(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050783
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】駐車場構造およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240403BHJP
E04H 6/00 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
G06Q50/10
E04H6/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024015306
(22)【出願日】2024-02-03
(62)【分割の表示】P 2020019788の分割
【原出願日】2020-02-07
(31)【優先権主張番号】15187121.7
(32)【優先日】2015-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】591069086
【氏名又は名称】パーク二四株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 成夫
(72)【発明者】
【氏名】久保 美穂
(72)【発明者】
【氏名】高木 利幸
(72)【発明者】
【氏名】松田 隆一
(57)【要約】
【課題】 駐車場として用意する土地や空間を、柔軟に、効率的に利用するための技術を提供する。
【解決手段】 駐車場の路面の水平方向を多数に区分する。各区分には、前記の路面に車両が存在する場合に路面には到達しない所定の電磁波を検知する電磁波検知装置を設置する。その電磁波検知装置における電磁波の検知結果である電磁波の検知データを入力データとして受信し、その入力データに基づいて車両の有無および車両が駐車した場合の占有区域とその面積を算出する占有面積算出手段を備えた駐車場構造とする。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場の路面の水平方向を多数に区分し、
各区分には、前記の路面に車両が存在する場合に路面には到達しない所定の電磁波を検知する電磁波検知装置を備え、
前記の電磁波検知装置における電磁波の検知結果である電磁波の検知データを入力データとして受信し、その入力データに基づいて車両の有無および車両が駐車した場合の占有区域とその面積を算出する占有面積算出手段を備えた駐車場構造。
【請求項2】
前記の電磁波検知装置に基づいて駐車した車両が駐車している駐車時間を計測するタイマーと、
そのタイマーが計測した駐車時間および前記の占有面積算出手段が算出した占有面積に基づいて駐車料金を算出する料金算出手段と、
その料金算出手段が算出した駐車料金を出力する料金出力手段と、
を備えた請求項1に記載の駐車場構造。
【請求項3】
車両に対して前記の占有面積算出手段が算出した車両の占有区域とその面積を提供できるか否かを判断する駐車判断手段と、
その駐車判断手段が駐車スペースを提供可能と判断した場合に、駐車スペースを決定する駐車スペース決定手段と、
その駐車スペース決定手段が決定した駐車スペースへ前記の車両を導くための誘導用発光装置と、
その誘導用発光装置による発光を前記の区分毎に制御する制御手段と、
を備え、
前記の制御装置は、前記の駐車スペース決定手段が決定した駐車スペースへ前記の車両を導くために、前記の誘導用発光装置を用いて誘導点灯を実行することとした
請求項1または請求項2のいずれかに記載の駐車場構造。
【請求項4】
車両に対して前記の占有面積算出手段が算出した車両の占有区域とその面積を提供できるか否かを判断する駐車判断手段と、
その駐車判断手段が駐車スペースを提供不可能と判断した場合に、前記の車両を導くための誘導用発光装置と、
を備え、
前記の制御装置は、前記の車両を駐車場から退場させるように導くために、前記の誘導用発光装置を用いて誘導点灯を実行することとした
請求項1または請求項2のいずれかに記載の駐車場構造。
【請求項5】
前記の電磁波検知装置を車両の重さから守るとともに、前記の電磁波検知装置が検知する電磁波を透過させる保護層を備えた
請求項1または請求項2のいずれかに記載の駐車場構造。
【請求項6】
前記の保護層における上面は、前記の路面へ水を滞留させないための傾斜または/および上方へ凸となるように湾曲させて形成した請求項5に記載の駐車場構造。
【請求項7】
前記の路面に積もる雪を溶かすための発熱材を備えた
請求項5に記載の駐車場構造。
【請求項8】
駐車場の路面の水平方向を多数に区分し、
各区分には、前記の路面に車両が存在する場合に路面には到達しない所定の電磁波を検知する電磁波検知装置を備えた駐車場構造の制御装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記の電磁波検知装置における電磁波の検知結果である電磁波の検知データを入力データとして受信する電磁波受信手順と、
その電磁波受信手順にて受信した入力データに基づいて車両の有無および車両が駐車した場合の占有区域とその面積を算出する占有面積算出手順と、
を前記の制御装置に実行させることとしたコンピュータプログラム。
【請求項9】
前記の電磁波検知装置に基づいて駐車した車両が駐車している駐車時間を計測する駐車時間計測手順と、
その駐車時間計測手順にて計測した駐車時間および前記の占有面積算出手順にて算出した占有面積に基づいて駐車料金を算出する料金算出手順と、
その料金算出手順にて算出した駐車料金を出力する料金出力手順と、
を前記の制御装置に実行させることとした
