり(ナノボディが好ましい)、配列VTVSS(X)(式中、n=3及び各X=Gly)のC末端を有する免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)(又はこのようなISV(好ましくはこのようなナノボディ)をそのC末端に含有するタンパク質又はポリペプチド)に関する。
【0128】
別の好ましい態様では、本発明は、免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)であって、ナノボディであるか、又はVH配列を含み若しくはVH配列に由来する(その他の)ISVであり(ナノボディが好ましい)、配列VTVSS(X)(式中、n=2及び少なくとも1個のX=Gly(残りのアミノ酸残基Xは天然に存在する任意のアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくはVal、Leu及び/又はIleから独立して選択される))のC末端を有する免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)(又はこのようなISV(好ましくはこのようなナノボディ)をそのC末端に含有するタンパク質又はポリペプチド)に関する。
【0129】
別の好ましい態様では、本発明は、免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)であって、ナノボディであるか、又はVH配列を含み若しくはVH配列に由来する(その他の)ISVであり(ナノボディが好ましい)、配列VTVSS(X)(式中、n=3及び少なくとも1個のX=Gly(残りのアミノ酸残基Xは天然に存在する任意のアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくはVal、Leu及び/又はIleから独立して選択される))のC末端を有する免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)(又はこのようなISV(好ましくはこのようなナノボディ)をそのC末端に含有するタンパク質又はポリペプチド)に関する。
【0130】
別の好ましい態様では、本発明は、免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)であって、ナノボディであるか、又はVH配列を含み若しくはVH配列に由来する(その他の)ISVであり(ナノボディが好ましい)、配列VTVSS(X)(式中、n=3及び少なくとも2個のX=Gly(残りのアミノ酸残基Xは天然に存在する任意のアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくはVal、Leu及び/又はIleから独立して選択される))のC末端を有する免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)(又はこのようなISV(好ましくはこのようなナノボディ)をそのC末端に含有するタンパク質又はポリペプチド)に関する。
【0131】
別の好ましい態様では、本発明は、免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)であって、ナノボディであるか、又はVH配列を含み若しくはVH配列に由来する(その他の)ISVであり(ナノボディが好ましい)、配列VTVSS(X)(式中、n=2及び各X=Ala又はGly)のC末端を有する免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)(又はこのようなISV(好ましくはこのようなナノボディ)をそのC末端に含有するタンパク質又はポリペプチド)に関する。
【0132】
別の好ましい態様では、本発明は、免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)であって、ナノボディであるか、又はVH配列を含み若しくはVH配列に由来する(その他の)ISVであり(ナノボディが好ましい)、配列VTVSS(X)(式中、n=3及び各X=Ala又はGly)のC末端を有する免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)(又はこのようなISV(好ましくはこのようなナノボディ)をそのC末端に含有するタンパク質又はポリペプチド)に関する。
【0133】
別の好ましい態様では、本発明は、免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)であって、ナノボディであるか、又はVH配列を含み若しくはVH配列に由来する(その他の)ISVであり(ナノボディが好ましい)、配列VTVSS(X)(式中、n=3及び少なくとも1個のX=Ala又はGly(残りのアミノ酸残基Xは天然に存在する任意のアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくはVal、Leu及び/又はIleから独立して選択される))のC末端を有する免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)(又はこのようなISV(好ましくはこのようなナノボディ)をそのC末端に含有するタンパク質又はポリペプチド)に関する。又は
【0134】
別の好ましい態様では、本発明は、免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)であって、ナノボディであるか、又はVH配列を含み若しくはVH配列に由来する(その他の)ISVであり(ナノボディが好ましい)、配列VTVSS(X)(式中、n=3及び少なくとも2個のX=Ala又はGly(残りのアミノ酸残基Xは天然に存在する任意のアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくはVal、Leu及び/又はIleから独立して選択される))のC末端を有する免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)(又はこのようなISV(好ましくはこのようなナノボディ)をそのC末端に含有するタンパク質又はポリペプチド)に関する。
【0135】
別の好ましい態様では、本発明は、免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)であって、ナノボディであるか、又はVH配列を含み若しくはVH配列に由来する(その他の)ISVであり(ナノボディが好ましい)、配列VTVSS(X)(式中、n=1、2又は3、各X=Ala又はGly)のC末端を有する免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)に関する。
【0136】
別の好ましい態様では、本発明は、免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)であって、ナノボディであるか、又はVH配列を含み若しくはVH配列に由来する(その他の)ISVであり(ナノボディが好ましい)、配列VTVSS(X)(式中:
- n=1、2又は3、各X=Ala又はGly;又は
- n=2又は3、1個以外のすべてのX=Ala又はGly(残りのアミノ酸残基Xは天然に存在する任意のアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくはVal、Leu及び/又はIleから独立して選択される))のC末端を有する免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)
又はこのようなISV(好ましくはこのようなナノボディ)をそのC末端に含有するタンパク質若しくはポリペプチドに関する。
【0137】
別の好ましい態様では、本発明は、免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)であって、ナノボディであるか、又はVH配列を含み若しくはVH配列に由来する(その他の)ISVであり(ナノボディが好ましい)、配列VTVSS(X)(式中:
- n=1、2又は3、各X=Ala又はGly;又は
- n=2又は3、少なくとも1個のX=Ala又はGly(残りのアミノ酸残基Xは天然に存在する任意のアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくはVal、Leu及び/又はIleから独立して選択される);
- n=2又は3、1個以外のすべてのX=Ala又はGly(残りのアミノ酸残基Xは天然に存在する任意のアミノ酸から独立して選択されるが、好ましくはVal、Leu及び/又はIleから独立して選択される))のC末端を有する免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)
又はこのようなISV(好ましくはこのようなナノボディ)をそのC末端に含有するタンパク質若しくはポリペプチドに関する。
【0138】
上記態様では、前記「VH配列を含み又はVH配列に由来する(その他の)ISV」は、VH配列を含み又はVH配列に由来し、ナノボディではない(すなわち、VHH、ヒト化VHH又はラクダ化VHではない)ISVを意味する。例えば、このような(その他の)ISVは、例えば、VHに基づく(単一)ドメイン抗体、VHに基づくdAb(商標)又はVHに基づくマイクロボディであり得る(国際公開第00/29004号を参照のこと)。
