(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050793
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】キラル液晶構造によるバンド端強化発光を用いた発光電気化学セル
(51)【国際特許分類】
H10K 50/135 20230101AFI20240403BHJP
H10K 85/30 20230101ALI20240403BHJP
H10K 85/10 20230101ALI20240403BHJP
H10K 50/11 20230101ALI20240403BHJP
H10K 50/85 20230101ALI20240403BHJP
H10K 50/818 20230101ALI20240403BHJP
H10K 50/82 20230101ALI20240403BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
H10K50/135
H10K85/30
H10K85/10
H10K50/11
H10K50/85
H10K50/818
H10K50/82
C09K11/06
C09K11/06 660
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024015586
(22)【出願日】2024-02-05
(62)【分割の表示】P 2020573336の分割
【原出願日】2019-06-28
(31)【優先権主張番号】62/691,865
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518319115
【氏名又は名称】レッド バンク テクノロジーズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】マグノ ジョン エヌ
(72)【発明者】
【氏名】コック ジーン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】キラル液晶材料を含む発光電気化学セルデバイスを提供する。
【解決手段】デバイスのキラル液晶材料混合物は、電解質及び発光材料の両方として機能する。キラル液晶材料混合物は、フォトニックストップバンドを生成するフォトニック結晶構造を形成する。フォトニックストップバンドの存在により、発光電気化学セルデバイスは、改善されたエネルギー効率で発光することが可能になる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの電極と、材料を含む層と、を含む発光電気化学セルであって、
前記層は、前記2つの電極の間に配置されており、
前記層の材料は、キラル液晶相である、
発光電気化学セル。
【請求項2】
前記材料は、有機材料又は有機金属材料のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の発光電気化学セル。
【請求項3】
前記材料は、イオン性である有機金属材料を含む、請求項2に記載の発光電気化学セル。
【請求項4】
前記キラル液晶相は、キラルネマチック液晶相である、請求項1に記載の発光電気化学セル。
【請求項5】
前記材料は、ポリマー材料を含む、請求項1に記載の発光電気化学セル。
【請求項6】
前記ポリマー材料は、光重合されている、請求項5に記載の発光電気化学セル。
【請求項7】
前記材料は、ガラス相を含む、請求項1に記載の発光電気化学セル。
【請求項8】
前記2つの電極のうちの少なくとも1つは透明である、請求項1に記載の発光電気化学セル。
【請求項9】
前記電極のうちの1つは光反射性である、請求項8に記載の発光電気化学セル。
【請求項10】
前記材料は、1つ以上のエレクトロルミネセンス材料を含む、請求項1に記載の発光電気化学セル。
【請求項11】
前記材料は、一次元フォトニック結晶として働く、請求項1に記載の発光電気化学セル。
【請求項12】
前記材料は、前記層内に位置する任意の発光材料の発光スペクトルにおいてフォトニックストップバンドを示す、請求項11に記載の発光電気化学セル。
【請求項13】
前記層内のルミネセンス材料が、前記フォトニックストップバンドの端部の波長で発光する、請求項12に記載の発光電気化学セル。
