(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024050882
(43)【公開日】2024-04-10
(54)【発明の名称】遊戯用代用貨幣の枚数計測システム
(51)【国際特許分類】
A63F 1/06 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
A63F1/06 Z
A63F1/06 A
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024018685
(22)【出願日】2024-02-09
(62)【分割の表示】P 2022091862の分割
【原出願日】2017-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000103301
【氏名又は名称】エンゼルグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(72)【発明者】
【氏名】重田 泰
(57)【要約】 (修正有)
【課題】画像によりチップの色を認識し、異なる照明環境のもとでもチップの枚数計測ができる仕組みを有するチップの認識システムを提供する。
【解決手段】チップ認識システム10は、チップWは、チップWの価値を示す特定色121を少なくとも部分的に有する構成であって、チップWの状態をカメラ212を用いて画像として記録する記録装置11と、前記記録された画像を画像分析して前記特定色121と前記画像中に存在する前記特定色121とは異なる基準色Rとの少なくとも2色を認識する画像分析装置14と、画像分析装置14による画像分析結果を用いて、チップWの特定色121を特定する人工知能装置12aを少なくとも含む認識装置12と、を有し、前記チップ認識装置12の人工知能装置12aは、異なる照度で照射された前記チップW及び基準色121の複数の画像を教師データとして教示された人工知能装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技場の遊技テーブルにおいて使用するチップを認識するチップ認識システムであり、
前記チップは、チップの価値を示す特定色を少なくとも部分的に有する構成であって、
前記特定色の部分と基準色の部分とを含む画像を撮影するカメラと、
前記画像を用いて、前記チップの特定色を特定する人工知能装置を少なくとも含む認識装置と、を有し、
前記認識装置の人工知能装置は、異なる照明環境で撮影された前記特定色の部分及び前記基準色の部分を含む複数の画像を教師データとして教示された人工知能装置であって、
前記認識装置は、前記チップの画像から前記特定色の部分を抽出し、前記特定色の部分を含む周辺画像を画像分析することにより、前記周辺画像中の前記特定色と前記基準色との少なくとも2色を認識するものである、認識システム。
【請求項2】
請求項1に記載の認識システムであって、
前記チップは、チップの価値を示す特定色を所定の位置に又は所定の形状で少なくとも有するものである、認識システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の認識システムであって、
前記認識装置は、前記チップの特定色を特定することで前記チップの枚数を特定するものである、認識システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の認識システムであって、
前記認識装置は、複数の前記チップの特定色をチップ毎に特定することにより特定色毎のチップの枚数を特定するものである、認識システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の認識システムであって、
前記認識装置の人工知能装置は、前記チップの特定色を前記基準色との相対関係を用いて判定する人工知能装置である、認識システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の認識システムであって、
前記認識装置は、積み重ねられた複数の前記チップの特定色を判定するものであって、前記カメラの死角により一部が隠れた状態となっていても、チップの特定色又は枚数の判定が可能な構造である、認識システム。
【請求項7】
物品を認識する認識システムであり、
物品は、物品自体又は包装に前記物品又は包装を特定可能な特定色を少なくとも部分的に有する構成であって、
前記物品の前記特定色の部分と基準色の部分とを含む画像を撮影するカメラと、
前記画像を用いて、前記物品自体又は包装の特定色を特定する人工知能装置を少なくとも含む認識装置と、を有し、