請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記の駐車場構造には、駐車場の路面を発光させて車両を導くための誘導用発光装置を備えており、
車両に対して前記の占有面積算出手順にて算出した車両の占有区域とその面積を提供できるか否かを判断する駐車判断手順と、
その駐車判断手順にて駐車スペースを提供可能と判断した場合に、駐車スペースを決定する駐車スペース決定手順と、
前記の駐車スペース決定手順にて決定した駐車スペースへ前記の車両を導くために、前記の誘導用発光装置を用いて誘導点灯を実行する誘導手順と、
を前記の制御装置に実行させることとした
請求項8または請求項9のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記の駐車場構造には、駐車場の路面を発光させて車両を導くための誘導用発光装置を備えており、
車両に対して前記の占有面積算出手順にて算出した車両の占有区域とその面積を提供できるか否かを判断する駐車判断手順と、
その駐車判断手順にて提供不可能と判断した場合に、前記の車両を駐車場から退場させるように導くために前記の誘導用発光装置を用いて誘導点灯を実行させる退場誘導手順と
を前記の制御装置に実行させることとした
請求項8または請求項9のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場として確保された空間を、駐車場ユーザにとって利便性を向上させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転者に対して車両を駐車する駐車スペースを提供し、運転者から提供の対価を受け取るという駐車場ビジネスは、古くから存在する。提供の対価(料金)は、駐車スペースを占有していた時間(例えば、10分、15分)を単位とすることが一般的である。
【0003】
提供した駐車スペースの広さ(専有面積)の広狭に応じて料金を上下させる場合もある。たとえば、「普通車用スペース」よりも広い「大型車用スペース」を用意しておき、前者の利用料金よりも後者の利用料金を高額に設定するのである。
【0004】
特許情報プラットフォームにおいて、以下の検索式を用いて先行技術文献を調査した。
検索式=[駐車場/TX]*[区分/CL]*[細分/SP]*[単位/SP]
この結果、48件がヒットし、以下の特許文献を検証した。
【0005】
特許文献1には、各車両において積載重量に関連した料金ではなく、道路損傷への影響度の大きさに応じた課金が実現できる課金システム、課金方法、プログラム及び輪重計が開示されている。
【0006】
特許文献2には、駐車スペースの提供とともに、車両が電気自動車である場合の充電サービスを提供する設備に関する技術が開示されている。
すなわち、電力供給状態、すなわち充電が正常な状況によって実行されるかどうかがきちんと把握されなくて充電時間が遅延することを防止し、充電品質を確実に担保することができるうえ、電気料金算定の際に考慮される様々な条件を具体的に適用して正確な課金されるようにすることに重点を置いた技術が開示されている。
【0007】
特許文献3には、大規模な複合用途施設の駐車場の計画、運営に際しては、利用車両の目的別、例えば業務、商業、宿泊、宴会、サービス車両、VIP車両、タクシーなど、曜日別、時間帯別、車室別、用途別駐車時間、契約種別などを考慮する必要がある。実例として施設のデータが存在する場合には、それをも考慮すべきであろう。そうしたシミュレーションを動的に実行可能な技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公表2018-109660号公報
【特許文献2】特開2017-16547号公報
【特許文献3】特開平11-161703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
駐車場として利用している土地や空間は、車両の大きさを想定して予め区分して駐車区画を定めているのが一般的である。それを前提とする場合、駐車を希望する車両に対する柔軟な対応が困難である。
【0010】
たとえば、定められた区画よりも大きな区域とその面積が必要な車両は、駐車することができない。他の車両の出入りに支障を来すこととなるためである。とはいえ、定められた区画を無視して駐車する車両も、時にはある。
【0011】
また、大型車両用の区画が空いているのに、普通車両用の区画が埋まっている場合、駐車できないことはないが、時にはある。大型車両用の区画は、普通車両用のそれよりも駐車料金が高めに設定されているので駐車料金が余分に掛かってしまうが、駐車料金が無料であったり、所定の買い物などによって実質的に無料となったりする場合には、大型車両用の区画へ普通車両が駐車してしまうこともある。
【0012】
上述したような課題を解決するため、駐車場として用意する土地や空間を、柔軟に、効率的に利用することについて検討を重ねた。
本発明が解決しようとする課題は、駐車場として用意する土地や空間を、柔軟に、効率的に利用するための技術を提供することにある。
【0013】
なお、本発明の解決手段に合わせて、以下のような検索式によっても先行する特許文献を検索した。
[駐車/CL]*[検知/SP+検出/SP+計測/SP+測定/SP]*[面積/CL]
この結果、117件がヒットしたので、空きスペースを検知する技術(特開2018-106479号)、区画線を検知する技術(特開2018-116579号)などを検証してみたが、本願発明とは類似していなかった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述した課題を解決するため、駐車場の構造に係る第一の発明、および第一に係る駐車場構造を制御するコンピュータプログラムに係る第二の発明を提供する。