【請求項14】
前記材料は、誘導放出によって発光する、請求項13に記載の発光電気化学セル。
【請求項15】
前記材料は、構造:
【化1】
を有する分子を含み、ここで、Aは、剛直な、棒状又は短冊状の芳香族部分であり、Sは可撓性のスペーサであり、Cは架橋基であり、X
-は負に帯電した対イオンである、請求項1に記載の発光電気化学セル。
【請求項16】
前記架橋基は、光架橋基である、請求項15に記載の発光電気化学セル。
【請求項17】
前記材料は、構造:
【化2】
を有する分子を含み、ここで、Aは発色団であり、Sは可撓性のスペーサであり、Bは光重合を受けやすい末端基である、請求項1に記載の発光電気化学セル。
【請求項18】
前記材料は、液晶構造を含む、請求項17に記載の発光電気化学セル。
【請求項19】
可撓性スペーサSのうちの1つ又は両方は、光学活性中心を含む、請求項17に記載の発光電気化学セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2018年6月29日に出願された米国仮特許出願第62/691,865号の出願日遡及の利益を主張するものであり、当該出願の開示は、本明細書に参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
発光電気化学セル(LEC)は、有機又は有機金属材料のエレクトロルミネセンスを用いた発光素子である。LEC及び有機発光ダイオード(OLED)は、両方とも、2つの電極間に挟まれた1つ以上の有機材料の層からなる。上記の2つの違いは、OLEDでは、電子及び正孔電荷キャリアがデバイスの外部で発生してカソード又はアノードを通じて有機材料に注入されるが、LECでは、イオン性電荷キャリアが、電極で電子との反応によって又は電子の損失によって発生し、このときイオン性電荷キャリアがデバイス内を移動することである。最初に製造されたLECは、高分子発光材料(総じてOLEDに使用されるものに非常に似ている)と、固体電解質とからなる有機層を有した(Q.B.Pei,et al.,Science 269,1086-1088(1995))。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】発光材料及び電解質の両方として働く、従来技術のイオン性遷移金属錯体の図である。
【
図3】電解質及び発光材料として機能するルテニウムII含有イオン性遷移金属錯体の一般的化学構造である。
【
図4】
図3のルテニウムII錯体のより詳細な構造を示す図である。
【発明の概要】
【0004】
この開示による実施形態は、キラルネマチック液晶構造を有する有機層を含み、液晶ポリマーマトリックスに使用される大量の電解質の混合物はその目的にそぐわないと考えられる。LECでは、電極間に有機材料の単層又は有機材料の混合物の単層しか存在しないことから、IMTCのみの使用は、単一の有機材料を含む有機発光素子の概念を導入し、OLEDを大幅に単純化する。一重項発光ポリマーと対照的に、IMTCは三重項発光体(リン光材料)であることから、IMTCベースのデバイスは、初期のポリマーベースのLECよりもエネルギー効率が大きい可能性もある。IMTCを使用しても、このときに製造されたLECは、光出力及びその製造のエネルギー効率の両方で制限されている。有機相の中心においてイオンの相互作用によって生じる励起子は、十分な移動性を有し、ポーラロン又はその他の種に遭遇し、次いでクエンチされることから、これはかなりの部分である。
【0005】
発光電気化学セル(LEC)200の構造を
図2に示す。LECは、光透過性材料又は光反射性材料のいずれかから形成され得る第1の電極202を含む。第1の電極202が光透過性である場合、該電極は、酸化インジウムスズ、酸化スズ、グラフェン又は何らかの他の好適な光透過性材料から形成され得る。第1の電極202が光反射性である場合、該電極は、アルミニウム、マグネシウム/アルミニウム合金、又は何らかの他の好適な光反射性材料から形成され得る。