【0139】
先と同様に、本明細書において言及されるISVのうちの1個がC末端配列VTVSS(X)(限定されないが、先の態様において言及されるISVを含む)を有するときは常に、本発明の具体的な一態様によれば、配列VTVSS(X)のアミノ酸Xはいずれもシステイン残基ではないことに留意するべきである。
【0140】
本明細書においてさらに説明されるように、このようなタンパク質又はポリペプチドは、例えば、場合により1個以上の適切なリンカーを介して連結された2個以上のISV(例えば、2個以上のナノボディ)を含有する構築物であり得る。従って、例えば、このような構築物は二価、三価、四価又は五価の構築物(例えば、二価、三価、四価又は五価のナノボディ構築物)でもよいし、例えば、二重特異性、三重特異性又は二パラトープ性の構築物(例えば、半減期の延長のために血清アルブミン(好ましい)又は別の血清タンパク質にも結合できる一重特異性、二重特異性又は二パラトープ性の構築物を含む)である二価、三価、四価又は五価の構築物(例えば、二価、三価、四価又は五価のナノボディ構築物)でもよい。
【0141】
先と同様に、上記各態様のナノボディ、ISV及びタンパク質/ポリペプチドは、好ましくは、(実施例9に示されているプロトコールに従って決定し、使用したISV又はタンパク質の分子量についての測定RU値を上に示した式に従って調整した後に)21-4による結合について500未満のRU値を有するようなものである。
【0142】
本明細書において述べたように、本発明はまた、VHドメインをそのC末端に有するその他のタンパク質又はポリペプチド(特に、Fabフラグメントなどの抗体フラグメント、又は抗体フラグメントに基づくその他のタンパク質若しくはポリペプチド、例えばScFv)に適用され得ることも想定される。従って、別の態様では、本発明は、C末端アミノ酸配列VTVSS(X)(配列番号34)(式中、nは、1~10、好ましくは1~5、例えば1、2、3、4又は5であり、各Xは、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)又はイソロイシン(I)からなる群より独立して選択される(好ましくは独立して選択される)(好ましくは天然に存在する)アミノ酸残基である)をそのC末端に有するVHドメインを有するこのようなタンパク質又はポリペプチド(例えば、ScFv)に関する。先と同様に、いくつかの具体的な態様によれば、前記C末端は上記(a)~(p)のいずれか、好ましくは(a)、(b)、(c)、(g)、(h)、(i)、(m)又は(n)のうちの1つでもよく、nは、1、2又は3であり、好ましくは1又は2である。
【0143】
先と同様に、このようなタンパク質又はポリペプチドは、好ましくは、(実施例9に示されているプロトコールに従って決定し、使用したISV又はタンパク質の分子量についての測定RU値を上に示した式に従って調整した後に)21-4による結合について500未満のRU値を有するようなものである。また先と同様に、本発明のこの態様の具体的な一態様によれば、C末端配列VTVSS(X)のアミノ酸Xはいずれもシステイン残基ではない。
【0144】
本発明はさらに、ISV(好ましくは治療用ISV)又は少なくとも1個のISV(好ましくは少なくとも1個の治療用ISV)を含むタンパク質若しくはポリペプチドであって、本明細書においてさらに説明されるようなISV、タンパク質又はポリペプチド(すなわち、本明細書において記載される態様の1つ以上、特に先の頁に記載されている態様の1つ以上のISV、タンパク質又はポリペプチド;より具体的には、本明細書において記載される態様の1つ以上のC末端/配列を有するISV、タンパク質又はポリペプチド)と、少なくとも1つの適切な(すなわち、医薬用途に適切な)担体、希釈剤又は賦形剤と、場合により1つ以上のさらなる活性物質とを含む医薬組成物に関する。このような組成物、担体、希釈剤又は賦形剤は、例えば、ナノボディ又は少なくとも1個のナノボディを含むタンパク質若しくはポリペプチドを含む医薬組成物についての国際公開第08/020079号に記載されているようなものであり得る(既に述べたように、本発明によれば、ISVは、好ましくは、ナノボディでもある)。
【0145】
本発明はさらに、ヒト(例えば、このような治療を必要とする患者)における疾患の治療において使用するための、ISV又は少なくとも1個のISVを含むタンパク質若しくはポリペプチドであって、本明細書においてさらに説明されるようなISV、タンパク質又はポリペプチド(すなわち、本明細書において記載される態様の1つ以上、特に先の頁に記載されている態様の1つ以上のISV、タンパク質又はポリペプチド;より具体的には、本明細書において記載される態様の1つ以上のC末端/配列を有するISV、タンパク質又はポリペプチド)に関する。
【0146】
本発明はさらに、医薬組成物の調製における、ISV又は少なくとも1個のISVを含むタンパク質若しくはポリペプチドの使用であって、前記ISV、タンパク質又はポリペプチドが、本明細書においてさらに説明されるようなもの(すなわち、本明細書において記載される態様の1つ以上、特に先の頁に記載されている態様の1つ以上のISV、タンパク質又はポリペプチド;より具体的には、本明細書において記載される態様の1つ以上のC末端/配列を有するISV、タンパク質又はポリペプチド)である使用に関する。
【0147】
本発明はさらに、ISV又は少なくとも1個のISVを含むタンパク質若しくはポリペプチドであって、本明細書においてさらに説明されるようなISV、タンパク質又はポリペプチド(すなわち、本明細書において記載される態様の1つ以上、特に先の頁に記載されている態様の1つ以上のISV、タンパク質又はポリペプチド;より具体的には、本明細書において記載される態様の1つ以上のC末端/配列を有するISV、タンパク質又はポリペプチド);又は、少なくとも1個のこのようなISV、タンパク質又はポリペプチドを含む医薬組成物(上記)を医薬組成物調製物でヒト被験体(例えば、このような処置を必要とする患者)に投与することを含む処置方法に関する。
【0148】
上記に関して、本明細書において記載されるISV、タンパク質及びポリペプチドの治療用途(又は、このような治療用途のためのこのようなISV、タンパク質及びポリペプチドの臨床開発)は、前記ISV、タンパク質又はポリペプチドが免疫原性である(すなわち、ヒト被験体に投与された場合にADAを生じさせ得る)かを決定するためのADAアッセイの使用を伴い得るので、本明細書において記載されるISV、タンパク質及びポリペプチドの治療用途が、本発明の非常に重要な態様であることは明らかである。この点において、治療薬がより長期間にわたって(数週間、数カ月又は数年間にわたって)使用され、及び/又はヒト被験体において、少なくとも3日間、例えば少なくとも1週間、最大10日間又はそれ以上の半減期(好ましくは、t1/2-βと表わされる)を有する場合には、考えられる免疫原性についての懸念に特に対処しなければならないことも明らかである。
【0149】
従って、本発明の具体的な一態様によれば、本明細書において記載されるISV、タンパク質、ポリペプチド又は医薬組成物は、ヒトにおける慢性疾患を処置することを目的とするものであり、及び/又は、本明細書において記載されるこのようなISV、タンパク質、ポリペプチドは、それが(すなわち、治療活性用量で)投与される被験体の循環系に(すなわち、薬学的に活性なレベルで)少なくとも1週間の期間、好ましくは少なくとも2週間、例えば少なくとも1カ月間にわたって存在することを目的とするものであり;及び/又は、本明細書において記載されるこのようなISV、タンパク質、ポリペプチドは、ヒト被験体において、少なくとも3日間、例えば少なくとも1週間、最大10日間又はそれ以上の半減期(好ましくは、t1/2-βと表わされる)を有するようなものであり;及び/又は、本明細書において記載されるこのようなISV、タンパク質、ポリペプチド又は医薬組成物は、少なくとも3日間、例えば少なくとも1週間、例えば少なくとも2週間又は少なくとも1カ月間又はそれよりもさらに長い期間(すなわち、少なくとも3カ月間、少なくとも6カ月間又は少なくとも1年間)にわたって投与されるか、又はさらに慢性的に投与される2回以上の用量としてヒトに投与されることを目的とするものである。
【0150】
本発明はさらに、ISV、ナノボディ又はISV系薬物若しくはナノボディ系薬物がタンパク質干渉を生じさせる傾向を(実質的に)減少させ、又は本質的に除去するための方法であって、
- 場合により、本明細書において言及される工程(i)及び(ii)を少なくとも含む方法を使用して、ISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物がタンパク質干渉を生じさせる傾向を決定する工程;