【0015】
(第一の発明)
第一の発明は、駐車場の路面の水平方向を多数に区分し、
各区分には、前記の路面に車両が存在する場合に路面には到達しない所定の電磁波を検知する電磁波検知装置および/または前記の路面を発光させる発光装置を備え、
前記の電磁波検知装置における電磁波の検知の結果を入力データとして受信し、その入力データに基づいて車両の有無および車両が駐車した場合の占有区域とその面積を算出する占有面積算出手段と、
その占有面積算出手段が算出した占有区域とその面積に基づいて前記の発光装置による発光を前記の区分毎に制御する制御装置と、
を備えた駐車場構造に係る(
図17参照)。
【0016】
(用語説明)
「区分」とは、駐車場の路面における駐車可能な部位を所定の境界線にて区切った場合の境界線に囲まれた部位である。区分の形状は、正方形が一般的であるが(
図17、
図1参照)、他の形状でも良い(
図13参照)。
ひとつの区分に電磁波検知装置および発光装置を備えてもよいし、一つの電磁波検知装置を備えた区分に複数の発光装置を備えてもよい(
図12参照)。
【0017】
区分を正方形とした場合、電磁波検知装置を配置する区分の一辺の寸法(
図12において「L」)は小さいほど(製造コストが増加するが)望ましい。占有区域や占有面積の算出が正確になるからである。車両のサイズとの関係から区分の最大寸法は、約500ミリメートルである。最大値を採用した場合、車両の占有面積を算出する単位は、0.25平方メートルが一単位となる。
区分の寸法は10~100ミリメートルが現時点で採用されるが、製造コストが下がれば、もっと小さな寸法でもよい。
【0018】
発光装置を配置する区分は、電磁波検知装置を配置する区分よりも細分化することが望ましい。区分を正方形とした場合、発光装置を配置する区分の一辺の寸法(
図12において「M」)は、
図12においてはM=L/2としている。
【0019】
なお、一つの区分に一つの発光装置とする必要はない。一つの区分に複数の発光装置を備え、更に複数の発光装置が発光する光の色を複数種類としておくことが望ましい。発信する情報の種類を多様化することに寄与するからである。
【0020】
「電磁波検知装置」が検知する「所定の電磁波」とは、駐車場の路面へ達する太陽光(
図9(a)参照)、駐車場を照らすために設置されたLED照明などの人工光(
図9(b)、
図19参照)、超音波(
図14参照)などである。すなわち、「電磁波検知装置」は、光検知装置、超音波受信(受振)装置などとなる。
【0021】
「車両」には、四輪の普通車両の他、大型車両、特殊車両、自動二輪、軽車両(自転車)なども含む。
【0022】
「占有面積算出手段」には、「電磁波検知装置」が検知する「所定の電磁波」に応じた所定の補整手段(補整演算のアルゴリズムおよびその実行手段)が含まれる。補整演算のアルゴリズムとしては、例えば
図10に示す。
なお、「占有区域の面積」とは、駐車をすることによって他の車両が使うことのできない面積とする場合が主である(後述する実施形態においてはこちらの意味)が、車両を投影した面積とする場合もあり、駐車場毎に、あるいは駐車場の管理運営方針などによって、その定義が異なる余地を含む。
【0023】
(作用)
電磁波検知装置は、駐車場に車両が存在しない場合には、全区分において所定の電磁波を検知している。駐車場の路面に車両が入ってきたとする。
その車両が遮ることによって到達しない区分に存在する電磁波検知装置は、電磁波を検知できない。電磁波を検知できる区分とできない区分との入力データを受信することで、占有面積算出手段が当該車両の占有区域とその面積を算出する。
その占有面積算出手段が算出した占有区域とその面積に基づいて、制御装置が発光装置による発光を区分毎に制御する。例えば、車両が駐車した場所の一回り大きな周囲を発光させることで、他の車両が駐車や出庫のために近づくことを抑制する。
【0024】
以上のように、各構成要件が作用することで、車両の大きさが様々であったとしても、駐車している車両が利用している区域を他の場所と区別することができる。その結果、駐車場として用意する土地や空間を柔軟に、効率的な利用に供することとなる。
【0025】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、前記の電磁波検知装置および前記の発光装置を車両の重さから守るとともに、前記の電磁波検知装置が検知する電磁波を透過させ、前記の発光装置が発光する光を前記の路面側へ透過させる保護層を備えるのである(
図1、
図15等参照)。
【0026】
(用語説明)
「保護層」は、単一の材質で構成されている場合の他、異なる材質による複数の層から構成されている場合を含む。電磁波検知装置が検知する電磁波を透過させることができ、発光装置から発光される光を透過させることができる材質が採用される。たとえば、強化ガラス、熱可塑性樹脂などである。使用期間や頻度にて保護層が消耗する場合には、交換容易な構造としておくことが望ましい。
【0027】
(作用)
電磁波検知装置を配置する区分と、発光装置を配置する区分とは、異なる区分とすることで、駐車場構造の製造、運用を合理的にすることができる場合がある。
【0028】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、前記の保護層における上面は、前記の路面へ水を滞留させないための傾斜または/および上方へ凸となるように湾曲させて形成するのである(
図15、
図16参照)。
【0029】
(用語説明)
傾斜や湾曲は、本発明に係る駐車場構造を利用する車両へ乗車している人が違和感を覚えない程度であることが望ましい。