本発明のLEC200は、更に、第1の電極202の表面上に形成された導電性液晶配向層204を含む。この層204は、電荷キャリアを、第1の電極からキラル液晶有機材料層208へと伝導する。この層204は更に、液晶性流体材料層がその上面206上に形成されたとき、層204の表面に隣接する液晶性流体材料の棒状分子は、その長軸がすべて同じ方向を向き(液晶相内のランダムな熱振動が許す限り)、かつその長軸が液晶配向層204の表面206に平行な状態で、均一に配向されるという特性を有する。導電性液晶配向層204は、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)のラビング層、米国特許第9,508,942号明細書に記載のもののような導電性液晶光配向層、又は当該技術分野で公知のようなその他の導電性液晶配向層であってもよい。
本発明のLEC200は、更に、キラル液晶有機材料層208を含む。この層は、キラル液晶構造を有し、該構造では、層内の棒状分子が、その長軸が表面206と平行となるように配向され、その長軸の方向は、層208を上向きに通ったときにらせん状にねじれている。この配列を、棒状の物体212の配列によって概略的に(ただし、大きく拡大して)図示している。この配列は、キラルネマチック(コレステリックとも呼ばれる)液晶秩序を有する層208の材料から得られることが好ましい。層208の材料は液晶性流体であってもよいが、該材料は固体であることが好ましい。材料が固体の場合、それはキラル液晶ガラスであってもよいが、材料は、キラル液晶性流体前駆体モノマー材料を含む層を重合して、分子の架橋によってキラル液晶構造が適所に固定されたポリマーにすることで形成されたポリマーであることが更に好ましい。前駆体モノマーの重合は、放射への曝露によって達成されることが好ましく、放射は紫外線であることが更に好ましい。
LEC200は、第2の電極210を更に含む。第2の電極210は、光透過性材料又は光反射性材料のいずれかから形成されてもよい。ただし、第1の電極204が光反射性材料から形成された場合、第2の電極210は光透過性材料から形成されなければならない。第2の電極210が光透過性である場合、該電極は、酸化インジウムスズ、酸化スズ、グラフェン又は何らかの他の好適な光透過性材料から形成され得る。第2の電極210が光反射性である場合、該電極は、アルミニウム、マグネシウム/アルミニウム合金、又は何らかの他の好適な光反射性材料から形成され得る。
【0006】
バイアス電圧によってLECの前後に電位が生じた場合、電極202及び210のうちの1つは、この2つの電極のうちのもう1つに対してアノードとして働き、1つはカソードとして働く。第1又は第2の電極のいずれかがアノード又はカソードとして働き得る(
図2に示す例では、電極202がアノードとみなされ、電極210がカソードとみなされる)。キラル液晶有機材料層208の材料は、電解質として機能する。層208中の分子種は、アノード202において酸化されて陽イオンになり、カソード210において還元されて陰イオンになる。カソード210に隣接する領域218の材料は、負にドープされているかのように働く。アノードに隣接する領域214の材料は、正にドープされているかのように働く。層208の前後の電位差が大きくなるにつれて、この「ドープ」層は、電極から層208の中央へ向かって内向きに成長する。ドープされた領域は、OLEDにおける電極と同様に働き、キラル液晶有機材料層208の中央にある領域216の「非ドープ」材料中に、正孔を注入(カソード210に近い「ドープ」材料領域218から)、及び電子を注入(アノード202に近い「ドープ」材料領域214から)する。
【0007】
キラル液晶有機材料層208内の材料は、電解質として働くだけでなく、エレクトロルミネセンス材料としても働く。電子及び正孔は、それぞれ領域218及び214から領域216へ注入されると、再結合して、領域216の中央で層208内のキラル液晶有機材料のエレクトロルミネセンス分子上で励起子を形成する。これらの励起子は、崩壊して光を放出する。
上記のように、キラル液晶有機材料層208は、その液晶秩序により自発的にらせん構造に配向する棒状分子を含む。層208の液晶材料は、光学異方性であり、関連する電気ベクトルが棒状分子の長軸の方向を向いている光に対する屈折率(ne)は、関連する電気ベクトルが棒状分子の長軸方向に垂直な方向の1つを向いている光に対する屈折率(no)よりも値が高い。ゾーン216の中央で放出された光は、層208のらせん構造に遭遇し、その際に2つの円偏光成分(右回り及び左回り)に分解される。例えば、層208のらせん構造が右回りらせんの場合、層208の平面に垂直に放出され、その波長が
