(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050856
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ブロックチェーンにより実現される方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/62 20130101AFI20240403BHJP
H04L 9/32 20060101ALI20240403BHJP
G06F 21/60 20130101ALI20240403BHJP
【FI】
G06F21/62 318
H04L9/32 200Z
G06F21/60 360
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024017645
(22)【出願日】2024-02-08
(62)【分割の表示】P 2022098008の分割
【原出願日】2017-07-21
(31)【優先権主張番号】1613106.2
(32)【優先日】2016-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1613107.0
(32)【優先日】2016-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】318001991
【氏名又は名称】エヌチェーン ライセンシング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンセント,ステファヌ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】インターネット対応リソースへのアクセス及び/又は利用を制御する方法及び対応するシステムを提供する。
【解決手段】方法は、公開鍵はDHTに格納され、リソースへのアクセスは、メモリから公開鍵を削除し、ブロックチェーントランザクションのリディームスクリプトを利用して、更なるブロックチェーントランザクションのトークン化された出力を使うことによって防止又は不可とされる。必要な暗号化鍵を通信し、資金を転送する処理はブロックチェーンを介し実行される。鍵はトランザクションスクリプトのメタデータにおいてトークンとして通信される。利用中、アクセスがユーザによって要求されると、暗号化されたメッセージがリソースに送信される。メッセージは、ユーザの秘密鍵を利用して暗号化されている。リソースが以前に通信された公開鍵を利用してメッセージを解読可能である場合、アクセスが許可可能である。
【選択図】
図1b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネット対応リソースへのアクセス及び/又は利用を制御する方法であって、
第1ブロックチェーントランザクションを生成するステップであって、前記第1ブロックチェーントランザクションは、
i)前記インターネット対応リソースへのアクセス及び/又は利用に関連するスマートコントラクトを表すトークンと、
ii)前記インターネット対応リソースのユーザから第三者へ値を転送するための少なくとも1つの出力と、
を含む、ステップと、
前記インターネット対応リソースに、リソースユーザに関連付けられる公開鍵を通信するステップと、
前記インターネット対応リソースに、秘密鍵を用いて暗号化されたメッセージ又は他のデータを通信するステップと、
前記公開鍵を使用して前記メッセージ又は他のデータの復号の成功に応じて、前記インターネット対応リソースの状態及び/又は機能性を操作するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記第三者は、エスクローエージェントであり、かつ/又は
前記スマートコントラクトは、前記インターネット対応リソースへのアクセス又は利用のための合意に関する詳細又は条件を含み、かつ/又は
前記値の転送は、通貨額等の資金の支払いである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1ブロックチェーントランザクションは、前記リソースユーザに関連付けられる前記公開鍵を表すトークンを含むリディームスクリプトを有する出力を含む、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記トークンから前記公開鍵にアクセスするか又は前記公開鍵を取得し、メモリ内に格納するステップを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1ブロックチェーントランザクションは、リソースのコントローラにより生成され、変更のために前記リソースユーザへ送信される、
請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記リソースユーザは、少なくとも1つの出力を前記第1ブロックチェーントランザクションに追加することによって、前記第1ブロックチェーントランザクションを修正する、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1ブロックチェーントランザクションをブロックチェーンネットワークへ提出するステップ、
を含む、請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記暗号化されたメッセージは、前記リソースユーザにより、望ましくはハンドヘルド又はポータブルコンピューティング装置を使用して、前記インターネット対応リソースへ送信される、
請求項1乃至7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
第2トランザクションをブロックチェーンネットワークへ提出するステップを含み、前記第2トランザクションは、前記インターネット対応リソースへトークンを送信する出力を含み、前記トークンは、前記リソースユーザに関連付けられる公開鍵又は前記公開鍵のハッシュを表すか又は含む、
請求項1乃至8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記第2トランザクションのトークンにより表される前記公開鍵に基づき、メモリから、前記ユーザの公開鍵の前に格納されたバージョンを削除するステップ、
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2トランザクションの出力を使用する入力を含む第3トランザクションを生成することにより、前記第2トランザクションのトークンをトークン化解除するステップ、
