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特開2024-5080管理サーバ、車載器、管理システム、制御方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005080
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】管理サーバ、車載器、管理システム、制御方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20240101AFI20240110BHJP
【FI】
G06Q10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105088
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 響
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
5L049CC51
(57)【要約】
【課題】 保冷が必要な荷物の品質をより確実に維持する。
【解決手段】制御部を備え、前記制御部は、保冷が必要な1又は複数の荷物を輸送する車両に搭載される車載器から、前記車両の現在位置を示す第1位置情報と、前記車両の第1保冷設備に積載されている前記荷物の個数及び前記荷物のサイズを示す荷物情報と、を記憶領域に収集し、複数の第2保冷設備から、前記第2保冷設備において前記荷物を受け入れ可能な容量を示す容量情報をそれぞれ前記記憶領域に収集し、前記第1保冷設備の故障が判定された場合に、前記第1位置情報、前記第2保冷設備の位置を示す第2位置情報、前記荷物情報及び前記容量情報に基づいて、複数の前記第2保冷設備のうちから1箇所以上の前記第2保冷設備を前記荷物を受け入れ可能な設備として抽出する、管理サーバ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備え、
前記制御部は、
保冷が必要な1又は複数の荷物を輸送する車両に搭載される車載器から、前記車両の現在位置を示す第1位置情報と、前記車両の第1保冷設備に積載されている前記荷物の個数及び前記荷物のサイズを示す荷物情報と、を記憶領域に収集し、
複数の第2保冷設備から、前記第2保冷設備において前記荷物を受け入れ可能な容量を示す容量情報をそれぞれ前記記憶領域に収集し、
前記第1保冷設備の故障が判定された場合に、前記第1位置情報、前記第2保冷設備の位置を示す第2位置情報、前記荷物情報及び前記容量情報に基づいて、複数の前記第2保冷設備のうちから1箇所以上の前記第2保冷設備を前記荷物を受け入れ可能な設備として抽出する、管理サーバ。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1保冷設備の内部温度を示す内部温度情報に基づいて、前記第1保冷設備の故障を判定する、
請求項1に記載の管理サーバ。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1保冷設備の振動を示す振動情報に基づいて、前記第1保冷設備の故障を判定する、
請求項1に記載の管理サーバ。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1位置情報が示す現在位置から前記第2保冷設備までの距離に基づいて、前記荷物を受け入れ可能な前記第2保冷設備を抽出する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の管理サーバ。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1位置情報が示す現在位置から前記第2保冷設備までの所要時間に基づいて、前記荷物を受け入れ可能な前記第2保冷設備を抽出する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の管理サーバ。
【請求項6】
前記制御部は、
前記荷物を保冷するための温度帯を示す第1分類情報と、前記第2保冷設備が対応している温度帯を示す第2分類情報と、を前記記憶領域に収集し、
前記第1分類情報及び前記第2分類情報に基づいて、複数の前記第2保冷設備のうち前記第1分類情報が示す温度帯に対応している前記第2保冷設備を、前記荷物を受け入れ可能な設備として抽出する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の管理サーバ。
【請求項7】
前記制御部は、前記荷物を受け入れ可能な設備として2箇所以上の前記第2保冷設備が候補として挙げられる場合に、前記2箇所以上の前記第2保冷設備のうち前記第1保冷設備の管理者と同じ者が管理する前記第2保冷設備を抽出する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の管理サーバ。
【請求項8】
前記制御部は、
前記車載器から、前記荷物の価値を示す価値情報を前記記憶領域に収集し、
前記第1保冷設備の故障が判定され、かつ前記車両が輸送する全ての前記荷物を受け入れ可能な前記第2保冷設備が抽出されない場合に、前記価値情報に基づいて、一部の前記荷物を受け入れ可能な前記第2保冷設備のうち、受け入れ可能な前記荷物の価値及び前記荷物の個数の積が最大となる前記第2保冷設備を抽出する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の管理サーバ。
【請求項9】
保冷が必要な1又は複数の荷物を輸送する車両に搭載される車載器であって、
前記車両の現在位置を示す第1位置情報と、前記車両の第1保冷設備に積載されている前記荷物の個数及び前記荷物のサイズを示す荷物情報と、を管理サーバに送信する車載通信部と、
前記第1保冷設備の内部温度、及び、前記第1保冷設備の振動のうち少なくとも一方に基づいて、前記第1保冷設備の故障を判定する車載制御部と、
を備え、
前記車載通信部は、前記第1保冷設備の故障を示す故障情報を前記管理サーバにさらに送信し、
前記管理サーバは、制御部を備え、
前記制御部は、
複数の第2保冷設備から、前記第2保冷設備において前記荷物を受け入れ可能な容量を示す容量情報をそれぞれ記憶領域に収集し、
前記車載器から前記故障情報を受信した場合に、前記第1位置情報、前記第2保冷設備の位置を示す第2位置情報、前記荷物情報及び前記容量情報に基づいて、複数の前記第2保冷設備のうちから1箇所以上の前記第2保冷設備を前記荷物を受け入れ可能な設備として抽出する、
車載器。
【請求項10】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の管理サーバと、
前記車両に搭載される車載器と、
を備え、
前記車載器は、前記第1位置情報と前記荷物情報とを前記管理サーバに送信する車載通信部を有する、管理システム。
【請求項11】
保冷が必要な1又は複数の荷物を輸送する車両を管理する管理サーバを制御する制御方法であって、
前記車両の現在位置を示す第1位置情報と、前記車両の第1保冷設備に積載されている前記荷物の個数及び前記荷物のサイズを示す荷物情報と、を収集する第1収集ステップと、
複数の第2保冷設備から、前記第2保冷設備において前記荷物を受け入れ可能な容量を示す容量情報をそれぞれ収集する第2収集ステップと、
前記第1保冷設備の故障が判定された場合に、前記第1位置情報、前記第2保冷設備の位置を示す第2位置情報、前記荷物情報及び前記容量情報に基づいて、複数の前記第2保冷設備のうちから1箇所以上の前記第2保冷設備を前記荷物を受け入れ可能な設備として抽出する抽出ステップと、
を備える、制御方法。
【請求項12】
保冷が必要な1又は複数の荷物を輸送する車両を管理する管理サーバを制御するためのコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータプログラムは、コンピュータに、
前記車両に搭載される車載器から、前記車両の現在位置を示す第1位置情報と、前記車両の第1保冷設備に積載されている前記荷物の個数及び前記荷物のサイズを示す荷物情報と、を収集する第1収集ステップと、
複数の第2保冷設備から、前記第2保冷設備において前記荷物を受け入れ可能な容量を示す容量情報をそれぞれ収集する第2収集ステップと、
前記第1保冷設備の故障が判定された場合に、前記第1位置情報、前記第2保冷設備の位置を示す第2位置情報、前記荷物情報及び前記容量情報に基づいて、複数の前記第2保冷設備のうちから1箇所以上の前記第2保冷設備を前記荷物を受け入れ可能な設備として抽出する抽出ステップと、
を実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管理サーバ、車載器、管理システム、制御方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、空き倉庫を提供したい倉庫事業者と、空き倉庫を利用したい荷主との要求を満たすための検索システム及びマッチングシステムが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1では、マッチング用ウェブサイトにおいて、倉庫事業者が倉庫種別等の倉庫に関する情報を入力し、荷主が倉庫への保管を希望する荷物に関する情報を入力する。そして、ウェブサイトのサービス提供者は、倉庫事業者側の条件と荷主側の条件とがマッチングした場合に、倉庫事業者及び荷主の少なくとも一方に、ウェブサイトを介してマッチング候補を提示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-96841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