- 1個以上のアミノ酸の置換、付加又は欠失を前記ISV若しくはナノボディに、又はISV系薬物若しくはナノボディ系薬物の(もしあれば)C末端ISV若しくはナノボディに導入することによって;特に、1個以上のアミノ酸の置換又は付加を前記ISV若しくはナノボディのC末端領域内に、又はISV系薬物若しくはナノボディ系薬物の(もしあれば)C末端ISV若しくはナノボディのC末端領域内に導入することによって、例えば、天然に存在する任意のアミノ酸(例えば、国際公開第09/138519号の64頁の表A-2に列挙されているアミノ酸、例えば限定されないが、アラニン、グリシン、バリン、ロイシン又はイソロイシン)からそれぞれ独立して選択される1個~10個、例えば1個~5個、例えば1個、2個、3個、4個又は5個のアミノ酸残基を配列のC末端に付加することによって、前記ISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物を改変する工程;
- 本明細書において言及される工程(i)及び(ii)を少なくとも含む方法を使用して;場合により、このようにして改変されたISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物がタンパク質干渉を生じさせる傾向を、元のISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物がタンパク質干渉を生じさせる傾向と比較すること(限定されないが、本明細書において記載される分析抗体への結合について、それらを競合アッセイで比較することを含む)を可能にする方法で、このようにして改変されたISV、ナノボディ、ISV系薬物又はナノボディ系薬物がタンパク質干渉を生じさせる傾向を決定する工程
を少なくとも含む方法に関する。あるいは、21-4の使用を伴う本明細書において記載される方法を使用してもよい。
【0151】
次に、以下の非限定的な好ましい態様、実施例及び図面によって、本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0152】
図1A図1Aは、ADAアッセイ形式の非限定的な例を概略的に示す。このアッセイを実施するためのいくつかの代表的だが非限定的なプロトコールは、実施例4で述べる。
図1B図1Bは、ADAアッセイ形式の非限定的な例を概略的に示す。このアッセイを実施するためのいくつかの代表的だが非限定的なプロトコールは、実施例4で述べる。
図1C図1Cは、ADAアッセイ形式の非限定的な例を概略的に示す。このアッセイを実施するためのいくつかの代表的だが非限定的なプロトコールは、実施例4で述べる。
図2図2は、ナノボディなどのISVの代表的な3次元(3D)構造を概略的に示す。
図3図3は、実施例2で得られた固定化ポリクローナル抗体へのNB3.4~3.9(配列番号5~10)の結合を示す(実施例3に記載されているBIACOREアッセイを使用して得られた)結合曲線である。
図4図4は、実施例2で得られた固定化ポリクローナル抗体へのNB3.4、3.11、3.12及び3.13(配列番号5、12、13及び14)の結合を示す(実施例3に記載されているBIACOREアッセイを使用して得られた)結合曲線である。
図5図5は、実施例2で得られた固定化ポリクローナル抗体へのNB3.4、3.14及び3.15(配列番号5、15及び16)の結合を示す(実施例3に記載されているBIACOREアッセイを使用して得られた)結合曲線である。
図6図6は、実施例2で得られた固定化ポリクローナル抗体へのNB3.1、3.2及び3.4(配列番号3、4及び5)の結合を示す(実施例3に記載されているBIACOREアッセイを使用して得られた)結合曲線である。
図7図7は、実施例2で得られた固定化ポリクローナル抗体へのNB4.1及び4.2(配列番号17及び18)の結合を示す(実施例3に記載されているBIACOREアッセイを使用して得られた)結合曲線である。
図8図8は、実施例2で得られた固定化ポリクローナル抗体へのNB6.1、6.2、6.4及び6.5(配列番号19~22)の結合を示す(実施例3に記載されているBIACOREアッセイを使用して得られた)結合曲線である。
図9-1】図9-1は、実施例8で使用した配列(配列番号37~39)を示し、対応する参照配列を示す表を表す。
図9-2】図9-2は、実施例8で使用した配列(配列番号40~42)を示し、対応する参照配列を示す表を表す。
図9-3】図9-3は、実施例8で使用した配列(配列番号43~46)を示し、対応する参照配列を示す表を表す。
図9-4】図9-4は、実施例8で使用した配列(配列番号47~51)を示し、対応する参照配列を示す表を表す。
図9-5】図9-5は、実施例8で使用した配列(配列番号52~58)を示し、対応する参照配列を示す表を表す。
図9-6】図9-6は、実施例8で使用した配列(配列番号59~65)を示し、対応する参照配列を示す表を表す。
図9-7】図9-7は、実施例8で使用した配列(配列番号66~72)を示し、対応する参照配列を示す表を表す。
図9-8】図9-8は、実施例8で使用した配列(配列番号73~79)を示し、対応する参照配列を示す表を表す。
図9-9】図9-9は、実施例8で使用した配列(配列番号80~86)を示し、対応する参照配列を示す表を表す。
図9-10】図9-10は、実施例8で使用した配列(配列番号87~89)を示し、対応する参照配列を示す表を表す。
【0153】
本明細書及び特許請求の範囲において言及される配列を以下の表A(配列番号1~37)及び図9(配列番号38~89)に列挙する。
【0154】
【表1】





【実施例0155】
実施例1:ポリクローナル分析抗体の作製。
「分析抗体」として使用できるポリクローナル抗体(IgG画分)は、以下のように作製した:
【0156】
A.ポリクローナル抗体を単離するための適切な血漿サンプルの同定
ISVで処置されたことがない健常者に由来する血漿サンプル20個について、本発明において分析抗体として使用できるISVに対する抗体の存在を評価した。
【0157】
本実施例で最初に使用したISVは、配列番号1であった。続いて、相互作用がこの特定のISVに特異的ではないが、多数のISVで生じ得る非特異的タンパク質-タンパク質相互作用であることを確認するために、その他のISVを用いて以下のアッセイを繰り返した(以下の段落C)を参照のこと)。配列番号1の代わりとして、例えば、配列番号2を使用してもよい。
【0158】
使用したアッセイはECL(電気化学発光)ブリッジングアッセイであり、捕捉にはビオチン化ISV(配列番号1のビオチン化変異体)を使用し、抗薬物抗体の検出にはスルホタグ化ISVを使用した。ADAアッセイを実施するのにも同様の形式を使用する。ISVのビオチン化及びスルホタグ化は、製造業者の説明書に従ってSulfo-NHS-LC-Biotin (Pierce)及びSulfo-tag NHS-Ester (MSD)をそれぞれ使用することにより、第一級アミンに対する標準的なカップリング化学反応を使用して行った。血漿サンプルをPBS/0.1%カゼインで1/5希釈し、96ウェルポリプロピレンプレート中、37℃、600RPMで30分間インキュベーションした。次いで、サンプル(50μL)を、2μg/mlのビオチン化ISV及び2μg/mlのスルホタグ化ISV(配列番号1)の1:1混合液(100μL)で1/3希釈し、室温(RT)、600RPMで1時間インキュベーションした。MSD MA(登録商標)96ウェル標準ストレプトアビジンプレートを150μL/ウェルのSuperblock(登録商標)T20を用いて室温(RT)で1時間ブロッキングし、次いで、PBS/0.05%Tween20(=洗浄緩衝液)で3回洗浄した。サンプル/1:1混合液(ビオチン化ISV及びスルホタグ化ISV(配列番号1))(50.0μL)をポリプロピレンプレートからMSDプレートに移し、室温(RT)、600rpmで1時間インキュベーションした。プレートを3回洗浄してから2 x Read Buffer (MSD)(150μL/ウェル)を追加し、MSDの機器(Sector Imager 2400 reader)でECL単位(ECLU)を読んだ。方法のバリデーション時に決定したスクリーニングカットポイントを使用して、サンプルをポジティブ又はネガティブとしてスクリーニングした。スクリーニングカットポイントは、ISVで処置されたことがない健常者に由来する個々の血漿サンプル118個のバックグラウンド値に基づいて、ADAアッセイの開発ガイドライン(Shankar, 2008)によって推奨されている適切な統計分析を使用して計算した。ノンパラメトリック評価を使用し、外れ値を除いた後の95パーセンタイルに基づいてカットオフ値を計算した。
【0159】
6個の血漿サンプルをポジティブとして明確にスコア化した:IHuP#002-001-ABL-01、IHuP#002-001-ABL-08、IHuP#002-001-ABL-10、IHuP#002-001-ABL-15、IHuP#002-001-ABL-19及びIHuP#002-001-ABL-20(表I)。
【0160】