前記認識装置の人工知能装置は、異なる照明環境で撮影された前記基準色及び前記物品自体又は包装の特定色を含む複数の画像を教師データとして教示された人工知能装置であって、
前記認識装置は、前記物品の画像から前記特定色の部分を抽出し、前記特定色の部分を含む周辺画像を画像分析することにより、前記周辺画像中の前記特定色と前記基準色との少なくとも2色を認識するものである、認識システム。
【請求項8】
請求項7に記載の認識システムであって、
前記物品自体又は包装は、前記物品又は包装を特定可能な特定色を所定の位置に又は所定の形状で少なくとも部分的に有するものである、認識システム。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の認識システムであって、
前記認識装置は、前記物品自体又は包装の特定色を特定することにより前記物品の個数を特定するものである、認識システム。
【請求項10】
請求項9に記載の認識システムであって、
前記認識装置は、複数の前記物品自体又は包装の特定色を物品毎に特定することにより前記特定色毎の物品の個数を特定するものである、認識システム。
【請求項11】
請求項7から10のいずれかに記載の認識システムであって、
前記認識装置の人工知能装置は、前記物品自体又は包装の特定色を前記基準色との相対関係を用いて判定する人工知能装置である、認識システム。
【請求項12】
請求項7から11のいずれかに記載の認識システムであって、
前記認識装置は、積み重ねられた複数の前記物品自体又は包装の特定色を判定するものであって、前記カメラの死角により一部が隠れた状態となっていても、前記特定色の判定が可能な構成である、認識システム。
【請求項13】
請求項7から12のいずれかに記載の認識システムであって、
前記認識装置は、積み重ねられた複数の前記物品自体又は包装の特定色を判定するものであって、前記カメラの死角により一部が隠れた状態となっていても、前記物品の総個数または前記特定色毎の物品の個数の判定が可能な構成である、認識システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場において使用される多数のチップを画像で種類毎に認識し、チップの種類毎に枚数を計測するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カジノ等の遊技場では、遊戯用代用貨幣(以下「チップ」と記す)が用いられ、チップによってゲームのベット及び払い戻しが行われている。テーブル上に積み重ねられたチップを正確に認識するために、カメラを用いて画像としてチップを認識する方法が取られている。特許文献1には、ゲーム中のチップの動きをカメラで認識するシステムの一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チップを画像によりカメラで認識する際には、チップの輪郭を認識するだけでなくチップの色の違いも認識し、また重ねられたチップの枚数をチップの種類毎に把握することが求められる。しかしながら、カメラで認識されるチップの色はたとえ同一のチップであったとしても、チップが置かれている照明環境の違いによって異なった色として撮像あるいは認識され、同じ色であると認識されない。そのため従来は、画像から種類ごとの個数を数えるといったことはできなかった。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、画像によりチップの色を認識し、異なる照明環境のもとでもチップの枚数計測ができる仕組みを有するチップの認識システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るチップ認識システムは、
遊技場の遊戯テーブルにおいて使用するチップを認識するチップ認識システムであり、
前記チップは、チップの価値を示す特定色を少なくとも部分的に有する構成であって、
前記チップの状態をカメラを用いて画像として記録する記録装置と、
前記記録された画像を画像分析して前記特定色と前記画像中に存在する前記特定色とは異なる基準色との少なくとも2色を認識する画像分析装置と、
前記画像分析装置による画像分析結果を用いて、前記チップの特定色を特定する人工知能装置を少なくとも含む認識装置と、を有し、
前記チップ認識装置の人工知能装置は、異なる照度で照射された前記チップ及び基準色の複数の画像を教師データとして教示された人工知能装置である。
【0007】
さらに前記チップはチップの価値を示す特定色を所定の位置に又は所定の形状で少なくとも有する、ものである。
【0008】