たとえば、「傾斜」の角度は、1~6度程度である。傾斜または/および上方へ凸となるように湾曲は、駐車した車両がサイドブレーキを使っていなくても動かない方向への傾斜/湾曲とすることが望ましい。
路面に多数の溝を設けておき、その溝の凹部上面のみを傾斜させることとしても良い。
【0030】
(作用)
本発明に係る駐車場構造が屋外である場合、降雨による雨水を路面へ滞留させないことに寄与する。
本発明に係る駐車場が屋内である場合でも、清掃その他の事情で水が路面に流れる場合があり得るが、そうした場合にも滞留させないことに寄与する。
【0031】
(第一の発明のバリエーション3)
第一の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、前記の電磁波検知装置に基づいて駐車した車両が駐車している駐車時間を計測するタイマーと、
そのタイマーが計測した駐車時間および前記の占有面積算出手段が算出した占有面積に基づいて駐車料金を算出する料金算出手段と、
その料金算出手段が算出した駐車料金を出力する料金出力手段と、
を備えるのである(
図1等における「精算機」を参照)。
【0032】
(用語説明)
「料金出力手段」は、精算機の出力画面のほか、本発明に係る駐車場構造を管理している管理サーバが存在する場合にはその管理サーバへのデータ送信手段を含む(
図17参照)。
【0033】
(作用)
占有面積に応じた駐車料金を算出することができるので、不公平感の小さな合理的な駐車料金を演算することができる。
【0034】
(第一の発明のバリエーション4)
第一の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、駐車しようとする車両に対して前記の占有面積算出手段が算出した車両の占有区域とその面積を提供できるか否かを判断する駐車判断手段と、
その駐車判断手段が駐車スペースを提供可能と判断した場合に、提供する駐車スペースを決定する駐車スペース決定手段と、を備える。
そして、前記の制御装置は、前記の駐車スペース決定手段が決定した駐車スペースへ前記の駐車しようとする車両を導くために、前記の発光装置を用いて誘導点灯を実行することとするのである(
図7参照)。
【0035】
(作用)
駐車しようとする車両に対して、占有面積算出手段が算出した車両の占有区域とその面積を提供できるか否かを、駐車判断手段が判断する。駐車スペースを提供可能と判断した場合には、提供する駐車スペースを、駐車スペース決定手段が決定する。
制御装置は、駐車スペース決定手段が決定した駐車スペースへ駐車しようとする車両を導くために、所定の発光装置を点灯させたり点滅させたりすることで誘導を実行する。
【0036】
(第一の発明のバリエーション5)
第一の発明におけるバリエーション4は、以下のように形成してもよい。
すなわち、前記の駐車判断手段が駐車スペースを提供不能と判断した場合には、 前記の制御装置は、前記の駐車しようとする車両を駐車場から退場させるように導くために、前記の発光装置を用いて誘導点灯を実行する(
図11のS17参照)。
【0037】
(作用)
駐車判断手段が駐車スペースを提供不能と判断すると、制御装置は、駐車しようとする車両を駐車場から退場させるように、所定の発光装置を点灯させたり点滅させたりすることで誘導を実行する。
【0038】
(第二の発明)
第二の発明は、第一の発明に係る駐車場構造の制御装置のためのコンピュータプログラムに係る。
すなわち、第一の発明における前記の電磁波検知装置における電磁波の検知の結果を入力データとして受信する電磁波受信手順と、
その電磁波受信手順にて受信した入力データに基づいて車両の有無および車両が駐車した場合の占有区域とその面積を算出する占有面積算出手順と、
その占有面積算出手順にて算出した占有区域とその面積に基づいて前記の発光装置による発光を前記の区分毎に制御する発光制御手順と、
を前記の制御装置に実行させることとしたコンピュータプログラムである。
【0039】
(第二の発明のバリエーション1)
第二の発明は、以下のようにすると、より好ましい。
すなわち、前記の電磁波検知装置に基づいて駐車した車両が駐車している駐車時間を計測する駐車時間計測手順と、
その駐車時間計測手順にて計測した駐車時間および前記の占有面積算出手順にて算出した占有面積に基づいて駐車料金を算出する料金算出手順と、
その料金算出手順にて算出した駐車料金を出力する料金出力手順と、を前記の制御装置に実行させることとするのである。
【0040】
(第二の発明のバリエーション2)
第二の発明は、以下のようにすると、より好ましい。
すなわち、駐車しようとする車両に対して前記の占有面積算出手順にて算出した車両の占有区域とその面積を提供できるか否かを判断する駐車判断手順と、
その駐車判断手順にて駐車スペースを提供可能と判断した場合に、駐車スペースを決定する駐車スペース決定手順と、
前記の駐車スペース決定手順にて決定した駐車スペースへ前記の駐車しようとする車両を導くために、前記の発光装置を用いて誘導点灯を実行する誘導手順と、
を前記の制御装置に実行させることとするのである。
【0041】
第二の発明に係るコンピュータプログラムを、記録媒体へ記憶させて提供することもできる。
ここで、「記録媒体」とは、それ自身では空間を占有し得ないプログラムを担持することができる媒体である。例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、DVD-R、フラッシュメモリなどである。
また、この発明に係るプログラムを格納したコンピュータまたは駐車場構造の制御コンピュータから、通信回線を通じて駐車場構造の制御コンピュータへ伝送することも可能である。
【発明の効果】
【0042】
第一の発明によれば、駐車場として用意する土地や空間を、柔軟に、効率的に利用するための駐車場構造を提供することができる。