保冷が必要な荷物の輸送には、宅配業者の拠点及び車両に保冷設備を設ける必要がある。ここで、車両の保冷設備が故障し、所定の低温を維持することができなくなると、荷物の品質が劣化してしまい、荷物の賠償が生じたり、宅配業者の信用が損なわれたりするおそれがある。
【0006】
輸送中に車両の保冷設備が故障した場合、車両の搭乗者がすぐに故障に気付けない場合がある。また、車両の搭乗者が故障に気付いた時点では、車両の近くに宅配業者の拠点がないこともある。この場合に、急遽、特許文献1のようなマッチング用ウェブサイトを用いても、すぐに倉庫事業者とマッチングできるとは限らず、マッチング等の作業中に荷物の品質が劣化するおそれがある。
【0007】
かかる課題に鑑み、本開示は、保冷が必要な荷物の品質をより確実に維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の管理サーバは、制御部を備え、前記制御部は、保冷が必要な1又は複数の荷物を輸送する車両に搭載される車載器から、前記車両の現在位置を示す第1位置情報と、前記車両の第1保冷設備に積載されている前記荷物の個数及び前記荷物のサイズを示す荷物情報と、を記憶領域に収集し、複数の第2保冷設備から、前記第2保冷設備において前記荷物を受け入れ可能な容量を示す容量情報をそれぞれ前記記憶領域に収集し、前記第1保冷設備の故障が判定された場合に、前記第1位置情報、前記第2保冷設備の位置を示す第2位置情報、前記荷物情報及び前記容量情報に基づいて、複数の前記第2保冷設備のうちから1箇所以上の前記第2保冷設備を前記荷物を受け入れ可能な設備として抽出する、管理サーバである。
【0009】
本開示の車載器は、保冷が必要な1又は複数の荷物を輸送する車両に搭載される車載器であって、前記車両の現在位置を示す第1位置情報と、前記車両の第1保冷設備に積載されている前記荷物の個数及び前記荷物のサイズを示す荷物情報と、を管理サーバに送信する車載通信部と、前記第1保冷設備の内部温度、及び、前記第1保冷設備の振動のうち少なくとも一方に基づいて、前記第1保冷設備の故障を判定する車載制御部と、を備え、前記車載通信部は、前記第1保冷設備の故障を示す故障情報を前記管理サーバにさらに送信し、前記管理サーバは、制御部を備え、前記制御部は、複数の第2保冷設備から、前記第2保冷設備において前記荷物を受け入れ可能な容量を示す容量情報をそれぞれ記憶領域に収集し、前記車載器から前記故障情報を受信した場合に、前記第1位置情報、前記第2保冷設備の位置を示す第2位置情報、前記荷物情報及び前記容量情報に基づいて、複数の前記第2保冷設備のうちから1箇所以上の前記第2保冷設備を前記荷物を受け入れ可能な設備として抽出する、車載器である。
【0010】
本開示の制御方法は、保冷が必要な1又は複数の荷物を輸送する車両を管理する管理サーバを制御する制御方法であって、前記車両の現在位置を示す第1位置情報と、前記車両の第1保冷設備に積載されている前記荷物の個数及び前記荷物のサイズを示す荷物情報と、を収集する第1収集ステップと、複数の第2保冷設備から、前記第2保冷設備において前記荷物を受け入れ可能な容量を示す容量情報をそれぞれ収集する第2収集ステップと、前記第1保冷設備の故障が判定された場合に、前記第1位置情報、前記第2保冷設備の位置を示す第2位置情報、前記荷物情報及び前記容量情報に基づいて、複数の前記第2保冷設備のうちから1箇所以上の前記第2保冷設備を前記荷物を受け入れ可能な設備として抽出する抽出ステップと、を備える、制御方法である。
【0011】
本開示のコンピュータプログラムは、保冷が必要な1又は複数の荷物を輸送する車両を管理する管理サーバを制御するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、コンピュータに、前記車両に搭載される車載器から、前記車両の現在位置を示す第1位置情報と、前記車両の第1保冷設備に積載されている前記荷物の個数及び前記荷物のサイズを示す荷物情報と、を収集する第1収集ステップと、複数の第2保冷設備から、前記第2保冷設備において前記荷物を受け入れ可能な容量を示す容量情報をそれぞれ収集する第2収集ステップと、前記第1保冷設備の故障が判定された場合に、前記第1位置情報、前記第2保冷設備の位置を示す第2位置情報、前記荷物情報及び前記容量情報に基づいて、複数の前記第2保冷設備のうちから1箇所以上の前記第2保冷設備を前記荷物を受け入れ可能な設備として抽出する抽出ステップと、を実行させる、コンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、保冷が必要な荷物の品質をより確実に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態に係る管理システムの構成例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る管理サーバの構成例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る車載器及びその周辺の構成例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る車両情報の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る設備サーバ及びその周辺の構成例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る設備情報の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る管理サーバが実行する制御方法を示すフローチャートである。
図8図8は、実施形態の抽出ステップの詳細を示すサブルーチンである。
図9図9は、変形例に係る車載器が実行する制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[本開示の実施形態の説明]
本開示の実施形態には、その要旨として、少なくとも以下のものが含まれる。
【0015】
(1)本開示の管理サーバは、制御部を備え、前記制御部は、保冷が必要な1又は複数の荷物を輸送する車両に搭載される車載器から、前記車両の現在位置を示す第1位置情報と、前記車両の第1保冷設備に積載されている前記荷物の個数及び前記荷物のサイズを示す荷物情報と、を記憶領域に収集し、複数の第2保冷設備から、前記第2保冷設備において前記荷物を受け入れ可能な容量を示す容量情報をそれぞれ前記記憶領域に収集し、前記第1保冷設備の故障が判定された場合に、前記第1位置情報、前記第2保冷設備の位置を示す第2位置情報、前記荷物情報及び前記容量情報に基づいて、複数の前記第2保冷設備のうちから1箇所以上の前記第2保冷設備を前記荷物を受け入れ可能な設備として抽出する、管理サーバである。
【0016】
これにより、第1保冷設備に故障が生じた場合であっても、保冷が必要な荷物を受け入れ可能な第2保冷設備を抽出することができる。そして、抽出された第2保冷設備へ荷物を一時保管することで、荷物の品質をより確実に維持することができる。
【0017】
(2)前記(1)の管理サーバにおいて、前記制御部は、前記第1保冷設備の内部温度を示す内部温度情報に基づいて、前記第1保冷設備の故障を判定してもよい。
【0018】
内部温度は、荷物の品質に直接影響するパラメータである。このような内部温度に基づいて第1保冷設備の故障を判定することで、管理サーバは、荷物の品質に影響する故障を把握することができる。
【0019】
(3)前記(1)又は前記(2)の管理サーバにおいて、前記制御部は、前記第1保冷設備の振動に基づいて、前記第1保冷設備の故障を判定してもよい。
【0020】
振動により第1保冷設備の故障を判定する場合、現に第1保冷設備に含まれる機械類が故障に伴う異常振動を発している時点で故障を判定することができるため、より早い段階で故障を判定することが可能となる。
【0021】
(4)前記(1)から前記(3)のいずれかの管理サーバにおいて、前記制御部は、前記第1位置情報が示す現在位置から前記第2保冷設備までの距離に基づいて、前記荷物を受け入れ可能な前記第2保冷設備を抽出してもよい。
【0022】
距離に基づいて第2保冷設備を抽出することで、荷物の品質が許容範囲よりも悪化するまでの間に荷物を受け入れ可能な第2保冷設備を好適に抽出することができる。
【0023】
(5)前記(1)から前記(4)のいずれかの管理サーバにおいて、前記制御部は、前記第1位置情報が示す現在位置から前記第2保冷設備までの所要時間に基づいて、前記荷物を受け入れ可能な前記第2保冷設備を抽出してもよい。
【0024】
所要時間に基づいて第2保冷設備を抽出することで、第1保冷設備が故障してから、荷物の品質が許容範囲よりも悪化するまでの間に荷物を受け入れ可能な第2保冷設備を抽出することができる。
【0025】