これらのサンプルを薬物置換セットアップ(確認アッセイ)でさらに分析して、ポジティブスクリーニング結果の特異性を確認した(表II)。従って、サンプルを、12.5μg/mLのISV(配列番号1)を含有するPBS/0.1%カゼインで1/5希釈し、96ウェルポリプロピレンプレート中、37℃、600RPMで30分間インキュベーションした。次いで、サンプル(50μL)を、2μg/mlのビオチン化ISV及び2μg/mlのスルホタグ化ISV(配列番号1)の1:1混合液(100μL)で1/3希釈し、室温(RT)、600RPMで1時間インキュベーションする。続いて、スクリーニングアッセイのために上記のように、サンプル/1:1混合液(ビオチン化ISV及びスルホタグ化ISV)(50.0μL)をポリプロピレンプレートからブロッキングされたMSD MA(登録商標)96ウェル標準ストレプトアビジンプレートに移し、室温(RT)、600rpmで1時間インキュベーションした。プレートを3回洗浄してから2 x Read Buffer (MSD)(150μL/ウェル)を追加し、MSDの機器(Sector Imager 2400 reader)でECL単位(ECLU)を測定した。方法のバリデーション時に決定した確認カットポイントを使用してサンプルを真のポジティブと確認し、ISVで処置されたことがない健常者に由来する個々の血漿サンプル118個(50μg/mlのISV(配列番号1)でスパイクしたもの)のECL反応に基づいて、ADAアッセイの開発ガイドライン(Shankar, 2008)によって推奨されている適切な統計分析を使用して計算した。50%の最小シグナル減少は、99%信頼区間に基づいて計算した。
【0161】
ECLブリッジングアッセイでポジティブであり、薬物置換セットアップアッセイでポジティブと確認したサンプルを、アフィニティークロマトグラフィーを使用してポリクローナル抗体を作製するための材料として選択した。
【0162】
【表2】
【0163】
【表3】
【0164】
ISVで処置されていない個体に由来するさらなる血清サンプル3個も上記ECLブリッジングアッセイを使用して評価し、薬物置換セットアップアッセイを使用して確認した。
【0165】
2個の血清サンプルをECLブリッジングアッセイでポジティブとして明確にスコア化した:IHUS#B09032311A3及びIHUS#B09032311A20(表III)。ポジティブとスクリーニングした2個のサンプルを薬物置換セットアップでさらに分析して、ポジティブスクリーニング結果の特異性を確認した。
【0166】
【表4】
【0167】
B.精製ポリクローナルIgG画分の作製。
ポリクローナルIgGは、製造業者の説明書に従ってProtein G HP Spin Trap Columns (GE Healthcare)を使用して、サンプルIHUS#B09032311A3及びIHUS#B09032311A20(上記を参照のこと)から精製した。手短に言えば、遠心分離(100xgで30秒間)によってカラムから保存液を除去した後、結合緩衝液(20mMリン酸ナトリウム、pH7.0)を追加することによってカラムを平衡化した。遠心分離後、所望のポリクローナルを含有する溶液を追加し(600μl中に最大1mg)、穏やかに混合しながらカラムを4分間インキュベーションした。次いで、カラムを遠心分離し、結合緩衝液(600μl)を連続して追加することによって2回洗浄し、遠心分離した。400μlの溶出液(0,1Mグリシン-HCL、pH2.7)を追加し、反転させて混合した後、30μlの中和緩衝液(1M Tris-HCL、pH9.0)中で遠心分離することによって抗体を溶出した。
【0168】
このようにして得られたIgG画分がISVへの非特異的結合に関与したことを確認するために、精製IgG抗体を上記ECLブリッジングアッセイで分析し、上記A)で使用した薬物置換セットアップアッセイを使用して確認した。両サンプル(IHUS#B09032311A3及びIHUS#B09032311A20)において、精製IgG抗体は非特異的結合に関与して、アッセイにおいてポジティブシグナルをもたらすことを確認した(表III)。これにより、精製ポリクローナルIgGが「分析抗体」として使用できることが確認されたので、実施例3及び実施例5(のアッセイ)において「分析抗体」として使用した。
【0169】
C.その他のISVへの非特異的結合。
観察されたタンパク質干渉が1個のISVに特異的であり、並びに/又はISV上の特定の領域、エピトープ又は抗原決定基に及び/若しくは野生型ISVに対して行ったある種の突然変異(例えば、1個以上のヒト化突然変異)に特異的であるかを決定するために、血漿サンプルIHUS#B09032311A3、IHUS#B09032311A20及びIHUS#B09032311A1を使用して、ECLブリッジングアッセイ及び薬物置換セットアップアッセイ(両方とも上記A)に記載されているように、配列番号1をスルホタグ化ISVとして使用する)を繰り返した。これらの血漿サンプルは、上記B)で単離したポリクローナル「分析」抗体を含有するので、これは、ポリクローナル分析抗体の特異性、選択性及びエピトープ認識についての情報も提供する。
【0170】
8個のISVを試験したところ(それぞれ配列番号23~30-上記表Aを参照のこと)、このうちの1個は野生型VHH(配列番号23)であり、その他の7個のISVは野生型配列のヒト化型であり、異なるヒト化置換を有していた。2個のISV(配列番号29及び30)はまた、追加のアミノ酸残基をC末端に含有していた(それぞれ1個及び3個の追加のアラニン残基)。
【0171】
データを表IVに示す。あらゆる説明又は仮説に限定されないが、C末端領域(本明細書において定義される)に対する変異は、使用した血漿サンプルがタンパク質干渉を生じさせ得る程度に明らかに強く影響を与えることができることが分かる。例えば、C末端への1個又は3個のアミノ酸残基の付加は、タンパク質干渉が生じる傾向を強く減少させることができることが分かる(例えば、配列番号28(C末端にアミノ酸残基が付加されていない対応するヒト化変異体)では、サンプルIHUS#B09032311A3を用いたECLUアッセイにおける減少は90%であるのと比較して、配列番号29及び30では、減少はわずかに18%及び13%である)。同様に、野生型配列の14位へのプロリン残基の導入も、使用した血漿サンプルがタンパク質干渉を生じさせ得る程度に明らかに強く影響を与えることができる(例えば、配列番号24(置換A14Pを有する野生型配列)ではサンプルIHUS#B09032311A3を用いたECLUアッセイにおける減少は91%であるのと比較して、配列番号23の野生型配列では、減少はわずかに20%である)。K83R及びQ108L(これらもC末端領域近くの置換である)も、タンパク質干渉を生じさせる傾向をいくらか増加させるがA14P置換ほどではなく、置換A14P+K83R+Q108Lを合わせた全体の効果は、1個以上のアミノ酸残基をC末端に付加することによって無効化できる(配列番号29及び30のデータをその他のヒト化変異体のデータと再度比較)。
【0172】
このデータに基づいて、ポリクローナル分析抗体は明らかに、ISVのC末端領域(本明細書において定義される)を一般に認識したと結論付けた。図2から分かるように、14位(そしてそれよりも弱い程度だが、83位及び108位)はまた、ISVのC末端領域の一部を形成する(ISVの3次元構造を考慮する場合)。
【0173】
【表5】
【0174】
【表6】
【0175】
実施例2:分析抗体のアフィニティー精製
本実施例では、ISVのC末端を認識でき、及び/又はISVのC末端に結合できる分析抗体を、ヒト被験体に由来する生体液から単離するのに使用できる2つの方法を説明する。実施例1に記載されている試験のADAアッセイにおいてポジティブシグナルを誘導したことを特徴とする4個の異なる血清サンプルから、抗体を単離する。
【0176】
血清サンプルから出発して、これらの各プロトコールにより、本明細書において記載される方法において分析抗体として使用できる干渉因子の精製調製物が提供される。これらの方法は、より一般には、その他の目的のために干渉因子を精製するのにも使用できる(例えば、モノクローナル21-4によるISV又はISV構築物への結合は、干渉因子による同じISV又はISV構築物への結合を予測し、それにより、前記ISV又はISV構築物がADAアッセイにおいて非特異的タンパク質干渉を受ける傾向を予測することを示すために、以下のプロトコールを使用して精製した干渉因子を実施例8でも実験的に使用した)。
【0177】
実施例2A:プロテインA及びアフィニティークロマトグラフィーを使用する精製
最初の工程では、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーを使用して、血清サンプルからIgG抗体画分を濃縮した。この濃縮に使用した通常のカラムは、HiTrap MabselectSure及びMabSelectXtra (GE Healthcare); PorosMabCapture A (Applied Biosystems)を含んでいた。血清サンプルからのIgG抗体の精製は、すべての実験において自動で同様に実施した。クロマトグラフィーのランはAKTA purifier systems (GE Healthcare)で実施し、UNICORN protein purification software (GE Healthcare)を使用してリアルタイムでログインした。簡潔に言えば、血清サンプルをD-PBS(Dulbeccoリン酸緩衝生理食塩水)で1:1希釈し、0.22μmのろ過をしてから、0.5mL/分の一定流量でカラムにアップロードした。カラム容量の5倍超のD-PBSを0.5mL/分の流量で使用してカラムを洗浄し、非特異的結合成分を除去した。100mMグリシン緩衝液(pH2.6)及び0.5mL/分の流量を使用して、酸性溶出によってIgG画分を溶出した。溶出後、1.5M Tris緩衝液(pH8.8)を使用して、この画分を中性にした。SDS-PAGEを行って、IgG抗体が溶出液中に単離されたことを確認した。