第二の発明によれば、駐車場として用意する土地や空間を、柔軟に、効率的に利用するための駐車場構造を制御するコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本発明の第一の実施形態に係る駐車場構造の全体を示す概略側面図(一部は断面図)である。
【
図2】本発明の第一の実施形態に係る駐車場構造の作動(車両が移動中)を示す概略側面図(一部は断面図)である。
【
図3】本発明の第一の実施形態に係る駐車場構造の作動(駐車の前後)を示す概略側面図(一部は断面図)である。
【
図4】本発明の第一の実施形態に係る駐車場構造の作動(駐車後)を示す平面図である。
【
図5】本発明の第一の実施形態に係る駐車場構造の作動(駐車中)を示す平面図である。
【
図6】本発明の第一の実施形態に係る駐車場構造の作動(入庫前)を示す平面図である。
【
図7】本発明の第一の実施形態に係る駐車場構造の作動(入庫から駐車への誘導)を示す平面図である。
【
図8】本発明の第一の実施形態に係る駐車場構造の作動(入庫から駐車への誘導)を示す平面図である。
【
図9】本発明の第一の実施形態に係る駐車場構造における「電磁波検知装置」について、補整の必要性を説明するための図である。
【
図10】占有区域を決定するためのフローチャートである。
【
図11】駐車場への入場後に入庫場所を決定するためのフローチャートである。
【
図12】本発明の第二の実施形態に係る駐車場構造の全体を示す概略側面図(一部は断面図)である。
【
図13】本発明の第三の実施形態に係る駐車場構造の全体を示す概略側面図(一部は断面図)である。
【
図14】本発明の第四および第五の実施形態に係る駐車場構造の全体を示す概略側面図(一部は断面図)である。
【
図15】本発明の第六および第七の実施形態に係る駐車場構造の全体を示す概略側面図(一部は断面図)である。
【
図16】本発明の第八および第九の実施形態に係る駐車場構造の全体を示す概略側面図(一部は断面図)である。
【
図17】本発明の第十の実施形態に係る駐車場構造の全体を示す概略側面図(一部は断面図)である。
【
図18】本発明の第十一の実施形態に係る駐車場構造の全体を示す概略側面図(一部は断面図)である。
【
図19】本発明の第十二の実施形態に係る駐車場構造の全体を示す平面図および正面図(一部は断面図)である。
【
図20】本発明に係る駐車場構造がネットワーク化された場合を示す概念図である。
【
図21】本発明に係る駐車場構造がネットワーク化された場合を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施形態について、図面(
図1から
図21)を参照して説明する。本発明は、実施形態に限定されるものではなく、本発明を解釈するための形態である。
【0045】
(
図1)
図1は、平面形状が正方形をなす駐車場の平面図(a)、断面図(b)を示している。
この駐車場の路面は、その水平方向を多数の正方形に区分している。正方形の一辺の寸法は、100~250ミリメートルとした。
【0046】
各区分には、前記の路面に車両が存在する場合に路面には到達しない所定の電磁波(太陽光および/または人工光)を検知する電磁波検知装置が含まれた光感知パネルと、 前記の路面を発光させる発光装置が含まれた発光層と、 その発光層における発光のオンオフを制御する基板と、 前記の電磁波検知装置および前記の発光装置を車両の重さから守るとともに、前記の電磁波検知装置が検知する電磁波を透過させ、前記の発光装置が発光する光を前記の路面側へ透過させる保護層と、からなる。
【0047】
前記の基板は、制御ユニットに接続されており、その制御ユニットには、前記の電磁波検知装置における電磁波の検知の結果を入力データとして受信し、その入力データに基づいて車両の有無および車両が駐車した場合の占有区域とその面積を算出する占有面積算出手段と、 その占有面積算出手段が算出した占有区域とその面積に基づいて前記の発光装置による発光を前記の区分毎に制御する制御装置とを備えている。
【0048】
(精算機)
前記の基板は、精算機にも接続されている。その精算機には、 前記の電磁波検知装置に基づいて駐車した車両が駐車している駐車時間を計測するタイマーと、 そのタイマーが計測した駐車時間および前記の占有面積算出手段が算出した占有面積に基づいて駐車料金を算出する料金算出手段と、 その料金算出手段が算出した駐車料金を出力する料金出力手段と、を備えている。
【0049】
光感知パネルは、光発電パネルにて代用することもできる。併用してもよい。
基板は、区分毎に感知した光の量または発電量を検知することで、区分毎に車両によって光が遮られたか否かを検知できることとなる。
【0050】
保護層は、電磁波検知装置が検知する電磁波を透過させることができ、発光装置から発光される光を透過させることができる材質が採用される。たとえば、強化ガラス、熱可塑性樹脂などの単一の材質で構成してもよいが、異なる材質による複数の層から構成してもよい。
【0051】
(
図2)
図2は、前述の駐車場構造の路面を車両が移動している場合(a)と、徐行している場合(b)を示す。
図2(a)では、車両が移動中、車両に光を遮られる光感知パネルはあるものの、反応を基板へ伝えてはいないとして図示している。
【0052】
図2(b)では、車両が徐行中、車両によって光(真上からの光を想定)を遮られた光感知パネルと、光を遮られていない光感知パネルとが存在する。その旨をハッチングの種類を変更して示している。
【0053】
(
図3)
図3は、前述の駐車場構造の路面で車両が停車した場合(a)と、停車位置で駐車することとなった場合(b)を示す。