(6)前記(1)から前記(5)のいずれかの管理サーバにおいて、前記制御部は、前記荷物を保冷するための温度帯を示す第1分類情報と、前記第2保冷設備が対応している温度帯を示す第2分類情報と、を前記記憶領域に収集してもよく、前記第1分類情報及び前記第2分類情報に基づいて、複数の前記第2保冷設備のうち前記第1分類情報が示す温度帯に対応している前記第2保冷設備を、前記荷物を受け入れ可能な設備として抽出してもよい。
【0026】
これにより、荷物の品質を維持することができる一時保管先を抽出することができる。
【0027】
(7)前記(1)から前記(6)のいずれかの管理サーバにおいて、前記制御部は、前記荷物を受け入れ可能な設備として2箇所以上の前記第2保冷設備が候補として挙げられる場合に、前記2箇所以上の前記第2保冷設備のうち前記第1保冷設備の管理者と同じ者が管理する前記第2保冷設備を抽出してもよい。
【0028】
これにより、より効率的に荷物を預け入れることができる第2保冷設備を抽出することができる。
【0029】
(8)前記(1)から前記(7)のいずれかの管理サーバにおいて、前記制御部は、前記車載器から、前記荷物の価値を示す価値情報を前記記憶領域に収集してもよく、前記第1保冷設備の故障が判定され、かつ前記車両が輸送する全ての前記荷物を受け入れ可能な前記第2保冷設備が抽出されない場合に、前記価値情報に基づいて、一部の前記荷物を受け入れ可能な前記第2保冷設備のうち、受け入れ可能な前記荷物の価値及び前記荷物の個数の積が最大となる前記第2保冷設備を抽出してもよい。
【0030】
これにより、第2保冷設備へ避難できずに品質が低下する荷物があるとしても、その賠償額を抑えることができる。
【0031】
(9)本開示の車載器は、保冷が必要な1又は複数の荷物を輸送する車両に搭載される車載器であって、前記車両の現在位置を示す第1位置情報と、前記車両の第1保冷設備に積載されている前記荷物の個数及び前記荷物のサイズを示す荷物情報と、を管理サーバに送信する車載通信部と、前記第1保冷設備の内部温度、及び、前記第1保冷設備の振動のうち少なくとも一方に基づいて、前記第1保冷設備の故障を判定する車載制御部と、を備え、前記車載通信部は、前記第1保冷設備の故障を示す故障情報を前記管理サーバにさらに送信し、前記管理サーバは、制御部を備え、前記制御部は、複数の第2保冷設備から、前記第2保冷設備において前記荷物を受け入れ可能な容量を示す容量情報をそれぞれ記憶領域に収集し、前記車載器から前記故障情報を受信した場合に、前記第1位置情報、前記第2保冷設備の位置を示す第2位置情報、前記荷物情報及び前記容量情報に基づいて、複数の前記第2保冷設備のうちから1箇所以上の前記第2保冷設備を前記荷物を受け入れ可能な設備として抽出する、車載器である。
【0032】
これにより、第1保冷設備の故障を車載器において判定することができるため、管理サーバの処理負荷を軽減することができる。また、管理サーバは車載器から送信される故障情報に基づいて保冷が必要な荷物を受け入れ可能な第2保冷設備を抽出することができる。そして、抽出された第2保冷設備へ荷物を一時保管することで、荷物の品質をより確実に維持することができる。
【0033】
(10)本開示の管理システムは、前記(1)から前記(8)のいずれかの管理サーバと、前記車両に搭載される車載器と、を備え、前記車載器は、前記第1位置情報と前記荷物情報とを前記管理サーバに送信する車載通信部を有する、管理システムである。
【0034】
(11)本開示の制御方法は、保冷が必要な1又は複数の荷物を輸送する車両を管理する管理サーバを制御する制御方法であって、前記車両の現在位置を示す第1位置情報と、前記車両の第1保冷設備に積載されている前記荷物の個数及び前記荷物のサイズを示す荷物情報と、を収集する第1収集ステップと、複数の第2保冷設備から、前記第2保冷設備において前記荷物を受け入れ可能な容量を示す容量情報をそれぞれ収集する第2収集ステップと、前記第1保冷設備の故障が判定された場合に、前記第1位置情報、前記第2保冷設備の位置を示す第2位置情報、前記荷物情報及び前記容量情報に基づいて、複数の前記第2保冷設備のうちから1箇所以上の前記第2保冷設備を前記荷物を受け入れ可能な設備として抽出する抽出ステップと、を備える、制御方法である。
【0035】
これにより、第1保冷設備に故障が生じた場合であっても、保冷が必要な荷物を受け入れ可能な第2保冷設備を抽出することができる。そして、抽出された第2保冷設備へ荷物を一時保管することで、荷物の品質をより確実に維持することができる。
【0036】
(12)本開示のコンピュータプログラムは、保冷が必要な1又は複数の荷物を輸送する車両を管理する管理サーバを制御するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、コンピュータに、前記車両に搭載される車載器から、前記車両の現在位置を示す第1位置情報と、前記車両の第1保冷設備に積載されている前記荷物の個数及び前記荷物のサイズを示す荷物情報と、を収集する第1収集ステップと、複数の第2保冷設備から、前記第2保冷設備において前記荷物を受け入れ可能な容量を示す容量情報をそれぞれ収集する第2収集ステップと、前記第1保冷設備の故障が判定された場合に、前記第1位置情報、前記第2保冷設備の位置を示す第2位置情報、前記荷物情報及び前記容量情報に基づいて、複数の前記第2保冷設備のうちから1箇所以上の前記第2保冷設備を前記荷物を受け入れ可能な設備として抽出する抽出ステップと、を実行させる、コンピュータプログラムである。
【0037】
これにより、第1保冷設備に故障が生じた場合であっても、保冷が必要な荷物を受け入れ可能な第2保冷設備を抽出することができる。そして、抽出された第2保冷設備へ荷物を一時保管することで、荷物の品質をより確実に維持することができる。
【0038】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態の具体例について、図面を参照して説明する。
【0039】
[1.管理システム]
[1.1 管理システムの全体構成]
図1は、実施形態に係る管理システム1の構成例を示す図である。
管理システム1は、保冷が必要な1個又は複数個の荷物31(図3)を輸送する車両V1において、荷物31の輸送中に荷物31を保冷する第1保冷設備30が故障した場合に、荷物31を第1保冷設備30とは異なる場所に位置する第2保冷設備50に一時的に避難させるためのシステムである。管理システム1は、例えば、物流サービスを提供する管理業者B3が提供する。
【0040】
管理システム1は、管理サーバ10と、複数の車載器20と、複数の設備サーバ40と、を備える。複数の車載器20及び複数の設備サーバ40は、インターネット等の広域なネットワークN1を介して、管理サーバ10とそれぞれ通信する。
【0041】
複数の車載器20は、複数の車両V1にそれぞれ設けられている。車両V1は、例えば宅配業者B1が管理するトラック(貨物自動車)である。宅配業者B1は、複数の車両V1を管理しており、それらの車両V1のそれぞれに、車載器20と第1保冷設備30とが搭載されている。
【0042】
複数の設備サーバ40は、複数の第2保冷設備50にそれぞれ設けられている。複数の第2保冷設備50は、宅配業者B1が管理する倉庫(自社設備50a)と、宅配業者B1以外の業者B2が管理する倉庫(他社設備50b)と、宅配業者B1が管理する車両V1に搭載されている冷蔵冷凍庫(自社車両設備50c)とが含まれる。
【0043】
他社設備50bは、故障した第1保冷設備30に積載されている荷物31の一時保管場所として、宅配業者B1が予め契約している設備である。例えば、宅配業者B1は、業者B2に基本費用(倉庫を利用しない場合にも発生する費用)と、利用時の費用(利用1回あたりの費用等)とを定めた契約をする。そして、宅配業者B1及び業者B2は、それぞれの情報を管理業者B3が提供する管理サーバ10に登録する。
【0044】
他社設備50bは、例えば給食センターの食品冷蔵冷凍庫である。給食センターは、主に日中に稼働し、夜間において遊休時間が生じる。このため、給食センターを管理する業者B2は、宅配業者B1と契約することで、給食センターの食品冷蔵冷凍庫における遊休時間を有効に活用することができる。なお、他社設備50bの形態は特に限定されない。他社設備50bは、貸倉庫であってもよいし、食品工場の冷蔵冷凍庫であってもよい。
【0045】
宅配業者B1は、故障した第1保冷設備30に積載されている荷物31の一時保管場所のために、自社倉庫50aを余分に所有してもよい。しかしながら、第1保冷設備30の故障は頻繁に生じる事象ではないため、そのような事態に備えて、余分な自社倉庫50aを所有することは、効率的ではない。このため、宅配業者B1は、非常時における荷物31の一時保管場所として他社設備50bを有する業者B2と契約することで、宅配業者B1の管理費用等を抑えつつ、荷物31の避難先を確保することができる。
【0046】
自社車両設備50cは、第1保冷設備30と同様の設備である。車両V1に搭載されている保冷設備は、荷物31を輸送している間は第1保冷設備30として機能し、荷物31の輸送を終えて宅配業者B1の拠点に帰還している間は第2保冷設備50(すなわち、自社車両設備50c)として機能する。また、車両V1に搭載されている車載器は、荷物31を輸送している間は車載器20として機能し、荷物31の輸送を終えて宅配業者B1の拠点に帰還している間は設備サーバ40として機能する。
【0047】
[1.2 管理サーバの構成]