【0178】
2番目の工程では、4個の異なる血清に由来するプロテインA精製IgG画分をISV結合アフィニティーカラムにアプライすることによって、干渉IgGをさらに濃縮した。より具体的には、配列番号1の配列のISVを含有するカラムに結合させることによって、干渉IgGをさらに濃縮した。これのために、製造業者の手順に従ったCNBr(臭化シアン)-カップリング方法を使用して、ISVをSepharose 4 fast flow (GE Healthcare)に共有結合させた。アフィニティー精製は、すべての実験において自動で同様に実施した。クロマトグラフィーのランはAKTA purifier systemsで実施し、UNICORNでログインした。簡潔に言えば、IgG濃縮サンプル(最大10mLのローディング容量)を0.5mL/分の一定流量でカラムにアップロードした。カラム容量の5倍超のD-PBSを0.5mL/分の流量で使用してカラムを洗浄し、非特異的結合成分を除去した。100mMグリシン緩衝液(pH2.6)及び0.5mL/分の流量を使用して、酸性溶出によってISV結合成分を溶出した。溶出後、1.5M Tris緩衝液(pH8.8)を使用して、この画分を中性にした。SDS-PAGEを使用してこの画分を分析し、IgG抗体が溶出液中に単離されたことを確認した(データは示さない)。
【0179】
これらの画分をプールし、さらなる分析、例えば実施例3に記載されている分析に使用した。
【0180】
実施例2B:CaptureSelect(商標)クロマトグラフィーを使用する精製。
あるいは、干渉因子を血漿から回収し、市販のIgA結合親和性樹脂CaptureSelect hIgA(商標)(BAC BV)(これは、ラクダに由来する重鎖単独可変ドメイン(VHH)に基づくものである)を使用して精製した。続いて、干渉IgGと一緒にIgAを含有する回収した「IgA画分」をプロテインAカラムにロードして、IgA画分を除去した。一般的なIgG精製条件(ランニング緩衝液:PBS;溶出緩衝液:100mMグリシン(pH=2.7);溶出後の中性化は1M Trisによる)に従って、プロテインAカラムを処理した。干渉因子をプロテインA(Prot A)溶出液から収率>95%で回収した。
【0181】
この方法の変法では、別のCaptureSelect親和性樹脂(VHHに基づく市販の親和性樹脂であり、抗体関連タンパク質をターゲティングしないCaptureSelect Alpha-1抗トリプシン樹脂)を使用した。この樹脂は高い干渉因子結合効果をもたらし、2段階の選択的溶出を可能にした:2.0M MgCl2を使用して中性pH溶出により抗トリプシン処理した後に、酸性段階(プロテインA/Gの溶出条件と同様に0.1Mグリシン(pH3.0);1.5M Trisを使用して中性化)により干渉因子を溶出する。この1段階精製により、高干渉血漿1mLあたり最大15μgの干渉IgG1が得られたが、これは存在する全IgGの約0.3%である。場合により、中性にした干渉画分を脱塩し、D-PBSで平衡化したサイズ排除カラムによりさらに精製できる。
【0182】
実施例3:様々なISV置換が、ISVがタンパク質干渉を生じさせる傾向に与える影響
上記説明において述べたように、本発明は、所定のISVがタンパク質干渉を生じさせる傾向を有するか否かを評価することを可能にするある種のアッセイ及び技術を利用可能にする。これらは、実施例1で使用したECLブリッジングアッセイ及び薬物置換セットアップアッセイ、並びにこの実施例3に記載されているBIACOREアッセイ、並びに以下のさらなる実施例に記載されているブリッジング/競合ADAアッセイを含む。
【0183】
また、上記説明において述べたように、これらのアッセイは、特定の変異(例えば、アミノ酸の欠失、置換又は付加)が、所定のISVがタンパク質干渉を生じさせる傾向に影響を与える(好ましくは減少させる)ことができるかを決定するのにも使用できる。これらの変異のいくつかは、本明細書における開示、並びに実施例1及びこの実施例3に示されている実験データに基づいて当業者には明らかであり、又は明らかになる。
【0184】
実施例1で作成したデータによって既に示したように、ISVのC末端領域(本明細書において定義される)内の又はその近くのある種の突然変異は、タンパク質干渉を生じさせる傾向に(強く)影響を与えることができると思われる。例えば、C末端への数個のアミノ酸残基(例えば、1個又は3個のアラニン残基)の付加は、ISVがタンパク質干渉を生じさせる傾向を強く減少させると思われ、タンパク質干渉を生じさせる傾向を増加させると思われる(例えば、C末端領域内の又はその近くの)その他の置換(例えば、置換A14P)の存在を無効化することさえできると思われる。
【0185】
この実施例3では、その他の置換の効果、及び追加のアミノ酸をC末端に付加する効果の両方について、実施例2で作製した分析ポリクローナル抗体を使用して、異なる置換を有する関連ISVを比較することによって調査した。Biacore(商標)T100 biosensor(GE Healthcare)を使用して表面プラズモン共鳴(SPR)により、調査した各ISVと分析ポリクローナルとの間の相互作用の動態を測定することによって、分析を行った。この実施例3で試験したISVは、配列番号3~22のISVであった(例えば、上記表A及び以下の表Vを参照のこと)。
【0186】
通常の実験で、ポリクローナル抗体溶液を10mM NaOAc(pH5.0)中、10μg/mlで調製した。次いで、製造業者の手順に従ってEDC/NHS法(EDC=N-エチル-N’-[3-ジエチルアミノ-プロピル]-カルボジイミド;NHS=N-ヒドロキシスクシンイミド)によるアミンカップリングを使用して、このポリクローナル抗体をCM5センサーチップ上に固定化した。固定化した量は、約2700反応単位(RU)を示した。次いで、一定濃度500nMのISVを120秒間にわたって45μl/分の流量で表面に注入した。有効な再生緩衝液を特定できなかったので、解離時間を2400秒に延長した。ブランクのフローセルにISVを注入することによって得られたシグナルを、ポリクローナル抗体が結合したフローセルにISVを注入することによって得られたシグナルから引いた。ブランクのフローセルは、タンパク質を追加しない以外はポリクローナル抗体のフローセルと同様の方法で活性化/非活性化した。また、ブランク(HBS-EP+ランニングバッファー;HBS=Hepes緩衝生理食塩水:GE Healthcare)を差し引いて、考えられるベースライン変動を修正した。
【0187】
アミノ酸残基をC末端に付加する効果を調べるために、実施例2に記載されているように作製した分析ポリクローナル抗体を使用して、異なる付加を有するISVの結合を比較することによって、1個又は2個のアラニン及び1個、2個又は3個のグリシンを付加する影響を調査した。この目的のために作製及び試験したISVは、NB3.4~3.9(配列番号5~10)であった。
【0188】
得られたデータ種の代表例として、図3は、固定化ポリクローナル抗体へのNB3.4~3.9の結合を示す。得られた結果を表Vに要約する。
【0189】
【表7】
【0190】
C末端領域内の(その他の)置換の効果を調べるために、上記と同じ分析ポリクローナル抗体を使用して、3個の置換を含有する関連ISVを比較することによって、異なる置換の影響を調査した。分析は、上記のように行った。
【0191】
試験した前記置換を含有するISVは、NB3.1、3.2及び3.4(配列番号3、4及び5);NB3.10~3.15(配列番号11~16)であり、これらをNB3.4;NB4.1及び4.2(配列番号17及び18)並びにNB6.1、6.2、6.4及び6.5(配列番号19~22)と比較した。
【0192】
得られたデータ種の代表例として:
図4は、固定化ポリクローナル抗体へのNB3.4、3.11、3.12及び3.13の結合を示す;
図5は、固定化ポリクローナル抗体へのNB3.4、3.14及び3.15の結合を示す;
図6は、固定化ポリクローナル抗体へのNB3.1、3.2及び3.4の結合を示す;
図7は、固定化ポリクローナル抗体へのNB4.1及び4.2の結合を示す;
図8は、固定化ポリクローナル抗体へのNB6.1、6.2、6.4及び6.5の結合を示す。
【0193】
得られた結果を表VI、表VII及び表VIIIに要約する。
【0194】
【表8】
【0195】
【表9】
【0196】
【表10】
【0197】
先と同様にあらゆる特定の仮説又は説明に限定されないが、上に示したデータは、ISVのC末端領域(本明細書において定義される)に対する(種々の)置換が、タンパク質干渉を生じさせる傾向を変化/改善できることを示している。
【0198】
実施例4:図1のADAアッセイを実施するための代表的なプロトコール。
本実施例では、図1に概略的に示されている競合/ブリッジングADAアッセイを実施するために使用できる代表的だが非限定的ないくつかの条件を示す:
図1AのADAアッセイ(溶液中):サンプル100%マトリックス、30分間(30’)、37℃、酸処理(10マトリックスで酢酸を使用)、5分間(5’)、室温(RT)、プレインキュベーション/酸中和
サンプル:ISV-スルホ(:Tris)1:1:1(1:0,9:0,9:0,1)、1時間、室温(RT);プレート上で1時間、室温(RT);洗浄3回、Readbuffer 4X
図1BのADAアッセイ(溶液中):サンプル20%マトリックス、30分間(30’)、37℃、プレインキュベーション
サンプル:ISV--スルホ1:1:1、1時間、室温(RT)、プレート上で1時間、室温(RT)、洗浄3回、Readbuffer 2x
図1Cの連続ADAアッセイ:捕捉ISV-ビオチン化(Bio)、1時間、室温(RT)、洗浄3回、サンプル20%マトリックス、15分間(15’)、室温(RT)、プレート上で:2時間、室温(RT)、洗浄3回、検出ALX-0141-スルホ、1時間、室温(RT)、洗浄3回、Readbuffer 4X
【0199】
実施例5:分析抗体を使用して、非特異的タンパク質干渉に対するISVの感度を予測する。
本実施例では、非特異的タンパク質干渉に対するISVの感度を予測するのに使用できる分析抗体を使用するブリッジング/競合ADAアッセイを説明する。
【0200】
試験するべきISVを10μg/mlの濃度に希釈し、400ng/mlの分析抗体と一緒にインキュベーションし、実施例2に従って精製し、96ウェルポリプロピレンプレート中、37℃、600rpmでインキュベーションする。次いで、サンプル(50μL)を、2μg/mlのビオチン化ISV及び2μg/mlのスルホタグ化ISVの1:1混合液(100μL)で1/3希釈し、室温(RT)、600RPMで1時間インキュベーションする。MSD MA(登録商標)96ウェル標準ストレプトアビジンプレートを150μL/ウェルのSuperblock(登録商標)T20を用いて室温(RT)で1時間ブロッキングし、次いで、PBS/0.05%Tween20(=洗浄緩衝液)で3回洗浄する。サンプル/1:1混合液(ビオチン化ISV及びスルホタグ化ISV)(50.0μL)をポリプロピレンプレートからMSDプレートに移し、室温(RT)、600rpmで1時間インキュベーションする。プレートを3回洗浄してから2 x Read Buffer (MSD)(150μL/ウェル)を追加し、MSDの機器(Sector Imager 2400 reader)でECL単位(ECLU)を読む。
【0201】
このアッセイを使用して、配列番号23~30のISVを試験及び比較した。データを表IXに示す。これらのデータは、本実施例で説明したアッセイが、ISVがタンパク質干渉を生じさせる傾向を予測するのに使用できることを示すだけではなく、作成したデータは、C末端領域内の置換の効果についての先の実施例からの知見も裏付けている。見て分かるように、完全ヒト化ISVのC末端への3個の(そしてそれよりも弱い程度だが、1個の)アラニン残基の付加は、分析抗体の結合と競合する能力を無効化した。野生型ISV変異体の14位のアラニンからプロリンへの突然変異は、このアッセイにおける競合体としての能力を明らかに増大させた(=ISV変異体をより非特異的タンパク質干渉の傾向にする)のに対して、83位及び108位の突然変異は、非特異的タンパク質干渉に対するISVの感度に明らかな影響を与えなかった。
【0202】
【表11】
【0203】
実施例6:抗OX40LナノボディのC末端へのアミノ酸付加がそのOX40L阻害効力に与える影響。
本実施例では、C末端の伸長がナノボディの活性又は阻害効力に影響を与えないことを実証する。
【0204】
三価で二重特異性の配列最適化抗OX40LナノボディNb3.16(配列番号31)のin vitro効力を、1個の追加のAlaをそのC末端に含有する対応するナノボディNb3.17(配列番号32)の効力と比較した。
【0205】
最初のアッセイ(T細胞活性化アッセイ)は、以下のように実施した。Ficoll Paque Plus reagent (GE Healthcare)を使用して、健常ドナーに由来するバフィーコート(Red Cross, Ghent, Belgium)からPBMCを単離し、RPMI1640完全培地(RPMI1640+GlutaMAX+25mM HEPES+10%ウシ胎仔血清+1%ペニシリン/ストレプトマイシン;Invitrogen)を使用して洗浄した。PBMC(細胞1x10個/ウェル)をフィトヘマグルチニン(PHA-L;最終濃度0.6μg/ml)で刺激してから、1x10個のhOX40L発現CHO細胞(γシンチレータを用いて3000RADで放射線照射したもの;UZ Gent, Belgium)及び抗OX40LナノボディのRPMI1640完全培地による希釈系列に添加し、COインキュベーター中、37℃で22時間インキュベーションした。PBMCによるIL2の産生は、ELISAで測定した。Maxisorpプレートのウェルは、抗ヒトIL2モノクローナル抗体(BD Biosciences)を用いて4℃で一晩コーティングした。コーティングしたウェルを洗浄及びブロッキングした後、細胞上清の希釈物を追加した。標準として、リコンビナントヒトIL2(BD Biosciences)の希釈系列(2000pg/mlから開始)を含めた。ビオチン化抗ヒトIL2モノクローナル抗体(BD Biosciences)及びHRP標識ストレプトアビジン(Thermo Scientific)及びesTMB(SDT Reagents)を使用して、検出を行った。1N HClを用いて反応を停止させ、450nmでODを測定した。予想通り、三価で二重特異性の配列最適化ナノボディNb3.17の効力(IC50=0.13nM、95%信頼区間(CI)=0.098~0.17nM)は、Nb3.16の効力(IC50=0.10nM、95%信頼区間(CI)=0.071~0.15nM)と同程度であった。
【0206】
2番目のELISA競合アッセイでは、ナノボディの希釈系列(1.5μM~0.083pM)を、PBS+0.1%BSA+0.01%Tween-20中で100ng/mlのヒトOX40/Fc(R&D Systems)及び10ng/mlのビオチン化ヒトOX40L(R&D Systems;実施例1に記載されているようにin-houseでビオチン化)と一緒に室温で一晩プレインキュベーションした。次に、10ug/mlの抗ヒトFcナノボディ(in-houseで作製)でコーティングし、PBS+1%BSA+0.1%Tween-20でブロッキングしたMaxisorpプレート上で、サンプルをインキュベーションした。HRP標識ストレプトアビジン(Thermo Scientific)及びsTMB(SDT Reagents)を使用して、結合したヒトOX40/Fcを検出した。1N HClを用いて反応を停止させ、450nmでODを測定した。細胞アッセイと一致して、三価で二重特異性の配列最適化ナノボディNb3.17の効力(IC50=0.178nM、95%信頼区間(CI)=0.152~0.200nM)は、Nb3.16の効力(IC50=0.179nM、95%信頼区間(CI)=0.149~0.215nM)と同程度であった。
【0207】
実施例7:モノクローナル抗体21-4-3の作製。
2つの異なるマウス系統群(BALB/c及びNMRI-各マウス3匹)を、国際公開第2006/122825号の配列番号98のナノボディ構築物(等容量の抗原とフロイント完全アジュバント又はフロイント不完全アジュバンとの油中水エマルション)を用いて、適切な抗血清力価が得られるまで追加免疫しながら39日間の期間にわたって腹腔内免疫した。
【0208】
刺激したマウスをCOで窒息させた後、脾臓を無菌状態で取り出し、プールした脾臓の単一細胞懸濁液を調製した。脾臓細胞及びミエローマ細胞をDMEMで数回洗浄し、1mlの50%(w/v)PEG3350(脾臓細胞とSP2/0との比は3:1)の存在下で融合させた。融合のために、German Collection of Microorganisms and Cell Cultures (DSMZ GmbH, Braunschweig)のミエローマ細胞株SP2/0-Ag14を使用した。この細胞株は、BALB/cの脾臓細胞とミエローマ細胞株P3x63Ag8との間のハイブリッドである。このようにして生産したハイブリドーマを、20%FCS及びアミノプテリンを含有するCGM(HAT培地)に再懸濁し、フィーダー細胞としての腹腔滲出細胞(peritoneal excudate cells)と一緒に140μl/ウェルのCGM(20%FCS)を含有する8個の96ウェル組織培養平底プレート(Corning-Costar)に播種(140μl/ウェル)した。2-メルカプトエタノール、L-グルタミン、安定グルタミン、HT及び非必須アミノ酸(供給業者によって推奨されている濃度)並びに異なる濃度(10%、15%又は20%)のFCSを補充したDMEMを含有する完全成長培地(CGM)中で、プレートを10日間インキュベーションした。この期間中、細胞をHAT培地で2回フィードした。ハイブリドーマ細胞からの細胞培養上清は、通常、1μg/ml~20μg/mlの抗体を含有しており、これを結合ELISAで試験して、国際公開第2006/122825号の配列番号98のナノボディ構築物への結合を確認した。