さらには前記認識装置は、前記チップの特定色を特定することで前記チップの枚数を特定する。また複数の前記チップの特定色をチップ毎に特定することにより特定色毎のチップの枚数を特定してもよい。
【0009】
またさらに前記認識装置の人工知能装置は、異なる照明環境で照射された前記基準色及び前記チップの複数の画像を教師データとして教示された、ものである。また前記チップの特定色を前記基準色との相対関係を用いて判定する、ものであってもよい。
【0010】
そして前記認識装置は、積み重ねられた複数の前記チップの特定色を判定するものであって、前記カメラの死角により一部が隠れた状態となっていても、チップの特定色又は枚数の判定が可能な構造であってもよい。
【0011】
本発明の一態様に係る物品を認識する認識システムは、
物品は、物品自体又は包装に前記物品又は包装を特定可能な特定色を少なくとも部分的に有する構成であって、
前記物品の状態をカメラを用いて画像として記録する記録装置と、
前記記録された画像を画像分析して前記特定色と前記画像中に存在する前記特定色とは異なる基準色との少なくとも2色を認識する画像分析装置と、
前記画像分析装置による画像分析結果を用いて、前記物品自体又は包装の特定色を特定する人工知能装置を少なくとも含む認識装置と、を有し、
前記物品認識装置の人工知能装置は、異なる照度で照射された前記基準色及び前記物品自体又は包装の特定色の複数の画像を教師データとして教示された人工知能装置である。
【0012】
さらに前記物品自体又は包装は、前記物品又は包装を特定可能な特定色を所定の位置に又は所定の形状で少なくとも部分的に有するものである。
【0013】
さらには前記認識装置は、前記物品自体又は包装の特定色を特定することにより前記物品の個数を特定する。また複数の前記物品自体又は包装の特定色を物品毎に特定することにより前記特定色毎の物品の個数を特定してもよい。
【0014】
またさらに前記認識装置の人工知能装置は、異なる照明環境で照射された前記基準色及び前記物品自体又は包装の特定色の複数の画像を教師データとして教示されたものである。また、前記物品自体又は包装の特定色を前記基準色との相対関係を用いて判定する、ものであってもよい。
【0015】
そして前記認識装置は、積み重ねられた複数の前記物品自体又は包装の特定色を判定するものであって、前記カメラの死角により一部が隠れた状態となっていても、前記特定色の判定が可能な構成である。また積み重ねられた複数の前記物品自体又は包装の特定色を判定するものであって、前記カメラの死角により一部が隠れた状態となっていても、前記物品の総個数または前記特定色毎の物品の個数の判定が可能な構成である。
【0016】
本発明の一態様に係るチップ認識システムは
遊戯場の遊戯テーブルにおいて使用するチップを認識するチップ認識システムであり、
前記チップは、チップの価値を示す特定色を少なくとも部分的に有する構成であって、
前記チップの状態をカメラを用いて画像として記録する記録装置と、
前記記録された画像を画像分析して前記特定色と前記画像中に存在する前記特定色とは異なる基準色との少なくとも2色を認識する画像分析装置と、
前記画像分析装置による画像分析結果を用いて、前記チップの特定色を特定する人工知能装置を少なくとも含む認識装置と、を有し、
前記認識装置の人工知能装置は、前記チップの画像から中心線を抽出し、前記中心線を中心とした所定の範囲の周辺画像を画像分析することにより、前記周辺画像中の前記特定色と特定色とは異なる前記基準色との少なくとも2色を認識する構成を備え、異なる照度で照射された前記チップ及び基準色の複数の前記周辺画像を教師データとして教示された人工知能装置である。
【0017】
本発明の一態様に係る物品を認識する認識システムは、
物品を認識する認識システムであり、
物品は、物品自体又は包装に前記物品又は包装を特定可能な特定色を少なくとも部分的に有する構成であって、
前記物品の状態をカメラを用いて画像として記録する記録装置と、
前記記録された画像を画像分析して前記特定色と前記画像中に存在する前記特定色とは異なる基準色との少なくとも2色を認識する画像分析装置と、
前記画像分析装置による画像分析結果を用いて、前記物品自体又は包装の特定色を特定する人工知能装置を少なくとも含む認識装置と、を有し、