図2は、実施形態に係る管理サーバ10の構成例を示す図である。管理サーバ10は、例えば管理業者B3が管理する施設に設置されている。なお、管理サーバ10は、宅配業者B1が管理する施設に設置されてもよい。管理サーバ10は、車載器20及び設備サーバ40から収集される情報に基づいて、第1保冷設備30の故障判定と、故障した第1保冷設備30に積載されている荷物31の避難先を抽出する抽出処理と、を実行する。
【0048】
管理サーバ10は、第1収集部11と、第2収集部12と、制御部13と、記憶部14と、通信部15と、読取部16と、を備える。また、管理サーバ10には、ディスプレイ等の表示部18と、マウス及びキーボード等の入力部19とが接続されている。
【0049】
第1収集部11及び第2収集部12は、例えばHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置(ストレージ)に含まれる記憶領域である。記憶領域のうち、第1収集部11は、後述の制御部13によって、車載器20から送信される車両情報D1(図4)が格納される領域である。第1収集部11には、複数の車載器20からそれぞれ送信される複数の車両情報D1が、車両V1ごとの情報として格納される。
【0050】
記憶領域のうち、第2収集部12は、後述の制御部13によって、設備サーバ40から送信される設備情報D2(図6)が格納される領域である。第2収集部12には、複数の設備サーバ40からそれぞれ送信される複数の設備情報D2が、第2保冷設備50ごとの情報として格納される。
【0051】
制御部13は、例えばプロセッサ等の回路構成(Circuitry)を含む。制御部13は、具体的には、1個又は複数個のCPU(Central Processing Unit)を含む。制御部13に含まれるプロセッサは、GPU(Graphics Processing Unit)であってもよい。制御部13は、記憶部14に記憶されているコンピュータプログラムを読み出して、各種の演算及び制御を実行する。
【0052】
記憶部14は、揮発性メモリと、不揮発性メモリと有する。揮発性メモリは、例えばRAM(Random Access Memory)を含む。不揮発性メモリは、例えばフラッシュメモリ、HDD、SSD(Solid State Drive)又はROM(Read Only Memory)等を含む。記憶部14は、例えば、不揮発性メモリにコンピュータプログラム及び各種のパラメータを記憶している。
【0053】
通信部15は、ネットワークN1を介して、車載器20及び設備サーバ40と通信を行う。通信部15は、例えばアンテナを有する通信インターフェースである。
【0054】
読取部16は、コンピュータが読取り可能な記録媒体17から情報を読み取る。記録媒体17は、例えばCD、DVD等の光学ディスク又はUSBフラッシュメモリである。読取部16は、例えば光学ドライブ又はUSB端子である。記録媒体17にはコンピュータプログラム及び各種のパラメータが記録されており、記録媒体17を読取部16に読み取らせることで、コンピュータプログラム及び各種のパラメータが記憶部14の不揮発性メモリに記憶される。
【0055】
[1.3 車載器の構成]
図3は、実施形態に係る車載器20及びその周辺の構成例を示す図である。車両V1には、車載器20と、第1保冷設備30と、ディスプレイ等の表示部27と、ボタン等の入力部28とが搭載されている。
【0056】
車載器20は、センサセット21等により取得される車両情報D1を管理サーバ10に送信する。車載器20は、センサセット21と、車載制御部22と、車載記憶部23と、車載通信部24と、読取部25と、を備える。車載器20には、表示部27及び入力部28が接続されている。表示部27及び入力部28は、例えばスマートフォン等の携帯端末に設けられていてもよい。この場合、当該携帯端末を車載器20に接続することで、表示部27及び入力部28が車載器20に接続される。
【0057】
センサセット21は、GPS(Global Positioning Satellite)からの信号を受信するGPSセンサ211と、第1保冷設備30の内部温度を検出する内部温度センサ212と、車両V1の外部温度(外気温)を検出する外部温度センサ213と、第1保冷設備30の振動を検出する振動センサ214と、を含む。
【0058】
車載制御部22は、制御部13と同様に、例えばプロセッサ等の回路構成を含む。車載制御部22は、車載記憶部23に記憶されているコンピュータプログラムを読み出して、各種の演算及び制御を実行する。
【0059】
車載記憶部23は、揮発性メモリと、不揮発性メモリと有する。車載記憶部23は、例えば、不揮発性メモリにコンピュータプログラム及び各種のパラメータを記憶している。また、車載記憶部23は、センサセット21及び入力部28から入力される車両情報D1を記憶する。また、車載制御部22による後述の故障判定によって生成される故障情報D3(変形例)を記憶してもよい。
【0060】
車載通信部24は、ネットワークN1を介して、管理サーバ10と通信を行う。車載通信部24は、例えばアンテナを有する通信インターフェースである。
【0061】
読取部25は、コンピュータが読取り可能な記録媒体26から情報を読み取る。記録媒体26は、例えばCD、DVD等の光学ディスク又はUSBフラッシュメモリである。読取部25は、例えば光学ドライブ又はUSB端子である。記録媒体26にはコンピュータプログラム及び各種のパラメータが記録されており、記録媒体26を読取部25に読み取らせることで、コンピュータプログラム及び各種のパラメータが車載記憶部23の不揮発性メモリに記憶される。
【0062】
第1保冷設備30は、例えば車両V1に搭載されている冷蔵冷凍庫である。第1保冷設備30には、保冷が必要な1個又は複数個の荷物31が積載されている。第1保冷設備30は、例えばコンプレッサを利用した熱交換サイクルにより庫内を冷却する機械式冷凍設備である。なお、第1保冷設備30は、低温物体(例えば、凍結した保冷剤、液体窒素)を用いて庫内を冷却する蓄冷式冷凍設備であってもよい。
【0063】
[1.4 車両情報]
図4は、車載器20において取得される車両情報D1の一例を示す図である。車両情報D1は、第1所属情報と、第1分類情報と、荷物情報と、価値情報と、第1位置情報と、内部温度情報と、外部温度情報と、振動情報と、を含む。
【0064】
第1所属情報は、車両V1の所属を示す情報であり、より具体的には第1保冷設備30の管理者を示す情報である。第1所属情報は、例えば宅配業者B1の識別コードである。
【0065】
第1分類情報は、第1保冷設備30において荷物31を保冷するための温度帯を示す情報である。より具体的には、第1分類情報は、荷物31を適切に保冷するために維持することが求められる温度帯(荷物31の保冷に必要な温度帯)を示す情報である。第1分類情報は、例えば保冷温度帯を示す以下の区分(設備等級)を示す情報である。
【0066】
<設備等級>
C3級: -2℃以上 +10℃未満
C2級:-10℃以上 -2℃未満
C1級:-20℃以上 -10℃未満
F1級:-30℃以上 -20℃未満
F2級:-40℃以上 -30℃未満
F3級:-50℃以上 -40℃未満
F4級:-50℃未満
【0067】
なお、第1分類情報は、設備等級以外の区分を示す情報であってもよいし、温度帯自体(例えば、-10℃以上-2℃未満)を示す情報であってもよい。
【0068】
荷物情報は、第1保冷設備30に積載されている荷物31の個数p及び荷物31のサイズqを示す情報である。荷物情報は、例えば荷物31の種類ごとに示される。例えば、第1保冷設備30に製品A1(例えば、鮮魚)と製品A2(例えば、精肉)が積載されている場合、荷物情報として、製品A1の個数p及びサイズqと、製品A2の個数p及びサイズqとが別個に示される。
【0069】
価値情報は、第1保冷設備30に積載されている荷物31の価値vを示す情報である。価値vは、例えば荷物31ひとつ単位の価値である。価値情報は、荷物情報と同様に荷物31の種類ごとに示される。例えば、価値情報として製品A1の価値vと、製品A2の価値vとが別個に示される。ここで、荷物31の価値vは、荷物31の価格(例えば、定価又は売価)であってもよいし、荷物31を損傷した際に宅配業者B1が荷物31の宅配依頼者に支払う賠償額であってもよい。
【0070】
第1位置情報は、車両V1の現在位置を示す情報である。第1位置情報は、GPSセンサ211が受信するGPS信号に基づいて取得される。第1位置情報は、例えば車両の位置を緯度及び経度を用いて座標SP1(x,y)として示される。
【0071】
内部温度情報は、第1保冷設備30の内部温度T1を示す情報である。内部温度情報は、内部温度センサ212の検出温度に基づいて取得される。例えば、第1保冷設備30に複数の内部温度センサ212が設置されている場合、複数の内部温度センサ212により検出される温度の平均値を第1保冷設備30の内部温度T1として取得してもよい。
【0072】
外部温度情報は、車両V1の外部温度T2(すなわち、外気温)を示す情報である。外部温度情報は、外部温度センサ213の検出温度に基づいて取得される。
【0073】
振動情報は、第1保冷設備30の振動F1(例えば、角速度)を示す情報である。振動情報は、振動センサ214の検出値に基づいて取得される。
【0074】