を含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1ブロックチェーントランザクション、第2トランザクション、及び/又は第3トランザクションのブロックチェーンネットワークへの提出は、自動化され、望ましくは、提出の時間が、各々のトランザクションの中で提供される命令又は設定に依存する、
請求項1乃至11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記第1ブロックチェーントランザクションは、
リソースのコントローラにデポジットの支払いを転送するための出力、及び/又は、
エスクローエージェントに支払いを転送するための出力、
を含む、請求項1乃至12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記公開鍵又はその場所への参照をストレージリソースに格納するステップであって、望ましくは、前記ストレージリソースは、分散ハッシュテーブル又は前記インターネット対応リソースに関連して提供されるか前記インターネット対応リソースによってアクセス可能なメモリである、ステップ、及び/又は
メモリのリソースから前記公開鍵を削除することと、
ブロックチェーントランザクションのリディームスクリプトを利用して、他のブロックチェーントランザクションのトークン化された出力を使うことと、
によって、前記インターネット対応リソースへの更なるアクセス及び/又は利用を防止するステップ、
を更に備える、請求項1乃至13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記インターネット対応リソースはIoTデバイスである、
請求項1乃至14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記インターネット対応リソースへのアクセス及び/又は利用を許可する又は防止するステップは、前記インターネット対応リソースにより実行される検証に依存し、該検証において、前記インターネット対応リソースは、前記暗号化されたメッセージを読み取るために前記リソースユーザの公開鍵の格納されたバージョンを使用しようとする、
請求項1乃至15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれかに記載の方法を実行するよう構成されるコンピュータにより実装されるシステム。
【請求項18】
当該システムは、
インターネット対応リソースであって、望ましくは、前記インターネット対応リソースはIoTデバイス又は機器である、インターネット対応リソースと、
ブロックチェーンと、
リソースユーザに関連付けられ、かつ前記ユーザに関連付けられた暗号鍵を格納するよう構成される、インターネット対応クライアント装置であって、望ましくは、該インターネット対応クライアント装置は、ポータブル又はハンドヘルドコンピューティング装置である、インターネット対応クライアント装置と、
を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記インターネット対応リソースは、ブロックチェーントランザクションを生成し、該トランザクションをブロックチェーンネットワークに提供するよう構成される、
請求項17又は18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に分散型台帳技術(ブロックチェーン関連技術を含む)に関し、特にデバイス、システム、サービス又は電子/デジタルリソースなどのリソースへのアクセスを制御する際におけるブロックチェーンの利用に関する。本発明は特に、インターネット対応デバイスへのアクセスを提供及び/又は禁止する際の利用に適している。それはまた、例えば、レンタルの状況など、リソースへの一時的なアクセスが所望される状況における利用に適している。本発明の態様はまた、インターネット・オブ・シングズ(IoT)に関する。本発明は、IoTデバイスを制御するのに適するものであってもよい。
【背景技術】
【0002】
本文書では、このコンテクストにおいて現在最も広く知られている用語であるため、参照の便宜及び容易のため、“ブロックチェーン”という用語を利用する。当該用語は、コンセンサスベースブロックチェーン、オルトチェーン、サイドチェーン及びトランザクションチェーン技術、パーミッション型及び非パーミッション型台帳、共有台帳及びこれらの変形を含む全ての形態の電子的コンピュータベース分散型台帳を含むようここでは利用される。
【0003】
ブロックチェーンは、トランザクションから構成されるブロックから構成されるコンピュータベースの非中央化された分散システムとして実現される電子台帳である。各トランザクションは、少なくとも1つの入力と少なくとも1つの出力とを含む。各ブロックは、それの開始以来ブロックチェーンに書き込まれてきた全てのトランザクションの永続的で修正不可なレコードを作成するために一緒にチェーン化されたブロックの前のブロックのハッシュを含む。トランザクションは、トランザクションの出力がどのようにして誰によってアクセス可能であるかを特定する入力及び出力に埋め込まれたスクリプトとして知られる小さなプログラムを含む。ビットコインプラットフォーム上では、これらのスクリプトはスタックベーススクリプト言語を用いて記述される。
【0004】
トランザクションがブロックチェーンに書き込まれるために、それは、i)トランザクションを受信した最初のノードによって検証され、トランザクションが検証された場合、ノードはそれをネットワークにおける他のノードに中継し、ii)マイナーによって構築された新たなブロックに追加され、iii)マイニング、すなわち、過去のトランザクションの公開台帳に追加される必要がある。
【0005】
ブロックチェーン技術の最も広く知られているアプリケーションは、他のブロックチェーン実現形態が提案及び開発されてきたが、ビットコイン台帳である。ビットコインは便宜及び説明の目的のためにここでは参照されうるが、本発明はビットコインブロックチェーンによる利用に限定されず、他のブロックチェーン実現形態が本発明の範囲内に属することが留意されるべきである。
【0006】
ブロックチェーン技術は、仮想通貨の実現形態の利用について最も広く知られている。しかしながら、より最近では、デジタル起業家は、ビットコインが基づいている暗号化セキュリティシステムの利用と、ブロックチェーンに格納可能なデータの利用との双方を用いて新たなシステムを実現することを始めている。
【0007】