【0209】
IgG産生陽性ウェルからの細胞を48ウェルプレートのウェルに移し、(細胞の成長特性に応じて)2日間~4日間培養した。非特異的結合物を排除するために、ALX081及びヒト/カニクイザルIgGに対する結合ELISAを行った。国際公開第2006/122825号の配列番号98のナノボディ構築物に特異的な結合物を発現するハイブリドーマ細胞を、限定希釈を使用して2回クローニングした。融合及び再スクリーニングの後、ALX-081に対する抗体を産生する7個の初代培養物を同定した。これらの初代培養物はすべて、ヒト又はカニクイザルのIgGと交差反応しない抗体を産生した。初代培養物を再クローニングした(2回)。
【0210】
クローン21-4(2回目のクローニングの後に、ALX-081に対する抗体を安定的に産生したクローンのうちの1個)に「ABH0015」という名称を与え、2012年6月4日にアクセッションナンバーLMBP-9680-CBでBelgian Coordinated Collections of Micro-organisms (BCCM) in Ghent, Belgiumに寄託した。ABH0015によって産生されたマウスモノクローナルは、21-4-3と称した:21-4-3のアイソタイプを決定したところ、IgG1重鎖及びκ軽鎖であることが示され、これらを配列決定した(それぞれ配列番号35及び36を参照のこと)。21-4-3は、国際公開第2006/122825号の配列番号98のナノボディ構築物のC末端領域に結合することが示された(データは示さない)。
【0211】
実施例8:ISVへの21-4の結合は、ISVが非特異的タンパク質干渉を受ける傾向を予測する
本実施例では、以下の実施例9と合わせて、ISVへのモノクローナル21-4の結合は、所定のISVが(例えば、ADAアッセイにおいて)非特異的タンパク質干渉を受ける傾向を有するかを(本実施例で示した確度内において)予測するのに使用できることを実証する。
【0212】
この実施例8は、所定のISVに対するある種の改変候補(例えば、ISVのC末端への1個以上のアミノ酸残基の付加、及び/又はISVのC末端領域内の1個以上のアミノ酸置換の置換)が、前記ISVが非特異的タンパク質干渉を受ける傾向の減少をもたらすかを予測するのに21-4を使用できることを特に示す。
【0213】
手短に言えば、53個の異なるナノボディ及びナノボディ構築物のセット(図9及び配列番号38~89を参照のこと)を、モノクローナル21-4-3による結合について試験した。21-4及び精製干渉因子による結合の間に相関関係があるかを確認するために、同じナノボディ及びナノボディ構築物を、3人の異なるヒトドナー(本明細書において「ドナー8」、「ドナー19」及び「ドナー30」と称される)から得られた干渉因子の精製調製物による結合についても試験した。
【0214】
21-4のISVへの結合は、干渉因子の同じISVへの結合を(ここで示したデータによって提供される全体的な信頼度の範囲内において)予測するのに実際に使用できることが立証された。
【0215】
これを実証するために、以下に示されている実験データによって詳述するように、(以下に示されているプロトコールの)Biacore T100を使用して、21-4による53個のナノボディ又はナノボディ構築物(図9に列挙される;配列番号38~89を参照のこと)の結合を測定し、同じBiacore機器及び同じプロトコールを使用して測定した場合の参照ナノボディ又は構築物(同様に図9に列挙される)の結合と比較した。結果を以下の表Xに示す。
【0216】
【表12】





【0217】
試験した53個の各ナノボディ又はナノボディ構築物について、参照と比較して、試験したナノボディ又はナノボディ構築物が1個以上の追加のアミノ酸残基(これらは、タンパク質干渉に対するこのような付加の効果を試験するために、特に前記干渉を減少させるために付加した)をC末端に有するように、及び/又は(例えば、参照と比較したヒト化の結果として)1個以上の突然変異をC末端領域内に有するように、参照を選択した。
【0218】
結果は、所定のナノボディの結合(RU単位として測定)を参照の結合(同様にRU単位で測定)と対比した減少率として表した-例えば、参照ナノボディの測定結合レベル(RU)が276であり、所定のナノボディの結合レベル(同様にRU)が9である場合、結合レベルの減少は[9RU/276RU]x100%=3%までのレベルになり、これは、参照(100%)と比較して97%の減少を意味する。
【0219】
同様に、53個の各ナノボディ又はナノボディ構築物への、3人の各ドナーに由来する精製干渉因子の結合を、同じBiacore機器を使用して測定し、同じ参照ナノボディ又は構築物への前記精製干渉因子の結合と比較した。結果は、同様に、所定のナノボディ又はナノボディ構築物への干渉因子の結合を参照と対比した減少率として表した。
【0220】
参照と比較して1個以上のアミノ酸残基をC末端に付加したナノボディ又はナノボディ構築物については本質的にすべて、干渉因子の結合が劇的に減少したことが見出された。これは、ISVのC末端(VTVSS)への1個以上のアミノ酸残基の付加が、ADAアッセイにおいて非特異的タンパク質干渉を減少させることができることを再度裏付けている。ほとんどの場合では、参照と比較してC末端領域内に置換を作るだけ(すなわち、1個以上のアミノ酸残基をC末端に付加しない)では、干渉因子の結合に対して同様の劇的な影響を与えないことが多いことも見出された。
【0221】
次いで、データをさらに分析して、21-4による結合が参照と比較して減少することは、精製干渉因子の3個の異なる各調製物による結合が参照と比較して減少することと何らかの点で相関しているかを決定した。このような相関関係が見出された。
【0222】
例えば、試験した54個のナノボディ又はナノボディ構築物のうちの36個は、21-4による結合について、それらの各参照配列と比較して70%超の減少を示したことが見出された(これら36個のほとんどは、1個以上の追加のアミノ酸残基をC末端に有し、いくつかの場合ではC末端領域内の置換と組み合わせて有する)。これら36個のうちの32個は、干渉因子による結合について、参照と比較して50%超の減少も示した(そして多くの場合では、特に、付加された1個以上のアミノ酸残基をC末端に有するナノボディ又はナノボディ構築物については、減少は50%よりもはるかに大きかった(例えば、70%超又はさらに90%超)。表Xに示されているデータを参照のこと)。これは、36個の事例のうちの32個(すなわち、89%)では、21-4による結合について、(参照=100%と比較して)70%超の減少は、干渉因子による結合について、(同じ参照と比較して)50%超の減少を予測することを実証している。明確にするために、各事例では、減少は、100%-[試験したナノボディで達成された減少レベルについて以下の表に示されているパーセンテージ]として計算した。
【0223】
同様に、試験した53個のナノボディ又はナノボディ構築物のうちの33個は、21-4による結合について、それらの各参照配列と比較して90%超の減少を示したことが見出された。(先と同様に、これら33個のほとんどは、1個以上の追加のアミノ酸残基をC末端に有し、いくつかの場合ではC末端領域内の置換と組み合わせて有する)これら33個のうちの32個は、干渉因子による結合について、それらの各参照配列と比較して50%超の減少も示した。これは、33個の事例のうちの32個(すなわち、97%)では、21-4による結合について、(参照と比較して)90%超の減少は、干渉因子による結合について、(同じ参照と比較して)50%超の減少を予測することを実証している。
【0224】
(21-4による結合についての70%超の減少が証拠とされる)干渉因子の結合についてのこのような50%超の減少は、このような干渉因子がもはや、問題のISVのADAアッセイに本質的に干渉しないことを意味することにも留意するべきである:ADAアッセイを使用して実験的に確認することにより、干渉因子による結合が45%超減少する場合、干渉因子の存在がADAアッセイに与える有意な影響は観察できないことが示された。この点において、いくつかの場合で観察されるように、干渉因子による結合が50%よりもはるかに大きい程度(例えば、70%超又はさらに90%超)に減少する場合には、なおさらそのような状況になることも当業者には明らかである(ここで示したデータを再度参照のこと)。
【0225】
実際、21-4による結合についての45%超の減少は、干渉因子の結合についての45%超の減少を示し、これは前述のように、干渉因子がもはやADAアッセイに干渉しないことを意味することが見出された。
【0226】
また、21-4による結合(の減少)と干渉因子による結合(の減少)との間の相関関係についてここで示したデータにより、本発明者らは、21-4による結合の絶対値であって、それ未満では、ISV又はISV系構築物が、ADAアッセイに干渉し得る形で干渉因子による結合の影響を容易に受けないことを(この実施例8で示したデータによって提供される信頼性の範囲内において)予想できる絶対値を設定することができた。以下の実施例9に示されているように、この値は500RUである(実施例9に示されているように決定及び計算される)。