第1所属情報、第1分類情報、荷物情報及び価値情報は、例えば入力部28によって車載器20に入力される。なお、第1所属情報、第1分類情報、荷物情報及び価値情報は、車載器20とは異なる装置(図示省略)からネットワークN1を介して車載器20に提供されてもよい。例えば、宅配業者B1が管理する他の装置(例えば、サーバ)からネットワークN1を介して提供されてもよい。
【0075】
車載器20は、例えば、車載通信部24により車両情報D1を定期的に管理サーバ10に送信する。このとき、車載器20は、車両情報D1のうち第1所属情報、第1分類情報、荷物情報及び価値情報を第1間隔(例えば10分間隔)で管理サーバ10に送信する。そして、車載器20は、車両情報D1のうち内部温度情報、外部温度情報及び振動情報を、第1間隔よりも短い第2間隔(例えば1分間隔)で管理サーバ10に送信する。
【0076】
内部温度情報、外部温度情報及び振動情報は、それ以外の車両情報D1と比べて更新頻度が高く、荷物31の品質に関与する情報である。このため、送信間隔をより短くすることで、管理サーバ10へリアルタイム性の高い情報を提供することができる。また、更新頻度の低い情報についてはより長い第1間隔によって送信することで、管理システム1における通信負担を軽減することができる。
【0077】
[1.5 設備サーバの構成]
図5は、実施形態に係る設備サーバ40及びその周辺の構成例を示す図である。
設備サーバ40は、設備制御部41と、設備記憶部42と、設備通信部43と、読取部44と、を備える。設備サーバ40には、ディスプレイ等の表示部46と、マウス及びキーボード等の入力部47とが接続されている。
【0078】
設備制御部41は、制御部13と同様に、例えばプロセッサ等の回路構成を含む。設備制御部41は、設備記憶部42に記憶されているコンピュータプログラムを読み出して、各種の演算及び制御を実行する。
【0079】
設備記憶部42は、揮発性メモリと、不揮発性メモリと有する。設備記憶部42は、例えば、不揮発性メモリにコンピュータプログラム及び各種のパラメータを記憶している。また、設備記憶部42は、設備情報D2をさらに記憶する。
【0080】
設備通信部43は、ネットワークN1を介して、管理サーバ10と通信を行う。設備通信部43は、例えばアンテナを有する通信インターフェースである。
【0081】
読取部44は、コンピュータが読取り可能な記録媒体45から情報を読み取る。記録媒体45は、例えばCD、DVD等の光学ディスク又はUSBフラッシュメモリである。読取部44は、例えば光学ドライブ又はUSB端子である。記録媒体45にはコンピュータプログラム及び各種のパラメータが記録されており、記録媒体45を読取部44に読み取らせることで、コンピュータプログラム及び各種のパラメータが設備記憶部42の不揮発性メモリに記憶される。
【0082】
第2保冷設備50は、本来的には物品51を格納する倉庫である。しかしながら、第2保冷設備50には空き領域52(例えば、物品51を格納可能であるが、現在使用されていない棚)が含まれている。第2保冷設備50を管理する業者B2は、空き領域52を活用するために、管理システム1を利用する。
【0083】
[1.6 設備情報]
図6は、実施形態に係る設備情報D2の一例を示す図である。
設備情報D2は、第2所属情報と、第2位置情報と、容量情報と、第2分類情報と、費用情報と、を含む。
【0084】
第2所属情報は、第2保冷設備50の所属を示す情報であり、より具体的には第2保冷設備50の管理者を示す情報である。第2所属情報は、例えば宅配業者B1又は業者B2の識別コードである。
【0085】
第2位置情報は、第2保冷設備50の位置を示す情報である。第2位置情報は、例えば第2保冷設備50の位置を緯度及び経度を用いて座標SP2(x,y)として示される。
【0086】
第2所属情報及び第2位置情報は、例えば入力部47によって設備サーバ40に入力されることで、固定値として設備記憶部42のテーブルTB1に格納される。第2所属情報及び第2位置情報は、例えば第2保冷設備50が自社設備50a又は他社設備50bである場合、初期に設定した情報から変更されることはほとんどない。このため、第2所属情報及び第2位置情報は、初期設定時に設備通信部43によって管理サーバ10へ送信された後は、テーブルTB1の値が変更された場合に限って管理サーバ10へ送信される。
【0087】
容量情報、第2分類情報及び費用情報は、例えば第2保冷設備50に備えられている倉庫の種類ごとに示される情報であり、テーブルTB1とは異なるテーブルTB2に格納されている。容量情報、第2分類情報及び費用情報は、定期的に(例えば10分間隔で)設備通信部43によって管理サーバ10へ送信される。
【0088】
容量情報は、第2保冷設備50において荷物31を受け入れ可能な容量を示す情報である。容量情報は、例えば、受け入れ可能な荷物31の個数p、受け入れ可能な荷物31のサイズq及び受け入れ可能な時間rを示す情報である。図6の例の場合、例えばNo.1の倉庫には空き容量E1において受け入れ可能な荷物31の個数p、サイズq及び時間rが登録されている。また、No.2の倉庫には、空き容量E2において受け入れ可能な荷物31の個数p、サイズq及び時間rが登録されている。
【0089】
第2分類情報は、第2保冷設備50が対応している温度帯を示す情報である。第2分類情報は、例えば、第1分類情報と同様に設備等級を示す情報である。図6の例の場合、No.1の倉庫の第2分類情報はC1級であり、No.2の倉庫の第2分類情報はC2級である。
【0090】
費用情報は、第2保冷設備50の利用に掛かる費用を示す情報である。図6の例の場合、No.1の倉庫の利用には費用M1が掛かり、No.2の倉庫の利用には費用M2が掛かる。費用M1,M2は、それぞれ受け入れた荷物31の個数単位で掛かる費用であってもよい。この場合、No.1の倉庫に荷物31を5個保管した場合に、合計の費用は5×M1となる。また、費用M1,M2は、荷物31の個数にかかわらず、倉庫を利用した場合に一律に掛かる費用であってもよい。この場合、No.1の倉庫に荷物31を5個保管した場合でも、10個保管した場合でも、費用はM1となる。
【0091】
容量情報、第2分類情報及び費用情報は、例えば入力部47によって設備サーバ40に入力される。なお、容量情報、第2分類情報及び費用情報は、設備サーバ40とは異なるサーバ(図示省略)からネットワークN1を介して設備サーバ40に提供されてもよい。例えば、業者B2が管理する他のサーバからネットワークN1を介して提供されてもよい。
【0092】
[1.7 制御方法]
図7は、実施形態に係る管理サーバ10が実行する制御方法を示すフローチャートである。以下に説明する制御方法は、制御部13が、記憶部14からコンピュータプログラムを読み出して、各種の処理を実行することで、実現される。
【0093】
はじめに、管理サーバ10は、車載器20から車両情報D1を収集する第1収集ステップS11と、設備サーバ40から設備情報D2を収集する第2収集ステップS12と、を実行する。
【0094】
第1収集ステップS11において、制御部13は、車載器20からネットワークN1を経て通信部15に受信される車両情報D1を、第1収集部11(記憶領域の一部)に格納する。前述のとおり、車両情報D1は車載器20から管理サーバ10へ定期的に送信される。このため、第1収集ステップS11は後述の故障判定ステップS13以降も定期的に実行される。
【0095】
第2収集ステップS12において、制御部13は、設備サーバ40からネットワークN1を経て通信部15に受信される設備情報D2を、第2収集部12(記憶領域の一部)に格納する。前述のとおり、設備情報D2は設備サーバ40から管理サーバ10へ定期的に送信される。このため、第2収集ステップS12は後述の故障判定ステップS13以降も定期的に実行される。
【0096】
次に、制御部13は、第1収集部11に収集された車両情報D1に基づいて、第1保冷設備30に故障があるか否かを判定する(故障判定ステップS13)。具体的には、制御部13は、車両情報D1に含まれる内部温度情報が示す内部温度T1が、所定範囲外である場合に、第1保冷設備30の故障を判定する(ステップS13のYES)。所定範囲は、例えば、車両情報D1に含まれる第1分類情報が示す温度帯(図4の例では、C1級)の範囲である。この場合、制御部13は、内部温度T1がC1級の温度帯(-20℃以上-10℃未満)の範囲外である場合に、第1保冷設備30の故障を判定する。
【0097】
内部温度T1は、荷物31の品質に直接影響するパラメータである。このような内部温度T1に基づいて第1保冷設備30の故障を判定することで、管理サーバ10は、荷物31の品質に影響する故障を把握することができる。
【0098】
なお、制御部13は、内部温度T1が所定範囲外となる状態が所定時間以上続く場合に限り、第1保冷設備30の故障を判定してもよい。例えば、ノイズに起因して、内部温度センサ212が示す内部温度T1が一瞬だけ所定範囲外の温度となる場合がある。制御部13は、所定時間以上(例えば、3分以上)継続して内部温度T1が所定範囲外となる場合に限り第1保冷設備30の故障を判定することで、ノイズ等に起因する誤判定を抑制することができる。
【0099】
第1保冷設備30の故障が判定されない場合、すなわち、内部温度T1が所定範囲内である場合(ステップS13のNO)、制御部13は後述の抽出ステップS14には進まず、ステップS11,S12を繰り返す。
【0100】