λ=nP
(式中:λは発光の波長であり、
n=(no+ne)/2であり、
Pは層208のらせん構造のピッチである)
によって与えられる右回り円偏光の電気ベクトルは、屈折率が一定値である媒質に遭遇する。これは、右円偏光の電気ベクトルは、遭遇するらせん構造に同期して回転するからである。他方では、層208の平面に垂直に放出された同じ波長の左円偏光は、屈折率がneとnoとの間で周期的に振動する媒質に遭遇する。この媒質は、左円偏光に対するフォトニック結晶として働く。このようなフォトニック結晶の特性として、フォトニック結晶内の発光材料はスペクトル幅Δλ=λΔn/n(ここで、Δn=no-ne)の波長帯(「ストップバンド」)では発光できない(光伝播に関する波動方程式に解が存在しない)。しかし、光は、バンドの端部において真空中よりも高い強度で発光され得る。更に、バンド端で放出された光は、フォトニック結晶に閉じ込められ、又は捕獲され、フォトニック結晶の中央における光子密度の上昇を招く。
【0008】
上記のデバイス200におけるフォトニック結晶構造の効果の説明から、領域216の中央の発光分子がキラル液晶構造によって形成されるストップバンドのバンド端におけるエレクトロルミネセンスによって発光した場合、高密度の光子が領域216の中央に蓄積すると考えられる。光子は、領域216で形成された励起子と相互作用して、より多くの左円偏光(キラル液晶有機材料層208内のらせん構造が自発的に左回りらせんを形成する場合には右円偏光)の発光を誘導する。左円偏光の誘導放出は、すべての発光が左回りに偏光され、誘導されるまで蓄積する。すべての発光はまた、表面206の平面にほぼ垂直な角度の小さな円錐状にある。これは、デバイス200内で、層の境界面(例えば、電極202及び210と層208との間)における内部反射による光の損失をほぼ排除する。
【0009】
図1の100に類似した有機金属電解質の使用に伴う1つの問題は、これらが三重項発光体であることである。ほぼすべてのエレクトロルミネセンス材料において、発光は、励起状態の分子軌道を占有する電子が、非励起状態のままの不対電子によって既に占有されている基底状態の分子軌道に戻るときに生じる。励起状態の電子が、基底状態の分子軌道にある電子と反対のスピン状態を有する場合、励起状態は一重項状態と呼ばれ、その発光は一重項発光と呼ばれる。励起状態の電子が基底状態の不対電子と同じスピン状態にある場合、励起状態は三重項状態と呼ばれ、発光は三重項発光と呼ばれる。三重項状態の電子が基底エネルギー状態に戻ることは、量子力学的に禁止される。結果として、ほとんどのエレクトロルミネセンス材料では、一重項発光のみが起こる。これらの材料における三重項励起状態の電子は、発光を伴わない機構によってゆっくりと基底状態に戻る。三重項状態励起は一重項励起の3倍存在することから、発光分子が一重項及び三重項の両方で発光することは非常に有利である。
図1のトリス(2,2’ビピリジル)ルテニウム(II)ヘキサフルオロホスフェートのような重金属原子含有発光材料は、三重項と一重項を合わせた発光体として働き、これは重金属原子の存在が、三重項励起状態の分子軌道を摂動させ、より短い時間で三重項励起からの発光を誘発するスピン軌道相互作用を引き起こすからである。基底エネルギー状態に戻る励起状態の電子に励起子がそのエネルギーを与えることを伴う競合機構がいくつか存在する。励起子からの発光が十分に短い時間で起こらなければ、非発光(無放射)プロセスの1つが優勢となる。重金属原子の存在は三重項発光に必要な時間を短縮するが、なおも、三重項励起子がLEC内で形成されたイオン性電荷キャリア及びポーラロンとの無放射性相互作用を起こすのに十分な時間がある。これらの無放射性相互作用は、IMTC型LECにおいて発光のエネルギー効率を大幅に制限している。
これらのOLEDのらせんキラル構造における光子密度が非常に高いことから、光子-励起子相互作用によって誘導される発光は、自発的な一重項励起子発光よりも更に短時間で起こる。従って、誘導放出は、三重項励起子を捕集する重金属誘起自然放出を素早く「短絡」し、無放射機構による光の損失を大幅に制限する。キラルバンド端効果を利用したLECは、従来のLECよりもはるかにエネルギー効率が大きい。
【0010】
層208に使用するためのキラル液晶有機材料の例は、