図3(a)で示すように、車両の影となって光を遮られた光感知パネルは、検知する光が弱まる。基板を介して、制御ユニットには車両の影となった区分と、そうではない区分とがどれであるかが、電気信号として伝えられる。そして、光感知パネルにおける各区分からの電気信号を解析し、車両が占有する区域とその面積を算出する。車両の占有区域とその面積の決定については、
図9および
図10にて詳述する。
【0054】
制御ユニットは、発光層において、駐車する車両が占有する区域の外周部分に該当する部分を発光させる。
図3(a)では、発光した区分(発光部)のハッチングの種類を変更して示している。車両を運転する運転者に対しては、どの区域へ車両を駐車させるべきであるか、駐車後にどの区域を占有して借りているのか、を発光部によって示すことができる。
【0055】
(
図4)
図4は、本実施形態に係る駐車場構造を備えた駐車場へ、駐車した車両を平面図にて示している。車両が占有する区域よりも一回り広い区域の周囲が発光している。路面に白線を塗装して駐車のための区域を表示してきた従来型の駐車場とは異なり、駐車場全体をフレキシブルに使うことができる。
【0056】
車両が占有する区域よりも一回り広い区域を、その車両が駐車によって借りる区域となる。その区域については、後述するカメラ(
図6など)が、入庫しようとする車両の写真を撮影し、その車両写真を分析した結果を用いることで、より細かな区域設定を可能となる。
たとえば、右ハンドルの車両であれば、駐車した車両のハンドル側をやや広めとして乗降のしやすさを考慮した区域設定とすることができる。また、荷物を積んだ車両であれば、駐車した車両の後方に「荷さばきスペース」を設けた区域設定とすることができる。
【0057】
(
図5)
図5では、駐車を終えて運転者が車両を離れた状態(a)と、車両に人が近づいた状態(b)とを示す。
図5(a)では、運転者が車両を離れ、周囲に人や車両が存在しない場合には、発光層による発光は不要であるため、消灯している状態を示している。
【0058】
図5(b)では、駐車場または駐車している区域へ近づく人がいる旨を、図示を省略した人感センサが検知し、車両が駐車して占有している領域を示すために、発光層の所定の区分を発光させた状態を示している。
なお、図示を省略するが、駐車場内で他の車両が近づいてきた場合には、その旨を光感知パネルが検知するので、同様に、発光層の所定の区分を発光させる。
【0059】
(
図6)
図6では、一般道に面して本実施形態に係る駐車場構造を備えたL字形をなす駐車場へ、既に駐車中の車両とは別に、駐車しようとしている車両が現れた旨を、平面図にて示している。
一般道からの駐車場の入口には、入庫しようという車両を検知したら開放されるゲート(小規模な駐車場やナンバープレート撮影で代用する駐車場などではゲートが無い場合もある)と、入庫しようとする車両の車種やナンバープレートを撮影するカメラまたは車両の存在を検知可能なセンサが備えられている。
【0060】
(
図7)
図7では、駐車しようとしている車両が駐車場へ入場した場合を示している。
駐車しようとしている車両の運転者に見えるように、駐車すべき場所への誘導のため、発光パネルの所定区分が、誘導のために点灯している。
また、誘導のための点灯の先には、駐車のための区域を示す発光パネルの所定区分が点滅している。
【0061】
(
図8)
図8では、
図6および
図7で示した駐車しようとしている車両が一般道から駐車場へ入ろうとする直前と直後について、当該車両と本実施形態に係る駐車場構造との関係を示している。
【0062】
図8(a)では、車両が一般道から駐車場へ入ろうとする直前を平面図で示し、
図8(b)では、その状態の際における駐車場構造について車両を省略した状態として示している。駐車場と一般道との境目にある光感知パネルに光が遮られた部位がある状態では、車両が占有する区域およびその面積が決定されない。
【0063】
図8(c)では、車両が駐車場へ入った直後を平面図で示し、
図8(d)では、その状態の際における駐車場構造について車両を省略した状態として示している。駐車場と一般道との境目にある光感知パネルには、光が遮られた部位がなくなっている。車両が駐車場内に完全に入ったからである。
【0064】
それ以後のある瞬間において、光感知パネルに光が遮られた部位がどこであるか、というデータに基づいて制御ユニットが、当該車両が駐車した場合に占有する区域およびその面積を算出する。そして、算出した区域を提供できる場所を算出し、その場所へ車両を誘導するための点灯命令を、所定の発光パネルに対して出力する。
【0065】
図9(a)では、光検知パネルが検知する光が太陽光(真上からではなく、且つ時刻および季節によって変化する光)である場合、車両によって太陽光を遮られた光検知パネルと、車両が占有する区域とは不一致であるので、駐車場のある地域(地理的な位置)、時刻および季節に応じた補整が必要である旨を、概念的に示している。
【0066】
図9(b)では、光検知パネルが検知する光が人工光(真上からではなく、且つ拡散する光)である場合、車両によって人工光を遮られた光検知パネルと、車両が占有する区域とは不一致であるので、人工光の種類、設置場所、光を受ける駐車場における場所に応じた補整が必要である旨を、概念的に示している。
【0067】
屋外の駐車場の場合、曇天や雨、夜間にも駐車場所の提供はなされるので、太陽光のみという場合はなく、人工光との組み合わせとなる。
地下駐車場などの屋内駐車場においては、人工光による補整のみとなる場合もある。
【0068】
(
図10)
図10では、車両が占有する面積を算出して決定する手順のアルゴリズムを示している。
「占有する面積」とは、車両を投影した面積ではなく、駐車をすることによって他の車両が使うことのできない面積であり、駐車料金を決定する場合に必須の値となる。