なお、制御部13は、第1保冷設備30の振動F1に基づいて第1保冷設備30の故障を判定してもよい。例えば第1保冷設備30がコンプレッサ等を利用する機械式冷凍設備である場合、コンプレッサ等の機械が故障すると、保冷機能が損なわれるとともに、機械が異常振動を発することが多い。そこで、ステップS13において、制御部13は、車両情報D1に含まれる振動情報が示す振動F1が所定値を超える場合に(すなわち、第1保冷設備の振動が所定値を超えるほど激しい場合に)、第1保冷設備30の故障を判定してもよい。
【0101】
内部温度T1により第1保冷設備30の故障を判定する場合、例えばコンプレッサ等の機械が故障した後に、車両V1の外気温等の影響により内部温度T1が上昇することで第1保冷設備30の故障が顕在化する。このため、故障を判定できるのは、実際の故障時よりも後になることが多い。一方で、振動F1により第1保冷設備30の故障を判定する場合、現に第1保冷設備30に含まれる機械類が故障に伴う異常振動を発している時点で故障を判定することができるため、内部温度T1により故障判定する場合と比べて、より早い段階で故障を判定することが可能となる。
【0102】
なお、制御部13は、内部温度T1による故障判定と、振動F1による故障判定とを組み合わせて実行してもよい。これにより、振動F1により第1保冷設備30の故障をより早期に把握しつつ、第1保冷設備30が異常振動することなく故障した場合には内部温度T1により第1保冷設備30の故障を漏れなく把握することができる。
【0103】
制御部13は、第1保冷設備30の故障が判定された場合に、車両情報D1及び設備情報D2に基づいて、複数の第2保冷設備50のうちから1箇所以上の第2保冷設備50を荷物31を受け入れ可能な設備として抽出する(抽出ステップS14)。
【0104】
図8は、抽出ステップS14の詳細を示すサブルーチンである。はじめに、制御部13は、車両情報D1に含まれる荷物情報と、設備情報D2に含まれる容量情報とに基づいて、管理サーバ10に登録されている複数の第2保冷設備50(例えば、50a,50b,50c)のうち、故障した第1保冷設備30に積載されている荷物31を受け入れ可能な空き容量を有する第2保冷設備50を抽出する(ステップS20)。
【0105】
例えば、制御部13は、故障が生じた時点から所定時間が経過する時点(例えば、第2保冷設備50に一時的に保管した荷物31を、故障していない別の第1保冷設備30を搭載した車両V1により引き取る時点)まで、荷物31を受け入れ可能な空き容量を有する第2保冷設備50を抽出する。具体的には、制御部13は、容量情報に含まれる受け入れ可能な時間rが、「故障が生じた時点から荷物31を別の車両V1により引き取る時点まで」の全時間をカバーしており、かつ受け入れ可能な荷物31の個数p及びサイズqが、荷物情報における荷物31の個数p及びサイズqに対応している第2保冷設備50を抽出する。以上により、ステップS20が終了する。
【0106】
次に、制御部13は、車両情報D1に含まれる第1分類情報と、設備情報D2に含まれる第2分類情報とに基づいて、ステップS20において抽出された第2保冷設備50のうち、第1分類情報が示す温度帯に対応している第2保冷設備50を、荷物31を受け入れ可能な設備としてさらに抽出する(ステップS21)。
【0107】
例えば、車両情報D1に含まれる第1分類情報が示す温度帯が「C1級(-20℃以上-10℃未満)」である場合、制御部13は、複数の第2保冷設備50のうち、第2分類情報がC1級(すなわち、第1分類情報と同じ温度帯)である第2保冷設備50を抽出する。
【0108】
荷物31を受け入れ可能な設備は、荷物31の品質を維持した状態で保冷する必要がある。第2保冷設備50が対応している温度帯が、第1分類情報が示す温度帯よりも高い又は低い場合、荷物31を第2保冷設備50に一時的に避難させても、荷物31の品質を維持することが困難となる。このため、基本的には、ステップS21において制御部13は第1分類情報と同じ(又は重複する)温度帯を示す第2分類情報の第2保冷設備50を抽出する。これにより、荷物31の品質を維持することができる一時保管先を抽出することができる。
【0109】
なお、荷物31の種類によっては、第1保冷設備30では例えばC1級の温度帯により保冷している場合でも、F1級(-30℃以上-20℃未満)等の他の温度帯でも品質を維持できる場合がある。このような場合、第1分類情報には、荷物31を現に管理している温度帯(C1級)だけでなく、荷物31の品質を維持した状態で保冷可能な温度帯(F1級)が含まれていてもよい。この場合、制御部13は、C1級及びF1級を含む第1分類情報に重複する温度帯(C1級又はF1級)に対応している第2保冷設備50を、荷物31を受け入れ可能な設備として抽出する。
【0110】
次に、制御部13は、ステップS21において抽出された第2保冷設備50のうちから、車両V1から第2保冷設備50までの距離に基づいて(ステップS22)、又は、車両V1から第2保冷設備50までの所要時間に基づいて(ステップS23)、荷物31を受け入れ可能な第2保冷設備50を抽出する。
【0111】
制御部13は、ステップS22及びステップS23のうち一方のみを実行してもよいし、両方を実行してもよい。ステップS22及びステップS23の両方を実行する場合、例えばステップS22において抽出され、かつステップS23において抽出された第2保冷設備50を荷物31を受け入れ可能な設備として後述のステップS24における抽出処理の母集合としてもよい。
【0112】
ステップS22において、制御部13は、複数の第2保冷設備50(具体的には、ステップS21において抽出された第2保冷設備50)のうち第1位置情報が示す現在位置(座標SP1)からの距離が所定距離L1以内である第2保冷設備50を荷物31を受け入れ可能な設備として抽出する。距離に基づいて第2保冷設備50を抽出すると、ステップS22が終了する。なお、制御部13は、所定距離L1にかかわらず、車両V1の現在位置から最も近い第2保冷設備50を抽出してもよい。また、制御部13は、車両V1の現在位置からの近さが1番目からn番目(例えば5番目)までの複数の第2保冷設備50を抽出してもよい。
【0113】
所定距離L1は、例えば固定されたパラメータとして記憶部14に記憶されている。例えば、第1保冷設備30が荷物31が品質を維持できる温度帯を外れてから、荷物31の品質が許容範囲よりも悪化するまで(例えば、冷凍されている荷物31の内容物が解け始めるまで)、およそ30分以上掛かるとする。この時間は、例えば商業上の経験又は試験によって求められる。この場合に、車両V1が市街地(例えば、法定の最高速度40km/s)を走行しているとすると、故障した第1保冷設備30に積載された荷物31の品質を維持した状態で車両V1が到達できる直線距離は約20km以内となり、記憶部14には所定距離L1として「20km」が予め記憶される。なお、この例の場合、マージンを見積もって、所定距離L1として20kmよりも短い距離(例えば、15km)が予め記憶部14に記憶されてもよい。
【0114】
そして、制御部13は、第1位置情報が示す車両V1の現在位置における座標SP1と、第2位置情報が示す第2保冷設備50の座標SP2とに基づいて、座標SP1から所定距離L1(20km)以内である第2保冷設備50を抽出する。なお、制御部13は、座標SP1からの直線距離が所定距離L1以内である第2保冷設備50を抽出してもよいし、座標SP1からの最短の走行予定距離(車両V1が走行する経路を考慮した距離)が所定距離L1以内である第2保冷設備50を抽出してもよい。
【0115】
また、所定距離L1として用いる固定値は、季節ごとの値として複数の値が記憶部14に記憶されていてもよい。この場合、制御部13は、複数の固定値のうちから、所定距離L1として用いる値を決定する。例えば、記憶部14には、外気温が平均的な春季又は秋季の所定距離L1として20kmが予め記憶され、外気温が高い夏季の所定距離L1としては荷物31が解けやすいのでより短い15kmが予め記憶され、外気温が低い冬季の所定距離L1としては荷物31が解けにくいのでより長い25kmが予め記憶されているとする。このとき、制御部13は、ステップS22を夏季に実行する場合には、所定距離L1を15kmに決定する。
【0116】
ステップS23において、制御部13は、まず荷物31の品質を保つことができる残り時間TM1を算出する。例えば、制御部13は、内部温度T1の時系列変化に基づいて、荷物31が解け始めるまでの残り時間TM1を予測する。また、制御部13は、内部温度T1と、外部温度T2と、第1保冷設備30に積載されている荷物31の総体積(例えば、各製品A1,A2の個数p及びサイズqの積の和)とに基づいて、残り時間TM1を予測してもよい。
【0117】
続いて、制御部13は、複数の第2保冷設備50(具体的には、ステップS21において抽出された第2保冷設備50)のうち第1位置情報が示す現在位置(座標SP1)から第2保冷設備50までの所要時間TM2が残り時間TM1以内である第2保冷設備50を荷物31を受け入れ可能な設備として抽出する。時間に基づいて第2保冷設備50を抽出すると、ステップS23が終了する。なお、制御部13は、残り時間TM1にかかわらず、車両V1の現在位置から最も早く到着できる第2保冷設備50を抽出してもよい。また、制御部13は、車両V1の現在位置からの所要時間TM2が最も短い第2保冷設備50から所要時間TM2がn番目(例えば5番目)に短い第2保冷設備50までを抽出してもよい。
【0118】