現在の興味及び研究の1つのエリアは、“スマートコントラクト”の実現のためのブロックチェーンの利用である。これらは、契約又は合意の条項の実行を自動化するよう設計されたコンピュータプログラムである。自然言語で記述される従来の契約と異なって、スマートコントラクトは、結果を生じさせるために入力を処理可能なルールを含み、これらの結果に応じてアクションを実行させることが可能なマシーン実行可能なプログラムである。
【0008】
ブロックチェーン関連の興味の他のエリアは、ブロックチェーンを介し実世界のエンティティを表現及び転送するための“トークン”(又は“カラードトークン”)の利用である。潜在的に機密又は秘密のアイテムは、区別可能な意味又は値を有さないトークンによって表現できる。従って、トークンは、実世界アイテムが参照されることを可能にする識別子として機能する。
【0009】
本発明はまた、リソースへのアクセスを制御するためのブロックチェーンにより実現される機構の利用に関する。このリソースは、“インターネット・オブ・シングズ(IoT)”デバイスとすることができる。IoTは、Wikipediaによって、“物理デバイス、車両、建物及びエレクトロニクス、ソフトウェア、センサと共に埋め込まれた他のアイテムのネットワークと、これらのオブジェクトがデータを収集及び交換することを可能にするネットワーク接続であり、・・・IoTは、オブジェクトが既存のネットワークインフラストラクチャを介し遠隔的に検知及び制御されることを可能にする”として説明されている。
【0010】
本発明は、添付した請求項に規定される。
【0011】
本発明は、方法及び/又はシステムを提供しうる。それは制御方法/システムであってもよい。それは、コンピュータにより実現される方法/システムであってもよい。それは、ブロックチェーンにより実現される方法/システムであってもよい。それは、ブロックチェーントランザクションを利用するよう構成されうる。それは、ブロックチェーンプロトコルを利用するよう構成されうる。本発明は、リソースへのアクセス又は利用の制御を実現するよう構成されうる。従って、本発明は、リソースの一時的な制御を提供するよう構成されうる。それは、リソースへのアクセス/利用を許可及び/又は拒絶するよう構成されうる。
【0012】
リソースは、インターネット対応リソースであってもよい。それは、インターネット・オブ・シングズ(IoT)リソースであってもよい。それは1つ以上のデバイスであってもよい。それは、車両、建物又は機械であってもよい。インターネット対応リソースは、リソースプロバイダによって提供、所有、管理されてもよい。
【0013】
本発明は、検証又は認証方法/システムを提供しうる。本発明は、少なくとも1つの暗号化鍵の利用に関するものであってもよい。これは、公開/秘密鍵ペアであってもよい。暗号化鍵は、共有秘密を利用して生成されうる。
【0014】
本発明は、リソースの状態又は機能をロック/アンロック、可能又は不可、実行又はシャットダウン、若しくは操作するよう構成されうる。本発明は、ユーザによるリソースへの一時的なアクセス/利用を制御するよう構成されうる。本発明は、レンタル又は貸出処理を実現するよう構成されうる。当該処理の少なくとも一部は、契約において実現、規定及び/又は説明されうる。これは、コンピュータにより実行可能なスマートコントラクトであってもよい。
【0015】
本発明は、インターネット対応リソースへのアクセス及び/又は利用を制御する方法であって、第1のブロックチェーントランザクション(TxB)を生成するステップを含む方法を含んでもよい。当該ステップは、リソースのコントローラによって実行されてもよい。TxBは、リソースのユーザに関連する公開鍵を表すトークンを含むリディームスクリプトを含む出力を含む不完全な形式で生成されうる。(リソースのユーザは、コントローラに以前に提供された公開鍵を有してもよい。)コントローラは、修正及び/又は記入のためリソースのユーザに不完全なトランザクションTxBを送信してもよい。
【0016】
リソースは、コントローラからの受信に応答して、第1のトランザクション(TxB)を修正又は記入してもよい。
【0017】
第1のトランザクション(TxB)は、
i)インターネット対応リソースへのアクセス及び/又は利用に関するスマートコントラクトを表すトークン、及び/又は、
ii)インターネット対応リソースのユーザからリソースのコントローラ及び/又は第三者に値を転送するための少なくとも1つの出力とを含んでもよい。
【0018】
それはまた、リソースのユーザに関連する公開鍵をインターネット対応リソースに通信するステップを含んでもよい。公開鍵は、暗号化鍵であってもよい。それは、公開/秘密鍵ペアの一部を構成してもよい。
【0019】
それはまた、秘密鍵を用いて暗号化されたメッセージ又は他の形式のデータをリソースに通信するステップを含んでもよい。これは、暗号化鍵であってもよい。それは、公開/秘密鍵ペアの一部を構成してもよい。
【0020】
それはまた、公開鍵を用いたメッセージの解読の成功に応じて、インターネット対応リソースへのアクセス及び/又は利用を許可又は防止するステップを含んでもよい。
【0021】
第三者は、エスクローエージェントであってもよい。スマートコントラクトは、リソースへのアクセス又は利用のための合意に関する詳細又は条件を含んでもよい。値の転送は、通貨額などの資金の支払いであってもよい。通貨は、例えば、ビットコインなどの仮想通貨であってもよい。
【0022】
第1のブロックチェーントランザクションは、リソースのユーザに関連する公開鍵を表すトークンを含むリディームスクリプトを有する出力を含んでもよい。
【0023】
当該方法は更に、トークンから公開鍵にアクセス又は取得し、それをメモリに格納するステップを含んでもよい。当該ステップは、インターネット対応リソースによって実行されてもよい。鍵はIoTデバイス内又は接続されたメモリに格納されてもよい。
【0024】
リソースのユーザは、ソースから第1のトランザクションを受信してもよい。それは、部分的に記入された形式で受信されてもよい。それは、リソースコントローラから受信されてもよい。リソースのユーザは、1つ以上の入力及び/又は1つ以上の出力を挿入することによって、第1のトランザクションを修正してもよい。
【0025】
第1のトランザクションは、リソースのコントローラによって生成され、修正のためにリソースのユーザに何れかによって送信されてもよい。リソースのユーザは、少なくとも1つの出力を第1のトランザクションに加えることによって第1のブロックチェーントランザクションを修正してもよい。リソースのユーザは、それが、