【0069】
光感知パネルが受光する区分毎の光の濃淡についてのデータを、基板を介して制御ユニットが取得する(S1)。
【0070】
続いて、光感知パネルが受光した光のうち、太陽光の強さが所定値よりも強いか否かを判断する(S2)。所定値よりも弱い場合、人工光が遮られた区分から車両の占有する面積を算出することとなるので、人工光の場合の補整にデータを人工光角度データベースから取得する(S6)。
なお、前記の人工光角度データベースは、駐車場の路面が受光する人工光について、その駐車場内の場所に応じて異なってくるため、予め計測し、データベース化しておく必要がある。
【0071】
所定値よりも強い場合、太陽光が遮られた区分から車両の占有する面積を算出することとなるので、太陽光の場合の補整に必要な日付および時刻を取得する(S3)。取得した日付および時刻に基づいて、太陽光の角度に関するデータベースから太陽光の角度データを取得する(S4)。
【0072】
各種のデータを用いて、太陽光による占有面積の算出アルゴリズムを実行し(S5)、あるいは前述した人工光による占有面積の算出アルゴリズムを実行し(S6)、車両の占有面積および占有区域を決定する(S7)。
【0073】
(
図11)
図11は、車両が駐車場へ入場した後に、駐車すべき場所を決定し、駐車場所へ案内するアルゴリズムを実行する場合のフローチャートである。
【0074】
まず、入場してきた車両がどのような占有区域を要するか、を決定する(S11)。なお、どのような占有区域を要するか、については、
図8(a)~(d)を用いて説明した。
【0075】
続いて、決定した占有区域を、その駐車場が現時点で提供できるか否か、を判断する(S12)。提供できないと判断した場合には、退場への道案内を表示することとなる(S17)。そしてその場合、その車両が駐車場から退場した旨を確認し、終了する(S18)。
【0076】
決定した占有区域を提供できる場合、その車両が駐車すべき場所を決定する(S13)。そして、その駐車場所へ当該車両が移動するための案内表示(
図8(c)、(d)など)を、制御ユニットによる発光層に対する区分への制御によって実行する(S14)。
【0077】
案内表示にしたがった車両が移動する旨は、光感知パネルにおける光を受光しない区分がどのように変化するか、によって制御ユニットにおいて把握できる。その移動に応じた別の案内表示が必要であれば、案内表示も移動させる(S15)。
【0078】
案内によって導いた駐車すべき区域(
図7に図示)へ車両が停車したら、その区域における光感知パネルが光を受光しなくなるので、駐車場所へ停車した旨を制御ユニットにおいて把握できる(S16)。停車して所定時間が経過したことを検知することで、駐車場所への案内を終了する(S19)。
【0079】
(
図12)
図12は、光感知パネルの区分と発光層の区分とが異なる場合について示す平面図(a)および断面図(b)である。
光感知パネルを形成する区分の一辺の長さLに対して、発光層を形成する区分Mは、二分の一としている。具体的なLの寸法としては100ミリメートル、Mは50ミリメートルとした。しかし、本発明がこれらの寸法や前述の比である必要はない。
【0080】
Mについては、小さければ小さいほど、駐車場の利用者(車両の運転者に限らない。たとえば、駐車場の近くを歩行する人など)に対する情報提供が多彩化できる。
【0081】
(
図13)
図13は、光感知パネルの区分の形状を正方形ではなく正六角形とし、発光層の区分を形成する形状を前記の正六角形を六等分する正三角形とした場合について示す平面図(a)および断面図(b)である。
この図で示したように、光感知パネルの区分の形状も発光層の区分の形状も、正方形に限られない。
【0082】
(
図14)
図14は、太陽光や人工光ではなく、超音波を用いて車両が占有する区域や面積を算出する場合を示す側面図(一部断面図)である。
【0083】
図14(a)は、人工光のように駐車場における駐車には支障のない場所へ立設させた超音波の発振装置を備えるとともに、保護層の下部には超音波受信パネルを備えた実施形態を示す。図示は省略しているが、超音波を受信した超音波受信パネルの区分と車両が占有する区域との関係は、当該駐車場の場所毎にデータテーブルを予め作成しておく必要がある。
【0084】
図14(b)では、
図14(a)の超音波発振装置に代わって、発振した超音波の反射を受信可能な受信装置をも備えた受発振装置としている。
反射してきた超音波の受信を完全に近いレベルで、且つほぼ正確に受信できるならば、保護層の下部に備えることとして図示している超音波受信パネルが省略できる。
【0085】
(
図15)
保護層における上面は、前記の路面へ水を滞留させないための傾斜または/および上方へ凸となるように湾曲させて形成することが望ましい。駐車場が屋外である場合には雨水が滞留しないようにするためであり、駐車場が屋内であっても清掃時などに水を使う場合があるためである。
【0086】
図15(a)では、保護層、光感知パネル、発光層および基板からなる構造全体を傾斜させている。傾斜角度θaは、0.5~6度ほどが一般的である。ただし、本発明を採用する場所によって、適正な傾斜角度は異なる。
【0087】
なお、傾斜の方向は、駐車する車両の前後方向ではなく、原則として左右方向とすべきである。車両のサイドブレーキかけ忘れがあったとしても、車両が動いてしまわないためである。
【0088】
図15(b)では、路面の上面を形成することとなる保護層のみで傾斜を形成する場合を示している。この実施形態における保護層は、駐車する車両の下方が山となり、左右方向へ下方傾斜させるように形成している。傾斜角度θbは、0.5~6度ほどが一般的であるが、これも駐車場毎に適正値が異なる。