前記認識装置の人工知能装置は、前記物品自体又は包装の画像から特定色を認識して前記特定色の画像部分を抽出し、前記特定色の周辺画像を画像分析することにより、前記周辺画像中の前記特定色と前記基準色との少なくとも2色を認識する構成を備え、異なる照度で照射された前記物品自体又は包装の特定色及び基準色の複数の前記周辺画像を教師データとして教示された人工知能装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、遊戯テーブルで使用するチップを画像から種類ごとに認識したり枚数をカウントできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態におけるチップ認識システムを模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態におけるチップの側面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態におけるチップの認識システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明の別の実施の形態の物品の認識システムを模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、チップの色を判定する際の別の実施例の説明図である。
【
図6】
図6は、チップの側面図とその拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、同一記号の構成要素の詳しい説明は繰り返さない。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態におけるチップ認識システム10を模式的に示す図である。
図1に示すように、本実施の形態では、遊技テーブル4に積み重ねて配置されたチップWの状態を撮像するカメラ212が、遊技テーブル4の外側に設けられている。
チップWは、
図2に示すようにチップWの価値を示す特定色121を少なくとも部分的に有する構成であって、
チップWの状態をカメラ212を用いて画像として記録する記録装置11と、
前記記録された画像を画像分析して前記特定色121と前記画像中に存在する前記特定色121とは異なる基準色Rとの少なくとも2色を認識する画像分析装置14と、
画像分析装置14による画像分析結果を用いて、チップWの特定色121を特定する人工知能装置12aを少なくとも含む認識装置12と、を有し、
前記チップ認識装置12の人工知能装置12aは、異なる照度で照射された前記チップW及び基準色121の複数の画像を教師データとして教示された人工知能装置である。
なお本実施の形態によるチップの認識システム10はカメラ212に対して通信可能に接続されている。
【0022】
図3は、本実施の形態によるチップの認識システム10の概略構成を示すブロック図である。
図3に示すように、チップの認識システム10は記録装置11と、認識装置12と、学習機13と、画像分析装置14とを有している。なお、チップの認識システム10の少なくとも一部は、コンピュータにより実現されている。
【0023】
記録装置11は、たとえばハードディスク等の固定型データストレージを含んでいる。記録装置11は遊技テーブル4上に積み重ねられたチップWの状態を、カメラ212により撮像された画像として記録する。なお、画像は、動画像であってもよいし、連続した静止画像であってもよい。
記録装置11は、後述する認識装置により撮像記録が後で分析可能となるように、カメラ212から取得した画像にインデックスもしくは時刻を付与してもよい。
【0024】
画像分析装置14は、記録装置11により記録された画像を画像分析して、チップWに少なくとも部分的に付与されている特定色121と画像中に存在する、特定色121とは異なる基準色Rの少なくとも2色を認識する。なお特定色121は、チップWの所定の位置又は所定の形状で少なくとも部分的に付されている。たとえばチップWの側面に周方向に付されていたり、チップWの表面に所定のマークとして付されていてもよい。また、基準色Rは、たとえば遊技テーブル4の特定エリアの色であっても良いし、チップW中の特定色121とは異なる場所に付与された色であってもよい。
【0025】
認識装置12は、画像分析装置14による画像分析結果を用いて、たとえば深層学習(ディープラーニング)技術などにより特定色の特定を行う人工知能装置12aを含んでおり、遊技テーブル4に配置されたチップWの枚数および種類を判定する。認識装置12は、遊技テーブル4におけるチップWの位置をさらに判定してもよい。
図3に示すように、認識装置12は、判定結果を出力装置15に出力する。出力装置15は、認識装置12の判定結果を、文字情報として遊技テーブル4上のモニタなどに出力してもよい。
【0026】