・ブロックチェーン上の他の(以前の)トランザクションから仮想通貨の一部を使う入力、及び/又は、
・第三者に仮想通貨の一部を転送する出力、好ましくは、当該出力はまたトークン化された契約(すなわち、契約を表すトークン)を転送する、及び/又は、
・リソースのコントローラに仮想通貨の一部を転送する出力、及び/又は、
・リソースのユーザにおつりとして仮想通貨の一部を戻す出力
を含むように、第1のトランザクションを修正してもよい。
【0026】
当該方法は、第1のトランザクションをブロックチェーンネットワークに送信するステップを含んでもよい。
【0027】
暗号化されたメッセージは、リソースのユーザによってインターネット対応リソースに送信されてもよい。それは、スマートフォンなどの携帯又はポータブル計算デバイスを利用してユーザによって送信されてもよい。appが、この目的のためにユーザの(クライアント)デバイスにインストールされてもよい。
【0028】
当該方法はまた、ブロックチェーンネットワークに第2のトランザクションを送信するステップを含み、第2のトランザクションは、リソースにトークンを送信する出力を含み、トークンは、リソースのユーザに関連する公開鍵又は公開鍵のハッシュを表すか、又は含んでもよい。当該方法はまた、第2のトランザクションのトークンによって表される公開鍵に基づき、メモリからユーザの公開鍵の以前に格納されているバージョンを削除するステップを含んでもよい。これは、トークンによって提供される鍵の格納されているバージョンを検索することによって実現されうる。当該方法はまた、第2のトランザクションの出力を使う入力を含む第3のトランザクションを作成することによって、第2のトランザクションのトークンをトークン化解除するステップを含んでもよい。
【0029】
ブロックチェーンネットワークへの第1、第2及び/又は第3のトランザクションの送信は自動化されてもよい。送信の時間は、各トランザクション内に備えられた指示又は設定に依存してもよい。これは、CLTV指示若しくは機構、又は機能的に実質的に等価である他の機構であってもよい。
【0030】
第1のブロックチェーントランザクションは、リソースのコントローラにデポジットの支払いを転送するための出力を含んでもよい。さらに又はあるいは、それは、エスクローエージェントに支払いを転送するための出力を含んでもよい。
【0031】
当該方法はまた、公開鍵又はその場所への参照をストレージリソースに格納するステップを含んでもよい。ストレージリソースは、分散ハッシュテーブル又はリソースによってアクセス可能であるか、関連して備えられるメモリであってもよい。
【0032】
当該方法はまた、メモリのリソースから公開鍵を削除し、及び/又は、ブロックチェーントランザクションのリディームスクリプトを利用して、他のブロックチェーントランザクションのトークン化された出力を使うことによって、インターネット対応リソースへの更なるアクセス及び/又は利用を防止するステップを含んでもよい。
【0033】
本発明は、インターネット対応リソースへのアクセス及び/又は利用を制御する方法を提供しうる。当該方法は、メモリに格納されている公開鍵に対応する秘密鍵の提供によって、インターネット対応リソースへのアクセス及び/又は利用を許可するステップを含みうる。公開鍵は、リソース内、リソース上又はリソースに接続されるメモリに格納されてもよい。さらに又はあるいは、それは、インターネット対応リソースから遠隔である又は別の場所に格納されてもよい。
【0034】
さらに又はあるいは、当該方法は、メモリから公開鍵を削除することによって、インターネット対応リソースへのアクセス及び/又は利用を防止するステップを含んでもよい。
【0035】
さらに又はあるいは、アクセス及び/又は利用を防止するステップは、第2のブロックチェーントランザクションのリディームスクリプト(redeem script)を利用して、第1のブロックチェーントランザクションのトークン化(tokenised)された出力を使うことを含んでもよい。
【0036】
本発明はまた、上述した方法の何れかの実施例を実行するよう構成されるコンピュータにより実現されるシステムを提供する。
【0037】
本発明は、命令、フラグ、コード、オペコード又はコンピュータコードの一部(便宜上、“タイムロック機構”として参照する)を利用して、ブロックチェーンネットワークにトランザクションをブロードキャストし、及び/又はトランザクションの出力が利用可能な日付及び/又は時間を指定するステップを含んでもよい。これは、例えば、ビットコインCheckLockTimeVerify(CLTV)処理又は機能的に類似又は等価な機構を利用して実現されてもよい。さらに及び/又はあるいは、タイムロック機構は、適切に構成された計算エージェントを利用して実現されてもよい。トランザクションは、第1、第2及び/又は第3のトランザクションであってもよい。タイムロック機構は、トランザクションをブロックチェーンネットワークにブロードキャストするか、あるいは、例えば、リソースへのアクセス又は制御が許可、拒絶、変更又は取消される時間などの特定の時間に出力を使うのに利用可能である。タイムロック機構は、リソースユーザ、リソースプロバイダ又は第三者によって指定されてもよい。
本発明によるシステムは、
好ましくはIoTデバイス又は装置であってもよいインターネット対応リソース、
ブロックチェーン、及び/又は、
ユーザに関連付けされ、ユーザに関連付けされた暗号化鍵を格納するよう構成されるインターネット対応デバイスを含んでもよい。(クライアント)デバイスは、ポータブル又は携帯計算デバイスであってもよい。
【0038】
クライアントデバイスは、スマートフォン、タブレットコンピュータ又はラップトップであってもよい。クライアントデバイスは、公開及び/又は秘密暗号化鍵を生成するよう構成されてもよい。それは、秘密の値を利用してこれを実行してもよい。クライアントデバイスは、“app”などのソフトウェアを実行するよう構成されてもよい。appは、リソースとやりとりして通信するよう構成されてもよい。それは、セキュアな方法で暗号化鍵を格納するよう構成されてもよい。それは、鍵を利用してメッセージを暗号化するよう構成されてもよい。それは、暗号化されたメッセージをリソースに通信するよう構成されてもよい。これは、無線通信チャネル及び/又はプロトコルを介し実現されてもよい。appは、サーバ上に備えられた他のソフトウェアリソースと通信するよう構成されてもよい。サーバは、リソースプロバイダによって又はために運営されてもよい。サーバはウェブサイトを運営してもよい。ウェブサイトは、ユーザがインターネット対応リソースを制御、アクセス及び/又は利用する関心を登録することを可能にしてもよい。サーバサイドのソフトウェアは、スマートコントラクトを生成するよう構成されてもよい。スマートコントラクトは、インターネット対応リソースへのアクセス/利用に関する条項及び/又は条件を含んでもよい。