制御部13は、例えば、所要時間TM2を経路探索によって取得する。制御部13は、例えば、公知の経路探索アルゴリズムを用いて車両V1の現在位置(座標SP1)から第2保冷設備50の位置(座標SP2)まで最短時間で到達できる経路を探索する。そして、制御部13は、このときの最短時間を所要時間TM2として取得する。また、制御部13は、経路探索を行わず、車両V1の現在位置(座標SP1)から第2保冷設備50の位置(座標SP2)までの直線距離を、所定速度(例えば、市街地の一般的な法定速度40km/s)により除算した値を所要時間TM2として取得してもよい。
【0119】
以上のように、所定距離L1に基づいて第2保冷設備50を抽出する場合(ステップS22)にも、残り時間TM1に基づいて第2保冷設備50を抽出する場合(ステップS23)にも、第1保冷設備30が荷物31が品質を維持できる温度帯を外れてから、荷物31の品質が許容範囲よりも悪化するまでの間に荷物31を受け入れ可能な第2保冷設備50を抽出することができる。
【0120】
次に、制御部13は、所属に基づいて第2保冷設備50を抽出する(ステップS24)。ステップS24及びステップS25では、荷物31の品質を維持するという観点というよりも、第1保冷設備30の管理者(宅配業者B1)の経済面を優先する観点によって、第2保冷設備50を抽出する。このため、ステップS22(又はステップS23)において抽出された第2保冷設備50が1箇所のみである場合には、ステップS24からステップS25を省略して、後述のステップS15(図7)に進んでもよい。ステップS21からステップS23によって、荷物31を受け入れ可能な空き容量があり、かつ荷物31の品質を維持可能な温度帯及び位置にある第2保冷設備50を抽出できているからである。
【0121】
ステップS24において、制御部13は、ステップS22(又はステップS23)において抽出された2箇所以上の第2保冷設備50のうち、第1保冷設備30の管理者と同じ者が管理する第2保冷設備50を抽出する。具体的には、制御部13は、車両情報D1に含まれる第1所属情報(例えば、第1保冷設備30の管理者の識別コード)が、設備情報D2に含まれる第2所属情報(例えば、第2保冷設備50の管理者の識別コード)と等しいか否かを判定する。そして、制御部13は、2箇所以上の第2保冷設備50のうち第1所属情報と等しい第2所属情報を含む設備情報D2の第2保冷設備50を抽出する。
【0122】
なお、ステップS22(又はステップS23)において抽出されたすべての第2保冷設備50が、第1保冷設備30の管理者と異なる者が管理する第2保冷設備50である場合、第2保冷設備50の抽出を行わずに、そのままステップS25に進む。この場合、制御部13は、ステップS22(又はステップS23)において抽出されたすべての第2保冷設備50を対象に、ステップS25の抽出を実行する。
【0123】
第1保冷設備30の管理者が宅配業者B1である場合、宅配業者B1が管理する第2保冷設備50(自社設備50a)に荷物31を避難させる方が、宅配業者B1以外の業者B2が管理する第2保冷設備50(他社設備50b)に荷物31を避難させるよりも、効率が良いことが多い。例えば、車両V1の運転手は、自社設備50aに行き慣れている事が多いため、第2保冷設備50の周辺で迷ったり、入構手続きに手間取ったりするおそれが低い。また、他社設備50bよりも自社設備50aの方が、車両V1の受け入れに慣れているため、入構後すぐに第2保冷設備50へ荷物31を格納することができる。このため、ステップS24において、第1保冷設備30と同じ管理者の第2保冷設備50を抽出することで、より効率的に荷物31を預け入れることができる。
【0124】
なお、例えば第1保冷設備30の管理者が宅配業者B1の直営店であり、第2保冷設備50の管理者が宅配業者B1の代理店(又は宅配業者B1のフランチャイズ店)である場合であっても、第1保冷設備30と第2保冷設備50の管理者が同じ者であると判定してもよい。宅配業者B1の宅配事業に関係のない業者B2(例えば、給食センター事業者)と比べれば、宅配業者B1の代理店等は、宅配業者B1の直営店と同様の入構体制である等、共通する事項が多いため、業者B2よりも効率的に荷物31を預け入れることができる場合が多いからである。
【0125】
次に、制御部13は、費用に基づいて第2保冷設備50を抽出する(ステップS25)。具体的には、制御部13は、車両情報D1に含まれる荷物情報と、設備情報D2に含まれる費用情報と、に基づいて、荷物31を一時的に保管するために必要な費用がより低い第2保冷設備50を抽出する。これにより、より安価に荷物31を預け入れることができる。
【0126】
ステップS25の後、制御部13は受け入れ可能な設備として1箇所以上の第2保冷設備50が抽出されたか否かを判定する(ステップS26)。すなわち、制御部13は、上記のステップS21からステップS25までの各抽出処理によって最終的に抽出された第2保冷設備50があるか否かを判定する。判定の結果、抽出された第2保冷設備50が1箇所以上ある場合(ステップS26のYES)、決定ステップS15(図7)に進む。
【0127】
判定の結果、抽出された第2保冷設備50がない場合(ステップS26のNO)、ステップS27に進む。抽出された第2保冷設備50がない場合とは、例えばステップS20において故障した第1保冷設備30に積載されているすべての荷物31を受け入れ可能な空き容量を有する第2保冷設備50が車両V1の付近にひとつも無い場合が挙げられる。
【0128】
このように、1回目のステップS21からステップS25の抽出処理の結果、ひとつも第2保冷設備50が抽出されない場合、故障した第1保冷設備30に積載されているすべての荷物31を一時的に避難させることはできない。しかしながら、第1保冷設備30に積載されている荷物31のうち一部の荷物31に個数を限定すれば、受け入れ可能な空き容量を有する第2保冷設備50が抽出される場合がある。
【0129】
このため、ステップS27以降では、第1保冷設備30に積載されている荷物31のうち、比較的価値の高い一部の荷物31に限定して、再度の抽出処理を行う。これにより、少なくとも一部の荷物31については一時的に第2保冷設備50へ保管させることで、品質を維持することができる。この結果、第2保冷設備50へ避難できずに品質が低下する荷物31があるとしても、損失する荷物31の価値を低く抑えることで、荷物31の賠償額等に掛かるコストを抑えることができる。
【0130】
ステップS27において、例えば、制御部13は荷物31の種類ごとの合計価値を算出する。例えば、荷物情報及び価値情報に基づいて、制御部13は、製品A1の個数pと製品A1の価値vの積を製品A1の合計価値として算出する。また、制御部13は、製品A2の個数pと製品A2の価値vの積を製品A2の合計価値として算出する。
【0131】
そして、制御部13は、複数の製品A1,A2,・・・のうち、合計価値の最も低い製品を、第2保冷設備50に預け入れる荷物31(預け入れ荷物31)から省いた状態で、再度、各抽出処理(ステップS20からステップS25まで)を実行する。
【0132】
例えば、複数の製品のそれぞれの合計価値のうち、製品A2の合計価値が最も低い場合、製品A2を省いた状態で、ステップS20を実行する。これにより、ステップS20において、製品A2を含む全ての荷物31を受け入れ可能な空き容量がない場合であっても、製品A2を除いた荷物31を受け入れ可能な空き容量を有する第2保冷設備50が抽出されうる。
【0133】
このように、製品A2を省いた状態で2回目の抽出処理を実行した後、2回目のステップS26において、1箇所以上の第2保冷設備50が受け入れ可能な設備として抽出されていれば、制御部13は決定ステップS15に進むことができる。一方で、製品A2を省いてもステップS26においてひとつも受け入れ可能な第2保冷設備50がない場合、制御部13は2回目のステップS27を実行する。そして、制御部13は、製品A2を省いた複数の製品A1,・・・のうち、合計価値の最も低い製品を、預け入れ荷物31から省いた状態で、3回目の各抽出処理を実行する。
【0134】
このように、制御部13は、車両V1が輸送する全ての荷物31を受け入れ可能な第2保冷設備50が抽出されない場合、価値の低い製品から順に対象から省くことで、受け入れ可能な荷物31の合計価値(荷物31の価値v及び荷物31の個数pの積)が最大となる第2保冷設備50を抽出することができる。これにより、第2保冷設備50へ避難できずに品質が低下する荷物31があるとしても、その賠償額等に掛かるコストを抑えることができる。
【0135】
図7を参照する。荷物31を受け入れ可能な第2保冷設備50を抽出した後、制御部13は抽出された第2保冷設備50のうち実際に荷物31を預け入れる第2保冷設備50を決定する決定ステップS15を実行する。なお、抽出ステップS14によって抽出された第2保冷設備50が1箇所のみである場合、制御部13は、決定ステップS15を省略して、次の通知ステップS16に進んでもよい。
【0136】
決定ステップS15において、制御部13は例えば、ネットワークN1を介して車両V1の表示部27に抽出ステップS14によって抽出された第2保冷設備50を表示させる。そして、表示部27の表示を確認した車両V1の搭乗者が、表示されている第2保冷設備50のうち実際に荷物31を預け入れる1箇所の第2保冷設備50を入力部28を用いて選択する。
【0137】