本実施の形態では、学習機13は、記録装置11により記録された異なる照度で照射されたチップW及び基準色Rの複数の画像を画像分析装置14を通して取得し、取得した画像と、各画像のチップWの特定色121及び基準色Rの正解の色とを、教師データとして人が教示することで学習し、学習モデル13a(認識プログラム)を作成する。なお同じ条件の照度で照射されたチップW及び基準色Rの画像は、特定色121と基準色Rが同じ照度で照らされていることにより、特定色121と基準色Rの相対的な関係を取得することができる。例えばこの相対関係が特定色121の認識に利用されてもよい。
【0027】
人が学習機13に上記教師データを入力して学習させるという教師動作を繰り返し行うことで、学習機13が有する学習モデル13aによるチップWの特定色121の特定精度を高めることができる。学習機13は、遊技テーブル4上に置かれた複数のチップWがカメラ212の死角により一部が隠れた状態となっていても、そのような画像を繰り返し学習しておくことで、遊技テーブル4上のチップWの特定色121を判定可能となる学習モデル13aを作成することができる。
【0028】
作成された学習モデル13aは、USBメモリー、HDDなどの外部媒体、あるいは通信ネットワークなどを介して、人工知能装置12aに入力することが可能である。
【0029】
また
図3に示すように、チップW及び基準色Rの画像と画像認識装置12の判定結果を学習機13に入力する教師データとしてもよい。
【0030】
なお、上述の実施の形態に基づいて様々な変更を加えることが可能である。
以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに重複する説明を省略する。
【0031】
図4は、本発明の別の実施の形態における物品の認識システム20を模式的に示す図である。
図4に示すように、本実施の形態では、物品陳列棚5に配置された物品Bの状態を撮像するカメラ212が、物品陳列棚5の外側に設けられている。
また物品Bは、物品自体又は包装に前記物品又は包装を特定可能な特定色121を少なくとも部分的に有する構成であって、
物品Bの状態をカメラ212を用いて画像として記録する記録装置11と、
前記記録された画像を画像分析して前記特定色121と前記画像中に存在する前記特定色121とは異なる基準色Rの少なくとも2色を認識する画像分析装置14と、
画像分析装置14による画像分析結果を用いて、物品Bの特定色121を特定する人工知能装置12aを少なくとも含む認識装置12aと、を有し、
前記物品認識装置12の人工知能装置12aは、異なる照度で照射された前記基準色R及び前記物品B自体又は包装の特定色121の複数の画像を教師データとして教示された人工知能装置である。
なお本実施の形態による物品の認識システム20はカメラ212に対して通信可能に接続されている。
【0032】
物品の認識システム20は記録装置11と、認識装置12と、教師装置13と、画像分析装置14とを有している。なお、物品の認識システム10の少なくとも一部は、コンピュータにより実現されている。
記録装置11は、たとえばハードディスク等の固定型データストレージを含んでいる。記録装置11は物品陳列台5上に配置された物品Bの状態を、カメラ212により撮像された画像として記録する。なお、画像は、動画像であってもよいし、連続した静止画像であってもよい。
記録装置11は、後述する認識装置により撮像記録が後で分析可能となるように、カメラ212から取得した画像にインデックスもしくは時刻を付与してもよい。
【0033】
画像分析装置14は、記録装置11により記録された画像を画像分析して、物品Bに少なくとも部分的に付与されている特定色121と画像中に存在する、特定色121とは異なる基準色Rの少なくとも2色を認識する。物品B自体又は包装に付与されている特定色121は、物品B自体又は包装の所定の位置に又は所定の形状で少なくとも部分的に有するものであり、物品B自体又は包装のどの位置に付されていてもよく、その形状は多様であってもよい。また、基準色Rは、たとえば物品陳列棚5の枠の一部の色であってもよいし、背景にある壁の色であってもよい。
【0034】
認識装置12は画像分析装置14による画像分析結果を用いて、たとえば深層学習(ディープラーニング)技術などにより特定色の特定を行う人工知能装置12aを含んでおり、物品陳列棚5に配置された物品Bの個数および種類を判定する。認識装置12は、物品陳列棚5に配置された物品Bの位置をさらに判定してもよい。
【0035】