【0039】
インターネット対応リソースは、ブロックチェーントランザクションを生成し、トランザクションをブロックチェーンネットワークに提供するよう構成されてもよい。
【0040】
本発明の一態様又は実施例に関して説明される何れかの特徴は、本発明の他の何れかの態様又は実施例に等しく適用可能であってもよい。当該方法に関して説明される何れかの特徴はまた、システムに適用されてもよいし、その反対であってもよい。
【0041】
本発明は、レンタルのシナリオに関する以下の例示的な実施例において実質的に説明されるような方法及び/又はシステムを提供しうる。
【0042】
本発明の上記及び他の態様は、ここに説明される実施例から明らかであり、参照して解明されるであろう。本発明の実施例は、添付した図面を参照して例示的に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1a】本発明の例示的な実施例によるシステムを示す。
【
図1b】実施例によるシステムを利用して自動車の貸出に関連するステップを示すフローチャートを提供する。
【
図2】本発明の実施例を実現するのに利用されうる複数のトランザクションと各自の入力/出力とを示す。
【
図3a】インターネット対応自動車へのアクセスを可能にするのに利用される第1のブロックチェーントランザクションを示す。
【
図3b】インターネット対応自動車へのアクセスを可能にするのに利用される第1のブロックチェーントランザクションを示す。
【
図4】自動車へのアクセスを削除するのに利用される第2のブロックチェーントランザクションを示す。
【
図5】自動車へのアクセスを制御するのに利用される第3のブロックチェーントランザクションを示す。
【
図6】具体例の自動車貸出処理に利用される仮想通貨の量をトークン化解除するのに利用される第4のブロックチェーントランザクションを示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明は、リソースへの一時的なアクセスを提供、終了及び制御する機構を提供する。効果的には、それは、ブロックチェーンプロトコルを利用して、インターネットへのアクセスを有するユーザがリソースとやりとりすることを可能にする。これは、何れのタイプのリソースとすることも可能であるが、本例では、リソースはインターネット対応レンタカーである。当該方法は、ブロックチェーンプロトコルと共に利用可能な全範囲のトランザクションの可能性、すなわち、通常(例えば、ビットコイン)のトランザクション、スマートコントラクト及び“カラードコイン”(トークン化された)トランザクションを利用する。
【0045】
説明のみの目的のため、本発明が車両レンタルサービスに利用される具体例を提供する。自動車レンタルサービスは、数時間から数ヶ月までの範囲の特定の期間において車両をレンタルすることに関する広範なサービスを含む。これらのサービスはしばしば、オンライン予約及びスマートフォンアプリケーションを通じてウェブサイトを介し提供される。高速インターネットアクセスと結びついたスマートフォン技術の急速な普及による顧客の嗜好の変化は、産業の成長の要因であるキーファクタの1つである。しかしながら、自動車レンタル処理の当該具体例は限定的であることを意図していないことが留意されるべきである。本発明は、あるタイプのリソースへの一時的なアクセスが制御される必要がある他のコンテクスト及びアプリケーションにおいて等しく利益を有する。ここで説明される基礎となるインフラストラクチャは、永続的なレコードが所望され、2つ以上の主体が何れかのタイプのアクセス関連の合意、例えば、居住用財産の貸出のための契約などを実現することを所望する各種トランザクションについて利用可能である。
【0046】
本発明は、ユーザがやりとりするのに極めて便利である改良されたアクセス解決策を提供する。それは、ユーザ(例えば、借り手)がアクセスを実施又は終了するため、所定の位置に物理的に行くことを必要としない。例えば、従来のレンタル状況では、借り手は自動車又は財産の鍵を収集し、又は契約などに署名するため、レンタルオフィスに行く必要があった。本発明は、スマートフォンなどの計算デバイスが自動車/家の鍵などのアクセス機構として機能することを可能にするため、この問題を回避する。さらに、ソフトウェアアプリケーションの本発明の内蔵は、検索能力を提供し、ユーザが詳細を登録することを可能にする。
【0047】
本発明の1つの重要な側面は、それがブロックチェーンネットワークにブロックチェーントランザクションをブロードキャストし、及び/又は出力が指定された時間に使用可能になるための機構を利用可能であることである。例えば、ビットコインCheckLockTimeVerify(CLTV)機構は、トランザクションにおいて利用可能である。本発明に関して、これはそれが契約の実行を自動化するのに利用可能であるため、効果的でありうる。例えば、それは、リソースへのアクセス又は利用がいつ付与、変更又は拒絶可能であるかを制御するのに利用可能である。
【0048】
リソースはインターネット・オブ・シングズ(IoT)デバイスを利用して、リソース関連機能などの可能な機能の範囲を実行することに留意することが重要である。ユーザの暗号化鍵(PubKey)は、アクセスを付与するため、格納用のリソースに通信される。この鍵は、更なるアクセスを禁止するため、リソースのメモリから以降に削除される。IoTデバイスは、プログラマブル“ブロックチェーンIOTデバイス(BID)”であり、すなわち、それは、ブロックチェーンネットワークをモニタ、やりとり及びそれに公開することが可能なインターネット対応デバイスである。本発明はまた通信プロトコルを含む。好適な実施例では、これはソフトウェアアプリケーション(app)を介したリソースとの通信を可能にする。
【0049】
図1aは、本発明の例示的な実施例によるシステム100を実現するのに利用されるシステム100を示す。しかしながら、当業者は、システム100に対する変形が本発明の範囲内に依然として属する一方、可能であることを理解するであろう。
【0050】
システム100は、
・自動車をレンタルするのに顧客によって利用されるウェブサイトを運営するサーバ102
・ブロックチェーンIoTデバイス(BID)106を含むIoTデバイス104を有する自動車110