例えば、車両V1の搭乗者は、表示されている複数の第2保冷設備50のうち、自身が行き慣れている設備を選択してもよいし、到達予定時刻が最も早い設備を選択してもよい。これにより、選択された1箇所の第2保冷設備50が、実際に荷物31を預け入れる第2保冷設備50として決定される。以上により、決定ステップS15が終了する。
【0138】
なお、決定ステップS15において、制御部13が自動的に第2保冷設備50を決定してもよい。例えば、制御部13は、抽出ステップS14によって抽出された第2保冷設備50のうち、車両V1の現在位置からの距離が最も近い第2保冷設備50を、実際に荷物31を預け入れる設備として決定してもよい。
【0139】
また、管理サーバ10が宅配業者B1の施設に設置されている場合、制御部13は管理サーバ10に接続されている表示部18に、抽出ステップS14によって抽出された第2保冷設備50を表示させてもよい。この場合、表示部18の表示を確認した宅配業者B1のオペレータが、表示されている第2保冷設備50のうち実際に荷物31を預け入れる1箇所の第2保冷設備50を入力部19を用いて選択してもよい。
【0140】
続いて、制御部13は、決定ステップS15において決定された第2保冷設備50に対して、今から車両V1が荷物31を一時保管するために向かうことを通知する通知ステップS16を実行する。例えば、制御部13は、ネットワークN1を介して、決定された第2保冷設備50に設置されている設備サーバ40へ所定の通知(一時保管通知)を実行する。一時保管通知には、例えば一時保管する荷物31の個数p及びサイズq、保管に使用する倉庫、車両V1の到着予定時刻、車両V1のナンバー等の情報が含まれている。
【0141】
設備サーバ40は、一時保管通知を受信すると、表示部46に一時保管通知に関する情報を表示する。第2保冷設備50のオペレータは、表示部46に表示された情報に基づいて、車両V1の入構手続等の荷物31を受け入れるための準備を実行する。
【0142】
最後に、制御部13は、車両V1の表示部27に、車両V1の現在位置から一時保管先の第2保冷設備50までの経路案内を表示させる(経路案内ステップS17)。なお、経路案内ステップS17の少なくとも一部は、車載制御部22が実行してもよい。
【0143】
以上により、第1保冷設備30の故障を判定された場合に、第1位置情報、第2位置情報、荷物情報及び容量情報に基づいて、複数の第2保冷設備50のうちから1箇所以上の受け入れ可能な第2保冷設備50を荷物31を受け入れ可能な設備として抽出することができる。そして、抽出された第2保冷設備50のうち、実際に荷物31を一時保管する設備を決定し、当該設備へ通知を行うとともに、車両V1を当該設備へ案内することができる。これにより、第1保冷設備30に故障が生じた場合であっても、保冷が必要な荷物31を一時的に第2保冷設備50に保管することで、荷物31の品質をより確実に維持することができる。
【0144】
[2.変形例]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は前述した形態以外にも種々の変更を行うことが可能である。以下、本開示の実施形態に係る変形例について説明する。以下の変形例において、実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0145】
[2.1 故障判定の変形例1]
図9は、変形例に係る車載器20が実行する制御方法を示すフローチャートである。図9に示す各ステップは、車載制御部22が、車載記憶部23からコンピュータプログラムを読み出して、各種の処理を実行することで、実現される。
【0146】
上記の実施形態では、管理サーバ10の制御部13が、車両情報D1に基づいて第1保冷設備30の故障判定を実行する(ステップS13)。これに対し、本変形例では、車載器20が車両情報D1に基づいて第1保冷設備30の故障判定を実行する。そして、故障が判定された場合に、車載器20は故障情報D3をネットワークN1を介して管理サーバ10へ送信する。管理サーバ10は、故障情報D3を受信した場合に、抽出ステップS14以降の各ステップを実行する。
【0147】
はじめに、車両情報D1を車載記憶部23に収集する第1収集ステップS31を実行する。第1収集ステップS31において、車載制御部22は、センサセット21及び入力部28から入力される車両情報D1を車載記憶部23に格納する。
【0148】
次に、車載制御部22は、車両情報D1に基づいて第1保冷設備30の故障を判定する故障判定ステップS32を実行する。故障判定ステップS32において、車載制御部22は、前述の故障判定ステップS13と同様の判定を実行する。すなわち、車載制御部22は、第1保冷設備30の内部温度T1が所定範囲外である場合に、第1保冷設備30の故障を判定してもよいし、第1保冷設備30の振動F1が所定値以上である場合に、第1保冷設備30の故障を判定してもよい。
【0149】
次に、車載制御部22は、第1保冷設備30の故障を示す故障情報D3を管理サーバ10に送信する故障情報送信ステップS33を実行する。具体的には、車載制御部22は、判定結果に基づいて故障情報D3を作成し、作成した故障情報D3を車載記憶部23に記憶させる。故障情報D3は、第1保冷設備30の故障を判定した時刻を示す情報を含んでもよい。そして、車載制御部22は、車載記憶部23に記憶されている故障情報D3を車載通信部24からネットワークN1を介して管理サーバ10に送信させる。
【0150】
このように、第1保冷設備30の故障判定を管理システム1に含まれる複数の車載器20のそれぞれにおいて実行することで、管理サーバ10の処理負荷を軽減することができる。
【0151】
[2.2 故障判定の変形例2]
上記の変形例では、車載制御部22が車両情報D1に基づいて第1保冷設備30の故障を判定する。しかしながら、例えば車両V1の搭乗者が入力部28を用いて第1保冷設備30が故障していることを入力してもよい。
【0152】
例えば、車載制御部22は、車両V1の表示部27に第1保冷設備30の内部温度T1を表示させる。車両V1の搭乗者は、表示部27に表示されている内部温度T1が異常な速度で上昇する等、内部温度T1の挙動が異常である場合に、第1保冷設備30の故障を判断する。なお、車両V1の搭乗者は、例えば荷物31の出し入れの際に、実際に第1保冷設備30の内部等を目視することで、第1保冷設備30の故障を判断してもよいし、第1保冷設備30が発する異常音に基づいて第1保冷設備30の故障を判断してもよい。
【0153】
そして、車両V1の搭乗者は、入力部28を用いて第1保冷設備30が故障していることを入力する。入力部28により故障の旨の入力がなされると、車載制御部22は故障情報D3を作成する。その後、前述のステップS33と同様に、車載制御部22は、故障情報D3を車載通信部24からネットワークN1を介して管理サーバ10に送信させる。以上のように、第1保冷設備30の故障判定は、手動で実行してもよい。
【0154】
[2.3 その他]
上記の実施形態において、管理サーバ10は、ステップS20からステップS23により、荷物31を受け入れ可能な空き容量があり、かつ荷物31の品質を維持可能な温度帯及び位置にある第2保冷設備50を抽出する。しかしながら、ステップS20からステップS23を実行する順序は適宜前後してもよい。
【0155】
例えば、先に、荷物31の品質を維持可能な位置にある第2保冷設備50を抽出し(ステップS22,S23)、その後に、第2保冷設備50の空き容量と(ステップS20)、対応する温度帯と(ステップS21)、に基づいて第2保冷設備50を抽出してもよい。
【0156】
また、ステップS24,S25は、省略してもよい。すなわち、ステップS20からステップS23により抽出された第2保冷設備50に基づいて、決定ステップS15以降の処理を実行してもよい。
【0157】
《補記》
なお、上述の実施形態及び各種の変形例については、その少なくとも一部を、相互に任意に組み合わせてもよい。また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0158】
1 管理システム
10 管理サーバ
11 第1収集部
12 第2収集部
13 制御部
14 記憶部
15 通信部
16 読取部
17 記録媒体
18 表示部
19 入力部
20 車載器
21 センサセット
211 GPSセンサ
212 内部温度センサ
213 外部温度センサ
214 振動センサ
22 車載制御部
23 車載記憶部
24 車載通信部
25 読取部
26 記録媒体
27 表示部
28 入力部
30 第1保冷設備
31 荷物
40 設備サーバ
41 設備制御部
42 設備記憶部
43 設備通信部
44 読取部
45 記録媒体
46 表示部
47 入力部
50 第2保冷設備
50a 自社設備
50b 他社設備
50c 自社車両設備
51 物品
52 空き領域
V1 車両
N1 ネットワーク
B1 宅配業者
B2 業者
B3 管理業者
D1 車両情報
D2 設備情報
D3 故障情報
A1 製品
A2 製品
SP1 座標
SP2 座標
T1 内部温度
T2 外部温度
F1 振動
TB1 テーブル
TB2 テーブル
E1 空き容量
E2 空き容量
M1 費用
M2 費用
L1 所定距離
TM1 残り時間
TM2 所要時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9