本実施の形態では、学習機13は、記録装置11により記録された異なる照度で照射された物品B自体又は包装および基準色Rの複数の画像を画像分析装置14を通して取得し、取得した画像と、各画像の物品B自体又は包装に付された特定色の正解の色とを、教師データとして人が教示することで学習し、学習モデル13a(認識プログラム)を作成する。なお同じ条件の照度で照射された物品B及び基準色Rの画像は、特定色121と基準色Rが同じ照度で照らされていることにより、特定色121と基準色Rの相対的な関係を取得することができる。例えばこの相対関係が特定色121の認識に利用されてもよい。
【0036】
人が学習機13に上記教師データを入力して学習させるという教師動作を繰り返し行うことで、学習機13が有する学習モデル13aによる物品B自体又は包装に付された特定色の特定精度を高めることができる。学習機13は、物品陳列棚5に置かれた複数の物品Bがカメラ212の死角により一部が隠れた状態となっていても、そのような画像を繰り返し学習しておくことで、物品陳列棚5の物品Bの特定色を判定可能となる学習モデル13aを作成することができる。
【0037】
作成された学習モデル13aは、USBメモリー、HDDなどの外部媒体、あるいは通信ネットワークなどを介して、人工知能装置12aに入力することが可能である。
【0038】
また
図3に示すように、物品B自体又は包装の特定色121及び基準色Rの画像と画像認識装置12の判定結果を学習機13に入力する教師データとしてもよい。
【0039】
図5は、チップの色を判定する際の別の実施例を模式的に示す図である。本実施の形態ではチップ認識装置12の人工知能装置12aはチップWの画像からチップWの中心線Cを人工知能を用いて抽出する。
【0040】
具体的には、
図3に示すように、学習機13は、記録装置11により記録された異なる照度で照射されたチップWの中心線Cの複数の画像を画像分析装置14を通して取得し、取得した画像と、各画像のチップWの中心線Cの正解の位置とを、教師データとして人が教示することで学習し、学習モデル13a(認識プログラム)を作成する。
【0041】
人が学習機13に上記教師データを入力して学習させるという教師動作を繰り返し行うことで、学習機13が有する学習モデル13aによるチップWの中心線Cの特定精度を高めることができる。学習機13は、遊技テーブル4上に置かれた複数のチップWがカメラ212の死角により一部が隠れた状態となっていても、そのような画像を繰り返し学習しておくことで、遊技テーブル4上のチップWの中心線Cを判定可能となる学習モデル13aを作成することができる。
【0042】
作成された学習モデル13aは、USBメモリー、HDDなどの外部媒体、あるいは通信ネットワークなどを介して、人工知能装置12aに入力することにより、人工知能装置12aはチップWの画像からチップWの中心線Cを人工知能を用いて抽出することが可能となる。
【0043】
なお画像から中心線Cを画像分析する際には、画像をそのまま分析しても良いし、中心線Cの認識が容易となるように、色の強調やノイズの除去等の画像処理を行った上で分析しても良い。
【0044】
またチップ認識装置12は人工知能を用いることなく、カメラ212によって撮影されて画像として記録され、さらに画像分析された結果を用い、形状、明度、彩度、色合いなどの画像上の特徴を計測する方法によってチップWの中心線Cを抽出してもよい。
【0045】
図6に示すように、人工知能装置12aはさらに、抽出した前記中心線Cの周囲の所定の範囲の周辺画像(例えば中心線を中心に、中心線に直交する8ピクセル分の範囲など)を画像分析することにより、前記周辺画像中の前記特定色121と特定色121とは異なる前記基準色Rとの少なくとも2色を認識する構成を備える。なお抽出した前記中心線Cの周囲の所定の範囲の周辺画像を画像分析する際には、画像をそのまま分析しても良いし、特定色121の認識が容易となるように、色の強調やノイズの除去等の画像処理を行った上で分析しても良い。
【0046】
人工知能装置12aは、異なる照度で照射された前記チップW及び基準色121の複数の画像を教師データとして教示された人工知能装置である。なお同じ条件の照度で照射されたチップWの中心線Cの周辺画像は、特定色121と基準色Rが同じ照度で照らされていることにより、特定色121と基準色Rの相対的な関係を取得することができる。例えばこの相対関係が特定色121の認識に利用されてもよい。
【0047】
またチップ認識装置12は人工知能を用いることなく、カメラ212によって撮影されて画像として記録され、さらに画像分析された結果を用い、形状、明度、彩度、色合いなどの画像上の特徴を計測する方法によって特定色121を認識してもよい。
【0048】