・ニアフィールド通信、Bluetooth(登録商標)又は他の何れか適切であって、好ましくは無線伝送プロトコルを利用してIoTデバイス104を介し自動車110にメッセージを送信するよう構成されるスマートフォン又はタブレット、ラップトップなどの他の計算デバイス108
を有する。
【0051】
本例では、“ブロックチェーンIOTデバイス(BID)”は、オフBIDでセキュアに格納され、暗号化鍵を介しアクセスされる所定の指示を実行するようセットアップされた計算エージェントである。“オフBID”によって、当該指示がBID自体内には備えられず、他の何れかに格納され、必要に応じてアクセスされることを意味する。これらの指示は選択され、選択された1つ以上のタスクを実行するよう構成される。実行時、当該指示はIOTデバイスの動作を制御及び影響を与えることが可能である。BIDは、IOTデバイス自体に配置されてもよく、それは、BIDがIOTデバイスに備えられたメモリにインストールされることを意味する。しかしながら、他の実施例では、BIDはオフデバイスに配置され、デバイスとのインターネット接続を有してもよい。
【0052】
IOTデバイスは、他のデバイス又はDHTなどとセキュアに通信及びやりとりできるように、それ自体の暗号化鍵(IPアドレスと共に)を有する。それの“オペレーティングシステム”は、(少なくとも、限定することなく)
・暗号化計算
・外部ソース(DHTなど)からの指示の抽出
・切り替えスイッチ(すなわち、物理的IOTデバイス上のように)などのシンプルなアクションの実行
のための埋め込み機能を備えたシンプルで汎用的なシステムである。
【0053】
従って、IOTデバイスとそれに関連するBIDの何れも自らのビルトインされた指示を含まず、それが何を実行するか、又はそれをどのように実行するかについて“知らない”。BIDは、他の何れかから指示をセキュアに抽出するための機構しか有さない。BIDは(以下は限定的でなく例示的である)、
・自らのマスタ秘密及び公開鍵ペアへのアクセス;それはまた自らの(導出可能な)BTCアドレスを有する
・データをIPアドレスに送信し、又はIPアドレスからデータを受信する能力
・秘密共有プロトコル計算-好適な実施例では、これらは機械コードに埋め込まれてもよい
・ブロックチェーンイベントの検索及び解釈
・それに付属された(本質的には単なるスイッチのセットである標準的なAPIを介し)物理的デバイスの実行及び制御
のシンプルなアクションのセットのみを実行可能である。
【0054】
BIDの入出力の通信は、鍵が共有された秘密を用いて作成されることを可能にするセキュリティ機構を利用して暗号化可能である。これは、
(i)“ハッキング”からのより強力なセキュリティ
(ii)シンプルで汎用的なソフトウェアアップグレードプロトコル
(iii)デバイスアグノスチズム(device agnosticism)
を可能にする。
【0055】
ここで、システム100を利用した自動車レンタル処理の各種フェーズを、
図2に示されるような(ビットコイン)トランザクションのチェーンを参照して説明する。レンタル処理は、
1.フェーズ1:レンタル合意が参加する主体間で設定される。
2.フェーズ2:リソースへのアクセスが許可される、すなわち、顧客がリソースを利用する。
3.フェーズ3:契約がある理由から終了した、例えば、契約の条項による時間で期限切れとなった、又はレンタカーの返却などの終了イベントが行われたなどのため、特定のリソースへのアクセスが取り除かれた、
という3つの“フェーズ”を用いて説明される。
【0056】
フェーズ1:契約の設定
図1b及び2を参照されたい。本例では、リソースプロバイダは自動車レンタル企業であり、リソースはインターネット対応コンピュータをボード上に有する車両である。顧客(本例では“ユーザ”又は“借り手”として参照されうる)は、貸出企業とのレンタルの合意に入力するための彼女の希望を通知するため、プロバイダのウェブサイトを介し彼女の注文の詳細を入力する。顧客は、貸出企業に彼/彼女の公開鍵を提供する。公開鍵は、当該分野において知られるような暗号化鍵ペアを一緒になって構成する対応する秘密鍵を有する。
図1bのステップS100を参照されたい。
【0057】
これに応答して、自動車貸出企業は新たな契約を生成する。これは、機械実行可能な“スマートコントラクト”(以降、単に“契約”として参照される)である。スマートコントラクトは当該分野において知られている。自動車貸出企業は、
図1bのステップS102において、公衆に利用可能な分散ハッシュテーブル(DHT)にそれを公開することによって、契約を共有する。契約は、例えば、ピックアップ及び返却時間、モデル車両の詳細などの自動車貸出の条項を含む。顧客には契約の場所が通知され(又は、それのコピーが送信され)、これにより、顧客は当該条項及び条件を閲覧し、彼/彼女が進めることを所望するか決めることができる。本例では、自動車レンタルのコストは10ビットコイン(BTC)であると仮定する。
【0058】
効果的には、DHTに関する契約の登録がまた、第三者が当該文書にアクセスし、紛争の場合には条項を確認することを可能にする。しかしながら、いくつかの実施例では、セキュリティ機構は、許可された個人又はグループに契約へのアクセスを制限するのに利用されてもよく、例えば、パスワード又は他の形態の認証が必要とされてもよい。
【0059】
自動車貸出企業による提案されるトランザクションTxBの生成
当該企業はまた、(ブロックチェーンネットワークでなく)顧客に送信されるブロックチェーントランザクション(TxB)を生成する。
図3aの提案されるトランザクションTxBを参照されたい。レンタルの合意が実現されるために、借り手は貸出企業によって準備されたトランザクションTxBを記入する必要がある。提案されるトランザクションは、トークン(又は“カラードコイン”)を含む。ここでは、“トークン”又は“カラードコイン”という用語は互換的に利用される。当該技術において知られるように、トークンはあるメタデータを含むことによって“通常の”ブロックチェーントランザクションを介しデータを搬送するのに利用可能である。これは、ある固有の値(例えば、ビットコイン)を提供し、出力のロックスクリプトのメタデータ内にトークンを含む出力を含めることによって実現される。本ケースでは、Output 0のスクリプトは、顧客の公開鍵のハッシュを含むメタデータを含む、トークン化されたコインは、レンタカーに属するブロックチェーンアドレスを用いて使うことができる。従って、自動車は、合意が実現されるとトークンを介し顧客の公開鍵にアクセス可能である。これは、