図3の一般構造300を有するルテニウムII含有電解質及び発光材料を使用する。ここで、Aは、剛直な、棒状又は短冊状の芳香族部分であり、Sは可撓性のスペーサであり、Cは架橋基(好ましくは光架橋基)であり、X
-は負に帯電した対イオンである。この種のイオン性材料は、LECデバイスにおいて電解質及び三重項発光体の両方として働き得る。棒状構造A及び可撓性スペーサSが材料の全体構造300に含まれることは、材料配合物のキラル液晶相の安定性を不適切に低下することなく、層208に使用するためのキラル液晶材料の配合物に材料300を高い割合で組み込むことができることを意味する。
ルテニウムII含有イオン性材料のより具体的な例は、
図4の構造400に示されている。ここで、nは1~12の何らかの整数であり、nの値はおそらく構造中の各位置で変動し、mは3~14の整数であり、Yはメタクリル基、ビニルエーテル基、マレイミド基、フマレート基、マレエート基又は他の好適な光架橋基から選択されてもよい。
【0011】
図3及び
図4に示すような構造を有する材料は、材料を構成するための純粋な材料としてキラル液晶有機材料層208に使用したとき、使用可能な温度範囲で安定なキラル液晶相を有する可能性が非常に低い。更に、
図3及び
図4に示す材料は、必要に応じて層208において適切なピッチでらせん構造を誘発するのに、キラル添加剤ほど有用ではないと考えられる。この理由から、層208の材料組成物は、追加の液晶材料、例えば、米国特許第6,867,243号明細書に記載されている一般構造:
B-S-A-S-B
を有する分子と化合されてもよく、ここで、Aは発色団であり、Sは可撓性のスペーサであり、Bは光重合を受けやすい末端基である。この用途で特に有用な材料は、米国特許出願公開第2017/033290号明細書に記載の分子構造B-S-A-S-Bを有するものであり、ここで、発色団Aは棒状又は短冊状であり、構造単位
【化1】
を含み、ここで、n=2~10であり、点線の結合線は構造単位を分子の残りの構造に接続する。その他のこの用途で特に有用な材料は、国際公開第2018/06578号に記載の分子構造B-S-A-S-Bを有する材料であり、ここで発色団Aは棒状又は短冊状であり、構造単位
【化2】
を含み、ここで、n=2~10であり、「X部分は、水素、直鎖若しくは分枝状C
1~C
8アルキル、直鎖若しくは分枝状C
1~C
8アルコキシ及びハロゲンからなる群から選択され」、点線の結合線は構造単位を分子内の残りの構造に接続する。層208に使用されている材料は、その分子軌道構造が非占有分子軌道(そのエネルギー準位は、発光を得ようとする励起子からのエネルギーが空の分子軌道に移送されて消光するようなものである)を含まないことに注意しなければならない。
【0012】
キラル液晶有機材料層208に使用される材料は、キラルドーパントも含有し得る。特に有用なキラルドーパントは、構造
B-S-A-S-B
を有し、上記及び米国特許第6,867,243号明細書又は米国特許出願公開第2017/033290号明細書又は国際公開第2018/065786号に記載のとおりであるか、又は上記の特許文献の1つ以上からの構造の組み合わせで、可撓性スペーサの1つ又は両方が光学活性中心を含むものである。
【0013】
特記のない限り、本明細書で論じた又は述べたすべての特許、特許出願、論文及びその他の出版物は、その全体が本明細書に記載されているかのように参照により援用される。
上記の開示された実施形態の説明は、当業者が本発明を作製又は使用できるようにするために提供されている。上記の実施形態の様々な変形が当業者には容易に明らかであり、本明細書に記載の一般原理は本発明の精神又は範囲から逸脱することなく他の実施形態に適用できる。従って、本明細書に示す記述及び図面は、本発明の現在好ましい実施形態を表すものであり、従って本発明で広く企図される対象物の代表である。本発明の範囲は、当業者に明らかとなり得る他の実施形態を包含すること、及び本発明の範囲は添付の特許請求の範囲のみによって制限されることは更に理解される。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの電極と、材料を含む層と、を含む発光電気化学セルであって、
前記層は、前記2つの電極の間に配置されており、
前記層の材料は、キラル液晶相である、
発光電気化学セル。