まとめると、認識装置12の人工知能装置12aは、チップWの画像から中心線Cを抽出し、前記中心線Cを中心とした所定の範囲の周辺画像を画像分析することにより、前記周辺画像中の特定色121と特定色121とは異なる基準色Rとの少なくとも2色を認識する構成を備え、異なる照度で照射された前記チップW及び基準色Rの複数の前記周辺画像を教師データとして教示された人工知能装置である。
【0049】
物品を判定する際の別の実施の形態では、物品認識装置12の人工知能装置12aは、物品B自体又は包装の画像から物品B自体又は包装の特定色121を人工知能を用いて抽出する。
【0050】
具体的には、
図3に示すように、学習機13は、記録装置11により記録された異なる照度で照射された物品B自体又は包装および基準色Rの複数の画像を画像分析装置14を通して取得し、取得した画像と、各画像の物品B自体又は包装に付された特定色121の正解の位置とを、教師データとして人が教示することで学習し、学習モデル13a(認識プログラム)を作成する。
【0051】
人が学習機13に上記教師データを入力して学習させるという教師動作を繰り返し行うことで、学習機13が有する学習モデル13aによる物品B自体又は包装に付された特定色の特定精度を高めることができる。学習機13は、物品陳列棚5に置かれた複数の物品Bがカメラ212の死角により一部が隠れた状態となっていても、そのような画像を繰り返し学習しておくことで、物品陳列棚5の物品Bの特定色を判定可能となる学習モデル13aを作成することができる。
【0052】
作成された学習モデル13aは、USBメモリー、HDDなどの外部媒体、あるいは通信ネットワークなどを介して、人工知能装置12aに入力することにより、人工知能装置12aは物品Bの画像から物品B自体又は包装に付された特定色121部分を人工知能を用いて抽出することが可能となる。
【0053】
なお画像から特定色121部分を画像分析する際には、画像をそのまま分析しても良いし、特定色121部分の認識が容易となるように、色の強調やノイズの除去等の画像処理を行った上で分析しても良い。
【0054】
また物品認識装置12は人工知能を用いることなく、形状、明度、彩度、色合いなどの画像上の特徴を計測する方法によって物品B自体又は包装の特定色121部分を抽出してもよい。
【0055】
人工知能装置12aはさらに、抽出した前記特定色121部分の周囲の所定の範囲の周辺画像(例えば特定色部分の周囲8ピクセル分の範囲など)を画像分析することにより、前記周辺画像中の前記特定色121と特定色121とは異なる前記基準色Rとの少なくとも2色を認識する構成を備える。なお抽出した前記特定色121部分の周囲の所定の範囲の周辺画像を画像分析する際には、画像をそのまま分析しても良いし、特定色121部分の認識が容易となるように、色の強調やノイズの除去等の画像処理を行ったうえで分析しても良い。
【0056】
人工知能装置12aは、異なる照度で照射された前記物品B自体又は包装の特定色121部分、及び基準色121の複数の画像を教師データとして教示された人工知能装置である。なお同じ条件の照度で照射された前記物品B自体又は包装の特定色121部分の周辺画像は、特定色121と基準色Rが同じ照度で照らされていることにより、特定色121と基準色Rの相対的な関係を取得することができる。例えばこの相対関係が特定色121の認識に利用されてもよい。
【0057】
また物品認識装置12は人工知能を用いることなく、カメラ212によって撮影されて画像として記録され、さらに画像分析された結果を用い、形状、明度、彩度、色合いなどの画像上の特徴を計測する方法によって特定色121を認識してもよい。
【0058】
まとめると、認識装置12の人工知能装置12aは、物品B自体又は包装の画像から特定色121を認識して前記特定色121の画像部分を抽出し、前記特定色121の周辺画像を画像分析することにより、前記周辺画像中の前記特定色121と前記基準色Rとの少なくとも2色を認識する構成を備え、異なる照度で照射された前記物品B自体又は包装の特定色121及び基準色Rの複数の前記周辺画像を教師データとして教示された人工知能装置である。
【0059】
上述した実施の形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の様々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
【符号の説明】
【0060】
4 遊技テーブル
5 物品陳列棚
10 チップの認識システム
11 記録装置
12 認識装置
12a 人工知能装置
13 学習機
13a 学習モデル
14 画像分析装置
15 出力装置
20 物品の認識システム
121 特定色
212 カメラ
W チップ
B 物品
R 基準色
C 中心線