図1bのステップ102に示される。
【0060】
従って、提案されるTxBは、借り手とのレンタル合意に入力するためのレンタル企業の意思の確認として機能し、また借り手の公開鍵に関して自動車が知るための方法を提供する。提案されるTxBはまた、自動車にアドレス指定された出力(Output 1)と彼女の公開鍵のハッシュとを含むトランザクションを借り手が閲覧することを可能にする。
【0061】
提案されるトランザクションTxBが借り手に送信されると、それは、1つの入力(I
0)及び1つの出力(O
0)を有する。入力は前のトランザクションの出力を使い(
図2における破線のボックスに示されるような)、自動車レンタル企業のデジタルシグネチャによって署名される。
【0062】
提案されるブロックチェーントランザクションTxBの第1の入力(I0)は、入力及び出力がTxBに追加されることを可能にするSIGHASHフラグSIGHASH_NONE|SIGHASH_ANYONECAMPANYを含む。SIGHASH_NONEの利用は、誰もそれを変更できない点で入力をプロテクトする。しかしながら、借り手は出力を変更可能である。
【0063】
当該出力O0のロックスクリプトは、借り手の公開鍵のハッシュを含む。ロックスクリプトは、以下を含む。
【0064】
【0065】
【表2】
スクリプトにおけるこのメタデータは、セットアップ処理が完了したとき、自動車が借り手の公開鍵にアクセスすることを可能にする“カラードコイン”を含む。
【0066】
自動車貸出企業によるトランザクションTxB’の生成
自動車貸出企業がDHTに契約文書を送信すると、それはまた、借り手の公開鍵のハッシュを含む新たな文書を生成し、それをDHTと共有する。TxB’は、それに添付されたカラードコインを有する出力を含むブロックチェーントランザクションである。
図5を参照されたい。カラードコインは、借り手の公開鍵の場所をエスクローエージェントに通知するのに利用される。これは、後述されるように、レンタル処理の終了フェーズについて必要とされる。TxB’のリディームスクリプトは、
【0067】
【0068】
従って、エスクローの公開鍵は、TxB’をアンロックし、借り手の公開鍵へのアクセスを取得するのに必要とされる。
【0069】
顧客によるTxBの記入
顧客が自動車レンタルに進むことを所望した場合、彼は前のトランザクション(TxA)から彼女が所有するビットコイン(又は他のデジタル通貨)を使う。
図1b及び
図2のステップ104を参照されたい。前の出力のコインの価値は15BTCであり、車両レンタルのコストは10BTCであると仮定する。
【0070】
このとき、借り手は、借り手によって署名された入力(I
1)を加えることによって提案されるTxBに記入する。Input 1は、TxAから15BTCを使う(
図1bのステップ104を参照されたい)。借り手はまた、
(i)マルチシグネチャアドレスへの9BTCの固有の価値を有する1つのトークン化されたコイン-Output 1
(ii)企業へのデポジットとしての1BTC-Output 2
(iii)彼女への5BTCの返却-Output 3
を支払う3つの出力をトランザクションTxBに加える。
【0071】
図3bにおいて、記入されたバージョンのTxBが示される。TxAが自動車レンタルのコストと同じ値の出力を有していた場合、顧客に返却されるおつりの必要はないことに留意されたい。
【0072】
契約がDHTに登録されると、関連するURI及びハッシュ数がスクリプトにおけるメタデータ内のカラードコインを用いて表現できる。これは、トランザクションが契約に関連付けされることを可能にし、セキュリティ許可がそれを許可した場合、契約が参照及びアクセスされることを可能にする。
【0073】
TxBのOutput 1のリディームスクリプトは、
【0074】
【0075】
トランザクションTxBのアノテートされた具体例を提供する
図3bにおいて、TxBの出力O
0及び出力O
1の異なる2つのリディームスクリプトが示される。
【0076】
“借り手の公開鍵”は、自動車を借りている顧客の公開鍵である。“自動車の公開鍵”は、貸し出し中の自動車の公開鍵である。“企業の公開鍵”は、自動車レンタルを実施している企業の公開鍵である。“エスクローの公開鍵”は、エスクローエージェントの公開鍵である。
【0077】
契約を表すトークンは、借り手のシグネチャ、企業のシグネチャ及びエスクローエージェントのシグネチャを含む2オブ3(2-of-3)マルチシグネチャアドレスである。マルチシグネチャトランザクションは、資金が転送されるため、複数のシグネチャを必要とする。本シナリオでは、2オブ3マルチシグネチャ機構は、借り手が潜在的な署名者として指定された第三者仲介者(エスクローエージェント)及びレンタル企業にトランザクションへの資金を提供することを可能にするため、有用である。トランザクションがスムースに進行すると、顧客とレンタル企業との双方がトランザクションを署名し、資金がレンタル企業に転送される。何か間違いがある場合、彼らは顧客にリファンドするためのトランザクションに署名できる。彼らが同意できなかった場合、エスクローエージェントは、それを受けるべき主体に第2のシグネチャを提供する。
【0078】
TxBが顧客によって記入されると、それはブロックチェーンネットワークに送信される。これは、顧客が契約における条項に同意し、自動車レンタルに進むことを所望していることを示す。CLTV機構は、トランザクションのブロードキャストの時間及び/又は出力が利用可能な時間を指定するのに利用可能である。
【0079】
フェーズ2:アクセスが可能とされる
図1bのステップ106において、IoTデバイス104は、TxBのOutput 0からのカラードコインを利用して、DHTからの借り手の公開鍵にアクセスする。公開鍵の場所は、メッセージを介し自動車に利用可能とされてもよい。メッセージは、公開鍵がDHTにおいてどこに配置されているかを示すハッシュを含んでもよい。IoTデバイス104は、その後、自動車にアクセスすることが許可された個人に対応する公開鍵のそれのデータベースに公開鍵を加えることができる。従って、ここで自動車は顧客の公開鍵を知ることになる。対象とする実現形態に応じて、鍵はIoTデバイスに備えられたメモリに格納されてもよいし、あるいは、別の場所にオフデバイスに格納され、その後、必要に応じてデバイスによってアクセスされてもよい。
図1bのステップ106を参照されたい。
【0080】
しかしながら、本発明の他の実施例では、借り手の公開鍵は他の何れか適切な方法でIoTデバイスに通信可能であり、本例において説明された方法を介する必要はない。