図15(a)と比べた場合、運転者など車両に乗る乗車者へ違和感を与えにくいというメリットがある。
【0089】
図16(a)では、保護層のみを一方向へ傾斜させている実施形態を示す。傾斜角度θcもまた、0.5~6度ほどが一般的であるが、これも駐車場毎に適正値が異なる。
【0090】
図16(b)では、保護層のみを上に凸となるような湾曲をさせている実施形態を示す。湾曲させた部位の平均的な傾斜角度θdもまた、0.5~6度ほどが一般的であるが、これも駐車場毎に適正値が異なる。
【0091】
(
図17)
図17は、光感知センサと発光部とを交互に備えた実施形態である。
図1等で示した実施形態では、発光層が発光する光を光感知センサが遮らないような構造として示したが、この実施形態では光感知センサおよび発光部は直接、基板へ接続されている。
【0092】
図示を省略しているが、発光部の配置密度は、光感知センサの配置密度よりも高めることが望ましい。単位面積当たりの発光部の数が多いほど、発信できる情報の種類や精度を高められるからである。
【0093】
保護層を備えていない点も、前述までの実施形態と異なる。これは、光感知センサの上部および発光部の上部のいずれも、それぞれに主要部分を保護するための構造を備えているためである。
ただし、
図15(b)、
図16(a),(b)に示したような実施形態の作用効果を奏するためには、上面全体を覆う保護層を形成する方が合理的である。
【0094】
(
図18)
図18に示す実施形態では、発光部に発熱材を備えており、積雪のある地域における駐車場構造として提供する。この図では、発光部全てではなく、ひとつ置きに備えることとしている。発熱材は、基板を介して提供される電気エネルギを熱エネルギに変換し、路面の積雪を溶かす機能を果たす。
【0095】
図示は省略するが、保護層を備える実施形態において、保護層へ発熱材を備えることとしてもよい。発光部が発光の際に発熱を伴うものであれば、前述の発熱材は省略可能である。
発熱材に代わって、水または温水を路面に対して噴出させて雪を溶かす構造としてよい。融雪が可能な水温の水を得られる場所では、そうした水を少量ずつ流す構造を備えることで発熱材に代替させることもできる。
【0096】
(
図19)
図19は、光感知センサが受講する光が太陽光や人工光である場合に必要となる補整手段(
図10のアルゴリズム処理など)をなくすことが可能な実施形態を示す。
すなわち、駐車場の入口に、駐車しようとする車両を通過させる屋根のような構造体と、その屋根の下面に設置した検査光ライトとを備えた検査光の発射装置である。その検査光ライトによって車両の平面形状を投影可能な検査光の発射装置を備えている。この検査光の発射装置は、拡散しにくい検査光を発光することで、車両の平面形状を投影した陰となる光感知センサでは検査光を検知せず、車両の陰となっていない光感知センサでは検査光を検知できるようにしている。
【0097】
検査光の発射装置は、その駐車場へ駐車可能な車両の大きさを想定して作られている。したがって、この装置において検査光を透過させない車両の陰がはみ出るような車両が通過した場合には、予め予約された車両などを除き、その車両に退場を促すなど、例外処理を実行する。
【0098】
(
図20)
図20は、複数の駐車場A,B,Cに、それぞれ本発明に係る駐車場構造を採用した場合、制御ユニットにて受信したり処理したりするデータを駐車場管理サーバへ送信するデータ送信装置を備えている旨を、概念的に示したものである。
【0099】
駐車場管理サーバでは、各駐車場A,B,Cから送信されるデータをデータ受信装置によって受信し、駐車場管理データベースへ蓄積する。
【0100】
なお、図示を省略しているが、駐車場管理サーバから各駐車場A,B,Cへデータを送信することも可能である。送信するデータには、制御ユニットにて実行するコンピュータプログラムなどを含む。そのため、制御ユニットにて実行するコンピュータプログラムを更新することが容易となる。
【0101】
(
図21)
図21は、
図20で示したデータ送信装置を精算機としたものである。各駐車場A,B,Cにおける制御ユニットと精算機とは双方向でデータの送受信を実行するが、その精算機を介して駐車場管理サーバへ各種のデータを送信することができるようにしたものである。
【0102】
図21に示す実施形態によれば、駐車料金やその料金算出の根拠となったデータを駐車場管理サーバが受信できる。それらのデータ収集とその収集データの分析によって、より合理的な駐車場の運営管理に寄与する。
【0103】
なお、図示を省略しているが、駐車場管理サーバから各駐車場A,B,Cへデータを送信することも可能であるのは、
図20の実施形態と同様である。送信するデータには、精算機にて実行するコンピュータプログラム、制御ユニットにて実行するコンピュータプログラムなどを含む。
【0104】
前述してきた実施形態によれば、駐車場として用意する土地や空間を、柔軟に、効率的に利用するための駐車場構造を提供することができる。たとえば、駐車によってその車両が占有する区域を合理的に配置することが可能なので、駐車できる台数を増やしたり、規格外の占有をする車両に対して合理的な課金をしたりするなど、柔軟な対応を可能とする。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、駐車場の設備製造業、駐車場の管理業、駐車場および貸し出し用車両を利用したカーシェアリング事業やレンタカー事業、駐車場管理用データの通信機器の製造業、データ通信におけるデータ管理業、駐車場の制御ユニットや駐車場管理サーバにおけるアプリケーションソフトウェアの開発業、などにおいて利用可能性を有する。