【0227】
モノクローナル21-4は、上記実施例7で得られたハイブリドーマの培養培地から以下のように精製した:モノクローナル抗体21-4-3を分泌するハイブリドーマ細胞を、100mL又は500mLの容量の無血清培地(CD Hybridoma, Gibcoに8mM L-グルタミン(Invitrogen)及び1×コレステロール(250×コレステロール脂質濃縮物、Gibco)を補充したもの)を含むスピナーフラスコ中で培養した。透明の上清をろ過し、マウスIgG1を弱めの流量2mL/分でプロテインAカラム(HiTrap MabSelect SuRe, 5mL, GE Healthcare)上に捕捉した。結合した抗体を0.1Mクエン酸緩衝液(pH3.0)で溶出し、溶出画分(5mL)を1mLの1M TRIS(pH9)で直接中性にした。抗体の純度は、還元SDS-PAGE又は非還元SDS-PAGEによって確認した。
【0228】
ドナー8及びドナー19に由来する干渉因子の精製調製物は、本質的には実施例2Aに記載されているように、前記ドナーに由来する血清サンプルからアフィニティー精製によって得た。ドナー30に由来する干渉因子は、本質的には実施例2Bに記載されているように、ドナー30の血清サンプルから得た。
【0229】
各ナノボディ又はナノボディ構築物への21-4の結合を決定するために、実施例9に記載されているプロトコールを使用した。
【0230】
各ナノボディ又はナノボディ構築物への、3人のドナーに由来する干渉因子の結合は、本質的には実施例3に記載されているようにBiacore T100を使用して、ドナー8、ドナー19及びドナー30のそれぞれに由来する干渉因子を直接固定化したCM5センサーチップを使用して決定した。
【0231】
実施例9:(モノクローナル21-4を使用して)ISVが非特異的タンパク質干渉を受ける傾向を有するかを予測するためのプロトコール。
結合測定は、CM5 T120416センサーチップを使用するBiacore T100を使用して実施した(ランニングバッファー HBS-EP+、25℃)。直接固定化したmAb21-4-3の表面は、効率的に再生できないことが見出されたので、固定化ウサギ抗マウスIgGによって21-4を捕捉した。使用した抗マウスIgGは、すべてのIgGサブクラス、IgA及びIgMと反応するポリクローナルウサギ抗マウスIgG抗体(GE Healthcare; Cat#BR-1008-38; Lot#10056316)であった。抗マウスIgGの固定化は、活性化には7分間のEDC/NHS注入及び非活性化には7分間の1MエタノールアミンHCl(pH8.5)注入を使用する手動のアミンカップリング(Biacore, amine coupling kit)を使用して実施した。結合条件を表XIに列挙する。タンパク質の固定化レベル及び分子量(MW)に基づくと、固定化抗マウスIgGに結合するmAb21-4-3の理論Rmaxは、約13000RUであった(1個のmAb21-4-3分子が1個の抗マウスIgG分子に結合している場合)。
【0232】
【表13】
【0233】
このように固定化した21-4を使用する結合実験(Biacore T100)に使用した条件を表XIIに示す。抗マウスIgGの表面は、mAb21-4-3の捕捉及びすべてのサンプルの注入後にうまく再生できた(各再生後のベースラインレベルがわずかに増加)。
【0234】
【表14】
【0235】
上記プロトコールを使用して、表Xに示されている21-4の結合データを作成した。(ISV、タンパク質又はポリペプチドの分子量についての測定RU値を式([測定RU]/[タンパク質の分子量(MW)]x10に従って調整した後に)RUの絶対値を検討したところ、表Xに記載されているナノボディ又はナノボディ構築物(これらは付加されたアラニン残基を有しており、21-4及び干渉因子の両方への結合について>90%の減少を示した)は、一般に、30RU~400RUのRU値を示したことが見出された(対応する参照ナノボディ又はポリペプチド-図9に列挙されている-は、1000超、通常は1500超及び多くの場合には2000超のRU値を有する)。
【0236】
これに基づいて、このアッセイにおける500未満の(調整)RU値は、ADAアッセイに干渉し得る形で干渉因子によって(本質的には)結合されないISV(又は、本明細書において記載される少なくとも1個のISを含むタンパク質又はポリペプチド)を明確に示すと考えられた。
【0237】
本出願全体を通して引用されたすべての参考資料(参考文献、発行特許、公開特許出願及び同時係属の特許出願を含む)の全内容は、特に本明細書において参照されている教示について、参照により本明細書に明確に組み込まれる。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9-1】
図9-2】
図9-3】
図9-4】
図9-5】
図9-6】
図9-7】
図9-8】
図9-9】
図9-10】
【配列表】
2024050769000001.app
【手続補正書】
【提出日】2024-02-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重鎖可変ドメインを含む、重鎖可変ドメインに基づく、および/または重鎖可変ドメインに由来する免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)であって、前記ISVが、VHドメイン、VHHドメイン、ヒト化VHHドメイン、配列最適化VHHドメインまたはラクダ化VHドメインから選択され、
ここで、前記ISVは、そのC末端にアミノ酸配列VTVSS(X)n(配列番号34)を含み、
nは、1、2、3、4または5であり、各Xは、独立して、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)またはイソロイシン(I)から選択されるアミノ酸残基である、前記ISV。
【請求項2】
nが、1、4または5であり、各Xが、独立して、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)またはイソロイシン(I)から選択されるアミノ酸残基である、請求項1に記載のISV。
【請求項3】
ISVが、一価のISVである、請求項1または2のいずれかに記載のISV。
【請求項4】
Xが、アラニンである、請求項1~3のいずれかに記載のISV。
【請求項5】
nが、1または3であり、Xが、アラニンである、請求項1~4のいずれかに記載のISV。
【請求項6】
nが、1であり、Xが、アラニンである、請求項1~5のいずれかに記載のISV。
【請求項7】
C末端のアミノ酸残基としてVTVSS(配列番号33)を有する同じISV構築物と比較して、タンパク質干渉を生じる傾向が低減または除去された、請求項1~6のいずれかに記載のISV。
【請求項8】
治療における使用のための、請求項1~7のいずれかに記載のISV。
【請求項9】
ISVが、RANK-L、vWF、IgE、RSV、CXCR4、IL-23、または他のインターロイキンなどの治療的に関連する標的に対する使用のためのものである、請求項8に記載の使用のための請求項1~7のいずれかに記載のISV。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重鎖可変ドメインを含む、重鎖可変ドメインに基づく、および/または重鎖可変ドメインに由来する免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISV)であって、前記ISVが、VHドメイン、VHHドメイン、ヒト化VHHドメイン、配列最適化VHHドメインまたはラクダ化VHドメインから選択され、
ここで、前記ISVは、そのC末端にアミノ酸配列VTVSS(X)n(配列番号34)を含み、式中、
nは、1、2、3、4または5であり、各Xは、独立して、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)またはイソロイシン(I)から選択されるアミノ酸残基である、前記ISV。
【請求項2】
nが、1、4または5であり、各Xが、独立して、アラニン(A)、グリシン(G)、バリン(V)、ロイシン(L)またはイソロイシン(I)から選択されるアミノ酸残基である、請求項1に記載のISV。
【請求項3】
ISVが、一価のISVである、請求項1または2に記載のISV。
【請求項4】
Xが、アラニンである、請求項1~3のいずれか一項に記載のISV。
【請求項5】
nが、1または3であり、Xが、アラニンである、請求項1~4のいずれか一項に記載のISV。
【請求項6】
nが、1であり、Xが、アラニンである、請求項1~5のいずれか一項に記載のISV。
【請求項7】
そのC末端のアミノ酸残基としてVTVSS(配列番号33)を有する同じISV構築物と比較して、タンパク質干渉を生じる傾向が低減または除去された、請求項1~6のいずれか一項に記載のISV。
【請求項8】
治療における使用のための、請求項1~7のいずれか一項に記載のISV。
【請求項9】
ISVが、RANK-L、vWF、IgE、RSV、CXCR4、IL-23、または他のインターロイキンなどの治療的に関連する標的に対する使用のためのものである、請求項8に記載のISV。
【外国語明細書】