【0081】
顧客は、自動車レンタル企業に以前に提供された公開鍵に対応する秘密鍵を含むスマートフォン108を有する。スマートフォンは、自動車レンタル企業のサーバからダウンロード及びインストールされたアプリケーション(app)を実行するよう構成されてもよい。appは、顧客が自動車レンタル企業及び/又は自動車とやりとりすることを可能にする機能を提供してもよい。スマートフォン108は、IoTデバイス104にメッセージ(“アンロックドア”)を通信する。メッセージは、秘密鍵を用いて暗号化され、対応する公開鍵によってのみ解読可能である。
図1bのステップS108を参照されたい。
【0082】
自動車104は、スマートフォンから暗号化されたメッセージを受信し、ステップ106において格納された公開鍵を用いてそれを解読しようとする。メッセージが所定の値又はコードを提供するよう解読不可である場合、検証は失敗であり、自動車はロックされたままである。あるいは、メッセージが以前に格納された公開鍵を用いて解読に成功した場合、検証は成功したとみなされ、車両はアンロックされる。このようにして、リソースへのアクセスは、暗号化鍵の利用に基づく許可又は拒絶される。
【0083】
利用中、スマートフォンのappは、“ロック”、“アンロック”、“ライトの点灯”など、自動車への各種メッセージを送信するのに利用されてもよい。これらのメッセージのそれぞれは顧客の秘密鍵を用いて暗号化され、指定されたタスクが格納されている公開鍵による解読の成功後に実行される。
【0084】
フェーズ3:アクセスが不可とされる
最後のフェーズでは、貸出期間が終了する。これは、契約において指定された期間が経過したため、あるいは、顧客がもはや車両を必要としないか、あるいは他の理由によるものであってもよい。従って、自動車への借り手の一時的なアクセスはここで取り消されるべきである。車両が返却されると(又はレンタル期間の終了が何れかの方法で企業によって認識される)、エスクローエージェントは、企業のシグネチャ及び借り手のシグネチャを利用することを含む新たなブロックチェーントランザクション(TxC)を生成する。
図1bのステップS112を参照されたい。TxCの目的は、9BTCの資金が自動車貸出企業に支払い可能となるように、カラードコインを“リリース”することである。トランザクション(TxC)が
図4に示される。
【0085】
TxCは、
図2に示されるような2つの入力を含む。第1の入力(I
0)はTxBからの出力O
1を使う。第2の入力(I
1)は、
図5に示されるTxB’からの出力である。TxB’は、自動車貸出企業によって、上述されるように生成された。
【0086】
ブロックチェーンネットワークにTxCをブロードキャストすると、自動車貸出企業は、ステップS114においてIoTデバイス104にメッセージを送信する。当該メッセージは、貸出処理が完了したことを通知する。メッセージは、リディームスクリプト及び借り手の公開鍵のハッシュを含む。
【0087】
その後、ステップS116において、IoTデバイス104は、自動車のメモリ(又はそれが格納された他の何れかの場所)から借り手の公開鍵を削除し、これは、自動車がスマートフォン108からのメッセージをもはや解読できないことを意味する。
【0088】
BID106は、その後、ステップS118において、新たなブロックチェーントランザクションTxDを生成し、TxCによって生成されたカラードコインをトークン化解除又は“通常”のビットコイン値に変換する。
【0089】
トークン化解除は、トークンを含む入力と、トークンを含まない出力とを有する新たなトランザクションTxDを作成することによって実行される。トークン化解除を実行するため、必要とされるシグネチャが、トークンを含むリディームスクリプトに加えてロックスクリプトに提示される。これは、
【0090】
【0091】
従って、トークンはTxDによって削除された。
【0092】
本発明の効果は、(限定することなく)
・それが設計によって本来的にセキュアである-ブロックチェーン(例えば、ビットコイン)プロトコルは信頼される主体を必要としない
・実施例がブロックチェーンプロトコルに基づくとき、それはECDSAを利用して所有権を証明し、ブロックチェーントランザクションにおいて重要な役割を演じる
・本発明はCheckLockTimeVerify(CLTV)オプション/設定を利用して、リソースへのアクセスが許可されるべき時間にトランザクションをブロードキャストすることができる
・分散化され、これにより、大規模な単一のポイントの不具合を回避し、攻撃に脆弱でない
管理及び維持が容易であり、ビットコインネットワークが直接的に利用される
・安価で少額なトランザクション費用が通常はビットコインプロトコルの下で予想される
・ブロックチェーンはグローバル且つパブリックであり、インターネットへのアクセスを有する誰によってもいつでも利用可能である
・透過的であり、データがブロックチェーンに書き込まれると、誰でもそれを確認できる
・レコードが変更不可であり、データがブロックチェーンに書き込まれると、誰もそれを変更できない
・プライバシ及び匿名性が維持され、個人又は主体の特定のための情報が利用可能でない
ことを含む。
上述した実施例は本発明を限定するのでなく例示するものであり、当業者は添付した請求項によって規定される本発明の範囲から逸脱することなく他の多数の実施例を設計可能であることが留意されるべきである。請求項において、括弧内に配置された何れかの参照符号は請求項を限定するものとして解釈されものでない。“含む”などの単語は、何れかの請求項又は明細書全体に列記された以外の要素又はステップの存在を排除しない。本明細書では、“含む”は“含む又は構成される”を意味し、“含んでいる”は“含んでいる又は構成されている”を意味する。要素の単数形の参照は、当該要素の複数形の参照を排除せず、その反対も同様である。本発明は、複数の異なる要素を含むハードウェアによって、及び適切にプログラムされたコンピュータによって実現されてもよい。複数の手段を列挙した装置の請求項では、これらの手段のいくつかは単一のハードウェアによって実現されてもよい。特定の手段が互いに異なる従属形式の請求項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが効果的に利用可能でないことを示すものでない。
【符号の説明】
【0093】
100 システム
102 サーバ
104 IoTデバイス
106 BID
108 スマートフォン
110 自動車
【外国語明細書】